説明

アルミニウム合金導体電線及びその製造方法

【課題】振動に対する剛性と電気伝導度をさらに向上させる。
【解決手段】アルミニウム合金導体電線に添加される最適の組成元素と組成含量(重量%)を新規に確立して提示し、且つアルミニウム合金導体電線に対する好適な製造技術も併せて提示することで、アルミニウム合金導体電線が持つ引張強度(機械的強度)は勿論、電気伝導度をいずれも満足するアルミニウム合金導体電線及びその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金導体電線及びその製造方法に係り、より詳しくは、振動に対する剛性と電気伝導度(% IACS、International Annealed Copper Standard)をさらに高めるためにアルミニウム合金導体電線に添加される最適の組成元素と組成含量(重量%)を提示し、該アルミニウム合金導体電線を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に多用されているアルミニウム合金導体電線は、銅(copper)導体電線及び銅合金導体電線に比べて軽量であり且つ低廉である点、鋳造性がよく、他の金属との合金を作りやすい点、室温及び高温加工が容易であり大気環境条件下での耐蝕力と耐久性に優れている点などの理由から、送電線、自動車、航空機、原動機、各種の電力機器などの多岐にわたる分野において使用されている。
【0003】
上記アルミニウム合金導体電線は、硬アルミニウム合金導体電線または複数本の硬アルミニウム線を撚り合わせてなる撚線などがある。通常、銅導体電線及び銅合金導体電線のように連続鋳造、熱間圧延などの工程を施して得た素線を冷間伸線して製品化している。
【0004】
また、大半のアルミニウム合金導体電線は、アルミニウム合金導体電線の引張強度(機械的強度)と電気伝導度をいずれも確保するために、Fe(鉄)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Si(珪素)成分を含んでいるが、満足するレベルの引張強度と電気伝導度は得られていない実情である。
【0005】
前述のような実情からアルミニウム合金導体電線の適用分野及び使用上において多くの制約が伴われ、かかる制約のため銅導体電線及び銅合金導体電線に代えてアルミニウム合金導体電線を使用することができず、原価の削減は勿論、製品の単価をも下げ難いという問題がある。
【0006】
このため、現在、電線製造業界では銅導体電線及び銅合金導体電線をアルミニウム合金導体電線に代替できるように引張強度(機械的強度)と電気伝導度をさらに向上させるための研究が活発に進められているが、アルミニウム合金導体電線に対する最適の組成元素や製造技術が確立されず、技術的進歩に多くの困難に直面している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本公開特許公報 特開1997-213131号
【特許文献2】日本公開特許公報 特開2003-013162号
【特許文献3】日本公開特許公報 特開2011-040350号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、アルミニウム合金導体電線に添加される最適の組成元素と組成含量(重量%)を新規に確立して提示し、且つアルミニウム合金導体電線に対する好適な製造技術も併せて提示することで、アルミニウム合金導体電線が持つ引張強度(機械的強度)は勿論、電気伝導度をいずれも満足するアルミニウム合金導体電線及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するための本発明のアルミニウム合金導体電線は、Al(アルミニウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Si(珪素)、Zn(亜鉛)の組成元素とその他(不純物)を含んでなるアルミニウム合金導体電線が提供される。
【0010】
また、本発明のアルミニウム導体電線は、引張強度が10〜20kgf/mm、延伸率が15〜35%、電気伝導度が55〜62%であるIACSを有し;上記アルミニウム合金導体電線において長さ方向に配列されるアルミニウム合金粒子の横長と縦長との割合を測定した値が詳細な説明に記載される式5を満足し、その粒子の分布範囲は、単位面積(0.01mm=100μm×100μm)対して45〜80%であることが好ましい。
【0011】
また、本発明では、Al(アルミニウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Si(珪素)、Zn(亜鉛)を組成元素とした合金素材を準備する段階と、この段階の後、冷間状態で目的とする形状及び外径の加工を施す段階と、この段階の後、伸線ドローイングを施す段階と、この段階の後、熱処理を施す段階と、この段階の後、線材タイプのアルミニウム合金導体電線の製作を完了する段階と、からなるアルミニウム合金導体電線の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
前述したように、本発明は、アルミニウム合金導体電線に添加される最適の組成元素と組成含量(重量%)を新規に確立し、且つアルミニウム合金導体電線に対する好適な製造技術も確立することで、優れた引張強度(機械的強度)及び電気伝導度を持つアルミニウム合金導体電線を期待することができる。
【0013】
また、本発明のアルミニウム合金導体電線は、優れた電気伝導度と引張強度(機械的強度)を持っており、とりわけ優れた電気伝導度と振動に対する引張強度(機械的強度)が格別に要求される自動車用電線として好適であり、自動車用電線として使用した際に有用な効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1−a】本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Si(珪素)の含量(重量%)による引張強度と電気伝導度の変化を示すグラフである。
【図1−b】本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Zn(亜鉛)の含量(重量%)による引張強度と電気伝導度の変化を示すグラフである。
【図1−c】本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Si(珪素)+Zn(亜鉛)の含量(重量%)による引張強度と電気伝導度の変化を示すグラフである。
【図2−a】本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Fe(鉄)+Cu(銅)+Mg(マグネシウム)+Si(珪素)+Zn(亜鉛)+その他(不純物)の含量(重量%)による引張強度と延伸率の変化を示すグラフである。
【図2−b】本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Fe(鉄)+Cu(銅)+Mg(マグネシウム)+Si(珪素)+Zn(亜鉛)+その他(不純物)の含量(重量%)による電気伝導度の変化を示すグラフである。
【図3】本発明によるアルミニウム導体電線を概略的に示す図である。
【図4】本発明によるアルミニウム合金導体電線の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるアルミニウム合金導体電線及びその製造方法に関する好適な実施例について詳しく説明することにする。
【0016】
本発明によるアルミニウム合金導体電線は、Al(アルミニウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Si(珪素)、Zn(亜鉛)を組成元素とし、これらの組成含量(重量%)は、下式1及び2を満足する。
【数1】

