アンテナ放射部分の大気曝露のためのバラン構造を有する電気外科手術装置およびそれを用いてエネルギーを組織に導く方法
【課題】アンテナ放射部分の大気曝露のためのバラン構造を有する電気外科手術装置および使用方法を提供する。
【解決手段】エネルギーを組織に導くためのエネルギー照射装置100は、内側導体、外側導体およびその間に配置された誘電体を有する給電路110と、給電路に動作可能に接続された放射部分105,140を有するアンテナアセンブリ12とを備える。また、エネルギー照射装置は、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されていてエネルギー照射装置が組織内に配置されている場合に、エネルギーを放射部分に実質的に限定するように構成された第1のバラン構造108と、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されているがエネルギー照射装置が組織内に配置されていない場合に、放射部分から放出されるエネルギーが給電路に沿って第2のバラン構造129の近位に伝播することを実質的に防止するように構成された第2のバラン構造とを備える。
【解決手段】エネルギーを組織に導くためのエネルギー照射装置100は、内側導体、外側導体およびその間に配置された誘電体を有する給電路110と、給電路に動作可能に接続された放射部分105,140を有するアンテナアセンブリ12とを備える。また、エネルギー照射装置は、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されていてエネルギー照射装置が組織内に配置されている場合に、エネルギーを放射部分に実質的に限定するように構成された第1のバラン構造108と、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されているがエネルギー照射装置が組織内に配置されていない場合に、放射部分から放出されるエネルギーが給電路に沿って第2のバラン構造129の近位に伝播することを実質的に防止するように構成された第2のバラン構造とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組織焼灼用途での使用に適した電気外科手術装置に関し、より詳細には、アンテナ放射部分の大気曝露のためのバラン構造を有する電気外科手術装置およびそれを用いてエネルギーを組織に導く方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある疾患の治療では、悪性の組織増殖(例えば、腫瘍)を破壊する必要がある。腫瘍細胞を加熱および破壊するために電磁放射線を使用することができる。治療では、癌性腫瘍が同定された組織に焼灼プローブを挿入する場合がある。一旦プローブが配置されると、電磁エネルギーは、プローブを通って周囲組織に伝達される。
【0003】
癌などの疾患の治療では、ある種の腫瘍細胞は、健康な細胞に通常有害である温度よりも僅かに低い温度に高められた温度で変性することが分かっている。温熱療法などの公知の治療は、異常細胞を41℃超の温度まで加熱しながら、隣接する健康な細胞を不可逆的な細胞破壊が生じる温度よりも低い温度に維持する。このような方法では、組織を加熱、焼灼および/または凝固するために電磁放射線が照射される。このような方法を行うために、時としてマイクロ波エネルギーが利用される。組織を加熱するために電磁放射線を利用する他の処置としては、組織の凝固、切断および/または焼灼も挙げられる。
【0004】
電磁放射線を利用する電気外科手術装置は、様々な使用および用途のために開発されている。様々な組織に対して切断および凝固作用を達成するために、短時間に高い破裂エネルギーを供給するように使用することができる複数の装置が入手可能である。焼灼処置を行うために使用することができる複数の異なる種類の装置が存在する。典型的には、焼灼処置で使用されるマイクロ波装置は、エネルギー源として機能するマイクロ波発生器および標的組織にエネルギーを導くためのアンテナアセンブリを有するマイクロ波外科手術器具(例えば、マイクロ波焼灼プローブ)を備える。マイクロ波発生器と外科手術器具は通常、マイクロ波エネルギーを発生器から器具に伝送するための、および、器具と発生器との間で制御、フィードバックおよび識別信号を通信するための複数の導体を有するケーブルアセンブリによって動作可能に接続されている。
【0005】
モノポール、ダイポールおよびヘリカル型などの数種類のマイクロ波プローブが使用されており、それらを組織焼灼用途で使用することができる。モノポールおよびダイポールアンテナアセンブリでは、マイクロ波エネルギーは一般に、導体の軸から離れるように垂直に放射される。モノポールアンテナアセンブリは通常、単一の細長い導体を備える。典型的なダイポールアンテナアセンブリは、2つの細長い導体を備え、それらは直線状に並べられ、かつ電気絶縁体を挟んで互いに対して端と端で配置されている。ヘリカルアンテナアセンブリは、様々な寸法(例えば、直径および長さ)の螺旋状導体構成を含む。ヘリカルアンテナアセンブリの主な動作モードは、螺旋による放射場が螺旋軸に対して垂直な平面において最大となるノーマルモード(ブロードサイド)、および螺旋軸に沿って放射が最大となる軸方向モード(エンドファイア)である。
【0006】
マイクロ波伝送線路は通常、長く薄い内側導体を備え、内側導体は、伝送線路の長手軸に沿って延在し、かつ誘電体によって取り囲まれており、さらに誘電体の周りの外側導体によって取り囲まれているため、外側導体も伝送線路の軸に沿って延在している。アンテナの変形の1つでは、例えば、伝送線路または同軸ケーブルの長さなどの導波路構造に、エネルギーが「漏洩する」あるいは案内構造から離れるように放射される複数の開口部が設けられている。この種の構造は通常、「漏洩同軸」または「漏れ波」アンテナと呼ばれている。マイクロ波プローブ放射アンテナの設計は、熱分布に影響を与える。
【0007】
焼灼対象の病変部は、焼灼プローブで穿孔するには小さすぎたり、固すぎたりすることがある。このような場合、医師はプローブをできるだけ病変部に近づけて配置し、焼灼を行う場合がある。無指向性焼灼プローブでは、焼灼によってプローブの両側で放射がなされる場合がある。
【0008】
ある腫瘍の治療では、例えば、腫瘍がプローブより大きい場合や入手可能なプローブ形状または放射パターンに一致しない形状を有する場合に、焼灼処置中にプローブを再配置することがある。治療の完了前または後に、電力がプローブアンテナに送られている間に、外科医がプローブを組織から取り出す場合があり、エネルギー(例えば、熱および/または電磁放射線などの放射エネルギー)が、外科医の手に向かってプローブのシャフトに沿って伝送される場合がある。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、内側導体、外側導体およびその間に配置された誘電体を有する給電路ならびに給電路に動作可能に接続された放射部分を有するアンテナアセンブリを備えた、電磁エネルギーを組織に導くためのエネルギー照射装置に関する。また、エネルギー照射装置は、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されていてエネルギー照射装置が組織内に配置されている場合に、電磁エネルギーを放射部分に実質的に限定するように構成された第1のバラン構造と、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されているがエネルギー照射装置が組織内に配置されていない場合に、放射部分から放出される電磁エネルギーが給電路に沿って第2のバラン構造の近位に伝播することを実質的に防止するように構成された第2のバラン構造とを備える。
【0010】
本開示は、エネルギー照射装置を用意するステップと、エネルギー照射装置を組織に配置するステップと、エネルギーをエネルギー源から放射部分を通して組織に伝送するステップとを含む、エネルギーを組織に導く方法にも関する。エネルギー照射装置は、給電路と、給電路に動作可能に接続された放射部分を有するアンテナアセンブリと、電磁エネルギーを放射部分に実質的に限定するように構成された第1のバランと、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されているがエネルギー照射装置が組織内に挿入されていない場合に、放射部分から放出される電磁エネルギーが給電路に沿って第2のバランの近位に伝播することを実質的に防止するように構成された第2のバランとを備える。
【0011】
本開示のエネルギー照射装置の目的および特徴は、添付の図面を参照しながらその様々な実施形態についての説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の一実施形態に係る焼灼システムの概略図である。
【図2】本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図3】本開示の一実施形態に係る図2のエネルギー照射装置の部分断面図である。
【図4】本開示の一実施形態に係る図3の細部の指示された領域の拡大図である。
【図5】本開示に係るエネルギー照射装置の別の実施形態の部分断面図である。
【図6】本開示に係る焼灼システムの別の実施形態の概略図である。
【図7】本開示の別の実施形態に係るエネルギー照射装置の一部の斜視図である。
【図8】本開示の一実施形態に係る図7に示すエネルギー照射装置の一部の分解された部分の斜視図である。
【図9】本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図10】本開示に係る焼灼システムのさらに別の実施形態の概略図である。
【図11】本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置の一部の分解された部分の斜視図である。
【図12】本開示の一実施形態に係る図11に示すエネルギー照射装置の一部の斜視組立図である。
【図13】本開示の一実施形態に係る、そこを貫通する開口部およびエンドキャップを有する細長いシャフトが設けられた図12のエネルギー照射装置の一部の部分分離斜視図である。
【図14】本開示の一実施形態に係る図13の細部の指示された領域の拡大図である。
【図15】本開示の一実施形態に係る図13のエネルギー照射装置の部分断面図である。
【図16】本開示の一実施形態に係る図13のエネルギー照射装置の一部の斜視組立図である。
【図17】本開示の一実施形態に係る、細長いシャフト内に開口部を備えた細長いシャフトの一部を取り囲む誘電体スリーブ部材と共に示されている図16のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図18】本開示の一実施形態に係る、誘電体スリーブ部材の部分と、その間に間隙を有する軸方向に位置合わせされた近位および遠位導電性スリーブ部材によって取り囲まれた細長いシャフト(想像線で)内の開口部の部分と共に示されている図17のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図19A】本開示の一実施形態に係る図18のエネルギー照射装置の遠位部分の断面図である。
【図19B】本開示の一実施形態に係る図18のエネルギー照射装置の別の遠位部分の断面図である。
【図20】本開示の一実施形態に係る、遠位導電性スリーブ部材の遠位に延在するテーパー部分と共に示される図18のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図21】本開示の一実施形態に係る、放射部分大気曝露バランと共に示されている図20のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図22】本開示の一実施形態に係る、細長いシャフトの長さに沿って配置され、かつ近位および遠位導電性スリーブ部材および放射部分大気曝露バランの上に重なり、かつその間の間隙を埋める層と共に示される図21のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図23】本開示の一実施形態に係る、図11のエネルギー照射装置のようなエネルギー照射装置によって組織内に送られる電磁エネルギーの放射パターンの概略図である。
【図24】本開示の別の実施形態に係るエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図25】本開示の一実施形態に係る、放射部分大気曝露バランと共に示される図24のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図26】本開示の一実施形態に係る図25のエネルギー照射装置の部分断面図である。
【図27】本開示の一実施形態に係るエネルギーを組織に導く方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、放射部分大気曝露バラン構造を有する本開示のエネルギー照射装置の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。図の説明全体にわたって、同様の符号は、同様または同一の要素を指すものとする。図面に示しかつ本説明で使用され、かつ従来同様に、物体上の相対的な位置づけについて述べる場合、「近位である」という用語は、使用者により近い装置のその部分を指し、「遠位である」という用語は、使用者からより遠い装置のその部分を指す。
【0014】
本説明は、「一実施形態では」、「実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、あるいは、「他の実施形態では」という語句を用いる場合があるが、これらの語句はそれぞれ、本開示に係る同一または異なる実施形態の1つまたは複数を指すものとする。本説明のための「A/B」という形の語句は、AまたはBを意味する。本説明のための「Aおよび/またはB」という形の語句は、「(A)、(B)または(AおよびB)」を意味する。本説明のための「A、BまたはCのうちの少なくとも1つ」という形の語句は、「(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、BおよびC)」を意味する。
【0015】
電磁エネルギーは一般に、エネルギーの増加または波長の減少によって、電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線およびガンマ線に分類される。本説明において使用される「マイクロ波」は一般に、300メガヘルツ(MHz)(3×108サイクル/秒)〜300ギガヘルツ(GHz)(3×1011サイクル/秒)の周波数範囲の電磁波を指す。本説明において使用される「焼灼処置」は一般に、任意の焼灼処置、例えば、マイクロ波焼灼、無線周波数(RF)焼灼またはマイクロ波焼灼を用いる切除を指す。本説明において使用される「伝送線路」は一般に、ある点から別の点までの信号の伝播のために使用することができる任意の伝送媒体を指す。
【0016】
本説明において使用される「長さ」は、電気的長さまたは物理的長さを指すことができる。一般に、電気的長さは、伝送媒体内を伝播している信号の波長に換算した伝送媒体の長さの表現である。電気的長さは通常、波長、ラジアンまたは度(°)に換算して表される。例えば、電気的長さは、伝送媒体内を伝搬している電磁波または電気信号の波長の倍数または約数として表すことができる。波長は、ラジアン、または度(°)などの理論上の角度単位で表すことができる。伝送媒体の電気的長さは、(a)伝送媒体を通る電気もしくは電磁信号の伝播時間の(b)伝送媒体の物理的長さと等しい距離にわたる自由空間における電磁波の伝播時間に対する比を乗じたその物理的長さとして表すことができる。電気的長さは一般に物理的長さとは異なる。適当なリアクタンス素子(容量性または誘導性)の追加によって、電気的長さを、物理的長さよりも著しく短くまたは長くすることができる。
【0017】
本開示の様々な実施形態は、組織を治療するためのエネルギー照射装置、および電磁放射線を組織に導く方法を提供する。実施形態は、マイクロ波周波数または他の周波数の電磁放射線を用いて実施してもよい。様々な実施形態に係る、放射部分大気曝露バランを有するエネルギー照射装置を備えた電気外科手術システムは、約300MHz〜約10GHzで動作するように設計および構成されている。
【0018】
放射部分大気曝露バラン構造を有する本開示のエネルギー照射装置の様々な実施形態は、マイクロ波焼灼に適しており、マイクロ波焼灼を用いる手術切除のために組織を予め凝固するのに用いられる。以下に説明する様々な方法は、標的組織のマイクロ波焼灼および完全な破壊を目的としているが、電磁放射線を導く方法は、例えば、心臓組織内の電気的刺激の伝導を妨げるために標的組織が部分的に破壊されるか損傷を受ける他の治療法と共に使用できることを理解されたい。さらに、以下の説明はダイポールマイクロ波アンテナの使用について説明しているが、本開示の教示は、モノポール、ヘリカルまたは他の好適な種類のマイクロ波アンテナに応用することができる。
【0019】
放射部分大気曝露バラン構造を有する本開示のエネルギー照射装置の様々な実施形態は、連続したバラン構造および/または重なり合うバラン構造を含んでいてもよい。連続したバランは、比較的短い長さを有していてもよく、その非導電性層内に高誘電材料を含んでいてもよい。実施形態では、連続したバラン構造および重なり合うバラン構造は、無損失構造であるように設計されていてもよい。
【0020】
図1は、エネルギー照射装置(本明細書では電磁エネルギー伝達装置とも呼ばれる)またはプローブ100を備えた本開示の一実施形態に係る電気外科手術システム10を示す。本開示に係る組織焼灼用途での使用に適した電磁エネルギー伝達装置の一実施形態(例えば、図1のプローブ100)は、図2〜図4により詳細に示されている。但し、他のプローブの実施形態(例えば、図10に示す103)も使用し得ることが理解されるであろう。
【0021】
プローブ100は一般に、給電線110(またはシャフト)によって、伝送線路15を介してコネクタ16に接続された放射部分(例えば、図2に示す50)を有するアンテナアセンブリ12を備え、プローブ100はさらに、コネクタ16によって、電力発生源28(例えば、マイクロ波もしくはRF電気外科手術用発生器)に動作可能に接続されていてもよい。様々な実施形態に係るプローブ100は、近位端106および遠位端107を有する第1のバラン構造108を備える。アンテナアセンブリ12および第1のバラン構造108の形状および大きさは、図1および図2に示す構成とは異なっていてもよい。動作中、波長ラムダ(λ)を有するマイクロ波エネルギーは、アンテナアセンブリ12を通って(例えば、放射部分50に沿って)伝送され、周囲媒体(例えば、組織)に放射される。
【0022】
第1のバラン構造108は、本開示において後でより詳細に説明するが、一般にバラン絶縁体(例えば、図3に示す348)と、バラン絶縁体またはその部分の外側周面の周りに配置されたバラン外側導体(例えば、図3に示す368)とを備え、かつバラン短絡部(例えば、図3に示す378)を備えていてもよい。様々な実施形態に係る第1のバラン構造108は、プローブ100にエネルギーが供給されていてプローブ100が組織内に配置されている場合に、電磁放射線またはエネルギーを放射部分50に実質的に限定するように構成されている。図2は、プローブ100にエネルギーが供給されていてプローブ100が組織内に配置されている場合の放射部分50によって放出される電磁エネルギーの放射パターン「R1」の概略図であり、エネルギーが第1のバラン構造108の遠位端107の遠位に放出されることを示す。いくつかの実施形態では、第1のバラン構造108は、1/4波長(1/4λ)のスリーブバランまたは3/4λのスリーブバランであってもよい。奇数次高調波(例えば、1/4λ、3/4λなど)によって、バラン入口において電流をゼロにし、それによって所望の放射パターンを維持してもよい。
