説明

アンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法

【課題】アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害作用を有するペプチドの新規な製造方法の提供。
【解決手段】水溶液中で微細藻類をタンパク質分解酵素で処理してペプチド類を水溶液中に抽出させる抽出工程(1)と、得られたペプチド類を含有する水溶液を、20〜60体積%エタノール水溶液を溶離媒体として吸着樹脂を用いて処理する精製工程(3)と、を有することを特徴とするACE阻害作用を有するペプチドの製造方法。抽出工程(1)の後に、抽出工程(1)で用いたものとは作用の仕方が異なるタンパク質分解酵素で微細藻類を処理して、ペプチド類を水溶液中に抽出させる抽出工程(2)を行ってから、精製工程(3)を行っても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンジオテンシンは、腎静脈中に分泌されるレニンが血漿中のαグロブリン分画に含まれるレニン基質に作用してつくられるポリペプチドであり、まずアンジオテンシンIがつくられるが、これは生物学的活性を有しない。アンジオテンシンIは、循環血液中で主に肺循環の間にアンジオテンシン変換酵素(以下ACEと略記する)の作用により2個のアミノ酸を失いアンジオテンシンIIに変換される。
レニンとアンジオテンシンは体内の重要な昇圧系を構成し、レニン−アンジオテンシン系と呼ばれるが、そのおもな作用物質はアンジオテンシンIIである。臨床的に最も重要なアンジオテンシンIIの作用は血圧上昇作用であり、血管平滑筋を収縮して血圧を上昇させる体内の最も強力な昇圧物質である。その血管収縮作用は細動脈で強いが静脈系で弱く、また、腎・内臓血管領域で強いが四肢、脳、心、肺では弱い特徴を有する。アンジオテンシンIIは、生体のナトリウム平衡と血圧維持に重要な役割を果たしており、ナトリウム消失、血圧下降時には、レニン、アンジオテンシンIIが上昇し、直接的にはアルドステロン分泌を介して、ナトリウム貯留と血圧上昇にはたらく。また、高血圧疾患では、高血圧の成因ないし維持機構に重要な役割を果たしている(非特許文献1)。
【0003】
以上のように、ACE阻害剤は、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIを生成する変換酵素の作用を阻害することにより、アンジオテンシンIIの生成を特異的に抑制し、アンジオテンシンIIの血漿濃度を低下させ、降圧作用を示す。
これまで、ACE阻害物質としては、天然物又は天然物由来の物質として蛇毒由来のブラデイキニン増強因子(非特許文献2)、ゼラチンのコラゲナーゼ消化物由来の6種類のペプチド(非特許文献3)、牛カゼインのトリプシン消化物由来のペプチド(非特許文献4)、イワシ筋肉由来の5種のヘクサペプチド(特許文献1)、海苔由来のテトラペプチド(特許文献2)、並びにペンタペプチド(特許文献3)、朝鮮人参由来のペンタペプチド(特許文献4)、クロレラ由来のペンタペプチド(特許文献5)が挙げられ、いずれもACE阻害剤となり得ることが開示されている。
更に、合成法により得た鎖長の短いジ、トリペプチド(特許文献6、特許文献7)についての提案は行われているが、発見されてから長時間経過しているものの、未だ医薬品としての開発が進んでいるとの報告はない。
【0004】
近年、健康意識の向上から、当該ACE阻害作用を有するペプチドを含有する健康食品も開発されてきている。例えば、わかめから抽出されるペプチドとして、Phe−Tyr、もしくはVal−Tyr、又はIle−Tyr等を含むゼリー食品、Val−Pro、又はIle−Pro−Proを含む乳酸飲料等が開発され、販売されている。
しかしながら、微細藻類を原料として用い、効率よくACE阻害作用を有するペプチドを得る方法はこれまでに開示されていない。
【0005】
次に、微細藻類のタンパク質分解酵素による処理方法に関しては、特許文献8に、栄養成分が豊富で、微細藻類特有の味、臭いが少なく、かつ、食品に添加しても沈殿物や不溶物が析出しない微細藻類水抽出液の製造方法に関する記載がある。
しかしながら、これらの従来技術においては、ACE阻害作用を有するペプチドを得る方法については、記載も示唆もされてもいなかった。
【非特許文献1】医科学大辞典、94ページ、1982年、講談社
【非特許文献2】S.H.Ferreia et al:Biochemistry,9,3583(1970)
【非特許文献3】G.Oshima et al:Biochim.Biophs.Acta,566,128(1979)
【非特許文献4】S.Maruyama et al.:Agric.Biol.Chem.,46,1393(1983)
【特許文献1】特許第2046483号公報
【特許文献2】特許第2678180号公報
【特許文献3】特開平10−36391号公報
【特許文献4】特許第2920829号公報
【特許文献5】特許第2990354号公報
