説明

アーチ橋模型

【課題】 学習教材に適したアーチ橋模型を提供する。
【解決手段】 所要の間隔で配置した左右一対のアバット部材1を、左右方向に延びる連結部材2で一体に連結する。形成すべきアーチ橋部4の下面に沿う略半円柱形状の仮設材3と、左右のアバット部材1の内側から、その中央位置に配した仮設材3の頂部付近まで配列するアーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと、仮設材3の頂部付近の左右両側位置に配置されたアーチ石様部材6fの間に挿入するための要石様部材5を、発泡樹脂素材で形成する。連結部材2上にて左右のアバット部材1間の中央位置に仮設材3を載置し、仮設材3の頂部の左右両側に、各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fを配列させた後、その間に要石部材5を打ち込み、その後、仮設材3を取り外すことで、アーチ橋部4を形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小学校等でアーチ橋の原理等を学習するための教材として使用するアーチ橋模型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
橋の形式の1つとして、アーチ形状の構造物を具備してなる形式のアーチ橋があり、該アーチ橋では、鉛直方向に作用する荷重を、上記アーチ形状構造物内でアーチ軸方向(円弧方向)の圧縮力に変換して該アーチ形状構造物の両端部まで伝達し、更に、上記アーチ形状構造物の両端部より地盤に設置してあるアバット(橋台)へ荷重を伝えて支持させるようにしてある。したがって、上記アーチ形状構造物内では、作用する荷重の大部分の力はアーチ軸方向の圧縮力となっていることから、アーチ橋は、圧縮に強い石やレンガ等の材料を用いた組積造に適しており、古典的なアーチ橋として、図7に示す如き石造アーチ橋aが広く知られている。
【0003】
すなわち、上記石造アーチ橋aは、図7に示す如く、複数のアーチ石(輪石)bを、径間の両端部位置から所要のアーチ形状に沿って径間の中央部側へ順次せり出すように積み上げて配置すると共に、上記アーチ形状の頂上部付近まで積み上げられた左右のアーチ石bの間に、上記アーチ形状の頂上部に配置した楔型の要石(キーストーン)cを嵌め込むことにより、アーチ橋としての基本的構造となる径間方向に延びるアーチ形状構造物を形成するようにしてある。dは橋両側面のアーチ石b及び要石cの上方に積む壁石であり、橋両側面をなす壁石d同士の間に、中詰め土砂(図示せず)を充填するようにしてある。更に、図示してはいないが、所要高さ位置まで積み上げられた上記壁石の上側に欄干を設けるようにすることも行われている。
【0004】
以上の構成としてあることにより、上記石造アーチ橋aでは、鉛直方向に荷重が作用すると、該鉛直方向の荷重を、上記要石cとアーチ石bとからなるアーチ形状構造物内で隣接する石同士の間で、互いの接触面に垂直な方向に作用する圧縮力として、順次上記アーチ形状構造物の両端部まで伝達させるようにしてある。更に、上記アーチ形状構造物は、その構造上、該アーチ形状構造物の両端部に、鉛直方向下向きの圧縮力に加えて、水平方向外向きの大きな力が働くようになる。そのために、上記石造アーチ橋aは、通常、河川の両岸に強固な地盤を確保できる場所に設置個所を選定することで、上記アーチ形状構造物の両端部に作用する水平方向外向きの大きな力を、上記河川の両岸の強固な地盤によって支持させるようにしてある。
【0005】
ところで、近年、小学校教育等において、自然科学を学習する上で、上記石造アーチ橋aの原理等、たとえば、一般的な橋の多くを占める桁橋は、径間に応じた長大な桁部材を必要とするのに対し、石造アーチ橋aではアーチ石bや要石cといった比較的小さい部材を積み重ねる組積造の構造によって大きな径間の橋を構築できることや、アーチ形状に沿って配列したアーチ石bや要石cは、互いの接触面を接着等により一体に接合しなくても、強固なアーチ形状構造物を形成できて、アーチ橋aを大きな荷重に耐え得るものとすることができること等を習得することが取り上げられてきている。
【0006】
しかし、上記のような石造アーチ橋aについての学習を、単に橋の写真や図面を教材として用いて行おうとしても、アーチ石bと要石cからなるアーチ形状構造物を備える石造アーチ橋aの上記したような原理等については理解し難いというのが実状である。
【0007】
そのため、現場の教育者は、上記アーチ石bと要石cとをそれぞれ模した部材をアーチ形状に沿って配列してアーチ形状構造物を組み立てることができるような組積造構造のアーチ橋模型等を使用して、上記石造アーチ橋aの原理等を体験的に学習することの必要性を感じてきている。
【0008】
