説明

イルミネーション装置

【課題】低コストでしかも占有スペース増大を招くことなく斬新なイルミネーション効果を演出するイルミネーション装置を実現する。
【解決手段】紫外線を発光する基板PWB上のLED10を、所定の間隙を隔てて覆うパネル11を設ける。パネル11は、LED10から発光される紫外線により励起されて可視領域の蛍光色で発光する蛍光体を練り込み成型した光透過性樹脂で形成される。パネル11の表面には、基板PWBに実装された各種電子部品を外側から見えなくする遮光印刷が施される。この遮光印刷はパネル11の表面にのみ施され、パネル周囲の端面には施されない。パネル11はLED10の照光に応じて蛍光色で2次発光し、内部を通ってパネル周囲の端部へ導光される。パネル11の周囲端面が導光により光る蛍光色イルミネーションは、LEDの直接照光とは異なり、端面全体が一様に光る斬新なイルミネーション効果を演出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末などの電子機器の照明に用いて好適なイルミネーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば携帯端末などの電子機器では、着信時に点滅してその旨を通知したり、通話時に筐体パネルの一部分を多彩な色彩で発光表示させたりする等のイルミーネーション効果を演出する装置を搭載することが多い。
【0003】
図7は、従来のイルミネーション装置の概略構造を示す断面図である。この図に示すイルミネーション装置は、基板15上に搭載された3色LED16と、当該3色LED16に対向配置されるパネル17とを備える。光透過性樹脂で形成されるパネル17の裏面層18には、蒸着もしくは乳白色印刷等の、内部構成の目隠しと光透過とを両立させる加飾が施されることによってイルミーネーション効果を演出するようになっている。なお、この種の装置については例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−75612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、図7に図示した従来のイルミネーション装置には、次のような弊害がある。
(1)光源に三色LEDを用いている為、斬新なイルミネーション効果を実現することが出来ない。
(2)図8に図示するように、パネル17の直下に光源(三色LED16)を配置する為、光源近傍では強く光り、逆に光源から離れた箇所には光が届き難い為に照光ムラが発生し易く、その照光ムラの対策が別途必要になることが多い。
(3)照光ムラの対策には、光源(三色LED16)を多数配置したり、導光板等の専用部品が必要になる等、コスト高や占有スペース増大といったデメリットが生じる。
すなわち、以上を換言すると、従来のイルミネーション装置では、低コストでしかも占有スペース増大を招くことなく斬新なイルミネーション効果を実現することが出来ない、という問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、低コストでしかも占有スペース増大を招くことなく斬新なイルミネーション効果を実現することができるイルミネーション装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基板上に配置され、紫外線を発光する発光素子と、前記基板を覆うように対向配置され、前記発光素子から発光される紫外線により励起されて可視光を発光する2次発光体とを具備することを特徴とする。
【0008】
上記請求項1に従属する請求項2に記載の発明では、前記2次発光体は、紫外線により励起されて可視領域の蛍光色で発光する蛍光体を含有する光透過性樹脂材で形成されることを特徴とする。
【0009】
上記請求項1に従属する請求項3に記載の発明では、前記2次発光体は、表面側に遮光加飾が施され、裏面側に受ける前記発光素子からの紫外線の照光に応じて2次発光する蛍光色の光を、内部を介して遮光加飾が施されない周囲端面へ導光することを特徴とする。
【0010】
上記請求項1に従属する請求項4に記載の発明では、前記2次発光体は、遮光性加飾が施された上部パネルと、紫外線により励起されて可視領域の蛍光色で発光する蛍光体を含有する光透過性樹脂材で形成される下部パネル13とを所定の間隙を隔てて重ねた構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、低コストでしかも占有スペース拡大を招致せずに斬新なイルミネーション効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の一形態によるイルミネーション装置の構造を示す平面図である。
【図2】実施の一形態によるイルミネーション装置の構造を示す断面図である。
【図3】実施の一形態によるイルミネーション装置の外観を示す側面図である。
【図4】パネル11における蛍光体の吸収波長と放出波長との関係を示すスペクトル特性図である。
【図5】パネル11の発光原理を説明するための図である。
【図6】変形例によるパネル構造を示す断面図である。
【図7】従来のイルミネーション装置の概略構造を示す断面図である。
