説明

インクジェット印刷用水性着色剤調製物

本発明は、基本的に、パーセンテージが着色剤調製物の総重量(100重量%)に対するものである、(A)0.1〜50重量%の少なくとも1種の有機および/または無機着色剤、(B)0.1〜30重量%の少なくとも1種のスクシナメート、(C)0.1〜30重量%の少なくとも1種のポリエチレングリコールアルキルエーテル、(D)0〜30重量%の少なくとも1種のアルコキシル化スチロール/フェノール縮合物、(E)0〜30重量%の少なくとも1種の有機溶媒、(F)0〜30重量%の少なくとも1種の屈水性物質、(G)0〜10重量%のインクジェット調製物に対して一般に使用されるその他の添加剤、および(H)10〜90重量%の脱イオン水を含んだ水性着色剤調製物に関する。本発明の着色剤調製物は、インクジェットインクに使用するのに特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性着色剤調製物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子写真(レーザプリンタおよび複写機)のようなインクジェット印刷法は、ノンインパクト印刷法であり、コンピュータの使用が増加しているために、近年、特に小規模事業所、個人事業所(SOHO)分野のみならず広域型分野でも一層重要になってきている。
【0003】
インクジェット印刷技術は、いわゆる連続印刷法と、当該液滴がコンピュータ制御の電気信号により発生するインク液滴であるドロップオンデマンド法に区別される。ドロップオンデマンドインクジェット法には、基本的に2種類、即ち、バブルジェットとしても知られているサーマルインクジェットおよび圧電式インクジェットがある。
【0004】
サーマルおよび圧電式インクジェットには、これまで、水溶性染料溶液系のインクが採用されてきており、そのため印刷物は、高い輝度および光学濃度を有するが、耐光性が不十分であり、耐水性が劣る。染料系インクジェットインクのこれらの欠点は、特殊紙の使用により部分的に克服できるのみである。染料系インクの前記欠点を克服する1つの方法は、着色されたインクを使用することである。
【0005】
インクジェット印刷用の着色されたインクは、一連の必要条件を全て満たさなければならない。これらは、印刷に適した粘度および表面張力を有しなければならず、これらは、貯蔵中安定でなければならず、即ちこれらは凝固するべきでなく、分散された顔料は沈降するべきでなく、これらは、顔料粒子インクの場合特に問題となるプリンタノズルを詰まらせてはならず、かつこれらは、環境に配慮した、即ち実質上水性であり非常に低濃度の有機溶媒のみを含むことが必要である。同様に、調製物の純度は、高度の必要条件を満たさなければならない。なぜなら、過剰な濃度の無機塩または有機塩およびイオン、特に塩化物イオンは、プリントヘッドの腐食、したがって早すぎる破損、あるいはバブルジェットプリンタの場合は、加熱要素上の有害な堆積物を引き起こすためである。
【0006】
色の濃さ、色相、輝度、透明度および堅ろう度特性、例えば顔料および印刷物の耐光性、耐水性および色落ち堅ろう度には、特に非常に高い基準が必要である。インクジェット法が写真品質または屋外用の印刷物を作製するのに使用される場合は、高い耐光性が特に重要である。これらの特性を満たすために、ある場合には異なる特性を有する種々の染料および/または顔料の混合物が使用される。
【0007】
インクジェット印刷に使用するための顔料調製物に対し、細分が微細な状態であることが基本的な必要条件である。なぜなら、ノズルの目詰まりを回避するには、平均顔料粒径が200nm、好ましくは150nmを超えず、まさに最大粒径が500nmを超えないように粒径分布が非常に狭いことが必要であるためである。細分が微細な状態であることに加えて、インクジェット調製物の非常に重要な品質基準は、特にフロキュレーション耐性であり、顔料粒子の結晶成長または凝集を適した添加剤により効果的に防止しなければならないのはそのためである。このことは通常ある種の分散助剤により達成される。顔料のそのフロキュレーション耐性と密接に関係する分散性は、貯蔵中の安定性である。なぜなら、顔料粒子は長期の貯蔵中に、たとえ室温に比較して高温または低温でも凝集してはならないからである。着色されたインクは、印刷中に極度の熱応力および機械的応力を受けるが、分散助剤はこれらの環境中でも顔料分散の安定性を確保しなければならない。サーマルインクジェットにおいては、500℃までの一過性の温度上昇が起こる。これらの条件においても、顔料は、プリンタの加熱要素上でフロキュレートまたは堆積したり(cogate)(沈積する)、あるいはプリンタのノズルを詰まらせてはならない。印刷中、着色されたインクは狭いノズル中を突進し、工程中にきわめて高いせん断応力が生じるが、これにより分散助剤が顔料表面から剥ぎ取られるようなことが起きてはならない。
【0008】
したがって、使用される分散助剤は、それが分散物の物理的性質、例えば表面張力および粘度を決定するのみならず、貯蔵の間のフロキュレーションおよび印刷操作の間の分解に対しインクを安定化するので決定的に重要である。
【0009】
さらに、分散剤は、印刷工程中の液滴形成にかなり影響する。サテライトを含まない均一な液滴形成は、例えば、写真プリント分野におけるインクジェット印刷に対する必要条件である。
【0010】
EP−A−1116757には、分散剤系として、エトキシ化ナフタレン誘導体と、スルホサクシネートまたはポリエチレングリコールカルボキシレートの組合せを含んだインクジェット印刷用の顔料分散物が開示されている。
【0011】
米国特許第5938830号には、分散剤としてN−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−二置換スルホスクシナメートをベースとする着色されたインクが記載されている。
【0012】
EP−A−0448055には、顔料および少なくとも1つのスルホン酸基を含有する分散剤からなる水性インクジェット記録流体が記載されている。顔料の含量は2〜4%の範囲である。貯蔵安定性は場合により不満足である。
【0013】
