説明

インクカートリッジ及び画像形成装置

【課題】インクカートリッジを装置本体から取り外したときのカートリッジや装置本体側からのインクの漏洩を十分に防止しきれていない。
【解決手段】インクカートリッジ76は、インクを収容する可撓性を有するインク袋76aと、インク袋76aを内部に密閉状態で収納し、インク袋76aとの間に流体が供給される加圧空間(空気層76c)を形成する袋部材76bと、インク袋76aから装置本体にインクを供給するインク排出ポート82と、インク排出ポート82とインク袋76aとの間を開閉するインク流路開閉弁91Aとを備え、インク流路開閉弁91Aは、インク弾性管85、エアー管変形部88、加圧板89及び加圧ばね90によって構成されて、空気層76cに対する加圧ポンプ78からの空気の供給によってインク排出ポート82とインク袋76aとの間を開閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクカートリッジ及び画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置及びこの画像形成装置に着脱自在に装着されるインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0004】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液滴を吐出する装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること、すなわち、液体吐出装置)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0005】
このような画像形成装置(以下、単に「インクジェット記録装置」ともいう。)は、高速化が進むと共に多様化し、家庭用のみならずビジネス用途にも広く使用され、更に広幅の被記録媒体への画像形成に対する需要も増えてきている。ビジネス用途では、大量に印刷するためインクカートリッジのインク収容量を多くしてカートリッジ交換頻度を低減している。
【0006】
そのため、印字ヘッドに直接インクカートリッジを装着する方式ではなく、画像形成装置本体側にインクカートリッジ(メインタンク、メインカートリッジなどともいう。)を着脱自在に備え付け、チューブなどでキャリッジなどに搭載される記録ヘッドと連通させてインクを供給する方式(チューブ供給方式)が多く用いられている。
【0007】
このチューブ供給方式では、画像形成に伴って記録ヘッドから消費されるインクがインクカートリッジからチューブを通って記録ヘッドに供給されることになるが、例えば柔軟性に富む細いチューブを使うとチューブをインクが流れるときの流体抵抗が大きいため、供給がインク吐出に間に合わず吐出不良が生じることがある。特に、広幅の被記録媒体に印字する大型装置では必然的にチューブが長くなりチューブの流体抵抗が大きくなる。また、高速印字する場合や高粘度のインクを吐出する場合も流体抵抗が増大し、記録ヘッドに対するインク供給不足が課題となる。
【0008】
そこで、例えば、インクカートリッジのインクを加圧状態に保持すると共に、ヘッドのインク供給上流側に差圧弁を設けて、サブタンク内の負圧が所定の圧力より大きい時にインクを供給するようにするものがある(特許文献1参照)。
【0009】
この構成にあっては、前述のリフィル不足の問題は解決されるが、インクを加圧する方式であるため、インク供給経路内に正の残圧が残る傾向があり、インクカートリッジを取り外した際に、その接続部でインクカートリッジや装置本体側からインクが漏出する不具合が生じるおそれがある。
【0010】
そのため、インク加圧する空気圧を調整する開閉弁を電磁プランジャーで駆動するようにして、空気流路内を脱圧するものがある(特許文献2参照)。また、別の技術としては、エアー加圧でインクを加圧送液するインクカートリッジのインク供給路の一部を可とう性フィルムからなる容積変動手段とすると共に、外部からエアー加圧される構成とすることにより、カートリッジを取り外す時にインク残圧を容積変化手段が吸収し、インク漏れを防止するようにしたものがある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3606282号公報
【特許文献2】特許第3775650号公報
【特許文献3】特開2008−230010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した特許文献2、3に記載の構成にあっては、いずれもエアー加圧力を解除するだけのものなので、インクカートリッジを装置本体から取り外したときのカートリッジや装置本体側からのインクの漏洩を十分に防止しきれていないという課題がある。
【0013】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、インクカートリッジを装置本体から取り外したときのインクの漏洩を簡単な構成で確実に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明に係るインクカートリッジは、
画像形成装置本体に着脱自在に装着されるインクカートリッジであって、
インクを収容する可撓性を有するインク収容手段と、
前記インク収容手段を内部に密閉状態で収納し、前記インク収容手段との間に流体が供給される加圧空間を形成する加圧空間形成手段と、
前記インク収容手段から前記画像形成装置本体に前記インクを供給するインク排出ポートと、
前記インク排出ポートと前記インク収容手段との間を開閉する開閉手段と、を備え、
