アンテナ、ならびに、RFIDリーダ
【課題】他の通信装置と近接させることによって通信可能となるアンテナ等を提供する。
【解決手段】アンテナ101は、電磁波長λの周波数帯で通信する通信装置に、給電部102の信号端子111と接地端子112により接続され、信号端子111に一端が接続され、他の通信装置に接続される他のアンテナと近接して容量結合もしくは電磁誘導結合する導体線からなる線路部103の他端は、終端抵抗部104を介して接地端子112と接続され、信号端子111と接地端子112との間の入力インピーダンスZi、線路部103の特性インピーダンスZo、終端抵抗部104のインピーダンスZr、線路部103の当該一端から当該他端までの経路長Lについて、(1)Zi = Zo = Zr、もしくは、(2)Zi = ZrかつL = nλ/2のいずれかを満たす。
【解決手段】アンテナ101は、電磁波長λの周波数帯で通信する通信装置に、給電部102の信号端子111と接地端子112により接続され、信号端子111に一端が接続され、他の通信装置に接続される他のアンテナと近接して容量結合もしくは電磁誘導結合する導体線からなる線路部103の他端は、終端抵抗部104を介して接地端子112と接続され、信号端子111と接地端子112との間の入力インピーダンスZi、線路部103の特性インピーダンスZo、終端抵抗部104のインピーダンスZr、線路部103の当該一端から当該他端までの経路長Lについて、(1)Zi = Zo = Zr、もしくは、(2)Zi = ZrかつL = nλ/2のいずれかを満たす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の通信装置と近接させることによって通信可能となるアンテナ、ならびに、当該アンテナを利用したRFIDリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線通信においては、各種のアンテナが利用されており、当該アンテナを利用したRF(Radio Frequency)タグも提案されている。このような技術については、たとえば以下の文献に開示されている。
【特許文献1】特開2007−150654号公報
【0003】
ここで[特許文献1]には、シート状の信号伝達装置の表面近傍に配置して当該信号伝達装置に各種の測定結果を送信するセンサ装置として、RFタグを利用する技術が開示されている。
【0004】
また、RFタグとしては、上記のようなセンサ情報ではなく、識別情報を送信するRFID(RF IDentification)タグも広く利用されている。このほか、RFIDタグに格納されている識別情報を読み取るRFIDリーダも普及しつつある。
【0005】
ここで、現在広く用いられているRFIDリーダでは、意図しない領域にまで電磁波が飛び、目的とするRFIDタグ以外とも通信可能に接続されてしまう場合がある。具体的には、複数のRFIDリーダが干渉したり、意図したものと異なるRFIDリーダがRFIDタグを読み込んでしまったりする場合等である。
【0006】
このため、発明者らは、通信対象にアンテナを近接させて初めて通信が可能となる通信機器の研究開発を進めている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この際、通常のアンテナの空中線電力を小さくしたり、アンテナ利得を小さくするという手法も考えられる。しかしながら、これらの手法では、アンテナ同士を近接させた場合にアンテナのVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)が変動してしまったり、アンテナ表面の電場変化のために、アンテナ位置がわずかに変化しただけで、アンテナ間の伝送損失S21が大きくなる。このため、安定した通信が不可能になってしまう。
【0008】
したがって、アンテナ同士が近接している場合にのみ、伝送損失S21が小さく、かつ、安定した通信が可能なシステムが強く求められている。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためのもので、他の通信装置と近接させることによって通信可能となるアンテナ、ならびに、当該アンテナを利用したRFIDリーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0011】
本発明の第1の観点に係るアンテナは、電磁波長λの周波数帯で通信する通信装置に接続されるべきアンテナであって、当該通信装置は他の通信装置と通信し、給電部、線路部、終端抵抗部を備え、以下のように構成する。
【0012】
すなわち、給電部は、当該通信装置が接続される信号端子と接地端子を有する。
【0013】
一方線路部は、給電部の信号端子に一端が接続され、当該他の通信装置に接続される他のアンテナと近接して容量結合もしくは電磁誘導結合する導体線からなる。
【0014】
さらに、終端抵抗部は、給電部の接地端子と、線路部の他端と、の間を接続する。
【0015】
そして、当該信号端子と接地端子との間の入力インピーダンスZi、線路部の特性インピーダンスZo、終端抵抗部のインピーダンスZrについて、
Zi = Zo = Zr
である。
【0016】
本発明の第2の観点に係るアンテナは、電磁波長λの周波数帯で通信する通信装置に接続されるべきアンテナであって、当該通信装置は他の通信装置と通信し、給電部、線路部、終端抵抗部を備え、以下のように構成する。
【0017】
すなわち、給電部は、当該通信装置が接続される信号端子と接地端子を有する。
【0018】
一方、線路部は、給電部の信号端子に一端が接続され、当該他の通信装置に接続される他のアンテナと近接して容量結合もしくは電磁誘導結合する導体線からなる。
【0019】
さらに、終端抵抗部は、給電部の接地端子と、線路部の他端と、の間を接続する。
【0020】
そして、当該信号端子と接地端子との間の入力インピーダンスZi、終端抵抗部のインピーダンスZr、当該線路部の当該一端から当該他端までの経路長L、1以上の整定数nについて、
Zi = Zr;
L = nλ/2
である。
【0021】
また、本発明のアンテナにおいて、線路部の特性インピーダンスZoについて、
Zi = Zo = Zr
であり、当該通信装置が、当該他の通信装置と、当該電磁波長λ以外の周波数帯で通信するように構成することができる。