【0023】
給電線110は、好適なフレキシブル、セミリジッドまたはリジッドなマイクロ波伝導性ケーブルで形成されていてもよく、電気外科手術用電力発生源28に直接接続していてもよい。あるいは、給電線110によって、アンテナアセンブリ12を伝送線路15を介して発生器28に電気的に接続しもよい。給電線110は、アンテナアセンブリ12の近位端から伝送線路15の遠位端までの長さが約1インチ〜約12インチの長さ範囲で可変的であってもよい。給電線110は、好適な導電性材料(例えば、同様の導電率値を有する銅、金、銀または他の導電性金属あるいは金属合金)で形成されていてもよい。給電線110は、一般に組織および/または皮膚を穿孔するために必要とされる強度を与えるステンレス鋼で作られていてもよい。給電線110を形成するために使用される導電性材料は、例えば、それらの特性を向上させるため(例えば、導電率を向上させるため)またはエネルギー損失を減少させるために、他の材料(例えば、金または銀などの他の導電性材料)でメッキされていてもよい。いくつかの実施形態では、給電線110はステンレス鋼を含み、かつ、その導電率を向上させるために、ステンレス鋼は、銅または金などの導電性材料の層でコーティングされていてもよい。給電線110は、内側導体と、内側導体を同軸に取り囲む誘電体と、誘電体を同軸に取り囲む外側導体とを備えていてもよい。アンテナアセンブリ12は、給電路110の遠位でアンテナアセンブリ12内に延在する内側導体の一部から形成されていてもよい。給電線110は、電力処理を向上させるために、流体(例えば、食塩水または水)で冷却してもよく、かつステンレス鋼製カテーテルを備えていてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、電力発生源28は、約300MHz〜約2500MHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成されている。他の実施形態では、電力発生源28は、約300MHz〜約10GHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成されている。電力発生源28は、様々な周波数の電磁エネルギーを供給するように構成されていてもよい。伝送線路15は、追加として、あるいは、代わりとして、冷却液源18からプローブ100に冷却液を供給するように構成された導管(図示せず)を提供してもよい。
【0025】
アンテナアセンブリ12は一般に、内側導体210および外側導体260を備え、かつ、例えば、図3および図4に示すように、内側導体210と外側導体260を分離させる第1の誘電体240を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、内側導体210は第1の導電性材料(例えば、ステンレス鋼)で形成され、外側導体260は第2の導電性材料(例えば、銅)で形成されている。いくつかの実施形態では、外側導体260は、アンテナアセンブリ12の遠位部分に沿って、内側導体210を同軸に取り囲んでいる。内側導体210および外側導体260は、任意の好適な導電性材料で形成されていてもよい。
【0026】
第1の誘電体240は、セラミック、水、マイカ、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、テフロン(登録商標)、米国デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Company社製)、ガラスまたは金属酸化物などのこれらに限定されない任意の好適な誘電材料で形成されていてもよい。アンテナアセンブリ12には、外側導体260および/またはパック130またはその部分を取り囲む第2の誘電体29が設けられていてもよい。第2の誘電体29は、任意の好適な誘電材料で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の誘電体29は、第1の誘電体240の誘電率とは異なる誘電率を有する材料で形成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ12は、任意の好適な導電性材料で形成され得る導体端部280を備える。いくつかの実施形態では、導体端部280は、内側導体210に接続されており、内側導体210と同じ材料で形成されていてもよい。テーパー領域120またはその部分は、導体端部280の近位部分を取り囲んでいてもよい。いくつかの実施形態では、導体端部280は、ほぼ円筒形であり、ステンレス鋼で形成されていてもよい。導体端部280の形状および大きさは、図3に示す構成とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、導体端部280の少なくとも一部は、第2の誘電体290によって取り囲まれている。
【0028】
アンテナアセンブリ12の遠位端には、エンドキャップまたはテーパー部分120が位置づけられており、それは、最小の抵抗で組織内への挿入を可能にするように鋭い先端123で終端していてもよい。エネルギー照射装置100として使用するのに適し得る鋭い先端を有する直線状のプローブの1つの例は、コヴィディエン(Covidien)社によって提供されているEVIDENT(商標)という商標で市販されている。エンドキャップまたはテーパー部分120は、例えば、円形、平坦状、四角形、六角形またはシリンドロコニカル形の先端123のような他の形状を有していてもよい。先端123は、非粘着性材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(別名、PTFEまたはテフロン(登録商標)、米国デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Company社製)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)でコーティングされていてもよい。
【0029】
いくつかの変形では、アンテナアセンブリ12は、遠位放射部分105および近位放射部分140を備える。いくつかの実施形態では、接合部材130(本明細書ではパックとも呼ばれる)は、近位放射部分140および遠位放射部分105を接続する。いくつかの実施形態では、遠位および近位放射部分105、140は、誘電材料(例えば、接着剤)で一般に作られている接合部材130において位置合わせされ、さらに、遠位放射部分105を少なくとも部分的に貫通する内側導体によって支持されている。接合部材130またはその部分は、近位放射部分140と遠位放射部分105との間に配置されていてもよい。接合部材130は、任意の好適なプロセスによって、任意の好適なエラストマーまたはセラミック誘電材料で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、接合部材130は、オーバーモールドによって形成されており、かつ、熱可塑性エラストマー、例えば、ポリエーテルブロックアミド(例えば、PEBAX(登録商標)、フランスのコロンブのArkemaグループ社製)、ポリエーテルイミド(例えば、ULTEM(登録商標)および/またはEXTEM(登録商標)、サウジアラビアのSABIC Innovative Plastics社製)および/またはポリイミド系ポリマー(例えば、VESPEL(登録商標)、米国デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Company社製)を含む。接合部材130は、任意の好適な方法によって、任意の好適なオーバーモールド化合物を用いて形成されていてもよく、かつ、セラミック基板の使用を含んでいてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ12には、冷却液チャンバ(図示せず)が設けられていてもよい。さらに、接合部材130は、冷却液チャンバに出入りする冷却液の流れを容易にするように冷却液流入および流出口(図示せず)を備えていてもよい。冷却液チャンバおよび冷却液流入および流出口の実施形態の例は、同一出願人による2009年3月10日に出願された「冷却され、誘電的に緩衝されたマイクロ波ダイポールアンテナ(COOLED DIELECTRICALLY BUFFERED MICROWAVE DIPOLE ANTENNA)」という発明の名称の米国特許出願公開第12/401,268号および「マイクロ波アンテナを冷却する装置および方法(DEVICES AND METHODS FOR COOLING MICROWAVE ANTENNAS)」という発明の名称の米国特許第7,311,703号に開示されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ12には、遠位放射部分105、接合部材130および/または近位放射部分140の周りに配置された外側ジャケット(図示せず)が設けられていてもよい。外側ジャケットは、例えば、ポリマーまたはセラミック材料などの任意の好適な材料で形成されていてもよい。外側ジャケットは、例えば、熱収縮、オーバーモールド、コーティング、噴霧、浸漬、粉末塗装、焼き付けおよび/または膜蒸着などの任意の好適な方法によって塗布されていてもよい。外側ジャケットは、低導電率を有する材料で形成された水冷カテーテルであってもよい。
【0032】
例えば、電気外科手術システム10を用いるマイクロ波焼灼の間、プローブ100は、組織に挿入されるか組織に隣接して配置され、マイクロ波エネルギーがそこに供給される。超音波またはコンピュータ断層撮影(CT)誘導を用いて、プローブ100を治療される組織の領域に正確に誘導してもよい。プローブ100は、例えば、手術スタッフによる従来の手術技術を用いて、経皮的にあるいは組織上に配置してもよい。臨床医は、マイクロ波エネルギーが照射される時間の長さを予め定めてもよい。照射持続時間は、腫瘍の大きさおよび位置などの多くの要因ならびに腫瘍が続発性または原発性癌であるか否かによって決められてもよい。プローブ100を用いるマイクロ波エネルギー照射の持続時間は、破壊される組織領域および/または周囲組織における熱分配の進行によって決められてもよい。標的組織領域の癌細胞を破壊するために、単一または複数のプローブ100によって、短い処置時間(例えば、数秒〜数分)の焼灼を行ってもよい。
【0033】
ほぼ同時に標的組織領域を焼灼するために、複数のプローブ100をさまざまな配置構成で配置し、より速い処置を可能にしてもよい。複数のプローブ100を使用して、相乗効果で大きな焼灼を生成したり、同時に別々の部位を焼灼したりすることができる。組織焼灼の大きさおよび形状は、エネルギー照射装置の設計、同時に使用されるエネルギー照射装置の数、時間およびワット数などの様々な要因の影響を受ける。
【0034】
効率的な放射のためのアンテナの長さは、内部に放射されている媒体の誘電性に依存する実効波長(λeff)によって決められてもよい。マイクロ波エネルギーを波長(λ)で内部に伝送させるアンテナアセンブリ12は、周囲媒体によって(例えば肝臓組織は、例えば乳房組織とは対照的である)異なる実効波長(λeff)を有するかもしれない。
【0035】
プローブ100のいくつかの実施形態では、第1のバラン構造108は、給電路110の遠位部分の周りに同軸に配置されたほぼ円筒形の誘電体スリーブの形態のバラン絶縁体348と、バラン絶縁体348の外側周面の周りに配置されたほぼ円筒形の導電性スリーブの形態のバラン外側導体368とを備える。バラン絶縁体348は、任意の非導電性絶縁体、例えば、テフロン(登録商標)のスリーブで形成されていてもよい。バラン絶縁体348は、ポリマーコーティングを塗布することおよび/または熱収縮可能な管(例えば、ポリオレフィン)を配置しかつ同軸給電路110への熱収縮管に適合させるようにその温度を上昇させることを含むがこれらに限定されない任意の好適な方法によって塗布してもよい。バラン外側導体368は、任意の好適なプロセスによって、任意の好適な導電性材料(例えば、ステンレス鋼、チタンなどの金属)で形成されていてもよい。
【0036】
図3に示す実施形態に係る第1のバラン構造108は、バラン絶縁体348の近位端106aに配置されたバラン短絡部378を備える。バラン短絡部378は、任意の好適な導電性材料(例えば、銅、金、銀または他の導電性金属あるいは金属合金)で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、バラン短絡部378は、ほぼリング状または切頭管状の形状を有する。バラン短絡部378は、任意の好適な電気的接続方法(例えば、半田付け、溶接またはレーザ溶接)によって、給電路110の外側導体260に電気的に接続されている。バラン短絡部378は、任意の好適な電気的接続方法によって、バラン外側導体368に電気的に接続されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、バラン外側導体368は、バラン短絡部378の遠位端に当接するその近位端106aを有し、かつバラン短絡部378から遠位に延在するほぼ管状の形状を有する。図3に示す実施形態に係るバラン外側導体368の遠位端107bは、バラン絶縁体348の遠位端107aにほぼ隣接して配置されている。バラン絶縁体348は、例えば、プローブ100のマイクロ波性能を強化しかつ/または所望の焼灼パターンを得るために、バラン外側導体368の遠位端107bを越えて遠位に延在していてもよい。
【0038】
本開示の実施形態に係るプローブ100は、第2のバラン構造129(本明細書ではアンテナ放射部分大気曝露バランとも呼ばれる)を備える。第2のバラン構造129は、近位端127および遠位端128を有する。本開示の第2のバラン構造129は、プローブ100にエネルギーが供給されているがプローブ100が組織に挿入されていない場合に、アンテナアセンブリ12から近位に(例えば、給電路110に沿って)放出される電磁放射線またはエネルギーの伝播を実質的に防止するように構成されている。図2は、プローブ100にエネルギーが供給されているがプローブ100が組織に挿入されていない場合の放射部分50によって放出される電磁エネルギーの放射パターン「R0」の概略図であり、放出されるエネルギーが、第2のバラン構造129の遠位端107の近位に位置する給電路110に沿って伝播しないことを示す。
【0039】
第2のバラン構造129は、給電路110の周りに同軸に配置され、かつバラン絶縁体349によってバラン外側導体369の長さに沿ってそこから絶縁されるバラン外側導体369を備えていてもよい。アンテナ放射部分大気曝露バラン129は、第1のバラン構造108に類似するか異なるように形成されていてもよい。第1のバラン構造108および第2のバラン構造129の形状および大きさは、図3に示す構成とは異なっていてもよい。
【0040】
図2に示すように、第1のバラン構造108は、アンテナアセンブリ12の遠位端から距離「L1」を隔てて配置され得る遠位端107を有し、第2のバラン構造129は、アンテナアセンブリ12の遠位端から距離「L2」を隔てて配置され得る遠位端128を有する。いくつかの実施形態では、距離「L1」は、組織内で約1/2波長(1/2λ)であり、距離「L2」は、空気中で約1/2波長(1/2λ)であってもよい。
【0041】
図5は、導体端部280、給電路510、第1のバラン構造「B1」および第1のバラン「B1」の近位に配置された第2のバラン構造「B2」(本明細書ではアンテナ放射部分大気曝露バランとも呼ばれる)を備えた、本開示の一実施形態に係る電磁エネルギー伝達装置またはプローブ101を示す。給電路510は、図1の給電路110に類似しており、そのさらなる説明は簡潔のために省略する。導体端部280は、任意の好適な導電性材料で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、導体端部280は、内側導体210に接続されており、内側導体210と同じ材料で形成されていてもよい。以下に説明する第1のバラン構造「B1」および第2のバラン構造「B2」の形状、大きさおよび相対位置は、図5に示す構成とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、外側導体260の遠位端は、その間に給電点を画定するために、導体端部280の近位端から間隙「G」によって離間していてもよい。
【0042】
第1のバラン構造「B1」は一般に、第1のバラン部分519、第2のバラン部分529および第3のバラン部分539を備える。第2のバラン部分529は、第1のバラン部分519に少なくとも部分的に重なるように配置されていてもよく、第3のバラン部分539は、第2のバラン部分529に少なくとも部分的に重なるように配置されていてもよい。
【0043】
第1のバラン構造519は、外側導体260の遠位部分507の周りに同軸に配置されたほぼ円筒形の誘電体スリーブの形態のバラン絶縁体548と、バラン絶縁体548またはその部分の外側周面の周りに配置されたほぼ円筒形の導電性スリーブの形態のバラン外側導体568とを備える。バラン外側導体568は、例えば、半田または他の好適な電気的接続によって、バラン外側導体568の近位端578において外側導体260に電気的に接続されている。バラン絶縁体548は、セラミック、水、マイカ、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、テフロン(登録商標)、米国デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Company社製)、ガラス、金属酸化物または他の好適な絶縁体などのこれらに限定されない任意の好適な誘電材料で形成されていてもよく、任意の好適な方法で形成されていてもよい。バラン外側導体568は、任意の好適な導電性材料(例えば、銅、金、銀または他の導電性金属あるいは金属合金)で形成されていてもよい。
【0044】
第2のバラン部分529は、バラン絶縁体549と、バラン絶縁体549またはその部分の外側周面の周りに配置されたバラン外側導体569とを備える。バラン絶縁体549は、外側導体260の遠位部分508の周りに配置されており、第1のバラン部分519の少なくとも近位部分に重なっていてもよい。バラン外側導体569は、任意の好適な電気的接続を用いて外側導体260に電気的に接続されている。いくつかの実施形態では、バラン外側導体569の近位端579は、例えば、外側導体260に電気的かつ機械的に接続可能なように構成されていてもよい。
【0045】
第3のバラン部分539は、バラン絶縁体550と、バラン絶縁体550またはその一部の外側周面の周りに配置されたバラン外側導体570とを備える。バラン絶縁体550は、外側導体260の遠位部分509の周りに配置されており、第2のバラン部分529の少なくとも近位部分に重なっていてもよい。バラン外側導体570は、任意の好適な電気的接続を用いて外側導体260に電気的に接続されている。いくつかの実施形態では、バラン外側導体570の近位端580は、例えば、外側導体260に電気的かつ機械的に接続可能なように構成されていてもよい。第1のバラン部分119、第2のバラン部分129および第3のバラン部分139の形状、大きさ、間隔および相対位置は、図5に示す構成とは異なっていてもよい。
