説明

アンテナ装置

【課題】基地局アンテナの外径サイズを維持したまま水平面内半値幅を狭くすることが可能なアンテナ装置を提供する。
【解決手段】平行に対向配置された第1アンテナ素子及び第2アンテナ素子と、平行に対向配置された第1無給電素子及び第2無給電素子と、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とを含む仮想平面及び第1無給電素子と第2無給電素子とを含む仮想平面に対し平行に対向配置された反射板と、を備え、第1無給電素子は、第1アンテナ素子を含み反射板と直交する仮想平面上に、第1アンテナ素子を挟んで反射板と反対側に、かつ、第1アンテナ素子と平行に対向配置され、第2無給電素子は、第2アンテナ素子を含み反射板と直交する仮想平面上に、第2アンテナ素子を挟んで反射板と反対側に、かつ、第2アンテナ素子と平行に対向配置され、各無給電素子の素子長は、前記各アンテナ素子の素子長の1.02〜1.19倍である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信における基地局アンテナに用いられるアンテナ装置に関し、特にビームの水平面内半値幅を基地局アンテナの外径サイズを維持したまま狭める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信に使用されている基地局アンテナは、一般的に利用する周波数ごとにアンテナが設計され、ビルの屋上、あるいは鉄塔等に設置される。基地局アンテナは、一般にアンテナ装置とそれを収容する円筒状のレドームとから成り、風圧荷重軽減および美観上の観点から、レドームを含めた外径サイズが極力小さくなるように設計する必要がある。基地局の多くは、加入者容量の増大化や周波数の有効利用を図るため、水平面内を角度的に分割するセクタゾーン構成を採用している。分割されたセクタゾーンごとに設けられるアンテナ装置(セクタアンテナ)は、水平面内半値幅(最大利得からの利得低下量が3dB以内の角度幅)が狭いほどセクタ数を増やすことができ、セクタ数を増やすことで、当該基地局が収容可能な加入者容量をより増やすことができる。また、同じセクタ数でも、セクタ角(分割されたセクタゾーンの角度)と比べて水平面内半値幅が狭い方が、加入者容量をより増やすことができる(非特許文献1参照)。もっとも、隣接セクタとオーバーラップする(重なる)エリアにおけるレベルが大きいと、隣接セクタの電波と干渉を起こし通信品質が低下する恐れがある(非特許文献1)。隣接セクタ間の干渉の抑制度合いを表す指標として、水平面内最大利得からの利得低下量が10dB以内の角度幅(水平面内10dB幅)があるが、加入者容量を増やすには、この角度幅もなるべく狭くして、隣接セクタ間の電波の干渉を抑える必要がある。
【0003】
従来技術によるアンテナ装置10の構成例を示す斜視図を図20(a)に、正面図を図20(b)に、側面図を図20(c)にそれぞれ示す。アンテナ装置10は、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12と反射板15を備え、反射板15から一定の距離の同一平面内に第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12が平行に対向配置される。このとき、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12に、同様な振幅及び位相で給電すると、正面方向(Z軸方向)に最大のビームが向くような放射指向性になる。その時の水平面内指向性の一例を図21に示す。ここで、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12の長さは同じである。図21からわかるように、正面方向(0度方向)に最大のビームが向き、水平面内半値幅が約62.4度のアンテナ装置として動作する。なお、反射板15は一般に金属製の平板であり、図20に示すように、両側端が各アンテナ素子が設けられている側に折り曲げられている。
【0004】
このようなアンテナ装置の水平面内半値幅を狭くしたい場合の技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に、放射方向が前方であるとしたとき、アンテナ素子の真横又は斜め前方に無給電素子を設置する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3719425号公報
【特許文献2】特許第3884042号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】岩村幹生、石川義裕、大野公士、尾上誠蔵、「W−CDMA方式におけるセクタアンテナのビーム幅最適化」、電子情報通信学会総合大会、1999、B−5−157
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術として示したアンテナ装置10において、水平面内半値幅や10dB以内角度幅を更に狭くするには、単純には、反射板13の横幅(X軸方向の幅)を広くすればよい。しかし、反射板13の横幅を広くすることでアンテナ装置のサイズが大きくなり、その結果、それを収容するレドームを含めた基地局アンテナの外径サイズも大きくなって、風圧荷重や美観の関係上、設置場所に大きな制約が生じる。