前記開閉手段は、前記加圧空間に対する流体の供給によって前記インク排出ポートと前記インク収容手段との間を開閉する
ことを特徴とするインクカートリッジ。
【0015】
ここで、前記開閉手段は、前記インク収容手段を加圧するときに前記インク排出ポートと前記インク収容手段とを連通させる構成とできる。
【0016】
また、前記加圧空間には画像形成装置本体から流体が供給される構成とできる。
【0017】
また、前記開閉手段は、前記インク収容手段とインク排出ポートとの間をつなぐインク流路の少なくとも一部に設けられた変形可能な部分と、前記加圧空間へ供給される流体が通る変形可能な部分を含む加圧流体流路と、前記インク流路と前記加圧流体流路の各前記変形可能な部分を潰す方向に付勢される加圧部材と、を備え、
前記加圧空間に供給される流体により前記加圧流体流路の変形可能な部分が変形することにより前記インク流路の変形可能な部分が変形して前記インク流路が開かれる
構成とできる。
【0018】
また、前記開閉手段は、前記流体が供給されていないときには、前記インク流路は閉塞状態であり、前記加圧流体流路は連通状態である構成とできる。
【0019】
また、前記開閉手段の開閉状態を検出する検知手段を備えている構成とできる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給するインクを収容する可撓性を有するインク収容手段を含むインクカートリッジと、
前記インクカートリッジのインク収容手段を加圧する加圧手段と、
前記インクカートリッジのインクを前記記録ヘッドに送液する送液管と、
前記送液管を開閉する開閉手段と、を備え、
前記開閉手段は、前記加圧手段によって駆動される
構成とした。
【0021】
ここで、前記開閉手段は、前記加圧手段が前記インクカートリッジのインク収容手段を加圧するときに前記送液管を開く構成とできる。
【0022】
また、前記加圧手段は、前記インクカートリッジのインク収容手段を流体によって加圧する構成とできる。
【0023】
また、前記開閉手段は、前記送液管の少なくとも一部に設けられた変形可能な部分と、前記流体が通る変形可能な部分を含む加圧流体流路と、前記送液管と前記加圧流体流路の各前記変形可能な部分を潰す方向に付勢されて前記送液管を閉塞する加圧部材と、を備え、
前記加圧手段により前記加圧流体流路の変形可能な部分が変形することにより前記送液管の変形可能な部分が変形して前記送液管が開かれる構成とできる。
【0024】
また、前記開閉手段は、前記加圧手段により前記インクカートリッジのインク収容手段が加圧されていないときには、前記送液管は閉塞状態であり、前記加圧流体流路は連通状態である構成とできる。
【0025】
また、前記開閉手段の開閉状態を検出する検知手段を備えている構成とできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るインクカートリッジによれば、インクを収容する可撓性を有するインク収容手段と、インク収容手段を内部に密閉状態で収納し、インク収容手段との間に流体が供給される加圧空間を形成する加圧空間形成手段と、インク収容手段から画像形成装置本体にインクを供給するインク排出ポートと、インク排出ポートとインク収容手段との間を開閉する開閉手段と、を備え、開閉手段は、加圧空間に対する流体の供給によってインク排出ポートとインク収容手段との間を開閉する構成としたので、インクカートリッジを装置本体から取り外したときのインクの漏洩を簡単な構成で確実に防止することができる。
【0027】
本発明に係る画像形成装置によれば、液滴を吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドに供給するインクを収容する可撓性を有するインク収容手段を含むインクカートリッジと、インクカートリッジのインク収容手段を加圧する加圧手段と、インクカートリッジのインクを記録ヘッドに送液する送液管と、送液管を開閉する開閉手段と、を備え、開閉手段は、加圧手段によって駆動される構成としたので、インクカートリッジを装置本体から取り外したときのインクの漏洩を簡単な構成で確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置を示す概略正面説明図である。
【図2】同じく概略平面説明図である。
【図3】同じく概略側面説明図である。
【図4】同装置の記録ヘッドの説明に供する要部拡大説明図である。
【図5】同装置のインク供給系(インク供給システム)のサブタンクの模式的正断面説明図である。
【図6】同サブタンクの動作説明を兼ねた図5のA−A線に沿う模式的側断面説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るインク供給システムの全体構成を説明する模式的説明図である。
【図8】カートリッジホルダの説明図である。
【図9】インクカートリッジの正面模式的説明図である。
【図10】図9の平面模式的説明図である。
【図11】図9のB−B線に沿う側断面模式的説明図である。
【図12】同インクカートリッジの動作説明に供するに供する平面模式的説明図である。
【図13】同じく図12のC−C線に沿う側断面模式的説明図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係るインク供給システムの全体構成を説明する模式的説明図である。
【図15】インクカートリッジの模式的正面説明図である。
【図16】図15の平面模式的説明図である。
【図17】同じくインクカートリッジの開閉手段の動作説明に供する図16のC−C線に沿う側断面模式的説明図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係るインク供給システムの全体構成を説明する模式的説明図である。
