イオン注入装置
【課題】
安価かつ簡素な装置構成にて、イオン源より発生するパーティクルの基板への混入が防止できるイオン注入装置を提供する。
【解決手段】
本発明のイオン注入装置IMは、イオンビーム引出し口14を介して重力方向Gと交差する方向にイオンビーム2を引き出すイオン源1と、基板4が搭載される搬送トレイ7と、少なくとも1つの開口部6を有し、搬送トレイ7に取り付けられたマスク5と、搬送トレイ7をイオンビーム2と交差する方向に移動させることで、マスク5に形成された開口部6を通して基板の所定領域にイオンビーム2を照射させる駆動機構とを備えている。そして、重力方向Gに沿ってイオンビーム引出し口14を見たときに、イオンビーム引出し口14の下面を覆うとともに、基板4へのイオンビーム2の照射を妨げない防塵板11を備えている。
安価かつ簡素な装置構成にて、イオン源より発生するパーティクルの基板への混入が防止できるイオン注入装置を提供する。
【解決手段】
本発明のイオン注入装置IMは、イオンビーム引出し口14を介して重力方向Gと交差する方向にイオンビーム2を引き出すイオン源1と、基板4が搭載される搬送トレイ7と、少なくとも1つの開口部6を有し、搬送トレイ7に取り付けられたマスク5と、搬送トレイ7をイオンビーム2と交差する方向に移動させることで、マスク5に形成された開口部6を通して基板の所定領域にイオンビーム2を照射させる駆動機構とを備えている。そして、重力方向Gに沿ってイオンビーム引出し口14を見たときに、イオンビーム引出し口14の下面を覆うとともに、基板4へのイオンビーム2の照射を妨げない防塵板11を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスクを介して基板の所定領域へのイオン注入を行うイオン注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の製造工程では、イオン注入装置が用いられている。昨今、この様なイオン注入装置では、高価なフォトレジストの代わりに、カーボンやシリコンからなる安価なマスクを利用して基板(例えば、シリコンウエハ)へのイオン注入を実施する為の技術開発が盛んに行われている。
【0003】
その一例として、特許文献1の図2に開示されるような質量分析型のイオン注入装置を用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公報 US7816239B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の質量分析型のイオン注入装置であれば、デバイスの製造精度を高めることはできるが、質量分析機能を達成する為の分析電磁石や分析スリットが必要となり、その分、装置価格が高くなる。
【0006】
一方、太陽電池の製造にあたっては、これまでの半導体デバイスの製造に用いられてきたような製造精度は必要とされていない。その為、特許文献1の図2に記載されている質量分析機能を有するイオン注入装置に代えて、フラットパネルディスプレイの製造で実績のある質量分析機能を有さないシャワータイプのイオン注入装置を用いることが考えられる。
【0007】
しかしながら、従来のシャワータイプのイオン注入装置では、重力方向に沿ってイオン源から真下にイオンビームを照射して、イオン源下方に配置された基板に対してイオン注入を行う装置構成であった為、例えば、イオン源のフィラメントより生じる金属パーティクルやイオン源のプラズマチャンバー内に堆積された堆積物が基板に混入してしまうといった問題があった。
【0008】
このようなパーティクル等の基板への混入を避ける為に、イオン源から引き出されたイオンビームを静電あるいは電場により偏向させてから基板に照射するといった装置構成に変更することも考えられるが、このような偏向手段を備えた装置構成にすると、装置構成が複雑になるとともに、装置価格が高くなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、安価かつ簡素な装置構成にて、イオン源より発生するパーティクルの基板への混入が防止できるイオン注入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のイオン注入装置は、イオンビーム引出し口を介して重力方向と交差する方向にイオンビームを引き出すイオン源と、基板が搭載される搬送トレイと、少なくとも1つの開口部を有し、前記搬送トレイに取り付けられたマスクと、前記搬送トレイを前記イオンビームと交差する方向に移動させることで、前記マスクに形成された開口部を通して前記基板の所定領域に前記イオンビームを照射させる駆動機構とを備えたイオン注入装置であって、重力方向に沿って前記イオンビーム引出し口を見たときに、前記イオンビーム引出し口の下面を覆うとともに、前記基板への前記イオンビームの照射を妨げない防塵板を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記したように重力方向に対してイオンビームを基板上に斜め照射するように構成するとともに、イオン源のイオンビーム引出し口下方を覆い、かつ、基板へのイオンビームの照射を妨げない防塵板を備えているので、安価かつ簡素な装置構成にて、イオン源より発生するパーティクルの基板への混入を防止することができる。
【0012】
また、前記マスクに形成された開口部は、前記イオン源より引き出されたイオンビームの引出し方向と平行となるように形成されていることが望ましい。
【0013】
上記したようにマスクの開口部を形成しておくと、開口部内でのイオンビームによるスパッタリングの発生を防止することができる。これによって、スパッタリングに伴うパーティクルが基板に混入するのを防止することができる。
【0014】
防塵板上に堆積したパーティクルが、防塵板から飛散するのを抑制する為に、前記防塵板には、その表面より上方に突出した起立部が形成されていることが望ましい。
【0015】
このような構成を用いると、防塵板からパーティクルが飛散しても、当該パーティクルが起立部に衝突して、再び防塵板上に堆積することが期待できる。
【0016】
また、防塵板から飛散するパーティクルを抑制する効果を向上させるには、前記起立部は、重力方向において前記イオン源と対向する前記防塵板の対向面の全周に渡って形成されていることが望ましい。
【0017】
一方で、基板へのパーティクルの混入を効率的に抑制するには、前記起立部は、重力方向から見たときに、前記搬送トレイの搬送方向において前記基板と対向配置された前記防塵板の端部に形成されていることが望ましい。
【0018】
このような構成を用いると、防塵板から飛散するパーティクルを効率良く抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
重力方向に対してイオンビームを基板上に斜め照射するように構成するとともに、イオン源のイオンビーム引出し口下方を覆い、かつ、基板へのイオンビームの照射を妨げない防塵板を備えているので、安価かつ簡素な装置構成にて、イオン源より発生するパーティクルの基板への混入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態におけるイオン注入装置全体を表す平面図である。
【図2】図1を重力方向から見たときの様子を表す平面図である。
【図3】搬送トレイ上に複数枚の基板が搭載される例を表す平面図で、(A)はZ方向に沿って複数枚の基板が搭載される例を表し、(B)はX方向に沿って複数枚の基板が搭載される例を表し、(C)はマトリックス状に基板が搭載される例を表す。