【0022】
また、本発明のアンテナにおいて、線路部は、渦巻き状の形状をなし、当該渦巻きの中心側および周縁側の端のうち、一方の端に終端抵抗部が接続され、他方の端に給電部が接続されるように構成することができる。
【0023】
また、本発明のアンテナにおいて、線路部は、メッシュ状の形状をなすメッシュ状導体であり、当該メッシュ状導体のある位置に給電部が接続され、当該メッシュ状導体の他の位置に終端抵抗部が接続されるように構成することができる。
【0024】
また、本発明のアンテナにおいて、当該電磁波長λは、5cm〜35cmであるように構成することができる。
【0025】
本発明のその他の観点に係るRFIDリーダは、上記のアンテナと、当該アンテナの給電部に通信装置として接続され、アンテナを介して当該他の通信装置であるRFID(Radio Frequency IDentification)タグと当該電磁波長λの周波数帯で通信するRF通信部と、を備えるように構成する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、他の通信装置と近接させることによって通信可能となるアンテナ、ならびに、当該アンテナを利用したRFIDリーダを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0028】
図1は、本実施形態に係るアンテナの回路図を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0029】
アンテナ101は、通信装置と接続される給電部102、他のアンテナと近接して通信を行う線路部103、線路部103の終端でインピーダンスを調整する終端抵抗部104を有する。
【0030】
給電部102は、信号端子111と接地端子112とを有し、信号端子111は、通信装置の信号線と線路部103の一端を接続する役割を担い、接地端子112は通信装置の接地線を接地する役割を担う。
【0031】
終端抵抗部104は、線路部103の一端と、通信装置の接地線との間のインピーダンスを調整するものである。
【0032】
線路部103は、典型的には線状、帯状、網状の導体からなり、上記のように、一端は給電部102の信号端子111に、他端は終端抵抗部104に、それぞれ接続される。
【0033】
ここで、以下のように、各部の諸元を定めるものとする。
(a)当該信号端子111と接地端子112との間の入力インピーダンスZi。すなわち、通信装置のインピーダンス。
(b)線路部103の特性インピーダンスZo。
(c)終端抵抗部104のインピーダンスZr。
(d)当該線路部103の当該一端から当該他端までの経路長L。
(e)通信装置が通信する周波数帯の電磁波長λ。
【0034】
このように諸元を定めることとすると、給電部102から見たアンテナ101全体のインピーダンスZは、jを虚数単位として、以下のように計算できる。
Z = Zo(Zr + j Zo tan βL)/(Zo + j Zr tan βL);
β = 2π/λ
【0035】
本実施形態のアンテナ101においては、通信を行っていない間は、電力の反射や共振を生じさせないことで、電磁波の放射を抑え、利得を低くする、という通常のアンテナとはまったく逆の思想に基づいて設計をすることとしている。
【0036】
すなわち、以下の条件のいずれかが成立していれば、
(1)Zi = Zo = Zr。
(2)Zi = ZrかつL = nλ/2 (nは1以上の整定数)。
給電部102におけるインピーダンスの不整合が生じないため、反射や共振が発生しない。
【0037】
上記の条件(1)は、電磁波長が数百メートル以上の低周波通信の分野で用いられるビバレッジアンテナの設計仕様に類似するものである。ここで、ビバレッジアンテナは、主に受信用アンテナとして用いられ、受信効率を高くするために、全体の大きさは電磁波長の1倍乃至3倍程度とする必要がある。
【0038】
一方、本実施形態では、通信周波数帯の電磁波長は、50cm以下、典型的には、5cm乃至35cm程度を想定しており、アンテナの大きさは小型であることが強く望まれている。
【0039】
すなわち、ビバレッジアンテナを単純に適用するのでは、その全体の大きさが数百cm程度となってしまい、本実施形態の周波数帯での利用には適さない。
【0040】
本実施形態では、アンテナ101の線路部が他のアンテナと近接して容量結合または電磁誘導結合することが可能な形状をしていることによって、効率良く電磁波の送受信を行うことができる。しかも、アンテナ101の全体の大きさを数cm〜十数cm程度とすることは容易である。したがって、現実の利用に適合するのである。
【0041】
ここで、上記の条件(1)は、通信周波数帯を限定されない条件であり、条件(2)は、特定の通信周波数帯での通信に好適な条件である。したがって、条件(1)(2)を両方満たすように設計を行うことで、アンテナ101を、特定の通信周波数帯での通信に特に好適であり、かつ、他の通信周波数帯での通信にも適用できるようにすることができる。
【0042】
また、特定の通信周波数帯での通信のみを目的とする場合には、条件(2)を採用すると、線路部103の幅、太さ、材質、全体形状、アンテナ101の各部が配置される基板の比誘電率などの自由度を大きくすることができるため、アンテナ101の利得の設計変更が容易に行える。
【0043】
なお、一般に、アンテナに他の物体を近接させると、アンテナのVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)は変化するが、本実施形態では、終端抵抗部104を設けることによって、給電部102から見たVSWRの変化が小さくなる。このため、動作が安定する、という利点もある。
【0044】
終端抵抗部104は、抵抗素子そのものを利用することができるが、インピーダンスが所望の値となっていれば、各種の電子素子や電子回路、電気回路などを採用しても良い。たとえば、LED(Light Emitting Diode)を終端抵抗部104として採用すると、通信中か否かをユーザが容易に知得できるようになる。
【0045】
図2は、アンテナ101の第1の態様の表面の外観を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0046】
