説明

アレイ基板及びそれを用いた液晶表示装置

【課題】液晶表示装置の輸送時等における振動や衝撃等に起因する表示ムラの発生を防止することのできるアレイ基板及びそれを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】アレイ基板1は、透明基板2、走査線31、走査線31に交差する信号線、走査線31及び信号線の交差部近傍に設けられた薄膜トランジスタ3、走査線31又は信号線と平行に設けられてなる共通配線71、共通配線71に接続され、走査線31及び信号線で区画された領域16内に形成された共通電極7、共通電極7上に絶縁層12を介して設けられ、複数のスリット81を有する画素電極8、表示領域16に設けられた複数色の着色部5、並びに非表示領域15に設けられた柱状スペーサ6を備え、柱状スペーサ6の頂部に9秒間で200mNまで荷重をかけた状態で5秒間保持したときに、荷重前後における柱状スペーサ6の頂部の位置の変位量Tが0.45μm以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイ基板及びそれを用いた液晶表示装置に関し、特にカラーフィルタを搭載してなるアレイ基板及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶ディスプレイ等の液晶表示装置は、一般に、画素電極を駆動するためのスイッチング能動素子(薄膜トランジスタ,TFT)が形成されたアレイ基板とカラーフィルタ基板とを対向配置して周囲を封止し、その間隙に液晶材料を封入・充填した構造を有する。このような液晶表示装置を構成するカラーフィルタ基板は、一般に透明基板上に赤色、緑色、青色等の複数色の着色部を配設し、各着色部の周囲を取り囲むようにして遮光部が形成されてなるが、かかる液晶表示装置においては、カラーフィルタ基板側の遮光部とアレイ基板側の配線、TFT等との合わせ位置ズレ等を考慮して、遮光部の幅を広めに設計する必要があり、そのために液晶表示装置の開口率が低減し、輝度が低下してしまうという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するために、従来、カラーフィルタ基板側ではなくアレイ基板側にカラーフィルタパターンを形成するとともに、当該カラーフィルタパターンを構成する各着色部と同一材料からなる着色層を積層することにより柱状スペーサを形成してなるカラーフィルタオンアレイ型(COA)液晶表示装置が種々提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
一方、液晶表示装置として、画素電極が設けられたカラーフィルタ基板と共通電極が設けられた対向基板とを対向配置させてなる液晶表示装置、電極が設けられていないカラーフィルタ基板と画素電極及び共通電極が設けられたアレイ基板とを対向配置させてなる、いわゆるIPS(In Plane Switching)モードの液晶表示装置、電極が設けられていないカラーフィルタ基板と共通電極及び当該共通電極上に絶縁層を介して、スリットを有する画素電極が設けられたアレイ基板とを対向配置させてなる、いわゆるFFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示装置等が知られている(特許文献2,3参照)。これらのうち、FFSモードの液晶表示装置は、液晶層に電界を印加するための画素電極と共通電極とがそれぞれ絶縁膜を介して異なる層に配置されたものであり、広視野角かつ高コントラストを有し、さらに低電圧駆動が可能であり、高透過率を有するため、明るい表示が可能となるという特徴を有している。また、FFSモードの液晶表示装置は、平面視で画素電極と共通電極との重畳面積が大きいため、より大きな保持容量が副次的に生じ、別途補助容量電極を設ける必要がなくなるという長所も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−122074号公報
【特許文献2】特開2008−51846号公報
【特許文献3】特開2010−230781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2及び3に記載のFFSモードの液晶表示装置のアレイ基板において、当該アレイ基板上に上記特許文献1に記載のカラーフィルタパターンを形成し、当該カラーフィルタパターンを構成する各着色部と同一材料からなる着色層を積層して柱状スペーサを形成しようとする場合、TFTが形成された透明基板上に層間絶縁膜を形成した後に、当該層間絶縁膜上にカラーフィルタパターンを形成するとともに各着色部と同一材料からなる着色層を積層して柱状スペーサを形成する。その後、カラーフィルタパターン上に共通電極を形成し、共通電極上に層間絶縁膜を形成した後、当該層間絶縁膜上に画素電極を形成することになる。
【0007】
このようにして作製されたアレイ基板においては、共通電極上に層間絶縁膜が形成されると同時に、柱状スペーサの頂部にも当該層間絶縁膜と同一材料の絶縁層が形成されることになる。このようにして柱状スペーサの頂部に絶縁層が形成されると、柱状スペーサの硬度が増大してしまい、この結果、かかるアレイ基板を用いた液晶表示装置の輸送時等における振動や衝撃等に起因する表示ムラが生じてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、液晶表示装置の輸送時等における振動や衝撃等に起因する表示ムラの発生を防止することのできるアレイ基板及びそれを用いた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、透明基板と、前記透明基板上に設けられてなる複数の走査線と、前記走査線に交差するようにして前記透明基板上に設けられてなる複数の信号線と、前記走査線及び前記信号線の交差部近傍に設けられてなる薄膜トランジスタと、前記複数の走査線又は前記複数の信号線と平行に設けられてなる共通配線と、前記共通配線に接続され、前記走査線及び前記信号線で区画されてなる領域内に形成されてなる共通電極と、前記共通電極上に絶縁膜を介して設けられ、複数のスリットが形成されてなる画素電極と、前記透明基板における表示領域に設けられてなる複数色の着色部と、前記透明基板における非表示領域に設けられてなる柱状スペーサとを備え、前記柱状スペーサは、前記複数色の着色部のうちの1色の着色部を構成する材料からなる柱状突起又は前記複数色のうちの2色以上の着色部のそれぞれを構成する材料からなる着色層が積層されてなる柱状積層部と、前記柱状突起又は前記柱状積層部の上面に形成されてなる絶縁層とを含み、前記柱状スペーサの頂部に9秒間で200mNまで前記透明基板に対して垂直方向に荷重をかけ、そのままの状態で5秒間保持したときに、荷重前後における前記柱状スペーサの頂部の位置の前記透明基板に対する垂直方向の変位量が0.45μm以上であることを特徴とするアレイ基板を提供する(発明1)。
【0010】
なお、本発明において「透明」とは、波長400nmの光線の透過率が90%以上であることを意味し、好ましくは93%以上、特に好ましくは96%以上である。
【0011】
上記発明(発明1)においては、前記柱状スペーサの上底部のサイズが、5〜30μm以下である好ましい(発明2)。なお、本発明において「柱状スペーサの上底部のサイズ」とは、柱状スペーサの最上位(頂部)から透明基板の表面(透明基板における薄膜トランジスタ等が配設されている面)までの透明基板に対する垂直方向の長さを100%とした場合、柱状スペーサの最上位(頂部)から透明基板に対する垂直方向(柱状突起又は柱状積層部の軸方向)に5%の長さの点を含む、透明基板と略平行の平面における柱状スペーサの大きさを意味し、柱状スペーサが略円柱形状である場合には当該平面における柱状スペーサの最大径を、柱状スペーサが略方体形状である場合には当該平面における柱状スペーサの対角長さを意味するものとする。
【0012】
上記発明(発明1,2)においては、前記柱状積層部の最上層に位置する着色層の上底部のサイズが、前記柱状積層部の最下層に位置する着色層の上底部のサイズよりも小さいのが好ましく(発明3)、かかる発明(発明3)においては、前記柱状積層部の最上層に位置する着色層の上底部のサイズと、前記柱状積層部の最下層に位置する着色層の上底部のサイズとの比が、1:1.1〜10.0であるのが好ましい(発明4)。なお、本発明において「着色層の上底部のサイズ」とは、当該着色層の最上位(頂部)から、柱状積層部の最下層に位置する着色層と同一色の着色部上面までの長さ(当該最上位(頂部)から透明基板に対する垂直方向の長さ)を100%とした場合、当該着色層の最上位(頂部)から透明基板に対して垂直方向(柱状積層部の軸方向)に5%の長さの点を含む、透明基板と略平行の平面における当該着色層の大きさを意味し、着色層が略円柱形状である場合には当該平面における着色層の最大径を、着色層が略方体形状である場合には当該平面における着色層の対角長さを意味するものとする。かかる着色層の上底部のサイズは、所定の測定装置(例えば、Super PSIS-6008(製品名),SNU Precision社製)を用いて測定することができる。
【0013】
上記発明(発明1〜4)においては、前記柱状スペーサの個数密度が、0.3〜3.0個/1ピクセルであるのが好ましい(発明5)。柱状スペーサの個数密度がかかる範囲内であれば、振動や衝撃等に起因する表示ムラの発生をより防止することができる。なお、本発明において「1ピクセル」とは、複数色の着色部の全色を1色ずつ含む一の領域を意味し、例えば、アレイ基板に赤色着色部、緑色着色部及び青色着色部の3色の着色部が含まれる場合、赤色着色部、緑色着色部及び青色着色部の一つずつからなる一の領域を1ピクセルとし、アレイ基板にさらにイエロー着色部が含まれる場合(4色の着色部が含まれる場合)、赤色着色部、緑色着色部、青色着色部及びイエロー着色部の一つずつからなる一の領域を1ピクセルとする。
【0014】
