説明

アンテナ装置

【課題】新たにアンテナを設置することなく、MIMO伝送を含む複数の通信タイプによる通信を可能とする技術を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、Nを2以上の整数として、N個の通信タイプのそれぞれに応じて少なくとも1つのグループに分けられる複数のアンテナ素子から構成されるアレーアンテナ1と、N個の通信タイプから1つの通信タイプを選択する選択部21と、送信データを変調して上記選択された通信タイプの各グループに属するアンテナ素子に対応する送信信号を生成する複数の送信部22と、上記選択された通信タイプの各グループに属するアンテナ素子に対応する受信信号を復調して受信データを生成する受信部23とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信基地局等に用いられるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のアンテナを用いて行う通信がある。これには、例えば、MIMO伝送技術、アンテナ・ダイバーシティやビーム・フォーミングを用いる通信などの通信タイプを含む。(例えば、非特許文献1参照。)
この場合、複数のアンテナを用いて行う通信に必要な数のアンテナを設置していた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】”通信速度を数倍にするMIMO”,[online],平成19年12月13日,[平成22年8月5日検索],インターネット<URL:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071203/288625/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アンテナの設置場所が限られている場合には、複数のアンテナを用いて行う通信に必要な数のアンテナを設置することは難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明のアンテナ装置は、Nを2以上の整数として、N個の通信タイプのそれぞれに応じて少なくとも1つのグループに分けられる複数のアンテナ素子から構成されるアレーアンテナと、上記N個の通信タイプから1つの通信タイプを選択する選択部と、送信データを変調して上記選択された通信タイプの各グループに属するアンテナ素子に対応する送信信号を生成する複数の送信部と、上記選択された通信タイプの各グループに属するアンテナ素子に対応する受信信号を復調して受信データを生成する受信部とを含む。
【発明の効果】
【0006】
複数の通信タイプに対して同一のアレーアンテナを使うことで、複数のアンテナを用いて行う通信に必要な数のアンテナを設置する必要がなくなる。つまり、設置するアンテナの数を従来よりも少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第一実施形態のアンテナ装置の例の機能ブロック図。
【図2】第一実施形態の送信部の例の機能ブロック図。
【図3】第一実施形態の受信部の例の機能ブロック図。
【図4】第一実施形態の第一の通信タイプのアンテナ素子1−Aの垂直面指向性の例を示す図。
【図5】第一実施形態の第一の通信タイプのアンテナ素子1−Bの垂直面指向性の例を示す図。
【図6】第一実施形態の第二の通信タイプのアンテナ素子0の垂直面指向性の例を示す図。
【図7】第二実施形態のアンテナ装置の例の機能ブロック図。
【図8】第二実施形態の送信部の例の機能ブロック図。
【図9】第二実施形態の受信部の例の機能ブロック図。
【図10】第二実施形態の第一の通信タイプのアンテナ素子1−Aの垂直面指向性の例を示す図。
【図11】第二実施形態の第一の通信タイプのアンテナ素子1−Bの垂直面指向性の例を示す図。
【図12】第二実施形態の第二の通信タイプのアンテナ素子0の垂直面指向性の例を示す図。
【図13】第二実施形態の第三の通信タイプのアンテナ素子2−Aの垂直面指向性の例を示す図。
【図14】第二実施形態の第三の通信タイプのアンテナ素子2−Bの垂直面指向性の例を示す図。
【図15】第二実施形態の第三の通信タイプのアンテナ素子2−Cの垂直面指向性の例を示す図。
【図16】第二実施形態の第三の通信タイプのアンテナ素子2−Dの垂直面指向性の例を示す図。
【図17】第三実施形態のアンテナ装置の例の機能ブロック図。
【図18】第三実施形態の第一の通信タイプのアンテナ素子1−Aの垂直面指向性の例を示す図。
【図19】第三実施形態の第一の通信タイプのアンテナ素子1−Bの垂直面指向性の例を示す図。
【図20】第三実施形態の第二の通信タイプのアンテナ素子0の垂直面指向性の例を示す図。
