説明

アンテナ装置、及び、通信装置

【課題】良好な通信特性と機械的強度との両立を実現可能にしつつ、小型と低背化との両方に有利な構造を有するアンテナ装置を提供する。
【解決手段】 所定の通信波長により、対向する一対の電極間で電磁界結合することで情報通信を行うアンテナ装置において、誘電体基板11に形成され、他のアンテナ装置の電極と電磁界結合されて通信可能となる結合用電極17を備え、結合用電極17は、通信波長の1/2の長さからなり、誘電体基板に形成されたライン12と、ライン12のライン中央部12aと誘電体基板11の面方向に対向するとともにライン12に電気的に接続されたグランド13とを有し、ライン中央部12aとグランド13とを結ぶ延長線上に配置された他のアンテナ装置の電極と電磁界結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の通信波長により、対向する一対の電極間での電磁界結合により情報通信を行うアンテナ装置、及び、このアンテナ装置が組み込まれた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータや小型携帯端末等の電子機器間で、音楽、画像等のデータを、ケーブルやメディアを介さずに無線伝送にて行うシステムが開発されている。このような無線伝送システムには、数cmの近距離で最大560Mbps程度の高速転送が可能なものがある。このような高速転送可能な伝送システムの中で、TransferJet(登録商標)は、通信距離が短いが盗聴される可能性が低く、伝送速度が速いという利点がある。
【0003】
TransferJet(登録商標)では、超近距離を隔てて対応する高周波結合器の電磁界結合によりなしえるもので、その信号品質が高周波結合器の性能に依存する。例えば、特許文献1に記載された高周波結合器は、図16に示すように、一方の面にグランド202を形成したプリント基板201と、プリント基板201のもう一方の面に形成したマイクロストリップ構造のスタブ203と、結合用電極208と、この結合用電極208とスタブ203を接続する金属線207とを備える。また、特許文献1に記載された高周波結合器では、プリント基板201上に、送受信回路205も形成している。また、特許文献1には、プリント基板201上に送受信回路205が形成されていない変形例として、図17に示すような、一方の面にグランド202を形成したプリント基板201と、プリント基板201のもう一方の面に形成したマイクロストリップ構造のスタブ203と、結合用電極208と、この結合用電極208とスタブ203を接続する金属線207とを備える構成が記載されている。
【0004】
しかしながら、図16のように、特許文献1に記載された高周波結合器では、良好な通信を行うため、板状の結合用電極208の面積を大きくする必要があった。これは通信波長に依存した一定の長さが必要であるためと、結合強度を強くするためには結合用電極208を大きくしなければならないからである。また、金属線207は結合用電極208とスタブ203を所定の位置で接続する必要があるため、作製時に位置合わせ精度が要求される等、プロセス上の問題も生じる。
【0005】
これらの問題を解決すべく、非特許文献1には、アンテナ装置の端面に対して、垂直な方向に電磁界結合する構造(以下、端部放射型と呼ぶ)のアンテナ装置が公表されている。ここで、図18(A)に示すように、三次元直交座標系をXYZとして、非特許文献1より公表されたアンテナ装置300の端面をXY平面とする。この図18(A)では、XYZ軸で規定される外寸がそれぞれ、25[mm]、0.1〜0.3[mm]、10[mm]とする。この場合、アンテナ装置300は、図18(B)に示すように、誘電体基板311の面XZ上に構成されたグランド313と、グランド313から一定の間隔をあけて形成されたライン312と、ライン312の略中央にあって、グランド313との間に電力を供給する給電部314とから構成される。ライン312は、通信波長の約半波長の長さに設計すると、ライン312の両端が、給電部314から1/4波長の長さのオープンスタブとなり、ライン312の両端を中心に強い電界放射が起こる。これにより、アンテナ装置300は、ライン312と、誘電体基板311の面XYと面対称の位置に配置された電極との間で、強い電磁界結合を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−311816号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日立電線ニュースリリース2010.9.17、日立電線株式会社、2010.10.5、CEATEC展示会、http://www.hitachi-cable.co.jp/products/news/20100917.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した非特許文献1に記載されたアンテナ装置300では、図18(B)に示したように、ライン312の長さを通信波長の略半波長に設計する必要があるため、ライン312の方向に一定の長さ、図18(A)に示す例では、X軸方向で規定される中心位置から12.5[mm]の長さ、全体では25[mm]の長さが必要となり、薄型化が可能であるが、面XZの小型化、特に、ライン312が配線される方向での短縮化が困難で、このため適用できる用途が制約されるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、良好な通信特性と機械的強度との両立を実現可能にしつつ、小型化と低背化との両方に有利な構造を有するアンテナ装置を提供することを目的とする。