【図19】インクカートリッジの開閉手段の動作説明に供する側断面模式的説明図である。
【図20】本発明の第4実施形態に係るインク供給システムの全体構成を説明する模式的説明図である。
【図21】インクカートリッジと記録装置本体との間の送液管を開閉する開閉手段の動作説明に供する模式的断面説明図である。
【図22】本発明の第5実施形態に係るインク供給システムの全体構成を説明する模式的説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同記録装置の概略正面説明図、図2は同じく概略平面説明図、図3は同じく概略側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、本体フレーム1に立設された左右の側板1L、1Rに横架したガイド部材であるガイドロッド2と、本体フレーム1に横架される後フレーム1Bに取付けられたガイドレール3とで、キャリッジ4を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持し、キャリッジ4を図示しない主走査モータとタイミングベルトによってガイドロッド2の長手方向(主走査方向)に移動走査する。
【0030】
このキャリッジ4には、例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインク滴を吐出する1又は複数(この例で4個)の記録ヘッド10が搭載され、記録ヘッド10は複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0031】
ここで、記録ヘッド10は、図4に示すように発熱体基板12と液室形成部材13から構成され、ヘッドベース部材19に形成された流路から共通流路17及び液室(個別流路)16に順次供給されるインクを液滴として吐出する。この記録ヘッド10は、発熱体14の駆動によるインクの膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものであり、液室16内の吐出エネルギー作用部(発熱体部)へのインクの流れ方向とノズル15の開口中心軸とを直角となしたサイドシュータ方式の構成のものである。
【0032】
なお、記録ヘッドとしては、圧電素子を用いて振動板を変形させ、また、静電力で振動板を変形させて吐出圧を得るものなど様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明に係る画像形成装置に適用することができる。
【0033】
一方、キャリッジ4の下方には、記録ヘッド10によって画像が形成される用紙20が主走査方向と垂直方向(副走査方向)に搬送される。図3に示すように、用紙20は、搬送ローラ21と押えコロ22で挟持されて、記録ヘッド10による画像形成領域(印字部)に搬送され、印写ガイド部材23上に送られ、排紙ローラ対24で排紙方向に送られる。
【0034】
このとき、主走査方向へのキャリッジ4の走査と記録ヘッド10からのインク吐出を画像データに基づいて適切なタイミングで同調させ、用紙20に1バンド分の画像を形成する。1バンド分の画像形成が完了した後、副走査方向に用紙20を所定量送り、前述と同様の記録動作を行う。これらの動作を繰り返し行い、1ページ分の画像形成を行なう。
【0035】
一方、記録ヘッド10の上部には吐出するインクを一時的に貯留するためのインク室が形成されたサブタンク(バッファタンク、ヘッドタンク)30が一体的に接続される。ここでいう「一体的」とは、記録ヘッド10とサブタンク30がチューブ、管等で接続されることも含んでおり、どちらも一緒にキャリッジ4に搭載されているという意味である。
【0036】
このサブタンク30には、装置本体側の主走査方向の一端部側に設けられたカートリッジホルダ77に着脱自在に装着される各色のインクを収容した本発明における液体タンクであるインクカートリッジ(メインタンク)76からインク供給経路の一部を形成する液体供給チューブ71を介して、各色のインクが供給される。
【0037】
また、装置本体の主走査方向の他端部側には記録ヘッド10の維持回復を行う維持回復機構51が配置されている。この維持回復機構51は、記録ヘッド10のノズル面をキャッピングするキャップ52と、キャップ52内を吸引する吸引ポンプ53と、吸引ポンプ53で吸引されたインクの廃液を排出する排出経路54などを含み、排出経路54から排出される廃液は本体フレーム1側に配置された廃液タンク56に排出される。
【0038】
次に、サブタンク30の一例について図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は同サブタンクの模式的正断面説明図、図6は図5のA−A線に沿う模式的側断面説明図である。また、理解を助けるために適宜部品の記載を省略したり、部分的に断面図としたりしている。
サブタンク30は、図6に示すように、インク室106と加圧室102の2室から構成される。インク室106の内部にはヘッド10との接続部の近傍にフィルタ109が設けられ、インクをろ過して異物などを除去したインクを記録ヘッド10に供給する構成としている。
【0039】
このサブタンク30のタンクケース101の開口部にはフィルム部材107が設けられて前記インク室106が形成され、フィルム部材107はばねなどの付勢手段108によってサブタンク30の容積を拡大する方向に付勢されている。これにより、フィルム部材107は、図6(a)に示すように、サブタンク30の外側に凸状に膨らんだ形態となっている。
【0040】