【0046】
アンテナ放射部分大気曝露バラン「B2」は、入れ子状または重なり合うバラン(例えば、図5に示す第1のバラン構造「B1」に類似している)として形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ放射部分大気曝露バラン「B2」は、バラン絶縁体547と、バラン絶縁体547またはその部分の外側周面の周りに配置されたバラン外側導体567とを備えたスリーブバランである。バラン外側導体567は、任意の好適な導電性材料(例えば、銅、金、銀または他の導電性金属あるいは金属合金)で形成されていてもよい。バラン絶縁体547は、任意の好適な非導電性絶縁体、例えば、テフロン(登録商標)のスリーブで形成されていてもよい。バラン外側導体567は、半田付けまたは他の手段によって、バラン外側導体567の近位端577において外側導体260に電気的に接続されている。
【0047】
図6は、エネルギー照射装置またはプローブ102を備えた本開示の一実施形態に係る電気外科手術システム1000を示す。プローブ102は一般に、給電路26(またはシャフト)によって、伝送線路15を介してコネクタ16に接続された放射部分730を有するアンテナアセンブリ212を備え、プローブ102はさらに、コネクタ16によって、電力発生源28(例えば、マイクロ波またはRF電気外科手術用発生器)に動作可能に接続されていてもよい。伝送線路15は、冷却液源18からプローブ102に冷却液を供給するように構成された導管(図示せず)を提供してもよい。給電路26は一般に、内側導体210と、外側導体260と、内側導体210と外側導体260を分離させる誘電体240とを備える。給電路26は、図1の給電路110に類似しており、そのさらなる詳細は簡潔のために省略する。
【0048】
いくつかの実施形態では、プローブ102は、放射部分730の遠位端において先端38で終端するテーパー状端部36を備える。テーパー状端部36は、最小の抵抗でプローブ102の組織内への挿入を可能にする。放射部分730が既存の開口部に挿入される場合、先端38は円形または平坦状であってもよい。
【0049】
図6〜図9に示す実施形態では、プローブ102は、給電路26の周りに配置された第1のバラン構造608と、第1のバラン構造629の近位に位置する給電路26の周りに配置された第2のバラン構造629と、第2のバラン構造629の近位に位置する給電路26の周りに配置された第3のバラン構造639とを備える。図9に示すように、第1のバラン構造608は、遠位端607および近位端606を有する。マイクロ波焼灼の間、プローブ102が組織に挿入されている場合、第1のバラン構造608は、発生器28からのマイクロ波エネルギーをプローブ102の放射部分730に実質的に限定する。図7に示すように、第1のバラン構造608は、内側誘電層32および外側導電層34を含んでいてもよい。
【0050】
第1のバラン構造608には、誘電層32によって分離された給電路26の外側導体260の周りの外側導電層34を用いて、1/4波長の短絡部が実装されていてもよい。第1のバラン構造608は、半田付けまたは他の手段によって、第1のバラン構造608の近位端において給電路26の外側導体260に短絡する。実施形態では、第1のバラン構造608の長さは、1/4波長〜完全波長であってもよい。一実施形態では、誘電層32は、テトラフルオロエチレン、ペルフルオロプロピレンなどのフルオロポリマーで形成されており、約0.005インチの厚さを有していてもよい。外側導電層34は、高導電性金属(例えば、銅)で形成されていてもよい。第1のバラン構造608の形状および大きさは、図6に示す構成とは異なっていてもよい。
【0051】
給電路26の内側導体210は、第1のバラン構造608の遠位端607の遠位に延在し、誘電体240および外側導体260は、放射部分730の近位端(例えば、図8および図9に示す241)で終端している。内側導体210は、給電路26から押出成形されており、内側導体210が中央に配置されている放射部分730内に延在している。内側導体210の押出成形された部分211は、その上に同軸に配置された1つまたは複数の導電性ディスク(例えば、第1の導電性ディスク40aおよび第2の導電性ディスク40b)を備えていてもよい。第1および第2の導電性ディスク40aおよび40bは、内側導体210によって画定された長手軸に対してほぼ垂直に配置されていてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1および第2の導電性ディスク40aおよび40bは、約0.01インチ〜約0.02インチの厚さを有し、約0.04インチ〜ほぼ給電路26の厚さ(一実施形態では、約0.085インチである)までの直径を有していてもよい。第1および第2の導電性ディスク40aおよび40bは、異なる大きさ、直径および厚さを有していてもよい。所望の帯域幅が得られるように、本開示の実施形態に係る導電性ディスク40は、内側導体210上で離間している。導電性ディスク40は、放射部分730を複数の空間42に分割する。導電性ディスクによって空間に分割された放射部分の実施形態の例は、同一出願人による2008年11月5日に出願された「組織焼灼のための動的に整合するマイクロ波アンテナ(DYNAMICALLY MATCHED MICROWAVE ANTENNA FOR TISSUE ABLATION)」という発明の名称の米国特許出願公開第12/265,024号および2007年6月28日に出願された「広帯域マイクロ波照射装置(BROADBAND MICROWAVE APPLICATOR)」という発明の名称の米国特許出願公開第11/823,639号に開示されている。いくつかの実施形態では、例えば、プローブ102と電力発生源28とのインピーダンス整合を向上させるために、空間42には、誘電体44が装荷されている。いくつかの実施形態では、誘電体44は、約2.5〜約30の誘電率を有し、かつアルミナセラミックなどのセラミック材料またはプラスチックポリアミドなどのプラスチック材料(例えば、米国デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Company社から入手可能なVESPEL(登録商標))で作られていてもよい。
【0053】
図9に示すように、第2のバラン構造629は、遠位端628および近位端627を有し、第3のバラン構造639は、遠位端638および近位端637を有する。いくつかの実施形態では、図9に示すように、第2のバラン構造629の遠位端628は、第2の導電性ディスク40bから距離「L1」を隔てて配置され、第3のバラン構造639は、第2の導電性ディスク40bから距離「L2」を隔てて配置されている。距離「L1」および「L2」は、任意の好適な長さであってもよく、かつ波長の分数で測定してもよい。いくつかの実施形態では、距離「L1」は、空気中で測定された波長の約1/2であり、距離「L2」は、空気中で測定された波長の約1である。
【0054】
いくつかの実施形態では、第2のバラン構造629の遠位端628および/または第3のバラン構造639の遠位端638は、第1の導電性ディスク40aから、波長(例えば、空気中で測定)の分数である距離を隔てて配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、第2のバラン構造629の遠位端628および/または第3のバラン構造639の遠位端638は、放射部分730の近位端241から、波長(例えば、空気中で測定)の分数である距離を隔てて配置されていてもよい。
【0055】
本開示に係る第2のバラン構造629および/または第3のバラン構造639の実施形態は、給電路26に沿った位置範囲でのその選択可能な位置づけを可能にする手動または自動的に移動可能な構造であってもよい。実施形態に係るプローブ102は、プローブ102上の好適な基準位置に対する様々な位置において、第2のバラン構造629および/または第3のバラン構造639の自動的に調整可能な位置づけを提供するように構成されていてもよい。好適となり得る基準位置の例としては、第1の導電性ディスク40aの位置、第2の導電性ディスク40bの位置、放射部分730の遠位端および放射部分730の近位端241が挙げられる。
【0056】
図10は、指向性放射パターン(例えば、図23に示す「R」)を有するエネルギー照射装置またはプローブ103を備えた本開示の一実施形態に係る電気外科手術システム1100を示す。プローブ103は一般に、給電路110(またはシャフト)によって、伝送線路15を介してコネクタ16に接続された放射部分30を有するアンテナアセンブリ312を備え、プローブ104はさらに、コネクタ16によって、電力発生源28(例えば、マイクロ波またはRF電気外科手術用発生器)に動作可能に接続されていてもよい。アンテナアセンブリ312の遠位端には、エンドキャップまたはテーパー部分120が位置づけられており、それは、最小の抵抗で組織内への挿入を可能にするように鋭い先端123で終端していてもよい。本開示に係る組織焼灼用途での使用に適した指向性放射パターンを有するエネルギー照射装置の一実施形態(例えば図10のプローブ103)は、図11〜図22により詳細に示されている。
【0057】
図11〜図22は、本開示に係る遠位に配置された共振構造(例えば、図18に示す909)と共に誘電体が装荷された同軸開口部(例えば、図22に示す「W」)を有するエネルギー照射装置またはプローブ103を形成する構成要素の順次に示される組み立てを示す。図21〜図23に示すように、本開示に係る指向性放射パターンを有するエネルギー照射装置の実施形態は、放射部分大気曝露バラン839を備えていてもよい。
【0058】
本開示の一実施形態によれば、エネルギー照射装置セグメントまたはプローブ(一般に図12および図13では200で示されている)には、エネルギー照射装置セグメント200の長手軸「A」に沿って延在する内側導体220と、内側導体220の周りに同軸に配置された外側導体224と、その間に配置された誘電体222を有する同軸給電路226とが設けられている。いくつかの実施形態では、内側導体220は直径「D1」を有し、誘電体222は外径「D2」を有する。
【0059】
給電路226の遠位端において、誘電体222の一部は、外側導体224を越えて延在していてもよい。追加として、あるいは、代わりとして、内側導体220の一部(例えば、図11に示す22)は、誘電体222および外側導体224を越えて延在していてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ12またはその部分は、内側導体部分22に接続されていてもよい。あるいは、アンテナアセンブリ12またはその部分は、細長い導体(例えば、内側導体部分22に類似している)に接続されていてもよく、そこで、細長い導体は、給電路226の内側導体220に電気的に接続されている。
【0060】
図11および図12に示すように、近位円筒形誘電体スリーブ244は、同軸給電路226の遠位端において、内側導体220に接続されていてもよい。追加として、あるいは、代わりとして、第1の誘電体セグメント284および第2の誘電体セグメント274は、内側導体220に接続されていてもよい。追加として、あるいは、代わりとして、遠位円筒形誘電体スリーブ264は、内側導体220に接続されていてもよい。
【0061】
近位円筒形誘電体スリーブ244、第1の誘電体セグメント284および第2の誘電体セグメント274は、同軸給電路226からのインピーダンス整合を行う誘電材料で形成されていてもよい。第1の誘電体セグメント284は、例えば、周囲媒体(例えば、組織)内に放射されるエネルギーを最大にするために、第2の誘電体セグメント274の誘電率よりも高い誘電率を有する材料で形成されていてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、直径「D2」を有する近位円筒形誘電体スリーブ244は、内側導体220に接続されている。近位円筒形誘電体スリーブ244は、内側導体220を収容するためにそこを長手方向に貫通する中央チャネル245と共に構成されていてもよい。近位円筒形誘電体スリーブ244は、任意の好適な誘電材料で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、近位円筒形誘電体スリーブ244は、約2〜約10の誘電率を有する材料で形成されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、直径「D2」を有する遠位円筒形誘電体スリーブ264は、内側導体220に接続されている。遠位円筒形誘電体スリーブ264は、任意の好適な誘電材料で形成されていてもよい。遠位円筒形誘電体スリーブ264は、近位円筒形誘電体スリーブ244の遠位に配置されていてもよく、かつ内側導体220を収容するためにそこを長手方向に貫通する中央チャネル265と共に構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、遠位円筒形誘電体スリーブ264は、近位円筒形誘電体スリーブ244の誘電率とは異なる誘電率を有する材料で形成されている。遠位円筒形誘電体スリーブ264は、エネルギーの実効波長(λeff)を短くするために、高誘電材料(例えば、約3〜約50の誘電率を有する材料)であってもよい。
【0064】
遠位円筒形誘電体スリーブ264の長さは、遠位短絡部(例えば、図13および図15に示す「P」)から1/4波長(または1/2波長など)に放射開口部(例えば、図22および図23に示す「W」)の位置づけを可能にするように、選択された材料の誘電率に応じて異なってもよい。例えば、遠位短絡部から選択された波長に開口部の位置づけを可能にするように、選択された誘電率に対する遠位円筒形誘電体スリーブ264の物理的な長さは、方程式1を用いて算出してもよい。
【数1】
ここで、cは光速であり、fは周波数であり、εrは誘電率である。例えば、誘電体スリーブが誘電率εrを有すると仮定し、開口部が1/4波長に配置される場合、方程式1を用いて、誘電体スリーブの長さlは、以下のように算出される:
【数2】
【0065】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体セグメント284および第2の誘電体セグメント274は、内側導体220に接続されている。図11および図12に示すように、第1および第2の誘電体セグメント284、274は、近位円筒形誘電体スリーブ244と遠位円筒形誘電体スリーブ264との間に配置されていてもよい。第1および第2の誘電体セグメント284、274は一般に、1つまたは複数の平らな平面および部分的な円筒面を備える。第1および第2の誘電体セグメント284、274の形状および大きさは、図11〜図13に示す構成とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第1の誘電体セグメント284は、約2〜約30の誘電率を有する材料で形成されている。いくつかの実施形態では、第2の誘電体セグメント274は、約2〜約30の誘電率を有する材料で形成されている。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体セグメント284は、直径「D3」を有するほぼ半円筒形状を有し、かつ平らな平面全体を長手方向に延在する溝287の形態の凹部と共に構成された平らな平面を備える。いくつかの実施形態では、第2の誘電体セグメント274は、直径D2を有するほぼ半円筒形状を有し、かつ平らな平面全体を長手方向に延在する溝277の形態の凹部と共に構成された平らな平面を備える。溝287および277は、内側導体220の一部を収容するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の誘電体セグメント284、274が内側導体220に接続されている場合、第1および第2の誘電体セグメント284、274のそれぞれの平らな平面は互いに接触する。溝287および277の形状および大きさは、図11に示す構成とは異なっていてもよい。
【0067】
図13〜図16は、そこを貫通する開口部440を有する細長いシャフト480(図13では太線で輪郭が描かれている)および細長いシャフト480の遠位端の遠位に配置されたエンドキャップ「P」以外は、図11のエネルギー照射装置セグメント20に類似する本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置セグメント30を示す。いくつかの実施形態では、細長いシャフト480は、内径「D2」および外径「D3」を有する。図13に示すように、エンドキャップ「P」は、ディスク状またはプレート状の形状を有していてもよい。エンドキャップ「P」は、任意の好適な導電性材料、例えば、ステンレス鋼、チタンなどの金属で形成されていてもよい。図15に示すように、エンドキャップ「P」の近位表面「S」は、内側導体220の遠位端および細長いシャフト480の遠位端に接触し、それによって、遠位短絡部を形成する。エンドキャップ「P」の形状および大きさは、図13および15に示す構成とは異なっていてもよい。
【0068】
図16に示すように、細長いシャフト480の開口部440は、第1の誘電体セグメント284と位置合わせされていてもよい。いくつかの実施形態では、第1の誘電体セグメント284および細長いシャフト480は、エネルギー照射装置の長手軸(例えば、図11に示す「A−A」)とほぼ同心円であってもよい。細長いシャフト480は、同軸給電路226の外側導体224に電気的に接続されていてもよい。
【0069】
開口部440は、遠位短絡部から後方に最適化された長さで細長いシャフト480の放射状部分を除去することによって作製されている。いくつかの実施形態では、開口部440は、組織内へのマイクロ波エネルギーの指向性および結合を最大にするように配置されており、例えば、開口部440は、短絡された同軸遠位端によって生成される定常波のうち電圧が最大となる点に配置されていてもよい。開口部440は、自由空間結合および放射指向性に対する所望の同軸ケーブル量を達成するために、任意の長さおよび半径方向の角度を有していてもよい。
【0070】
開口部440の片側(近位または遠位)の誘電体の誘電率は、インピーダンス整合ならびに組織への最適なエネルギー伝達および指向性を達成するために、開口部440からの距離によって異なっていてもよい。開口部440の部位における同軸構造に装荷される誘電体の誘電率は、最適なアンテナ指向性および組織へのエネルギー伝達を達成するために、シェルまたはより複雑な誘電体の積層によって異なっていてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体セグメント284は直径「D2」を有し、細長いシャフト480は外径D3を有し、ここで、「D3」は「D2」よりも大きい。そのような場合、開口部440には、非導電性無線周波数透過性材料(例えば、ガラス繊維エポキシ複合材またはポリイミド)が装荷されていてもよい。これは、オーバーモールド法で達成してもよい。また、アンテナアセンブリ全体に沿って熱収縮性またはリジッドな複合体スリーブを配置することによって、窓が作製されていてもよい。エネルギー照射装置の窓または開口部の部位における誘電体構成の例は、同一出願人による2009年8月5日に出願された「遠位に配置された共振構造と共に誘電体が装荷された同軸開口部を有する電気外科手術装置およびその製造方法(ELECTROSURGICAL DEVICES HAVING DIELECTRIC LOADED COAXIAL APERTURE
