説明

イメージガイド

【課題】標本を観察するための装置の利便性を向上させる。
【解決手段】顕微鏡11には、標本13から発現した蛍光を標本13の像を結像させるための観察光学系に入射させる対物レンズ22と、複数の光ファイバからなり、標本13から発現した蛍光を対物レンズ22に入射させるイメージガイド25とが設けられている。また、イメージガイド25の標本13側の端には、標本13からの蛍光を集光してイメージガイド25に入射させる結像レンズが設けられた、イメージガイド25に着脱可能なヘッド部26が設けられている。したがって、ヘッド部26を取り替えることで、観察のたびにヘッド部26を洗浄することなく、常にヘッド部26を無菌状態に保つことができる。本発明は、顕微鏡に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイメージガイドに関し、特に、利便性を向上させることができるようにしたイメージガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イメージガイドを利用して、共焦点(コンフォーカル)方式により標本を蛍光観察する観察装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。そのような観察装置では、観察装置の本体に固定されているイメージガイドの標本側の端に、レンズが設けられた光学ヘッドが固定されており、観察装置はイメージガイドを介して標本に励起光を照射する。そして、観察装置は、励起光を照射することにより標本から発現した蛍光を、光学ヘッドにより集光してイメージガイドに入射させ、イメージガイドの本体側の端から出射した蛍光をCCD(Charge Coupled Devices)カメラなどで撮像して標本の画像を得る。
【0003】
また、このような観察装置の他、イメージガイドを利用して標本を観察する装置として、標本に照明光を照射し、標本において反射した照明光を、イメージガイドを介して受光する内視鏡が知られている。
【0004】
【特許文献1】特表2005−532883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術では、観察装置の本体にイメージガイドが固定され、さらにイメージガイドに光学ヘッドが固定されているため、標本の観察後の光学ヘッドの洗浄や滅菌の作業は困難であった。
【0006】
また、上述した観察装置では、光学ヘッドに設けられたレンズの倍率やワーキングディスタンスは予め定められているため、観察の対象となる標本によっては、その標本を観察装置で観察することができない場合があった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、標本を観察するための装置の利便性を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のイメージガイドは、標本を観察するための観察装置に接続されるイメージガイドであって、光ファイバと、前記光ファイバの一端側に設けられ、前記観察装置に接続される接続アダプタと、前記標本からの観察光を集光して前記光ファイバに導く結像レンズが設けられ、前記光ファイバの前記標本に向けられる側の他端に着脱可能なヘッド部と、前記ヘッド部を前記光ファイバに着脱自在に固定する固定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、結像レンズの設けられたヘッド部をイメージガイドに着脱可能とするようにしたので、標本を観察するための装置の利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明を適用した顕微鏡の一実施の形態の構成例を示す図である。
【0012】
顕微鏡11は、スタンド12上に配置された、観察の対象となる標本13に励起光を照射し、励起光の照射により標本13から発現した蛍光を、標本13を蛍光観察するための観察光として図示せぬカメラや接眼レンズに入射させる。
【0013】
顕微鏡11には、落射照明装置21、対物レンズ22−1、対物レンズ22−2、レボルバ23、アダプタ24、およびイメージガイド25が設けられている。落射照明装置21は、顕微鏡11に着脱自在とされており、標本13から蛍光を発現させるための励起光を射出する。
【0014】
また、レボルバ23には、互いに倍率の異なる複数の対物レンズ22−1および対物レンズ22−2が固定されるようになされており、レボルバ23は、所定の軸を中心として回動することにより、励起光および観察光の光路上に1つの対物レンズを配置する。したがって、ユーザは、所望の対物レンズが光路上に配置されるようにレボルバ23を回動させることで、標本13の観察条件に合った倍率の対物レンズを選択することができる。
【0015】
対物レンズ22−1および対物レンズ22−2は、励起光および観察光の光路上に配置されたとき、落射照明装置21から射出された励起光を集光してイメージガイド25に入射させたり、イメージガイド25を介して標本13から入射した観察光を、図示せぬ観察光学系を介して、カメラや接眼レンズに入射させたりする。
【0016】
なお、以下、対物レンズ22−1および対物レンズ22−2を個々に区別する必要のない場合、単に対物レンズ22と称する。また、図1では、レボルバ23に2つの対物レンズ22が固定される例について説明したが、レボルバ23に固定される対物レンズ22の数はいくつであってもよい。
【0017】
さらに、対物レンズ22には、アダプタ24を介してイメージガイド25が接続される。すなわち、アダプタ24は、対物レンズ22およびイメージガイド25の端に着脱可能となっており、対物レンズ22に固定されるとともに、イメージガイド25の端を固定することにより、対物レンズ22とイメージガイド25とを接続する。
【0018】
イメージガイド25は励起光や観察光を伝送する複数の光ファイバからなり、イメージガイド25の標本13に向けられる側の端(以下、標本13側の端とも称する)には、イメージガイド25に着脱可能なヘッド部26が設けられている。
【0019】
ヘッド部26は、標本13の観察対象となる部分に向けられて、スタンド12に設けられている保持部27に固定される。保持部27には、図示せぬ稼動部が設けられており、稼動部が稼動することにより、ヘッド部26を移動させ、ヘッド部26が標本13に当接する位置を調節することができる。