【図4】図1、図2に記載の防塵板の別の例で、(A)はXZ平面での防塵板の様子を表し、(B)は(A)に記載のA‐A線での断面図を表す。
【図5】図1、図2に記載の防塵板の異なる例で、(A)はXZ平面での防塵板の様子を表し、(B)はXY平面での防塵板の様子を表す。
【図6】図1、図2に記載の防塵板の更に別の例を表す平面図である。
【図7】図1、図2に記載の防塵板の更に異なる例を表す平面図である。
【図8】図7をX方向から見たときの様子を表す平面図である。
【図9】図1、図2に記載の防塵板の他の例を表す平面図である。
【図10】図9を重力方向から見たときの様子を表す平面図である。
【図11】図9、図10に記載の防塵板の変形例を表す平面図である。
【図12】図11を重力方向から見たときの様子を表す平面図である。
【図13】図1、図2に記載のイオン注入装置の変形例を表す平面図である。
【図14】図13の要部を重力方向から見たときの様子を表す平面図で、(A)はイオン源の駆動機構であり、(B)は防塵板の駆動機構を表す。
【図15】図1、図2に記載のイオン注入装置の別の変形例を表す平面図である。
【図16】図1、図2に記載のイオン注入装置に備えられたイオン源の内部の様子を表す平面図である。
【図17】図16に記載のイオン源の外観を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例において、各図に記載されるX軸の方向は基板の搬送方向であり、Y軸の方向は重力方向の反対方向である。そして、Z軸の方向はX軸とY軸の両軸の方向に直交する方向である。
【0022】
図1には本発明に係るイオン注入装置IMが描かれており、図2には図1を重力方向Gから見たときの様子が描かれている。図1、図2の記載を基に、本発明で用いられるイオン注入装置IMの装置構成について、以下に説明する。なお、図2では、図示を簡略化する為、イオン源1の記載を省略している。
【0023】
イオン源1は真空容器3の壁面に対して、図示されないボルトによって固定されている。イオン源1には、イオンビーム2を引き出す為のイオンビーム引出し口14が形成されており、ここから引き出されたイオンビーム2は、重力方向G(図1中、矢印Gで示す方向)に対して斜めに交差される方向に向けて進行する。
【0024】
XZ平面における断面の様子が、図2に破線で描かれているように、この例において、イオンビーム2は、Z方向に長く、X方向に短い、リボン状のイオンビームである。また、イオンビーム引出し口14の形状もこのようなイオンビーム2とほぼ同じ形状をしている。図2には重力方向Gからイオンビーム引出し口14を見たとき、その外形が後述する防塵板11上に投影されている様子が投影面17として描かれている。
【0025】
真空容器3内には基板4(例えば、円形状のシリコンウエハ)が搭載された搬送トレイ7が配置されており、この搬送トレイ7には基板4の上方(Y方向側)に3つの開口部6を有するマスク5が取り付けられている。搬送トレイ7は、真空容器3の壁面より支持される複数の車輪8上を、矢印Aで示される向きに往復搬送される。なお、マスク5のZ方向側に位置する側面は、開放されており、この部分を通して、図示されない搬送ロボットによって搬送トレイ7への基板4の搬入出が行われる。
【0026】
真空容器3の外側から内側への基板4の搬送については、従来のイオン注入装置で用いられている構成と同様のものが用いられる。具体的には、真空容器3の外側(大気側)に、複数枚の基板4が収納されたカセットを配置しておき、真空容器3の外側に配置された搬送ロボットにより、このカセットから真空容器3に連結された図示されない真空予備室内に基板4が搬送される。そして、真空予備室を真空雰囲気にした後、真空予備室内あるいは真空容器3内に配置された搬送ロボットにより、搬送トレイ7上に基板4が搬送される。基板4へのイオン注入処理後、搬送ロボットにより搬送トレイ7上から基板4が再び真空予備室内に搬送される。そして、真空予備室を大気雰囲気に戻した後、真空容器3の外側に設けられた搬送ロボットにより真空予備室からカセットに基板が収納される。なお、この構成に限らず、複数枚の基板4が収納されたカセットを、真空予備室を介して真空容器3内に搬送しておき、搬送ロボットを用いて真空容器3内でカセットから搬送トレイ7への基板4の搬入出を行うように構成しても良い。
【0027】
各車輪8は2つの同心円形状の部材で構成されており、より具体的には、Y方向において搬送トレイ7の下面を支持する径の小さな部材と、Z方向において搬送トレイ7の側面を支持する径の大きな部材とで構成されている。
【0028】
搬送トレイ7を挟んでZ方向側(図2中、右側)に配置される各車輪8は、真空容器3の壁面に連結されたシャフト9に対して、回転可能となるように支持されている。一方、搬送トレイ7の反対側に配置される各車輪8はシャフト9に連結され、さらにこのシャフト9が、真空シール13を介して真空容器3の外側に設けられたモータ10に連結されている。そして、このモータ10が回転することによってシャフト9に連結された車輪8が回転し、搬送トレイ7の搬送が行われる。なお、往復搬送を可能にする為、モータ10は正逆の回転が可能なものを用いることが望まれる。
【0029】
搬送トレイ7に搭載された基板4へのイオン注入処理は、搬送トレイ7がイオンビーム2と交差する方向に搬送されることで行われる。より詳細には、搬送トレイ7の搬送方向であるX方向と直交するZ方向において、イオンビーム2の寸法は基板4よりも大きい。その為、搬送トレイ7をX方向に沿ってイオンビーム2を横切るように搬送させることによって、基板4へのイオン注入処理を達成することができる。
【0030】
図1に示されるように、XY平面上でのイオンビーム2の引出し方向(図中、イオンビーム2が進行する方向)とマスク5に形成された開口部6の形状から、マスク5に形成された開口部6は、イオン源1より引き出されたイオンビーム2の引出し方向と平行となるように形成されていることがわかる。このような形状に開口部6を形成しておくと、開口部6内でのイオンビーム2によるスパッタリングの発生を防止することができる。これによって、スパッタリングに伴って発生するパーティクルが基板4に混入するのを防止することができる。
【0031】
イオン源1の下方には、イオン源1より飛散する金属のパーティクル等が基板4に混入するのを防止する為に防塵板11が配置されている。図2に描かれているように、この防塵板11には、少なくとも重力方向Gに沿って、イオンビーム引出し口14を見たときの投影面17が位置している。換言すると、重力方向Gからみた時に、防塵板11はイオンビーム引出し口14の下面を覆うように構成されている。また、この防塵板11は、基板4に照射されるイオンビーム2を妨げない位置に配置されているか、後述するようにイオンビーム2を妨げないように構成されている。
【0032】
イオンビーム引出し口14より飛散する金属のパーティクル等は、重力によって主にイオンビーム引出し口14の下方に飛散する。その為、少なくともイオンビーム引出し口14の下方をカバーするように防塵板11を配置あるいは構成にしておくことで、大部分のパーティクルを防塵板11で受けることが可能となる。
【0033】