また、タンクケース101のフィルム部材107と反対側には前記加圧室102を形成する加圧室ケース部101aが一体的に設けられ、インク室106と加圧室102との間に連通路111が形成され、この連通路111を開閉する供給弁としての負圧連動弁105が設けられている。この負圧連動弁105は、連通路111に移動可能に挿通された弁体部105aと、弁体部105aが連通路111を閉じる方向に付勢するバネなどの付勢手段105bとで構成され、弁体部105aのインク室106側端部はフィルム部材107に近接して配置されている。この負圧連動弁105は、通常は、図6(a)に示すように連通路111を閉じる非連通状態を保っているが、図6(b)に示すように、インク室106の内部のインクが消費され、フィルム部材107がインク室106内側に変位することにより弁体部105aが移動して連通路111を開き、インク室106と加圧室102とを連通させる。
【0041】
このサブタンク30の加圧室102にはインク供給ポート110が設けられる。このインク供給ポート110には、図2及び図3に示す接続部材113接続され、液体供給チューブ71と連通している。
【0042】
次に、この画像形成装置における本発明の第1実施形態に係るインク供給システムについて図7を参照して説明する。なお、図7は同インク供給システムの全体構成を説明する模式的説明図である。ここではインク供給方式の模式的説明図のため、理解しやすいように、部材の形状、配置などはデフォルメして記載している。
インクカートリッジ76は、インクが収容されたインク収容手段であるインク袋76aと、インク袋76aを密閉状態で収容し、インク袋76aとの間に加圧空間(空気層76c)を形成する加圧空間形成手段である袋部材76bと、ケース部材76dと、スパウト(保持部材)81等で構成されている。インク袋76aと袋部材76bの間の加圧空間には、加圧ポンプ78によって流体である空気が送り込まれ、この加圧空間(空気層76c)の圧力によってインク袋76aが加圧され、インク袋76a内のインクが液体供給チューブ71に送液される。
【0043】
このインクカートリッジ76は、前述した図1及び図2に示すように、カートリッジホルダ77に装着されて記録装置本体にセットされる。
【0044】
ここで、カートリッジホルダ77は、図8に示すように、インクカートリッジ取り付け面側にはインクポート75とエアーポート74a、74bが設けられている。そして、インクカートリッジ76が記録装置本体のカートリッジホルダ77に装着された状態では、図7に示すように、インクカートリッジ76のインク袋76aと液体供給チューブ(インク供給チューブ)71がインクポート75を介して連通する。また、インクカートリッジ76の空気層76cがエアーポート74aを介してエアー供給チューブ79に連通する。このエアー供給チューブ79には加圧ポンプ78が接続されており、インクカートリッジ76の空気層76cに空気を出し入れすることで、インク袋76aを加圧自在としている。また、インクカートリッジ76の空気層76cはエアーポート74bを介して大気開放弁80に通じる。なお、「インク供給チューブ71」の用語は各色のインク供給チューブ76Y、76M、76C、76Kを区別しない用語として用いている。
【0045】
インクカートリッジ76のインク袋76aは、インク供給チューブ71及び接続部材113を介してサブタンク30の加圧室102に連通しているので、加圧ポンプ78を駆動することで加圧室102のインクの圧力を制御することができる。
【0046】
次に、インクカートリッジ76の詳細について図9ないし図11を参照して説明する。なお、図9は同インクカートリッジの正面模式的説明図、図10は図9の平面模式的説明図、図11は図10のB−B線に沿う側断面模式的説明図である。なお、図示を見やすくするために断面を示すハッチングは省略している。
【0047】
インクカートリッジ76のインク袋76a及びインク袋76aを密閉収容する袋部材76bはケース部材76dに固定されたスパウト81に接続固定されている。インク袋76aは、インク流路となる可撓性を有する変形可能な部材からなるインク弾性管(変形可能な部分)85を介してインク排出ポート82に連通している。
【0048】
また、袋部材76bとインク袋76aの間の空気層76cは、エアー吸入管86を介して第1のエアーポート83に連通し、また、エアー排出管87を介して第2のエアーポート84に連通している。
【0049】
第1のエアーポート83は、インクカートリッジ76がカートリッジホルダ77にセットされて装置本体に接続されたときには、前述した図7に示すように、エアー供給チューブ79を経由して加圧ポンプ78に連通した状態になる。したがって、加圧ポンプ78を駆動することにより、袋部材76bとインク袋76aとの間に加圧空間(空気層76c)内に空気を送り込むことができる。一方、第2のエアーポート84は、図7に示すように大気開放弁80を介して大気に連通されている。したがって、大気開放弁80の開閉動作を行うことにより、袋部材76bの内部(加圧空間:空気層76c)を密閉状態にしたり、大気開放状態にしたりすることができる。
【0050】
また、エアー吸入管86の途中には、インク弾性管85を挟む位置に可とう性を有する変形可能な部材からなる2つのエアー管変形部(変形可能な部分)88が設けられている。そして、インク弾性管85とエアー管変形部88の上部には、加圧板89が移動可能に設けられており、この加圧板89は圧縮ばねからなる加圧ばね90によってインク弾性管85及びエアー管変形部88をつぶす方向に付勢されている。これらのインク弾性管85、エアー管変形部88、加圧板89及び加圧ばね90によってインク袋76aとインク排出ポート82との間のインク流路を開閉する開閉手段としてのインク流路開閉弁91Aを構成している。
