アルミニウム微粒子分散フィルムおよびその形成用組成物並びに形成方法
【課題】電子デバイス、光学デバイスとして適用することができる、Al微粒子分散フィルム、Alを配線とするパターンフィルム、Al膜ミラーとしたミラーフィルムを提供する。
【解決手段】アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体及びフィルム形成能を有するポリマー成分を含有するアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物を準備し、それから形成したフィルムを熱処理や光照射することにより、上記フィルムが製造される。
【解決手段】アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体及びフィルム形成能を有するポリマー成分を含有するアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物を準備し、それから形成したフィルムを熱処理や光照射することにより、上記フィルムが製造される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムマトリックス中に金属アルミニウム微粒子が均一に分散されたフィルム、それを製造するための前駆組成物および上記前駆組成物から上記フィルムを形成する方法に関する。さらに詳しくは、電子デバイス、光学デバイス、ミラーなどに好適に用いることができるアルミニウム微粒子分散フィルム、そのための前駆組成物並びにその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス実装分野において、相互に離間して配置された接続端子(電極)を電気的に接続する方法として各種の方法が用いられている。一般的な電極の接続方法として半田付けの方法があるが、この場合、小ピッチの接続端子の接続に難点があり、また接続端子の半田濡れ性が要求され、さらに高温接続によるため耐熱性の絶縁基板であることが要求される。また、金線により電極を接続する方法いわゆるワイヤボンディングが知られているが、この場合も、さらに微細化した電極の接続には限界があることが知られている。特に微細な電極の接続方法として、例えば、ベア・チップLSIの電極とプリント配線基盤の電極を張り合わせて接続する方法、いわゆるフリップチップ実装が、ノートパソコンや携帯型ワープロ、PCMCIAカードなどに採用されている。このように、各種電子機器に対しては小型化の要求が強く、小型化しても機能が低下することのないようにする必要があり、またサイズは変わらなくても高機能化するために、内蔵する回路基板およびLSIチップをさらに小型化すると共に回路を高密度化することが望まれている。しかしながら、単に高密度化しただけでは接続不良や断線さらには横導通が起こりやすく、製造時非信頼性(不良率)や使用時非信頼性(故障率)が高いと言った問題があった。
【0003】
このような問題点を解決するために電極間に導電性微粒子、異方導電性微粒子を介在させた電気回路基板が知られている。さらに電極を接続するとともに電極基板間距離を一定に保つ必要がある場合、例えば液晶表示装置における液晶表示素子あるいはシール部などの上下導通用に導電性微粒子が用いられている。このような導電性粒子としては金、銀、ニッケルなどの金属粒子が用いられることがあるが、形状が不均一であったり、バインダー樹脂に比べて比重が大きく導電性ペースト中で沈降したり均一に分散させることが困難であるため、接続の信頼性に欠けるという欠点があった。
【0004】
更に、高密度化するための微細電極の形成には、フォトリソグラフィー技術が一般的に使用されているが、このためには、パターン設計装置、露光装置、現像装置、エッチング装置、洗浄・乾燥装置といった装置が必要となり設備投資がかさむ他、試作段階のように少量の製造においてもこのような装置を通す為の材料、すなわちパターンマスク、レジスト、現像液、エッチング液、洗浄液が必要となる他、マスクの作製や工程を流す時間も必要になる。近年製品開発のサイクルが短くなるにあたり、開発試作の短期化や製造個数も少量化しているため、このように工程に時間とコストがかかることが課題となっている。
【0005】
一方、電極や端子に使用される金属は、メッキ工程、蒸着工程、スパッタ工程等の成膜技術によって形成されているが、これらは基板のサイズによって装置サイズが決まるといってもよく、どの様なサイズの物をどれだけ作るかによって製造装置を選定することになる。しかし様々なサイズに対応させることやコスト低減を考慮すると、装置サイズは一番大きな基板に対応できるサイズを選ぶことになり、この場合一般に大きな基板サイズに対応できる製造装置は高価である上に、稼動においては、決ったサイズ・形の物を多量に処理するには良いが、前記のように試作や少量製造の場合には材料が無駄となり、また機種の切替えに労力が掛かる等課題が多い。
【0006】
本発明者らは先に高真空装置を要しない金属アルミニウム膜の形成方法として、アミン化合物と水素化アルミニウムの錯体(以下、「アラン・アミン錯体」と称する)を前駆体として、熱処理及び/又は光処理でアルミニウム膜を形成する方法を開示している(特許文献1参照)。本発明者らは、本材料について更に鋭意検討した結果、上記アラン・アミン錯体の前駆体をポリマーに分散することにより取り扱い易くできることを見出し、本フィルムを光及びまたは熱処理を施すことによりポリマーマトリックス内で金属アルミニウムに変換させ、金属アルミニウム微粒子をポリマーマトリックス中に均一分散した導電性を有するフィルムを形成できることを見出した。
【特許文献1】特開2002−338891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、その目的は、アルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物、フィルム化した該組成物アルミニウム微粒子分散フィルムを形成する方法ならびに当該アルミニウム微粒子分散フィルムを提供することにある。本発明により形成されたパターン形成フィルム、鏡面フィルム(ミラー)は、電子デバイス、光学デバイス他に応用することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属アルミニウムへの変換可能なアラン・アミン錯体をポリマー中に分散した溶液をフィルム成膜した後、光及びまたは熱処理を施すことによりポリマーマトリックス中で金属アルミニウムを形成させ、更に該アルミニウムが微粒子状態で存在し安定なフィルムを形成することができ、導電性を付与すること並びに鏡面を作ることができる。これによってAl微粒子分散フィルム、Alを配線とするパターンフィルム、Al膜をミラーとしたミラーフィルムが作製できる。これらを電子デバイス、光学デバイスとして適用することができるとともに、真空装置を用いずともAl膜を作ること、真空成膜が困難な曲面、複雑な形状にもAl膜が形成可能となり、またAl膜を加工してできる配線においても薬液など使用せずに容易に形成が可能となり、過大な設備投資が不要となる上、少量製造にも対応が容易となる。よって、材料の無駄が省け環境負荷が低減する共にコスト削減にも寄与することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体及びフィルム形成能を有する樹脂成分を含有することを特徴とするアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物によって達成される。
【0010】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、上記組成物をフィルム化する工程と、該フィルムに、光または熱処理を施すことによりフィルム内部にアルミニウム微粒子を生成させる工程からなることを特徴とするアルミニウム微粒子分散フィルムの形成方法によって達成される。
【0011】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第3に、上記方法で製造されたアルミニウム微粒子分散フィルムによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
先ず、本発明に用いられるアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物について説明する。
本発明方法で使用される錯体は、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体である。ここで、水素化アルミニウム(しばしば慣用的に「アラン」と呼ばれる。)はアルミニウムと水素原子とからなる化合物であり、一般的にはAlH3で表される。本発明で使用される錯体(以下アラン・アミン錯体という)は、J.K.Ruffら、J.Amer.Chem.Soc.,82巻,2141ページ,1960年、G.W.Fraserら、J.Chem.Soc.,3742ページ,1963年、J.L.Atwoodら、J.Amer.Chem.Soc.,113巻,8183ページ,1991年等の方法に準じて合成できる。本発明方法で使用されるアラン・アミン錯体を構成するアミン化合物としては、例えば下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
R1R2R3N ・・・(1)
(ここで、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基又はアリール基である。)
【0013】
式(1)中、R1、R2及びR3の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基の如き飽和アルキル基、メタアリル基の如き不飽和基を有するアルケニル基、フェニルエチニル基の如きアルキニル基、シクロプロピル基の如き環式アルキル基、フェニル基、ベンジル基の如きアリール基を有する基などを好適に使用することができる。またこれらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基は直鎖状でもよく環状でもよくまた分岐していてもよい。
【0014】
式(1)で示されるアミン化合物の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリシクロプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリ−2−メチルブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、ジメチルフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジイソブチルフェニルアミン、メチルジフェニルアミン、エチルジフェニルアミン、イソブチルジフェニルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジオクチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、イソブチルフェニルアミン、メチルメタクリルアミン、メチル(フェニルエチニル)アミン、フェニル(フェニルエチニル)アミン、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、シクロプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、2−メチルブチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミンを挙げることができる。
【0015】
本発明で使用されるアミン化合物としては、さらに、例えばエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,7−ジメチル−1,4,7−トリアザヘプタン、1,7−ジエチル−1,4,7−トリアザヘプタン、トリエチレンテトラアミン、フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノベンゼン、1−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)、1−アザシクロヘキサン、1−アザ−シクロヘキサン−3−エン、N−メチル−1−アザシクロヘキサン−3−エン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピペラジン、N,N’,N”−トリメチル−1,3,5−トリアザ−シクロヘキサン等を挙げることができる。これらのアミン化合物は、単独でも、あるいは2種以上を混合して使用することもできる。これらアラン・アミン錯体は、媒体に溶解あるいは懸濁した組成物として用いられる。アラン・アミン錯体の溶液の濃度は、好ましくは0.1〜50重量%である。所望の膜厚に応じて適宜調整することができる。
