説明

アルミニウム製鋳物からの熱抽出が向上した方向性凝固のための方法及び装置

本発明は、アルミニウム合金製のエンジンシリンダーブロック又はその他の大型若しくは複雑な鋳物の品質及び機械的特性を向上させるための方法及び装置に関する。これは、可溶性の結合剤で結合された砂型を前記鋳物の数ヶ所に備えることにより達成される。前記数ヶ所は、そこからの方向性凝固及び/又は機械的特性の局所的な向上のために、急冷が望まれる場所である。それ以外の残りの場所で前記砂型は、より典型的な不溶性の結合剤で結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルミニウム合金製鋳物の製造に関し、具体的には、自動車エンジン用の高品質なアルミニウムシリンダーブロックのような比較的大型及び/又は複雑な鋳物を、砂型を用いて製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,297,611号及びその分割出願第5,477,906号から、熱伝導性のインサート(insert)を利用することにより、冷却中に鋳造製品において熱勾配が生成され、砂型内の液体アルミニウム合金の凝固の制御を促進する、アルミニウム合金製のシリンダーブロックの製造方法が知られている(前記インサートは本業界では通常、冷し金(chill)とよばれており、ヒートシンクとして機能する)。ヒートシンクとして機能するためには、冷し金の板は、アルミニウム合金の凝固温度よりも低い温度で少なくとも始まる主要部分(通常は鉄製)を有する。したがって冷し金は、ブロックの初期凝固を促進し、かかる促進は、新たに鋳造されたブロックに接触した冷し金の表面から始まる。通常、ブロックの反対側の端にある溶解金属源(source of molten metal)に向かって凝固の進行が誘導されるように、冷し金を設置するのが典型的である。これにより、溶解金属源への進路を妨害する区域で凝固が早く起きすぎないようにする(前記妨害により、好ましくない隙間(voids)の充填が妨げられる。このような隙間は、鋳物が凝固中に冷却されて収縮することによっても生じ得る)。このような冷し金の利用は、高品質のエンジンブロックの製造に役立つ。なぜなら、液体アルミニウムのより規則的な凝固は、ブロックの凝固が全方向に、制御されずに進んでしまう場合にしばしば発生する、前記隙間及び関連する収縮孔の排除に寄与するからである。
【0003】
前記先行技術においては、凝固のステップ全体を通して、鋳物からの継続的な熱の抽出が維持できるように、冷し金又は保温性のある中子(thermal core)と外部のヒートシンク又はその他の熱抽出手段とを接触させることが提案されているが、前記特許は、そのような熱抽出を達成するための実用的方法に関して不明瞭である。前記特許は方向性凝固を達成するために必要な、強い熱勾配を発生、維持させるために、凝固中の溶解物から継続的に熱を除去するいくつかの手段に言及しており、このような冷却を達成するための、2つの一般的な方法を教示している。かかる一般的な方法とは、(a)冷し金に冷却フィンを備えることにより、冷し金の熱抽出区域を増大させる方法(必要に応じ、これらの冷却フィンを、強制的な冷却空気又は霧と接触させる場合がある)及び、(b)前記冷し金に水路を設け、水を循環させて冷し金を冷却する方法である。
【0004】
これらの冷し金及び現在用いられているその他の冷し金は、方向性凝固を促進する手段を提供する。しかし本出願人は、凝固中の鋳物の特定の区域に対し、選択的かつ直接的に水を作用させ、これを慎重に制御することにより、鋳物の品質向上をもたらしながら、より急速かつ良好に制御された方向性凝固が達成できることを見い出した。これは部分的には、水溶性の結合剤を用いて形成される砂型及び/又は中子(core)を利用することによって成し遂げられる。ジェット冷却水が、鋳物の、凝固したばかりの金属肌の選択された部分に対し、直接的かつ速やかに作用を開始するように用いることによって、前記砂型及び/又は中子は、少なくとも部分的に除去される。このようにして、鋳物におけるより大きな熱勾配及びより速い急冷がもたらされ、これによりブロックの凝固が向上し、所望の方向に強力に進行する。
【0005】
