説明

イミド化合物の製造方法

本発明は、工業的製法として優れたイミド化合物塩酸塩の製造方法を提供するものである。
式(1):


で表される化合物またはそのエナンチオマーを親水性溶媒中、塩酸水溶液で処理し、結晶化することを特徴とする式(2)


で表されるイミド化合物塩酸塩またはそのエナンチオマーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は向精神性物質として有用な式(2)

で表されるイミド化合物塩酸塩またはそのエナンチオマーの製造方法に関する。
【背景技術】
遊離のイミド化合物(1)

をアセトン中、塩化水素2−プロパノールで処理し、結晶化することにより前記式(2)で表されるイミド化合物塩酸塩が製造されることが記載されている。しかしながら、工業的製法としては、用いる試剤の入手容易性、取り扱いやすさという点で十分満足すべきものではなかった(特開平5−17440号)。
【発明の開示】
本発明は、工業的製法として優れた前記イミド化合物塩酸塩の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、前記式(1)で表される化合物を親水性溶媒中、塩酸水溶液で処理し、結晶化することにより、温和で簡便な反応条件下、高収率で高品質の前記式(2)で表されるイミド化合物塩酸塩が得られることを見いだし、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]式(1)

で表される化合物またはそのエナンチオマーを親水性溶媒中、塩酸水溶液で処理し、結晶化することを特徴とする式(2)

で表されるイミド化合物塩酸塩またはそのエナンチオマーの製造方法、
[2]親水性溶媒がケトン性溶媒である上記1記載のイミド化合物塩酸塩の製造方法、
[3]親水性溶媒がアセトンである上記1記載のイミド化合物塩酸塩の製造方法、
[4]塩酸水溶液が1.8〜14.4%塩酸水溶液である上記1、2、3のいずれかに記載のイミド化合物塩酸塩の製造方法、
[5]塩酸水溶液が3.0〜5.0%塩酸水溶液である上記1、2、3のいずれかに記載のイミド化合物塩酸塩の製造方法、
に関する。
前記式(2)で表されるイミド化合物塩酸塩またはそのエナンチオマー(以下、これらを単に式(2)で表されるイミド化合物塩酸塩、あるいはイミド化合物塩酸塩(2)ということがある)は、前記式(1)で表される化合物またはそのエナンチオマー(以下、これらを単に式(1)で表される化合物、あるいは化合物(1)ということがある)の親水性溶液を塩酸水溶液で処理し、結晶化させることにより製造することができる。また、式(1)で表わされる化合物は、例えば特開平5−17440号記載の方法に準じて製造することができる。
親水性溶媒としては、ケトン性溶媒、エーテル系溶媒、アルコール性溶媒が挙げられ、好ましくはケトン性溶媒が挙げられる
ケトン性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノンなどの、炭素数6以下のジアルキルケトンが挙げられ、好ましくはアセトン、メチルエチルケトンが挙げられ、より好ましくはアセトンが挙げられる。
エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの炭素数6以下の環式エーテル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどの炭素数6以下の非環式ジアルキルエーテルが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランが挙げられる。
アルコール溶媒としては、2−プロパノール、エタノール、メタノール、エチレングリコールなどの炭素数6以下のアルコールが挙げられ、好ましくは2−プロパノールが挙げられる。
親水性溶媒の使用量としては、通常化合物(1)の3〜100倍量(重量)が挙げられる。好ましくは5〜30倍量(重量)が挙げられ、より好ましくは7〜15倍量(重量)が挙げられる。
化合物(1)を親水性溶媒に溶解する温度としては、通常0℃から還流温度までの範囲が挙げられる。好ましくは25℃から還流温度までの範囲が挙げられ、エーテル系溶媒以外の溶媒については、より好ましくは45℃から還流温度までの範囲が挙げられる。
塩酸水溶液の塩化水素濃度は特に限定されず、例えば0.3〜36%塩酸水溶液が挙げられる。好ましくは、(i)イミド化合物塩酸塩の結晶中の親水性溶媒量、(ii)イミド化合物塩酸塩の結晶中の不純物量、(iii)収率(表1参照)から、1.8〜14.4%塩酸水溶液、より好ましくは約3.0〜5.0%塩酸水溶液が挙げられる。
塩酸の当量数としては、化合物(1)に対して、通常0.9〜3当量が挙げられる。好ましくは1.0〜2.0当量が挙げられ、より好ましくは1.0〜1.3当量が挙げられる。
化合物(1)を親水性溶媒中、塩酸水溶液で処理し、結晶化する際の温度は特に限定されないが、冷却下あるいは加温しながら実施してもよく、通常0℃から還流温度までの範囲、好ましくは25℃から還流温度までの範囲、より好ましくは50℃から還流温度までの範囲で実施することができる。
化合物(1)の親水性溶媒溶液と塩酸水溶液の混合方法は特に限定されないが、例えば、化合物(1)の親水性溶媒溶液に塩酸水溶液を加える方法、塩酸水溶液に化合物(1)の親水性溶媒溶液を加える方法、化合物(1)の親水性溶媒溶液と塩酸水溶液とを一つの反応容器に同時に加える方法、化合物(1)の親水性溶媒溶液に、塩酸水溶液と親水性溶媒の混合溶液を加える方法、化合物(1)の親水性溶媒溶液を、塩酸水溶液と親水性溶媒の混合溶液に加える方法、などが挙げられる。
化合物(1)の親水性溶媒溶液と塩酸水溶液とを混合するのに要する時間は特に限定されないが、例えば、両者を一気に混合する方法、あるいは一方をもう一方に時間をかけて加えながら混合する方法などが挙げられる。通常は、一方をもう一方に時間をかけて加えながら混合する方法により行う。この場合の時間としては、例えば1分〜6時間が挙げられ、好ましくは、3分〜3時間が挙げられる。
塩酸処理操作により析出したイミド化合物塩酸塩の結晶を常法に従って、例えば濾過することにより前記式(2)で表されるイミド化合物塩酸塩を取り出すことができる。濾過する前の反応スラリーの温度は、特に限定されないが、通常は冷却下または加温下で保温することにより十分結晶析出させた後に濾過を行う。反応スラリーを保温する温度としては、通常−20〜60℃の範囲、好ましくは−10〜25℃、より好ましくは0〜10℃の範囲で選択することができる。
こうして取り出されたイミド化合物塩酸塩(2)は、乾燥することにより、溶媒を除いた形態として取り出すことができる。乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば減圧乾燥、常圧下の乾燥、窒素あるいは空気気流などの不活性ガスによる通気乾燥などが挙げられる。乾燥温度は特に限定されないが、冷却下または加温下で乾燥を行うことができる。好ましくは0〜50℃が挙げられる。
こうして得られた前記式(2)で表されるイミド化合物塩酸塩は、例えば精神分裂病などの治療剤として有用であることが知られている(特開平5−17440号公報)。
塩酸/溶媒のように塩酸ガスと溶媒とから(混合により)調整する必要がなく、入手容易で、安全性に優れ、操作性に優れた塩酸水溶液を用いることにより、前記式(1)で表される化合物からイミド化合物塩酸塩の工業的に有利な製造が可能になった。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【実施例1】

