アンテナ特性評価システム
【課題】高精度のアンテナ特性評価を行う。
【解決手段】アンテナ特性評価システムは、評価対象のアンテナである評価アンテナと、評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナと、信号波を合成して合成信号を生成する合成信号生成部と、送信アンテナに接続し、合成信号の周波数を電波の周波数までアップコンバートするアップコンバータと、評価アンテナと接続し、電波を受信した評価アンテナのアンテナ特性の評価を行う評価部とを備える。また、合成信号生成部は、評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、信号波に重み付けを行って合成信号を生成する。
【解決手段】アンテナ特性評価システムは、評価対象のアンテナである評価アンテナと、評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナと、信号波を合成して合成信号を生成する合成信号生成部と、送信アンテナに接続し、合成信号の周波数を電波の周波数までアップコンバートするアップコンバータと、評価アンテナと接続し、電波を受信した評価アンテナのアンテナ特性の評価を行う評価部とを備える。また、合成信号生成部は、評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、信号波に重み付けを行って合成信号を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ特性の評価を行うアンテナ特性評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナは、無線伝送特性を左右するキー部品の1つであり、高品質な無線通信を実現するためには、高性能なアンテナが要求される。また、電波伝搬環境に応じた、電波の放射・吸収特性を最適化したアンテナ設計を行うためには、アンテナの特性を測定・評価するアンテナ特性評価技術が重要になる。
【0003】
近年の無線通信の分野では、MIMO(Multi Input Multi Output:複数のアンテナを用いて、データの送受信を行う無線通信技術)方式を使った高速無線通信が開発されており、将来、携帯端末などの小型の機器においても、マルチアンテナの実装が必須となると予測される。
【0004】
図7はマルチアンテナの放射パターンを説明するための図である。通信端末MSにアンテナA1、A2のマルチアンテナが設けられている。マルチアンテナ技術では、アンテナA1、A2で受信状態が異なるようにし、片側のアンテナで受信困難な場合でも、反対側のアンテナで受信可能としたダイバーシティ受信を行うことで、通信品質を向上させる。
【0005】
アンテナA1、A2の受信状態が異なるほど、ダイバーシティ受信の効果は上がる。例えば図7のように、一方のアンテナであるアンテナA1の指向性が、左方向に電波を強く放射し(左方向に放射電力が強い)、右方向には電波を弱く放射する(右方向は放射電力が弱い)といった、放射パターンp1であるとする。
【0006】
この場合には、他方のアンテナには、左方向に電波を弱く放射し、右方向には電波を強く放射する放射パターンp2となるような指向性を持つアンテナA2を、放射パターン同士が重ならない位置に配置する。
【0007】
ここで、電波が左から右の方向に送信されて、通信端末MSに到来した場合を考える。電波の放射パターンの強弱は、電波の吸収パターンの強弱と同じであるため、到来電波(到来電波b1とする)に対して、アンテナA2では、吸収電力が弱いので受信困難となるが、アンテナA1では、吸収電力が強いので受信可能となる。
【0008】
また、通信端末MSが移動し、その移動地点において、電波が右から左の方向に送信されて通信端末MSに到来したとすると、この到来電波(到来電波b2とする)に対しては、アンテナA1では、吸収電力が弱いので受信困難であるが、アンテナA2では、吸収電力が強いので受信可能となる。
【0009】
このように、マルチアンテナの設計を行う場合は、電波伝搬環境において、アンテナA1、A2の指向性を互いに補完して、アンテナ間での受信状態の相関(アンテナ間相関)が小さくなるように、放射(吸収)パターンの最適化を行う。
【0010】
図8はアンテナ間相関が小さい場合の電波受信強度を示す図である。縦軸は電波受信強度、横軸は時間である。図7で示したアンテナA1、A2で、到来電波b1、b2を受信したときの受信強度を示している。
【0011】
時間t0〜t1で到来電波b1があったときは、アンテナA2の受信強度は低下するが、アンテナA1の受信強度は上昇する。また、時間t1以降で到来電波b2があったときは、アンテナA1の受信強度は低下するが、アンテナA2の受信強度は上昇する。このように、アンテナ間相関を小さくして、受信強度の劣化をアンテナ間で補うことができる。
【0012】
図9はアンテナ間相関が大きい場合の電波受信強度を示す図である。縦軸は電波受信強度、横軸は時間である。通信端末MSaには、図7で示したアンテナA1と同じ放射パターンを持つアンテナA2−1が設置しているとする。
【0013】
時間t0〜t1で到来電波b1があったときは、アンテナA1、A2−1ともに受信強度は上昇するが、時間t1以降で到来電波b2があったときは、アンテナA1、A2−1ともに受信強度は低下してしまう。このように、アンテナ間相関が大きい場合は、放射パターンが落ち込む部分において、アンテナA1、A2−1ともに受信強度が劣化することになる。
【0014】
アンテナの最適化設計を行う場合には、アンテナ特性の評価を行うが、このとき、特にマルチアンテナの特性を評価する場合は、アンテナ単体の特性ばかりでなく、上述のように、アンテナ間相関が、アンテナ特性を決める際の重要な評価指標となる。また、誤り率(BLER:block error probability)やスループット等の無線特性を決める際にも、アンテナ間相関は重要な要素となる。
【0015】
一方、実際の電波伝搬環境においては、基地局から送信された搬送電波(キャリア)は、マルチパス(信号波が山やビルなどの反射によって複数の経路を伝搬する現象)を経由して通信端末に到達する。
【0016】
よって、通信端末が移動していた場合には、各パスでキャリアの到来角度に依存してキャリア周波数が異なるドップラシフトを受けることになる。すなわち、キャリア周波数にあらたなドップラ周波数が加わり、受信周波数が変位することになる。
【0017】
このため、通信端末では、周波数領域において広がった複数の信号を受信することにより、レベルが激しく変動するフェージング(時間差をもって到達した電波の波長が干渉し合うことによって電波レベルの強弱が変化する現象またはその変動波)を受ける。フェージングによる受信レベル変動は、無線通信における情報伝送のBLERを増大する原因となる。
【0018】
したがって、アンテナ間相関を精度よく評価するには、計算機シミュレーション等によって、実際の電波伝搬環境を模擬したフェージング環境を再現することが必要である。そして、このフェージング環境で測定した値を統計処理して最適化設計を実現することで、アンテナの品質向上が可能となる。
【0019】
図10は従来のアンテナ特性評価を示す図である。通信端末MSの周辺に信号発生源5−1〜5−5が配置する。信号発生源5−1〜5−5のそれぞれは、キャリア周波数に対して互いに異なるドップラ周波数Δf1〜Δf5シフトした周波数を持つ正弦波の電波を発生する。なお、信号発生源5−1〜5−5からは、素波(複数の信号波が合成されていない単一の信号波)の状態で各正弦波電波が放射される。
【0020】
図10で示した評価環境では、通信端末MSの周囲に配置された複数の信号発生源5−1〜5−5から、異なるドップラ周波数シフトした電波を放射させて、電波を合成させる。そして、通信端末MSが合成波を受信することで、模擬的なフェージング環境を生成している。
【0021】
ここで、ドップラ周波数の定義について説明する。図11はドップラ周波数を説明するための図である。マルチパス中の1つのパスから到来したキャリア周波数fcが、通信端末MSの進行方向に対して角度θで到来する場合を考える。
【0022】
通信端末MSの移動速度をv、キャリアの波長をλ、到来角度をθとすると、ドップラ周波数Δfは、進行方向を基準としたときの見かけ上の電波の波長によって次式のように表せる。
【0023】
Δf=v/(λ/cosθ)=vcosθ/λ・・・(1)
図12は通信端末MSの進行方向と電波の到来角とに応じたドップラ周波数の変化を示す図である。(A)は通信端末MSの進行方向に対し同一方向のパスから電波を受けた場合、(B)は通信端末MSの進行方向に対し垂直方向から電波を受けた場合を示している。
【0024】
(A)のように、通信端末MSの進行方向と同一方向のパスから電波を受ければ、θ=0、πとなり、式(1)より、ドップラ周波数の絶対値|Δf|は最大となる。
また、(B)のように、通信端末MSの進行方向に対し垂直方向から電波を受ける場合は、進行方向に対する見かけ上の電波の波長は生成されないので、通信端末MSが移動していないのと同じことになり、ドップラシフトの影響は受けない(θ=π/2、3π/2となり、Δf=0)。
【0025】
ここで、図10で示した評価環境において、通信端末MSが、ある方向に移動すると仮定すると、信号発生源5−1〜5−5には、通信端末MSの移動方向に対する電波の到来角度に応じたドップラ周波数を設定して、そのドップラ周波数を持つ電波を放射させることになる。
【0026】
例えば図10に示すように、通信端末MSが矢印Xの信号発生源5−4の方向に移動すると仮定すると、信号発生源5−1〜5−5の周波数設定としては、式(1)からわかるように、信号発生源5−4のドップラ周波数Δf4が最も高くなるように設定し、その他の信号発生源からのドップラ周波数は、ドップラ周波数Δf4と比べて低くなるように設定する。
【0027】
通信端末MSは、固定しており、実際は移動させることはなく、その代わりに、通信端末MSの移動方向に沿って変化するドップラ周波数の変化を、信号発生源5−1〜5−5側で可変に設定して、設定された電波を放射させるものである。
【0028】
このように、通信端末MSが移動したとみなしたときのドップラシフトを信号発生源側で生成し、このときに評価すべきアンテナに生じる受信強度の落ち込みなどを測定評価したりする。
【0029】
アンテナ特性評価の従来技術として、複数の散乱体アンテナを配置して、電波の振幅と位相を制御してアンテナ特性の評価を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1)。また、無相関の正弦波を加算してマルチパスフェージング環境に対応するシミュレータの構成が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2005−227213号公報
【特許文献2】特開2006−174254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
図10で示したような評価環境を具体的なシステムで実現する場合、通常は、電波暗室内に複数のアンテナを配置した測定環境を構築し、この電波暗室内でアンテナ特性評価を行う。なお、電波暗室とは、室内の天井、壁、および床の全面に、電波吸収体を取り付けて、室内での電波の反射を抑えた部屋のことである。
【0032】
図13は従来のアンテナ特性評価システムの構成を示す図である。電波暗室50内にアンテナ53−1〜53−4と、アンテナ54a、54bが配置される(以降、評価用の電波を放射するアンテナを送信アンテナ、評価対象のアンテナを評価アンテナと呼ぶ)。
【0033】
また、送信アンテナ53−1〜53−4は、アップコンバータ52−1〜52−4のそれぞれと接続し、評価アンテナ54a、54bは、アンテナ特性評価ボード55と接続する。アンテナ特性評価ボード55は、評価用端末56と接続する。
【0034】
アップコンバータ52−1〜52−4は、ベースバンド信号をRF(Radio Frequency)信号の周波数帯にそれぞれアップコンバートする。すなわち、アップコンバータ52−1は、ベースバンド信号をドップラ周波数Δf1のRF信号にアップコンバートする。アップコンバータ52−2は、ベースバンド信号をドップラ周波数がΔf2のRF信号にアップコンバートする。
【0035】
また、アップコンバータ52−3は、ベースバンド信号をドップラ周波数がΔf3のRF信号にアップコンバートする。アップコンバータ52−4は、ベースバンド信号をドップラ周波数がΔf4のRF信号にアップコンバートする。
【0036】
送信アンテナ53−1〜53−4はそれぞれ、ドップラ周波数Δf1〜Δf4の電波を放射する。放射された電波は、電波暗室50内で合成されてフェージング波となり、評価アンテナ54a、54bで受信される。アンテナ特性評価ボード55は、評価アンテナ54a、54bで受信された電波をダウンコンバートして、ベースバンド信号に変換する。評価用端末56は、ダウンコンバート後のベースバンド信号にもとづいて、アンテナ特性を解析する。
【0037】
上記のような構成によって、電波暗室50内にフェージング環境(例えば、レイリーフェージング環境)を擬似的に生成して、評価アンテナ54a、54bの特性評価を行っていた。
【0038】
ここで、マルチアンテナ特性は、個々のアンテナの利得や放射効率に加え、アンテナ間相関についても考慮し、アンテナ評価の際には、移動端末の実環境であるレイリーフェージング環境を電波暗室50内に生成することが望まれる。
【0039】
フェージングは、様々なドップラ周波数の波を合成することで生成することができ、合成するドップラ周波数の電波の数を増やすことで、より実環境に近いレイリーフェージングを生成することが可能である。
【0040】
しかし、上記のような従来のアンテナ特性評価のシステム構成で、実環境のレイリーフェージングに近づけようとすると、異なるドップラ周波数の電波の数を増やすことになる。このため、RF帯にアップコンバートするためのアップコンバータおよび送信アンテナの数を増やさなければならない。
【0041】
図14は従来のアンテナ特性評価システムの構成を示す図である。アップコンバータおよび送信アンテナを増やしたときの構成を示している。電波暗室50内に送信アンテナ53−1〜53−nが設置され、送信アンテナ53−1〜53−nは、アップコンバータ52−1〜52−nのそれぞれと接続する。
【0042】
電波暗室50内の環境を実フェージング環境に近づけようとして、図14のような構成にすると、コストが増加し、また、スペース的にも設置数が限られるために、送信アンテナの所望数を設置できないといった問題があった。
【0043】
さらには、従来のシステム構成では、アンテナ間の相関性を適切・柔軟に設定することができず、実際の環境に近いフェージング環境を再現することが困難であるといった問題があった。このように、従来のアンテナ特性評価システムでは、精度の高いアンテナ特性評価を実施することができなかった。