【0020】
例えば稼動部には、1つの関節で保持部27に固定されているヘッド部26の角度を任意の角度に調整できる機構、保持部27を構成する棒状のアームの長手方向にヘッド部26を移動可能なスライド機構、ねじによりヘッド部26を一方向に回動可能な角度調整機構などが設けられている。特に、1つの関節でヘッド部26の角度を調整できる機構は、ユニバーサルジョイントと呼ばれている。
【0021】
また、標本13は、例えばマウス、ラット、ウサギなどの生体とされ、その生体の観察の対象となる部位周辺の皮膚が開かれて、ヘッド部26が観察する部位に向けられて固定される。すなわち、ユーザは、保持部27の稼動部を操作して、保持部27に固定されたヘッド部26が標本13の所望する位置に向くように移動させる。
【0022】
ユーザが標本13を蛍光観察する場合、落射照明装置21は励起光を射出して、射出した励起光を図示せぬ照明光学系を介して対物レンズ22に入射させる。対物レンズ22は、照明光学系から入射した励起光をイメージガイド25に入射させ、イメージガイド25は、対物レンズ22から入射した励起光をヘッド部26に設けられているレンズにより集光して、励起光を標本13に照射する。
【0023】
すると、励起光を照射された標本13は蛍光を発現するので、ヘッド部26に設けられたレンズは観察光としての蛍光を集光してイメージガイド25に入射させる。イメージガイド25は、入射した蛍光(観察光)を対物レンズ22に入射させ、対物レンズ22は、イメージガイド25から入射した観察光を、標本13の像を結像させるための図示せぬ観察光学系を介してカメラに入射させる。そして、カメラは観察光学系から入射した観察光を撮像して、これにより得られた画像を図示せぬモニタに供給して表示させる。ユーザはモニタに表示された画像を見て、標本13を観察する。
【0024】
なお、観察光を撮像するカメラは、予め顕微鏡11に設けられていてもよいし、顕微鏡11に対して着脱可能であってもよい。
【0025】
顕微鏡11の本体自体は、一般的な顕微鏡を利用することができるので、ユーザは、標本13や蛍光の明るさなどに合わせて、落射照明装置21や照明光学系、観察光学系、カメラなどを任意のものに変更することができる。また、アダプタ24は対物レンズ22に着脱自在であるので、ユーザは所望する倍率等の対物レンズ22を選択して標本13の観察に用いることができる。すなわち、顕微鏡11のセットアップを変更することで、任意の照明条件、観察条件を組み合わせることができる。したがって、任意の標本13を、その観察条件によらず簡単かつ確実に観察することができる。
【0026】
例えば、落射照明装置21として、白色光源を用い、照明光学系にいくつかの波長のうちのいずれかを選択するためのフィルタを設けることにより、異なる波長の励起光を標本13に照射することができ、励起光の波長の選択の自由度を高くすることができる。また、標本13の画像を撮像するカメラとして、感度の異なるカメラを選択的に用いることもできる。
【0027】
なお、顕微鏡11には、必要に応じて、スポットスキャン方式、スリットスキャン方式、タンデム方式、ディスクスキャン方式などの共焦点(コンフォーカル)方式により、標本13を観察するためのコンフォーカルユニットが装着されるようにしてもよい。このコンフォーカルユニットは、例えば励起光を射出する光源や、観察光を点検出する撮像部などからなる。
【0028】
例えば、顕微鏡11に、スポットスキャン方式で標本13を観察するコンフォーカルユニットを装着して標本13の観察を行った場合には、標本13の1フレーム分の画像を撮像するのに1秒程度の時間が必要となる。これに対して、ディスクスキャン方式、スリットスキャン方式、タンデム方式などで標本13を観察するコンフォーカルユニットを顕微鏡11に装着して標本13を観察すると、より高速に、例えば0.001秒から0.03秒程度で標本13の1フレーム分の画像を得ることができる。
【0029】
ところで、アダプタ24は、例えば図2に示すように、対物レンズ22に固定される固定部51、イメージガイド25を固定するためのホルダ52、およびイメージガイド25の調芯を行うための調整部53を有している。
【0030】
固定部51の図中、下側の部分には対物レンズ22が挿入される溝61が設けられており、また固定部51の図中、左側には、ねじ穴62が設けられている。このねじ穴62には、対物レンズ固定手段としてのセットビス63がねじ込まれ、セットビス63により、溝61に挿入された対物レンズ22が溝61内の壁面に押し付けられて、固定部51が対物レンズ22に固定される。
【0031】
また、イメージガイド固定手段としての円筒形状のホルダ52の側面の図中、下側の部分には、ねじ山が設けられており、さらに、ホルダ52の中央には、ホルダ52を縦方向に貫通し、イメージガイド25が嵌合される溝64が設けられている。イメージガイド25は、その顕微鏡11側の端がホルダ52の溝64に嵌合されて、ホルダ52に固定される。ここで、溝64は貫通穴となっているため、溝64に嵌合されたイメージガイド25の端は、対物レンズ22に対して対向することになる。
【0032】
なお、イメージガイド25が溝64に嵌合され、さらに接着剤によりイメージガイド25がホルダ52に固着されるようにしてもよいし、イメージガイド25がビスなどによりホルダ52に固定されるようにしてもよい。
【0033】
ホルダ52を固定部51に対して固定する調整部53は、図中、下側の円錐形の芯出し調整部65と、芯出し調整部65の上側に設けられた円筒形の部分とからなり、調整部53は、固定部51の図中、上側に設けられた溝の底の表面上に配置される。また、調整部53には、その中央に、調整部53を縦方向に貫通し、ホルダ52が嵌合される溝66と、調整部53の図中、左側に位置するねじ穴67とが設けられている。
【0034】
さらに、調整部53の溝66の下側の部分には、ホルダ52に設けられたねじ山と噛み合うねじ溝からなるねじ部68が設けられている。したがって、ユーザは、ホルダ52を調整部53の溝66に嵌合させ、さらにホルダ52をねじ部68にねじ込むことにより、イメージガイド25の下側の端から対物レンズ22までの距離を調整することができる。
【0035】
