説明

イオンビーム分析装置

【課題】 高分解能RBS装置等のイオンビーム分析機器一般において、磁場型のエネルギー分析器を使用する場合に、分析管内で散乱した低エネルギーイオンに由来するノイズを低減することが可能なイオンビーム分析装置を提供する。
【解決手段】 高エネルギーイオンビームを照射する加速ユニット10からイオンビームを試料23に照射して、試料23表面の元素分析を行うイオンビーム分析装置100において、イオン検出器34を移動可能に保持する検出器移動部35を設け、静電型偏向器33の電圧を所定の値に設定することにより、ノイズを大幅に低減することができ、精密な分析が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンビームを用いて、深い位置の情報を高エネルギー分解能で得ることができるイオンビーム分析装置に関し、特に、磁場型のエネルギー分析器を用いた高分解能のイオンビーム分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体試料の表面近傍から内部にかけて、元素組成の深さ方向分布を定量的に分析する手段として、イオンビームを前記固体試料表面に照射し、表面から飛散する散乱イオンのエネルギースペクトルを計測することにより前記固体試料の表面領域における元素の深さ方向分布を分析するラザフォード後方散乱分光法(Rutherford Backscattering Spectroscopy:RBS)が知られている。
【0003】
より詳細には、イオンビーム照射による分析装置において、百万電子ボルト程度に加速された軽イオン(水素やヘリウム)を試料に照射したとき、入射イオンと試料内原子核との衝突は、ほとんど弾性散乱とみなすことができる。弾性散乱で跳ね返された入射イオンのエネルギーは試料内原子核の質量の関数となり、散乱イオンのエネルギースペクトルから試料を構成する元素の質量が推定できる。とりわけ後方(θ=180°)に散乱される散乱イオンを利用するときが最も分解能が高く、これがラザフォード後方散乱法の基本原理である。
【0004】
イオンビームを用いた分析法の中で、RBSは、非破壊的に、比較的短時間(10分程度)で、10nm程度の深さ分解能をもった定量性の良い分析ができることから広く利用されている。RBS法では、散乱したイオンのエネルギーを半導体検出器で測定して分析を行う。RBS法の深さ分解能は、主にこの半導体検出器のエネルギー分解能によって決まる。
【0005】
近年、半導体工業を代表とする、工業の諸分野における微細化及びナノテクノロジーの進展に伴って、RBS法の深さ分解能の向上を目指した研究が各地で行われている。その結果、半導体検出器に替えて、エネルギー分解能の高いエネルギー分析器を用いた高分解能RBS装置の開発が進んでいる。
【0006】
本発明者らのグループも、磁場型のエネルギー分析器を用いた高分解能RBS法を開発し、原子層ごとの分析が可能であることを実証し、これを用いた研究を進めてきた(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−21769号公報(公開日:平成9(1997)年1月21日)
【非特許文献1】木村健二、中嶋薫 共著、「高分解能RBS装置の開発」、表面科学、Vol.22、No.7、pp.431-437、2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の非特許文献1に開示の高分解能RBS装置において使用する磁場型のエネルギー分析器では、分析管内で散乱した低エネルギーイオンがエネルギースペクトルにノイズとして影響を与えるため、精密な測定ができないという問題があった。また磁場型のエネルギー分析器を用いる高分解能RBS以外のイオンビームを用いた分析機器においても、同様の問題が生じていた。
【0008】
これまでは、例えば、スリット等の挿入によって分析管内の散乱イオンの影響を避ける努力が行われていたが、その効果は十分とはいえなかった(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