【0044】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、少ない装置数で、効率よく高精度のアンテナ特性評価を行うアンテナ特性評価システムを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、少ない装置数で、効率よく高精度のアンテナ特性評価を行うアンテナ特性評価方法を提供することである。
【0045】
さらに、本発明の他の目的は、所定の相関性を有する合成信号を生成する合成信号生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0046】
上記課題を解決するために、アンテナ特性評価システムが提供される。このアンテナ特性評価システムは、評価対象のアンテナである評価アンテナと、評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナと、複数の信号波を合成して合成信号を生成する合成信号生成部と、送信アンテナに接続し、合成信号の周波数を電波の周波数にアップコンバートするアップコンバータと、評価アンテナと接続し、電波を受信した評価アンテナのアンテナ特性の評価を行う評価部とを備える、
ここで、合成信号生成部は、評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、信号波に重み付けを行って合成信号を生成する。
【発明の効果】
【0047】
高精度のアンテナ特性評価を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】アンテナ特性評価システムの構成例を示す図である。
【図2】電波暗室内のサブパスを示す図である。
【図3】Walsh符号を説明するための図である。
【図4】合成信号生成部の構成例を示す図である。
【図5】合成信号生成部の構成例を示す図である。
【図6】合成信号生成部の構成例を示す図である。
【図7】マルチアンテナの放射パターンを説明するための図である。
【図8】アンテナ間相関が小さい場合の電波受信強度を示す図である。
【図9】アンテナ間相関が大きい場合の電波受信強度を示す図である。
【図10】従来のアンテナ特性評価を示す図である。
【図11】ドップラ周波数を説明するための図である。
【図12】通信端末の進行方向と電波の到来角とに応じたドップラ周波数の変化を示す図である。(A)は通信端末の進行方向に対し同一方向のパスから電波を受けた場合、(B)は通信端末の進行方向に対し垂直方向から電波を受けた場合を示している。
【図13】従来のアンテナ特性評価システムの構成を示す図である。
【図14】従来のアンテナ特性評価システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はアンテナ特性評価システムの構成例を示す図である。アンテナ特性評価システム1は、送信アンテナ23−1〜23−4、評価アンテナ24−1、24−2、合成信号生成部10、アップコンバータ22−1〜22−4、評価部30を備え、電波暗室20内でアンテナ特性の評価を行うシステムである(図の例では、電波暗室20内に送信アンテナが4つ、評価アンテナが2つ配置されているが、これらの個数は任意である)。
【0050】
評価アンテナ24−1、24−2は、電波暗室20内に配置され、アンテナ特性評価対象のアンテナである。送信アンテナ23−1〜23−4は、評価アンテナ24−1、24−2に電波を放射する仮想的散乱体としてのアンテナであり、電波暗室20内の適切な位置に分散して配置される。
【0051】
合成信号生成部10は、複数の周波数の異なる信号波(素波)を発生し、素波を合成して合成信号g1〜g4を生成する。アップコンバータ22−1〜22−4は、送信アンテナ23−1〜23−4にそれぞれ接続し、合成信号g1〜g4の各周波数をRF帯にアップコンバートする。アップコンバートされた合成信号g1〜g4は、送信アンテナ23−1〜23−4を介して放射される。
【0052】
評価部30は、アンテナ特性評価ボード31および評価用端末32を含む。アンテナ特性評価ボード31は、評価アンテナ24−1、24−2と接続する。アンテナ特性評価ボード31は、評価アンテナ24−1、24−2で受信された電波をダウンコンバートする。評価用端末32は、ダウンコンバート後の信号にもとづいて、アンテナ特性を解析する。
【0053】
ここで、合成信号生成部10は、評価アンテナ24−1、24−2の相関性を評価するための条件を満たすように、素波に重み付けを行って合成信号g1〜g4を生成する。複数の素波に対して所定の重み付けを行って、重み付け後の信号の和を求めることにより、フェージングである合成信号g1〜g4が生成する(以下、合成信号をフェージングとも呼ぶ)。送信アンテナ23−1〜23−4から出力されたフェージングは、電波暗室20内でも合成されることになる。
【0054】
従来では、周波数の異なる素波を送信アンテナから出力して、電波暗室内でフェージングを生成していたので、装置数が多くなり、コストが増加して設置スペースを確保できないといった問題があった。
【0055】
これに対し、アンテナ特性評価システム1では、合成信号生成部10でフェージングを生成して、送信アンテナ23−1〜23−4から出力する構成をとるので、少ない装置数で効率よくアンテナ特性評価を行うことができ、コストを削減し、設置スペースの問題を解決することができる。
【0056】
また、上記の条件とは、具体的には、互いに無相関の電波を評価アンテナ24−1、24−2が受信できるようにするための条件(以下、設定条件と呼ぶ)であって、合成信号生成部10では、合成信号g1〜g4が互いに無相関となる重み付け処理を行って、互いに相関性の無い合成信号g1〜g4を出力する(詳細は後述)。
【0057】
これにより、電波暗室20内を実フェージング環境に近い環境にすることができ、評価アンテナ24−1、24−2のアンテナ間相関、誤り率、スループット等の多くのアンテナ特性を精度よく評価することが可能になる。
【0058】
次に電波暗室20内で再現すべきフェージング環境および評価アンテナ24−1、24−2のアンテナ間相関を精度よく評価するための設定条件について詳しく説明する。
ワイヤレス通信の環境としては、多重波伝搬の基本電波強度分布であるレイリー分布を有するレイリーフェージング環境が一般的であると言われている。以降では、このようなレイリーフェージング環境を模擬的に生成して、アンテナ特性の評価を行うものとして説明する。
【0059】
図2は電波暗室20内のサブパスを示す図である。電波暗室20には、送信アンテナ23−1〜23−4と、評価アンテナ24−1、24−2とが設けられている。なお、以降では、送信アンテナ23−1〜23−4それぞれが出力する1つのフェージングをサブパスとも呼ぶ。複数のサブパスを合成した合成波が、フェージング環境上におけるマルチパスを形成する1つのパスとみなすことができる。
【0060】
送信アンテナ23−1は、フェージングg1(t)を出力し、送信アンテナ23−2は、フェージングg2(t)を出力する。また、送信アンテナ23−3は、フェージングg3(t)を出力し、送信アンテナ23−4は、フェージングg4(t)を出力する。gn(t)は、サブパスnのフェージングであって、nはサブパスの番号である。
【0061】
また、評価アンテナ24−1は、G1(θ)の受信アンテナ利得を有し、評価アンテナ24−2は、G2(θ)の受信アンテナ利得を有する。なお、θは、サブパス(フェージング)の到来角度であり、Gk(θ)は、到来角度θに対するk番目の評価アンテナの利得(振幅の次元)である。kは、評価アンテナの番号である(この例では、k=1は評価アンテナ24−1に該当し、k=2は評価アンテナ24−2に該当するものとする)。
【0062】
ここで、実フェージング環境におけるパスは、様々に到来方向を変えて一定の経路は持たない。例えば、ビルに反射するパスも一定の到来方向ではなく時間毎に変化し、また、車両等の移動体の有無などによっても様々に到来方向は変化して、パスの経路は固定的なものではない。
【0063】
このため、長時間に渡って複数パスの時間平均をとると、相関性が0に近くなることがわかる。すなわち、実フェージング環境でのパスの相関性は、一定時間の平均をとると無相関に近いものといえる。したがって、電波暗室20内において実フェージング環境に近い環境を再現するためには、互いに異なるサブパスの相関性が無相関となるような状態にすればよい。
【0064】
このような状態のサブパスを評価アンテナ24−1、24−2で受信すると、このときの評価アンテナ24−1、24−2の理想的なアンテナ間相関Rを表す式は、アンテナ利得のパラメータで表すと以下の式(2)となる。
【0065】
R=G1(θ1)・G2(θ1)+G1(θ2)・G2(θ2)+G1(θ3)・G2(θ3)+G1(θ4)・G2(θ4)・・・(2)
Gk(θn)は、サブパスnの到来角度θnに対するk番目の評価アンテナの利得である。なお、サブパス1〜4は、送信アンテナ23−1〜23−4から出力されたフェージングg1(t)〜g4(t)にそれぞれ対応する。
【0066】
サブパス1〜4が存在する実フェージング環境(サブパス1〜4が互いに相関性の無い環境)を仮定したとき、その環境内に受信アンテナk=1、受信アンテナk=2(評価アンテナ24−1、24−2に該当)があって、サブパス1〜4を受信する場合、受信アンテナk=1および受信アンテナk=2のアンテナ間相関は、式(2)の関係が成り立つということである。また、式(2)が設定条件を表す式となる。
【0067】
そして、式(2)の関係が電波暗室20内で成り立つためには、送信アンテナ23−1〜23−4から送信される各合成信号のフェージング(サブパス)に対して、以下の式が成り立つことが必要である。
【0068】
<gn1(t)・gn2*(t)>=0 (n1≠n2)・・・(3a)
<gn1(t)・gn2*(t)>≠0=C (n1=n2)・・・(3b)
gnk(t)は、評価アンテナk番が受信するサブパスnのフェージングを意味する。なお、<>は時間平均を示し、*は複素共役を示す。Cは1もしくは定数である。
【0069】
上記のような式(3a)、(3b)を満たす合成信号を生成して、電波にして発出すれば、設定条件式(2)を満たすことができる。したがって、式(3a)、(3b)の両方が満たされるようなフェージングを送信アンテナ23−1〜23−4から送信する構成とすることにより、電波暗室20内で実フェージング環境に則したアンテナ特性評価を行うことが可能になる(式(2)の設定条件が満たされた環境でのアンテナ特性評価が可能になる)。また、評価アンテナ24−1、24−2の相関性を精度よく評価することが可能になる。
【0070】
ここで、評価アンテナk番の受信振幅Zk(t)は以下の式(4)で表される。A(θnk)は、k番目の評価アンテナの到来角度θnに対する電力である。
【0071】
【数1】
【0072】
また、式(4)にもとづいて、評価アンテナ24−1が受信する受信振幅と、評価アンテナ24−2が受信する受信振幅の複素共役との時間平均をとると、以下の式(5)となる。
【0073】
【数2】
【0074】
式(5)を展開すると式(5a)となる。
【0075】
【数3】
【0076】
式(5a)に対して、条件式(3a)、(3b)を適用すると、例えば、展開式に示されている部分だけを見ると、<g1(t)・g2*(t)>=<g1(t)・g3*(t)>=<g1(t)・g4*(t)>=<g2(t)・g1*(t)>=0となり(∵式(3a))、2項目、3項目、4項目、5項目は0となる。
【0077】
また、<g1(t)・g1*(t)>=<g2(t)・g2*(t)>=1とすれば(∵式(3b))、1項目はA(θ1)G1(θ1)G2(θ1)となり、6項目はA(θ2)G1(θ2)G2(θ2)となる。
【0078】
したがって、式(2)に示すようなアンテナ間相関の式に近似されることがわかる。逆に、式(5)が式(2)と等しくなるためには、条件式(3a)、(3b)が成り立つことが必要である。
【0079】
次に合成信号を生成するための信号列のパターンと、その信号列パターンを生成する合成信号生成部10の構成について以降説明する。信号列パターンの1つとして直交符号列を生成する。直交符号列としては例えば、Walsh符号を用いることができる。Walsh符号は、簡易なメモリを用いて直交符号を保存可能である。以下、簡単にWalsh符号について説明する。
【0080】
図3はWalsh符号を説明するための図である。行列A1は、行ベクトル(1、1)、(1、−1)を有し、これら2つの行ベクトルは直交する(∵1×1+1×(−1)=0)。
行列A2は、行ベクトル(A1、A1)、(A1、−A1)を有する。なお、A1は上述の2×2行列なので、行列A2を行列要素で書き出すと、4つの行ベクトル(1、1、1、1)、(1、−1、1、−1)、(1、1、−1、−1)、(1、−1、−1、1)に展開される。
【0081】
ここで、行列A2は、どの2つの行ベクトルを抽出しても直交していることがわかる。例えば、行ベクトル(1、1、1、1)、(1、−1、1、−1)は直交しているし、行ベクトル(1、−1、1、−1)、(1、−1、−1、1)も直交している。
【0082】
上記のような操作を続けていくと、行列Anは、行ベクトル(An-1、An-1)、(An-1、−An-1)を有することになり、このような行列をアダマール(Hadamard)行列と呼ぶ。また、アダマール行列の行ベクトルがWalsh符号と呼ばれるものである。
【0083】
なお、直交符号としては、Walsh符号だけでなく、例えば、{exp[j2πnk/N], (n,k =0,1,…,N-1)}のフーリエ級数に関連した符号、M系列を周期的にシフトし最後に1を追加した符号などがあり、これらを用いてもよい。
【0084】
次にWalsh符号で重み付けされた後の合成信号g1〜g4を以下の式(6a)〜(6d)に示す。
【0085】
【数4】
【0086】
また、Walsh符号の行列を式(7)に示す。
【0087】
【数5】
【0088】
合成信号g1〜g4の式(6a)〜(6d)は、式(3a)、(3b)の関係を満たしている。例えば、合成信号g1と、合成信号g2の複素共役との時間平均をとると、以下の式(8)に示すように0となり、式(3a)が満たされていることがわかる。
【0089】
【数6】
【0090】
また、同様にして例えば、合成信号g1と、合成信号g1の複素共役との時間平均をとれば、式(3b)も満たされることがわかる(説明は省略する)。
図4は合成信号生成部の構成例を示す図である。合成信号生成部10−1は、正弦波生成部(信号波生成部)11、信号列生成部12−1、乗算器m1〜m20および加算器a1〜a4を備え、各サブパス間が所定の相関になるような重み付け加算処理を行う(乗算器m1〜m20および加算器a1〜a4は重み付け処理部に該当する)。
【0091】