この向上については、近年公開された米国特許出願第2004/0050524 A1(出願日2004年3月18日、名称「鋳型を除去する鋳造方法及び装置」に部分的に詳細に記載されている。かかる出願及び本出願に引用された全ての特許文献又はその他の文献、並びに原出願時の本出願における引用文献中の引用文献及び参考文献はすべて、参照により本出願に援用される。参照により本出願に援用される文献、又はかかる文献中のあらゆる教示は、本発明の実施に際して用いられる場合がある。
【0006】
しかし、2004/0050524号公報の教示及び開示には、依然として重要な欠点がある。一般的に、水溶性の結合剤はより高価であり、望まれる鋳造特性が低い場合がある。さらに、複雑な鋳物の場合、(最良かつ正確な方向への冷却を行うことによって、そこからの凝固の進行を制御し、所望の高品質の効果を得るために、冷却部位に対する最も効率的な制御を達成することが必要であるが、)確定及び限定された区域に対する冷却水(又は溶媒)の特別な適用を正確に制御するのが困難な場合がある。
【特許文献1】米国特許第5,297,611号
【特許文献2】米国特許第5,477,906号
【特許文献3】米国特許出願第2004/0050524 A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、現在周知の方法が直面する欠点を克服する、より品質の優れたアルミニウム合金製のエンジンシリンダーブロックを砂型中で鋳造する新規な方法及び装置を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、アルミニウム合金製のエンジンシリンダーブロックを砂型中で鋳造する新規な方法及び装置であって、鋳物の正確な部分に冷却用の液剤を接触させ、凝固中の鋳物の熱抽出を増強することにより、液体の金属溶解物の凝固が所定の方向に進行するように誘導する方法及び装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、好適な実施形態に関する以下の記載及び付随する図面によって明確に示され、明らかにされる。
【0010】
本発明は、アルミニウム合金製のエンジンシリンダーブロック又はその他の大型若しくは複雑な鋳物の品質及び機械的特性を向上させるための方法及び装置に関する。これは、可溶性の結合剤で結合された砂型を前記鋳物の数ヶ所のみに備えることにより達成される。前記数ヶ所は、そこからの方向性凝固及び/又は機械的特性の局所的な向上のために、急冷が望まれる場所である。それ以外の残りの場所で前記砂型は、より典型的な不溶性の結合剤で結合されているに過ぎない。
【0011】
本発明は、アルミニウム合金製のエンジンシリンダーブロック又はその他の大型若しくは複雑な鋳物の、品質及び機械的特性を向上させるための新規な方法及び装置を含む。これは、可溶性の結合剤で結合された砂型を、前記鋳物の数ヶ所のみに備えることにより達成される。前記数ヶ所は、そこからの方向性凝固及び/又は機械的特性の局所的な向上のために、急冷が望まれる場所である。それ以外の残りの場所で前記砂型は、不溶性の結合剤で結合されているに過ぎない。方法の手順としては、通常は水である溶媒流を、可溶性の結合剤で結合されている砂型の部分に接触させて、まずそれらの部分のみを除去する。それにより、前記冷却溶媒は可溶性の部分のみを除去し、前記鋳物に正確かつ選択的に接触し、集中的な冷却を行う。これにより、普及している不溶性の結合剤を使用することによる通常の低コスト及び高品質といった利点を維持しつつ、局所的な制御の向上がもたらされる。
【0012】
そのままの場所にとどまる不溶性の砂型部分は、比較的熱伝導性が低く、鋳物の他の部分と比較して、凝固を遅らせるべき部分の冷却を抑制するために用いることができ、有利である。
【0013】
さらに、前記不溶性の部分を、硬化中の鋳物の支持にとって重要な部分に配置すれば、型の他の部分を、冷却を加速するのに十分な程度に除去することができる(冷却中の鋳物の支持が不十分な場合の鋳物の低下や歪みのおそれがない)。
【0014】
関係する可溶性及び不溶性の部分を、互いに、並びに溶媒流及び鋳物に対して慎重に形成すると、可溶性部分に対する溶媒流の収束及び可溶性部分の浸食のタイミング等による冷却の制御をさらに強化するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1及び2を参照すると、番号10は砂型全体を示す。かかる砂型において、シリンダーブロックは、液体アルミニウム合金を鋳型キャビティに充填することにより、低圧鋳造法で鋳造される。