このため、高分解能RBS装置等のイオンビーム分析機器一般において、磁場型のエネルギー分析器を使用する場合に、分析管内で散乱した低エネルギーイオンに由来するノイズを低減して、精密な測定を行える技術の開発が強く求められていた。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高分解能RBS装置等のイオンビーム分析機器一般において、磁場型のエネルギー分析器を使用する場合に、分析管内で散乱した低エネルギーイオンに由来するノイズを低減することが可能なイオンビーム分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、磁場型のエネルギー分析器を用いた高分解能RBS装置において、静電型偏向器(Deflector)のパラメータを所定の範囲とするとともに、検出器として機能するエネルギー分析器を移動させることにより、分析管内で散乱した低エネルギーイオンに由来するノイズを低減して、精密な測定を行うことができることを見出し、本願発明を完成させるに至った。本発明は、かかる新規知見に基づいて完成されたものであり、以下の発明を包含する。
【0012】
(1)高エネルギーイオンビーム照射手段からイオンビームを試料に照射して、当該試料表面の元素分析を行うイオンビーム分析装置において、上記イオンビームを試料に照射した際に生じる散乱イオンのエネルギーを測定するための測定手段として、少なくとも、上記散乱イオンのエネルギーを分散させるための磁場を発生させる磁場分析管と、上記磁場分析管によって分散したエネルギーのうち、試料にイオンビームを照射した際に、上記磁場分析管内で散乱したイオンを除去するための静電型偏向器と、上記静電型偏向器を通過したイオンビーム散乱エネルギーを検出するためのイオン検出器と、を有し、さらに、上記イオン検出器を、上記イオンビーム照射手段と磁場分析管と静電型偏向器とが配置されている平面に対して垂直な方向に、移動可能に保持する検出器移動手段を備えているイオンビーム分析装置。
【0013】
(2)上記静電型偏向器における電圧及び上記イオン検出器の移動距離は、上記磁場分析管内で散乱した低エネルギーのイオンは上記イオン検出器にて検出されないように、かつ、測定対象の散乱イオンは上記イオン検出器にて検出されるように設定されている(1)に記載のイオンビーム分析装置。
【0014】
(3)上記静電型偏向器は、2枚の金属板を備えており、上記金属板は四角形であり、当該金属板の四隅にはガラスまたは樹脂によるコーティングが施されている(1)又は(2)に記載のイオンビーム分析装置。
【0015】
(4)上記静電型偏向器は、2枚の金属板を備えており、上記金属板の外縁部分にガラスまたは樹脂によるコーティングが施されている(1)〜(3)のいずれかに記載のイオンビーム分析装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るイオンビーム分析装置によれば、イオン検出器が移動可能に設置されているため、静電型偏向器のパラメータと上記検出器の位置(移動距離)を所定の範囲にすることにより、磁場分析管内で散乱した低エネルギーイオンに由来するノイズを低減することができる。このため、微量元素の分析等のより精密な測定が可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施形態について図1〜図4に基づいて説明すると以下の通りである。説明の便宜のため、本実施の形態では、特に高分解能RBS装置を例に挙げて説明するが、本発明に係るイオンビーム分析装置は、高エネルギーイオンビーム照射手段からイオンビームを試料に照射して、当該試料表面の元素分析を行うイオンビーム分析装置に関するものであり、磁場型のエネルギー分析器を使用するイオンビーム分析機器一般に適用できるものであり、高分解能RBS装置に限定されるものではないことを念のため付言しておく。
【0018】
また、本明細書において、文言「試料表面の元素分析」とは、試料における表面の元素の分析、深さ方向の元素分布の分析、成分元素の同定や組成分析等のことをいう。
【0019】
図1は、本実施の形態に係るイオンビーム分析装置の模式的な構成を示す図である。同図に示すように、イオンビーム分析装置100は、加速ユニット10、チャンバユニット20、検出ユニット30を備えており、それらが前部から後部に向けて、図1の記載順序に配設される。
【0020】
加速ユニット10は、加速器11、イオン源12、加速管(真空管)13を備えており、イオンビーム照射手段として機能するものである。すなわち、加速ユニット10は、イオンビーム照射手段として機能できるものであればよく、その具体的な構成等は特に限定されるものではなく、例えば、従来公知のRBS装置に用いられる加速ユニットを好適に用いることができる。
【0021】
