説明

アンテナ素子、アンテナモジュール、それを備える配線管理システム用の装置および配線管理システム

【課題】コネクタをアダプタに挿入した状態でコネクタごとのICタグ内の情報を読取ることができるとともに、既存の配線機器においても後付可能であるような配線管理システム用の機器を提供する。
【解決手段】配線管理システムにおけるアンテナモジュール120は、配線ケーブルが配線装置110に挿入された状態において、配線ケーブルのコネクタに取付けられたICタグ260内の情報の少なくとも読取りが非接触で行なえるように構成される。アンテナモジュール120は、コネクタが挿入された状態で、ICタグ260に対向するように配置された少なくとも1つのアンテナ素子122を備える。アンテナ素子122の幅は、配線ケーブルの挿入方向に直交する方向のコネクタの長さに対して0%より大きくかつ70%以下の長さを有する。これによりアンテナモジュール120を小型化することができるので、既存の高密度実装された配線装置にも後付けが可能な配線管理システムが実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ素子、アンテナモジュール、それを備える配線管理システム用の装置および配線管理システムに関し、より特定的には、配線情報の読取り/書込みに用いられる小型のアンテナを備えた配線管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの拡大により、ローカルエリアネットワーク(LAN)や広域ネットワーク(WAN)などのネットワークが普及しつつある。これに伴って、ルータやスイッチングHUBなどのネットワーク機器が必要となり、さらにこれらのネットワーク機器間をつなぐための配線ケーブルが多数必要となる。特に大規模なネットワークシステムにおいては、この配線ケーブルの数が膨大となるので、配線ケーブルの追加や接続換えの際の配線間違えを防止することが望まれる。
【0003】
特開2004−165089号公報(特許文献1)は、このような課題に対応するために、アンテナを有するアダプタを備え、このアンテナを用いてアダプタに挿入された配線ケーブルのコネクタに取付けられたメモリ機能部に記憶されたIDを非接触で読取ることのできる配線装置を開示する。
【0004】
特開2004−165089号公報(特許文献1)の配線装置によれば、アンテナにより読取られたID情報をデータ処理・表示装置を用いて処理および表示することによって、配線作業を行なう作業者の作業効率と信頼性を向上させることができる。
【0005】
また、特開2007−189774号公報(特許文献2)は、作業対象のコネクタを挿入するアダプタを選択するための行および列アダプタ選択スイッチと、コネクタに取付けられたICタグの情報を非接触で読取るためのアンテナとが、既存の高密度配線盤に後付けされた配線管理システムにおいて、読取られたICタグの情報とデータベース内に記憶された配線情報とに基づいて、作業者の挿抜作業を支援する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−165089号公報
【特許文献2】特開2007−189774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2007−189774号公報(特許文献2)の構成では、既存の配線盤に後付けが可能ではあるが、アダプタの選択スイッチおよびアンテナ等を配線盤に取付けることが必要であるので、配線盤にこれらの追加機器を取付けるための余分なスペースが必要となる。しかしながら、ネットワーク機器などの配線装置においては、装置本体のサイズを小型化することが望まれる一方で、1つの装置で多くの回線を取り扱うことがあわせて要求される場合があり、これらの追加機器が取付けられない可能性が生じ得る。
【0008】
さらに、特開2007−189774号公報(特許文献2)の構成では、アダプタの選択は、作業者が選択スイッチを押すことによって行なわれ、またICタグの情報を読取るためのアンテナはアダプタごとには配置されていない構成となっており、作業者による選択スイッチの誤選択やコネクタの誤配線を招くおそれがある。
【0009】
一方、特開2004−165089号公報(特許文献1)の構成においては、アダプタごとにアンテナが設けられており、コネクタをアダプタに挿入することによって自動的にコネクタのID情報を読取ることができる構成ではあるが、もともとこのような機能を備える配線装置の設計を前提としたものであって、既存の配線装置に後付けできる構成ではなかった。
【0010】
そのため、コネクタをアダプタに挿入した状態でコネクタごとのICタグ内の情報を読取ることができるとともに、高密度配置された既存の配線機器においても後付可能であるような配線管理システム用の機器が望まれている。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コネクタをアダプタに挿入した状態でコネクタごとのICタグ内の情報を読取ることができるとともに、既存の配線機器においても後付可能であるような配線管理システム用の機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるアンテナ素子は、配線ケーブルのコネクタが配線装置に挿入された状態において、コネクタに取付けられたICタグに対向するように配置されることによって、ICタグ内の情報の少なくとも読取りが非接触で行なえるように構成される。そして、アンテナ素子は、配線ケーブルの挿入方向に直交する方向のコネクタの長さに対して0%より大きくかつ70%以下の長さを有することを特徴とする。
【0013】
好ましくは、アンテナ素子は、配線ケーブルの挿入方向に直交する方向の長さに対して40〜60%の範囲内の長さである。
【0014】
好ましくは、アンテナ素子における配線ケーブルの挿入方向の長さは、コネクタが配線装置に挿入された状態において、コネクタを保護するためのカバー部と配線装置との間の距離よりも短く設定される。
【0015】
好ましくは、アンテナ素子の配線ケーブルの挿入方向に直交する方向の長さは約6mmであり、アンテナ素子の配線ケーブルの挿入方向の長さは約3mmである。
【0016】
本発明によるアンテナモジュールは、上記いずれかのアンテナ素子と、配線装置のコネクタ挿入口に隣接して設けられ、配線ケーブルの接続状態を管理するための配線管理装置からの信号に応じて、点灯状態を変化するように構成された表示器とを備える。