また、本発明は、上記発明(発明1〜5)に係るアレイ基板と、前記アレイ基板に対向して配置される対向基板と、前記アレイ基板及び対向基板の間隙に封入されてなる液晶材料により構成される液晶層とを備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する(発明6)。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液晶表示装置の輸送時等における振動や衝撃等に起因する表示ムラの発生を防止することのできるアレイ基板及びそれを用いた液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアレイ基板を示す部分断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るアレイ基板の柱状スペーサに所定の荷重をかけた後の状態を示す部分断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るアレイ基板の柱状スペーサを示す部分断面図であり、(A)は、当該柱状スペーサを構成する柱状積層部の最上層に位置する青色着色層を、(B)は、当該柱状積層部の第2層である緑色着色層を、(C)は、当該柱状積層部の最下層に位置する赤色着色層を、(D)は、柱状スペーサの上端部を示す部分断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るアレイ基板の製造方法を示す工程フロー図(その1)である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るアレイ基板の製造方法を示す工程フロー図(その2)である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るアレイ基板の製造方法を示す工程フロー図(その3)である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るアレイ基板を示す部分断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るアレイ基板の柱状スペーサに所定の荷重をかけた後の状態を示す部分断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るアレイ基板の非表示領域に設けられた柱状スペーサを示す部分断面図であり、(A)は、当該柱状スペーサを構成する柱状突起の上端部を、(B)は、当該柱状スペーサの上端部を示す部分断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るアレイ基板の製造方法を示す工程フロー図(その1)である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るアレイ基板の製造方法を示す工程フロー図(その2)である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るアレイ基板の製造方法を示す工程フロー図(その3)である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係るアレイ基板を用いた液晶表示装置を示す部分断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係るアレイ基板を用いた液晶表示装置を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
〔アレイ基板〕
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアレイ基板を示す部分断面図であり、図2は、第1の実施形態に係るアレイ基板の柱状スペーサに所定の荷重をかけた後の状態を示す部分断面図であり、図3は、第1の実施形態に係るアレイ基板の柱状スペーサを示す部分断面図である。
【0018】
図1に示すように、第1の実施形態に係るアレイ基板1は、透明基板2と、透明基板2の一方の面上に配設されてなる複数の走査線31と、走査線31と交差するようにして配設されてなる複数の信号線(図示せず)と、走査線31及び信号線の交差部近傍における薄膜トランジスタ形成領域に設けられてなる薄膜トランジスタ(TFT)3と、透明基板2の一方の面上に走査線31と平行になるように配設されてなる複数の共通配線71と、アレイ基板1の非表示領域15に設けられてなる遮光部4と、アレイ基板1の表示領域16に設けられてなる赤色、緑色及び青色の各着色部5と、遮光部4上に設けられてなる柱状積層部61と、柱状積層部61上に形成された、窒化ケイ素(SiN)等からなる絶縁層11と、共通配線71に第1のコンタクトホールH1を通じて電気的に接続された、各着色部5上に設けられてなる共通電極7と、共通電極7上に窒化ケイ素(SiN)等からなる第1の層間絶縁膜12を介して設けられてなる画素電極8と、アレイ基板1の全面を被覆するようにして設けられてなる配向膜9とを備える。かかるアレイ基板1において、柱状積層部61、柱状積層部61上の絶縁層11及びそれらの周囲を被覆する配向膜9が、スペーサとしての機能を果たす柱状スペーサ6を構成する。
【0019】
かかるアレイ基板1においては、図2に示すように、所定のステージ(図示せず)上にアレイ基板1を載置し、柱状スペーサ6の頂部(柱状積層部61上の配向膜9の上部)に、超微小硬度測定装置(製品名:FISCHERSCOPE H100V,フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて9秒間で200mNまで一定の荷重速度で透明基板2に対して垂直方向に荷重をかけ、そのままの状態で5秒間保持したときに、荷重前後における柱状スペーサ6の頂部の位置の、透明基板2に対して垂直方向における変位量Tが0.45μm以上であり、好ましくは0.45〜2.0μmであり、特に好ましくは0.5〜0.8μmである。当該変位量Dが0.45μm未満であると、当該アレイ基板1を用いて製造された液晶表示装置において、輸送時等の振動や衝撃等に起因する表示ムラが発生してしまう。
【0020】
透明基板2としては、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性を有しない透明なリジット材;透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等を用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。かかる透明基板2の厚みは、例えば、200〜1500μmの範囲で適宜設定することができる。
【0021】
図1に示すように、薄膜トランジスタ(TFT)3は、走査線31に電気的に接続されたゲート電極Gと、ゲート電極G上にゲート絶縁膜14を介して形成された透明半導体層32と、アモルファスシリコン(a−Si)等からなる透明半導体層32に部分的に重なるように、かつ信号線(図示せず)に接続されて設けられたソース電極Sと、透明半導体層32に部分的に重なるようにして設けられたドレイン電極Dとを有する。なお、ドレイン電極Dには、第2のコンタクトホールH2を通じて画素電極8が電気的に接続されている。
【0022】
遮光部4は、例えば、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有する樹脂材料の硬化体、クロム等の金属材料の厚み1000〜2000Å程度の薄膜等として構成されることができる。なお、遮光部4は、ソース電極S、ドレイン電極D、透明半導体層32及びゲート絶縁膜14を被覆するようにして形成された、窒化ケイ素(SiN)等からなる第2の層間絶縁膜13上であって、走査線31及び信号線の上方における非表示領域15を被覆するようにして、格子状のパターン形状で形成されているのが好ましい。
【0023】
着色部(第1の実施形態においては、赤色着色部、緑色着色部及び青色着色部の3色の着色部)5は、ソース電極S、ドレイン電極D、透明半導体層32及びゲート絶縁膜14を被覆するようにして形成された、窒化ケイ素(SiN)等からなる第2の層間絶縁膜13上であって、遮光部4の非形成部である、走査線31及び信号線によって区画される複数の領域内の表示領域16のそれぞれに1色ずつに設けられる。かかる着色部5は、所望の着色材(顔料、染料等)を含む、公知のネガ型又はポジ型感光性樹脂材料等により構成される。また、着色部5の厚みは特に限定されるものではないが、後述するように、各着色部5と、柱状積層部61を構成する各着色層61R,61G,61Bとが同時に形成されることから、第1の実施形態に係るアレイ基板1を用いて製造される液晶表示装置における液晶層の厚さ(すなわち、柱状積層部61の突出高さ等)を考慮して適宜設定すればよい。
【0024】
柱状積層部61は、着色部5を構成する各材料からなる赤色着色層61R、緑色着色層61G、及び青色着色層61Bが遮光部4上にこの順で積層されて構成される。かかる柱状積層部61の高さは、第1の実施形態に係るアレイ基板1を用いて製造される液晶表示装置における液晶層の厚み等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、1.5〜5.0μmとすることができる。
【0025】
柱状積層部61の各着色層61R,61G,61Bの形状は、略円柱形状であってもよいし、略直方体形状、略立方体形状等の略方体形状であってもよい。なお、第1の実施形態においては、柱状積層部61の各着色層61R,61G,61Bの形状が円柱形状であるものを例に挙げて説明する。
【0026】
図3に示すように、柱状積層部61を構成する赤色着色層61Rの上底部の直径W3は、柱状積層部61が形成される遮光部4の短手方向の幅以下であって、かつ30μm以上であるのが好ましく、40〜100μmであるのがより好ましい。柱状積層部61の最下層に位置する赤色着色層61Rの上底部の直径W3が30μm未満であると、その上に積層される緑色着色層61G及び青色着色層61Bを構成する材料の流れ込み現象により、それらの着色層61G,61Bの積層量が少なくなってしまい、所望とする高さの柱状積層部61が得られなくなるおそれがある。
【0027】
一方で、柱状積層部61の高さを所望の高さとするためには、赤色着色層61R、緑色着色層61G及び青色着色層61Bの上底部の直径W1〜W3をそれぞれ大きくすることが考えられる。しかしながら、第1の実施形態に係るアレイ基板1においては、共通電極7上に窒化ケイ素(SiN)等からなる第1の層間絶縁膜12を介して画素電極8が設けられているため、後述するように、第1の層間絶縁膜12を形成すると同時に、柱状積層部61の上部に窒化ケイ素(SiN)等からなる絶縁層11が形成されることから、柱状積層部61の各着色層61R,61G,61Bの上底部の直径W1〜W3をそれぞれ大きくしてしまうと、柱状スペーサ6が硬くなってしまい、結果として、振動や衝撃等に起因する表示ムラが生じてしまう。
