説明

イオントラップ飛行時間型質量分析装置

【課題】分析の目的に応じてイオントラップ部、マルチポール部へのガス供給量を適正に制御し高感度なイオントラップ飛行時間型質量分析装置を実現する。
【解決手段】CPU1は動作モードに応じたHeガス導入量をメモリ16から読みDA変換器3を介してトラップマスフローコントローラ4を制御しイオントラップ部12にHeガスを導入する。CPU1はイオントラップ部12のHeガス流入量をモニタしイオントラップ部12が最適圧力となるようにマスコントローラ4を制御する。CPU1はイオントラップ部12からマルチポール部14に流入する微量なHeガスの量に応じてマルチポール部14へ導入するガス量をモニタしマルチポール部14が最適圧力となるようにマスフローコントローラ5を制御する。動作モードに応じてイオントラップ部12からマルチポール部14に流入するHeガスの量の予測値に基づいてガス流量が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオントラップ飛行時間型質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオントラップ飛行時間型質量分析装置は、イオントラップ部と飛行時間型質量分析装置とが結合された質量分析装置であり、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
イオントラップ飛行時間型装置の動作原理について以下に簡単に説明する。
まず、イオントラップ部ではエンドキャップ電極を接地し、リング電極に主高周波電圧を印加して、イオントラップ内部に主高周波電界をつくる。この電界内にイオンを導入すると、質量数に対応する固有の周波数にてイオンが振動し、イオントラップ内で安定した軌道を描く。これをイオン閉じ込めと呼ぶ。
【0004】
次に、閉じ込めたイオンの中から構造解析を行う目的のイオンを選択して閉じ込める。これをイオン選択機能と呼ぶ。不要イオンの振動周波数に共振させるための補助高周波電圧をエンドキャップ電極に印加すると、イオントラップ内に補助電界が形成し、その不要イオンが共鳴する。共鳴したイオンの振幅は増大し、イオンがイオントラップ内から排出される。
【0005】
排出するすべてのイオンに対して、それぞれ対応する振動周波数を含む合成波をエンドキャップ電極に印加すれば、目的のイオンのみをイオントラップ内に閉じ込めることが可能となる。
【0006】
次に、目的のイオンの振動周波数と共振させるための補助高周波電圧をエンドキャップ電極に印加する。このとき、電圧はイオンが排出しない程度に調整する。
【0007】
この電圧によって、目的のイオンの振幅が増大し、運動エネルギーが増大することとなる。
【0008】
そして、イオントラップ内部の中性分子とイオンとが衝突を繰り返し、開裂反応が起こる。イオントラップ部にはイオン軌道を収束するために、ガスが導入される。
【0009】
目的試料質量数は、イオントラップ部の後段に設置した飛行時間型質量分析装置で測定する。この飛行時間型質量分析装置はイオントラップから排出されたイオンビームを直交方向に打ち出すことから直交型飛行時間質量分析装置と呼ばれる。
【0010】
ここで、高分解能を得るため、直交型飛行時間質量分析装置の前段に、マルチポールイオンレンズを配置し、そこにガスを導入する。
【0011】
マルチポールイオンレンズが配置されたマルチポール部に導入されたガスとイオンとの衝突によりイオンビームの運動エネルギーを低下させ、イオンレンズの中心軸付近へ収束させる。
【0012】
飛行時間型質量分析装置に導入されたイオンを、導入方向と直交方向に加速することにより、加速方向の初期位置広がりが小さくなり、さらに導入方向の初期エネルギーが一定となることで飛行時間型質量分析装置での質量数分解能が向上する。
【0013】
イオントラップ飛行時間型質量分析装置ではなく、イオントラップ部の後段にマルチポール部が設けられていない例であるが、イオン源へのガス噴霧と、イオントラップ部へのダンピングガス供給とを、一つのガス供給源で行う技術が、特許文献2に記載されている。
【0014】
特許文献2記載の技術は、イオン源へのガス噴霧と、イオントラップ部へのダンピングガス供給とを、それぞれ互いに独立して圧力制御を行うことにより、適切なガス噴霧、適切なダンピングガス供給を行っている。
【0015】
【特許文献1】特開2003−123685号公報
【特許文献2】特開平9−189681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、イオントラップ部内のイオンを捕捉する効率は、イオントラップ部内へのガス導入量によって変化する。さらに、イオン選択性能もガス流量によって変化する。