また、一旦、防塵板11の上面に堆積されたパーティクルは、搬送トレイ7が搬送される際に起こる微小な風によって防塵板11より飛散することが考えられる。このような防塵板11から飛散するパーティクルが基板4に混入するのを抑制する為に、防塵板11には、その表面より上方に突出した起立部12が形成されている。このような起立部12によって、防塵板11から飛散したパーティクルが起立部12に衝突して、再び防塵板11に堆積することが期待できる。なお、基板4へのパーティクルの混入を考えた場合、重力方向Gから見たとき、搬送トレイ7の搬送方向であるX方向において、基板4と対向配置された防塵板11の端部に起立部12が形成されていることが望ましい。これは、パーティクルが防塵板11よりZ方向に飛散したとしても基板4への混入には直ちにつながらないが、X方向反対側に飛散した場合には基板4に混入する可能性が高まるからである。
【0034】
このように、重力方向Gに対してイオンビーム2を基板4上に斜め照射するように構成するとともに、イオン源1のイオンビーム引出し口14下方を覆い、かつ、基板4に照射されるイオンビーム2を妨げない防塵板11を備えているので、安価かつ簡素な装置構成にて、イオン源1より発生するパーティクルの基板への混入を防止することができる。
【0035】
これまでに説明した実施形態では、1枚の基板4が搬送トレイ7上に搭載される例を示したが、図3に示されるように複数枚の基板4が搬送トレイ7上に搭載されていても良い。図3(A)には、Z方向に2枚の基板4を並べた様子が描かれている。マスク5に形成された各開口部6とイオン源1より引き出されるイオンビーム2の長辺方向の寸法は、搬送トレイ7の搬送方向と直交する方向(この場合、Z方向)において、2枚の基板4の全域をカバーするように設定されている。その上で、先に説明した複数の車輪8、シャフト9、モータ10からなる駆動機構によって、イオンビーム2を横切るように、搬送トレイ7を搬送させることによって、基板4へのイオン注入処理が達成される。
【0036】
一方で、図3(B)に示すように、2枚の基板4をX方向に沿って搬送トレイ7上に並べておいても良い。図3(A)の例と同じく、マスク5に形成された開口部6とイオン源1より引き出される イオンビーム2の長辺方向の寸法は、搬送トレイ7の搬送方向と直交する方向(この場合、Z方向)において、基板4の全域をカバーするように設定されている。その上で、車輪8等からなる駆動機構によって、イオンビーム2を横切るように、搬送トレイ7を搬送させることで、基板4へのイオン注入処理が達成される。なお、ここでは搬送トレイ7に搭載される基板4の枚数を2枚としたが、これに限らず3枚以上にしても良い。さらに、図3(C)に示すように、基板4をマトリックス状に配置しておいても良い。また、基板4の形状は円形状ではなく、矩形状のものにしても良い。
【0037】
前述の実施形態では、重力方向Gからみて、防塵板11の基板4と対向する端部に起立部12が形成されていたが、防塵板11の構成はこれに限られない。この他に、図4〜図12に記載されるような構成を用いることが考えられる。
【0038】
図4(A)には真空容器3の側壁に図示されないボルトによって取り付けられた防塵板11が描かれており、図4(B)には図4(A)に記載のA−A線の断面図が描かれている。この防塵板11には、真空容器3に接する端部を除くその他の端部に起立部12が形成されている。このような構成を用いることで、防塵板11からのパーティクルの飛散抑制効果を高めることができる。また、防塵板11が真空容器3の側壁より離間した位置に配置されている場合には、防塵板11の端部全周に渡って起立部12を形成されておけば良い。
【0039】
また、起立部12が形成される場所は、防塵板11の端部でなくても良い。例えば、図5に示されるように、図1、図2を用いて説明した実施形態で起立部12が形成された防塵板11の端部よりもX方向に沿って真空容器3の壁面側にずれた場所であっても良い。このような構成であっても、図1、図2を用いて説明した実施形態と同様に、防塵板11からのパーティクルの飛散を抑制させることが期待できる。
【0040】
さらに、図6に示されるように、防塵板11の端部において、その一部分に起立部12が形成されているような構成であっても良い。その場合、起立部12の寸法は、Z方向において、搬送トレイ7上に搭載された基板4の全域を覆うような寸法であって、かつ、Z方向における防塵板11の長さよりも短くしておくことが考えられる。このような構成にしておくと、小さな寸法の起立部12を用いて、防塵板11からのパーティクルの飛散を抑制するだけでなく、基板4へのパーティクルの混入を防止することが期待できる。
【0041】
これまでの実施形態では、防塵板11は真空容器3のX方向における側壁に支持されていたが、これに限らずに、真空容器3の下面に支持されていても良い。
【0042】
図7には防塵板11が真空容器3の下面から支持されている例が描かれている。また、図8には、図7をX方向から見たときの様子が描かれている。なお、図8において、図示を簡略化する為、イオン源1の記載は省略されている。
【0043】
防塵板11を真空容器3の下面より支持する場合、図7に描かれるように、防塵板11を構成するY方向に伸びた脚の間に車輪8やシャフト9を配置しておく。そして、図8に描かれているように、Z方向に配置された脚の間を、搬送トレイ7が通過するように構成しておくことが考えられる。
【0044】
その他、防塵板11の構成としては、図9、図10に描かれる構成にすることも考えられる。ここでは、XZ平面において、防塵板11を真空容器3の全面に配置し、その一部にイオンビーム2を通過させる為の開口部18が形成された例が示されている。この場合、基板4に照射されるイオンビーム2のビーム量の減少を防止する為に、防塵板11に形成される開口部18の形状は、イオン源1より引き出されるイオンビーム2を遮らないような形状にしておく。なお、防塵板11は、全面配置に代えて部分的配置されるようにしても良い。例えば、図10において、Z方向において真空容器3との間に隙間を有するような構成にしておいても良い。
【0045】
また、図11、図12に記載されているように、図9、図10の防塵板11に形成された開口部18の周囲に起立部12を形成しておいても良い。このような起立部12によって、パーティクルが開口部18を通して下方領域に飛散することを防止できる。なお、ここでは、開口部18の全周に渡って起立部12が形成されているが、このような構成に限られない。開口部18の周囲において、その一部に起立部12が形成されていれば、パーティクルの下方領域への飛散抑制効果を得ることができる。
【0046】
これまでの実施形態では、イオン源1や防塵板11は固定されていたが、可動式のイオン源1や防塵板11を用いても良い。その例が図13、図14に描かれている。
【0047】
図13には、XY平面上でのイオン注入装置IMの様子が描かれている。そして、図14(A)には、図13のイオン源1を重力方向Gからみた時の様子が描かれており、図14(B)には、図13の防塵板11を重力方向Gからみた時の様子が描かれている。図14(A)に示されるように、イオン源1は、Z方向に位置する両側面がシャフト9に連結されている。一方側のシャフト9(図中、右側)は真空シール13を介して、真空容器3の外側に設けられたモータ10に連結されており、他方側のシャフト9(図中、左側)は真空容器3の壁面に取り付けられた軸受19によって回転可能に支持されている。このような構成のもと、モータ10を正逆に回転させることによって、イオン源1を矢印Bの向きに回転させることが可能となる。図13には、モータ10の回転によってイオン源1の姿勢とイオン源1から引き出されるイオンビーム2の方向が変化している様子が破線で描かれている。
【0048】