WITH DISTALLY POSITIONED RESONANT STRUCTURE AND METHOD OF MANUFACTURING SAME)」という発明の名称の米国特許出願公開第12/535,851号に開示されている。
【0072】
図17は、細長いシャフト480の一部の周りに同軸に配置された誘電体スリーブ部材740(本明細書ではバラン絶縁体とも呼ばれる)以外は、図16のエネルギー照射装置セグメント30に類似する本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置セグメント40を示す。バラン絶縁体740は、任意の非導電性絶縁体、例えば、テフロン(登録商標)のスリーブで形成されていてもよい。バラン絶縁体740は、細長いシャフトの開口部440を完全にまたは部分的に覆って延在していてもよい。いくつかの実施形態では、バラン絶縁体740は開口部440およびその中に配置された半円筒形誘電体部材284を完全に覆って延在している。誘電性バラン絶縁体740の形状、大きさおよび配置(例えば、開口部440および/またはエンドキャップ「P」に対するその位置)は、図17に示す構成とは異なっていてもよい。バラン絶縁体740は、バランの有効性を強化するために、バラン構造(例えば、図18に示す909)の1つまたは複数の導電性スリーブ部材(例えば、図18に示す870)の開口端を越えて延在していてもよい。
【0073】
図18は、その間の間隙940に軸方向に位置合わせされた第1の導電性スリーブ部材871および第2の導電性スリーブ部材872(本明細書ではバラン外側導体とも呼ばれる)以外は、図17のエネルギー照射装置セグメント40に類似する本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置セグメント50を示す。第1の導電性スリーブ部材871の近位端部分は、細長いシャフト480の近位部分に接続されていてもよい。例えば、図19Aに示すように、第2の導電性スリーブ部材872の遠位端部分は、細長いシャフト480の遠位部分に接続されていてもよい。第1および第2の導電性スリーブ部材871、872は、任意の好適な導電性材料(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、銅などの金属)で形成されていてもよい。
【0074】
第1および第2の導電性スリーブ部材871、872は、細長いシャフト480の窓440の部分に重なっていてもよい。図18に示すように、第1の導電性スリーブ部材871は、長さ「L1」を有する窓440の近位部分401に重なっていてもよく、第2の導電性スリーブ部材872は、長さ「L2」を有する窓440の遠位部分402に重なっていてもよく、それによって、長さ「L3」を有する間隙940がその間に形成されている。いくつかの実施形態では、第1の導電性スリーブ部材871は、1/4波長または1/2波長であってもよい長さ「L4」を有する。いくつかの実施形態では、第2の導電性スリーブ部材872は、1/4波長または半波長であってもよい長さ「L5」を有する。第1および第2の導電性スリーブ部材871、872は、任意の好適な長さを有していてもよい。
【0075】
図20は、遠位エンドキャップ「P」から遠位に延在するテーパー部分920以外は、図18のエネルギー照射装置セグメント50に類似する本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置セグメント60を示す。テーパー部分920は、最小の抵抗で組織への挿入を可能にするように鋭い先端923で終端していてもよい。エネルギー照射装置セグメント60が既存の開口部に挿入される場合は、先端923は、円形または平坦状であってもよい。テーパー部分920の形状および大きさは、図20に示す構成とは異なっていてもよい。
【0076】
図21は、遠位に配置された共振構造(例えば、図18に示す909)の第1および第2の導電性スリーブ部材871、872の近位に配置された放射部分大気曝露バラン以外は、図20のエネルギー照射装置セグメント60に類似する本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置セグメント70を示す。
【0077】
図22は、本開示に係るエネルギー照射装置103の一実施形態を示す。図22に示すように、外側ジャケット1020が、図21のエネルギー照射装置セグメント70に設けられていてもよい。いくつかの実施形態では、外側ジャケット1020は、例えば、ポリイミドまたは類似の誘電材料などの絶縁材料で作られている。外側ジャケット1020は、低導電率を有する材料で形成された水冷カテーテルであってもよい。外側ジャケット1020の外面は、組織内での外側ジャケット1020の移動を支援し、かつ組織がそこに付着するのを防止するのを支援するために、テフロン(登録商標)などの好適な潤滑性(lubricious)物質でコーティングされていてもよい。
【0078】
図23は、本開示に係る伝送線路15に接続されたエネルギー照射装置の一実施形態(例えば、図22に示す103)を示す。伝送線路15によって、エネルギー照射装置800が電力発生源(例えば、マイクロ波またはRF電気外科手術用発生器)に接続されていてもよい。処置(例えば、焼灼処置)の間、エネルギー照射装置800は、組織「T」に挿入されるかそこに隣接して配置され、エネルギーがそこに供給される。エネルギー照射装置103は、経皮的にあるいは組織上に配置してもよい。超音波またはコンピュータ断層撮影(CT)誘導を用いて、エネルギー照射装置800を治療される組織「T」の領域に正確に誘導してもよい。
【0079】
エネルギー照射装置103は、指向性放射パターン「R」がそれと共に回転するように、長手軸「A−A」(図11に示す)の周りを回転可能であってもよい。任意の細長い放射ローブがそれと共に回転するように軸「A−A」の周りを回転可能なアンテナアセンブリの例は、同一出願人による2008年8月25日に出願された「誘電材料からなる放射状隔壁を有する誘電体部分を有するマイクロ波アンテナアセンブリ(MICROWAVE ANTENNA ASSEMBLY HAVING A DIELECTRIC BODY PORTION WITH
RADIAL PARTITIONS OF DIELECTRIC MATERIAL)」という発明の名称の米国特許出願公開第12/197,405号に開示されている。
【0080】
エネルギー照射装置103は、(例えば、インディシア位置合わせマークと一致するようにエネルギーの流れ方向の方向付けを可能にするように外科医に視覚的な手がかりを提供するための)着色したストリップなどのインディシア位置合わせマーク(図示せず)および/または挿入深さの参照のための(例えば、組織「T」の表面に対する開口部「W」の位置を示すための)インディシア目盛り線(図示せず)を含んでいてもよい。インディシア位置合わせマークおよびインディシア目盛り線の実施形態の例は、同一出願人による2009年6月2日に出願された「指向性放射パターンを有する電気外科手術装置(ELECTROSURGICAL DEVICES WITH DIRECTIONAL RADIATION PATTERN)」という発明の名称の米国特許出願公開第12/476,960号に開示されている。
【0081】
図24および図25は、重なり合うバラン構造「B」を備えた本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置またはプローブ104を形成する構成要素の順次に示される組み立てを示す。図26は、本開示の一実施形態に係るバラン構造「B」を備えたプローブ104の断面図を示す。
【0082】
プローブ104は一般に、内側導体210、外側導体260およびその間に配置された誘電体240を有する給電路2426と、給電路2426に動作可能に接続された放射部分2405とを備える。いくつかの実施形態では、プローブ104は、放射部分2405の遠位端において先端2438で終端するテーパー状端部2436を備える。テーパー状端部2436は、最小の抵抗でプローブ104の組織内への挿入を可能にする。放射部分2405が既存の開口部に挿入される場合、先端2438は円形または平坦状であってもよい。
【0083】
図26に示すように、プローブ104の放射部分2405は、任意の好適な導電性材料で形成された導体端部280を備える。導体端部280は、内側導体210に電気的に接続されており、任意の好適な長さを有していてもよい。プローブ104は、遠位放射部分105および近位放射部分140を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、接合部材130は、近位放射部分140および遠位放射部分105を接続する。図26に示す導体端部280および接合部材130は、図3の同様の番号が付された導体端部および接合部材に類似しており、そのさらなる説明は簡潔のために省略する。
【0084】
バラン構造「B」は一般に、放射部分2405の近位に配置された第1のバラン構造2408と、第1のバラン構造2408の近位部分2410に重なる第2のバラン構造2419(本明細書ではアンテナ放射部分大気曝露バランとも呼ばれる)とを備える。本開示のバラン構造「B」は、プローブ104にエネルギーが供給されているがプローブ104が組織内に配置されていない場合に、プローブ104の放射部分2405から近位に(例えば、給電路2426に沿って)放出されるエネルギーの伝播を実質的に防止するように構成されている。
【0085】
第1のバラン構造2408は、遠位端2407および近位端2409を備え、アンテナ放射部分大気曝露バラン2419は、遠位端2418および近位端2420を備える。第1のバラン構造2408は任意の好適な長さ「L7」を有していてもよく、アンテナ放射部分大気曝露バラン2419は任意の好適な長さ「L8」を有していてもよい。図24および図25に連携させて示すように、アンテナ放射部分大気曝露バラン2419は、長さ「L10」だけ第1のバラン構造2408に重なっている。第1のバラン構造2408および第2のバラン構造2429の形状、大きさ、間隔および(例えば、放射部分2405の遠位端に対する)相対位置は、図24および図25に示す構成とは異なっていてもよい。
【0086】
第1のバラン構造2408は、バラン絶縁体2448(例えば、図3のバラン絶縁体348に類似している)またはその部分の周りに同軸に配置されたバラン外側導体2468(例えば、図3の第1のバラン構造108のバラン外側導体368に類似している)を備えていてもよい。バラン絶縁体2448は、例えば、プローブ104のマイクロ波性能を強化しかつ/または所望の焼灼パターンを提供するために、バラン外側導体2468の遠位端を越えて遠位に延在していてもよい。いくつかの実施形態では、バラン外側導体2468は、第1のバラン構造2408の近位端2409の近位に延在するセグメント2468aを備えていてもよい。本開示の実施形態に係るバラン外側導体セグメント2468aは、アンテナ放射部分大気曝露バラン2419のための滑らかな内側導体層を形成する。
【0087】
図26に示す実施形態に係る第1のバラン構造2408は、バラン絶縁体2448の近位端に配置されたバラン短絡部2478を備える。バラン短絡部2478は、任意の好適な導電性材料(例えば、銅、金、銀または他の導電性金属あるいは金属合金)で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、バラン短絡部2478は、ほぼリング状または切頭管状の形状を有する。バラン短絡部2478は、任意の好適な電気的接続方法(例えば、半田付け、溶接またはレーザ溶接)によって、給電路2426の外側導体260に電気的に接続されている。バラン短絡部2478は、任意の好適な電気的接続方法によって、バラン外側導体2468に電気的に接続されている。
【0088】
アンテナ放射部分大気曝露バラン2419は、第1のバラン構造2408の近位部分2410の周りに同軸に配置されたバラン絶縁体2449を備える。バラン絶縁体2449は、バラン外側導体部分2468aの近位端2469まで延在していてもよい。バラン絶縁体2449は、任意の非導電性絶縁体(例えば、テフロン(登録商標)のスリーブ)で形成されていてもよく、任意の好適な方法によって塗布されていてもよい。バラン外側導体2469は、バラン絶縁体2449またはその部分の周りに同軸に配置されている。バラン外側導体2469は、任意の好適な電気的接続を用いて外側導体260に電気的に接続されている。いくつかの実施形態では、バラン外側導体2469の近位端は、例えば、電気的かつ機械的に外側導体260に接続可能なように構成されていてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、プローブ104に組織内でエネルギーが供給されている場合は、放射部分2405は長さ「L6」(例えば、1/2λ(組織内))を有し、エネルギー照射装置104にエネルギーが供給されているがエネルギー照射装置104が組織内に配置されていない場合は、放射部分は長さ「L9」(例えば、1/2λ(空気中))を有する。
【0090】
以下、本開示に係るエネルギーを組織に導く方法について、図27を参照しながら説明する。本明細書で提供される方法のステップは、本開示の範囲から逸脱することなく、組み合わせでも、本明細書に示されているものとは異なる順序でも実施できることを理解されたい。
【0091】
図27は、本開示の一実施形態に係るエネルギーを組織に導く方法を示すフローチャートである。ステップ2710では、エネルギー照射装置(例えば、図1に示す100)を用意する。エネルギー照射装置は、内側導体(例えば、図3に示す210)、外側導体(例えば、図3に示す260)およびその間に配置された誘電体(例えば、図3に示す240)を有する給電路(例えば、図1に示す110)と、給電路に動作可能に接続された放射部分(例えば、図2に示す50)を有するアンテナアセンブリ(例えば、図1に示す12)とを備える。
【0092】
また、エネルギー照射装置(例えば、図1に示す100)は、エネルギーを放射部分に実質的に限定するように構成された第1のバラン(例えば、図1に示す108)と、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されているがエネルギー照射装置が組織に挿入されていない場合に、放射部分から放出されるエネルギーが給電路に沿って第2のバランの近位に伝播することを実質的に防止するように構成された第2のバラン(例えば、図1に示す129)とを備える。第1のバラン構造は、1/4波長のスリーブバランであってもよい。
【0093】
ステップ2720では、エネルギー照射装置(例えば、図1に示す100)を組織内に配置する。エネルギー照射装置は、組織(例えば、図24に示す「T」)に直接挿入するか、外科手術中に臨床医によって、体内に配置されたか、あるいは当該技術分野で知られている他の好適な方法によって体内に配置された内腔(例えば、静脈、針、内視鏡またはカテーテル)を介して挿入してもよい。エネルギー照射装置は、指向性放射パターンと共に動作するように構成されていてもよい。
【0094】
ステップ2730では、エネルギーは、エネルギー源(例えば、図1に示す28)から放射部分(例えば、図2に示す50)を通って組織まで伝送される。エネルギー源は、出力信号を生成するための任意の好適な電気外科手術用発生器であってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー源は、マイクロ波エネルギー源であり、約300MHz〜約10GHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成されていてもよい。
【0095】
組織を治療するための本開示に係る放射部分大気曝露バランの実施形態を含む上記電気外科手術装置および電磁放射線を組織の標的体積に導く方法によって、例えば、プローブにエネルギーが供給されているがプローブが組織に挿入されていない場合に、使用者の放射線曝露のリスクを制限および/または減少させることによって、使用者を放射線曝露に関連づけられる健康リスクから保護するのを支援してもよい。
【0096】
例示および説明のために添付の図面を参照しながら実施形態について詳細に説明してきたが、本発明の方法および装置はそれらによって限定されるものとして解釈されるべきでないことを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく、上記実施形態に対する様々な修正が可能であることは当業者には明らかであろう。
【技術分野】
【0001】
本開示は、組織焼灼用途での使用に適した電気外科手術装置に関し、より詳細には、アンテナ放射部分の大気曝露のためのバラン構造を有する電気外科手術装置およびそれを用いてエネルギーを組織に導く方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある疾患の治療では、悪性の組織増殖(例えば、腫瘍)を破壊する必要がある。腫瘍細胞を加熱および破壊するために電磁放射線を使用することができる。治療では、癌性腫瘍が同定された組織に焼灼プローブを挿入する場合がある。一旦プローブが配置されると、電磁エネルギーは、プローブを通って周囲組織に伝達される。
【0003】
癌などの疾患の治療では、ある種の腫瘍細胞は、健康な細胞に通常有害である温度よりも僅かに低い温度に高められた温度で変性することが分かっている。温熱療法などの公知の治療は、異常細胞を41℃超の温度まで加熱しながら、隣接する健康な細胞を不可逆的な細胞破壊が生じる温度よりも低い温度に維持する。このような方法では、組織を加熱、焼灼および/または凝固するために電磁放射線が照射される。このような方法を行うために、時としてマイクロ波エネルギーが利用される。組織を加熱するために電磁放射線を利用する他の処置としては、組織の凝固、切断および/または焼灼も挙げられる。
【0004】
電磁放射線を利用する電気外科手術装置は、様々な使用および用途のために開発されている。様々な組織に対して切断および凝固作用を達成するために、短時間に高い破裂エネルギーを供給するように使用することができる複数の装置が入手可能である。焼灼処置を行うために使用することができる複数の異なる種類の装置が存在する。典型的には、焼灼処置で使用されるマイクロ波装置は、エネルギー源として機能するマイクロ波発生器および標的組織にエネルギーを導くためのアンテナアセンブリを有するマイクロ波外科手術器具(例えば、マイクロ波焼灼プローブ)を備える。マイクロ波発生器と外科手術器具は通常、マイクロ波エネルギーを発生器から器具に伝送するための、および、器具と発生器との間で制御、フィードバックおよび識別信号を通信するための複数の導体を有するケーブルアセンブリによって動作可能に接続されている。
【0005】
