説明

アンテナ装置

【課題】複数の周波数帯に対応可能なアンテナ装置において、各周波数帯域におけるインピーダンスを整合させる。
【解決手段】GPS放射電極108は、GPS周波数にて電波を放射する。BT放射電極110は、GPS周波数よりも大きいブルートゥース(登録商標)周波数にて電波を放射する。給電電極114は給電点124から供給される電力をこれらの放射電極に供給する。給電電極114とグランドパターン106の間には整合回路126が挿入される。GPS放射電極108の一端は、給電電極114と第1の接続点において接続され、BT放射電極110の一端は、給電電極114と第2の接続点において接続される。給電電極114と整合回路126の接続点は、この第1および第2の接続点の間に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関し、特に、そのインピーダンスの整合に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の多くは、GPS(Global Positioning System)やブルートゥース(登録商標)などの複数の周波数帯に対応するようになってきている。携帯端末の小型化の要請に応えつつ、複数の周波数帯に対応するためには、単一のアンテナ素子で複数の周波数帯の電波を発生させることが望ましい。しかし、このようなデュアルバンド型の携帯端末においては、シングルバンド型に比べてインピーダンスを整合させるのが難しいという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−229445号公報
【特許文献2】特開2002−185238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような課題に対処するため、特許文献1では、低周波数帯域側についてはアンテナとグランドパターンの位置関係を調整することによりインピーダンスの整合を図っている。そして、この整合状態を維持しつつ、高周波数帯域側のインピーダンスを整合回路により調整している。しかし、特許文献1の場合には、グランドパターンの変更が必要となるため、インピーダンスの微調整が難しい。また、分波器やアンテナスイッチを必要とするため回路規模が大きくなりやすい。
【0005】
特許文献2では、2つのアンテナエレメントを離間方向に延ばしている。これは、2つのアンテナエレメントの相互影響を抑制することにより、それぞれのアンテナエレメントのインピーダンスを独立に調整しやすくするためである。しかし、特許文献2の場合には、低周波数帯側のアンテナエレメント(放射導体)が長くなりすぎるため、小型化しにくくなる。また、このような配置上の工夫だけで、相互影響を十分に抑制するのは困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて完成された発明であり、その主たる目的は、複数の周波数帯に対応可能なアンテナ装置において、各周波数帯域においてインピーダンスを整合させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るアンテナ装置は、第1の周波数にて電波を放射する第1の放射電極と、それよりも大きい第2の周波数にて電波を放射する第2の放射電極と、給電ラインから供給される電力を第1および第2の放射電極に給電する給電電極と、給電電極とグランドパターンを接続する整合回路を備える。第1の放射電極の一端は給電電極と第1の接続点において接続され、第2の放射電極の一端は給電電極と第2の接続点において接続される。給電電極と整合回路の接続点は、第1および第2の接続点の間に位置する。
【0008】
このような構成においては、整合回路の接続点の位置を変更すると、第1の放射電極のインダクタンスと第2の放射電極のインダクタンスが逆方向に変化するため、それぞれのインピーダンスを調整しやすくなる。整合回路の接続点の第1および第2の接続点それぞれからの距離により、第1および第2の放射電極のインピーダンスを調整すればよい。
【0009】
第1および第2の放射電極はプリント基板の端部領域に形成され、かつ、第1の放射電極は第2の放射電極よりもプリント基板の端部により近い側に形成されてもよい。このような構成によれば、第1の放射電極のインピーダンス特性と第2の放射電極のインピーダンスを接近させやすくなるため、その後のインピーダンス調整が容易となりやすい。
【0010】
給電電極をプリント基板上に形成し、第1および第2の放射電極をプリント基板を覆う筐体の内壁に形成し、第1および第2の放射電極を第1および第2の給電ピンを介して前記給電電極と接続させてもよい。第1の放射電極の他端は容量結合素子を介してグランドパターンと接続されてもよい。また、第2の放射電極の他端は開放端としてもよい。
【0011】
第1および第2の放射電極を略直方体状の誘電体の上面に形成し、誘電体をプリント基板の端部に形成される実装領域に取り付け、整合回路により実装領域の周縁に設けられるグランドパターンと給電電極とを接続してもよい。第1の放射電極の他端は誘電体の側面に形成されたギャップを介してグランドパターンと容量結合してもよい。第2の放射電極の他端は開放端としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の周波数帯に対応可能なアンテナ装置において、各周波数帯域においてインピーダンスを整合させやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】プリント基板におけるアンテナ素子の実装領域を示す模式図である。