なお、軽量で、且つ容易に架設できるアーチ橋としては、たとえば、材料に紙製の素材としてのダンボールを用いた下路式のローゼ橋を橋種とする移動可能な仮設橋が従来提案されている。この仮設橋は、アーチ部分と床版部からなる構成としてあり、上記アーチ部分は、切れ目の位置が互いに重ならない形状としてあるダンボール製の部材を積層して、アーチ状部と桁を剛接接合された状態で形成し、更に、上記アーチ状部と桁とを紙紐を材料とする吊り紐で繋いで形成してある。一方、上記床版部は、床版と補強材とをそれぞれダンボールを積層して作り、該床版の長手方向所要間隔位置に、補強材を平行に配置して取り付けて形成してある。更に、上記アーチ部分と床版部とを、橋全体が下路式のローゼ橋の形状となるように配置した状態にて、該アーチ部分と床版部とを剛接接合して仮設橋とするようにしてある。これにより、上記仮設橋は、全体を紙製として軽量化することができて、人力による、運搬や設置が可能であるとされている(たとえば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特許第3696871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、前述したような学習教材として使用でき且つ石造アーチ橋aと同様の組積造構造のアーチ橋模型を実現するには、教室の床等の平坦な場所での使用が前提となるため、上記石造アーチ橋のアーチ石bと要石cを模した部材によって組み立てられるアーチ形状構造物の両端部に水平方向外向きの大きな力が作用しても、該アーチ形状構造物の両端部が外側へ開かないようにすることが要求され、そのための手段の一つとしては、上記アーチ形状構造物の両端部に、水平方向に容易に移動させることが困難となるように重量の大きいコンクリート等により製作したアバットを取り付けることが考えられる。又、別の手段としては、屋内の床面等の固定部に、左右一対のアバットを、所要間隔を隔てて取り付けて、該各アバットに、上記アーチ形状構造物の両端部をそれぞれ取り付けて支持させるようにすることが考えられる。しかし、いずれのアバットを採用する場合にも、模型としては大掛かりになりすぎると共に、上記アーチ形状構造物を一旦製作すると、再度使用することが困難になるため、様々な場所に容易に搬送して、容易に組み立てを行うことが困難になると共に、繰り返し使用できることが要求される学習教材としては適さないものとなってしまうというのが実情である。
【0011】
上記特許文献1に記載された紙製の仮設橋は、軽量であることから様々な場所に容易に搬送して組み立てを行うことは可能になると考えられるが、該仮設橋は、ダンボール製の各構成部材同士が剛接接合されているものであって、石造アーチ橋のような組積造によるものではない。しかも、上記紙製の仮設橋は、一旦組み立ててしまうと、分解することができないものであるため、繰り返し使用することはできず、そのため、学習教材としては不適である。
【0012】
そこで、本発明は、石造アーチ橋のような組積造によるアーチ形状構造物(アーチ構造)を有するアーチ橋模型であって、人手で持ち運び可能となるよう軽量で且つコンパクトな構成を有し、更に、様々な場所で使用できると共に、繰り返し使用することが可能なアーチ橋模型を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、左右一対のアバット部材と、左右方向に延びて上記各アバット部材を連結する連結部材と、上記連結部材上における上記左右のアバット部材間の中央位置に配置する略半円柱形状の仮設材と、上記左右のアバット部材間にて上記仮設材の上側に沿うアーチ形状のアーチ橋部を構築するために、上記左右アバット部材の内壁面に接する位置から上記仮設材の上側に沿って該仮設材の頂部付近まで配列する複数のアーチ石様部材と、上記仮設材の頂部位置にて、該頂部付近の左右位置に配置されたアーチ石様部材の間に挿入する楔状の要石様部材とを備えてなる構成を有するアーチ橋模型とする。
【0014】
又、上記構成において、左右のアバット部材と、左右両端部のアーチ石様部材との間に挿入するための圧縮力調整部材を備えるようにした構成とする。
【0015】
同様に、上記構成において、連結部材を左右方向に伸縮できるようにし、該連結部材の伸縮量を変化させることで、左右の各アバット部材同士の間隔を変化させることができるようにした構成とする。
【0016】
上記各構成における略半円柱形状の仮設材を、上下方向及び又は左右方向に分割してなる分割構造とした構成とする。
【0017】
上述の各構成において、仮設材の前後方向の両端面を除く外面、又は、分割構造としてある仮設材の各構成部材における前後方向の両端面を除く外面に、摩擦抵抗を低減させる塗装を施すようにした構成とする。
【0018】
又、上述の各構成において、左右のアバット部材間にて仮設材の上面に沿って配列させた各アーチ石様部材及び要石様部材の上側に載置する蓋材を備え、且つ該蓋材を、上記各アーチ石様部材及び要石様部材の上側に載置するときに、該蓋材の上面が、上記要石様部材の上端部と同等の高さ位置以上の高さ位置で水平面となるようにした構成とする。
【0019】
更に、上述の各構成において、仮設材と各アーチ石様部材と要石様部材、又は、上記各部材及び蓋材を、発泡樹脂素材製とした構成とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアーチ橋模型によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)左右一対のアバット部材と、左右方向に延びて上記各アバット部材を連結する連結部材と、上記連結部材上における上記左右のアバット部材間の中央位置に配置する略半円柱形状の仮設材と、上記左右のアバット部材間にて上記仮設材の上側に沿うアーチ形状のアーチ橋部を構築するために、上記左右アバット部材の内壁面に接する位置から上記仮設材の上側に沿って該仮設材の頂部付近まで配列する複数のアーチ石様部材と、上記仮設材の頂部位置にて、該頂部付近の左右位置に配置されたアーチ石様部材の間に挿入する楔状の要石様部材とを備えてなる構成としてあるので、上記左右のアバット間にて上記アーチ石様部材と要石様部材をからなるアーチ橋部を構築するときに、該アーチ橋部の両端部に作用する外向きの大きな力を、上記左右の各アバット部材を経て上記連結部材へ伝えることで、該連結部材の伸び剛性によって受けさせることができる。したがって、本発明のアーチ橋模型では、上記アーチ橋部の両端部に作用する水平力を、内力として処理できるようになるため、重量の大きいコンクリート等により製作したアバットや、屋内の床面等の固定部に固定したアバットが不要になることから、人手により持ち運び可能な軽量で且つコンパクトな模型とすることが可能になる。