【特許文献6】特許第948071号公報
【特許文献7】特開平6−16568号公報
【特許文献8】特開2004−204034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ACE阻害作用を有するペプチドの新規な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。すなわち、
(1)微細藻類をタンパク質分解酵素で処理することにより、ペプチド類が得られること、
(2)当該ペプチド類を、所定の溶離媒体により吸着樹脂を用いて処理することで、優れたACE阻害作用を有するペプチドが得られること
(3)特に、異なる二種類のタンパク質分解酵素で微細藻類を段階的に処理することにより、得られるペプチドのACE阻害の総活性が高まること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、水溶液中で微細藻類をタンパク質分解酵素で処理してペプチド類を水溶液中に抽出させる抽出工程(1)と、得られたペプチド類を含有する水溶液を、20〜60体積%エタノール水溶液を溶離媒体として吸着樹脂を用いて処理する精製工程(3)と、を有することを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ACE阻害作用を有するペプチドを効率よく低コストで製造することができ、血圧低下剤、健康食品、食品等の製造に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる微細藻類は、水中に生育する微細な藻類であって、光合成をする植物のうち、大きさ数ミクロン〜数百ミクロンの植物プランクトンであり、例えば、スピルリナ(Spirulina)属、クロレラ(Chlorella)属、アファニゾメノン(Aphanizomenon)属、フィッシェレラ(Fisherella)属、アナベナ(Anabaena)属、ネンジュモ(Nostoc)属、スイゼンジノリ(Aphanothece)属、ヘマトコッカス(Haematococcus)属、ドナリエラ(Dunaliella)属、セネデスムス(Scenedesmus)属等が挙げられるが、工業的規模で生産され、その安全性が確認されているスピルリナ属、クロレラ属、ヘマトコッカス属、ドナリエラ属、セネデスムス属に属するものが好ましく、なかでもスピルリナ属に属するものがより好ましい。
【0011】
スピルリナ(Spirulina)とは、藍藻類(Cyanobacteria)に包含され、従来一括してスピルリナ属と呼称されていたアルスロスピラ属(Arthrospira)及びスピルリナ属(Spirulina)に属する微細な単細胞微生物であり、例えばアルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)、アルスロスピラ・マキシマ(Arthrospira maxima)、アルスロスピラ・ゲイトレリ(Arthrospira geitleri)、アルスロスピラ・サイアミーゼ(Arthrospira siamese)、スピルリナ・メイヤー(Spirulina major)、スピルリナ・サブサルサ(Spirulina subsalsa)、等が挙げられるが、中でも、人工的に培養でき、入手が容易なことから、アルスロスピラ・プラテンシス、アルスロスピラ・マキシマ、アルスロスピラ・ゲイトレリ、アルスロスピラ・サイアミーゼが好ましい。
【0012】
クロレラは、クロレラ属の微細藻類であり、入手が容易で、安全性に優れている点で、例えば、クロレラ・ブルガリス(Chlorella vulgaris)、クロレラ ・レギュラリス(Chlorella regularis)、クロレラ・ピレノイドーサ(Chlorella pyrenoidosa)、クロレラ・エリプソイデア(Chlorella ellipsidea)等が好ましい。
ヘマトコッカスは、緑藻綱ボルボックス目クラミドモナス科ヘマトコッカス属に属する藻類であり、食品や飼料として付加価値の高いカロチノイド色素であるアスタキサンチン生産藻類として有用である。
ドナリエラは、イスラエルの死海で発見された微細藻類であり、抗酸化作用を有するカロチノイドを豊富に含んだ微細藻類で、特にβ‐カロチンの生産藻類として有用である。
セネデスムスは、セネデスムス属に属する緑藻であり、和名「イカダモ」と呼ばれ、例えば、セネデスムス・アクタス(S.acutus)、セネデスムス・バシレンシス(Scenedesmus basilensis)、セネデスムス・ビジュガ(Scenedesmus bijuga)、セネデスムス・クロレロイド(Scenedesmus chlorelloides)、セネデスムス・コスタラタス(Scenedesmus costulatus)、セネデスムス・ナヌス(Scenedesmus nanus)、セネデスムス・オブリカス(Scenedesmus obliquus)等の藻類が知られている。
【0013】