モノポール、ダイポールおよびヘリカル型などの数種類のマイクロ波プローブが使用されており、それらを組織焼灼用途で使用することができる。モノポールおよびダイポールアンテナアセンブリでは、マイクロ波エネルギーは一般に、導体の軸から離れるように垂直に放射される。モノポールアンテナアセンブリは通常、単一の細長い導体を備える。典型的なダイポールアンテナアセンブリは、2つの細長い導体を備え、それらは直線状に並べられ、かつ電気絶縁体を挟んで互いに対して端と端で配置されている。ヘリカルアンテナアセンブリは、様々な寸法(例えば、直径および長さ)の螺旋状導体構成を含む。ヘリカルアンテナアセンブリの主な動作モードは、螺旋による放射場が螺旋軸に対して垂直な平面において最大となるノーマルモード(ブロードサイド)、および螺旋軸に沿って放射が最大となる軸方向モード(エンドファイア)である。
【0006】
マイクロ波伝送線路は通常、長く薄い内側導体を備え、内側導体は、伝送線路の長手軸に沿って延在し、かつ誘電体によって取り囲まれており、さらに誘電体の周りの外側導体によって取り囲まれているため、外側導体も伝送線路の軸に沿って延在している。アンテナの変形の1つでは、例えば、伝送線路または同軸ケーブルの長さなどの導波路構造に、エネルギーが「漏洩する」あるいは案内構造から離れるように放射される複数の開口部が設けられている。この種の構造は通常、「漏洩同軸」または「漏れ波」アンテナと呼ばれている。マイクロ波プローブ放射アンテナの設計は、熱分布に影響を与える。
【0007】
焼灼対象の病変部は、焼灼プローブで穿孔するには小さすぎたり、固すぎたりすることがある。このような場合、医師はプローブをできるだけ病変部に近づけて配置し、焼灼を行う場合がある。無指向性焼灼プローブでは、焼灼によってプローブの両側で放射がなされる場合がある。
【0008】
ある腫瘍の治療では、例えば、腫瘍がプローブより大きい場合や入手可能なプローブ形状または放射パターンに一致しない形状を有する場合に、焼灼処置中にプローブを再配置することがある。治療の完了前または後に、電力がプローブアンテナに送られている間に、外科医がプローブを組織から取り出す場合があり、エネルギー(例えば、熱および/または電磁放射線などの放射エネルギー)が、外科医の手に向かってプローブのシャフトに沿って伝送される場合がある。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、内側導体、外側導体およびその間に配置された誘電体を有する給電路ならびに給電路に動作可能に接続された放射部分を有するアンテナアセンブリを備えた、電磁エネルギーを組織に導くためのエネルギー照射装置に関する。また、エネルギー照射装置は、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されていてエネルギー照射装置が組織内に配置されている場合に、電磁エネルギーを放射部分に実質的に限定するように構成された第1のバラン構造と、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されているがエネルギー照射装置が組織内に配置されていない場合に、放射部分から放出される電磁エネルギーが給電路に沿って第2のバラン構造の近位に伝播することを実質的に防止するように構成された第2のバラン構造とを備える。
【0010】
本開示は、エネルギー照射装置を用意するステップと、エネルギー照射装置を組織に配置するステップと、エネルギーをエネルギー源から放射部分を通して組織に伝送するステップとを含む、エネルギーを組織に導く方法にも関する。エネルギー照射装置は、給電路と、給電路に動作可能に接続された放射部分を有するアンテナアセンブリと、電磁エネルギーを放射部分に実質的に限定するように構成された第1のバランと、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されているがエネルギー照射装置が組織内に挿入されていない場合に、放射部分から放出される電磁エネルギーが給電路に沿って第2のバランの近位に伝播することを実質的に防止するように構成された第2のバランとを備える。
【0011】
本開示のエネルギー照射装置の目的および特徴は、添付の図面を参照しながらその様々な実施形態についての説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の一実施形態に係る焼灼システムの概略図である。
【図2】本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図3】本開示の一実施形態に係る図2のエネルギー照射装置の部分断面図である。
【図4】本開示の一実施形態に係る図3の細部の指示された領域の拡大図である。
【図5】本開示に係るエネルギー照射装置の別の実施形態の部分断面図である。
【図6】本開示に係る焼灼システムの別の実施形態の概略図である。
【図7】本開示の別の実施形態に係るエネルギー照射装置の一部の斜視図である。
【図8】本開示の一実施形態に係る図7に示すエネルギー照射装置の一部の分解された部分の斜視図である。
【図9】本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図10】本開示に係る焼灼システムのさらに別の実施形態の概略図である。
【図11】本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置の一部の分解された部分の斜視図である。
【図12】本開示の一実施形態に係る図11に示すエネルギー照射装置の一部の斜視組立図である。
【図13】本開示の一実施形態に係る、そこを貫通する開口部およびエンドキャップを有する細長いシャフトが設けられた図12のエネルギー照射装置の一部の部分分離斜視図である。
【図14】本開示の一実施形態に係る図13の細部の指示された領域の拡大図である。
【図15】本開示の一実施形態に係る図13のエネルギー照射装置の部分断面図である。
【図16】本開示の一実施形態に係る図13のエネルギー照射装置の一部の斜視組立図である。
【図17】本開示の一実施形態に係る、細長いシャフト内に開口部を備えた細長いシャフトの一部を取り囲む誘電体スリーブ部材と共に示されている図16のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図18】本開示の一実施形態に係る、誘電体スリーブ部材の部分と、その間に間隙を有する軸方向に位置合わせされた近位および遠位導電性スリーブ部材によって取り囲まれた細長いシャフト(想像線で)内の開口部の部分と共に示されている図17のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図19A】本開示の一実施形態に係る図18のエネルギー照射装置の遠位部分の断面図である。
【図19B】本開示の一実施形態に係る図18のエネルギー照射装置の別の遠位部分の断面図である。
【図20】本開示の一実施形態に係る、遠位導電性スリーブ部材の遠位に延在するテーパー部分と共に示される図18のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図21】本開示の一実施形態に係る、放射部分大気曝露バランと共に示されている図20のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図22】本開示の一実施形態に係る、細長いシャフトの長さに沿って配置され、かつ近位および遠位導電性スリーブ部材および放射部分大気曝露バランの上に重なり、かつその間の間隙を埋める層と共に示される図21のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図23】本開示の一実施形態に係る、図11のエネルギー照射装置のようなエネルギー照射装置によって組織内に送られる電磁エネルギーの放射パターンの概略図である。
【図24】本開示の別の実施形態に係るエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図25】本開示の一実施形態に係る、放射部分大気曝露バランと共に示される図24のエネルギー照射装置の部分斜視図である。
【図26】本開示の一実施形態に係る図25のエネルギー照射装置の部分断面図である。
【図27】本開示の一実施形態に係るエネルギーを組織に導く方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、放射部分大気曝露バラン構造を有する本開示のエネルギー照射装置の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。図の説明全体にわたって、同様の符号は、同様または同一の要素を指すものとする。図面に示しかつ本説明で使用され、かつ従来同様に、物体上の相対的な位置づけについて述べる場合、「近位である」という用語は、使用者により近い装置のその部分を指し、「遠位である」という用語は、使用者からより遠い装置のその部分を指す。
【0014】
本説明は、「一実施形態では」、「実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、あるいは、「他の実施形態では」という語句を用いる場合があるが、これらの語句はそれぞれ、本開示に係る同一または異なる実施形態の1つまたは複数を指すものとする。本説明のための「A/B」という形の語句は、AまたはBを意味する。本説明のための「Aおよび/またはB」という形の語句は、「(A)、(B)または(AおよびB)」を意味する。本説明のための「A、BまたはCのうちの少なくとも1つ」という形の語句は、「(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、BおよびC)」を意味する。
【0015】
電磁エネルギーは一般に、エネルギーの増加または波長の減少によって、電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線およびガンマ線に分類される。本説明において使用される「マイクロ波」は一般に、300メガヘルツ(MHz)(3×108サイクル/秒)〜300ギガヘルツ(GHz)(3×1011サイクル/秒)の周波数範囲の電磁波を指す。本説明において使用される「焼灼処置」は一般に、任意の焼灼処置、例えば、マイクロ波焼灼、無線周波数(RF)焼灼またはマイクロ波焼灼を用いる切除を指す。本説明において使用される「伝送線路」は一般に、ある点から別の点までの信号の伝播のために使用することができる任意の伝送媒体を指す。
【0016】
本説明において使用される「長さ」は、電気的長さまたは物理的長さを指すことができる。一般に、電気的長さは、伝送媒体内を伝播している信号の波長に換算した伝送媒体の長さの表現である。電気的長さは通常、波長、ラジアンまたは度(°)に換算して表される。例えば、電気的長さは、伝送媒体内を伝搬している電磁波または電気信号の波長の倍数または約数として表すことができる。波長は、ラジアン、または度(°)などの理論上の角度単位で表すことができる。伝送媒体の電気的長さは、(a)伝送媒体を通る電気もしくは電磁信号の伝播時間の(b)伝送媒体の物理的長さと等しい距離にわたる自由空間における電磁波の伝播時間に対する比を乗じたその物理的長さとして表すことができる。電気的長さは一般に物理的長さとは異なる。適当なリアクタンス素子(容量性または誘導性)の追加によって、電気的長さを、物理的長さよりも著しく短くまたは長くすることができる。
【0017】
本開示の様々な実施形態は、組織を治療するためのエネルギー照射装置、および電磁放射線を組織に導く方法を提供する。実施形態は、マイクロ波周波数または他の周波数の電磁放射線を用いて実施してもよい。様々な実施形態に係る、放射部分大気曝露バランを有するエネルギー照射装置を備えた電気外科手術システムは、約300MHz〜約10GHzで動作するように設計および構成されている。
【0018】
放射部分大気曝露バラン構造を有する本開示のエネルギー照射装置の様々な実施形態は、マイクロ波焼灼に適しており、マイクロ波焼灼を用いる手術切除のために組織を予め凝固するのに用いられる。以下に説明する様々な方法は、標的組織のマイクロ波焼灼および完全な破壊を目的としているが、電磁放射線を導く方法は、例えば、心臓組織内の電気的刺激の伝導を妨げるために標的組織が部分的に破壊されるか損傷を受ける他の治療法と共に使用できることを理解されたい。さらに、以下の説明はダイポールマイクロ波アンテナの使用について説明しているが、本開示の教示は、モノポール、ヘリカルまたは他の好適な種類のマイクロ波アンテナに応用することができる。
【0019】
放射部分大気曝露バラン構造を有する本開示のエネルギー照射装置の様々な実施形態は、連続したバラン構造および/または重なり合うバラン構造を含んでいてもよい。連続したバランは、比較的短い長さを有していてもよく、その非導電性層内に高誘電材料を含んでいてもよい。実施形態では、連続したバラン構造および重なり合うバラン構造は、無損失構造であるように設計されていてもよい。
【0020】
図1は、エネルギー照射装置(本明細書では電磁エネルギー伝達装置とも呼ばれる)またはプローブ100を備えた本開示の一実施形態に係る電気外科手術システム10を示す。本開示に係る組織焼灼用途での使用に適した電磁エネルギー伝達装置の一実施形態(例えば、図1のプローブ100)は、図2〜図4により詳細に示されている。但し、他のプローブの実施形態(例えば、図10に示す103)も使用し得ることが理解されるであろう。
【0021】
プローブ100は一般に、給電線110(またはシャフト)によって、伝送線路15を介してコネクタ16に接続された放射部分(例えば、図2に示す50)を有するアンテナアセンブリ12を備え、プローブ100はさらに、コネクタ16によって、電力発生源28(例えば、マイクロ波もしくはRF電気外科手術用発生器)に動作可能に接続されていてもよい。様々な実施形態に係るプローブ100は、近位端106および遠位端107を有する第1のバラン構造108を備える。アンテナアセンブリ12および第1のバラン構造108の形状および大きさは、図1および図2に示す構成とは異なっていてもよい。動作中、波長ラムダ(λ)を有するマイクロ波エネルギーは、アンテナアセンブリ12を通って(例えば、放射部分50に沿って)伝送され、周囲媒体(例えば、組織)に放射される。
【0022】
第1のバラン構造108は、本開示において後でより詳細に説明するが、一般にバラン絶縁体(例えば、図3に示す348)と、バラン絶縁体またはその部分の外側周面の周りに配置されたバラン外側導体(例えば、図3に示す368)とを備え、かつバラン短絡部(例えば、図3に示す378)を備えていてもよい。様々な実施形態に係る第1のバラン構造108は、プローブ100にエネルギーが供給されていてプローブ100が組織内に配置されている場合に、電磁放射線またはエネルギーを放射部分50に実質的に限定するように構成されている。図2は、プローブ100にエネルギーが供給されていてプローブ100が組織内に配置されている場合の放射部分50によって放出される電磁エネルギーの放射パターン「R1」の概略図であり、エネルギーが第1のバラン構造108の遠位端107の遠位に放出されることを示す。いくつかの実施形態では、第1のバラン構造108は、1/4波長(1/4λ)のスリーブバランまたは3/4λのスリーブバランであってもよい。奇数次高調波(例えば、1/4λ、3/4λなど)によって、バラン入口において電流をゼロにし、それによって所望の放射パターンを維持してもよい。
【0023】
給電線110は、好適なフレキシブル、セミリジッドまたはリジッドなマイクロ波伝導性ケーブルで形成されていてもよく、電気外科手術用電力発生源28に直接接続していてもよい。あるいは、給電線110によって、アンテナアセンブリ12を伝送線路15を介して発生器28に電気的に接続しもよい。給電線110は、アンテナアセンブリ12の近位端から伝送線路15の遠位端までの長さが約1インチ〜約12インチの長さ範囲で可変的であってもよい。給電線110は、好適な導電性材料(例えば、同様の導電率値を有する銅、金、銀または他の導電性金属あるいは金属合金)で形成されていてもよい。給電線110は、一般に組織および/または皮膚を穿孔するために必要とされる強度を与えるステンレス鋼で作られていてもよい。給電線110を形成するために使用される導電性材料は、例えば、それらの特性を向上させるため(例えば、導電率を向上させるため)またはエネルギー損失を減少させるために、他の材料(例えば、金または銀などの他の導電性材料)でメッキされていてもよい。いくつかの実施形態では、給電線110はステンレス鋼を含み、かつ、その導電率を向上させるために、ステンレス鋼は、銅または金などの導電性材料の層でコーティングされていてもよい。給電線110は、内側導体と、内側導体を同軸に取り囲む誘電体と、誘電体を同軸に取り囲む外側導体とを備えていてもよい。アンテナアセンブリ12は、給電路110の遠位でアンテナアセンブリ12内に延在する内側導体の一部から形成されていてもよい。給電線110は、電力処理を向上させるために、流体(例えば、食塩水または水)で冷却してもよく、かつステンレス鋼製カテーテルを備えていてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、電力発生源28は、約300MHz〜約2500MHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成されている。他の実施形態では、電力発生源28は、約300MHz〜約10GHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成されている。電力発生源28は、様々な周波数の電磁エネルギーを供給するように構成されていてもよい。伝送線路15は、追加として、あるいは、代わりとして、冷却液源18からプローブ100に冷却液を供給するように構成された導管(図示せず)を提供してもよい。
【0025】
アンテナアセンブリ12は一般に、内側導体210および外側導体260を備え、かつ、例えば、図3および図4に示すように、内側導体210と外側導体260を分離させる第1の誘電体240を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、内側導体210は第1の導電性材料(例えば、ステンレス鋼)で形成され、外側導体260は第2の導電性材料(例えば、銅)で形成されている。いくつかの実施形態では、外側導体260は、アンテナアセンブリ12の遠位部分に沿って、内側導体210を同軸に取り囲んでいる。内側導体210および外側導体260は、任意の好適な導電性材料で形成されていてもよい。
【0026】
第1の誘電体240は、セラミック、水、マイカ、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、テフロン(登録商標)、米国デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Company社製)、ガラスまたは金属酸化物などのこれらに限定されない任意の好適な誘電材料で形成されていてもよい。アンテナアセンブリ12には、外側導体260および/またはパック130またはその部分を取り囲む第2の誘電体29が設けられていてもよい。第2の誘電体29は、任意の好適な誘電材料で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の誘電体29は、第1の誘電体240の誘電率とは異なる誘電率を有する材料で形成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ12は、任意の好適な導電性材料で形成され得る導体端部280を備える。いくつかの実施形態では、導体端部280は、内側導体210に接続されており、内側導体210と同じ材料で形成されていてもよい。テーパー領域120またはその部分は、導体端部280の近位部分を取り囲んでいてもよい。いくつかの実施形態では、導体端部280は、ほぼ円筒形であり、ステンレス鋼で形成されていてもよい。導体端部280の形状および大きさは、図3に示す構成とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、導体端部280の少なくとも一部は、第2の誘電体290によって取り囲まれている。