すなわち、調整部53が固定部51上に配置されると、イメージガイド25の端と対物レンズ22とが対向し、かつ対物レンズ22およびイメージガイド25のそれぞれの光軸が平行となるようになされている。そして、ユーザはホルダ52を調整部53(対物レンズ22)に対して、対物レンズ22の光軸と平行な方向に移動させることで、イメージガイド25の端と対物レンズ22との距離を調整する。このとき、イメージガイド25の顕微鏡11側の端と、対物レンズ22の端との対物レンズ22の光軸と平行な方向の距離は、ホルダ52のねじ部68へのねじ込み量によって定まる。
【0036】
また、調整部53では、ねじ穴67にホルダセットビス69をねじ込んで、ホルダセットビス69により、ホルダ52を溝66内の側面に押し付けることで、ホルダ52を調整部53に固定することができるようになされている。
【0037】
さらに、固定部51の表面上に配置された調整部53は、図3に示すように調整ねじにより対物レンズ22の光軸と垂直な方向に移動されて調芯が行われる。なお、図3は、図2のアダプタ24のA−A切断面での断面図、すなわちアダプタ24を対物レンズ22の光軸と垂直な面で切った断面図を示している。また、実際には、芯出し調整部65の中央にはねじ穴としてのねじ部68が設けられているが、図3ではその図示が省略されている。
【0038】
図3では、固定部51上の中央部分に設けられた溝内に、芯出し調整部65(調整部53)が配置されている。固定部51には、固定部51の円形の外周を3分割するように、固定部51の外周部分から中心方向に向かうねじ穴91、ねじ穴92、および溝93が設けられている。そして、ねじ穴91およびねじ穴92には、芯出し調整部65(調整部53)に当接し、芯出し調整部65を押し引きするための調整ねじ94および調整ねじ95が通されている。また、溝93内には、芯出し調整部65を固定部51の中心方向、つまり図中、右方向に押す押圧機構部96が設けられている。
【0039】
押圧機構部96は、蓋97、コイルばね98、および円筒駒99から構成され、蓋97は、溝93内における固定部51の外側の端の位置に固定されている。コイルばね98は、蓋97と円筒駒99との間に配置され、その片側の端が蓋97に支持されて円筒駒99を、固定部51の中心方向に押し出すように作用する。また、円筒駒99は、芯出し調整部65に当接し、コイルばね98により押されて、芯出し調整部65を固定部51の中心方向に押す。
【0040】
ユーザは、調整ねじ94および調整ねじ95を締めたり緩めたりすることにより、芯出し調整部65(調整部53)を対物レンズ22の光軸と垂直な任意の方向に移動させ、イメージガイド25の端の中心が対物レンズ22の光軸上に位置するように調芯する。これにより、標本13の観察の対象となる部分を、顕微鏡11やカメラの視野の中心に移動させることができる。
【0041】
調整ねじ94、調整ねじ95、および円筒駒99の芯出し調整部65に当接する部分、つまりそれらの先端部分は円錐形状とされているため、調整部53を滑らかに移動させることができる。また、芯出し調整部65は、固定部51側に広がっている円錐形状となっているため、調整部53は、調整ねじ94、調整ねじ95、および円筒駒99により、固定部51の表面側に押さえ付けられて固定部51に固定される。
【0042】
なお、芯出し調整部65を滑らかに移動させるために、芯出し調整部65と固定部51との接触面や、芯出し調整部65の側面、つまり調整ねじ94、調整ねじ95、および円筒駒99との接触面に流れ落ちの少ない潤滑油を塗布することが望ましい。
【0043】
次に、イメージガイド25と対物レンズ22との位置の調整精度、および分解能について説明する。
【0044】
例えば、イメージガイド25は、束ねられた3万本の光ファイバからなり、それらの光ファイバの直径は2μmとされる。また、イメージガイド25の光ファイバが束ねられた部分の直径は1.35mmとされ、イメージガイド25そのものの直径は2.5mmとされる。
【0045】
この場合、1つの光ファイバの直径が2μmであるので、イメージガイド25の画像の分解能は2μmとなる。このようなイメージガイド25が設けられた顕微鏡11で標本13を観察する場合に適した対物レンズ22は、例えば、倍率が10倍であり、開口数NAが0.25である対物レンズとなる。
【0046】
対物レンズ22の分解能Rおよび焦点深度Dは、次式(1)および式(2)により求めることができる。
【0047】
分解能R=λ/(2×NA) ・・・(1)
【0048】
焦点深度D=λ/(NA×NA) ・・・(2)
【0049】
ここで、式(1)および式(2)において、λは基準となる可視光の波長である基準波長を示しており、NAは対物レンズ22の開口数を示している。したがって、基準波長λ=0.55μmと、開口数NA=0.25を式(1)および式(2)に代入すると、対物レンズ22の分解能Rの値“1.1(=0.55/(2×0.25))μm”と、焦点深度Dの値“9(≒0.55/(0.25×0.25))μm”が求まる。
【0050】
これに対して、イメージガイド25の分解能は2μmであり、この分解能から定まるイメージガイド25の開口数に相当する値は0.14となる。したがって、この開口数に相当する値0.14を式(2)のNAに代入すると、イメージガイド25の焦点深度Dの値“0.03(≒0.55/(0.14×0.14))mm”が求まる。
【0051】
イメージガイド25の顕微鏡11側の端と対物レンズ22との対物レンズ22の光軸方向の距離の調整の精度は、対物レンズ22の焦点深度とイメージガイド25の焦点深度のうちのより大きい方の焦点深度以下であればよい。つまり、光軸方向の距離の調整において、より小さい方の焦点深度以下の精度は要求されない。
【0052】
したがって、対物レンズ22の焦点深度は約9μmであり、イメージガイド25の焦点深度は約0.03mmであるので、イメージガイド25と対物レンズ22の光軸方向の距離の調整の精度は、より大きいイメージガイド25の焦点深度0.03mm以下であればよい。
【0053】
そこで、図2のねじ部68のねじピッチ、すなわちホルダ52の側面に設けられたねじ山のねじピッチを0.5mmとすれば、ホルダ52の回転角度が20度程度である場合に、調整部53に対するホルダ52の移動量が約0.03(≒0.5×20/360)mmとなる。したがって、イメージガイド25と対物レンズ22の光軸方向の距離を、調整部53に対するホルダ52の移動により充分な精度で調整することができる。
【0054】