【図2】実装領域周辺に形成されるアンテナ装置の構造を示す斜視図である。
【図3】本実施形態における放射導体と整合回路の位置関係を模式的に示す図である。
【図4】GPS放射電極およびBT放射電極のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【図5】本実施形態において、図4の状態から整合回路を第1接続点側に移動させたときのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【図6】本実施形態において、GPS放射電極のVSWR特性を示すグラフである。
【図7】本実施形態において、BT放射電極のVSWR特性を示すグラフである。
【図8】比較例における放射導体と整合回路の位置関係を模式的に示す図である。
【図9】比較例において、図4の状態から整合回路を給電点側に移動させたときのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【図10】比較例において、GPS放射電極のVSWR特性を示すグラフである。
【図11】比較例において、BT放射電極のVSWR特性を示すグラフである。
【図12】整合回路を設定する前のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。
【図13】アンテナ装置の構造図の別例である。
【図14】図13に示すアンテナ素子の展開図である
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を説明する。各実施形態においては、携帯電話に内蔵されるアンテナ素子を題材として説明する。アンテナ素子を内蔵する携帯電話としてアンテナ装置が形成される。
【0015】
図1は、携帯電話のプリント基板100におけるアンテナ素子の実装位置を示す模式図である。図1においては、プリント基板100の短辺方向にx軸、長辺方向にy軸、紙面から手前に向かう方向にz軸を設定する。以降の図においても同様である。図1においてはプリント基板100の右上端部に実装領域102が設けられる。実装領域102は「アンテナ装置」が形成される位置である。
【0016】
図2は、アンテナ装置112の構造を示す斜視図である。プリント基板100の一部はグランドパターン106により覆われており、その上に各種電子回路(図示せず)が実装される。プリント基板100と電子回路は、筐体104によって密閉される。プリント基板100の端部(実装領域102の一部)においては、グランドパターン106が切り取られ、ここに給電電極114がプリントされる。
【0017】
筐体104の内壁には、GPS放射電極108(第1の放射電極)とBT放射電極110(第2の放射電極)がプリントされる。GPS放射電極108は、GPSの周波数帯域(1.5GHz近辺)にて電波を放射する。BT放射電極110は、ブルートゥース(登録商標)の周波数帯域(2.4GHz近辺)にて電波を放射する。図2に示すようにGPS放射電極108の方がBT放射電極110よりもプリント基板100の端部により近い側、いいかえれば、プリント基板100の外側に形成される。
【0018】
GPS放射電極108の一端は、第1給電ピン116を介して給電電極114と接続される。GPS放射電極108の他端は、接続ピン120を介して容量結合素子122と接続される。容量結合素子122は、グランドパターン106上に設置されるキャパシタである。第1給電ピン116と給電電極114の接続点を「第1接続点」とよぶ。
【0019】
BT放射電極110の一端は、第2給電ピン118を介して給電電極114と接続される。BT放射電極110の他端は、開放端である。第2給電ピン118と給電電極114の接続点を「第2接続点」とよぶ。
【0020】
第1および第2の給電ピン118,120の一端はプリント基板100に固定されており、他端はGPS放射電極108,BT放射電極110に接触している。各給電ピンはプリント基板100に設けられたスルーホール導体に挿入されて機械的に固定され、かつ、スルーホール導体を介して給電電極114と電気的に接続されることが好ましい。放射電極との接触を確実にするため、給電ピンの先端は弾性(バネ性)を有してもよい。
【0021】
給電電極114は給電点124と接続される。給電点124から供給される交流電力は、第1接続点から第1給電ピン116を経由してGPS放射電極108に供給され、第2接続点から第2給電ピン118を経由してBT放射電極110に供給される。図2に示すように、第1接続点よりも第2接続点の方が給電点124に近い。
【0022】
更に、給電電極114は、整合回路126を介してグランドパターン106とも接続される。本実施形態における整合回路とは、インダクタとキャパシタの双方または一方を含み、給電ラインに接続されるインピーダンス整合素子である。整合回路126のインダクタンスとその挿入位置により、GPS放射電極108およびBT放射電極110のインピーダンスが調整される。本実施形態においては、給電電極114と整合回路126の接続点は第1接点と第2接点の間に位置する。
【0023】
