イオン伝導性セラミックの固体膜を用いたアルカリアルコラートを生成するための電気分解による方法
対応するアルコール中で電気分解を用いて金属アルコレートの溶液を製造する方法について開示する。好ましい実施態様において、メタノール中のナトリウムメトキシドはメタノールおよび水酸化ナトリウム水溶液から製造する。水酸化ナトリウム水溶液は陽極液区画にセットし、およびメタノールは陰極液区画にセットする。並びに電流の影響でナトリウムを選択的に輸送するセラミック膜によって2つの区画は区分されている。好ましい実施態様において、この方法は費用効果が高く、および環境に有害でない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願情報)
本出願は、35 U.S.C.119(e)に基づき2003年12月11日出願の暫定特許出願第60/526,612号に対して優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電気化学セルに基づくイオン伝導性セラミックの固体電解質もしくは膜を用いることにより、アルカリ金属塩溶液及びアルコールからアルカリアルコラートを電気化学的に製造することに関する。好ましい実施態様においては、セラミック膜を用いて電解層中でナトリウムメチレート(すなわちナトリウムメトキシド)を調製することを含む。好ましい実施態様においては、この工程にはセラミック膜を伝導するナトリウムイオンを使用することを含む。
【0003】
(関連技術の記述)
ナトリウムメチレート、同様にナトリウムメトキシドと呼ばれ現在こちらが使われる、を調製するための2つの主要な方法がある。第1に、金属ナトリウムをメタノールと反応させてナトリウムメチレートを生成するナトリウムを基にした製法がある。この方法は原料としてナトリウム金属を使用するが、ナトリウム金属は高価であり及び低級アルコールと激しく反応し、並びに工程を制御することが困難である。ナトリウム金属は水と激しく反応するため、貯蔵、取り扱い及び運搬に精巧で高価な機器及び系を必要とする。
【0004】
第2の製法は、ナトリウムメチレートは、アマルガムをアルコールと反応させることによって水銀電池中クロルアルカリ電気分解から生成するナトリウムアマルガムから製造する。この製法の欠点は、既知の発ガン物質である水銀で製造物と環境を汚染してしまう可能性があることである。この理由から、この方法で製造したナトリウムメチレートの使用は、農業、医薬品、およびバイオディーゼルへの応用はおそらく魅力がないであろう。
【0005】
塩溶液からアルカリアルコラートを製造する際に使用するためのある種の電気分解による方法においては、陽極液および陰極液のチャンバーの間に位置づけられ、それを通じてイオンを輸送するためのイオン伝導膜として使用するために、様々な材料が提案されてきた。そういった材料には、セラミック材料のみ、重合体材料、およびセラミックと重合体材料の組み合わせが含まれる。
【0006】
塩溶液の電気分解における電解質として重合体材料の既知の利点はその高い伝導率並びに電気分解によって生じる酸性および苛酷な環境に対する更なる高い抵抗性にある。しかしながら、重合体の既知の欠点は、イオン種に対する選択制が低いことにある;すなわち、望ましいアルカリ金属イオンとともに、重合体は不要のプロトンとカチオンを輸送し、並びに同様に水を電気浸透圧的に輸送し、その結果電解層の操作が非効率的になる。
【0007】
アルカリアルコラートを合成するための、Horn(特許文献1)によって報告されたβIおよびβIIといったアルミナ膜の使用は、水性の電気化学上の応用においてもっとも実用的な温度範囲である100℃以下ではナトリウムイオンの伝導が低いことを示していた。Hornの特許出願書類中には、セルの電気化学的な能力は、伝導する膜の構造の劣化が原因で衰えるもしくは低下し、このことが100℃以下の温度においてβIおよびβII−アルミナ電解液のイオン伝導率を限定する。Hornの出願書類によりセル電圧の著しい向上が報告されており、ここでセルの能力は6時間運転した後に衰える。一つの試験においてはこの間に電流密度が40.8A/m2から7.5A/m2に減少した。セルに対して0.75A/m2といった低い電流密度では商業的な運転をするのために非常に多くのセルを必要とするため、βIおよびβII−アルミナ膜に基づく技術を商品化するのは採算が合わない。βIおよびβII−アルミナ材料の製法が複雑であることおよび製造費用が高いこと、水溶性の塩の前駆体の安定性の問題が手伝って、これを対象とするβIおよびβII−アルミナの用途の実用性を低くしている。Hornは固体電解質上に蒸着法によってイオン浸透膜を蒸着させる応用について報告しているが、これは固体電解質が水性の陽極液と反応するのを制限する。Hornの出願書類中の報告は、メタノールが陽極溶液に逆移動することに触れているが、このことは汚染を生じ並びに最終的な処分に悪影響を及ぼす。Hornの出願書類には、彼のセルが25質量%の濃度もしくはそれ以上のナトリウムメチレートを製造できたことを示すデータは報告されていない。
【特許文献1】米国特許出願第2003/0106805号公報
【発明の開示】
【0008】
既知の方法を考えると、ナトリウムメチレートおよびその他のアルキルアルコラートを製造するための、簡便で、環境に無害で、および費用効果の高い、好ましくは環境的な責任のある方法が必要である。
【0009】
好ましい実施態様に従って、アルカリアルコラート、好ましくはナトリウムメチレートの製造方法を提供する。この方法は、アルコール、好ましくはメタノール、を電解セルの陰極区画に供給すること、アルカリ金属塩溶液、好ましくは水酸化ナトリウムを陽極液区画に供給すること、並びにセルの電極間に電位を加えることである。セルの陽極液区画および陰極液区画はセラミックの膜で区分されており、電流を加えると陽極液区画から陰極液区画へアルカリ金属カチオン、好ましくはナトリウムカチオンを選択的に輸送する。好ましい実施態様において、膜は実質的に水を通さず、高い電流密度で作動させ、および/もしくは低電圧で作動させる。金属カチオンは、膜の移動に引き続いて、セルの陰極液区画内でアルコラートと反応して金属アルコラート溶液を形成するが、メタノール中でナトリウムメトキシドを形成するのが好ましい。
【0010】
一実施態様のとおりに、ナトリウムメチレート溶液を生成する方法が提供されている。方法には、メタノールを含む陰極溶液を電解セルの陰極区画に供給すること、水溶液中の一つもしくはそれ以上のナトリウム塩を含む陽極液をセルの陽極液区画に供給することが含まれ、それによってナトリウムイオン膜を越えて移動し、それからセルの陰極区画中でメトキシド溶液と反応しナトリウムメトキシドを形成する。好ましい実施態様においては、陽極液区画および陰極液区画はセラミック膜で区分されており、電位をセルに加えると陽極液区画から陰極液区画へナトリウムカチオンが選択的に移動する。膜は実質的に水を通さず、および/もしくは水と接触した場合に性能の低下を受けないことが好ましい。
【0011】
一つの実施態様の通り、ナトリウムメチレート溶液を生成する電解セルを供給する。セルは陰極およびメタノールもしくはナトリウムメチレートを希釈した溶液を含む溶液を含む陰極液区画を備え、陽極液区画は陽極および一つもしくはそれ以上のナトリウムに基づく塩を含む溶液を含み、並びにカチオン選択性セラミック膜は陽極液区画と陰極液区画を区分し、セルに電位を加えるとナトリウムカチオンが陽極液区画から陰極液区画に流れることを選択的に可能にしている。特定の好ましい実施態様には一つもしくはそれ以上の次に挙げる特徴を有している:膜は実質的に水を通さない;膜は一定の電流密度を少なくとも6時間の運転の間維持するが、運転の全継続時間であることが好ましい;および/もしくはセルは少なくとも約100mA/cm2の電流密度で運転する。
【0012】
ここで開示した発明の全範囲に関して、当業者にとっては直ちに明らかであるであろうが、前記特定の実施態様は他のアルカリ金属カチオンおよびアルコールに適合するかもしれない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(好ましい実施態様の詳細な記述)
以下の記述は本発明の好ましい実施態様の詳細を明らかにしている。当業者は、ここに記述してある実施態様には本発明の範囲に含まれる変化および変更があることを認識するであろう。したがって、好ましい実施態様の記述は本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0014】
水溶性アルカリ金属塩溶液の電気分解による非水溶性アルカリアルコレートを製造するための方法についてここに開示する。好ましい実施態様において、この方法にはセラミックの膜を伝導するナトリウムイオンの使用が含まれている。好ましい実施態様において、この方法はメタノール中のメタノールおよび水酸化ナトリウム溶液からまたはメタノールおよび水酸化ナトリウム溶液中のナトリウムメチレートの希釈溶液からメタノール中のナトリウムメチレートを製造するための電気分解である。ここに記載してある方法は、同様にアルコールおよび水溶性のアルカリ金属塩溶液から、対応するアルコール中のその他のアルカリアルコレートを製造するために使用してもよい。ここでアシル基は低級アルキルが好ましい。
【0015】
図1を参照すると、ここで記載されている方法の中で使用することができる電解セル2の略図を提供している。好ましい実施態様において、セルはナトリウムメチレートを製造するために使用されている。セル2には容器もしくはシェル3、これらは耐苛性であることが好ましい、陰極液槽6,陽極液槽4、陽極5、陰極7、およびイオン伝導電解液もしくは膜8、これらは足場もしくはホルダー9に位置づけてもよい、が含まれる。容器3、およびセル2の他の部分は、金属、ガラス、プラスチック、複合材料、セラミック、他の材料、もしくは前記の組み合わせを含むいくつかの適当な材料で製作してもよい。セル2を形成する材料は、方法の一環として曝される化学物質および状況によって反応しないもしくは実質的に劣化しないことが好ましい。
【0016】
セル2は、さらに化学物質を4に導入するための陽極液注入孔10、陽極液、陽極液槽4から陽極液を除去するための排水孔16、陰極液槽6に化学物質を注入するための陰極液注入孔12、および陰極液槽6から陰極液を除去するための排水孔14を備える。運転中にガスが発生するかもしれないので、陽極液槽4および/もしくは陰極液槽6からガスを発散させ、処理および/もしくは収集するために通気口装置(18,20)を備えている。この手段は、容器3の上の部分の開口部、微細孔、もしくは穴、および/もしくは収集チューブ、ホース、または陽極液および/もしくは陰極液槽内の流体水面上の空隙もしくは隙間と流体がコミュニケートする溝といった単純な通気系でよい。発生した気体は、収集し、セルの外に排気し、気体洗浄装置もしくは他の処理装置を通して送り、もしくは他の適当な方法によって処理する。
【0017】
電極の材料には良伝導体が好ましく、並びにそれらが曝される媒体中で安定であるべきである。いくつかの適当な材料が使用されるかもしれない、および材料は固体もしくはメッキされているかもしれない、又は穴が開いているもしくは広がっているかもしれない。一つの適した電極材料は、チタンでコートした酸化ルテニウム(RuO2/Ti)を含む寸法安定陽極(DSA)である。優れた陽極は同様に例えばチタンでコートした白金のような基材上をコートした固体として、ニッケル、コバルト、ニッケルタングステン酸塩、ニッケルチタン酸塩、白金および他の陽極の貴金属のから形成することができる。ステンレス鋼、鉛、グラファイト、タングステンカーバイドおよび2ホウ化チタンも同様に陽極材料として有用である。優れた陰極は、ニッケル、コバルト、白金、銀およびそれに類するもの並びに少量(好ましくは約3%までのみ)のニッケルと炭化チタン、FeAl3、NiAl3、ステンレス鋼、ペロブスカイトセラミック、およびそれに類するものから形成することができる。グラファイトは同様に優れた陰極材料である。好ましい実施態様において、電極は電気的な効果と電極の低コストをバランスさせることにより、費用効果が最大となるように選択する。
【0018】
一つの実施態様において、セルは連続モードで運転してもよい。連続モードにおいて、セルははじめに陽極液および陰極液で満たされ、それから、運転の間、付加的な溶液を注入孔10,12を通してセルに供給する。並びに生成物、副生成物、および/もしくは希釈溶液がセルの運転を止めることなく排出孔14,16および/もしくは排気装置18,20を通してセルから取り除く。反応剤の陽極溶液および陰極溶液への供給は連続的にしてもよい。もしくは断続的にしてもよい。このことは、特定の溶液の流れは、一つもしくは両方の区画を空にすることなしに、溶液の必要性および/もしくはセル内で望ましい溶液の濃度を維持することに従って開始するもしくは停止することを意味している。同様に、陽極区画および陰極区画からの溶液の除去は、同様に連続的もしくは断続的でもよい。セルからの溶液の付加および/もしくは除去の制御は、適当な方法で行ってもよい。そういった方法には例えば一人もしくはそれ以上の人のオペレーターによる手動運転、並びに例えばセンサー、電気バルブ、実験室ロボットなどによる自動運転を含む。自動的な運転では、バルブもしくは停止栓はタイマー、センサーの出力、もしくは他の方法に基づくコンピューターもしくは電気的な制御装置から受けた信号によって開くもしくは閉じてもよい。自動システムの例は技術的によく知られている。同様に手動および自動運転のいくつかの組み合わせを使用してもよい。2者択一的に、定常状態を保つために時間あたりに加えるもしくは除くそれぞれの溶液の量は、特定のセルについて実験的に決定し、並びに系へのおよびからの溶液の流れは、流量状態の定常状態を達成するために定めてもよい。
【0019】
もう一つの実施態様において、系はバッチモードで運転する。バッチモードにおいて、陽極液および陰極液をセルに供給し、並びにセルは陰極液で生成物が望ましい濃度まで生成するまで運転する。それからセルを空にして、生成物を収集し、並びに工程を再び始めるためにセルを再び満たす。あるいは、連続モードおよびバッチモードの組み合わせによる製造方法を使用してもよい。同様に、どちらのモードにおいても、溶液の供給は前もって準備した溶液もしくは内部の溶液を形成している構成成分を用いて行ってもよい。
【0020】
流量は再利用した陽極液および陰極液並びに流入するもしくは流出する溶液について言及している。ここで、連続モードおよびバッチモードの両方が溶液の動的な流れを有していることに留意すべきである。連続モードにおいては、陽極液を成している溶液が加えられ、それでナトリウムの濃度が一定の濃度に維持される。バッチモードにおいては、一定量のナトリウム塩が使用され膜を通して移動したために陽極液から失われたナトリウムは補給されない。運転は、陽極液でのナトリウムの濃度がある一定の量まで減少したとき、もしくは陰極液においてナトリウムメチレートが適切な濃度に達したときに停止する。
【0021】