また、本発明は、このアンテナ装置が組み込まれた通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための手段として、本発明に係るアンテナ装置は、所定の通信波長により、対向する一対の電極間で電磁界結合することで情報通信を行うアンテナ装置において、誘電体基板に形成され、他のアンテナ装置の電極と電磁界結合されて通信可能となる結合用電極を備え、結合用電極は、通信波長の1/2の長さからなり誘電体基板の一方の面に形成された第1の配線と、第1の配線と誘電体基板の面方向に対向するとともに第1の配線に電気的に接続された導体とを有し、第1の配線の中央部と導体とを結ぶ延長線上に配置された他のアンテナ装置の電極と電磁界結合することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る通信装置は、所定の通信波長により、対向する一対の電極間で電磁界結合することで情報通信を行う通信装置において、誘電体基板に形成され、他のアンテナ装置の電極と電磁界結合されて通信可能となる結合用電極と、結合用電極と電気的に接続され、信号の送受信処理を行う送受信処理部とを備え、結合用電極は、通信波長の1/2の長さからなり誘電体基板の一方の面に形成された第1の配線と、第1の配線と誘電体基板の面方向に対向するとともに第1の配線に電気的に接続された導体とを有し、第1の配線の中央部と導体とを結ぶ延長線上に配置された他のアンテナ装置の電極と電磁界結合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、誘電体基板の一方の面に、第1の配線と導体とが形成されているので、機械的強度を実現することができる。
【0013】
また、本発明は、通信波長の1/2の長さからなる第1の配線の中央部と、第1の配線の中央部と誘電体基板の面方向に対向する導体とを結ぶ延長線上に配置された他のアンテナ装置の電極と電磁界結合することで、誘電体基板の面方向で規定される縦横比の調整の自由度が高く、アンテナ装置の小型化と低背化とを両立しながら、良好な通信特性を実現することができる。
【0014】
したがって、本発明は、良好な通信特性と機械的強度との両立を実現可能にしつつ、アンテナ装置自体の小型化と低背化との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用されたアンテナ装置が組み込まれる通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明が適用されたアンテナ装置である第1の実施形態に係る高周波結合器の構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る高周波結合器において、高周波結合器間での通信状態を示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係る高周波結合器での中心断面での電界解析結果を示す電界分布図である。
【図5】第1の実施形態に係る高周波結合器と基準結合器間の結合強度の解析結果を示す周波数特性図である。
【図6】本発明が適用されたアンテナ装置である第2の実施形態に係る高周波結合器の構成を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る高周波結合器において、高周波結合器間での通信状態を示す斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係る高周波結合器での中心断面での電界解析結果を示す電界分布図である。
【図9】第2の実施形態に係る高周波結合器と基準結合器間の結合強度の解析結果を示す周波数特性図である。
【図10】本発明が適用されたアンテナ装置である第2の実施形態の変形例に係る高周波結合器の構成を示す図である。
【図11】第2の実施形態の変形例に係る高周波結合器において、高周波結合器間での通信状態を示す斜視図である。
【図12】第2の実施形態の変形例に係る高周波結合器と基準結合器間の結合強度の解析結果を示す周波数特性図である。
【図13】第2の実施形態の変形例に係る高周波結合器での中心断面での電界解析結果を示す電界分布図である。
【図14】第2の実施形態の変形例に係る高周波結合器の磁界ベクトル分布の解析結果を示す図である。
【図15】本発明が適用されたアンテナ装置が組み込まれた電子機器の具体例について説明するための図である。
【図16】従来例に係る高周波結合器の構成を示す図である。
【図17】従来例に係る高周波結合器の構成を示す図である。
【図18】従来例に係る高周波結合器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0017】
<通信システム>
本発明が適用されたアンテナ装置は、対向する一対の電極間での電磁界結合により情報通信を行う装置であって、例えば図1に示すような、560Mbps程度の高速転送を可能とする通信システム100に組み込まれて使用されるものである。
【0018】
通信システム100は、2つのデータ通信を行う通信装置101、105から構成される。ここで、通信装置101は、結合用電極103を有する高周波結合器102と、送受信回路部104とを備える。また、通信装置105は、結合用電極107を有する高周波結合器106と、送受信回路部108とを備える。
【0019】