【図21】第四実施形態のアンテナ装置の例の機能ブロック図。
【図22】アレーアンテナの変形例を示す図。
【図23】アレーアンテナの変形例を示す図。
【図24】図23のアレーアンテナを構成するアンテナ素子の属するグループの例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第一実施形態]
第一実施形態のアンテナ装置は、移動局との通信の品質に応じて、2つの通信タイプとアンテナ素子のグループの複数の組から、1つの通信タイプとアンテナ素子グループの組を選択して、同一のアレーアンテナを用いて、移動局とデータの送受信を行う。MIMOに対応していないSISO: Single Input Single Output)方式の 既存の基地局を、MIMO伝送技術を利用した基地局に変更するには、変更後に既存のエリアを確保するために、既存のアレーアンテナと同等のアレーアンテナをMIMOのブランチ数と同数又は同数より多い数だけ設置する必要があった。アンテナの設置場所が限られている場合には、MIMOのブランチ数と同数以上のアレーアンテナを設置することは難しいという問題がある。また、MIMOのブランチ数を確保するために、アレーアンテナの大きさを小さくしてアレーアンテナの数を増やすと、アレーアンテナの利得が下がってしまい、既存のエリアを確保することができないという問題がある。環境に応じて、適切な通信タイプとアンテナ素子グループの組み合わせの組を選択して通信を行うことで、MIMOのブランチ数と同数以上のアレーアンテナを設置することなく、既存のアレーアンテナと同じ大きさのアレーアンテナを設置することで,既存の通信エリアを確保しつつ,ブランチ数を増やすことが可能となる。
【0009】
第一の通信タイプは、2×2のMIMO伝送であり、このときのアンテナ素子グループの組み合わせは、アレーアンテナ1を構成するアンテナ素子を2つのグループに分けて2つのブランチを構成し、この2つのブランチを用いて通信を行うものである。2つのブランチで、2×2のMIMOの空間多重化を行うことで、アンテナ装置の比較的近くの移動局に対して、高速な通信を行うことができる。
【0010】
第二の通信タイプは、SISO伝送であり、このときのアンテナ素子グループの組み合わせは、アレーアンテナ1を構成するアンテナ素子の全体を1つのグループとして通信を行うものである。これは既存のSISO基地局と同等の利得を得ることができるため、通信エリアの確保に有効である。例えば、報知信号等の通常の通信は、第二の通信タイプにより行われる。
【0011】
アレーアンテナ1は、図1に例示するように、垂直方向に一列に配置された8個のアンテナ素子から構成されている。これらのアンテナ素子は、複数の通信タイプのそれぞれに応じて少なくとも1つのグループに分けられている。。
【0012】
第一の通信タイプでは、8個のアンテナ素子は、上から4個のアンテナ素子1−Aと、下から4個のアンテナ素子1−Bの2つのグループに分けられている。上から4個のアンテナ素子1−AがMIMO伝送における第一のブランチに対応し、下から4個のアンテナ素子1−BがMIMO伝送における第二のブランチに対応している。
【0013】
第二の通信タイプでは、8個のアンテナ素子は、全体で1つのグループ0を構成する。
【0014】
以下、アンテナ装置から移動局にデータを送信する処理を説明する。
【0015】
アンテナ装置は、図1に示すように、アレーアンテナ1、デジタル信号処理部2,…,2’,2’’、デジタルアナログ変換部311,312、アナログデジタル変換部321,322、RF送信部4、RF受信部5、ローカル発信器41,51を例えば含む。デジタル信号処理部2,…,2’,2’’は、同時に通信する移動局の数だけ少なくとも存在する。ここでは、ある1つの移動局についてのデジタル信号処理を行うデジタル信号処理部2を例にあげて説明する。デジタル信号処理部2と同様にして、他のデジタル信号処理部は他の移動局についてのデジタル信号処理を並行して行う。
【0016】
デジタル信号処理部2は、図1に示すように、選択部21、送信部22、受信部23、通信品質データ抽出部24を例えば含む。
【0017】
選択部21は、Nを2以上の整数として(この例では、N=2)、N個の通信タイプの中から1つの通信タイプを選択する。例えば、選択部21は、通信品質データ抽出部24が受信データから抽出した通信品質データに基づいて、より通信品質が高い通信タイプを選択する。例えば、通信品質データが、受信レベル、信号対雑音比等の通信品質を表す指標である場合には、この指標と所定の閾値とを比較することにより通信品質の良否を判定することができる。選択された通信タイプについての情報は、送信部22及び受信部23に送られる。この選択された通信タイプについての情報に基づいて、送信部22及び受信部23の中のスイッチ221,231が切り替えられる。