【0016】
本発明の好適な実施形態について、アルミニウム合金製のシリンダーエンジンブロック鋳物及び低圧鋳造法で用いられる鋳型にあてはめて以下に記載するが、本発明は、他の種類の鋳物及び鋳造方法にも適用可能であると理解される。
【0017】
同様に、以下に記載する好適な実施形態において、溶媒は水と記載され、可溶性の結合剤は水溶性であると理解される。しかし、他の溶媒及びかかる溶媒に可溶性の結合剤も、本発明のより広い範囲の態様において用いられる場合がある。
【0018】
砂型10は、上型部分(cope portion)12及び下型部分(drag portion)14を有する。本実施形態において上型及び下型は、不溶性の結合剤を用いて作製される。複数の砂製の中子は、水溶性の結合剤を用いて作製されており、前記砂型10の内部に、所定の位置に配置される。砂型及び中子は、鋳造キャビティを定め、かかるキャビティには液体のアルミニウム合金が充填されて、シリンダーエンジンブロック16が形成される。
【0019】
水溶性の結合剤を用いて作製されたケイ砂製の中子18は、アルミニウムブロックの急冷が望まれる区域に設置される。本発明の本実施形態における急冷が望まれる、図示されるブロック部分には、番号24で示されるクランクケース付近の部分が少なくとも含まれる。これにより、クランクケース区域24からの方向性冷却の制御が達成されるだけでなく、より急速な冷却によって、アルミニウム合金の硬化性成分の沈殿が最小限に抑えられ、区域24の硬化を増強することができる。
【0020】
複数のノズル20により、ジェット水は中子18の方向に向けられる。中子18は、水溶性の結合剤で結合されているので、ジェット水により破壊されて除去される。必要に応じ、中子18の中に適当な空洞部26を設けて、中子18の水溶性の結合剤を溶解するために必要となる時間を短縮することができる。空洞部26における中子18の厚さは少なくとも、隣接する空洞部との間に残る一時的な支持構造27と共に、鋳型10を満たす液体アルミニウムの重量に耐えるに十分であると同時に、可能なかぎり薄い。これにより、中子18の速やかな破壊が容易になり、露出されて水が作用する区域で十分な初期凝固が達成され次第、水がアルミニウム合金に接触することができる。
【0021】
別の実施形態において本発明は、鋳物ブロックにおけるいくつかの所望の区域、例えばブロックに他の自動車部品を固定するためにボルトを取り付ける区域において、より優れた機械的特性を獲得するために特に適用することができる。そのようなブロックの区域の一つを、番号28で図示する。水溶性の中子30が、かかる区域28に接触するように設置されている。これにより、ジェット水が中子30に向けられると、結合剤が溶解し砂が押し流されるので、凝固中の金属ブロックに水が速やかに接触する。この時点でブロックを水で冷やすことにより、著しい冷却が生じ、影響を受ける区域は、鋳物塊のより遠隔の区域と比較して、機械的特性が向上する。前記遠隔の区域では冷却速度が遅いが、機械的特性は、上記影響を受ける区域ほどは重要ではない。
【0022】
制御をより強化するために、さまざまな溶解度の結合剤を用いることができる。例えば中子18は、中子30に用いられる結合剤よりも、(同じ条件下の場合)溶解にかかる時間が長い結合剤を用いて形成することができる。
【0023】
インサート30は中子として記載されているが、(形状及び結合剤のみが相違し得る)上型部分12の一部とみなすこともできる。
【0024】
鋳型を部分的に不溶性の結合剤を用いて作製すると、別法として中子30を(頂点が鋳物に接触する)「V字」に形成することができる等の他の利点がある。これにより、冷却用のジェット水が、Vの一方の脚に流れこみ、他方の脚から流れ出ることができる。これは、通路が狭い場合に有用である(さらに、一面の遮断蒸気が形成されやすい場合、所望の区域28で冷却の進行が遅れるので、前記蒸気を押し流すのに役立つ)。通常V字形は、広くU字形も含むと理解される。
【0025】