電解反応のみがセル内で起こり並びに電池反応が除かれる、もしくは少なくともできる限り少なくすることが好ましい。好ましいイオン伝導まくには、電池反応を除くもしくは最小化する並びに電解反応のみを促進し並びに以下の特徴を1つもしくはそれ以上備えることが含まれる:(1)最小限の、好ましくは無視できるほどの電気伝導性である高いイオン伝導性;(2)好ましいイオン種に対する高い選択性;(3)陰極液からの陽極液の物理的な分離(濃いセラミック電解液)。
【0022】
膜8は、他のカチオン種が存在している場合でさえ、陽極液から陰極液側に特定の望ましいカチオン種を移動させる。膜は、同様にはっきりともしくは基本的に水および/もしくは他の望ましくない金属カチオンを浸透させない。好ましい実施態様において、膜は電流密度を約0.5から約1amp/in2、ここには約0.6,0.7、0.8,および0.9を含む、有していることが好ましい。
【0023】
好ましい実施態様に従って、セラマテック社(Ceramatec, Inc)のセラミックNaSICON(ナトリウムスーパーイオン伝導体)膜組成物は、静電的なおよび電気化学的な条件下で、低温でのアルカリ金属イオン、アルカリ金属イオンに対する高い選択性、優れた電流効率、および腐食性のアルカリ媒体に対する高いイオン伝導性についての広範な特徴を持っている。そういった膜は、膜を水溶性もしくは非水溶性の電気化学への利用に適したものにする、以下の望ましい性質を1つもしくはそれ以上、もしくはすべて備えている。1つ目の性質は、密度が濃く、膜は水の移動を受け付けず、並びに拡大縮小または2価イオン、3価イオン、もしくは溶液中に存在する固体溶解物の沈殿に影響を受けないことである。2つ目の性質は、膜が腐食性成分の存在によって質を低下させない、並びに膜を広いpHの範囲(2から14)で操作出来ることである。別の膜の有利な特長は、他のイオンの存在下でナトリウムイオンを95%以上の輸送効率で、選択的に輸送することにある。さらに別の特徴は、膜が沈殿剤による付着物、および/もしくは有機もしくは重合体の膜によく見られる水の電気−浸透圧的な輸送に対する抵抗性という更なる利点をもたらすことである。適当な膜は、この中の他の場所に記載してある別の特徴を、さらにもしくはそのかわりに持っていてもよい。
【0024】
ある種のセラミック材料の利点は、ある条件下でのその優れたイオン伝導性能にある。例えばM1M2A(BO4)3といった化学式を持ち、ここでM1およびM2はLi、Na、およびKから自由に選択され、A、Bは金属およびNaSICONの類似体である主族元素を含む、好ましい化学量論的および非化学量論的なNaSICONタイプ(ナトリウムスーパーイオン伝導体)材料は、ベータアルミナおよび他のナトリウムイオン伝導体を超える利点を有する。ベータアルミナは水和すると水溶液中で不安定になるが、多価酸化NaSICON膜組成物は比較的水に安定である。さらにNaSICON材料は、温度が200℃より低い、100度より低いおよび室温である場合、ベータアルミナよりも優れたナトリウムイオン伝導体である。
【0025】
ここに記載した好ましい膜および方法は、Hornによる米国特許出願第2003/0106805号に記載してあるセルよりも優れたセルを提供する。Hornのセルは低電流密度、すなわちここに開示したセルのある種の好ましい実施態様によるセルに対して0.75mA/cm2対100mA/cm2超、本願で開示した特定の好ましい実施態様に関しては200mA/cm2超を含む、商業運転のために非常に多くの数のセルを必要として、βIおよびβIIアルミナに基づくHornの応用例の技術を商品化することを採算が合わないものにするであろう。さらに6時間運転した後には電流密度が40.8mA/cm2から7.5mA/cm2に低下するHornのセルと異なり、以下の好ましい実施態様によるセルは、少なくとも6時間の運転しても一定(変化は10%もしくはそれ未満)の電流密度を維持することができる。
【0026】
好ましいセラミック膜は、少なくとも陽極溶液および陰極溶液の両方の溶媒構成成分に対して実質的に浸透性でない。これらのセラミック電解液膜の利点の1つは低いもしくは無視できるに等しい電気伝導性である。このことは、印加電圧もしくは電流がセルが備える膜から取り除く場合に生じる電池反応を実質的に取り除く。NaSICON膜は一般的に特定のイオンに対して非常に選択的でおよびそれゆえ好ましい種への高い輸率を有し、このことは水分子の電気―浸透圧的な輸送がほとんど0であることから能率の損失が非常に低いことを示している。
【0027】
以上に言及したように、好ましい実施態様においては、膜を伝導するカチオンはナトリウムイオン(Na+)である。好ましいナトリウムイオン伝導セラミック膜には一連のNaSICON膜組成物(セラマテック社、コード番号:NAS-D,NAS-E,NAS-G,NAS-H,NAS-Fなど)および米国特許第5,580,430号のタイプの膜が含まれ、セラマテック社(ソルトレークシティー、UT)からの膜の全部に関してここに引用して援用する。LiおよびKといったイオンを輸送して他のアルカリアルコラートを製造するNaSICONの類似体を、セラマテック社で同様に開発している。これらのイオン伝導NaSICON膜は、アルカリ(例えばナトリウム)塩溶液の電気分解によって、アルカリアルコラートを同時に製造する電気分解系において特に有用である。好ましい方法では、固体ナトリウムイオン交換に基づくセラミック膜は、セルの2つの区画によって分離されている。ナトリウムイオンは、電気的なポテンシャルの影響下で陽極液槽から陰極液槽に膜を越えて移動しナトリウムアルコレートを生成する。好ましいイオン選択的な膜は、そこを通じて水を輸送させない。このことは水と反応しやすいアルカリアルコラートを製造するのに有用である。さらに、これらの膜は低電気伝導性、優れた耐食性、および特定のアルカリイオンの高い流れ、高いイオン伝導性を提供する。
【0028】
ここで開示したセラミック材料は、多くのNaSICON型材料の化学式を包含もしくは収録しているけれども、この開示は簡便にするためのNaSICON型材料の試験に焦点を合わせている。しかしながら、材料の1つの実施例としてNaSICON型材料に焦点を合わせた議論は、この発明の範囲を限定することを意図していない。例えば、ここで高い伝導性および高い選択性を有しているとして開示した材料には、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、カリウム(K)といった、アルカリアルコレートを製造するためのイオンであるアルカリカチオンを輸送もしくは伝導することができる金属超イオン伝導性材料が含まれる。
【0029】
NaSICON型の膜は、例えば技術的に既知のセラミックプロセシング法によって形成してもよい。そういった膜は多孔質のセラミック基板に支持された非常に薄い板の形、もしくは厚い板(プレート)もしくは管でもよい。NaSICONの平板の円盤を用いたセルは、図2に明らかにしてある。ここで、濃縮されたナトリウムメチレートは陰極液槽で形成される。
【0030】
ここで開示したセラミック材料はアルカリ金属塩溶液の電気分解に使用するのに特に適している。それは、セラミック材料がアルカリ金属カチオンに対して低温で高いイオン伝導性を有し、アルカリ金属カチオンに対して高い選択性、優れた電流効率並びに静電的なもしくは電気化学的な条件で水および腐食性媒体に対して安定であるからである。比較的に、ベータアルミナは300℃を超える温度で高いイオン伝導性を持っているが100℃より低い温度では低イオン伝導性であるセラミック材料であり、そのことにより100℃未満での実用性を低くしている。NaSICON型の材料といった好ましいセラミック材料は、100℃未満においてベータアルミナと比較してイオン伝導性がより高いいくつかの状態を持っており、並びに水中で比較的安定性がよい。
【0031】
膜を伝導する好ましいセラミックに基づくアルカリ金属カチオンには、1つもしくはそれより多い以下の特徴および使用上の特性が含み;100℃未満での高いアルカリイオン伝導性;特定のアルカリカチオン(例えばNa+)に対する高い選択性;90%より高いナトリウム輸送効率;有機もしくは無機ナトリウム塩および化学物質における安定性;一般的に水の輸送について不透性で、電気的に絶縁されている理論的に95%以上の密度;および酸、アルカリ、苛性および/もしくは腐食性に対する抵抗性を含む。
【0032】
NaSICON構造中でのNa-イオンの伝導性は、温度によりアレニウス依存性で、一般的に温度の関数として増加する。NAS-G組成物のナトリウムイオン伝導性は、室温から85℃で3×10−2S/cmから8×10−2S/cmの範囲内にある。
【0033】
NaSICON型材料は、とりわけここに記述した型は、低いもしくは無視できるほどの電気的伝導性を有し、並びにそういったことは加えられた電位もしくは電流を取り除いた時に電池反応の発生を実質的に取り除くために役に立つ。好ましいNaSICON類似物は、非常に流動性のあるカチオンを有し、これには特に限定されないがリチウム、ナトリウム、およびカリウムイオンを含み、このことは高いイオン伝導性、低い電気伝導性および比較的高い耐食性をもたらす。
【0034】
ここで電解セルへの使用について言及したカチオン伝導性セラミック材料は、特に限定されないが炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、および有機ナトリウム塩といった溶液を含む水性のナトリウム塩溶液の電気分解によるアルカリアルコレートの形成に首尾よく使用することができる。ここで評価したセラミック膜組成物は、同様にナトリウムに基づく酸、アルカリ、および苛性溶液への使用に利用できる。
【0035】
理想的な固体電解質は、電気的絶縁体および優れたイオン伝導体である。NaM2(BO4)3は、広く研究されてきたナトリウム伝導化合物および結晶質溶液の、最もよく知られている大きなファミリーの一員である。構造は六方晶系の配置であり、並びに付加的な占有もしくは空隙の数と同様に、原子上のパラメーターにおける幅広い変化を通じて安定である。NaM2(BO4)3において、すべてのナトリウム原子はナトリウムイオンに対して利用可能な等価でない位置の1つにあり、並びにそれゆえナトリウムイオンは悪い伝導性を示す(90℃で8.71×10-7 S/cm)。化学文献(J. B. Goodenough, H. Y. Hong, and J. A. Kafalas, Materials Res. Bull)に報告された100℃未満でのNaSICON型組成物の低イオン伝導性は、第2相から自由な、不純物として沈殿する純粋な1相組成物が調製できないという事実による。研究者は、NaSICON型組成物のイオン伝導性は300℃においてはβII−アルミナのイオン伝導性と明らかに等価であることを示してきた (H. Y. Hong, Materials Res. Bull. 11 (1976), 173;. 11 (1976) 203; J. P. Boilet, P. H.Colomban, Solid State Ionics 28-30 (1988) 403-410. )。文献に報告されている300℃未満でのNaSICON化合物の低い伝導性は、第2相として生じる低い伝導相の存在による。セラマテック社の相純粋組成物は、室温から90℃までに10-2 S/cmに匹敵する10-2 S/cmの範囲の伝導性を有している。
【0036】
好ましいセラミック膜には、化学式がM1M2(BO4)3であ≦りおよび化学式がM1M2A(BO4)3であることを備えるセラミックNaSICON型膜が含まれる。また同様にM1およびM2が独立して選択され、NaSICONのアルカリ類似体を形成する化学量論的な置換をした組成物が含まれる。前記化学式中のM1、M2、A、Bにおける異なった構造上のサイトは、2+、3+、4+、5+価の要素で満たしてもよい。他の適当なアルカリイオン伝導体セラミック材料は次の化学式を有している:M1+XA2-XNyBXC3-XO12(0≦X≦2)、ここでM1、M2=Li、Na、Kおよび非化学量論的組成物、上記化学式のM1、M2、A、N、B、およびCの構造的に異なったサイトでの置換は2+、3+、4+、5+価の要素による。
【0037】
Na3Zr2Si2POI2およびNa5RESi40l2型NaSICON組成物(ここでREはイットリウムもしくは希土類元素)の工程は以下の通りに進行する。広範囲に計画されたアプローチにより、第2世代の膜が固体状態の混合法によって体系的に合成する。出発前駆体の混合物は、ポリエチレンのジャーの中でメタノール中で混合した。混合した前九対酸化物は、溶媒に展開するため60℃で乾燥した。乾燥したパウダーもしくは材料は800℃で焼結し、必要な組成物を形成した。焼結した材料は湿ったボールであり、ジルコニウム酸化物媒体(もしくは他の金属媒体)で粉として、必要な粒径分布を実現した。直径が0.6から2.5インチの大きさである緑色の膜を金型およびパンチアセンブリ内で圧密することによって押圧し、それから空気中室温で1100℃から1200℃で焼固し密度の高いセラミック酸化物を作製した。NaSICON組成物のXRD分析を行い結晶構造および相の純度を決定した。NAS F組成物を通じたNAS-DはNa3Zr2Si2POI2型の化学式である化学量論的および非化学量論的組成物である。非化学量論的とは、化学式上のジルコニウム、シリカ、および/もしくはリンの非等価な置換を意味する。NAS-Dはチタンを有し、NAS-Eはスズを有し、並びにNAS-Gはジルコニウムのサイトに部分的に置換したハフニウムを有している。NAS-FおよびNAS-Hの組成物中には、ジルコニウム、シリカおよびリンのサイトでのチタン、スズおよびゲルマニウムの部分的な置換を有する。NaSICONの組成物および工程に関するの実施例には以下が含まれる:S. Balagopal, T. Landro, S. Zecevic, D.Sutija, S. Elangovan, and A. Khandkar,「NaSICONによる汚水流からの選択的なナトリウムの除去」, Separation and Purification Technology 15 (1999) 231- 237; Davor Sutija,Shekar Balagopal, ThomLandro, John Gordon,「セラミッククレンザー、ナトリウムイオン超伝導体セラミックの環境への応用」, The Electrochemical Soc. Interface. 5 (4) (1996) 26; R. D. Shannon, B. E. Taylor, T. E. Gier, H. Y.Chen, T. Berzins, 「Na5YSi4O12型ケイ酸塩のイオン伝導性」, Inorg. Chem. 17 (4) (1978) 958. ; S. H. Balagopal, J. H. Gordon, A. V.Virkar, A. V. Joshi, 米国特許第 5580430号, 1996; および J. B. Goodenough, H. Y. P. Hong, J. A. Kafalas, 骨格構造における急速なNa+イオンの輸送」, Mater. Res. Bull. 11 (1976) 203.