【0051】
このインクカートリッジ76の動作について図12及び図13をも参照して説明する。なお、図12は同インクカートリッジの動作説明に供する平面模式的説明図、図13は図12のC−C線に沿う側断面模式的説明図である。
まず、画像形成装置が停止しているときには、加圧ポンプ78は停止しており、大気開放弁80は開いた状態にあるとする。この状態では、大気開放弁80、空気層76c、加圧ポンプ78に至る全ての空気経路(エアー径路)は大気圧である。したがって、インク流路開閉弁91Aのインク弾性管85は、加圧ばね90に付勢された加圧板89によって押圧されて潰され、図12及び図13に示すように、インク袋76aとインク排出ポート82との間のインク流路が閉塞されている。
【0052】
これにより、画像形成装置停止状態のときにインクカートリッジ76のインク袋76a内に残圧がある場合においても、インクが記録ヘッド10側に徐々に送られる不具合を防止することができる。また、インクカートリッジ76をカートリッジホルダ77から取り外した時にインクが漏洩することを確実に防止できる。
【0053】
なお、周知のインクカートリッジには、インクカートリッジのインク排出口をゴム等のシール部材で形成し、プリンタ側のカートリッジの受け部に中空針を設けて、シール部材に穿孔してインク経路を導通させるような方式がある。この方式においてもカートリッジを取り外した時にシール部材の弾性により穿孔された穴が塞がってインク漏れを防ぐことができる。しかしながら、この従来の方式では、インクカートリッジを複数回装置本体に対して着脱するとシール性能が劣化してインク漏れを起こしやすくなる不具合がある。また、シール部材を穿孔するために高価な小径の中空針を用いることが必須であり、装置コストが高くなる不具合がある。
【0054】
これに対して、上述した本発明に係る実施形態の構成においては、破壊を伴わないシール方法であるため、複数回のインクカートリッジ着脱に対してもシール性の劣化がなく、また、高価な中空針を用いる必要もなく、低コストの記録装置を実現することができる。
【0055】
次に、インクカートリッジ76を記録装置本体に装着して記録を行う場合について前述した図7及び図9ないし図11を参照して説明する。
記録装置が印字命令を受信したときには、図7に示す大気開放弁80を閉弁した後、加圧ポンプ78を駆動してエアー供給チューブ79に空気を送り出す。この空気は、図11に示すインクカートリッジ76内のエアー吸入管86を介して袋部材76bに入り、時間の経過と共に空気層76c内の空気圧が増加する。その結果、図10及び図11に示すように、加圧ばね90の付勢力に抗してエアー管変形部88が膨張し、インク弾性管85を潰して閉塞していた加圧板89を押し上げる。この状態では、インク袋76a内部がサブタンク30の加圧室102と連通しており、記録ヘッド10からインクが吐出された場合に、加圧されたインクを高速にサブタンク30に供給することができる。
【0056】
このようにして、本発明のインクカートリッジにおいては、インクカートリッジからインクを供給するための加圧手段を用いてインクカートリッジのインク流路を開閉する開閉手段(弁機構)によって記録動作を行わないときに確実にインクリークを防止することができる。
【0057】
このように、インクを収容する可撓性を有するインク収容手段と、インク収容手段を内部に密閉状態で収納し、インク収容手段との間に流体が供給される加圧空間を形成する加圧空間形成手段と、インク収容手段から画像形成装置本体にインクを供給するインク排出ポートと、インク排出ポートとインク収容手段との間を開閉する開閉手段とを備えて、開閉手段は、加圧空間に対する流体の供給によってインク排出ポートとインク収容手段との間を開閉する構成とすることで、インクカートリッジを装置本体から取り外したときのインクの漏洩を簡単な構成で確実に防止することができるとともに、インクを供給するための加圧手段によって開閉手段の開閉動作を行わせることができて構成が簡単になる。
【0058】
次に、本発明の第2実施形態について図14ないし図17を参照して説明する。なお、図14は同実施形態に係るインク供給システムの全体構成を説明する模式的説明図、図15はインクカートリッジの模式的正面説明図、図16は図15の平面模式的説明図、図17は同じくインクカートリッジの開閉手段の動作説明に供する図16のC−C線に沿う側断面模式的説明図である。
【0059】
ここでは、図16及び図17に示すように、開閉手段であるインク流路開閉弁91Bを構成するインクカートリッジ76のエアー管変形部88を伸縮が容易な蛇腹構造のものとしている。
【0060】
まず、図17(a)はエアー加圧によりエアー管変形部88が伸びて加圧板89が上昇した状態を示している。この状態ではインク弾性管85は自身の弾性により潰れた状態から形状回復し、インク弾性管85が開かれてインク袋76a内のインクが液体供給チューブ71に排出可能(供給可能)となる。
【0061】
このインク供給状態にするには、図14において、大気開放弁80を閉じ、加圧ポンプ78で空気をエアー供給チューブ79に送り込むことで行うことができる。つまり、前記実施形態で説明したと同様に、加圧ポンプ78でインクカートリッジ76に空気を送り込むことによって、エアー管変形部88が伸びてインクカートリッジ76と液体供給チューブ71との間を連通させる(インク流路を開く)と共に、インク袋76a内のインクを加圧する。このとき、前記実施形態で説明したようにサブタンク30内の負圧連動弁105の機能と合わせて高粘度なインクでも高速に記録ヘッド10に供給することができる。
【0062】