【0008】
また、特許文献1や特許文献2に開示されているように、無給電素子をアンテナ素子の真横や斜め前方に設置することによっても水平面内半値幅を狭めることができるが、いずれも無給電素子の間隔が広くなることでアンテナ装置の横幅も広くなり、よって、反射板の横幅を広くした場合と同様な問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、基地局アンテナの外径サイズを維持したまま、水平面内半値幅を狭くすることが可能なアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアンテナ装置は、平行に対向配置された第1アンテナ素子及び第2アンテナ素子と、平行に対向配置された第1無給電素子及び第2無給電素子と、前記第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とを含む仮想平面及び前記第1無給電素子と第2無給電素子とを含む仮想平面に対し、平行に対向配置された反射板と、を備え、前記第1無給電素子は、前記第1アンテナ素子を含み前記反射板と直交する仮想平面上に、前記第1アンテナ素子を挟んで前記反射板と反対側に、かつ、前記第1アンテナ素子と平行に対向配置され、前記第2無給電素子は、前記第2アンテナ素子を含み前記反射板と直交する仮想平面上に、前記第2アンテナ素子を挟んで前記反射板と反対側に、かつ、前記第2アンテナ素子と平行に対向配置され、前記各無給電素子の素子長は、前記各アンテナ素子の素子長の1.02〜1.19倍である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアンテナ装置によれば、基地局アンテナの外径サイズを維持したまま、水平面内半値幅を狭くすることが可能なアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のアンテナ装置100の構成例を示す図。
【図2】アンテナ装置100による水平面内放射指向性の一例を示す図。
【図3】アンテナ装置100による水平面内放射指向性の周波数特性を示す図。
【図4】アンテナ装置100におけるアンテナ素子長と無給電素子長との比と水平面内半値幅との関係を示す図。
【図5】本発明のアンテナ装置200の構成例を示す図。
【図6】アンテナ装置200による水平面内放射指向性の一例を示す図。
【図7】アンテナ装置200から無給電素子を取り除いた場合の水平面内放射指向性を示す図。
【図8】アンテナ装置200におけるアンテナ素子長と無給電素子長との比及びアンテナ素子と無給電素子との間の距離と水平面内半値幅との関係を示す図。
【図9】アンテナ装置200におけるアンテナ素子長と無給電素子長との比及びアンテナ素子と無給電素子との間の距離と水平面内10dB幅との関係を示す図。
【図10】アンテナ装置200におけるアンテナ素子と無給電素子との間の距離と水平面内半値幅との関係を示す図。
【図11】本発明のアンテナ装置300の構成例を示す図。
【図12】アンテナ装置300による水平面内放射指向性の一例を示す図。
【図13】アンテナ装置300から無給電素子を取り除いた場合の水平面内放射指向性を示す図。
【図14】本発明のアンテナ装置400の構成例を示す図。
【図15】アンテナ装置400による垂直偏波素子の水平面内放射指向性の一例を示す図。
【図16】アンテナ装置400による水平偏波素子の水平面内放射指向性の一例を示す図。
【図17】本発明のアンテナ装置500の構成例を示す図。
【図18】アンテナ装置500による水平面内放射指向性の一例を示す図。
【図19】アンテナ装置500から無給電素子を取り除いた場合の水平面内放射指向性を示す図。
【図20】従来技術によるアンテナ装置10の構成例を示す図。
【図21】アンテナ装置10による水平面内放射指向性の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明のアンテナ装置100の構成例を示す斜視図を図1(a)に、正面図を図1(b)に、側面図を図1(c)に、上面図を図1(d)に、それぞれ示す。アンテナ装置100は、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12と第1無給電素子13と第2無給電素子14と反射板15とを備える。つまり、図17に示した従来技術によるアンテナ装置10に、第1無給電素子13と第2無給電素子14を加えた構成である。
【0015】
第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12は、例えばダイポールアンテナであり、互いに平行に対向配置される。
【0016】