本発明で用いられる微細藻類としては、生の微細藻類、乾燥処理を施した微細藻類、微細藻類の由来成分等が挙げられる。生の微細藻類は、例えば、水中で培養された微細藻類を遠心分離、濾過等の方法により収穫して得られる。生の微細藻類は、培養池から収穫後そのままの状態で使用することもできるが、水もしくは生理食塩水で洗浄するのが好ましい。乾燥処理を施した微細藻類は、例えば、前記方法で得られた生の微細藻類を凍結乾燥処理やスプレー乾燥処理したもの等が挙げられる。微細藻類由来成分としては、超音波照射やホモゲナイズ等の機械的処理を微細藻類に施して得られたものや、酵素処理等の化学的な処理を微細藻類に施して得られたもの等が挙げられる。
【0014】
さらに、本発明では、残渣微細藻類を、ペプチドの製造原料として用いることができる。ここでいう残渣微細藻類とは、抽出媒体にて微細藻類に含まれる、ACE阻害作用を有するペプチド、該ペプチドが由来するポリペプチド、タンパク質以外の有用な成分を抽出した後に得られる微細藻類をいう。
抽出は水、熱水、有機溶媒、又は超臨界抽出ガス等によって行うことができ、これらを単独で、或いは組み合わせて用いることができる。用いられる有機溶媒は、例えば、エタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒を挙げることができる。
実施の一例を挙げるとすれば、例えば、室温時含水エタノール、エタノール、アセトンもしくはこれらを2種以上混合したもので抽出することが可能である。
また、超臨界抽出に用いられる炭酸ガス等によっても抽出操作を行うことが可能である。
抽出する温度は、目的とする有用物が最も効果的に抽出し得る温度であればよいが、一般的には室温から媒体の沸点程度の温度を挙げることができる。
これらの抽出操作を行って得られる残渣微細藻類を原料に用いて抽出を行った際にも、得られるペプチド類のACE阻害作用は低減されることなく、好適に用いることができ、原料藻類の有効活用に寄与することから工業上好ましい。
例えば、微細藻類がスピルリナの場合、含有されるフィコシアニンは、青色色素として有用であるが、従来フィコシアニンを水により抽出を行った後の残渣は廃棄されていた。しかし、本発明によれば、フィコシアニンを抽出した後の残渣スピルリナを原料として酵素処理を行っても、得られるペプチドのACE阻害作用は低下せず、好適に用いることができる。また同様に、スピルリナエキス抽出残渣も原料として用いることができる。
例えば、微細藻類がクロレラの場合、含有されるクロロフィルは、緑色色素、或いは健康食品として有用であるが、同様にクロロフィルを水により抽出した後の残渣クロレラを用いても、ACE阻害作用を有するペプチドを得ることができる。
例えば、微細藻類がヘマトコッカスの場合、含有されるアスタキサンチンを有機溶媒にて抽出した後の残渣ヘマトコッカスを用いても、ACE阻害作用を有するペプチドを得ることができる。有機溶媒としては、例えば、室温時含水エタノール、エタノール、アセトンもしくはこれらを2種以上混合したもので抽出することが可能である。
例えば、微細藻類がドナリエラの場合、含有されるβ-カロチンを有機溶媒にて抽出した後の残渣ドナリエラを用いても、ACE阻害作用を有するペプチドを得ることができる。有機溶媒としては、例えば、室温時含水エタノール、エタノール、アセトンもしくはこれらを2種以上混合したもので抽出することが可能である。
【0015】
本発明で用いるタンパク質分解酵素としては、pH2.0〜9.0においてタンパク質の加水分解を行う酵素であれば特に制限なく用いることができ、精製されていてもされていなくてもよい。タンパク質分解酵素としては、例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ等の動物消化器系由来のタンパク質分解酵素(消化酵素)、コウジカビ(Aspergillus)属由来のタンパク質分解酵素、バチルス(Bacillus)属由来のタンパク質分解酵素、クモノスカビ(Rhizopus)属由来のタンパク質分解酵素、アオカビ(Penicillium)属由来のタンパク質分解酵素、ケカビ(Mucor)属由来のタンパク質分解酵素等の微生物由来のタンパク質分解酵素、パパイン、ブロメレイン、フィシン等の植物由来のタンパク質分解酵素等が挙げられる。タンパク質分解酵素としては微生物由来のタンパク質分解酵素、動物性由来のタンパク質分解酵素が好ましく、コウジカビ属由来のタンパク質分解酵素、バチルス属由来のタンパク質分解酵素、ペプシンがより好ましい。
【0016】
本発明では、前記タンパク質分解酵素として、作用の仕方が異なる二種類のものを段階的に用いて前記微細藻類の処理を行うことで、ACE阻害の総活性がより高いペプチドが得られる。すなわち、抽出工程(1)で微細藻類の第一段階のタンパク質分解酵素による処理を行い、続く抽出工程(2)で、抽出工程(1)で用いたものとは作用の仕方が異なるタンパク質分解酵素による第二段階目の微細藻類の処理を行うことが好ましい。このように、二段階処理を行うことで、得られるペプチドのACE阻害の総活性は、単独処理の場合よりも1.2〜1.5倍程度高くなることがある。ここで、作用の仕方が異なるとは、酵素が作用する至適条件が異なること、あるいはタンパク質の作用部位が異なること等を指す。