本図に示すように、アンテナ101の線路部103は、基板151の表面に配置されたマイクロストリップラインからなる導体線である。基板151の裏面には、導体箔152が配置されており、接地の役割を果たしている。
【0047】
線路部103の長さLは、通信周波数帯の電磁波長λの半分の整数倍となっており、本図の線路部103は、直線状の形状をしているため、アンテナ101全体の大きさは、典型的にはλ/2程度となる。
【0048】
本実施形態では、同軸ケーブル用コネクタが基板151の裏面に配置されており、その中心線は信号端子111に相当し、基板151を貫通して線路部103の一端に接続され、被覆線は接地端子112に相当し、裏面の接地用導体箔152に接続されていて、給電部102として機能する。
【0049】
線路部103の他端から基板151の裏面の導体箔152との間を、終端抵抗が接続しており、終端抵抗部104として機能している。
【0050】
マイクロストリップラインの幅a、基板151の厚さb、基板151の(比)誘電率εを変化させることによって、このアンテナの利得をコントロールすることが出来る。
【0051】
たとえば、a=1.0mm,b=0.5mm,ε=4、および、誘電正接tanδ=0.01の場合を考えると、伝送線路の2.4GHz帯での特性インピーダンスは50Ωとなり、同軸ケーブルに接続される通信装置のインピーダンスZiおよび終端抵抗部104のインピーダンスZrと一致させることができる。
【0052】
当該アンテナ101によって通信が可能であることを確認するため、上記諸元に加え、線路部103の全長L = 50mm、基板151の大きさを20mm×70mmとし、線路部103を基板151の中央に配置して、アンテナ101の上にダイポールアンテナを近接させた場合の、通信周波数2.45GHzでのアンテナ間の伝送損失S21をシミュレーションによって計算してみた。
【0053】
なお、理解を容易にするため、本図に示すように、線路部103の中央を原点とし、線路部103の長手方向をy軸、線路部103に直交する方向をx軸、基板151の厚さ方向をz軸とする。
【0054】
図3は、ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナ101のx = y = 0mmにおいて、両者の距離zを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【0055】
図4は、ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナ101のy = 0mm,z = 0.5mmにおいて、xを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【0056】
図5は、ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナ101のx = 0mm,z = 0.5mmにおいて、yを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【0057】
図6は、ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナ101のx = y = 0mm,z = 0.5mmにおいて、両者のなす角度θを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【0058】
これらの結果を見ると、両者を近接させることで通信は十分で可能であること、両者の長手方向を平行に配置するほど、通信電力が大きくなることがわかる。これは、アンテナ同士の相互インダクタンスが大きい状態であるためである。
【0059】
なお、両者が十分に離れている場合の伝送損失S21は、その利得から予測が可能であり、十分に小さいことがわかっている。
【0060】
ダイポールアンテナ以外の形状のアンテナを使用した場合には、これらとは性能が異なると考えられるが、ループアンテナなど、相互インダクタンスが大きくなるものを利用した場合には、伝送損失S21の値も大きくなり、通信は十分可能である。
【実施例2】
【0061】
上記実施形態では、線路部103を直線状のマイクロストリップラインとしていたが、この形状は任意に変更が可能である。以下では、線路部103をさまざまな形状とした実施例について説明する。
【0062】
図7は、渦巻き状の線路部103の形状を示す説明図である。以下、本図(符号は図示を省略している。)を参照して説明する。
【0063】
本図に示すように、線路部103は渦巻き状の形状をしており、上記実施形態と同様に、その一端は給電部102、他端は終端抵抗部104に接続されている。
【0064】
このような渦巻き状の形状とすることで、相手側アンテナとの相互インダクタンスが大きくなると予想される。そこでこれを確認するため、ダイポールアンテナとの伝送損失S21をシミュレーションにより求めてみた。
【0065】
図8は、渦巻き状の線路部103とダイポールアンテナとの位置関係を示す説明図である。以下、本図(符号は図示を省略している。)を参照して説明する。
【0066】
本図に示すように、渦巻き状の線路部103と中心を共通するようにダイポールアンテナを配置し、両者の角度を回転させる。
【0067】
図9は、両者の角度θに対する伝送損失S21の値を示すグラフである。以下、本図を参照して説明する。
【0068】
本図に示すように、上記実施形態に比べて、θを変化させても伝送損失S21の変化が小さいことがわかる。したがって、スパイラル形状とすることで、通信相手との角度依存性を小さくすることができる。
【0069】
以下では、他の線路形状を説明する。
【0070】
図10は、竜紋状の線路部103の形状を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0071】
竜紋は、渦巻きを略四角形形状に構成したものであり、プリント基板をエッチングすることで容易に構成することができる。本形状を採用した場合にも、線路部103の端部901の一方に給電部102を接続し、端部901の他方に終端抵抗部104を配置する。
【0072】
図11は、メッシュ状の線路部103の形状と終端抵抗部104の形状と示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0073】