【0017】
好ましくは、表示器は、表示器に対応するコネクタ挿入口が、配線ケーブルの挿抜対象のコネクタ挿入口である場合に、配線管理装置からの信号に応じて点滅状態にされる。
【0018】
好ましくは、表示器は、表示器に対応するコネクタ挿入口に挿入されたコネクタが、挿入されるべきコネクタと合致している場合には点灯状態にされ、挿入されるべきコネクタと合致していない場合には点滅状態にされる。
【0019】
本発明によるアンテナモジュールは、第1および第2の配線ケーブルを含む複数の配線ケーブルが配線装置に挿入された状態において、複数の配線ケーブルの各々に対応するコネクタに取付けられたICタグ内の情報の少なくとも読取りが非接触で行なえるように構成され、第1および第2のアンテナ素子を備える。第1および第2のアンテナ素子の各々は、配線ケーブルの挿入方向に直交する方向のコネクタの長さに対して0%より大きくかつ70%以下の長さを有する。第1の配線ケーブルの第1のコネクタおよび第2の配線ケーブルの第2のコネクタは、互いに下面が対向するように配線装置に挿入される。ICタグは、第1および第2のコネクタの各々において、挿入方向に直交するコネクタの幅方向の中心から同じ向きにずれた位置の下面に取付けられる。第1および第2のアンテナ素子は、第1および第2のコネクタが配線装置に挿入された状態において、第1および第2のコネクタのICタグにそれぞれ対向するように、第1のコネクタと第2のコネクタとの間に配置される。
【0020】
好ましくは、第1および第2のアンテナ素子の各々は、配線ケーブルの挿入方向に直交する方向の長さに対して40〜60%の範囲内の長さである。
【0021】
好ましくは、第1および第2のアンテナ素子の各々における配線ケーブルの挿入方向の長さは、コネクタが配線装置に挿入された状態において、コネクタを保護するためのカバー部と配線装置との間の距離よりも短い。
【0022】
好ましくは、アンテナモジュールは、複数の配線ケーブルが挿入される配線装置の複数のコネクタ挿入口の各々に対応して設けられ、複数の配線ケーブルの接続状態を管理するための配線管理装置からの信号に応じて、点灯状態を変化するように構成された表示器をさらに備える。
【0023】
好ましくは、表示器は、表示器に対応するコネクタ挿入口が配線ケーブルの挿抜対象のコネクタ挿入口である場合に、配線管理装置からの信号に応じて点滅状態にされる。
【0024】
好ましくは、表示器は、表示器に対応するコネクタ挿入口に挿入されたコネクタが、挿入されるべきコネクタと合致している場合には点灯状態にされ、挿入されるべきコネクタと合致していない場合には点滅状態にされる。
【0025】
本発明による配線管理システム用の装置は、配線ケーブルのコネクタが配線装置に挿入された状態において、コネクタに取付けられたICタグ内の情報の少なくとも読取りが非接触で行なえるように構成され、ICタグに対向するように配置された少なくとも1つのアンテナ素子と、アンテナ素子で読取られた情報を受信するように構成された受信部とを備える。アンテナ素子は、配線ケーブルの挿入方向に直交する方向のコネクタの長さに対して0%より大きくかつ70%以下の長さを有する。
【0026】
好ましくは、配線管理システム用の装置は、配線装置のコネクタ挿入口に隣接して設けられ、配線ケーブルの接続状態を管理するための配線管理装置からの信号に応じて、点灯状態を変化するように構成された表示器をさらに備える。
【0027】
本発明による配線管理システムは、配線ケーブルのコネクタを接続するための配線装置と、少なくとも1つのアンテナ素子と、受信部と、配線管理装置とを備える。アンテナ素子は、コネクタが配線装置に挿入された状態において、コネクタに取付けられたICタグ内の情報の少なくとも読取りが非接触で行なえるように構成され、ICタグに対向するように配置される。受信部は、アンテナ素子で読取られた情報を受信する。配線管理装置は、コネクタの配線装置への配置データを予め記憶するとともに、受信部で読取られたコネクタの情報と、配置データとに基づいて、配線装置へのコネクタの挿抜作業を支援するための信号を生成する。そして、アンテナ素子は、配線ケーブルの挿入方向に直交する方向のコネクタの長さに対して0%より大きくかつ70%以下の長さを有する。
【0028】
好ましくは、配線装置は、コネクタが挿入されるコネクタ挿入口を含む。配線管理システムは、コネクタ挿入口に対応して設けられた表示器をさらに備える。配線管理装置は、操作者からの挿抜作業の指示に基づいて、挿抜対象のコネクタ挿入口に対応する表示器の点灯状態を変化させる。
【0029】
好ましくは、配線装置は、コネクタが挿入されるコネクタ挿入口を含む。配線管理装置は、操作者から指示されたコネクタ挿入口に対応する配置データと、コネクタ挿入口に挿入されたコネクタのICタグからの情報とに基づいて、挿入されたコネクタが指示により挿入されるべきコネクタであるか否かを判定する。
【0030】
好ましくは、配線管理システムは、コネクタ挿入口に対応して設けられた表示器をさらに備える。配線管理装置は、挿入されたコネクタが挿入されるべきコネクタに合致する場合と、挿入されたコネクタが挿入されるべきコネクタ合致しない場合とで、表示器の点灯状態を異なる状態に変化させる。
【0031】
好ましくは、配線管理装置は、挿入されたコネクタが挿入されるべきコネクタである場合には表示器を点灯させ、挿入されたコネクタが挿入されるべきコネクタでない場合には表示器を点滅させる。
【0032】
好ましくは、配線管理システムは、配線装置へのコネクタの配線状態を表示するための表示装置をさらに備える。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、配線管理システム用の機器について、コネクタをアダプタに挿入した状態でコネクタごとのICタグ内の情報を読取ることができるとともに、既存の配線機器においても後付可能であるような構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施の形態に従う配線管理システムの概略図である。
【図2】配線管理システムに用いられる配線装置を説明するための図である。
【図3】配線コネクタの例を説明するための図である。
【図4】配線コネクタのアダプタと、ICタグおよびアンテナの配置の例を示す図である。