【数2】

【0017】
本発明によるアルミニウム合金導体電線では、Fe(鉄)、Cu(銅)の添加含量(重量%)が制限される。これに関して、下表1において、本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Fe(鉄)の含量(重量%)とCu(銅)の含量(重量%)及びFe(鉄)+Cu(銅)の含量(重量%)による引張強度と電気伝導度の変化を表している。
【表1】

【0018】
実験データである上表1から分かるように、Fe(鉄)+Cu(銅)の添加含量(重量%)が0.15(重量%)である場合、Fe(鉄)の添加含量(重量%)が0.05(重量%)以上0.10(重量%)以下で、Cu(銅)の添加含量(重量%)が0.10(重量%)以下0.05(重量%)以上であるときに、優れた電気伝導度及び引張強度(機械的強度)を示し、満足する結果が得られた。
【0019】
また、Fe(鉄)+Cu(銅)の添加含量(重量%)が1.00(重量%)である場合、Fe(鉄)の添加含量(重量%)が0.05(重量%)以上0.95(重量%)以下で、Cu(銅)の添加含量(重量%)が0.95(重量%)以下0.05(重量%)以上であるときに、優れた電気伝導度及び引張強度(機械的強度)を示し、満足する結果が得られた。
【0020】
また、Fe(鉄)+Cu(銅)の添加含量(重量%)が1.50(重量%)である場合、Fe(鉄)の添加含量(重量%)が1.00(重量%)以下0.50(重量%)以上で、Cu(銅)の添加含量(重量%)が0.50(重量%)以上1.00(重量%)以下であるときに、優れた電気伝導度及び引張強度(機械的強度)を示し、満足する結果が得られた。
【0021】
したがって、引張強度(機械的強度)と電気伝導度をいずれも安定して確保するためには、Fe、Cuの添加含量(重量%)とFe+Cuの添加含量(重量%)が上記式1、2を満足することが好ましいといえる。
【0022】
本発明によるアルミニウム合金導体電線では、Fe(鉄)、Mg(マグネシウム)の添加含量(重量%)が制限される。これに関し、下表2において、本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Fe(鉄)の含量(重量%)とMg(マグネシウム)の含量(重量%)及びFe(鉄)+Mg(マグネシウム)の含量(重量%)による引張強度と電気伝導度の変化を表している。
【表2】