(2)又、上記アーチ橋部は、各アーチ石様部材と、要石様部材を接着等により接合することなく形成できるため、該アーチ橋部のアーチ形状の下方から力を加えることで容易に分解できる。したがって、何度でも繰り返し使用できるようになる。
(3)以上により、本発明のアーチ橋模型は、学習教材として優れたものとすることができる。しかも、上記アーチ石様部材と要石様部材により構築されるアーチ橋部は、アーチ橋の原理を最も忠実に表現した模型となるため、自然科学の学習教材としても価値を有するものとすることができる。
(4)左右のアバット部材と、左右両端部のアーチ石様部材との間に挿入するための圧縮力調整部材を備えるようにした構成とすることにより、該圧縮力調整部材を、上記左右のアバット部材と、左右両端部のアーチ石様部材との間に挿入することで、仮設材の頂部付近の左右位置に配置されたアーチ石様部材の間に要石様部材を挿入する際に、各アーチ石様部材に作用する圧縮力を調整することができて、上記アーチ石様部材及び要石様部材からなるアーチ橋部を確実に形成させることができる。
(5)連結部材を左右方向に伸縮できるようにし、該連結部材の伸縮量を変化させることで、左右の各アバット部材同士の間隔を変化させることができるようにした構成とすることによっても、仮設材の頂部付近の左右位置に配置されたアーチ石様部材の間に要石様部材を挿入する際に、各アーチ石様部材に作用する圧縮力を調整することができて、上記アーチ石様部材及び要石様部材からなるアーチ橋部を確実に形成させることができる。
(6)略半円柱形状の仮設材を、上下方向及び又は左右方向に分割してなる分割構造とした構成とすることにより、左右のアバット部材の間で、上記仮設材の上側に沿って配列するアーチ石様部材と要石様部材とからなるアーチ橋部を構築した後、該アーチ橋部の下側から上記仮設材を取り外す作業をより容易に行うことができる。
(7)上記仮設材の前後方向の両端面を除く外面、又は、分割構造としてある仮設材の各構成部材における前後方向の両端面を除く外面に、摩擦抵抗を低減させる塗装を施すようにした構成とすることにより、構築したアーチ橋部の下側から上記仮設材を取り外す作業を更に容易なものとすることが可能になる。
(8)左右のアバット部材間にて仮設材の上面に沿って配列させた各アーチ石様部材及び要石様部材の上側に載置する蓋材を備え、且つ該蓋材を、上記各アーチ石様部材及び要石様部材の上側に載置するときに、該蓋材の上面が、上記要石様部材の上端部と同等の高さ位置以上の高さ位置で水平面となるようにした構成とすることにより、複数のアーチ橋模型を重ねて収納したり、収納したアーチ橋模型の上側に別のものを載置できるようになることから、本発明のアーチ橋模型を、収納に有利なものとすることができる。
(9)仮設材と各アーチ石様部材と要石様部材、更には、蓋材を、発泡樹脂素材製とすることにより、アーチ橋模型全体の軽量化を図ることができる。このため、人手による持ち運びをより容易なものとすることができて、学習教材として利用に更に適したものとすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1乃至図4は本発明のアーチ橋模型の実施の一形態を示すもので、本発明のアーチ橋模型は、所要の間隔を隔てて配置する左右一対のアバット部材1と、左右方向に延びて上記左右のアバット部材1同士を一体に連結することにより該左右のアバット部材1同士の間隔を保持するための連結部材2と、形成すべきアーチ橋部4の下面形状に応じたアーチ形の上面形状を有する略半円柱形状とし、且つ上記連結部材2上にて上記左右のアバット部材1間の中央位置に載置できるようにしてある仮設材3と、上記左右のアバット部材1同士の間にて、上記仮設材3の上面のアーチ形状に沿って延びるアーチ橋部4を形成できるように、該形成すべきアーチ橋部4におけるアーチ形状の頂部を、組積造のアーチ橋における要石を模して楔形に切り出してなる要石様部材5、及び、上記アーチ橋部4における上記要石様部材5と対応するアーチ形状の頂部を除く左右両側部分を、組積造のアーチ橋におけるアーチ石を模してそれぞれ複数分割、たとえば、それぞれ6分割してなる形状のアーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fとを備えてなる構成とする。
【0023】
更に、上記連結部材2上における上記左右のアバット部材1同士の間の中央位置に上記仮設材3を配置して、該仮設材3の上側に、上記各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6f及び要石様部材5を、上記アーチ橋部4を形成する場合と同様に並べた状態にて、上記要石様部材5の頂部の左右両側となる上記各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6f及び要石様部材5の上側にそれぞれ載置する蓋材7を備える。且つ上記各蓋材7は、上記のように各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6f及び要石様部材5の上側に載置すると、該各蓋材7の上面が、上記要石様部材5の頂部と同じ高さ位置で水平面をなすような形状としてある。