本図に示すように、格子状のメッシュやハニカム状のメッシュを導体により構成すると、伝送線路とみなすことができる。そこで、基板の表面にメッシュを配置し、裏面は導体箔として、基板の側面全体を囲むように抵抗体を配置し、メッシュと導体箔との間を接続すれば、終端抵抗部104として機能させることができ、メッシュの任意の場所に、給電部102を配置することができる。
【0074】
もちろん、メッシュの特定の点とその裏面との間を抵抗で接続することで、終端抵抗部104として機能させることも可能である。
【0075】
このほか、上記のような渦巻きや竜紋形状の線路部103を複数アレー状に配置することとしても良い。
【実施例3】
【0076】
上記のアンテナ101の給電部102に、RFIDタグと通信するRF通信機器を接続することで、RFIDリーダを実現することができる。
【0077】
上記のように、このRFIDリーダは、近接したRFIDタグと通信することができるが、離間したRFIDタグとの利得は極めて小さいため、電磁波の放射を抑制し、混信などが生じることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、本発明によれば、他の通信装置と近接させることによって通信可能となるアンテナ、ならびに、当該アンテナを利用したRFIDリーダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施形態に係るアンテナの回路図を示す説明図である。
【図2】アンテナの第1の態様の表面の外観を示す説明図である。
【図3】ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナのx = y = 0mmにおいて、両者の距離zを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【図4】ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナのy = 0mm,z = 0.5mmにおいて、xを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【図5】ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナのx = 0mm,z = 0.5mmにおいて、yを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【図6】ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナのx = y = 0mm,z = 0.5mmにおいて、両者のなす角度θを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【図7】渦巻き状の線路部の形状を示す説明図である。
【図8】渦巻き状の線路部とダイポールアンテナとの位置関係を示す説明図である。
【図9】渦巻き状の線路部とダイポールアンテナとの角度θに対する伝送損失S21の値を示すグラフである。
【図10】竜紋状の線路部の形状を示す説明図である。
【図11】メッシュ状の線路部の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
【0080】
101 アンテナ
102 給電部
103 線路部
104 終端抵抗部
111 信号端子
112 接地端子
151 基板
152 接地用の導体箔
901 線路部の端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の通信装置と近接させることによって通信可能となるアンテナ、ならびに、当該アンテナを利用したRFIDリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線通信においては、各種のアンテナが利用されており、当該アンテナを利用したRF(Radio Frequency)タグも提案されている。このような技術については、たとえば以下の文献に開示されている。
【特許文献1】特開2007−150654号公報
【0003】
ここで[特許文献1]には、シート状の信号伝達装置の表面近傍に配置して当該信号伝達装置に各種の測定結果を送信するセンサ装置として、RFタグを利用する技術が開示されている。
【0004】
また、RFタグとしては、上記のようなセンサ情報ではなく、識別情報を送信するRFID(RF IDentification)タグも広く利用されている。このほか、RFIDタグに格納されている識別情報を読み取るRFIDリーダも普及しつつある。
【0005】
ここで、現在広く用いられているRFIDリーダでは、意図しない領域にまで電磁波が飛び、目的とするRFIDタグ以外とも通信可能に接続されてしまう場合がある。具体的には、複数のRFIDリーダが干渉したり、意図したものと異なるRFIDリーダがRFIDタグを読み込んでしまったりする場合等である。
【0006】
このため、発明者らは、通信対象にアンテナを近接させて初めて通信が可能となる通信機器の研究開発を進めている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この際、通常のアンテナの空中線電力を小さくしたり、アンテナ利得を小さくするという手法も考えられる。しかしながら、これらの手法では、アンテナ同士を近接させた場合にアンテナのVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)が変動してしまったり、アンテナ表面の電場変化のために、アンテナ位置がわずかに変化しただけで、アンテナ間の伝送損失S21が大きくなる。このため、安定した通信が不可能になってしまう。
【0008】
したがって、アンテナ同士が近接している場合にのみ、伝送損失S21が小さく、かつ、安定した通信が可能なシステムが強く求められている。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためのもので、他の通信装置と近接させることによって通信可能となるアンテナ、ならびに、当該アンテナを利用したRFIDリーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0011】