微細藻類のタンパク質分解酵素による二段階処理を行う場合には、組み合わせる二種類の酵素は、目的に応じて適宜選択すれば良いが、微生物由来のタンパク質分解酵素と動物性由来のタンパク質分解酵素との組み合わせが好ましい。また、第一段階で用いる酵素は、得られるペプチドのACE阻害の総活性がより高くなるように、適宜選択すれば良い。
なお、本発明で得られるACE阻害作用を有するペプチドは、必ずしも1種ではなく、2種以上の場合もある。そこで、含まれるペプチドの種類に関わりなく画分の活性を比較するために、本発明では、ACE阻害総活性を以下のように式(1)で定義し、活性の評価を行った。
ACE阻害総活性=サンプル重量(mg)/サンプルIC50値(mg/mL) (1)
ここで、サンプルIC50値は、サンプルのIC50の測定値(mg/mL)、サンプル重量は、そのIC50を示すサンプル量(mg)を示す。
【0017】
また、本発明にいうペプチド類とは、微細藻類をタンパク質分解酵素で処理することにより得られる、ペプチド、アミノ酸、及びタンパク質を含有するタンパク質分解酵素処理物をいうが、微細藻類に酵素処理前から含まれるペプチドを含んでもよい。
当該ペプチド類は、溶液状であっても、懸濁液状であっても、媒体を留去させた乾燥物状であってもよい。
本発明において、微細藻類のタンパク質分解酵素による処理は、例えば、
(1)微細藻類の水懸濁液に粉末状または液体状のタンパク質分解酵素を加える
(2)乾燥させた微細藻類と粉末状のタンパク質分解酵素に水を加える
(3)乾燥させた微細藻類に水とタンパク質分解酵素を加える
等の方法により行うことができる。
【0018】
処理工程における微細藻類の濃度としては、タンパク質分解酵素の作用効率が良く、後工程の処理も容易な濃度が好ましく、微細藻類固形分濃度で1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
タンパク質分解酵素の使用量としては、微細藻類固形分1gに対して1〜100,000ユニット(U)が好ましく、10〜50,000Uがより好ましい。ここで1ユニットは、株式会社学会出版センター発行の「生物化学実験法31 蛋白質分解酵素II 鶴大典・船津勝編 1993年」の146〜147頁に記載された方法で測定した。具体的には、1Uは、基質として熱変性カゼインを用い、タンパク質分解酵素を添加した濃度1質量%の基質水溶液を1ml調製し、この基質水溶液の280nmにおける吸光度を測定したとき、1分間に吸光度を0.001上昇させる酵素量である。
【0019】
当該処理のpHは、2.0〜9.0に調整することが好ましい。pHが9.0をこえると得られる水抽出液に微細藻類特有の味、臭いが残り、例えば、得られたペプチドを食品等に配合して用いた場合に、食品の香味が悪化するばかりでなく、清涼飲料水等の酸性領域の食品中で沈殿物や浮遊物等の水不溶性成分が生じ易い為に好ましくない。pHを調整するには、通常の食品の製造で用いる化合物、例えば、水酸化ナトリウムや塩酸等を用いればよい。
処理は、静置して行っても攪拌して行ってもよいが、攪拌するのが好ましい。処理温度は、タンパク質分解酵素の作用効率が良好なことから30〜75℃が好ましく、35〜60℃がより好ましい。
処理時間は、1〜36時間が好ましく、2〜24時間がより好ましい。
【0020】
水可溶性ペプチド類を水溶液中に抽出させた後、後述する精製工程を行う前に、不溶物の除去工程を行ってもよく、さらに必要に応じてタンパク質分解酵素を失活させてもよい。
水可溶性ペプチド類を水溶液中に抽出させた後、不溶物を除去する方法としては、固液分離できる手段であれば制限は無く、例えば、ろ紙やろ布等のろ材を用いたろ過方法や、上澄を回収するデカンテーション法、フィルタープレス法、遠心分離法等が挙げられる。なかでも、工業的に大量処理の可能な遠心分離法、フィルタープレス法等の上澄を回収する方法が好ましく、特に遠心分離法が好ましい。
遠心分離は、処理液から不溶分を除去できる条件であればよいが、重力加速度が1,000〜30,000Gで10秒〜2時間の条件が好ましく、重力加速度が3,000〜15,000Gで1〜30分間の条件がより好ましい。遠心分離機としては、ディスラッジ型遠心分離機、アルファ型遠心分離機、シャープレス型遠心分離機があるが、作業性が向上することから、ディスラッジ型遠心分離機とアルファ型遠心分離機の組み合わせによる連続遠心分離が好ましい。
また、タンパク質分解酵素を失活させるには、例えば、70〜95℃の環境下に5〜20分間静置すればよい。
これら不溶物除去工程および酵素失活工程をいずれも行う場合には、酵素失活工程を先に行うことが好ましい。
【0021】
ペプチド類を水溶液中に抽出させた後は、該水溶液を吸着樹脂に供給し、溶離媒体を用いて処理する精製工程(3)を行う。