第1無給電素子13と第2無給電素子14は、例えば金属棒や金属板であり、互いに平行に対向配置される。第1無給電素子13は、第1アンテナ素子11を含み反射板15と直交する仮想平面51上に、第1アンテナ素子11を挟んで反射板15と反対側に、かつ、第1アンテナ素子11と平行に対向配置される。第2無給電素子14は、第2アンテナ素子12を含み反射板15と直交する仮想平面52上に、第2アンテナ素子12を挟んで反射板15と反対側に、かつ、第2アンテナ素子12と平行に対向配置される。
【0017】
反射板15は、一般的には平らな金属板であり、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12とを含む仮想平面53及び第1無給電素子13と第2無給電素子14とを含む仮想平面54のそれぞれに対し、平行に対向配置される。なお、反射板15の両側端は、一般に、図1に示すように各アンテナ素子が設けられている側に折り曲げられている。
【0018】
図2にアンテナ装置100の水平面内放射指向性の一例を示す。なお、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12の長さLfや位置関係、反射板15の横幅Dは、図17に示す従来技術によるアンテナ装置10と同じに維持している。また、観測周波数についても、アンテナ装置10の水平面内放射指向性データ(図18)と同様に750MHzとしている。また、第1無給電素子13と第2無給電素子14の長さLpは同じであり、LpとLfの長さの比Lp/Lfは、1.12である。図2からわかるように、反射板15の横幅Dをアンテナ装置10と同じに維持したにもかかわらず、水平面内半値幅がアンテナ装置10における62.4度(図18参照)から44.9度に狭ビーム化できていることがわかる。
【0019】
また、図3に図2の場合と同様な構成において観測周波数を730MHz、750MHz、及び770MHzの3通りに変化させた時の水平面内放射指向性の比較を示す。図3から、観測周波数が変わっても、放射指向性特性は大きく変化せず、水平面内半値幅が50度以下に維持されていることがわかる。
【0020】
また、図4はアンテナ装置100における無給電素子の長さLpと対向するアンテナ素子Lfの長さの比Lp/Lf(横軸)と水平面内半値幅(縦軸)との関係を、対向するアンテナ素子と無給電素子との素子間距離dが25mm、27mm、及び29mmの場合についてそれぞれ示したものである。図4から、Lp/Lfが約1.02〜1.19の範囲である場合に、水平面内半値幅を従来構成による62.4度より狭くすることができることがわかる。
【0021】
このように、本発明のアンテナ装置100は、従来技術によるアンテナ装置10の各アンテナ素子11、12の主放射方向(図1ではZ軸方向)の近接した位置に、Lp/Lfが約1.02〜1.19となる素子長の第1無給電素子13及び第2無給電素子14を設けることで、反射板15の横幅Dを広げることなく、水平面内半値幅を大幅に狭めることができる。基地局アンテナの外径サイズは、反射板15の横幅Dに大きく依存するため、本発明のアンテナ装置100を用いることで、外径サイズを従来どおりに維持したまま、より水平面内半値幅が狭い基地局アンテナを提供することができる。また、従来構造に無給電素子を加えるだけであるため、構造が簡単であり、製造も容易である。
【0022】
<変形例>
本発明のアンテナ装置100の変形例であるアンテナ装置200の構成例を示す斜視図を図5(a)に、正面図を図5(b)に、側面図を図5(c)に、上面図を図5(d)に、それぞれ示す。
【0023】
アンテナ装置200は、アンテナ装置100の反射板15を反射板25に置き換えたものである。反射板25は、2つの凹部26、27がそれぞれ第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12と対向するように、かつ、折り目28が第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12と平行になるように、反射板15を略W字形に主放射方向と逆方向(図5では−Z軸方向)に折り曲げた形状を有する。
【0024】
反射板にこのような形状のものを用いることで、電波の最大放射方向と反対側における電波の回り込み量(FB比:フロントバック比)を改善することができる。図6にアンテナ装置200の水平面内放射指向性の一例を示す。反射板以外のシミュレーション条件は図2の場合と同様である。平板の反射板15を適用するアンテナ装置100ではFB比が−14.2dB(図2参照)であるのに対し、アンテナ装置200では図6よりFB比が−15.7dBに改善されていることがわかる。
【0025】
また、図7(b)に図6に示すアンテナ装置200から第1無給電素子13、第2無給電素子14を取り除いた場合(図7(a))の水平面内放射指向性を示す。図6及び図7からわかるように、無給電素子が無い場合には水平面内半値幅が63.9度であるのに対し、無給電素子を設けた場合には48.2度と、無給電素子を設けることで大幅に狭幅化されていることがわかる。
【0026】