【0028】
アンテナアセンブリ12の遠位端には、エンドキャップまたはテーパー部分120が位置づけられており、それは、最小の抵抗で組織内への挿入を可能にするように鋭い先端123で終端していてもよい。エネルギー照射装置100として使用するのに適し得る鋭い先端を有する直線状のプローブの1つの例は、コヴィディエン(Covidien)社によって提供されているEVIDENT(商標)という商標で市販されている。エンドキャップまたはテーパー部分120は、例えば、円形、平坦状、四角形、六角形またはシリンドロコニカル形の先端123のような他の形状を有していてもよい。先端123は、非粘着性材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(別名、PTFEまたはテフロン(登録商標)、米国デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Company社製)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)でコーティングされていてもよい。
【0029】
いくつかの変形では、アンテナアセンブリ12は、遠位放射部分105および近位放射部分140を備える。いくつかの実施形態では、接合部材130(本明細書ではパックとも呼ばれる)は、近位放射部分140および遠位放射部分105を接続する。いくつかの実施形態では、遠位および近位放射部分105、140は、誘電材料(例えば、接着剤)で一般に作られている接合部材130において位置合わせされ、さらに、遠位放射部分105を少なくとも部分的に貫通する内側導体によって支持されている。接合部材130またはその部分は、近位放射部分140と遠位放射部分105との間に配置されていてもよい。接合部材130は、任意の好適なプロセスによって、任意の好適なエラストマーまたはセラミック誘電材料で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、接合部材130は、オーバーモールドによって形成されており、かつ、熱可塑性エラストマー、例えば、ポリエーテルブロックアミド(例えば、PEBAX(登録商標)、フランスのコロンブのArkemaグループ社製)、ポリエーテルイミド(例えば、ULTEM(登録商標)および/またはEXTEM(登録商標)、サウジアラビアのSABIC Innovative Plastics社製)および/またはポリイミド系ポリマー(例えば、VESPEL(登録商標)、米国デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Company社製)を含む。接合部材130は、任意の好適な方法によって、任意の好適なオーバーモールド化合物を用いて形成されていてもよく、かつ、セラミック基板の使用を含んでいてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ12には、冷却液チャンバ(図示せず)が設けられていてもよい。さらに、接合部材130は、冷却液チャンバに出入りする冷却液の流れを容易にするように冷却液流入および流出口(図示せず)を備えていてもよい。冷却液チャンバおよび冷却液流入および流出口の実施形態の例は、同一出願人による2009年3月10日に出願された「冷却され、誘電的に緩衝されたマイクロ波ダイポールアンテナ(COOLED DIELECTRICALLY BUFFERED MICROWAVE DIPOLE ANTENNA)」という発明の名称の米国特許出願公開第12/401,268号および「マイクロ波アンテナを冷却する装置および方法(DEVICES AND METHODS FOR COOLING MICROWAVE ANTENNAS)」という発明の名称の米国特許第7,311,703号に開示されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ12には、遠位放射部分105、接合部材130および/または近位放射部分140の周りに配置された外側ジャケット(図示せず)が設けられていてもよい。外側ジャケットは、例えば、ポリマーまたはセラミック材料などの任意の好適な材料で形成されていてもよい。外側ジャケットは、例えば、熱収縮、オーバーモールド、コーティング、噴霧、浸漬、粉末塗装、焼き付けおよび/または膜蒸着などの任意の好適な方法によって塗布されていてもよい。外側ジャケットは、低導電率を有する材料で形成された水冷カテーテルであってもよい。
【0032】
例えば、電気外科手術システム10を用いるマイクロ波焼灼の間、プローブ100は、組織に挿入されるか組織に隣接して配置され、マイクロ波エネルギーがそこに供給される。超音波またはコンピュータ断層撮影(CT)誘導を用いて、プローブ100を治療される組織の領域に正確に誘導してもよい。プローブ100は、例えば、手術スタッフによる従来の手術技術を用いて、経皮的にあるいは組織上に配置してもよい。臨床医は、マイクロ波エネルギーが照射される時間の長さを予め定めてもよい。照射持続時間は、腫瘍の大きさおよび位置などの多くの要因ならびに腫瘍が続発性または原発性癌であるか否かによって決められてもよい。プローブ100を用いるマイクロ波エネルギー照射の持続時間は、破壊される組織領域および/または周囲組織における熱分配の進行によって決められてもよい。標的組織領域の癌細胞を破壊するために、単一または複数のプローブ100によって、短い処置時間(例えば、数秒〜数分)の焼灼を行ってもよい。
【0033】
ほぼ同時に標的組織領域を焼灼するために、複数のプローブ100をさまざまな配置構成で配置し、より速い処置を可能にしてもよい。複数のプローブ100を使用して、相乗効果で大きな焼灼を生成したり、同時に別々の部位を焼灼したりすることができる。組織焼灼の大きさおよび形状は、エネルギー照射装置の設計、同時に使用されるエネルギー照射装置の数、時間およびワット数などの様々な要因の影響を受ける。
【0034】
効率的な放射のためのアンテナの長さは、内部に放射されている媒体の誘電性に依存する実効波長(λeff)によって決められてもよい。マイクロ波エネルギーを波長(λ)で内部に伝送させるアンテナアセンブリ12は、周囲媒体によって(例えば肝臓組織は、例えば乳房組織とは対照的である)異なる実効波長(λeff)を有するかもしれない。
【0035】
プローブ100のいくつかの実施形態では、第1のバラン構造108は、給電路110の遠位部分の周りに同軸に配置されたほぼ円筒形の誘電体スリーブの形態のバラン絶縁体348と、バラン絶縁体348の外側周面の周りに配置されたほぼ円筒形の導電性スリーブの形態のバラン外側導体368とを備える。バラン絶縁体348は、任意の非導電性絶縁体、例えば、テフロン(登録商標)のスリーブで形成されていてもよい。バラン絶縁体348は、ポリマーコーティングを塗布することおよび/または熱収縮可能な管(例えば、ポリオレフィン)を配置しかつ同軸給電路110への熱収縮管に適合させるようにその温度を上昇させることを含むがこれらに限定されない任意の好適な方法によって塗布してもよい。バラン外側導体368は、任意の好適なプロセスによって、任意の好適な導電性材料(例えば、ステンレス鋼、チタンなどの金属)で形成されていてもよい。
【0036】
図3に示す実施形態に係る第1のバラン構造108は、バラン絶縁体348の近位端106aに配置されたバラン短絡部378を備える。バラン短絡部378は、任意の好適な導電性材料(例えば、銅、金、銀または他の導電性金属あるいは金属合金)で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、バラン短絡部378は、ほぼリング状または切頭管状の形状を有する。バラン短絡部378は、任意の好適な電気的接続方法(例えば、半田付け、溶接またはレーザ溶接)によって、給電路110の外側導体260に電気的に接続されている。バラン短絡部378は、任意の好適な電気的接続方法によって、バラン外側導体368に電気的に接続されている。
【0037】
いくつかの実施形態では、バラン外側導体368は、バラン短絡部378の遠位端に当接するその近位端106aを有し、かつバラン短絡部378から遠位に延在するほぼ管状の形状を有する。図3に示す実施形態に係るバラン外側導体368の遠位端107bは、バラン絶縁体348の遠位端107aにほぼ隣接して配置されている。バラン絶縁体348は、例えば、プローブ100のマイクロ波性能を強化しかつ/または所望の焼灼パターンを得るために、バラン外側導体368の遠位端107bを越えて遠位に延在していてもよい。
【0038】
本開示の実施形態に係るプローブ100は、第2のバラン構造129(本明細書ではアンテナ放射部分大気曝露バランとも呼ばれる)を備える。第2のバラン構造129は、近位端127および遠位端128を有する。本開示の第2のバラン構造129は、プローブ100にエネルギーが供給されているがプローブ100が組織に挿入されていない場合に、アンテナアセンブリ12から近位に(例えば、給電路110に沿って)放出される電磁放射線またはエネルギーの伝播を実質的に防止するように構成されている。図2は、プローブ100にエネルギーが供給されているがプローブ100が組織に挿入されていない場合の放射部分50によって放出される電磁エネルギーの放射パターン「R0」の概略図であり、放出されるエネルギーが、第2のバラン構造129の遠位端107の近位に位置する給電路110に沿って伝播しないことを示す。
【0039】
第2のバラン構造129は、給電路110の周りに同軸に配置され、かつバラン絶縁体349によってバラン外側導体369の長さに沿ってそこから絶縁されるバラン外側導体369を備えていてもよい。アンテナ放射部分大気曝露バラン129は、第1のバラン構造108に類似するか異なるように形成されていてもよい。第1のバラン構造108および第2のバラン構造129の形状および大きさは、図3に示す構成とは異なっていてもよい。
【0040】
図2に示すように、第1のバラン構造108は、アンテナアセンブリ12の遠位端から距離「L1」を隔てて配置され得る遠位端107を有し、第2のバラン構造129は、アンテナアセンブリ12の遠位端から距離「L2」を隔てて配置され得る遠位端128を有する。いくつかの実施形態では、距離「L1」は、組織内で約1/2波長(1/2λ)であり、距離「L2」は、空気中で約1/2波長(1/2λ)であってもよい。
【0041】
図5は、導体端部280、給電路510、第1のバラン構造「B1」および第1のバラン「B1」の近位に配置された第2のバラン構造「B2」(本明細書ではアンテナ放射部分大気曝露バランとも呼ばれる)を備えた、本開示の一実施形態に係る電磁エネルギー伝達装置またはプローブ101を示す。給電路510は、図1の給電路110に類似しており、そのさらなる説明は簡潔のために省略する。導体端部280は、任意の好適な導電性材料で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、導体端部280は、内側導体210に接続されており、内側導体210と同じ材料で形成されていてもよい。以下に説明する第1のバラン構造「B1」および第2のバラン構造「B2」の形状、大きさおよび相対位置は、図5に示す構成とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、外側導体260の遠位端は、その間に給電点を画定するために、導体端部280の近位端から間隙「G」によって離間していてもよい。
【0042】
第1のバラン構造「B1」は一般に、第1のバラン部分519、第2のバラン部分529および第3のバラン部分539を備える。第2のバラン部分529は、第1のバラン部分519に少なくとも部分的に重なるように配置されていてもよく、第3のバラン部分539は、第2のバラン部分529に少なくとも部分的に重なるように配置されていてもよい。
【0043】
第1のバラン構造519は、外側導体260の遠位部分507の周りに同軸に配置されたほぼ円筒形の誘電体スリーブの形態のバラン絶縁体548と、バラン絶縁体548またはその部分の外側周面の周りに配置されたほぼ円筒形の導電性スリーブの形態のバラン外側導体568とを備える。バラン外側導体568は、例えば、半田または他の好適な電気的接続によって、バラン外側導体568の近位端578において外側導体260に電気的に接続されている。バラン絶縁体548は、セラミック、水、マイカ、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(例えば、テフロン(登録商標)、米国デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Company社製)、ガラス、金属酸化物または他の好適な絶縁体などのこれらに限定されない任意の好適な誘電材料で形成されていてもよく、任意の好適な方法で形成されていてもよい。バラン外側導体568は、任意の好適な導電性材料(例えば、銅、金、銀または他の導電性金属あるいは金属合金)で形成されていてもよい。
【0044】
第2のバラン部分529は、バラン絶縁体549と、バラン絶縁体549またはその部分の外側周面の周りに配置されたバラン外側導体569とを備える。バラン絶縁体549は、外側導体260の遠位部分508の周りに配置されており、第1のバラン部分519の少なくとも近位部分に重なっていてもよい。バラン外側導体569は、任意の好適な電気的接続を用いて外側導体260に電気的に接続されている。いくつかの実施形態では、バラン外側導体569の近位端579は、例えば、外側導体260に電気的かつ機械的に接続可能なように構成されていてもよい。
【0045】
第3のバラン部分539は、バラン絶縁体550と、バラン絶縁体550またはその一部の外側周面の周りに配置されたバラン外側導体570とを備える。バラン絶縁体550は、外側導体260の遠位部分509の周りに配置されており、第2のバラン部分529の少なくとも近位部分に重なっていてもよい。バラン外側導体570は、任意の好適な電気的接続を用いて外側導体260に電気的に接続されている。いくつかの実施形態では、バラン外側導体570の近位端580は、例えば、外側導体260に電気的かつ機械的に接続可能なように構成されていてもよい。第1のバラン部分119、第2のバラン部分129および第3のバラン部分139の形状、大きさ、間隔および相対位置は、図5に示す構成とは異なっていてもよい。
【0046】
アンテナ放射部分大気曝露バラン「B2」は、入れ子状または重なり合うバラン(例えば、図5に示す第1のバラン構造「B1」に類似している)として形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナ放射部分大気曝露バラン「B2」は、バラン絶縁体547と、バラン絶縁体547またはその部分の外側周面の周りに配置されたバラン外側導体567とを備えたスリーブバランである。バラン外側導体567は、任意の好適な導電性材料(例えば、銅、金、銀または他の導電性金属あるいは金属合金)で形成されていてもよい。バラン絶縁体547は、任意の好適な非導電性絶縁体、例えば、テフロン(登録商標)のスリーブで形成されていてもよい。バラン外側導体567は、半田付けまたは他の手段によって、バラン外側導体567の近位端577において外側導体260に電気的に接続されている。
【0047】
図6は、エネルギー照射装置またはプローブ102を備えた本開示の一実施形態に係る電気外科手術システム1000を示す。プローブ102は一般に、給電路26(またはシャフト)によって、伝送線路15を介してコネクタ16に接続された放射部分730を有するアンテナアセンブリ212を備え、プローブ102はさらに、コネクタ16によって、電力発生源28(例えば、マイクロ波またはRF電気外科手術用発生器)に動作可能に接続されていてもよい。伝送線路15は、冷却液源18からプローブ102に冷却液を供給するように構成された導管(図示せず)を提供してもよい。給電路26は一般に、内側導体210と、外側導体260と、内側導体210と外側導体260を分離させる誘電体240とを備える。給電路26は、図1の給電路110に類似しており、そのさらなる詳細は簡潔のために省略する。
【0048】
いくつかの実施形態では、プローブ102は、放射部分730の遠位端において先端38で終端するテーパー状端部36を備える。テーパー状端部36は、最小の抵抗でプローブ102の組織内への挿入を可能にする。放射部分730が既存の開口部に挿入される場合、先端38は円形または平坦状であってもよい。
【0049】
図6〜図9に示す実施形態では、プローブ102は、給電路26の周りに配置された第1のバラン構造608と、第1のバラン構造629の近位に位置する給電路26の周りに配置された第2のバラン構造629と、第2のバラン構造629の近位に位置する給電路26の周りに配置された第3のバラン構造639とを備える。図9に示すように、第1のバラン構造608は、遠位端607および近位端606を有する。マイクロ波焼灼の間、プローブ102が組織に挿入されている場合、第1のバラン構造608は、発生器28からのマイクロ波エネルギーをプローブ102の放射部分730に実質的に限定する。図7に示すように、第1のバラン構造608は、内側誘電層32および外側導電層34を含んでいてもよい。
【0050】
第1のバラン構造608には、誘電層32によって分離された給電路26の外側導体260の周りの外側導電層34を用いて、1/4波長の短絡部が実装されていてもよい。第1のバラン構造608は、半田付けまたは他の手段によって、第1のバラン構造608の近位端において給電路26の外側導体260に短絡する。実施形態では、第1のバラン構造608の長さは、1/4波長〜完全波長であってもよい。一実施形態では、誘電層32は、テトラフルオロエチレン、ペルフルオロプロピレンなどのフルオロポリマーで形成されており、約0.005インチの厚さを有していてもよい。外側導電層34は、高導電性金属(例えば、銅)で形成されていてもよい。第1のバラン構造608の形状および大きさは、図6に示す構成とは異なっていてもよい。
【0051】