吸着樹脂は、ペプチドの分画を行うことができるものであれば各種のものを用いることができるが、芳香族系、アクリル系等の合成吸着樹脂が好ましく、芳香族系の合成吸着樹脂がより好ましい。芳香族系の合成吸着樹脂としては、例えば、ポリスチレン系の吸着樹脂を挙げることができ、アクリル系の合成吸着樹脂としては、例えば、メタクリル酸エステル重合体を骨格とする吸着樹脂を挙げることができる。なかでも、芳香族環上の水素原子が臭素等のハロゲン原子で置換されていないポリスチレン系の吸着樹脂が特に好ましく、ACE阻害の総活性がより高いペプチドを、より高収率で得られる。このような特に好ましい吸着樹脂として、具体的な市販品としては、例えば、DIAION HP20(商品名、三菱化学社製)を挙げることができる。
また、吸着樹脂の使用量は、抽出工程で得られたペプチド類を含有する水溶液の種類、目標とするペプチドの純度等を勘案し、適宜選択すれば良い。
【0022】
精製工程(3)においては、溶離媒体として20〜60体積%のエタノール水溶液を用いる。具体的には、抽出工程で得たペプチド類を含有する水溶液を、前記吸着樹脂に供給して目的とするACE阻害作用を有するペプチドを吸着樹脂に吸着させた後、溶離媒体を吸着樹脂に供給して、溶離媒体中のエタノール濃度が20〜60体積%の時の溶出画分を回収することで、目的とするペプチドを不純物から分離して得ることができる。目的とするペプチドをより高い純度で得るためには、一方向に通液可能なカラムに吸着樹脂をあらかじめ充填しておき、ペプチド類を含有する水溶液を吸着樹脂に供給して目的とするペプチドを吸着樹脂に吸着させた後、溶離媒体をカラムの一方から他方へ継続的に通液する方法が好ましい。溶離媒体中のエタノール濃度は、吸着樹脂への供給当初から20〜60体積%とするよりも、供給当初は、例えば0体積%としておき、吸着樹脂へ吸着されにくい不純物をあらかじめ除去しておいてから、20〜60体積%に上げる方が好ましい。
なかでも本発明において、特に好ましいエタノール水溶液は、20〜30体積%エタノール水溶液である。
【0023】
上記で得られたACE阻害作用を有するペプチドは、エタノール水溶液に含有されているため、例えば濃縮等によりエタノールを除去する必要がある。そしてエタノールを除去すれば、そのまま飲料等に使用することもできるが、濾過等によって精製してもよい。また、必要であれば、更に殺菌後、乾燥して食品に供してもよい。更に粉末化することもできる。乾燥方法としては、凍結乾燥法、噴霧乾燥法等があるが、経済的なことから噴霧乾燥法が好ましい。また乾燥する時に、微細藻類抽出液にデキストリン等を加えて乾燥して、粉末物性を整えることも可能である。
【0024】
得られたペプチドのアミノ酸配列の分析は、通常公知のエドマン(Edman)法により行うことができる。本法の概要を説明すると、まず、ペプチドに、N末端の遊離のアミノ基としか共有結合しない化学試薬を加え、次に、弱い酸を加えて、この試薬を活性化し、N末端のペプチド結合だけを切断し、切断されたアミノ酸をクロマトグラフィーで同定する。続いて、アミノ酸1つ分だけ短くなったペプチドに対して同じ操作を順次繰り返し、ペプチド中のアミノ酸配列を決定する。本発明においても、当該法により、得られたペプチドのアミノ酸配列の決定を行った。
【0025】
得られたペプチドのACE阻害作用測定には、通常公知の、例えば、CushmanとCheungらの開発した方法が簡便であり、広く用いられている。測定は、ACEを作用させる基質として、例えば、Hip−His−Leu(Hipは馬尿酸残基)を用い、ACE処理を行った後の遊離した馬尿酸を測定し、酵素阻害作用を評価する。例えば、試験管中に試料溶液、基質を入れ、恒温槽中に保持し、ACE溶液を添加、攪拌し、反応させる。塩酸を添加し、反応を停止させた後、酢酸エチルを添加し遊離した馬尿酸を回収する。酢酸エチルを留去後、水を加え、馬尿酸を溶解した後、分光光度計により、吸光度を測定する。
ACE阻害活性は以下の式(2)に従って計算する。
阻害率(%)={(E−E)/(E−E)}×100 (2)
ここで、Eは試料溶液を添加したときの吸光度、Eは試料溶液の代わりに蒸留水を加えたときの吸光度、Eは、予め1N塩酸を加えて反応させたときの吸光度を示す。阻害率50%を示すときの反応液中の試料濃度をIC50値とする。
【0026】
本発明の製造方法により得られるペプチドは、ACE阻害作用を有するため、これらを有効成分として含有するACE阻害剤に好適である。そして、かかるACE阻害剤は、血圧降下作用、ブラデイキニン不活化抑制作用を示す。従って、本態性高血圧、腎性高血圧、副腎性高血圧等の高血圧症の予防、治療剤、これらうっ血性心不全に対する臓器循環の正常化と長期予後の改善(延命効果)作用を有し、心不全の治療剤として有用である。
また、健康食品又は食品とする場合は、かかるペプチドを当該食品の原料に配合し、当該食品の通常の製造方法に従って製造することができる。