【0023】
実験データである上表2から分かるように、Fe(鉄)+Mg(マグネシウム)の添加含量(重量%)が0.15(重量%)である場合、Fe(鉄)の添加含量(重量%)が0.05(重量%)以上0.11(重量%)以下で、Mg(マグネシウム)の添加含量(重量%)が0.10(重量%)以下0.04(重量%)以上であるときに、優れた電気伝導度及び引張強度(機械的強度)を示し、満足する結果が得られた。
【0024】
また、Fe(鉄)+Mg(マグネシウム)の添加含量(重量%)が1.00(重量%)である場合、Fe(鉄)の添加含量(重量%)が0.05(重量%)以上0.96(重量%)以下で、Mg(マグネシウム)の添加含量(重量%)が0.95(重量%)以下0.04(重量%)以上であるときに、優れた電気伝導度及び引張強度(機械的強度)を示し、満足する結果が得られた。
【0025】
また、Fe(鉄)+Mg(マグネシウム)の添加含量(重量%)が1.50(重量%)である場合、Fe(鉄)の添加含量(重量%)が1.00(重量%)以下0.50(重量%)以上で、Mg(マグネシウム)の添加含量(重量%)が0.50(重量%)以上1.00(重量%)以下であるときに、優れた電気伝導度及び引張強度(機械的強度)を示し、満足する結果が得られた。
【0026】
したがって、引張強度(機械的強度)と電気伝導度をいずれも安定して満足するためには、Fe、Mgの添加含量(重量%)とFe+Mgの添加含量(重量%)が上記式1、2を満足することが好ましいといえる。
【0027】
本発明によるアルミニウム合金導体電線では、Si(珪素)、Zn(亜鉛)の添加含量(重量%)が制限される。これに関し、図1−aに、本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Si(珪素)の含量(重量%)による引張強度と電気伝導度の変化を示すグラフが図示されており、図1−bには、本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Zn(亜鉛)の含量(重量%)による引張強度と電気伝導度の変化を示すグラフが図示されており、図1−cには、本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Si(珪素)+Zn(亜鉛)の含量(重量%)による引張強度と電気伝導度の変化を示すグラフが図示されている。
【表3】

【0028】
実験データである上表3と、図1−a〜図1−cに示されたグラフから分かるように、Si(珪素)の添加含量(重量%)が0.001(重量%)未満であるか、Zn(亜鉛)の添加含量(重量%)が0.001(重量%)未満であるとき、優れた電気伝導度が得られたものの、引張強度(機械的強度)はよくない。
【0029】
そして、Si(珪素)+Zn(亜鉛)の添加含量(重量%)が0.002(重量%)未満であるときは、優れた電気伝導度が得られたものの、引張強度(機械的強度)はよくない。
【0030】
これとは逆に、Si(珪素)添加含量(重量%)が0.03(重量%)を超えているか、Zn(亜鉛)添加含量(重量%)が0.04(重量%)を超えているときは、高い引張強度(機械的強度)が得られたものの、電気伝導度はよくない。
【0031】
そして、Si(珪素)+Zn(亜鉛)の添加含量(重量%)が0.05(重量%)を超えているときは、電気伝導度がよくない。
【0032】
したがって、引張強度(機械的強度)と電気伝導度をいずれも安定して満足するためには、Si(珪素)、Zn(亜鉛)の添加含量(重量%)が上記式1、2を満足することが好ましいといえる。
【0033】
さらには、優れた引張強度(機械的強度)及び電気伝導度に関するアルミニウム合金導体電線の組成含量(重量%)として、実験データである下表4、図2−a及び図2−bから分かるように、式3と4を満足することが最も好ましい。
【0034】
図2−aには、本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Fe(鉄)+Cu(銅)+Mg(マグネシウム)+Si(珪素)+Zn(亜鉛)+その他(不純物)含量(重量%)による引張強度と延伸率の変化を示すグラフが図示されており、図2−bには、本発明によるアルミニウム合金導体電線における、Fe(鉄)+Cu(銅)+Mg(マグネシウム)+Si(珪素)+Zn(亜鉛)+その他(不純物)含量(重量%)による電気伝導度の変化を示すグラフが図示されている。
【表4】

