説明

イオン注入装置

【課題】 メカニカルスキャン方式のイオン注入装置において、基板のノッチ位置検出用の照明装置を構成する発光器に真空容器外から光を導くライトガイドを屈伸させずに済むようにする。
【解決手段】 照明装置40は、真空容器6外に設けられた光源42と、それからの光を真空容器6内へ導くライトガイド44と、真空容器6内に固定されていてライトガイド44で導かれた光48を放出する投光部46と、ホルダ駆動装置10の支持台18に取り付けられていて、ホルダ12がノッチ検出位置28に位置した状態で、投光部46からの光48を受ける受光部50と、それで受けた光を導くライトガイド52と、支持台18に取り付けられていてライトガイド52で導かれた光48を基板2の外周部に照射する発光器54とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板にイオンビームを照射してイオン注入を行う装置であって、ホルダおよびそれに保持された基板を機械的に走査する、いわゆるメカニカルスキャン方式のイオン注入装置に関し、より具体的には、ホルダに保持された基板のノッチ位置を検出するための照明装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入装置において、真空容器内に設けられたホルダ(これはプラテンとも呼ばれる。以下同様)に保持された基板(例えば半導体ウェーハ)の外周部に背面側から照明装置によって光を照射して当該外周部のシルエット(影絵または影絵状態の像。以下同様)を形成し、基板の前面側からカメラによって上記シルエットを撮影し、当該カメラからの画像データを処理して、基板の外周部に設けられたノッチ(切り欠き)の位置を検出する技術が既に提案されている(例えば特許文献1参照)。基板の外周部をシルエットにして撮影するのは、高いコントラストを得ることができ、小さなノッチでも検出しやすいからである。
【0003】
【特許文献1】特開平10−38539号公報(段落0004、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イオン注入装置においては、ホルダおよび基板は真空容器内の真空雰囲気中に存在するので、上記照明装置として、LED(発光ダイオード)等から成る照明灯を用いると、真空雰囲気中では気体による熱伝導および対流がないので、自分が発する熱で照明灯が壊れるという課題がある。
【0005】
上記課題を解決するためには、真空容器外に設けた光源からの光をライトガイド(例えば光ファイバー)を用いて真空容器内の発光器へ導いて、当該発光器からの光によって基板を照明する、という考えが採り得る。
【0006】
その場合、上記発光器は、基板およびホルダのできるだけ近傍に設けるのが好ましい。効率良く照明でき、かつ不要な影を発生させずに済むからである。
【0007】
ところが、イオン注入装置には、ホルダ駆動装置によって、ホルダおよび基板をイオンビームと交差する方向(これをY方向とする。これは例えば垂直方向)に機械的に走査する(換言すれば往復移動させる。以下同様)、いわゆるメカニカルスキャン方式のイオン注入装置である。
【0008】
メカニカルスキャン方式のイオン注入装置の場合は、上記発光器もホルダと共にY方向に走査されて往復移動することになる。その移動距離(即ちホルダの走査距離)は、基板の寸法が大きくなるにしたがって大きくなる。例えば、基板の直径が300mmの場合は400mm程度になる。また、走査頻度は、装置のスループット等に応じて大きくなる。例えば、最大で2秒間に1回程度の高頻度になる。
【0009】
従って、上記発光器の移動距離に応じた(移動距離を見込んだ)長いライトガイドが必要になり、当該ライトガイドはホルダおよび発光器の往復移動に伴って屈伸する。その結果、ライトガイドが屈曲したときにそれを収納するスペースを真空容器内に確保しなければならないので、真空容器ひいてはイオン注入装置が大型化する。
【0010】
また、長いライトガイドが繰り返し屈伸することによって、当該ライトガイドが真空容器等の構造物と接触して、パーティクル(粉塵)が発生する可能性がある。イオン注入装置においては、周知のように、クリーンなイオン注入を行うためにパーティクルの発生はできるだけ避けなければならない。
【0011】
更に、ライトガイドが繰り返し屈伸することによって、当該ライトガイドにストレスが生じてそれが破損する恐れがある。ライトガイドが破損しないとしても、光の透過率が落ちる恐れがある。
【0012】