図3は、本実施形態における各放射電極と整合回路126の位置関係を示す模式図である。整合回路126自体のインダクタンスを大きくすると、GPS放射電極108およびBT放射電極110のインダクタンスは共に大きくなる。整合回路126を第1接続点側、すなわち、GPS放射電極108側に近づけると、GPS放射電極108のインダクタンスは小さくなり、BT放射電極110のインダクタンスは大きくなる。一方、整合回路126を第2接続点側、すなわち、BT放射電極110側(給電点124側)に近づけると、GPS放射電極108のインダクタンスは大きくなり、BT放射電極110のインダクタンスは小さくなる。このように、第1接続点および第2接続点の間で整合回路126の位置調整をすることにより、GPS放射電極108およびBT放射電極110のインダクタンスを逆方向に変化させることができる。
【0024】
図4は、GPS放射電極108およびBT放射電極110のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。中央の点は50Ωを示す。BT放射電極110およびGPS放射電極108の双方をこの中央点にできるかぎり近づけるのがインピーダンス調整の目的である。図4の場合、中央点はBT放射電極110のインピーダンス特性を示す軌跡の外側、GPS放射電極108の軌跡の内側に位置する。BT放射電極110のように中央点が軌跡の外側にある状態をアンダーカップリング、GPS放射電極108のように中央点が軌跡の内側にある状態をオーバーカップリングとよぶ。通常、オーバーカップリングは、アンダーカップリングにくらべて帯域が広くなるためより好ましい。
【0025】
図5は、本実施形態において、図4の状態から整合回路126を第1接続点側に移動させたときのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。整合回路126を第1接続点側に移動させるとGPS放射電極108のインダクタンスは小さくなるため、GPS放射電極108の軌跡のループサイズは縮小する。この結果、軌跡と中央点が近づく。一方、BT放射電極110のインダクタンスは大きくなり、BT放射電極110の軌跡のループサイズは拡大する。この結果、BT放射電極110の軌跡も中央点に近づく。
【0026】
このように、整合回路126を第1接続点側に移動させれば、オーバーカップリングのGPS放射電極108の軌跡は縮小し、アンダーカップリングのBT放射電極110の軌跡は拡大するため、双方を同時に中央点に近づけることができる。図5では、結果として、GPS放射電極108とBT放射電極110の両方がオーバーカップリングとなっている。
【0027】
図6は、本実施形態において、GPS放射電極108のVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性を示すグラフである。点線は調整前(図4の状態)におけるGPS放射電極108のVSWR特性、実線は調整後(図5の状態)におけるVSWR特性を示す。図6に示すように、整合回路126を移動させても、GPS放射電極108の特性はほとんど変化していない。
【0028】
図7は、本実施形態において、BT放射電極110のVSWR特性を示すグラフである。点線は調整前(図4の状態)におけるBT放射電極110のVSWR特性、実線は調整後(図5の状態)におけるVSWR特性を示す。図7に示すように、整合回路126を移動させてもVSWR値の最小値はほとんど変化しないが、BT放射電極110の場合には、アンダーカップリングからオーバーカップリングとなるため、実用的な周波数帯域が広がっており、特性が改善される。
【0029】
図8は、比較例における各放射電極と整合回路126の位置関係を示す模式図である。本実施形態においては、整合回路126は第1接続点と第2接続点の間に設置されるが、図8に示す比較例においては、第2接続点と給電点124の間に整合回路126が設置されている。整合回路126を第1接続点側に移動させると、GPS放射電極108およびBT放射電極110のインダクタンスは共に小さくなる。一方、整合回路126を給電点124側に移動させると、GPS放射電極108およびBT放射電極110のインダクタンスは共に大きくなる。比較例においては、整合回路126の位置調整により、GPS放射電極108およびBT放射電極110のインダクタンスは同方向に変化する。
【0030】
図9は、比較例において、図4の状態から整合回路126を給電点124側に移動させたときのインピーダンス特性を示すスミスチャートである。整合回路126を給電点124側に移動させるとGPS放射電極108およびBT放射電極110のインダクタンスは共に大きくなり、両者の軌跡は拡大する。この結果、アンダーカップリングだったBT放射電極110の軌跡は中央点に近づくが、もともとオーバーカップリングだったGPS放射電極108の軌跡は中央点から離れていく。
【0031】
図9では、結果として、GPS放射電極108とBT放射電極110の両方がオーバーカップリングとなっているが、GPS放射電極108の軌跡が調整によって中央点から離れてしまう。この結果、VSWRの最小値が大きくなり、反射損失が大きくなるため好ましくない。
【0032】
図10は、比較例において、GPS放射電極108のVSWR特性を示すグラフである。点線は調整前(図4の状態)におけるGPS放射電極108のVSWR特性、実線は調整後(図9の状態)におけるVSWR特性を示す。図10に示すように、整合回路126を移動させると、GPS放射電極108のVSWRの最小値が大きくなってしまい、反射損失が大きくなり、VSWR特性が悪化する。