【図5】本実施の形態における、アンテナモジュールの配置を説明するための図である。
【図6】アンテナモジュールの配置の比較例を説明するための図である。
【図7】本実施の形態におけるアンテナ部の構成の例を示す図である。
【図8】配線コネクタのアダプタと、ICタグおよびアンテナの配置の他の例を示す図である。
【図9】アンテナ部および受信部の構成についての第1の例を示す図である。
【図10】アンテナ部および受信部の構成についての第2の例を示す図である。
【図11】配線管理装置の構成を説明するための機能ブロック図である。
【図12】コネクタ挿入作業の場合の、配線管理システムで実行される支援制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図13】コネクタ引抜作業の場合の、配線管理システムで実行される支援制御処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0036】
図1は、本実施の形態に従う配線管理システム100の概略図である。
図1を参照して、配線管理システム100は、配線装置110−1〜110−N(Nは1より大きい整数)と、配線管理装置300とを備える。なお、本実施の形態においては、配線装置に接続される配線ケーブルがLANケーブルの場合を例として説明するが、配線ケーブルとして光ケーブルが用いられる光通信用の配線機器であってもよい。さらに、配線ケーブルは信号を伝達する場合に限られず、たとえば電源を供給するための電源線であってもよい。
【0037】
配線装置110−1〜110−Nは、たとえばスイッチングHUBやネットワークルータなどの、配線ケーブル200が接続される装置である。
【0038】
配線装置110−1〜110Nには、配線ケーブル200が接続される挿入口(アダプタ)140−1〜140−Nがそれぞれ設けられる。図1においては、アダプタ140−1〜140Nはそれぞれ複数のアダプタで構成されているが、アダプタは1つの場合であってもよい。
【0039】
配線装置110−1〜110−Nには、アダプタ140−1〜140−Nにそれぞれ隣接してアンテナモジュール120−1〜120−Nが設置される。アンテナモジュール120−1〜120−Nは、アダプタに接続された配線ケーブル200のコネクタに設置されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグ(以下、「ICタグ」とも称する。)に記憶された各コネクタのID情報に関する信号を読取り、読取った信号を、接続線150−1〜150−Nを介して受信部130−1〜130−Nにそれぞれ伝達する。なお、ICタグに記憶された情報には、コネクタのID情報だけでなくその他の管理情報が含まれる場合があるが、以降の説明においては、これらその他の管理情報も含めてID情報と称することとする。
【0040】
受信部130−1〜130−Nは、接続ケーブル170を介して配線管理装置300に接続される。受信部130−1〜130−Nは、アンテナモジュール120−1〜120−Nからそれぞれ受信したID情報に関する信号を復調してID情報を読出し、そのID情報を配線管理装置300に送信する。
【0041】
配線管理装置300は、表示部310と、操作部320とを含む。
配線管理装置300の詳細な機能については、図11〜図13において後述するが、機能の概要は、予め記憶された配線装置の各アダプタに接続されるべきコネクタの配置情報と、実際のアダプタに接続されたコネクタのICタグから読み出されたID情報とに基づいて、配線ケーブルの接続状態の管理および配線装置への配線ケーブルの挿抜作業の支援を行なうことである。
【0042】
配線管理装置300は、たとえばパーソナルコンピュータを含んで構成され、図1には図示しないが、上述の配置情報を記憶したり、受信部130−1〜130−Nから受信したコネクタのID情報を処理したりするための制御部をさらに含む。
【0043】
なお、図1においては、配線装置が複数設けられる場合を例として示すが、配線装置が1つの場合であってもよい。以降の説明においては、説明を容易にするために、配線装置110−1〜110N、アンテナモジュール120−1〜120−N、受信部130−1〜130−N、アダプタ140−1〜140Nおよび接続線150−1〜150−Nをそれぞれ総称して配線装置110、アンテナモジュール120、受信部130、アダプタ140および接続線150と称する。
【0044】
図2は、本実施の形態に従う配線管理システム100に用いられる配線装置110を説明するための図である。図2は配線装置110の正面図を示す。
【0045】
図2を参照して、配線装置110は、配線ケーブルのコネクタを挿入するための複数のアダプタ140を含む。配線装置110を小型化しつつ多くの配線ケーブルの接続が可能となるように、アダプタ140は、たとえば上下2列に、配線装置110の横方向に互いに隣接して高密度に配列される。
【0046】
アンテナモジュール120および受信部130は、配線装置の製造段階から配線装置に内蔵される構成としてもよいが、図2に示す実施の形態においては、配線装置110の前面パネルに後付けされる。このように後付けが可能な構造とすることによって、このようなアンテナモジュール120および受信部130を備えていない既存の配線装置についても、本実施の形態の配線管理システムを適用することが可能となる。
【0047】
アンテナモジュール120は、配線ケーブルのコネクタに取付けられたICタグに記憶された情報を読取るために、上側のアダプタの列と下側アダプタの列との間に配置される。
【0048】
受信部130は、接続線150を介してアンテナモジュール120と接続される。受信部130は、配線装置110の前面パネルにおいて、接続される配線ケーブルと干渉しない部分に配置される。なお、受信部130の設置位置については、配線装置110の前面パネルには限定されず、配線装置110の上面、下面、側面または背面であってもよいし、あるいは、たとえば複数の受信部130を別個の筐体内に収納するような構成としてもよいが、特に図2のように後付けで配線装置110に設置する場合には、できるだけアンテナモジュール120に近接して配置するほうが、接続線150を短くできるので好適である。
【0049】
図3は、配線装置110のアダプタ140に接続される配線ケーブル200のコネクタ部分を説明するための図である。
【0050】