正弦波生成部11は、正弦波exp(jω1t)、exp(jω2t)、exp(jω3t)、exp(jω4t)を生成して出力する。ω1=2πf1、ω2=2πf2、ω3=2πf3、ω4=2πf4であり、f1〜f4は互いに異なるドップラ周波数である。また、信号列生成部12−1は、重み付けによって生成された合成信号g1〜g4が互いに所定の相関性を持つような信号列を生成する。ここでは、合成信号g1〜g4が互いに無相関となるように、Walsh符号W11〜W14、W21〜W24、W31〜W34、W41〜W44を生成して出力する。
【0092】
乗算器m1〜m4には、ベースバンド信号生成部1aから出力されるベースバンド信号が入力し、また、正弦波生成部11から出力される各正弦波が入力する。ベースバンド信号としては、例えば、LTE(Long Term Evolution)、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の変調信号sが該当する。なお、ベースバンド信号生成部1aは、合成信号生成部10−1の外に位置する構成としているが、合成信号生成部10−1内に含まれる構成にしてもよい。
【0093】
乗算器m1は、変調信号sと正弦波exp(jω1t)とを乗算して、s・exp(jω1t)を出力し、乗算器m2は、変調信号sと正弦波exp(jω2t)とを乗算して、s・exp(jω2t)を出力する。
【0094】
乗算器m3は、変調信号sと正弦波exp(jω3t)とを乗算して、s・exp(jω3t)を出力し、乗算器m4は、変調信号sと正弦波exp(jω4t)とを乗算して、s・exp(jω4t)を出力する。
【0095】
乗算器m5〜m8には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−1から出力されるWalsh符号W11〜W14がそれぞれ入力する。
乗算器m5は、s・exp(jω1t)と、Walsh符号W11とを乗算して、s・W11・exp(jω1t)を出力し、乗算器m6は、s・exp(jω2t)と、Walsh符号W12とを乗算して、s・W12・exp(jω2t)を出力する。
【0096】
乗算器m7は、s・exp(jω3t)と、Walsh符号W13とを乗算して、s・W13・exp(jω3t)を出力し、乗算器m8は、s・exp(jω4t)と、Walsh符号W14とを乗算して、s・W14・exp(jω4t)を出力する。
【0097】
また、乗算器m9〜m12には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−1から出力されるWalsh符号W21〜W24がそれぞれ入力する。
乗算器m9は、s・exp(jω1t)と、Walsh符号W21とを乗算して、s・W21・exp(jω1t)を出力し、乗算器m10は、s・exp(jω2t)と、Walsh符号W22とを乗算して、s・W22・exp(jω2t)を出力する。
【0098】
乗算器m11は、s・exp(jω3t)と、Walsh符号W23とを乗算して、s・W23・exp(jω3t)を出力し、乗算器m12は、s・exp(jω4t)と、Walsh符号W24とを乗算して、s・W24・exp(jω4t)を出力する。
【0099】
さらに、乗算器m13〜m16には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−1から出力されるWalsh符号W31〜W34がそれぞれ入力する。
乗算器m13は、s・exp(jω1t)と、Walsh符号W31とを乗算して、s・W31・exp(jω1t)を出力し、乗算器m14は、s・exp(jω2t)と、Walsh符号W32とを乗算して、s・W32・exp(jω2t)を出力する。
【0100】
乗算器m15は、s・exp(jω3t)と、Walsh符号W33とを乗算して、s・W33・exp(jω3t)を出力し、乗算器m16は、s・exp(jω4t)と、Walsh符号W34とを乗算して、s・W34・exp(jω4t)を出力する。
【0101】
さらにまた、乗算器m17〜m20には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−1から出力されるWalsh符号W41〜W44がそれぞれ入力する。
乗算器m17は、s・exp(jω1t)と、Walsh符号W41とを乗算して、s・W41・exp(jω1t)を出力し、乗算器m18は、s・exp(jω2t)と、Walsh符号W42とを乗算して、s・W42・exp(jω2t)を出力する。
【0102】
乗算器m19は、s・exp(jω3t)と、Walsh符号W43とを乗算して、s・W43・exp(jω3t)を出力し、乗算器m20は、s・exp(jω4t)と、Walsh符号W44とを乗算して、s・W44・exp(jω4t)を出力する。
【0103】
一方、加算器a1は、乗算器m5〜m8の出力結果を加算して、合成信号g1=s(W11・exp(jω1t)+W12・exp(jω2t)+W13・exp(jω3t)+W14・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g1は、アップコンバータ22−1へ入力される。
【0104】
加算器a2は、乗算器m9〜m12の出力結果を加算して、合成信号g2=s(W21・exp(jω1t)+W22・exp(jω2t)+W23・exp(jω3t)+W24・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g2は、アップコンバータ22−2へ入力される。
【0105】
加算器a3は、乗算器m13〜m16の出力結果を加算して、合成信号g3=s(W31・exp(jω1t)+W32・exp(jω2t)+W33・exp(jω3t)+W34・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g3は、アップコンバータ22−3へ入力される。
【0106】
加算器a4は、乗算器m17〜m20の出力結果を加算して、合成信号g4=s(W41・exp(jω1t)+W42・exp(jω2t)+W43・exp(jω3t)+W44・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g4は、アップコンバータ22−4へ入力される。なお、式(6a)〜(6d)では、変調信号sのパラメータを省略して示している。
【0107】
次に信号列パターンとして直交位相を用いる場合について説明する。直交位相で重み付けされた後の合成信号g1〜g4を以下の式(9a)〜(9d)に示す。
【0108】
【数7】
【0109】
また、直交位相の行列を式(10)に示す。
【0110】
【数8】
【0111】
合成信号g1〜g4の式(9a)〜(9d)は、式(3a)、(3b)の関係を満たしている。例えば、合成信号g1と、合成信号g2の複素共役との時間平均をとると、以下の式(11)に示すように0となり、式(3a)が満たされていることがわかる。
【0112】
【数9】
【0113】
また、同様にして例えば、合成信号g1と、合成信号g1の複素共役との時間平均をとれば、式(3b)も満たされることがわかる(説明は省略する)。なお、式(11)の展開において、exp(jθ)=cosθ+jsinθであるから、θ=πのときexp(jπ)=−1である。
【0114】
図5は合成信号生成部の構成例を示す図である。合成信号生成部10−2は、正弦波生成部11、信号列生成部12−2、乗算器m1〜m20および加算器a1〜a4を備え、各サブパス間が所定の相関になるような重み付け加算処理を行う。
【0115】
正弦波生成部11は、正弦波exp(jω1t)、exp(jω2t)、exp(jω3t)、exp(jω4t)を生成して出力する。信号列生成部12−2は、重み付けによって生成された合成信号g1〜g4が互いに所定の相関性を持つような信号列を生成する。ここでは、合成信号g1〜g4が互いに無相関となるように、直交位相P11〜P14、P21〜P24、P31〜P34、P41〜P44を生成して出力する。
【0116】
乗算器m1〜m4には、ベースバンド信号生成部1aから出力されるベースバンド信号が入力し、また、正弦波生成部11から出力される各正弦波が入力する。ベースバンド信号としては、例えば、LTE、W−CDMA、WiMAX等の変調信号sが該当する。なお、ベースバンド信号生成部1aは、合成信号生成部10−2内に含まれる構成としてもよい。
【0117】
乗算器m1は、変調信号sと正弦波exp(jω1t)とを乗算して、s・exp(jω1t)を出力し、乗算器m2は、変調信号sと正弦波exp(jω2t)とを乗算して、s・exp(jω2t)を出力する。
【0118】
乗算器m3は、変調信号sと正弦波exp(jω3t)とを乗算して、s・exp(jω3t)を出力し、乗算器m4は、変調信号sと正弦波exp(jω4t)とを乗算して、s・exp(jω4t)を出力する。
【0119】
乗算器m5〜m8には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−2から出力される直交位相P11〜P14がそれぞれ入力する。乗算器m5は、s・exp(jω1t)と、直交位相P11とを乗算して、s・P11・exp(jω1t)を出力し、乗算器m6は、s・exp(jω2t)と、直交位相P12とを乗算して、s・P12・exp(jω2t)を出力する。
【0120】
乗算器m7は、s・exp(jω3t)と、直交位相P13とを乗算して、s・P13・exp(jω3t)を出力し、乗算器m8は、s・exp(jω4t)と、直交位相P14とを乗算して、s・P14・exp(jω4t)を出力する。
【0121】
また、乗算器m9〜m12には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−2から出力される直交位相P21〜P24がそれぞれ入力する。
乗算器m9は、s・exp(jω1t)と、直交位相P21とを乗算して、s・P21・exp(jω1t)を出力し、乗算器m10は、s・exp(jω2t)と、直交位相P22とを乗算して、s・P22・exp(jω2t)を出力する。
【0122】
乗算器m11は、s・exp(jω3t)と、直交位相P23とを乗算して、s・P23・exp(jω3t)を出力し、乗算器m12は、s・exp(jω4t)と、直交位相P24とを乗算して、s・P24・exp(jω4t)を出力する。
【0123】
さらに、乗算器m13〜m16には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−2から出力される直交位相P31〜P34がそれぞれ入力する。
乗算器m13は、s・exp(jω1t)と、直交位相P31とを乗算して、s・P31・exp(jω1t)を出力し、乗算器m14は、s・exp(jω2t)と、直交位相P32とを乗算して、s・P32・exp(jω2t)を出力する。
【0124】
乗算器m15は、s・exp(jω3t)と、直交位相P33とを乗算して、s・P33・exp(jω3t)を出力し、乗算器m16は、s・exp(jω4t)と、直交位相P34とを乗算して、s・P34・exp(jω4t)を出力する。
【0125】
さらにまた、乗算器m17〜m20には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−2から出力される直交位相P41〜P44がそれぞれ入力する。
乗算器m17は、s・exp(jω1t)と、直交位相P41とを乗算して、s・P41・exp(jω1t)を出力し、乗算器m18は、s・exp(jω2t)と、直交位相P42とを乗算して、s・P42・exp(jω2t)を出力する。
【0126】
乗算器m19は、s・exp(jω3t)と、直交位相P43とを乗算して、s・P43・exp(jω3t)を出力し、乗算器m20は、s・exp(jω4t)と、直交位相P44とを乗算して、s・P44・exp(jω4t)を出力する。
【0127】
一方、加算器a1は、乗算器m5〜m8の出力結果を加算して、合成信号g1=s(P11・exp(jω1t)+P12・exp(jω2t)+P13・exp(jω3t)+P14・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g1は、アップコンバータ22−1へ入力される。
【0128】
加算器a2は、乗算器m9〜m12の出力結果を加算して、合成信号g2=s(P21・exp(jω1t)+P22・exp(jω2t)+P23・exp(jω3t)+P24・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g2は、アップコンバータ22−2へ入力される。
【0129】
加算器a3は、乗算器m13〜m16の出力結果を加算して、合成信号g3=s(P31・exp(jω1t)+P32・exp(jω2t)+P33・exp(jω3t)+P34・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g3は、アップコンバータ22−3へ入力される。
【0130】
加算器a4は、乗算器m17〜m20の出力結果を加算して、合成信号g4=s(P41・exp(jω1t)+P42・exp(jω2t)+P43・exp(jω3t)+P44・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g4は、アップコンバータ22−4へ入力される。なお、式(9a)〜(9d)では、変調信号sのパラメータを省略して示している。
【0131】
次に信号列パターンとして異なる周波数を用いる場合について説明する。異なる周波数の信号で重み付けされた後の合成信号g1〜g4を以下の式(12a)〜(12d)に示す。
【0132】
【数10】
【0133】
合成信号g1〜g4の式(12a)〜(12d)は、式(3a)、(3b)の関係を満たしている。例えば、合成信号g1と、合成信号g2の複素共役との時間平均をとると、以下の式(13)に示すように0となり、式(3a)が満たされていることがわかる。
【0134】
【数11】
【0135】
また、同様にして例えば、合成信号g1と、合成信号g1の複素共役との時間平均をとれば、式(3b)も満たされることがわかる(説明は省略する)。なお、式(13)の展開において、合成信号g1と、合成信号g2の複素共役との時間平均を計算すると、4・exp(j(Δa−Δb)t)となり、exp(j(Δa−Δb)t)が0に近似できるとものとして、式(13)が0になるとしている。
【0136】
ここで、exp(j(Δa−Δb)t)が0に近似できることについて簡単に説明する。exp(j(Δa−Δb)t)は正弦波であるので、正弦波を積分すると、例えば、0〜πの部分の面積とπ〜2πの部分の面積との和は0となる。したがって、正弦波exp(j(Δa−Δb)t)に関して、長い時間に渡って積分(時間平均)すると、面積として残る部分はわずかであり、長い時間で見れば0に近づくとみなすことができる。
【0137】
図6は合成信号生成部の構成例を示す図である。合成信号生成部10−3は、正弦波生成部11、信号列生成部12−3、乗算器m1〜m20および加算器a1〜a4を備え、各サブパス間が所定の相関になるような重み付け加算処理を行う。
【0138】