また、図14(B)に示されるように、防塵板11のX方向における端部は、真空シール13を介して真空容器3の外側に配置される。そして、図13に示されるように、防塵板11のZ方向における両側面にはラック15が形成されており、このラック15と噛み合うように、モータ10のシャフト9に連結されたピニオン16が防塵板11のZ方向における側壁に隣接して配置されている。このような構成において、モータ10を正逆に回転させることで、防塵板11を矢印Cの方向に移動させることが可能となる。なお、この場合、防塵板11の両側面に配置されたモータ10は、互いに同期しているものとする。
【0049】
このような構成によって、これまでの形状とは異なる形状の開口部6を有するマスク5を搬送トレイ7に取り付けたとしても、それに応じて、イオン源1からのイオンビーム2の照射角度や防塵板11の位置調整を行って、これまでに説明してきた実施形態と同様のイオン注入処理を達成することが可能となる。
【0050】
搬送トレイ7の搬送方向やリボン状のイオンビーム2の長辺、短辺の関係は、これまでに説明した実施形態の構成に限られない。例えば、図15に描かれるように、イオンビーム2の長辺方向をZ方向に、短辺方向をX方向に設定し、搬送トレイ7をイオンビーム2の長辺を横切って搬送されるように構成しておくことも考えられる。
【0051】
また、これまでに説明した実施形態では、XY平面で見たとき、起立部12の形状を略矩形状のものとしていたが、これを三角形状のものにしても良い。さらに、マスク5に形成された開口部6の数は3つに限られない。この開口部6の数は1つ以上あれば良い。
【0052】
イオン源1の構成としては、例えば、図16や図17に記載の構成が用いられる。図16は図1に記載のイオン注入装置IMに備えられたイオン源1の内部の様子を表す平面図であり、図17は図16のイオン源1の外観を表す斜視図である。これらの図をもとに、本発明に用いられるイオン源1の一例を説明する。
【0053】
図16に示されるイオン源1は、いわゆるバケット型イオン源と呼ばれるタイプのイオン源の一種である。
【0054】
このイオン源1は長方形状のプラズマ生成容器19を備えており、プラズマ生成容器19よりリボン状のイオンビーム2が引き出される。
【0055】
プラズマ生成容器19には図示されないバルブを介してガス源28が取り付けられており、このガス源28よりイオンビーム2の原料となるガス(例えば、PH3、B2H4、あるいは、水素やヘリウムによって希釈されたガス)の供給がなされる。なお、このガス源28には図示されないガス流量調節器(マスフローコントローラー)が接続されており、これによってガス源28からプラズマ生成容器19内部へのガスの供給量が調整されている。
【0056】
プラズマ生成容器19の一側面には、Z方向に沿って複数のU字型のフィラメント21が取り付けられている。これらのフィラメント21は、フィラメント21の端子間に接続される電源VFを用いて、各フィラメント21に流す電流量の調整が行えるように構成されている。このような構成にしておくことで、イオン源1より引き出されるイオンビーム2の電流密度分布調整が可能となる。
【0057】
フィラメント21に電流を流して、フィラメント21を加熱させることによって、そこから電子が放出される。この電子が、プラズマ生成容器19の内部に供給されたガス(PH3やB2H4等)に衝突してガスの電離を引き起こし、プラズマ生成容器19内にプラズマ22が生成される。
【0058】
このイオン源1には、プラズマ生成容器19の外壁に沿って複数の永久磁石20が取り付けられている。この永久磁石20の具体的な構成としては、図17に示されるようにプラズマ生成容器19の周囲に、イオンビーム引出し口14より引き出されるイオンビーム2の引出し方向(図中の矢印Dで示す方向)に沿って、プラズマ生成容器19に対向する永久磁石20の極性が交互に異なるように配置されている。この永久磁石20によって、プラズマ生成容器19の内部領域にカスプ磁場が形成され、フィラメント21より放出された電子が所定領域内に閉じ込められる。なお、永久磁石20は、図示されないホルダーに収納された状態で、このホルダーがプラズマ生成容器19に取り付けられている。
【0059】
イオン源1は引出し電極系として4枚の電極を有しており、プラズマ生成容器19からイオンビーム2の引出し方向に沿って加速電極24、引出し電極25、抑制電極26、接地電極27の順に配置されている。各電極とプラズマ生成容器19との電位は、複数の電源(V1〜V4)によって、それぞれ異なる値に設定されているとともに、各電極は絶縁フランジ23に電気的に独立して取り付けられている。
【0060】
引出し電極系として用いられる各電極には、例えば複数の丸孔が設けられており、これらの孔を通して、イオンビーム2の引出しが行なわれる。なお、引出し電極系として4枚の電極を有する構成のイオン源1が記載されているが、これに限らず、電極の枚数は少なくとも1枚以上あれば良い。また、フィラメント21の本数も複数本ではなく、1本であっても良い。
【0061】
このイオン源1のプラズマ生成容器19内には、一対の軽イオン捕捉用の永久磁石29が設けられており、この永久磁石29によって、プラズマ22より引き出されるイオンビーム2が通過する領域に、磁界30が形成されている。磁界30の磁束密度は、基板4に注入される所望のドーパントが磁界30を通過し、所望のドーパント以外の軽イオン(水素やヘリウムといった軽イオン)が磁界30内に捕捉されるような値に設定されている。このような軽イオン捕捉用の永久磁石29を設けておくことで、所望するドーパントを基板4に効率良く注入することができる。なお、軽イオン捕捉用の永久磁石29に代えて、電磁石を設けておいても良い。
【0062】
前述した以外に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行っても良いのはもちろんである。
【符号の説明】
【0063】
1・・・イオン源
2・・・イオンビーム
3・・・真空容器
4・・・基板
5・・・マスク
6・・・開口部
7・・・搬送トレイ
8・・・車輪
9・・・シャフト
10・・・モータ
11・・・防塵板
12・・・起立部
14・・・イオンビーム引出し口
IM・・・イオン注入装置
G・・・重力方向
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスクを介して基板の所定領域へのイオン注入を行うイオン注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の製造工程では、イオン注入装置が用いられている。昨今、この様なイオン注入装置では、高価なフォトレジストの代わりに、カーボンやシリコンからなる安価なマスクを利用して基板(例えば、シリコンウエハ)へのイオン注入を実施する為の技術開発が盛んに行われている。
【0003】
その一例として、特許文献1の図2に開示されるような質量分析型のイオン注入装置を用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公報 US7816239B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の質量分析型のイオン注入装置であれば、デバイスの製造精度を高めることはできるが、質量分析機能を達成する為の分析電磁石や分析スリットが必要となり、その分、装置価格が高くなる。
【0006】