【0033】
図11は、比較例において、BT放射電極110のVSWR特性を示すグラフである。点線は調整前(図4の状態)におけるBT放射電極110のVSWR特性、実線は調整後(図9の状態)におけるVSWR特性を示す。図11に示すように、整合回路126を移動させてもVSWR特性の最小値はほとんど変化しないが、BT放射電極110の場合には、アンダーカップリングからオーバーカップリングとなるため、実用的な周波数帯域が広がり、VSWR特性が改善される。
【0034】
このように、比較例の場合、整合回路126の位置調整により、BT放射電極110のインピーダンス特性を改善すると、GPS放射電極108のインピーダンス特性がかえって悪化してしまう可能性がある。これに対し、本実施形態の場合には、整合回路126の挿入位置を第1および第2の接続点の間に設定することにより、GPS放射電極108とBT放射電極110のインピーダンス特性を反対方向に変化させることができるので、双方を中央点に近づけやすいというメリットがある。
【0035】
図12は、整合回路126を設定する前のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。実線は、図2に示したように、GPS放射電極108をBT放射電極110よりも端部側(外側)に配置したときのインピーダンス特性を示す。一方、点線は、GPS放射電極108を内側、BT放射電極110を外側に配置した場合のインピーダンス特性を示す。
【0036】
図12に示すように、GPS放射電極108を内側に配置した場合には、GPS放射電極108を外側に配置した場合に比べてGPS放射電極108とBT放射電極110の軌跡が乖離している。整合回路126によって、インピーダンス整合を図る前に、双方のインピーダンス特性が大きく異なっているためその後の調整が難しくなる。したがって、図2に示したように、GPS放射電極108を外側、BT放射電極110を内側に配置する方がインピーダンスを調整しやすい。
【0037】
複数の周波数帯に対応可能なアンテナ装置112の設計において、整合回路126を挿入する前に、高周波数側と低周波数側それぞれのインピーダンスのスミスチャート上における初期位置をなるべく近づけることが重要である。低周波数側であるGPS放射電極108を内側、高周波数側であるBT放射電極110を外側とすれば、BT放射電極110の方が放射しやすい位置関係となるため、BT放射電極110の放射抵抗が高くなる。この結果、インピーダンスの軌跡がより内側を回ることになるため、スミスチャート上におけるBT放射電極110のインピーダンスの初期位置がGPS放射電極108のインピーダンスの初期位置から乖離してしまう。
【0038】
一方、本実施形態に示すように、低周波数側のGPS放射電極108を外側、高周波数側であるBT放射電極110を内側とすれば、BT放射電極110の放射抵抗を抑制できる。この結果、BT放射電極110のインピーダンスの軌跡が内側に移動するのが抑制されるため、スミスチャート上におけるBT放射電極110のインピーダンスの初期位置がGPS放射電極108のインピーダンスの初期位置に近づく。すなわち、低周波数側のGPS放射電極108を外側、高周波数側であるBT放射電極110を内側に形成することにより、高周波数側と低周波数側の双方に対して、共通の1つの整合回路126によりインピーダンス整合をとりやすくなる。
【0039】
図13は、別例におけるアンテナ装置113の構造図である。図13においては、誘電体ブロックの表面に放射電極等がパターン印刷されたアンテナ素子128を用いる。プリント基板100の実装領域102にアンテナ素子128を設置することにより、アンテナ装置113が形成される。プリント基板100において、実装領域102はグランドパターン106に囲まれる。アンテナ素子128は、略直方体の誘電体を基体とし、GPS放射電極108やBT放射電極110等をその表面にプリントすることにより形成される。図14は、アンテナ素子128の展開図である。図13および図14を参照しつつ、アンテナ素子128の構造を説明する。
【0040】
アンテナ素子128の長方形状の底面130を実装領域102に接着することにより、アンテナ素子128はプリント基板100に固定される。アンテナ素子100の4つの側面をそれぞれ第1側面132(y×z)、第2側面134(x×z)、第3側面136(y×z)、第4側面138(x×z)とする。実装領域102は、グランドパターンの一部を切り欠くことにより形成される。アンテナ素子128の基体は、セラミック等により形成される。
【0041】
GPS放射電極108は、底面130の一部から、第3側面136、上面140および第1側面132まで帯状にプリントされる。GPS放射電極108は、第1側面132においてギャップ144を介してグランド電極142と容量結合する。
【0042】
BT放射電極110は、底面130の一部から、第3側面136を経由して上面140まで帯状にプリントされる。底面130において、GPS放射電極108とBT放射電極110は給電電極114と接続される。本例においても、第1接続点と第2接続点の間に設けられる整合回路126により、給電電極114とグランドパターン106が接続される。