本発明の第1の観点に係るアンテナは、電磁波長λの周波数帯で通信する通信装置に接続されるべきアンテナであって、当該通信装置は他の通信装置と通信し、給電部、線路部、終端抵抗部を備え、以下のように構成する。
【0012】
すなわち、給電部は、当該通信装置が接続される信号端子と接地端子を有する。
【0013】
一方線路部は、給電部の信号端子に一端が接続され、当該他の通信装置に接続される他のアンテナと近接して容量結合もしくは電磁誘導結合する導体線からなる。
【0014】
さらに、終端抵抗部は、給電部の接地端子と、線路部の他端と、の間を接続する。
【0015】
そして、当該信号端子と接地端子との間の入力インピーダンスZi、線路部の特性インピーダンスZo、終端抵抗部のインピーダンスZrについて、
Zi = Zo = Zr
である。
【0016】
本発明の第2の観点に係るアンテナは、電磁波長λの周波数帯で通信する通信装置に接続されるべきアンテナであって、当該通信装置は他の通信装置と通信し、給電部、線路部、終端抵抗部を備え、以下のように構成する。
【0017】
すなわち、給電部は、当該通信装置が接続される信号端子と接地端子を有する。
【0018】
一方、線路部は、給電部の信号端子に一端が接続され、当該他の通信装置に接続される他のアンテナと近接して容量結合もしくは電磁誘導結合する導体線からなる。
【0019】
さらに、終端抵抗部は、給電部の接地端子と、線路部の他端と、の間を接続する。
【0020】
そして、当該信号端子と接地端子との間の入力インピーダンスZi、終端抵抗部のインピーダンスZr、当該線路部の当該一端から当該他端までの経路長L、1以上の整定数nについて、
Zi = Zr;
L = nλ/2
である。
【0021】
また、本発明のアンテナにおいて、線路部の特性インピーダンスZoについて、
Zi = Zo = Zr
であり、当該通信装置が、当該他の通信装置と、当該電磁波長λ以外の周波数帯で通信するように構成することができる。
【0022】
また、本発明のアンテナにおいて、線路部は、渦巻き状の形状をなし、当該渦巻きの中心側および周縁側の端のうち、一方の端に終端抵抗部が接続され、他方の端に給電部が接続されるように構成することができる。
【0023】
また、本発明のアンテナにおいて、線路部は、メッシュ状の形状をなすメッシュ状導体であり、当該メッシュ状導体のある位置に給電部が接続され、当該メッシュ状導体の他の位置に終端抵抗部が接続されるように構成することができる。
【0024】
また、本発明のアンテナにおいて、当該電磁波長λは、5cm〜35cmであるように構成することができる。
【0025】
本発明のその他の観点に係るRFIDリーダは、上記のアンテナと、当該アンテナの給電部に通信装置として接続され、アンテナを介して当該他の通信装置であるRFID(Radio Frequency IDentification)タグと当該電磁波長λの周波数帯で通信するRF通信部と、を備えるように構成する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、他の通信装置と近接させることによって通信可能となるアンテナ、ならびに、当該アンテナを利用したRFIDリーダを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0028】
図1は、本実施形態に係るアンテナの回路図を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0029】
アンテナ101は、通信装置と接続される給電部102、他のアンテナと近接して通信を行う線路部103、線路部103の終端でインピーダンスを調整する終端抵抗部104を有する。
【0030】
給電部102は、信号端子111と接地端子112とを有し、信号端子111は、通信装置の信号線と線路部103の一端を接続する役割を担い、接地端子112は通信装置の接地線を接地する役割を担う。
【0031】
終端抵抗部104は、線路部103の一端と、通信装置の接地線との間のインピーダンスを調整するものである。
【0032】
線路部103は、典型的には線状、帯状、網状の導体からなり、上記のように、一端は給電部102の信号端子111に、他端は終端抵抗部104に、それぞれ接続される。
【0033】
ここで、以下のように、各部の諸元を定めるものとする。
(a)当該信号端子111と接地端子112との間の入力インピーダンスZi。すなわち、通信装置のインピーダンス。
(b)線路部103の特性インピーダンスZo。
(c)終端抵抗部104のインピーダンスZr。
(d)当該線路部103の当該一端から当該他端までの経路長L。
(e)通信装置が通信する周波数帯の電磁波長λ。
【0034】
このように諸元を定めることとすると、給電部102から見たアンテナ101全体のインピーダンスZは、jを虚数単位として、以下のように計算できる。
Z = Zo(Zr + j Zo tan βL)/(Zo + j Zr tan βL);
β = 2π/λ
【0035】
本実施形態のアンテナ101においては、通信を行っていない間は、電力の反射や共振を生じさせないことで、電磁波の放射を抑え、利得を低くする、という通常のアンテナとはまったく逆の思想に基づいて設計をすることとしている。
【0036】
すなわち、以下の条件のいずれかが成立していれば、
(1)Zi = Zo = Zr。
(2)Zi = ZrかつL = nλ/2 (nは1以上の整定数)。
給電部102におけるインピーダンスの不整合が生じないため、反射や共振が発生しない。
【0037】
上記の条件(1)は、電磁波長が数百メートル以上の低周波通信の分野で用いられるビバレッジアンテナの設計仕様に類似するものである。ここで、ビバレッジアンテナは、主に受信用アンテナとして用いられ、受信効率を高くするために、全体の大きさは電磁波長の1倍乃至3倍程度とする必要がある。
【0038】
一方、本実施形態では、通信周波数帯の電磁波長は、50cm以下、典型的には、5cm乃至35cm程度を想定しており、アンテナの大きさは小型であることが強く望まれている。
【0039】
すなわち、ビバレッジアンテナを単純に適用するのでは、その全体の大きさが数百cm程度となってしまい、本実施形態の周波数帯での利用には適さない。