【0027】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、単位「M」は「mol/L」を示す。
【実施例1】
【0028】
(スピルリナのプロテアーゼN処理によるペプチドの製造)
スピルリナ粉末10gに蒸留水100mLを加え、スピルリナ懸濁液を得た。この懸濁液を1M水酸化カリウムにてpH6.5〜7.4に調整し、95℃、30分間煮沸した。放冷後、プロテアーゼN(天野エンザイム社製、製品名「アマノ」G)0.1gを添加し、55℃、3時間撹拌しながら加水分解を行った。分解反応液を95℃、30分間煮沸放冷後、遠心分離(10,000G、1時間)にて沈殿を除去し、上清を凍結乾燥して酵素処理物を5.2g得た。
このようにして得られた酵素処理物1gに、蒸留水10mLを加えてペプチド類を含有する水溶液を調製し、これをカラムに充填した合成吸着樹脂(三菱化学社製、DIAION HP20)100mLに供給した。続いて、溶離媒体として蒸留水300mL、20体積%エタノール水溶液300mL、50体積%エタノール水溶液300mL、99.5体積%エタノール水溶液300mLを順に前記カラムの上部より供給してペプチドの分画を行い、蒸留水300mL供給時の画分F、20体積%エタノール水溶液供給時の画分F20、50体積%エタノール水溶液供給時の画分F50、99.5体積%エタノール水溶液供給時の画分F99.5をそれぞれ回収した。この時の溶離媒体の供給量を横軸に、溶出物の吸光度を縦軸にとってプロットしたグラフを図1に示す。そして、F、F20、F50、F99.5をそれぞれ濃縮後凍結乾燥し粉体を得た。得られた粉体の量、酵素処理物からの回収率、IC50及びACE阻害の総活性を以下に示す。F20から得られた粉体が最も高い総活性を示し、この粉体中には、ACE阻害作用を有するペプチドとして、Ile−Tyrが352μg、Leu−Arg−Proが50μg含有されていることが確認された。
(粉体量)F:550mg、F20:360mg、F50:90mg、F99.5:10mg
(回収率)F:55.0%、F20:36.0%、F50:9.0%、F99.5:1.0%
(IC50)F:0.47、F20:0.028、F50:0.046
(総活性)F:1170、F20:12857、F50:1957
【実施例2】
【0029】
(残渣スピルリナのプロテアーゼN処理によるペプチドの製造)
スピルリナ粉末10gに1%塩化カルシウム2水和物溶液300mLを加え、25℃、16時間静置、スピルリナ青色素を抽出した。得られた抽出液にリン酸水素2ナトリウム12水和物5gを添加、よく撹拌し、遠心分離(10,000G、1時間)を行った。その結果、スピルリナ青色色素抽出残渣11.7g(無機塩を含む)を得た。こうして得られた残渣5gに蒸留水90mLを加え、スピルリナ懸濁液を得た。この懸濁液を水酸化カルシウム0.13gにてpH8.5に調整し、95℃、30分間煮沸した。放冷後、水酸化カルシウム飽和水溶液10mLにてpH7.0に調整し、プロテアーゼN(天野エンザイム株社製、製品名「アマノ」G)0.05gを添加し、55℃、30分撹拌して水酸化カルシウム飽和水溶液10mLにてpHを6.25から6.7へ調整し、さらに55℃、2.5時間撹拌しながら加水分解を行った。分解反応液を95℃、30分間煮沸放冷後、遠心分離(10,000G、15分間)にて沈殿を除去し、上清を凍結乾燥して酵素処理物を4.17g得た。
このようにして得られた酵素処理物1gに、蒸留水10mLを加えてペプチド類を含有する水溶液を調製し、以下、実施例1と同様の方法でF、F20、F50、F99.5をそれぞれ回収した。この時の溶離媒体の供給量を横軸に、溶出物の吸光度を縦軸にとってプロットしたグラフを図2に示す。そして、F、F20、F50、F99.5をそれぞれ濃縮後凍結乾燥して粉体を得た。得られた粉体の量、酵素処理物からの回収率、IC50及びACE阻害の総活性を以下に示す。F20から得られた粉体が最も高い総活性を示し、この粉体中には、ACE阻害作用を有するペプチドとして、Ile−Tyrが479μg、Leu−Arg−Proが73μg含有されていることが確認された。
(粉体量)F:558mg、F20:395mg、F50:63mg、F99.5:1mg
(回収率)F:55.8%、F20:39.5%、F50:6.3%、F99.5:1.0%
(IC50)F:0.165、F20:0.031、F50:0.020
(総活性)F:3382、F20:12742、F50:3150
【実施例3】
【0030】
(スピルリナのプロテアーゼN及びペプシン処理によるペプチドの製造)
スピルリナ粉末10gに蒸留水100mLを加え、スピルリナ懸濁液を得た。この懸濁液を1M水酸化カリウムにてpH6.5〜7.4に調整し、95℃、30分間煮沸した。放冷後、プロテアーゼN(天野エンザイム社製、製品名「アマノ」G)0.1gを添加し、55℃、3時間撹拌しながら加水分解を行った。分解反応液を95℃、30分間煮沸放冷後、1M塩酸にてpH2.0に調整し、続いてペプシン(Sigma社製、試薬)0.1gを添加し、37℃、22時間撹拌しながら加水分解を行い、分解反応液を95℃、30分間煮沸放冷後、1M水酸化カリウムにてpH7.0に調整した。続いて遠心分離(10,000G、1時間)にて沈殿を除去し、上清を凍結乾燥して酵素処理物を870mg得た。