【0038】
セラマテック社は、文献に報告されていることとは逆に、開発段階の純度の高いおよび伝導性が高いNaSICON組成物を有している。膜の伝導性は室温から90℃で10-2 S/cmから10-1 S/cmの範囲にあり、これは文献に報告されているNaSICON組成物の伝導性より数オーダー高い。
【0039】
ここに記載した好ましい膜材料の腐食性媒体に対する安定性もしくは抵抗性は、成分の変化によって高められるかもしれない。化学上の変化に基づく相純粋組成物を合成する能力、構造の様々なサイトにおける置換パターン、および工程の方法は、高いナトリウムイオン伝導性である組成物を生じた。NaSICON組成物のNAS-G、NAS-D、NAS-E、NAS-F、およびNAS-Hシリーズは、イオン伝導性、耐食性、輸送効率、および機械的性質においての利点を提供する。熱力学的分析は、結晶化学的なアプローチによるイオン置換を通して改質したNaSICON組成物の構造は、腐食性環境下(例えば、酸もしくは苛性もしくは有機溶媒)において優れた化学的安定性を提供することを示している。これらの膜は、ナトリウムに基づく有機もしくは無機化学物質を生成するためのナトリウム塩の電気分解的な分解のために特に適している。しかしながら、ここで記載されている1つもしくはそれ以上の好ましい性質を有する他のNaSICON型化学式は、同じくらい適している。
【0040】
膜は平板の形状、管状の形状、もしくは支持的な形状を有してもよい。固体膜は2つのポケットの間に挟まれていることが好ましく、化学耐性のHDPEプラスチックで製造され、並びに好ましくはEPDM O-リングといった適切なガスケットもしくはO-リングを用いて圧縮付加によって封をされていることが好ましい。
【0041】
ここで使用しているような「はっきりと水を通さない」という言い回しは、少量の水は膜を通過するかもしれないが、通過した量はナトリウムメチレート溶液生成物の有用性を減じるほどの量ではないことを意味する。「はっきりと」および「基本的に」という語は、本明細書内の他の箇所においても強調する語として同様に使用する。
【0042】
ここで言及したNaSICON型材料もしくは修飾されたNaSICON材料は、例えば電解セル中のナトリウムイオン伝導膜として有用である。ナトリウムメチレートを生成するために、例として、水酸化ナトリウム水溶液は、陽極液相内に加える。水酸化ナトリウムもしくは純粋なメタノールの希釈溶液は陰極溶液槽に加える。まず伝導性の電解液は、セルの動作電圧を実用上できるだけ低く保つことが望ましい。
【0043】
ナトリウムイオンの源として水酸化ナトリウムを使用した電解液反応全体の実施例は以下の通りである:
陰極: 2OH- →1/2O2+H2O+2e-
陽極: 2CH3OH+2e-+2Na+→2NaCH3O+H2
全体: 2CH3OH+2NaOH→2NaOCH3+H2+1/2O2+N2O
【0044】
これらの反応(図2)は誘電電流下で生じる電気分解の反応であり、電子は反応を引き起こすために導入もしくは除去する。反応はただ電流がセルを貫流する限り進行する。電気分解の反応とは反対に、電池反応は過電圧をセルから除去したときに起きるかもしれないが、これは電解セルの効率を効率を減少させる。電解反応のみがセル内で起こり、電池反応は除去する、もしくは少なくとも非常に最小化することが好ましい。
【0045】
工程中でナトリウムカチオンもしくは他のアルカリ金属カチオンの源である陽極溶液は、塩化ナトリウムのような中性の塩でよい。もしくは、水酸化ナトリウムのような苛性の溶液でもよい。工業的工程における溶液もしくは副生成物は、ナトリウム塩として使用してもよい。好ましい実施態様においては、水酸化ナトリウム水溶液を使用する。水酸化ナトリウムは、安価であり並びにこれを使用すると陽極で水と酸素を生成するので好ましい溶液である。従って、以下の議論は水酸化ナトリウムの使用に基づいているけれども、陽極での反応ガスの生成は陽極液で使用する塩の化学的性質によって変化するであろうという了解の下、他のナトリウムに基づく化学物質を適応させることができる。
【0046】
水酸化ナトリウム(苛性)は、注入口10を通じて陽極区画4に供給する。水酸化ナトリウム水溶液は、どのような等級もしくは純度でもよい。NaSICON膜は有機的な膜と異なりナトリウムイオンの輸送に選択的であるので、水酸化ナトリウム水溶液の純度は重要ではない。同様に、メタノールを注入口12からセル2の陰極区画6に供給する。メタノールは水分を含まないことが好ましい。それは水分かあると質の悪いナトリウムメチレートの形成につながるからである。一実施態様では、陰極画分および/もしくは陽極画分は窒素ガスおよびアルゴンガスといった1つもしくはそれ以上の不活性もしくは不燃性のガスによってパージする。
【0047】
ナトリウムメチレートを製造するために、セルは約20℃から約80℃の温度で操業することが好ましく、この温度には約25℃、30℃、40℃、50℃、60℃および70℃を含み、並びに温度の範囲はこれらの列挙した温度によって制約される。温度は、ナトリウムメチレートの沈殿が生成物溶液中に発生するであろう陰極液のアルコールナトリウムとして使用する溶液の騰点未満で維持することが好ましい。セルは、2つの区画の圧力が実質的に等しいと同時に、大気圧下で運転することが好ましい。
【0048】
電流の影響下で、ナトリウムイオンは膜を越えて陽極液側から陰極液側に輸送される。そこでヒドロキシルイオンが陽極で酸化されて酸素を発生する間に、ナトリウムイオンはメトキシドと反応しナトリウムメトキシドを生成する。好ましい実施態様においては、陽極区画4内のナトリウムカチオンの濃度は、付加的に水酸化ナトリウム10を陽極液区画に供給することおよび陽極液区画から薄くするもしくは薄くされた苛性溶液16を陽極液区画から取り除くことによって、望ましい範囲に維持する。
【0049】
反応が進行するにつれて、陰極液区画6内のナトリウムメトキシドの濃度は増加し始める。1度望ましい濃度に達すると、陰極液区画から排出口14を通して取り除き、その容積を注入口12を通してメタノールによって置換することが好ましい。陰極液の排出口の流れ14中のナトリウムメトキシドの濃度は、特に限定されないが、比重、ナトリウムの濃度、およびその他の技術的に既知である方法を含む何らかの適当な方法によって監視してもよい。
【0050】
電気化学セルの好ましい実施態様において、陰極溶液は1つもしくはそれより多いアルカリアルコレートを含み、並びに陽極溶液は1つもしくはそれ以上の無機的および/もしくは有機塩を含む。陽極液中の好ましいナトリウム塩は水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、およびその他のナトリウムに基づくナトリウム塩、および2つもしくはそれより多いそういった塩の組み合わせを含む。異なったアニオン、異なったカチオンもしくはその両方を有する塩の組み合わせと同様、カリウム、リチウム、といったアルカリ金属元素、およびこれらと同じアニオン、およびその他の適当なアニオンを同様に検討したが、ここにはナトリウムが電解液によって伝導する金属カチオンではない場合も含む。
【0051】
以上に議論したように、電気化学セルはバッチ法もしくは連続的に運転してもよい。図2の実施態様に関連した連続的運転には、メタノールもしくはメタノール中の低濃度のナトリウムメトキシドの陰極溶液への連続的な導入および陰極溶液からのナトリウムメトキシド溶液の望ましい濃度での除去が含まれる。苛性溶液の濃度は同時に起こる膜を通したナトリウムイオンの輸送と実質的に釣り合いがとれていることが望ましいので、この除去はNaOH(および/もしくは別のナトリウム塩)の陽極液への付加と対になっている。
【0052】
バッチ法による運転には、陽極液として塩溶液、希釈したナトリウムメトキシド溶液もしくは陰極液としてメタノールの供給によってセルを満たすこと、並びにメタノール中で望ましい濃度を有するナトリウムメトキシドが得られるまでセルを望ましい温度および電圧で運転することを含む。NASICON膜を使用する本発明のセルは、比較的混じりけのない陽極溶液、もしくは工業上の化学工程による副生成物および汚染された混じりけのある苛性溶液といった溶液を用いて運転してもよい。一実施態様においては、NaOHの濃度が50質量%である苛性溶液を使用する。
【0053】
前記を含む好ましい実施態様は、本工程から生成するすべての材料が実質的に有用で、再利用可能で、および/もしくは環境に害が無い点でクリーンである。例えば、陽極液区画4から排出される希釈苛性溶液16は、濃縮し、およびそれから再び利用してもよいが、それには本工程に戻して再利用することを含む。陽極液区画および陰極液区画から生成する酸素18および水素20ガスは、使用するためにそれぞれ収集し、輸送し、および/もしくは加圧してもよい。ガスは同様に濃縮機もしくは不純物を取り除くための気体洗浄装置に通してもよい。生成した水素ガスは燃料としてもしくは燃料電池といった別のエネルギー源中で使用できる。一実施態様において、セルで生成した水素ガスは、セルおよび/もしくはその構成部分動力を供給するために直接もしくは間接的に使用する。別の方法として、産生されたガスは、気体洗浄装置、消火剤、もしくはその他の安全上の予防措置を用いるもしくは用いないで、環境に放出してもよい。
【0054】
出発溶液として水酸化ナトリウムを用いた好ましい方法は、同様に金属ナトリウムを直接メタノールと反応させてナトリウムメチレートを形成する他の方法と比べて一般的に費用効果がよい。水酸化ナトリウムは、環境中で金属ナトリウムの事故発火もしくは水との激しい発熱反応を防ぐために特別な貯蔵法、扱い方、および運搬システムを必要とする金属ナトリウムと比べて扱いが容易および安全である。水酸化ナトリウムは、一般的に同様にナトリウム原子のモル量が等価である金属ナトリウムに比べてより安い。
【0055】
前記の一般的な原理および考察を受けて、ナトリウムメチレート溶液の製造方法を実行してよい。1つの好ましい実施態様には電解セルの陰極液画文にメタノールを供給し、セルの陽極液画文に水酸化ナトリウムもしくは他のナトリウムを含有する苛性溶液を供給し、並びにセルに電流を供給することを含む。陽極液と陰極液は、ナトリウムイオンを選択的に輸送しおよび実質的に水を透過しない膜によって仕切られている。セルは連続モード、バッチモード、もしくはこの2つのいくつかの組み合わせで運転してもよい。膜は、セラミックであること並びにここに記載した好ましい性質を1つもしくはそれより多く備えているが好ましい。
【0056】
メタノール中でナトリウムメチレートを生成する好ましい実施態様において、好ましく製造されたナトリウムメチレートは、メタノール中、質量換算で約1%から約32%のナトリウムメチレートを含み、質量換算で約20%から約32%もしくは約25%から約28%であることが好ましく、ここにはナトリウムメチレートを質量換算で23%、24%、26%、27%、29%、30%、および31%有することを含んでいる。これらの制限を超えるおよびそれより低いナトリウムメチレートを有する溶液について、濃度が33%を著しく超えるとメタノール溶液中でのナトリウムメチレートの飽和点に達した場合望ましくないかもしれないことに気にとめつつ、同様に目下検討している。好ましく製造したナトリウムメチレートは高い純度を有しているが、これは出発物質として用いるメタノールの純度によって主として制限される純度である。好ましいナトリウムメチレート溶液は同様に実質的に水銀および/もしくは他の重金属がない。ここで用いた水銀が「実質的にない」ということは、本質的に試験限界内で検出できる水銀がない(本質的にない)こと並びに少量の水銀が検出されるが、バイオディーゼル製造物中での材料の使用を制限する量ではないことを含む広範な機能用語である。一実施態様において、溶液中の水銀の量は使用した技術による検出方法によっては検出できない。好ましい実施態様において、ナトリウムメチレート溶液は色がないもしくは実質的に色がない。
【実施例】
【0057】
いくつかの実施態様は以下の実施例によって例証している。これらの実施例は、例証のみを意図したものであり、限定することを意図していない。
【0058】
(実施例1)
苛性溶液およびメタノールからメタノールメトキシドを合成するために、NASICON膜のファミリー(NASD, NASE, およびNASG)を含む3つのセラマテック社のコード番号を付された膜組成物を単一膜セルにおいて評価した。それぞれ、900ミクロン厚さの単一膜(14.27cm2の領域)を白金電極を有する2つの区画のオープンセルに組み立てた。セルは温度24℃、100mA/cm2の一定の電流密度で運転した。膜を越えた電圧(IR)降下は、ルギン細管(lugging capillaries)を備え付けて測定した。出発陽極溶液の濃度は、エタノール中ナトリウムメトキシド9.5質量%である。溶液は、供給メーカーからのナトリウムメトキシドの結晶をメタノール中で混合することにより調製した。その結果、出発溶液は幾分黄色がかった色であった。
【0059】
実行したNASEおよびNASG膜についての2つの独立した試験について、図3にグラフを用いて示す。NASG膜は、同様の運転条件においてNASE膜と比較して膜間の電圧降下がより低い。NASG膜の電圧降下は、NASE膜の1Vと比較した場合、平均すると約0.7Vだった。
【0060】
(実施例2)
濃度、温度、および電極間隔といった運転パラメーターの関数としてナトリウムメトキシドのイオン抵抗を決定するために実験を行った。オープンセルは、2つの電極間に膜を使用せずに組み立てた。電極を隔てる機器を電極間の距離の調整のために使用した。20,25,および30質量%の勾配におけるナトリウムメトキシド溶液を3つの異なった温度(25,30,および40℃)で交流インピーダンススペクトルを用いて測定した。
【0061】
結果は図4に示す。セル全体の抵抗に最も大きく貢献しているものはナトリウムメチレート溶液である。溶液の抵抗は、運転パラメーターにより5から70オームに広がっている。試験はナトリウムメチレート溶液の電気伝導度は溶液の濃度と温度の関数であることを示している。
【0062】
(実施例3)
実験は陽極液および陰極液の流量、および実行したセルの膜から電極の距離の効果を評価するために実行した。この試験は、市販されているエレクトロセルMP(ケマチュア エンジニアリングAB、カールスコガ、スウェーデン)といった、縦型の実験室スケールのクローズドセル中で実行した。電極は、最初膜の片側から約0.5cm離れたところに位置していた。蠕動ポンプを用い、初期流量はポンプのスピードコントローラーで2.5にセットし並びにセルを低電圧に達するまで運転した。それから流量はスピードコントローラーで7.5に増加させた。
【0063】
実験の結果と他の詳細は図5中に示した。セルの全体の電圧は、溶液の流量は、電極に展開してセル全体の運転および溶液の伝導性に対して上向きの貢献をするガスの散逸が増加するに従って低下する。
【0064】
(実施例4)
全活性領域が34.63cm2である直径2インチの円形のNAS-G膜を高密度ポリエチレン(HDPE)の足場内に内蔵させ、2つの区画の電気化学セル中に後から組み込んだ。この試験のためにDSA電極をこのセル内で使用した。この試験における陽極液および陰極液の流量は1.6 gal/分で維持した。試験のパラメーターと結果を表1に記載した。セルの性能は図6に示した。試験の実行中にセルの電圧は徐々に増大したが、これは陽極溶液および陰極溶液の濃度の変化によると考えられる。
【0065】
陽極液は16質量%のNaOH溶液および陰極液は22.63質量%のナトリウムメトキシド溶液である。セルは円形バッチモードにおいて電流密度100mA/cm2のガルバノスタティックモードで運転した。この試験は温度30℃で実行した。図6はNAS-G膜に基づくセルがナトリウムメトキシドを製造する能力について示している。実行16時間後に電圧が徐々に上昇するのは陽極液中の苛性溶液および陰極溶液中のナトリウムメトキシドの濃度の変化によるものであると考えられる。電圧は、連続的運転の最初の8時間は一様に固定した。陽極溶液および陰極溶液の流速は1.6gal/分に維持した。運転条件および試験結果は表Iの下に記載した。ナトリウムメチレートはセルの陰極溶液側に生成した。この苛性溶液およびメタノールからナトリウムメチレートを生成するための試験の目的は首尾よく達成された。陰極液中でナトリウムメチレートが4.28質量%の濃度の増加が試験後に測定された。
【0066】
【表1】
【0067】
(実施例5)
実施例4で使用したHAS-G膜およびセルを組み立てたものをこの試験中で実行するために使用した。陽極液は連続モード、および陰極液はバッチモードで運転した。この試験は、異なった動作電流密度におけるセルの性能を評価するために実行した。膜の性能における温度およびナトリウムの流量密度の効果について測定した。操作条件およびこの試験の結果を表IIに示した。
【0068】
最初に、セルを200mA/cm2の電流密度で30分間運転し、それから2.5時間までに電流を200mA/cm2に増加させた。最終的に電流は300mA/cm2まで増加させた。この試験中に電流を増加させるごとに、熱移動および陰極液中の発熱反応によって温度も同様に上昇した。膜は、図7に示したとおり常に高い電流密度(300mA/cm2)で作動した。
【0069】
【表2】
【0070】
(実施例6)
この試験は、水酸化ナトリウムおよびメタノールから高濃度のナトリウムメトキシドを生成するために、NASICONセラミック膜に基づく原型のセル(エレクトロセル MP)を用いて実行した。4つのNASG膜(直径1.5インチおよび厚さ1.3mm)は、HDPE足場内に収容し、エレクトロセルMPに後から取り付けた。この試験は陽極液を温度50℃および陰極液を温度25℃に固定して実行した。
【0071】
温度50℃まで陽極液を加熱すると、その結果同様に足場を越えた熱移動によって陰極液も加熱する。この試験中では低い動作セル電圧が観察された(図8)。テストを継続するにつれて、陰極液はすぐに加熱し並びについには陽極液の温度を超えた。このことは、セルの陰極液区画内で発熱反応が起こっていることを示している。
【0072】
この試験は原型のセルがナトリウムメトキシドを生成することを実証によって示すために、4時間実行した。
【0073】
(実施例7)
この試験は、窒素ガスをブランケットとして陽極液収容タンクにパージすることによってナトリウムメチレートを生成するために実行した。
【0074】