【0040】
本実施形態では、アンテナ101の線路部が他のアンテナと近接して容量結合または電磁誘導結合することが可能な形状をしていることによって、効率良く電磁波の送受信を行うことができる。しかも、アンテナ101の全体の大きさを数cm〜十数cm程度とすることは容易である。したがって、現実の利用に適合するのである。
【0041】
ここで、上記の条件(1)は、通信周波数帯を限定されない条件であり、条件(2)は、特定の通信周波数帯での通信に好適な条件である。したがって、条件(1)(2)を両方満たすように設計を行うことで、アンテナ101を、特定の通信周波数帯での通信に特に好適であり、かつ、他の通信周波数帯での通信にも適用できるようにすることができる。
【0042】
また、特定の通信周波数帯での通信のみを目的とする場合には、条件(2)を採用すると、線路部103の幅、太さ、材質、全体形状、アンテナ101の各部が配置される基板の比誘電率などの自由度を大きくすることができるため、アンテナ101の利得の設計変更が容易に行える。
【0043】
なお、一般に、アンテナに他の物体を近接させると、アンテナのVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)は変化するが、本実施形態では、終端抵抗部104を設けることによって、給電部102から見たVSWRの変化が小さくなる。このため、動作が安定する、という利点もある。
【0044】
終端抵抗部104は、抵抗素子そのものを利用することができるが、インピーダンスが所望の値となっていれば、各種の電子素子や電子回路、電気回路などを採用しても良い。たとえば、LED(Light Emitting Diode)を終端抵抗部104として採用すると、通信中か否かをユーザが容易に知得できるようになる。
【0045】
図2は、アンテナ101の第1の態様の表面の外観を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0046】
本図に示すように、アンテナ101の線路部103は、基板151の表面に配置されたマイクロストリップラインからなる導体線である。基板151の裏面には、導体箔152が配置されており、接地の役割を果たしている。
【0047】
線路部103の長さLは、通信周波数帯の電磁波長λの半分の整数倍となっており、本図の線路部103は、直線状の形状をしているため、アンテナ101全体の大きさは、典型的にはλ/2程度となる。
【0048】
本実施形態では、同軸ケーブル用コネクタが基板151の裏面に配置されており、その中心線は信号端子111に相当し、基板151を貫通して線路部103の一端に接続され、被覆線は接地端子112に相当し、裏面の接地用導体箔152に接続されていて、給電部102として機能する。
【0049】
線路部103の他端から基板151の裏面の導体箔152との間を、終端抵抗が接続しており、終端抵抗部104として機能している。
【0050】
マイクロストリップラインの幅a、基板151の厚さb、基板151の(比)誘電率εを変化させることによって、このアンテナの利得をコントロールすることが出来る。
【0051】
たとえば、a=1.0mm,b=0.5mm,ε=4、および、誘電正接tanδ=0.01の場合を考えると、伝送線路の2.4GHz帯での特性インピーダンスは50Ωとなり、同軸ケーブルに接続される通信装置のインピーダンスZiおよび終端抵抗部104のインピーダンスZrと一致させることができる。
【0052】
当該アンテナ101によって通信が可能であることを確認するため、上記諸元に加え、線路部103の全長L = 50mm、基板151の大きさを20mm×70mmとし、線路部103を基板151の中央に配置して、アンテナ101の上にダイポールアンテナを近接させた場合の、通信周波数2.45GHzでのアンテナ間の伝送損失S21をシミュレーションによって計算してみた。
【0053】
なお、理解を容易にするため、本図に示すように、線路部103の中央を原点とし、線路部103の長手方向をy軸、線路部103に直交する方向をx軸、基板151の厚さ方向をz軸とする。
【0054】
図3は、ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナ101のx = y = 0mmにおいて、両者の距離zを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【0055】
図4は、ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナ101のy = 0mm,z = 0.5mmにおいて、xを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【0056】
図5は、ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナ101のx = 0mm,z = 0.5mmにおいて、yを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【0057】
図6は、ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナ101のx = y = 0mm,z = 0.5mmにおいて、両者のなす角度θを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【0058】
これらの結果を見ると、両者を近接させることで通信は十分で可能であること、両者の長手方向を平行に配置するほど、通信電力が大きくなることがわかる。これは、アンテナ同士の相互インダクタンスが大きい状態であるためである。
【0059】
なお、両者が十分に離れている場合の伝送損失S21は、その利得から予測が可能であり、十分に小さいことがわかっている。
【0060】
ダイポールアンテナ以外の形状のアンテナを使用した場合には、これらとは性能が異なると考えられるが、ループアンテナなど、相互インダクタンスが大きくなるものを利用した場合には、伝送損失S21の値も大きくなり、通信は十分可能である。
【実施例2】
【0061】
上記実施形態では、線路部103を直線状のマイクロストリップラインとしていたが、この形状は任意に変更が可能である。以下では、線路部103をさまざまな形状とした実施例について説明する。