一方、太陽電池の製造にあたっては、これまでの半導体デバイスの製造に用いられてきたような製造精度は必要とされていない。その為、特許文献1の図2に記載されている質量分析機能を有するイオン注入装置に代えて、フラットパネルディスプレイの製造で実績のある質量分析機能を有さないシャワータイプのイオン注入装置を用いることが考えられる。
【0007】
しかしながら、従来のシャワータイプのイオン注入装置では、重力方向に沿ってイオン源から真下にイオンビームを照射して、イオン源下方に配置された基板に対してイオン注入を行う装置構成であった為、例えば、イオン源のフィラメントより生じる金属パーティクルやイオン源のプラズマチャンバー内に堆積された堆積物が基板に混入してしまうといった問題があった。
【0008】
このようなパーティクル等の基板への混入を避ける為に、イオン源から引き出されたイオンビームを静電あるいは電場により偏向させてから基板に照射するといった装置構成に変更することも考えられるが、このような偏向手段を備えた装置構成にすると、装置構成が複雑になるとともに、装置価格が高くなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、安価かつ簡素な装置構成にて、イオン源より発生するパーティクルの基板への混入が防止できるイオン注入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のイオン注入装置は、イオンビーム引出し口を介して重力方向と交差する方向にイオンビームを引き出すイオン源と、基板が搭載される搬送トレイと、少なくとも1つの開口部を有し、前記搬送トレイに取り付けられたマスクと、前記搬送トレイを前記イオンビームと交差する方向に移動させることで、前記マスクに形成された開口部を通して前記基板の所定領域に前記イオンビームを照射させる駆動機構とを備えたイオン注入装置であって、重力方向に沿って前記イオンビーム引出し口を見たときに、前記イオンビーム引出し口の下面を覆うとともに、前記基板への前記イオンビームの照射を妨げない防塵板を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記したように重力方向に対してイオンビームを基板上に斜め照射するように構成するとともに、イオン源のイオンビーム引出し口下方を覆い、かつ、基板へのイオンビームの照射を妨げない防塵板を備えているので、安価かつ簡素な装置構成にて、イオン源より発生するパーティクルの基板への混入を防止することができる。
【0012】
また、前記マスクに形成された開口部は、前記イオン源より引き出されたイオンビームの引出し方向と平行となるように形成されていることが望ましい。
【0013】
上記したようにマスクの開口部を形成しておくと、開口部内でのイオンビームによるスパッタリングの発生を防止することができる。これによって、スパッタリングに伴うパーティクルが基板に混入するのを防止することができる。
【0014】
防塵板上に堆積したパーティクルが、防塵板から飛散するのを抑制する為に、前記防塵板には、その表面より上方に突出した起立部が形成されていることが望ましい。
【0015】
このような構成を用いると、防塵板からパーティクルが飛散しても、当該パーティクルが起立部に衝突して、再び防塵板上に堆積することが期待できる。
【0016】
また、防塵板から飛散するパーティクルを抑制する効果を向上させるには、前記起立部は、重力方向において前記イオン源と対向する前記防塵板の対向面の全周に渡って形成されていることが望ましい。
【0017】
一方で、基板へのパーティクルの混入を効率的に抑制するには、前記起立部は、重力方向から見たときに、前記搬送トレイの搬送方向において前記基板と対向配置された前記防塵板の端部に形成されていることが望ましい。
【0018】
このような構成を用いると、防塵板から飛散するパーティクルを効率良く抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
重力方向に対してイオンビームを基板上に斜め照射するように構成するとともに、イオン源のイオンビーム引出し口下方を覆い、かつ、基板へのイオンビームの照射を妨げない防塵板を備えているので、安価かつ簡素な装置構成にて、イオン源より発生するパーティクルの基板への混入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態におけるイオン注入装置全体を表す平面図である。
【図2】図1を重力方向から見たときの様子を表す平面図である。
【図3】搬送トレイ上に複数枚の基板が搭載される例を表す平面図で、(A)はZ方向に沿って複数枚の基板が搭載される例を表し、(B)はX方向に沿って複数枚の基板が搭載される例を表し、(C)はマトリックス状に基板が搭載される例を表す。
【図4】図1、図2に記載の防塵板の別の例で、(A)はXZ平面での防塵板の様子を表し、(B)は(A)に記載のA‐A線での断面図を表す。
【図5】図1、図2に記載の防塵板の異なる例で、(A)はXZ平面での防塵板の様子を表し、(B)はXY平面での防塵板の様子を表す。
【図6】図1、図2に記載の防塵板の更に別の例を表す平面図である。
【図7】図1、図2に記載の防塵板の更に異なる例を表す平面図である。
【図8】図7をX方向から見たときの様子を表す平面図である。
【図9】図1、図2に記載の防塵板の他の例を表す平面図である。
【図10】図9を重力方向から見たときの様子を表す平面図である。
【図11】図9、図10に記載の防塵板の変形例を表す平面図である。
【図12】図11を重力方向から見たときの様子を表す平面図である。
【図13】図1、図2に記載のイオン注入装置の変形例を表す平面図である。
【図14】図13の要部を重力方向から見たときの様子を表す平面図で、(A)はイオン源の駆動機構であり、(B)は防塵板の駆動機構を表す。
【図15】図1、図2に記載のイオン注入装置の別の変形例を表す平面図である。
【図16】図1、図2に記載のイオン注入装置に備えられたイオン源の内部の様子を表す平面図である。
【図17】図16に記載のイオン源の外観を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施例において、各図に記載されるX軸の方向は基板の搬送方向であり、Y軸の方向は重力方向の反対方向である。そして、Z軸の方向はX軸とY軸の両軸の方向に直交する方向である。
【0022】
図1には本発明に係るイオン注入装置IMが描かれており、図2には図1を重力方向Gから見たときの様子が描かれている。図1、図2の記載を基に、本発明で用いられるイオン注入装置IMの装置構成について、以下に説明する。なお、図2では、図示を簡略化する為、イオン源1の記載を省略している。
【0023】
イオン源1は真空容器3の壁面に対して、図示されないボルトによって固定されている。イオン源1には、イオンビーム2を引き出す為のイオンビーム引出し口14が形成されており、ここから引き出されたイオンビーム2は、重力方向G(図1中、矢印Gで示す方向)に対して斜めに交差される方向に向けて進行する。
【0024】
XZ平面における断面の様子が、図2に破線で描かれているように、この例において、イオンビーム2は、Z方向に長く、X方向に短い、リボン状のイオンビームである。また、イオンビーム引出し口14の形状もこのようなイオンビーム2とほぼ同じ形状をしている。図2には重力方向Gからイオンビーム引出し口14を見たとき、その外形が後述する防塵板11上に投影されている様子が投影面17として描かれている。
【0025】