チャンバユニット20は、超高真空の中に試料23を保持するための試料台24を収設した試料チャンバ21、試料23表面を電子線で調べる電子線照射手段22を備えている。このチャンバユニット20も、試料23を保持するための試料保持手段として機能することができるものであればよく、その具体的な構成等は特に限定されるものではなく、例えば、従来公知のRBS装置に用いられるチャンバユニットを好適に用いることができる。
【0022】
具体的には、例えば、試料チャンバ21として、UHV Chamberを用いることができるし、また電子線照射手段22として、RHEED-gunを用いることができる。
【0023】
検出ユニット30は、イオンビームを試料に照射した際に生じる散乱イオンのエネルギーを測定するための測定手段として機能するものであり、Q−レンズ31、磁場分析管32、静電型偏向器33、イオン検出器34、検出器移動部35を備えている。
【0024】
Q−レンズは、磁場分析管32の磁場を補正するものである。磁場分析管32は、上記散乱イオンをエネルギーに応じて分散させるための磁場を発生させるものである。すなわち、磁場を発生させることにより、イオンビームを照射した際に試料で散乱したイオンのエネルギーを選別するためのものである。
【0025】
静電型偏向器33は、磁場分析管32内で散乱した低エネルギーイオンを除去するためのものである。
【0026】
また、静電型偏向器33は、反跳粒子検出法によって水素を分析する際に用いる静電型偏向器33を好適に用いることができる。この場合、後述するように、パラメータを所定の値に設定することが好ましい。
【0027】
イオン検出器34は、静電型偏向器33を通過したイオンを検出するためのものである。
【0028】
検出器移動部35は、照射ユニット(イオンビーム照射手段)と磁場分析管32と静電型偏向器33とが配置されている平面に対して垂直な方向に、イオン検出器34を移動可能に保持する検出器移動手段として機能するものである。すなわち、検出器移動部35は、照射ユニット(イオンビーム照射手段)と磁場分析管32と静電型偏向器33とが配置されている平面に対して垂直な方向に、イオン検出器34を移動させるための機構を備えている。なお、「照射ユニット(イオンビーム照射手段)と磁場分析管32と静電型偏向器33とが配置されている平面に対して垂直な方向」とは、図1の紙面に対して垂直な方向のことである。
【0029】
このような移動機構としては、モータ、油圧システムの他、直線導入器(リニアモーション)等の従来公知の機械的な移動機構を用いることができ、その具体的な構成等は特に限定されるものではない。具体的には、例えば、直線導入器を検出器移動部35の移動機構として用いた場合は、図2に示すような構成となり、真空の外部から操作して真空中のイオン検出器34を移動させることができる。上記移動機構は手動であってもよいし、測定対象のイオンごとにコンピュータ制御して移動距離を設定する機械制御であってもよい。なお、直線導入器としては、例えば、MDC Vacuum Products Corporation製のBLM−133−1等の市販品を好適に利用することができる。
【0030】
次に、イオンビーム分析装置100の動作について説明する。まず、イオン源12、加速器11でイオンを発生させ、この発生したイオンを加速管13で加速させ、イオンビームを生成する。なお、本実施の形態では、300keV〜500keVのHeイオン(He)を用いている。次いで、この加速されたイオンビームが、試料チャンバ21内に収設されている試料台24上の試料23に照射される。
【0031】
なお、試料チャンバ21内に収設されている試料台24は、角度可変手段(不図示)により保持されてチャンバ上壁部に取付けられている。角度可変手段は、詳細な構造を図示していないが、例えば、試料台24の裏面側中央部に取付け、軸受に軸支された回転軸と、該回転軸を自軸回りに回動させるためのステップモータ等の回転駆動源と、リミットスイッチとを備える。この角度可変手段は、前記回転駆動源により回転軸を回動することによって試料台24を回動させて、その表面すなわち被照射面を、上記イオンビームに対して直交差した垂直面の状態に、または、図1に図示される一方向の斜めに所定角度傾く傾斜面の状態に保持し得るようになっている。この場合、上記の垂直面の状態は、原点として例えば機械的なストッパ機構によって正確に位置決めが成される一方、所定角度傾く傾斜面の状態は、リミットスイッチによって電気的に検出することができ、この検出信号はコントローラに導入されるようになっていてもよい。
【0032】
そして、イオンビームが試料23表面に照射された際、散乱イオンが生じる。生じた散乱イオンは、Q−レンズ31を経由して、磁場分析管32内に導入される。磁場分析管32では、磁場を発生させて、散乱イオンを、エネルギーに応じて分散させる。