図2および図3を参照して、配線ケーブル200は、ケーブル部230の両端に、コネクタ210が設けられる。図3においては、説明を容易とするために、コネクタ210の下面が上向きとなるように図示されている。
【0051】
コネクタ210の下面には、接点部250が設けられる。接点部250は、コネクタ210の内部において、ケーブル部230に含まれる通信線に接続される。接点部250は、コネクタ210がアダプタ140に挿入されたときに、配線装置110の接点と接触して信号を伝達する。また、コネクタ210の上面には、コネクタ210がアダプタ140から脱落してしまうことを防止するための爪部220を有する。
【0052】
爪部220は、コネクタ210がアダプタ140に挿入されると、アダプタ140の凹部と係合し、コネクタ210がロックされる。コネクタ210をアダプタから取り外す時には、爪部220を下面側に押し下げて爪部220と凹部の係合を解除することによって、コネクタ210をアダプタ140から引抜くことが可能になる。
【0053】
また、配線ケーブル200には、ケーブル部230に沿って移動可能であり、かつコネクタ210を保護するためのカバー部240が設けられる。カバー部240は、コネクタ210がアダプタ140に挿入された後に、コネクタ210を覆うように配置され、コネクタ210とケーブル部230との境界部の屈曲や、爪部220の誤操作によるコネクタ210の意図しない脱落を防止する。
【0054】
コネクタ210の下面には、コネクタ210のID情報が予め記憶されたICタグ260が取付けられる。ICタグ260に記憶されたID情報としては、たとえば、当該配線ケーブル200に付された配線番号や、接続されるべき配線装置の番号などが含まれる。
【0055】
ICタグ260の大きさとしては、コネクタ210の幅、すなわち配線ケーブル200のアダプタ140への挿入方向(図3中のY方向)に対して直交する方向(図3中のX方向)の長さよりも小さいものが採用される。さらに、コネクタ210の幅の1/2よりも小さいものがより好適である。そして、ICタグ260は、コネクタ210の幅方向の中央から、幅方向のいずれか定められた向きにずらして配置される。図3の例では、ICタグは、コネクタ210の挿入方向(Y方向)に対して右側の辺に沿うように配置されている。
【0056】
このような配置とすることにより、図2のアダプタ140およびアンテナモジュール120の一部を拡大して示した図4のように、上下に配置されたアダプタ140にコネクタ210が挿入された場合に、上側コネクタのICタグと下側コネクタのICタグとが上下方向に重なり合わないようにできるので、コネクタ210のID情報の誤った読取りを防止することができる。
【0057】
次に図4を参照して、上述のように、アンテナモジュール120は、上部アダプタと下部アダプタとの間に設置される。アンテナモジュール120は、アンテナ素子122およびLED(Light Emitting Diode)123を含むアンテナ部121を含む。アンテナ部121は、各アダプタに対応して設けられ、コネクタ210がアダプタ140に挿入された場合に、ICタグ260に対向する位置に配置される。すなわち、本実施の形態のようなアダプタ配置においては、各アンテナ部は、アンテナモジュール120の長手方向に沿ってジグザグ状に配置される。
【0058】
アンテナ素子122は、たとえばコイル状に形成されたループアンテナであり、電磁誘導を利用してICタグ260に記憶されたID情報に関する信号を受信する。上述のように、ICタグ260が上下方向に重なり合わないように配置されるため、それに対向して配置されるアンテナ素子122についても、上下方向の重なり合いが少なくなるようにすることができる。これによって、一方(たとえば上側)のアンテナ素子によって他方(たとえば下側)のICタグの情報を誤って読取られることが防止できる。
【0059】
また、一方のアンテナ素子のサイズを小さくしてICタグと同程度のサイズとしているので、各アンテナ素子に電磁場を発生させるための電力を小さくすることができる。このことは、アンテナ素子を駆動するための駆動回路(図示せず)を小型化することを容易にする。さらに、電力を小さくするこによって発生する電磁場の範囲および大きさが低減されるので、発生電磁場に起因する周囲機器への影響の可能性も低減できる。なお、アンテナ素子122は、ICタグ260からのID情報を読取る場合に加えて、ICタグ260内の情報を書き換える場合にも用いられてもよい。
【0060】
LED123は、配線管理装置300(図1)からの制御信号に基づいて駆動される。LED123は、配線ケーブル200の挿抜作業時に、作業者に対して、作業対象のアダプタ140/コネクタ210であることを表示したり、挿入あるいは取り外されたコネクタ210が挿抜されるべきコネクタであるか否かの判定結果を表示したりするために用いられる。
【0061】
本実施の形態のように配線ケーブル200としてLANケーブルが用いられる例においては、規格によって、コネクタ210の幅はおよそ14mmとされる。そのため、アンテナ素子122のコネクタ210の幅方向の長さは約6mm以下とすることが好ましい。また、本実施の形態における配線装置110の例においては、上側のアダプタと下側のアダプタとの間は約3mmであり、アンテナモジュール120の幅は、上述のように既存の配線装置への後付けが可能なように、3mm以下とすることが好ましい。なお、アンテナモジュール120およびアンテナ素子121の寸法は、取付けられる配線装置に応じて適宜選択される。アンテナ素子121は、コネクタ210の幅方向の長さに対して0%より大きく70%以下の範囲となるように設計される。また、より好適な例では、アンテナ素子121は、コネクタ210の幅方向の長さに対して40%〜60%の範囲となるように設計される。
【0062】
図5は、本実施の形態における、アンテナモジュール120の配置を説明するための図であり、配線装置110の上側および下側のアダプタの両方に配線ケーブルが挿入された状態において配線装置110を側面から見た図を示す。
【0063】
図5を参照して、上側のコネクタと下側のコネクタとは、互いに下面が向き合うように、すなわち接点部250が互いに向き合うようにアダプタに挿入される。
【0064】