【数3】

【数4】

【0035】
実験データである上表4と、図2−a及び図2−bに示されたグラフから分かるように、引張強度、延伸率、電気伝導度をいずれも満足する1次領域としては、式2で表すようにFe(鉄)+Cu(銅)+Mg(マグネシウム)+Si(珪素)+Zn(亜鉛)+その他(不純物)の含量(重量%)が0.15(重量%)以上3.1(重量%)以下であることが好ましい。
【0036】
上記1次領域中において最も好ましい2次領域としては、式4で表すようにFe(鉄)+Cu(銅)+Mg(マグネシウム)+Si(珪素)+Zn(亜鉛)+その他(不純物)の含量(重量%)が0.15(重量%)以上2(重量%)以下であることが最適である。
【0037】
例えば、Fe(鉄)+Cu(銅)+Mg(マグネシウム)+Si(珪素)+Zn(亜鉛)+その他(不純物)の含量(重量%)が0.15(重量%)未満である場合は、引張強度(機械的強度)がよくない。
【0038】
これとは逆に、Fe(鉄)+Cu(銅)+Mg(マグネシウム)+Si(珪素)+Zn(亜鉛)+その他(不純物)の含量(重量%)が3.1(重量%)を超えている場合は、電気伝導度と延伸率がよくない。
【0039】
図3は、本発明によるアルミニウム合金導体電線における、アルミニウム合金粒子の横長と縦長を概略的に示す概路図である。
【0040】
同図に示すように、加工済みアルミニウム合金導体電線において長さ方向に配列されるアルミニウム合金粒子の横長(a)と縦長(b)との割合を測定した値が下式5を満足しなければならず、さらに、粒子の分布範囲は、単位面積(0.01mm=100μm×100μm)内に45〜80%の範囲で分布されることが好ましい。より好ましくは、50%〜70%の範囲である。
【数5】

【0041】
下表5には、前述した粒子の横長(a)と縦長(b)との割合を測定した値と、分布範囲(%)による引張強度、延伸率の変化を表している。
【表5】

【0042】
例えば、アルミニウム合金導体電線を引張強度が10〜20kgf/mm、延伸率が15〜35%を満足しなければならない自動車用電線として使用する際、式5及び分布範囲外のアルミニウム合金導体電線では引張強度と延伸率の両方を満足することができず、破断が生じ、その結果、不満足な結果が得られるようになる。
【0043】
図4は、本発明によるアルミニウム合金導体電線の製造方法を示すフローチャートである。
【0044】
同図に示すように、アルミニウム合金導体電線の製造方法では、先ず、Al(アルミニウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Si(珪素)、Zn(亜鉛)を組成元素とする合金素材を準備する段階(10)と、この段階(10)の後、冷間状態で目的とする形状(例えば、棒状)及び外径の加工を施す段階(20)と、この段階(20)の後、伸線ドローイングを施す段階(30)と、この段階(30)の後、300℃〜500℃で熱処理を施す段階(40)と、この段階(40)の後、線材タイプのアルミニウム合金導体電線の製作を完了する段階(50)と、からなる。
【0045】
参考として、上記段階(30)における伸線ドローイングは、例えば鋼線・鉄線を作るとき、ダイの穴から引き抜いて目的とする形状や寸法の線を作る加工法である。
【0046】
下表6には、上記熱処理段階(40)を施す際の熱処理温度による引張強度、延伸率、電気伝導度の変化を表している。
【表6】

【0047】
実験データである表6から分かるように、熱処理温度を300℃〜500℃としたときの引張強度、延伸率、電気伝導度が最も好適な特性を示している。
【0048】
一方、加工済みアルミニウム合金導体電線の単位面積(0.01mm=100μm×100μm)における粒子の境界及び粒子の内部に析出物(組成元素間化合物)が析出される。
【表7】