最初は複数のジェット水をVの両脚に向け、前記Vの2つの脚から砂が取り除かれたら、次に前記ジェットの1つを閉めると、他方のジェットからの連続的な水流が、前記Vを障害なく通ることができる。
【0026】
Vの概念は、より広く適用することができる。例えば第1の鋳型部分(水溶性の結合剤を用いて形成)を、中子につながる入口の脚(inlet leg)と出口の脚(outlet leg)とを有する内部中子の形状に作り(例えば冷水ジャケットの空洞のように)、かかる第1の鋳型部分を、それを囲む第2の鋳型部分(不溶性の結合剤を用いて形成)の中に配置する。前記脚及び中子は、ジェット溶媒によって砂と可溶性の結合剤とを適時かつ効率的に除去できれば、どのような形状でもよい。ジェット水で上記脚の中の砂を除去すると、第2の部分への流路ができ、これにより、定められた中子区域に冷却用の水流が集中し、冷却を促進するのに役立つ。
【0027】
本発明のより広い態様におけるさらなる実施形態では、鋳型は、不溶性の結合剤を用いて作製された部分のみが鋳型キャビティを形成するよう成形し、急冷が望まれる区域付近の部分を非常に薄くしながらも、可溶性の結合剤を用いて形成される鋳型部分が支持層となって支えるように成形することができる。これにより、最初に可溶性の結合剤とともに砂を冷却水で除去してから、所望の区域で方向性冷却を早期に開始して薄い部分に速やかに作用することを可能にしつつ、結果として製造される鋳物の表面をより均一にすることができる。
【0028】
本出願において、「大型で複雑な鋳物」なる用語は、(結果として、市販品として受け入れられない、数多くの欠陥を有する鋳物が製造されるのを防ぐため、)製造された鋳物の隙間又は収縮孔を避けるために方向性冷却が必要となる程度に十分な大きさ及び/又は複雑さを有する鋳物を意味して用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の好適な実施形態を示す、アルミニウム合金製のシリンダーエンジンブロックと、砂型及び中子の正面概略図である。
【図2】図1の水溶性の中子部分の1つの側面概略図である。前記中子部分の中に予め形成された各々のくぼみにそれぞれ向けられた、前記中子部分を洗い流そうとしている複数のジェット冷却水を示している(これは、鋳物の表面が冷えて自らを支持できるほど十分に凝固するまで、溶解金属が必要とする支持を確保する十分な時間をとりつつ、凝固の初期段階でブロックに対する直接的な作用を速やかに開始するためである)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム合金製の鋳物を成形するためのキャビティを定める砂型であって、所定の溶媒に可溶性の結合剤で形成された少なくとも1つの第1の部分と、前記溶媒に不溶性の結合剤で形成された少なくとも1つの第2の部分とを有することを特徴とする砂型。
【請求項2】
可溶性の第1の部分が、各々外側から溶媒流が到達することが可能であり、前記第1の部分がさらに、溶解鋳物において比較的急速な冷却が望まれる鋳造キャビティの区域を定める各々の位置に配置され、1又は複数の第2の部分が、鋳造キャビティの残りの部分を定めるように配置されることを特徴とする請求項1記載の砂型。
【請求項3】
溶媒が水であることを特徴とする請求項2記載の大型で複雑な鋳物用の砂型。
【請求項4】
請求項2記載の大型で複雑な鋳物用の砂型であって、可溶性の結合剤で形成された第1の部分の少なくとも1つが、溶解及び冷却用の溶媒流を受けるように、予め形成されたくぼみを有し、前記くぼみの深さが、鋳物表面からの各々の第1の部分の除去を加速させる一方で、初期溶解注入鋳物がその区域で自らを支持するようになるまで支持する深さであることを特徴とする砂型。
【請求項5】
請求項2記載の大型で複雑な鋳物用の砂型であって、不溶性の第2の部分の少なくとも1つが、急冷のために、冷却水流を、収束し、定められた区域の各々少なくとも1つに対して方向づけるのに役立つように配置及び形成されていることを特徴とする砂型。
【請求項6】
可溶性の結合剤で形成された第1の部分の少なくとも1つが、ほぼV型であることを特徴とする、請求項5記載の大型で複雑な鋳物用の砂型。
【請求項7】
