説明

アルミナ−シリカガラスまたはガラスセラミックの製造法

AlおよびSiOを含んでなるガラスおよびガラスセラミックの製造法。本発明に従って製造されたガラスを、ガラスビーズ、物品(例えば、プレート)、繊維、粒子および薄コーティングとして製造、形成、またはそれらへと変換することができる。本発明に従って製造されたガラスセラミック粒子のいくつかの実施形態は、研磨粒子として特に有用である。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多数のガラスおよびガラスセラミック材料が既に知られている。酸化物ガラス系の多くは、ガラス形成の補助のために、SiO、B、P、GeO、TeO、AsおよびVのような周知のガラス形成因子を利用する。これらのガラス形成因子によって形成されたガラス組成物のいくつかは、熱処理によってガラスセラミックを形成可能である。ガラスセラミックは、形成前のガラスよりも温度に耐性を有するものとなる傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
様々なガラスおよびガラスセラミックの製造技術があるが、追加的な新規技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、高分子SiO供給源または有機金属系SiO供給源の少なくとも1つを利用する、AlとSiOとを含んでなるガラスおよびガラスセラミックの製造法を提供する。典型的に、本発明の方法によって提供されるガラスは、T−Tが少なくとも20°K(いくつかの実施形態において、少なくとも25°K)であるTおよびTを有する。
【0004】
ガラスの総重量を基準として、少なくとも35重量%(いくつかの実施形態において、少なくとも40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%またはさらには少なくとも90重量%)のAlと、0.5重量%〜10重量%(いくつかの実施形態において、0.5重量%〜5重量%または1重量%〜3重量%)の範囲のSiOと、合わせて10重量%以下(いくつかの実施形態において、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下またはさらには0重量%)のAs、B3、GeO、P、SiO、TeOおよびVとを含んでなるガラスを製造するための、本発明による1つの代表的な方法において、この方法は、
火炎またはプラズマの1つ中に少なくともAl供給源およびSiO供給源を供給して溶融物を提供する工程であって、SiO供給源が、高分子SiO供給源または有機金属系SiO供給源の少なくとも1つである工程と、
溶融物を冷却して、ガラスを提供する工程と
を含んでなる。任意に、ガラスは、AlおよびSiO以外の少なくとも1つの金属酸化物(例えば、Y、CeO、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr11、Sm、Tb、Th、Tm、Yb、MgO、TiO、Cr、CuO、ZrO、SrO、LiO、NiO、Feおよびそれらの組み合わせ)をさらに含んでなる。任意に、この方法は、ガラスを熱処理して、ガラスの少なくとも一部分を結晶質セラミックへと変換し、ガラスセラミックを提供する工程をさらに含んでなる。いくつかの実施形態において、ガラスはガラス粒子の形態であり、そしてこの方法は、ガラスを熱処理して、ガラスの少なくとも一部分を結晶質セラミックへと変換し、ガラスセラミック研磨粒子を提供する工程をさらに含んでなる。いくつかの実施形態において、熱処理されるガラス粒子は、粒子の少なくとも一部分が複数のガラス粒子である、規定公称グレード(specified nominal grade)を有する複数の粒子として提供される。いくつかの実施形態において、この方法は、ガラスを熱処理して、ガラスの少なくとも一部分を結晶質セラミックへと変換し、ガラスセラミックを提供する工程と、ガラスセラミックを粉砕して研磨粒子を提供する工程とをさらに含んでなる。いくつかの実施形態において、研磨粒子をグレーディングして、規定公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する。
【0005】
物品を製造するための本発明による1つの代表的な方法において、この方法は、
火炎またはプラズマの1つ中に少なくともAl供給源およびSiO供給源を供給して溶融物を提供する工程であって、SiO供給源が、高分子SiO供給源または有機金属系SiO供給源の少なくとも1つである工程と、
溶融物を冷却してガラスビーズを提供するが、ガラスが、ガラスの総重量を基準として少なくとも35重量%(いくつかの実施形態において、少なくとも40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%またはさらには少なくとも90重量%)のAlと、0.5重量%〜10重量%(いくつかの実施形態において、0.5重量%〜5重量%または1重量%〜3重量%)の範囲のSiOと、合わせて10重量%以下(いくつかの実施形態において、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下またはさらには0重量%)のAs、B3、GeO、P、SiO、TeOおよびVとを含んでなり、かつガラスがTを有する工程と
ガラスビーズをTより高い温度まで加熱し、ガラスビーズを融合させて形状品を形成する工程と、
融合された形状品を冷却して、ガラス物品を提供する工程と
を含んでなる。任意に、ガラスは、AlおよびSiO以外の少なくとも1つの金属酸化物(例えば、Y、CeO、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr11、Sm、Tb、Th、Tm、Yb、MgO、TiO、Cr、CuO、ZrO、SrO、LiO、NiO、Feおよびそれらの組み合わせ)をさらに含んでなる。任意に、この方法は、ガラス物品を熱処理して、ガラスの少なくとも一部分を結晶質セラミックへと変換し、ガラスセラミック物品を提供する工程をさらに含んでなる。
【0006】
物品を製造するための本発明による1つの代表的な方法において、この方法は、
火炎またはプラズマの1つ中に少なくともAl供給源およびSiO供給源を供給して溶融物を提供する工程であって、SiO供給源が、高分子SiO供給源または有機金属系SiO供給源の少なくとも1つである工程と、
溶融物を冷却してガラスビーズを提供するが、ガラスが、ガラスの総重量を基準として少なくとも35重量%(いくつかの実施形態において、少なくとも40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%またはさらには少なくとも90重量%)のAlと、0.5重量%〜10重量%(いくつかの実施形態において、0.5重量%〜5重量%または1重量%〜3重量%)の範囲のSiOと、合わせて10重量%以下(いくつかの実施形態において、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下またはさらには0重量%)のAs、B3、GeO、P、SiO、TeOおよびVとを含んでなり、かつガラスがTを有する工程と
ガラスビーズを粉砕してガラス粉末を提供する工程と、
ガラス粉末をTより高い温度まで加熱し、ガラス粉末を融合させて形状品を形成する工程と、
融合された形状品を冷却して、ガラス物品を提供する工程と
を含んでなる。任意に、ガラスは、AlおよびSiO以外の少なくとも1つの金属酸化物(例えば、Y、CeO、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr11、Sm、Tb、Th、Tm、Yb、MgO、TiO、Cr、CuO、ZrO、SrO、LiO、NiO、Feおよびそれらの組み合わせ)をさらに含んでなる。任意に、この方法は、ガラス物品を熱処理して、ガラスの少なくとも一部分を結晶質セラミックへと変換し、ガラスセラミック物品を提供する工程をさらに含んでなる。
【0007】
本発明によるガラスセラミックのいくつかの実施形態は、ガラスセラミックの全容積を基準として、例えば、少なくとも1容積%、2容積%、3容積%、5容積%、10容積%、15容積%、20容積%、25容積%、30容積%、35容積%、40容積%、45容積%、50容積%、55容積%、60容積%、65容積%、70容積%、75容積%、80容積%、85容積%、90容積%、95容積%またはさらには100容積%の量でガラスを含んでもよい。本発明によるガラスセラミックのいくつかの実施形態は、ガラスセラミックの全容積を基準として、例えば、少なくとも1容積%、2容積%、3容積%、5容積%、10容積%、15容積%、20容積%、25容積%、30容積%、35容積%、40容積%、45容積%、50容積%、55容積%、60容積%、65容積%、70容積%、75容積%、80容積%、85容積%、90容積%、95容積%、97容積%、98容積%、99容積%またはさらには100容積%の量で結晶質セラミックを含んでもよい。
【0008】
本願において、
「非晶質材料」は、溶融物および/または気相から誘導される材料であって、X線回折によって決定されるように、いずれの長距離結晶構造もなく、そして/または「示差熱分析」という表題で本明細書に記載の試験によって決定される通り、DTA(示差熱分析)によって決定されるように、非晶質材料の結晶化に対応する発熱ピークを有する材料を指し;
「セラミック」には、ガラス、結晶質セラミック、ガラスセラミックおよびそれらの組み合わせが含まれ;
「複合金属酸化物」は、2以上の異なる金属元素および酸素を含んでなる金属酸化物(例えば、CeAl1118、DyAl12、MgAlおよびYAl12)を指し;
「複合Al・金属酸化物」は、理論酸化物基準で、Alおよび1以上のAl以外の金属元素を含んでなる複合金属酸化物(例えば、CeAl1118、DyAl12、MgAlおよびYAl12)を指し;
「複合Al・Y」は、理論酸化物基準で、AlおよびYを含んでなる複合金属酸化物(例えば、YAl12)を指し;
「複合Al・REO」は、理論酸化物基準で、Alおよび希土類酸化物を含んでなる複合金属酸化物(例えば、CeAl1118およびDyAl12)を指し;
「ガラス」は、ガラス転移温度を示す非晶質材料を指し;
「ガラスセラミック」は、ガラスを熱処理することによって形成される結晶を含んでなるセラミックを指し;
「T」は、「示差熱分析」という表題で本明細書に記載される試験によって決定されるガラス転移温度を指し;
「T」は、「示差熱分析」という表題で本明細書に記載される試験によって決定される結晶化温度を指し;
「希土類酸化物」は、酸化セリウム(例えば、CeO)、酸化ジスプロシウム(例えば、Dy)、酸化エルビウム(例えば、Er)、酸化ユウロピウム(例えば、Eu)、酸化ガドリニウム(例えば、Gd)、酸化ホルミウム(例えば、Ho)、酸化ランタン(例えば、La)、酸化ルテチウム(例えば、Lu)、酸化ネオジム(例えば、Nd)、酸化プラセオジム(例えば、Pr11)、酸化サマリウム(例えば、Sm)、酸化テルビウム(例えば、Tb)、酸化トリウム(例えば、Th)、酸化ツリウム(例えば、Tm)および酸化イッテルビウム(例えば、Yb)、ならびにそれらの組み合わせを指し;そして
「REO」は、希土類酸化物を指す。
【0009】
さらに本明細書において、金属酸化物(例えば、Al、複合Al・金属酸化物等)が、例えばガラスセラミック中で、結晶質であると明言されない限り、それは結晶質であっても、またはガラス部分および結晶質部分であってもよいことが理解される。例えば、ガラスセラミックがAlおよびZrOを含んでなる場合、AlおよびZrOは、それぞれガラス状態であっても、結晶質状態であっても、またはガラス状態の部分と結晶質状態の部分とであってもよく、さらにはもう1つの金属酸化物との反応生成物であってもよい(例えば、Alが結晶質Al、またはAlの特異的な結晶質相(例えば、アルファAl)として存在すると明言されない限り、それは結晶質Alおよび/または1以上の結晶質複合Al・金属酸化物の一部として存在してもよい)。
【0010】
本発明に従って製造されるガラスおよびガラスセラミックのいくつかの実施形態を、ビーズ(例えば、少なくとも1マイクロメートル、5マイクロメートル、10マイクロメートル、25マイクロメートル、50マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、250マイクロメートル、500マイクロメートル、750マイクロメートル、1mm、5mmまたはさらには少なくとも10mmの直径を有するビーズ)、物品(例えば、プレート)、繊維、粒子およびコーティング(例えば、薄コーティング)として製造可能、形成可能であるか、またはそれらへと変換可能である。ビーズの実施形態は、例えば、再帰反射シート、英数字プレートおよび路面表示のような反射デバイスにおいて有用であり得る。粒子および繊維の実施形態は、例えば、複合材料(例えば、セラミック、金属または高分子マトリックス複合材料)中の断熱材、充填材または補強材として有用である。薄コーティングの実施形態は、例えば、熱管理用保護コーティングと同様に、摩耗を伴う用途における保護コーティングとして有用であり得る。本発明に従って製造される物品の例としては、台所用品(例えば、プレート)、歯科用ブラケットおよび補強材(例えば、粒子および繊維)、切削工具インサート、研磨材、ならびにガス機関の構造部品(例えば、バルブおよびベアリング)が挙げられる。他の物品の代表的な実施形態としては、ボディの外部表面または他の基材上にガラスセラミックの保護コーティングを有するものが挙げられる。本発明に従って製造されたある種のガラスセラミック粒子は、研磨粒子として特に有用であり得る。この研磨粒子は研磨物品中に組み入れ可能であり、または遊離形態で使用可能である。
【0011】
使用前、通常、研磨粒子を所定の粒度分布へとグレーディングする。かかる分布は、典型的に、粗大粒子から微細粒子までの粒度範囲を有する。研磨の分野では、この範囲を、「粗大」、「対照」および「微細」フラクションと呼ぶことがある。工業的に容認されたグレーディング規格に従ってグレーディングされた研磨粒子は、数量的限界以内の各公称グレードに対する粒度分布を明示する。かかる工業的に容認されたグレーディング規格(すなわち、規定公称グレード)としては、米国規格協会(American National Standards Institute,Inc.)(ANSI)規格、フェデレーション オブ ヨーロピアン プロデューサーズ オブ アブレーシブ プロダクツ(Federation of European Producers of Abrasive Products)(FEPA)規格、および日本工業規格(JIS)規格として既知のものが挙げられる。一態様において、本発明は、複数の研磨粒子の少なくとも一部が本発明に従って製造された研磨粒子である、規定公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する。いくつかの実施形態において、複数の研磨粒子の総重量を基準として、少なくとも5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%またはさらには100重量%の複数の研磨粒子が、本発明に従って製造された研磨粒子である。
【0012】
もう1つの態様において、本発明は、本発明に従って製造されたガラスセラミックを含んでなる研磨粒子(ガラスセラミック研磨粒子を含む)を提供する。また本発明は、複数の研磨粒子の少なくとも一部が本発明に従って製造された研磨粒子である、規定公称グレードを有する複数の研磨粒子も提供する。もう1つの態様において、本発明は、研磨粒子の少なくとも一部が本発明に従って製造された研磨粒子である、バインダーおよび複数の研磨粒を含んでなる研磨物品(例えば、結合研磨物品、不織研磨物品、または被覆研磨物品)を提供する。
【0013】
本発明による研磨物品はバインダーおよび複数の研磨粒子を含んでなり、ここで、研磨粒子の少なくとも一部が本発明に従って製造された研磨粒子である。代表的な研磨製品としては、被覆研磨物品、結合研磨物品(例えば、ホイール)、不織研磨物品および研磨ブラシが挙げられる。被覆研磨物品は、典型的に、第1および第2の対立主面を有するバッキングを含んでなり、バインダーおよび複数の研磨粒子によって、第1の主面の少なくとも一部上で研磨層が形成される。
【0014】
いくつかの実施形態において、研磨物品中の研磨粒子の総重量を基準として、研磨物品中の少なくとも5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%またはさらには100重量%の研磨粒子が、本発明に従って製造された研磨粒子である。
【0015】
また本発明は、
本発明に従って製造された研磨粒子をワークピースの表面と接触させる工程と、
本発明に従って製造された研磨粒子または接触表面の少なくとも1つを移動させ、本発明に従って製造された研磨粒子の少なくとも1つによって表面の少なくとも一部を研磨する工程と
を含んでなる表面の研磨法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、AlおよびSiOを含んでなるガラスおよびガラスセラミックの製造法であって、高分子SiO供給源または有機金属系SiO供給源の少なくとも1つを利用する方法に関する。所望の組成のための原材料および加工技術を選択することによってガラスを調製する。