【0028】
そこで、第1の実施形態に係るアレイ基板1においては、少なくとも柱状積層部61の最上層に位置する青色着色層61Bの上底部の直径W1を、最下層に位置する赤色着色層61Rの上底部の直径W3よりも小さくする。これにより、柱状スペーサ6の硬度を低下させ、所定条件での荷重前後における柱状スペーサ6の頂部の変位量Tを0.45μm以上にすることができ、その結果、第1の実施形態に係るアレイ基板1を用いた液晶表示装置において、振動や衝撃等に起因する表示ムラの発生を抑制することができる。
【0029】
具体的には、柱状積層部61の最上層に位置する青色着色層61Bの上底部の直径W1が好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜28μm、特に好ましくは15〜25μmであって、当該直径W1と最下層に位置する赤色着色層61Rの上底部の直径W3との比が、好ましくは1:1.1〜10.0、より好ましくは1:1.2〜5.0、特に好ましくは1:1.5〜3.0となるように、各着色層61R,61G,61Bを積層して柱状積層部61を構成することができる。これにより、柱状積層部61の高さ(遮光部4面から最上層に位置する青色着色層61Bの頂部までの高さ)を1.5〜5.0μmとし、かつ後述するように柱状スペーサ6の上底部の直径W4を5〜30μmにすることができる。その結果として、柱状スペーサ6を所望とする高さで形成してもなお、振動や衝撃等に起因する表示ムラの発生を抑制することができる。なお、緑色着色層61Gの上底部の直径W2は、最上層に位置する着色層である青色着色層61Bの直径W1以上、最下層に位置する着色層である赤色着色層61Rの直径W3以下であれば、特に限定されるものではなく、所望とする柱状積層部61の高さや柱状スペーサ6の硬度等に応じて適宜設定すればよい。
【0030】
なお、第1の実施形態において、着色層の上底部の直径とは、各着色層61R,61G,61Bの頂点P1〜P3から柱状積層部61の最下層に位置する着色層(第1の実施形態においては赤色着色層61R)と同一色の着色部(第1の実施形態においては赤色着色部)の中心部における表面までの、透明基板2に対する垂直方向における長さを100%とした場合、当該着色層61R,61G,61Bの頂点P1〜P3から透明基板2に対して垂直方向(柱状積層部61の軸方向)に5%の長さの点Q1〜Q3を含む、透明基板2と略平行な平面における各着色層61R,61G,61Bの直径を意味する(図3(A)〜(C)参照)。この着色層の上底部の直径は、所定の測定装置(例えば、Super PSIS-6008(製品名),SNU Precision社製)を用いて測定することができる。
【0031】
また、柱状スペーサ6の上底部の直径W4は、5〜30μmであるのが好ましく、10〜28μmであるのがより好ましく、15〜25μmであるのが特に好ましい。当該直径W4が5μm未満であると、柱状スペーサ6の硬度が不足することにより、例えば、第1の実施形態に係るアレイ基板1をタッチパネル方式の液晶表示装置用の基板として用いると、指押し状態での表示にムラが生じやすくなるおそれがある。また、当該直径W4が5μm未満であると、柱状積層部61の最上層に位置する着色層(第1の実施形態においては青色着色層61B)とその上に形成された絶縁層11又はその直下に位置する着色層(第1の実施形態においては緑色着色層61G)との密着性が不足し、基板の洗浄工程等で絶縁層11又は柱状積層部61の最上層に位置する着色層が剥がれることにより、柱状スペーサ6の高さにばらつきが生じてしまうおそれがある。一方、当該直系W4が30μmを超えると、振動や衝撃等に起因する表示ムラが生じてしまうおそれがある。なお、第1の実施形態において、柱状スペーサ6の上底部の直径とは、柱状スペーサ6の頂部P4から透明基板2の表面(透明基板2におけるTFT3等が配設されている面)までの透明基板2に対する垂直方向の長さを100%とした場合、柱状スペーサ6の頂部P4から透明基板2に対する垂直方向(柱状積層部61の軸方向)に5%の長さの点Q4を含む、透明基板2と略平行の平面における柱状スペーサ6の直径を意味する(図3(D)参照)。この柱状スペーサ6の直径W4は、所定の測定装置(例えば、Super PSIS-6008(製品名),SNU Precision社製)を用いて測定することができる。
【0032】
柱状スペーサ6の個数密度は、0.3〜3.0個/1ピクセルであるのが好ましく、0.5〜2.5個/1ピクセルであるのがより好ましく、1.0〜2.0個/1ピクセルであるのが特に好ましい。当該個数密度が0.3個/1ピクセル未満であると、第1の実施形態に係るアレイ基板1をタッチパネル方式の液晶表示装置用の基板として用いたときに、指押し状態での表示にムラが生じやすくなるおそれがあり、3.0個/1ピクセルを超えると、振動や衝撃等に起因する表示ムラが生じやすくなるおそれがある。
【0033】
ITO等からなる共通電極7は、走査線31及び信号線で区画された複数の領域内のそれぞれに、共通配線71に第1のコンタクトホールH1を通じて電気的に接続されるようにして設けられている。また、ITO等からなる画素電極8は、TFT3のドレイン電極Dに第2のコンタクトホールH2を通じて電気的に接続されるようにして、第1の層間絶縁膜12を介して共通電極7上に設けられている。かかる画素電極8は、複数のスリット81が相互に略平行に形成されてなるものである。
【0034】
上述した第1の実施形態に係るアレイ基板1の製造方法を、以下に説明する。図4〜6は、第1の実施形態に係るアレイ基板1の製造方法を示す工程フロー図である。
【0035】
まず、透明基板2を用意し、当該透明基板2の表面全体に、複数の走査線31及び共通配線71を相互に平行になるように形成する(図4(A))。走査線31及び共通配線71は、それらを形成するための金属材料(例えば、Al、Cu、Ta、Mo、Ag、Au等のうちの少なくとも1種)からなる金属膜をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の公知の手法を用いて形成した後、パターンエッチングを行うことにより形成されてもよいし、所望のマスクパターンを用いて当該金属材料をパターン蒸着することにより形成されてもよい。次に、走査線31及び共通配線71を被覆するようにして、透明基板2の表面全体に窒化ケイ素(SiN)等からなるゲート絶縁膜14を形成する(図4(B))。
【0036】
続いて、ゲート絶縁膜14が形成された透明基板2の表面全体にアモルファス・シリコン(a−Si)層を、CVD法等の公知の手法を用いて形成した後、パターンエッチングを行い薄膜トランジスタ形成領域にa−Si層からなる透明半導体層32を形成する(図4(C))。この透明半導体層32の下方の領域に位置する走査線31がTFT3のゲート電極Gを構成することになる。
【0037】
次に、信号線及びドレイン電極Dを形成するための金属材料(例えば、Al、Cu、Ta、Mo、Ag、Au等のうちの少なくとも1種)からなる金属膜を、a−Si層からなる透明半導体層32が形成された透明基板2の表面全体に、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の公知の手法を用いて形成した後、パターンエッチングを行い走査線31に直交する複数の信号線及びドレイン電極Dのそれぞれが、透明半導体層32に部分的に重なるようにして形成される(図4(D))。この透明半導体層32に部分的に重なる信号線がTFT3のソース電極Sを構成することになる。このようにして、透明基板2上にTFT3が形成される。
【0038】
次いで、TFT3が形成された透明基板2の表面全体に、窒化ケイ素(SiN)等からなる第2の層間絶縁膜13を、スパッタリング法等を用いて形成し(図4(E))、走査線31及び信号線の上方であって、第2の層間絶縁膜13上に走査線31及び信号線を被覆するような格子状のパターン形状を有する遮光部4を形成する(図4(F))。なお、遮光部4の形成方法としては、例えば、黒色顔料を含む感光性樹脂組成物により遮光部4を形成する場合、当該感光性樹脂組成物を、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の塗布方法を用いて塗布して塗布膜を形成し、当該塗布膜を乾燥し、所望のパターンのマスクを用いて露光、現像する方法等が挙げられ、遮光部4を金属クロム等により形成する場合、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等を用いて金属クロム薄膜を形成し、パターンエッチングを行う方法等が挙げられる。
【0039】
続いて、所望のパターン形状を有する遮光部4が設けられた透明基板2の表面全体に、赤色着色部及び赤色着色層61Rを形成するための樹脂組成物を、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の塗布方法を用いて塗布し、塗布膜を形成する。このようにして形成した塗布膜を乾燥し、所望のパターンのマスクを用いて露光、現像することで、走査線31及び信号線で区画された領域内の表示領域16に赤色着色部を、遮光部4の所望位置に柱状積層部61の最下層を構成する赤色着色層61Rを形成する。このとき、形成しようとする柱状積層部61の高さ等を考慮して、柱状積層部61の最上層に位置する青色着色層61Bの上底部の直径W1と赤色着色層61Rの上底部の直径W3との比が所定の範囲になるように、かつ赤色着色層61Rの上底部の直径W3が所定の範囲となるように赤色着色層61Rを形成する。
【0040】
そして、遮光部4、赤色着色部及び赤色着色層61Rが形成された透明基板2の表面全体に、緑色着色部及び緑色着色層61Gを形成するための樹脂組成物を、上述の塗布方法を用いて塗布し、塗布膜を形成する。このようにして形成した塗布膜を乾燥し、所望のパターンのマスクを用いて露光、現像することで、透明基板2上の赤色着色部に隣接する、走査線31及び信号線で区画された領域内の表示領域16に緑色着色部を、遮光部4上の赤色着色層61Rの上に緑色着色層61Gを形成する。さらに、遮光部4、赤色着色部、緑色着色部、赤色着色層61R及び緑色着色層61Gが形成された透明基板2の表面全体に、青色着色部及び青色着色層61Bを形成するための樹脂組成物を、上述の塗布方法を用いて塗布し、塗布膜を形成する。このようにして形成した塗布膜を乾燥し、所望のパターンのマスクを用いて露光、現像することで、透明基板2上の赤色着色部及び緑色着色部に隣接する、走査線31及び信号線で区画された領域内の表示領域16に青色着色部を、遮光部4上の緑色着色層61Gの上に青色着色層61Bを形成する。このとき、青色着色層61Bの上底部の直径W1が所定の範囲となるように、かつ当該直径W1と赤色着色層61Rの上底部の直径W3との比が所定の範囲となるように青色着色層61Bを形成する。これにより、遮光部4上に3層構造からなる柱状積層部61が形成される(図5(G))。