単一のNASG膜をオープンセル内に組み立て、室温で陰極液槽内のナトリウムメトキシド溶液に窒素ガスをバブリングしながら実行した。オープンセルには、セルのそれぞれの区画の頂頭部に、ルギン細管を挿入するための2つの小さな開口部を持っていた。ルギン細管は、具体的にはセルを定常状態で運転している間、膜を越えたIR降下(電圧)を連続的にモニターできる。この実験室スケールで設計された白金電極は膜の両側の約6cm離れた位置にあった。最初のナトリウムメトキシド溶液は、製造業者(ACROS)から供給されたメトキシドの30質量%溶液から調製し、並びに無水メタノールによって10質量%まで希釈した。
【0075】
この試験中に、ナトリウムメチレートの濃度は10質量%から28.3質量%に増加した(図9)。セルは全体で16時間運転した。最終生成物は淡黄色に染まっていた。ナトリウムメトキシドと管状の材料が反応することによるナトリウムメトキシドの変退色が見られた。並びに、窒素ガスのブランケットがない場合には見られなかったが、このことは苛性溶液を形成し結果としてナトリウムメチレートの汚染を起こすナトリウムメトキシドの大気中の水分との反応を維持するために有用である。
【0076】
(実施例8)
セラマテックでは、60cm2の活性な領域を提供するために、直径2インチの4つの膜を格納したより大きな足場をデザインならびに製造していた。このセルは連続モードおよびバッチモードでの運転で使用し、陰極液中のナトリウムメチレートの出発濃度の関数として電気化学的な要因を最適化するために、43時間を超えて継続した一の特定の試験を完了するために使用した。
【0077】
1つの試験は、ナトリウムメチレートが大気中の水分と反応して苛性溶液を形成することおよび化学的な変化を防ぐため窒素ガスのブランケットの下で実行した。
【0078】
いくつかのバッチ試験による結果の要旨が表IIIの下に提供されている。試験番号7は興味深いおよび有用な情報を提供している。バッチモードでセルを運転することにより、連続モードで運転するよりも電力消費の点でさらに有利になることを示しているが、連続モードでの運転は運転の間の時間は常に、陰極液中のナトリウムメチレートの濃度を25%から28%の範囲に維持することが必要であろう。
【0079】
すべての試験において陽極液および陰極液のナトリウム輸送効率は90%を超えていた。
【0080】
セラミック膜は、X線回折および走査型電子顕微鏡による分析に基づく分解の兆候もしくは定常状態での性能の損失を示さなかった。
【0081】
【表3】
【0082】
NaS-G膜の60cm2の活性な領域に基づくセル(エレクトロセル MP)によって生成したナトリウムメトキシドの、運転した電圧の関数としての濃度が図10に示している。グラフは、陽極液区画内のNAS-G膜に基づく電気化学セルを電流密度100mA/cm2、および温度約50℃で運転することによって、望ましいナトリウムメトキシドの濃度を達成するために必要な電圧を見積もるために必要な校正曲線について示している。
【0083】
(実施例9)
すべての試験は、陽極液として汚れていないおよび試薬等級の苛性溶液を用いて実行した。同様にDSA電極をすべての試験で使用した。ナトリウムメチレートを製造する工程は、アジドプラントもしくは他のナトリウムに基づく工業もしくは汚染されている水溶性の塩からの純粋でない苛性溶液を陽極液の出発前駆体としてニッケルもしくはステンレス鋼の電極とともに使用する場合、同様に効果的に働くであろう。いくつかの試験は純粋でない苛性溶液およびニッケル電極を用いて実行した。
【0084】
試験の結果は表IV、VおよびVIの通りである。試験は純粋な苛性溶液(表IV)、1.4%のアジドを含む純粋でない苛性溶液(表V)、および7.5%のアジドを含む純粋でない苛性溶液(表VI)を用いて行った。図11,12,13は、陽極液として純粋なおよび純粋でない水酸化ナトリウム溶液からナトリウムメチレートを製造する膜の性能について示している。
【0085】
この結果は、この工程が苛性溶液の純度を気にとめないことを示している。NaSICON膜に基づく工程は、汚れていないもしくは純粋でない苛性溶液を用いた場合、同様のナトリウム輸送の電流効率を提供する。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
上記の様々な方法および技術は、本発明を実施するための数多くの方法を提供している。言うまでもなく、記載されているすべての目的もしくは利点は、必ずしも本願に記載されている特定の実施態様に従った場合のみに達成するわけではないかもしれないと理解すべきである。従って、例えば当業者は、該方法は 必ずしも本願で教唆もしくは提案したかもしれないのと同様の他の目的もしくは利点を達成することなしに、本願で教唆したのと同様の1つの利点もしくは1組の利点を達成するもしくは最適化する方法で実行するかもしれないことを認識するであろう。
【0090】
さらに、当業者は様々な特徴、材料および条件の互換性について認識するであろう。同様に、そういったそれぞれの特徴もしくはステップに対して他に知られている均等物はもちろん前記において議論した様々な特徴およびステップも、ここに記載した原理に基づく方法を実行するためのこの技術における通常の技術の1つと混ぜ合わせること並びに調和させることができる。
【0091】
この発明は特定の実施態様の文脈において開示したけれども、当業者はこの発明がここで開示した特定の実施態様を越えて、他の実施態様および/もしくは使用法および明白な改良およびその均等物に拡張することを理解するであろう。したがって、この発明は本願中の好ましい実施態様の特定の開示によって限定することを意図していないが、その代わりに添付した請求項中の実施例としての発明の真の範囲および精神の中から生じる、すべての改良および別の選択肢を含む。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は好ましい実施態様による電解セルの略図である。
【図2】図2は好ましい実施態様によってナトリウムメトキシドを製造するために用いたナトリウムイオンを伝導する平板の膜と電解セルの略図である。
【図3】図3は同様の運転条件下でのNAS-EおよびNAS-Gの性能について明らかにしている図である。
【図4】図4はナトリウムメチレート溶液の電気抵抗における温度とナトリウムメチレートの濃度の影響を明らかにしている図である。
【図5】図5はナトリウムメチレートを製造するセルの全電圧下での陽極液および陰極液の再利用する流速の効果について明らかにした図である。
【図6】図6は一定の電流密度の下運転しているナトリウムメチレートを製造するセルの、電圧およびナトリウムメチレート溶液の濃度の時間による変化について明らかにした図である。
【図7】図7は異なった電流密度におけるナトリウムメチレートを製造するセルの電圧についてプロットしている。
【図8】図8はナトリウムメチレートを製造するセルの試験時間の関数として、陽極および陰極溶液の電圧と温度をプロットしたものである。
【図9】図9はナトリウムメトキシドを含むセルの陰極槽に窒素ガスを吹き込む開放型セルの試験である。
【図10】図10はナトリウムメチレート溶液の濃度に対するセルの推定される電圧のプロットである。
【図11】陽極液として純粋の苛性溶液を用いた場合の試験時間の関数として、セル電圧および陰極液のナトリウムメチレートの濃度の変化に関するプロットである。
【図12】陽極液として純粋でない苛性溶液を用いた場合の試験時間の関数として、セル電圧および陰極液のナトリウムメチレートの濃度の変化に関するプロットである。
【図13】陽極液として純粋でない苛性溶液を用いた場合の試験時間の関数として、セル電圧および陰極液のナトリウムメチレートの濃度の変化に関するプロットである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願情報)
本出願は、35 U.S.C.119(e)に基づき2003年12月11日出願の暫定特許出願第60/526,612号に対して優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電気化学セルに基づくイオン伝導性セラミックの固体電解質もしくは膜を用いることにより、アルカリ金属塩溶液及びアルコールからアルカリアルコラートを電気化学的に製造することに関する。好ましい実施態様においては、セラミック膜を用いて電解層中でナトリウムメチレート(すなわちナトリウムメトキシド)を調製することを含む。好ましい実施態様においては、この工程にはセラミック膜を伝導するナトリウムイオンを使用することを含む。
【0003】
(関連技術の記述)
ナトリウムメチレート、同様にナトリウムメトキシドと呼ばれ現在こちらが使われる、を調製するための2つの主要な方法がある。第1に、金属ナトリウムをメタノールと反応させてナトリウムメチレートを生成するナトリウムを基にした製法がある。この方法は原料としてナトリウム金属を使用するが、ナトリウム金属は高価であり及び低級アルコールと激しく反応し、並びに工程を制御することが困難である。ナトリウム金属は水と激しく反応するため、貯蔵、取り扱い及び運搬に精巧で高価な機器及び系を必要とする。
【0004】
第2の製法は、ナトリウムメチレートは、アマルガムをアルコールと反応させることによって水銀電池中クロルアルカリ電気分解から生成するナトリウムアマルガムから製造する。この製法の欠点は、既知の発ガン物質である水銀で製造物と環境を汚染してしまう可能性があることである。この理由から、この方法で製造したナトリウムメチレートの使用は、農業、医薬品、およびバイオディーゼルへの応用はおそらく魅力がないであろう。
【0005】
塩溶液からアルカリアルコラートを製造する際に使用するためのある種の電気分解による方法においては、陽極液および陰極液のチャンバーの間に位置づけられ、それを通じてイオンを輸送するためのイオン伝導膜として使用するために、様々な材料が提案されてきた。そういった材料には、セラミック材料のみ、重合体材料、およびセラミックと重合体材料の組み合わせが含まれる。
【0006】
塩溶液の電気分解における電解質として重合体材料の既知の利点はその高い伝導率並びに電気分解によって生じる酸性および苛酷な環境に対する更なる高い抵抗性にある。しかしながら、重合体の既知の欠点は、イオン種に対する選択制が低いことにある;すなわち、望ましいアルカリ金属イオンとともに、重合体は不要のプロトンとカチオンを輸送し、並びに同様に水を電気浸透圧的に輸送し、その結果電解層の操作が非効率的になる。
【0007】
アルカリアルコラートを合成するための、Horn(特許文献1)によって報告されたβIおよびβIIといったアルミナ膜の使用は、水性の電気化学上の応用においてもっとも実用的な温度範囲である100℃以下ではナトリウムイオンの伝導が低いことを示していた。Hornの特許出願書類中には、セルの電気化学的な能力は、伝導する膜の構造の劣化が原因で衰えるもしくは低下し、このことが100℃以下の温度においてβIおよびβII−アルミナ電解液のイオン伝導率を限定する。Hornの出願書類によりセル電圧の著しい向上が報告されており、ここでセルの能力は6時間運転した後に衰える。一つの試験においてはこの間に電流密度が40.8A/m2から7.5A/m2に減少した。セルに対して0.75A/m2といった低い電流密度では商業的な運転をするのために非常に多くのセルを必要とするため、βIおよびβII−アルミナ膜に基づく技術を商品化するのは採算が合わない。βIおよびβII−アルミナ材料の製法が複雑であることおよび製造費用が高いこと、水溶性の塩の前駆体の安定性の問題が手伝って、これを対象とするβIおよびβII−アルミナの用途の実用性を低くしている。Hornは固体電解質上に蒸着法によってイオン浸透膜を蒸着させる応用について報告しているが、これは固体電解質が水性の陽極液と反応するのを制限する。Hornの出願書類中の報告は、メタノールが陽極溶液に逆移動することに触れているが、このことは汚染を生じ並びに最終的な処分に悪影響を及ぼす。Hornの出願書類には、彼のセルが25質量%の濃度もしくはそれ以上のナトリウムメチレートを製造できたことを示すデータは報告されていない。
【特許文献1】米国特許出願第2003/0106805号公報
【発明の開示】
【0008】
既知の方法を考えると、ナトリウムメチレートおよびその他のアルキルアルコラートを製造するための、簡便で、環境に無害で、および費用効果の高い、好ましくは環境的な責任のある方法が必要である。
【0009】
好ましい実施態様に従って、アルカリアルコラート、好ましくはナトリウムメチレートの製造方法を提供する。この方法は、アルコール、好ましくはメタノール、を電解セルの陰極区画に供給すること、アルカリ金属塩溶液、好ましくは水酸化ナトリウムを陽極液区画に供給すること、並びにセルの電極間に電位を加えることである。セルの陽極液区画および陰極液区画はセラミックの膜で区分されており、電流を加えると陽極液区画から陰極液区画へアルカリ金属カチオン、好ましくはナトリウムカチオンを選択的に輸送する。好ましい実施態様において、膜は実質的に水を通さず、高い電流密度で作動させ、および/もしくは低電圧で作動させる。金属カチオンは、膜の移動に引き続いて、セルの陰極液区画内でアルコラートと反応して金属アルコラート溶液を形成するが、メタノール中でナトリウムメトキシドを形成するのが好ましい。
【0010】
一実施態様のとおりに、ナトリウムメチレート溶液を生成する方法が提供されている。方法には、メタノールを含む陰極溶液を電解セルの陰極区画に供給すること、水溶液中の一つもしくはそれ以上のナトリウム塩を含む陽極液をセルの陽極液区画に供給することが含まれ、それによってナトリウムイオン膜を越えて移動し、それからセルの陰極区画中でメトキシド溶液と反応しナトリウムメトキシドを形成する。好ましい実施態様においては、陽極液区画および陰極液区画はセラミック膜で区分されており、電位をセルに加えると陽極液区画から陰極液区画へナトリウムカチオンが選択的に移動する。膜は実質的に水を通さず、および/もしくは水と接触した場合に性能の低下を受けないことが好ましい。
【0011】
一つの実施態様の通り、ナトリウムメチレート溶液を生成する電解セルを供給する。セルは陰極およびメタノールもしくはナトリウムメチレートを希釈した溶液を含む溶液を含む陰極液区画を備え、陽極液区画は陽極および一つもしくはそれ以上のナトリウムに基づく塩を含む溶液を含み、並びにカチオン選択性セラミック膜は陽極液区画と陰極液区画を区分し、セルに電位を加えるとナトリウムカチオンが陽極液区画から陰極液区画に流れることを選択的に可能にしている。特定の好ましい実施態様には一つもしくはそれ以上の次に挙げる特徴を有している:膜は実質的に水を通さない;膜は一定の電流密度を少なくとも6時間の運転の間維持するが、運転の全継続時間であることが好ましい;および/もしくはセルは少なくとも約100mA/cm2の電流密度で運転する。
【0012】
ここで開示した発明の全範囲に関して、当業者にとっては直ちに明らかであるであろうが、前記特定の実施態様は他のアルカリ金属カチオンおよびアルコールに適合するかもしれない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(好ましい実施態様の詳細な記述)
以下の記述は本発明の好ましい実施態様の詳細を明らかにしている。当業者は、ここに記述してある実施態様には本発明の範囲に含まれる変化および変更があることを認識するであろう。したがって、好ましい実施態様の記述は本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0014】
水溶性アルカリ金属塩溶液の電気分解による非水溶性アルカリアルコレートを製造するための方法についてここに開示する。好ましい実施態様において、この方法にはセラミックの膜を伝導するナトリウムイオンの使用が含まれている。好ましい実施態様において、この方法はメタノール中のメタノールおよび水酸化ナトリウム溶液からまたはメタノールおよび水酸化ナトリウム溶液中のナトリウムメチレートの希釈溶液からメタノール中のナトリウムメチレートを製造するための電気分解である。ここに記載してある方法は、同様にアルコールおよび水溶性のアルカリ金属塩溶液から、対応するアルコール中のその他のアルカリアルコレートを製造するために使用してもよい。ここでアシル基は低級アルキルが好ましい。
【0015】
図1を参照すると、ここで記載されている方法の中で使用することができる電解セル2の略図を提供している。好ましい実施態様において、セルはナトリウムメチレートを製造するために使用されている。セル2には容器もしくはシェル3、これらは耐苛性であることが好ましい、陰極液槽6,陽極液槽4、陽極5、陰極7、およびイオン伝導電解液もしくは膜8、これらは足場もしくはホルダー9に位置づけてもよい、が含まれる。容器3、およびセル2の他の部分は、金属、ガラス、プラスチック、複合材料、セラミック、他の材料、もしくは前記の組み合わせを含むいくつかの適当な材料で製作してもよい。セル2を形成する材料は、方法の一環として曝される化学物質および状況によって反応しないもしくは実質的に劣化しないことが好ましい。
【0016】
セル2は、さらに化学物質を4に導入するための陽極液注入孔10、陽極液、陽極液槽4から陽極液を除去するための排水孔16、陰極液槽6に化学物質を注入するための陰極液注入孔12、および陰極液槽6から陰極液を除去するための排水孔14を備える。運転中にガスが発生するかもしれないので、陽極液槽4および/もしくは陰極液槽6からガスを発散させ、処理および/もしくは収集するために通気口装置(18,20)を備えている。この手段は、容器3の上の部分の開口部、微細孔、もしくは穴、および/もしくは収集チューブ、ホース、または陽極液および/もしくは陰極液槽内の流体水面上の空隙もしくは隙間と流体がコミュニケートする溝といった単純な通気系でよい。発生した気体は、収集し、セルの外に排気し、気体洗浄装置もしくは他の処理装置を通して送り、もしくは他の適当な方法によって処理する。
【0017】
電極の材料には良伝導体が好ましく、並びにそれらが曝される媒体中で安定であるべきである。いくつかの適当な材料が使用されるかもしれない、および材料は固体もしくはメッキされているかもしれない、又は穴が開いているもしくは広がっているかもしれない。一つの適した電極材料は、チタンでコートした酸化ルテニウム(RuO2/Ti)を含む寸法安定陽極(DSA)である。優れた陽極は同様に例えばチタンでコートした白金のような基材上をコートした固体として、ニッケル、コバルト、ニッケルタングステン酸塩、ニッケルチタン酸塩、白金および他の陽極の貴金属のから形成することができる。ステンレス鋼、鉛、グラファイト、タングステンカーバイドおよび2ホウ化チタンも同様に陽極材料として有用である。優れた陰極は、ニッケル、コバルト、白金、銀およびそれに類するもの並びに少量(好ましくは約3%までのみ)のニッケルと炭化チタン、FeAl3、NiAl3、ステンレス鋼、ペロブスカイトセラミック、およびそれに類するものから形成することができる。グラファイトは同様に優れた陰極材料である。好ましい実施態様において、電極は電気的な効果と電極の低コストをバランスさせることにより、費用効果が最大となるように選択する。