【0024】
以下、詳述する。なお、以下で説明するアーチ橋模型は、教材としてのサイズや、全体の重量を考慮して、たとえば、左右のアバット部材1同士の間に構築するアーチ橋部4の全長を約1mに設定してあるものとする。
【0025】
上記連結部材2は、たとえば、ベニヤ合板等の板材により矩形状に形成してあり、且つ該連結部材2の全長の長さ寸法(図上左右方向の長さ寸法)は、構築すべきアーチ橋部4の全長に応じた約1mの寸法を左右のアバット部材1同士の間に確保できるようにするために、約1mに、左右の各アバット部材1の取付部の長さ寸法を付加した寸法としてある。
【0026】
上記各アバット部材1は、上記アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fのうちの左右の両端部に位置する各アーチ石様部材6aの上下方向の厚み寸法と対応する高さ寸法で、上記連結部材2の前後方向寸法に応じて前後方向に延びる直方体形状としてある。具体的には、たとえば、矩形断面の長辺が、上記左右両端部に位置する各アーチ石様部材6aの上下方向の厚み寸法と対応する寸法となる木材(角材)を、上記連結部材2の前後方向寸法に応じた長さ寸法に切断することで形成して、上記矩形断面の長辺が縦位置となるようにして前後方向に延びるよう配置すればよい。
【0027】
上記左右の各アバット部材1は、上記連結部材2の左右両端部の上側に載置した状態にて、たとえば、釘等の所要の接合手段を用いて該連結部材2に強固に接合してある。これにより、上記左右のアバット部材1に、該各アバット部材1の間で形成する上記アーチ橋部4から水平方向外向きの大きな力が作用しても、その力を、上記左右のアバット部材1より上記連結部材2へ伝えて、該連結部材2の伸び剛性によって受けさせることができるようにしてある。
【0028】
なお、上記各アバット部材1及び連結部材2は、それぞれに要求される強度(剛性)や、それぞれの製造コスト、各アバット部材1と連結部材2とを一体に接合するときの接合の容易性や接合強度、更には、これらの部材1,2を人手で可搬できる程度の重量に収めること等を考慮すると、上記したように、連結部材2は合板により形成し、各アバット部材1は木材により形成することが好ましいが、軽量で且つ所望される部材強度や接合強度が得られる材質であれば、上記各アバット部材1及び連結部材2は、いかなる材質を用いて形成するようにしてもよい。
【0029】
更に、左右のアバット部材1の間の中央位置に配置した仮設材3の上側で上記アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと要石様部材5とからなるアーチ橋部4を組み立てた後、該組み立てられたアーチ橋部4の下側から上記仮設材3を前後方向へ抜き出して取り外す作業を容易に実施できるようにするために、上記仮設材3は、所要の高さ位置で水平な分割面により上下2段に分割すると共に、この分割により形成される上段部材3aと下段部分のうち、下段部分を、所要間隔を隔てた左右の2個所で、前後方向に平行な垂直の分割面で更に分割して、左右の下段端部部材3c,3dと、その間に位置する下段中央部材3bとを形成してなる分割構造とするようにしてある。
【0030】
更に又、上記仮設材3の上段部材3aと、下段中央部材3b、及び、左右の下段端部部材3c,3dは、いずれも、前後の両端面を除く外面(表面)に、滑り易い塗料を塗布してなる構成として、上記仮設材3の各部材3a,3b,3c,3d同士が摺動する際、及び、該各部材3a,3b,3c,3dが連結部材2の表面や、上記要石様部材5や各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fの下面と摺動するときの摩擦抵抗を低減させることができるようにして、上記仮設材3の各部材3a,3b,3c,3dの取り外し作業に要する力を更に軽減できるようにしてある。
【0031】
上記アーチ橋部4を構築するための要石様部材5やアーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6f及び上記仮設材3は、部材重量を低減してアーチ橋模型全体の軽量化を図ることができるようにするために、いずれも、圧縮に対して比較的強く、且つ軽量な素材、たとえば、発泡スチロールのような発泡樹脂素材製としてある。このように、上記要石様部材5とアーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと仮設材3を同一の発泡樹脂素材製とし、更に、上記左右の蓋材7も同一の発泡樹脂素材製とするようにすれば、上記アーチ橋部4の縦、横、長さ寸法に応じた寸法を有する発泡樹脂素材の直方体のブロックから、上記仮設材3の各部材3a,3b,3c,3dと、アーチ橋部4を構築するための要石様部材5及びアーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと、上記各蓋材7を切り出して製作することが可能になる。これにより、材料を無駄なく利用することができるようになるため、材料コストの低減化を図るのに有利なものとすることができる。
【0032】