【0041】
次に、所定の開口を有するマスクパターンを形成し、このマスクパターンをマスクとしてプラズマを利用したドライエッチング法であるICP−RIE(Inductive Coupled Plasma-Reactive Ion Etching)により、共通配線71の上方であって、着色部5上の所定の位置に、共通配線71が露出するようにして、着色部5、第2の層間絶縁膜13及びゲート絶縁膜14を貫通する第1のコンタクトホールH1を穿設する(図5(H))。
【0042】
続いて、第1のコンタクトホールH1を通じて共通配線71に電気的に接続された共通電極7を、各着色部5上に形成する(図5(I))。かかる共通電極7は、透明基板2の表面全体にITO等からなる金属薄膜を、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等により形成し、パターンエッチングを行うことにより形成され得る。
【0043】
そして、共通電極7が形成された透明基板2の表面全体に、窒化ケイ素(SiN)等からなる第1の層間絶縁膜12を形成する(図5(J))。このとき、柱状積層部12の上部(青色着色層61Bの上部)にも同時に、窒化ケイ素(SiN)等からなる絶縁層11が形成されることになる。
【0044】
続いて、所定の開口を有するマスクパターンを形成し、このマスクパターンをマスクとしてプラズマを利用したドライエッチング法であるICP−RIE(Inductive Coupled Plasma-Reactive Ion Etching)により、ドレイン電極Dの上方であって、第1の層間絶縁膜12上の所定の位置に、ドレイン電極Dが露出するようにして、第1の層間絶縁膜12、着色部5、及び第2の層間絶縁膜13を貫通する第2のコンタクトホールH2を穿設する(図6(K))。
【0045】
さらに、第2のコンタクトホールH2を通じてドレイン電極Dに電気的に接続された画素電極8を、第1の層間絶縁膜12上であって、走査線31及び信号線によって区画された領域内に形成する(図6(L))。かかる画素電極8は、第2のコンタクトホールH2が穿設された透明基板2の表面全体にITO等からなる金属薄膜を、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等により形成し、所定のスリット81を有するようにパターンエッチングを行うことにより形成され得る。
【0046】
最後に、画素電極8が形成された透明基板2の表面全体に、ポリイミド等からなる配向膜7を形成し、所望によりラビング処理を施す(図6(M))。これにより、第1の実施形態に係るアレイ基板1を得ることができる。
【0047】
上述のようにして得られたアレイ基板1は、柱状スペーサ6の頂部に超微小硬度測定装置(製品名:FISCHERSCOPE H100V,フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて9秒間で200mNまで一定の荷重速度で透明基板2に対して垂直方向に荷重をかけ、そのままの状態で5秒間保持したときに、荷重前後における柱状スペーサ6の頂部の位置の、透明基板2に対して垂直方向における変位量Tが0.45μm以上となる。したがって、後述する実施例において明らかなように、柱状スペーサ6の上部に窒化ケイ素(SiN)等からなる絶縁層11が形成されているにもかかわらず、かかるアレイ基板1を用いて製造された液晶表示装置において、輸送時等の振動や衝撃等に起因する表示ムラが発生するのを抑制することができる。
【0048】
以上説明した第1の実施形態において、着色部5は、赤色着色部、緑色着色部及び青色着色部の3色により構成されているが、少なくとも2色の着色部を含む限り特に制限されるものではなく、赤色着色部と、緑色着色部又は青色着色部との2色により構成されていてもよい。また、上記3色の着色部5に加えて、イエロー、マゼンタ、シアン等の他の色の着色部のうちの1色以上が含まれていてもよいし、上記3色の着色部5のうちのいずれか1色以上に変えてイエロー、マゼンタ、シアン等の他の色の着色部のうちの1色以上が含まれていてもよい。
【0049】
また、第1の実施形態においては、柱状積層部61が下側(遮光部4側)から順に赤色着色層61R、緑色着色層61G及び青色着色層61Bの3層構造となっているが、柱状積層部61として所望の高さを得られるのであれば、2層構造であってもよいし、4層以上の積層構造であってもよい。柱状積層部61を4層以上の積層構造とする場合、例えば、赤色着色層61R、緑色着色層61G及び青色着色層61Bと、イエロー、マゼンタ、シアン等の色の着色層とを含むものとして構成することができる。また、それらの積層順も特に限定されるものではない。
【0050】
着色部5を4色により構成し、柱状積層部61を4層以上の積層構造とする場合、例えば、青色着色部に隣接してイエロー着色部を設け、柱状積層部61の青色着色層61B上にイエロー着色層を設ければよい。この場合において、イエロー着色層の上底部の直径(イエロー着色層の頂点から赤色着色部の中心部における表面までの、透明基板2に対する垂直方向の長さを100%とした場合、当該イエロー着色層の頂点から透明基板2に対して垂直方向(柱状積層部61の軸方向)に5%の長さの点を含む、透明基板2と略平行な平面におけるイエロー着色層の直径)を好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜28μm、特に好ましくは15〜25μmとし、かつイエロー着色層の上底部の直径と赤色着色層61Rの上底部の直径W3との比を好ましくは1:1.1〜10.0、より好ましくは1:1.2〜5.0、特に好ましくは1:1.5〜3.0とすることができる。
【0051】
第1の実施形態に係るアレイ基板1において、薄膜トランジスタ(TFT)3は、ゲート電極G上にゲート絶縁膜14を介して透明半導体層32、ソース電極S及びドレイン電極Dが形成された構成を有するものであるが、透明半導体層32、ソース電極S及びドレイン電極Dの上にゲート絶縁膜14を介してゲート電極Gが形成された構成を有するものであってもよい。
【0052】
第1の実施形態に係るアレイ基板1において、共通配線71は、走査線31と平行に配設されているが、これに限定されるものではなく、信号線と平行に配設されていてもよい。この場合においては、共通配線71は、信号線を形成すると同時に形成され得る。
【0053】
第1の実施形態に係るアレイ基板1においては、透明基板2の裏面(TFT3、着色部5等が形成されていない面)にITO層が形成されていてもよい。ITO層が形成されていることで、当該アレイ基板1を用いた液晶表示装置の製造工程において静電気が帯電するのを防止したり、かかる液晶表示装置(アレイ基板1)の静電破壊を防止したりすることができる。
【0054】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態に係るアレイ基板について説明する。図7は、第2の実施形態に係るアレイ基板を示す部分断面図であり、図8は、第2の実施形態に係るアレイ基板の柱状スペーサに所定の荷重をかけた後の状態を示す部分断面図であり、図9は、第2の実施形態に係るアレイ基板の非表示領域に設けられた柱状スペーサを示す部分断面図である。なお、第2の実施形態に係るアレイ基板は、第1の実施形態に係るアレイ基板と同様の構成を有するものであるため、第1の実施形態に係るアレイ基板と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
図7に示すように、第2の実施形態に係るアレイ基板10は、第1の実施形態に係るアレイ基板1における非表示領域15に遮光部4が設けられていない代わりに、走査線31と信号線とにより区画される領域内の表示領域16に設けられた赤色着色部及び緑色着色部のそれぞれと同一材料からなる赤色着色層61R及び緑色着色層61Gを積層してなる積層構造41が非表示領域15に設けられており、この積層構造41が遮光部としての機能を果たすことになる。また、第2の実施形態に係るアレイ基板10は、第1の実施形態に係るアレイ基板1における遮光部4上の柱状積層部61を有さず、当該積層構造41上に青色着色層61Bからなる柱状突起62を有する。なお、第2の実施形態に係るアレイ基板10においては、柱状突起62、柱状突起62上の絶縁層11及びそれらの周囲を被覆する配向膜9が、スペーサとしての機能を果たす柱状スペーサ6を構成する。
【0056】
第2の実施形態に係るアレイ基板10においては、図8に示すように、所定のステージ(図示せず)上にアレイ基板10を載置し、柱状スペーサ6の頂部(柱状突起62上の配向膜9の上部)に、超微小硬度測定装置(製品名:FISCHERSCOPE H100V,フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて9秒間で200mNまで一定の荷重速度で透明基板2に対して垂直方向に荷重をかけ、そのままの状態で5秒間保持したときに、荷重前後における柱状スペーサ6の頂部の位置の、透明基板2に対して垂直方向における変位量Tが0.45μm以上であり、好ましくは0.45〜2.0μmであり、特に好ましくは0.5〜0.8μmである。当該変位量Tが0.45μm未満であると、当該アレイ基板10を用いて製造された液晶表示装置において、輸送時等の振動や衝撃等に起因する表示ムラが発生してしまう。
【0057】
遮光部としての機能を果たす赤色着色層61R及び緑色着色層61Gからなる積層構造41は、後述するように、走査線31及び信号線により区画される領域内の表示領域16に赤色着色部及び緑色着色部を形成すると同時に、非表示領域15に積層されて構成される。かかる積層構造41の各着色層(赤色着色層61R及び緑色着色層61G)の厚みは、第2の実施形態に係るアレイ基板10を用いて製造される液晶表示装置における液晶層の厚さ等を考慮して適宜設定すればよい。
