説明

イミノフラン単位を有する新規な三座配位子化合物と、この化合物の製造方法と、エチレンの単独重合およびα−オレフィンとの共重合用触媒の製造でのその使用

イミノフラン単位を有する新規な三座配位子化合物と、この化合物の製造方法と、エチレンの単独重合およびα−オレフィンとの共重合用触媒の製造でのその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミノ・フラン単位を有する新規な三座配位子(tridentate ligand)化合物と、この化合物の製造方法と、エチレンの単独重合およびアルファオレフィンとの共重合用触媒の製造でのその使用とに関するものである。
より正確には、本発明はエチレンの単独重合またはアルファオレフィンとの共重合用触媒として有用な金属錯体を製造するための新規のリガンド化合物の使用と、上記金属錯体を含む触媒系と、この触媒系を使用したエチレンの単独重合およびアルファオレフィンとの共重合方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
イミノフラン単位を有する中性の二座配位子は種々公知である。
特許文献1(米国特許第5,714,556号明細書)には下記リガンドが記載されている(リガンド78、第36欄):

【0003】
特許文献2(国際特許第WO00/50470号公報)または対応米国特許第6,545,108Bl号明細書)には下記リガンドが記載されている(リガンドal8、第28頁):

【0004】
(ここで、R3a、R2d、R2cおよびR2xは互いに異なる意味を有する)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,714,556号明細書
【特許文献2】国際特許第WO00/50470号公報または対応米国特許第6,545,108Bl号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、エチレンおよびα−オレフィン重合用の新規な触媒を製造するための別のリガンドを探索した。その結果、本発明の対象であるイミノフラン単位を有する新規な三座陰イオン配位子(tridentate anionic ligand)を見出した。
この新規な触媒を用いて得られるエチレンのホモポリマーは直鎖で、テールエンド(末端)が極めて短い、多分散度が3〜9のモノモダル(単峰)分布を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の対象は、下記式(I)の化合物にある:
【化1】

【0008】
(ここで、
1〜R8はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、置換または未置換のC1−C20ヒドロカルビル基、不活性官能基を表し、R1〜R8の各基はその基が結合した炭素原子と一緒に環を形成していてもよく、
YはOまたはNR*を表し、ここで、R*はC1〜C12アルキル基またはC6〜C12アリール基を表し、
mは0、1または2である)
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例23、24、26、29、31、33のGPC曲線。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ヒドロカルビル基にはメチル、tert-ブチルおよびフェニル基が含まれる。ヒドロカルビル基は酸素または窒素原子のような異種原子をその鎖中に含むことができる。ヒドロカルビル基の可能な置換基はCF3、NO2、OMeおよびハロゲン、例えばClの中から選択できる。
不活性官能基はCF3、NO2、OMeおよびハロゲンの中から選択できる。
1〜R3の各々はそれぞれ独立して水素およびアリール基から成る群の中から選択するのが好ましい。アリール基はフェニル、ナフチルおよび置換されたフェニル基の中から選択できる。
4は水素およびメチル基から成る群の中から選択するのが好ましい。
5〜R8は水素、アルキル、アリール、メトキシ、ハロゲン、ニトロおよびシアノから成る群の中からそれぞれ独立して選択するのが好ましい。
YはOであるのが好ましい。
mは0または1であるのが好ましい。
【0011】
式(I)の化合物の中では特に下記が挙げられる:
(1)2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
(2)4−メチル−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
(3)4−tert-ブチル−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−1]メチレンアミノ}フェノール、
(4)3−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}ビフェニル−4−オル、
(5)4−クロル−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
(6)2−{[5−(3−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
(7)4−ニトロ−2−{[5−(4−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
(8)2−{[5−(4−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
(9)2−{[5−(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
(10)2−{[5−(3−クロルフェニル)フラン−2−イル)]メチレンアミノ}フェノール、
(11)2−{[5−(2−クロルフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
(11)2−{[5−(4−クロルフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール。
【0012】
本発明の他の対象は上記定義の式(I)の化合物の製造方法にある。本発明方法は式(II)の化合物を下記式(III)の化合物と反応させることに特徴がある:

【0013】
(ここで、R1〜R4は上記定義のもの)