また、イメージガイド25の端の中心が、対物レンズ22の光軸上に位置するように、調整部53を対物レンズ22の光軸と垂直な方向に移動させる位置調整の精度は、標本13の観察範囲の10分の1以下であれば充分であると考えられる。
【0055】
ここで、標本13上の観察範囲の長さは、標本13を肉眼(接眼レンズ)で観察する場合、2.5mmとなり、標本13を顕微鏡11に設けられた2/3インチCCD(Charge Coupled Devices)カメラにより撮像して観察する場合、1.1mmとなる。したがって、位置調整には、より小さい2/3インチCCDカメラの観察範囲である1.1mmの10分の1である0.11mm以下の精度が必要となる。そこで、図3の調整ねじ94および調整ねじ95のねじピッチを0.5mmとすれば、それらの調整ねじの回転角度が80度である場合に、調整部53の移動距離が約0.11(≒0.5×80/360)mmとなり、充分に調整可能となる。
【0056】
なお、以上においては、アダプタ24の溝61に対物レンズ22が挿入されると説明したが、例えば図4に示すように、イメージガイド25と対物レンズ22とを接続するアダプタ24が、レボルバ23と対物レンズ22との間に配置されるようにしてもよい。なお、図4において、図2における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜、省略する。
【0057】
図4に示すアダプタ24の固定部51の下側の部分には、ねじ部121が設けられており、ねじ部121が、レボルバ23のねじ穴にねじ込まれて、固定部51がレボルバ23に固定される。このレボルバ23に設けられたねじ穴は、図2に示した状態において対物レンズ22に設けられたねじがねじ込まれるねじ穴とされる。
【0058】
また、固定部51には、対物レンズ22が挿入される挿入穴122が設けられており、調整部53が固定部51の上側の表面上に配置されていない状態において、固定部51の上側から挿入穴122に対物レンズ22を挿入できるようになされている。さらに、挿入穴122の図中、下側には、ねじ穴123が設けられている。
【0059】
固定部51がレボルバ23に固定されると、対物レンズ22が挿入穴122に挿入されて、対物レンズ22の図中、下側に設けられたねじ部124が、固定部51のねじ穴123にねじ込まれて、固定部51が対物レンズ22に固定される。そして、その後、調整部53が固定部51に固定されて、イメージガイド25がアダプタ24に固定される。
【0060】
また、対物レンズ22がアダプタ24に設けられた溝に挿入され、さらにアダプタ24が、レボルバ23や顕微鏡11の本体に設けられた接続部に固定されることで、アダプタ24が対物レンズ22に対して固定されるようにしてもよい。
【0061】
さらに、アダプタ24に複数のイメージガイド25が固定されるようにしてもよい。例えば、図5の上側に示すように、4つのイメージガイド151−1乃至イメージガイド151−4を束ねて、それらの端のそれぞれにヘッド部26を設けると、標本13の複数の異なる部位を1つのカメラで同時に観察することができる。
【0062】
そのような場合、図5の下側に示すように、4つのイメージガイド151−1乃至イメージガイド151−4のそれぞれに入射した観察光が1つの対物レンズ22に入射する。なお、以下、イメージガイド151−1乃至イメージガイド151−4のそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単にイメージガイド151と称する。
【0063】
ここで、イメージガイド151の外径が2.5mmであるとすると、4つのイメージガイド151を束ねた場合、その直径は6mmとなり、被覆を除く光ファイバの束ねられた部分の直径は5mmとなる。したがって、対物レンズ22の倍率が10倍であるときには、対物レンズ22による観察範囲(の直径)は2.5mmとなるので、4つのイメージガイド151から出射する観察光の全てを対物レンズ22に入射させることはできない。
【0064】
そこで、対物レンズ22の倍率を4倍とすると観察範囲は6.25mmとなり、4つのイメージガイド151から出射する観察光の全てを対物レンズ22に入射させ、イメージガイド151の標本13側の端が向けられた標本13の各部位を観察することができる。
【0065】
また、図1の対物レンズ22のそれぞれにアダプタ24を固定すると、ユーザはレボルバ23を回動させることで対物レンズ22を切り換えて、標本13の異なる部位を観察することができる。すなわち、この場合、各対物レンズ22にアダプタ24により接続されたイメージガイド25の標本13側の端のそれぞれが、標本13の異なる部位のそれぞれに向けられて固定される。
【0066】
さらに、対物レンズ22のそれぞれにアダプタ24を固定することで、標本13の観察条件に応じて、例えば可視光、赤外光、紫外光などの光の各波長帯域に適した波長特性を有する対物レンズ22に切り換えて標本13を観察することができる。
【0067】
次に、図1のイメージガイド25の標本13側の端に接続されるヘッド部26の詳細な構成例について説明する。
【0068】
ヘッド部26は、例えば図6に示すように、ヘッド181と固定キャップ182とからなり、ヘッド181には溝183、結像レンズ184、および固定ねじ部185が設けられている。
【0069】
円筒形のヘッド181の中央に設けられた溝183には、図中、上側からイメージガイド25、より詳細にはイメージガイド25を構成する光ファイバの束の端の部分が挿入されてイメージガイド25がヘッド181に固定される。換言すれば、イメージガイド25は溝183に嵌合される。また、このとき、ヘッド181の上側に設けられた溝に環状のOリング186が配置され、イメージガイド25は、Oリング186の環に通されて溝183に挿入される。
【0070】
なお、より詳細にはイメージガイド25は、光ファイバとヘッド部26とから構成されているが、以下においては、説明を簡単にするため、イメージガイド25のヘッド部26に挿入される光ファイバの束を単にイメージガイド25とも称する。
【0071】