そこでこの発明は、メカニカルスキャン方式のイオン注入装置において、基板のノッチ位置検出用の照明装置を構成する発光器に真空容器外から光を導くライトガイドを屈伸させずに済むようにすることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係るイオン注入装置は、真空容器内に設けられたホルダに保持された基板にイオンビームを照射してイオン注入を行うイオン注入装置であって、前記ホルダを前記イオンビームと交差するY方向に機械的に走査する機能を有するホルダ駆動装置と、前記ホルダに保持された基板の外周部に背面側から光を照射して当該外周部のシルエットを形成する照明装置と、前記基板の前面側から前記シルエットを撮影するカメラと、前記カメラからの画像データを処理して、前記基板の外周部に設けられたノッチの位置を検出する画像処理装置とを備えるイオン注入装置において、(A)前記ホルダ駆動装置は、(a)前記ホルダを支持するものであって前記Y方向のみに駆動される支持台を備えており、(b)かつ前記基板のノッチの位置を検出するノッチ検出位置に前記ホルダが位置した状態で前記支持台の位置を固定する機能を有しており、(B)前記照明装置は、(a)前記真空容器外に設けられていて光を発する光源と、(b)前記光源が発する光を前記真空容器内へ導く第1のライトガイドと、(c)前記真空容器内に固定されていて、前記第1のライトガイドで導かれた光を放出する投光部と、(d)前記支持台に取り付けられていて、前記ホルダが前記ノッチ検出位置に位置した状態で、前記投光部から放出された光を受ける受光部と、(e)前記受光部で受けた光を導く第2のライトガイドと、(f)前記支持台に取り付けられていて、前記第2のライトガイドで導かれた光を、前記ホルダに支持された基板の外周部に背面側から照射して前記シルエットを形成する発光器とを備えている、ことを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、ホルダがノッチ検出位置に位置した状態で、ホルダ駆動装置によって支持台の位置を固定して、投光部から放出された光を受光部で受けることができる。従って、発光器がホルダと共にY方向に走査される場合でも、基板のノッチ位置検出時には、真空容器外に設けられた光源からの光を、第1および第2のライトガイドを用いて、上記発光器に導くことができる。
【0015】
しかも、ライトガイドを、光源側の第1のライトガイドと、発光器側の第2のライトガイドとに分離しているので、発光器がホルダと共にY方向に走査されても、ライトガイドを屈伸させずに済む。
【0016】
前記基板のノッチの位置を検出する時に、遮蔽体を動かして当該遮蔽体によって、前記投光部と受光部との間を前記カメラから隠す遮蔽機構を備えていても良い。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、基板のノッチ位置検出用の照明装置を構成する発光器がホルダと共にY方向に走査される場合でも、基板のノッチ位置検出時には、真空容器外に設けられた光源からの光を、ライトガイドを用いて上記発光器に導くことができる。しかも、上記発光器がホルダと共にY方向に走査されてもライトガイドを屈伸させずに済む。
【0018】
その結果、ホルダの走査距離が長くなる場合でも、ライトガイドの長さを一定かつ最小のものにすることができる。また、ライトガイドが屈曲したときの収納スペースを真空容器内に確保する必要がないので、真空容器ひいてはイオン注入装置の大型化を抑制することができる。
【0019】
また、発光器がホルダと共に走査されてもライトガイドを屈伸させずに済むので、屈伸によってライトガイドが真空容器等の構造物と接触してパーティクルが発生するのを防止することができる。その結果、クリーンなイオン注入が可能になる。
【0020】
更に、ライトガイドに屈伸によるストレスが生じるのを防止することができる。その結果、ライトガイドの寿命を長くすることができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、前記投光部と受光部との間から漏れた光が前記カメラに入って前記シルエットを分かりにくくさせてしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、この発明の一実施形態に係るイオン注入装置のイオン注入時の状態の一例を示す側面図である。図2は、ノッチ位置検出時の状態の一例を示す側面図である。
【0023】
このイオン注入装置は、真空容器6内に設けられたホルダ12に保持された基板2にイオンビーム4を照射してイオン注入を行う装置である。
【0024】
1点で直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とすると、この実施形態では、イオンビーム4はZ方向に進行する。イオンビーム4はこの実施形態では、X方向(例えば水平方向)に走査されることによって、あるいは走査を経ることなく、X方向の寸法がY方向(例えば垂直方向)の寸法よりも大きいリボン状をしている。XZ平面内におけるイオンビーム4の面を主面と呼ぶことにする。
【0025】