そして、それぞれのカバー部240が、コネクタを保護するために設置される。このとき、カバー部240の配線装置110側の端面と配線装置110との間の隙間は短く、本実施の形態においては、たとえば約3mmである。そのため、アンテナモジュール120を既存の配線装置に後付けで設置するためには、当該隙間に設置できる寸法とすることが好ましく、本実施の形態においては、アンテナモジュール120のコネクタ挿入方向の長さはたとえば3mmとなるように設計される。また、コネクタ210に取付けられるICタグ260についても、この隙間に入るような大きさとすることが必要である。
【0065】
なお、図6に、コネクタ210の上面、すなわち爪部220のある側にICタグ260Aを取付けた場合の比較例を示す。この場合は、図5の場合と比べてICタグおよびアンテナモジュールについて、取付けのための寸法の制限は緩和される。しかしながら、爪部220との干渉を防ぐために、アンテナ部121Aは配線装置110の表面からより遠くへ突出させることが必要となる。そして、このような構成とすると、カバー部240とアンテナ部121Aとの干渉が生じる可能性があり、さらには、コネクタ210の引抜時の爪部220の操作が困難となる可能性がある。また、アンテナ部121AとICタグ260Aとの距離が図5に比べて大きくなるので、ICタグの読取り/書込みのための電磁場を発生する電力も相対的に大きくすることが必要となり、周囲機器への影響を及ぼす可能性がある。そのため、配線ケーブルの各部との干渉や挿抜作業時の操作の妨害を防止し、かつより小さい電力での読取り/書込みをすることができるように、図5のように小型化されたアンテナモジュールを上下コネクタの間に配置する構成とすることが好適である。
【0066】
図7は、アンテナモジュール120内に設けられるアンテナ部121の構成の例を示す図である。
【0067】
図7を参照して、アンテナ部121は、アンテナ素子122と、LED123と、駆動回路124とを含む。なお、駆動回路124は、図2の受信部130内に設けられる構成であってもよい。
【0068】
アンテナ素子122は、銅線をコイル状に巻回したものとしてもよいが、図7のように予めプリントパターンとして基板上に形成すると、アンテナ部121をより薄型化できるので好適である。
【0069】
駆動回路124は、アンテナ素子122で受信したコネクタのID情報に関する信号を受信部130へ伝達するとともに、配線管理装置300からの信号に従ってLED123の点灯状態を変化させる。
【0070】
駆動回路124は、受信部130と信号の授受を行なうが、図9で後述するように、アンテナモジュール120内に設けられたチャンネル切換部を介して受信部130へ接続される。また、チャンネル切換機能を駆動回路124に内蔵することによって、図10で後述するように、アンテナモジュール120内の複数のアンテナ部121をバス接続することができる。これによって、アンテナモジュール内の配線数を減少できるので、アンテナモジュール120の小型化がさらに容易となる。
【0071】
なお、図7においては、アンテナ部121にLED123が含まれる構成の例を説明したが、LED123は必ずしもアンテナ素子122が含まれるアンテナ部121に含まれる必要はない。図8にアンテナモジュールのその他の構成の例を示すが、図8のように、LED123が、アンテナ素子122が含まれるアンテナモジュール120Aとは分離して配置される構成としてもよい。図8においては、LED123はLEDモジュール120Bに含まれ、このLEDモジュール120Bは、アダプタ140の爪部側に配置される。
【0072】
次に図9〜図11を用いて、アンテナモジュール120、受信部130および配線管理装置300の構成の詳細を説明する。
【0073】
図9は、アンテナモジュール120内のアンテナ部121および受信部130の構成の詳細を説明するための機能ブロック図ある。図9における各機能ブロックについては、ハードウェア的またはソフトウェア的な処理によって実現される。
【0074】
図1および図9を参照して、受信部130は、通信部131と、信号出力部132と、LED駆動部133と、復調部134と、バッファ135とを含む。
【0075】
通信部131は、図1で説明したように接続ケーブル170によって配線管理装置300と接続され、配線管理装置300と信号の授受を行なう。通信部131は、配線管理装置300から受信した信号を信号出力部132およびLED駆動部133へ出力する。また、通信部131は、配線ケーブル200のコネクタのID情報を復調部134から受け、その受信情報を配線管理装置300へ送信する。
【0076】
信号出力部132は、通信部131を介して受信した配線管理装置300からの信号に基づいて、どのコネクタについてのID情報を読み出すかを示す選択信号を、アンテナモジュール120のチャンネル切換部129に出力する。具体的には、後述する配線作業の支援制御においては、作業者によって入力されたアダプタに接続されているコネクタのID情報を読み出すような信号を出力する。それに加えて、配線管理装置300において接続状態を表示するのために、所定時間毎にすべてのアダプタについての状態(すなわち、接続されたコネクタのID情報)を逐次読み出すような周期的な信号を出力する。この場合、ID情報が読み出せない場合にはコネクタが接続されていないと判定される。
【0077】
LED駆動部133は、通信部131を介して受信した配線管理装置300からの信号に基づいて、アンテナモジュール120内の指定されたアダプタに対応するLEDの点灯状態を変化させる。
【0078】
復調部134は、アンテナモジュール120からコネクタのID情報に関する信号を含んだ信号を受ける。復調部134は、受信した信号を復調,解析して、コネクタのID情報を識別する。復調部134は、識別されたID情報を、必要に応じて一時的にバッファ135に記憶するとともに、そのID情報を通信部131に出力する。
【0079】
アンテナモジュール120は、アンテナ部121に加えてチャンネル切換部129をさらに含む。
【0080】
チャンネル切換部129は、信号出力部132からの選択信号を受ける。チャンネル切換部129は、この選択信号で指示されたアンテナ部からのID情報を読取る。また、チャンネル切換部129は、LED駆動部133からの駆動信号を受け、その駆動信号に従って、対応するアンテナ部121内のLED123の点灯状態を変化させる。
【0081】
アンテナ部121は、アンテナ素子122およびLED123に加えて、マッチング回路126と、出力アンプ127と、受信アンプ128とを含む。