ヘッド181に設けられた溝183内の下側には、イメージガイド25を係止するための係止部が設けられている。つまり、溝183の下側の部分の内径は、イメージガイド25の外径よりも小さくなっており、イメージガイド25が係止部の位置までしか挿入されないようになされている。したがって、溝183の図中、下側に設けられた結像レンズ184とイメージガイド25の標本13側の端とが一定の距離となるように、イメージガイド25がヘッド181に固定される。ここで、結像レンズ184からイメージガイド25の端までの距離は、結像レンズ184の焦点距離により定まる距離とされる。
【0072】
また、ヘッド181の外周の図中、上側の部分には、固定キャップ182に設けられたねじ穴と噛み合うねじ山からなる固定ねじ部185が設けられており、固定ねじ部185に固定キャップ182がねじ込まれて固定キャップ182がヘッド181に固定される。固定キャップ182がねじ込まれると、イメージガイド25はOリング186により締めつけられてヘッド181に固定され、また、Oリング186および固定キャップ182により、溝183内は密閉される。これにより、ヘッド部26の外部から溝183内に液体が流れ込むことを防止することができる。
【0073】
結像レンズ184は、溝183の図中、下側に設けられており、図中、上に突の球面または非球面形状のレンズとされる。また、ヘッド181の図中、下側には、標本13の観察対象となる部位に向けられたり、その部位に当接されたりする先端面187が設けられている。ヘッド部26では、結像レンズ184と先端面187との間でレンズ効果を有するようになされている。
【0074】
ここで、結像レンズ184は、先端面187と標本13の観察対象の部位との間を水、生理食塩水などの液体で満たす液浸タイプのレンズや、先端面187と標本13の部位との間を液体で満たさずに空気のままとするドライタイプのレンズとされる。また、結像レンズ184が設けられる位置は、標本13と先端面187との距離、つまりワーキングディスタンスに応じて定められる。
【0075】
先端面187の形状は、その表面が標本13の観察中に油等で汚れた場合に、先端面187に付着した汚れを拭き取りやすくするため、平面、または緩い曲率の凸面若しくは凹面となっている。例えば、先端面187が凸面または凹面である場合、その面の曲率半径は50mm以上とされる。
【0076】
以上のように構成されるヘッド部26にイメージガイド25(の光ファイバの部分)が固定され、イメージガイド25に励起光が入射すると、結像レンズ184は、イメージガイド25の標本13側の端から入射した励起光を集光して、集光した励起光を結像させる。結像レンズ184により集光された励起光は、先端面187を介して標本13の表面または内部に到達し、結像する。
【0077】
また、励起光が標本13に照射されると標本13は蛍光を発現するので、結像レンズ184は、先端面187を介して標本13から入射した蛍光(観察光)を集光してイメージガイド25、より詳細にはイメージガイド25を構成する光ファイバに入射させる。
【0078】
顕微鏡11では、ヘッド部26はイメージガイド25に対して着脱自在となっているので、標本13の観察によりヘッド部26が汚れたとしても、イメージガイド25からヘッド部26を取り外して簡単に洗浄したり、滅菌したりすることができる。また、イメージガイド25からヘッド部26を簡単に取り外すことができるため、ヘッド部26をスローアウェイ方式で交換するようにすれば、イメージガイド25の面倒な洗浄や滅菌が必要なくなる。これは、特に、ヘッド部26を常に無菌状態に保つ必要がある場合、例えば顕微鏡11を用いて人体を観察する場合に有効である。
【0079】
さらに、ヘッド部26はイメージガイド25に対して着脱可能であるため、観察の対象となる標本13に応じて、倍率やワーキングディスタンスの異なる結像レンズ184が設けられたヘッド部26を選択的に用いることができる。したがって、標本13の観察条件によって、観察光をイメージガイド25の光ファイバに入射させることができなくなるようなこともなく、ヘッド部26を取り替えるだけで標本13を簡単かつ確実に観察することができる。
【0080】
さらに、また、ヘッド部26では、溝183にイメージガイド25の先端を嵌合させるだけで簡単にイメージガイド25を固定することができるので、外径が0.5mm乃至3mmという細いヘッド部26を有する生体標本観察装置を実現することができる。
【0081】
以上のように、ヘッド部26をイメージガイド25に着脱可能とすることで、顕微鏡11の利便性を向上させることができる。
【0082】
なお、ヘッド181は、例えば光を透過するプラスチック、ガラス、樹脂などを材料として、成型により作成される。特に、プラスチックを成型してヘッド181を作成すると、型作成や部品加工を安価で行うことができる。
【0083】
また、イメージガイド25にヘッド部26を固定する場合、イメージガイド25の先端をヘッド181の溝183に挿入して接着剤により固定してもよい。さらに、ヘッド181に割りを入れ、イメージガイド25の先端が挿入されたヘッド181をねじにより締め付けることによりイメージガイド25を固定してもよい。
【0084】
さらに、例えば図7に示すように、ヘッド部26が標本13に差し込まれた量をユーザが知ることができるように、ヘッド部26に突部211−1および突部211−2を設けるようにしてもよい。
【0085】
図7に示すヘッド部26では、ヘッド181の外周の部分に、ヘッド181の外側に向かう方向に突出した突部211−1および突部211−2が設けられている。例えば、標本13としての生体の皮膚を切り開き、生体の体内にある器官などを観察する場合、ヘッド部26は標本13としての生体の体内に差し込まれて、ヘッド部26の端が観察の対象となる器官に向けられる。
【0086】
この場合、ヘッド181が、その先端の部分から突部211−1および突部211−2の部分まで生体に差し込まれると、ヘッド181は、突部211−1および突部211−2により生体の表面(皮膚)に係止して、それ以上は生体内に挿入されなくなる。このように、ヘッド181の外周に突部211−1および突部211−2を設けることにより、ユーザは、突部211−1および突部211−2の設けられた位置を目安として、ヘッド181がどの程度標本13に差し込まれたかを簡単に知ることができる。また、ユーザによりヘッド181が標本13に差し込まれ過ぎることを防止することができる。
【0087】
なお、以下、突部211−1および突部211−2を個々に区別する必要のない場合、単に突部211と称する。また、ヘッド181を係止するための突部は、環状とされ、ヘッド181の外周を囲むように設けられてもよい。