また、インクの供給が不要なときには、加圧ポンプ78を停止状態にして、大気開放弁80を開く。それにより、エアー供給チューブ79からインクカートリッジ76の袋部材76bの空気層76cに至る全経路の加圧状態が解消され大気圧になる。したがって、図17(b)に示すように、加圧ばね90の作用により加圧板89が下降しインク弾性管85が潰されインク流路が遮断される。
【0063】
これにより、インクカートリッジ76のインク袋76aの状態等により内部に残圧が残っていたとしても、その残圧により液体供給チューブ側にインクが徐々にリークして記録ヘッド10からインクが滲み出すような不具合を完全に防止することができる。また、インクカートリッジ76を取り外した場合に、インクカートリッジ76からのインクの漏れを防止できる。
【0064】
なお、本実施形態においては、図17(b)に示すように、インク弾性管85が完全につぶれた状態においてエアー管変形部88はつぶれきらない構成としている。したがって、前述した実施形態においては図9に示すようにインクカートリッジ76に対する空気の出し入れのために別々に2つの空気ポート(83、84)を必要としたが、本実施形態では図15に示すように、空気の出し入れは第1のエアーポート83のみで行えるので、カートリッジホルダ77との接続箇所も半数で済み、構成が簡単になる。
【0065】
次に、本発明の第3実施形態について図18及び図19を参照して説明する。なお、図18は同実施形態に係るインク供給システムの全体構成を説明する模式的説明図、図19はインクカートリッジの開閉手段の動作説明に供する側断面模式的説明図である。
【0066】
本実施形態のインク供給システムは、前述した第1実施形態のインク供給システムとインクカートリッジ76に内蔵された開閉手段であるインク流路開閉弁92以外の構成は同じである。そこで、インク流路開閉弁92の構成及び動作について図19を参照して説明する。
【0067】
本実施形態のインクカートリッジ76では、スパウト81にインク流路溝93が設けられ、その上部が弾性変形可能な弾性部材94で覆われることで、インク袋76aとインク排出ポート82との間に変形可能な部分を含むインク流路が形成されている。弾性部材94の上面には第1の電極95が設けられている。さらに、この第1の電極95の上方には加圧板89に固定され、弾性部材94を押圧する押圧部材を兼ねた第2の電極96が配置されている。加圧板89は両サイドに設けられた加圧ばね90としての引っ張りばねによって下方に付勢されている。また、加圧板89の上方にはストッパ100が配置されている。
【0068】
このインク供給システムを搭載した記録装置が非稼動であるときには、前記各実施形態と同様に、図18における大気開放弁80が開いている状態になっており、インクカートリッジ76内の全空気経路は加圧されていない。このとき、インク流路開閉弁92は、図19(b)に示すように、加圧ばね90の作用により第2の電極96が下降し、弾性部材94をインク流路溝93側に変形させ、インク流路を閉塞する。これにより、インク袋76a内のインクがインクカートリッジ外にリークすることが防止される。
【0069】
一方、記録装置が稼動状態となって印字するときに、図18における大気開放弁80を閉じ、加圧ポンプ78を駆動してエアー供給チューブ79を介してインクカートリッジ76の空気層76cに空気を送り込む。これにより、インク流路開閉弁92のエアー管変形部88が図19(a)に示すように体積膨張し、加圧ばね90の付勢力に抗して加圧板89をストッパ100の位置まで持ち上げる。この結果、弾性部材94に対する第2の電極96による押圧が解除され、弾性部材94の復元力により形状回復してインク流路が開通し、インクカートリッジ76から液体供給チューブ71へのインク圧送が行えるようになる。
【0070】
また、本実施形態では、エアー加圧状態によって上下する第2の電極96とインク流路を形成する弾性部材94に第1の電極95を備えている。これらの2つの電極95、96は、エアー加圧をしていない状態、即ちインク流路が閉じている状態においては、図19(b)に示すように接触しており、導通している。また、エアー加圧しているときも、第2の電極96はストッパ100によって弾性部材94が形状回復してインク流路ができている状態で、図19(a)に示すように第1の電極95に接触するようにしている。したがって、インクカートリッジ76が正常な状態では空気加圧状態の如何にかかわらず双方の電極は導通している。
【0071】
これに対して、インクカートリッジ76のインク袋76a内にインクがなくなると、図19(c)に示すようにエアー加圧しても、インク袋76aからインクが排出されないので、弾性部材94がつぶれたままの状態になり、この結果、第1の電極95と第2の電極96が非導通になるため、インクカートリッジ76が空になったこと(インクエンドないしインクニアエンド)を検知することができる。
【0072】
次に、本発明の第4実施形態について図20及び図21を参照して説明する。なお、図20は同実施形態に係るインク供給システムの全体構成を説明する模式的説明図、図21はインクカートリッジと記録装置本体との間の送液管を開閉する開閉手段の動作説明に供する模式的断面説明図である。
【0073】
本実施形態のインク供給システムは、前述した第1実施形態のインク供給システムにおける液体供給チューブ71とインクカートリッジ76との間に開閉手段としてのインク送液弁97を追加したものである。
【0074】