【0082】
アンテナ素子122は、等価的には、図9のように並列に接続されたコイルとキャパシタとを含んで構成される。アンテナ素子122は、回路に供給される電力によって電磁波を発生し、電磁誘導によってICタグに電力を供給する。ICタグは、アンテナ素子122から供給された電力を用いて、電磁波に重畳させたコマンド信号を解析し、それに応答して予め電磁波を介して記憶されているID情報をアンテナ素子122へ出力する。アンテナ素子122は、ICタグからのID情報が重畳された信号を受信する。
【0083】
マッチング回路126は、アンテナ素子122と、出力アンプ127、受信アンプ128およびチャンネル切換部129を含む駆動回路との間のインピーダンスをマッチングさせるための回路である。
【0084】
出力アンプ127は、チャンネル切換部129からの信号を増幅して、マッチング回路126を介して、アンテナ素子122へ出力する。
【0085】
受信アンプ128は、アンテナ素子122からマッチング回路126を介して受信した信号を増幅して、チャンネル切換部129へ出力する。なお、受信アンプ128は、チャンネル切換部129に含まれる構成としてもよい。
【0086】
なお、図4において述べたように、アンテナ部を小型化することによって、アンテナ素子を駆動するための電力を低減することができるので、図9における出力アンプ127を省略する構成とすることが可能である場合がある。また、マッチング回路内のインダクタをアンテナ素子のコイルと共用することによって、マッチング回路126内のコイルを省略してもよい。
【0087】
図10は、このようにして簡略化されたアンテナ部121Bを含むアンテナモジュール120の回路の例を示す。図10のアンテナ部121Bにおいては、図9のマッチング回路126のコイルおよび出力アンプ127が省略された構成となっている。また、アンテナ部121Bが、チャンネル切換部129を含む構成とすることによって、各アンテナ部をバス接続することができ、アンテナモジュール120内の配線を減少させることができる。このようにして、アンテナ部をさらに小型化することにより、アンテナモジュールを、既存の配線装置における限られたスペースに取付けることを可能にできる。
【0088】
図11は、本実施の形態の配線管理装置300の構成を説明するための機能ブロック図である。配線管理装置300は、図1で示した表示部310および操作部320に加えて、制御部330を含む。また、制御部330は、通信部331と、LED制御部332と、データベース333と、判定部334と、表示制御部335とを含む。
【0089】
図1および図11を参照して、通信部331は、図1で説明したように接続ケーブル170によって各受信部130と接続され、受信部130との間で信号の授受を行なう。通信部331は、LED制御部332からのLEDの表示指令を受け、その表示指令を受信部130に送信する。また、通信部331は、受信部130からのコネクタのID情報を受信し、受信したID情報を判定部334へ出力する。
【0090】
LED制御部332は、配線作業を行なう場合に、作業者によって操作部320から入力された作業対象のアダプタ140の位置情報を受ける。LED制御部332は、入力された位置情報と、データベース333に予め記憶された配置データとを照合する。そして、LED制御部332は、作業者に対して作業位置をガイダンスするために、作業対象のアダプタ140に対応するLEDの点灯状態を変化させるための表示指令を生成して通信部331へ出力する。
【0091】
また、LED制御部332は、判定部334からの、コネクタの接続状態の判定結果を示す判定信号を受ける。そして、LED制御部332は、その判定信号に従って、実行された配線作業が正しいか否かを作業者へ通知するために、LEDの点灯状態を変化させるための表示指令を生成する。
【0092】
判定部334は、受信したコネクタのID情報を通信部331から受ける。判定部334は、このID情報とデータベース333内の配置データとを比較し、コネクタ210が、予め定められた配置データ通りに配線装置110に接続されているか否かを判定する。そして、その判定結果を示す判定信号をLED制御部332および表示制御部335へ出力する。
【0093】
表示制御部335は、判定部334からの判定信号に基づいて表示信号を生成し、表示部310にコネクタの接続状態および配線作業の良否を表示する。
【0094】
次に、図12および図13のフローチャートを用いて、本実施の形態に従う配線管理システムで実行される配線ケーブルの挿抜作業の支援制御を説明する。図12はコネクタを配線装置に挿入する場合のフローチャートを示し、図13はコネクタを配線装置から引抜く場合のフローチャートを示す。
【0095】
図1および図12を参照して、まずコネクタの挿入作業の場合について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100において、作業者は、配線管理装置300の操作部320から、挿入しようとしているコネクタ210が挿入されるべきアダプタ140の位置データを入力する。
【0096】
S110にて、配線管理装置300は、入力された位置データに基づいて、コネクタ210が挿入されるべきアダプタに対応するLEDを点滅させて、作業者に作業対象位置のガイダンスを行なう。
【0097】
そして、S120にて、作業者は、LEDのガイダンス表示に従って実際のコネクタ210の挿入作業を実行する。
【0098】
コネクタ210が挿入されると、配線管理装置300は、S130にて、新規で挿入されたコネクタ210に取付けられたICタグ260から、コネクタのID情報を取得する。
【0099】
S140にて、配線管理装置300は、取得したID情報が配線管理装置300に予め記憶されているデータと一致するか否かを判定する。すなわち、コネクタが正しいアダプタに挿入されているか否か(すなわち、間違ったアダプタに挿入されていないか)、および、正しいアダプタに挿入されたコネクタが正しいコネクタであるか否か(すなわち、間違ったコネクタが挿入されていないか)を判定する。
【0100】
データが一致する場合(S140にてYES)は、配線管理装置300は、正しいアダプタに正しいコネクタが挿入されていると判断し、S150が進められて、配線管理装置300は、LEDを点滅状態から点灯状態にする。その後、処理がS160に進められる。