真空容器3内には基板4(例えば、円形状のシリコンウエハ)が搭載された搬送トレイ7が配置されており、この搬送トレイ7には基板4の上方(Y方向側)に3つの開口部6を有するマスク5が取り付けられている。搬送トレイ7は、真空容器3の壁面より支持される複数の車輪8上を、矢印Aで示される向きに往復搬送される。なお、マスク5のZ方向側に位置する側面は、開放されており、この部分を通して、図示されない搬送ロボットによって搬送トレイ7への基板4の搬入出が行われる。
【0026】
真空容器3の外側から内側への基板4の搬送については、従来のイオン注入装置で用いられている構成と同様のものが用いられる。具体的には、真空容器3の外側(大気側)に、複数枚の基板4が収納されたカセットを配置しておき、真空容器3の外側に配置された搬送ロボットにより、このカセットから真空容器3に連結された図示されない真空予備室内に基板4が搬送される。そして、真空予備室を真空雰囲気にした後、真空予備室内あるいは真空容器3内に配置された搬送ロボットにより、搬送トレイ7上に基板4が搬送される。基板4へのイオン注入処理後、搬送ロボットにより搬送トレイ7上から基板4が再び真空予備室内に搬送される。そして、真空予備室を大気雰囲気に戻した後、真空容器3の外側に設けられた搬送ロボットにより真空予備室からカセットに基板が収納される。なお、この構成に限らず、複数枚の基板4が収納されたカセットを、真空予備室を介して真空容器3内に搬送しておき、搬送ロボットを用いて真空容器3内でカセットから搬送トレイ7への基板4の搬入出を行うように構成しても良い。
【0027】
各車輪8は2つの同心円形状の部材で構成されており、より具体的には、Y方向において搬送トレイ7の下面を支持する径の小さな部材と、Z方向において搬送トレイ7の側面を支持する径の大きな部材とで構成されている。
【0028】
搬送トレイ7を挟んでZ方向側(図2中、右側)に配置される各車輪8は、真空容器3の壁面に連結されたシャフト9に対して、回転可能となるように支持されている。一方、搬送トレイ7の反対側に配置される各車輪8はシャフト9に連結され、さらにこのシャフト9が、真空シール13を介して真空容器3の外側に設けられたモータ10に連結されている。そして、このモータ10が回転することによってシャフト9に連結された車輪8が回転し、搬送トレイ7の搬送が行われる。なお、往復搬送を可能にする為、モータ10は正逆の回転が可能なものを用いることが望まれる。
【0029】
搬送トレイ7に搭載された基板4へのイオン注入処理は、搬送トレイ7がイオンビーム2と交差する方向に搬送されることで行われる。より詳細には、搬送トレイ7の搬送方向であるX方向と直交するZ方向において、イオンビーム2の寸法は基板4よりも大きい。その為、搬送トレイ7をX方向に沿ってイオンビーム2を横切るように搬送させることによって、基板4へのイオン注入処理を達成することができる。
【0030】
図1に示されるように、XY平面上でのイオンビーム2の引出し方向(図中、イオンビーム2が進行する方向)とマスク5に形成された開口部6の形状から、マスク5に形成された開口部6は、イオン源1より引き出されたイオンビーム2の引出し方向と平行となるように形成されていることがわかる。このような形状に開口部6を形成しておくと、開口部6内でのイオンビーム2によるスパッタリングの発生を防止することができる。これによって、スパッタリングに伴って発生するパーティクルが基板4に混入するのを防止することができる。
【0031】
イオン源1の下方には、イオン源1より飛散する金属のパーティクル等が基板4に混入するのを防止する為に防塵板11が配置されている。図2に描かれているように、この防塵板11には、少なくとも重力方向Gに沿って、イオンビーム引出し口14を見たときの投影面17が位置している。換言すると、重力方向Gからみた時に、防塵板11はイオンビーム引出し口14の下面を覆うように構成されている。また、この防塵板11は、基板4に照射されるイオンビーム2を妨げない位置に配置されているか、後述するようにイオンビーム2を妨げないように構成されている。
【0032】
イオンビーム引出し口14より飛散する金属のパーティクル等は、重力によって主にイオンビーム引出し口14の下方に飛散する。その為、少なくともイオンビーム引出し口14の下方をカバーするように防塵板11を配置あるいは構成にしておくことで、大部分のパーティクルを防塵板11で受けることが可能となる。
【0033】
また、一旦、防塵板11の上面に堆積されたパーティクルは、搬送トレイ7が搬送される際に起こる微小な風によって防塵板11より飛散することが考えられる。このような防塵板11から飛散するパーティクルが基板4に混入するのを抑制する為に、防塵板11には、その表面より上方に突出した起立部12が形成されている。このような起立部12によって、防塵板11から飛散したパーティクルが起立部12に衝突して、再び防塵板11に堆積することが期待できる。なお、基板4へのパーティクルの混入を考えた場合、重力方向Gから見たとき、搬送トレイ7の搬送方向であるX方向において、基板4と対向配置された防塵板11の端部に起立部12が形成されていることが望ましい。これは、パーティクルが防塵板11よりZ方向に飛散したとしても基板4への混入には直ちにつながらないが、X方向反対側に飛散した場合には基板4に混入する可能性が高まるからである。
【0034】
このように、重力方向Gに対してイオンビーム2を基板4上に斜め照射するように構成するとともに、イオン源1のイオンビーム引出し口14下方を覆い、かつ、基板4に照射されるイオンビーム2を妨げない防塵板11を備えているので、安価かつ簡素な装置構成にて、イオン源1より発生するパーティクルの基板への混入を防止することができる。
【0035】
これまでに説明した実施形態では、1枚の基板4が搬送トレイ7上に搭載される例を示したが、図3に示されるように複数枚の基板4が搬送トレイ7上に搭載されていても良い。図3(A)には、Z方向に2枚の基板4を並べた様子が描かれている。マスク5に形成された各開口部6とイオン源1より引き出されるイオンビーム2の長辺方向の寸法は、搬送トレイ7の搬送方向と直交する方向(この場合、Z方向)において、2枚の基板4の全域をカバーするように設定されている。その上で、先に説明した複数の車輪8、シャフト9、モータ10からなる駆動機構によって、イオンビーム2を横切るように、搬送トレイ7を搬送させることによって、基板4へのイオン注入処理が達成される。
【0036】
一方で、図3(B)に示すように、2枚の基板4をX方向に沿って搬送トレイ7上に並べておいても良い。図3(A)の例と同じく、マスク5に形成された開口部6とイオン源1より引き出される イオンビーム2の長辺方向の寸法は、搬送トレイ7の搬送方向と直交する方向(この場合、Z方向)において、基板4の全域をカバーするように設定されている。その上で、車輪8等からなる駆動機構によって、イオンビーム2を横切るように、搬送トレイ7を搬送させることで、基板4へのイオン注入処理が達成される。なお、ここでは搬送トレイ7に搭載される基板4の枚数を2枚としたが、これに限らず3枚以上にしても良い。さらに、図3(C)に示すように、基板4をマトリックス状に配置しておいても良い。また、基板4の形状は円形状ではなく、矩形状のものにしても良い。
【0037】
前述の実施形態では、重力方向Gからみて、防塵板11の基板4と対向する端部に起立部12が形成されていたが、防塵板11の構成はこれに限られない。この他に、図4〜図12に記載されるような構成を用いることが考えられる。
【0038】