【0018】
一つの実施態様において、セルは連続モードで運転してもよい。連続モードにおいて、セルははじめに陽極液および陰極液で満たされ、それから、運転の間、付加的な溶液を注入孔10,12を通してセルに供給する。並びに生成物、副生成物、および/もしくは希釈溶液がセルの運転を止めることなく排出孔14,16および/もしくは排気装置18,20を通してセルから取り除く。反応剤の陽極溶液および陰極溶液への供給は連続的にしてもよい。もしくは断続的にしてもよい。このことは、特定の溶液の流れは、一つもしくは両方の区画を空にすることなしに、溶液の必要性および/もしくはセル内で望ましい溶液の濃度を維持することに従って開始するもしくは停止することを意味している。同様に、陽極区画および陰極区画からの溶液の除去は、同様に連続的もしくは断続的でもよい。セルからの溶液の付加および/もしくは除去の制御は、適当な方法で行ってもよい。そういった方法には例えば一人もしくはそれ以上の人のオペレーターによる手動運転、並びに例えばセンサー、電気バルブ、実験室ロボットなどによる自動運転を含む。自動的な運転では、バルブもしくは停止栓はタイマー、センサーの出力、もしくは他の方法に基づくコンピューターもしくは電気的な制御装置から受けた信号によって開くもしくは閉じてもよい。自動システムの例は技術的によく知られている。同様に手動および自動運転のいくつかの組み合わせを使用してもよい。2者択一的に、定常状態を保つために時間あたりに加えるもしくは除くそれぞれの溶液の量は、特定のセルについて実験的に決定し、並びに系へのおよびからの溶液の流れは、流量状態の定常状態を達成するために定めてもよい。
【0019】
もう一つの実施態様において、系はバッチモードで運転する。バッチモードにおいて、陽極液および陰極液をセルに供給し、並びにセルは陰極液で生成物が望ましい濃度まで生成するまで運転する。それからセルを空にして、生成物を収集し、並びに工程を再び始めるためにセルを再び満たす。あるいは、連続モードおよびバッチモードの組み合わせによる製造方法を使用してもよい。同様に、どちらのモードにおいても、溶液の供給は前もって準備した溶液もしくは内部の溶液を形成している構成成分を用いて行ってもよい。
【0020】
流量は再利用した陽極液および陰極液並びに流入するもしくは流出する溶液について言及している。ここで、連続モードおよびバッチモードの両方が溶液の動的な流れを有していることに留意すべきである。連続モードにおいては、陽極液を成している溶液が加えられ、それでナトリウムの濃度が一定の濃度に維持される。バッチモードにおいては、一定量のナトリウム塩が使用され膜を通して移動したために陽極液から失われたナトリウムは補給されない。運転は、陽極液でのナトリウムの濃度がある一定の量まで減少したとき、もしくは陰極液においてナトリウムメチレートが適切な濃度に達したときに停止する。
【0021】
電解反応のみがセル内で起こり並びに電池反応が除かれる、もしくは少なくともできる限り少なくすることが好ましい。好ましいイオン伝導まくには、電池反応を除くもしくは最小化する並びに電解反応のみを促進し並びに以下の特徴を1つもしくはそれ以上備えることが含まれる:(1)最小限の、好ましくは無視できるほどの電気伝導性である高いイオン伝導性;(2)好ましいイオン種に対する高い選択性;(3)陰極液からの陽極液の物理的な分離(濃いセラミック電解液)。
【0022】
膜8は、他のカチオン種が存在している場合でさえ、陽極液から陰極液側に特定の望ましいカチオン種を移動させる。膜は、同様にはっきりともしくは基本的に水および/もしくは他の望ましくない金属カチオンを浸透させない。好ましい実施態様において、膜は電流密度を約0.5から約1amp/in2、ここには約0.6,0.7、0.8,および0.9を含む、有していることが好ましい。
【0023】
好ましい実施態様に従って、セラマテック社(Ceramatec, Inc)のセラミックNaSICON(ナトリウムスーパーイオン伝導体)膜組成物は、静電的なおよび電気化学的な条件下で、低温でのアルカリ金属イオン、アルカリ金属イオンに対する高い選択性、優れた電流効率、および腐食性のアルカリ媒体に対する高いイオン伝導性についての広範な特徴を持っている。そういった膜は、膜を水溶性もしくは非水溶性の電気化学への利用に適したものにする、以下の望ましい性質を1つもしくはそれ以上、もしくはすべて備えている。1つ目の性質は、密度が濃く、膜は水の移動を受け付けず、並びに拡大縮小または2価イオン、3価イオン、もしくは溶液中に存在する固体溶解物の沈殿に影響を受けないことである。2つ目の性質は、膜が腐食性成分の存在によって質を低下させない、並びに膜を広いpHの範囲(2から14)で操作出来ることである。別の膜の有利な特長は、他のイオンの存在下でナトリウムイオンを95%以上の輸送効率で、選択的に輸送することにある。さらに別の特徴は、膜が沈殿剤による付着物、および/もしくは有機もしくは重合体の膜によく見られる水の電気−浸透圧的な輸送に対する抵抗性という更なる利点をもたらすことである。適当な膜は、この中の他の場所に記載してある別の特徴を、さらにもしくはそのかわりに持っていてもよい。
【0024】
ある種のセラミック材料の利点は、ある条件下でのその優れたイオン伝導性能にある。例えばM1M2A(BO4)3といった化学式を持ち、ここでM1およびM2はLi、Na、およびKから自由に選択され、A、Bは金属およびNaSICONの類似体である主族元素を含む、好ましい化学量論的および非化学量論的なNaSICONタイプ(ナトリウムスーパーイオン伝導体)材料は、ベータアルミナおよび他のナトリウムイオン伝導体を超える利点を有する。ベータアルミナは水和すると水溶液中で不安定になるが、多価酸化NaSICON膜組成物は比較的水に安定である。さらにNaSICON材料は、温度が200℃より低い、100度より低いおよび室温である場合、ベータアルミナよりも優れたナトリウムイオン伝導体である。
【0025】
ここに記載した好ましい膜および方法は、Hornによる米国特許出願第2003/0106805号に記載してあるセルよりも優れたセルを提供する。Hornのセルは低電流密度、すなわちここに開示したセルのある種の好ましい実施態様によるセルに対して0.75mA/cm2対100mA/cm2超、本願で開示した特定の好ましい実施態様に関しては200mA/cm2超を含む、商業運転のために非常に多くの数のセルを必要として、βIおよびβIIアルミナに基づくHornの応用例の技術を商品化することを採算が合わないものにするであろう。さらに6時間運転した後には電流密度が40.8mA/cm2から7.5mA/cm2に低下するHornのセルと異なり、以下の好ましい実施態様によるセルは、少なくとも6時間の運転しても一定(変化は10%もしくはそれ未満)の電流密度を維持することができる。
【0026】
好ましいセラミック膜は、少なくとも陽極溶液および陰極溶液の両方の溶媒構成成分に対して実質的に浸透性でない。これらのセラミック電解液膜の利点の1つは低いもしくは無視できるに等しい電気伝導性である。このことは、印加電圧もしくは電流がセルが備える膜から取り除く場合に生じる電池反応を実質的に取り除く。NaSICON膜は一般的に特定のイオンに対して非常に選択的でおよびそれゆえ好ましい種への高い輸率を有し、このことは水分子の電気―浸透圧的な輸送がほとんど0であることから能率の損失が非常に低いことを示している。
【0027】
以上に言及したように、好ましい実施態様においては、膜を伝導するカチオンはナトリウムイオン(Na+)である。好ましいナトリウムイオン伝導セラミック膜には一連のNaSICON膜組成物(セラマテック社、コード番号:NAS-D,NAS-E,NAS-G,NAS-H,NAS-Fなど)および米国特許第5,580,430号のタイプの膜が含まれ、セラマテック社(ソルトレークシティー、UT)からの膜の全部に関してここに引用して援用する。LiおよびKといったイオンを輸送して他のアルカリアルコラートを製造するNaSICONの類似体を、セラマテック社で同様に開発している。これらのイオン伝導NaSICON膜は、アルカリ(例えばナトリウム)塩溶液の電気分解によって、アルカリアルコラートを同時に製造する電気分解系において特に有用である。好ましい方法では、固体ナトリウムイオン交換に基づくセラミック膜は、セルの2つの区画によって分離されている。ナトリウムイオンは、電気的なポテンシャルの影響下で陽極液槽から陰極液槽に膜を越えて移動しナトリウムアルコレートを生成する。好ましいイオン選択的な膜は、そこを通じて水を輸送させない。このことは水と反応しやすいアルカリアルコラートを製造するのに有用である。さらに、これらの膜は低電気伝導性、優れた耐食性、および特定のアルカリイオンの高い流れ、高いイオン伝導性を提供する。
【0028】
ここで開示したセラミック材料は、多くのNaSICON型材料の化学式を包含もしくは収録しているけれども、この開示は簡便にするためのNaSICON型材料の試験に焦点を合わせている。しかしながら、材料の1つの実施例としてNaSICON型材料に焦点を合わせた議論は、この発明の範囲を限定することを意図していない。例えば、ここで高い伝導性および高い選択性を有しているとして開示した材料には、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、カリウム(K)といった、アルカリアルコレートを製造するためのイオンであるアルカリカチオンを輸送もしくは伝導することができる金属超イオン伝導性材料が含まれる。
【0029】
NaSICON型の膜は、例えば技術的に既知のセラミックプロセシング法によって形成してもよい。そういった膜は多孔質のセラミック基板に支持された非常に薄い板の形、もしくは厚い板(プレート)もしくは管でもよい。NaSICONの平板の円盤を用いたセルは、図2に明らかにしてある。ここで、濃縮されたナトリウムメチレートは陰極液槽で形成される。
【0030】
ここで開示したセラミック材料はアルカリ金属塩溶液の電気分解に使用するのに特に適している。それは、セラミック材料がアルカリ金属カチオンに対して低温で高いイオン伝導性を有し、アルカリ金属カチオンに対して高い選択性、優れた電流効率並びに静電的なもしくは電気化学的な条件で水および腐食性媒体に対して安定であるからである。比較的に、ベータアルミナは300℃を超える温度で高いイオン伝導性を持っているが100℃より低い温度では低イオン伝導性であるセラミック材料であり、そのことにより100℃未満での実用性を低くしている。NaSICON型の材料といった好ましいセラミック材料は、100℃未満においてベータアルミナと比較してイオン伝導性がより高いいくつかの状態を持っており、並びに水中で比較的安定性がよい。
【0031】
膜を伝導する好ましいセラミックに基づくアルカリ金属カチオンには、1つもしくはそれより多い以下の特徴および使用上の特性が含み;100℃未満での高いアルカリイオン伝導性;特定のアルカリカチオン(例えばNa+)に対する高い選択性;90%より高いナトリウム輸送効率;有機もしくは無機ナトリウム塩および化学物質における安定性;一般的に水の輸送について不透性で、電気的に絶縁されている理論的に95%以上の密度;および酸、アルカリ、苛性および/もしくは腐食性に対する抵抗性を含む。
【0032】
NaSICON構造中でのNa-イオンの伝導性は、温度によりアレニウス依存性で、一般的に温度の関数として増加する。NAS-G組成物のナトリウムイオン伝導性は、室温から85℃で3×10−2S/cmから8×10−2S/cmの範囲内にある。
【0033】
NaSICON型材料は、とりわけここに記述した型は、低いもしくは無視できるほどの電気的伝導性を有し、並びにそういったことは加えられた電位もしくは電流を取り除いた時に電池反応の発生を実質的に取り除くために役に立つ。好ましいNaSICON類似物は、非常に流動性のあるカチオンを有し、これには特に限定されないがリチウム、ナトリウム、およびカリウムイオンを含み、このことは高いイオン伝導性、低い電気伝導性および比較的高い耐食性をもたらす。
【0034】
ここで電解セルへの使用について言及したカチオン伝導性セラミック材料は、特に限定されないが炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、および有機ナトリウム塩といった溶液を含む水性のナトリウム塩溶液の電気分解によるアルカリアルコレートの形成に首尾よく使用することができる。ここで評価したセラミック膜組成物は、同様にナトリウムに基づく酸、アルカリ、および苛性溶液への使用に利用できる。
【0035】
理想的な固体電解質は、電気的絶縁体および優れたイオン伝導体である。NaM2(BO4)3は、広く研究されてきたナトリウム伝導化合物および結晶質溶液の、最もよく知られている大きなファミリーの一員である。構造は六方晶系の配置であり、並びに付加的な占有もしくは空隙の数と同様に、原子上のパラメーターにおける幅広い変化を通じて安定である。NaM2(BO4)3において、すべてのナトリウム原子はナトリウムイオンに対して利用可能な等価でない位置の1つにあり、並びにそれゆえナトリウムイオンは悪い伝導性を示す(90℃で8.71×10-7 S/cm)。化学文献(J. B. Goodenough, H. Y. Hong, and J. A. Kafalas, Materials Res. Bull)に報告された100℃未満でのNaSICON型組成物の低イオン伝導性は、第2相から自由な、不純物として沈殿する純粋な1相組成物が調製できないという事実による。研究者は、NaSICON型組成物のイオン伝導性は300℃においてはβII−アルミナのイオン伝導性と明らかに等価であることを示してきた (H. Y. Hong, Materials Res. Bull. 11 (1976), 173;. 11 (1976) 203; J. P. Boilet, P. H.Colomban, Solid State Ionics 28-30 (1988) 403-410. )。文献に報告されている300℃未満でのNaSICON化合物の低い伝導性は、第2相として生じる低い伝導相の存在による。セラマテック社の相純粋組成物は、室温から90℃までに10-2 S/cmに匹敵する10-2 S/cmの範囲の伝導性を有している。
【0036】
好ましいセラミック膜には、化学式がM1M2(BO4)3であ≦りおよび化学式がM1M2A(BO4)3であることを備えるセラミックNaSICON型膜が含まれる。また同様にM1およびM2が独立して選択され、NaSICONのアルカリ類似体を形成する化学量論的な置換をした組成物が含まれる。前記化学式中のM1、M2、A、Bにおける異なった構造上のサイトは、2+、3+、4+、5+価の要素で満たしてもよい。他の適当なアルカリイオン伝導体セラミック材料は次の化学式を有している:M1+XA2-XNyBXC3-XO12(0≦X≦2)、ここでM1、M2=Li、Na、Kおよび非化学量論的組成物、上記化学式のM1、M2、A、N、B、およびCの構造的に異なったサイトでの置換は2+、3+、4+、5+価の要素による。
【0037】
Na3Zr2Si2POI2およびNa5RESi40l2型NaSICON組成物(ここでREはイットリウムもしくは希土類元素)の工程は以下の通りに進行する。広範囲に計画されたアプローチにより、第2世代の膜が固体状態の混合法によって体系的に合成する。出発前駆体の混合物は、ポリエチレンのジャーの中でメタノール中で混合した。混合した前九対酸化物は、溶媒に展開するため60℃で乾燥した。乾燥したパウダーもしくは材料は800℃で焼結し、必要な組成物を形成した。焼結した材料は湿ったボールであり、ジルコニウム酸化物媒体(もしくは他の金属媒体)で粉として、必要な粒径分布を実現した。直径が0.6から2.5インチの大きさである緑色の膜を金型およびパンチアセンブリ内で圧密することによって押圧し、それから空気中室温で1100℃から1200℃で焼固し密度の高いセラミック酸化物を作製した。NaSICON組成物のXRD分析を行い結晶構造および相の純度を決定した。NAS F組成物を通じたNAS-DはNa3Zr2Si2POI2型の化学式である化学量論的および非化学量論的組成物である。非化学量論的とは、化学式上のジルコニウム、シリカ、および/もしくはリンの非等価な置換を意味する。NAS-Dはチタンを有し、NAS-Eはスズを有し、並びにNAS-Gはジルコニウムのサイトに部分的に置換したハフニウムを有している。NAS-FおよびNAS-Hの組成物中には、ジルコニウム、シリカおよびリンのサイトでのチタン、スズおよびゲルマニウムの部分的な置換を有する。NaSICONの組成物および工程に関するの実施例には以下が含まれる:S. Balagopal, T. Landro, S. Zecevic, D.Sutija, S. Elangovan, and A. Khandkar,「NaSICONによる汚水流からの選択的なナトリウムの除去」, Separation and Purification Technology 15 (1999) 231- 237; Davor Sutija,Shekar Balagopal, ThomLandro, John Gordon,「セラミッククレンザー、ナトリウムイオン超伝導体セラミックの環境への応用」, The Electrochemical Soc. Interface. 5 (4) (1996) 26; R. D. Shannon, B. E. Taylor, T. E. Gier, H. Y.Chen, T. Berzins, 「Na5YSi4O12型ケイ酸塩のイオン伝導性」, Inorg. Chem. 17 (4) (1978) 958. ; S. H. Balagopal, J. H. Gordon, A. V.Virkar, A. V. Joshi, 米国特許第 5580430号, 1996; および J. B. Goodenough, H. Y. P. Hong, J. A. Kafalas, 骨格構造における急速なNa+イオンの輸送」, Mater. Res. Bull. 11 (1976) 203.