このインク送液弁97は、インクカートリッジ76と液体供給チューブ71との間に設けた可撓性部材からなる送液管(変形可能な部分)72を加圧ポンプ78の駆動によって開閉するものである。すなわち、図21に示すように、インク送液弁97は、支点99を中心に加圧板89が回動するヒンジ機構98で構成されており、変形可能な送液管72とエアー管変形部88がヒンジ機構98に挟まれて、エアー管変形部88が支点99よりも相対的に遠い側に配置されている。このヒンジ機構98で挟まれた部分において、送液管72は、例えばシリコンゴムなどの弾性部材からなり、エアー管変形部88はゴムチューブやPET等のフィルム材料など可とう性材料からなり、いずれも変形可能である。
【0075】
また、加圧板89は加圧ばね90によって常時加圧されている。この加圧板86が加圧されている状態(加圧ポンプ78から空気を供給していない状態)では、図21(b)に示すように、エアー管変形部88がつぶされるので、送液管72もつぶれてインク供給流路が閉塞した状態となる。一方、図21(a)に示すように、エアー管変形部88が膨張しているとき(加圧ポンプ78から空気を供給しているとき)には、エアー管変形部88が膨張して送液管72をつぶしている加圧板89を加圧ばね90の付勢力に抗して押し上げるので、加圧が解除されるため送液管72を形成している部材自身の弾性によって形状回復し、インク供給流路が開通した状態になる。
【0076】
ここで、このインク供給システムを搭載した記録装置が非稼動であるときは、図20における大気開放弁80が開いている状態になっており、加圧ポンプ78からインクカートリッジ76、大気開放弁80に至る全空気経路は加圧されていない。このとき、インク送液弁97は、図21(b)に示すように、加圧ばね90の作用により送液管72が閉塞した状態にあり、同時に、前述したようにインクカートリッジ76内のインク流路開閉弁91も閉塞状態である。これにより、インクカートリッジ76のインク袋76a内に残圧があった場合でも、インクが記録ヘッド10側に徐々に送られることを阻止できる。
【0077】
また、インクカートリッジ76を記録装置から取り外した場合には、インクカートリッジ76側も記録装置本体側のいずれもインク(供給)流路が閉じた状態になっているので、いずれからもインクが漏洩することがない。
【0078】
一方、記録装置が稼動状態となり印字するときには、図20における大気開放弁80を閉じ、加圧ポンプ78を駆動してエアー供給チューブ79を介してインクカートリッジ76の空気層76cに空気を送り込む。これにより、インク送液弁97及びインク流路開閉弁91のエアー管変形部88が体積膨張し加圧ばね90に抗して加圧板89を持ち上げる(図21(a)、図10参照)。その結果、双方のインク流路85及びインク送液管72が開通し、インクカートリッジ76から液体供給チューブ71へのインク圧送が行える。
【0079】
また、本実施形態でも、ヒンジ機構98で開閉する2つの板に第1の電極95と第2の電極96を備えているので、エアー管変形部88の変形状態を検知することができる。したがって、加圧ポンプ78を駆動して空気を送り込んだ場合に、図21(a)に示すように2つの電極95、96は離間して非導通状態になれば正常に動作していることが検出できる。加圧ポンプ78を駆動しているにもかかわらず導通状態であれば、ポンプ78が故障しているか、空気経路のどこかでエアーリークしていることになり、印字動作を中止する等ができる。
【0080】
逆に、大気開放弁80を開放しているにもかかわらず第1の電極95と第2の電極96が非導通状態であれば、大気開放弁80自体の故障や空気経路の詰まり等の不具合が生じていることを検知することができる。
【0081】
このように、液滴を吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドに供給するインクを収容する可撓性を有するインク収容手段を含むインクカートリッジと、インクカートリッジのインク収容手段を加圧する加圧手段と、インクカートリッジのインクを記録ヘッドに送液する送液管と、送液管を開閉する開閉手段とを備え、開閉手段は、加圧手段によって駆動される構成とすることで、インクカートリッジを装置本体から取り外したときのインクの漏洩を簡単な構成で確実に防止することができるとともに、加圧手段で開閉手段の開閉動作を行うことができて構成が簡単になる。
【0082】
以上の説明においては、説明の簡略化のため、1つのインクカートリッジ76のインクを対応する記録ヘッド10に供給する場合について説明をしてきたが、本発明は複数種類のインクを対応する記録ヘッドに供給して記録を行う記録装置に適用することができる。この場合、前述した各実施形態におけるインク供給ステムをインク種ごとに備えるようにしてもよいが、図22に示すように、インク加圧用のポンプ78や大気開放弁80を共通に用いる構成とすることができ、これにより加圧システムを簡素化できる。
【0083】
そこで、ポンプや大気開放弁を共通に用いる本発明の第5実施形態について図22を参照して説明する。なお、図22は同実施形態に係るインク供給システムの全体構成を説明する模式的説明図である。
ここでは、2色のインクを収容したインクカートリッジ(76M、76Y)を対応する記録ヘッド(10M、10Y)に供給する場合のインク供給システムの構成例を示している。本実施形態では、各インクカートリッジ76には、図14ないし図16で説明したインク流路開閉弁91Bと同様の構成のものが備えられ、カートリッジホルダ77には図20及び図21で説明した装置本体側のインク供給経路を開閉する開閉手段としてのインク送液弁97が備えられている。
【0084】
ここで、インク流路開閉弁91Bとインク送液弁97の内部にある各エアー管変形部88を非加圧時に空気流路を閉塞しない構成とし、図22に示すように加圧ポンプ78からインクカートリッジ76に至る空気経路を形成する構成としている。これにより、加圧ポンプ78、大気開放弁80を1つとして、2色のインクを供給する場合にも前述したシステムと同様にインクリークを確実に防止することが可能である。