【0018】
送信部22は、送信データを変調して選択された通信タイプの各グループに属するアンテナ素子に対応する送信信号を生成する。第一実施形態の送信部22は、図2に示すように、スイッチ221、シリアルパラレル変換部222、MIMO変調器223、変調器224、信号分配器225を例えば含む。
【0019】
第一の通信タイプが選択されている場合には、送信データがシリアルパラレル変換部222に入力されるように、スイッチ221が切り替えられている。シリアルパラレル変換部222は、送信データを並列化する。MIMO変調器223は、並列化された送信データのそれぞれを変調して、アンテナ素子1−Aに対する送信信号及びアンテナ素子1−Bに対する送信信号を生成する。アンテナ素子1−Aに対する送信信号はデジタルアナログ変換部311に送られ、アンテナ素子1−Bに対する送信信号はデジタルアナログ変換部312に送られる。図1では、デジタルアナログ変換部をDAC(Digital Analog Converter)と表記している。
【0020】
第二の通信タイプが選択されている場合には、送信データが変調器224に入力されるように、スイッチ221が切り替えられている。変調器224は、送信データを変調する。信号分配器225は、変調された同一の送信データをデジタルアナログ変換部311,312に送信する。
【0021】
デジタルアナログ変換部311,312は、入力されたデジタル信号である送信信号をアナログ信号に変換する。変換されたアナログ信号はRF送信部4に送られる。
【0022】
RF送信部4は、図1に示すように、ミキサー42,44、デュプレクサ43,45を例えば含む。ミキサー42,44は、それぞれデジタルアナログ変換部311,312からのデジタル信号を、ローカル信号発生器41が生成したローカル信号を用いて送信搬送波周波数帯域の信号に変換する。変換された信号は、デュプレクサ43,45を介して、アレーアンテナ1に印加される。具体的には、デュプレクサ43からの信号はアンテナ素子1−Aに印加され、デュプレクサ45からの信号はアンテナ素子1−Bに印加される。
【0023】
アンテナ素子に印加された信号は、空間を介して移動局に送信される。これにより、下りの通信が完了する。
【0024】
次に、移動局からアンテナ装置にデータを送信する処理を説明する。
【0025】
アレーアンテナ1で受信された信号は、RF受信部5に送られる。
【0026】
RF受信部5は、図1に示すように、ミキサー52,54、デュプレクサ53,55を例えば含む。アンテナ素子1−Aで受信された信号はデュプレクサ53を介してミキサー52に送られ、アンテナ素子1−Bで受信された信号はデュプレクサ55を介してミキサー54に送られる。ミキサー52,54は、それぞれデュプレクサ53,55からの信号を、ローカル信号発生器51が生成したローカル信号を用いてベースバンド周波数帯域の信号に変換する。変換された受信信号は、アナログデジタル変換部321,322に送られる。
【0027】
アナログデジタル変換部321,322は、それぞれミキサー52,54からの信号をデジタル信号である受信信号に変換する。受信信号は、受信部23に送られる。図1では、アナログデジタル変換部を、ADC(Analog Digital Converter)と表記している。
【0028】
受信部23は、選択された通信タイプの各グループに属するアンテナ素子に対応する受信信号を復調して受信データを生成する。生成された受信データは、通信品質データ抽出部24に送られる。受信部23は、図3に示すように、スイッチ231、MIMO復調器232、パラレルシリアル変換部233、信号合成器234、復調器234を例えば含む。
【0029】
第一の通信タイプが選択されている場合には、受信信号がMIMO復調器232に入力されるようにスイッチ231が切り替えられている。MIMO復調器232は、アンテナ素子1−Aに対応する受信信号及びアンテナ素子1−Bに対応する受信信号のそれぞれを復調する。アンテナ素子1−Aに対応する受信信号とはアナログデジタル変換部321からの受信信号であり、アンテナ素子1−Bに対応する受信信号とはアナログデジタル変換部322からの受信信号である。復調された信号は、パラレルシリアル変換部233に送られる。
【0030】
パラレルシリアル変換部233は、復調された信号をシリアル信号に変換して、受信データとする。これにより、上りの通信が完了する。
【0031】
通信品質データ抽出部24は、受信データから、通信品質に関するデータである通信品質データを抽出する。抽出された通信品質データは、選択部21に送られる。