なお、8はプラスチック板の如き圧縮力調整部材であり、該圧縮力調整部材8を、左右の各アバット部材1の内側壁面と、左右両端部に位置するアーチ石様部材6aとの間に必要に応じて挿入することで、アーチ橋部4を形成させるために上記左右のアバット部材1同士の間の左右両側位置に配列させる各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fの間に上記要石様部材5を挿入するときに、上記各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fに作用させる圧縮力を調整できるようにしてある。なお、図示してはいないが、上記圧縮力調整部材8は、たとえば、1mm厚〜3mm厚等、厚み寸法の異なる複数のものを予め用意しておき、左右のアバット部材1の内側壁面と、左右両端部のアーチ石様部材6aとの間に挿入する圧縮力調整部材8の厚みを適宜選定することで、上記各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fに作用させる圧縮力の調整量を変化させるようにしたり、あるいは、たとえば、厚み寸法が1mm厚の圧縮力調整部材8を予め複数枚用意しておき、左右のアバット部材1の内側壁面と、左右両端部のアーチ石様部材6aとの間に挿入する調整部材8の枚数を適宜選定することで、上記各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fに作用させる圧縮力の調整量を変化させることができるようにしてある。
【0033】
以上の構成としてある本発明のアーチ橋模型を使用する場合は、先ず、図3(イ)に示す如く、左右両端部にアバット部材1が一体に取り付けてある連結部材2を、屋内の床面等の所要の平坦な個所に置き、次に、上記連結部材2の左右方向の中央部に、上段部材3aと、下段の各部材3b,3c,3dとを略半円柱形に組み立ててなる仮設材3を載置し、該仮設材3の左右両側に、左右両端部に位置する各アーチ石様部材6aを、上記左右のアバット部材1の内側壁面に接触させるようにして載置する。
【0034】
次に、図3(ロ)に示す如く、残るアーチ石様部材6b,6c,6d,6e,6fを、左右方向の外側に位置するものから順次積み上げるようにして上記仮設材3の上側に載置する。
【0035】
次いで、図3(ハ)に示す如く、上記のように積み上げられて仮設材3の頂部付近の左右両側に配されたアーチ石様部材6f同士の間に、要石様部材5を、図示しない角材等を用いて確実に打ち込むようにする。この際、上記要石様部材5の打ち込みによっても上記各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fに十分な圧縮力を与えることができない場合は、上記要石様部材5を一旦取り外した状態として、図3(ハ)に二点鎖線で示す如く、上記左右の各アバット部材1の内側壁面と、左右両端部に位置する各アーチ石様部材6aとの間に、前述の調整部材8を挿入し、しかる後、上記要石様部材5の打ち込み作業を再び行うようにして、該要石様部材5の打ち込みにより、その左右両側に配列されている各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fに対して、左右のアバット部材1との間で十分な圧縮力が与えられた状態となることを確認するようにする。
【0036】
その後、図3(ニ)に示す如く、上記仮設材3の取り外しを行う。この取り外し作業を行う場合は、先ず、上記仮設材3の下段中央部材3bを、前後方向の片側(図では手前側)へ引き出すか又は反対側から押し出すようにして抜き取る。次に、左右の各下段端部部材3c,3dを、上記下段中央部材3bと同様にして前後方向の片側へ抜き取る。上記のようにして仮設材3の下段の各部材3b,3c,3dをすべて抜き取ると、上段部材3aは下方へ垂直に変位できるようになるため、該上段部材3aを、一旦下降させた後、前後方向の片側へ抜き取って、仮設材3の取り外しを行うようにする。これにより、図4に示す如く、左右のアバット部材1の間に、互いに十分な圧縮力を作用させた上記各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと要石様部材5とからなるアーチ橋部4が構築されるようになる。
【0037】
更に、上記図3(イ)(ロ)(ハ)(ニ)と同様の手順により別途構築したアーチ橋部4を、必要に応じて図4に二点鎖線で示す如く前後、左右方向に並べるよう配置することで、複数個のアーチ橋部4により、大型のアーチ橋の模型を形成させるようにしてもよい。
【0038】
上記アーチ橋部4を分解(解体)する場合は、上記アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと要石様部材5により形成されているアーチ形状の部分に対して下方からの力を加えることで、容易に分解作業を行うことが可能になる。
【0039】
その後、上記本発明のアーチ橋模型の使用後は、図2に示す如く、左右のアバット部材1間の連結部材2上に、上記アーチ橋部4を構築する場合と同様に、仮設材3と、各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fを載置した後、要石様部材5を、仮設材3の頂部の上側に軽く載置し、更に、上記アーチ橋部4の頂部を除く左右両側位置の上側に、左右の蓋材7をそれぞれ載置した状態とするようにする。これにより、上記アーチ橋模型の各部材をコンパクトにまとめることができると共に、上記左右の蓋材7の上面が水平面となることから、複数のアーチ橋模型を積み重ねるようにして収納するようにしたり、収納してあるアーチ橋模型の上に別のものを載置することも可能になる。