正弦波生成部11は、正弦波exp(jω1t)、exp(jω2t)、exp(jω3t)、exp(jω4t)を生成して出力する。信号列生成部12−3は、重み付けによって生成された合成信号g1〜g4が互いに所定の相関性を持つような信号列を生成する。ここでは、合成信号g1〜g4が互いに無相関となるように、互いに異なる周波数の信号exp(jΔat)、exp(jΔbt)、exp(jΔct)、exp(jΔdt)を生成して出力する。周波数Δa〜Δdは、Δa≠Δb≠Δc≠Δdである。
【0139】
乗算器m1〜m4には、ベースバンド信号生成部1aから出力されるベースバンド信号が入力し、また、正弦波生成部11から出力される各正弦波が入力する。ベースバンド信号としては、例えば、LTE、W−CDMA、WiMAX等の変調信号sが該当する。また、ベースバンド信号生成部1aは、合成信号生成部10−3内に含まれる構成としてもよい。
【0140】
乗算器m1は、変調信号sと正弦波exp(jω1t)とを乗算して、s・exp(jω1t)を出力し、乗算器m2は、変調信号sと正弦波exp(jω2t)とを乗算して、s・exp(jω2t)を出力する。
【0141】
乗算器m3は、変調信号sと正弦波exp(jω3t)とを乗算して、s・exp(jω3t)を出力し、乗算器m4は、変調信号sと正弦波exp(jω4t)とを乗算して、s・exp(jω4t)を出力する。
【0142】
乗算器m5〜m8には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−3から出力される信号exp(jΔat)が入力する。乗算器m5は、s・exp(jω1t)と、exp(jΔat)とを乗算して、s・exp(j(ω1+Δa)t)を出力し、乗算器m6は、s・exp(jω2t)と、exp(jΔat)とを乗算して、s・exp(j(ω2+Δa)t)を出力する。
【0143】
乗算器m7は、s・exp(jω3t)と、exp(jΔat)とを乗算して、s・exp(j(ω3+Δa)t)を出力し、乗算器m8は、s・exp(jω4t)と、exp(jΔat)とを乗算して、s・exp(j(ω4+Δa)t)を出力する。
【0144】
また、乗算器m9〜m12には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−3から出力される信号exp(jΔbt)が入力する。
乗算器m9は、s・exp(jω1t)と、exp(jΔbt)とを乗算して、s・exp(j(ω1+Δb)t)を出力し、乗算器m10は、s・exp(jω2t)と、exp(jΔbt)とを乗算して、s・exp(j(ω2+Δb)t)を出力する。
【0145】
乗算器m11は、s・exp(jω3t)と、exp(jΔbt)とを乗算して、s・exp(j(ω3+Δb)t)を出力し、乗算器m12は、s・exp(jω4t)と、exp(jΔbt)とを乗算して、s・exp(j(ω4+Δb)t)を出力する。
【0146】
さらに、乗算器m13〜m16には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−3から出力される信号exp(jΔct)がそれぞれ入力する。
乗算器m13は、s・exp(jω1t)と、exp(jΔct)とを乗算して、s・exp(j(ω1+Δc)t)を出力し、乗算器m14は、s・exp(jω2t)と、exp(jΔct)とを乗算して、s・exp(j(ω2+Δc)t)を出力する。
【0147】
乗算器m15は、s・exp(jω3t)と、exp(jΔct)とを乗算して、s・exp(j(ω3+Δc)t)を出力し、乗算器m16は、s・exp(jω4t)と、exp(jΔct)とを乗算して、s・exp(j(ω4+Δc)t)を出力する。
【0148】
さらにまた、乗算器m17〜m20には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−3から出力される信号exp(jΔdt)が入力する。
乗算器m17は、s・exp(jω1t)と、exp(jΔdt)とを乗算して、s・exp(j(ω1+Δd)t)を出力し、乗算器m18は、s・exp(jω2t)と、exp(jΔdt)とを乗算して、s・exp(j(ω2+Δd)t)を出力する。
【0149】
乗算器m19は、s・exp(jω3t)と、exp(jΔdt)とを乗算して、s・exp(j(ω3+Δd)t)を出力し、乗算器m20は、s・exp(jω4t)と、exp(jΔdt)とを乗算して、s・exp(j(ω4+Δd)t)を出力する。
【0150】
一方、加算器a1は、乗算器m5〜m8の出力結果を加算して、合成信号g1=s(exp(j(ω1+Δa)t)+exp(j(ω2+Δa)t)+exp(j(ω3+Δa)t)+exp(j(ω4+Δa)t))を出力する。この合成信号g1は、アップコンバータ22−1へ入力される。
【0151】
加算器a2は、乗算器m9〜m12の出力結果を加算して、合成信号g2=s(exp(j(ω1+Δb)t)+exp(j(ω2+Δb)t)+exp(j(ω3+Δb)t)+exp(j(ω4+Δb)t))を出力する。この合成信号g2は、アップコンバータ22−2へ入力される。
【0152】
加算器a3は、乗算器m13〜m16の出力結果を加算して、合成信号g3=s(exp(j(ω1+Δc)t)+exp(j(ω2+Δc)t)+exp(j(ω3+Δc)t)+exp(j(ω4+Δc)t))を出力する。この合成信号g3は、アップコンバータ22−3へ入力される。
【0153】
加算器a4は、乗算器m17〜m20の出力結果を加算して、合成信号g4=s(exp(j(ω1+Δd)t)+exp(j(ω2+Δd)t)+exp(j(ω3+Δd)t)+exp(j(ω4+Δd)t))を出力する。この合成信号g4は、アップコンバータ22−4へ入力される。なお、式(12a)〜(12d)では、変調信号sのパラメータを省略して示している。
【0154】
ここで、図6の信号列生成部12−3では、4つの並列する重み付け処理に対してそれぞれ異なる周波数を割り当てて、周波数exp(jΔat)、exp(jΔbt)、exp(jΔct)、exp(jΔdt)を出力して重み付けをしているが、各々の重み付け毎にすべて周波数を変えてもよい。
【0155】
すなわち、信号列生成部12−3は、乗算器m5〜m8に対して、exp(jΔa1t)、exp(jΔa2t)、exp(jΔa3t)、exp(jΔa4t)を出力し(Δa1≠Δa2≠Δa3≠Δa4)、乗算器m9〜m12に対して、exp(jΔb1t)、exp(jΔb2t)、exp(jΔb3t)、exp(jΔb4t)を出力する(Δb1≠Δb2≠Δb3≠Δb4)。
【0156】
また、乗算器m13〜m16に対して、exp(jΔc1t)、exp(jΔc2t)、exp(jΔc3t)、exp(jΔc4t)を出力し(Δc1≠Δc2≠Δc3≠Δc4)、乗算器m17〜m20に対して、exp(jΔd1t)、exp(jΔd2t)、exp(jΔd3t)、exp(jΔd4t)を出力する(Δd1≠Δd2≠Δd3≠Δd4)。このように、すべて異なる周波数を出力する構成にしてもよい。
【0157】
以上説明したように、アンテナ特性評価システムおよびアンテナ特性評価方法では、アップコンバートする前に、評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、素波に対して、重み付けを行って合成信号を生成する構成とした。
【0158】
すなわち、複数の素波に対して、所定の信号列パターンで重み付けを行った後に加算して合成信号であるフェージングを生成し、さらに重み付けとしては、サブパス間が無相関となるような重み付けを行う構成とした。
【0159】
これにより、アップコンバータや送信アンテナの数を削減して、少ない装置数で電波暗室内に実フェージング環境を再現することが可能になり、さらに、アンテナ間相関、誤り率、スループット等といったアンテナ特性の評価を精度よく実施することが可能になる。
【0160】
また、合成信号生成装置は、信号列を生成する信号列生成部と、信号波に信号列の重み付けを行って、複数の合成信号を生成する重み付け処理部とを備え、信号列生成部は、重み付けによって生成された合成信号が互いに所定の相関性を持つような信号列を生成する構成とした。また、上記では、複数の合成信号が互いに無相関となるように、直交符号、直交位相および互いに異なる周波数の信号列を生成する例を示した。
【0161】
このような構成により、少ない装置数で適切かつ柔軟に、所定の相関性を設定した複数の合成信号を生成することが可能になり、アンテナ特性評価といった試験システムなどに幅広く適用することが可能である。
【0162】
(付記1) アンテナ特性の評価を行うアンテナ特性評価システムにおいて、
評価対象のアンテナである評価アンテナと、
前記評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナと、
複数の信号波を合成して合成信号を生成する合成信号生成部と、
前記送信アンテナに接続し、前記合成信号の周波数を前記電波の周波数にアップコンバートするアップコンバータと、
前記評価アンテナと接続し、前記電波を受信した前記評価アンテナの前記アンテナ特性の評価を行う評価部と、
を備え、
前記合成信号生成部は、
前記評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、前記信号波に重み付けを行って前記合成信号を生成する、
ことを特徴とするアンテナ特性評価システム。
【0163】
(付記2) 前記合成信号生成部は、前記条件として、互いに無相関の前記電波を前記評価アンテナが受信するように、前記合成信号が互いに無相関となる前記重み付けを行うことを特徴とする付記1記載のアンテナ特性評価システム。
【0164】
(付記3) 前記合成信号生成部は、前記信号波に直交符号の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記2記載のアンテナ特性評価システム。
(付記4) 前記合成信号生成部は、前記信号波に直交位相の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記2記載のアンテナ特性評価システム。
【0165】
(付記5) 前記合成信号生成部は、前記信号波に互いに異なる周波数の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記2記載のアンテナ特性評価システム。
【0166】
(付記6) アンテナ特性の評価を行うアンテナ特性評価方法において、
評価対象のアンテナである評価アンテナと、前記評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナとを設置し、
前記評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、信号波に重み付けを行って合成信号を生成し、
前記合成信号の周波数を前記電波の周波数にアップコンバートし、
前記電波を受信した前記評価アンテナの前記アンテナ特性の評価を行う、
ことを特徴とするアンテナ特性評価方法。
【0167】
(付記7) 前記条件として、互いに無相関の前記電波を前記評価アンテナが受信するように、前記合成信号が互いに無相関となる前記重み付けを行うことを特徴とする付記6記載のアンテナ特性評価方法。
【0168】
(付記8) 前記信号波に直交符号の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記7記載のアンテナ特性評価方法。
(付記9) 前記信号波に直交位相の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記7記載のアンテナ特性評価方法。
【0169】
(付記10) 前記信号波に互いに異なる周波数の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記7記載のアンテナ特性評価方法。
(付記11) 異なる周波数の信号波を生成する信号波生成部と、
信号列を生成する信号列生成部と、
前記信号波に前記信号列の重み付けを行って、複数の合成信号を生成する重み付け処理部と、
を備え、
前記信号列生成部は、前記重み付けによって生成された前記合成信号が互いに所定の相関性を持つような前記信号列を生成する、
ことを特徴とする合成信号生成装置。
【0170】
(付記12) 前記信号列生成部は、複数の前記合成信号が互いに無相関となるように、前記信号列として直交符号を生成することを特徴とする付記11記載の合成信号生成装置。
【0171】
(付記13) 前記信号列生成部は、複数の前記合成信号が互いに無相関となるように、前記信号列として直交位相を生成することを特徴とする付記11記載の合成信号生成装置。
【0172】
(付記14) 前記信号列生成部は、複数の前記合成信号が互いに無相関となるように、互いに異なる周波数の前記信号列を生成することを特徴とする付記11記載の合成信号生成装置。
【符号の説明】
【0173】
1 アンテナ特性評価システム
10 合成信号生成部
20 電波暗室
22−1〜22−4 アップコンバータ
23−1〜23−4 送信アンテナ
24−1、24−2 評価アンテナ
30 評価部
31 アンテナ特性評価ボード
32 評価用端末
g1〜g4 合成信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ特性の評価を行うアンテナ特性評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナは、無線伝送特性を左右するキー部品の1つであり、高品質な無線通信を実現するためには、高性能なアンテナが要求される。また、電波伝搬環境に応じた、電波の放射・吸収特性を最適化したアンテナ設計を行うためには、アンテナの特性を測定・評価するアンテナ特性評価技術が重要になる。
【0003】
近年の無線通信の分野では、MIMO(Multi Input Multi Output:複数のアンテナを用いて、データの送受信を行う無線通信技術)方式を使った高速無線通信が開発されており、将来、携帯端末などの小型の機器においても、マルチアンテナの実装が必須となると予測される。
【0004】
図7はマルチアンテナの放射パターンを説明するための図である。通信端末MSにアンテナA1、A2のマルチアンテナが設けられている。マルチアンテナ技術では、アンテナA1、A2で受信状態が異なるようにし、片側のアンテナで受信困難な場合でも、反対側のアンテナで受信可能としたダイバーシティ受信を行うことで、通信品質を向上させる。
【0005】
アンテナA1、A2の受信状態が異なるほど、ダイバーシティ受信の効果は上がる。例えば図7のように、一方のアンテナであるアンテナA1の指向性が、左方向に電波を強く放射し(左方向に放射電力が強い)、右方向には電波を弱く放射する(右方向は放射電力が弱い)といった、放射パターンp1であるとする。
【0006】
この場合には、他方のアンテナには、左方向に電波を弱く放射し、右方向には電波を強く放射する放射パターンp2となるような指向性を持つアンテナA2を、放射パターン同士が重ならない位置に配置する。