【0101】
一方、データが一致しない場合(S140にてNO)は、配線管理装置300は、コネクタが正しいアダプタに挿入されていない、または間違ったコネクタがアダプタに挿入されていると判断し、処理をS155に進めて、作業対象位置のアダプタに対応するLEDを点滅状態とする(すなわち、点滅状態を継続する)。また、間違ったアダプタにコネクタが挿入されている場合には、コネクタが挿入されている間違ったアダプタのLEDもあわせて点滅状態にされる。その後、処理がS160に進められる。
【0102】
S160においては、配線管理装置300は、表示部310にコネクタの接続状態、および誤配線の場合にはその旨を作業者に通知するためのアラームを表示する。
【0103】
次に、図1および図13を参照して、コネクタの引抜作業の場合について説明する。
S200にて、作業者は、配線管理装置300の操作部320から、引抜対象のコネクタ210が挿入されているアダプタ140の位置データを入力する。
【0104】
S210にて、配線管理装置300は、入力された位置データに基づいて、引抜対象のコネクタ210が挿入されているアダプタに対応するLEDを点滅させて、作業者に作業対象位置のガイダンスを行なう。
【0105】
そして、S220にて、作業者は、LEDのガイダンス表示に従って実際のコネクタ210の引抜作業を実行する。
【0106】
S230にて、配線管理装置300は、引抜かれたコネクタから取得されていたID情報が、配線管理装置300に予め記憶されている引抜対象コネクタのデータと一致するか否かを判定する。
【0107】
データが一致する場合(S230にてYES)は、配線管理装置300は、正しいコネクタが引抜かれたと判断し、S240に処理を進めて、引抜対象であったアダプタに対応するLEDを消灯させる。その後、処理がS250に進められる。
【0108】
データが一致しない場合(S230にてNO)は、配線管理装置300は、間違ったコネクタが引抜かれたと判断し、引抜対象であるアダプタに対応するLEDを点滅状態に保持するとともに、間違ってコネクタが引抜かれたアダプタに対応するLEDを点滅状態とする。その後、処理がS250に進められる。
【0109】
S250においては、配線管理装置300は、表示部310にコネクタの接続状態、および誤配線の場合にはその旨を作業者に通知するためのアラームを表示する。
【0110】
なお、コネクタが挿入されるべきでないアダプタに、コネクタが挿入されていない状態(正常状態)の場合には、当該アダプタに対応するLEDは消灯状態にされる。
【0111】
このような処理に従って制御を行なうことによって、コネクタの挿抜作業時において、作業者に対して作業位置の視覚的な指示、および誤配線時の注意喚起をすることができるので、正確かつ迅速な配線作業を行なうことができる。
【0112】
なお、図12および図13においては、LEDを点灯/点滅/消灯の各状態でガイダンスおよび誤配線の通知を行なったが、これに代えてまたはこれに加えて、LEDの色を変化させることによって作業者への通知を行なうようにしてもよい。また、視覚的な通知に加えて、ブザーやチャイム、ボイスアラームなどの聴覚的な通知を行なうようにしてもよい。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0114】
100 配線管理システム、110,110−1〜110−N 配線装置、120,120A,120−1〜120−N アンテナモジュール、120B LEDモジュール、121,121A,121B アンテナ部、122 アンテナ素子、123 LED、124 駆動回路、125,150,150−1〜150−N 接続線、126 マッチング回路、127 出力アンプ、135 バッファ、128 受信アンプ、129 チャンネル切換部、130,130−1〜130−N 受信部、131 通信部、132 信号出力部、133 LED駆動部、134 復調部、140,140−1〜140−N アダプタ、170 接続ケーブル、200 配線ケーブル、210 コネクタ、220 爪部、230 ケーブル部、240 カバー部、250 接点部、260,260A ICタグ、300 配線管理装置、310 表示部、320 操作部、330 制御部、331 通信部、332 LED制御部、333 データベース、334 判定部、335 表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線ケーブルのコネクタが配線装置に挿入された状態において、前記コネクタに取付けられたICタグに対向するように配置されることによって、前記ICタグ内の情報の少なくとも読取りが非接触で行なえるように構成されたアンテナ素子において、
前記アンテナ素子は、前記配線ケーブルの挿入方向に直交する方向の前記コネクタの長さに対して0%より大きくかつ70%以下の長さを有することを特徴とする、アンテナ素子。
【請求項2】
前記アンテナ素子は、前記配線ケーブルの挿入方向に直交する方向の長さに対して40〜60%の範囲内の長さである、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項3】
前記アンテナ素子における前記配線ケーブルの挿入方向の長さは、前記コネクタが前記配線装置に挿入された状態において、前記コネクタを保護するためのカバー部と前記配線装置との間の距離よりも短く設定される、請求項1または2に記載のアンテナ素子。
【請求項4】
前記アンテナ素子の前記配線ケーブルの挿入方向に直交する方向の長さは約6mmであり、前記アンテナ素子の前記配線ケーブルの挿入方向の長さは約3mmである、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンテナ素子と、
前記配線装置のコネクタ挿入口に隣接して設けられ、前記配線ケーブルの接続状態を管理するための配線管理装置からの信号に応じて、点灯状態を変化するように構成された表示器とを備える、アンテナモジュール。
【請求項6】
前記表示器は、前記表示器に対応する前記コネクタ挿入口が、前記配線ケーブルの挿抜対象のコネクタ挿入口である場合に、前記配線管理装置からの信号に応じて点滅状態にされる、請求項5に記載のアンテナモジュール。
【請求項7】
前記表示器は、前記表示器に対応する前記コネクタ挿入口に挿入された前記コネクタが、挿入されるべきコネクタと合致している場合には点灯状態にされ、挿入されるべきコネクタと合致していない場合には点滅状態にされる、請求項5に記載のアンテナモジュール。