【0032】
第一実施形態のアンテナ装置において第一の通信タイプが選択されているときの垂直面指向性の例を図4及び図5に示す。図4はアンテナ素子1−Aの垂直面指向性の例であり、図5はアンテナ素子1−Bの垂直面指向性の例である。また、第二の通信タイプが選択されているときの垂直面指向性の例を図6に示す。アレーアンテナ1を構成するアンテナ素子が鉛直方向に配置されており、アンテナ素子1−Aがアンテナ素子1−Bよりも鉛直上方向に位置するとして、垂直面指向性を示す図の縦軸は、鉛直上方向(0度)から鉛直下方向(180度)に向かう角度を意味する。また、垂直面指向性を示す図の中の破線は、ピーク利得から−3dB小さい利得の位置を示す。
【0033】
このように、複数の通信タイプに対して同一のアレーアンテナを使うことで、異なる通信タイプごとにアンテナを設置する必要がなくなる。
【0034】
[第二実施形態]
第一実施形態のアンテナ装置は2つの通信タイプの中から1つの通信タイプを選択して通信を行うのに対して、第二実施形態のアンテナ装置は3つの通信タイプの中から1つの通信タイプを選択して通信を行う。この第二実施形態のように、通信タイプは3以上あってもよい。
【0035】
以下、第一実施形態と異なる部分を中心にして説明をする。第一実施形態と同様の部分については説明を省略する。
【0036】
第二実施形態の第一の通信タイプ及び第二の通信タイプは、それぞれ第一実施形態の第一の通信タイプ及び第二の通信タイプと同じである。第二実施形態には、第三の通信タイプが更に存在する。第三の通信タイプは、4×4のMIMO伝送である。
【0037】
第三の通信タイプでは、図7に例示するように、アレーアンテナ1を構成する8個のアンテナ素子は、上から1個目と2個目のアンテナ素子2−Aと、上から3個目と4個目のアンテナ素子2−Bと、上から5個目と6個目のアンテナ素子2−Cと、上から7個目と8個目のアンテナ素子2−Dの4つのグループに分けられている。第三の通信タイプでは、アンテナ素子2−A,2−B,2−C,2−Dから構成される4つのブランチを用いて4×4のMIMO伝送を行うことで、アンテナ装置の近くの移動局に対して第一の通信タイプ及び第二の通信タイプよりも更に高速な通信を行うことができる。
【0038】
第二実施形態の送信部22は、図8に例示するように、四系統シリアルパラレル変換部226及び四系統MIMO変調器227を更に含む。選択部21により第三の通信タイプが選択されている場合には、送信データが四系統シリアルパラレル変換部226に入力されるようにスイッチ221が切り替えられる。四系統シリアルパラレル変換部226は、入力された送信データを並列化する。四系統MIMO変調器227は、並列化された送信データのそれぞれを変調して、アンテナ素子2−Aに対する送信信号、アンテナ素子2−Bに対する送信信号、アンテナ素子2−Cに対する送信信号及びアンテナ素子2−Dに対する送信信号を生成する。
【0039】
アンテナ素子2−Aに対する送信信号は、デジタルアナログ変換部311でアナログ信号に変換され、ミキサー42で送信搬送波周波数帯域の信号に変換され、デュプレクサ43を介して、アンテナ素子2−Aに印加される。アンテナ素子2−Bに対する送信信号は、デジタルアナログ変換部312でアナログ信号に変換され、ミキサー44で送信搬送波周波数帯域の信号に変換され、デュプレクサ45を介して、アンテナ素子2−Bに印加される。アンテナ素子2−Cに対する送信信号は、デジタルアナログ変換部313でアナログ信号に変換され、ミキサー46で送信搬送波周波数帯域の信号に変換され、デュプレクサ47を介して、アンテナ素子2−Cに印加される。アンテナ素子2−Dに対する送信信号は、デジタルアナログ変換部314でアナログ信号に変換され、ミキサー47で送信搬送波周波数帯域の信号に変換され、デュプレクサ48を介して、アンテナ素子2−Dに印加される。これにより、下りの通信が完了する。
【0040】
アンテナ素子2−Aで受信された信号は、デュプレクサ53を介してミキサー52に入力され、ミキサー52でベースバンド周波数帯域の信号に変換され、アナログデジタル変換部321でデジタル信号に変換され、アンテナ素子2−Aに対応する受信信号として受信部23に入力される。アンテナ素子2−Bで受信された信号は、デュプレクサ55を介してミキサー54に入力され、ミキサー54でベースバンド周波数帯域の信号に変換され、アナログデジタル変換部322でデジタル信号に変換され、アンテナ素子2−Bに対応する受信信号として受信部23に入力される。アンテナ素子2−Cで受信された信号は、デュプレクサ57を介してミキサー56に入力され、ミキサー56でベースバンド周波数帯域の信号に変換され、アナログデジタル変換部323でデジタル信号に変換され、アンテナ素子2−Cに対応する受信信号として受信部23に入力される。アンテナ素子2−Dで受信された信号は、デュプレクサ59を介してミキサー58に入力され、ミキサー58でベースバンド周波数帯域の信号に変換され、アナログデジタル変換部324でデジタル信号に変換され、アンテナ素子2−Dに対応する受信信号として受信部23に入力される。