基板2は、例えば図3に示す例のように、その外周部にノッチ(切り欠き)3を有している。ノッチ3の形状は図示例のものに限定されない。基板2は、例えば半導体ウェーハであるが、ノッチを有しているものであれば、ガラス基板等のその他の基板でも良い。また、基板2は、必ずしも不透明でなくても良く、背面側から光を照射することによってシルエットが形成される程度に光を遮るものであれば良い。
【0026】
このイオン注入装置は、ホルダ駆動装置10、照明装置40、カメラ32および画像処理装置36を備えている。
【0027】
ホルダ駆動装置10は、ホルダ12を、それに基板2を保持した状態で、矢印Cに示すように、イオンビーム4(より具体的にはその主面)と交差するY方向に所定の走査距離LY だけ機械的に走査する機能を有している。24は走査の上端、26は走査の下端である。具体的には、当該走査を行う走査装置22を有している。20はその軸である。即ちこのイオン注入装置は、メカニカルスキャン方式のイオン注入装置である。
【0028】
ホルダ駆動装置10は、この実施形態では更に、ホルダ12を基板2と共に基板2の中心部2aを中心にして矢印Aに示すように(またはその逆方向に)回転させるツイストモータ14と、ホルダ12を基板2およびツイストモータ14と共に矢印Bに示すように往復回転させて、ホルダ12および基板2を立てた状態と水平状態との間で回転させたり、ホルダ12および基板2のY方向からの傾き角度(チルト角)θを変化させたりするチルトモータ16と、ホルダ12等を支持する支持台18とを備えている。支持台18は、軸20の上端部に取り付けられていて、走査装置22によってY方向のみに駆動される。
【0029】
ホルダ駆動装置10は、基板2のノッチ3(図3参照)の位置を検出するノッチ検出位置28にホルダ12が位置した状態で、支持台の位置(Y方向における位置)を固定する機能を有している。ノッチ検出位置28は上記走査距離LY 以内にある。ホルダ12は、この実施形態では図2に示す例のように、ノッチ検出位置28において、チルトモータ16によって水平状態にされる。基板2のノッチ3の位置検出は、この実施形態では、ノッチ検出位置28においてホルダ12および基板2が水平状態にあるときに行われる。
【0030】
なお、ノッチ検出位置28は、図2に示す例ではホルダ12の表面のレベルで規定しているが、ホルダ12のその他の部分のレベルで規定しても良い。ノッチ検出位置28は、例えば、ホルダ12に対する基板2の入れ換えを行う基板搬送レベルと同じであるが、これに限られるものではない。
【0031】
照明装置40は、図2に示す例のように、ノッチ検出位置28において水平状態にあるホルダ12上の基板2の外周部に背面側(裏面側)から光48を照射して当該外周部のシルエットを形成するものである。この照明装置40の詳細は後述する。
【0032】
カメラ32は、この実施形態では、ノッチ検出位置28において水平状態にあるホルダ12上の基板2の前面側(表面側)から上記シルエットを撮影するものである。より具体的には、真空容器6の天井面6bであって、上記ホルダ12の中央上方の部分には、透明な窓板30が設けられており、カメラ32はその外部の近傍に設けられている。このカメラ32の視野34は、この実施形態では、ノッチ検出位置28において水平状態にある基板2の全体をカバーしているが、全体をカバーすることは必須ではなく、少なくとも、予想されるノッチ位置の角度範囲の外周部をカバーしておれば良い。
【0033】
カメラ32は、例えばCCDカメラであるが、その他のカメラでも良い。
【0034】
画像処理装置36は、真空容器6外に設けられていて、カメラ32からの画像データを処理して、基板2のノッチ3の位置を検出するものである。この画像処理装置36には、例えば、上記特許文献1に記載されているような公知の画像処理装置を用いることができる。
【0035】
照明装置40を詳述すると、照明装置40は、真空容器6外に設けられていて光を発する光源42と、この光源42が発する光を真空容器6内へ導く第1のライトガイド44と、真空容器6内(より具体的にはその底面6a内)に固定されていて、ライトガイド44で導かれた光48を放出する投光部46とを備えている。
【0036】
光源42は、LEDを用いたものでも良いし、ランプ等のその他の光源でも良い。ライトガイド44および後述するライトガイド52は、それぞれ、例えば複数本の光ファイバーを用いて構成されている。ライトガイド44が真空容器6を貫通する部分にはフィードスルー58が設けられている。投光部46は支持部材60によって所定の高さに固定されている。
【0037】