【請求項8】
第1および第2の配線ケーブルを含む複数の配線ケーブルが配線装置に挿入された状態において、前記複数の配線ケーブルの各々に対応するコネクタに取付けられたICタグ内の情報の少なくとも読取りが非接触で行なえるように構成されたアンテナモジュールであって、
第1および第2のアンテナ素子を備え、
前記第1および第2のアンテナ素子の各々は、前記配線ケーブルの挿入方向に直交する方向の前記コネクタの長さに対して0%より大きくかつ70%以下の長さを有し、
前記第1の配線ケーブルの第1のコネクタおよび前記第2の配線ケーブルの第2のコネクタは、互いに下面が対向するように前記配線装置に挿入され、
前記ICタグは、前記第1および第2のコネクタの各々において、挿入方向に直交する前記コネクタの幅方向の中心から同じ向きにずれた位置の下面に取付けられ、
前記第1および第2のアンテナ素子は、前記第1および第2のコネクタが前記配線装置に挿入された状態において、前記第1および第2のコネクタの前記ICタグにそれぞれ対向するように、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとの間に配置される、アンテナモジュール。
【請求項9】
前記第1および第2のアンテナ素子の各々は、前記配線ケーブルの挿入方向に直交する方向の長さに対して40〜60%の範囲内の長さである、請求項8に記載のアンテナモジュール。
【請求項10】
前記第1および第2のアンテナ素子の各々における前記配線ケーブルの挿入方向の長さは、前記コネクタが前記配線装置に挿入された状態において、前記コネクタを保護するためのカバー部と前記配線装置との間の距離よりも短い、請求項8または9に記載のアンテナモジュール。
【請求項11】
前記複数の配線ケーブルが挿入される前記配線装置の複数のコネクタ挿入口の各々に対応して設けられ、前記複数の配線ケーブルの接続状態を管理するための配線管理装置からの信号に応じて、点灯状態を変化するように構成された表示器をさらに備える、請求項8に記載のアンテナモジュール。
【請求項12】
前記表示器は、前記表示器に対応する前記コネクタ挿入口が、前記配線ケーブルの挿抜対象のコネクタ挿入口である場合に、前記配線管理装置からの信号に応じて点滅状態にされる、請求項11に記載のアンテナモジュール。
【請求項13】
前記表示器は、前記表示器に対応する前記コネクタ挿入口に挿入された前記コネクタが、挿入されるべきコネクタと合致している場合には点灯状態にされ、挿入されるべきコネクタと合致していない場合には点滅状態にされる、請求項11に記載のアンテナモジュール。
【請求項14】
配線ケーブルのコネクタが配線装置に挿入された状態において、前記コネクタに取付けられたICタグ内の情報の少なくとも読取りが非接触で行なえるように構成され、前記ICタグに対向するように配置された少なくとも1つのアンテナ素子と、
前記アンテナ素子で読取られた情報を受信するように構成された受信部とを備え、
前記アンテナ素子は、前記配線ケーブルの挿入方向に直交する方向の前記コネクタの長さに対して0%より大きくかつ70%以下の長さを有する、配線管理システム用の無線装置。
【請求項15】
前記配線装置のコネクタ挿入口に隣接して設けられ、前記配線ケーブルの接続状態を管理するための配線管理装置からの信号に応じて、点灯状態を変化するように構成された表示器をさらに備える、請求項14に記載の配線管理システム用の無線装置。
【請求項16】
配線ケーブルのコネクタを接続するための配線装置と、
前記コネクタが前記配線装置に挿入された状態において、前記コネクタに取付けられたICタグ内の情報の少なくとも読取りが非接触で行なえるように構成され、前記ICタグに対向するように配置された少なくとも1つのアンテナ素子と、
前記アンテナ素子で読取られた情報を受信するように構成された受信部と、
前記コネクタの前記配線装置への配置データを予め記憶するとともに、前記受信部で読取られた前記コネクタの情報と、前記配置データとに基づいて、前記配線装置への前記コネクタの挿抜作業を支援するための信号を生成するための配線管理装置とを備え、
前記アンテナ素子は、前記配線ケーブルの挿入方向に直交する方向の前記コネクタの長さに対して0%より大きくかつ70%以下の長さを有する、配線管理システム。
【請求項17】
前記配線装置は、前記コネクタが挿入されるコネクタ挿入口を含み、
前記配線管理システムは、
前記コネクタ挿入口に対応して設けられた表示器をさらに備え、
前記配線管理装置は、操作者からの前記挿抜作業の指示に基づいて、挿抜対象のコネクタ挿入口に対応する前記表示器の点灯状態を変化させる、請求項16に記載の配線管理システム。
【請求項18】
前記配線装置は、前記コネクタが挿入されるコネクタ挿入口を含み、
前記配線管理装置は、操作者から指示された前記コネクタ挿入口に対応する配置データと、前記コネクタ挿入口に挿入されたコネクタのICタグからの情報とに基づいて、前記挿入されたコネクタが前記指示により挿入されるべきコネクタであるか否かを判定する、請求項16に記載の配線管理システム。
【請求項19】
前記コネクタ挿入口に対応して設けられた表示器をさらに備え、
前記配線管理装置は、前記挿入されたコネクタが前記挿入されるべきコネクタに合致する場合と、前記挿入されたコネクタが前記挿入されるべきコネクタ合致しない場合とで、前記表示器の点灯状態を異なる状態に変化させる、請求項18に記載の配線管理システム。
【請求項20】
前記配線管理装置は、前記挿入されたコネクタが前記挿入されるべきコネクタである場合には前記表示器を点灯させ、前記挿入されたコネクタが前記挿入されるべきコネクタでない場合には前記表示器を点滅させる、請求項19に記載の配線管理システム。
【請求項21】
前記配線装置への前記コネクタの配線状態を表示するための表示装置をさらに備える、請求項16〜20のいずれか1項に記載の配線管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−44518(P2012−44518A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184968(P2010−184968)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】