【0017】
本発明に従って製造されるガラスおよびガラスセラミックのいくつかの実施形態は、それぞれ互いに垂直であるx次元、y次元およびz次元を有し、そしてx次元、y次元およびz次元のそれぞれは、少なくとも1マイクロメートル、5マイクロメートル、10マイクロメートル、25マイクロメートル(実施形態において、少なくとも30マイクロメートル、35マイクロメートル、40マイクロメートル、45マイクロメートル、50マイクロメートル、75マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、200マイクロメートル、250マイクロメートル、500マイクロメートル、1000マイクロメートル、2000マイクロメートル、2500マイクロメートル、5mmまたはさらには少なくとも10mm)である。
【0018】
市販の供給源を含む(理論酸化物基準で)Alの供給源としては、ボーキサイト(天然由来ボーキサイトおよび合成ボーキサイトの両方を含む)、焼成ボーキサイト、アルミナ水和物(例えば、ベーマイトおよびギブサイト)、アルミニウム、バイヤー法アルミナ(Bayer process alumina)、アルミニウム鉱石、ガンマアルミナ、アルファアルミナ、アルミニウム塩、硝酸アルミニウムおよびそれらの組み合わせが挙げられる。Al供給源は、Alを含有し得るか、またはそれを提供のみし得る。あるいはAl供給源は、Al、ならびにAl以外の1以上の金属酸化物を含有し得るか、またはそれを提供し得る(複合Al・金属酸化物(例えば、DyAl12、YAl12、CeAl1118等)の材料またはそれを含有する材料を含む)。
【0019】
「高分子SiO供給源」は、(例えば、分子あたり、シランおよびシリコーンのような)繰り返しのケイ素含有構造単位を含んでなる化合物を指す。この構造単位は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。高分子SiO供給源としては、ゾルゲルプロセスから誘導されたシリカ材料(すなわち、シリカゲル、またはアルコキシドの縮合生成物)が挙げられる。代表的な市販品として入手可能な高分子SiO供給源としては、シラン、シリカゾルおよびゲル、シリコーンおよびシリコーン油が挙げられる。
【0020】
「有機金属系SiO供給源」は、Si、およびそれに結合した少なくとも1つの有機官能基(例えば、アルコキシ、またはアルキル、アルケニル、アミン、アミドもしくはカルボキシル)を含んでなる化合物を指し、ハロゲンを含んでなるケイ素化合物(例えば、四塩化ケイ素)が挙げられる。代表的な市販品として入手可能な有機金属系SiO供給源としては、ケイ素アルコキシド、酢酸ケイ素、四塩化ケイ素およびシリコタングステン酸が挙げられる。
【0021】
典型的に、得られるガラス中に、少なくとも50重量%(いくつかの実施形態において、少なくとも55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%またはさらには100重量%)のSiOの存在は、高分子および/または有機金属系SiO供給源から誘導される。
【0022】
市販の供給源を含む粒状SiOの供給源としては、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、砂、シリカゾル、シリカゲル、ケイ酸塩鉱物(例えば、タルク)、ケイ酸ナトリウム、鉱石およびケイ素が挙げられる。
【0023】
いくつかの実施形態において、高分子および/または有機金属系SiO供給源は固体の形態(例えば、微粒子またはバルク)であってもよい。固体高分子および/または有機金属系SiO供給源は、液体中で溶解されていても、分散されていても、そして/または反応させてもよい(例えば、水、またはIPA、アセトン等のような有機溶媒)。高分子および/または有機金属系SiO供給源を溶解または分散するための液体は、特定の高分子および/または有機金属系SiO供給源に関して相溶性溶媒である液体である。固体高分子および/または有機金属系SiO供給源を微粒子の形態で使用する場合、いくつかの実施形態において、粒子は、5nm〜50マイクロメートルの範囲(いくつかの実施形態において、10nm〜20マイクロメートル、またはさらには15nm〜1マイクロメートルの範囲)の平均粒度を有し、少なくとも90重量%(いくつかの実施形態において、95重量%またはさらには100重量%)のかかる粒状供給源が、5nm〜50マイクロメートル(または、それぞれ10nm〜20マイクロメートル、もしくは15nm〜1マイクロメートル)の範囲である。
【0024】
市販の供給源を含む希土類酸化物の供給源としては、希土類酸化物粉末、希土類金属、希土類含有鉱石(例えば、バストネサイトおよびモナザイト)、希土類塩、希土類硝酸塩および希土類炭酸塩が挙げられる。希土類酸化物の供給源は、希土類酸化物を含有し得るか、またはそれを提供のみし得る。あるいは希土類酸化物供給源は、希土類酸化物、ならびに希土類酸化物以外の1以上の金属酸化物を含有し得るか、またはそれを提供し得る(複合希土類酸化物・他の金属酸化物(例えば、DyAl12、CeAl1118等)の材料またはそれを含有する材料を含む)。
【0025】
市販の供給源を含む(理論酸化物基準で)Yの供給源としては、酸化イットリウム粉末、イットリウム、イットリウム含有鉱石およびイットリウム塩(例えば、イットリウム炭酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物およびそれらの組み合わせ)が挙げられる。Y供給源は、Yを含有し得るか、またはそれを提供のみし得る。あるいはY供給源は、Y、ならびにY以外の1以上の金属酸化物を含有し得るか、またはそれを提供し得る(複合Y・金属酸化物(例えば、YAl12)の材料またはそれを含有する材料を含む)。
【0026】
市販の供給源を含む(理論酸化物基準で)ZrOの供給源としては、酸化ジルコニウム粉末、ジルコン砂、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱石およびジルコニウム塩(例えば、ジルコニウム炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物およびそれらの組み合わせ)が挙げられる。加えて、あるいは、ZrO供給源は、ZrO、ならびにハフニアのような他の金属酸化物を含有し得るか、またはそれを提供し得る。市販の供給源を含む(理論酸化物基準で)HfOの供給源としては、酸化ハフニウム粉末、ハフニウム、ハフニウム含有鉱石およびハフニウム塩が挙げられる。加えて、あるいは、HfO供給源は、HfO、ならびにZrOのような他の金属酸化物を含有し得るか、またはそれを提供し得る。
【0027】
ZrOおよびHfOを含んでなる実施形態に関して、ZrO:HfOの重量比は、1:0(すなわち、全てZrO:HfOなし)から0:1、ならびに、例えば、少なくとも約99重量部、98重量部、97重量部、96重量部、95重量部、90重量部、85重量部、80重量部、75重量部、70重量部、65重量部、60重量部、55重量部、50重量部、45重量部、40重量部、35重量部、30重量部、25重量部、20重量部、15重量部、10重量部および5重量部のZrOと対応する量のHfO(例えば、少なくとも約99重量部のZrOと、約1重量部以下のHfO)、ならびに少なくとも約99重量部、98重量部、97重量部、96重量部、95重量部、90重量部、85重量部、80重量部、75重量部、70重量部、65重量部、60重量部、55重量部、50重量部、45重量部、40重量部、35重量部、30重量部、25重量部、20重量部、20重量部、15重量部、10重量部および5重量部のHfOと対応する量のZrOの範囲内である。
【0028】
ガラスまたはガラスセラミック中に組み入れてよい、市販の供給源を含む他の金属酸化物(例えば、BaO、CaO、Cr、CuO、CoO、Fe、GeO、HfO、LiO、MgO、MnO、NiO、NaO、Sc、SrO、TiO、ZnO、ZrOおよびそれらの組み合わせ)の供給源としては、それらの酸化物、金属粉末、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物等が挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態において、金属酸化物供給源の少なくとも一部(いくつかの実施形態において、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%またはさらには100重量%)に関して、少なくとも一種の金属(例えば、Al、Ca、Cu、Cr、Fe、Li、Mg、Ni、Ag、Ti、Zrおよびそれらの組み合わせ)、M、酸化物形成の負のエンタルピーを有するもの、またはそれらの合金を含んでなる粒状金属材料を溶融物へと添加すること、あるいはそれらを他の原材料と組み合わせることによって得られることは有利となり得る。理論に拘束されることを望まないが、金属の酸化に関連する発熱反応から得られる熱が、均質な溶融物の形成および得られるガラスにおいて有利であると考えられる。例えば、原材料内での酸化反応によって発生した追加的な熱は、不十分な熱伝達を排除、最小化または少なくとも低下させ、従って、特に、50マイクロメートル(100マイクロメートル以上、またはさらには150マイクロメートル以上)のx次元、y次元およびz次元を有するガラス粒子を形成する場合、溶融物の形成および均質性を促進すると考えられる。また、様々な化学反応および物理プロセス(例えば、高密度化および球状化)を、追加的な熱の能力が完了まで補助すると考えられる。さらに、いくつかの実施形態に関して、酸化反応によって発生した追加的な熱の存在は、実際に、材料の高い融点のため実施が困難か不可能であった溶融物の形成を可能にすると考えられる。さらに、酸化反応によって発生した追加的な熱の存在は、実際に、製造が不可能であるか所望のサイズ範囲で製造が不可能であるガラスの形成を可能にする。ガラスの形成に関する本発明の他の利点としては、溶融、高密度化および球状化のような多くの化学および物理プロセスを短時間で達成可能であり、それによって非常に迅速な冷却速度が達成され得るということが挙げられる。追加的な詳細に関しては、2002年8月2日に出願された米国特許出願第10/211,639号明細書を有する同時係属出願を参照のこと。
【0030】
一般的に、金属酸化物供給源を火炎中に供給して、溶融物、望ましくは均質の溶融物を形成し、次いで溶融物を迅速に冷却してガラスを提供する。
【0031】
望ましく、かかる種類の原材料を組み合わせて、実質的に均質な混合物を提供するための既知の技術を使用することができる。あるいは、または加えて、既知の技術を使用して粒状原材料の粒度を低下させることができる。原材料を組み合わせるため、そして粒状材料の粒度を低下させるためのかかる技術の例としては、ボールミル粉砕、混練、タンブリング等が挙げられる。ボールミル中のミル粉砕媒体は、金属ボール、セラミックボール等であってよい。セラミックミル粉砕媒体は、例えば、アルミナ、ジルコニア、シリカ、マグネシア等であってよい。ボールミル粉砕を、乾燥、水性環境、または溶媒ベース(例えば、イソプロピルアルコール)環境で行ってよい。原材料バッチが金属粉末および/または有機金属系供給源を含有する場合、一般的にミル粉砕の間、溶媒を使用することが望ましい。この溶媒は、適切なフラッシュ点および原材料の分散または溶解能力を有するいずれかの適切な材料であってよい。ミル粉砕時間は数分から数日であってよいが、一般的に、数時間から24時間であってよい。有機金属系(例えば、ケイ素アルコキシドまたは四塩化ケイ素)金属酸化物供給源を使用する場合、有機金属系供給源を酸化物前駆体へと部分的に加水分解することが望ましい。かかる加水分解は、例えば、ミル粉砕、乾燥の間またはさらには溶融物の火炎もしくはプラズマ形成間の水分または湿分への制御された暴露によって生じ得る。湿式または溶媒ベースミル粉砕系において、得られた混合物が典型的に均質であって、実質的に水および/または溶媒を含まないように、典型的に乾燥することによって液体媒体を除去する。溶媒ベースミル粉砕系の場合、乾燥間、溶媒回収系を利用して溶媒を再利用してもよい。乾燥後、得られた混合物は、「乾燥ケーキ」の形態であり得る。次いで、このケーキ様混合物を崩すか、または粉砕して、溶融前に所望の粒度にする。あるいは、例えば、スプレー乾燥技術を使用してもよい。後者は、典型的に、所望の酸化物混合物の球状微粒子を提供する。沈殿法およびゾルゲル法を含む湿式化学法によって、前駆体材料を調製してもよい。極めて高レベルの均質性が望ましい場合、かかる方法は有利である。
【0032】
本発明による方法のいくつかの実施形態において、有機金属系および/または高分子SiO供給源は、供給粒子のバインダーとして作用し得る。かかる場合、高分子または有機金属系SiO供給源は、供給粒子の機械的完全性を改善し得る。かかるSiO供給源の量は、例えば、得られるガラスまたはガラスセラミックの粒度および/または表面積、ならびに例えば所望の強度および/または化学組成次第である。いくつかの実施形態において、かかるSiO供給源は、0.5重量%〜5重量%、0.5重量%〜1.5重量%、またはさらには0.5重量%〜1重量%の範囲であってよい。
【0033】
有機金属系または高分子SiOを部分的に加水分解すること、または部分的に熱分解することも本発明の範囲内である。
【0034】
典型的に、均質な溶融物の形成を迅速に達成可能である粒度を有するように粒状原材料を選択する。典型的に、この目的のため、相対的に小さい平均粒度および狭い分布を有する原材料を使用する。粒状原材料に関して、ある範囲の粒度で提供されることが望ましい。理論に拘束されることを望まないが、これによって、供給粒子の充填密度および強度が最大化されると考えられる。原材料粉末が粗大すぎる場合、供給および得られる溶融粒子は望ましい組成または均質性を有さない。一般的に、最大粗大原材料粒子は、所望の溶融またはガラス粒度よりも小さい。さらに、粗大すぎる原材料粒子は、例えば火炎形成またはプラズマスプレー工程間に、供給粒子に熱的および機械的応力を生じる傾向がある。かかる場合の最終的な結果は、一般的に、より小さいフラグメントへの供給粒子の破壊、組成上の均質性の損失、所望のガラス粒度の損失、またはフラグメントが一般的に、熱源の外側の複数の方向へそれらの経路を変更した時の不完全な溶融である。さらに、原材料粉末が小さすぎる場合、それらは取扱いが困難でコストがかかる傾向がある。
【0035】
火炎またはプラズマ中に供給される供給粒子(粒状原材料から構成されたもの)は、典型的に、250マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、150マイクロメートル未満またはさらには100マイクロメートル未満の粒度を有する。粒状SiO供給源を利用する実施形態において、典型的に、5nm〜50マイクロメートルの範囲(いくつかの実施形態において、10nm〜20マイクロメートル、またはさらには15nm〜1マイクロメートルの範囲)の平均粒度を有するが、少なくとも90重量%(いくつかの実施形態において、95重量%またはさらには100重量%)の粒状SiO供給源は、5nm〜50マイクロメートル(または、それぞれ、10nm〜20マイクロメートル、または15nm〜1マイクロメートル)の範囲である。
【0036】
ガラスは、典型的に、溶融された原料(すなわち、溶融物)を相対的に迅速に冷却することによって得られる。ガラスを得るためのクエンチ速度(すなわち、冷却時間)は、溶融物の化学組成、成分のガラス形成能力、溶融物および得られるガラスの熱特性、加工技術、得られるガラスの寸法および質量、ならびに冷却技術を含む多くの因子次第である。一般的に、特に、SiO、B、P、GeO、TeO、AsおよびVのような既知のガラス形成因子の不在下では、多量のAl(すなわち、75重量%より多いAl)を含むガラスを形成するために、相対的に高いクエンチ速度が必要とされる。同様に、より寸法の長いガラスへと溶融物を冷却することは、熱を十分迅速に除去することが困難であるため、より困難である。
【0037】
本発明の方法によるガラスの製造において達成されるクエンチ速度は、10℃/秒、10℃/秒、10℃/秒またはさらには10℃/秒より高いと考えられる(すなわち、それぞれ、1秒未満、十分の1秒未満、百分の1秒未満、またはさらには千分の1秒未満で溶融状態から1000℃の温度降下)。溶融物を冷却するための技術としては、冷却媒体(例えば、高速空気ジェット、液体(例えば、冷水)、金属プレート(冷却金属プレートを含む)、金属ロール(冷却金属ロールを含む)、金属ボール(冷却金属ボールを含む)等)中への溶融物の注入が挙げられる。当該分野で既知の他の冷却技術としては、ロール冷却が挙げられる。例えば、融点よりも典型的に20℃〜200℃高い温度で金属酸化物供給源を溶融し、そして高速回転ロール上に(例えば、空気、アルゴン、窒素等のような気体を使用して)高圧下で溶融物をスプレーすることによって冷却/クエンチングして、ロール冷却を実行することができる。典型的に、ロールは金属製であって水冷される。溶融物を冷却/クエンチングするために、金属ブック型も有用である。