照明装置40は、更に、上記支持台18に取り付けられていて、ホルダ12が上記ノッチ検出位置28に位置する状態に支持台18が固定された状態で、上記投光部46に対面して、上記投光部46から放出された光48を受ける受光部50と、この受光部50で受けた光48を導く第2のライトガイド52と、上記支持台18に取り付けられていて、ライトガイド52で導かれた光48を、ホルダ12に保持された基板2の外周部に背面側から照射して上記シルエットを形成する発光器54とを備えている。受光部50は支持部材62によって支持台18に取り付けられている。
【0038】
発光器54は、例えば、特開平11−66930号公報に記載されている照明装置と似た構造をしている。即ちこの発光器54は、透明または透明に近いガラス、プラスチック等の導光材から成り、これに上記ライトガイド52が接続されていて、当該ライトガイド52で導かれた光48が内部に入射され、その光48を内部で繰り返し反射させて当該発光器54のほぼ全面から上方に放出するものである。光48の上方への放出効率を良くするために、発光器54の下面に、光48を上方へ反射させる反射面を有していても良い。
【0039】
発光器54は、上記光48を基板2にその近傍から効率良く照射することができるように、支持台18の上部に取り付けて、水平状態にあるホルダ12上の基板2の裏面の近傍に位置するように配置している。
【0040】
発光器54は、ノッチ3の位置を検出するためには、基板2の外周部に光48を照射することができれば良いので、この実施形態では図3に示す例のように、一部が切れたリング状をしている。この発光器54の外径は基板2の直径よりも大きく、内径は基板2の直径よりも小さくかつホルダ12の外径よりも大きくしている。一部が切れているのは、例えば図1に示す例のように、イオン注入時にホルダ12および基板2を立てたときに、それらが発光器54に当たるのを防止するためである。
【0041】
ホルダ12上に載置される基板2のノッチ3の位置は、通常はある程度の角度範囲内に入っているので、発光器54の一部が切れていても構わない。即ち、光48を必ずしも基板2の外周部の全周に照射する必要はなく、少なくとも一部分に照射すれば良い。発光器54がどの程度の角度範囲をカバーするようにするかは、ホルダ12上に載置される基板2のノッチ位置の変化範囲等との兼ね合いで決めれば良い。例えば、360度の1/3、1/2、2/3、3/4等でも良い。また、ホルダ12を立てたり水平にしたりする場合であって、360度をカバーする場合には、上記発光器54と他の照明装置とを併用しても良い。
【0042】
このイオン注入装置によれば、基板2のノッチ位置検出時には、ホルダ12がノッチ検出位置28に位置した状態で、ホルダ駆動装置10によって支持台18の位置を固定して、投光部46から放出された光48を空間を通して受光部50で受けることができる。従って、発光器54がホルダ12と共にY方向に走査される場合でも、基板2のノッチ位置検出時には、真空容器6外に設けられた光源42からの光48を、第1および第2のライトガイド44、52を通して、上記発光器54に導くことができる。
【0043】
しかも、ライトガイドを、光源42側(即ち固定側)の第1のライトガイド44と、発光器54側(即ち可動側)の第2のライトガイド52とに分離しているので、発光器54がホルダ12と共にY方向に走査されても、ライトガイド44、52を屈伸させずに済む。
【0044】
受光部50および発光器54は、上記のようにY方向のみに駆動される支持台18に取り付けられており、ホルダ12も同じ支持台18に支持されているので、ホルダ12がどの状態にあっても、例えば図1に示すように立ててY方向に走査されたり、図2に示すように水平状態にされても、受光部50、ライトガイド52および発光器54の相互の位置関係は不変であり、従ってライトガイド52は屈伸しない。ライトガイド44も、可動部に接続されていないので、屈伸しない。
【0045】
その結果、ホルダ12の走査距離LY が長くなる場合でも、ライトガイド44、52の長さを一定かつ最小のものにすることができる。また、ライトガイド44、52が屈曲したときの収納スペースを真空容器6内に確保する必要がないので、真空容器6ひいてはイオン注入装置の大型化を抑制することができる。特に近年は、イオン注入を行う基板が大型化する傾向にあり、それに伴って走査距離LY も長くなる傾向にあるので、かつスループットを高める等のために高頻度(高サイクル)で基板2を走査する傾向にあるので、上記のライトガイド44、52の長さを一定かつ最小のものにすることができる効果や、次に述べるライトガイド44、52を屈伸させずに済む効果は大きい。
【0046】
また、発光器54がホルダ12と共に走査されてもライトガイド44、52を屈伸させずに済むので、屈伸によってライトガイド44、52が真空容器6等の構造物と接触してパーティクルが発生するのを防止することができる。その結果、クリーンなイオン注入が可能になる。特に近年は、イオン注入によって半導体基板表面に形成する半導体デバイスは微細化する傾向が進んでおり、パーティクル発生は半導体デバイス製造の歩留まり低下に大きく影響するので、上記のパーティクル発生を防止する効果は大きい。