【0016】
本発明の組成物に使用されるフィルム形成用ポリマーは、アラン・アミン錯体に対して無活性なポリマー例えば炭化水素系ポリマーである。具体的にはポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメチルペンテン、ポリパラフェニレン、スチレン・ブタジエン共重合体、ノルボルネンの付加重合体、ノルボルネンの開環重合体などを用いることができる。
これらのポリマーは複数種混合して用いることもできる。
【0017】
本発明の組成物は、好ましくは溶液として用いられる。使用される溶媒は、上記ポリマーを溶解しアミン・アラン錯体と反応しないものであればよい。例えば、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、シクロオクタン、デカン、シクロデカン、ジシクロペンタジエン水素化物、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、ノルボルナン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系溶媒を用いることができる。これらのうち、溶解性と該溶液の安定性の点で炭化水素系溶媒または炭化水素系溶媒とエーテル系溶媒との混合物を用いるのが好ましい。これらの溶媒は、単独でも、あるいは2種以上の混合物としても使用することができる。
本発明におけるアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは0.1〜100重量%であり、より好ましくは10〜80重量%である。所望の導電性膜の膜厚に応じて適宜調製することができる。
【0018】
本発明のアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物は必要に応じてアルミニウム以外の金属粒子を併用することができる。その具体例としては錫、銅、銀、金、白金、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、鉄、ニオビウム、チタン、ケイ素、インジウム等の金属または/および半導体を挙げることができる。これらの粒子は単独であるいは2種以上組合せて用いられる。これら金属粒子は、一般に市販されている金属粒子をそのまま、または酸やアルカリで表面酸化物を除去して用いることができる。表面酸化物を除去する酸やアルカリは、表面処理に付す金属の種類に依存する。特に限定されるものではないが、例えば塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸等の無機酸およびこれら酸の水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリの水溶液を用いることができる。金属粒子の粒子径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。金属粒子との使用割合は、ポリマー100重量部に対し、金属粒子の量が、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.05〜80重量部である。金属粒子の量が、0.01重量部より低いと密度の高い膜が得られないことがあり、100重量部より高いと溶液の安定性が得られ難いことがある。本発明のアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物の溶液は、導電性を調製するために、必要に応じて酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素などの金属酸化物の微粒子などと適宜混合して使用することができる。
【0019】
本発明に用いられるアラン・アミン錯体、ポリマーおよび溶媒からなるアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物の製造方法は特に限定されるものではない。例えばアミン化合物と水素化アルミニウム化合物との錯体溶液中に、攪拌しながら所定量のポリマー溶液を添加して調製される。添加するときの温度は、好ましくは0〜50℃、より好ましくは5〜30℃であり、攪拌する時間は、好ましくは0.1〜120分間、より好ましくは0.2〜60分間である。
【0020】
アルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物は、溶液の塗布対象物への濡れ性を良好にし、塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などを防止するため、目的の機能を損なわない範囲で、必要に応じて、フッ素系、シリコーン系、非イオン系界面活性剤などの表面張力調節剤を少量添加することができる。添加することのできる非イオン系界面活性剤としては、フッ化アルキル基もしくはパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤、またはオキシアルキル基を有するポリエーテルアルキル系界面活性剤を挙げることができる。
【0021】
前記フッ素系界面活性剤としては、例えばC9F19CONHC12H25、C8F17SO2NH−(C2H4O)6H、C9F17O(プルロニックL−35)C9F17、C9F17O(プルロニックP−84)C9F17などを挙げることができる。(ここで、プルロニックL−35:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量1,900;プルロニックP−84:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量4,200)などを挙げることができる。これらのフッ素系界面活性剤の具体例としては、エフトップEF301、同EF303、同EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)、フロラードFC−170C、同FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、BM−1000、同1100(B.M−Chemie社製)、Schsego−Fluor(Schwegmann社製)などを挙げることがでる。
【0022】
またポリエーテルアルキル系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーなどを挙げることができる。これらのポリエーテルアルキル系界面活性剤の具体例としては、エマルゲン105、同430、同810、同920、レオドールSP−40S、同TW−L120、エマノール3199、同4110、エキセルP−40S、ブリッジ30、同52、同72、同92、アラッセル20、エマゾール320、ツィーン20、同60、マージ45(いずれも(株)花王製)、ノニボール55(三洋化成(株)製)などを挙げることができる。上記以外の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などがあり、具体的にはケミスタット2500(三洋化成工業(株)製)、SN−EX9228(サンノプコ(株)製)、ノナール530(東邦化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0023】
かくして得られたアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物を基板上に塗布してアラン・アミン錯体を含有するフィルムを形成する。基板の材質、形状等は特に制限はないが、材質は次工程の熱処理に耐えられるものが好ましく、また塗膜を形成する基板は平面でもよく段差のある非平面でもよく、その形態は特に限定されるものではない。これらの基板の材質の具体例としては、ガラス、金属、プラスチック、セラミックスなどを挙げることができる。ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、鉛ガラスが使用でき、金属としては例えば金、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼などが使用できる。また、プラスチックとしては、例えばポリイミド、ポリエーテルスルホン等を挙げることができる。さらにこれらの材質形状はバルク形状、板状、フィルム形状などで特に制限されるものではない。また、上記溶液の塗布に際しては、塗布方法は特に限定されず、例えばスピンコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、インクジェット、印刷法などにより実施することができる。塗布は1回で、または複数回、重ね塗りすることもできる。
【0024】
また、本発明において、上記基板は、Ti、PdおよびAlよりなる群から選ばれる金属原子の有機金属化合物を含有する溶液で予め塗布された該有機金属化合物からなる塗膜(下地層)を有する基板として用いることもできる。このような下地層を有することにより、基板とアルミニウム膜との接着が安定に保持される。
Ti原子を含む有機金属化合物としては、例えばチタニウムアルコシド、アミノ基を含有するチタニウム化合物、β−ジケトンとのチタニウム錯体、シクロペンタジエニル基を含有するチタニウム化合物、ハロゲン基を含有するチタニウム化合物等を挙げることができる。
【0025】
Pd原子を含む有機金属化合物としては、例えばハロゲン基を有するパラジウム錯体、アセテート類、β−ジケトンとのパラジウム錯体、共役カルボニル基を有する化合物とのパラジウム錯体、ホスフイン系Pd錯体、アルミニウムアルキレート、β−ジケトンとのアルミニウム錯体等を挙げることができる。また、Al原子を含む有機金属化合物としては、アラン−アミン錯体を除く、例えばアルミニウムアルコキシド、アルミニウムアルキレート、β−ジケトンとのアルミニウム錯体等を挙げることができる。かかる有機金属化合物としては、例えばチタニウムメトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウム−n−プロポキシド、チタニウム−n−ノニルオキシド、チタニウムステアリルオキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウム−n−ブトキシド、チタニウムイソブトキシド、チタニウム−t−ブトキシド、チタニウムテトラキス(ビス−2,2−(アリルオキシメチル)ブトキシド、チタニウムトリイソステアロイルイソプロポキシド、チタニウムトリメチルシロキシド、チタニウム−2−エチルヘキソキシド、チタニウムメタクリレートトリイソプロポキシド、(2−メタクリルオキシエトキシ)トリイソプロポキシチタネート、チタニウムメトキシプロポキシド、チタニウムフェノキシド、チタニウムメチルフェノキシド、ポリ(ジブチルチタネート)、ポリ(オクチレングリコールチタネート)、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキシド、チタニウムトリメタクリレートメトキシエトキシエトキシド、チタニウムトリス(ジオクチルピロホスフェート)イソプロポキシド、チタニウムラクテートの如きチタニウムアルコシド;テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)チタニウムの如きアミノ基を含有するチタニウム化合物;チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)チタニウム、チタニウムオキシドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキシド(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムメタクリルオキシアセトアセテートトリイソプロポキシド、チタニウムジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、ジ(iso−プロポキシド)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)チタニウム、チタニウムアリルアセトアセテートトリイソプロポキシドの如きβ−ジケトンとのチタニウム錯体;チタノセンジクロライド、(トリメチル)ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウム、ジメチルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムの如きシクロペンタジエニル基を含有するチタニウム化合物;インデニルチタニウムトリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキシド、トリクロロトリス(テトラヒドロフラン)チタネート、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)チタニウム、チタニウムクロライドトリイソプロポキシド、チタニウムイオダイドトリイソプロポキシド、チタニウムジクロライドジエトキシド、ジクロロビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)チタニウム、テトラクロロビス(シクロヘキシルメルカプト)チタニウム、塩化チタニウムの如きハロゲン原子を含有するチタニウム化合物;塩化パラジウム、アリルパラジウムクロライド、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウムの如きハロゲン原子を有するパラジウム錯体;パラジウムアセテートの如きアセテート類;パラジウム2,4−ペンタンジオネート、パラジウムヘキサフルオロペンタンジオネートの如きβ−ジケトンとのパラジウム錯体;ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムの如き共役カルボニル基を有する化合物とのパラジウム錯体;ビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフイノ)エタン]パラジウム、ビス(トリフェニルホスフイン)パラジウムクロライド、ビス(トリフェニルホスフイン)パラジウムアセテート、ジアセテートビス(トリフェニルホスフイン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフイン)エタン]パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフイン)パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフイン)パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフイン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフイン)パラジウムの如きホスフイン系Pd錯体;アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−s−ブトキシド、アルミニウム−t−ブトキシド、アルミニウムエトキシエトキシエトキシド、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムラクテートの如きアルミニウムアルコキシド;アルミニウムアセテート、アルミニウムアクリレート、アルミウムメタクリレート、アルミニウムシクロヘキサンブチレートの如きアルミニウムアルキレート;アルミニウム−2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、アルミニウム−s−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ−s−ブトキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムジイソプロポキシドエチルアセトアセテートの如きβ−ジケトンとのアルミニウム錯体等を挙げることができる。
【0026】
これらのうちで、チタニウムイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、パラジウム−2,4−ペンタンジオネート、パラジウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム−2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネートを用いるのが好ましい。
【0027】
これらのTi、Pd、およびAlよりなる群から選ばれる金属原子の有機金属化合物の溶液に用いられる溶媒としては、それら単独でまたは水との混合溶媒として該有機金属化合物を溶解できる溶媒であれば何れの溶媒も使用することができる。これら溶媒としては、例えば水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルの如きエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノールの如きアルコール類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホアミド、γ−ブチロラクトンの如き非プロトン性極性溶媒を用いることができる。これら溶媒は、単独でまたは水との混合溶剤として用いることができる。
【0028】
これらの有機金属化合物の溶液の基板への塗布は、アミン・アラン錯体を含有するポリマー溶液を塗布する前記塗布方法と同様の方法で行うことができる。塗膜(下地層)の厚みは、溶媒除去後の膜厚として0.001〜10μmが好ましく、0.005〜1μmがさらに好ましい。厚すぎると膜の平坦性が得られ難く、薄すぎると基板または接する膜との密着性に劣ることがある。下地層は上記溶液を塗布したのち乾燥して溶媒を除去することによって形成される。
【0029】
本発明は、アラン・アミン錯体を含有するポリマー溶液を塗布して得られるポリマーフィルムを熱処理および/または光照射することによりアラン・アミン錯体を金属アルミニウム微粒子に変換する。熱処理の温度は、40℃以上とするのが好ましく、70℃〜150℃とするのがさらに好ましい。加熱時間は30秒から120分程度で十分である。また、熱処理または焼成する時の雰囲気はできる限り酸素のない且つ水素が存在する雰囲気中で行うのが好ましい。すなわち、良質の導電性膜を得ることができるので好ましい。上記焼成雰囲気の水素は、例えば窒素、ヘリウム、アルゴンなどとの混合ガスとして用いてもよい。また、アラン・アミン錯体を用いた溶液の塗布膜を光照射しアルミニウム膜を形成することもできる。光照射には、例えば低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノンの如き希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては一般には、10〜5,000Wの出力のものが用いられる。例えば100〜1,000Wで十分である。これらの光源の波長は特に限定されない。例えば170nm〜600nmである。また導電性膜の改質効果の点でレーザー光の使用が特に好ましい。これらの光照射時の温度は、例えば室温〜200℃である。また光照射に際しては、特定部位のみを照射するためにマスクを介して照射してもよい。好適な導電性膜の厚みは塗布方法、固形分濃度に依存して適宜変動するが、膜厚として0.01〜100μmが好ましく、0.05〜10μmがさらに好ましい。厚すぎると膜の平坦性が得られ難く、薄すぎると基板または接する膜との密着性に劣ることがある。
【0030】
かくして得られたアルミニウム微粒子分散フィルムは、上記工程の後、更に熱処理を行うのが好ましい。熱処理することにより膜密度が向上し、より電気的特性を向上することができる。
熱処理の温度は、100℃以上とするのが好ましく、150℃〜500℃とするのがさらに好ましい。加熱時間は30秒から120分程度で十分である。
【実施例】
【0031】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0032】
合成例1(アラン・アミン錯体の合成例)
トリエチルアミン20gのエチルエーテル(100ml)溶液に、5倍モルの塩化水素ガスをバブリングして反応させ、沈殿した塩をフィルターで濾別後、100mlのエチルエーテルで洗浄し乾燥させて24gのトリエチルアミン塩酸塩を合成した。得られたトリエチルアミン塩酸塩14gをテトラヒドロフラン500mlに溶解し、3.8gのリチウムアルミニウムハイドライドと500mlのエチルエーテルの懸濁液中へ窒素下室温で1時間かけ滴下した。滴下終了後更に6時間室温で反応させた。反応溶液を0.2μmのメンブレンフイルターで濾過し、濾液を窒素下で減圧濃縮し、濃縮中に析出した塩を0.2μmのメンブレンフイルターで濾別した。更に300mlのトルエンを添加後、溶媒を窒素下で飛散させ、減圧濃縮し、濃縮中に析出した塩を再度0.2μmのメンブレンフイルターで濾過して精製し、最終的にトルエンの留出がなくなるまで減圧を続け、液状のアラン−アミン錯体を得た。
【0033】
合成例2(フィルム用ポリマーの合成例)
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 750ミリモル(70.5 g)、エンド(endo)含有量が95%のトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン 475 ミリモル(63.6g)、5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 25ミリモル(6.4g)を溶媒としてシクロヘキサン562g、塩化メチレン141g、分子量調節剤としてスチレン 15.0ミリモルを2,000mlの反応容器に窒素下で仕込んだ。予めヘキサン溶液のオクタン酸Niを六フッ化アンチモン酸と−10℃でモル比1:1で反応させ、副生する沈殿したNi(SbF6)2を除去したのち、トルエン溶液で希釈したオクタン酸Niの六フッ化アンチモン酸変性体をNi原子として0.25ミリモル、メチルアルミノキサン2.50ミリモルおよび三フッ化ホウ素エチルエーテラート0.75ミリモルを仕込み、重合を行った。25℃で3時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。単量体の共重合体への転化率は90%であった。共重合体溶液に水660ml、乳酸47.5ミリモルを加えて、攪拌、混合して触媒成分と反応させ、共重合体溶液と水を静止分離した。触媒成分の反応物を含む水相を除去した共重合体溶液を3Lのイソプロピルアルコールに入れて共重合体を凝固し、未反応単量体と残る触媒残さを除去した。凝固した共重合体を乾燥し、共重合体Aを得た。共重合体溶液中の未反応単量体のガスクロマトグラフィー分析から、共重合体A中のトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エンに由来する構造単位の割合は35モル%であった。5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は2.0モル%であった。共重合体Aのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は142,000、重量平均分子量(Mw)は284,000で、Mw/Mnは2.0であった。また共重合体Aのガラス転移温度は390℃であった。
【0034】
共重合体A10gをシクロヘキサン45mL、n−ヘプタン5mLの混合溶媒に溶解して、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをいずれも、重合体100重量部に対して0.6重量部、架橋剤として、亜リン酸トリブチルを重合体100重量部に対して、0.05重量部を添加した。この重合体溶液を孔径10μmのメンブランフィルターで濾過し、異物を除去してコーティング剤を作製した。このコーティング剤を用いてキャストし、さらに150℃の水蒸気による架橋、塩化メチレンによる脱溶媒を行い、厚さ150μmのフィルムを得た。引っ張り強度は43MPa、伸びは7.8%であった。
【0035】
実施例1
重量平均分子量が50,000のポリスチレン20gをトルエン90gに溶解した溶液に、合成例1の方法で合成したアラン・アミン錯体10gを溶解してフィルム形成用組成物を調製し、アプリケーターを用いてガラス基板上に塗工した。これを50℃の熱風乾燥機に入れ溶媒を除去した後、基板から剥離することにより無色透明のアラン・アミン錯体が分散したポリスチレンフィルムを作製した。このフィルムの膜厚は10μmで、シート抵抗を測定したところ10MΩ/□以上であり、高絶縁体であった。このフィルムを150℃のホットプレートで加熱するとフィルムが灰色に変色した。加熱処理後のフィルムのシート抵抗を測定したところ95KΩ/□であった。このフィルムを顕微鏡観察したところ図1のようにアルミニム微粒子が均一に分散された状態であった。
【0036】
実施例2