【0038】
冷却速度は、クエンチングされたガラスの特性に影響を及ぼすと考えられる。例えば、ガラスのガラス転移温度、密度および他の特性は、典型的に冷却速度によって変化する。
【0039】
例えば冷却間に、所望の酸化状態等を維持および/または影響するために、還元、中性または酸化環境のような制御された雰囲気下で迅速な冷却を実行してもよい。この雰囲気は、過冷却液から結晶化動力学に影響を及ぼすことによって、ガラス形成にも影響を及ぼし得る。例えば、空気中と比較して、アルゴン雰囲気中での結晶化のないAl溶融物のより大きい過冷却が報告されている。
【0040】
火炎を使用する溶融物の形成技術の1つにおいて、金属酸化物供給源(例えば、粒子の形態、これは「供給粒子」とも称される)をバーナー(例えば、メタン−空気バーナー、アセチレン−酸素バーナー、水素−酸素バーナー等)中に直接的に供給し、次いで、例えば、水、冷却オイル、空気等の中でクエンチングする。例えば、金属酸化物供給源の研削、凝集(例えば、スプレー乾燥)、溶融または焼結によって供給粒子を形成することができる。火炎を使用する溶融物形成に関する追加的な詳細は、例えば、米国特許第6,254,981号明細書(キャッスル(Castle))に見出され得る。
【0041】
当該分野で既知のものの多くを含む、いずれもの様々なプラズマスプレー技術も適切である。代表的なプラズマスプレー装置を図4に図示する。ここで、プラズマスプレー装置400は、一般的にプラズマスプレーガン401を含み、ジェット軸417に対して実質的に対称的なプラズマガスジェット416を発生するように適応されている。プラズマガスジェット416は、金属酸化物小滴407を含有する。
【0042】
プラズマスプレーガン401は、その中に位置するノズル402を有するハウジング403を含む。ノズル402は、送達方向418にプラズマジェットガス416を導き、焦点を合わせるために適応されたノズル孔径405を形成する。プラズマガスジェット416を発生するために、プラズマスプレーガン401は様々な電極を含む。例えば、図示された図4の実施形態において、第1の電極404はノズル402への入口の近位に位置し、そしてカソードとして配置される(例えば、電源の負端子(図示せず)へと接続される)。ノズル402はそれ自体で、アノードとして配置される第2の電極402’を形成し得る(例えば、電源の正端子へと接続される)。第1および第2の電極404および402’を形成するために使用される実際の材料は変更されてもよいが、プラズマスプレーガン401の1つの代表的な実施形態は、タングステンまたはタングステン合金製の第1の電極404と、銅または銅合金製の第2の電極402’(ノズル402)を利用する。
【0043】
当業者は、この電極配置が単に代表的なものであり、他の電極配置も確かに可能であることを認識するであろう。例えば、第1および第2の電極の極性および/または材料は上記のものと異なってもよい。あるいは、例えば、第2の電極402’は、ノズル402から独立していてもよい。実際に、容認できるプラズマスプレーを発生する電極配置のほとんどいずれも、本発明の範囲から逸脱することなく可能である。
【0044】
ハウジング403のガスチャンバー412中へアークガス410を導入するために、アークガスインレット414が提供されてよい。アーク形成に補足的なほとんどいずれのガスも潜在的に適切であるが、好ましいアークガスとしては、アルゴン、ヘリウム、水素、窒素およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
ハウジング403中に1以上のキャリア導管420を形成してもよい。以下にさらに記載される通り、キャリア導管420は、プラズマガスジェット416へと粒子430を送達し得る。キャリア導管420の実際の幾何学は変更可能であるが、それらは一実施形態において、ノズル孔径405を交差して穿孔された孔によって形成される。図示された実施形態において、各キャリア導管420は、孔径405の最小直径で、またはその最も近くで孔径405を交差する。
【0046】
1以上のキャリア導管420は、それぞれ好ましくは、導管軸422に対して対称的である。各導管軸422は、75°以下の角度424でジェット軸417を交差してよい。ここで、1以上のキャリア導管420が、送達方向418においてジェット軸417から分岐するか延在している。いくつかの実施形態において、角度424は好ましくは45°〜75°、そしてより好ましくは60°〜75°である。
【0047】
キャリア導管420の他の配置も、本発明の範囲から逸脱することなく可能である。例えば、導管420は他の形状(例えば、非線形)を有してもよく、またはそれらはその中心線から相殺された点で孔径405を穿孔してもよい。それらが、粒子送達ベクトル426に沿って導管420内で粒子をプラズマガスジェット416へと導く操作が可能であり、粒子送達ベクトル426が、75°以下の角度424でジェット軸417を交差し、そして粒子送達ベクトル426が、送達方向418と実質的に反対である方向を有するベクトル構成要素426’を含んでなる場合、これらおよび他の導管配置は確かに可能である。再び、いくつかの実施形態において、角度424は好ましくは45°〜75°、そしてより好ましくは60°〜75°である。
【0048】
本明細書で「交差」という用語が使用されるが、当業者は、導管軸422は必ずしもジェット軸417と共平面ではなくてよい(例えば、一方が他方に対して歪んでいてもよい)ことを認識するであろう。これらの例において、「交差」とは、交差の共通点まで軸が軸に平行に移動された時の2軸間の角度424を示す。
【0049】
プラズマガスジェット401について詳細に説明したことによって、本発明の代表的な実施形態に従う同一の操作が説明される。
【0050】
上記の通り、アークガス410をチャンバー412中に導入して、ノズル402の孔径405の収束によって促進してよい。第1の電極404および第2の電極402’を電源のそれぞれの端末へと接続した場合、第1の電極404とノズル402との間で電場が生じる。得られるプラズマガスジェット416は、送達方向418でジェット軸417に沿ってハウジング403を出る。ここで、ジェット軸417は、ノズル402の軸406に対して実質的に平行で同軸である。ハウジング403の温度を所望のレベルに維持するために、図4中で矢印408によって表される冷却系を作動させてよい。
【0051】
小滴407の所望のスプレーを発生するため、キャリア導管420を通して粒子430をプラズマガスジェット416へと送達する。一実施形態において、ノズル孔径405に向かってキャリア導管420中を移動するキャリアガスに粒子430を同伴させる。窒素が好ましいが、他のキャリアガスを使用してもよい。金属酸化物粒子430がプラズマガスジェット416に達した時、少なくとも一部は少なくとも部分的に液化されて所望の小滴407を形成する。次いで小滴407を冷却し、そして基材上に沈着させるか、他の方法で回収してよい。
【0052】
本明細書に示されて説明される通りにキャリア導管420を配向することによって、粒子430のプラズマガスジェット416内における滞留時間の増加が達成される。より長くなった滞留時間によって、現存する装置および方法によって製造される小滴と比較して、より粗大な小滴407の製造が可能となる。
【0053】
さらに、プラズマの発生および原材料(典型的に、供給粒子の形態)の溶融に関して、様々なDC、AC、RFプラズマプロセス系を使用可能である。本発明に関して有用な適切なプラズマ系は、典型的に約40kWの電力を有するが、例えば、製造要求次第で、より小さい、またはより大きい系も有用である。
【0054】
プラズマ発生のためのガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素、水素およびそれらの混合物のような当該分野で既知のものが挙げられる。最も一般的には、プラズマガスとしてアルゴンガスが使用されるが、エンタルピー(すなわち、プラズマの熱含量)を増加させるために、ヘリウム、水素または窒素の1以上を添加してもよい。
【0055】
一般的に、キャリアガスによって、プラズマ中に原材料(典型的に、供給粒子の形態)を導入する。原材料をプラズマガスジェットへと送達するためのガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素およびそれらの混合物が挙げられる。キャリアガスはプラズマガス(すなわち、アルゴン)と同一であっても、またはプラズマのエネルギーを調節するための第2または第3のガスを提供してもよい。より大きいプラズマジェット径は、例えば、プラズマジェット中の原材料の滞留時間を増加させる傾向があり、従って原材料への所望の熱伝達が高められて、その次に、より完全で均質な溶融物の形成が導かれ、より高密度高強度のプラズマスプレー材料となる傾向があるため、有利である。例えば、粒状の形態で、または供給スティックとして、例えば、プラズマジェットの軸に沿ってプラズマ中に供給物を導入することも可能である(供給スティックの場合、供給材料はロッドの形状に形成されており、ロッドの先端が溶融して小滴となった時にプラズマ中にゆっくり供給され、この小滴は次いでプラズマジェットによってスプレーされる)。
【0056】
いくつかの実施形態において、ガンのちょうど外側で原材料をプラズマ中に導入することが可能である。理論に拘束されることを望まないが、プラズマガンのアノードに機械加工されたオリフィスを通してプラズマ中に原材料を供給することによって、プラズマ中での粒子の滞留時間または相互作用が望ましく増加されると考えられる。もう1つの態様において、いくつかの場合、理論に拘束されることを望まないが、ある角度(例えば、少なくとも10°、20°または30°等)でガンの前部または後部に向けてオリフィスを配向することによって、プラズマ中での原材料の滞留時間または相互作用を望ましく変更(例えば、増加)することができると考えられる。
【0057】
本発明のもう1つの態様において、空気中で、ガスブランケット中で、高圧または低圧で、さらには真空下でプラズマプロセスを実行することができる。
【0058】
プラズマからの溶融物は、典型的に、基材上または液体(例えば、水)中にスプレーされるが、液体は基材上にあってもよい。基材または液体は、溶融物の冷却を補助する。いくつかの場合、コーティングを基材上に提供することが望ましい。他の場合では、基材は単に、その後、基材から除去される材料を冷却および回収するために機能してよい(例えば、バルク材料が提供される)。プラズマからの熱に耐性を示すために十分な完全性を有するように基材を選択することが理解される。一般的な基材材料は金属およびセラミックである。プラズマスプレー溶融物を冷却するために液体を使用することに関して、典型的に、微粒子、最も一般的に球状またはビーズ状の形態の微粒子(例えば、いくつかの実施形態において、約1マイクロメートル〜少なくとも150マイクロメートルの範囲の直径を有するもの)が得られる。
【0059】
プラズマスプレーに関する追加的な詳細については、例えば、2002年8月2日出願の米国特許出願第10/211,640号明細書を有する同時係属出願を参照のこと。
【0060】
典型的に、本発明に従って製造されたガラスおよびガラスセラミックは、それぞれ互いに垂直であるx次元、y次元およびz次元を有し、そしてx次元、y次元およびz次元のそれぞれは、少なくとも10マイクロメートルである。いくつかの実施形態において、x次元、y次元およびz次元は、融合された場合、少なくとも30マイクロメートル、35マイクロメートル、40マイクロメートル、45マイクロメートル、50マイクロメートル、75マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、200マイクロメートル、250マイクロメートル、500マイクロメートル、1000マイクロメートル、2000マイクロメートル、2500マイクロメートル、5mmまたはさらには少なくとも10mmである。大きさ次第で、視覚によって、または顕微鏡を使用して、材料のx次元、y次元およびz次元を決定する。報告されるz次元は、例えば、球体の直径、コーティングの厚さ、またはプリズム形状の最小寸法である。
【0061】
ある種の金属酸化物を添加することによって、セラミック製造時の原材料および中間体のプロセスと同様に、本発明に従って製造されたセラミックの特性および/または結晶質構造もしくはミクロ構造を変更することができる。例えば、CaO、LiO、MgOおよびNaOのような酸化物の添加によって、ガラスのTおよびT(ここで、Tは結晶化温度である)の両方が変更されることが観察されている。理論に拘束されることを望まないが、かかる添加はガラス形成に影響を及ぼすと考えられる。さらに、例えば、かかる酸化物の添加によって、全体系の融点が低下し(すなわち、系が低融点共晶系へとなる)、そしてガラス形成が容易になり得る。多成分系(4成分等)における複合共晶系によって、より良好なガラス形成能力が生じ得る。その作動範囲における液体溶融物の粘度およびガラスの粘度は、特に要求される酸化物の他の金属酸化物の添加によっても影響され得る。
【0062】
ガラスセラミックを形成するためのガラスの結晶化は、材料の添加によっても影響され得る。例えば、ある種の材料、金属酸化物(例えば、チタネートおよびジルコネート)ならびにフッ化物は核形成剤として作用し、結晶の有利な不均質核形成を生じ得る。また、いくつかの酸化物の添加によって、再加熱時にガラスから失透する準安定相の性質も変更され得る。もう1つの態様において、結晶質ZrOを含んでなる、本発明に従って製造されるセラミックに関して、正方晶/立方晶形のZrOを安定化することで既知である金属酸化物(例えば、Y、TiO、CeO、CaOおよびMgO)を添加することが望ましい。
【0063】
本明細書に記載のガラスおよびガラスセラミックの製造のための金属酸化物供給源および他の添加剤の具体的な選択については、典型的に、例えば、所望の組成、ミクロ構造、結晶化度、物理特性(例えば、硬度および強度)、望ましくない不純物の存在、ならびにセラミックを調製するために使用される特定のプロセスの所望の、または必要な特徴(装置、ならびに溶融および/または凝固の前および/または間の原材料のいずれの精製を含む)を配慮する。
【0064】
いくつかの例において、B、NaO、P、SiO、TeO、Vおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択される金属酸化物の限定量を組み入れることが好ましい。市販の供給源を含む供給源としては、それらの酸化物、複合酸化物、元素(例えば、Si)粉末、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物等が挙げられる。これらの金属酸化物を、例えば、得られるガラスセラミックの物理特性を調節するため、および/またはプロセスを改善するために添加してよい。使用する場合、これらの金属酸化物は、例えば所望の特性次第で、典型的に、合わせてガラスセラミックの0重量%より多く〜20重量%(いくつかの実施形態において、合わせて0重量%より多く〜10重量%(いくつかの実施形態において、0重量%より多く〜5重量%)、またはさらには合わせて0重量%より多く〜2重量%)で添加される。
【0065】
材料のミクロ構造または相の組成(ガラス質/結晶質)を様々な方法で決定することができる。例えば、光学顕微鏡、電子顕微鏡、示差熱分析(DTA)およびX線回折(XRD)を使用して様々な情報を得ることができる。
【0066】
光学顕微鏡を使用すると、非晶質材料は典型的に、結晶境界のような光散乱中心の不足のため主に透明であるが、結晶質材料は結晶質構造を示し、光散乱効果のため不透明である。
【0067】
−100+120メッシュサイズフラクション(すなわち、150−マイクロメートル開口径と125−マイクロメートル開口径スクリーン間で回収されたフラクション)を使用して、粒子(例えば、ビーズ)等に対する%非晶質(またはガラス)収率を算出することができる。以下の様式で測定を実行する。単層の粒子、ビーズ等をガラススライド上に広げる。光学顕微鏡を使用して、粒子、ビーズ等を観察する。ガイドとして光学顕微鏡の眼レンズ中の十字線を使用して、非晶質または結晶質のいずれかについて、それらの光学透明度次第で、直線に沿って配置された粒子、ビーズ等の数を数える。典型的に、総数500の粒子、ビーズ等を数えるが、より少ない粒子、ビーズ等が使用されてもよく、そして非晶質粒子、ビーズ等の量を、数えられた粒子、ビーズ等の総量によって除算することによって%非晶質収率を決定する。本発明の方法の実施形態は、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはさらには100%の%非晶質(またはガラス)収率を有する。
【0068】
全ての粒子が非晶質(またはガラス)であることが望ましく、そして得られる収率が100%未満である場合、非晶質(またはガラス)粒子は、非晶質ではない(または非ガラス)粒子から分離され得る。例えば、密度または光学透明度を基準として分離を含む従来の技術のいずれかによって、かかる分離を実行してよい。