図1に示すように通信装置101、105のそれぞれが備える高周波結合器102、106を向かい合わせて配置すると、2つの結合用電極103、107が1つのコンデンサとして動作し、全体としてバンドパスフィルタのように動作することによって、2つの高周波結合器102、106の間で、例えば560Mbps程度の高速転送を実現するための4〜5GHz帯域の高周波信号を効率よく伝達することができる。
【0020】
ここで、高周波結合器102、106がそれぞれ持つ送受信用の結合用電極103、107は、例えば3cm程度離間して対向して配置され、電界結合が可能である。
【0021】
通信システム100において、例えば、高周波結合器102に接続された送受信回路部104は、上位アプリケーションから送信要求が生じると、送信データに基づいて高周波送信信号を生成し、結合用電極103から結合用電極107へ信号を伝搬する。そして、受信側の高周波結合器106に接続された送受信回路部108は、受信した高周波信号を復調及び復号処理して、再現したデータを上位アプリケーションへ渡す。
【0022】
なお、本発明が適用されるアンテナ装置は、上述した4〜5GHz帯域の高周波信号を伝達するものに限定されず、他の周波数帯の信号伝達にも適用可能であるが、以下の具体例では、4〜5GHz帯域の高周波信号を伝達対象として説明する。
【0023】
<第1の実施形態>
このような通信システム100に組み込まれるアンテナ装置として、図2に示すような第1の実施形態に係る高周波結合器10について説明する。
【0024】
図2では、後述するライン12、グランド13の接続状態をわかりやすくするために保護フィルム15を透過させて示している。
【0025】
図2に示すように、高周波結合器10は、誘電体基板11の一方の面にグランド13と、その外周に一定距離を隔ててループ状のライン12が形成された構造となっている。
【0026】
ライン12は、結合用電極17として機能し、その一端がグランド13と対峙して、上述した送受信回路部104との接続部となる給電部14となり、ライン12の他端は、グランド13と電気的に接続される。また、結合用電極17として機能するライン12は、その配線長が、通信波長の略半分の長さに調整されている。
【0027】
このような構成からなる高周波結合器10は、次の評価から明らかなように、結合用電極17として機能するライン12のうち、給電部14から通信波長の1/4離れた位置、すなわち、ライン12の中央部であるライン中央部12aで信号レベルが高い状態となる。これにより、ライン中央部12aでは、グランド13の形成面に対し略対称的な電界分布となる。これにより、結合用電極17では、図2に示す誘電体基板11の面方向E、具体的にはライン中央部12aと、グランド13とを結ぶ延長線の方向に効率よく電界の縦波を放出することができる。この結果として、高周波結合器10は、誘電体基板11の端面11aと面対称となるように配置された他の結合用電極との間の結合強度が強くなり、良好な通信特性を実現することができる。
【0028】
このような構成からなる高周波結合器10は、次のような製造工程によって製造される。まず、誘電体基板11の片面に導電部材として例えば銅箔を貼り付けた片面銅箔基板のうち、銅箔面の一部をエッチング処理により取り除き、図2に示すようなグランド13と、グランド13の外側に一定間隔を隔てたライン12を形成する。本実施形態において、誘電体基板11では、その面方向の小面積化を図る観点から、グランド13の外周を囲むようにライン12を引き回している。この形成時において、ライン12の一方の端部12bは、グランド13と接続した状態としておく。続いて、保護フィルム15を、給電部14を省いた銅箔面に貼り付けることで、高周波結合器10は完成する。なお、保護フィルム15は、銅箔面を保護するためのもので、レジスト等でも代用でき必要に応じて設置すればよい。
【0029】
以上のようにして製造される高周波結合器10では、結合用電極17として機能するライン12の他方の端部12cとグランド13との間が給電部14として機能し、この給電部14が送受信回路部104との接続部となる。
【0030】
なお、給電部14は、その形状を、送受信回路部104との接続方式、例えば同軸ケーブル、フレキシブルプリント基板FPCとのACF(異方性導電フィルム)、あるいは、ACP(異方性導電ペースト)を用いた接続の用途に応じて調整することが好ましい。
【0031】
上記の製造工程により、高周波結合器10は、一枚の片面銅箔基板を処理することで作製可能であり、複雑なパターンの位置合わせやスルーホールによる面間接続等の処理が不要で、簡易なプロセスにて作製することができる。
【0032】
このように、高周波結合器10は、一枚の誘電体基板11の片面の銅箔をエッチング処理することで完成できるので、機械的強度に優れる。加えて、高周波結合器10は、誘電体基板11の面方向に電界が分布するようにして放射するため、例えば、誘電体基板の厚み方向に電界が分布するようにして放射する高周波結合器に比べて、通信性能を向上させるために誘電体基板を厚くする必要がなく、全体の低背化を実現することができる。
【0033】
また、高周波結合器10では、誘電体基板11の材料として、ガラス、紙の基材、あるいはグラスファイバの織布をエポキシ樹脂、フェノール樹脂等で固めた、例えばガラスエポキシ、ガラスコンポジット基板や、低誘電率のポリイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等や、更にそれらを多孔質化した材料を用いることができる。
【0034】
また、上述した製造工程において、高周波結合器10では、銅箔を貼り付けた片面基板を用いてエッチング処理により結合用電極17としてライン12を形成したが、誘電体基板11の面にメッキ、真空蒸着法等により、マスキングした状態で直接形成する、あるいは形成後にエッチングするなどのパターニング処理を施して形成するようにしても良いし、導電性塗料を用いた印刷法により形成しても良い。