【0033】
続いて、静電型偏向器33において、磁場分析管32にて分散された散乱イオンから、磁場分析管32内で散乱した低エネルギーイオンが除去される。その後、イオン検出器34によって散乱イオンが検出される。この際、検出器移動部35が、測定対象の散乱イオンの位置へイオン検出器34を移動させる。最後に、検出データに基づいて、試料における表面の元素の分析、深さ方向の元素分布の分析、成分元素の同定や組成分析等が行われる。
【0034】
ここで、静電型偏向器33及び検出器移動部35のパラメータ設定が重要となる。なかでも、特に静電型偏向器33の電圧値及びイオン検出器34の移動位置の設定が重要である。例えば、静電型偏向器34における電圧及びイオン検出器34の移動距離は、磁場分析管32内で散乱した低エネルギーのイオンはイオン検出器34にて検出されないように、かつ、測定対象の散乱イオンはイオン検出器34にて検出されるように設定されることが好ましい。
【0035】
従来の静電型偏向器は、イオンを試料に照射した際に反跳されて放出された水素イオンを分析する反跳粒子検出法において、試料で散乱されたイオンを除去するために使用されていた。
【0036】
しかし、本発明では、同じ構成の静電型偏向器を、RBS法において、分析器の内壁で散乱した低エネルギーイオンを除去するために使用している。RBS法においては試料で散乱されたイオンは測定すべき対象であり、ノイズとしては分析管内で散乱した低エネルギーイオンの寄与が大きい。このため、反跳粒子検出法において、試料で散乱されたイオンを除去する場合の静電型偏向器のパラメータ設定では、分析管内で散乱した低エネルギーイオンの除去を十分に行うことができない。
【0037】
すなわち、従来の静電型偏向器の使用法(反跳粒子検出法における使用法)では、静電型偏向器を比較的低電圧(例えば、250V)で使用しているが、本発明では、より高い電圧(例えば、2000V)で設定し、かつ、イオン検出器を検出対象の散乱イオンを検出するのに最適の位置に移動させる点が異なっている。
【0038】
このように静電型偏向器33のパラメータ、特に電圧を設定することにより、磁場分析管32内で散乱した低エネルギーイオンに由来するノイズを大幅に低減することができる。具体的には、後述する実施例に示すように、ノイズを1桁以上低減させることができる。このため、従来の高分解能RBS装置に比べて、精密な測定を行うことができる。
【0039】
また、静電型偏向器33は、2枚の金属板を備えている。上述したように、従来の反跳粒子検出法によって水素を分析する際に用いる静電型偏向器の設定電圧に比べて、本実施の形態における設定電圧は大幅に大きくなる。この場合、静電型偏向器33において放電する危険性がある。
【0040】
そこで、この静電型偏向器33における放電を防止するために、上記金属板として四角形状の金属板を用いる場合、当該金属板の四隅にはガラスまたは樹脂によるコーティングを施すことが好ましい。この場合のコーティングは、数ミリの薄膜でよく、具体的には、1〜2mmのコーティングでよい。
【0041】
さらに、例えば、上記金属板の外縁部分をガラスまたは樹脂によりコーティングすることによっても、静電型偏向器33における放電を防止することができる。この場合のコーティングも、数ミリの薄膜でよく、具体的には、1〜2mmのコーティングでよい。
【0042】
上述のようにガラスまたは樹脂のコーティングを施すことにより、静電型偏向器33の電圧を高電圧に設定しても、放電を確実に防止することができる。
【0043】
以上のように、本実施の形態に係るイオンビーム分析装置100によれば、磁場分析管32内で散乱した低エネルギーイオンに由来するノイズを大幅に低減することができる。具体的には、後述する実施例に示すように、ノイズを1桁以上低減させることができる。このため、従来の高分解能RBS装置に比べて、精密な測定を行うことができる。
【0044】
なお、本実施の形態に係るイオンビーム分析装置100は、無機化合物、特に半導体、さらにMOS−FETのゲート絶縁膜(ナノサイズ)の分析に用いることが可能であるが、測定に堪え得る硬度があれば有機化合物であっても測定可能である。
【0045】
以下実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0046】