【0058】
柱状突起62は、赤色着色層61R及び緑色着色層61Gからなる積層構造41上の所定の位置に青色着色層61Bが柱状に形成されて構成される。かかる柱状突起62の高さは、第2の実施形態に係るアレイ基板10を用いて製造される液晶表示装置における液晶層の厚み、走査線31及び信号線の上方の非表示領域15に積層されている赤色着色層61R及び緑色着色層61Gの厚み等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、1.5〜5.0μmとすることができる。
【0059】
柱状突起62の形状は、略円柱形状であってもよいし、略直方体形状、略立方体形状等の略方体形状であってもよい。なお、第2の実施形態においては、柱状突起62の形状が円柱形状であるものを例に挙げて説明する。
【0060】
柱状突起62を構成する青色着色層61Bの上底部の直径W1は、5〜30μmであるのが好ましく、10〜28μmであるのがより好ましく、15〜25μmであるのが特に好ましい。当該直径W1が30μmを超えると、柱状突起62の硬度が増大し、振動や衝撃等に起因する表示ムラの発生を抑制するのが困難となるおそれがあり、5μm未満であると、柱状スペーサ6の硬度が不足することにより、例えば、第2の実施形態に係るアレイ基板10をタッチパネル方式の液晶表示装置用の基板として用いると、指押し状態での表示にムラが生じやすくなるおそれがある。また、当該直径W1が5μm未満であると、柱状突起62を構成する着色層(第2の実施形態においては青色着色層61B)とその上に形成された絶縁層11又はその直下に位置する着色層(第2の実施形態においては緑色着色層61G)との密着性が不足し、基板の洗浄工程等で絶縁層11又は柱状突起62(青色着色層61B)が剥がれることにより、柱状スペーサ6の高さにばらつきが生じてしまうおそれがある。
【0061】
なお、第2の実施形態において、着色層の上底部の直径とは、青色着色層61Bの頂点P1から透明基板2上の非表示領域に設けられた積層構造41の最下層に位置する着色層(第2の実施形態においては赤色着色層61R)と同一色の着色部(第2の実施形態においては赤色着色部)の中心部における表面までの、透明基板2に対して垂直方向における長さを100%とした場合、当該着色層61Bの頂点P1から透明基板2に対して垂直方向(柱状突起62の軸方向)に5%の長さの点Q1を含む、透明基板2と略平行な平面における着色層61Bの直径を意味する(図9(A)参照)。この青色着色層61Bの上底部の直径W1は、所定の測定装置(例えば、Super PSIS-6008(製品名),SNU Precision社製)を用いて測定することができる。
【0062】
また、柱状スペーサ6の上底部の直径W4は、5〜30μmであるのが好ましく、10〜28μmであるのがより好ましく、15〜25μmであるのが特に好ましい。当該直径W4が5μm未満であると、柱状スペーサ6の硬度が不足することにより、例えば、第2の実施形態に係るアレイ基板10をタッチパネル方式の液晶表示装置用の基板として用いると、指押し状態での表示にムラが生じやすくなるおそれがある。また、当該直径W4が5μm未満であると、柱状突起62を構成する着色層(第2の実施形態においては青色着色層61B)とその上に形成された絶縁層11又はその直下に位置する着色層(第2の実施形態においては緑色着色層61G)との密着性が不足し、基板の洗浄工程等で絶縁層11又は柱状突起62(青色着色層61B)が剥がれることにより、柱状スペーサ6の高さにばらつきが生じてしまうおそれがある。一方、当該直系W4が30μmを超えると、振動や衝撃等に起因する表示ムラが生じてしまうおそれがある。なお、第2の実施形態において、柱状スペーサ6の上底部の直径W4とは、柱状スペーサ6の頂部P4から透明基板2の表面(透明基板2におけるTFT3等が配設されている面)までの透明基板2に対する垂直方向の長さを100%とした場合、柱状スペーサ6の頂部P4から透明基板2に対する垂直方向(柱状突起62の軸方向)に5%の長さの点Q4を含む、透明基板2と略平行の平面における柱状スペーサ6の直径を意味する(図9(B)参照)。この柱状スペーサ6の直径W4は、所定の測定装置(例えば、Super PSIS-6008(製品名),SNU Precision社製)を用いて測定することができる。
【0063】
柱状スペーサ6の個数密度は、0.3〜3.0個/1ピクセルであるのが好ましく、0.5〜2.5個/1ピクセルであるのがより好ましく、1.0〜2.0個/1ピクセルであるのが特に好ましい。当該個数密度が0.3個/1ピクセル未満であると、第2の実施形態に係るアレイ基板10をタッチパネル方式の液晶表示装置用の基板として用いたときに、指押し状態での表示にムラが生じやすくなるおそれがあり、3.0個/1ピクセルを超えると、振動や衝撃等に起因する表示ムラが生じやすくなるおそれがある。
【0064】
上述した第2の実施形態に係るアレイ基板10の製造方法を、以下に説明する。図10〜12は、第2の実施形態に係るアレイ基板10の製造方法を示す工程フロー図である。
【0065】
まず、透明基板2を用意し、当該透明基板2の表面全体に、複数の走査線31及び共通配線71を相互に平行になるように形成する(図10(A))。走査線31及び共通配線71は、それらを形成するための金属材料(例えば、Al、Cu、Ta、Mo、Ag、Au等のうちの少なくとも1種)からなる金属膜をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の公知の手法を用いて形成した後、パターンエッチングを行って形成されてもよいし、所望のマスクパターンを用いて当該金属材料をパターン蒸着することにより形成されてもよい。次に、走査線31及び共通配線71を被覆するようにして、透明基板2の表面全体に窒化ケイ素(SiN)等からなるゲート絶縁膜14を形成する(図10(B))。
【0066】
続いて、ゲート絶縁膜9が形成された透明基板2の表面全体にアモルファス・シリコン(a−Si)層を、CVD法等の公知の手法を用いて形成した後、パターンエッチングを行い薄膜トランジスタ形成領域にa−Si層からなる透明半導体層32を形成する(図10(C))。この透明半導体層9の下方の領域に位置する走査線31がTFT3のゲート電極Gを構成することになる。
【0067】
次に、信号線及びドレイン電極Dを形成するための金属材料(例えば、Al、Cu、Ta、Mo、Ag、Au等のうちの少なくとも1種)からなる金属膜を、a−Si層からなる透明半導体層32が形成された透明基板2の表面全体に、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の公知の手法を用いて形成した後、パターンエッチングを行い走査線31に直交する複数の信号線及びドレイン電極Dのそれぞれを、透明半導体層32に部分的に重なるようにして形成する(図10(D))。この透明半導体層32に部分的に重なる信号線がTFT3のソース電極Sを構成することになる。このようにして、透明基板2上にTFT3が形成される。次いで、TFT3が形成された透明基板2の表面全体に、窒化ケイ素(SiN)等からなる第2の層間絶縁膜13を、スパッタリング法等を用いて形成する(図10(E))。
【0068】
続いて、透明基板2の表面全体に、赤色着色部及び赤色着色層61Rを形成するための樹脂組成物を、スピンコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、スリットコート法等の公知の塗布方法を用いて塗布し、塗布膜を形成する。このようにして形成した塗布膜を乾燥し、所望のパターンのマスクを用いて露光、現像することで、走査線31及び信号線で区画された領域内の表示領域16に赤色着色部を、非表示領域15に赤色着色層61Rを形成する。そして、赤色着色部及び赤色着色層61Rが形成された透明基板2の表面全体に、緑色着色部及び緑色着色層61Gを形成するための樹脂組成物を、上述の塗布方法を用いて塗布し、塗布膜を形成する。このようにして形成した塗布膜を乾燥し、所望のパターンのマスクを用いて露光、現像することで、透明基板2上の赤色着色部に隣接する、走査線31及び信号線で区画された領域内の表示領域16に緑色着色部を、非表示領域15の赤色着色層61R上に緑色着色層61Gを形成する。このようにして、非表示領域15上に赤色着色層61R及び緑色着色層61Gからなる積層構造41が形成され、当該積層構造41が遮光部としての機能を果たすことになる。さらに、赤色着色部、緑色着色部及び積層構造41が形成された透明基板2の表面全体に、青色着色部及び柱状突起62(青色着色層61B)を形成するための樹脂組成物を、上述の塗布方法を用いて塗布し、塗布膜を形成する。このようにして形成した塗布膜を乾燥し、所望のパターンのマスクを用いて露光、現像することで、透明基板2上の赤色着色部及び緑色着色部に隣接する、走査線31及び信号線で区画された領域内の表示領域16に青色着色部を、積層構造41上の所定の位置に青色着色層61Bからなる柱状突起62を形成する(図11(F))。このとき、柱状突起62(青色着色層61B)の上底部の直径W1が所定の範囲となるように柱状突起62(青色着色層61B)を形成する。
【0069】
次に、所定の開口を有するマスクパターンを形成し、このマスクパターンをマスクとしてプラズマを利用したドライエッチング法であるICP−RIE(Inductive Coupled Plasma-Reactive Ion Etching)により、共通配線71の上方であって、着色部5上の所定の位置に、共通配線71が露出するようにして、着色部5、第2の層間絶縁膜13及びゲート絶縁膜14を貫通する第1のコンタクトホールH1を穿設する(図11(G))。
【0070】
続いて、第1のコンタクトホールH1を通じて共通配線71に電気的に接続された共通電極7を、各着色部5上に形成する(図11(H))。かかる共通電極7は、透明基板2の表面全体にITO等からなる金属薄膜を、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等により形成し、パターンエッチングを行うことにより形成され得る。
【0071】
そして、共通電極7が形成された透明基板2の表面全体に、窒化ケイ素(SiN)等からなる第1の層間絶縁膜12を形成する(図11(I))。このとき、柱状突起62の上部(青色着色層61Bの上部)にも同時に、窒化ケイ素(SiN)等からなる絶縁層11が形成されることになる。