可溶性の第1の部分が、各々外側から溶媒流が到達することが可能であり、前記第1の部分がさらに、溶解鋳物の比較的急速な冷却が望まれる位置の各々に配置され、第2の部分が、砂型による鋳造キャビティの区域全体を定め、鋳型キャビティの表面が依然として均一でありながら、前記位置における前記第2の部分の厚みが、より急速に冷却されるようにより薄くなっており、前記位置の前記第2の部分が、第1の部分の各々により、構造的に支持されていることを特徴とする請求項1記載の砂型。
【請求項8】
溶解金属源と、
前記溶解金属源から溶解金属を受ける請求項2記載の鋳型と、
溶媒源と、
前記溶媒源から溶媒を噴射するために配置された少なくとも1つのノズルであって、可溶性の結合剤で形成された第1の部分の各々に作用し、前記第1の部分を洗い流し、結果として作用を受ける区域において、鋳物に作用して急冷するノズルと
を有することを特徴とする鋳造装置。
【請求項9】
アルミニウム合金製のエンジンシリンダーブロックを請求項1の砂型中で鋳造する装置であって、クランクケースハウジングと、シリンダーヘッドのボルト用の台座とを有し、
前記ブロック用のクランクケースハウジング部分を定める鋳型キャビティ部分を形成する中子である可溶性の第1の部分と、
ボルト用の台座の位置における鋳型キャビティ部分を形成するインサートである他の可溶性の第1の部分と
をさらに有することを特徴とする装置。
【請求項10】
アルミニウム合金製の鋳物を砂型で形成する方法であって、
前記鋳物を形成するためのキャビティを定める砂型であって、所定の溶媒に可溶性の結合剤で形成された前記鋳型の少なくとも1つの第1の部分と、前記溶媒に不溶性の結合剤で形成された少なくとも1つの第2の部分を提供し、前記第1の部分が、鋳物の局所的な急冷を達成するための鋳造キャビティの区域を定めるように配置されるステップと、
液体アルミニウム合金を前記鋳型に充填するステップと、
少なくとも1つの冷却溶媒流を少なくとも1つの第1の部分に向けて、前記各々の第1の部分を洗い流すことによって、凝固中の鋳物を露出させ、直接冷却して定められた区域の冷却を加速するステップと
を含む方法。
【請求項11】
鋳物が溶解している間に各々の冷却流が開始され、各々の定められた区域における初期冷却の間、溶解鋳物を支持するために各々の第1の部分が十分に原型を保つように、前記各々の第1の部分の厚さ、及び前記冷却流による前記第1の部分の除去が必要に応じて調整され、前記定められた区域で鋳物が自らを支持できるようになったら、前記区域を露出させて直接的な作用を与えられるような除去を達成し、少なくとも各々の定められた区域の付近の部位で、冷却速度を速めて前記鋳物の機械的特性を向上させるのに有効な時間、前記鋳物に対する作用を維持することを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
隙間及び収縮孔を避けられるように、液体アルミニウム源から離れたところから前記源の方向への方向性冷却が達成されるように、各々の定められた区域が配置されることを特徴とする、請求項11記載の大型で複雑なアルミニウム合金製の鋳物を形成する方法。
【請求項13】
アルミニウム合金製のエンジンシリンダーブロックを、クランクケースハウジング及びボルト用の台座を定める区域を有する砂型において低圧鋳造する請求項10記載の方法であって、第1の部分の1つを、クランクケースハウジングを定める砂の中子として設置し、その他の第1の部分を、ボルト用の台座を定める中子として設置するステップをさらに含む方法。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−532773(P2008−532773A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501449(P2008−501449)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【国際出願番号】PCT/IB2006/001777
【国際公開番号】WO2006/129197
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507306159)テネドラ ネマク エス.エイ.デ シー.ブイ. (3)
【氏名又は名称原語表記】TENEDORA NEMAK,S.A.DE C.V.
【Fターム(参考)】