【0014】
(ここで、mは0、1または2であり、R5〜R8は上記定義のもの)
【0015】
反応の一般的条件は以下の通り:
(1)化合物(II)と化合物(III)をアルコール、例えばメタノールまたはエチルアルコール中で、触媒量の酢酸等のプロトン酸の存在下で、室温で反応させる。
(2)溶剤を減圧蒸発によって除去して化合物(I)を回収する。
(3)生成物をアルカン、例えばペンタンまたはヘキサン中で再結晶または洗浄する。
【0016】
本発明のさらに他の対象は、上記定義の化合物または上記方法で調製された化合物の金属錯体のリガンドとして使用にある。
本発明のさらに他の対象は、下記式(IV)の金属錯体にある:

【0017】
(ここで、
1〜R8、Yおよびmは上記定義のもの)
Mは周期律表の第3〜8族に属する金属であり、
Xはハロゲン、置換または未置換のC1〜C20ヒドロカルビル基、アミノ基、アリールオキシル基またはアルコキシ基を表し、
nは金属の酸化状態によって決まる数値−1である)
【0018】
1〜R8、Yおよびmの好ましい定義は式(I)の化合物で述べたのものと同じである。
Mは周期律表の第3〜8族に属する金属、特にTi、Cr、Fe、Zr、Hf、V、Mn、希土類金属、好ましくはTi、Cr、FeおよびZrの中から選択するのが好ましい。
【0019】
Xはハロゲン、ベンジル等のアルキル、ジメチルアミノ等のアミノ、イソプロポキシ等のアルコキシ、フェノキシ等のアリールオキシを表し、好ましくは塩素のようなハロゲンである。
【0020】
本発明のさらに他の対象は、上記定義の金属錯体の製造方法にある。本発明方法では下記式(V)の金属化合物:
MXn+1 (V)
(ここで、M、Xおよびnは上記定義のもの)
を上記定義の式(I)のリガンドと反応させる。
【0021】
この反応の一般的条件は以下の通りである:
(1)任意工程として、化合物(I)を等モル量のナトリウムハイドライドまたはブチルリチウム等のデプロトネイテイング剤と、不活性雰囲気下でテトラヒドロフランまたはジエチルエーテル中で、低温で反応させる。
(2)得られた混合物または化合物(I)の溶液をテトラヒドロフランまたはジエチルエーテル中で化合物(V)に室温で撹拌下に加える。
(3)減圧蒸留して溶剤を除去する。
(4)任意工程として、残渣を他の溶剤、例えばトルエンまたはジクロロメタン中に溶かし、溶液を濾過してナトリウム塩またはリチウム塩を除去し、濾液を蒸発させて化合物(IV)を回収する。
【0022】
本発明のさらに他の対象は、エチレンの単独重合およびそれとα−オレフィンとの共重合での触媒としての上記定義金属錯体または上記定義の方法で調製された金属錯体の使用にある。α−オレフィンの典型例は3〜8個の炭素原子を有するもの、好ましくはプロピレンである。
【0023】
本発明のさらに他の対象は、下記(1)〜(3)から成る触媒系にある:
(1)上記定義の金属錯体、
(2)アルキルアルミニウム、アルミノキサンおよび硼素ベースのアクティベータの中から選択される活性化剤、
(3)任意成分としての上記金属錯体の担体。
【0024】
アルキルアルミニウムは式:AlRxで表される。ここで、Rは全く同じでも異なっていてもよく、ハロゲン化物または1〜12の炭素原子を有するアルコキシまたはアルキル基から選択され、xは1〜3である。特に適したアルキルアルミニウムはジアルキル塩化アルミニウムであり、最も好ましいのは塩化ジエチルアルミニウム(Et2AlCl)である。
【0025】
好ましいアルミノキサンは下記式で表されるオリゴマーの直鎖および/または環状アルキルアルミノキサンを含む:
オリゴマーの直鎖アルキルアルミノキサン