【0072】
続いて、所定の開口を有するマスクパターンを形成し、このマスクパターンをマスクとしてプラズマを利用したドライエッチング法であるICP−RIE(Inductive Coupled Plasma-Reactive Ion Etching)により、ドレイン電極Dの上方であって、第1の層間絶縁膜12上の所定の位置に、ドレイン電極Dが露出するようにして、第1の層間絶縁膜12、着色部5、及び第2の層間絶縁膜13を貫通する第2のコンタクトホールH2を穿設する(図12(J))。
【0073】
さらに、第2のコンタクトホールH2を通じてドレイン電極Dに電気的に接続された画素電極8を、第1の層間絶縁膜12上であって、走査線31及び信号線によって区画された領域内に形成する(図12(K))。かかる画素電極8は、第2のコンタクトホールH2が穿設された透明基板2の表面全体にITO等からなる金属薄膜を、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等により形成し、所定のスリット81を有するようにパターンエッチングを行うことにより形成され得る。
【0074】
最後に、画素電極8が形成された透明基板2の表面全体に、ポリイミド等からなる配向膜9を形成し、所望によりラビング処理を施す(図12(L))。これにより、第2の実施形態に係るアレイ基板10を得ることができる。
【0075】
上述のようにして得られたアレイ基板10は、柱状スペーサ6の頂部に超微小硬度測定装置(製品名:FISCHERSCOPE H100V,フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて9秒間で200mNまで一定の荷重速度で透明基板2に対して垂直方向に荷重をかけ、そのままの状態で5秒間保持したときに、荷重前後における柱状スペーサ6の頂部の位置の、透明基板2に対して垂直方向における変位量Tが0.45μm以上となる。したがって、後述する実施例において明らかなように、柱状スペーサ6の上部に窒化ケイ素(SiN)等からなる絶縁層11が形成されているにもかかわらず、かかるアレイ基板10を用いて製造された液晶表示装置において、輸送時等の振動や衝撃等に起因する表示ムラが発生するのを抑制することができる。
【0076】
以上説明した第2の実施形態において、着色部5は、赤色着色部、緑色着色部及び青色着色部の3色により構成されているが、上記3色の着色部に加えて、イエロー、マゼンタ、シアン等の他の色の着色部のうちの1色以上が含まれていてもよいし、上記3色の着色部のうちのいずれか1色以上に変えてイエロー、マゼンタ、シアン等の他の色の着色部のうちの1色以上が含まれていてもよい。
【0077】
また、第2の実施形態においては、柱状突起62が青色着色層61Bにより構成されているが、赤色着色層61R又は緑色着色層61Gにより構成されていてもよいし、2色以上の着色層の積層構造を有する柱状積層部として構成されていてもよい。柱状突起62を2色以上の着色層の積層構造を有する柱状積層部として構成する場合、赤色着色層61R、緑色着色層61G又は青色着色層61Bと、イエロー、マゼンタ、シアン等の色の着色層とを含むものとして当該柱状積層部を構成することができる。また、当該柱状積層部におけるそれらの積層順も特に限定されるものではない。
【0078】
例えば、柱状突起62を2色の着色層の積層構造を有する柱状積層部として構成する場合には、着色部5を4色により構成すればよい。具体的には、青色着色部に隣接してイエロー着色部を設け、青色着色層61B上にイエロー着色層を積層した積層構造を有する柱状積層部として構成すればよい。この場合において、イエロー着色層の上底部の直径(イエロー着色層の頂点から赤色着色部の中心部における表面までの、透明基板2に対する垂直方向の長さを100%とした場合、当該イエロー着色層の頂点から透明基板2に対して垂直方向(柱状積層部の軸方向)に5%の長さの点を含む、透明基板2と略平行な平面におけるイエロー着色層の直径)を好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜28μm、特に好ましくは15〜25μmとすることができ、柱状積層部の最上層に位置するイエロー着色層の上底部の直径と最下層に位置する青色着色層61Bの上底部の直径との比が、好ましくは1:1.1〜10.0、より好ましくは1:1.2〜5.0、特に好ましくは1:1.5〜3.0となるように、各着色層を積層することができる。これにより、柱状積層部の高さ(着色部5上面から最上層に位置するイエロー着色層の頂部までの高さ)を1.5〜5.0μmとし、かつ柱状スペーサ6の上底部の直径W4を5〜30μmにすることができる。その結果として、柱状スペーサ6を所望とする高さで形成してもなお、振動や衝撃等に起因する表示ムラの発生を抑制することができる。
【0079】
第2の実施形態に係るアレイ基板10において、薄膜トランジスタ(TFT)3は、ゲート電極G上にゲート絶縁層14を介して透明半導体層32、ソース電極S及びドレイン電極Dが形成された構成を有するものであるが、透明半導体層32、ソース電極S及びドレイン電極Dの上にゲート絶縁層14を介してゲート電極Gが形成された構成を有するものであってもよい。
【0080】
第2の実施形態に係るアレイ基板10において、共通配線71は、走査線31と平行に配設されているが、これに限定されるものではなく、信号線と平行に配設されていてもよい。この場合においては、共通配線71は、信号線を形成すると同時に形成され得る。
【0081】
第2の実施形態に係るアレイ基板10においては、透明基板2の裏面(TFT3、着色部5等が形成されていない面)にITO層が形成されていてもよい。ITO層が形成されていることで、当該アレイ基板10を用いた液晶表示装置の製造工程において静電気が帯電するのを防止したり、かかる液晶表示装置(アレイ基板10)の静電破壊を防止したりすることができる。
【0082】
〔液晶表示装置〕
上述した第1及び第2の実施形態に係るアレイ基板1,10は、FFS方式液晶表示装置用アレイ基板として用いることができる。以下、第1及び第2の実施形態に係るアレイ基板1,10を用いたFFS方式液晶表示装置について説明する。図13は、第1の実施形態に係るアレイ基板1を用いたFFS方式液晶表示装置を示す部分断面図であり、図14は、第2の実施形態に係るアレイ基板10を用いたFFS方式液晶表示装置を示す部分断面図である。
【0083】
図13及び14に示すように、FFS方式液晶表示装置100は、第1又は第2の実施形態に係るアレイ基板1,10と、当該アレイ基板1,10と対向配置させてなる対向基板101と、アレイ基板1,10と対向基板101との間隙に液晶材料が封入されて構成される液晶層110とを備え、アレイ基板1,10と対向基板101とはシール材(図示せず)により封止されている。なお、対向基板101における液晶層110との接触面には、対向基板101における透明基板102の表面全体にポリイミド等からなる配向膜109が設けられている。
【0084】
上述したような構成を有するFFS方式液晶表示装置100は、アレイ基板1,10の柱状スペーサ6の頂部に超微小硬度測定装置(製品名:FISCHERSCOPE H100V,株式会社フィッシャー・インストルメンツ社製))を用いて9秒間で200mNまで一定の荷重速度で透明基板2に対する垂直方向に荷重をかけ、そのままの状態で5秒間保持したときに、荷重前後における柱状スペーサ6の頂部の位置の、透明基板2に対して垂直方向における変位量Tが0.45μm以上となるアレイ基板1,10を用いてなるものであるため、輸送時等における振動や衝撃等に起因する表示ムラの発生を抑制することができる。
【0085】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0086】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0087】
[アレイ基板の製造例]
(赤色着色部用感光性塗料の調製)
重合槽中に、メタクリル酸メチル(MMA;63質量部)、アクリル酸(AA;12質量部)、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(HEMA;6質量部)、及びジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG;88質量部)を仕込み、攪拌・溶解させた後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(7質量部)を添加し、均一に溶解させた。得られた溶液に、さらにメタクリル酸グリシジル(GMA;7質量部)、トリエチルアミン(0.4質量部)、及びハイドロキノン(0.21質量部)を添加し、100℃で5時間攪拌して共重合樹脂溶液(固形分50%)を調製した。
【0088】
得られた共重合樹脂溶液(16質量部)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社製,SR399;24質量部)、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製,エピコート180S70;4質量部)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モノフォリノプロパン−1−オン(4質量部)、及びジエチレングリコールジメチルエーテル(52質量部)を室温で攪拌・混合して硬化性樹脂組成物を調製した。
【0089】
得られた硬化性樹脂組成物(5質量部)、C.Iピグメントレッド177(大日精化工業社製,Chromofine Red 6605;10質量部)、ポリスルホン酸型高分子分散剤(3質量部)、及び酢酸−3−メトキシブチル(82質量部)を常法により混合し、赤色着色部形成用感光性塗料を調製した。
【0090】
(緑色着色部形成用感光性塗料の調製)
上記赤色着色部形成用感光性塗料の調製において、C.Iピグメントレッド177に代えてC.Iピグメントグリーン36(BASF社製,Heliogen Green D9360;10質量部)を用いた以外は上記と同様にして緑色着色部形成用感光性塗料を調製した。
【0091】
(青色着色部形成用感光性塗料の調製)
上記赤色着色部形成用感光性塗料の調製において、C.Iピグメントレッド177に代えてC.Iピグメントブルー15:6(DIC社製,Fastogen Blue EP-7;10質量部)を用いた以外は上記と同様にして青色着色部形成用感光性塗料を調製した。