給電路26の内側導体210は、第1のバラン構造608の遠位端607の遠位に延在し、誘電体240および外側導体260は、放射部分730の近位端(例えば、図8および図9に示す241)で終端している。内側導体210は、給電路26から押出成形されており、内側導体210が中央に配置されている放射部分730内に延在している。内側導体210の押出成形された部分211は、その上に同軸に配置された1つまたは複数の導電性ディスク(例えば、第1の導電性ディスク40aおよび第2の導電性ディスク40b)を備えていてもよい。第1および第2の導電性ディスク40aおよび40bは、内側導体210によって画定された長手軸に対してほぼ垂直に配置されていてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1および第2の導電性ディスク40aおよび40bは、約0.01インチ〜約0.02インチの厚さを有し、約0.04インチ〜ほぼ給電路26の厚さ(一実施形態では、約0.085インチである)までの直径を有していてもよい。第1および第2の導電性ディスク40aおよび40bは、異なる大きさ、直径および厚さを有していてもよい。所望の帯域幅が得られるように、本開示の実施形態に係る導電性ディスク40は、内側導体210上で離間している。導電性ディスク40は、放射部分730を複数の空間42に分割する。導電性ディスクによって空間に分割された放射部分の実施形態の例は、同一出願人による2008年11月5日に出願された「組織焼灼のための動的に整合するマイクロ波アンテナ(DYNAMICALLY MATCHED MICROWAVE ANTENNA FOR TISSUE ABLATION)」という発明の名称の米国特許出願公開第12/265,024号および2007年6月28日に出願された「広帯域マイクロ波照射装置(BROADBAND MICROWAVE APPLICATOR)」という発明の名称の米国特許出願公開第11/823,639号に開示されている。いくつかの実施形態では、例えば、プローブ102と電力発生源28とのインピーダンス整合を向上させるために、空間42には、誘電体44が装荷されている。いくつかの実施形態では、誘電体44は、約2.5〜約30の誘電率を有し、かつアルミナセラミックなどのセラミック材料またはプラスチックポリアミドなどのプラスチック材料(例えば、米国デラウェア州ウィルミントンのE. I. du Pont de Nemours and Company社から入手可能なVESPEL(登録商標))で作られていてもよい。
【0053】
図9に示すように、第2のバラン構造629は、遠位端628および近位端627を有し、第3のバラン構造639は、遠位端638および近位端637を有する。いくつかの実施形態では、図9に示すように、第2のバラン構造629の遠位端628は、第2の導電性ディスク40bから距離「L1」を隔てて配置され、第3のバラン構造639は、第2の導電性ディスク40bから距離「L2」を隔てて配置されている。距離「L1」および「L2」は、任意の好適な長さであってもよく、かつ波長の分数で測定してもよい。いくつかの実施形態では、距離「L1」は、空気中で測定された波長の約1/2であり、距離「L2」は、空気中で測定された波長の約1である。
【0054】
いくつかの実施形態では、第2のバラン構造629の遠位端628および/または第3のバラン構造639の遠位端638は、第1の導電性ディスク40aから、波長(例えば、空気中で測定)の分数である距離を隔てて配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、第2のバラン構造629の遠位端628および/または第3のバラン構造639の遠位端638は、放射部分730の近位端241から、波長(例えば、空気中で測定)の分数である距離を隔てて配置されていてもよい。
【0055】
本開示に係る第2のバラン構造629および/または第3のバラン構造639の実施形態は、給電路26に沿った位置範囲でのその選択可能な位置づけを可能にする手動または自動的に移動可能な構造であってもよい。実施形態に係るプローブ102は、プローブ102上の好適な基準位置に対する様々な位置において、第2のバラン構造629および/または第3のバラン構造639の自動的に調整可能な位置づけを提供するように構成されていてもよい。好適となり得る基準位置の例としては、第1の導電性ディスク40aの位置、第2の導電性ディスク40bの位置、放射部分730の遠位端および放射部分730の近位端241が挙げられる。
【0056】
図10は、指向性放射パターン(例えば、図23に示す「R」)を有するエネルギー照射装置またはプローブ103を備えた本開示の一実施形態に係る電気外科手術システム1100を示す。プローブ103は一般に、給電路110(またはシャフト)によって、伝送線路15を介してコネクタ16に接続された放射部分30を有するアンテナアセンブリ312を備え、プローブ104はさらに、コネクタ16によって、電力発生源28(例えば、マイクロ波またはRF電気外科手術用発生器)に動作可能に接続されていてもよい。アンテナアセンブリ312の遠位端には、エンドキャップまたはテーパー部分120が位置づけられており、それは、最小の抵抗で組織内への挿入を可能にするように鋭い先端123で終端していてもよい。本開示に係る組織焼灼用途での使用に適した指向性放射パターンを有するエネルギー照射装置の一実施形態(例えば図10のプローブ103)は、図11〜図22により詳細に示されている。
【0057】
図11〜図22は、本開示に係る遠位に配置された共振構造(例えば、図18に示す909)と共に誘電体が装荷された同軸開口部(例えば、図22に示す「W」)を有するエネルギー照射装置またはプローブ103を形成する構成要素の順次に示される組み立てを示す。図21〜図23に示すように、本開示に係る指向性放射パターンを有するエネルギー照射装置の実施形態は、放射部分大気曝露バラン839を備えていてもよい。
【0058】
本開示の一実施形態によれば、エネルギー照射装置セグメントまたはプローブ(一般に図12および図13では200で示されている)には、エネルギー照射装置セグメント200の長手軸「A」に沿って延在する内側導体220と、内側導体220の周りに同軸に配置された外側導体224と、その間に配置された誘電体222を有する同軸給電路226とが設けられている。いくつかの実施形態では、内側導体220は直径「D1」を有し、誘電体222は外径「D2」を有する。
【0059】
給電路226の遠位端において、誘電体222の一部は、外側導体224を越えて延在していてもよい。追加として、あるいは、代わりとして、内側導体220の一部(例えば、図11に示す22)は、誘電体222および外側導体224を越えて延在していてもよい。いくつかの実施形態では、アンテナアセンブリ12またはその部分は、内側導体部分22に接続されていてもよい。あるいは、アンテナアセンブリ12またはその部分は、細長い導体(例えば、内側導体部分22に類似している)に接続されていてもよく、そこで、細長い導体は、給電路226の内側導体220に電気的に接続されている。
【0060】
図11および図12に示すように、近位円筒形誘電体スリーブ244は、同軸給電路226の遠位端において、内側導体220に接続されていてもよい。追加として、あるいは、代わりとして、第1の誘電体セグメント284および第2の誘電体セグメント274は、内側導体220に接続されていてもよい。追加として、あるいは、代わりとして、遠位円筒形誘電体スリーブ264は、内側導体220に接続されていてもよい。
【0061】
近位円筒形誘電体スリーブ244、第1の誘電体セグメント284および第2の誘電体セグメント274は、同軸給電路226からのインピーダンス整合を行う誘電材料で形成されていてもよい。第1の誘電体セグメント284は、例えば、周囲媒体(例えば、組織)内に放射されるエネルギーを最大にするために、第2の誘電体セグメント274の誘電率よりも高い誘電率を有する材料で形成されていてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、直径「D2」を有する近位円筒形誘電体スリーブ244は、内側導体220に接続されている。近位円筒形誘電体スリーブ244は、内側導体220を収容するためにそこを長手方向に貫通する中央チャネル245と共に構成されていてもよい。近位円筒形誘電体スリーブ244は、任意の好適な誘電材料で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、近位円筒形誘電体スリーブ244は、約2〜約10の誘電率を有する材料で形成されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、直径「D2」を有する遠位円筒形誘電体スリーブ264は、内側導体220に接続されている。遠位円筒形誘電体スリーブ264は、任意の好適な誘電材料で形成されていてもよい。遠位円筒形誘電体スリーブ264は、近位円筒形誘電体スリーブ244の遠位に配置されていてもよく、かつ内側導体220を収容するためにそこを長手方向に貫通する中央チャネル265と共に構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、遠位円筒形誘電体スリーブ264は、近位円筒形誘電体スリーブ244の誘電率とは異なる誘電率を有する材料で形成されている。遠位円筒形誘電体スリーブ264は、エネルギーの実効波長(λeff)を短くするために、高誘電材料(例えば、約3〜約50の誘電率を有する材料)であってもよい。
【0064】
遠位円筒形誘電体スリーブ264の長さは、遠位短絡部(例えば、図13および図15に示す「P」)から1/4波長(または1/2波長など)に放射開口部(例えば、図22および図23に示す「W」)の位置づけを可能にするように、選択された材料の誘電率に応じて異なってもよい。例えば、遠位短絡部から選択された波長に開口部の位置づけを可能にするように、選択された誘電率に対する遠位円筒形誘電体スリーブ264の物理的な長さは、方程式1を用いて算出してもよい。
【数1】
ここで、cは光速であり、fは周波数であり、εrは誘電率である。例えば、誘電体スリーブが誘電率εrを有すると仮定し、開口部が1/4波長に配置される場合、方程式1を用いて、誘電体スリーブの長さlは、以下のように算出される:
【数2】
【0065】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体セグメント284および第2の誘電体セグメント274は、内側導体220に接続されている。図11および図12に示すように、第1および第2の誘電体セグメント284、274は、近位円筒形誘電体スリーブ244と遠位円筒形誘電体スリーブ264との間に配置されていてもよい。第1および第2の誘電体セグメント284、274は一般に、1つまたは複数の平らな平面および部分的な円筒面を備える。第1および第2の誘電体セグメント284、274の形状および大きさは、図11〜図13に示す構成とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第1の誘電体セグメント284は、約2〜約30の誘電率を有する材料で形成されている。いくつかの実施形態では、第2の誘電体セグメント274は、約2〜約30の誘電率を有する材料で形成されている。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体セグメント284は、直径「D3」を有するほぼ半円筒形状を有し、かつ平らな平面全体を長手方向に延在する溝287の形態の凹部と共に構成された平らな平面を備える。いくつかの実施形態では、第2の誘電体セグメント274は、直径D2を有するほぼ半円筒形状を有し、かつ平らな平面全体を長手方向に延在する溝277の形態の凹部と共に構成された平らな平面を備える。溝287および277は、内側導体220の一部を収容するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の誘電体セグメント284、274が内側導体220に接続されている場合、第1および第2の誘電体セグメント284、274のそれぞれの平らな平面は互いに接触する。溝287および277の形状および大きさは、図11に示す構成とは異なっていてもよい。
【0067】
図13〜図16は、そこを貫通する開口部440を有する細長いシャフト480(図13では太線で輪郭が描かれている)および細長いシャフト480の遠位端の遠位に配置されたエンドキャップ「P」以外は、図11のエネルギー照射装置セグメント20に類似する本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置セグメント30を示す。いくつかの実施形態では、細長いシャフト480は、内径「D2」および外径「D3」を有する。図13に示すように、エンドキャップ「P」は、ディスク状またはプレート状の形状を有していてもよい。エンドキャップ「P」は、任意の好適な導電性材料、例えば、ステンレス鋼、チタンなどの金属で形成されていてもよい。図15に示すように、エンドキャップ「P」の近位表面「S」は、内側導体220の遠位端および細長いシャフト480の遠位端に接触し、それによって、遠位短絡部を形成する。エンドキャップ「P」の形状および大きさは、図13および15に示す構成とは異なっていてもよい。
【0068】
図16に示すように、細長いシャフト480の開口部440は、第1の誘電体セグメント284と位置合わせされていてもよい。いくつかの実施形態では、第1の誘電体セグメント284および細長いシャフト480は、エネルギー照射装置の長手軸(例えば、図11に示す「A−A」)とほぼ同心円であってもよい。細長いシャフト480は、同軸給電路226の外側導体224に電気的に接続されていてもよい。
【0069】
開口部440は、遠位短絡部から後方に最適化された長さで細長いシャフト480の放射状部分を除去することによって作製されている。いくつかの実施形態では、開口部440は、組織内へのマイクロ波エネルギーの指向性および結合を最大にするように配置されており、例えば、開口部440は、短絡された同軸遠位端によって生成される定常波のうち電圧が最大となる点に配置されていてもよい。開口部440は、自由空間結合および放射指向性に対する所望の同軸ケーブル量を達成するために、任意の長さおよび半径方向の角度を有していてもよい。
【0070】
開口部440の片側(近位または遠位)の誘電体の誘電率は、インピーダンス整合ならびに組織への最適なエネルギー伝達および指向性を達成するために、開口部440からの距離によって異なっていてもよい。開口部440の部位における同軸構造に装荷される誘電体の誘電率は、最適なアンテナ指向性および組織へのエネルギー伝達を達成するために、シェルまたはより複雑な誘電体の積層によって異なっていてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、第1の誘電体セグメント284は直径「D2」を有し、細長いシャフト480は外径D3を有し、ここで、「D3」は「D2」よりも大きい。そのような場合、開口部440には、非導電性無線周波数透過性材料(例えば、ガラス繊維エポキシ複合材またはポリイミド)が装荷されていてもよい。これは、オーバーモールド法で達成してもよい。また、アンテナアセンブリ全体に沿って熱収縮性またはリジッドな複合体スリーブを配置することによって、窓が作製されていてもよい。エネルギー照射装置の窓または開口部の部位における誘電体構成の例は、同一出願人による2009年8月5日に出願された「遠位に配置された共振構造と共に誘電体が装荷された同軸開口部を有する電気外科手術装置およびその製造方法(ELECTROSURGICAL DEVICES HAVING DIELECTRIC LOADED COAXIAL APERTURE
WITH DISTALLY POSITIONED RESONANT STRUCTURE AND METHOD OF MANUFACTURING SAME)」という発明の名称の米国特許出願公開第12/535,851号に開示されている。
【0072】
図17は、細長いシャフト480の一部の周りに同軸に配置された誘電体スリーブ部材740(本明細書ではバラン絶縁体とも呼ばれる)以外は、図16のエネルギー照射装置セグメント30に類似する本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置セグメント40を示す。バラン絶縁体740は、任意の非導電性絶縁体、例えば、テフロン(登録商標)のスリーブで形成されていてもよい。バラン絶縁体740は、細長いシャフトの開口部440を完全にまたは部分的に覆って延在していてもよい。いくつかの実施形態では、バラン絶縁体740は開口部440およびその中に配置された半円筒形誘電体部材284を完全に覆って延在している。誘電性バラン絶縁体740の形状、大きさおよび配置(例えば、開口部440および/またはエンドキャップ「P」に対するその位置)は、図17に示す構成とは異なっていてもよい。バラン絶縁体740は、バランの有効性を強化するために、バラン構造(例えば、図18に示す909)の1つまたは複数の導電性スリーブ部材(例えば、図18に示す870)の開口端を越えて延在していてもよい。
【0073】
図18は、その間の間隙940に軸方向に位置合わせされた第1の導電性スリーブ部材871および第2の導電性スリーブ部材872(本明細書ではバラン外側導体とも呼ばれる)以外は、図17のエネルギー照射装置セグメント40に類似する本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置セグメント50を示す。第1の導電性スリーブ部材871の近位端部分は、細長いシャフト480の近位部分に接続されていてもよい。例えば、図19Aに示すように、第2の導電性スリーブ部材872の遠位端部分は、細長いシャフト480の遠位部分に接続されていてもよい。第1および第2の導電性スリーブ部材871、872は、任意の好適な導電性材料(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、銅などの金属)で形成されていてもよい。
【0074】
第1および第2の導電性スリーブ部材871、872は、細長いシャフト480の窓440の部分に重なっていてもよい。図18に示すように、第1の導電性スリーブ部材871は、長さ「L1」を有する窓440の近位部分401に重なっていてもよく、第2の導電性スリーブ部材872は、長さ「L2」を有する窓440の遠位部分402に重なっていてもよく、それによって、長さ「L3」を有する間隙940がその間に形成されている。いくつかの実施形態では、第1の導電性スリーブ部材871は、1/4波長または1/2波長であってもよい長さ「L4」を有する。いくつかの実施形態では、第2の導電性スリーブ部材872は、1/4波長または半波長であってもよい長さ「L5」を有する。第1および第2の導電性スリーブ部材871、872は、任意の好適な長さを有していてもよい。
【0075】
図20は、遠位エンドキャップ「P」から遠位に延在するテーパー部分920以外は、図18のエネルギー照射装置セグメント50に類似する本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置セグメント60を示す。テーパー部分920は、最小の抵抗で組織への挿入を可能にするように鋭い先端923で終端していてもよい。エネルギー照射装置セグメント60が既存の開口部に挿入される場合は、先端923は、円形または平坦状であってもよい。テーパー部分920の形状および大きさは、図20に示す構成とは異なっていてもよい。
【0076】
図21は、遠位に配置された共振構造(例えば、図18に示す909)の第1および第2の導電性スリーブ部材871、872の近位に配置された放射部分大気曝露バラン以外は、図20のエネルギー照射装置セグメント60に類似する本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置セグメント70を示す。
【0077】
図22は、本開示に係るエネルギー照射装置103の一実施形態を示す。図22に示すように、外側ジャケット1020が、図21のエネルギー照射装置セグメント70に設けられていてもよい。いくつかの実施形態では、外側ジャケット1020は、例えば、ポリイミドまたは類似の誘電材料などの絶縁材料で作られている。外側ジャケット1020は、低導電率を有する材料で形成された水冷カテーテルであってもよい。外側ジャケット1020の外面は、組織内での外側ジャケット1020の移動を支援し、かつ組織がそこに付着するのを防止するのを支援するために、テフロン(登録商標)などの好適な潤滑性(lubricious)物質でコーティングされていてもよい。