【0026】
環状アルキルアルミノキサン

【0027】
(ここで、
pは1〜40、好ましくは10〜20であり、
oは3〜40、好ましくは3〜20であり、
R'またはR''はC1〜C8アルキル基、好ましくはメチルである)
メチルアルミノキサンを使用するのが好ましい。
【0028】
使用可能な硼素ベースの活性化剤にはトリフェニルカルベニウムボロネート、例えば特許文献3に記載のテトラキス−ペンタフルオロフェニル−ボロレート−トリフェニルカルベニウム[C(Ph3)+B(C654]または特許文献4の第6頁、第30行〜第7頁、第7行目に記載の一般式[L−H']+[BAr1Ar234]で表されるものが含まれる。
【特許文献3】欧州特許第EP−A−427696号公報
【特許文献4】欧州特許第−EP−A−277004号公報
【0029】
担体を使用する場合、担体は多孔質無機酸化物にすることができ、シリカ、アルミナおよびこれらの混合物の中から選択するのが有利であり、シリカが好ましい。
【0030】
活性化剤はアルキルアルミニウムまたはアルミノキサンが好ましく、Al/Mのモル比は約500〜2000、好ましくは約1000である。
【0031】
本発明のさらに他の対象は、下記(a)〜(e)から成るエチレンの単独重合およびそれとα−オレフィンとの共重合方法にある:
(a)上記定義の触媒系と、溶剤と、任意成分のスカベンジャとを反応装置中に注入し、
(b)モノマーと任意成分のコモノマーを(a)段階と同時またはその前または後に反応装置中に注入し、
(c)重合条件下に維持し、
(d)任意工程として、アルコールの酸性液を加えてポリマーを沈殿させ、濾過し、
(e)ポリマーを粉末の形で回収する。
スカベンジャはアルキルアルミニウムまたはジエチル亜鉛から選択できる。
【0032】
本発明で使用可能なモノマーはエチレンと、3〜8つの炭素原子を有するα−オレフィンの中から選択され、好ましくはエチレンおよびプロピレンである。
【0033】
重合プロセスの温度および圧力条件は特に制限されない。反応装置の圧力は0.5〜50バールにすることができ、15〜29バールが好ましい。重合温度は10〜100℃にすることができ、40〜90℃が好ましい。溶剤は一般にアルカンまたはトルエンの中から選択され、トルエン、ヘプタンまたはイソブタンであるのが好ましい。反応時間は一般に15分から24時間である。
【0034】
本発明方法で得られるポリマーは一般に粉末として得られる。本発明で得られるホモポリエチレンのMnは25〜75kDa、好ましくは30−60kDaを有し、Mwは150〜400kDa、好ましくは175−350kDa、で、Mw/Mnは約3〜9である。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。一般に、かの実施例では下記の略記号を使用する:
MAO:メチルアルミノキサン
Me:メチル
Ph:フェニル
tBu:tert-ブチル
TiBAl:トリイソブチルアルミニウム
【0036】
フラン−イミノフェノールリガンドの合成(実施例1〜12)