【0035】
また、結合用電極17として機能するライン12、及びグランド13の材料としては、銅の他に、アルミニウム、金、銀等の良導体を用いることができるが、特にこれら材料に限らず導電率の高い導電体であればいずれも使用することができる。
【0036】
また、結合用電極17は、ライン12をループ形状で形成しているので、誘電体基板11の面スペースを有効に活用することができ、高周波結合器10自体の小面積化を図ることができる。
【0037】
このような結合用電極17を備える高周波結合器10は、上記のような誘電体基板11の面方向E、すなわち、基板の端部から電磁界を放射する構造としていることで、基板面に対して垂直方向に電磁界を放射する構造に比べて、通信性能を向上させるために誘電体基板を厚くする必要がなく低背化できる。
【0038】
次に、第1の実施形態に係る高周波結合器10の性能を調べるために、アンソフト社製の3次元電磁界シミュレータHFSSを用いて結合強度の解析を行なった。ここで、高周波結合器10の解析モデルとして、次のような条件のものを用いた。すなわち、誘電体基板11の材料には、誘電率が4.3のガラスエポキシ基板を、また、結合用電極17の導電体の材質には厚み40μmの銅を設定した。また、高周波結合器10の大きさは、15mm×10.2mmとし、誘電体基板11、保護フィルム15の厚みはそれぞれ、0.3mm、0.05mmとした。
【0039】
結合強度は、高周波伝送特性を評価するのに用いられるSパラメータの透過特性S21で評価しており、高周波結合器10の信号入出力端となる給電部14を入力ポートとして、一対の高周波結合器のポート間の結合強度S21を算出した。
【0040】
図3は、結合強度S21の解析に用いた高周波結合器間の相対的配置を示したものである。この評価では一方の高周波結合器には図3に示されるような板状の電極150aを有し、評価の基準機となる基準高周波結合器150を用いた。結合強度の評価は、図3に示すように、ライン中央部12aと、グランド13とを結ぶ延長線の方向Eと、基準高周波結合器150の電極150aの面とが直交し、かつ、それぞれの電極の中心軸が一致する状態で、結合用電極17と電極150aとを対向させ、15mm、100mm間隔をあけた状態で結合強度S21の周波数特性を調べた。
【0041】
また、高周波結合器10での電界の発生状態を評価するために、対向距離15mmでの高周波結合器10近傍の電界ベクトル分布も調べた。
【0042】
図4は、高周波結合器10の4GHzでの電界分布を解析したもので、高周波結合器10の誘電体基板11における結合用電極17の形成面上の電界分布を示している。この結果から明らかなように、結合用電極17の中心部、つまり図4のライン中央部12aから外側に向かって円弧上に電界が分布しており、基準高周波結合器150と良好な結合状態になっていることがわかる。
【0043】
これは、結合用電極17を構成するライン12の長さが通信波長の略半分で、このライン12の一端がグランド13と接続された構成、いわゆるショートスタブとなっているので、通信波長の1/4の部分に相当するライン中央部12aで電界が最大となるからである。このように、高周波結合器10では、結合用電極17の中央部を中心に強い電界を発生することを解析にて確認することができた。
【0044】
図5は、高周波結合器10と基準高周波結合器150との間の結合強度S21の解析結果を示したもので、対向距離15mmの通信距離では4〜6GHzの帯域で−21.6〜−20.6dBと、強い結合強度と平坦な周波数特性を有している。例えば、TransferJet(登録商標)では、560MHzの帯域幅が必要で、一般に高周波結合器のばらつきや回路基板とのインピーダンス整合の具合により、中心周波数がずれるが、高周波結合器10では、必要帯域幅よりも十分に広い帯域幅を有しているので、これらのばらつきの影響を受けず良好な通信が行える。また対向距離100mmの非通信距離では、4〜5GHz−42dB以下の通信遮断性が得られている。
【0045】
以上のように、第1の実施形態に係る高周波結合器10では、上記のシミュレーションからも明らかなように、良好な通信特性を実現する。また、高周波結合器10では、ライン12とグランド13とが同一の誘電体基板11の平面状に形成されているので、機械的強度を実現することができる。また、高周波結合器10では、通信波長の1/2の長さからなるライン12のライン中央部12aと、ライン中央部12aと誘電体基板11の面方向に対向するグランド13とを結ぶ延長線上に配置された他のアンテナ装置の電極と電磁界結合することで、所望とする通信特性を実現するためのサイズ調整、すなわち、誘電体基板11の面方向で規定される縦横比の調整の自由度が高く、装置全体の小型化と低背化とを両立しながら、良好な通信特性を実現することができる。
【0046】
<第2の実施形態>
次に、このような通信システム100に組み込まれるアンテナ装置として、図6に示すような第2の実施形態に係る高周波結合器20について説明する。
【0047】
図6では、後述するコイル26の巻回状態をわかりやすくするために、誘電体基板21を透過させて示している。
【0048】
高周波結合器20は、誘電体基板21と、それぞれ通信波長と略1/2同等の長さを有するコイル26a、26bが電気的に接続されたコイル26からなるもので、コイル26の両端には、送受信回路部104との接続のための接続端子28が形成されている。コイル26は、各コイル26a、26bのライン中央部26a1、26b1、すなわちコイル26の一方の端部から通信波長の1/4、3/4離れた位置で信号レベルが極性が互いに反転した状態で高くなることによって、結合用電極27として機能する。これにより、ライン中央部26a1、26b1では、略対称的な電界分布となる。