【0043】
以上、実施形態に基づいてアンテナ装置112、113を説明した。本実施形態によれば、整合回路126を第1接続点および第2接続点の間に設けることにより、GPS放射電極108およびBT放射電極110のインピーダンスを調整しやすくなる。また、GPS放射電極108をプリント基板100の端部側(外側)に配置することにより、GPS放射電極108とBT放射電極110のインピーダンス特性を近づけることができる。
【0044】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0045】
本実施形態においては、低い周波数(第1の周波数)としてGPS、高い周波数(第2の周波数)としてブルートゥース(登録商標)を例示したが、これらの周波数帯に限らず、複数の周波数帯に対応可能なアンテナ装置のインピーダンス調整に本発明を応用可能であることは当業者には理解されるところである。
【0046】
なお、本実施形態に基づいて以下の発明が認識可能である。
第1の周波数にて電波を放射する第1の放射電極と、
前記第1の周波数よりも大きい第2の周波数にて電波を放射する第2の放射電極と、
前記第1および第2の放射電極とそれぞれと第1および第2の接続点において接続され、給電ラインから供給される電力を前記第1および第2の接続点から前記第1および第2の放射電極に給電する給電電極と、
前記第1の接続点と前記第2の接続点の間に設置され、前記給電電極とグランドパターンを接続する整合回路と、を備えるアンテナ装置において、
前記第1および第2の放射電極のインダクタンスの一方を大きい値に変更し、他方を小さい値に変更するとき、前記整合回路と前記給電電極の接続点をインダクタンスを小くする側の放射電極に近づけることにより、前記第1および第2の放射電極のインダクタンスを同時調整することを特徴とするアンテナ装置の放射特性調整方法。
【符号の説明】
【0047】
100 プリント基板、102 実装領域、104 筐体、106 グランドパターン、108 GPS放射電極、110 BT放射電極、112,113 アンテナ装置、114 給電電極、116 第1給電ピン、118 第2給電ピン、120 接続ピン、122 容量結合素子、124 給電点、126 整合回路、128 アンテナ素子、130 底面、132 第1側面、134 第2側面、136 第3側面、138 第4側面、140 上面、142 グランド電極、144 ギャップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数にて電波を放射する第1の放射電極と、
前記第1の周波数よりも大きい第2の周波数にて電波を放射する第2の放射電極と、
給電ラインから供給される電力を前記第1および第2の放射電極に給電する給電電極と、
前記給電電極とグランドパターンを接続する整合回路と、を備え、
前記第1の放射電極の一端は、前記給電電極と第1の接続点において接続され、
前記第2の放射電極の一端は、前記給電電極と第2の接続点において接続され、
前記給電電極と前記整合回路の接続点は、前記第1および第2の接続点の間に位置することを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記整合回路の接続点の前記第1および前記第2の接続点それぞれからの距離により、前記第1および前記第2の放射電極のインピーダンスが調整されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1および第2の放射電極はプリント基板の端部領域に形成され、かつ、前記第1の放射電極は前記第2の放射電極よりも前記プリント基板の端部により近い側に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記給電電極は、プリント基板上に形成され、
前記第1および第2の放射電極は、前記プリント基板を覆う筐体の内壁に形成され、
前記第1および第2の放射電極は、第1および第2の給電ピンを介して前記給電電極と接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1の放射電極の他端は、容量結合素子を介して前記グランドパターンと接続され、
前記第2の放射電極の他端は、開放端となることを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1および第2の放射電極は、略直方体状の誘電体の上面に形成され、
前記誘電体はプリント基板の端部に形成される実装領域に取り付けられ、
前記整合回路は、前記実装領域の周縁に設けられる前記グランドパターンと前記給電電極とを接続することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1の放射電極の他端は、前記誘電体の側面に形成されたギャップを介して前記グランドパターンと容量結合し、
前記第2の放射電極の他端は、開放端となることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−23640(P2012−23640A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161042(P2010−161042)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】