実施例1に使用したポリスチレンを1,2−ポリブタジン(JSR(株)製RB830)に変え、その他は実施例1と同様のフィルム形成用組成物を調製した。図3はこれを用いてフィルムを製造する工程を説明した図である。このフィルム形成用組成物1を塗工するガラス基板を予めチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドの1%トルエン溶液に1時間浸漬した後に100℃で30分間および300℃で30分間乾燥させ親水性基板2を作製した。この基板2にアプリケーターを用いて100μm厚のフィルムを形成した(図3(a))。この後150℃のホットプレートにて、フィルム側から10分間加熱(図3(b))するか若しくはガラス基板側から、10分間加熱(図3(b’))した。この加熱3によってガラス基板側つまりチタニウム処理界面に優先的に反応が推進しAl膜4が析出した(図3(c))ため、このフィルムをガラス基板から剥離した(図3(d))ところ、アルミニムがポリマーとガラス基板の界面に集積し、ポリマーフィルムに強固に付着し、アルミニム膜の鏡面を有するフィルム6ができたことを確認した。アルミニム膜の比抵抗は6μΩcm、反射率は84%であり、導電性、反射率共極めて良好であった。なお、ここではガラス基板上に予めチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソポロポキシドを塗工したが、図3(a’)の様にチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを塗工若しくは分散したフィルム5をラミネートしてもよい。
【0037】
実施例3
実施例1に使用したポリスチレンに替わって、上記合成例2で得られたノルボルネンの付加重合ポリマーを用い、その他は実施例1と同様にしてフィルム形成用組成物を調製した。この溶液をテフロン(登録商標)処理を施したステンレス基板に塗工してアラン・アミン錯体を含有するポリマーフィルムを作製した。フィルムを剥離した後、フィルムのシート抵抗を測定したところ10MΩ/□以上の高抵抗フィルムであった。これを250℃で30分間加熱処理を施したところ、シート抵抗14KΩ/□の導電性を示した。この熱処理後のアルミニウム微粒子分散ポリマーフィルムの顕微鏡観察を行った。結果を図2に示す。アルミニウム微粒子が良好に分散されていることが分かる。
【0038】
実施例4
図4に実施例2で作製したフィルムの応用例を示す。実施例2と同様にチタニウム処理を施した基板2(図4(a))上にフィルム形成組成物1(図4(a))を形成したものを使用し、上方からレーザー12(YAGレーザー、出力100mW、ビーム幅2.5mm)を照射し反応を誘起させAl4を析出した。その後チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソポロポキシドを形成した裏面基板から剥がし、Alパターン膜が形成されたフィルム6(図4(b))を得た。このとき得られた配線幅は、200μmであった。
ここでは、レーザー印加によって反応を誘起したが、サーマルプリンタや配線型を熱圧着することで配線を書き込むことも可能である。例えば、サーマルプリンタの発熱体は、印字時に容易に200℃以上にすることができるため、上記150℃程度で反応が進行する本基板に適用してAlを析出させることが可能である。
なお、形成される配線幅は、本実施例で形成した幅に限定されるものではない。
【0039】
図5は、このようにして配線を形成したフィルム6を接続した例を示すものである。図5(a)は、ガラスエポキシ基板8上に配線7が形成された基板9に、配線を形成したフィルム6を接続することを表わしている。ガラスエポキシ基板上の配線7としては、銅箔上にニッケルと金の積層メッキを施したものを使用した。
図5(a’)は、同図(a)を別の角度から見たものである。ここでは、配線フィルムの端子は、配線ピッチ2mm、配線幅500μmとした。ガラスエポキシ基板側にも同ピッチにて幅800μmの端子を形成した。なお、この配線寸法は実施に際しての例でありこれに限定されるものではない。
配線フィルム6を位置合わせしたのち、ガラスエポキシ基板に圧力をかけて接触させ(図5(b)、5(b’))、シリコン樹脂10にて固定した。固定に際しては室温で樹脂硬化を行なった(図5(c)、5(c’))。配線フィルムの裏面は、Al配線がむき出しになっている為、ここでは同シリコン樹脂にて配線部を保護した。また接着に関してもこの例に限定されるものではなく、エポキシ樹脂を使用することや、配線部には例えばTACフィルムのような保護フィルム11を貼ってもよい(図5(d))。
【0040】
ここで配線パターンが形成されたフィルムに次のようにして電子部品を搭載することができる。図7(a)はAlが析出し配線形成されたフィルム6である。これに対し、先ず図7(b)のように電子部品(抵抗、コンデンサ、ICなど)が搭載される位置に端子が通る穴をパンティングで開ける。次に電子部品13、14をフィルムの上面、若しくは下面からリード端子15を通し(図7(c))、リードをかしめて固定した(図7(d))。このとき電子部品13ではリードが直接配線部に接触することで電気的接続を取っており、電子部品14では、予め電子部品本体裏面に接続部16を設けておき、接続部が配線に電気的に接触するようにすることができる。
【0041】
実施例5
チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを予め備えた配線形成用のフィルム5(図6(a))は、予めガラスエポキシ等の基板9にフィルム5を接着した(図6(b))後に配線パターンを形成することで準備することも可能である。図6は、このように、配線形成フィルムを接着した後に配線を形成することを示している。
チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを予め備えた配線形成用のフィルム5をガラスエポキシ基板9上にシリコン樹脂10で接着した(図7(c))のちにレーザー光の照射や、サーマルヘッドを走査して熱印加すると、反応が進行し、熱印加された部分のみにAlが析出する(図6(d))。この場合は後で配線を形成するので、配線形成用のフィルムをガラスエポキシ基板に接着する際に、ガラスエポキシ基板側のパターンと配線フィルムのパターンとの特別な位置あわせが必要ないという利点がある。配線形成はガラスエポキシ基板側のパターンを確認しながらレーザーやサーマルヘッドを走査すればよいからである。
なお、図6(e)の様に保護や補強を目的としたフィルム11を貼ってもよく、これは図5で説明したとおりである。また、保護や補強を目的としたフィルム11は、本実施例では後から貼ったが、フィルム形成組成物1(図4(a))、チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを予め備えた配線形成用のフィルム5(図6(a))に予め貼っておいてもよいことは言うまでもない。
【0042】
実施例6
次に本発明を用いた別の実施例を図8、9および10を用いて説明する。図8は本発明の配線形成用フィルムの反応を模式的に示した図である。
実施例1、2、3で開示した無色透明のアラン・アミン錯体分散したポリスチレンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ノルボルネン付加重合フィルム1は、熱3を印加することでアラン・アミン錯体からAl18を析出する(図8(b))。ここで、実施例1のように析出したAlはフィルム中に分散しているため、導体との観点から抵抗を考えるとその抵抗値は高い。そこで図9(a)のようにフィルムを発熱体19で両側から挟み熱を印加してAlを析出させる。アラン・アミン錯体はフィルム中に一様に分布しているため、Alの析出密度は同じであるが、熱印加と同時に圧力をかけて挟み込むと、挟まれた部分のみにAlが析出する上に、圧力をかけてフィルムを押し込んでいるため、析出するAlの量は同じでも挟まれてフィルム厚が薄くなった分、析出Alの密度が見かけ上増加し、より導電性が向上する(図9(b))。
ここでは、2.0mm幅の金属片でフィルムを上下から挟み、150℃の熱を5分間掛けたところ、シート抵抗が680Ω/□となり導電性が向上した。
【0043】
上記手法を用いて、フィルムを媒介して電子部品を取り付けることが可能である。図10(a)は、基板20上に、ガラスエポキシ基板等の基板9を置き、本発明の配線形成用フィルム1を間に挟んで、接続端子が吐出した電子部品17を基板9に対して位置決めしたのち、押しながら熱を印加した(図10(b))。このとき、熱印加は電子部品側から印加(図示せず)した。これは、端子部のみに熱が印加されるようにしたためで、基板20を温めると、基板9全体に熱がかかり配線形成用フィルムが端子部のみならず全体が反応し、端子間がショートするからである。
この後、基板、フィルム及び電子部品を固定するために接着剤を流し込んだ。
【0044】
実施例7
本発明のフィルムを用いた別の実施例を説明する。実施例2で形成したAl膜は、6μΩ・cmと抵抗が低いことからも分かるとおり、充分Al密度が高く表面は鏡面状態であった。このためこのフィルムは反射フィルムとしても使用することが可能である。図11はこの例を示した図である。チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを含んだフィルムを貼り合せたアラン・アミン錯体を含むフィルム5を基体20上にエポキシ系接着剤で接着した後150℃で5分間熱印加して反応させAl膜を形成して鏡とした。このとき基体は平面でも曲面でもかまわない。
チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドは内部にTiO2を含むため、TiO2の光触媒作用によって汚れを寄付け難い。そのため、チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドが表面に出てくるこのミラーは野外に設置しても汚れ難いという効果がある。また該フィルム6は、反応前は透明に近いので、基体に貼る際、基体の位置や張り合わせマーク等を容易に観察することができるため貼り合わせが容易になるという利点も持つ。また熱印加をしたところのみにAl膜が形成されるので、必要な部分のみをミラーに加工することも可能である。
更に、印加時間を短くすることによって、形成膜厚をコントロールすることが可能であり、例えば150℃1分の熱印加処理では、150Å程度の半透過膜を作製することも可能である。
【0045】
また基体をガラスとして、ガラス上にチタニウムビスを形成した後本発明のフィルムを貼り、その後熱印加してAl膜を形成すると容易にミラーができることは言うまでもない。この場合はチタニウムビスが表面に出てこないので、光触媒による自浄作用はない。
また実施例2の基体から剥がした鏡面Al膜の付いたフィルムを、UV樹脂で透明基板に貼りミラーとしてもよいことも言うまでもない。この例を図12に示した。ここでは、凸面の基体20に貼り付けた例で示した。尚、基体は、金属、樹脂等材質は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1で得られた本発明のフィルムの顕微鏡写真。
【図2】実施例3で得られた本発明のフィルムの顕微鏡写真。
【図3】実施例2における本発明のフィルムの製造法を説明する工程図。
【図4】実施例4における本発明のフィルムの応用例の説明図。
【図5】実施例4における本発明のフィルムの応用例の説明図。
【図6】実施例5における本発明のフィルムの製造法と応用を示す説明図。
【図7】実施例4における本発明のフィルムの応用例の説明図。
【図8】実施例6における本発明のフィルムの反応を説明する模式的説明図。
【図9】実施例6における本発明のフィルムの製造法の説明図。
【図10】実施例6における本発明のフィルムを電子部品に取付ける説明図。
【図11】実施例7における本発明のフィルムの鏡としての応用を示す説明図。
【図12】実施例7における本発明のフィルムの鏡としての応用を示す説明図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムマトリックス中に金属アルミニウム微粒子が均一に分散されたフィルム、それを製造するための前駆組成物および上記前駆組成物から上記フィルムを形成する方法に関する。さらに詳しくは、電子デバイス、光学デバイス、ミラーなどに好適に用いることができるアルミニウム微粒子分散フィルム、そのための前駆組成物並びにその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス実装分野において、相互に離間して配置された接続端子(電極)を電気的に接続する方法として各種の方法が用いられている。一般的な電極の接続方法として半田付けの方法があるが、この場合、小ピッチの接続端子の接続に難点があり、また接続端子の半田濡れ性が要求され、さらに高温接続によるため耐熱性の絶縁基板であることが要求される。また、金線により電極を接続する方法いわゆるワイヤボンディングが知られているが、この場合も、さらに微細化した電極の接続には限界があることが知られている。特に微細な電極の接続方法として、例えば、ベア・チップLSIの電極とプリント配線基盤の電極を張り合わせて接続する方法、いわゆるフリップチップ実装が、ノートパソコンや携帯型ワープロ、PCMCIAカードなどに採用されている。このように、各種電子機器に対しては小型化の要求が強く、小型化しても機能が低下することのないようにする必要があり、またサイズは変わらなくても高機能化するために、内蔵する回路基板およびLSIチップをさらに小型化すると共に回路を高密度化することが望まれている。しかしながら、単に高密度化しただけでは接続不良や断線さらには横導通が起こりやすく、製造時非信頼性(不良率)や使用時非信頼性(故障率)が高いと言った問題があった。