【0041】
第二実施形態の受信部23は、図9に例示するように、四系統MIMO復調器236及び四系統パラレルシリアル変換部237を更に含む。選択部21により第三の通信タイプが選択されている場合には、アナログデジタル変換部321,322,323,324からの受信信号が四系統MIMO復調器236に入力されるようにスイッチ231が切り替えられる。四系統MIMO復調器236は、アンテナ素子2−Aに対応する受信信号、アンテナ素子2−Bに対応する受信信号、アンテナ素子2−Cに対応する受信信号、アンテナ素子2−Dに対応する受信信号のそれぞれを復調する。復調された信号は、四系統MIMOパラレルシリアル変換部237に送られる。
【0042】
四系統パラレルシリアル変換部237は、復調された信号をシリアル信号に変換して、受信データとする。これにより、上りの通信が完了する。
【0043】
第二実施形態のアンテナ装置において第一の通信タイプが選択されているときの垂直面指向性の例を図10及び図11に示す。図10はアンテナ素子1−Aの垂直面指向性の例であり、図11はアンテナ素子1−Bの垂直面指向性の例である。また、第二の通信タイプが選択されているときの垂直面指向性の例を図12に示す。さらに、第三の通信タイプが選択されているときの垂直面指向性の例を図13から図16に示す。図13はアンテナ素子2−Aの垂直面指向性の例であり、図14はアンテナ素子2−Bの垂直面指向性の例であり、図15はアンテナ素子2−Cの垂直面指向性の例であり、図16はアンテナ素子2−Dの垂直面指向性の例である。
【0044】
[第三実施形態]
第三実施形態のアンテナ装置は、図17に例示するように、送信信号及び受信信号の移相量を調整するサブアレー移相器6と、送信信号及び受信信号の振幅を調整するサブアレー振幅調整器7とを更に含む。図17は、第一実施形態のアンテナ装置に、サブアレー移相器6及びサブアレー振幅調整器7を付加した、第三実施形態の一例である。他の部分については、第一実施形態、第二実施形態と同様である。
【0045】
ここで、送信信号は送信部22が生成した信号のことであり、受信信号とはアナログデジタル変換部からの信号のことである。
【0046】
サブアレー移相器6及びサブアレー振幅調整器7は、例えば通信品質データ抽出部24が抽出した通信品質データに基づいて、所望の移相及び振幅になるように移相及び振幅を調整する。
【0047】
このように、送信信号及び受信信号の移相及び振幅を調整可能とすることで、各通信タイプの通信エリアの大きさを調整することが可能となり、柔軟性が増す。一般に、ブランチを構成するアンテナ素子数が少なくなると垂直面ビーム幅が広がる。移相及び振幅を調整してアレーアンテナ1が送受信する電波の照射角度を変更することで、通信タイプが変化しても同一エリアをカバーすることが可能となる。
【0048】
第三実施形態のアンテナ装置において第一の通信タイプが選択されているときの垂直面指向性の例を図18及び図19に示す。図18はアンテナ素子1−Aの垂直面指向性の例であり、図19はアンテナ素子1−Bの垂直面指向性の例である。また、第二の通信タイプが選択されているときの垂直面指向性の例を図20に示す。
【0049】
なお、サブアレー移相器6及びサブアレー振幅調整器7の一方のみが備えられていてもよい。
【0050】
[第四実施形態]
第四実施形態のアンテナ装置は、図21に例示するように、各上記アンテナ素子への信号の移相量及び各上記アンテナ素子からの信号の移相量を調整するアンテナ素子移相器8と、各上記アンテナ素子への信号及び各上記アンテナ素子からの信号の振幅を調整するアンテナ素子振幅調整器9とを更に含む。図21は、第一実施形態のアンテナ装置に、アンテナ素子移相器8及びアンテナ素子振幅調整器9を付加した、第四実施形態の一例である。他の部分については、第一実施形態、第二実施形態と同様である。
【0051】
アンテナ素子移相器8及びアンテナ素子振幅調整器9は、例えば通信品質データ抽出部24が抽出した通信品質データに基づいて、所望の移相及び振幅になるように移相及び振幅を調整する。
【0052】
このように、アンテナ素子への信号及びアンテナ素子からの信号の移相及び振幅を調整可能とすることで、各通信タイプの通信エリアの大きさを調整することが可能となり、柔軟性が増す。
【0053】