【図8】従来例の弊害を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1〜図3は、実施の一形態として携帯端末に搭載されたイルミネーション装置の概略的構造を示す平面図、断面図および側面図である。図1において、携帯端末の筐体内に配設される基板PWBには、例えば窒化アルミニウム結晶を用いて紫外線を発光するLED10が複数設けられる。基板PWB上のLED10の発光面側(上面側)には、図2に図示するように、所定の間隙を隔てて当該LED10を覆うパネル11が対向配置される。
【0014】
パネル11は、LED10から発光される紫外線により励起されて可視領域の蛍光色で発光する蛍光体(例えば窒化物系蛍光体)を練り込み成型した光透過性樹脂で形成される。パネル11の表面には、基板PWBに実装された各種電子部品を外側から見えなくして見栄えを損なわないようにする遮光性印刷が施される。この遮光性印刷はパネル11の表面にのみ施され、パネル周囲の端面には施されない。
【0015】
こうしたパネル11の裏面が基板PWB上のLED10から発光される紫外線により照光されると、図4に図示するように、パネル11に含有される蛍光体が紫外線を吸収して可視領域の放出波長(蛍光)を発光する。つまり、パネル11はLED10の照光に応じて蛍光色で2次発光する。2次発光された蛍光は、図5に図示する通り、パネル11の内部からパネル周囲の端部へ導光される。一方、光源位置(LED10の位置)に対応した局在的な2次発光成分は減衰が大きくしかも遮光印刷によりパネル11の表面側に漏れない。
【0016】
この結果、図3に図示するように、ハンチング部分IPで示されるパネル11の周囲端面がLED10の照光に応じて2次発光する蛍光色イルミネーションとなる。パネル11の周囲端面が導光により光る蛍光色イルミネーションは、LEDによる直接照光とは異なり、端面全体が一様に光る為、斬新なイルミネーション効果を演出することが可能になる。
【0017】
しかも、このような蛍光色イルミネーションでは、ほとんど照光ムラが生じない為に光源を多数配置したり導光板等の専用部品が必要になる等の照光ムラ対策が不要になり、結果的にコスト高や占有スペース増大といったデメリットを回避することができる。加えて、蛍光色イルミネーションは、LED10の点灯に応じて即座に反応する為、その点灯・消灯のタイミングはLED10の点灯・消灯タイミングにほぼ等しく、換言すればLEDと同等の照光制御性を有する。
【0018】
なお、上述した実施形態では、パネル11を単板としたが、これに限らず、図6に図示する変形例のように、パネル11を上部パネル12および下部パネル13の2枚構成としても良い。すなわち、所定の曲率で湾曲する下部パネル13上に、当該下部パネル13と同一の曲率で湾曲し、一回りサイズの小さい上部パネル12をスペーサSPを介在させて覆うように配置した構造を有する。
【0019】
上部パネル12の表面には、遮光性の加飾が施され、内部の基板PWBや基板PWBの実装部品が隠蔽されるように配慮されている。上部パネル12は、樹脂パーツ以外の任意のパーツで構成してよい。下部パネル13は、上述したパネル11と同様、LED10から発光される紫外線により励起されて可視領域の蛍光色で発光する蛍光体(例えば窒化物系蛍光体)を練り込み成型した光透過性樹脂で形成される。上部パネル12より一回り大きい下部パネル13では、上部パネル12が重ねられた状態で周囲端面部14が露出する。LED10の照光に応じて蛍光色で2次発光する下部パネル13では、その露出した周囲端面部14が蛍光色イルミネーションとなる。
【0020】
このように、遮光性加飾が施された上部パネル12と蛍光体を練り込み成型した光透過性樹脂の下部パネル13とをスペーサSPを介在させて重ねた構造によれば、下部パネル13の両面に加飾を施さず、空気層を残すことで臨界角が大きくなり、全反射により2次発光の導光率を向上させるという効果も奏する。
【符号の説明】
【0021】
10 LED
11 パネル
12 上部パネル
13 下部パネル
14 周囲端面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置され、紫外線を発光する発光素子と、
前記基板を覆うように対向配置され、前記発光素子から発光される紫外線により励起されて可視光を発光する2次発光体と
を具備することを特徴とするイルミネーション装置。
【請求項2】
前記2次発光体は、紫外線により励起されて可視領域の蛍光色で発光する蛍光体を含有する光透過性樹脂材で形成されることを特徴とする請求項1記載のイルミネーション装置。
【請求項3】
前記2次発光体は、表面側に遮光加飾が施され、裏面側に受ける前記発光素子からの紫外線の照光に応じて2次発光する蛍光色の光を、内部を介して遮光加飾が施されない周囲端面へ導光することを特徴とする請求項1記載のイルミネーション装置。
【請求項4】
前記2次発光体は、遮光性加飾が施された上部パネルと、紫外線により励起されて可視領域の蛍光色で発光する蛍光体を含有する光透過性樹脂材で形成される下部パネル13とを所定の間隙を隔てて重ねた構造を有することを特徴とする請求項1記載のイルミネーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−174749(P2012−174749A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32768(P2011−32768)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】