【0037】
一般的手順
エチルアルコール(30ml)中のフラン−2−カルバルデヒド(12mmol)および酢酸(0.4ml)溶液中にアミノフェノール(12mmol)を加えた。混合物を室温で攪拌下に18時間混合した。その後、減圧蒸留で500Cで溶剤を蒸発除去した。残渣は−20℃の温度でペンタン中で再結晶させる(実施例1〜6)か、残基を250mlのペンタン中で攪拌し、濾過し、減圧乾燥した(実施例7〜12)。
【0038】
実施例1
2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=2−CF3−C64、R6=H)の製造
2−アミノフェノールと、5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを用いて、3.53gの2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率89%)。
RMN1H(CD2Cl2、500MHz):ppm 8.57(s、1H、HC=N)、7.92(d、1H、CF3−C64)、7.86(d、1H、CF3−C64)、7.69(t、1H、CF3−C64)、7.57(t、1H、CF3−C64)、7.50(s、1H、OH)、7.35(dd、1H、C64OH)、7.23(td、1H、C64OH)、7.18(d、1H、C42O)、7.02(dd、1H、C64OH)、6.95(td、1H、C64OH)、(6.94(d、1H、C42O)
【0039】
実施例2
4−メチル−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=2−CF3−C64、R6=Me)の製造
2−アミノ−4−メチルフェノールと、5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを用いて、3.82gの4−メチル−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率92%)。
RMN1H(CD2Cl2、500MHz):ppm 8.53(s、1H、HC=N)、7.90(d、1H、CF3−C64)、7.85(d、1H、CF3−C64)、7.68(t、1H、CF3−C64)、7.56(t、1H、CF3−C64)、7.36(s、1H、OH)、7.15(m、2H、C63OHとC42O)、7.05(dq、1H、C63OH)、6.92(m、2H、C63OHとC42O)、2.35(s、3H、CH3)。
【0040】
実施例3
4−tert-ブチル−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=2−CF3−C64、R6=tBu)の製造
2−アミノ−4−tert-ブチルフェノールと、5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを使用して、4.25gの4−tert-ブチル−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率91%)。
RMN1H(CD2Cl2、500MHz):ppm 8.57(s、1H、HC=N)、7.91(d、1H、CF3−C64)、7.85(d、1H、CF3−C64)、7.67(t、1H、CF3−C64)、7.56(t、1H、CF3−C64)、7.39(s、1H、OH)、7.35(d、1H、C63OH)、7.28(dd、1H、C63OH)、7.16(d、1H、C42O)、6.94(m、2H、C63OHおよびC42O)、1.37(s、9H、tBu)。
【0041】
実施例4
3−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}ビフェニル(4−オル)(R1=2−CF3−C64、R6=Ph)の製造
3−アミノビフェニル−4−オールと、5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを使用して1.64gの3−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}ビフェニル−4−オールをオレンジ色の粉末として得た(収率34%)。
RMN1H(500MHz、CD2Cl2):ppm 8.62(s、1H、HC=N)、7.91(d、1H、CF3−C64)、7.85(d、1H、CF3−C64)、7.67(t、1H、CF3−C64)、7.63(m、3H、Ph)、7.56(m、2H、OHおよびCF3−C64)、7、49(m、3H、C63OHおよびPh)、7.37(tt、1H、C63OH)、7.19(d、1H、C42O)、7.11(d、1H、C63OH)、6.95(d、1H、C42O)。
【0042】
実施例5
4−クロル−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=2−CF3−C64、R6=Cl)の製造
2−アミノ−4−クロロフェノールと、5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを使用して、3.76gの4−のクロロ−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率86%)。
RMN1H(500MHz、CD2Cl2):ppm 8.52(s、1H、HC=N)、7.91(d、1H、CF3−C64)、7.86(d、1H、CF3−C64)、7.71(t、1H、CF3−C64)、7.59(t、1H、CF3−C64)、7.38(s、1H、OH)、7.34(d、1H、C63OH)、7.22(d、1H、C42O)、7.19(dd、1H、C63OH)、6.97(d、1H、C63OH)、6.95(d、1H、C42O)。
【0043】
実施例6
2−{[5−(3−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=3−CF3−C64、R6=H)の製造
2−アミノフェノールと5−(3−(トリフロロメチル)フェニル)フラン2−カルバルアルデヒドとを使用して、3.44gの2−{[5−(3−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率86%)。
RMN1H(500MHz、CD2Cl2):ppm 8.59(s、1H、HC=N)、8.10(m、1H、CF3−C64)、8.05(dm.、1H、CF3−C64)、7.64(m、2H、CF3−C64)、7.44(s、1H、OH)、7.36(dd、1H、C64OH)、7.24(ddd、1H、C64OH)、7.20(d、1H、C42O)、7.03(dd、1H、C64OH)、7.01(d、1H、C42O)、6.96(ddd、1H、C64OH)。
【0044】
実施例7
4−ニトロ−2−{[5−(4−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=4−NO2−C64、R6=NO2)の製造