【0088】
さらに、図7に示すヘッド181には、ヘッド181の図中、下側の先端の面に、結像レンズ184側に窪んだ溝212が設けられている。したがって、結像レンズ184、より詳細には結像レンズ184と溝212の底の面とから構成されるレンズが液浸タイプのレンズである場合、溝212に液体を満たすことで、ヘッド181の端の面(溝212の底の面)と標本13との間に簡単に液体を満たすことができる。そして、その液体が溝212の外部に流れ出すようなこともないので、標本13をより簡単かつ確実に観察することができる。
【0089】
また、ヘッド181の先端の面に溝212を設けると、ヘッド181の先端を標本13に当接させることにより、観察光が入射する溝212の底の面から標本13までの距離を常に一定の距離に保つことができる。したがって、溝212の深さを結像レンズ184のワーキングディスタンスとしておくことにより、いわゆるピント合わせを行う必要がなくなる。
【0090】
なお、ヘッド181の側面に、ヘッド181が標本13に差し込まれた量を示す目盛、つまりヘッド181の先端からヘッド181の側面の各部分までの距離を示す目盛が設けられるようにしてもよい。この場合においても、ユーザはヘッド181の目盛を見ることで、ヘッド181がどれだけ標本13に差し込まれたかを正確に知ることができる。また、ヘッド181に目盛や突部211を設ける場合、ヘッド181を樹脂成型することで、ヘッド181に簡単に目盛や突部211を設けることができる。
【0091】
さらに、図8に示すように、ヘッドと結像レンズとが別々に作成され、結像レンズがヘッドに取り付けられるようにしてもよい。図8では、ヘッド部26は、固定キャップ182、レンズ分離型ヘッド241、およびレンズ部242から構成され、レンズ分離型ヘッド241には、イメージガイド25の先端が挿入されて固定される。
【0092】
また、レンズ分離型ヘッド241には、ヘッド181における場合と同様に、Oリング186が配置され、固定キャップ182がねじ込まれて固定される。さらに、レンズ分離型ヘッド241の図中、下側には、下側に突出しており、結像レンズ184が設けられたレンズ部242を嵌合するための嵌合部243が設けられている。この嵌合部243の外径は、レンズ分離型ヘッド241の外径よりも小さくなっており、レンズ部242に設けられた溝の部分が嵌合部243に嵌め込まれる。
【0093】
このようにしてレンズ部242がレンズ分離型ヘッド241に嵌合されると、レンズ分離型ヘッド241とレンズ部242との間の隙間に、防水効果のあるシリコン系接着剤などが満たされてレンズ分離型ヘッド241とレンズ部242とが接着される。これにより、ヘッド部26の外側からレンズ部242の内部に液体が流れ込むことを防止することができる。
【0094】
また、レンズ部242に設けられた、レンズ部242をレンズ分離型ヘッド241に嵌合するための溝の下側には、結像レンズ184が設けられており、この結像レンズ184とレンズ部242の下側の端面との間でレンズ効果を有するようになされている。レンズ部242では、レンズ部242の上側に設けられた溝が嵌合部243に嵌め込まれるようになされているので、その溝の内径はイメージガイド25の外径よりも大きくなる。したがって、図6に示したヘッド部26における場合よりも、レンズ部242の溝の下側に設けられた結像レンズ184の有効径を大きくすることができ、標本13の画像を形成する性能をより高くすることができる。
【0095】
さらに、接着剤を用いずにレンズ部242がレンズ分離型ヘッド241に固定されるようにしてもよい。そのような場合、例えばレンズ部242を樹脂により成型する。そして、レンズ部242の柔軟性が利用されて、いわゆるスナップフィットと呼ばれる機構によりレンズ部242が嵌合部243に嵌め込まれ、さらにレンズ部242が嵌合部243に密着するように外側から押さえ付けられてレンズ分離型ヘッド241に固定される。
【0096】
接着剤を用いずにレンズ部242をレンズ分離型ヘッド241に固定することで、標本13の観察条件に応じて、倍率やワーキングディスタンスの異なる結像レンズ184を有するレンズ部242を選択し、レンズ分離型ヘッド241に取り付けることができる。
【0097】
さらに、図9Aに示すように、イメージガイド25を構成する光ファイバの光軸と垂直な方向からの観察光をイメージガイド25に入射させるようにしてもよい。なお、図9Aにおいて点線は観察光の光路を示しており、図9Aではヘッド271に固定される固定キャップ182等は、その図示が省略されている。
【0098】
ヘッド部26の円筒形のヘッド271の図中、下側には、励起光を標本13に照射するとともに、標本13からの観察光を取り込むための入射窓272が設けられている。また、ヘッド271の結像レンズ184と入射窓272との間には、励起光および観察光を反射する反射面273が設けられている。
【0099】
入射窓272は、その表面がイメージガイド25の光ファイバの光軸と平行な平面とされており、反射面273は光ファイバの光軸および入射窓272に対して45度の角度をなすように設けられている。
【0100】
したがって、イメージガイド25から反射面273に入射した励起光は、反射面273において図中、右方向、つまり光ファイバの光軸と垂直な方向に反射され、さらに入射窓272を介して標本13に入射する。
【0101】
また、図中、右側から入射窓272に入射した標本13からの観察光は、入射窓272を透過して反射面273に入射し、反射面273において図中、上側に反射されて結像レンズ184に入射する。そして、結像レンズ184は反射面273から入射した観察光を集光して、観察光をイメージガイド25の端、つまり光ファイバの端の位置に結像させ、イメージガイド25に入射させる。
【0102】
反射面273は、ヘッド271の素材、例えば樹脂やガラスのままで反射面の機能を果たす。なお、反射面273にコーティングを施すことにより、反射面273の屈折率と、反射面273に接するヘッド271外部の空気などの屈折率との差によらず、反射面273における光の反射率を一定の大きさに保つことができる。
【0103】
このように、ヘッド271に、イメージガイド25の端面と垂直な入射窓272を設け、さらに励起光や観察光を反射する反射面273を設けることで、イメージガイド25の光軸と垂直な方向にある標本13の部位を簡単に観察することができる。