【0038】
セラマテック社は、文献に報告されていることとは逆に、開発段階の純度の高いおよび伝導性が高いNaSICON組成物を有している。膜の伝導性は室温から90℃で10-2 S/cmから10-1 S/cmの範囲にあり、これは文献に報告されているNaSICON組成物の伝導性より数オーダー高い。
【0039】
ここに記載した好ましい膜材料の腐食性媒体に対する安定性もしくは抵抗性は、成分の変化によって高められるかもしれない。化学上の変化に基づく相純粋組成物を合成する能力、構造の様々なサイトにおける置換パターン、および工程の方法は、高いナトリウムイオン伝導性である組成物を生じた。NaSICON組成物のNAS-G、NAS-D、NAS-E、NAS-F、およびNAS-Hシリーズは、イオン伝導性、耐食性、輸送効率、および機械的性質においての利点を提供する。熱力学的分析は、結晶化学的なアプローチによるイオン置換を通して改質したNaSICON組成物の構造は、腐食性環境下(例えば、酸もしくは苛性もしくは有機溶媒)において優れた化学的安定性を提供することを示している。これらの膜は、ナトリウムに基づく有機もしくは無機化学物質を生成するためのナトリウム塩の電気分解的な分解のために特に適している。しかしながら、ここで記載されている1つもしくはそれ以上の好ましい性質を有する他のNaSICON型化学式は、同じくらい適している。
【0040】
膜は平板の形状、管状の形状、もしくは支持的な形状を有してもよい。固体膜は2つのポケットの間に挟まれていることが好ましく、化学耐性のHDPEプラスチックで製造され、並びに好ましくはEPDM O-リングといった適切なガスケットもしくはO-リングを用いて圧縮付加によって封をされていることが好ましい。
【0041】
ここで使用しているような「はっきりと水を通さない」という言い回しは、少量の水は膜を通過するかもしれないが、通過した量はナトリウムメチレート溶液生成物の有用性を減じるほどの量ではないことを意味する。「はっきりと」および「基本的に」という語は、本明細書内の他の箇所においても強調する語として同様に使用する。
【0042】
ここで言及したNaSICON型材料もしくは修飾されたNaSICON材料は、例えば電解セル中のナトリウムイオン伝導膜として有用である。ナトリウムメチレートを生成するために、例として、水酸化ナトリウム水溶液は、陽極液相内に加える。水酸化ナトリウムもしくは純粋なメタノールの希釈溶液は陰極溶液槽に加える。まず伝導性の電解液は、セルの動作電圧を実用上できるだけ低く保つことが望ましい。
【0043】
ナトリウムイオンの源として水酸化ナトリウムを使用した電解液反応全体の実施例は以下の通りである:
陰極: 2OH- →1/2O2+H2O+2e-
陽極: 2CH3OH+2e-+2Na+→2NaCH3O+H2
全体: 2CH3OH+2NaOH→2NaOCH3+H2+1/2O2+N2O
【0044】
これらの反応(図2)は誘電電流下で生じる電気分解の反応であり、電子は反応を引き起こすために導入もしくは除去する。反応はただ電流がセルを貫流する限り進行する。電気分解の反応とは反対に、電池反応は過電圧をセルから除去したときに起きるかもしれないが、これは電解セルの効率を効率を減少させる。電解反応のみがセル内で起こり、電池反応は除去する、もしくは少なくとも非常に最小化することが好ましい。
【0045】
工程中でナトリウムカチオンもしくは他のアルカリ金属カチオンの源である陽極溶液は、塩化ナトリウムのような中性の塩でよい。もしくは、水酸化ナトリウムのような苛性の溶液でもよい。工業的工程における溶液もしくは副生成物は、ナトリウム塩として使用してもよい。好ましい実施態様においては、水酸化ナトリウム水溶液を使用する。水酸化ナトリウムは、安価であり並びにこれを使用すると陽極で水と酸素を生成するので好ましい溶液である。従って、以下の議論は水酸化ナトリウムの使用に基づいているけれども、陽極での反応ガスの生成は陽極液で使用する塩の化学的性質によって変化するであろうという了解の下、他のナトリウムに基づく化学物質を適応させることができる。
【0046】
水酸化ナトリウム(苛性)は、注入口10を通じて陽極区画4に供給する。水酸化ナトリウム水溶液は、どのような等級もしくは純度でもよい。NaSICON膜は有機的な膜と異なりナトリウムイオンの輸送に選択的であるので、水酸化ナトリウム水溶液の純度は重要ではない。同様に、メタノールを注入口12からセル2の陰極区画6に供給する。メタノールは水分を含まないことが好ましい。それは水分かあると質の悪いナトリウムメチレートの形成につながるからである。一実施態様では、陰極画分および/もしくは陽極画分は窒素ガスおよびアルゴンガスといった1つもしくはそれ以上の不活性もしくは不燃性のガスによってパージする。
【0047】
ナトリウムメチレートを製造するために、セルは約20℃から約80℃の温度で操業することが好ましく、この温度には約25℃、30℃、40℃、50℃、60℃および70℃を含み、並びに温度の範囲はこれらの列挙した温度によって制約される。温度は、ナトリウムメチレートの沈殿が生成物溶液中に発生するであろう陰極液のアルコールナトリウムとして使用する溶液の騰点未満で維持することが好ましい。セルは、2つの区画の圧力が実質的に等しいと同時に、大気圧下で運転することが好ましい。
【0048】
電流の影響下で、ナトリウムイオンは膜を越えて陽極液側から陰極液側に輸送される。そこでヒドロキシルイオンが陽極で酸化されて酸素を発生する間に、ナトリウムイオンはメトキシドと反応しナトリウムメトキシドを生成する。好ましい実施態様においては、陽極区画4内のナトリウムカチオンの濃度は、付加的に水酸化ナトリウム10を陽極液区画に供給することおよび陽極液区画から薄くするもしくは薄くされた苛性溶液16を陽極液区画から取り除くことによって、望ましい範囲に維持する。
【0049】
反応が進行するにつれて、陰極液区画6内のナトリウムメトキシドの濃度は増加し始める。1度望ましい濃度に達すると、陰極液区画から排出口14を通して取り除き、その容積を注入口12を通してメタノールによって置換することが好ましい。陰極液の排出口の流れ14中のナトリウムメトキシドの濃度は、特に限定されないが、比重、ナトリウムの濃度、およびその他の技術的に既知である方法を含む何らかの適当な方法によって監視してもよい。
【0050】
電気化学セルの好ましい実施態様において、陰極溶液は1つもしくはそれより多いアルカリアルコレートを含み、並びに陽極溶液は1つもしくはそれ以上の無機的および/もしくは有機塩を含む。陽極液中の好ましいナトリウム塩は水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、およびその他のナトリウムに基づくナトリウム塩、および2つもしくはそれより多いそういった塩の組み合わせを含む。異なったアニオン、異なったカチオンもしくはその両方を有する塩の組み合わせと同様、カリウム、リチウム、といったアルカリ金属元素、およびこれらと同じアニオン、およびその他の適当なアニオンを同様に検討したが、ここにはナトリウムが電解液によって伝導する金属カチオンではない場合も含む。
【0051】
以上に議論したように、電気化学セルはバッチ法もしくは連続的に運転してもよい。図2の実施態様に関連した連続的運転には、メタノールもしくはメタノール中の低濃度のナトリウムメトキシドの陰極溶液への連続的な導入および陰極溶液からのナトリウムメトキシド溶液の望ましい濃度での除去が含まれる。苛性溶液の濃度は同時に起こる膜を通したナトリウムイオンの輸送と実質的に釣り合いがとれていることが望ましいので、この除去はNaOH(および/もしくは別のナトリウム塩)の陽極液への付加と対になっている。
【0052】
バッチ法による運転には、陽極液として塩溶液、希釈したナトリウムメトキシド溶液もしくは陰極液としてメタノールの供給によってセルを満たすこと、並びにメタノール中で望ましい濃度を有するナトリウムメトキシドが得られるまでセルを望ましい温度および電圧で運転することを含む。NASICON膜を使用する本発明のセルは、比較的混じりけのない陽極溶液、もしくは工業上の化学工程による副生成物および汚染された混じりけのある苛性溶液といった溶液を用いて運転してもよい。一実施態様においては、NaOHの濃度が50質量%である苛性溶液を使用する。
【0053】
前記を含む好ましい実施態様は、本工程から生成するすべての材料が実質的に有用で、再利用可能で、および/もしくは環境に害が無い点でクリーンである。例えば、陽極液区画4から排出される希釈苛性溶液16は、濃縮し、およびそれから再び利用してもよいが、それには本工程に戻して再利用することを含む。陽極液区画および陰極液区画から生成する酸素18および水素20ガスは、使用するためにそれぞれ収集し、輸送し、および/もしくは加圧してもよい。ガスは同様に濃縮機もしくは不純物を取り除くための気体洗浄装置に通してもよい。生成した水素ガスは燃料としてもしくは燃料電池といった別のエネルギー源中で使用できる。一実施態様において、セルで生成した水素ガスは、セルおよび/もしくはその構成部分動力を供給するために直接もしくは間接的に使用する。別の方法として、産生されたガスは、気体洗浄装置、消火剤、もしくはその他の安全上の予防措置を用いるもしくは用いないで、環境に放出してもよい。
【0054】
出発溶液として水酸化ナトリウムを用いた好ましい方法は、同様に金属ナトリウムを直接メタノールと反応させてナトリウムメチレートを形成する他の方法と比べて一般的に費用効果がよい。水酸化ナトリウムは、環境中で金属ナトリウムの事故発火もしくは水との激しい発熱反応を防ぐために特別な貯蔵法、扱い方、および運搬システムを必要とする金属ナトリウムと比べて扱いが容易および安全である。水酸化ナトリウムは、一般的に同様にナトリウム原子のモル量が等価である金属ナトリウムに比べてより安い。
【0055】
前記の一般的な原理および考察を受けて、ナトリウムメチレート溶液の製造方法を実行してよい。1つの好ましい実施態様には電解セルの陰極液画文にメタノールを供給し、セルの陽極液画文に水酸化ナトリウムもしくは他のナトリウムを含有する苛性溶液を供給し、並びにセルに電流を供給することを含む。陽極液と陰極液は、ナトリウムイオンを選択的に輸送しおよび実質的に水を透過しない膜によって仕切られている。セルは連続モード、バッチモード、もしくはこの2つのいくつかの組み合わせで運転してもよい。膜は、セラミックであること並びにここに記載した好ましい性質を1つもしくはそれより多く備えているが好ましい。
【0056】
メタノール中でナトリウムメチレートを生成する好ましい実施態様において、好ましく製造されたナトリウムメチレートは、メタノール中、質量換算で約1%から約32%のナトリウムメチレートを含み、質量換算で約20%から約32%もしくは約25%から約28%であることが好ましく、ここにはナトリウムメチレートを質量換算で23%、24%、26%、27%、29%、30%、および31%有することを含んでいる。これらの制限を超えるおよびそれより低いナトリウムメチレートを有する溶液について、濃度が33%を著しく超えるとメタノール溶液中でのナトリウムメチレートの飽和点に達した場合望ましくないかもしれないことに気にとめつつ、同様に目下検討している。好ましく製造したナトリウムメチレートは高い純度を有しているが、これは出発物質として用いるメタノールの純度によって主として制限される純度である。好ましいナトリウムメチレート溶液は同様に実質的に水銀および/もしくは他の重金属がない。ここで用いた水銀が「実質的にない」ということは、本質的に試験限界内で検出できる水銀がない(本質的にない)こと並びに少量の水銀が検出されるが、バイオディーゼル製造物中での材料の使用を制限する量ではないことを含む広範な機能用語である。一実施態様において、溶液中の水銀の量は使用した技術による検出方法によっては検出できない。好ましい実施態様において、ナトリウムメチレート溶液は色がないもしくは実質的に色がない。
【実施例】
【0057】
いくつかの実施態様は以下の実施例によって例証している。これらの実施例は、例証のみを意図したものであり、限定することを意図していない。
【0058】
(実施例1)
苛性溶液およびメタノールからメタノールメトキシドを合成するために、NASICON膜のファミリー(NASD, NASE, およびNASG)を含む3つのセラマテック社のコード番号を付された膜組成物を単一膜セルにおいて評価した。それぞれ、900ミクロン厚さの単一膜(14.27cm2の領域)を白金電極を有する2つの区画のオープンセルに組み立てた。セルは温度24℃、100mA/cm2の一定の電流密度で運転した。膜を越えた電圧(IR)降下は、ルギン細管(lugging capillaries)を備え付けて測定した。出発陽極溶液の濃度は、エタノール中ナトリウムメトキシド9.5質量%である。溶液は、供給メーカーからのナトリウムメトキシドの結晶をメタノール中で混合することにより調製した。その結果、出発溶液は幾分黄色がかった色であった。
【0059】
実行したNASEおよびNASG膜についての2つの独立した試験について、図3にグラフを用いて示す。NASG膜は、同様の運転条件においてNASE膜と比較して膜間の電圧降下がより低い。NASG膜の電圧降下は、NASE膜の1Vと比較した場合、平均すると約0.7Vだった。
【0060】
(実施例2)
濃度、温度、および電極間隔といった運転パラメーターの関数としてナトリウムメトキシドのイオン抵抗を決定するために実験を行った。オープンセルは、2つの電極間に膜を使用せずに組み立てた。電極を隔てる機器を電極間の距離の調整のために使用した。20,25,および30質量%の勾配におけるナトリウムメトキシド溶液を3つの異なった温度(25,30,および40℃)で交流インピーダンススペクトルを用いて測定した。
【0061】
結果は図4に示す。セル全体の抵抗に最も大きく貢献しているものはナトリウムメチレート溶液である。溶液の抵抗は、運転パラメーターにより5から70オームに広がっている。試験はナトリウムメチレート溶液の電気伝導度は溶液の濃度と温度の関数であることを示している。
【0062】
(実施例3)
実験は陽極液および陰極液の流量、および実行したセルの膜から電極の距離の効果を評価するために実行した。この試験は、市販されているエレクトロセルMP(ケマチュア エンジニアリングAB、カールスコガ、スウェーデン)といった、縦型の実験室スケールのクローズドセル中で実行した。電極は、最初膜の片側から約0.5cm離れたところに位置していた。蠕動ポンプを用い、初期流量はポンプのスピードコントローラーで2.5にセットし並びにセルを低電圧に達するまで運転した。それから流量はスピードコントローラーで7.5に増加させた。
【0063】
実験の結果と他の詳細は図5中に示した。セルの全体の電圧は、溶液の流量は、電極に展開してセル全体の運転および溶液の伝導性に対して上向きの貢献をするガスの散逸が増加するに従って低下する。
【0064】
(実施例4)
全活性領域が34.63cm2である直径2インチの円形のNAS-G膜を高密度ポリエチレン(HDPE)の足場内に内蔵させ、2つの区画の電気化学セル中に後から組み込んだ。この試験のためにDSA電極をこのセル内で使用した。この試験における陽極液および陰極液の流量は1.6 gal/分で維持した。試験のパラメーターと結果を表1に記載した。セルの性能は図6に示した。試験の実行中にセルの電圧は徐々に増大したが、これは陽極溶液および陰極溶液の濃度の変化によると考えられる。
【0065】
陽極液は16質量%のNaOH溶液および陰極液は22.63質量%のナトリウムメトキシド溶液である。セルは円形バッチモードにおいて電流密度100mA/cm2のガルバノスタティックモードで運転した。この試験は温度30℃で実行した。図6はNAS-G膜に基づくセルがナトリウムメトキシドを製造する能力について示している。実行16時間後に電圧が徐々に上昇するのは陽極液中の苛性溶液および陰極溶液中のナトリウムメトキシドの濃度の変化によるものであると考えられる。電圧は、連続的運転の最初の8時間は一様に固定した。陽極溶液および陰極溶液の流速は1.6gal/分に維持した。運転条件および試験結果は表Iの下に記載した。ナトリウムメチレートはセルの陰極溶液側に生成した。この苛性溶液およびメタノールからナトリウムメチレートを生成するための試験の目的は首尾よく達成された。陰極液中でナトリウムメチレートが4.28質量%の濃度の増加が試験後に測定された。
【0066】
【表1】
【0067】
(実施例5)
実施例4で使用したHAS-G膜およびセルを組み立てたものをこの試験中で実行するために使用した。陽極液は連続モード、および陰極液はバッチモードで運転した。この試験は、異なった動作電流密度におけるセルの性能を評価するために実行した。膜の性能における温度およびナトリウムの流量密度の効果について測定した。操作条件およびこの試験の結果を表IIに示した。
【0068】
最初に、セルを200mA/cm2の電流密度で30分間運転し、それから2.5時間までに電流を200mA/cm2に増加させた。最終的に電流は300mA/cm2まで増加させた。この試験中に電流を増加させるごとに、熱移動および陰極液中の発熱反応によって温度も同様に上昇した。膜は、図7に示したとおり常に高い電流密度(300mA/cm2)で作動した。
【0069】
【表2】
【0070】
(実施例6)
この試験は、水酸化ナトリウムおよびメタノールから高濃度のナトリウムメトキシドを生成するために、NASICONセラミック膜に基づく原型のセル(エレクトロセル MP)を用いて実行した。4つのNASG膜(直径1.5インチおよび厚さ1.3mm)は、HDPE足場内に収容し、エレクトロセルMPに後から取り付けた。この試験は陽極液を温度50℃および陰極液を温度25℃に固定して実行した。
【0071】
温度50℃まで陽極液を加熱すると、その結果同様に足場を越えた熱移動によって陰極液も加熱する。この試験中では低い動作セル電圧が観察された(図8)。テストを継続するにつれて、陰極液はすぐに加熱し並びについには陽極液の温度を超えた。このことは、セルの陰極液区画内で発熱反応が起こっていることを示している。
【0072】
この試験は原型のセルがナトリウムメトキシドを生成することを実証によって示すために、4時間実行した。
【0073】
(実施例7)
この試験は、窒素ガスをブランケットとして陽極液収容タンクにパージすることによってナトリウムメチレートを生成するために実行した。
【0074】
単一のNASG膜をオープンセル内に組み立て、室温で陰極液槽内のナトリウムメトキシド溶液に窒素ガスをバブリングしながら実行した。オープンセルには、セルのそれぞれの区画の頂頭部に、ルギン細管を挿入するための2つの小さな開口部を持っていた。ルギン細管は、具体的にはセルを定常状態で運転している間、膜を越えたIR降下(電圧)を連続的にモニターできる。この実験室スケールで設計された白金電極は膜の両側の約6cm離れた位置にあった。最初のナトリウムメトキシド溶液は、製造業者(ACROS)から供給されたメトキシドの30質量%溶液から調製し、並びに無水メタノールによって10質量%まで希釈した。
【0075】
この試験中に、ナトリウムメチレートの濃度は10質量%から28.3質量%に増加した(図9)。セルは全体で16時間運転した。最終生成物は淡黄色に染まっていた。ナトリウムメトキシドと管状の材料が反応することによるナトリウムメトキシドの変退色が見られた。並びに、窒素ガスのブランケットがない場合には見られなかったが、このことは苛性溶液を形成し結果としてナトリウムメチレートの汚染を起こすナトリウムメトキシドの大気中の水分との反応を維持するために有用である。
【0076】
(実施例8)
セラマテックでは、60cm2の活性な領域を提供するために、直径2インチの4つの膜を格納したより大きな足場をデザインならびに製造していた。このセルは連続モードおよびバッチモードでの運転で使用し、陰極液中のナトリウムメチレートの出発濃度の関数として電気化学的な要因を最適化するために、43時間を超えて継続した一の特定の試験を完了するために使用した。
【0077】