【0007】
ここで、電波が左から右の方向に送信されて、通信端末MSに到来した場合を考える。電波の放射パターンの強弱は、電波の吸収パターンの強弱と同じであるため、到来電波(到来電波b1とする)に対して、アンテナA2では、吸収電力が弱いので受信困難となるが、アンテナA1では、吸収電力が強いので受信可能となる。
【0008】
また、通信端末MSが移動し、その移動地点において、電波が右から左の方向に送信されて通信端末MSに到来したとすると、この到来電波(到来電波b2とする)に対しては、アンテナA1では、吸収電力が弱いので受信困難であるが、アンテナA2では、吸収電力が強いので受信可能となる。
【0009】
このように、マルチアンテナの設計を行う場合は、電波伝搬環境において、アンテナA1、A2の指向性を互いに補完して、アンテナ間での受信状態の相関(アンテナ間相関)が小さくなるように、放射(吸収)パターンの最適化を行う。
【0010】
図8はアンテナ間相関が小さい場合の電波受信強度を示す図である。縦軸は電波受信強度、横軸は時間である。図7で示したアンテナA1、A2で、到来電波b1、b2を受信したときの受信強度を示している。
【0011】
時間t0〜t1で到来電波b1があったときは、アンテナA2の受信強度は低下するが、アンテナA1の受信強度は上昇する。また、時間t1以降で到来電波b2があったときは、アンテナA1の受信強度は低下するが、アンテナA2の受信強度は上昇する。このように、アンテナ間相関を小さくして、受信強度の劣化をアンテナ間で補うことができる。
【0012】
図9はアンテナ間相関が大きい場合の電波受信強度を示す図である。縦軸は電波受信強度、横軸は時間である。通信端末MSaには、図7で示したアンテナA1と同じ放射パターンを持つアンテナA2−1が設置しているとする。
【0013】
時間t0〜t1で到来電波b1があったときは、アンテナA1、A2−1ともに受信強度は上昇するが、時間t1以降で到来電波b2があったときは、アンテナA1、A2−1ともに受信強度は低下してしまう。このように、アンテナ間相関が大きい場合は、放射パターンが落ち込む部分において、アンテナA1、A2−1ともに受信強度が劣化することになる。
【0014】
アンテナの最適化設計を行う場合には、アンテナ特性の評価を行うが、このとき、特にマルチアンテナの特性を評価する場合は、アンテナ単体の特性ばかりでなく、上述のように、アンテナ間相関が、アンテナ特性を決める際の重要な評価指標となる。また、誤り率(BLER:block error probability)やスループット等の無線特性を決める際にも、アンテナ間相関は重要な要素となる。
【0015】
一方、実際の電波伝搬環境においては、基地局から送信された搬送電波(キャリア)は、マルチパス(信号波が山やビルなどの反射によって複数の経路を伝搬する現象)を経由して通信端末に到達する。
【0016】
よって、通信端末が移動していた場合には、各パスでキャリアの到来角度に依存してキャリア周波数が異なるドップラシフトを受けることになる。すなわち、キャリア周波数にあらたなドップラ周波数が加わり、受信周波数が変位することになる。
【0017】
このため、通信端末では、周波数領域において広がった複数の信号を受信することにより、レベルが激しく変動するフェージング(時間差をもって到達した電波の波長が干渉し合うことによって電波レベルの強弱が変化する現象またはその変動波)を受ける。フェージングによる受信レベル変動は、無線通信における情報伝送のBLERを増大する原因となる。
【0018】
したがって、アンテナ間相関を精度よく評価するには、計算機シミュレーション等によって、実際の電波伝搬環境を模擬したフェージング環境を再現することが必要である。そして、このフェージング環境で測定した値を統計処理して最適化設計を実現することで、アンテナの品質向上が可能となる。
【0019】
図10は従来のアンテナ特性評価を示す図である。通信端末MSの周辺に信号発生源5−1〜5−5が配置する。信号発生源5−1〜5−5のそれぞれは、キャリア周波数に対して互いに異なるドップラ周波数Δf1〜Δf5シフトした周波数を持つ正弦波の電波を発生する。なお、信号発生源5−1〜5−5からは、素波(複数の信号波が合成されていない単一の信号波)の状態で各正弦波電波が放射される。
【0020】
図10で示した評価環境では、通信端末MSの周囲に配置された複数の信号発生源5−1〜5−5から、異なるドップラ周波数シフトした電波を放射させて、電波を合成させる。そして、通信端末MSが合成波を受信することで、模擬的なフェージング環境を生成している。
【0021】
ここで、ドップラ周波数の定義について説明する。図11はドップラ周波数を説明するための図である。マルチパス中の1つのパスから到来したキャリア周波数fcが、通信端末MSの進行方向に対して角度θで到来する場合を考える。
【0022】
通信端末MSの移動速度をv、キャリアの波長をλ、到来角度をθとすると、ドップラ周波数Δfは、進行方向を基準としたときの見かけ上の電波の波長によって次式のように表せる。
【0023】
Δf=v/(λ/cosθ)=vcosθ/λ・・・(1)
図12は通信端末MSの進行方向と電波の到来角とに応じたドップラ周波数の変化を示す図である。(A)は通信端末MSの進行方向に対し同一方向のパスから電波を受けた場合、(B)は通信端末MSの進行方向に対し垂直方向から電波を受けた場合を示している。
【0024】
(A)のように、通信端末MSの進行方向と同一方向のパスから電波を受ければ、θ=0、πとなり、式(1)より、ドップラ周波数の絶対値|Δf|は最大となる。
また、(B)のように、通信端末MSの進行方向に対し垂直方向から電波を受ける場合は、進行方向に対する見かけ上の電波の波長は生成されないので、通信端末MSが移動していないのと同じことになり、ドップラシフトの影響は受けない(θ=π/2、3π/2となり、Δf=0)。
【0025】
ここで、図10で示した評価環境において、通信端末MSが、ある方向に移動すると仮定すると、信号発生源5−1〜5−5には、通信端末MSの移動方向に対する電波の到来角度に応じたドップラ周波数を設定して、そのドップラ周波数を持つ電波を放射させることになる。
【0026】
例えば図10に示すように、通信端末MSが矢印Xの信号発生源5−4の方向に移動すると仮定すると、信号発生源5−1〜5−5の周波数設定としては、式(1)からわかるように、信号発生源5−4のドップラ周波数Δf4が最も高くなるように設定し、その他の信号発生源からのドップラ周波数は、ドップラ周波数Δf4と比べて低くなるように設定する。
【0027】
通信端末MSは、固定しており、実際は移動させることはなく、その代わりに、通信端末MSの移動方向に沿って変化するドップラ周波数の変化を、信号発生源5−1〜5−5側で可変に設定して、設定された電波を放射させるものである。
【0028】
このように、通信端末MSが移動したとみなしたときのドップラシフトを信号発生源側で生成し、このときに評価すべきアンテナに生じる受信強度の落ち込みなどを測定評価したりする。
【0029】
アンテナ特性評価の従来技術として、複数の散乱体アンテナを配置して、電波の振幅と位相を制御してアンテナ特性の評価を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1)。また、無相関の正弦波を加算してマルチパスフェージング環境に対応するシミュレータの構成が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2005−227213号公報
【特許文献2】特開2006−174254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
図10で示したような評価環境を具体的なシステムで実現する場合、通常は、電波暗室内に複数のアンテナを配置した測定環境を構築し、この電波暗室内でアンテナ特性評価を行う。なお、電波暗室とは、室内の天井、壁、および床の全面に、電波吸収体を取り付けて、室内での電波の反射を抑えた部屋のことである。
【0032】
図13は従来のアンテナ特性評価システムの構成を示す図である。電波暗室50内にアンテナ53−1〜53−4と、アンテナ54a、54bが配置される(以降、評価用の電波を放射するアンテナを送信アンテナ、評価対象のアンテナを評価アンテナと呼ぶ)。
【0033】
また、送信アンテナ53−1〜53−4は、アップコンバータ52−1〜52−4のそれぞれと接続し、評価アンテナ54a、54bは、アンテナ特性評価ボード55と接続する。アンテナ特性評価ボード55は、評価用端末56と接続する。
【0034】
アップコンバータ52−1〜52−4は、ベースバンド信号をRF(Radio Frequency)信号の周波数帯にそれぞれアップコンバートする。すなわち、アップコンバータ52−1は、ベースバンド信号をドップラ周波数Δf1のRF信号にアップコンバートする。アップコンバータ52−2は、ベースバンド信号をドップラ周波数がΔf2のRF信号にアップコンバートする。
【0035】
また、アップコンバータ52−3は、ベースバンド信号をドップラ周波数がΔf3のRF信号にアップコンバートする。アップコンバータ52−4は、ベースバンド信号をドップラ周波数がΔf4のRF信号にアップコンバートする。
【0036】
送信アンテナ53−1〜53−4はそれぞれ、ドップラ周波数Δf1〜Δf4の電波を放射する。放射された電波は、電波暗室50内で合成されてフェージング波となり、評価アンテナ54a、54bで受信される。アンテナ特性評価ボード55は、評価アンテナ54a、54bで受信された電波をダウンコンバートして、ベースバンド信号に変換する。評価用端末56は、ダウンコンバート後のベースバンド信号にもとづいて、アンテナ特性を解析する。
【0037】
上記のような構成によって、電波暗室50内にフェージング環境(例えば、レイリーフェージング環境)を擬似的に生成して、評価アンテナ54a、54bの特性評価を行っていた。
【0038】
ここで、マルチアンテナ特性は、個々のアンテナの利得や放射効率に加え、アンテナ間相関についても考慮し、アンテナ評価の際には、移動端末の実環境であるレイリーフェージング環境を電波暗室50内に生成することが望まれる。
【0039】
フェージングは、様々なドップラ周波数の波を合成することで生成することができ、合成するドップラ周波数の電波の数を増やすことで、より実環境に近いレイリーフェージングを生成することが可能である。
【0040】
しかし、上記のような従来のアンテナ特性評価のシステム構成で、実環境のレイリーフェージングに近づけようとすると、異なるドップラ周波数の電波の数を増やすことになる。このため、RF帯にアップコンバートするためのアップコンバータおよび送信アンテナの数を増やさなければならない。
【0041】
図14は従来のアンテナ特性評価システムの構成を示す図である。アップコンバータおよび送信アンテナを増やしたときの構成を示している。電波暗室50内に送信アンテナ53−1〜53−nが設置され、送信アンテナ53−1〜53−nは、アップコンバータ52−1〜52−nのそれぞれと接続する。
【0042】
電波暗室50内の環境を実フェージング環境に近づけようとして、図14のような構成にすると、コストが増加し、また、スペース的にも設置数が限られるために、送信アンテナの所望数を設置できないといった問題があった。
【0043】
さらには、従来のシステム構成では、アンテナ間の相関性を適切・柔軟に設定することができず、実際の環境に近いフェージング環境を再現することが困難であるといった問題があった。このように、従来のアンテナ特性評価システムでは、精度の高いアンテナ特性評価を実施することができなかった。
【0044】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、少ない装置数で、効率よく高精度のアンテナ特性評価を行うアンテナ特性評価システムを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、少ない装置数で、効率よく高精度のアンテナ特性評価を行うアンテナ特性評価方法を提供することである。
【0045】
さらに、本発明の他の目的は、所定の相関性を有する合成信号を生成する合成信号生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0046】
上記課題を解決するために、アンテナ特性評価システムが提供される。このアンテナ特性評価システムは、評価対象のアンテナである評価アンテナと、評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナと、複数の信号波を合成して合成信号を生成する合成信号生成部と、送信アンテナに接続し、合成信号の周波数を電波の周波数にアップコンバートするアップコンバータと、評価アンテナと接続し、電波を受信した評価アンテナのアンテナ特性の評価を行う評価部とを備える、
ここで、合成信号生成部は、評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、信号波に重み付けを行って合成信号を生成する。
【発明の効果】
【0047】
高精度のアンテナ特性評価を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】アンテナ特性評価システムの構成例を示す図である。
【図2】電波暗室内のサブパスを示す図である。
【図3】Walsh符号を説明するための図である。
【図4】合成信号生成部の構成例を示す図である。
【図5】合成信号生成部の構成例を示す図である。
【図6】合成信号生成部の構成例を示す図である。
【図7】マルチアンテナの放射パターンを説明するための図である。
【図8】アンテナ間相関が小さい場合の電波受信強度を示す図である。
【図9】アンテナ間相関が大きい場合の電波受信強度を示す図である。
【図10】従来のアンテナ特性評価を示す図である。
【図11】ドップラ周波数を説明するための図である。
【図12】通信端末の進行方向と電波の到来角とに応じたドップラ周波数の変化を示す図である。(A)は通信端末の進行方向に対し同一方向のパスから電波を受けた場合、(B)は通信端末の進行方向に対し垂直方向から電波を受けた場合を示している。
【図13】従来のアンテナ特性評価システムの構成を示す図である。
【図14】従来のアンテナ特性評価システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はアンテナ特性評価システムの構成例を示す図である。アンテナ特性評価システム1は、送信アンテナ23−1〜23−4、評価アンテナ24−1、24−2、合成信号生成部10、アップコンバータ22−1〜22−4、評価部30を備え、電波暗室20内でアンテナ特性の評価を行うシステムである(図の例では、電波暗室20内に送信アンテナが4つ、評価アンテナが2つ配置されているが、これらの個数は任意である)。
【0050】