【0092】
(遮光部用感光性塗料の調製)
黒色顔料(23質量部)、高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン社製,Disperbyk111;2質量部)、及びジエチレングリコールメチルエーテル(75質量部)を常法により混合し、サンドミルにて十分に分散して黒色顔料分散液を調製した。得られた黒色顔料分散液(61質量部)、上記硬化性樹脂組成物(20質量部)、及びジエチレングリコールジメチルエーテル(30質量部)を常法により混合して遮光部用感光性塗料を調製した。
【0093】
〔試料1〕
透明基板としての厚み0.7mmのガラス基板(AN100,旭硝子社製,300mm×400mm)上に、Al/Moからなる走査線(厚み:350nm)及び共通配線(厚み:350nm)が形成され、それらを被覆するSiNからなるゲート絶縁膜(膜厚:300nm)が形成され、ゲート絶縁膜上の薄膜トランジスタ形成領域にアモルファス・シリコンからなる透明半導体層が形成され、走査線に直交し、かつ透明半導体層に部分的に重なる、Al/Moからなる信号線(厚み:500nm)と、透明半導体層に一部が重なるドレイン電極(厚み:500nm)とが形成され、透明半導体層、信号線及びドレイン電極を被覆するようにしてSiNからなる第2の層間絶縁膜が形成されたTFT基板を準備した。
【0094】
当該TFT基板上に、遮光部用感光性塗料をスピンコート法により塗布し、100℃で5分間乾燥させて遮光部形成用層を形成し、この遮光部形成用層を、超高圧水銀ランプで所望の遮光部形状パターンに露光した後、0.05質量%水酸化カリウム水溶液で現像し、当該ガラス基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱して、遮光部(厚み:3.0μm)を形成した。
【0095】
上述のようにして遮光部を形成したTFT基板上に、赤色着色部形成用感光性塗料をスピンコート法により塗布し、70℃のオーブン中で3分間乾燥して赤色着色部形成用層を形成した。この赤色着色部形成用層から200μm離間した位置にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて赤色着色部の形成領域に相当する領域、及び柱状積層部の最下層を構成する赤色着色層の形成領域に相当する領域にのみ紫外線を10秒間照射した。照射後、0.05質量%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色着色部形成用層の未硬化部分のみを除去した。その後、ガラス基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱した。これにより、開口部の所定の位置に赤色着色部(厚み:3.0μm)を形成し、遮光部上の所定の位置に柱状積層部の最下層を構成する赤色着色層(厚み:2.0μm,上底部の直径:45μm)を形成した。
【0096】
続いて、赤色着色部及び赤色着色層を形成したTFT基板上に、緑色着色部形成用感光性塗料をスピンコート法により塗布し、赤色着色部及び赤色着色層の形成工程と同様の工程により、開口部の所定の位置に緑色着色部(厚み:3.0μm)を形成し、遮光部上の赤色着色層上に緑色着色層(厚み:1.2μm,上底部の直径:35μm)を形成した。
【0097】
次に、赤色着色部、赤色着色層、緑色着色部及び緑色着色層を形成したTFT基板上に、青色着色部形成用感光性塗料をスピンコート法により塗布し、赤色着色部及び赤色着色層の形成工程と同様の工程により、開口部の所定の位置に青色着色部(厚み:3.2μm)を形成し、遮光部上の緑色着色層上に青色着色層(厚み:0.8μm,上底部の直径:30μm)を形成した。
【0098】
なお、アレイ基板における柱状スペーサの個数密度が1.5個/1ピクセルとなるように、赤色着色層、緑色着色層及び青色着色層からなる柱状積層部を形成した。
【0099】
各着色部及び柱状積層部が形成されたTFT基板上に、共通配線に至る第1のコンタクトホールを形成するための開口部を有するマスクパターンを用い、当該開口部が共通配線の上方に位置するようにして、ICP−RIE(Inductive Coupled Plasma-Reactive Ion Etching)により、着色層から共通配線に至る第1のコンタクトホールを形成した。そして、各着色層上に、コンタクトホールを通じて共通配線に電気的に接続されるITOからなる共通電極を、スパッタリング法により形成した。
【0100】
続いて、共通電極を含むTFT基板の全体を被覆するSiNからなる第1の層間絶縁膜を形成した。このとき、柱状積層部(青色着色層)の上部に、SiNからなる絶縁層が形成された。その後、当該第1の層間絶縁膜からドレイン電極に至る第2のコンタクトホールを形成するための開口部を有するマスクパターンを用い、当該開口部がドレイン電極の上方に位置するようにして、ICP−RIE(Inductive Coupled Plasma-Reactive Ion Etching)により、第1の層間絶縁膜からドレイン電極に至る第2のコンタクトホールを形成した。そして、第1の層間絶縁膜上であって、各着色層の上方に、第2のコンタクトホールを通じてドレイン電極に電気的に接続される、ITOからなる画素電極を、スパッタリング法により形成した後、パターンエッチングを行い、各画素電極に互いに平行の複数のスリットを形成した。
【0101】
最後に、画素電極が形成されたTFT基板上にポリイミド樹脂塗料(JSR社製,JALS−204)を塗布、乾燥して配向膜(0.15μm)を形成し、アレイ基板(柱状スペーサの上底部の直径:30μm)を作製した(試料1)。
【0102】
〔試料2〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を25μmとした以外は、試料1と同様にしてアレイ基板(試料2)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:25μm)。
【0103】
〔試料3〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を20μmとした以外は、試料1と同様にしてアレイ基板(試料3)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:20μm)。
【0104】
〔試料4〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を15μmとした以外は、試料1と同様にしてアレイ基板(試料4)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:15μm)。
【0105】
〔試料5〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を10μmとした以外は、試料1と同様にしてアレイ基板(試料5)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:10μm)。
【0106】
〔試料6〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を5μmとした以外は、試料1と同様にしてアレイ基板(試料6)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:5μm)。
【0107】
〔試料7〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を35μmとした以外は、試料1と同様にしてアレイ基板(試料7)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:35μm)。
【0108】
〔試料8〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を40μmとした以外は、試料1と同様にしてアレイ基板(試料8)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:40μm)。
【0109】
〔試料9〕
透明基板としての厚み0.7mmのガラス基板(AN100,旭硝子社製,300mm×400mm)上に、Al/Moからなる走査線(厚み:350nm)及び共通配線(厚み:350nm)が形成され、それらを被覆するSiNからなるゲート絶縁膜(膜厚:300nm)が形成され、ゲート絶縁膜上の薄膜トランジスタ形成領域にアモルファス・シリコンからなる透明半導体層が形成され、走査線に直交し、かつ透明半導体層に一部が重なる、Al/Moからなる信号線(厚み:500nm)と、透明半導体層に一部が重なるドレイン電極(厚み:500nm)とが形成され、透明半導体層、信号線及びドレイン電極を被覆するようにしてSiNからなる第2の層間絶縁膜が形成されたTFT基板を準備した。
【0110】
当該TFT基板上に赤色着色部形成用感光性塗料をスピンコート法により塗布し、70℃のオーブン中で3分間乾燥して赤色着色部形成用層を形成した。この赤色着色部形成用層から200μm離間した位置にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて赤色着色部の形成領域に相当する領域、及び遮光部を構成する赤色着色層としての非表示領域に相当する領域にのみ紫外線を10秒間照射した。照射後、0.05質量%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色着色部形成用層の未硬化部分のみを除去した。その後、ガラス基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱した。これにより、表示領域の所定の位置に赤色着色部(厚み:3.0μm)を形成し、非表示領域に積層構造を構成する赤色着色層(厚み:2.8μm)を形成した。
【0111】
続いて、赤色着色部を形成したTFT基板上に、緑色着色部形成用感光性塗料をスピンコート法により塗布し、赤色着色部の形成工程と同様の工程により、表示領域における赤色着色部の隣の位置に緑色着色部(厚み:3.0μm)を形成し、非表示領域に形成された赤色着色層上に緑色着色層(厚み:2.8μm)を形成した。
【0112】