【0040】
このように、本発明のアーチ橋模型によれば、左右のアバット部材1を、左右方向に延びる連結部材2で連結するようにしてあるため、上記左右のアバット部材1の間で組み立てるアーチ橋部4より該左右のアバット部材1に対して作用する水平方向外向きの大きな力を、該左右のアバット部材1から上記連結部材2に伝えて、該連結部材2の伸び剛性によって受けさせることができる。これにより、アーチ橋部4の左右両端部を受けるために、大きな重量を有するアバットや、屋内の床面等の固定部に固定したアバットは不要になる。
【0041】
しかも、上記アバット部材1及び連結部材2は共に木製としてあり、更に、仮設材3と、アーチ橋部4を構成するためのアーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6f及び要石様部材5、更には、蓋材7は、いずれも発泡樹脂素材製としてあるので、アーチ橋模型全体を軽量化することができて、人手により様々な場所に容易に搬送することが可能になる。
【0042】
又、上記アーチ橋模型は、連結部材2を配置でき且つその周囲で作業するための所要の平坦なスペースが確保できれば、どこででもアーチ橋部4を組み立てて構築することが可能になる。
【0043】
更に、上記アーチ橋部4は、各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6f及び要石様部材5を接着することなく容易に構築できる。又、アーチ形状部分の下方から力を加えることで各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと要石様部材5に容易に分解できるため、繰り返し使用することが可能になる。
【0044】
以上のことから、本発明のアーチ橋模型は、石造アーチ橋のような組積造によるアーチ橋の学習教材として優れたものとすることができる。しかも、アーチ橋部4の構築手順は、石造アーチ橋と同様の組積造によるアーチ橋の構築手順とほぼ同様であると共に、上記アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと、要石様部材5により構築されるアーチ橋部4は、組積造によるアーチ橋の原理を最も忠実に表現した模型となるため、自然科学の学習教材としても価値を有するものとすることができる。
【0045】
次に、図5は本発明の実施の他の形態として、仮設材3の別の例を示すもので、以下のような構成としてある。
【0046】
すなわち、図5に示した仮設材3は、図1乃至図4の実施の形態における仮設材3と同様に、仮設材3の略半円柱形を所要の高さ位置で水平な分割面により上下2段に分割すると共に、この分割により形成される上段部材3aと下段部分のうちの下段部分を、所要間隔を隔てた左右2個所で、前後方向に平行な垂直な分割面で更に分割して、左右の下段端部部材3c,3dと、その間に位置する下段中央部材3bとからなる分割構造とする構成に代えて、上記と同様に仮設材3を上下2段に分割して下段部分を下段中央部材と左右の下段端部部材としてある構成において、下段中央部材3eが、前後方向の一端側から他端側に向けて左右の幅寸法が徐々に狭くなるテーパ状の平面形状となり、且つ左右の下段両端部材3f,3gが、前後方向の一端側から他端側に向けて左右の幅寸法が徐々に広くなるテーパ状の平面形状となるように分割してなる分割構造とする構成としたものである。
【0047】
本実施の形態によれば、上記上段部材3aと、下段の各部材3e,3f,3gとからなる略半円柱形状の仮設材3を組み立て、該組み立てられた仮設材3を用いて図3(イ)(ロ)(ハ)に示したものと同様の手順により、上記仮設材3の上側で各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと要石様部材5とからなるアーチ橋部4を形成させた後、図3(ニ)に示したと同様に、該アーチ橋部4の下側から仮設材3を取り外すときに、先ず、上記下段中央部材3eを、図5中に矢印xで示す如く、左右巾寸法の広い側へ引き出すようにすると、該下段中央部材3eを、左右の各下段端部部材3f,3gと摺動させることなく抜き出すことができるようになるため、上記仮設材3の取り外し作業に要する力をより軽減させることが可能になる。
【0048】
次いで、図6(イ)(ロ)は本発明の実施の更に他の形態を示すもので、左右のアバット部材1を、左右方向に所要の寸法を備えた矩形板状の連結部材2の左右両端部にそれぞれ一体に接合した構成に代えて、左右方向の寸法を伸縮できる連結部材2aの両端部に、上記左右のアバット部材1をそれぞれ取り付けてなる構成として、上記連結部材2aの伸縮量の調整により、上記左右のアバット部材1同士の間隔を調整できるようにしたものである。
【0049】
具体的には、上記連結部材2aは、図6(イ)(ロ)に示す如く、図1乃至図4の実施の形態の連結部材2と同様の矩形の平面形状を、所要個所で所要の隙間、たとえば、数cmの隙間を隔てて左右方向に2分割した平面形状を有する左右の分割材9及び10を備え、且つ、たとえば、左側の分割材9における右端面に、前後方向の2個所で右側へ所要寸法水平に突出するボルト材11を、所要の取付部材12を介して取り付ける。更に、上記右側の分割材10には、上記左側の分割材9に取り付けた各ボルト材11と対応する前後方向2個所に、該分割材10を左右水平方向に貫通するボルト挿通孔13をそれぞれ穿設しておき、該各ボルト挿通孔13に、上記左側の分割材9に取り付けてある各ボルト材11を挿通させると共に、該各ボルト材11の突出端部に、調整ナット14をそれぞれ螺着させた構成としてある。