1つの試験は、ナトリウムメチレートが大気中の水分と反応して苛性溶液を形成することおよび化学的な変化を防ぐため窒素ガスのブランケットの下で実行した。
【0078】
いくつかのバッチ試験による結果の要旨が表IIIの下に提供されている。試験番号7は興味深いおよび有用な情報を提供している。バッチモードでセルを運転することにより、連続モードで運転するよりも電力消費の点でさらに有利になることを示しているが、連続モードでの運転は運転の間の時間は常に、陰極液中のナトリウムメチレートの濃度を25%から28%の範囲に維持することが必要であろう。
【0079】
すべての試験において陽極液および陰極液のナトリウム輸送効率は90%を超えていた。
【0080】
セラミック膜は、X線回折および走査型電子顕微鏡による分析に基づく分解の兆候もしくは定常状態での性能の損失を示さなかった。
【0081】
【表3】
【0082】
NaS-G膜の60cm2の活性な領域に基づくセル(エレクトロセル MP)によって生成したナトリウムメトキシドの、運転した電圧の関数としての濃度が図10に示している。グラフは、陽極液区画内のNAS-G膜に基づく電気化学セルを電流密度100mA/cm2、および温度約50℃で運転することによって、望ましいナトリウムメトキシドの濃度を達成するために必要な電圧を見積もるために必要な校正曲線について示している。
【0083】
(実施例9)
すべての試験は、陽極液として汚れていないおよび試薬等級の苛性溶液を用いて実行した。同様にDSA電極をすべての試験で使用した。ナトリウムメチレートを製造する工程は、アジドプラントもしくは他のナトリウムに基づく工業もしくは汚染されている水溶性の塩からの純粋でない苛性溶液を陽極液の出発前駆体としてニッケルもしくはステンレス鋼の電極とともに使用する場合、同様に効果的に働くであろう。いくつかの試験は純粋でない苛性溶液およびニッケル電極を用いて実行した。
【0084】
試験の結果は表IV、VおよびVIの通りである。試験は純粋な苛性溶液(表IV)、1.4%のアジドを含む純粋でない苛性溶液(表V)、および7.5%のアジドを含む純粋でない苛性溶液(表VI)を用いて行った。図11,12,13は、陽極液として純粋なおよび純粋でない水酸化ナトリウム溶液からナトリウムメチレートを製造する膜の性能について示している。
【0085】
この結果は、この工程が苛性溶液の純度を気にとめないことを示している。NaSICON膜に基づく工程は、汚れていないもしくは純粋でない苛性溶液を用いた場合、同様のナトリウム輸送の電流効率を提供する。
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
上記の様々な方法および技術は、本発明を実施するための数多くの方法を提供している。言うまでもなく、記載されているすべての目的もしくは利点は、必ずしも本願に記載されている特定の実施態様に従った場合のみに達成するわけではないかもしれないと理解すべきである。従って、例えば当業者は、該方法は 必ずしも本願で教唆もしくは提案したかもしれないのと同様の他の目的もしくは利点を達成することなしに、本願で教唆したのと同様の1つの利点もしくは1組の利点を達成するもしくは最適化する方法で実行するかもしれないことを認識するであろう。
【0090】
さらに、当業者は様々な特徴、材料および条件の互換性について認識するであろう。同様に、そういったそれぞれの特徴もしくはステップに対して他に知られている均等物はもちろん前記において議論した様々な特徴およびステップも、ここに記載した原理に基づく方法を実行するためのこの技術における通常の技術の1つと混ぜ合わせること並びに調和させることができる。
【0091】
この発明は特定の実施態様の文脈において開示したけれども、当業者はこの発明がここで開示した特定の実施態様を越えて、他の実施態様および/もしくは使用法および明白な改良およびその均等物に拡張することを理解するであろう。したがって、この発明は本願中の好ましい実施態様の特定の開示によって限定することを意図していないが、その代わりに添付した請求項中の実施例としての発明の真の範囲および精神の中から生じる、すべての改良および別の選択肢を含む。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は好ましい実施態様による電解セルの略図である。
【図2】図2は好ましい実施態様によってナトリウムメトキシドを製造するために用いたナトリウムイオンを伝導する平板の膜と電解セルの略図である。
【図3】図3は同様の運転条件下でのNAS-EおよびNAS-Gの性能について明らかにしている図である。
【図4】図4はナトリウムメチレート溶液の電気抵抗における温度とナトリウムメチレートの濃度の影響を明らかにしている図である。
【図5】図5はナトリウムメチレートを製造するセルの全電圧下での陽極液および陰極液の再利用する流速の効果について明らかにした図である。
【図6】図6は一定の電流密度の下運転しているナトリウムメチレートを製造するセルの、電圧およびナトリウムメチレート溶液の濃度の時間による変化について明らかにした図である。
【図7】図7は異なった電流密度におけるナトリウムメチレートを製造するセルの電圧についてプロットしている。
【図8】図8はナトリウムメチレートを製造するセルの試験時間の関数として、陽極および陰極溶液の電圧と温度をプロットしたものである。
【図9】図9はナトリウムメトキシドを含むセルの陰極槽に窒素ガスを吹き込む開放型セルの試験である。
【図10】図10はナトリウムメチレート溶液の濃度に対するセルの推定される電圧のプロットである。
【図11】陽極液として純粋の苛性溶液を用いた場合の試験時間の関数として、セル電圧および陰極液のナトリウムメチレートの濃度の変化に関するプロットである。
【図12】陽極液として純粋でない苛性溶液を用いた場合の試験時間の関数として、セル電圧および陰極液のナトリウムメチレートの濃度の変化に関するプロットである。
【図13】陽極液として純粋でない苛性溶液を用いた場合の試験時間の関数として、セル電圧および陰極液のナトリウムメチレートの濃度の変化に関するプロットである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナトリウムメチレート溶液を製造するための方法であって、この方法は:
メタノールもしくはメタノールに溶かしたナトリウムメチレートの希釈溶液を含む陰極液を電解セルの陰極液区画に供給すること;
1つもしくはそれ以上のナトリウム塩の水溶液をこのセルの陽極液区画に供給すること;並びに
このセルに電位を加えること、
ここで陽極液区画および陰極液区画は、電流が流れている場合にナトリウムカチオンを陽極液区画から陰極液区画に選択的に輸送し、並びに実質的に水が通り抜けないセラミックの膜によって分離されており;
そのために、ナトリウムメチレート溶液がこのセルの陰極液区画内に形成されることを含むナトリウムメチレート溶液を製造する方法。
【請求項2】
セラミックの膜が少なくとも約100mA/cm2の電流密度を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
セラミックの膜が少なくとも約500mA/cm2の電流密度を有する請求項2記載の方法。
【請求項4】
形成されたナトリウムメチレート溶液が質量換算で少なくとも0.1%の濃度を有する請求項1記載の方法。
【請求項5】
形成されたナトリウムメチレート溶液が質量換算で約25%から約28%の濃度を有する請求項4記載の方法。
【請求項6】
メタノールを陰極液区画に連続的にもしくは断続的に供給する並びにナトリウムメチレート溶液を陰極液区画から連続的にもしくは断続的に取り除く請求項1記載の方法。
【請求項7】
1つもしくはそれより多い水溶液を陽極液区画に連続的にもしくは断続的に供給する並びに水酸化ナトリウム希釈溶液および/もしくは水を陽極液区画から連続的にもしくは断続的に取り除く請求項1記載の方法。
【請求項8】
ナトリウムメチレート溶液は純粋および水銀を含む汚染が実質的に無い請求項1記載の方法。
【請求項9】
ナトリウムメチレート溶液は実質的に無色である請求項1記載の方法。
【請求項10】
ナトリウムメチレート溶液は実質的に無水物であり、ナトリウムメチレート溶液中の含水量は0.2%未満である請求項1記載の方法。
【請求項11】
セラミック膜は化学式M1M2A(BO4)3を有する材料を含み、M1およびM2はNa, Li, およびKから独立して選択し;並びにAおよびBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から独立して選択する請求項1記載の方法。
【請求項12】
陽極溶液および陰極溶液はそれらの騰点未満の温度である請求項1記載の方法。
【請求項13】
1つもしくはそれより多いナトリウム塩が、ナトリウムの無機および/もしくは有機塩、並びに2つもしくはそれより多いそういった塩の組み合わせからなる請求項1記載の方法。
【請求項14】
1つもしくはそれより多いナトリウム塩が、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、およびその他のナトリウムに基づく無機および有機塩からなる群より選択される請求項1記載の方法。
【請求項15】
請求項1の工程を用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項16】
請求項15のナトリウムメチレートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項17】
陽極溶液が、水酸化ナトリウムと隔膜セルの塩素アルカリ工程によって生成する塩化ナトリウムを含む請求項1の工程を用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項18】
膜材料がNaSICONのアルカリ類似体である請求項1の工程を用いてなるアルカリアルコラート。
【請求項19】
請求項18のアルカリアルコラートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項20】
請求項18の純粋でないアルカリ金属溶液を用いてなるアルカリアルコラート。
【請求項21】
膜が固体の平板の形である請求項1記載の方法。
【請求項22】
膜が管および多孔質によって支持される形状である請求項1記載の方法。
【請求項23】
膜が他のナトリウムイオン伝導性酸化材料で被覆されている請求項1記載の方法。
【請求項24】
セル内で発生したガスをエネルギー発生源および工程に2者択一的に供給する請求項1記載の方法。
【請求項25】
セルの陰極液区画を1つもしくはそれ以上の不活性もしくは不燃性ガスでパージする請求項1記載の方法。
【請求項26】
セラミック膜が化学式NaM2(BO4)3を有するセラミック材料を含み、M2はNa, Li, もしくはKであり;並びにBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から選択されるセラミック材料を含む請求項1記載の方法。
【請求項27】
セラミック膜が化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み、0≦x≦2; 0≦y≦2であり;M1, M2はNa, Li, およびKから独立して選択され;並びにA, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+を有する元素から独立して選択される請求項1記載の方法。
【請求項28】
セラミック膜が化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み0≦x≦2; 0≦y≦2であり;並びにM1, M2, A, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+を有する元素から独立して選択される請求項1記載の方法。
【請求項29】
セラミックの膜が化学式Na3Zr2Si2PO12を有するセラミック材料からなる請求項1記載の方法。
【請求項30】
セラミック膜が化学式Na5RESi4PO12を有するセラミック材料をふくみ、REはイットリウムもしくは希土類元素である請求項1記載の方法。
【請求項31】
陽極液のpHが1から14である請求項1記載の方法。
【請求項32】
ナトリウムメチレート溶液を製造するための電解セルであって;
陰極並びにメタノール、もしくはメタノールに溶解したナトリウムメチレートの希釈溶液を備える溶液を含む陰極液区画;
陽極並びに1つもしくはそれより多いナトリウム塩を備える溶液を含む陽極液区画;並びに
陽極区画および陰極区画を分離し、セルを越えて電圧を加えるとナトリウムカチオンが陰極液区画から陽極液区画に流れるのを選択的に可能にし、実質的に水を通さず、少なくとも6時間および500時間以上の運転の間一定電流を維持するカチオン選択的セラミック膜
を備えるナトリウムメチレート溶液を製造するための電解セル。
【請求項33】
セラミック膜が少なくとも約100mA/cm2の電流密度を有する請求項32記載のセル。
【請求項34】
セラミック膜が少なくとも約500mA/cm2の電流密度を有する請求項33記載のセル。
【請求項35】
セラミック膜が化学式M1M2A(BO4)3を有する材料からなり、M1およびM2はNa, Li, およびKから独立して選択し;並びにAおよびBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から独立して選択する請求項32記載のセル。
【請求項36】
陽極溶液および陰極溶液がそれらの騰点未満の温度である請求項32記載のセル。
【請求項37】
セルが質量換算で少なくとも約0.1%の濃度のナトリウムメチレートを形成する請求項32記載のセル。
【請求項38】
セルが質量換算で約25%から約28%の濃度のナトリウムメチレートを形成する請求項37記載のセル。
【請求項39】
1つもしくはそれより多いナトリウム塩が無機および/もしくは有機塩、並びに2つもしくはそれ以上の組み合わせである請求項32記載のセル。
【請求項40】
1つもしくはそれより多いナトリウム塩が炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、およびその他のナトリウムに基づく無機および有機塩からなる群より選択される請求項32記載のセル。
【請求項41】
請求項32のセルを用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項42】
請求項42のナトリウムメチレートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項43】
陽極溶液が水酸化ナトリウムおよび隔膜セルの塩素アルカリ工程によって生成する塩化ナトリウムを含む請求項32のセルを用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項44】
膜材料がNaSICONのアルカリ類似体である請求項32のセルを用いてなるアルカリアルコラート。
【請求項45】
請求項44のアルカリアルコラートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項46】
請求項44の純粋でないアルカリ金属溶液からなるアルカリアルコラート。
【請求項47】
膜が固体の平板の形である請求項32の電解セル。
【請求項48】
膜が管状および多孔質支持体形状の形である請求項32記載の電解セル。
【請求項49】
膜が他のナトリウムイオン伝導性酸化材料で被覆されている請求項32記載の電解セル。
【請求項50】
セル内で発生したガスをエネルギー発生源および工程に2者択一的に供給する請求項32記載の電解セル。
【請求項51】
セルの陰極液区画を1つもしくはそれ以上の不活性もしくは不燃性ガスでパージする請求項32記載の電解セル。
【請求項52】
セラミック膜が化学式NaM2(BO4)3を有するセラミック材料を含み、M2はNa, Li, もしくはKであり;並びにBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から選択されるセラミック材料を含む請求項32記載の電解セル。
【請求項53】
セラミック膜は化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み0≦x≦2; 0≦y≦2であり; M1, M2, A, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+を有する元素から独立して選択される請求項32記載の電解セル。
【請求項54】
セラミック膜は化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み、0≦x≦2; 0≦y≦2であり; M1, M2, A, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+を有する元素から独立して選択される請求項32記載の電解セル。
【請求項55】
セラミックの膜が化学式Na3Zr2Si2PO12を有するセラミック材料を含む請求項32記載の電解セル。
【請求項56】
セラミック膜が化学式Na5RESi4PO12を有するセラミック材料をふくみ、REはイットリウムもしくは希土類元素である請求項32記載の電解セル。
【請求項57】
ナトリウムメチレート溶液を製造するための電解セルであって;
陰極並びにメタノールを備える陰極液区画;
陽極並びに1つもしくはそれより多いナトリウム塩を備える溶液を含む陽極液区画;並びに
陽極区画および陰極区画を分離し、セルを越えて電圧を加えるとナトリウムカチオンが陰極液区画から陽極液区画に流れるのを選択的に可能にし、実質的に水を通さず、少なくとも6時間および500時間以上の運転の間一定電流を維持するカチオン選択的セラミック膜を備えるナトリウムメチレート溶液を製造するための電解セル。
【請求項58】
セラミック膜が少なくとも500mA/cm2の電流密度を有する請求項57記載のセル。
【請求項59】
セラミック膜が化学式M1M2A(BO4)3を有する材料を含み、M1およびM2はNa, Li, およびKから独立して選択し;並びにAおよびBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から独立して選択する請求項57記載のセル。
【請求項60】
陽極溶液および陰極溶液がそれらの騰点未満の温度である請求項57記載のセル。
【請求項61】
セルが質量換算で少なくとも約0.1%の濃度のナトリウムメチレートを形成する請求項57記載のセル。
【請求項62】
セルが質量換算で約25%から約28%の濃度のナトリウムメチレートを形成する請求項61記載のセル。
【請求項63】
1つもしくはそれより多いのナトリウム塩がナトリウムの無機および/もしくは有機塩、並びに2つもしくはそれ以上のそういった塩の組み合わせである請求項57記載のセル。
【請求項64】
1つもしくはそれより多いナトリウム塩が炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、および有機ナトリウム塩、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、およびその他のナトリウムに基づく無機および有機塩からなる群より選択される請求項57記載のセル。
【請求項65】
請求項57のセルを用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項66】
請求項65のナトリウムメチレートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項67】
陽極溶液が、塩素アルカリ工程の隔膜セルによって生成する水酸化ナトリウムおよび塩化ナトリウムをふくむ請求項57のセルを用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項68】
膜の材料がNaSICONのアルカリ類似体である請求項57のセルを用いてなるアルカリアルコラート。