【0078】
図23は、本開示に係る伝送線路15に接続されたエネルギー照射装置の一実施形態(例えば、図22に示す103)を示す。伝送線路15によって、エネルギー照射装置800が電力発生源(例えば、マイクロ波またはRF電気外科手術用発生器)に接続されていてもよい。処置(例えば、焼灼処置)の間、エネルギー照射装置800は、組織「T」に挿入されるかそこに隣接して配置され、エネルギーがそこに供給される。エネルギー照射装置103は、経皮的にあるいは組織上に配置してもよい。超音波またはコンピュータ断層撮影(CT)誘導を用いて、エネルギー照射装置800を治療される組織「T」の領域に正確に誘導してもよい。
【0079】
エネルギー照射装置103は、指向性放射パターン「R」がそれと共に回転するように、長手軸「A−A」(図11に示す)の周りを回転可能であってもよい。任意の細長い放射ローブがそれと共に回転するように軸「A−A」の周りを回転可能なアンテナアセンブリの例は、同一出願人による2008年8月25日に出願された「誘電材料からなる放射状隔壁を有する誘電体部分を有するマイクロ波アンテナアセンブリ(MICROWAVE ANTENNA ASSEMBLY HAVING A DIELECTRIC BODY PORTION WITH
RADIAL PARTITIONS OF DIELECTRIC MATERIAL)」という発明の名称の米国特許出願公開第12/197,405号に開示されている。
【0080】
エネルギー照射装置103は、(例えば、インディシア位置合わせマークと一致するようにエネルギーの流れ方向の方向付けを可能にするように外科医に視覚的な手がかりを提供するための)着色したストリップなどのインディシア位置合わせマーク(図示せず)および/または挿入深さの参照のための(例えば、組織「T」の表面に対する開口部「W」の位置を示すための)インディシア目盛り線(図示せず)を含んでいてもよい。インディシア位置合わせマークおよびインディシア目盛り線の実施形態の例は、同一出願人による2009年6月2日に出願された「指向性放射パターンを有する電気外科手術装置(ELECTROSURGICAL DEVICES WITH DIRECTIONAL RADIATION PATTERN)」という発明の名称の米国特許出願公開第12/476,960号に開示されている。
【0081】
図24および図25は、重なり合うバラン構造「B」を備えた本開示の一実施形態に係るエネルギー照射装置またはプローブ104を形成する構成要素の順次に示される組み立てを示す。図26は、本開示の一実施形態に係るバラン構造「B」を備えたプローブ104の断面図を示す。
【0082】
プローブ104は一般に、内側導体210、外側導体260およびその間に配置された誘電体240を有する給電路2426と、給電路2426に動作可能に接続された放射部分2405とを備える。いくつかの実施形態では、プローブ104は、放射部分2405の遠位端において先端2438で終端するテーパー状端部2436を備える。テーパー状端部2436は、最小の抵抗でプローブ104の組織内への挿入を可能にする。放射部分2405が既存の開口部に挿入される場合、先端2438は円形または平坦状であってもよい。
【0083】
図26に示すように、プローブ104の放射部分2405は、任意の好適な導電性材料で形成された導体端部280を備える。導体端部280は、内側導体210に電気的に接続されており、任意の好適な長さを有していてもよい。プローブ104は、遠位放射部分105および近位放射部分140を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、接合部材130は、近位放射部分140および遠位放射部分105を接続する。図26に示す導体端部280および接合部材130は、図3の同様の番号が付された導体端部および接合部材に類似しており、そのさらなる説明は簡潔のために省略する。
【0084】
バラン構造「B」は一般に、放射部分2405の近位に配置された第1のバラン構造2408と、第1のバラン構造2408の近位部分2410に重なる第2のバラン構造2419(本明細書ではアンテナ放射部分大気曝露バランとも呼ばれる)とを備える。本開示のバラン構造「B」は、プローブ104にエネルギーが供給されているがプローブ104が組織内に配置されていない場合に、プローブ104の放射部分2405から近位に(例えば、給電路2426に沿って)放出されるエネルギーの伝播を実質的に防止するように構成されている。
【0085】
第1のバラン構造2408は、遠位端2407および近位端2409を備え、アンテナ放射部分大気曝露バラン2419は、遠位端2418および近位端2420を備える。第1のバラン構造2408は任意の好適な長さ「L7」を有していてもよく、アンテナ放射部分大気曝露バラン2419は任意の好適な長さ「L8」を有していてもよい。図24および図25に連携させて示すように、アンテナ放射部分大気曝露バラン2419は、長さ「L10」だけ第1のバラン構造2408に重なっている。第1のバラン構造2408および第2のバラン構造2429の形状、大きさ、間隔および(例えば、放射部分2405の遠位端に対する)相対位置は、図24および図25に示す構成とは異なっていてもよい。
【0086】
第1のバラン構造2408は、バラン絶縁体2448(例えば、図3のバラン絶縁体348に類似している)またはその部分の周りに同軸に配置されたバラン外側導体2468(例えば、図3の第1のバラン構造108のバラン外側導体368に類似している)を備えていてもよい。バラン絶縁体2448は、例えば、プローブ104のマイクロ波性能を強化しかつ/または所望の焼灼パターンを提供するために、バラン外側導体2468の遠位端を越えて遠位に延在していてもよい。いくつかの実施形態では、バラン外側導体2468は、第1のバラン構造2408の近位端2409の近位に延在するセグメント2468aを備えていてもよい。本開示の実施形態に係るバラン外側導体セグメント2468aは、アンテナ放射部分大気曝露バラン2419のための滑らかな内側導体層を形成する。
【0087】
図26に示す実施形態に係る第1のバラン構造2408は、バラン絶縁体2448の近位端に配置されたバラン短絡部2478を備える。バラン短絡部2478は、任意の好適な導電性材料(例えば、銅、金、銀または他の導電性金属あるいは金属合金)で形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、バラン短絡部2478は、ほぼリング状または切頭管状の形状を有する。バラン短絡部2478は、任意の好適な電気的接続方法(例えば、半田付け、溶接またはレーザ溶接)によって、給電路2426の外側導体260に電気的に接続されている。バラン短絡部2478は、任意の好適な電気的接続方法によって、バラン外側導体2468に電気的に接続されている。
【0088】
アンテナ放射部分大気曝露バラン2419は、第1のバラン構造2408の近位部分2410の周りに同軸に配置されたバラン絶縁体2449を備える。バラン絶縁体2449は、バラン外側導体部分2468aの近位端2469まで延在していてもよい。バラン絶縁体2449は、任意の非導電性絶縁体(例えば、テフロン(登録商標)のスリーブ)で形成されていてもよく、任意の好適な方法によって塗布されていてもよい。バラン外側導体2469は、バラン絶縁体2449またはその部分の周りに同軸に配置されている。バラン外側導体2469は、任意の好適な電気的接続を用いて外側導体260に電気的に接続されている。いくつかの実施形態では、バラン外側導体2469の近位端は、例えば、電気的かつ機械的に外側導体260に接続可能なように構成されていてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、プローブ104に組織内でエネルギーが供給されている場合は、放射部分2405は長さ「L6」(例えば、1/2λ(組織内))を有し、エネルギー照射装置104にエネルギーが供給されているがエネルギー照射装置104が組織内に配置されていない場合は、放射部分は長さ「L9」(例えば、1/2λ(空気中))を有する。
【0090】
以下、本開示に係るエネルギーを組織に導く方法について、図27を参照しながら説明する。本明細書で提供される方法のステップは、本開示の範囲から逸脱することなく、組み合わせでも、本明細書に示されているものとは異なる順序でも実施できることを理解されたい。
【0091】
図27は、本開示の一実施形態に係るエネルギーを組織に導く方法を示すフローチャートである。ステップ2710では、エネルギー照射装置(例えば、図1に示す100)を用意する。エネルギー照射装置は、内側導体(例えば、図3に示す210)、外側導体(例えば、図3に示す260)およびその間に配置された誘電体(例えば、図3に示す240)を有する給電路(例えば、図1に示す110)と、給電路に動作可能に接続された放射部分(例えば、図2に示す50)を有するアンテナアセンブリ(例えば、図1に示す12)とを備える。
【0092】
また、エネルギー照射装置(例えば、図1に示す100)は、エネルギーを放射部分に実質的に限定するように構成された第1のバラン(例えば、図1に示す108)と、エネルギー照射装置にエネルギーが供給されているがエネルギー照射装置が組織に挿入されていない場合に、放射部分から放出されるエネルギーが給電路に沿って第2のバランの近位に伝播することを実質的に防止するように構成された第2のバラン(例えば、図1に示す129)とを備える。第1のバラン構造は、1/4波長のスリーブバランであってもよい。
【0093】
ステップ2720では、エネルギー照射装置(例えば、図1に示す100)を組織内に配置する。エネルギー照射装置は、組織(例えば、図24に示す「T」)に直接挿入するか、外科手術中に臨床医によって、体内に配置されたか、あるいは当該技術分野で知られている他の好適な方法によって体内に配置された内腔(例えば、静脈、針、内視鏡またはカテーテル)を介して挿入してもよい。エネルギー照射装置は、指向性放射パターンと共に動作するように構成されていてもよい。
【0094】
ステップ2730では、エネルギーは、エネルギー源(例えば、図1に示す28)から放射部分(例えば、図2に示す50)を通って組織まで伝送される。エネルギー源は、出力信号を生成するための任意の好適な電気外科手術用発生器であってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギー源は、マイクロ波エネルギー源であり、約300MHz〜約10GHzの動作周波数でマイクロ波エネルギーを供給するように構成されていてもよい。
【0095】
組織を治療するための本開示に係る放射部分大気曝露バランの実施形態を含む上記電気外科手術装置および電磁放射線を組織の標的体積に導く方法によって、例えば、プローブにエネルギーが供給されているがプローブが組織に挿入されていない場合に、使用者の放射線曝露のリスクを制限および/または減少させることによって、使用者を放射線曝露に関連づけられる健康リスクから保護するのを支援してもよい。
【0096】
例示および説明のために添付の図面を参照しながら実施形態について詳細に説明してきたが、本発明の方法および装置はそれらによって限定されるものとして解釈されるべきでないことを理解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく、上記実施形態に対する様々な修正が可能であることは当業者には明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを組織に導くためのエネルギー照射装置であって、
内側導体、前記内側導体の周りに同軸に配置された外側導体およびその間に配置された誘電体を有する給電路と、
前記給電路に動作可能に接続された放射部分を有するアンテナアセンブリと、
前記エネルギー照射装置にエネルギーが供給されていて前記エネルギー照射装置が組織内に配置されている場合に、エネルギーを前記放射部分に実質的に限定するように構成された第1のバラン構造と、
前記エネルギー照射装置にエネルギーが供給されているが前記エネルギー照射装置が組織内に配置されていない場合に、前記放射部分から放出されるエネルギーが前記給電路に沿って前記第2のバラン構造の近位に伝播することを実質的に防止するように構成された第2のバラン構造と、
を備えるエネルギー照射装置。
【請求項2】
前記エネルギー照射装置が、前記放射部分を1つまたは複数の空間に分割する1つまたは複数の導電性ディスクを備える、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項3】
前記エネルギー照射装置が、第1の導電性ディスクと、前記第1の導電性ディスクの近位に配置された第2の導電性ディスクとを備える、請求項2にエネルギー照射装置。
【請求項4】
前記第2のバラン構造が、前記第2の導電性ディスクから空気中で約1/2波長に配置されている、請求項3に記載のエネルギー照射装置。
【請求項5】
前記第2の導電性ディスクから空気中で約1波長に配置された第3のバラン構造をさらに備える、請求項4に記載のエネルギー照射装置。
【請求項6】
前記第2のバラン構造が、重なり合う構成の複数のスリーブバランを備える、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項7】
前記第1のバラン構造が、重なり合う構成の複数のスリーブバランを備える、請求項6に記載のエネルギー照射装置。
【請求項8】
前記エネルギー照射装置が、指向性放射パターンと共に動作するように構成されている、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項9】
遠位に配置された共振構造と共に誘電体が装荷された同軸開口部をさらに備える、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項10】
前記第2のバラン構造が、遠位に配置された共振構造と共に前記誘電体が装荷された同軸開口部の近位に配置されている、請求項9に記載のエネルギー照射装置。
【請求項11】
前記給電線の前記内側導体の一部が、前記給電線の遠位端において、前記外側導体および前記誘電体を越えて延在している、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項12】
前記第1のバラン構造が1/4波長のスリーブバランである、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項13】
前記第2のバラン構造が、重なり合う構成の複数のスリーブバランを備える、請求項12に記載のエネルギー照射装置。
【請求項14】
組織を貫通するように構成された先端を有するテーパー部分をさらに備える、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項1】
エネルギーを組織に導くためのエネルギー照射装置であって、
内側導体、前記内側導体の周りに同軸に配置された外側導体およびその間に配置された誘電体を有する給電路と、
前記給電路に動作可能に接続された放射部分を有するアンテナアセンブリと、
前記エネルギー照射装置にエネルギーが供給されていて前記エネルギー照射装置が組織内に配置されている場合に、エネルギーを前記放射部分に実質的に限定するように構成された第1のバラン構造と、
前記エネルギー照射装置にエネルギーが供給されているが前記エネルギー照射装置が組織内に配置されていない場合に、前記放射部分から放出されるエネルギーが前記給電路に沿って前記第2のバラン構造の近位に伝播することを実質的に防止するように構成された第2のバラン構造と、
を備えるエネルギー照射装置。
【請求項2】
前記エネルギー照射装置が、前記放射部分を1つまたは複数の空間に分割する1つまたは複数の導電性ディスクを備える、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項3】
前記エネルギー照射装置が、第1の導電性ディスクと、前記第1の導電性ディスクの近位に配置された第2の導電性ディスクとを備える、請求項2にエネルギー照射装置。
【請求項4】
前記第2のバラン構造が、前記第2の導電性ディスクから空気中で約1/2波長に配置されている、請求項3に記載のエネルギー照射装置。
【請求項5】
前記第2の導電性ディスクから空気中で約1波長に配置された第3のバラン構造をさらに備える、請求項4に記載のエネルギー照射装置。
【請求項6】
前記第2のバラン構造が、重なり合う構成の複数のスリーブバランを備える、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項7】
前記第1のバラン構造が、重なり合う構成の複数のスリーブバランを備える、請求項6に記載のエネルギー照射装置。
【請求項8】
前記エネルギー照射装置が、指向性放射パターンと共に動作するように構成されている、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項9】
遠位に配置された共振構造と共に誘電体が装荷された同軸開口部をさらに備える、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項10】
前記第2のバラン構造が、遠位に配置された共振構造と共に前記誘電体が装荷された同軸開口部の近位に配置されている、請求項9に記載のエネルギー照射装置。
【請求項11】
前記給電線の前記内側導体の一部が、前記給電線の遠位端において、前記外側導体および前記誘電体を越えて延在している、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項12】
前記第1のバラン構造が1/4波長のスリーブバランである、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【請求項13】
前記第2のバラン構造が、重なり合う構成の複数のスリーブバランを備える、請求項12に記載のエネルギー照射装置。
【請求項14】
組織を貫通するように構成された先端を有するテーパー部分をさらに備える、請求項1に記載のエネルギー照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−251116(P2011−251116A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−100326(P2011−100326)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(510171885)ヴィヴァン メディカル,インコーポレイテッド (34)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100326(P2011−100326)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(510171885)ヴィヴァン メディカル,インコーポレイテッド (34)
【Fターム(参考)】
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