(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド(8.25g)を、アセトン(102g)中で加熱還流して溶解させ、アセトン溶液とした。3.6%塩酸水溶液(18.5g、1.1当量)を約55℃に保ちながら、この中へ、上で得たアセトン溶液を約15分間で滴下した。滴下終了後さらに、約60℃で1時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体を室温で減圧乾燥することにより、(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。収量7.5g(収率85%)。
【実施例2】
(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド(8.25g)を、アセトン(102g)中で加熱還流して溶解させ、アセトン溶液とした。このアセトン溶液に約55℃で、3.6%塩酸水溶液(18.5g、1.1当量)を約15分間で滴下した。さらに、約60℃で1時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体を室温で減圧乾燥することにより、(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。収量7.5g(収率85%)。
【実施例3】
実施例2において、3.6%塩酸水溶液(1.1当量)を1時間かけて滴下した。滴下時間以外は、実施例2と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例4】
(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド(3.5g)を、アセトン(43g)中で加熱還流して溶解させ、アセトン溶液とした。このアセトン溶液に、約55℃で、1.8%塩酸水溶液(1.1当量)を約5分間で滴下した。さらに、約60℃で1時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、同温度で1時間攪拌した後、濾過し、得られた固体を室温で減圧乾燥(45℃、5時間)することにより、(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例5】
実施例4の1.8%塩酸水溶液(1.1当量)の替わりに3.0%塩酸水溶液(1.1当量)を用いて、実施例4と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例6】
実施例4の1.8%塩酸水溶液(1.1当量)の替わりに3.6%塩酸水溶液(1.1当量)を用いて、実施例4と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例7】
実施例4の1.8%塩酸水溶液(1.1当量)の替わりに4.2%塩酸水溶液(1.1当量)を用いて、実施例4と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例8】
実施例4の1.8%塩酸水溶液(1.1当量)の替わりに5.0%塩酸水溶液(1.1当量)を用いて、実施例4と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例9】
実施例1の3.6%塩酸水溶液(1.1当量)の替わりに5.0%塩酸水溶液(1.1当量)を用いて、実施例1と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例10】
実施例2の3.6%塩酸水溶液(1.1当量)の替わりに、5.0%塩酸水溶液(1.1当量)を用い、1時間かけて滴下した。滴下時間、塩酸水溶液の濃度以外は、実施例2と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例11】
実施例4の1.8%塩酸水溶液(1.1当量)の替わりに7.2%塩酸水溶液(1.1当量)を用いて、実施例4と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例12】
実施例4の1.8%(1.1当量)塩酸水溶液の替わりに14.4%塩酸水溶液(1.1当量)を用いて、実施例4と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例13】
実施例4の1.8%塩酸水溶液(1.1当量)の替わりに36%塩酸水溶液(1.1当量)を用いて、実施例4と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
【実施例14】
実施例1において、(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド(8.25g)のアセトン溶液を、3.6%塩酸水溶液(18.5g、1.1当量)に1時間で滴下した。滴下方法以外は、実施例1と同様にして(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。
実施例1〜14で得られた(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩について分析を行い、結果を表1に纏めた。