上述した高分解能RBS装置である、イオンビーム分析装置100を用いて、Xeイオンを注入したシリコンウェハーの分析を行った。具体的には、400keVのHeイオンビームを試料に照射して50°に散乱したイオンのエネルギースペクトルを測定した。その結果を図3、4に示す。黒丸で示す結果が本発明に係る分析装置にて分析した結果であり、白丸で示す結果が従来の分析装置を用いた分析結果である。また、図4は図3の結果の縦軸を対数にて表した図である。
【0047】
図3、4に示すように、イオンビーム分析装置100を用いて、Xeイオンを注入したシリコンウェハーの分析を行ったところ、白丸で示す従来の分析装置ではCHANNEL NUMBERが330〜400にかけての部分にノイズが発生しているのがわかるが、黒丸で示す本発明を用いた装置による分析結果では、ノイズが格段に低下していることがわかる。
【0048】
このことから、本イオンビーム分析装置100は、従来の分析装置に比べて、磁場分析管内で散乱した低エネルギーイオンに由来するノイズを1桁以上低減させることができる。このため、微量元素の分析等のより精密な測定が可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明に係るイオンビーム分析装置は、ノイズを大幅に低減することができるため、微量元素の精密な測定が可能となる。このため、磁場型のエネルギー分析器を用いている分析機器一般に利用することができる。このため、広範な産業上の利用可能性があるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施の形態に係るイオンビーム分析装置の構成を模式的に示す図である。
【図2】本実施の形態に係るイオンビーム分析装置における検出器移動部の構成の一例を模式的に示す図である。
【図3】本実施の形態に係るイオンビーム分析装置を用いて、分析実験を行った結果を示す図である。
【図4】本実施の形態に係るイオンビーム分析装置を用いて、分析実験を行った他の結果を示す図であり、図3の縦軸を対数にて表した図である。
【符号の説明】
【0051】
10 加速ユニット(イオンビーム照射手段)
20 チャンバユニット
30 検出ユニット(測定手段)
32 磁場分析管
33 静電型偏向器
34 イオン検出器
35 検出器移動部(検出器移動手段)
100 イオンビーム分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギーイオンビーム照射手段からイオンビームを試料に照射して、当該試料表面の元素分析を行うイオンビーム分析装置において、
上記イオンビームを試料に照射した際に生じる散乱イオンのエネルギーを測定するための測定手段として、少なくとも、
上記散乱イオンのエネルギーを分散させるための磁場を発生させる磁場分析管と、
上記磁場分析管によって分散したエネルギーのうち、試料にイオンビームを照射した際に、上記磁場分析管内で散乱したイオンを除去するための静電型偏向器と、
上記静電型偏向器を通過した散乱イオンを検出するためのイオン検出器と、を有し、
さらに、上記イオン検出器を、上記イオンビーム照射手段と磁場分析管と静電型偏向器とが配置されている平面に対して垂直な方向に、移動可能に保持する検出器移動手段を備えていることを特徴とするイオンビーム分析装置。
【請求項2】
上記静電型偏向器における電圧及び上記イオン検出器の移動距離は、上記磁場分析管内で散乱した低エネルギーのイオンは上記イオン検出器にて検出されないように、かつ、測定対象の散乱イオンは上記イオン検出器にて検出されるように設定されることを特徴とする請求項1に記載のイオンビーム分析装置。
【請求項3】
上記静電型偏向器は、2枚の金属板を備えており、
上記金属板は四角形であり、当該金属板の四隅にはガラスまたは樹脂によるコーティングが施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のイオンビーム分析装置。
【請求項4】
上記静電型偏向器は、2枚の金属板を備えており、
上記金属板の外縁部分にガラスまたは樹脂によるコーティングが施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオンビーム分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−153751(P2006−153751A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347183(P2004−347183)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】