【0085】
以上説明してきたように、本発明によれば、インク流路開閉弁やインク送液弁をインクカートリッジのインクを加圧する駆動源を流用して簡易に動作させ、印字時にはインクの高速供給を可能にし、非駆動時にはインクのリークを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0086】
4 キャリッジ
10 記録ヘッド
30 サブタンク
71 液体供給チューブ
72 送液管
76 インクカートリッジ
76a インク袋
76b 袋部材
76c 空気層(加圧空間)
77 カートリッジホルダ
78 加圧ポンプ
79 エアー供給チューブ
81 スパウト
82 インク排出ポート
85 インク弾性管
88 エアー変形管
89 加圧板
90 加圧ばね
91A、91B、92 インク流路開閉弁(開閉手段)
97 インク開閉弁(開閉手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱自在に装着されるインクカートリッジであって、
インクを収容する可撓性を有するインク収容手段と、
前記インク収容手段を内部に密閉状態で収納し、前記インク収容手段との間に流体が供給される加圧空間を形成する加圧空間形成手段と、
前記インク収容手段から前記画像形成装置本体に前記インクを供給するインク排出ポートと、
前記インク排出ポートと前記インク収容手段との間を開閉する開閉手段と、を備え、
前記開閉手段は、前記加圧空間に対する流体の供給によって前記インク排出ポートと前記インク収容手段との間を開閉する
ことを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記開閉手段は、前記加圧手段が前記インク収容手段を加圧するときに前記インク排出ポートと前記インク収容手段とを連通させることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記加圧空間には画像形成装置本体から流体が供給されることを特徴とする請求項1又は2記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記開閉手段は、前記インク収容手段とインク排出ポートとの間をつなぐインク流路の少なくとも一部に設けられた変形可能な部分と、前記加圧空間へ供給される流体が通る変形可能な部分を含む加圧流体流路と、前記インク流路と前記加圧流体流路の各前記変形可能な部分を潰す方向に付勢される加圧部材と、を備え、
前記加圧空間に供給される流体により前記加圧流体流路の変形可能な部分が変形することにより前記インク流路の変形可能な部分が変形して前記インク流路が開かれる
ことを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記開閉手段は、前記流体が供給されていないときには、前記インク流路は閉塞状態であり、前記加圧流体流路は連通状態であることを特徴とする請求項4に記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
前記開閉手段の開閉状態を検出する検知手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給するインクを収容する可撓性を有するインク収容手段を含むインクカートリッジと、
前記インクカートリッジのインク収容手段を加圧する加圧手段と、
前記インクカートリッジのインクを前記記録ヘッドに送液する送液管と、
前記送液管を開閉する開閉手段と、を備え、
前記開閉手段は、前記加圧手段によって駆動される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記開閉手段は、前記加圧手段が前記インクカートリッジのインク収容手段を加圧するときに前記送液管を開くことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記加圧手段は、前記インクカートリッジのインク収容手段を流体によって加圧することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記開閉手段は、前記送液管の少なくとも一部に設けられた変形可能な部分と、前記流体が通る変形可能な部分を含む加圧流体流路と、前記送液管と前記加圧流体流路の各前記変形可能な部分を潰す方向に付勢されて前記送液管を閉塞する加圧部材と、を備え、
前記加圧手段により前記加圧流体流路の変形可能な部分が変形することにより前記送液管の変形可能な部分が変形して前記送液管が開かれることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記開閉手段は、前記加圧手段により前記インクカートリッジのインク収容手段が加圧されていないときには、前記送液管は閉塞状態であり、前記加圧流体流路は連通状態であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記開閉手段の開閉状態を検出する検知手段を備えていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2010−260202(P2010−260202A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110988(P2009−110988)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】