このようにして得られた酵素処理物1gに、蒸留水10mLを加えてペプチド類を含有する水溶液を調製し、以下、実施例1と同様の方法でF、F20、F50、F99.5をそれぞれ回収した。そして、F、F20、F50、F99.5をそれぞれ濃縮後凍結乾燥して粉体を得た。得られた粉体の量、酵素処理物からの回収率、IC50を以下に示す。F20から得られた粉体が最も高い総活性を示し、この粉体中には、ACE阻害作用を有するペプチドとして、Ile−Tyrが411μg、Leu−Arg−Proが63μg含有されていることが確認された。
(粉体量)F:572mg、F20:337mg、F50:88mg、F99.5:5mg
(回収率)F:57.2%、F20:33.7%、F50:8.8%、F99.5:0.5%
(IC50)F:0.61、F20:0.022、F50:0.033
(総活性)F:938、F20:15318、F50:2667
【実施例4】
【0031】
(スピルリナのペプシン、プロテアーゼN処理によるペプチドの製造)
スピルリナ粉末10gに蒸留水100mLを加え、スピルリナ懸濁液を得た。この懸濁液を1M塩酸にてpH2.0に調整し、95℃、30分間煮沸した。放冷後、ペプシン(Sigma社製、試薬)0.1gを添加し、37℃、22時間撹拌しながら加水分解を行った。分解反応液を95℃、30分間煮沸放冷後、1M水酸化カリウムにてpH7.0に調整した。続いてプロテアーゼN(天野エンザイム社製、製品名「アマノ」G)0.1gを添加し、55℃、3時間撹拌しながら加水分解を行い、分解反応液を95℃、30分間煮沸放冷後、続いて遠心分離(10,000G、1時間)にて沈殿を除去し、上清を凍結乾燥して酵素処理物を848mg得た。
このようにして得られた酵素処理物1gに、蒸留水10mLを加えてペプチド類を含有する水溶液を調製し、以下、実施例1と同様の方法でF、F20、F50、F99.5をそれぞれ回収した。そして、F、F20、F50、F99.5をそれぞれ濃縮後凍結乾燥して粉体を得た。得られた粉体の量、酵素処理物からの回収率、IC50を以下に示す。F20から得られた粉体が最も高い総活性を示し、この粉体中には、ACE阻害作用を有するペプチドとして、Ile−Tyrが400μg、Leu−Arg−Proが52μg含有されていることが確認された。
(粉体量)F:554mg、F20:348mg、F50:80mg、F99.5:6mg
(回収率)F:55.4%、F20:34.8%、F50:8.0%、F99.5:0.6%
(IC50)F:0.23、F20:0.019、F50:0.028
(総活性)F:2409、F20:18316、F50:2857
【0032】
[比較例1]
合成吸着樹脂を、DIAION HP20から、SEPABEADS SP207(三菱化学社製、商品名)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、ペプチドの製造を行った。図3には、この時の溶離媒体の供給量を横軸に、溶出物の吸光度を縦軸にとってプロットしたグラフを示す。本比較例で用いたSEPABEADS SP207は、芳香族環上の水素原子が臭素等のハロゲン原子で置換されたポリスチレン系の吸着樹脂である。
【0033】
実施例1及び比較例1の結果のうち、表1には、IC50及び回収率(%)の比較を、表2には、ACE阻害総活性の比較を示す。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
本結果から、HP20を用いた場合(実施例1:芳香族環上の水素原子が臭素等のハロゲン原子で置換されていないポリスチレン系の吸着樹脂を使用)の方が、SEPABEADS SP207を用いた場合(比較例1:芳香族環上の水素原子が臭素等のハロゲン原子で置換されたポリスチレン系の吸着樹脂を使用)に比較し、高活性の画分が高い回収率で得られることが確認され、芳香族環上の水素原子が臭素等のハロゲン原子で置換されていないポリスチレン系の吸着樹脂の方が、選択的に高活性成分が得られることが明らかである。
【0037】
また、以下の表3には、作用の仕方が異なるタンパク質分解酵素で処理しない場合(実施例1)と、処理した場合(実施例3及び4)のACE阻害総活性の比較を示すが、作用の異なるタンパク質分解酵素で処理した場合の方が、総活性が高いことが明らかである。
【0038】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、高血圧患者のための血圧低下剤の製造等に利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1における溶出物の吸光度を示すグラフである。
【図2】実施例2における溶出物の吸光度を示すグラフである。