【0069】
DTAを使用して、材料の対応するDTAトレースが発熱性の結晶化事象(T)を含む場合、材料は非晶質として分類される。同一トレースが、Tより低温で吸熱性の事象(T)も含む場合、これはガラス相よりなると考えられる。材料のDTAトレースがかかる事象を含まない場合、これは結晶質相を含むと考えられる。
【0070】
以下の手順を使用して、示差熱分析(DTA)を実行することができる。(ドイツ、セルボのネッシュ インストルメンツ(Netzsch Instruments,Selb,Germany)から商品名「ネッシュ(NETZSCH)STA 409 DTA/TGA」で得られるもののような機器を使用して、)−140+170メッシュサイズフラクション(すなわち、105−マイクロメートル開口径と90−マイクロメートル開口径スクリーン間で回収されたフラクション)を使用して、DTAを実行することができる。ある量の各スクリーン試料(典型的に約400ミリグラム(mg))を100−マイクロリットルAl試料ホルダー中に入れる。各試料を静大気中で、10℃/分の速度で室温(約25℃)から1100℃まで加熱する。
【0071】
粉末X線回折、XRDを使用して(1.54050オングストロームの銅Kα1放射線による、ニュージャージー州マーワーのフィリップス(Phillips,Mahwah,NJ)から商品名「フィリップス(PHILLIPS)XRG 3100」で得られるもののようなX線回折計を使用して)、国際回折データセンター(International Center for Diffraction Data)によって発行されたJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)データベース中に提供される結晶質相のXRDパターンと、結晶化材料のXRDトレース中に存在するピークを比較することによって、材料中の相の存在を決定することができる。さらに、XRDを定性的に使用して、相の種類を決定することができる。広幅の拡散強度ピークの存在は、材料の非晶質の性質を示すものと考えられる。広幅ピークおよび良好に画定されたピークの両方が存在する場合、ガラスマトリックス内に結晶質の物質が存在することを示すと考えられる。
【0072】
初期に形成されたガラスは、所望よりも大きいサイズであり得る。ガラスが所望の幾何学形状および/またはサイズである場合、サイズの減少は典型的に必要とされない。ロール粉砕、ジョー粉砕、ハンマーミル粉砕、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、衝撃粉砕等を含む当該分野で既知の粉砕および/または細片化技術を使用して、ガラスまたはガラスセラミックをより小さい断片へと変換することができる。いくつかの例において、2または複数の粉砕工程を有することが望ましい。例えば、セラミックを形成(凝固)した後、所望よりも大きい形態であり得る。第1の粉砕工程は、これらの相対的に大きい集団または「塊」を粉砕して、より小さい断片を形成する工程を含んでよい。これらの塊の粉砕は、ハンマーミル粉砕機、衝撃粉砕機またはジョー粉砕機によって達成され得る。次いで、これらのより小さい断片を粉砕することによって、所望の粒度分布を生じ得る。所望の粒度分布(グリットサイズまたはグレードと呼ばれることもある)を生じるために、複数の粉砕工程を実行する必要がある。一般的に、粉砕条件は、所望の粒子形状および粒度分布を達成するために最適化される。所望の粒度ではない粒子が得られた場合、大きすぎる場合は再粉砕し、また小さすぎる場合は「再生利用」して、再溶融のための原材料として使用してよい。
【0073】
粒子の形状は、例えば、セラミックの組成および/またはミクロ構造、冷却される幾何学、ならびにセラミックが粉砕される様式(すなわち、使用された粉砕技術)次第であり得る。一般的に、「ブロック状(blocky)」形状が好ましい場合、この形状を達成するためにはより多くのエネルギーが利用され得る。逆に、「鋭い」形状が好ましい場合は、この形状を達成するためにより少ないエネルギーが利用され得る。様々な所望の形状を達成するために、粉砕技術を変更してもよい。いくつかの粒子に関して、1:1〜5:1の範囲の平均縦横比が典型的に望ましく、そしていくつかの実施形態において、1.25:1〜3:1またはさらには1.5:1〜2.5:1である。
【0074】
例えば、所望の形状の物品を直接形成することも本発明の範囲内である。例えば、型に溶融物を鋳込み、または形成することによって、所望の物品を形成(成型を含む)してもよい。また例えば、2003年2月5日出願の米国特許出願第10/358,772号明細書を有する特許出願に記載の形成技術を参照のこと。
【0075】
本発明に従って製造されるセラミックの実施形態は、寸法に関して限定されることなく入手可能である。これは、ガラス転移温度より高い温度で実行される融合工程によって可能であることが見出された。本質的に、この融合工程によって、2以上のより小さい粒子から、より大きいサイズのボディが形成される。例えば、図5から明らかであるように、本発明に従って製造されたガラスでは、発熱線(T)より低温の吸熱(T)の存在によって明らかであるように、著しい結晶化が生じる(T)前にガラス転移(T)が生じる。例えば、粒子等が融合して形状品を形成するように、ガラスを含んでなる粒子および/または繊維等をTより高い温度まで加熱して、融合された形状品を冷却することによって、セラミック(結晶化前のガラスを含む)を提供することができる。融合のために使用される温度および圧力は、例えば、ガラスの組成、および得られる材料の所望の密度次第であってよい。温度はガラス転移温度より高いべきである。ある種の実施形態において、約850℃〜約1100℃(いくつかの実施形態において、900℃〜1000℃)の範囲の少なくとも1つの温度で加熱を実行する。典型的に、ガラスの融合を補助するために、融合間、ガラスを圧力下(例えば、0GPaより高く〜1GPa以上)に置く。一実施形態において、粒子等の充填物をダイ中に配置し、ガラス転移より高い温度で高温圧縮を実行することによって、ガラスの粘性流動が相対的に大部分中への融合へと導かれる。典型的な融合技術の例としては、高温圧縮、高温静水圧圧縮、高温押出、熱間鍛造等(例えば、焼結、プラズマ補助焼結)が挙げられる。例えば、ガラス(例えば、粉砕によって得られるもの)を含んでなる粒子(ビーズおよびミクロスフィアを含む)、繊維等から、より大きい粒度へと形成することができる。融合によって、所望の形態(例えば、幾何学形状)へと成形されたボディも得られる。いくつかの実施形態において、成形ボディは、1:1より大きい、またはさらには2:1より大きい縦横比を有するロッドである。典型的に、得られた融合ボディを、さらなる熱処理の前に冷却することが一般的に望ましい。熱処理後、所望であれば、より小さい粒度または所望の粒度分布まで融合ボディを粉砕してもよい。
【0076】
一般的に、ガラスセラミックを提供するためのガラスの熱処理に関する分野で既知のものを含む、いずれかの様々な様式で熱処理を実行することができる。例えばバッチ中で、例えば抵抗、誘導またはガス加熱炉を使用して、熱処理を実行することができる。あるいは、例えば連続的に、例えばロータリーキルン、流動炉または振子キルンを使用して、熱処理(またはその一部)を実行することができる。ロータリーキルンまたは振子キルンの場合、材料は典型的に、高温で操作されるキルン中に直接的に供給される。流動炉の場合、熱処理されるガラスを典型的に、ガス(例えば、空気、不活性ガスまたは還元ガス)中に浮遊させる。高温での時間は、数秒(いくつかの実施形態において、5秒未満)から数分、数時間までの範囲であってよい。温度は典型的に、ガラスのTから1600℃、より典型的に900℃〜1600℃、そしていくつかの実施形態において、1200℃〜1500℃の範囲である。複数の工程でいくつかの熱処理を実行することも本発明の範囲内である(例えば、1つは核形成のため、そしてもう1つは結晶成長のため、ここでは結晶成長工程間に高密度化も典型的に実行される)。複数工程の熱処理を実行する場合、核形成および結晶成長速度の片方または両方を制御することが典型的に望ましい。一般的に、ほとんどのセラミック加工操作間、著しい結晶成長がない最大高密度化を得ることが望ましい。理論に拘束されることは望まないが、一般的に、セラミック分野において、より大きい結晶サイズによって機械特性の低下が導かれ、より微細な平均結晶子サイズによって機械特性の改善(例えば、より高い強度およびより高い硬度)が導かれると考えられる。特に、理論密度の少なくとも90%、95%、97%、98%、99%またはさらには少なくとも100%の密度を有するセラミックを形成することが非常に望ましい。ここでは、平均結晶サイズは、0.15マイクロメートル未満またはさらには0.1マイクロメートル未満である。
【0077】
本発明の実施形態において、ガラスまたはガラスを含んでなるセラミックを熱処理の前にアニーリングしてもよい。かかる場合、アニーリングは、典型的にガラスのT未満の温度で、数秒から数時間またはさらには数日の時間で実行される。典型的に、3時間未満またはさらには1時間未満の期間でアニーリングを実行する。任意に、空気以外の雰囲気中でアニーリングを実行してもよい。さらには、熱処理の様々な段階(すなわち、核形成工程および結晶成長工程)を様々な雰囲気下で実行してもよい。本発明によるガラスのTおよびTならびにT−Tは、熱処理間に使用される雰囲気次第でシフトし得ると考えられる。
【0078】
当業者は、当該分野で既知の技術を使用するガラスの時間−温度−転換(Time−Temperature−Transformation)(TTT)の研究から適切な条件を決定することができる。当業者は、本発明の開示を読んだ後、本発明によるガラスセラミックの製造のために使用されるガラスのTTT曲線を提供し、本発明によるガラスセラミックを提供するために適切な核形成および/または結晶成長条件を決定するだろう。
【0079】
例えば、高温で材料を直接的に炉に供給することによって熱処理を実行し得る。あるいは、例えば、より低温(例えば、室温)で材料を炉に供給し、次いで予め決められた加熱速度で所望の温度まで加熱してもよい。空気以外の雰囲気で熱処理を実行することは、本発明の範囲内である。いくつかの場合、還元雰囲気で熱処理を行なうことが望ましい。また例えば、高温静水圧圧縮で、またはガス圧炉でのようなガス圧下で熱処理を行なうことが望ましい。理論に拘束されることを望まないが、雰囲気によって、ガラスおよびガラスセラミックのいくつかの成分の酸化状態は影響を受け得ると考えられる。酸化状態におけるかかる変更によって、ガラスおよびガラスセラミックの彩色の変更がもたらされ得る。加えて、雰囲気によって核形成および結晶化工程は影響され得る(例えば、雰囲気はいくつかの種類のガラスの原子可動性に影響し得る)。
【0080】
材料の所望の特性をさらに改善するために、追加的な熱処理を実行することも本発明の範囲内である。例えば、残留性を改善して材料の密度を増加させるために、(例えば、約900℃〜約1400℃の温度で)高温静水圧圧縮を実行してもよい。
【0081】
得られる物品または熱処理された物品を変換(例えば、粉砕)して、粒子(例えば、本発明による研磨粒子)を提供することは、本発明の範囲内である。
【0082】
典型的に、ガラスセラミックは、それらが形成されるガラスより強い。従って、ガラスが結晶質セラミック相へと変換される度合いによって材料の強度を調節することができる。あるいは、または加えて、材料の強度は、例えば、生じる核形成部位によっても影響され得る。核形成部位は、次に、結晶質相の結晶の数およびサイズに影響を及ぼすように使用され得る。ガラスセラミックの形成に関する追加的な詳細に関しては、例えば、ガラス−セラミックス(Glass−Ceramics),P.W.マクミラン(P.W.McMillan),アカデミック プレス インコーポレイテッド(Academic Press,Inc.),第2版,1979を参照のこと。
【0083】
多くの他の種類のセラミック加工(例えば、高密度な焼結セラミック材料へと焼成された材料の焼結)と比較して、ガラスセラミックを形成するためのガラスの結晶化間で、相対的に収縮が少ない(典型的に、30容積%未満;いくつかの実施形態において、20容積%未満、10容積%未満、5容積%未満またはさらには3容積%未満)。収縮の実際の量は、例えば、ガラスの組成、熱処理時間、熱処理温度、熱処理圧力、結晶化されるガラスの密度、形成された結晶質相の相対量および結晶化度次第である。ディラトメトリー、アルキメデス(Archimedes)法、または熱処理前後の材料の寸法を測定することを含む当該分野で既知の従来技術によって収縮量を測定することができる。いくつかの場合、熱処理間に揮発性種のいくらかの発生があってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態において、相対的に低い収縮の特徴は、特に有利となり得る。例えば、ガラス相中で所望の形状および寸法(すなわち、ニアネット形状)へと物品が形成されてよく、続いて熱処理によって、ガラスが少なくとも部分的に結晶化される。結果として、結晶化された材料の製造および機械加工に関連する実質的なコスト節約は実現可能である。
【0085】
いくつかの実施形態において、ガラスは、それぞれが少なくとも1cm(いくつかの実施形態において、少なくとも5cmまたはさらには少なくとも10cm)の長さを有するx次元、y次元、z次元を有し、ガラスは容積を有し、ここで、得られるガラスセラミックは、それぞれが少なくとも1cm(いくつかの実施形態において、少なくとも5cmまたはさらには少なくとも10cm)の長さを有するx次元、y次元、z次元を有し、ガラスセラミックは、ガラス容積の少なくとも70容積%(いくつかの実施形態において、少なくとも75容積%、80容積%、85容積%、90容積%、95容積%、96容積%またはさらには少なくとも97容積%)を有する。
【0086】
例えば、ガラスセラミック製造のためのいくつかの代表的なガラスの熱処理の間、LaZrおよび/または立方晶/正方晶ZrO、いくつかの場合、単斜晶ZrOのような相の形成は約900℃より高い温度で発生し得る。理論に拘束されることを望まないが、ジルコニア関連相はガラスから核形成する第1の相であると考えられる。Al、ReAlO(式中、Reは少なくとも1種の希土類カチオンである)、ReAl1118、ReAl12、YAl12等の相の形成は、一般的に、約925℃より高い温度で発生すると考えられる。典型的に、この核形成工程間の結晶子サイズはナノメートルの桁である。例えば、10ナノメートル〜15ナノメートル程度の小ささの結晶が観察される。少なくともいくつかの実施形態に関して、約1時間、約1300℃での熱処理によって完全な結晶化がもたらされる。一般的に、核形成および結晶成長工程のそれぞれに関する熱処理時間は、数秒(いくつかの実施形態において、5秒未満)〜数分〜数時間またはそれ以上の範囲であってよい。
【0087】
ASTM標準E112−96「平均粒度決定のための標準試験法(Standard Test Methods for Determining Average Grain Size)」による線インターセプト法によって、平均結晶サイズを決定することができる。典型的に直径約2.5cmおよび高さ約1.9cmの樹脂のシリンダー中の取り付け樹脂(例えば、イリノイ州レークブラフのブエーラー(Buehler,Lake Bluff,IL)から商品名「トランスオプティック パウダー(TRANSOPTIC POWDER)」で入手されるもの)に試料を取り付ける。ポリッシャー(例えば、イリノイ州レークブラフのブエーラー(Buehler,Lake Bluff,IL)から商品名「エコメット3(ECOMET3)」で入手されるもの)を使用して従来の研磨技術を使用して、取り付け部分を調製する。125−マイクロメートルダイヤモンドを含有するダイヤモンドホイールによって約3分間、試料を研磨し、続いて、45、30、15、9、3および1−マイクロメートルスラリーのそれぞれによって5分間研磨する。取り付けられて研磨された試料を金−パラジウムの薄層でスパッタリングし、そして走査電子顕微鏡(例えば、マサチューセッツ州ピーボディ(Peabody,MA)のJEOLからのモデルJSM 840A)を使用して観察する。試料中で見出されたミクロ構造の典型的な後方散乱電子(BSE)顕微鏡写真を使用して、以下の通りに平均結晶子サイズを決定する。顕微鏡写真を横切って引かれた無作為の直線の単位長さ(N)あたりの交差している結晶子の数を数える。この数から、以下の等式を使用して平均結晶子サイズを決定する。
【数1】

(式中、Nは、単位長さあたり交差された結晶子の数であり、そしてMは、顕微鏡写真の倍率である)
【0088】
もう1つの態様において、本発明に従って製造されたガラスセラミックは、少なくとも1容積%、2容積%、3容積%、5容積%、10容積%、15容積%、20容積%、25容積%、30容積%、35容積%、40容積%、45容積%、50容積%、55容積%、60容積%、65容積%、70容積%、75容積%、80容積%、85容積%、90容積%、95容積%、97容積%、98容積%、99容積%またはさらには100容積%の結晶子を含んでもよい。ここで、この結晶子は、1マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、0.3マイクロメートル未満またはさらには0.15マイクロメートル未満の平均サイズを有する。