【0049】
このような構成からなる結合用電極27では、図2に示す誘電体基板21の面方向E、具体的にはライン中央部26a1、26b1を結ぶ延長線の方向に効率よく電界の縦波を放出することができる。この結果として、高周波結合器20は、ライン中央部26a1、26b1を結ぶ延長線上に配置された他の結合用電極との間の結合強度が強くなり、良好な通信特性を実現することができる。
【0050】
また、結合用電極27は、誘電体基板21のスペースを有効に活用することができ、高周波結合器20自体の小面積化を図ることができる。
【0051】
また、このような結合用電極27を備える高周波結合器20は、上記のような誘電体基板21の面方向E、すなわち、基板の端部から電磁界を放射する構造としていることで、基板面に対して垂直方向に電磁界を放射する構造に比べて、通信性能を向上させるために誘電体基板を厚くする必要がなく低背化できる。
【0052】
このような構成からなる高周波結合器20の具体的な構造について、次のような作製プロセスの一例を挙げながら説明する。
【0053】
まず、誘電体基板21の上面21a、下面21bに銅、アルミニウム等の導電性金属からなる複数の上面ライン23a、下面ライン23bを形成する。この形成時において、上面ライン23aの一端が下面ライン23bの一端と、更にこの上面ライン23aの別の一端が、トロイダル方向に隣接する下面ライン23bと誘電体基板21を挟んで、順次重なるようにしておくと同時に、完成時にコイル26全体がトロイダル形状となるような配置としておく。
【0054】
なお、複数の上面ライン23a、下面ライン23bを形成する処理については、誘電体基板21の両面にメッキ、蒸着等の処理により形成しても良いし、両面銅箔張りされた誘電体基板21を用いてエッチング処理して形成しても良い。
【0055】
次に、上面ライン23a、下面ライン23bが形成された誘電体基板21において、上面ライン23aと下面ライン23bとが互いに重畳した位置にドリル、レーザー等により複数のスルーホール24を形成する。これらスルーホール24を金属メッキ処理あるいは導電ペースト等で埋めることで、誘電体基板21の両面に形成された全ての上面ライン23a、下面ライン23bが、スルーホール24を介して電気的に接続され、トロイダル形状のコイル26が完成する。
【0056】
コイル26の両端は、送受信回路部104との接続のための接続端子28となり、インピーダンス整合に応じて調整された所定の形状で作製することが好ましい。
【0057】
誘電体基板21の材料としては、ガラス、紙の基材、あるいはグラスファイバの織布をエポキシ樹脂、フェノール樹脂等で固めた、例えばガラスエポキシ、ガラスコンポジット基板や、低誘電率のポリイミド、液晶ポリマー、テフロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。特に、誘電体基板21の材料としては、電気的特性の面からは低誘電率の材料を用いるのが好ましい。
【0058】
次に、第2の実施形態に係る高周波結合器20の性能を調べるために、アンソフト社製の3次元電磁界シミュレータHFSSを用いて結合強度の解析を行なった。ここで、高周波結合器20の解析モデルとして、次のような条件のものを用いた。すなわち、誘電体基板21の材料には誘電率が4.3のガラスエポキシ基板を、また、結合用電極27として機能するコイル26の材質には厚み40μmの銅を設定した。また、高周波結合器20の大きさは10mm×10mmとし、厚みを1mmとした。
【0059】
結合強度は、高周波伝送特性を評価するのに用いられるSパラメータの透過特性S21で評価しており、高周波結合器20の信号入出力端となる接続端子28、28の両端間を電力の入出力ポートとしている。
【0060】
図7は、結合強度S21の解析に用いた高周波結合器間の相対的配置を示したものである。この評価では一方の高周波結合器には図7に示されるような板状の電極150aを有し、評価の基準機となる基準高周波結合器150を用いた。結合強度の評価は、図7に示すように、ライン中央部26a1、26b1を結ぶ延長線の方向Eと、基準高周波結合器150の電極150aの面とが直交し、かつ、それぞれの電極の中心軸が一致する状態で、結合用電極27と電極150aとを対向させ、15mm、100mm間隔をあけた状態で結合強度S21の周波数特性を調べた。
【0061】
このように、高周波結合器20の中心軸は、コイル26aの接続端子28を基準とした略1/4の長さの位置、すなわち通信周波数の1/4波長に相当する長さの位置と、もう一方のコイル26bの接続端子28を基準とした略1/4の長さの位置、すなわち通信周波数の3/4波長に相当する長さの位置とを、誘電体基板21の半分の厚みの面に投影させた位置で面内方向に貫く方向である。
【0062】
また、高周波結合器20での電界の発生状態をみるために、対向距離15mmでの高周波結合器20近傍の電界分布も調べた。
【0063】
図8は、高周波結合器20の共振周波数である4.5GHzでの電界分布の解析結果を示すもので、ライン中央部26a1、26b1を結んだ中心軸方向に電界の強いところが2箇所でき、あたかも電気双極子のように振舞うことで、対向する高周波結合器150と電磁界結合していることがわかる。
【0064】