【図3】比較例1における溶出物の吸光度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液中で微細藻類をタンパク質分解酵素で処理してペプチド類を水溶液中に抽出させる抽出工程(1)と、得られたペプチド類を含有する水溶液を、20〜60体積%エタノール水溶液を溶離媒体として吸着樹脂を用いて処理する精製工程(3)と、を有することを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。
【請求項2】
前記抽出工程(1)の後に、抽出工程(1)で用いたものとは作用の仕方が異なるタンパク質分解酵素で微細藻類を処理して、ペプチド類を水溶液中に抽出させる抽出工程(2)を行ってから、前記精製工程を行う請求項1に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。
【請求項3】
前記吸着樹脂が、芳香族環上の水素原子がハロゲン原子で置換されていないポリスチレン系吸着樹脂である請求項1又は2に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。
【請求項4】
カラムに充填された前記吸着樹脂を用いて前記精製工程を行う請求項1〜3のいずれか一項に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。
【請求項5】
前記微細藻類がスピルリナ(Spirulina)である請求項1〜4のいずれか一項に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。
【請求項6】
前記スピルリナが、水、有機溶媒、又は超臨界抽出ガスによる抽出工程を経た後の残渣スピルリナである請求項5に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。
【請求項7】
前記微細藻類がクロレラ(Chlorella)である請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチドの製造方法。
【請求項8】
前記クロレラが、水、有機溶媒、又は超臨界抽出ガスによる抽出工程を経た後の残渣クロレラである請求項7に記載のペプチドの製造方法。
【請求項9】
前記微細藻類がヘマトコッカス(Haematococcus)である請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチドの製造方法。
【請求項10】
前記ヘマトコッカスが、水、有機溶媒、又は超臨界抽出ガスによる抽出工程を経た後の残渣ヘマトコッカスである請求項9に記載のペプチドの製造方法。
【請求項11】
前記微細藻類がドナリエラ(Dunaliella)である請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチドの製造方法。
【請求項12】
前記ドナリエラが、水、有機溶媒、又は超臨界抽出ガスによる抽出工程を経た後の残渣ドナリエラである請求項11に記載のペプチドの製造方法。
【請求項13】
前記タンパク質分解酵素が微生物由来のタンパク質分解酵素である請求項1〜12のいずれか一項に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。
【請求項14】
前記微生物由来のタンパク質分解酵素が、コウジカビ(Aspergillus)属由来のタンパク質分解酵素およびバチルス(Bacillus)属由来のタンパク質分解酵素からなる群から選ばれる1種以上である請求項13に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。
【請求項15】
前記タンパク質分解酵素が、動物性消化酵素である請求項1〜12のいずれか一項に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。
【請求項16】
前記動物性消化酵素がペプシンである請求項15に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。
【請求項17】
前記20〜60体積%エタノール水溶液が、20〜30体積%エタノール水溶液であり、前記吸着樹脂が、芳香族環上の水素原子がハロゲン原子で置換されていないポリスチレン系吸着樹脂である請求項1〜16のいずれか一項に記載のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有するペプチドの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−295842(P2007−295842A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126311(P2006−126311)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】