【0017】
一般的には、ガス流量を大きくし、イオントラップ部内の圧力を上げるとイオンを捕捉する効率は上がる。
【0018】
一方、イオントラップ部へのガス流量を減らして、圧力を下げると、イオン選択性能が向上するという関係がある。
【0019】
すなわち、イオン捕捉効率とイオン選択性能は互いにバータの関係にあり、イオントラップ部内に最適な量のガスを導入する必要がある。
【0020】
このため、質量分析の目的に応じて、つまり、イオン捕捉効率とイオン選択性能とのいずれを優先するかに応じて、イオントラップ部へのガスの導入量を調整すれば、目的に応じた最適な質量分析が可能である。
【0021】
しかし、イオントラップ飛行時間型質量分析装置においては、イオントラップ部の後段にマルチポール部があり、イオントラップ部内に導入したガスが後段のマルチポール部に微量に流入する。
【0022】
このため、イオントラップ部へのガス導入量、導入速度によっては、マルチポール部内のガス圧力が変動し、最適ガス圧力を維持することができず、質量分析感度が低下することとなる。
【0023】
本発明の目的は、質量分析の目的に応じて、イオントラップ部へのガス導入量(供給量)及びマルチポール部へのガス導入量(供給量)を適切な値に制御でき、高感度なマススペクトルを得ることが可能なイオントラップ飛行時間型質量分析装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
(1)本発明によるイオントラップ飛行時間型質量分析装置は、大気圧で動作するイオン源と、このイオン源で生成されたイオンを真空室内に導入し、この真空室内に導入されたイオンを収束するイオン光学系と、ヘリウムガスが導入され、真空室内でイオンを捕捉するイオントラップ部と、ヘリウムガスが導入され、上記イオントラップから排出されたイオンの運動エネルギーを収束させるマルチポール部と、このマルチポール部から排出されたイオンを測定する飛行時間型質量分析手段とを有する。
【0025】
本発明によるイオントラップ飛行時間型質量分析装置は、上記イオントラップ部に導入されるヘリウムガスの導入量を制御するイオントラップガス導入量制御部と、上記マルチポール部に導入されるヘリウムガスの導入量を制御するマルチポールガス導入量制御部とを備える。
【0026】
(2)好ましくは、上記(1)において、上記マルチポールガス導入量制御部は、上記イオントラップ部に導入されるヘリウムガスの導入量に応じて、上記マルチポール部に導入されるヘリウムガスの導入量を変化させて制御する。
【0027】
(3)また、好ましくは、上記(1)、(2)において、上記イオントラップ部におけるイオン選択性能と感度の関係でイオン選択性能を重視し、質量分析する第1の動作モードと、イオン選択性能と感度の関係で感度を重視して質量分析する第2の動作モードと、イオン光学系からのイオンを上記イオントラップ部を通過させる第3の動作モードとの、各動作モードに応じて上記イオントラップ部と上記マルチポール部のHeガス導入量を変化させて制御する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、質量分析の目的(動作モード毎)に応じて、イオントラップ部へのガス供給量及びマルチポール部へのガス供給量(ガス圧力)を適切な値に制御でき、高感度なマススペクトルを得ることが可能なイオントラップ飛行時間型質量分析装置を実現することができる。
【0029】
イオントラップ部からマルチポール部に流入するガス流量を、動作モード毎に、つまり、イオントラップ部へのガス流入量に応じて、予め、算出しておく。
【0030】
そして、予測される、上記イオントラップ部からマルチポール部への流入ガス流量に従って、マルチポール部へのガス導入量を制御すれば、動作モードに関係なく、マルチポール部の内部圧力を適正値に維持制御することができ、高感度なマススペクトルを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるイオントラップ飛行時間型質量分析装置の概略構成図である。
【0032】
まず、イオントラップ飛行時間型質量分析装置の基本動作を説明する。
図1において、液体クロマトグラフシステム8により分離された試料は、エレクトロスプレーイオン源9にて脱溶媒・イオン化され、高真空におかれた装置内部(真空室内)に導入される。
【0033】
そして、導入されたイオンは、イオン光学系10で収束され、効率よくイオントラップ部12に導入される。
【0034】
イオントラップ部12では、エンドキャップ電極11、リング電極13により内部に形成された高周波電界で、イオンを閉じ込め、目的のイオンを選択し、開裂を行う。