【0089】
本発明によるセラミック中に存在し得る結晶質相の例としては、アルミナ(例えば、アルファおよび遷移アルミナ)、REO(例えば、La)、Y、MgO;BaO、CaO、Cr、CoO、Fe、GeO、LiO、MnO、NiO、NaO、P、Sc、SiO、SrO、TeO、TiO、V、ZnO、HfO、ZrOのような1以上の他の金属酸化物(例えば、立方晶ZrOおよび正方晶ZrO)、ならびに「複合金属酸化物」(例えば、複合Al金属酸化物(例えば、複合Al・REO(例えば、ReAlO(例えば、GdAlO LaAlO)、ReAl1118(例えば、LaAl1118)およびReAl12(例えば、DyAl12))、複合Al・Y(例えば、YAl12)および複合ZrO・REO(例えば、LaZr))、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。典型的に、本発明によるセラミックは、共晶ミクロ構造の特徴のないものである。
【0090】
複合Al金属酸化物(例えば、複合Al・REOおよび/または複合Al・Y(例えば、ガーネット結晶構造を示すアルミン酸イットリウム))中のアルミニウムカチオンの一部を他のカチオンで代用することも本発明の範囲内である。例えば、複合Al・Y中のAlカチオンの一部を、Cr、Ti、Sc、Fe、Mg、Ca、Si、Coおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択される元素のカチオンの少なくとも1つで代用してもよい。例えば、複合Al・Y中のYカチオンの一部を、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Sm、Th、Tm、Yb、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Srおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択される元素のカチオンの少なくとも1つで代用してもよい。さらに例えば、複合Al・REO中の希土類カチオンの一部を、Y、Fe、Ti、Mn、V、Cr、Co、Ni、Cu、Mg、Ca、Srおよびそれらの組み合わせよりなる群から選択される元素のカチオンの少なくとも1つで代用してもよい。上記カチオンの代用によって、セラミックの特性(例えば、硬度、靭性、強度、熱伝導度等)は影響され得る。
【0091】
本発明に従って製造されたガラスセラミックの実施形態を提供するように非晶質材料を熱処理することによって形成された結晶は、例えば、針状等軸、カラム状またはフラット状スプラッタ様特徴であってよい。
【0092】
本発明に従って製造された、いくつかの代表的なガラスおよびガラスセラミックは、それぞれガラスまたはガラスセラミックの総重量を基準として、少なくとも75重量%(いくつかの実施形態において、少なくとも80重量%、またはさらには少なくとも85重量%)のAl、0重量%〜25重量%(いくつかの実施形態において、0重量%〜10重量%、またはさらには0重量%〜5重量%)の範囲のLa、5重量%〜25重量%(いくつかの実施形態において、5重量%〜20重量%、またはさらには10重量%〜20重量%)の範囲のY、0重量%〜8重量%(いくつかの実施形態において、0重量%〜4重量%、またはさらには0重量%〜2重量%)の範囲のMgOを含んでなる。いくつかの実施形態において、ガラスまたはガラスセラミックは、それぞれガラスまたはガラスセラミックの総重量を基準として、10重量%まで(いくつかの実施形態において、0.5重量%〜5重量%、0.5重量%〜2重量%、または0.5重量%〜1の範囲重量%)の量でSiOをさらに含んでなる。
【0093】
本発明に従って製造された、いくつかの代表的なガラスおよびガラスセラミックは、それぞれガラスまたはガラスセラミックの総重量を基準として、少なくとも75重量%(いくつかの実施形態において、少なくとも80重量%、85重量%、またはさらには少なくとも90重量%)のAl、および10重量%まで(いくつかの実施形態において、0.5重量%〜5重量%、0.5重量%〜2重量%、または0.5重量%〜1重量%の範囲)の量のSiOを含んでなる。
【0094】
ガラスまたはガラスセラミックはバルク材料の形態であってもよいが、本発明によるガラス、ガラスセラミック等を含んでなる複合材料を提供することも本発明の範囲内である。かかる複合材料は、例えば、本発明によるガラス、ガラスセラミック等、本発明または層状複合材料構造(例えば、ガラスセラミックおよび/または様々な組成のガラスセラミック層を製造するために使用されるガラスに対するガラスセラミックのグラジエント)中に分散された相または繊維(連続または不連続)または粒子(ウィスカーを含む)(例えば、金属酸化物粒子、ホウ化物粒子、炭化物粒子、窒化物粒子、ダイヤモンド粒子、金属粒子、ガラス粒子およびそれらの組み合わせ)を含んでもよい。
【0095】
本発明に従って製造されたある種のガラスは、例えば、約750℃〜約950℃の範囲のTを有してよい。
【0096】
本発明に従って製造されたガラスセラミックの平均硬度を以下の通り決定することができる。典型的に直径約2.5cmおよび高さ約1.9cmの樹脂のシリンダー中の取り付け樹脂(イリノイ州レークブラフのブエーラー(Buehler,Lake Bluff,IL)から商品名「トランスオプティック パウダー(TRANSOPTIC POWDER)」で入手されるもの)に材料部分を取り付ける。ポリッシャー(例えば、イリノイ州レークブラフのブエーラー(Buehler,Lake Bluff,IL)から商品名「エコメット3(ECOMET3)」で入手されるもの)を使用して従来の研磨技術を使用して、取り付け部分を調製する。125−マイクロメートルダイヤモンドを含有するダイヤモンドホイールによって約3分間、試料を研磨し、続いて、45、30、15、9、3および1−マイクロメートルスラリーのそれぞれによって5分間研磨する。500グラムの圧入負荷を使用して、ビッカーズ(Vickers)インデンターを備えたミクロ硬度試験機(例えば、日本、東京の株式会社ミツトヨから商品名「ミツトヨ(MITUTOYO)MVK−VL」で得られるもの)を使用して、ミクロ硬度測定を実行する。ASTM試験法E384、材料のミクロ硬度の試験法(Test Methods for Microhardness of Materials)(1991)に記載のガイドラインに従って、ミクロ硬度測定を実行する。平均硬度は、10回測定の平均である。
【0097】
本発明に従って製造されたある種のガラスは、例えば、少なくとも5GPa(いくつかの実施形態において、少なくとも6GPa、7GPa、8GPaまたは9GPa;典型的に約5GPa〜約10GPaの範囲)の平均硬度を有してよく、そして本発明に従って製造されたガラスセラミックは、少なくとも5GPa(いくつかの実施形態において、少なくとも6GPa、7GPa、8GPa、9GPa、10GPa、11GPa、12GPa、13GPa、14GPa、15GPa、16GPa、17GPa、18GPa、19GPaまたは20GPa(以上);典型的に、約5GPa〜約20GPaの範囲)の平均硬度を有してよい。本発明に従って製造された研磨粒子は、少なくとも15GPa、いくつかの実施形態において、少なくとも16GPa、少なくとも17GPa、18GPa、19GPa、またはさらには少なくとも20GPaの平均硬度を有してよい。
【0098】
本発明に従って製造されたある種のガラスは、例えば、少なくとも25℃〜約900℃の範囲の温度で、約5×10−6/K〜約11×10−6/Kの範囲の熱膨張係数を有してよい。
【0099】
典型的に、そして望ましくは、本発明に従って製造されたガラスおよびガラスセラミックの(真)密度は、比重とも呼ばれ、典型的に理論密度の少なくとも70%である。より望ましくは、本発明に従って製造されたガラスおよびガラスセラミックの(真)密度は、理論密度の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはさらには100%である。本発明に従って製造された研磨粒子は、理論密度の少なくとも85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはさらには100%の密度を有する。
【0100】
例えば、充填材、補強材および/またはマトリックス材料として、本発明に従って製造されたガラスおよびガラスセラミックを使用して、物品を製造することができる。例えば、本発明に従って製造されたガラスおよびガラスセラミックは、複合材料(例えば、セラミック、金属または高分子(熱硬化性または熱可塑性))中で補強材として使用するために適切な粒子および/または繊維の形態であり得る。粒子および/または繊維は、例えば、マトリックス材料のモジュラス、耐熱性、耐水性および/または強度を増加し得る。複合材料を製造するために使用される粒子および/または繊維の大きさ、形状および量は、例えば、具体的なマトリックス材料および複合材料の用途次第であり、補強材粒子の大きさは、典型的に、約0.1マイクロメートル〜1500マイクロメートルの範囲、より典型的に1マイクロメートル〜500マイクロメートルの範囲、そして望ましくは2マイクロメートルと100マイクロメートルとの間である。高分子適用のための粒子の量は、典型的に約0.5重量%〜約75重量%、より典型的に約1重量%〜約50重量%である。熱硬化性高分子の例としては、フェノール系、メラミン、尿素ホルムアルデヒド、アクリレート、エポキシ、ウレタン高分子等が挙げられる。熱可塑性高分子の例としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
【0101】
補強高分子材料(すなわち、高分子中に分散された、本発明に従って製造された補強粒子)の使用例としては、保護コーティング、例えば、コンクリート用、家具用、フロア用、車道用、木材用、木材様材料用、セラミック用等、ならびに滑り止めコーティングおよび射出成型プラスチック部分および部品が挙げられる。
【0102】
さらに、例えば、本発明に従って製造されたガラスおよびガラスセラミックをマトリックス材料として使用することができる。例えば、本発明に従って製造されたガラスおよびガラスセラミックを、ダイヤモンド、立方晶BN、Al、ZrO、SiおよびSiCのようなセラミック材料等用バインダーとして使用することができる。かかる材料を含んでなる有用な物品の例としては、複合基材コーティング、切削工具インサート研磨凝集体、およびビトリファイドホイールのような結合研磨物品が挙げられる。本発明に従って製造されたガラスおよびガラスセラミックを、例えば、複合材料物品のモジュラス、耐熱性、耐水性および/または強度を増加するためのバインダーとして使用することができる。
【0103】
本発明に従って製造された研磨粒子は、一般的に、結晶質セラミック(例えば、少なくとも75容積%、80容積%、85容積%、90容積%、91容積%、92容積%、93容積%、94容積%、95容積%、96容積%、97容積%、98容積%、99容積%、99.5容積%またはさらには100容積%の結晶質セラミック)を含んでなる。もう1つの態様において、本発明は、複数の粒子の少なくとも一部が本発明による研磨粒子である、微細から粗大までの範囲の粒度分布を有する複数の粒子を提供する。もう1つの態様において、本発明に従って製造された研磨粒子の実施形態は、一般的に、(例えば、少なくとも75容積%、80容積%、85容積%、90容積%、91容積%、92容積%、93容積%、94容積%、95容積%、96容積%、97容積%、98容積%、99容積%、99.5容積%またはさらには100容積%)の本発明に従って製造されたガラスセラミックを含んでなる。
【0104】
ANSI(米国規格協会(American National Standard Institute))、FEPA(Federation Europeenne des Fabricants de Products Abrasifs)およびJIS(日本工業規格)のような工業的に容認されたグレーディング規格の使用を含む、当該分野で周知の技術を使用することによって、本発明に従って製造された研磨粒子をスクリーニングおよびグレーディングすることができる。典型的に、約0.1マイクロメートル〜約5000マイクロメートル、1マイクロメートル〜約2000マイクロメートル、望ましくは約5マイクロメートル〜約1500マイクロメートル、またはさらにはいくつかの実施形態において、約100マイクロメートル〜約1500マイクロメートルの範囲の広範囲の粒度で、本発明に従って製造された研磨粒子を使用してよい。
【0105】
所定の粒度分布において、粗大粒子から微細粒子までの粒度範囲がある。研磨分野において、この範囲は、「粗大」、「対照」および「微細」フラクションと称されることがある。工業的に容認されたグレーディング規格に従ってグレーディングされた研磨粒子は、数量的限界以内の各公称グレードに対する粒度分布を明示する。かかる工業的に容認されたグレーディング規格としては、米国規格協会(American National Standards Institute,Inc.)(ANSI)規格、フェデレーション オブ ヨーロピアン プロデューサーズ オブ アブレーシブ プロダクツ(Federation of European Producers of Abrasive Products)(FEPA)規格、および日本工業規格(JIS)規格として既知のものが挙げられる。ANSIグレードの表示(すなわち、規定公称グレード)としては、ANSI4、ANSI6、ANSI8、ANSI16、ANSI24、ANSI36、ANSI40、ANSI50、ANSI60、ANSI80、ANSI100、ANSI120、ANSI150、ANSI180、ANSI220、ANSI240、ANSI280、ANSI320、ANSI360、ANSI400およびANSI600が挙げられる。FEPAグレードの表示としては、P8、P12、P16、P24、P36、P40、P50、P60、P80、P100、P120、P150、P180、P220、P320、P400、P500、P600、P800、P1000およびP1200が挙げられる。JISグレードの表示としては、JIS8、JIS12、JIS16、JIS24、JIS36、JIS46、JIS54、JIS60、JIS80、JIS100、JIS150、JIS180、JIS220、JIS240、JIS280、JIS320、JIS360、JIS400、JIS600、JIS800、JIS1000、JIS1500、JIS2500、JIS4000、JIS6000、JIS8000およびJIS10,000が挙げられる。
【0106】
粉砕およびスクリーニング後、典型的に、多くの異なる研磨粒子の粒度分布またはグレードがある。これらの多くのグレードは、特定の時間における製造者または供給者の要求に適合しなくてもよい。在庫量を最小化するために、需要外のグレードを、ガラスを形成するための溶融物中に戻して再利用することも可能である。粉砕工程後、粒子が大きな塊状または小片(時には「微細」と称される)であって特定の分布へとスクリーニングされない場合、この再利用を行ってよい。
【0107】
もう1つの態様において、本発明は、本明細書に記載のガラスを含んでなるガラス粒子または粒子を熱処理し、本発明によるガラスセラミックを含んでなる研磨粒子を提供する工程を含んでなる、研磨粒子の製造法を提供する。あるいは例えば、本発明は、本明細書に記載のガラスを熱処理し、そして得られた熱処理された材料を粉砕して、本発明によるガラスセラミックを含んでなる研磨粒子を提供する工程を含んでなる、研磨粒子の製造法を提供する。粉砕時、著しく結晶化されたガラスセラミックまたは結晶質材料を粉砕するよりも、ガラスは鋭い粒子を提供する傾向がある。
【0108】
もう1つの態様において、本発明は、バインダーによって一緒に結合された、本発明に従って製造された複数の研磨粒子をそれぞれ含んでなる、凝集体研磨粒子を提供する。もう1つの態様において、本発明は、研磨粒子の少なくとも一部が本発明に従って製造された研磨粒子(研磨粒子が凝集しているものを含む)である、バインダーおよび複数の研磨粒子を含んでなる研磨物品(例えば、被覆研磨物品、結合研磨物品(ビトリファイド、レジノイドおよびメタルボンド研削ホイール、カットオフホイール、軸付砥石およびホーニング砥石を含む)、不織研磨物品ならびに研磨ブラシ)を提供する。かかる研磨物品の製造法および研磨物品の使用法は当業者に周知である。さらに、研磨コンパウンド(例えば、ポリッシングコンパウンド)のスラリー、ミル粉砕媒体、ショットブラスト媒体、振動ミル粉砕媒体等のような、研磨粒子を利用する研磨用途において、本発明に従って製造された研磨粒子を使用することができる。
【0109】