【0047】
更に、ライトガイド44、52に屈伸によるストレスが生じるのを防止することができる。その結果、ライトガイド44、52の寿命を長くすることができる。ライトガイドには光ファイバーが良く用いられるが、光ファイバーは屈伸によるストレスに弱いので、このようなストレスを防止する効果は大きい。
【0048】
なお、ノッチ検出位置28がY方向に複数ある場合は、それに対応させて、上記投光部46および受光部50の少なくとも一方を複数個設けて、当該複数の位置において、投光部46が発した光48を受光部50が受けるようにしても良い。ライトガイド44、52は、複数の投光部46、受光部50にそれぞれ共用しても良い。
【0049】
また、図2に示す例のように、基板2のノッチ位置検出時に、遮蔽体66を動かして遮蔽体66によって、投光部46と受光部50との間をカメラ32から隠す遮蔽機構64を備えていても良い。
【0050】
遮蔽機構64は、この例では、可動の遮蔽体66と、それを矢印Dで示すように前後に動かす駆動部68とを有していて、基板2のノッチ位置検出時は、遮蔽体66を前進させて遮蔽体66によって投光部46と受光部50との間をカメラ32から隠し(図2の状態)、イオン注入時は、遮蔽体66を後退させて遮蔽体66が受光部50等のY方向の移動の妨げにならないようにする。
【0051】
上記遮蔽機構64を設けることによって、投光部46と受光部50との間から漏れた光48がカメラ32に入って上記シルエットを分かりにくくさせてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の一実施形態に係るイオン注入装置のイオン注入時の状態の一例を示す側面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るイオン注入装置のノッチ位置検出時の状態の一例を示す側面図である。
【図3】図2中の基板、ホルダおよび発光器周りを示す平面図である。
【符号の説明】
【0053】
2 基板
3 ノッチ
4 イオンビーム
6 真空容器
10 ホルダ駆動装置
12 ホルダ
18 支持台
28 ノッチ検出位置
32 カメラ
36 画像処理装置
40 照明装置
42 光源
44 第1のライトガイド
46 投光部
48 光
50 受光部
52 第2のライトガイド
54 発光器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内に設けられたホルダに保持された基板にイオンビームを照射してイオン注入を行うイオン注入装置であって、
前記ホルダを前記イオンビームと交差するY方向に機械的に走査する機能を有するホルダ駆動装置と、
前記ホルダに保持された基板の外周部に背面側から光を照射して当該外周部のシルエットを形成する照明装置と、
前記基板の前面側から前記シルエットを撮影するカメラと、
前記カメラからの画像データを処理して、前記基板の外周部に設けられたノッチの位置を検出する画像処理装置とを備えるイオン注入装置において、
(A)前記ホルダ駆動装置は、
(a)前記ホルダを支持するものであって前記Y方向のみに駆動される支持台を備えており、
(b)かつ前記基板のノッチの位置を検出するノッチ検出位置に前記ホルダが位置した状態で前記支持台の位置を固定する機能を有しており、
(B)前記照明装置は、
(a)前記真空容器外に設けられていて光を発する光源と、
(b)前記光源が発する光を前記真空容器内へ導く第1のライトガイドと、
(c)前記真空容器内に固定されていて、前記第1のライトガイドで導かれた光を放出する投光部と、
(d)前記支持台に取り付けられていて、前記ホルダが前記ノッチ検出位置に位置した状態で、前記投光部から放出された光を受ける受光部と、
(e)前記受光部で受けた光を導く第2のライトガイドと、
(f)前記支持台に取り付けられていて、前記第2のライトガイドで導かれた光を、前記ホルダに支持された基板の外周部に背面側から照射して前記シルエットを形成する発光器とを備えている、ことを特徴とするイオン注入装置。
【請求項2】
前記基板のノッチの位置を検出する時に、遮蔽体を動かして当該遮蔽体によって、前記投光部と受光部との間を前記カメラから隠す遮蔽機構を備えている請求項1記載のイオン注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−92619(P2010−92619A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258718(P2008−258718)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(302054866)日新イオン機器株式会社 (161)
【Fターム(参考)】