【0049】
実験データである上表7から分かるように、前記のように発生する析出物は、ストレスを受けたときにクラックを生じさせる原因として作用する。
【0050】
したがって、上記析出物の直径が1μm以上50μm以下であり且つ分布範囲が5%を超える場合、引張強度または延伸率が低下する。そのため、振動が伝わるところに設置すると、クラックや破断が生じやすくなる。
【0051】
また、析出物の直径が50μmを超える場合、分布範囲に関係なく引張強度や延伸率がよくなく、振動が伝わるところに設置すると、クラックや破断が生じるようになる。
【0052】
特に、アルミニウム合金導体電線を引張強度が10〜20kgf/mm、延伸率が15〜35%を満足しなければならない自動車用電線として使用する際、表7の範囲を外れるアルミニウム合金導体電線は、引張強度と延伸率の両方を満足することができず、破断が生じ、その結果、不満足な結果が得られるようになる。
【0053】
したがって、振動が伝わるところに設置する場合は、上記析出物の直径範囲は1μm以上50μm以下であればよく、該析出物は、単位面積(0.01mm=100μm×100μm)当たり面積率5%以下に存在することが好ましい。
【0054】
以上、添付図面に示された本発明の具体的な実施例を詳細に説明したが、これは一つの例示に過ぎないものであり、本発明の保護範囲がこれらに限定されるものではない。また、以上のような本発明の実施例は本発明の技術的思想内で当該分野における通常の知識を有する者によって種々の変形及び均等な他の実施が可能であり、かかる変形及び均等な他の実施例は本発明の特許請求の範囲に属することは当然である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金導体電線において、
前記アルミニウム合金導体電線は、Al(アルミニウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Si(珪素)、Zn(亜鉛)の組成元素とその他(不純物)を含んでなることを特徴とするアルミニウム合金導体電線。
【請求項2】
前記Al(アルミニウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Si(珪素)、Zn(亜鉛)の組成含量(重量%)とその他(不純物)の含量(重量%)は、下式1、2を満足することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金導体電線。
【数1】

【数2】

【請求項3】
前記Al(アルミニウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Si(珪素)、Zn(亜鉛)に対する組成含量(%)とその他(不純物)の含量(重量%)は、下式3、4を満足することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金導体電線。
【数3】

【数4】

【請求項4】
前記アルミニウム導体電線は、引張強度が10〜20kgf/mm、延伸率が15〜35%、電気伝導度が55〜62%であるIACSを有し、
前記アルミニウム合金導体電線において長さ方向に配列されるアルミニウム合金粒子の横長と縦長との割合を測定した値が下式5を満足し、その粒子の分布範囲は、単位面積(0.01mm=100μm×100μm)に45〜80%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金導体電線。
【数5】

[前記式中、aは粒子の横長を表し、bは粒子の縦長を表す。]
【請求項5】
アルミニウム合金導体電線の製造方法において、
Al(アルミニウム)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Si(珪素)、Zn(亜鉛)を組成元素とした合金素材を準備する段階と、
冷間状態で目的とする形状及び外径の加工を施す段階と、
伸線ドローイングを施す段階と、
熱処理を施す段階と、
線材タイプのアルミニウム合金導体電線の製作を完了する段階と、
からなることを特徴とするアルミニウム合金導体電線の製造方法。
【請求項6】
前記熱処理を施す段階における熱処理温度は300℃〜500℃であることを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム合金導体電線の製造方法。
【請求項7】
前記アルミニウム合金導体電線の製作を完了する段階における、アルミニウム合金粒子の単位面積(0.01mm=100μm×100μm)に存在する析出物は、その直径範囲が1μm以上50μm以下であり、該析出物は、単位面積(0.01mm=100μm×100μm)当たり面積率5%以下に存在することを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム合金導体電線の製造方法。

【図1−a】
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【図1−b】
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【図1−c】
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【図2−a】
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【図2−b】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−1813(P2012−1813A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130583(P2011−130583)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(505297002)エルエス ケーブル リミテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】LS Cable Ltd.
【Fターム(参考)】