【0003】
このような問題点を解決するために電極間に導電性微粒子、異方導電性微粒子を介在させた電気回路基板が知られている。さらに電極を接続するとともに電極基板間距離を一定に保つ必要がある場合、例えば液晶表示装置における液晶表示素子あるいはシール部などの上下導通用に導電性微粒子が用いられている。このような導電性粒子としては金、銀、ニッケルなどの金属粒子が用いられることがあるが、形状が不均一であったり、バインダー樹脂に比べて比重が大きく導電性ペースト中で沈降したり均一に分散させることが困難であるため、接続の信頼性に欠けるという欠点があった。
【0004】
更に、高密度化するための微細電極の形成には、フォトリソグラフィー技術が一般的に使用されているが、このためには、パターン設計装置、露光装置、現像装置、エッチング装置、洗浄・乾燥装置といった装置が必要となり設備投資がかさむ他、試作段階のように少量の製造においてもこのような装置を通す為の材料、すなわちパターンマスク、レジスト、現像液、エッチング液、洗浄液が必要となる他、マスクの作製や工程を流す時間も必要になる。近年製品開発のサイクルが短くなるにあたり、開発試作の短期化や製造個数も少量化しているため、このように工程に時間とコストがかかることが課題となっている。
【0005】
一方、電極や端子に使用される金属は、メッキ工程、蒸着工程、スパッタ工程等の成膜技術によって形成されているが、これらは基板のサイズによって装置サイズが決まるといってもよく、どの様なサイズの物をどれだけ作るかによって製造装置を選定することになる。しかし様々なサイズに対応させることやコスト低減を考慮すると、装置サイズは一番大きな基板に対応できるサイズを選ぶことになり、この場合一般に大きな基板サイズに対応できる製造装置は高価である上に、稼動においては、決ったサイズ・形の物を多量に処理するには良いが、前記のように試作や少量製造の場合には材料が無駄となり、また機種の切替えに労力が掛かる等課題が多い。
【0006】
本発明者らは先に高真空装置を要しない金属アルミニウム膜の形成方法として、アミン化合物と水素化アルミニウムの錯体(以下、「アラン・アミン錯体」と称する)を前駆体として、熱処理及び/又は光処理でアルミニウム膜を形成する方法を開示している(特許文献1参照)。本発明者らは、本材料について更に鋭意検討した結果、上記アラン・アミン錯体の前駆体をポリマーに分散することにより取り扱い易くできることを見出し、本フィルムを光及びまたは熱処理を施すことによりポリマーマトリックス内で金属アルミニウムに変換させ、金属アルミニウム微粒子をポリマーマトリックス中に均一分散した導電性を有するフィルムを形成できることを見出した。
【特許文献1】特開2002−338891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、その目的は、アルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物、フィルム化した該組成物アルミニウム微粒子分散フィルムを形成する方法ならびに当該アルミニウム微粒子分散フィルムを提供することにある。本発明により形成されたパターン形成フィルム、鏡面フィルム(ミラー)は、電子デバイス、光学デバイス他に応用することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属アルミニウムへの変換可能なアラン・アミン錯体をポリマー中に分散した溶液をフィルム成膜した後、光及びまたは熱処理を施すことによりポリマーマトリックス中で金属アルミニウムを形成させ、更に該アルミニウムが微粒子状態で存在し安定なフィルムを形成することができ、導電性を付与すること並びに鏡面を作ることができる。これによってAl微粒子分散フィルム、Alを配線とするパターンフィルム、Al膜をミラーとしたミラーフィルムが作製できる。これらを電子デバイス、光学デバイスとして適用することができるとともに、真空装置を用いずともAl膜を作ること、真空成膜が困難な曲面、複雑な形状にもAl膜が形成可能となり、またAl膜を加工してできる配線においても薬液など使用せずに容易に形成が可能となり、過大な設備投資が不要となる上、少量製造にも対応が容易となる。よって、材料の無駄が省け環境負荷が低減する共にコスト削減にも寄与することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体及びフィルム形成能を有する樹脂成分を含有することを特徴とするアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物によって達成される。
【0010】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、上記組成物をフィルム化する工程と、該フィルムに、光または熱処理を施すことによりフィルム内部にアルミニウム微粒子を生成させる工程からなることを特徴とするアルミニウム微粒子分散フィルムの形成方法によって達成される。
【0011】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第3に、上記方法で製造されたアルミニウム微粒子分散フィルムによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
先ず、本発明に用いられるアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物について説明する。
本発明方法で使用される錯体は、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体である。ここで、水素化アルミニウム(しばしば慣用的に「アラン」と呼ばれる。)はアルミニウムと水素原子とからなる化合物であり、一般的にはAlH3で表される。本発明で使用される錯体(以下アラン・アミン錯体という)は、J.K.Ruffら、J.Amer.Chem.Soc.,82巻,2141ページ,1960年、G.W.Fraserら、J.Chem.Soc.,3742ページ,1963年、J.L.Atwoodら、J.Amer.Chem.Soc.,113巻,8183ページ,1991年等の方法に準じて合成できる。本発明方法で使用されるアラン・アミン錯体を構成するアミン化合物としては、例えば下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
R1R2R3N ・・・(1)
(ここで、R1、R2、R3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基又はアリール基である。)
【0013】
式(1)中、R1、R2及びR3の具体例としては、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基の如き飽和アルキル基、メタアリル基の如き不飽和基を有するアルケニル基、フェニルエチニル基の如きアルキニル基、シクロプロピル基の如き環式アルキル基、フェニル基、ベンジル基の如きアリール基を有する基などを好適に使用することができる。またこれらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基は直鎖状でもよく環状でもよくまた分岐していてもよい。
【0014】
式(1)で示されるアミン化合物の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−イソプロピルアミン、トリシクロプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリ−2−メチルブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、トリオクチルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、ジメチルフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジイソブチルフェニルアミン、メチルジフェニルアミン、エチルジフェニルアミン、イソブチルジフェニルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジオクチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、イソブチルフェニルアミン、メチルメタクリルアミン、メチル(フェニルエチニル)アミン、フェニル(フェニルエチニル)アミン、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、シクロプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、2−メチルブチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミンを挙げることができる。
【0015】
本発明で使用されるアミン化合物としては、さらに、例えばエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルエチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,7−ジメチル−1,4,7−トリアザヘプタン、1,7−ジエチル−1,4,7−トリアザヘプタン、トリエチレンテトラアミン、フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノベンゼン、1−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)、1−アザシクロヘキサン、1−アザ−シクロヘキサン−3−エン、N−メチル−1−アザシクロヘキサン−3−エン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピペラジン、N,N’,N”−トリメチル−1,3,5−トリアザ−シクロヘキサン等を挙げることができる。これらのアミン化合物は、単独でも、あるいは2種以上を混合して使用することもできる。これらアラン・アミン錯体は、媒体に溶解あるいは懸濁した組成物として用いられる。アラン・アミン錯体の溶液の濃度は、好ましくは0.1〜50重量%である。所望の膜厚に応じて適宜調整することができる。
【0016】
本発明の組成物に使用されるフィルム形成用ポリマーは、アラン・アミン錯体に対して無活性なポリマー例えば炭化水素系ポリマーである。具体的にはポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリメチルペンテン、ポリパラフェニレン、スチレン・ブタジエン共重合体、ノルボルネンの付加重合体、ノルボルネンの開環重合体などを用いることができる。
これらのポリマーは複数種混合して用いることもできる。
【0017】
本発明の組成物は、好ましくは溶液として用いられる。使用される溶媒は、上記ポリマーを溶解しアミン・アラン錯体と反応しないものであればよい。例えば、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、n−オクタン、シクロオクタン、デカン、シクロデカン、ジシクロペンタジエン水素化物、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、ノルボルナン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系溶媒を用いることができる。これらのうち、溶解性と該溶液の安定性の点で炭化水素系溶媒または炭化水素系溶媒とエーテル系溶媒との混合物を用いるのが好ましい。これらの溶媒は、単独でも、あるいは2種以上の混合物としても使用することができる。
本発明におけるアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは0.1〜100重量%であり、より好ましくは10〜80重量%である。所望の導電性膜の膜厚に応じて適宜調製することができる。
【0018】