また、図8にアンテナ装置200における無給電素子の長さLpと対向するアンテナ素子の長さLfとの比Lp/Lf、及び対向する無給電素子とアンテナ素子との間の距離dと、水平面内半値幅との関係を、図9にアンテナ装置200における無給電素子の長さLpと対向するアンテナ素子の長さLfとの比Lp/Lf、及び対向する無給電素子とアンテナ素子との間の距離dと、水平面内10dB幅との関係を、それぞれ示す。図8及び図9から、水平面内半値幅及び水平面内10dB幅は、dの値の影響も受けるが、Lp/Lfの値に大きく影響を受けることがわかる。また、水平面内10dB幅の広狭の傾向は、水平面内半値幅の広狭の傾向と概ね同様であることがわかる。
【0027】
また、図10にアンテナ装置200における無給電素子の長さLpと対向するアンテナ素子Lfの長さの比Lp/Lf(横軸)と水平面内半値幅(縦軸)との関係を、対向するアンテナ素子と無給電素子との素子間距離dが22.5mm、25mm、27.5mm、30mm、及び32.5mmの場合についてそれぞれ示したものである。図10から、dの値がいずれの場合も、Lp/Lfの値が1.1近辺のとき水平面内半値幅を最小化し、かつ無給電素子がない場合の63.9度より狭くすることができることがわかる。
【実施例2】
【0028】
本発明のアンテナ装置300の構成例を示す斜視図を図11(a)に、正面図を図11(b)に、側面図を図11(c)に、上面図を図11(d)に、それぞれ示す。
【0029】
実施例1のアンテナ装置100は、図1からわかるように、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12が垂直偏波素子である場合を例にとって説明したが、アンテナ装置100を据え付ける向きにより垂直偏波用としても水平偏波用としても利用することができる。そのため、2つのアンテナ装置100を90度ずらして組み合わせることにより、本発明における水平面内半値幅の狭幅化効果を、垂直偏波と水平偏波の双方について得ることが可能な偏波共用アンテナを構成することができる。本実施例のアンテナ装置300は、そのような偏波共用アンテナである。
【0030】
具体的には、アンテナ装置300は、アンテナ装置100の各構成要素に加え、第1アンテナ素子11と第2アンテナ素子12と第1無給電素子13と第2無給電素子14との位置関係を維持したまま、これらを平面的に90度回転させた位置に、これらのそれぞれと対応する、第3アンテナ素子16と第4アンテナ素子17と第3無給電素子18と第4無給電素子19とを更に備える。
【0031】
図12にアンテナ装置300の水平偏波素子(第3アンテナ素子16と第4アンテナ素子17)の水平面内放射指向性の一例を示す。また、図13(b)に図12に示すアンテナ装置300から第3無給電素子18と第4無給電素子19を取り除いた場合(図13(a))の水平面内放射指向性を示す。無給電素子を設けない図13の構成によると水平面内半値幅が70.9度であるのに対し、本発明による図12の構成では49.7度であり、偏波素子の向きによらず、無給電素子を設けることで大幅に狭幅化できることがわかる。
【実施例3】
【0032】
本発明のアンテナ装置400の構成例を示す斜視図を図14(a)に示す。
【0033】
基地局アンテナは所望の利得を得るために、複数個のアンテナ装置をレドーム内に配置する構成となっている。アンテナ装置400は、実施例1、2のアンテナ装置100、300を複数個アレー配置したものである。図14に示す構成例は、実施例2のアンテナ装置300を、反射板15を共用する形で合計3セットアレー配置したものである。
【0034】
図15、16は、図14に示す構成例における水平面内放射指向性を示したものである。具体的には、図15はアレー化した垂直偏波素子(第1アンテナ素子11及び第2アンテナ素子12)の水平面内放射指向性であり、図16はアレー化した水平偏波素子(第3アンテナ素子16及び第4アンテナ素子17)の水平面内放射指向性である。図15のアレー化した垂直偏波素子の水平面内指向性は、図2に示す単体の垂直偏波素子の水平面内指向性と概ね一致している。また、図16のアレー化した水平偏波素子の水平面内指向性は、図12に示す単体の水平偏波素子の水平面内指向性と概ね一致している。したがって、アレー構造の場合でも、本発明の狭幅化効果が得られることがわかる。
【実施例4】
【0035】
実施例1〜3では、アンテナ素子と無給電素子との組が2組である構成を説明したが、1組であっても水平面内半値幅の狭幅化効果を得ることができる。
【0036】
アンテナ素子と無給電素子との組が1組であるアンテナ装置500の構成例を示す斜視図を図17(a)に、正面図を図17(b)に、側面図を図17(c)に、上面図を図17(d)に、それぞれ示す。アンテナ装置500は、第1アンテナ素子11と第1無給電素子13と反射板15とを備える。
【0037】
第1アンテナ素子11は、例えばダイポールアンテナである。第1無給電素子13は、例えば金属棒や金属板である。第1無給電素子13は、第1アンテナ素子11を含み反射板15と直交する仮想平面51上に、第1アンテナ素子11を挟んで反射板15と反対側に、かつ、第1アンテナ素子11と平行に対向配置される。
【0038】