評価アンテナ24−1、24−2は、電波暗室20内に配置され、アンテナ特性評価対象のアンテナである。送信アンテナ23−1〜23−4は、評価アンテナ24−1、24−2に電波を放射する仮想的散乱体としてのアンテナであり、電波暗室20内の適切な位置に分散して配置される。
【0051】
合成信号生成部10は、複数の周波数の異なる信号波(素波)を発生し、素波を合成して合成信号g1〜g4を生成する。アップコンバータ22−1〜22−4は、送信アンテナ23−1〜23−4にそれぞれ接続し、合成信号g1〜g4の各周波数をRF帯にアップコンバートする。アップコンバートされた合成信号g1〜g4は、送信アンテナ23−1〜23−4を介して放射される。
【0052】
評価部30は、アンテナ特性評価ボード31および評価用端末32を含む。アンテナ特性評価ボード31は、評価アンテナ24−1、24−2と接続する。アンテナ特性評価ボード31は、評価アンテナ24−1、24−2で受信された電波をダウンコンバートする。評価用端末32は、ダウンコンバート後の信号にもとづいて、アンテナ特性を解析する。
【0053】
ここで、合成信号生成部10は、評価アンテナ24−1、24−2の相関性を評価するための条件を満たすように、素波に重み付けを行って合成信号g1〜g4を生成する。複数の素波に対して所定の重み付けを行って、重み付け後の信号の和を求めることにより、フェージングである合成信号g1〜g4が生成する(以下、合成信号をフェージングとも呼ぶ)。送信アンテナ23−1〜23−4から出力されたフェージングは、電波暗室20内でも合成されることになる。
【0054】
従来では、周波数の異なる素波を送信アンテナから出力して、電波暗室内でフェージングを生成していたので、装置数が多くなり、コストが増加して設置スペースを確保できないといった問題があった。
【0055】
これに対し、アンテナ特性評価システム1では、合成信号生成部10でフェージングを生成して、送信アンテナ23−1〜23−4から出力する構成をとるので、少ない装置数で効率よくアンテナ特性評価を行うことができ、コストを削減し、設置スペースの問題を解決することができる。
【0056】
また、上記の条件とは、具体的には、互いに無相関の電波を評価アンテナ24−1、24−2が受信できるようにするための条件(以下、設定条件と呼ぶ)であって、合成信号生成部10では、合成信号g1〜g4が互いに無相関となる重み付け処理を行って、互いに相関性の無い合成信号g1〜g4を出力する(詳細は後述)。
【0057】
これにより、電波暗室20内を実フェージング環境に近い環境にすることができ、評価アンテナ24−1、24−2のアンテナ間相関、誤り率、スループット等の多くのアンテナ特性を精度よく評価することが可能になる。
【0058】
次に電波暗室20内で再現すべきフェージング環境および評価アンテナ24−1、24−2のアンテナ間相関を精度よく評価するための設定条件について詳しく説明する。
ワイヤレス通信の環境としては、多重波伝搬の基本電波強度分布であるレイリー分布を有するレイリーフェージング環境が一般的であると言われている。以降では、このようなレイリーフェージング環境を模擬的に生成して、アンテナ特性の評価を行うものとして説明する。
【0059】
図2は電波暗室20内のサブパスを示す図である。電波暗室20には、送信アンテナ23−1〜23−4と、評価アンテナ24−1、24−2とが設けられている。なお、以降では、送信アンテナ23−1〜23−4それぞれが出力する1つのフェージングをサブパスとも呼ぶ。複数のサブパスを合成した合成波が、フェージング環境上におけるマルチパスを形成する1つのパスとみなすことができる。
【0060】
送信アンテナ23−1は、フェージングg1(t)を出力し、送信アンテナ23−2は、フェージングg2(t)を出力する。また、送信アンテナ23−3は、フェージングg3(t)を出力し、送信アンテナ23−4は、フェージングg4(t)を出力する。gn(t)は、サブパスnのフェージングであって、nはサブパスの番号である。
【0061】
また、評価アンテナ24−1は、G1(θ)の受信アンテナ利得を有し、評価アンテナ24−2は、G2(θ)の受信アンテナ利得を有する。なお、θは、サブパス(フェージング)の到来角度であり、Gk(θ)は、到来角度θに対するk番目の評価アンテナの利得(振幅の次元)である。kは、評価アンテナの番号である(この例では、k=1は評価アンテナ24−1に該当し、k=2は評価アンテナ24−2に該当するものとする)。
【0062】
ここで、実フェージング環境におけるパスは、様々に到来方向を変えて一定の経路は持たない。例えば、ビルに反射するパスも一定の到来方向ではなく時間毎に変化し、また、車両等の移動体の有無などによっても様々に到来方向は変化して、パスの経路は固定的なものではない。
【0063】
このため、長時間に渡って複数パスの時間平均をとると、相関性が0に近くなることがわかる。すなわち、実フェージング環境でのパスの相関性は、一定時間の平均をとると無相関に近いものといえる。したがって、電波暗室20内において実フェージング環境に近い環境を再現するためには、互いに異なるサブパスの相関性が無相関となるような状態にすればよい。
【0064】
このような状態のサブパスを評価アンテナ24−1、24−2で受信すると、このときの評価アンテナ24−1、24−2の理想的なアンテナ間相関Rを表す式は、アンテナ利得のパラメータで表すと以下の式(2)となる。
【0065】
R=G1(θ1)・G2(θ1)+G1(θ2)・G2(θ2)+G1(θ3)・G2(θ3)+G1(θ4)・G2(θ4)・・・(2)
Gk(θn)は、サブパスnの到来角度θnに対するk番目の評価アンテナの利得である。なお、サブパス1〜4は、送信アンテナ23−1〜23−4から出力されたフェージングg1(t)〜g4(t)にそれぞれ対応する。
【0066】
サブパス1〜4が存在する実フェージング環境(サブパス1〜4が互いに相関性の無い環境)を仮定したとき、その環境内に受信アンテナk=1、受信アンテナk=2(評価アンテナ24−1、24−2に該当)があって、サブパス1〜4を受信する場合、受信アンテナk=1および受信アンテナk=2のアンテナ間相関は、式(2)の関係が成り立つということである。また、式(2)が設定条件を表す式となる。
【0067】
そして、式(2)の関係が電波暗室20内で成り立つためには、送信アンテナ23−1〜23−4から送信される各合成信号のフェージング(サブパス)に対して、以下の式が成り立つことが必要である。
【0068】
<gn1(t)・gn2*(t)>=0 (n1≠n2)・・・(3a)
<gn1(t)・gn2*(t)>≠0=C (n1=n2)・・・(3b)
gnk(t)は、評価アンテナk番が受信するサブパスnのフェージングを意味する。なお、<>は時間平均を示し、*は複素共役を示す。Cは1もしくは定数である。
【0069】
上記のような式(3a)、(3b)を満たす合成信号を生成して、電波にして発出すれば、設定条件式(2)を満たすことができる。したがって、式(3a)、(3b)の両方が満たされるようなフェージングを送信アンテナ23−1〜23−4から送信する構成とすることにより、電波暗室20内で実フェージング環境に則したアンテナ特性評価を行うことが可能になる(式(2)の設定条件が満たされた環境でのアンテナ特性評価が可能になる)。また、評価アンテナ24−1、24−2の相関性を精度よく評価することが可能になる。
【0070】
ここで、評価アンテナk番の受信振幅Zk(t)は以下の式(4)で表される。A(θnk)は、k番目の評価アンテナの到来角度θnに対する電力である。
【0071】
【数1】
【0072】
また、式(4)にもとづいて、評価アンテナ24−1が受信する受信振幅と、評価アンテナ24−2が受信する受信振幅の複素共役との時間平均をとると、以下の式(5)となる。
【0073】
【数2】
【0074】
式(5)を展開すると式(5a)となる。
【0075】
【数3】
【0076】
式(5a)に対して、条件式(3a)、(3b)を適用すると、例えば、展開式に示されている部分だけを見ると、<g1(t)・g2*(t)>=<g1(t)・g3*(t)>=<g1(t)・g4*(t)>=<g2(t)・g1*(t)>=0となり(∵式(3a))、2項目、3項目、4項目、5項目は0となる。
【0077】
また、<g1(t)・g1*(t)>=<g2(t)・g2*(t)>=1とすれば(∵式(3b))、1項目はA(θ1)G1(θ1)G2(θ1)となり、6項目はA(θ2)G1(θ2)G2(θ2)となる。
【0078】
したがって、式(2)に示すようなアンテナ間相関の式に近似されることがわかる。逆に、式(5)が式(2)と等しくなるためには、条件式(3a)、(3b)が成り立つことが必要である。
【0079】
次に合成信号を生成するための信号列のパターンと、その信号列パターンを生成する合成信号生成部10の構成について以降説明する。信号列パターンの1つとして直交符号列を生成する。直交符号列としては例えば、Walsh符号を用いることができる。Walsh符号は、簡易なメモリを用いて直交符号を保存可能である。以下、簡単にWalsh符号について説明する。
【0080】
図3はWalsh符号を説明するための図である。行列A1は、行ベクトル(1、1)、(1、−1)を有し、これら2つの行ベクトルは直交する(∵1×1+1×(−1)=0)。
行列A2は、行ベクトル(A1、A1)、(A1、−A1)を有する。なお、A1は上述の2×2行列なので、行列A2を行列要素で書き出すと、4つの行ベクトル(1、1、1、1)、(1、−1、1、−1)、(1、1、−1、−1)、(1、−1、−1、1)に展開される。
【0081】
ここで、行列A2は、どの2つの行ベクトルを抽出しても直交していることがわかる。例えば、行ベクトル(1、1、1、1)、(1、−1、1、−1)は直交しているし、行ベクトル(1、−1、1、−1)、(1、−1、−1、1)も直交している。
【0082】
上記のような操作を続けていくと、行列Anは、行ベクトル(An-1、An-1)、(An-1、−An-1)を有することになり、このような行列をアダマール(Hadamard)行列と呼ぶ。また、アダマール行列の行ベクトルがWalsh符号と呼ばれるものである。
【0083】
なお、直交符号としては、Walsh符号だけでなく、例えば、{exp[j2πnk/N], (n,k =0,1,…,N-1)}のフーリエ級数に関連した符号、M系列を周期的にシフトし最後に1を追加した符号などがあり、これらを用いてもよい。
【0084】
次にWalsh符号で重み付けされた後の合成信号g1〜g4を以下の式(6a)〜(6d)に示す。
【0085】
【数4】
【0086】
また、Walsh符号の行列を式(7)に示す。
【0087】
【数5】
【0088】
合成信号g1〜g4の式(6a)〜(6d)は、式(3a)、(3b)の関係を満たしている。例えば、合成信号g1と、合成信号g2の複素共役との時間平均をとると、以下の式(8)に示すように0となり、式(3a)が満たされていることがわかる。
【0089】
【数6】
【0090】
また、同様にして例えば、合成信号g1と、合成信号g1の複素共役との時間平均をとれば、式(3b)も満たされることがわかる(説明は省略する)。
図4は合成信号生成部の構成例を示す図である。合成信号生成部10−1は、正弦波生成部(信号波生成部)11、信号列生成部12−1、乗算器m1〜m20および加算器a1〜a4を備え、各サブパス間が所定の相関になるような重み付け加算処理を行う(乗算器m1〜m20および加算器a1〜a4は重み付け処理部に該当する)。
【0091】
正弦波生成部11は、正弦波exp(jω1t)、exp(jω2t)、exp(jω3t)、exp(jω4t)を生成して出力する。ω1=2πf1、ω2=2πf2、ω3=2πf3、ω4=2πf4であり、f1〜f4は互いに異なるドップラ周波数である。また、信号列生成部12−1は、重み付けによって生成された合成信号g1〜g4が互いに所定の相関性を持つような信号列を生成する。ここでは、合成信号g1〜g4が互いに無相関となるように、Walsh符号W11〜W14、W21〜W24、W31〜W34、W41〜W44を生成して出力する。
【0092】
乗算器m1〜m4には、ベースバンド信号生成部1aから出力されるベースバンド信号が入力し、また、正弦波生成部11から出力される各正弦波が入力する。ベースバンド信号としては、例えば、LTE(Long Term Evolution)、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の変調信号sが該当する。なお、ベースバンド信号生成部1aは、合成信号生成部10−1の外に位置する構成としているが、合成信号生成部10−1内に含まれる構成にしてもよい。
【0093】
乗算器m1は、変調信号sと正弦波exp(jω1t)とを乗算して、s・exp(jω1t)を出力し、乗算器m2は、変調信号sと正弦波exp(jω2t)とを乗算して、s・exp(jω2t)を出力する。
【0094】
乗算器m3は、変調信号sと正弦波exp(jω3t)とを乗算して、s・exp(jω3t)を出力し、乗算器m4は、変調信号sと正弦波exp(jω4t)とを乗算して、s・exp(jω4t)を出力する。
【0095】
乗算器m5〜m8には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−1から出力されるWalsh符号W11〜W14がそれぞれ入力する。
乗算器m5は、s・exp(jω1t)と、Walsh符号W11とを乗算して、s・W11・exp(jω1t)を出力し、乗算器m6は、s・exp(jω2t)と、Walsh符号W12とを乗算して、s・W12・exp(jω2t)を出力する。
【0096】
乗算器m7は、s・exp(jω3t)と、Walsh符号W13とを乗算して、s・W13・exp(jω3t)を出力し、乗算器m8は、s・exp(jω4t)と、Walsh符号W14とを乗算して、s・W14・exp(jω4t)を出力する。
【0097】
また、乗算器m9〜m12には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−1から出力されるWalsh符号W21〜W24がそれぞれ入力する。
乗算器m9は、s・exp(jω1t)と、Walsh符号W21とを乗算して、s・W21・exp(jω1t)を出力し、乗算器m10は、s・exp(jω2t)と、Walsh符号W22とを乗算して、s・W22・exp(jω2t)を出力する。
【0098】
乗算器m11は、s・exp(jω3t)と、Walsh符号W23とを乗算して、s・W23・exp(jω3t)を出力し、乗算器m12は、s・exp(jω4t)と、Walsh符号W24とを乗算して、s・W24・exp(jω4t)を出力する。
【0099】
さらに、乗算器m13〜m16には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−1から出力されるWalsh符号W31〜W34がそれぞれ入力する。