被覆研磨物品は、一般的に、バッキング、研磨粒子、および研磨粒子をバッキング上に保持するための少なくとも一種のバインダーを含む。バッキングは、布、高分子フィルム、繊維、不織繊維、紙、それらの組み合わせおよびそれらの処理されたものを含むいずれかの適切な材料であり得る。適切なバインダーとしては、無機または有機バインダーが挙げられる(熱硬化性樹脂および放射線硬化性樹脂を含む)。研磨粒子は、被覆研磨物品の1層または2層中に存在し得る。
【0110】
被覆研磨物品の例を図1に示す。図1を参照すると、被覆研磨物品1は、バッキング(基材)2および研磨層3を有する。研磨層3は、メークコート5およびサイズコート6によってバッキング2の主面に固定された、本発明に従って製造された研磨粒子4を含む。いくつかの例において、スーパーサイズコート(図示せず)が使用される。
【0111】
結合研磨物品は、典型的に、有機、金属系またはビトリファイドバインダーによって一緒に保持された研磨粒子の成形集団を含む。かかる成形集団は、例えば、研削ホイールまたはカットオフホイールのようなホイールの形態であり得る。研削ホイールの直径は、典型的に約1cm〜1メートル以上であり、カットオフホイールの直径は、約1cm〜80cm以上(より典型的には、3cm〜約50cm)である。カットオフホイールの厚さは、典型的に約0.5mm〜約5cm、より典型的に約0.5mm〜約2cmである。成形集団は、例えば、ホーニング砥石、セグメント、軸付砥石、ディスク(例えば、ダブルディスク研磨機)または他の従来の結合研磨材形態の形態でもあり得る。結合研磨物品は、典型的に、結合研磨物品の総容積を基準として、約3容積%〜50容積%の結合材料、約30容積%〜90容積%の研磨粒子(または研磨粒子ブレンド)、50容積%までの研磨剤(研磨助剤を含む)および70容積%までの気孔を含んでなる。
【0112】
代表的な研削ホイールを図2に示す。図2を参照すると、ホイール形に成型され、そしてハブ12上に取り付けられた、本発明に従って製造された研磨粒子11を含む研削ホイール10が描写される。
【0113】
不織研磨物品は、典型的に、構造中に分散され、有機バインダーによって接着結合された本発明に従って製造された研磨粒子を有する、開放多孔性高分子フィラメント構造を含む。フィラメントの例としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維およびポリアラミド繊維が挙げられる。代表的な不織研磨物品を図3に示す。図3を参照すると、典型的な不織研磨物品の約100倍率の模式図が示されており、これは、その上に本発明に従って製造された研磨粒子52がバインダー54によって接着されている繊維状マット50を構造として含んでなる。
【0114】
有用な研磨ブラシとしては、バッキングに対して単一の複数の毛を有するものが挙げられる(例えば、米国特許第5,427,595号明細書(ピール(Pihl)ら)、米国特許第5,443,906号明細書(ピール(Pihl)ら)、米国特許第5,679,067号明細書(ジョンソン(Johnson)ら)および米国特許第5,903,951号明細書(イオンタ(Ionta)ら)を参照のこと)。望ましくは、かかるブラシは、高分子と研磨粒子との混合物を射出成型することによって製造される。
【0115】
研磨物品を製造するために適切な有機バインダーとしては、熱硬化性有機高分子が挙げられる。適切な熱硬化性有機高分子としては、フェノール系樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、アクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ペンダントα,β−不飽和カルボニル基を有するアミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂、アクリル化ウレタン樹脂、アクリル化エポキシおよびそれらの組み合わせが挙げられる。バインダーおよび/または研磨物品は、繊維、潤滑剤、湿潤剤、チキソトロピー材料、界面活性剤、顔料、染料、帯電防止剤(例えば、炭素ブラック、酸化バナジウム、グラファイト等)、カップリング剤(例えば、シラン、チタネート、ジルコアルミネート等)、可塑剤、懸濁剤等のような添加剤も含み得る。これらの任意の添加剤の量は、所望の特性を提供するように選択される。カップリング剤は研磨粒子および/または充填材への接着性を改善し得る。バインダーの化学性は、熱硬化、放射線硬化またはそれらの組み合わせであり得る。バインダーの化学性についての追加的な詳細は、米国特許第4,588,419号明細書(カウル(Caul)ら)、米国特許第4,751,138号明細書(ツメイ(Tumey)ら)および米国特許第5,436,063号明細書(フォレット(Follett)ら)に見出される。
【0116】
ビトリファイド結合研磨材に関してより具体的には、非晶質構造を示して典型的に硬質であるガラス状結合材料が当該分野において周知である。いくつかの場合、ガラス状結合材料は結晶質相を含む。本発明による結合ビトリファイド研磨物品は、ホイール(カットオフホイールを含む)、ホーニング砥石、軸付砥石または他の従来の結合研磨材形態の形態でもあり得る。いくつかの実施形態において、本発明によるビトリファイド結合研磨物品は、研削ホイールの形態である。
【0117】
ガラス状結合材料を形成するために使用される金属酸化物の例としては、シリカ、シリケート、アルミナ、ソーダ、カルシア、ポタシア、チタニア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化リチウム、マグネシア、ボリア、ケイ酸アルミニウム、ホウケイ酸ガラス、ケイ酸リチウムアルミニウム、それらの組み合わせ等が挙げられる。典型的に、10%〜100%のガラスフリットを含んでなる組成物、より典型的には20%〜80%のガラスフリット、または30%〜70%のガラスフリットを含んでなる組成物からガラス状結合材料を形成することができる。ガラス状結合材料の残りの部分は非フリット材料であり得る。あるいは、ガラス状結合は、非フリット含有組成物から誘導されてもよい。ガラス状結合材料は、典型的に約700℃〜約1500℃の範囲、通常、約800℃〜約1300℃の範囲、時には約900℃〜約1200℃の範囲、またはさらには約950℃〜約1100℃の範囲の温度で成熟される。結合が成熟される実際の温度は、例えば、特定の結合の化学性次第である。
【0118】
いくつかの実施形態において、ビトリファイド結合材料としては、シリカ、アルミナ(望ましくは少なくとも10重量%のアルミナ)およびボリア(望ましくは少なくとも10重量%のボリア)を含んでなるものが挙げられる。ほとんどの場合、ビトリファイド結合材料は、アルカリ金属酸化物(例えば、NaOおよびKO)(いくつかの場合、少なくとも10重量%のアルカリ金属酸化物)をさらに含んでなる。
【0119】
バインダー材料は、典型的に粒状材料の形態で、充填材または研磨助剤を含有してもよい。典型的に粒状材料は無機材料である。本発明に関して有用な充填材の例としては、金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム(例えば、白亜、方解石、泥灰土、石灰華、大理石および石灰石)、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム)、シリカ(例えば、石英、ガラスビーズ、ガラスバブルおよびガラス繊維)、ケイ酸塩(例えば、滑石、粘土、(モンモリロナイト)長石、雲母、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム)、金属硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウム)、石膏、蛭石、木粉、アルミニウム3水和物、炭素ブラック、金属酸化物(例えば、酸化カルシウム(石灰)、酸化アルミニウム、二酸化チタン)および金属亜硫酸塩(例えば、亜硫酸カルシウム)が挙げられる。
【0120】
一般的に、研磨助剤の添加によって研磨物品の有用な寿命が増加する。研磨助剤は、研磨の化学的および物理的特性に著しい影響を及ぼす材料であり、これによって性能の改良が生じる。理論に拘束されることを望まないが、研磨助剤は、(a)研磨粒子と、研磨されるワークピースとの間の摩擦を低下させ、(b)研磨粒子の「キャッピング」を防ぐ(すなわち、金属粒子が研磨粒子の上部へと溶接することを防ぐ)か、または研磨粒子がキャップ形成する傾向を少なくとも低下させ、(c)研磨粒子とワークピースとの間の界面温度を低下させ、あるいは(d)研磨力を低下させると考えられる。
【0121】
研磨助剤は多種多様な材料を包括し、そして無機または有機ベースであり得る。研磨助剤の化学群の例としては、ワックス、有機ハライド化合物、ハライド塩、ならびに金属およびそれらの合金が挙げられる。有機ハライド化合物は、典型的に、研磨の間に分解し、ハロゲン酸または気体状ハライド化合物を放出する。かかる材料の例としては、テトラクロロナフタレン、ペンタクロロナフタレンおよびポリ塩化ビニルのような塩化ワックスが挙げられる。ハライド塩の例としては、塩化ナトリウム、カリウムクリオライト、ナトリウムクリオライト、アンモニウムクリオライト、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、フッ素化ケイ素、塩化カリウムおよび塩化マグネシウムが挙げられる。金属の例としては、スズ、鉛、ビスマス、コバルト、アンチモン、カドミウムおよび鉄、チタンが挙げられる。他の多種多様な研磨助剤としては、硫黄、有機硫黄化合物、グラファイトおよび金属硫化物が挙げられる。異なる研磨助剤の組み合わせを使用することも本発明の範囲内であり、そしていくつかの例においては、これは相乗効果を生じ得る。
【0122】
被覆研磨物品および結合研磨物品において研磨助剤は特に有用であり得る。被覆研磨物品において、研磨助剤は典型的に、研磨粒子の表面上に適用されたスーパーサイズコート中に使用される。しかしながら、研磨助剤をサイズコートへと添加する場合もある。典型的に、被覆研磨物品中に組み入れられる研磨助剤の量は約50g/m〜300g/m(望ましくは、約80g/m〜160g/m)である。ビトリファイド結合研磨物品において、研磨助剤は典型的に物品の気孔中に含浸される。
【0123】
研磨物品は、100%の本発明による研磨粒子、あるいはかかる研磨粒子と他の研磨粒子および/または希釈粒子とのブレンドを含有し得る。しかしながら、研磨物品中の少なくとも約2重量%、望ましくは少なくとも約5重量%、そしてより望ましくは約30重量%〜100重量%の研磨粒子は、本発明に従って製造された研磨粒子であるべきである。いくつかの例において、5重量%対75重量%、約25重量%対75重量%、約40重量%対60重量%、または約50重量%対50重量%(すなわち等重量)の比率で、本発明に従って製造された研磨粒子をもう1つの研磨粒子および/または希釈粒子とブレンドしてもよい。適切な従来の研磨粒子の例としては、溶融酸化アルミニウム(白色溶融アルミナ、熱処理酸化アルミニウムおよび茶色酸化アルミニウムを含む)、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、ガーメット、溶融アルミナ−ジルコニアおよびゾルゲル誘導研磨粒子等が挙げられる。ゾルゲル誘導研磨粒子は、結晶核によるものであっても、非結晶核であってもよい。同様に、ゾルゲル誘導研磨粒子は、無作為に成形されても、ロッドまたは三角形のようなそれらに関連する形状を有してもよい。ゾルゲル研磨粒子の例としては、米国特許第4,314,827号明細書(レイゼイサー(Leitheiser)ら)、米国特許第4,518,397号明細書(レイゼイサー(Leitheiser)ら)、米国特許第4,623,364号明細書(コットリンガー(Cottringer)ら)、米国特許第4,744,802号明細書(スコワベル(Schwabel))、米国特許第4,770,671号明細書(モンロー(Monroe)ら)、米国特許第4,881,951号明細書(ウッド(Wood)ら)、米国特許第5,011,508号明細書(ワールド(Wald)ら)、米国特許第5,090,968号明細書(ペロー(Pellow))、米国特許第5,139,978号明細書(ウッド(Wood))、米国特許第5,201,916号明細書(ベルグ(Berg)ら)、米国特許第5,227,104号明細書(ボウアー(Bauer))、米国特許第5,366,523号明細書(ロウエンホースト(Rowenhorst)ら)、米国特許第5,429,647号明細書(ラーミー(Larmie))、米国特許第5,498,269号明細書(ラーミー(Larmie))および米国特許第5,551,963号明細書(ラーミー(Larmie))に記載のものが挙げられる。原材料供給源としてアルミナ粉末を使用することによって製造された焼結アルミナ研磨粒子に関連する追加的な詳細は、例えば、米国特許第5,259,147号明細書(ファルズ(Falz))、米国特許第5,593,467号明細書(モンロー(Monroe))および米国特許第5,665,127号明細書(モルトゲン(Moltgen))にも見出され得る。溶融研磨粒子に関連する追加的な詳細は、例えば、米国特許第1,161,620号明細書(コールター(Coulter))、米国特許第1,192,709号明細書(トーン(Tone))、米国特許第1,247,337号明細書(サウンダーズ(Saunders)ら)、米国特許第1,268,533号明細書(アレン(Allen))および米国特許第2,424,645号明細書(バウマン(Baumann)ら)、米国特許第3,891,408号明細書(ローズ(Rowse)ら)、米国特許第3,781,172号明細書(ペット(Pett)ら)、米国特許第3,893,826号明細書(クイナン(Quinan)ら)、米国特許第4,126,429号明細書(ワトソン(Watson))、米国特許第4,457,767号明細書(ポー(Poon)ら)、米国特許第5,023,212号明細書(デュボッツ(Dubots)ら)、米国特許第5,143,522号明細書(ギブソン(Gibson)ら)および米国特許第5,336,280号明細書(デュボッツ(Dubots)ら)、ならびに2000年2月2日出願の米国特許出願第09/495,978号明細書、米国特許出願第09/496,422号明細書、米国特許出願第09/496,638号明細書および米国特許出願第09/496,713号明細書;2000年7月19日出願の米国特許出願第09/618,876号明細書、米国特許出願第09/618,879号明細書、米国特許出願第09/619,106号明細書、米国特許出願第09/619,191号明細書、米国特許出願第09/619,192号明細書、米国特許出願第09/619,215号明細書、米国特許出願第09/619,289号明細書、米国特許出願第09/619,563号明細書、米国特許出願第09/619,729号明細書、米国特許出願第09/619,744号明細書および米国特許出願第09/620,262号明細書;2000年11月2日出願の米国特許出願第09/704,843号明細書;ならびに2001年1月30日出願の米国特許出願第09/772,730号明細書を有する出願に見出され得る。セラミック研磨粒子に関する追加的な詳細は、例えば、2001年8月2日出願され現在放棄された米国特許出願第09/922,526号明細書、米国特許出願第09/922,527号明細書、米国特許出願第09/922,528号明細書および米国特許出願第09/922,530号明細書、2002年8月2日出願の米国特許出願第10/211,597号明細書、米国特許出願第10/211,638号明細書、米国特許出願第10/211,629号明細書、米国特許出願第10/211,598号明細書、米国特許出願第10/211,630号明細書、米国特許出願第10/211,639号明細書、米国特許出願第10/211,034号明細書、米国特許出願第10/211,044号明細書、米国特許出願第10/211,628号明細書、米国特許出願第10/211,491号明細書、米国特許出願第10/211,640号明細書および米国特許出願第10/211,684号明細書;ならびに2003年2月5日出願の米国特許出願第10/358,772号明細書、米国特許出願第10/358,765号明細書、米国特許出願第10/358,910号明細書、米国特許出願第10/358,855号明細書および米国特許出願第10/358,708号明細書を有する出願に見出され得る。いくつかの例において、研磨粒子のブレンドによって、一方の種類の研磨粒子を100%含んでなる研磨物品との比較において、改善された研磨性能を示す研磨物品が生じ得る。
【0124】
研磨粒子のブレンドがある場合、ブレンドを形成する研磨粒子の種類は同一サイズのものであってよい。あるいは、研磨粒子の種類は異なる粒度のものであってよい。例えば、より大きいサイズの研磨粒子が本発明に従って製造された研磨粒子であってよく、そしてより小さいサイズの粒子がもう一種の研磨粒子であってよい。逆に、例えば、より小さいサイズの研磨粒子が本発明に従って製造された研磨粒子であってよく、そしてより大きいサイズの粒子がもう一種の研磨粒子であってよい。
【0125】