本発明のアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物は必要に応じてアルミニウム以外の金属粒子を併用することができる。その具体例としては錫、銅、銀、金、白金、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、鉄、ニオビウム、チタン、ケイ素、インジウム等の金属または/および半導体を挙げることができる。これらの粒子は単独であるいは2種以上組合せて用いられる。これら金属粒子は、一般に市販されている金属粒子をそのまま、または酸やアルカリで表面酸化物を除去して用いることができる。表面酸化物を除去する酸やアルカリは、表面処理に付す金属の種類に依存する。特に限定されるものではないが、例えば塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸等の無機酸およびこれら酸の水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリの水溶液を用いることができる。金属粒子の粒子径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。金属粒子との使用割合は、ポリマー100重量部に対し、金属粒子の量が、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.05〜80重量部である。金属粒子の量が、0.01重量部より低いと密度の高い膜が得られないことがあり、100重量部より高いと溶液の安定性が得られ難いことがある。本発明のアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物の溶液は、導電性を調製するために、必要に応じて酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素などの金属酸化物の微粒子などと適宜混合して使用することができる。
【0019】
本発明に用いられるアラン・アミン錯体、ポリマーおよび溶媒からなるアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物の製造方法は特に限定されるものではない。例えばアミン化合物と水素化アルミニウム化合物との錯体溶液中に、攪拌しながら所定量のポリマー溶液を添加して調製される。添加するときの温度は、好ましくは0〜50℃、より好ましくは5〜30℃であり、攪拌する時間は、好ましくは0.1〜120分間、より好ましくは0.2〜60分間である。
【0020】
アルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物は、溶液の塗布対象物への濡れ性を良好にし、塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などを防止するため、目的の機能を損なわない範囲で、必要に応じて、フッ素系、シリコーン系、非イオン系界面活性剤などの表面張力調節剤を少量添加することができる。添加することのできる非イオン系界面活性剤としては、フッ化アルキル基もしくはパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤、またはオキシアルキル基を有するポリエーテルアルキル系界面活性剤を挙げることができる。
【0021】
前記フッ素系界面活性剤としては、例えばC9F19CONHC12H25、C8F17SO2NH−(C2H4O)6H、C9F17O(プルロニックL−35)C9F17、C9F17O(プルロニックP−84)C9F17などを挙げることができる。(ここで、プルロニックL−35:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量1,900;プルロニックP−84:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量4,200)などを挙げることができる。これらのフッ素系界面活性剤の具体例としては、エフトップEF301、同EF303、同EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)、フロラードFC−170C、同FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、BM−1000、同1100(B.M−Chemie社製)、Schsego−Fluor(Schwegmann社製)などを挙げることがでる。
【0022】
またポリエーテルアルキル系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーなどを挙げることができる。これらのポリエーテルアルキル系界面活性剤の具体例としては、エマルゲン105、同430、同810、同920、レオドールSP−40S、同TW−L120、エマノール3199、同4110、エキセルP−40S、ブリッジ30、同52、同72、同92、アラッセル20、エマゾール320、ツィーン20、同60、マージ45(いずれも(株)花王製)、ノニボール55(三洋化成(株)製)などを挙げることができる。上記以外の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などがあり、具体的にはケミスタット2500(三洋化成工業(株)製)、SN−EX9228(サンノプコ(株)製)、ノナール530(東邦化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0023】
かくして得られたアルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物を基板上に塗布してアラン・アミン錯体を含有するフィルムを形成する。基板の材質、形状等は特に制限はないが、材質は次工程の熱処理に耐えられるものが好ましく、また塗膜を形成する基板は平面でもよく段差のある非平面でもよく、その形態は特に限定されるものではない。これらの基板の材質の具体例としては、ガラス、金属、プラスチック、セラミックスなどを挙げることができる。ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、鉛ガラスが使用でき、金属としては例えば金、銀、銅、ニッケル、シリコン、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼などが使用できる。また、プラスチックとしては、例えばポリイミド、ポリエーテルスルホン等を挙げることができる。さらにこれらの材質形状はバルク形状、板状、フィルム形状などで特に制限されるものではない。また、上記溶液の塗布に際しては、塗布方法は特に限定されず、例えばスピンコート、ディップコート、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、インクジェット、印刷法などにより実施することができる。塗布は1回で、または複数回、重ね塗りすることもできる。
【0024】
また、本発明において、上記基板は、Ti、PdおよびAlよりなる群から選ばれる金属原子の有機金属化合物を含有する溶液で予め塗布された該有機金属化合物からなる塗膜(下地層)を有する基板として用いることもできる。このような下地層を有することにより、基板とアルミニウム膜との接着が安定に保持される。
Ti原子を含む有機金属化合物としては、例えばチタニウムアルコシド、アミノ基を含有するチタニウム化合物、β−ジケトンとのチタニウム錯体、シクロペンタジエニル基を含有するチタニウム化合物、ハロゲン基を含有するチタニウム化合物等を挙げることができる。
【0025】
Pd原子を含む有機金属化合物としては、例えばハロゲン基を有するパラジウム錯体、アセテート類、β−ジケトンとのパラジウム錯体、共役カルボニル基を有する化合物とのパラジウム錯体、ホスフイン系Pd錯体、アルミニウムアルキレート、β−ジケトンとのアルミニウム錯体等を挙げることができる。また、Al原子を含む有機金属化合物としては、アラン−アミン錯体を除く、例えばアルミニウムアルコキシド、アルミニウムアルキレート、β−ジケトンとのアルミニウム錯体等を挙げることができる。かかる有機金属化合物としては、例えばチタニウムメトキシド、チタニウムエトキシド、チタニウム−n−プロポキシド、チタニウム−n−ノニルオキシド、チタニウムステアリルオキシド、チタニウムイソプロポキシド、チタニウム−n−ブトキシド、チタニウムイソブトキシド、チタニウム−t−ブトキシド、チタニウムテトラキス(ビス−2,2−(アリルオキシメチル)ブトキシド、チタニウムトリイソステアロイルイソプロポキシド、チタニウムトリメチルシロキシド、チタニウム−2−エチルヘキソキシド、チタニウムメタクリレートトリイソプロポキシド、(2−メタクリルオキシエトキシ)トリイソプロポキシチタネート、チタニウムメトキシプロポキシド、チタニウムフェノキシド、チタニウムメチルフェノキシド、ポリ(ジブチルチタネート)、ポリ(オクチレングリコールチタネート)、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキシド、チタニウムトリメタクリレートメトキシエトキシエトキシド、チタニウムトリス(ジオクチルピロホスフェート)イソプロポキシド、チタニウムラクテートの如きチタニウムアルコシド;テトラキス(ジメチルアミノ)チタニウム、テトラキス(ジエチルアミノ)チタニウムの如きアミノ基を含有するチタニウム化合物;チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)チタニウム、チタニウムオキシドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキシド(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムメタクリルオキシアセトアセテートトリイソプロポキシド、チタニウムジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、ジ(iso−プロポキシド)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)チタニウム、チタニウムアリルアセトアセテートトリイソプロポキシドの如きβ−ジケトンとのチタニウム錯体;チタノセンジクロライド、(トリメチル)ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウム、ジメチルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムの如きシクロペンタジエニル基を含有するチタニウム化合物;インデニルチタニウムトリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキシド、トリクロロトリス(テトラヒドロフラン)チタネート、テトラクロロビス(テトラヒドロフラン)チタニウム、チタニウムクロライドトリイソプロポキシド、チタニウムイオダイドトリイソプロポキシド、チタニウムジクロライドジエトキシド、ジクロロビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)チタニウム、テトラクロロビス(シクロヘキシルメルカプト)チタニウム、塩化チタニウムの如きハロゲン原子を含有するチタニウム化合物;塩化パラジウム、アリルパラジウムクロライド、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウムの如きハロゲン原子を有するパラジウム錯体;パラジウムアセテートの如きアセテート類;パラジウム2,4−ペンタンジオネート、パラジウムヘキサフルオロペンタンジオネートの如きβ−ジケトンとのパラジウム錯体;ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムの如き共役カルボニル基を有する化合物とのパラジウム錯体;ビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフイノ)エタン]パラジウム、ビス(トリフェニルホスフイン)パラジウムクロライド、ビス(トリフェニルホスフイン)パラジウムアセテート、ジアセテートビス(トリフェニルホスフイン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフイン)エタン]パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフイン)パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフイン)パラジウム、トランス−ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフイン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフイン)パラジウムの如きホスフイン系Pd錯体;アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−s−ブトキシド、アルミニウム−t−ブトキシド、アルミニウムエトキシエトキシエトキシド、アルミニウムフェノキシド、アルミニウムラクテートの如きアルミニウムアルコキシド;アルミニウムアセテート、アルミニウムアクリレート、アルミウムメタクリレート、アルミニウムシクロヘキサンブチレートの如きアルミニウムアルキレート;アルミニウム−2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート、アルミニウム−s−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ−s−ブトキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムジイソプロポキシドエチルアセトアセテートの如きβ−ジケトンとのアルミニウム錯体等を挙げることができる。