【0104】
なお、ヘッド271に設けられる入射窓の形状は平面に限らず、例えば、図9Bに示すように、ヘッド271の外側に突となる凸面状とされてもよいし、図9Cに示すように、ヘッド271の内側に突となる凹面状とされてもよい。なお、図9Bおよび図9Cにおいて、図9Aにおける場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は省略する。
【0105】
図9Bでは、ヘッド271の図中、右側に、右方向に突の凸面状の入射窓291が設けられている。入射窓291はレンズとして機能し、標本13から入射した観察光を集光して反射面273に入射させる。また、図9Cでは、ヘッド271の図中、右側に、左方向に突の凹面状の入射窓311が設けられている。入射窓311はレンズとして機能し、標本13から入射した観察光を集光して反射面273に入射させる。
【0106】
なお、レンズとしてのこれらの入射窓291および入射窓311の倍率などは、イメージガイド25の端に対向する結像レンズ184の倍率や焦点距離などが考慮されて定められる。また、入射窓291および入射窓311は、結像レンズ184などにおいて生じる収差を補正するようなレンズとされる。
【0107】
さらに、例えば図10に示すように、ヘッド271において、入射窓が、イメージガイド25を構成する光ファイバの光軸に対して90度より小さい所定の角度をなすように設けられるようにしてもよい。なお、図10において、点線は観察光および励起光の光路(ヘッド271の光軸)を示している。
【0108】
図10では、ヘッド271の外周の右側に、入射窓341が設けられており、入射窓341の中心を通る法線と、イメージガイド25、つまりイメージガイド25を構成する光ファイバの光軸とがなす角は、90度よりも小さい角度θとされている。
【0109】
また、入射窓341の表面は球面状とされており、入射窓341はレンズとして機能する。標本13の観察時において、ヘッド271は、入射窓341が観察の対象となる標本13の部位を向くように配置され、入射窓341は標本13から入射した観察光を集光して反射面273に入射させる。
【0110】
反射面273は入射窓341から入射した観察光を反射して結像レンズ184に入射させ、結像レンズ184は、反射面273から入射した観察光を集光して、イメージガイド25の端に結像させ、観察光をイメージガイド25に入射させる。
【0111】
なお、反射面273は、角度θの大きさに応じて、入射窓341からの観察光が結像レンズ184に入射するように、イメージガイド25の光軸に対して所定の角度をなすように配置されている。また、入射窓341のなす角度θは、90度よりも大きい角度とされるようにしてもよい。
【0112】
このように、イメージガイド25の光軸に対して所定の角度をなすように、入射窓341や入射窓272を設けることで、イメージガイド25の光ファイバの光軸に平行な方向とは異なる方向からヘッド部26に入射した観察光をイメージガイド25に入射させることができる。これにより、任意の方向から標本13を観察することができる。
【0113】
また、例えば、図11に示すように、ヘッド部26のヘッドの先端にレンズを設けることで、標本13上のより広い範囲を観察できるようにしてもよい。なお、図11においては、ヘッド361に固定される固定キャップ182等は、その図示が省略されている。
【0114】
図11では、ヘッド部26のヘッド361内に設けられた溝にイメージガイド25の端が挿入されて固定され、その溝の図中、下側に結像レンズ371が設けられている。また、標本13に向けられるヘッド361の図中、下側の端には先端レンズ372が設けられている。
【0115】
結像レンズ371および先端レンズ372は、標本13側に突の形状となっており、結像レンズ371および先端レンズ372からなる光学系は、魚眼レンズ(広角レンズ)として機能する。例えば、結像レンズ371の表面は凹面とされている。また、先端レンズ372の表面は、曲率の小さい凸面とされ、先端レンズ372は、図中の矢印に示すように、より広い範囲からの観察光を、結像レンズ371を介してイメージガイド25に入射させることができるようになされている。
【0116】
先端レンズ372は、標本13からの観察光を集光して結像レンズ371に入射させ、結像レンズ371は、先端レンズ372から入射した観察光を集光してイメージガイド25の端に結像させ、観察光をイメージガイド25に入射させる。このように、結像レンズ371と先端レンズ372とを組み合わせて、魚眼レンズを構成することにより、標本13のより広い範囲を観察することができる。
【0117】
また、例えば図12に示すように、ヘッド部26のヘッド401の端に円錐形状の円錐形反射面411を設けることにより、標本13のヘッド401の外周に位置する部分を観察できるようにしてもよい。なお、図12において点線は観察光の光路を示しており、図12では、ヘッド401に固定される固定キャップ182等は、その図示が省略されている。
【0118】
図12では、円筒形のヘッド401内に設けられた溝にイメージガイド25の端が挿入されて固定され、その溝の図中、下側に結像レンズ184が設けられている。また、ヘッド401の図中、下側の端には円錐形状の円錐形反射面411が設けられており、円錐形反射面411には、反射率を高めるためのコーティングが施されている。
【0119】
ヘッド401においては、ヘッド401の外周の部分(側面)が入射窓とされ、入射窓に対して、標本13のヘッド401の外周に近接する部分からヘッド401の内側に向かって観察光が入射する。すなわち、観察光はヘッド401の外周から内側に向かってヘッド401の側面に入射し、さらに、その側面を透過して円錐形反射面411に入射する。したがって、円錐形反射面411には、ヘッド401の外周の360度の各方向から観察光が入射することになる。
【0120】
円錐形反射面411は、ヘッド401の外周から入射した観察光を図中、上側に反射して、観察光を結像レンズ184に入射させる。結像レンズ184は、円錐形反射面411から入射した観察光を集光してイメージガイド25の端に結像させ、観察光をイメージガイド25に入射させる。
【0121】
このように、ヘッド401の端に円錐形状の円錐形反射面411を設けることで、標本13の円筒形のヘッド401の外周に接する部分を観察することができる。すなわち、標本13のより広い範囲を一度に観察することができる。