結晶中のアセトン量はキャピラリーカラムとFID検出器を用いるガスクロマトグラフ分析、不純物量は逆相ODSカラムとUV検出器を用いる液体クロマトグラフ分析による値である。
【実施例15】
(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド(1.5g)を、テトラヒドロフラン(5.5g)中で加熱還流して溶解させ、テトラヒドロフラン溶液とした。この溶液に還流下、3.6%塩酸(6.18g)を加え、反応混合物を20℃まで冷却し、濾過し、得られた固体を室温で減圧乾燥することにより、(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。収量1.34g(収率83%)。
【実施例16】
(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド(2.0g)を、メチルエチルケトン(22g)中で約60℃に加熱して溶解させ、メチルエチルケトン溶液とした。この溶液に、約60℃で、3.6%塩酸(4.52g)を加え、反応混合物を0℃まで冷却し、濾過し、得られた固体を室温で減圧乾燥することにより、(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。収量0.84g(収率39%)。
【実施例17】
(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド(2.0g)を、2−プロパノール(200g)中で約80℃に加熱して溶解させ、2−プロパノール溶液とした。この溶液に、約80℃で、14.4%塩酸(1.54g)を加え、反応混合物を0℃まで冷却し、濾過し、得られた固体を室温で減圧乾燥することにより、(1R,2S,3R,4S)−N−[(1R,2R)−2−[4−(1,2−ベンズイソチアゾール−3−イル)−1−ピペラジニルメチル]−1−シクロヘキシルメチル]−2,3−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンジカルボキシイミド塩酸塩を得た。収量2.05g(収率95%)。
【産業上の利用可能性】
本発明により前記式(2)で表されるイミド化合物塩酸塩が、工業的に有利な方法で提供されることが可能になった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

で表される化合物またはそのエナンチオマーを親水性溶媒中、塩酸水溶液で処理し、結晶化することを特徴とする式(2)

で表されるイミド化合物塩酸塩またはそのエナンチオマーの製造方法。
【請求項2】
親水性溶媒がケトン性溶媒である請求項1記載のイミド化合物塩酸塩の製造方法。
【請求項3】
親水性溶媒がアセトンである請求項1記載のイミド化合物塩酸塩の製造方法。
【請求項4】
塩酸水溶液が1.8〜14.4%塩酸水溶液である請求項1、2、3のいずれかに記載のイミド化合物塩酸塩の製造方法。
【請求項5】
塩酸水溶液が3.0〜5.0%塩酸水溶液である請求項1、2、3のいずれかに記載のイミド化合物塩酸塩の製造方法。

【国際公開番号】WO2005/009999
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【発行日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512110(P2005−512110)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011035
【国際出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】