2−アミノ−4−ニトロフェノールと、5−(4−ニトロフェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを使用して、4.10gの4−ニトロ−2−{[5−(4−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率97%)。
RMN1H(500MHz、CD2Cl2):ppm 8.72(s、1H、HC=N)、8.36(m、2H、NO2−C64)、8.31(d、1H、C63OH)、8.2(dd、1H、C63OH)、8.04(m、2H、NO2−C64)、7.34(d、1H、C63OH)、7.16(m、2H、C42O)。
【0045】
実施例8
2−{[5−(4−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=4−NO2−C64、R6=H)の製造
2−アミノフェノールと、5−(4−ニトロフェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを使用して、3.62gの2−{[5−(4−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率98%)。
RMN1H(500MHz、CD2Cl2):ppm 8.59(s、1H、HC=N)、8.33(m、2H、NO2−C64)、7.99(m、2H、NO2−C64)、7.49(s、1H、OH)、7.37(dd、1H、C64OH)、7.25(td、1H、C64OH)、7.21(d、1H、C42O)、7.12(d、1H、C42O)、7.04(dd、1H、C64OH)、6.97(td、1H、C64OH)。
【0046】
実施例9
2−{[5−(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=3−NO2−C64、R6=H)の製造
2−アミノフェノールと、5−(3−ニトロフェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを使用して、3.51gの2−{[5−(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率95%)。
RMN1H(500MHz、CD2Cl2):ppm 8.62(t、1H、NO2−C64)、8.55(s、1H、HC=N)、8.24(dm、1H、NO2−C64)、8.13(dm.、1H、NO2−C64)、7.65(t、1H、NO2−C64)、7.34(dd、1H、C64OH)、7.24(td、1H、C64OH)、7.18(d、1H、C42O)、7.05(d、1H、C42)、7.04(dd、1H、C64OH)、6.96(td、1H、C64OH)。
【0047】
実施例10
2−{[5−(3−クロルフェニル)フラン−2−イル)]メチレンアミノ}フェノール(R1=3−Cl−C64、R6=H)の製造
2−アミノフェノールと、5−(3−クロルフェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを使用して、2.94gの2−{[5−(3−クロロフェニイル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率82%)。
RMN1H(500MHz、CD2Cl2):ppm 8.43(s、1H、HC=N)、7.9(s、1H、OH)、7.78(m、1H、Cl−C64)、7.64(dt、1H、Cl−C64)、7.35(m、2H、Cl−C64およびC64OH)、7.27(m、2H、Cl−C64およびC64OH)、7.06(m、2H、C64OHおよびC42O)、6.95(td、1H、C64OH)、6.88(d、1H、C42O)。
【0048】
実施例11
2−{[5−(2−クロルフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=2−Cl−C64、R6=H)の製造
2−アミノフェノールと、5−(2−クロルフェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを使用して、2.69gの2−{[5−(2−クロルフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率75%)。
RMN1H(500MHz、CD2Cl2):ppm 8.59(s、1H、HC=N)、8.08(dd、1H、Cl−C64)、7.54(dd、1H、Cl−C64)、7.44(td、2H、Cl−C64およびOH)、7.36(m、3H、Cl−C64、C64OHおよびC42O)、7.23(td、1H、C64OH)、7.21(d、1H、C42O)、7.02(dd、1H、C64OH)、6.96(td、1H、C64OH)。
【0049】
実施例12
2−{[5−(4−クロルフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=4−Cl−C64、R6=H)の製造
2−アミノフェノールと、5−(4−クロルフェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを使用して、3.18gの2−{[5−(4−クロルフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率89%)。
RMN1H(500MHz、CD2Cl2):ppm 8.55(s、1H、HC=N)、7.81(dm.、2H、Cl−C64)、7.47(dm.、2H、Cl−C64)、7.35(dd、1H、C64OH)、7.23(td、1H、C64OH)、7.22(d、1H、C42O)、7.03(dd、1H、C64OH)、6.96(dt、1H、C64OH)、6.92(d、1H、C42O)。
【0050】
実施例13
4−クロル−2−{[5−(4−クロルフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール(R1=4−C1−C64、R6=H)の製造
2−アミノ−4−クロルフェノールと、5−(4−クロルフェニル)フラン−2−カルバルデヒドとを使用して、3.18gの4−クロル−2−{[5−(4−クロルフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノールを黄色の粉末として得た(収率95%)。
RMN1H(500MHz、CD2Cl2):ppm 8.45(s、1H、HC=N)、7.76(dm、2H、Cl−C64)、7.44(dm.、2H、Cl−C64)、7.38(bs、1H、OH)、7.29(d、1H、C63OH)、7.16(m、2H、C63OH)、6.95(d、1H、C42O)、6.89(d、1H、C42O)。
【0051】
実施例14〜25
フラン−イミノフェノキシジルコニウム三塩化物錯体の合成