図4(A)には真空容器3の側壁に図示されないボルトによって取り付けられた防塵板11が描かれており、図4(B)には図4(A)に記載のA−A線の断面図が描かれている。この防塵板11には、真空容器3に接する端部を除くその他の端部に起立部12が形成されている。このような構成を用いることで、防塵板11からのパーティクルの飛散抑制効果を高めることができる。また、防塵板11が真空容器3の側壁より離間した位置に配置されている場合には、防塵板11の端部全周に渡って起立部12を形成されておけば良い。
【0039】
また、起立部12が形成される場所は、防塵板11の端部でなくても良い。例えば、図5に示されるように、図1、図2を用いて説明した実施形態で起立部12が形成された防塵板11の端部よりもX方向に沿って真空容器3の壁面側にずれた場所であっても良い。このような構成であっても、図1、図2を用いて説明した実施形態と同様に、防塵板11からのパーティクルの飛散を抑制させることが期待できる。
【0040】
さらに、図6に示されるように、防塵板11の端部において、その一部分に起立部12が形成されているような構成であっても良い。その場合、起立部12の寸法は、Z方向において、搬送トレイ7上に搭載された基板4の全域を覆うような寸法であって、かつ、Z方向における防塵板11の長さよりも短くしておくことが考えられる。このような構成にしておくと、小さな寸法の起立部12を用いて、防塵板11からのパーティクルの飛散を抑制するだけでなく、基板4へのパーティクルの混入を防止することが期待できる。
【0041】
これまでの実施形態では、防塵板11は真空容器3のX方向における側壁に支持されていたが、これに限らずに、真空容器3の下面に支持されていても良い。
【0042】
図7には防塵板11が真空容器3の下面から支持されている例が描かれている。また、図8には、図7をX方向から見たときの様子が描かれている。なお、図8において、図示を簡略化する為、イオン源1の記載は省略されている。
【0043】
防塵板11を真空容器3の下面より支持する場合、図7に描かれるように、防塵板11を構成するY方向に伸びた脚の間に車輪8やシャフト9を配置しておく。そして、図8に描かれているように、Z方向に配置された脚の間を、搬送トレイ7が通過するように構成しておくことが考えられる。
【0044】
その他、防塵板11の構成としては、図9、図10に描かれる構成にすることも考えられる。ここでは、XZ平面において、防塵板11を真空容器3の全面に配置し、その一部にイオンビーム2を通過させる為の開口部18が形成された例が示されている。この場合、基板4に照射されるイオンビーム2のビーム量の減少を防止する為に、防塵板11に形成される開口部18の形状は、イオン源1より引き出されるイオンビーム2を遮らないような形状にしておく。なお、防塵板11は、全面配置に代えて部分的配置されるようにしても良い。例えば、図10において、Z方向において真空容器3との間に隙間を有するような構成にしておいても良い。
【0045】
また、図11、図12に記載されているように、図9、図10の防塵板11に形成された開口部18の周囲に起立部12を形成しておいても良い。このような起立部12によって、パーティクルが開口部18を通して下方領域に飛散することを防止できる。なお、ここでは、開口部18の全周に渡って起立部12が形成されているが、このような構成に限られない。開口部18の周囲において、その一部に起立部12が形成されていれば、パーティクルの下方領域への飛散抑制効果を得ることができる。
【0046】
これまでの実施形態では、イオン源1や防塵板11は固定されていたが、可動式のイオン源1や防塵板11を用いても良い。その例が図13、図14に描かれている。
【0047】
図13には、XY平面上でのイオン注入装置IMの様子が描かれている。そして、図14(A)には、図13のイオン源1を重力方向Gからみた時の様子が描かれており、図14(B)には、図13の防塵板11を重力方向Gからみた時の様子が描かれている。図14(A)に示されるように、イオン源1は、Z方向に位置する両側面がシャフト9に連結されている。一方側のシャフト9(図中、右側)は真空シール13を介して、真空容器3の外側に設けられたモータ10に連結されており、他方側のシャフト9(図中、左側)は真空容器3の壁面に取り付けられた軸受19によって回転可能に支持されている。このような構成のもと、モータ10を正逆に回転させることによって、イオン源1を矢印Bの向きに回転させることが可能となる。図13には、モータ10の回転によってイオン源1の姿勢とイオン源1から引き出されるイオンビーム2の方向が変化している様子が破線で描かれている。
【0048】
また、図14(B)に示されるように、防塵板11のX方向における端部は、真空シール13を介して真空容器3の外側に配置される。そして、図13に示されるように、防塵板11のZ方向における両側面にはラック15が形成されており、このラック15と噛み合うように、モータ10のシャフト9に連結されたピニオン16が防塵板11のZ方向における側壁に隣接して配置されている。このような構成において、モータ10を正逆に回転させることで、防塵板11を矢印Cの方向に移動させることが可能となる。なお、この場合、防塵板11の両側面に配置されたモータ10は、互いに同期しているものとする。
【0049】
このような構成によって、これまでの形状とは異なる形状の開口部6を有するマスク5を搬送トレイ7に取り付けたとしても、それに応じて、イオン源1からのイオンビーム2の照射角度や防塵板11の位置調整を行って、これまでに説明してきた実施形態と同様のイオン注入処理を達成することが可能となる。
【0050】
搬送トレイ7の搬送方向やリボン状のイオンビーム2の長辺、短辺の関係は、これまでに説明した実施形態の構成に限られない。例えば、図15に描かれるように、イオンビーム2の長辺方向をZ方向に、短辺方向をX方向に設定し、搬送トレイ7をイオンビーム2の長辺を横切って搬送されるように構成しておくことも考えられる。
【0051】
また、これまでに説明した実施形態では、XY平面で見たとき、起立部12の形状を略矩形状のものとしていたが、これを三角形状のものにしても良い。さらに、マスク5に形成された開口部6の数は3つに限られない。この開口部6の数は1つ以上あれば良い。
【0052】
イオン源1の構成としては、例えば、図16や図17に記載の構成が用いられる。図16は図1に記載のイオン注入装置IMに備えられたイオン源1の内部の様子を表す平面図であり、図17は図16のイオン源1の外観を表す斜視図である。これらの図をもとに、本発明に用いられるイオン源1の一例を説明する。
【0053】
図16に示されるイオン源1は、いわゆるバケット型イオン源と呼ばれるタイプのイオン源の一種である。
【0054】
このイオン源1は長方形状のプラズマ生成容器19を備えており、プラズマ生成容器19よりリボン状のイオンビーム2が引き出される。
【0055】
プラズマ生成容器19には図示されないバルブを介してガス源28が取り付けられており、このガス源28よりイオンビーム2の原料となるガス(例えば、PH3、B2H4、あるいは、水素やヘリウムによって希釈されたガス)の供給がなされる。なお、このガス源28には図示されないガス流量調節器(マスフローコントローラー)が接続されており、これによってガス源28からプラズマ生成容器19内部へのガスの供給量が調整されている。
【0056】