【0050】
更に、上記連結部材2aは、上記左側の分割材9の左端部の上側と、上記右側の分割材10の右端部の上側に、図1乃至図4の実施の形態のアバット部材1と同様のアバット部材1を取り付けた構成としてある。
【0051】
その他の構成は図1乃至図4に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0052】
本実施の形態のアーチ橋模型によれば、図3(イ)(ロ)(ハ)に示した手順と同様に、先ず、上記左右のアバット部材1を一体に取り付けてある連結部材2aを、所要の平坦な場所に置き、次に、上記連結部材2aの左右方向の中央部の上側に仮設材3を載置し、次いで、上記左右のアバット部材1の間に、上記仮設材3の上側に沿って各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fを順次載置した状態とした後、上記仮設材3の頂部付近の左右位置に配置された左右のアーチ石様部材6fの間に要石様部材5を打ち込むときに、該要石様部材5の打ち込みによっても上記各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fに対して十分な圧縮力を与えることができない場合は、上記ボルト材11に螺着してある調整ナット14を所要量締め込むようにすると、左右の分割材9と10の間隔を狭めて左右の各アバット部材1同士をより接近させることができる。よって、上記調整ナット14の締め込み量を調整することで、上記要石様部材5の打ち込みにより、その左右両側に配列されている各アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fに対して作用させる圧縮力の強度を適宜調整することができる。これにより、図1乃至図4の実施の形態で用いる圧縮力調整部材8を省略しても、上記アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6f及び要石様部材5からなるアーチ橋部4を確実に形成させることができるようになる。
【0053】
本実施の形態では、左右のアバット部材1間で構築するアーチ橋部4より該各アバット部材1に対して作用することとなる水平方向外向きの力は、上記アーチ橋部4の左端部からは左端側のアバット部材1を介して連結部材2aにおける図上左側の分割材9に伝えられ、一方、上記アーチ橋部4の右端部からは右端側のアバット部材1を介して連結部材2aにおける図上右側の分割材9及び各調整ナット14を介して上記図上左側の分割材9に取り付けられているボルト材11へ伝えられて、該分割材9及びボルト材11の伸び剛性により受けることができる。よって、本実施の形態によっても図1乃至図4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、アバット部材1は、構築されるアーチ橋部4の左右両端部より受ける水平方向外向きの大きな力を、左右のアバット部材1同士を連結している連結部材2,2aへ伝えることができ、且つ学習教材として用いる点に鑑みて、重量が多大になる虞がなければ、たとえば、アングル材を用いる等、形状や材質は適宜変更してもよい。
【0055】
アーチ橋部4の前後左右方向の寸法や、アーチ形状は、学習教材として使用し易いサイズや重量を考慮すれば、適宜変更してもよい。又、アーチ橋部4を構築するために要石様部材5の左右両側に配されるアーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fの分割数は、適宜増減してもよい。
【0056】
仮設材3は、分割構造としてある各部材を略半円柱形状に組み立てた仮設材3の上側で、アーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと要石様部材5とからなるアーチ橋模型4を構築する作業時に所要の力が作用しても、上記略半円柱形状を保持できるようにしてあれば、たとえば、図1乃至図4の実施の形態における仮設材3の下段中央部材3bを図示したものよりも狭幅として、左右の下段端部部材3c,3dとの間に所要の隙間を形成させるようにすることで、アーチ橋模型4を構築した後に該下段中央部材3bを抜き取る作業時に、左右の下段端部部材3c,3dとの摺動が生じないようにする等、該仮設材3の分割形状や分割数は適宜変更してもよい。更に、上記仮設材3は、左右のアバット部材1間でアーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと要石様部材5からなるアーチ橋部4を構築した後、該アーチ橋部4の下側から抜き出して取り外す作業を容易に行うことができるようにするためには、該仮設材3を所要の分割構造とすることが好ましいが、略半円柱形状をなす一体物の仮設材3を用いるようにしてもよい。
【0057】
蓋材7を左右2分割構造のものとして示したが、左右のアバット部材1の間に配置されたアーチ石様部材6a,6b,6c,6d,6e,6fと要石様部材5の上側に載置することができ且つ該載置状態で上面が水平となるようにしてあれば、左右方向に一連の蓋材を用いるようにしてもよい。更に、本発明のアーチ橋模型を収納するときの収納性を高めるためには、蓋材7を備えることが好ましいが、該蓋材7は省略してもよい。
【0058】