【0026】
これらのうちで、チタニウムイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、パラジウム−2,4−ペンタンジオネート、パラジウムヘキサフルオロペンタンジオネート、アルミニウム−2,4−ペンタンジオネート、アルミニウムヘキサフルオロペンタンジオネートを用いるのが好ましい。
【0027】
これらのTi、Pd、およびAlよりなる群から選ばれる金属原子の有機金属化合物の溶液に用いられる溶媒としては、それら単独でまたは水との混合溶媒として該有機金属化合物を溶解できる溶媒であれば何れの溶媒も使用することができる。これら溶媒としては、例えば水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルの如きエーテル類、メタノール、エタノール、プロパノールの如きアルコール類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホアミド、γ−ブチロラクトンの如き非プロトン性極性溶媒を用いることができる。これら溶媒は、単独でまたは水との混合溶剤として用いることができる。
【0028】
これらの有機金属化合物の溶液の基板への塗布は、アミン・アラン錯体を含有するポリマー溶液を塗布する前記塗布方法と同様の方法で行うことができる。塗膜(下地層)の厚みは、溶媒除去後の膜厚として0.001〜10μmが好ましく、0.005〜1μmがさらに好ましい。厚すぎると膜の平坦性が得られ難く、薄すぎると基板または接する膜との密着性に劣ることがある。下地層は上記溶液を塗布したのち乾燥して溶媒を除去することによって形成される。
【0029】
本発明は、アラン・アミン錯体を含有するポリマー溶液を塗布して得られるポリマーフィルムを熱処理および/または光照射することによりアラン・アミン錯体を金属アルミニウム微粒子に変換する。熱処理の温度は、40℃以上とするのが好ましく、70℃〜150℃とするのがさらに好ましい。加熱時間は30秒から120分程度で十分である。また、熱処理または焼成する時の雰囲気はできる限り酸素のない且つ水素が存在する雰囲気中で行うのが好ましい。すなわち、良質の導電性膜を得ることができるので好ましい。上記焼成雰囲気の水素は、例えば窒素、ヘリウム、アルゴンなどとの混合ガスとして用いてもよい。また、アラン・アミン錯体を用いた溶液の塗布膜を光照射しアルミニウム膜を形成することもできる。光照射には、例えば低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノンの如き希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては一般には、10〜5,000Wの出力のものが用いられる。例えば100〜1,000Wで十分である。これらの光源の波長は特に限定されない。例えば170nm〜600nmである。また導電性膜の改質効果の点でレーザー光の使用が特に好ましい。これらの光照射時の温度は、例えば室温〜200℃である。また光照射に際しては、特定部位のみを照射するためにマスクを介して照射してもよい。好適な導電性膜の厚みは塗布方法、固形分濃度に依存して適宜変動するが、膜厚として0.01〜100μmが好ましく、0.05〜10μmがさらに好ましい。厚すぎると膜の平坦性が得られ難く、薄すぎると基板または接する膜との密着性に劣ることがある。
【0030】
かくして得られたアルミニウム微粒子分散フィルムは、上記工程の後、更に熱処理を行うのが好ましい。熱処理することにより膜密度が向上し、より電気的特性を向上することができる。
熱処理の温度は、100℃以上とするのが好ましく、150℃〜500℃とするのがさらに好ましい。加熱時間は30秒から120分程度で十分である。
【実施例】
【0031】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0032】
合成例1(アラン・アミン錯体の合成例)
トリエチルアミン20gのエチルエーテル(100ml)溶液に、5倍モルの塩化水素ガスをバブリングして反応させ、沈殿した塩をフィルターで濾別後、100mlのエチルエーテルで洗浄し乾燥させて24gのトリエチルアミン塩酸塩を合成した。得られたトリエチルアミン塩酸塩14gをテトラヒドロフラン500mlに溶解し、3.8gのリチウムアルミニウムハイドライドと500mlのエチルエーテルの懸濁液中へ窒素下室温で1時間かけ滴下した。滴下終了後更に6時間室温で反応させた。反応溶液を0.2μmのメンブレンフイルターで濾過し、濾液を窒素下で減圧濃縮し、濃縮中に析出した塩を0.2μmのメンブレンフイルターで濾別した。更に300mlのトルエンを添加後、溶媒を窒素下で飛散させ、減圧濃縮し、濃縮中に析出した塩を再度0.2μmのメンブレンフイルターで濾過して精製し、最終的にトルエンの留出がなくなるまで減圧を続け、液状のアラン−アミン錯体を得た。
【0033】
合成例2(フィルム用ポリマーの合成例)
単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 750ミリモル(70.5 g)、エンド(endo)含有量が95%のトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン 475 ミリモル(63.6g)、5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 25ミリモル(6.4g)を溶媒としてシクロヘキサン562g、塩化メチレン141g、分子量調節剤としてスチレン 15.0ミリモルを2,000mlの反応容器に窒素下で仕込んだ。予めヘキサン溶液のオクタン酸Niを六フッ化アンチモン酸と−10℃でモル比1:1で反応させ、副生する沈殿したNi(SbF6)2を除去したのち、トルエン溶液で希釈したオクタン酸Niの六フッ化アンチモン酸変性体をNi原子として0.25ミリモル、メチルアルミノキサン2.50ミリモルおよび三フッ化ホウ素エチルエーテラート0.75ミリモルを仕込み、重合を行った。25℃で3時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。単量体の共重合体への転化率は90%であった。共重合体溶液に水660ml、乳酸47.5ミリモルを加えて、攪拌、混合して触媒成分と反応させ、共重合体溶液と水を静止分離した。触媒成分の反応物を含む水相を除去した共重合体溶液を3Lのイソプロピルアルコールに入れて共重合体を凝固し、未反応単量体と残る触媒残さを除去した。凝固した共重合体を乾燥し、共重合体Aを得た。共重合体溶液中の未反応単量体のガスクロマトグラフィー分析から、共重合体A中のトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エンに由来する構造単位の割合は35モル%であった。5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する構造単位の割合は2.0モル%であった。共重合体Aのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は142,000、重量平均分子量(Mw)は284,000で、Mw/Mnは2.0であった。また共重合体Aのガラス転移温度は390℃であった。
【0034】
共重合体A10gをシクロヘキサン45mL、n−ヘプタン5mLの混合溶媒に溶解して、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトをいずれも、重合体100重量部に対して0.6重量部、架橋剤として、亜リン酸トリブチルを重合体100重量部に対して、0.05重量部を添加した。この重合体溶液を孔径10μmのメンブランフィルターで濾過し、異物を除去してコーティング剤を作製した。このコーティング剤を用いてキャストし、さらに150℃の水蒸気による架橋、塩化メチレンによる脱溶媒を行い、厚さ150μmのフィルムを得た。引っ張り強度は43MPa、伸びは7.8%であった。
【0035】
実施例1
重量平均分子量が50,000のポリスチレン20gをトルエン90gに溶解した溶液に、合成例1の方法で合成したアラン・アミン錯体10gを溶解してフィルム形成用組成物を調製し、アプリケーターを用いてガラス基板上に塗工した。これを50℃の熱風乾燥機に入れ溶媒を除去した後、基板から剥離することにより無色透明のアラン・アミン錯体が分散したポリスチレンフィルムを作製した。このフィルムの膜厚は10μmで、シート抵抗を測定したところ10MΩ/□以上であり、高絶縁体であった。このフィルムを150℃のホットプレートで加熱するとフィルムが灰色に変色した。加熱処理後のフィルムのシート抵抗を測定したところ95KΩ/□であった。このフィルムを顕微鏡観察したところ図1のようにアルミニム微粒子が均一に分散された状態であった。
【0036】
実施例2
実施例1に使用したポリスチレンを1,2−ポリブタジン(JSR(株)製RB830)に変え、その他は実施例1と同様のフィルム形成用組成物を調製した。図3はこれを用いてフィルムを製造する工程を説明した図である。このフィルム形成用組成物1を塗工するガラス基板を予めチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドの1%トルエン溶液に1時間浸漬した後に100℃で30分間および300℃で30分間乾燥させ親水性基板2を作製した。この基板2にアプリケーターを用いて100μm厚のフィルムを形成した(図3(a))。この後150℃のホットプレートにて、フィルム側から10分間加熱(図3(b))するか若しくはガラス基板側から、10分間加熱(図3(b’))した。この加熱3によってガラス基板側つまりチタニウム処理界面に優先的に反応が推進しAl膜4が析出した(図3(c))ため、このフィルムをガラス基板から剥離した(図3(d))ところ、アルミニムがポリマーとガラス基板の界面に集積し、ポリマーフィルムに強固に付着し、アルミニム膜の鏡面を有するフィルム6ができたことを確認した。アルミニム膜の比抵抗は6μΩcm、反射率は84%であり、導電性、反射率共極めて良好であった。なお、ここではガラス基板上に予めチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソポロポキシドを塗工したが、図3(a’)の様にチタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを塗工若しくは分散したフィルム5をラミネートしてもよい。
【0037】
実施例3
実施例1に使用したポリスチレンに替わって、上記合成例2で得られたノルボルネンの付加重合ポリマーを用い、その他は実施例1と同様にしてフィルム形成用組成物を調製した。この溶液をテフロン(登録商標)処理を施したステンレス基板に塗工してアラン・アミン錯体を含有するポリマーフィルムを作製した。フィルムを剥離した後、フィルムのシート抵抗を測定したところ10MΩ/□以上の高抵抗フィルムであった。これを250℃で30分間加熱処理を施したところ、シート抵抗14KΩ/□の導電性を示した。この熱処理後のアルミニウム微粒子分散ポリマーフィルムの顕微鏡観察を行った。結果を図2に示す。アルミニウム微粒子が良好に分散されていることが分かる。
【0038】
実施例4
図4に実施例2で作製したフィルムの応用例を示す。実施例2と同様にチタニウム処理を施した基板2(図4(a))上にフィルム形成組成物1(図4(a))を形成したものを使用し、上方からレーザー12(YAGレーザー、出力100mW、ビーム幅2.5mm)を照射し反応を誘起させAl4を析出した。その後チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソポロポキシドを形成した裏面基板から剥がし、Alパターン膜が形成されたフィルム6(図4(b))を得た。このとき得られた配線幅は、200μmであった。