【0035】
開裂、生成したイオンをマルチポール部14でイオンの運動エネルギーを低下させマルチポール部14の中心軸付近へ収束させる。開裂、生成したイオンを後段の飛行時間型質量分析装置部15にて検出することで、質量分析を行う。
【0036】
イオントラップ部12には、Heガス(ヘリウムガス)ポート6、Heガスレギュレータ7、トラップマスフローコントローラ4を介してヘリウムガスが供給される。
【0037】
また、マルチポール部14には、Heガスポート6、Heガスレギュレータ7、マルチポールマスフローコントローラ5を介してヘリウムガスが供給される。
【0038】
トラップマスフローコントローラ4、マルチポールマスフローコントローラ5は、A/D変換器2、D/A変換器3を介してCPU1からの指令にしたがって、ヘリウムガスの供給量を制御する。
【0039】
本発明の一実施形態では、イオントラップ部12とマルチポール部14のHeガスの導入量をそれぞれ適切に制御することによって、3つの質量分析モードを実行する。以下に3つの質量分析モードについて説明する。
【0040】
まず、イオン選択性能と感度の関係において、イオン選択性能を重視して質量分析するモード(MS/MSモード(第1の動作モード))の制御動作について説明する。
【0041】
図2は、イオントラップ部12におけるイオン選択性能(amu)とHe導入量(ml/min)との関係を示す図、図3はマルチポール部14のHe導入量が3(ml/min)のときのイオントラップ部12に導入するHeガス量(ml/min)と相対強度(%)との関係を示す図である。
【0042】
図2において、イオントラップ部12のHe導入量に関し、イオン選択性能を重視するならばHe導入量は少ない程良い。しかし、イオントラップ部12のHe導入量が少なくなれば、図3に示すように、相対強度が低下するため、感度が下がることがわかる。
【0043】
つまり、イオントラップ部12におけるイオン選択性能と感度との関係はバータの関係にある。
【0044】
そこで、本発明の一実施形態においては、図2、図3に示された結果から、例えば、イオン選択性能が、3amu以下、相対強度が40%以上となるようにイオントラップ部12に、2ml/min程度のHeガスを導入する。
【0045】
以下の説明では、2ml/min程度のHeガスをイオントラップ部12に導入する場合を示す。
【0046】
ここで、イオン選択性能が、3amu以下であることを図4の概念図を用いて説明する。
【0047】
図4において、イオン選択性能が3amu以下とは、例えば目的のイオンをレセルピン609amuとするならば、609amuから±1.5amuの範囲のイオンをイオントラップ部12に捕捉し、それ以外のイオンはエンドキャップ電極11に加える補助高周波電圧の周波数で共鳴させることによりイオントラップ部12から排出されることを表す。
【0048】
図4の概念図では、609amuのイオンと610amuのイオンがイオントラップ部12の中に捕捉され、それ以外の質量数のイオンがイオントラップ部12から排出されることを示している。
【0049】
次に、上述のようにして適切なイオン選択を行った後、後段のマルチポール部14でイオンの運動エネルギーを収束させる。その際に、イオントラップ部12へのHe導入量が、2ml/minのとき、マルチポール部14の圧力を最適化するために、マルチポール部14のHeガス導入量を最適値となるように制御する。
【0050】
ここで、イオントラップ部12のHe導入量を、2ml/minとしたときのマルチポール部14に導入するHeガスと相対強度(%)との関係を図5に示している。
【0051】
本発明の一実施形態では、図5に示す結果から、相対強度が80%以上となるように、マルチポール部14に導入するHeガス導入量は、3〜5ml/min程度となるように制御する。
【0052】
ここで、MS/MSモードにおける、イオントラップ部12とマルチポール部14へのガス導入量の制御方法を説明する。
図1において、CPU1からメモリ16にアクセスし、動作モードであるMS/MSモードで制御するコマンド、Heガス導入量を読み込み、DA変換器3にアクセスする。CPU1はDA変換器3を介してトラップマスフローコントローラ4を制御し、イオントラップ部12にHeガスを導入する。
【0053】
同時に、CPU1は、AD変換器2を介してイオントラップ部12のHeガス流入量を、トラップマスコントローラ4の制御弁等(図示せず)への指令値を読み込むことでモニタする。そして、CPU1は、イオントラップ部12が、先にメモリ16から読み込んだ最適圧力となるように、DA変換器3を介してトラップマスコントローラ4を制御する。