プラズマ生成容器19の一側面には、Z方向に沿って複数のU字型のフィラメント21が取り付けられている。これらのフィラメント21は、フィラメント21の端子間に接続される電源VFを用いて、各フィラメント21に流す電流量の調整が行えるように構成されている。このような構成にしておくことで、イオン源1より引き出されるイオンビーム2の電流密度分布調整が可能となる。
【0057】
フィラメント21に電流を流して、フィラメント21を加熱させることによって、そこから電子が放出される。この電子が、プラズマ生成容器19の内部に供給されたガス(PH3やB2H4等)に衝突してガスの電離を引き起こし、プラズマ生成容器19内にプラズマ22が生成される。
【0058】
このイオン源1には、プラズマ生成容器19の外壁に沿って複数の永久磁石20が取り付けられている。この永久磁石20の具体的な構成としては、図17に示されるようにプラズマ生成容器19の周囲に、イオンビーム引出し口14より引き出されるイオンビーム2の引出し方向(図中の矢印Dで示す方向)に沿って、プラズマ生成容器19に対向する永久磁石20の極性が交互に異なるように配置されている。この永久磁石20によって、プラズマ生成容器19の内部領域にカスプ磁場が形成され、フィラメント21より放出された電子が所定領域内に閉じ込められる。なお、永久磁石20は、図示されないホルダーに収納された状態で、このホルダーがプラズマ生成容器19に取り付けられている。
【0059】
イオン源1は引出し電極系として4枚の電極を有しており、プラズマ生成容器19からイオンビーム2の引出し方向に沿って加速電極24、引出し電極25、抑制電極26、接地電極27の順に配置されている。各電極とプラズマ生成容器19との電位は、複数の電源(V1〜V4)によって、それぞれ異なる値に設定されているとともに、各電極は絶縁フランジ23に電気的に独立して取り付けられている。
【0060】
引出し電極系として用いられる各電極には、例えば複数の丸孔が設けられており、これらの孔を通して、イオンビーム2の引出しが行なわれる。なお、引出し電極系として4枚の電極を有する構成のイオン源1が記載されているが、これに限らず、電極の枚数は少なくとも1枚以上あれば良い。また、フィラメント21の本数も複数本ではなく、1本であっても良い。
【0061】
このイオン源1のプラズマ生成容器19内には、一対の軽イオン捕捉用の永久磁石29が設けられており、この永久磁石29によって、プラズマ22より引き出されるイオンビーム2が通過する領域に、磁界30が形成されている。磁界30の磁束密度は、基板4に注入される所望のドーパントが磁界30を通過し、所望のドーパント以外の軽イオン(水素やヘリウムといった軽イオン)が磁界30内に捕捉されるような値に設定されている。このような軽イオン捕捉用の永久磁石29を設けておくことで、所望するドーパントを基板4に効率良く注入することができる。なお、軽イオン捕捉用の永久磁石29に代えて、電磁石を設けておいても良い。
【0062】
前述した以外に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行っても良いのはもちろんである。
【符号の説明】
【0063】
1・・・イオン源
2・・・イオンビーム
3・・・真空容器
4・・・基板
5・・・マスク
6・・・開口部
7・・・搬送トレイ
8・・・車輪
9・・・シャフト
10・・・モータ
11・・・防塵板
12・・・起立部
14・・・イオンビーム引出し口
IM・・・イオン注入装置
G・・・重力方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビーム引出し口を介して重力方向と交差する方向にイオンビームを引き出すイオン源と、
基板が搭載される搬送トレイと、
少なくとも1つの開口部を有し、前記搬送トレイに取り付けられたマスクと、
前記搬送トレイを前記イオンビームと交差する方向に移動させることで、前記マスクに形成された開口部を通して前記基板の所定領域に前記イオンビームを照射させる駆動機構とを備えたイオン注入装置であって、
重力方向に沿って前記イオンビーム引出し口を見たときに、前記イオンビーム引出し口の下面を覆うとともに、前記基板へのイオンビームの照射を妨げない防塵板を備えていることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項2】
前記マスクに形成された開口部は、前記イオン源より引き出されたイオンビームの引出し方向と平行となるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のイオン注入装置。
【請求項3】
前記防塵板には、その表面より上方に突出した起立部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のイオン注入装置。
【請求項4】
前記起立部は、重力方向において前記イオン源と対向する前記防塵板の対向面の全周に渡って形成されていることを特徴とする請求項3記載のイオン注入装置。
【請求項5】
前記起立部は、重力方向から見たときに、前記搬送トレイの搬送方向において前記基板と対向配置された前記防塵板の端部に形成されていることを特徴とする請求項3記載のイオン注入装置。
【請求項1】
イオンビーム引出し口を介して重力方向と交差する方向にイオンビームを引き出すイオン源と、
基板が搭載される搬送トレイと、
少なくとも1つの開口部を有し、前記搬送トレイに取り付けられたマスクと、
前記搬送トレイを前記イオンビームと交差する方向に移動させることで、前記マスクに形成された開口部を通して前記基板の所定領域に前記イオンビームを照射させる駆動機構とを備えたイオン注入装置であって、
重力方向に沿って前記イオンビーム引出し口を見たときに、前記イオンビーム引出し口の下面を覆うとともに、前記基板へのイオンビームの照射を妨げない防塵板を備えていることを特徴とするイオン注入装置。
【請求項2】
前記マスクに形成された開口部は、前記イオン源より引き出されたイオンビームの引出し方向と平行となるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のイオン注入装置。
【請求項3】
前記防塵板には、その表面より上方に突出した起立部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のイオン注入装置。
【請求項4】
前記起立部は、重力方向において前記イオン源と対向する前記防塵板の対向面の全周に渡って形成されていることを特徴とする請求項3記載のイオン注入装置。
【請求項5】
前記起立部は、重力方向から見たときに、前記搬送トレイの搬送方向において前記基板と対向配置された前記防塵板の端部に形成されていることを特徴とする請求項3記載のイオン注入装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−199033(P2012−199033A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61731(P2011−61731)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(302054866)日新イオン機器株式会社 (161)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(302054866)日新イオン機器株式会社 (161)
【Fターム(参考)】
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