乗算器m13は、s・exp(jω1t)と、Walsh符号W31とを乗算して、s・W31・exp(jω1t)を出力し、乗算器m14は、s・exp(jω2t)と、Walsh符号W32とを乗算して、s・W32・exp(jω2t)を出力する。
【0100】
乗算器m15は、s・exp(jω3t)と、Walsh符号W33とを乗算して、s・W33・exp(jω3t)を出力し、乗算器m16は、s・exp(jω4t)と、Walsh符号W34とを乗算して、s・W34・exp(jω4t)を出力する。
【0101】
さらにまた、乗算器m17〜m20には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−1から出力されるWalsh符号W41〜W44がそれぞれ入力する。
乗算器m17は、s・exp(jω1t)と、Walsh符号W41とを乗算して、s・W41・exp(jω1t)を出力し、乗算器m18は、s・exp(jω2t)と、Walsh符号W42とを乗算して、s・W42・exp(jω2t)を出力する。
【0102】
乗算器m19は、s・exp(jω3t)と、Walsh符号W43とを乗算して、s・W43・exp(jω3t)を出力し、乗算器m20は、s・exp(jω4t)と、Walsh符号W44とを乗算して、s・W44・exp(jω4t)を出力する。
【0103】
一方、加算器a1は、乗算器m5〜m8の出力結果を加算して、合成信号g1=s(W11・exp(jω1t)+W12・exp(jω2t)+W13・exp(jω3t)+W14・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g1は、アップコンバータ22−1へ入力される。
【0104】
加算器a2は、乗算器m9〜m12の出力結果を加算して、合成信号g2=s(W21・exp(jω1t)+W22・exp(jω2t)+W23・exp(jω3t)+W24・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g2は、アップコンバータ22−2へ入力される。
【0105】
加算器a3は、乗算器m13〜m16の出力結果を加算して、合成信号g3=s(W31・exp(jω1t)+W32・exp(jω2t)+W33・exp(jω3t)+W34・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g3は、アップコンバータ22−3へ入力される。
【0106】
加算器a4は、乗算器m17〜m20の出力結果を加算して、合成信号g4=s(W41・exp(jω1t)+W42・exp(jω2t)+W43・exp(jω3t)+W44・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g4は、アップコンバータ22−4へ入力される。なお、式(6a)〜(6d)では、変調信号sのパラメータを省略して示している。
【0107】
次に信号列パターンとして直交位相を用いる場合について説明する。直交位相で重み付けされた後の合成信号g1〜g4を以下の式(9a)〜(9d)に示す。
【0108】
【数7】
【0109】
また、直交位相の行列を式(10)に示す。
【0110】
【数8】
【0111】
合成信号g1〜g4の式(9a)〜(9d)は、式(3a)、(3b)の関係を満たしている。例えば、合成信号g1と、合成信号g2の複素共役との時間平均をとると、以下の式(11)に示すように0となり、式(3a)が満たされていることがわかる。
【0112】
【数9】
【0113】
また、同様にして例えば、合成信号g1と、合成信号g1の複素共役との時間平均をとれば、式(3b)も満たされることがわかる(説明は省略する)。なお、式(11)の展開において、exp(jθ)=cosθ+jsinθであるから、θ=πのときexp(jπ)=−1である。
【0114】
図5は合成信号生成部の構成例を示す図である。合成信号生成部10−2は、正弦波生成部11、信号列生成部12−2、乗算器m1〜m20および加算器a1〜a4を備え、各サブパス間が所定の相関になるような重み付け加算処理を行う。
【0115】
正弦波生成部11は、正弦波exp(jω1t)、exp(jω2t)、exp(jω3t)、exp(jω4t)を生成して出力する。信号列生成部12−2は、重み付けによって生成された合成信号g1〜g4が互いに所定の相関性を持つような信号列を生成する。ここでは、合成信号g1〜g4が互いに無相関となるように、直交位相P11〜P14、P21〜P24、P31〜P34、P41〜P44を生成して出力する。
【0116】
乗算器m1〜m4には、ベースバンド信号生成部1aから出力されるベースバンド信号が入力し、また、正弦波生成部11から出力される各正弦波が入力する。ベースバンド信号としては、例えば、LTE、W−CDMA、WiMAX等の変調信号sが該当する。なお、ベースバンド信号生成部1aは、合成信号生成部10−2内に含まれる構成としてもよい。
【0117】
乗算器m1は、変調信号sと正弦波exp(jω1t)とを乗算して、s・exp(jω1t)を出力し、乗算器m2は、変調信号sと正弦波exp(jω2t)とを乗算して、s・exp(jω2t)を出力する。
【0118】
乗算器m3は、変調信号sと正弦波exp(jω3t)とを乗算して、s・exp(jω3t)を出力し、乗算器m4は、変調信号sと正弦波exp(jω4t)とを乗算して、s・exp(jω4t)を出力する。
【0119】
乗算器m5〜m8には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−2から出力される直交位相P11〜P14がそれぞれ入力する。乗算器m5は、s・exp(jω1t)と、直交位相P11とを乗算して、s・P11・exp(jω1t)を出力し、乗算器m6は、s・exp(jω2t)と、直交位相P12とを乗算して、s・P12・exp(jω2t)を出力する。
【0120】
乗算器m7は、s・exp(jω3t)と、直交位相P13とを乗算して、s・P13・exp(jω3t)を出力し、乗算器m8は、s・exp(jω4t)と、直交位相P14とを乗算して、s・P14・exp(jω4t)を出力する。
【0121】
また、乗算器m9〜m12には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−2から出力される直交位相P21〜P24がそれぞれ入力する。
乗算器m9は、s・exp(jω1t)と、直交位相P21とを乗算して、s・P21・exp(jω1t)を出力し、乗算器m10は、s・exp(jω2t)と、直交位相P22とを乗算して、s・P22・exp(jω2t)を出力する。
【0122】
乗算器m11は、s・exp(jω3t)と、直交位相P23とを乗算して、s・P23・exp(jω3t)を出力し、乗算器m12は、s・exp(jω4t)と、直交位相P24とを乗算して、s・P24・exp(jω4t)を出力する。
【0123】
さらに、乗算器m13〜m16には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−2から出力される直交位相P31〜P34がそれぞれ入力する。
乗算器m13は、s・exp(jω1t)と、直交位相P31とを乗算して、s・P31・exp(jω1t)を出力し、乗算器m14は、s・exp(jω2t)と、直交位相P32とを乗算して、s・P32・exp(jω2t)を出力する。
【0124】
乗算器m15は、s・exp(jω3t)と、直交位相P33とを乗算して、s・P33・exp(jω3t)を出力し、乗算器m16は、s・exp(jω4t)と、直交位相P34とを乗算して、s・P34・exp(jω4t)を出力する。
【0125】
さらにまた、乗算器m17〜m20には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−2から出力される直交位相P41〜P44がそれぞれ入力する。
乗算器m17は、s・exp(jω1t)と、直交位相P41とを乗算して、s・P41・exp(jω1t)を出力し、乗算器m18は、s・exp(jω2t)と、直交位相P42とを乗算して、s・P42・exp(jω2t)を出力する。
【0126】
乗算器m19は、s・exp(jω3t)と、直交位相P43とを乗算して、s・P43・exp(jω3t)を出力し、乗算器m20は、s・exp(jω4t)と、直交位相P44とを乗算して、s・P44・exp(jω4t)を出力する。
【0127】
一方、加算器a1は、乗算器m5〜m8の出力結果を加算して、合成信号g1=s(P11・exp(jω1t)+P12・exp(jω2t)+P13・exp(jω3t)+P14・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g1は、アップコンバータ22−1へ入力される。
【0128】
加算器a2は、乗算器m9〜m12の出力結果を加算して、合成信号g2=s(P21・exp(jω1t)+P22・exp(jω2t)+P23・exp(jω3t)+P24・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g2は、アップコンバータ22−2へ入力される。
【0129】
加算器a3は、乗算器m13〜m16の出力結果を加算して、合成信号g3=s(P31・exp(jω1t)+P32・exp(jω2t)+P33・exp(jω3t)+P34・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g3は、アップコンバータ22−3へ入力される。
【0130】
加算器a4は、乗算器m17〜m20の出力結果を加算して、合成信号g4=s(P41・exp(jω1t)+P42・exp(jω2t)+P43・exp(jω3t)+P44・exp(jω4t))を出力する。この合成信号g4は、アップコンバータ22−4へ入力される。なお、式(9a)〜(9d)では、変調信号sのパラメータを省略して示している。
【0131】
次に信号列パターンとして異なる周波数を用いる場合について説明する。異なる周波数の信号で重み付けされた後の合成信号g1〜g4を以下の式(12a)〜(12d)に示す。
【0132】
【数10】
【0133】
合成信号g1〜g4の式(12a)〜(12d)は、式(3a)、(3b)の関係を満たしている。例えば、合成信号g1と、合成信号g2の複素共役との時間平均をとると、以下の式(13)に示すように0となり、式(3a)が満たされていることがわかる。
【0134】
【数11】
【0135】
また、同様にして例えば、合成信号g1と、合成信号g1の複素共役との時間平均をとれば、式(3b)も満たされることがわかる(説明は省略する)。なお、式(13)の展開において、合成信号g1と、合成信号g2の複素共役との時間平均を計算すると、4・exp(j(Δa−Δb)t)となり、exp(j(Δa−Δb)t)が0に近似できるとものとして、式(13)が0になるとしている。
【0136】
ここで、exp(j(Δa−Δb)t)が0に近似できることについて簡単に説明する。exp(j(Δa−Δb)t)は正弦波であるので、正弦波を積分すると、例えば、0〜πの部分の面積とπ〜2πの部分の面積との和は0となる。したがって、正弦波exp(j(Δa−Δb)t)に関して、長い時間に渡って積分(時間平均)すると、面積として残る部分はわずかであり、長い時間で見れば0に近づくとみなすことができる。
【0137】
図6は合成信号生成部の構成例を示す図である。合成信号生成部10−3は、正弦波生成部11、信号列生成部12−3、乗算器m1〜m20および加算器a1〜a4を備え、各サブパス間が所定の相関になるような重み付け加算処理を行う。
【0138】
正弦波生成部11は、正弦波exp(jω1t)、exp(jω2t)、exp(jω3t)、exp(jω4t)を生成して出力する。信号列生成部12−3は、重み付けによって生成された合成信号g1〜g4が互いに所定の相関性を持つような信号列を生成する。ここでは、合成信号g1〜g4が互いに無相関となるように、互いに異なる周波数の信号exp(jΔat)、exp(jΔbt)、exp(jΔct)、exp(jΔdt)を生成して出力する。周波数Δa〜Δdは、Δa≠Δb≠Δc≠Δdである。
【0139】
乗算器m1〜m4には、ベースバンド信号生成部1aから出力されるベースバンド信号が入力し、また、正弦波生成部11から出力される各正弦波が入力する。ベースバンド信号としては、例えば、LTE、W−CDMA、WiMAX等の変調信号sが該当する。また、ベースバンド信号生成部1aは、合成信号生成部10−3内に含まれる構成としてもよい。
【0140】
乗算器m1は、変調信号sと正弦波exp(jω1t)とを乗算して、s・exp(jω1t)を出力し、乗算器m2は、変調信号sと正弦波exp(jω2t)とを乗算して、s・exp(jω2t)を出力する。
【0141】
乗算器m3は、変調信号sと正弦波exp(jω3t)とを乗算して、s・exp(jω3t)を出力し、乗算器m4は、変調信号sと正弦波exp(jω4t)とを乗算して、s・exp(jω4t)を出力する。
【0142】
乗算器m5〜m8には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−3から出力される信号exp(jΔat)が入力する。乗算器m5は、s・exp(jω1t)と、exp(jΔat)とを乗算して、s・exp(j(ω1+Δa)t)を出力し、乗算器m6は、s・exp(jω2t)と、exp(jΔat)とを乗算して、s・exp(j(ω2+Δa)t)を出力する。
【0143】
乗算器m7は、s・exp(jω3t)と、exp(jΔat)とを乗算して、s・exp(j(ω3+Δa)t)を出力し、乗算器m8は、s・exp(jω4t)と、exp(jΔat)とを乗算して、s・exp(j(ω4+Δa)t)を出力する。
【0144】
また、乗算器m9〜m12には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−3から出力される信号exp(jΔbt)が入力する。
乗算器m9は、s・exp(jω1t)と、exp(jΔbt)とを乗算して、s・exp(j(ω1+Δb)t)を出力し、乗算器m10は、s・exp(jω2t)と、exp(jΔbt)とを乗算して、s・exp(j(ω2+Δb)t)を出力する。
【0145】
乗算器m11は、s・exp(jω3t)と、exp(jΔbt)とを乗算して、s・exp(j(ω3+Δb)t)を出力し、乗算器m12は、s・exp(jω4t)と、exp(jΔbt)とを乗算して、s・exp(j(ω4+Δb)t)を出力する。
【0146】
さらに、乗算器m13〜m16には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−3から出力される信号exp(jΔct)がそれぞれ入力する。
乗算器m13は、s・exp(jω1t)と、exp(jΔct)とを乗算して、s・exp(j(ω1+Δc)t)を出力し、乗算器m14は、s・exp(jω2t)と、exp(jΔct)とを乗算して、s・exp(j(ω2+Δc)t)を出力する。