適切な希釈粒子の例としては、大理石、石膏、フリント、シリカ、酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、ガラス(ガラスバブルおよびガラスビーズを含む)、アルミナバブル、アルミナビーズおよび希釈凝集体が挙げられる。本発明に従って製造された研磨粒子を研磨凝集体中に、または研磨凝集体と組み合わせることもできる。研磨凝集体粒子は、典型的に、複数の研磨粒子、バインダーおよび任意の添加剤を含んでなる。バインダーは有機および/または無機であってよい。研磨集合体は、無作為な形状であっても、またはそれらに関連する予め決められた形状を有していてもよい。形状は、ブロック、シリンダー、ピラミッド、コイン、正方形等であってよい。研磨集合体粒子は、典型的に、約100マイクロメートル〜約5000マイクロメートル、典型的に約250マイクロメートル〜約2500マイクロメートルの範囲の粒度を有する。研磨集合体粒子に関連する追加的な詳細は、例えば、米国特許第4,311,489号明細書(クレスナー(Kressner))、米国特許第4,652,275号明細書(ブロエシェー(Bloecher)ら)、米国特許第4,799,939号明細書(ブロエシェー(Bloecher)ら)、米国特許第5,549,962号明細書(ホルメス(Holmes)ら)および米国特許第5,975,988号明細書(クリスチャンソン(Christianson)、ならびに2000年10月16日出願の米国特許出願第09/688,444号明細書および米国特許出願第09/688,484号明細書;2000年10月16日出願の米国特許出願第09/688,444号明細書、米国特許出願第09/688,484号明細書および米国特許出願第09/688,486号明細書;ならびに2001年10月5日出願の米国特許出願第09/971,899号明細書、米国特許出願第09/972,315号明細書および米国特許出願第09/972,316号明細書を有する米国特許出願に見出され得る。
【0126】
研磨粒子を研磨物品中に均一に分散することができるか、または研磨物品の選択された領域もしくは部分に集中させることができる。例えば、被覆研磨材において2層の研磨粒子があってよい。第1の層は、本発明に従って製造された研磨粒子以外の研磨粒子を含んでなり、そして第2の(最も外側の)層は本発明に従って製造された研磨粒子を含んでなる。結合研磨材と同様に、研削ホイールの2つの別個の部分があってよい。最も外側の部分は本発明に従って製造された研磨粒子を含んでよく、それに対して最も内側の部分は含まない。あるいは本発明に従って製造された研磨粒子は、結合研磨物品を通して均一に分散されていてもよい。
【0127】
例えば、米国特許第4,734,104号明細書(ブロバーグ(Broberg))、米国特許第4,737,163号明細書(ラーキー(Larkey))、米国特許第5,203,884号明細書(ブキャナン(Buchanan)ら)、米国特許第5,152,917号明細書(パイパー(Pieper)ら)、米国特許第5,378,251号明細書(カーラー(Culler)ら)、米国特許第5,417,726号明細書(スタウト(Stout)ら)、米国特許第5,436,063号明細書(フォレット(Follett)ら)、米国特許第5,496,386号明細書(ブロバーグ(Broberg)ら)、米国特許第5,609,706号明細書(ベネディクト(Benedict)ら)、米国特許第5,520,711号明細書(ヘルミン(Helmin))、米国特許第5,954,844号明細書(ロウ(Law)ら)、米国特許第5,961,674号明細書(ガグリアルディ(Gagliardi)ら)および米国特許第5,975,988号明細書(クリスチャンソン(Christianson))において、被覆研磨物品に関するさらなる詳細を見出すことができる。例えば、米国特許第4,543,107号明細書(ルー(Rue))、米国特許第4,741,743号明細書(ナラヤナン(Narayanan)ら)、米国特許第4,800,685号明細書(ハイネス(Haynes)ら)、米国特許第4,898,597号明細書(ハイ(Hay)ら)、米国特許第4,997,461号明細書(マルコフ−マザニー(Markhoff−Matheny)ら)、米国特許第5,037,453号明細書(ナラヤナン(Narayanan)ら)、米国特許第5,110,332号明細書(ナラヤナン(Narayanan)ら)および米国特許第5,863,308号明細書(キー(Qi)ら)において、結合研磨物品に関するさらなる詳細を見出すことができる。例えば、米国特許第4,543,107号明細書(ルー(Rue))、米国特許第4,898,597号明細書(ハイ(Hay)ら)、米国特許第4,997,461号明細書(マルコフ−マザニー(Markhoff−Matheny)ら)、米国特許第5,094,672号明細書(ギルス Jr.(Giles Jr.)ら)、米国特許第5,118,326号明細書(シェルドン(Sheldon)ら)、米国特許第5,131,926号明細書(シェルドン(Sheldon)ら)、米国特許第5,203,886号明細書(シェルドン(Sheldon)ら)、米国特許第5,282,875号明細書(ウッド(Wood)ら)、米国特許第5,738,696号明細書(ウー(Wu)ら)および米国特許第5,863,308号明細書(キー(Qi))において、ガラス状結合研磨材に関するさらなる詳細を見出すことができる。例えば、米国特許第2,958,593号明細書(ホーバー(Hoover)ら)において、不織研磨物品に関するさらなる詳細を見出すことができる。
【0128】
本発明は、本発明に従って製造された少なくとも1つの研磨粒子をワークピースの表面と接触させる工程と、研磨粒子または接触表面の少なくとも1つを移動させ、研磨粒子によって前記表面の少なくとも一部を研磨する工程とを含んでなる、表面の研磨法を提供する。本発明に従って製造された研磨粒子による研磨法は、スナッギング(すなわち、高圧高ストック除去)からポリッシング(例えば、被覆研磨ベルトによる医学用インプラントのポリッシング)の範囲に及び、後者は典型的により微細なグレード(例えば、ANSI220およびより微細なもの)の研磨粒子を用いて実行される。ビトリファイド結合ホイールによるカム軸の研削のような精密研磨用途で研磨粒子を使用することもできる。特定の研磨用途に使用される研磨粒子の大きさは、当業者に明白である。
【0129】
本発明によって製造された研磨粒子による研磨は、乾式または湿式で実行されてよい。湿式研磨の場合、浸水を完了するライトミストの形態で液体を導入してよい。一般的に使用される液体の例としては、水、水溶性油、有機潤滑剤およびエマルジョンが挙げられる。この液体は、研磨に関連する熱を低下させるために役立ち、そして/または潤滑剤として作用する。液体は、殺菌剤、消泡剤等のような添加剤を少量含有してもよい。
【0130】
本発明によって製造された研磨粒子は、例えば、アルミニウム金属、炭素鋼、軟鋼、工具鋼、ステンレス鋼、硬化鋼、チタン、ガラス、セラミック、木材、木材様材料(例えば、合板およびパーティクルボード)、塗料、塗面、有機被覆面等のようなワークピースを研磨するために有用である。研磨間に適用される力は、約1キログラム〜約100キログラムの範囲である。
【0131】
本発明の利点および実施形態を以下の実施例によってさらに説明するが、これらの実施例に記載された具体的な材料およびそれらの量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を過度に限定するものとして解釈されるべきではない。全ての部およびパーセントは、特記されない限り重量による。特記されない限り、全ての実施例は著しい量のSiO、B、P、GeO、TeO、AsおよびVを含有しない。
【実施例】
【0132】
実施例1〜4
250mlのポリエチレン瓶(直径7.3cm)に、様々な粉末の混合物50グラム(下記の表1に示される通り)と、表2(下記)に記載の原材料の供給源と、50グラムのイソプロピルアルコールとを充填した。
【0133】

*すなわち、Al金属がAlOへと変換された時の酸化物の相対量
【0134】

【0135】
得られたスラリーを、磁気撹拌プレート上で10分間、連続的に撹拌した。スラリーを撹拌しながら、5mlの水を滴下して添加した。水添加後、30分間、スラリーを撹拌し続けた。撹拌プレートからポリエチレン瓶を取り出し、そして約200グラムのアルミナ・ミル粉砕媒体(シリンダー型、高さおよび直径は両方とも0.635cm;99.9%アルミナ:コロラド州ゴールデンのコールズ(Coors,Golden,CO)から入手)を添加した。ポリエチレン瓶の内容物を16時間、1分あたり60回転(rpm)でミル粉砕した。ミル粉砕後、ミル粉砕媒体を除去し、そしてスラリーを1層で加温(約75℃)ガラス(「パイレックス(PYREX)」)パン上に注ぎ入れ、そして冷却および乾燥させた。スラリーの材料の相対的に薄い層(すなわち、厚さ約3mm)および加温パンのため、スラリーは5分以内でケーキを形成し、そして約30分で乾燥した。ペイントブラシの補助によって70−メッシュスクリーン(212−マイクロメートル開口径)を通してのスクリーニングによって、乾燥混合物を研削した。
【0136】
得られたスクリーン粒子を水素/酸素トーチ火炎中にゆっくりと(約0.5グラム/分)供給して、粒子を溶融させ、そしてそれらを19−リットル(5−ガロン)シリンダー型容器(直径30センチメートル(cm)×高さ34cm)の連続的に循環する乱流水(20℃)中へと直接的に輸送し、溶融小滴を迅速にクエンチングした。このトーチは、ペンシルバニア州ヘレータウンのベツレヘム アパラタス カンパニー(Bethlehem Apparatus Co.,Hellertown,PA)から入手されたベツレヘム(Bethlehem)ベンチバーナー PM2D モデルBであった。トーチの水素流速および酸素流速は以下の通りであった。内輪に関して、水素流速は1分あたり8標準リットル(SLPM)であり、酸素流速は3.5SLPMであった。外輪に関して、水素流速は23SLPMであり、酸素流速は12SLPMであった。火炎が水を打つ角度は約45°であり、そして火炎の長さ、バーナーから水表面までは約18センチメートルであった。得られた(クエンチングされた)ビーズをパン中で回収して、そして乾燥するまで(約30分)電気加熱炉中で110℃で加熱した。ビーズは球状であり、数マイクロメートル(すなわち、ミクロン)から250マイクロメートルまでの大きさで変化し、そして透明(すなわち、非晶質)および/または不透明(すなわち、結晶質)のいずれかであり、試料内で変化した。理論に拘束されることを望まないが、一般的に、非晶質材料(ガラスを含む)は、結晶境界のような光散乱中心の不足のため透明であるが、結晶質材料は結晶境界の光散乱効果のため不透明であると考えられる。示差熱分析(DTA)によって非晶質およびガラスであることが証明されるまで、透明な火炎形成ビーズは非晶質のみであると考えた。
【0137】
比較A
250mlのポリエチレン瓶(直径7.3cm)に、様々な粉末の混合物50グラム(下記の表3に示される通り)と、表4(下記)に記載の原材料の供給源と、50グラムのイソプロピルアルコールと、200グラムのアルミナ・ミル粉砕媒体(シリンダー型、高さおよび直径は両方とも0.635cm;99.9%アルミナ:コロラド州ゴールデンのコールズ(Coors,Golden,CO)から入手)を充填した。
【0138】

*すなわち、Al金属がAlへと変換された時の酸化物の相対量
【0139】

【0140】
ポリエチレン瓶の内容物を16時間、1分あたり60回転(rpm)でミル粉砕した。ミル粉砕後、ミル粉砕媒体を除去し、そしてスラリーを1層で加温(約75℃)ガラス(「パイレックス(PYREX)」)パン上に注ぎ入れ、そして冷却および乾燥させた。スラリーの材料の相対的に薄い層(すなわち、厚さ約3mm)および加温パンのため、スラリーは5分以内でケーキを形成し、そして約30分で乾燥した。ペイントブラシの補助によって70−メッシュスクリーン(212−マイクロメートル開口径)を通してのスクリーニングによって、乾燥混合物を研削した。得られたスクリーン粒子を、実施例1〜4に記載の通りに火炎形成した。
【0141】
以下に記載の通り、示差熱分析(DTA)を使用して、実施例1〜4および比較例A材料の相組成(ガラス質/非晶質/結晶質)を決定した。材料の対応するDTAトレースが発熱結晶化事象(T)を有する場合、材料を非晶質として分類した。同一のトレースが、Tより低い温度で吸熱事象(T)も有する場合、これはガラス相よりなると考えられた。材料のDTAトレースがかかる事象を含まない場合、結晶質相を含有するものと考えられた。
【0142】
以下の方法を使用して、示差熱分析(DTA)を実行した。(ドイツ、セルボのネッシュ インストルメンツ(Netzsch Instruments,Selb,Germany)から商品名「ネッシュ(NETZSCH)STA 409 DTA/TGA」で得られる機器を使用して、)−140+170メッシュサイズフラクション(すなわち、105−マイクロメートル開口径と90−マイクロメートル開口径スクリーン間で回収されたフラクション)を使用して、DTAを実行した。100−マイクロリットルAl試料ホルダー中に入れた各スクリーン試料の量は、約400mgであった。各試料を静大気中で、10℃/分の速度で室温(約25℃)から1100℃まで加熱した。
【0143】
図5を参照すると、線123が実施例1材料のDTAデータのプロットである。図4、線123を参照すると、線123の下方への曲線によって明らかであるように、この材料は、約905℃で吸熱事象を示した。この事象は、ガラス材料のガラス転移(T)によるものであると考えられる。約933℃で、線123の急ピークによって明らかであるように、発熱事象が観察された。この事象は、材料の結晶化(T)によるものであると考えられる。
【0144】
実施例1〜4および比較例AのTおよびT値を以下の表5に報告する。
【0145】

【0146】
実施例のDTAトレースから決定されるように、ガラス転移とガラス結晶化温度との間の温度ウインドウ(T−T)は全て、比較例Aの5℃以内であった。このことは、それぞれの異なるシリカ供給源に関して酸化物への完全な変換を示唆すると考えられる。
【0147】
実施例1〜4および比較例Aのガラスビーズを1350℃で1時間、電気加熱炉中(ニュージャージー州ブルームフィールドのCM ファネセス(CM Furnaces,Bloomfield,NJ)から商品名「ラピッド テンプ ファネス(Rapid Temp Furnace)」で入手可能)で結晶化した。粉末X線回折、XRDを使用して(1.54050オングストロームの銅Kα1放射線による(ニュージャージー州マーワーのフィリップス(Phillips,Mahwah,NJ)から商品名「フィリップス(PHILLIPS)XRG 3100」で得られる)X線回折計を使用して)、結晶化ビーズ中の相の存在を決定した。
【0148】
国際回折データセンター(International Center for Diffraction Data)によって発行されたJCPDSデータベース中に提供される結晶質相のXRDパターンと、結晶化材料のXRDトレース中に存在するピークを比較することによって、相を決定した。実施例1〜4に関して決定された、得られた結晶質材料は、比較例Aに関して見られたものと同様であり、3Y・5Al、アルファAlおよびトレースY相よりなった。
【0149】
直径5cm×厚さ1.4cmのステンレス鋼ホイル容器中に約50グラムの実施例1のガラスビーズをカプセル化(すなわち、缶詰め)し、そして真空下で密封した。次いで、カプセル化ビーズをホット イソスタティック プレス(Hot Isostatic Press)(HIP)(オハイオ州コロンブスのアメリカン イソスタティック プレス インコーポレイテッド(American Isostatic Presses,Inc.,Columbus,OH)から商品名「IPS イーグル(IPS EAGLE)−6」で入手)中に配置した。970℃のピーク温度、およびアルゴンガスの約3000atmの圧力下でHIPを実行した。最初にHIP炉を12.3℃/分で970℃まで高めた。温度を970℃で20分間保持し、その後、電源を消して、炉を100℃まで冷却した。65atm/分の速度でアルゴンガス圧力を適用した。炉の温度が750℃の時に、アルゴンガス圧力は3000atmに達した。炉の温度が約750℃まで冷却されるまで、この圧力を維持した。60atm/分の速度で圧力を解放した。ハンマーを使用して、直径4cmおよび厚さ1cmの得られたディスクを約−30+50メッシュサイズフラクション(すなわち、600−マイクロメートル開口径と300−マイクロメートル開口径スクリーン間で回収されたフラクション)まで粉砕した。ガスピクノメーター(ジョージア州ノルクロスのマイクロメリテックス(Micromeritics,Norcross,GA)から商品名「アキュピック(ACCUPYC)1330」で入手)を使用して、スクリーニングされたガラス粒子(−30+50メッシュサイズフラクション)の密度を測定した。粒子の密度は3.97g/cmであると決定された。
【0150】
比較例Aに記載の方法を使用して、スクリーニングされたガラス粒子の示差熱分析(DTA)を実行した。この材料は、約974℃の温度で吸熱の事象によって明白なガラス転移(T)を示した。この材料は、発熱の事象によって明白であるように、約1120℃で結晶化温度(T)を示した。従って、この材料は非晶質であると決定され、融合手順に従った。