【0054】
次に、イオントラップ部12からマルチポール部14に流入する微量なHeガスの量に応じてマルチポール部14へ導入するガス量を、マルチポールマスフローコントローラ5の制御弁等(図示せず)への指令値を読み込むことでモニタする。
【0055】
そして、CPU1は、マルチポール部14が、先にメモリ16から読み込んだ最適流量となるように、DA変換器3を介してマルチポールマスフローコントローラ5を制御する。
【0056】
ここで、先にメモリ16から読み込んだ最適流量とは、動作モードに応じて、イオントラップ部12からマルチポール部14に流入するHeガスの量の予測値(予め実験等により求めることができる)に基づいて、マルチポール部14内が最適圧力となるためのガス流量である。
【0057】
次に、イオン選択性能と感度との関係において、感度を重視するモード(高感度モード(第2の動作モード))の制御方法について説明する。
【0058】
液体クロマトグラフ−質量分析装置では、測定試料は液体クロマトグラフシステム8で分離されるため、MS/MSする際に必要なイオン選択性能は、一般的に4〜8amuあれば問題ない。
【0059】
そのため、高感度モードでは、イオン選択性能が4〜8amuの範囲になるようにイオントラップ部12にHeガスを導入する。本発明の一実施形態では、イオントラップ部12に7ml/min程度のHeガスを導入した。
【0060】
次に、上述のようにして適切なイオン選択を行った後、後段のマルチポール部14でイオンの運動エネルギーを収束させる。
【0061】
ここで、イオントラップ部12へのHe導入量が7ml/minのときのマルチポール部14に導入するHeガスと相対強度(%)との関係を図6に示す。
【0062】
マルチポール部14には、図6の関係に基づき、3ml/min程度でHeガスを導入する。実用的には、相対強度が80%以上であれば良いため、マルチポール部14へのHeガス導入量は、図6から、2.5〜3.5ml/minの範囲であれば良い。
【0063】
ここで、高感度モードにおける、イオントラップ部12とマルチポール部14のガス制御の方法を説明する。
【0064】
CPU1からメモリ16にアクセスし、高感度モードで制御するコマンド、Heガス導入量を読み込みを、DA変換器3にアクセスする。DA変換器3がトラップマスフローコントローラ4を制御し、イオントラップ部12にHeガスを導入する。
【0065】
同時に、CPU1は、AD変換器2を介してイオントラップ部12のHeガス導入量を、モニタし、イオントラップ部12が、先にメモリ16から読み込んだ最適圧力となるように、DA変換器3を介してトラップマスコントローラ4を制御する。
【0066】
次に、イオントラップ部12からマルチポール部14に流入する微量なHeガスの量に応じて、マルチポール部14へ導入するガス量を、マルチポールマスフローコントローラ5の制御弁等(図示せず)への指令値を読み込むことでモニタする。
【0067】
そして、CPU1は、マルチポール部14が、先にメモリ16から読み込んだ最適流量となるように、DA変換器3を介してマルチポールマスフローコントローラ5を制御する。
【0068】
次に、目的イオンがイオントラップ部12を通過するモード(TOFモード(第3の動作モード))の制御方法について説明する。
【0069】
このTOFモードでは、イオントラップ部12のHe導入量を、MS/MSモード、高感度モードと比べて減少させ、エンドキャップ電極11にDC電圧を印加する。
【0070】
つまり、TOFモードではイオントラップ部12でイオン選択を行わず、イオンを通過させる。なお、本発明の一実施形態では、イオントラップ部12のHe導入量は0ml/minとした。
【0071】
次に、イオントラップ部12を通過したイオンは、後段のマルチポール部14で運動エネルギーを収束させる。
【0072】
ここで、イオントラップ部12のHe導入量が、0ml/minのときのマルチポール部14に導入するHeガスと相対強度(%)との関係を、図7にグラフで示す。
【0073】
図7に示した関係に基づき、マルチポール部14への、Heガス導入量を制御する。実用的には、相対強度が80%以上であれば良いため、図7に示すように、マルチポール部14へのHeガス導入量は、3〜5ml/minの範囲であれば良い。
【0074】
ここで、TOFモードにおける、イオントラップ部12とマルチポール部14のガス導入量の制御方法を説明する。
【0075】
図1において、CPU1からメモリ16にアクセスし、TOFモードで制御するコマンド、Heガス導入量を読み込み、DA変換器3にアクセスする。DA変換器3がトラップマスフローコントローラ4を制御し、イオントラップ部12にHeガスを導入する。