図9は、高周波結合器20と基準高周波結合器150との間の結合強度S21の解析結果を示したもので、対向距離15mmの通信距離では、4.5GHz付近で−18dBと良好な結合強度を有し、また対向距離100mmの非通信距離では−40dB以下の通信遮断性を有している。
【0065】
以上のように、第2の実施形態に係る高周波結合器20では、上記のシミュレーションからも明らかなように、良好な通信特性を実現する。また、高周波結合器20では、結合用電極27として機能するコイル26が誘電体基板21内に形成されているので、例えば耐衝撃性などといった機械的強度を実現することができる。また、高周波結合器20では、通信波長の1/2の長さからなるコイル26aのライン中央部26a1と、通信波長の1/2の長さからなるコイル26bのライン中央部26b1とを結ぶ延長線上に配置された他のアンテナ装置の電極と電磁界結合することで、例えば、基板面に対して垂直方向に電磁界を放射する構造に比べて、通信性能を向上させるために誘電体基板を厚くする必要がなく、装置全体の小型化と低背化とを両立することができる。
【0066】
<第2の実施形態の変形例>
次に、このような通信システム100に組み込まれるアンテナ装置として、図10に示すような第2の実施形態の変形例に係る高周波結合器30について説明する。
【0067】
図10では、後述するコイル36の巻回状態をわかりやすくするために、誘電体基板31を透過させて示している。
【0068】
高周波結合器30は、誘電体基板31と、それぞれ通信波長の略1/2の長さを有するコイル36a、36bが電気的に接続されたコイル36からなるもので、コイル36の両端には、送受信回路部104との接続のための接続端子38が形成されている。ここで、接続端子38は、コイル36aの端部に当たる端子38aと、コイル36bの端部に当たる端子38bとから構成されている。
【0069】
コイル36は、各コイル36a、36bのライン中央部36a1、36b1、すなわちコイル36の一方の端部から通信波長の1/4、3/4離れた位置で信号レベルが極性が互いに反転した状態で高くなることによって、結合用電極37として機能する。これにより、ライン中央部36a1、36b1では、略対称的な電界分布となる。
【0070】
また、コイル36は、ライン中央部36a1、36b1において、それぞれ、巻回方向が反転する巻回方向反転箇所となっている。例えば図10に示すように、本変形例において、コイル36は、その巻回方向が、端子38aから中央部36a1までが時計方向回り、中央部36a1から中央部36b1までが反時計方向回り、中央部36b1から端子38bまでが時計方向回りとなるような構造となっている。換言すれば、コイル36の巻回方向は、0〜1/4通信波長に相当する距離まで時計方向回り、1/4〜3/4通信波長に相当する距離まで反時計方向回り、3/4〜1通信波長に相当する距離まで時計方向回りとなっている。
【0071】
このような構成からなる結合用電極37では、図10に示す誘電体基板31の面方向E、具体的にはライン中央部36a1、36b1を結ぶ延長線の方向に効率よく電界の縦波を放出することができる。この結果として、高周波結合器30は、ライン中央部36a1、36b1を結ぶ延長線上に配置された他の結合用電極との間の結合強度が強くなり、良好な通信特性を実現することができる。
【0072】
また、結合用電極37は、誘電体基板31のスペースを有効に活用することができ、高周波結合器30自体の小面積化を図ることができる。
【0073】
また、このような結合用電極37を備える高周波結合器30は、上記のような誘電体基板31の面方向E、すなわち、基板の端部から電磁界を放射する構造としていることで、基板面に対して垂直方向に電磁界を放射する構造に比べて、通信性能を向上させるために誘電体基板を厚くする必要がなく低背化できる。
【0074】
このような構成からなる高周波結合器30の具体的な構造について、次のような作製プロセスの一例を挙げながら説明する。
【0075】
まず、誘電体基板31の上面31a、下面31bに銅、アルミニウム等の導電性金属からなる複数の上面ライン33a、下面ライン33bを形成する。この形成時において、上面ライン33aの一端が下面ライン33bの一端と、更にこの上面ライン33aの別の一端が、トロイダル方向に隣接する下面ライン33bと誘電体基板31を挟んで、順次重なるようにしておくと同時に、完成時にコイル36全体がトロイダル形状となるような配置としておく。
【0076】
具体的に、接続端子38の一方の端部、例えば端部38aを基準として、1/4通信波長、3/4通信波長にそれぞれ相当するライン中央部36a1、36b1でコイル36の巻回方向が反転するように、上面ライン33aと下面ライン33bとをそれぞれ配置しておく。
【0077】
次に、上面ライン33a、下面ライン33bが形成された誘電体基板31において、上面ライン33aと下面ライン33bとが互いに重畳した位置にドリル、レーザー等により複数のスルーホール34を形成する。これらスルーホール34を金属メッキ処理あるいは導電ペースト等で埋めることで、誘電体基板31の両面に形成された全ての上面ライン33a、下面ライン33bが、スルーホール34を介して電気的に接続され、トロイダル形状のコイル36が完成する。
【0078】
このようにして完成したコイル36は、ライン中央部36a1、36b1で巻回方向が反転しており、0〜1/4通信波長に相当する距離まで時計方向回り、1/4〜3/4通信波長に相当する距離まで反時計方向回り、3/4〜1通信波長に相当する距離まで時計方向回りのコイル構造となる。
【0079】
コイル36の両端は、送受信回路部104との接続のための接続端子38となり、インピーダンス整合に応じて調整された所定の形状で作製することが好ましい。