【0062】
図7は、渦巻き状の線路部103の形状を示す説明図である。以下、本図(符号は図示を省略している。)を参照して説明する。
【0063】
本図に示すように、線路部103は渦巻き状の形状をしており、上記実施形態と同様に、その一端は給電部102、他端は終端抵抗部104に接続されている。
【0064】
このような渦巻き状の形状とすることで、相手側アンテナとの相互インダクタンスが大きくなると予想される。そこでこれを確認するため、ダイポールアンテナとの伝送損失S21をシミュレーションにより求めてみた。
【0065】
図8は、渦巻き状の線路部103とダイポールアンテナとの位置関係を示す説明図である。以下、本図(符号は図示を省略している。)を参照して説明する。
【0066】
本図に示すように、渦巻き状の線路部103と中心を共通するようにダイポールアンテナを配置し、両者の角度を回転させる。
【0067】
図9は、両者の角度θに対する伝送損失S21の値を示すグラフである。以下、本図を参照して説明する。
【0068】
本図に示すように、上記実施形態に比べて、θを変化させても伝送損失S21の変化が小さいことがわかる。したがって、スパイラル形状とすることで、通信相手との角度依存性を小さくすることができる。
【0069】
以下では、他の線路形状を説明する。
【0070】
図10は、竜紋状の線路部103の形状を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0071】
竜紋は、渦巻きを略四角形形状に構成したものであり、プリント基板をエッチングすることで容易に構成することができる。本形状を採用した場合にも、線路部103の端部901の一方に給電部102を接続し、端部901の他方に終端抵抗部104を配置する。
【0072】
図11は、メッシュ状の線路部103の形状と終端抵抗部104の形状と示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0073】
本図に示すように、格子状のメッシュやハニカム状のメッシュを導体により構成すると、伝送線路とみなすことができる。そこで、基板の表面にメッシュを配置し、裏面は導体箔として、基板の側面全体を囲むように抵抗体を配置し、メッシュと導体箔との間を接続すれば、終端抵抗部104として機能させることができ、メッシュの任意の場所に、給電部102を配置することができる。
【0074】
もちろん、メッシュの特定の点とその裏面との間を抵抗で接続することで、終端抵抗部104として機能させることも可能である。
【0075】
このほか、上記のような渦巻きや竜紋形状の線路部103を複数アレー状に配置することとしても良い。
【実施例3】
【0076】
上記のアンテナ101の給電部102に、RFIDタグと通信するRF通信機器を接続することで、RFIDリーダを実現することができる。
【0077】
上記のように、このRFIDリーダは、近接したRFIDタグと通信することができるが、離間したRFIDタグとの利得は極めて小さいため、電磁波の放射を抑制し、混信などが生じることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、本発明によれば、他の通信装置と近接させることによって通信可能となるアンテナ、ならびに、当該アンテナを利用したRFIDリーダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本実施形態に係るアンテナの回路図を示す説明図である。
【図2】アンテナの第1の態様の表面の外観を示す説明図である。
【図3】ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナのx = y = 0mmにおいて、両者の距離zを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【図4】ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナのy = 0mm,z = 0.5mmにおいて、xを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【図5】ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナのx = 0mm,z = 0.5mmにおいて、yを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【図6】ダイポールアンテナの中心位置(x,y,z)をアンテナのx = y = 0mm,z = 0.5mmにおいて、両者のなす角度θを変化させたときの伝送損失S21の値を示すグラフである。
【図7】渦巻き状の線路部の形状を示す説明図である。
【図8】渦巻き状の線路部とダイポールアンテナとの位置関係を示す説明図である。
【図9】渦巻き状の線路部とダイポールアンテナとの角度θに対する伝送損失S21の値を示すグラフである。
【図10】竜紋状の線路部の形状を示す説明図である。
【図11】メッシュ状の線路部の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
【0080】
101 アンテナ
102 給電部
103 線路部
104 終端抵抗部
111 信号端子
112 接地端子
151 基板
152 接地用の導体箔
901 線路部の端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波長λの周波数帯で通信する通信装置に接続されるべきアンテナであって、当該通信装置は他の通信装置と通信し、
当該通信装置が接続される信号端子と接地端子を有する給電部、
前記給電部の信号端子に一端が接続され、当該他の通信装置に接続される他のアンテナと近接して容量結合もしくは電磁誘導結合する導体線からなる線路部、
前記給電部の接地端子と、前記線路部の他端と、の間を接続する終端抵抗部
を備え、
当該信号端子と接地端子との間の入力インピーダンスZi、前記線路部の特性インピーダンスZo、前記終端抵抗部のインピーダンスZrについて、
Zi = Zo = Zr
であることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