【0052】
一般的手順
合成は不活性雰囲気下で乾燥溶剤を用いて行なった。−20℃でTHF(15ml)中のリガンド(2.5mmol、それぞれ実施例1〜12で調製したもの)溶液にナトリウムハイドライド(0.06g、2.5mmol)を加えた。2時間後、この赤い溶液にZrCl4(0.583g、2.5mmol)を滴下し、混合物を室温で一晩、攪拌した。次いで、溶剤を減圧蒸発で除去し、残渣を30mlのジクロロメタンに溶かした。得られた溶液をセライトパットで濾過し、濾液を減圧乾燥した。残渣をペンタンで洗浄し、減圧乾燥して最終生成物を赤またはオレンジ色の粉末の形で得た。
[表1]は得られた錯体のリストで、得られた量および収率を示してある。収率は「得られた錯体量/2.5mmolの予想錯体量」で定義される。
【0053】
【表1】



【0054】
実施例26〜31
フラン−イミノフェノキシチタントリクロライド錯体の合成

【0055】
一般的手順
合成は不活性雰囲気下で乾燥した溶剤を用いて行なった。−20℃でTHF(15ml)中のリガンド(2.5mmol、実施例1〜13で調製したもの)の溶液中にナトリウムハイドライド(0.06g、2.5mmol)を加えた。次いで、この赤い溶液中にTiCl4(0.110ml、2.5mmol)を滴下して加え、混合物を室温で一晩、攪拌した。次いで、溶剤を減圧蒸発して除去し、残渣を70mlのジクロロメタンに溶かした。得られた溶液をセライトパッドで濾過し、濾液を減乾燥した。残渣をペンタンで洗浄し、減圧乾燥してに最終生成物を赤またはオレンジ色の粉末の形で得た。
[表2]は得られた錯体のリストで、得られた量と収率とを示している。収率は「得られた錯体量/2.5mmolでの予想錯体量」で定義される。
【0056】
【表2】

【0057】
実施例32〜56
エチレンの重合
一般的手順
重合反応はマグネチックスターラを備えた50mlのガラス製挿入物を収容した24本の平行反応装置ユニットで行なった。1mgの錯体(実施例14〜31で製造したもの)をグローブボックス中で小びんに入れた。次いで、0.8mlのMAO(トルエン中30重量%)と24mlのトルエンとを加えた。上記小びんを隔壁でクリンプし、60℃に加熱した反応装置ユニット中に設置した。小びんの隔壁を反応装置ユニットのニードルでピアスし、撹拌を開始し、1000回転数/分に調節した。次いで、エチレンを注入し、圧力を22バールに調節し、温度を80℃に上げた。この条件を30分間維持した後、反応装置を減圧し、クールダウンした。小びんが開かれ、酸性アルコール溶液を加えた。ポリマーを濾過し、洗浄し、乾した。[図1]はGPC曲線を示している。
結果は[表3]にまとめた。
【0058】
【表3】

【0059】
実施例57〜60
担持触媒の製造
一般的手順
使用した支持体はグレイス社のMAOで変性されたシリカのSylopol(シロポル、登録商標)952x1836で、60重量%のMAO有する担体を得た。錯体と担体とを室温で50mlのトルエン中で2時間攪拌した。次いで、トルエンを除去し、得られた触媒をペンタンで3回洗浄し、減圧乾燥した。結果のデータは[表4]に示してある。
【0060】
【表4】

【0061】
実施例61〜68
担持触媒を用いたエチレンの重合
一般的手順
エチレンの重合反応を機械攪拌器とステンレス製射出シリンダとを備えた130mlのステンレス製オートクレーブ中で実行した。典型的な反応操作では先ず最初に反応装置を窒素流で100℃で10分間に乾燥した後、反応温度(85℃)まで冷却し、シュリンジポンプを用いて35mlのイソブタンを反応装置中に入れた。必要な場合にはその後にコモノマーに入れた。圧力はエチレンを用いて所望値(23.8バール)に合せた。アルゴン充填グローブボックス中で実施例57〜60の100mgの担持触媒と、スカベンジャ(ヘキサン中の10重量%のTiBAl0.3ml)と、0.4mlのn−ヘプタンを射出シリンダに入れた。弁を閉じた後、窒素流下にシリンダを反応装置に接続した。次いで、40mlのイソブタンを用いて活性触媒混合物を反応装置中に入れた。1時間後、反応装置を室温まで冷却し、ゆっくり減圧し、ポリマーを回収した。重合結果は[表5]に示してある。
【0062】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(IV)の金属錯体:

(ここで、
1〜R8はそれぞれ独立してH、ハロゲン、置換または未置換のC1〜C20ヒドロカルビル、不活性官能基表し、R1〜R8の各基は隣接する置換基と結合してその基が結合している炭素原子と一緒に環を形成していてもよく、
YはOまたはNR*を表し(ここで、R*はC1〜C12アルキルまたはC6〜C12アリールを表し)、
mは0、1または2であり、
Mは周期律表の第4〜7族に属する金属であり、
Xはハロゲン、置換または未置換のC1〜C20ヒドロカルビル基、アミノ、アリールオキシル基またはアルコキシ基を表し、
nはMの酸化状態によって決まる数値−1である)
【請求項2】
1〜R3の各々がH、ハロゲン、12個以下の炭素原子を有するアルキルおよびアリールから成る群の中から選択される請求項1に記載の金属錯体。
【請求項3】
4が水素およびメチルから成る群の中から選択される請求項1または2に基の金属錯体。
【請求項4】
5〜R8がそれぞれ独立してH、12個以下の炭素原子を有するアルキルまたはアリール、ハロゲン、メトオキシ、ニトロおよびシアノから成る群の中から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項5】
YがOである請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項6】
MがTi、Cr、Zr、HfおよびVの中から選択される請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項7】
Xがハロゲン、アミノ、12個以下の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アリール、オキシ、好ましくはハロゲンである請求項1〜6のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項8】
下記工程(a)と(b)とから成る請求項1〜7のいずれか一項に記載の式(IV)の金属錯体の製造方法:
(a)下記式(II)の化合物:

(ここで、R1〜R4は請求項1に定義のもの)
に下記式(III)の化合物:

(ここで、m、YおよびR5〜R8は請求項1に定義のもの)
を反応させて下記式(I)の化合物:

を調製し、
(b)上記式(I)の化合物に下記式(V)の金属化合物:
MXn+1 (V)
(ここで、M、Xおよびnは請求項1に定義のもの)
を反応させる。
【請求項9】
式(I)の化合物が下記から成る群の中から選択される請求項8に記載の方法:
2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
4−メチル−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
4−tert-ブチル−2−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−1]メチレンアミノ}フェノール、
3−{[5−(2−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}ビフェニル−4−オール、
4−クロル−2−{[5−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
2−{[5−(3−(トリフロロメチル)フェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
4−ニトロ−2−{[5−(4−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
2−{[5−(4−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
2−{[5−(3−ニトロフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
2−{[5−(3−クロルフェニル)フラン−2−イル)]メチレンアミノ}フェノール、
2−{[5−(2−クロルフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール、
2−{[5−(4−クロルフェニル)フラン−2−イル]メチレンアミノ}フェノール。
【請求項10】
下記(1)〜(3)から成る触媒系:
(1)請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属錯体、
(2)アルキルアルミニウム、アルミノキサンおよび硼素ベースのアクティベータ、特にアルミノキサンの中から選択される活性化剤、好ましくはメチルアルミノキサン、
(3)任意成分の上記金属錯体の支持体。
【請求項11】
活性化剤がアルキルアルミニウムまたはアルミノキサンで、Al/Mのモル比が約500〜2000、好ましくは1000である請求項10に記載の触媒系。
【請求項12】
下記(a)〜(e)の段階を有するエチレンの単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合方法:
(a)反応装置中に請求項10または11に記載の触媒系と、溶剤と、任意成分のスカベンジャーとを注入し、
(b)段階(a)と同時またはその前、後にモノマーと任意成分のコモノマーとを反応装置中に注入し、
(c)重合条件下に維持し、
(d)必要に応じてアルコールの酸性溶液を選択的に加えてポリマーを沈殿させ、濾過し、
(e)粉末の形でポリマーを回収する。
【請求項13】
モノマーがエチレンまたはプロピレンで、コモノマーがプロピレンまたは1−ヘキセンである請求項12に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−530850(P2010−530850A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511575(P2010−511575)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056692
【国際公開番号】WO2009/015922
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【Fターム(参考)】