【0076】
同時に、CPU1は、AD変換器2を介してイオントラップ部12のHeガス導入量をモニタし、イオントラップ部12が、先にメモリ16から読み込んだ最適圧力となるように、DA変換器3を介してトラップマスコントローラ4を制御する。
【0077】
次に、イオントラップ部12からマルチポール部14に流入する微量なHeガスの量に応じてマルチポール部14へ導入するガス量を、マルチポールマスフローコントローラ5の制御弁等(図示せず)への指令値を読み込むことでモニタする。
【0078】
そして、CPU1は、マルチポール部14が、先にメモリ16から読み込んだ最適流量となるように、DA変換器3を介してマルチポールマスフローコントローラ5を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態であるイオントラップ飛行時間型質量分析装置の概略構成図である。
【図2】イオントラップ部におけるイオン選択性能とHe導入量との関係を示すグラフである。
【図3】マルチポール部のHe導入量を3ml/minとしたときのイオントラップ部に導入するHeガスと相対強度(%)との関係を示すグラフである。
【図4】目的イオン609amuにおけるイオン選択性能が3amuを示す概念図である。
【図5】MS/MSモードでのイオントラップ部のHe導入量が2ml/minのときのマルチポール部に導入するHeガスと相対強度(%)の関係を示すグラフである。
【図6】高感度モードでのイオントラップ部のHe導入量が7ml/minのときのマルチポール部に導入するHeガスと相対強度(%)との関係を示すグラフである。
【図7】TOFモードでのイオントラップ部のHe導入量が0ml/minのときのマルチポール部に導入するHeガスと相対強度(%)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0080】
1 CPU
2 AD変換器
3 DA変換器
4 トラップマスフローコントローラ
5 マルチポールマスフローコントローラ
6 Heガスポート
7 Heガスレギュレータ
8 液体クロマトグラフシステム
9 エレクトロスプレーイオン源
10 イオン光学系
11 エンドキャップ電極
12 イオントラップ部
13 リング電極
14 マルチポール部
15 飛行時間型質量分析装置部
16 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧で動作するイオン源と、このイオン源で生成されたイオンを真空室内に導入し、この真空室内に導入されたイオンを収束するイオン光学系と、ヘリウムガスが導入され、真空室内でイオンを捕捉するイオントラップ部と、ヘリウムガスが導入され、上記イオントラップから排出されたイオンの運動エネルギーを収束させるマルチポール部と、このマルチポール部から排出されたイオンを測定する飛行時間型質量分析手段とを有するイオントラップ飛行時間型質量分析装置において、
上記イオントラップ部に導入されるヘリウムガスの導入量を制御するイオントラップガス導入量制御部と、
上記マルチポール部に導入されるヘリウムガスの導入量を制御するマルチポールガス導入量制御部と、
を備えることを特徴とするイオントラップ飛行時間型質量分析装置。
【請求項2】
請求項1記載のイオントラップ飛行時間型質量分析装置において、上記マルチポールガス導入量制御部は、上記イオントラップ部に導入されるヘリウムガスの導入量に応じて、上記マルチポール部に導入されるヘリウムガスの導入量を変化させて制御することを特徴とするイオントラップ飛行時間型質量分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のイオントラップ飛行時間型質量分析装置において、上記イオントラップ部におけるイオン選択性能と感度の関係でイオン選択性能を重視し、質量分析する第1の動作モードと、イオン選択性能と感度の関係で感度を重視して質量分析する第2の動作モードと、イオン光学系からのイオンを上記イオントラップ部を通過させる第3の動作モードとの、各動作モードに応じて上記イオントラップ部と上記マルチポール部のHeガス導入量を変化させて制御することを特徴とするイオントラップ飛行時間型質量分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−127907(P2006−127907A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314491(P2004−314491)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】