【0080】
複数の上面ライン33a、下面ライン33bを形成する処理については、誘電体基板31の両面にメッキ、蒸着等の処理により形成しても良いし、両面銅箔張りされた誘電体基板31を用いてエッチング処理して形成しても良い。
【0081】
誘電体基板31の材料としては、ガラス、紙の基材、あるいはグラスファイバの織布をエポキシ樹脂、フェノール樹脂等で固めた、例えばガラスエポキシ、ガラスコンポジット基板や、低誘電率のポリイミド、液晶ポリマー、テフロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。特に、誘電体基板31の材料としては、電気的特性の面からは低誘電率の材料を用いるのが好ましい。
【0082】
なお、図10では、誘電体基板31の上面ライン33a、下面ライン33bと、誘電体基板31を貫通するスルーホール34によりコイル36を形成して高周波結合器30を完成させたが、この例に限らず、例えば剛性を有するワイヤを加工することによりコイル36を形成し樹脂材料によって成型して高周波結合器30を完成させても良い。
【0083】
次に、第2の実施形態の変形例に係る高周波結合器30の性能を調べるために、アンソフト社製の3次元電磁界シミュレータHFSSを用いて結合強度の解析を行なった。ここで、高周波結合器30の解析モデルとして、次のような条件のものを用いた。すなわち、誘電体基板31は、プリント基板で多用されるガラスエポキシ基板FR4(Flame Retardant Type 4)を、また、結合用電極37として機能するコイル36の材質は銅を設定した。また、高周波結合器30の大きさは10.4mm×10.4mmとし、厚みを1mmとした。
【0084】
結合強度は、高周波伝送特性を評価するのに用いられるSパラメータの透過特性S21で評価しており、高周波結合器30の信号入出力端となる接続端子38の両端子38a、38b間を電力の入出力ポートとしている。
【0085】
図11は、結合強度S21の解析に用いた高周波結合器間の相対的配置を示したものである。この評価では一方の高周波結合器には図11に示されるような板状の電極150aを有し、評価の基準機となる基準高周波結合器150を用いた。結合強度の評価は、図11に示すように、ライン中央部36a1、36b1を結ぶ延長線の方向Eと、基準高周波結合器150の電極150aの面とが直交し、かつ、それぞれの電極の中心軸が一致する状態で、結合用電極37と電極150aとを対向させ、15mm、100mm間隔をあけた状態で結合強度S21の周波数特性を調べた。
【0086】
このように、高周波結合器30の中心軸は、接続端子38の端子38aを基準とした略1/4の長さの位置、すなわち通信周波数の1/4波長に相当する長さの位置と、端子38aを基準とした略3/4の長さの位置、すなわち通信周波数の3/4波長に相当する長さの位置とを、誘電体基板31の半分の厚みの面に投影させた位置で面内方向に貫く方向である。
【0087】
また、高周波結合器30での電界の発生状態をみるために、対向距離15mmでの高周波結合器30近傍の電界分布、及び磁界ベクトルも調べた。
【0088】
図12は、高周波結合器30と基準高周波結合器150との間の結合強度S21の解析結果を示したもので、対向距離15mmの通信距離では4.5GHz付近で−18dBと良好な結合強度を有し、また対向距離100mmの非通信距離では−40dB以下の通信遮断性を有している。
【0089】
図13は、高周波結合器30の共振周波数である4.48GHzでの電界分布の解析結果を示すもので、ライン中央部36a1、36b1を結んだ中心軸方向に電界の強いところが2箇所でき、あたかも電気双極子のように振舞うことで、対向する高周波結合器150と電磁界結合していることがわかる。
【0090】
この図13から明らかなように、電界の強くなる位置は、接続端子38の端子38aからコイル36の略1/4の長さの位置、すなわち、1/4通信波長に相当する長さの位置と、もう一方の端子38bからコイル36の略1/4の長さの位置とで、これらの位置を面内方向に貫いて強い電磁界結合を得ることができる。
【0091】
以上のように、変形例に係る高周波結合器30は、良好な通信特性を実現する。また、高周波結合器30では、結合用電極37として機能するコイル36が誘電体基板31内に形成されているので、例えば耐衝撃性などといった機械的強度を実現することができる。また、高周波結合器30では、通信波長の1/2の長さからなるコイル36aのライン中央部36a1と、通信波長の1/2の長さからなるコイル36bのライン中央部36b1とを結ぶ延長線上に配置された他のアンテナ装置の電極と電磁界結合することで、例えば、基板面に対して垂直方向に電磁界を放射する構造に比べて、通信性能を向上させるために誘電体基板を厚くする必要がなく、装置全体の小型化と低背化とを両立することができる。
【0092】
さらに、図14に示す解析結果から明らかなように、高周波結合器30は、コイル36の実効的なインダクタンスを向上させることができ、結果として、高周波結合器30自体の結合効率を改善することができる。
【0093】
図14は、高周波結合器30の共振周波数である4.48GHzでの磁界ベクトル分布の解析結果を示すもので、誘電体基板31の厚み方向中央の基板に平行な面内、すなわち、コイル36の中心軸で基板と水平な断面での磁界ベクトル分布を示している。
【0094】
この図14では、コイル36内部を貫く磁界が同方向となることを示している。高周波結合器30は、位相の関係から半波長で高周波電流の極性が変わるという特性を考慮して、全長が一通信波長に相当するコイル36の巻回方向を、1/4通信波長、3/4通信波長の長さにそれぞれ相当する中央部36a1、36b1で反転させることで、コイル36内部を貫く磁界が同方向となるようにすることができる。