次に、赤色着色部及び緑色着色部を形成したTFT基板上に、青色着色部形成用感光性塗料をスピンコート法により塗布し、赤色着色部及び赤色着色層の形成工程と同様の工程により、表示領域における赤色着色部と緑色着色部との間に青色着色部(厚み:3.2μm)を形成し、非表示領域に形成された緑色着色層上に柱状突起を構成する青色着色層(高さ:1.3μm,上底部の直径:30μm)を形成した。
【0113】
なお、アレイ基板における柱状スペーサの個数密度が1.5個/1ピクセルとなるように、青色着色層(柱状突起)を形成した。
【0114】
各着色層及び柱状突起が形成されたTFT基板上に、共通配線に至る第1のコンタクトホールを形成するための開口部を有するマスクパターンを用い、当該開口部が共通配線の上方に位置するようにして、ICP−RIE(Inductive Coupled Plasma-Reactive Ion Etching)により、着色層から共通配線に至る第1のコンタクトホールを形成した。そして、各着色層上に、コンタクトホールを通じて共通配線に電気的に接続されるITOからなる共通電極を、スパッタリング法により形成した。
【0115】
続いて、共通電極を含むTFT基板の全体を被覆するSiNからなる第1の層間絶縁膜を形成した。このとき、柱状積層部(青色着色層)の上部に、SiNからなる絶縁層が形成された。その後、当該第1の層間絶縁膜からドレイン電極に至る第2のコンタクトホールを形成するための開口部を有するマスクパターンを用い、当該開口部がドレイン電極の上方に位置するようにして、ICP−RIE(Inductive Coupled Plasma-Reactive Ion Etching)により、第1の層間絶縁膜からドレイン電極に至る第2のコンタクトホールを形成した。そして、第1の層間絶縁膜上であって、各着色層の上方に、第2のコンタクトホールを通じてドレイン電極に電気的に接続される、ITOからなる画素電極を、スパッタリング法により形成した後、パターンエッチングを行い、各画素電極に互いに平行の複数のスリットを形成した。
【0116】
最後に、画素電極が形成されたTFT基板上にポリイミド樹脂塗料(JSR社製,JALS−204)を塗布、乾燥して配向膜(0.15μm)を形成し、アレイ基板(柱状スペーサの上底部の直径:30μm)を作製した(試料9)。
【0117】
〔試料10〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を25μmとした以外は、試料9と同様にしてアレイ基板(試料10)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:25μm)。
【0118】
〔試料11〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を20μmとした以外は、試料9と同様にしてアレイ基板(試料11)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:20μm)。
【0119】
〔試料12〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を15μmとした以外は、試料9と同様にしてアレイ基板(試料12)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:15μm)。
【0120】
〔試料13〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を10μmとした以外は、試料9と同様にしてアレイ基板(試料13)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:10μm)。
【0121】
〔試料14〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を5μmとした以外は、試料9と同様にしてアレイ基板(試料14)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:5μm)。
【0122】
〔試料15〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を35μmとした以外は、試料9と同様にしてアレイ基板(試料15)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:35μm)。
【0123】
〔試料16〕
青色着色部及び青色着色層を形成する際に用いたフォトマスクを変更し、青色着色層の上底部の直径を25μmとした以外は、試料9と同様にしてアレイ基板(試料16)を作製した(柱状スペーサの上底部の直径:40μm)。
【0124】
[液晶表示装置の製造例]
ガラス基板を常法により洗浄した後、当該ガラス基板上にポリイミド樹脂塗料(JSR社製,JALS−204)を塗布、乾燥して配向層(厚み:0.15μm)を形成し、ラビング処理を施し、対向基板を作製した。そして、上述のようにして作製されたアレイ基板(試料1〜16)と対向基板とを対向配置させてシール材で封止し、それらの間隙に液晶を充填して液晶ディスプレイを作製した。
【0125】
〔試験例1〕荷重試験
上記のようにして得られたアレイ基板(試料1〜16)について、所定の荷重をかけたときにおける柱状スペーサの頂部の変位量を測定した。具体的には、超微小硬度測定装置(製品名:FISCHERSCOPE H100V,フィッシャー・インストルメンツ社製))において100μm角の平面圧子を用いて、アレイ基板(試料1〜16)の柱状スペーサの頂部に9秒間で200mNまで一定の荷重速度で透明基板に対して垂直方向に荷重をかけ、そのままの状態で5秒間保持したときに、当該柱状スペーサの頂部の位置の変位量(ガラス基板に対する垂直方向の変位量)を測定した。
結果を表1に示す。
【0126】
〔試験例2〕耐振動試験(表示ムラ)
上述のようにして得られたアレイ基板(試料1〜16)を用いて作製された液晶表示装置をXYZ軸方向に50Hz、1.5Gの加速度にて120分間振動させた後、バックライトを点灯させて白色表示にし、当該液晶表示装置の外観(表示ムラの有無)を目視で確認した。
結果を表1にあわせて示す。なお、表1において、表示ムラが確認されなかったものを「○」で、表示ムラが確認されたものを「×」で表す。
【0127】
【表1】

【0128】
表1に示すように、所定の荷重をかけたときの柱状スペーサの頂部の変位量が0.45μm以上であることで、振動や衝撃等に起因する表示ムラの発生を抑制し得ることが確認された(試料1〜6,9〜14)。そして、柱状スペーサの上底部の直径を5〜30μmにすることで、この変位量を0.45μm以上にすることができることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0129】
FFSモードの液晶表示装置に用いるアレイ基板の製造と、当該液晶表示装置の製造において有用である。
【符号の説明】
【0130】
1,10…アレイ基板
2…透明基板
3…薄膜トランジスタ
31…走査線
32…透明半導体層
G…ゲート電極
S…ソース電極
D…ドレイン電極
5…着色部
6…柱状スペーサ
61…柱状積層部
62…柱状突起
7…共通電極
71…共通配線
8…画素電極
81…スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板上に設けられてなる複数の走査線と、
前記走査線に交差するようにして前記透明基板上に設けられてなる複数の信号線と、
前記走査線及び前記信号線の交差部近傍に設けられてなる薄膜トランジスタと、
前記複数の走査線又は前記複数の信号線と平行に設けられてなる共通配線と、
前記共通配線に接続され、前記走査線及び前記信号線で区画されてなる領域内に形成されてなる共通電極と、
前記共通電極上に絶縁膜を介して設けられ、複数のスリットが形成されてなる画素電極と、
前記透明基板における表示領域に設けられてなる複数色の着色部と、
前記透明基板における非表示領域に設けられてなる柱状スペーサと
を備え、
前記柱状スペーサは、前記複数色の着色部のうちの1色の着色部を構成する材料からなる柱状突起又は前記複数色のうちの2色以上の着色部のそれぞれを構成する材料からなる着色層が積層されてなる柱状積層部と、前記柱状突起又は前記柱状積層部の上面に形成されてなる絶縁層とを含み、
前記柱状スペーサの頂部に9秒間で200mNまで前記透明基板に対して垂直方向に荷重をかけ、そのままの状態で5秒間保持したときに、荷重前後における前記柱状スペーサの頂部の位置の前記透明基板に対する垂直方向の変位量が0.45μm以上であることを特徴とするアレイ基板。
【請求項2】
前記柱状スペーサの上底部のサイズが、5〜30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
前記柱状積層部の最上層に位置する着色層の上底部のサイズが、前記柱状積層部の最下層に位置する着色層の上底部のサイズよりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記柱状積層部の最上層に位置する着色層の上底部のサイズと、前記柱状積層部の最下層に位置する着色層の上底部のサイズとの比が、1:1.1〜10.0であることを特徴とする請求項3に記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記柱状スペーサの個数密度が、0.3〜3.0個/1ピクセルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアレイ基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のアレイ基板と、
前記アレイ基板に対向して配置される対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板の間隙に封入されてなる液晶材料により構成される液晶層と
を備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−159758(P2012−159758A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20411(P2011−20411)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】