ここでは、レーザー印加によって反応を誘起したが、サーマルプリンタや配線型を熱圧着することで配線を書き込むことも可能である。例えば、サーマルプリンタの発熱体は、印字時に容易に200℃以上にすることができるため、上記150℃程度で反応が進行する本基板に適用してAlを析出させることが可能である。
なお、形成される配線幅は、本実施例で形成した幅に限定されるものではない。
【0039】
図5は、このようにして配線を形成したフィルム6を接続した例を示すものである。図5(a)は、ガラスエポキシ基板8上に配線7が形成された基板9に、配線を形成したフィルム6を接続することを表わしている。ガラスエポキシ基板上の配線7としては、銅箔上にニッケルと金の積層メッキを施したものを使用した。
図5(a’)は、同図(a)を別の角度から見たものである。ここでは、配線フィルムの端子は、配線ピッチ2mm、配線幅500μmとした。ガラスエポキシ基板側にも同ピッチにて幅800μmの端子を形成した。なお、この配線寸法は実施に際しての例でありこれに限定されるものではない。
配線フィルム6を位置合わせしたのち、ガラスエポキシ基板に圧力をかけて接触させ(図5(b)、5(b’))、シリコン樹脂10にて固定した。固定に際しては室温で樹脂硬化を行なった(図5(c)、5(c’))。配線フィルムの裏面は、Al配線がむき出しになっている為、ここでは同シリコン樹脂にて配線部を保護した。また接着に関してもこの例に限定されるものではなく、エポキシ樹脂を使用することや、配線部には例えばTACフィルムのような保護フィルム11を貼ってもよい(図5(d))。
【0040】
ここで配線パターンが形成されたフィルムに次のようにして電子部品を搭載することができる。図7(a)はAlが析出し配線形成されたフィルム6である。これに対し、先ず図7(b)のように電子部品(抵抗、コンデンサ、ICなど)が搭載される位置に端子が通る穴をパンティングで開ける。次に電子部品13、14をフィルムの上面、若しくは下面からリード端子15を通し(図7(c))、リードをかしめて固定した(図7(d))。このとき電子部品13ではリードが直接配線部に接触することで電気的接続を取っており、電子部品14では、予め電子部品本体裏面に接続部16を設けておき、接続部が配線に電気的に接触するようにすることができる。
【0041】
実施例5
チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを予め備えた配線形成用のフィルム5(図6(a))は、予めガラスエポキシ等の基板9にフィルム5を接着した(図6(b))後に配線パターンを形成することで準備することも可能である。図6は、このように、配線形成フィルムを接着した後に配線を形成することを示している。
チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを予め備えた配線形成用のフィルム5をガラスエポキシ基板9上にシリコン樹脂10で接着した(図7(c))のちにレーザー光の照射や、サーマルヘッドを走査して熱印加すると、反応が進行し、熱印加された部分のみにAlが析出する(図6(d))。この場合は後で配線を形成するので、配線形成用のフィルムをガラスエポキシ基板に接着する際に、ガラスエポキシ基板側のパターンと配線フィルムのパターンとの特別な位置あわせが必要ないという利点がある。配線形成はガラスエポキシ基板側のパターンを確認しながらレーザーやサーマルヘッドを走査すればよいからである。
なお、図6(e)の様に保護や補強を目的としたフィルム11を貼ってもよく、これは図5で説明したとおりである。また、保護や補強を目的としたフィルム11は、本実施例では後から貼ったが、フィルム形成組成物1(図4(a))、チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを予め備えた配線形成用のフィルム5(図6(a))に予め貼っておいてもよいことは言うまでもない。
【0042】
実施例6
次に本発明を用いた別の実施例を図8、9および10を用いて説明する。図8は本発明の配線形成用フィルムの反応を模式的に示した図である。
実施例1、2、3で開示した無色透明のアラン・アミン錯体分散したポリスチレンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ノルボルネン付加重合フィルム1は、熱3を印加することでアラン・アミン錯体からAl18を析出する(図8(b))。ここで、実施例1のように析出したAlはフィルム中に分散しているため、導体との観点から抵抗を考えるとその抵抗値は高い。そこで図9(a)のようにフィルムを発熱体19で両側から挟み熱を印加してAlを析出させる。アラン・アミン錯体はフィルム中に一様に分布しているため、Alの析出密度は同じであるが、熱印加と同時に圧力をかけて挟み込むと、挟まれた部分のみにAlが析出する上に、圧力をかけてフィルムを押し込んでいるため、析出するAlの量は同じでも挟まれてフィルム厚が薄くなった分、析出Alの密度が見かけ上増加し、より導電性が向上する(図9(b))。
ここでは、2.0mm幅の金属片でフィルムを上下から挟み、150℃の熱を5分間掛けたところ、シート抵抗が680Ω/□となり導電性が向上した。
【0043】
上記手法を用いて、フィルムを媒介して電子部品を取り付けることが可能である。図10(a)は、基板20上に、ガラスエポキシ基板等の基板9を置き、本発明の配線形成用フィルム1を間に挟んで、接続端子が吐出した電子部品17を基板9に対して位置決めしたのち、押しながら熱を印加した(図10(b))。このとき、熱印加は電子部品側から印加(図示せず)した。これは、端子部のみに熱が印加されるようにしたためで、基板20を温めると、基板9全体に熱がかかり配線形成用フィルムが端子部のみならず全体が反応し、端子間がショートするからである。
この後、基板、フィルム及び電子部品を固定するために接着剤を流し込んだ。
【0044】
実施例7
本発明のフィルムを用いた別の実施例を説明する。実施例2で形成したAl膜は、6μΩ・cmと抵抗が低いことからも分かるとおり、充分Al密度が高く表面は鏡面状態であった。このためこのフィルムは反射フィルムとしても使用することが可能である。図11はこの例を示した図である。チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドを含んだフィルムを貼り合せたアラン・アミン錯体を含むフィルム5を基体20上にエポキシ系接着剤で接着した後150℃で5分間熱印加して反応させAl膜を形成して鏡とした。このとき基体は平面でも曲面でもかまわない。
チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドは内部にTiO2を含むため、TiO2の光触媒作用によって汚れを寄付け難い。そのため、チタニウムビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシドが表面に出てくるこのミラーは野外に設置しても汚れ難いという効果がある。また該フィルム6は、反応前は透明に近いので、基体に貼る際、基体の位置や張り合わせマーク等を容易に観察することができるため貼り合わせが容易になるという利点も持つ。また熱印加をしたところのみにAl膜が形成されるので、必要な部分のみをミラーに加工することも可能である。
更に、印加時間を短くすることによって、形成膜厚をコントロールすることが可能であり、例えば150℃1分の熱印加処理では、150Å程度の半透過膜を作製することも可能である。
【0045】
また基体をガラスとして、ガラス上にチタニウムビスを形成した後本発明のフィルムを貼り、その後熱印加してAl膜を形成すると容易にミラーができることは言うまでもない。この場合はチタニウムビスが表面に出てこないので、光触媒による自浄作用はない。
また実施例2の基体から剥がした鏡面Al膜の付いたフィルムを、UV樹脂で透明基板に貼りミラーとしてもよいことも言うまでもない。この例を図12に示した。ここでは、凸面の基体20に貼り付けた例で示した。尚、基体は、金属、樹脂等材質は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施例1で得られた本発明のフィルムの顕微鏡写真。
【図2】実施例3で得られた本発明のフィルムの顕微鏡写真。
【図3】実施例2における本発明のフィルムの製造法を説明する工程図。
【図4】実施例4における本発明のフィルムの応用例の説明図。
【図5】実施例4における本発明のフィルムの応用例の説明図。
【図6】実施例5における本発明のフィルムの製造法と応用を示す説明図。
【図7】実施例4における本発明のフィルムの応用例の説明図。
【図8】実施例6における本発明のフィルムの反応を説明する模式的説明図。
【図9】実施例6における本発明のフィルムの製造法の説明図。
【図10】実施例6における本発明のフィルムを電子部品に取付ける説明図。
【図11】実施例7における本発明のフィルムの鏡としての応用を示す説明図。
【図12】実施例7における本発明のフィルムの鏡としての応用を示す説明図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミン化合物と水酸化アルミニウムとの錯体及びフィルム形成能を有するポリマー成分を含有することを特徴とする、アルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物。
【請求項2】
ポリマー成分が、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体と反応しない炭化水素系ポリマーである請求項1記載の組成物。
【請求項3】
請求項1記載の組成物をフィルム化する工程と、該フィルムに光照射および/または熱処理を施すことによりフィルム内部にアルミニウム微粒子を生成させる工程からなることを特徴とするアルミニウム微粒子分散フィルムの形成方法。
【請求項4】
フィルム化が基板上で行われそしてフィルム化を行う基板面がTi、Pd、Alよりなる群から選ばれる金属原子の有機金属化合物の塗膜を有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法で形成されたアルミニウム微粒子分散フィルム。
【請求項6】
アルミニウム微粒子の粒径が1μm以下である請求項4に記載のアルミニウム微粒子分散フィルム。
【請求項7】
フィルム表面にアルミニウム鏡面を有する請求項5に記載のアルミニウム微粒子分散フィルム。
【請求項8】
導電性である請求項7に記載のアルミニウム微粒子分散フィルム。
【請求項1】
アミン化合物と水酸化アルミニウムとの錯体及びフィルム形成能を有するポリマー成分を含有することを特徴とする、アルミニウム微粒子分散フィルム形成用組成物。
【請求項2】
ポリマー成分が、アミン化合物と水素化アルミニウムとの錯体と反応しない炭化水素系ポリマーである請求項1記載の組成物。
【請求項3】
請求項1記載の組成物をフィルム化する工程と、該フィルムに光照射および/または熱処理を施すことによりフィルム内部にアルミニウム微粒子を生成させる工程からなることを特徴とするアルミニウム微粒子分散フィルムの形成方法。
【請求項4】
フィルム化が基板上で行われそしてフィルム化を行う基板面がTi、Pd、Alよりなる群から選ばれる金属原子の有機金属化合物の塗膜を有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の方法で形成されたアルミニウム微粒子分散フィルム。
【請求項6】
アルミニウム微粒子の粒径が1μm以下である請求項4に記載のアルミニウム微粒子分散フィルム。
【請求項7】
フィルム表面にアルミニウム鏡面を有する請求項5に記載のアルミニウム微粒子分散フィルム。
【請求項8】
導電性である請求項7に記載のアルミニウム微粒子分散フィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−238642(P2007−238642A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−58524(P2006−58524)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(597114270)株式会社国際基盤材料研究所 (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(597114270)株式会社国際基盤材料研究所 (24)
【Fターム(参考)】
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