【0095】
このようにして、高周波結合器30は、コイル内部において、局部的に極性の異なる電流によって発生する磁界が互いに打ち消しあってしまうという現象を防止することができる。これにより、高周波結合器30は、コイル36の実効的なインダクタンスを向上させることができ、結果として、高周波結合器30自体の結合効率を改善することができる。
【0096】
<適用例>
上記のように、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る高周波結合器10、20、30は、装置全体の小型化と低背化とを両立するので、例えば図15に示すような、携帯電話機などの携帯型電子機器60の端面60aに設けられているスロット61等に差し込んで通信を行うメモリーカード62などに組み込むことができる。ここで、スロット61内部に設けられた高周波結合器との位置関係よって、メモリ−カード62に高周波結合器10を設ける場合には、位置関係に制約が生じるが、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る高周波結合器10、20、30は、装置全体の小型化と低背化とを両立するので容易に組み込むことができるという利点がある。
【符号の説明】
【0097】
10、20、30、102、106 高周波結合器、11、21、31、311 誘電体基板、11a、60a 端面、12、312 ライン、12a、26a1、26b1、36a1、36b1 ライン中央部、12b、12c 端部、13、202、313 グランド、14、314 給電部、15 保護フィルム、17、27、37、103、107、208 結合用電極、21a 上面、21b 下面、23a、33a 上面ライン、23b、33b 下面ライン、24、34 スルーホール、26、26a、26b、36a、36b コイル、28、38 接続端子、38a、38b 端子、60 携帯型電子機器、61 スロット、62 メモリーカード、100 通信システム、101、105 通信装置、104、108 送受信回路部、150 基準高周波結合器、150a 電極、201 プリント基板、203 スタブ、205 送受信回路、207 金属線、300 アンテナ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信波長により、対向する一対の電極間で電磁界結合することで情報通信を行うアンテナ装置において、
誘電体基板に形成され、他のアンテナ装置の電極と電磁界結合されて通信可能となる結合用電極を備え、
上記結合用電極は、
通信波長の1/2の長さからなり上記誘電体基板に形成された第1の配線と、該第1の配線の中央部と誘電体基板の面方向に対向するとともに該第1の配線に電気的に接続された導体とを有し、
上記第1の配線の中央部と上記導体とを結ぶ延長線上に配置された上記他のアンテナ装置の電極と電磁界結合することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
上記導体は、上記第1の配線と上記誘電体基板の同一面上に形成されたグランドであり、
上記第1の配線は、上記グランドの外側に所定距離を隔てて形成された略ループ形状からなり、その一端が該グランドと電気的に接続されるとともに、他端が該グランドを基準とした給電電圧の入力端として電力供給されることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
上記導体は、上記通信波長の1/2の長さからなる第2の配線であり、該第2の配線の一端が、上記第1の配線の一端と電気的に接続され、
上記結合用電極は、上記第1の配線の中央部と上記第2の配線の中央部とを結ぶ延長線上に配置された上記他のアンテナ装置の電極と電磁界結合することを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項4】
上記第1の配線、及び、上記第2の配線は、上記誘電体基板の上下面に亘ってスルーホールを介して巻回されたコイルからなることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
【請求項5】
上記第1の配線、及び、上記第2の配線は、それぞれの中央部において、巻回方向が反転していることを特徴とする請求項4記載のアンテナ装置。
【請求項6】
所定の通信波長により、対向する一対の電極間で電磁界結合することで情報通信を行う通信装置において、
誘電体基板に形成され、他のアンテナ装置の電極と電磁界結合されて通信可能となる結合用電極と、
上記結合用電極と電気的に接続され、信号の送受信処理を行う送受信処理部とを備え、
上記結合用電極は、
通信波長の1/2の長さからなり上記誘電体基板の一方の面に形成された第1の配線と、該第1の配線の中央部と誘電体基板の面方向に対向するとともに該第1の配線に電気的に接続された導体とを有し、
上記第1の配線の中央部と上記導体とを結ぶ延長線上に配置された上記他のアンテナ装置の電極と電磁界結合することを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−178813(P2012−178813A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148566(P2011−148566)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】