【0147】
乗算器m15は、s・exp(jω3t)と、exp(jΔct)とを乗算して、s・exp(j(ω3+Δc)t)を出力し、乗算器m16は、s・exp(jω4t)と、exp(jΔct)とを乗算して、s・exp(j(ω4+Δc)t)を出力する。
【0148】
さらにまた、乗算器m17〜m20には、乗算器m1〜m4の乗算結果がそれぞれ入力し、信号列生成部12−3から出力される信号exp(jΔdt)が入力する。
乗算器m17は、s・exp(jω1t)と、exp(jΔdt)とを乗算して、s・exp(j(ω1+Δd)t)を出力し、乗算器m18は、s・exp(jω2t)と、exp(jΔdt)とを乗算して、s・exp(j(ω2+Δd)t)を出力する。
【0149】
乗算器m19は、s・exp(jω3t)と、exp(jΔdt)とを乗算して、s・exp(j(ω3+Δd)t)を出力し、乗算器m20は、s・exp(jω4t)と、exp(jΔdt)とを乗算して、s・exp(j(ω4+Δd)t)を出力する。
【0150】
一方、加算器a1は、乗算器m5〜m8の出力結果を加算して、合成信号g1=s(exp(j(ω1+Δa)t)+exp(j(ω2+Δa)t)+exp(j(ω3+Δa)t)+exp(j(ω4+Δa)t))を出力する。この合成信号g1は、アップコンバータ22−1へ入力される。
【0151】
加算器a2は、乗算器m9〜m12の出力結果を加算して、合成信号g2=s(exp(j(ω1+Δb)t)+exp(j(ω2+Δb)t)+exp(j(ω3+Δb)t)+exp(j(ω4+Δb)t))を出力する。この合成信号g2は、アップコンバータ22−2へ入力される。
【0152】
加算器a3は、乗算器m13〜m16の出力結果を加算して、合成信号g3=s(exp(j(ω1+Δc)t)+exp(j(ω2+Δc)t)+exp(j(ω3+Δc)t)+exp(j(ω4+Δc)t))を出力する。この合成信号g3は、アップコンバータ22−3へ入力される。
【0153】
加算器a4は、乗算器m17〜m20の出力結果を加算して、合成信号g4=s(exp(j(ω1+Δd)t)+exp(j(ω2+Δd)t)+exp(j(ω3+Δd)t)+exp(j(ω4+Δd)t))を出力する。この合成信号g4は、アップコンバータ22−4へ入力される。なお、式(12a)〜(12d)では、変調信号sのパラメータを省略して示している。
【0154】
ここで、図6の信号列生成部12−3では、4つの並列する重み付け処理に対してそれぞれ異なる周波数を割り当てて、周波数exp(jΔat)、exp(jΔbt)、exp(jΔct)、exp(jΔdt)を出力して重み付けをしているが、各々の重み付け毎にすべて周波数を変えてもよい。
【0155】
すなわち、信号列生成部12−3は、乗算器m5〜m8に対して、exp(jΔa1t)、exp(jΔa2t)、exp(jΔa3t)、exp(jΔa4t)を出力し(Δa1≠Δa2≠Δa3≠Δa4)、乗算器m9〜m12に対して、exp(jΔb1t)、exp(jΔb2t)、exp(jΔb3t)、exp(jΔb4t)を出力する(Δb1≠Δb2≠Δb3≠Δb4)。
【0156】
また、乗算器m13〜m16に対して、exp(jΔc1t)、exp(jΔc2t)、exp(jΔc3t)、exp(jΔc4t)を出力し(Δc1≠Δc2≠Δc3≠Δc4)、乗算器m17〜m20に対して、exp(jΔd1t)、exp(jΔd2t)、exp(jΔd3t)、exp(jΔd4t)を出力する(Δd1≠Δd2≠Δd3≠Δd4)。このように、すべて異なる周波数を出力する構成にしてもよい。
【0157】
以上説明したように、アンテナ特性評価システムおよびアンテナ特性評価方法では、アップコンバートする前に、評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、素波に対して、重み付けを行って合成信号を生成する構成とした。
【0158】
すなわち、複数の素波に対して、所定の信号列パターンで重み付けを行った後に加算して合成信号であるフェージングを生成し、さらに重み付けとしては、サブパス間が無相関となるような重み付けを行う構成とした。
【0159】
これにより、アップコンバータや送信アンテナの数を削減して、少ない装置数で電波暗室内に実フェージング環境を再現することが可能になり、さらに、アンテナ間相関、誤り率、スループット等といったアンテナ特性の評価を精度よく実施することが可能になる。
【0160】
また、合成信号生成装置は、信号列を生成する信号列生成部と、信号波に信号列の重み付けを行って、複数の合成信号を生成する重み付け処理部とを備え、信号列生成部は、重み付けによって生成された合成信号が互いに所定の相関性を持つような信号列を生成する構成とした。また、上記では、複数の合成信号が互いに無相関となるように、直交符号、直交位相および互いに異なる周波数の信号列を生成する例を示した。
【0161】
このような構成により、少ない装置数で適切かつ柔軟に、所定の相関性を設定した複数の合成信号を生成することが可能になり、アンテナ特性評価といった試験システムなどに幅広く適用することが可能である。
【0162】
(付記1) アンテナ特性の評価を行うアンテナ特性評価システムにおいて、
評価対象のアンテナである評価アンテナと、
前記評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナと、
複数の信号波を合成して合成信号を生成する合成信号生成部と、
前記送信アンテナに接続し、前記合成信号の周波数を前記電波の周波数にアップコンバートするアップコンバータと、
前記評価アンテナと接続し、前記電波を受信した前記評価アンテナの前記アンテナ特性の評価を行う評価部と、
を備え、
前記合成信号生成部は、
前記評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、前記信号波に重み付けを行って前記合成信号を生成する、
ことを特徴とするアンテナ特性評価システム。
【0163】
(付記2) 前記合成信号生成部は、前記条件として、互いに無相関の前記電波を前記評価アンテナが受信するように、前記合成信号が互いに無相関となる前記重み付けを行うことを特徴とする付記1記載のアンテナ特性評価システム。
【0164】
(付記3) 前記合成信号生成部は、前記信号波に直交符号の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記2記載のアンテナ特性評価システム。
(付記4) 前記合成信号生成部は、前記信号波に直交位相の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記2記載のアンテナ特性評価システム。
【0165】
(付記5) 前記合成信号生成部は、前記信号波に互いに異なる周波数の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記2記載のアンテナ特性評価システム。
【0166】
(付記6) アンテナ特性の評価を行うアンテナ特性評価方法において、
評価対象のアンテナである評価アンテナと、前記評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナとを設置し、
前記評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、信号波に重み付けを行って合成信号を生成し、
前記合成信号の周波数を前記電波の周波数にアップコンバートし、
前記電波を受信した前記評価アンテナの前記アンテナ特性の評価を行う、
ことを特徴とするアンテナ特性評価方法。
【0167】
(付記7) 前記条件として、互いに無相関の前記電波を前記評価アンテナが受信するように、前記合成信号が互いに無相関となる前記重み付けを行うことを特徴とする付記6記載のアンテナ特性評価方法。
【0168】
(付記8) 前記信号波に直交符号の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記7記載のアンテナ特性評価方法。
(付記9) 前記信号波に直交位相の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記7記載のアンテナ特性評価方法。
【0169】
(付記10) 前記信号波に互いに異なる周波数の前記重み付けを行って、前記合成信号を生成することを特徴とする付記7記載のアンテナ特性評価方法。
(付記11) 異なる周波数の信号波を生成する信号波生成部と、
信号列を生成する信号列生成部と、
前記信号波に前記信号列の重み付けを行って、複数の合成信号を生成する重み付け処理部と、
を備え、
前記信号列生成部は、前記重み付けによって生成された前記合成信号が互いに所定の相関性を持つような前記信号列を生成する、
ことを特徴とする合成信号生成装置。
【0170】
(付記12) 前記信号列生成部は、複数の前記合成信号が互いに無相関となるように、前記信号列として直交符号を生成することを特徴とする付記11記載の合成信号生成装置。
【0171】
(付記13) 前記信号列生成部は、複数の前記合成信号が互いに無相関となるように、前記信号列として直交位相を生成することを特徴とする付記11記載の合成信号生成装置。
【0172】
(付記14) 前記信号列生成部は、複数の前記合成信号が互いに無相関となるように、互いに異なる周波数の前記信号列を生成することを特徴とする付記11記載の合成信号生成装置。
【符号の説明】
【0173】
1 アンテナ特性評価システム
10 合成信号生成部
20 電波暗室
22−1〜22−4 アップコンバータ
23−1〜23−4 送信アンテナ
24−1、24−2 評価アンテナ
30 評価部
31 アンテナ特性評価ボード
32 評価用端末
g1〜g4 合成信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ特性の評価を行うアンテナ特性評価システムにおいて、
評価対象のアンテナである評価アンテナと、
前記評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナと、
複数の信号波を合成して合成信号を生成する合成信号生成部と、
前記送信アンテナに接続し、前記合成信号の周波数を前記電波の周波数にアップコンバートするアップコンバータと、
前記評価アンテナと接続し、前記電波を受信した前記評価アンテナの前記アンテナ特性の評価を行う評価部と、
を備え、
前記合成信号生成部は、
前記評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、前記信号波に重み付けを行って前記合成信号を生成する、
ことを特徴とするアンテナ特性評価システム。
【請求項2】
前記合成信号生成部は、前記条件として、互いに無相関の前記電波を前記評価アンテナが受信するように、前記合成信号が互いに無相関となる前記重み付けを行うことを特徴とする請求項1記載のアンテナ特性評価システム。
【請求項3】
アンテナ特性の評価を行うアンテナ特性評価方法において、
評価対象のアンテナである評価アンテナと、前記評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナとを設置し、
前記評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、信号波に重み付けを行って合成信号を生成し、
前記合成信号の周波数を前記電波の周波数にアップコンバートし、
前記電波を受信した前記評価アンテナの前記アンテナ特性の評価を行う、
ことを特徴とするアンテナ特性評価方法。
【請求項4】
前記条件として、互いに無相関の前記電波を前記評価アンテナが受信するように、前記合成信号が互いに無相関となる前記重み付けを行うことを特徴とする請求項3記載のアンテナ特性評価方法。
【請求項5】
異なる周波数の信号波を生成する信号波生成部と、
信号列を生成する信号列生成部と、
前記信号波に前記信号列の重み付けを行って、複数の合成信号を生成する重み付け処理部と、
を備え、
前記信号列生成部は、前記重み付けによって生成された前記合成信号が互いに所定の相関性を持つような前記信号列を生成する、
ことを特徴とする合成信号生成装置。
【請求項1】
アンテナ特性の評価を行うアンテナ特性評価システムにおいて、
評価対象のアンテナである評価アンテナと、
前記評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナと、
複数の信号波を合成して合成信号を生成する合成信号生成部と、
前記送信アンテナに接続し、前記合成信号の周波数を前記電波の周波数にアップコンバートするアップコンバータと、
前記評価アンテナと接続し、前記電波を受信した前記評価アンテナの前記アンテナ特性の評価を行う評価部と、
を備え、
前記合成信号生成部は、
前記評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、前記信号波に重み付けを行って前記合成信号を生成する、
ことを特徴とするアンテナ特性評価システム。
【請求項2】
前記合成信号生成部は、前記条件として、互いに無相関の前記電波を前記評価アンテナが受信するように、前記合成信号が互いに無相関となる前記重み付けを行うことを特徴とする請求項1記載のアンテナ特性評価システム。
【請求項3】
アンテナ特性の評価を行うアンテナ特性評価方法において、
評価対象のアンテナである評価アンテナと、前記評価アンテナに電波を放射する複数の送信アンテナとを設置し、
前記評価アンテナの相関性を評価するための条件を満たすように、信号波に重み付けを行って合成信号を生成し、
前記合成信号の周波数を前記電波の周波数にアップコンバートし、
前記電波を受信した前記評価アンテナの前記アンテナ特性の評価を行う、
ことを特徴とするアンテナ特性評価方法。
【請求項4】
前記条件として、互いに無相関の前記電波を前記評価アンテナが受信するように、前記合成信号が互いに無相関となる前記重み付けを行うことを特徴とする請求項3記載のアンテナ特性評価方法。
【請求項5】
異なる周波数の信号波を生成する信号波生成部と、
信号列を生成する信号列生成部と、
前記信号波に前記信号列の重み付けを行って、複数の合成信号を生成する重み付け処理部と、
を備え、
前記信号列生成部は、前記重み付けによって生成された前記合成信号が互いに所定の相関性を持つような前記信号列を生成する、
ことを特徴とする合成信号生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−149725(P2011−149725A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9122(P2010−9122)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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