【0122】
なお、以上においては、イメージガイド25を介して標本13に励起光を照射すると説明したが、イメージガイド25を介さずに他の方向から標本13に励起光を照射し、標本13からの観察光を、イメージガイド25を介して対物レンズ22に入射させてもよい。
【0123】
また、標本13を顕微鏡11により蛍光観察すると説明したが、顕微鏡11を用いて標本13を明視野観察するようにしてもよい。そのような場合、例えば標本13の照明用の光源から射出された照明光が対物レンズ22およびイメージガイド25を介して標本13に照射され、標本13において反射された照明光が観察光となって、イメージガイド25に入射する。そして、イメージガイド25に入射した観察光は、対物レンズ22を介して図示せぬカメラや接眼レンズに入射して、ユーザにより標本13の像が観察される。
【0124】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明を適用した顕微鏡の一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】アダプタの構成例を示す図である。
【図3】アダプタの調芯機構について説明する図である。
【図4】アダプタの他の構成例を示す図である。
【図5】複数のイメージガイドを用いる例について説明する図である。
【図6】ヘッド部の構成例を示す図である。
【図7】ヘッド部の他の構成例を示す図である。
【図8】ヘッド部の他の構成例を示す図である。
【図9】ヘッド部の他の構成例を示す図である。
【図10】ヘッド部の他の構成例を示す図である。
【図11】ヘッド部の他の構成例を示す図である。
【図12】ヘッド部の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0126】
11 顕微鏡, 13 標本, 22−1,22−2,22 対物レンズ, 24 アダプタ, 25 イメージガイド, 26 ヘッド部, 51 固定部, 52 ホルダ, 53 調整部, 63 セットビス, 94 調整ねじ, 95 調整ねじ, 181 ヘッド, 184 結像レンズ, 211−1,211−2,211 突部, 212 溝, 241 レンズ分離型ヘッド, 242 レンズ部, 271 ヘッド, 272 入射窓, 273 反射面, 291 入射窓, 311 入射窓, 341 入射窓, 361 ヘッド, 371 結像レンズ, 372 先端レンズ, 401 ヘッド, 411 円錐形反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本を観察するための観察装置に接続されるイメージガイドであって、
光ファイバと、
前記光ファイバの一端側に設けられ、前記観察装置に接続される接続アダプタと、
前記標本からの観察光を集光して前記光ファイバに導く結像レンズが設けられ、前記光ファイバの前記標本に向けられる側の他端に着脱可能なヘッド部と、
前記ヘッド部を前記光ファイバに着脱自在に固定する固定部と
を備えることを特徴とするイメージガイド。
【請求項2】
前記固定部は、前記光ファイバを前記ヘッド部に設けられた溝に嵌合されることで、前記ヘッド部に固定する
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージガイド。
【請求項3】
前記結像レンズは、前記ヘッド部の前記標本に接触する先端において着脱可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージガイド。
【請求項4】
前記ヘッド部には、前記光ファイバの光軸に平行な方向とは異なる方向から前記ヘッド部に入射した前記観察光を反射することにより、前記観察光を前記結像レンズに入射させる反射面が設けられ、
前記結像レンズは、前記反射面から入射した前記観察光を前記光ファイバに入射させる
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージガイド。
【請求項5】
前記ヘッド部には、前記光ファイバの光軸に垂直な任意の方向から前記ヘッド部に入射した前記観察光を反射することにより、前記観察光を前記結像レンズに入射させる円錐形の反射面が設けられ、
前記結像レンズは、前記反射面から入射した前記観察光を前記光ファイバに入射させる
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージガイド。
【請求項6】
前記ヘッド部の前記標本に向けられる側の端には、前記標本側に突であり、前記標本から入射した前記観察光を前記結像レンズに入射させる先端レンズが設けられ、
前記結像レンズは、前記先端レンズ側に突のレンズであり、前記先端レンズから入射した前記観察光を前記光ファイバに入射させる
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージガイド。
【請求項7】
前記ヘッド部の前記標本に向けられる側の端には、前記ヘッド部と前記標本との間に液体を満たすための溝が設けられており、前記結像レンズと前記ヘッド部の前記標本に向けられる側の端とは液浸タイプのレンズを構成する
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージガイド。
【請求項8】
前記ヘッド部の側面には、前記標本の表面に係止し、前記ヘッド部が前記標本に所定の量以上差し込まれることを防止するための突部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージガイド。
【請求項9】
前記ヘッド部の側面には、前記ヘッド部が前記標本に差し込まれた量を示す目盛が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のイメージガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−74886(P2009−74886A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243390(P2007−243390)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】