【請求項69】
請求項68のアルカリアルコラートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項70】
請求項68の純粋でないアルカリ金属溶液からなるアルカリアルコラート。
【請求項71】
膜が固体の平板の形である請求項57記載の電解セル。
【請求項72】
膜が管状および多孔質によって支持される形である請求項57記載の電解セル。
【請求項73】
膜を酸化物材料を伝導する他のナトリウムイオンによって被覆する請求項57記載の電解セル。
【請求項74】
セルから発生するガスを、エネルギー発生源および工程のいずれかに供給する請求項57記載の電解セル。
【請求項75】
セルの陰極区画を1つもしくはそれより多い不活性もしくは不燃性のガスによってパージする請求項57記載の電解セル。
【請求項76】
セラミック膜が化学式NaM2(BO4)3を有するセラミック材料を含み、M2はNa, Li, もしくはKであり;並びにBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から選択されるセラミック材料を含む請求項57記載の電解セル。
【請求項77】
セラミック膜は化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み0≦x≦2; 0≦y≦2であり;並びにM1, M2,がNa、LiおよびKから独立して選択され;並びにA, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から独立して選択される請求項57記載の電解セル。
【請求項78】
セラミック膜は化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み、0≦x≦2; 0≦y≦2であり; M1, M2, A, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から独立して選択される請求項57記載の電解セル。
【請求項79】
セラミックの膜が化学式Na3Zr2Si2PO12を有するセラミック材料を含む請求項57記載の電解セル。
【請求項80】
セラミック膜が化学式Na5RESi4PO12を有するセラミック材料をふくみ、REはイットリウムもしくは希土類元素である請求項57記載の電解セル。
【請求項1】
ナトリウムメチレート溶液を製造するための方法であって、この方法は:
メタノールもしくはメタノールに溶かしたナトリウムメチレートの希釈溶液を含む陰極液を電解セルの陰極液区画に供給すること;
1つもしくはそれ以上のナトリウム塩の水溶液をこのセルの陽極液区画に供給すること;並びに
このセルに電位を加えること、
ここで陽極液区画および陰極液区画は、電流が流れている場合にナトリウムカチオンを陽極液区画から陰極液区画に選択的に輸送し、並びに実質的に水が通り抜けないセラミックの膜によって分離されており;
そのために、ナトリウムメチレート溶液がこのセルの陰極液区画内に形成されることを含むナトリウムメチレート溶液を製造する方法。
【請求項2】
セラミックの膜が少なくとも約100mA/cm2の電流密度を有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
セラミックの膜が少なくとも約500mA/cm2の電流密度を有する請求項2記載の方法。
【請求項4】
形成されたナトリウムメチレート溶液が質量換算で少なくとも0.1%の濃度を有する請求項1記載の方法。
【請求項5】
形成されたナトリウムメチレート溶液が質量換算で約25%から約28%の濃度を有する請求項4記載の方法。
【請求項6】
メタノールを陰極液区画に連続的にもしくは断続的に供給する並びにナトリウムメチレート溶液を陰極液区画から連続的にもしくは断続的に取り除く請求項1記載の方法。
【請求項7】
1つもしくはそれより多い水溶液を陽極液区画に連続的にもしくは断続的に供給する並びに水酸化ナトリウム希釈溶液および/もしくは水を陽極液区画から連続的にもしくは断続的に取り除く請求項1記載の方法。
【請求項8】
ナトリウムメチレート溶液は純粋および水銀を含む汚染が実質的に無い請求項1記載の方法。
【請求項9】
ナトリウムメチレート溶液は実質的に無色である請求項1記載の方法。
【請求項10】
ナトリウムメチレート溶液は実質的に無水物であり、ナトリウムメチレート溶液中の含水量は0.2%未満である請求項1記載の方法。
【請求項11】
セラミック膜は化学式M1M2A(BO4)3を有する材料を含み、M1およびM2はNa, Li, およびKから独立して選択し;並びにAおよびBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から独立して選択する請求項1記載の方法。
【請求項12】
陽極溶液および陰極溶液はそれらの騰点未満の温度である請求項1記載の方法。
【請求項13】
1つもしくはそれより多いナトリウム塩が、ナトリウムの無機および/もしくは有機塩、並びに2つもしくはそれより多いそういった塩の組み合わせからなる請求項1記載の方法。
【請求項14】
1つもしくはそれより多いナトリウム塩が、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、およびその他のナトリウムに基づく無機および有機塩からなる群より選択される請求項1記載の方法。
【請求項15】
請求項1の工程を用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項16】
請求項15のナトリウムメチレートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項17】
陽極溶液が、水酸化ナトリウムと隔膜セルの塩素アルカリ工程によって生成する塩化ナトリウムを含む請求項1の工程を用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項18】
膜材料がNaSICONのアルカリ類似体である請求項1の工程を用いてなるアルカリアルコラート。
【請求項19】
請求項18のアルカリアルコラートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項20】
請求項18の純粋でないアルカリ金属溶液を用いてなるアルカリアルコラート。
【請求項21】
膜が固体の平板の形である請求項1記載の方法。
【請求項22】
膜が管および多孔質によって支持される形状である請求項1記載の方法。
【請求項23】
膜が他のナトリウムイオン伝導性酸化材料で被覆されている請求項1記載の方法。
【請求項24】
セル内で発生したガスをエネルギー発生源および工程に2者択一的に供給する請求項1記載の方法。
【請求項25】
セルの陰極液区画を1つもしくはそれ以上の不活性もしくは不燃性ガスでパージする請求項1記載の方法。
【請求項26】
セラミック膜が化学式NaM2(BO4)3を有するセラミック材料を含み、M2はNa, Li, もしくはKであり;並びにBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から選択されるセラミック材料を含む請求項1記載の方法。
【請求項27】
セラミック膜が化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み、0≦x≦2; 0≦y≦2であり;M1, M2はNa, Li, およびKから独立して選択され;並びにA, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+を有する元素から独立して選択される請求項1記載の方法。
【請求項28】
セラミック膜が化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み0≦x≦2; 0≦y≦2であり;並びにM1, M2, A, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+を有する元素から独立して選択される請求項1記載の方法。
【請求項29】
セラミックの膜が化学式Na3Zr2Si2PO12を有するセラミック材料からなる請求項1記載の方法。
【請求項30】
セラミック膜が化学式Na5RESi4PO12を有するセラミック材料をふくみ、REはイットリウムもしくは希土類元素である請求項1記載の方法。
【請求項31】
陽極液のpHが1から14である請求項1記載の方法。
【請求項32】
ナトリウムメチレート溶液を製造するための電解セルであって;
陰極並びにメタノール、もしくはメタノールに溶解したナトリウムメチレートの希釈溶液を備える溶液を含む陰極液区画;
陽極並びに1つもしくはそれより多いナトリウム塩を備える溶液を含む陽極液区画;並びに
陽極区画および陰極区画を分離し、セルを越えて電圧を加えるとナトリウムカチオンが陰極液区画から陽極液区画に流れるのを選択的に可能にし、実質的に水を通さず、少なくとも6時間および500時間以上の運転の間一定電流を維持するカチオン選択的セラミック膜
を備えるナトリウムメチレート溶液を製造するための電解セル。
【請求項33】
セラミック膜が少なくとも約100mA/cm2の電流密度を有する請求項32記載のセル。
【請求項34】
セラミック膜が少なくとも約500mA/cm2の電流密度を有する請求項33記載のセル。
【請求項35】
セラミック膜が化学式M1M2A(BO4)3を有する材料からなり、M1およびM2はNa, Li, およびKから独立して選択し;並びにAおよびBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から独立して選択する請求項32記載のセル。
【請求項36】
陽極溶液および陰極溶液がそれらの騰点未満の温度である請求項32記載のセル。
【請求項37】
セルが質量換算で少なくとも約0.1%の濃度のナトリウムメチレートを形成する請求項32記載のセル。
【請求項38】
セルが質量換算で約25%から約28%の濃度のナトリウムメチレートを形成する請求項37記載のセル。
【請求項39】
1つもしくはそれより多いナトリウム塩が無機および/もしくは有機塩、並びに2つもしくはそれ以上の組み合わせである請求項32記載のセル。
【請求項40】
1つもしくはそれより多いナトリウム塩が炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、およびその他のナトリウムに基づく無機および有機塩からなる群より選択される請求項32記載のセル。
【請求項41】
請求項32のセルを用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項42】
請求項42のナトリウムメチレートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項43】
陽極溶液が水酸化ナトリウムおよび隔膜セルの塩素アルカリ工程によって生成する塩化ナトリウムを含む請求項32のセルを用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項44】
膜材料がNaSICONのアルカリ類似体である請求項32のセルを用いてなるアルカリアルコラート。
【請求項45】
請求項44のアルカリアルコラートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項46】
請求項44の純粋でないアルカリ金属溶液からなるアルカリアルコラート。
【請求項47】
膜が固体の平板の形である請求項32の電解セル。
【請求項48】
膜が管状および多孔質支持体形状の形である請求項32記載の電解セル。
【請求項49】
膜が他のナトリウムイオン伝導性酸化材料で被覆されている請求項32記載の電解セル。
【請求項50】
セル内で発生したガスをエネルギー発生源および工程に2者択一的に供給する請求項32記載の電解セル。
【請求項51】
セルの陰極液区画を1つもしくはそれ以上の不活性もしくは不燃性ガスでパージする請求項32記載の電解セル。
【請求項52】
セラミック膜が化学式NaM2(BO4)3を有するセラミック材料を含み、M2はNa, Li, もしくはKであり;並びにBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から選択されるセラミック材料を含む請求項32記載の電解セル。
【請求項53】
セラミック膜は化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み0≦x≦2; 0≦y≦2であり; M1, M2, A, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+を有する元素から独立して選択される請求項32記載の電解セル。
【請求項54】
セラミック膜は化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み、0≦x≦2; 0≦y≦2であり; M1, M2, A, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+を有する元素から独立して選択される請求項32記載の電解セル。
【請求項55】
セラミックの膜が化学式Na3Zr2Si2PO12を有するセラミック材料を含む請求項32記載の電解セル。
【請求項56】
セラミック膜が化学式Na5RESi4PO12を有するセラミック材料をふくみ、REはイットリウムもしくは希土類元素である請求項32記載の電解セル。
【請求項57】
ナトリウムメチレート溶液を製造するための電解セルであって;
陰極並びにメタノールを備える陰極液区画;
陽極並びに1つもしくはそれより多いナトリウム塩を備える溶液を含む陽極液区画;並びに
陽極区画および陰極区画を分離し、セルを越えて電圧を加えるとナトリウムカチオンが陰極液区画から陽極液区画に流れるのを選択的に可能にし、実質的に水を通さず、少なくとも6時間および500時間以上の運転の間一定電流を維持するカチオン選択的セラミック膜を備えるナトリウムメチレート溶液を製造するための電解セル。
【請求項58】
セラミック膜が少なくとも500mA/cm2の電流密度を有する請求項57記載のセル。
【請求項59】
セラミック膜が化学式M1M2A(BO4)3を有する材料を含み、M1およびM2はNa, Li, およびKから独立して選択し;並びにAおよびBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から独立して選択する請求項57記載のセル。
【請求項60】
陽極溶液および陰極溶液がそれらの騰点未満の温度である請求項57記載のセル。
【請求項61】
セルが質量換算で少なくとも約0.1%の濃度のナトリウムメチレートを形成する請求項57記載のセル。
【請求項62】
セルが質量換算で約25%から約28%の濃度のナトリウムメチレートを形成する請求項61記載のセル。
【請求項63】
1つもしくはそれより多いのナトリウム塩がナトリウムの無機および/もしくは有機塩、並びに2つもしくはそれ以上のそういった塩の組み合わせである請求項57記載のセル。
【請求項64】
1つもしくはそれより多いナトリウム塩が炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、塩化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、および有機ナトリウム塩、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、およびその他のナトリウムに基づく無機および有機塩からなる群より選択される請求項57記載のセル。
【請求項65】
請求項57のセルを用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項66】
請求項65のナトリウムメチレートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項67】
陽極溶液が、塩素アルカリ工程の隔膜セルによって生成する水酸化ナトリウムおよび塩化ナトリウムをふくむ請求項57のセルを用いてなるナトリウムメチレート溶液。
【請求項68】
膜の材料がNaSICONのアルカリ類似体である請求項57のセルを用いてなるアルカリアルコラート。
【請求項69】
請求項68のアルカリアルコラートを用いてなるバイオディーゼル。
【請求項70】
請求項68の純粋でないアルカリ金属溶液からなるアルカリアルコラート。
【請求項71】
膜が固体の平板の形である請求項57記載の電解セル。
【請求項72】
膜が管状および多孔質によって支持される形である請求項57記載の電解セル。
【請求項73】
膜を酸化物材料を伝導する他のナトリウムイオンによって被覆する請求項57記載の電解セル。
【請求項74】
セルから発生するガスを、エネルギー発生源および工程のいずれかに供給する請求項57記載の電解セル。
【請求項75】
セルの陰極区画を1つもしくはそれより多い不活性もしくは不燃性のガスによってパージする請求項57記載の電解セル。
【請求項76】
セラミック膜が化学式NaM2(BO4)3を有するセラミック材料を含み、M2はNa, Li, もしくはKであり;並びにBは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から選択されるセラミック材料を含む請求項57記載の電解セル。
【請求項77】
セラミック膜は化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み0≦x≦2; 0≦y≦2であり;並びにM1, M2,がNa、LiおよびKから独立して選択され;並びにA, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から独立して選択される請求項57記載の電解セル。
【請求項78】
セラミック膜は化学式M1+xA2-xNyBxC3-xO12を有するセラミック材料を含み、0≦x≦2; 0≦y≦2であり; M1, M2, A, N, B, およびCは2+, 3+, 4+, もしくは5+の価数を有する元素から独立して選択される請求項57記載の電解セル。
【請求項79】
セラミックの膜が化学式Na3Zr2Si2PO12を有するセラミック材料を含む請求項57記載の電解セル。
【請求項80】
セラミック膜が化学式Na5RESi4PO12を有するセラミック材料をふくみ、REはイットリウムもしくは希土類元素である請求項57記載の電解セル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−517979(P2007−517979A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544064(P2006−544064)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/041587
【国際公開番号】WO2005/059205
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(506198171)アメリカン パシフィック コーポレイション (1)
【出願人】(500318449)セラマテック インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/041587
【国際公開番号】WO2005/059205
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(506198171)アメリカン パシフィック コーポレイション (1)
【出願人】(500318449)セラマテック インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
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