図1乃至図4の実施の形態では、連結部材2を、矩形の平板状のものとして示したが、所要間隔を隔てて配置した左右のアバット部材1を一体に連結でき、且つ上記各アバット部材1間にて構築したアーチ橋部4より該各アバット部材1に対して水平方向外向きの力が作用するときにも各アバット部材1が外側に広がる変位を防ぐことができ、しかも、学習教材として用いる点に鑑みて、重量が多大になる虞がなければ、上記連結部材2の形状や材質は適宜変更してもよい。
【0059】
又、図6(イ)(ロ)の実施の形態における左右方向の寸法を伸縮できるようにした連結部材2aは、左右の分割材9と10のうちの一方の分割材9に取り付けたボルト材11を、他方の分割材10に設けたボルト挿通孔13に挿通させて、該ボルト材11の突出端部に螺着させた調整ナット14の締め込み量を適宜調整することで、上記左右の分割材9と10の間隔を変化させることができるものとして示したが、左右のアバット部材1同士の間隔を、近接離反方向に所要寸法変更でき、且つ各アバット部材1間にて構築したアーチ橋部4より該各アバット部材1に対して水平方向外向きの力が作用するときにも各アバット部材1が外側に広がる変位を防ぐことができ、しかも、学習教材として用いる点に鑑みて、重量が多大になる虞がなければ、上記連結部材2aにおける左右方向の寸法の伸縮機構は、いかなる形式のものを採用してもよい。
【0060】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明のアーチ橋模型の実施の一形態を示すもので、組み立てを行うべき各構成部材を分離した状態で示す概略斜視図である。
【図2】図1のアーチ橋模型の各構成部材を組み合わせた状態を示す概略正面図である。
【図3】図1のアーチ橋模型のアーチ橋部を構築する手順を示すもので、(イ)は左右のアバット部材間に仮設材と左右両端部のアーチ石様部材を配置した状態を、(ロ)は仮設材に沿って各アーチ石様部材を配置した状態を、(ハ)は左右のアーチ石様部材の間に要石様部材を打ち込む状態を、(ニ)は仮設材を取り外す状態を、それぞれ示す概略斜視図である。
【図4】図1のアーチ橋模型のアーチ橋部を構築した状態を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の実施の他の形態を示すもので、分割構造としてある仮設材の別の例を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の実施の更に他の形態を示すもので、(イ)は概略正面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図である。
【図7】石造アーチ橋の一般的な構造を示す概要図である。
【符号の説明】
【0062】
1 アバット部材
2,2a 連結部材
3 仮設材
3a 上段部材
3b 下段中央部材
3c,3d 下段端部部材
3e 下段中央部材
3f,3g 下段端部部材
4 アーチ橋部
5 要石様部材
6a,6b,6c,6d,6e,6f アーチ石様部材
7 蓋材
8 圧力調整部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のアバット部材と、左右方向に延びて上記各アバット部材を連結する連結部材と、上記連結部材上における上記左右のアバット部材間の中央位置に配置する略半円柱形状の仮設材と、上記左右のアバット部材間にて上記仮設材の上側に沿うアーチ形状のアーチ橋部を構築するために、上記左右アバット部材の内壁面に接する位置から上記仮設材の上側に沿って該仮設材の頂部付近まで配列する複数のアーチ石様部材と、上記仮設材の頂部位置にて、該頂部付近の左右位置に配置されたアーチ石様部材の間に挿入する楔状の要石様部材とを備えてなる構成を有することを特徴とするアーチ橋模型。
【請求項2】
左右のアバット部材と、左右両端部のアーチ石様部材との間に挿入するための圧縮力調整部材を備えるようにした請求項1記載のアーチ橋模型。
【請求項3】
連結部材を左右方向に伸縮できるようにし、該連結部材の伸縮量を変化させることで、左右の各アバット部材同士の間隔を変化させることができるようにした請求項1記載のアーチ橋模型。
【請求項4】
略半円柱形状の仮設材を、上下方向及び又は左右方向に分割してなる分割構造とした請求項1、2又は3記載のアーチ橋模型。
【請求項5】
仮設材の前後方向の両端面を除く外面、又は、分割構造としてある仮設材の各構成部材における前後方向の両端面を除く外面に、摩擦抵抗を低減させる塗装を施すようにした請求項1、2、3又は4記載のアーチ橋模型。
【請求項6】
左右のアバット部材間にて仮設材の上面に沿って配列させた各アーチ石様部材及び要石様部材の上側に載置する蓋材を備え、且つ該蓋材を、上記各アーチ石様部材及び要石様部材の上側に載置するときに、該蓋材の上面が、上記要石様部材の上端部と同等の高さ位置以上の高さ位置で水平面となるようにした請求項1、2、3、4又は5記載のアーチ橋模型。
【請求項7】
仮設材と各アーチ石様部材と要石様部材、又は、上記各部材及び蓋材を、発泡樹脂素材製とした請求項1、2、3、4、5又は6記載のアーチ橋模型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−115572(P2008−115572A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298545(P2006−298545)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】