電磁波長λの周波数帯で通信する通信装置に接続されるべきアンテナであって、当該通信装置は他の通信装置と通信し、
当該通信装置が接続される信号端子と接地端子を有する給電部、
前記給電部の信号端子に一端が接続され、当該他の通信装置に接続される他のアンテナと近接して容量結合もしくは電磁誘導結合する導体線からなる線路部、
前記給電部の接地端子と、前記線路部の他端と、の間を接続する終端抵抗部
を備え、
当該信号端子と接地端子との間の入力インピーダンスZi、前記終端抵抗部のインピーダンスZr、当該線路部の当該一端から当該他端までの経路長L、1以上の整定数nについて、
Zi = Zr;
L = nλ/2
であることを特徴とするアンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載のアンテナであって、
前記線路部の特性インピーダンスZoについて、
Zi = Zo = Zr
であり、
当該通信装置が、当該他の通信装置と、当該電磁波長λ以外の周波数帯で通信する
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のアンテナであって、
前記線路部は、渦巻き状の形状をなし、
当該渦巻きの中心側および周縁側の端のうち、一方の端に終端抵抗部が接続され、他方の端に給電部が接続される
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項5】
請求項1または3に記載のアンテナであって、
前記線路部は、メッシュ状の形状をなすメッシュ状導体であり、
当該メッシュ状導体のある位置に給電部が接続され、当該メッシュ状導体の他の位置に終端抵抗部が接続される
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のアンテナであって、
当該電磁波長λは、5cm〜35cmである
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のアンテナと、
前記アンテナの給電部に通信装置として接続され、前記アンテナを介して当該他の通信装置であるRFID(Radio Frequency IDentification)タグと当該電磁波長λの周波数帯で通信するRF通信部と、
を備えることを特徴とするRFIDリーダ。
【請求項1】
電磁波長λの周波数帯で通信する通信装置に接続されるべきアンテナであって、当該通信装置は他の通信装置と通信し、
当該通信装置が接続される信号端子と接地端子を有する給電部、
前記給電部の信号端子に一端が接続され、当該他の通信装置に接続される他のアンテナと近接して容量結合もしくは電磁誘導結合する導体線からなる線路部、
前記給電部の接地端子と、前記線路部の他端と、の間を接続する終端抵抗部
を備え、
当該信号端子と接地端子との間の入力インピーダンスZi、前記線路部の特性インピーダンスZo、前記終端抵抗部のインピーダンスZrについて、
Zi = Zo = Zr
であることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
電磁波長λの周波数帯で通信する通信装置に接続されるべきアンテナであって、当該通信装置は他の通信装置と通信し、
当該通信装置が接続される信号端子と接地端子を有する給電部、
前記給電部の信号端子に一端が接続され、当該他の通信装置に接続される他のアンテナと近接して容量結合もしくは電磁誘導結合する導体線からなる線路部、
前記給電部の接地端子と、前記線路部の他端と、の間を接続する終端抵抗部
を備え、
当該信号端子と接地端子との間の入力インピーダンスZi、前記終端抵抗部のインピーダンスZr、当該線路部の当該一端から当該他端までの経路長L、1以上の整定数nについて、
Zi = Zr;
L = nλ/2
であることを特徴とするアンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載のアンテナであって、
前記線路部の特性インピーダンスZoについて、
Zi = Zo = Zr
であり、
当該通信装置が、当該他の通信装置と、当該電磁波長λ以外の周波数帯で通信する
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のアンテナであって、
前記線路部は、渦巻き状の形状をなし、
当該渦巻きの中心側および周縁側の端のうち、一方の端に終端抵抗部が接続され、他方の端に給電部が接続される
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項5】
請求項1または3に記載のアンテナであって、
前記線路部は、メッシュ状の形状をなすメッシュ状導体であり、
当該メッシュ状導体のある位置に給電部が接続され、当該メッシュ状導体の他の位置に終端抵抗部が接続される
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のアンテナであって、
当該電磁波長λは、5cm〜35cmである
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のアンテナと、
前記アンテナの給電部に通信装置として接続され、前記アンテナを介して当該他の通信装置であるRFID(Radio Frequency IDentification)タグと当該電磁波長λの周波数帯で通信するRF通信部と、
を備えることを特徴とするRFIDリーダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−16445(P2010−16445A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172206(P2008−172206)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(503054096)株式会社セルクロス (38)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(503054096)株式会社セルクロス (38)
【Fターム(参考)】
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