反射板15は、一般的には平らな金属板であり、第1アンテナ素子11を含む仮想平面53及び第1無給電素子13を含む仮想平面54のそれぞれに対し、平行に対向配置される。
【0039】
図18にアンテナ装置500の水平面内放射指向性の一例を示す。なお、第1無給電素子13の長さLpと第1アンテナ素子11の長さLfとの長さの比Lp/Lfは1.12であり、すなわちLp>Lfである。また、図19にアンテナ装置101から第1無給電素子13を取り除いた場合の水平面内放射指向性の一例を示す。図18と図19から、第1無給電素子13を設けない場合には水平面内半値幅が121.4度であるのに対し、第1無給電素子13を設けた場合には、51.1度と大幅に狭幅化できていることがわかる。
【0040】
なお、実施例4の場合も、実施例1の変形例と同様に、凹部が第1アンテナ素子と対向するように、かつ、折り目が第1アンテナ素子と平行になるように、主放射方向と逆方向に略V字形に折り曲げた反射板を用いることで、電波の最大放射方向と反対側における電波の回り込み量を改善することができる。また、実施例2と同様に、アンテナ素子と無給電素子との組をもう1組、互いに90度の角をなす位置関係で設けることで、水平面内半値幅の狭幅化効果を、垂直偏波と水平偏波の双方について得ることが可能な偏波共用アンテナを構成することができる。また、実施例3と同様に、アレー配置した場合にも狭幅化効果を得ることができる。
【0041】
以上説明した、本発明の各アンテナ装置の構成は、上記の実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10、100、200、300、400、500 アンテナ装置
11 第1アンテナ素子 12 第2アンテナ素子 13 第3アンテナ素子
14 第4アンテナ素子 15、25 反射板 16 第1無給電素子
17 第2無給電素子 18 第3無給電素子 19 第4無給電素子
25、26 凹部 51〜54 仮想平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に対向配置された第1アンテナ素子及び第2アンテナ素子と、
平行に対向配置された第1無給電素子及び第2無給電素子と、
前記第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とを含む仮想平面及び前記第1無給電素子と第2無給電素子とを含む仮想平面に対し、平行に対向配置された反射板と、
を備え、
前記第1無給電素子は、前記第1アンテナ素子を含み前記反射板と直交する仮想平面上に、前記第1アンテナ素子を挟んで前記反射板と反対側に、かつ、前記第1アンテナ素子と平行に対向配置され、
前記第2無給電素子は、前記第2アンテナ素子を含み前記反射板と直交する仮想平面上に、前記第2アンテナ素子を挟んで前記反射板と反対側に、かつ、前記第2アンテナ素子と平行に対向配置され、
前記各無給電素子の素子長は、前記各アンテナ素子の素子長の1.02〜1.19倍である
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ装置であって、
前記反射板は、2つの凹部がそれぞれ前記第1アンテナ素子、前記第2アンテナ素子と対向するように、かつ、折り目が前記各アンテナ素子と平行になるように、略W字形に折り曲げられている
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のアンテナ装置であって、
前記第1アンテナ素子と前記第2アンテナ素子と前記第1無給電素子と前記第2無給電素子との位置関係を維持したまま、これらを平面的に90度回転させた位置に、これらのそれぞれと対応する、第3アンテナ素子と第4アンテナ素子と第3無給電素子と第4無給電素子とを更に備える
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1又は3に記載のアンテナ装置を複数個連ねて構成されたアンテナ装置。
【請求項5】
アンテナ素子と、
無給電素子と、
反射板と、
を備え、
前記無給電素子は、前記アンテナ素子を含み前記反射板と直交する仮想平面上に、前記アンテナ素子を挟んで前記反射板と反対側に、かつ、前記アンテナ素子と平行に対向配置され、
前記無給電素子の素子長は、前記アンテナ素子の素子長の1.02〜1.19倍である
ことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のアンテナ装置であって、
前記反射板は、凹部がそれぞれ前記アンテナ素子と対向するように、かつ、折り目が前記アンテナ素子と平行になるように、略V字形に折り曲げられている
ことを特徴とするアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−38577(P2013−38577A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172808(P2011−172808)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】