【0151】
粉砕およびスクリーニングされたガラス粒子を1300℃で15分間、電気加熱炉中(ニュージャージー州ブルームフィールドのCM ファネセス(CM Furnaces,Bloomfield,NJ)から商品名「ラピッド テンプ ファネス(Rapid Temp Furnace)」で入手可能)で結晶化した。ガスピクノメーター(「アキュピック(ACCUPYC)1330」)を使用して、結晶化された粒子(−30+50メッシュサイズフラクション)の密度を測定した。粒子の密度は4.11g/cmであると決定された。
【0152】
実施例1の結晶化粒子の平均硬度を以下の通りに決定した。取り付け樹脂(イリノイ州レークブラフのブエーラー(Buehler,Lake Bluff,IL)から商品名「トランスオプティック パウダー(TRANSOPTIC POWDER)」で入手)に材料の部分を取り付けた。得られた樹脂のシリンダーは、直径約2.5cmおよび高さ約1.9cmであった。ポリッシャー(イリノイ州レークブラフのブエーラー(Buehler,Lake Bluff,IL)から商品名「エコメット3(ECOMET3)」で入手)を使用して従来の研磨技術を使用して、取り付け部分を調製した。125−マイクロメートルダイヤモンドを含有するダイヤモンドホイールによって約3分間、試料を研磨し、続いて、45、30、15、9、3および1−マイクロメートルスラリーのそれぞれによって5分間研磨した。500グラムの圧入負荷を使用して、ビッカーズ(Vickers)インデンターを備えた従来のミクロ硬度試験機(日本、東京の株式会社ミツトヨから商品名「ミツトヨ(MITUTOYO)MVK−VL」で入手)を使用して、ミクロ硬度測定を実行した。ASTM試験法E384、材料のミクロ硬度の試験法(Test Methods for Microhardness of Materials)(1991)に記載のガイドラインに従って、ミクロ硬度測定を実行した。結晶化された実施例1の材料の平均ミクロ硬度(20回測定の平均)は、20ギガパスカル(GPa)であった。
【0153】
ASTM標準E112−96「平均粒度決定のための標準試験法(Standard Test Methods for Determining Average Grain Size)」による線インターセプト法によって、このように結晶化された実施例1材料の平均結晶サイズを決定した。硬度の測定のために予め調製された、取り付けられて研磨された試料を金−パラジウムの薄層で被覆し、そしてJEOL SEM(モデルJSM 840A)を使用して観察した。試料中で見出されたミクロ構造の典型的な後方散乱電子(BSE)顕微鏡写真を使用して、以下の通りに平均結晶子サイズを決定した。顕微鏡写真を横切って引かれた無作為の直線の単位長さ(N)あたりの交差している結晶子の数を数えた。この数から、以下の等式を使用して平均結晶子サイズを決定する。
【数2】

式中、Nは、単位長さあたり交差された結晶子の数であり、そしてMは、顕微鏡写真の倍率である。線インターセプト法によって測定した場合、この結晶化された実施例1の材料の平均結晶サイズは145nmであった。
【0154】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者にとって明白となるであろう。本明細書に明示された実例の実施形態に本発明が過度に限定されないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明による研磨粒子を含む被覆研磨物品の部分横断面図。
【図2】本発明による研磨粒子を含む結合研磨物品の斜視図。
【図3】本発明による研磨粒子を含む不織研磨物品の拡大模式図。
【図4】本発明の実施形態を調製するための代表的なプラズマスプレー装置の模式図。
【図5】実施例1において調製された材料のDTAトレース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスの総重量を基準として、少なくとも35重量%のAlと、0.5重量%〜10重量%の範囲のSiOと、合わせて10重量%以下のAs、B3、GeO、P、SiO、TeOおよびVとを含んでなるガラスの製造法であって、
火炎またはプラズマの1つ中に少なくともAl供給源およびSiO供給源を供給して溶融物を提供する工程であって、前記SiO供給源が、高分子SiO供給源または有機金属系SiO供給源の少なくとも1つである工程と、
前記溶融物を冷却して、ガラスを提供する工程と
を含んでなる方法。
【請求項2】
前記SiO供給源の少なくとも一部分が高分子SiO供給源である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高分子SiO供給源が、シラン、シリカゾル、シリカゲル、シリコーンまたはシリコーン油の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記SiO供給源の少なくとも一部分が有機金属系SiO供給源である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機金属系SiO供給源が、ケイ素アルコキシド、酢酸ケイ素、四塩化ケイ素またはシリコタングステン酸の少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガラスが、Y、CeO、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr11、Sm、Tb、Th、Tm、Yb、MgO、TiO、Cr、CuO、ZrO、SrO、LiO、NiO、ZrOおよびFeよりなる群から選択される少なくとも1つの金属酸化物をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量を基準として少なくとも60重量%のAlを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量を基準として少なくとも70重量%のAlを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量を基準として少なくとも80重量%のAlを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部分を結晶質セラミックへと変換し、ガラスセラミックを提供する工程をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ガラスが、Y、CeO、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr11、Sm、Tb、Th、Tm、Yb、MgO、TiO、Cr、CuO、ZrO、SrO、LiO、NiO、ZrOおよびFeよりなる群から選択される少なくとも1つの金属酸化物をさらに含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量を基準として少なくとも60重量%のAlを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量を基準として少なくとも70重量%のAlを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ガラスが、前記ガラスの総重量を基準として少なくとも80重量%のAlを含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ガラスがガラス粒子の形態であって、前記ガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部分を結晶質セラミックへと変換し、ガラスセラミック研磨粒子を提供する工程をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ガラスセラミックが、150ナノメートル未満の平均結晶子サイズを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ガラスセラミックが、理論密度の少なくとも95%の平均密度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ガラスセラミックが、少なくとも16GPaの平均硬度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ガラスセラミックが、少なくとも17GPaの平均硬度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ガラスセラミックが、少なくとも18GPaの平均硬度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記ガラスセラミックが、少なくとも20GPaの平均硬度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記研磨粒子をグレーディングして、規定公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する工程をさらに含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
熱処理される前記ガラス粒子が、規定公称グレードを有する複数の粒子として提供され、そして前記粒子の少なくとも一部分が複数のガラス粒子である、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
研磨物品中に前記研磨粒子を組み入れる工程をさらに含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記ガラスを熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部分を結晶質セラミックへと変換し、ガラスセラミックを提供する工程と、前記ガラスセラミックを粉砕して研磨粒子を提供する工程とをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記ガラスセラミックが、150ナノメートル未満の平均結晶子サイズを有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ガラスセラミックが、理論密度の少なくとも95%の平均密度を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記ガラスセラミックが、少なくとも16GPaの平均硬度を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記ガラスセラミックが、少なくとも17GPaの平均硬度を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記ガラスセラミックが、少なくとも18GPaの平均硬度を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記研磨粒子をグレーディングして、規定公称グレードを有する複数の研磨粒子を提供する工程をさらに含んでなる、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
火炎またはプラズマの1つ中に少なくともAl供給源およびSiO供給源を供給して溶融物を提供する工程であって、前記SiO供給源が、高分子SiO供給源または有機金属系SiO供給源の少なくとも1つである工程と、
前記溶融物を冷却してガラスビーズを提供する工程であって、前記ガラスが、前記ガラスの総重量を基準として少なくとも35重量%のAlと、0.5重量%〜10重量%の範囲のSiOと、合わせて10重量%以下のAs、B3、GeO、P、SiO、TeOおよびVとを含んでなり、かつTを有する工程と、
前記ガラスビーズをTより高い温度まで加熱し、ガラスビーズを融合させて形状品を形成する工程と、
前記融合された形状品を冷却して、ガラス物品を提供する工程と
を含んでなる、物品の製造法。
【請求項33】
前記ガラス物品を熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部分を結晶質セラミックへと変換し、ガラスセラミック物品を提供する工程をさらに含んでなる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ガラスセラミックが、150ナノメートル未満の平均結晶子サイズを有する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
ガラスセラミックが、理論密度の少なくとも95%の平均密度を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記ガラスセラミックが、少なくとも16GPaの平均硬度を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記ガラスセラミックが、少なくとも17GPaの平均硬度を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記ガラスセラミックが、少なくとも18GPaの平均硬度を有する、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
火炎またはプラズマの1つ中に、少なくともAl供給源、および5nm〜50マイクロメートルの範囲の平均粒度を有する粒状SiO供給源を供給して、溶融物を提供する工程であって、粒状SiO供給源の少なくとも90重量%が5nm〜50マイクロメートルの範囲である工程と、
前記溶融物を冷却してガラスビーズを提供する工程であって、前記ガラスが、前記ガラスの総重量を基準として少なくとも60重量%のAlと、0.5重量%〜10重量%の範囲のSiOと、合わせて10重量%以下のAs、B3、GeO、P、SiO、TeOおよびVとを含んでなり、かつTを有する工程と、
前記ビーズを粉砕してガラス粉末を提供する工程と、
前記ガラス粉末をTより高い温度まで加熱し、前記ガラス粉末を融合させて形状品を形成する工程と、
前記融合された形状品を冷却して、ガラス物品を提供する工程と
を含んでなる、物品の製造法。
【請求項40】
前記粒状SiO供給源の少なくとも95重量%が5nm〜50マイクロメートルの範囲である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記粒状SiO供給源が10nm〜20マイクロメートルの範囲の平均粒度を有し、そして前記粒状SiO供給源の少なくとも90重量%が10nm〜20マイクロメートルの範囲である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記ガラス物品を熱処理して、前記ガラスの少なくとも一部分をガラスセラミックへと変換し、ガラスセラミック物品を提供する工程をさらに含んでなる、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
ガラスセラミックが、150ナノメートル未満の平均結晶子サイズを有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ガラスセラミックが、理論密度の少なくとも95%の平均密度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記ガラスセラミックが、少なくとも16GPaの平均硬度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記ガラスセラミックが、少なくとも17GPaの平均硬度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記ガラスセラミックが、少なくとも18GPaの平均硬度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記粒状SiO供給源の少なくとも95重量%が5nm〜50マイクロメートルの範囲である、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記粒状SiO供給源が10nm〜20マイクロメートルの範囲の平均粒度を有し、そして前記粒状SiO供給源の少なくとも90重量%が10nm〜20マイクロメートルの範囲である、請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−504082(P2007−504082A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525319(P2006−525319)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/021689
【国際公開番号】WO2005/026069
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
2.PYREX
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】