なお、アンテナ素子移相器8及びアンテナ素子振幅調整器9の一方のみが備えられていてもよい。
【0054】
[変形列等]
この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、アレーアンテナ1は8個のアンテナ素子から構成されるとしたが、アレーアンテナを構成するアンテナ素子は2以上あればよい。また、アレーアンテナ1を構成するアンテナ素子は、必ずしも鉛直方向に一列に配置されている必要はない。また、上記実施形態では、FDD(周波数分割複信:Frequency Division Duplex)を用いたアンテナ装置の図を示したが,当然TDD(時間分割複信:Time Division Duplex)のシステムに対しても適用できる。アンテナ素子は、図22に例示するように、二以上の列に配置されていてもよい。この場合、アンテナ素子は、各通信タイプに応じて例えば図22に示すようにグループ化される。
【0056】
図1、図7、図17、図21、図22に例示したアンテナ素子のグループ分けは、一例に過ぎない。各グループに少なくとも1つのアンテナ素子が含まれれば、アンテナ素子をどのようにグループ分けしてもよい。例えば、隣接するアンテナ素子を同一のグループとする必要はなく、互いに隣接しないアンテナ素子を同一のグループとしてもよい。
【0057】
アレーアンテナ1は、偏波構成のアンテナであってもよい。すなわち、図23に例示するように、アレーアンテナ1は、垂直アンテナ素子及び水平アンテナ素子で構成されていてもよい。この場合、垂直アンテナ素子及び水平アンテナ素子は、図24に例示するようにグループ分けされる。図24の例では、第一の通信タイプにおいては垂直アンテナ素子をアンテナ素子1−Aとし水平アンテナ素子を1−Bとし、第二の通信タイプにおいては垂直アンテナ素子及び水平アンテナ素子の全体を0として、第三の通信タイプにおいては垂直アンテナ素子の鉛直上方向半分を2−Aとし垂直アンテナ素子の直鉛直下方向半分を2−Bとし水平アンテナ素子の鉛直上方向半分を2−Cとし水平アンテナ素子の鉛直下方向半分を2−Dとしている。
【0058】
偏波構成とすることにより、ダイバーシチ効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 アレーアンテナ
21 選択部
22 送信部
23 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nを2以上の整数として、N個の通信タイプのそれぞれに応じて少なくとも1つのグループに分けられる複数のアンテナ素子から構成されるアレーアンテナと、
上記N個の通信タイプから1つの通信タイプを選択する選択部と、
送信データを変調して上記選択された通信タイプの各グループに属するアンテナ素子に対応する送信信号を生成する複数の送信部と、
上記選択された通信タイプの各グループに属するアンテナ素子に対応する受信信号を復調して受信データを生成する受信部と、
を含むアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1のアンテナ装置において、
上記アレーアンテナは複数の列又は1列に配置されたアンテナ素子から構成され、
上記アンテナ素子が複数のグループに分けられる場合には、各列のアンテナ素子がグループに分けられている、
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載ののアンテナ装置において、
上記N個の通信タイプの少なくとも1つは、MIMO伝送である、
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のアンテナ装置において、
上記送信信号及び上記受信信号の移相量を調整するサブアレー移相器と、
上記送信信号及び上記受信信号の振幅を調整するサブアレー振幅調整器と、
を更に含むアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載のアンテナ装置において、
各上記アンテナ素子への信号の移相量及び各上記アンテナ素子からの信号の移相量を調整するアンテナ素子移相器と、
各上記アンテナ素子への信号及び各上記アンテナ素子からの信号の振幅を調整するアンテナ素子振幅調整器と、
を更に含むアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−44408(P2012−44408A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183188(P2010−183188)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】