従来技術のインクジェット印刷用の着色された調製物は、これらは細分、熱安定性および貯蔵中の安定性が不十分な点で、プリンタ製造者の必要条件をしばしば満たしていない。特に着色されたインクジェットインクの安定性の問題は、水性有機溶液中の
顔料粒子の十分な安定化と密接に関連している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、上記品質の特徴とインクジェット印刷工程に関する必要条件を兼ね備えており、したがってインクジェット法において有利な用途が得られる新規の顔料調製物を提供するのに適した分散助剤の使用を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者等は、驚くべきことには、この目的は、以下に記載の分散剤の組合せを使用することにより達成され、上記のインクジェット印刷の必要条件を実質上満たす着色剤調製物がもたらされることを見出した。
【0016】
したがって、本発明は、全て着色剤調製物の総重量(100重量%)に対して、
(A)0.1〜50重量%、好ましくは15〜30重量%の少なくとも1種の有機および/または無機着色剤、
(B)0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜10重量%の少なくとも1種のスクシナメート、
(C)0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の少なくとも1種のポリエチレングリコールアルキルエーテル、
(D)0〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%の少なくとも1種のアルコキシル化スチレン/フェノール縮合物、
(E)0〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%の少なくとも1種の有機溶媒、
(F)0〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%の少なくとも1種の屈水性物質、
(G)0〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%のインクジェット調製物用のさらなる通常の添加剤、および
(H)10〜90重量%、好ましくは30〜80重量%の脱イオン水
から本質的になる水性着色剤調製物を提供する。
【0017】
同様に、本発明は、全て着色剤調製物の総重量(100重量%)に対して
(A)0.1〜50重量%、好ましくは15〜30重量%の少なくとも1種の有機および/または無機着色剤、
(B)0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜10重量%の少なくとも1種のスクシナメート、
(C)0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の少なくとも1種のポリエチレングリコールアルキルエーテル、
(D)0〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%の少なくとも1種のアルコキシル化スチレン/フェノール縮合物、
(E)0〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%の少なくとも1種の有機溶媒、
(F)0〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%の少なくとも1種の屈水性物質、
(G)0〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%のインクジェット調製物用のさらなる通常の添加剤、および
(H)10〜90重量%、好ましくは30〜80重量%の脱イオン水
からなる水性着色剤調製物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による着色剤調製物の成分(A)は、微細に分割した有機または無機顔料、および/または有機染料、あるいは種々の有機または無機顔料および/または有機染料との混合物である。顔料は、乾燥粉末の形態でのみならず含水プレスケーキとしても使用することができる。
【0019】
有用な有機顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、アゾレーキ、β−ナフトール、ナフトールAS、ベンズイミダゾロン、縮合ジスアゾ、アゾ金属錯体顔料、および、例えばフタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンタントロン、アントラキノン、フラバントロン、インダントロン、イソビオラントロン、ピラントロン、ジオキサジン、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリンおよびジケトピロロピロール顔料などの多環式顔料、あるいはカーボンブラックがある。
【0020】
特にその表面が、例えばスルホン化またはジアゾ化などの化学操作により改変され、官能性の中性もしくは荷電した基、または高分子連鎖が付与された表面変性顔料も有用である(これらの表面変性顔料は、自己分散型顔料またはグラフト顔料としても知られている)。
【0021】
有用な無機顔料としては、例えば二酸化チタン、硫化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、群青、ニッケルまたはクロムアンチモンチタン酸化物(nickel or chrome antimony titanium oxides)、酸化コバルト、およびさらにバナジン酸ビスマスがある。
【0022】
有用な有機染料としては、酸性染料、直接染料、硫化染料およびこれらのロイコ体、金属錯体染料または反応性染料があり、反応性染料の場合は、求核試薬と反応した染料も同様に使用することができる。
【0023】
言及した有機顔料のうち、特に適したものは、その耐光性がブルースケールにより5を超え、特に6を超えるものである。さらに、使用される顔料は、非常に微細に分割されているべきであり、顔料粒子の好ましくは95%、より好ましくは99%が粒径≦500nmを有する。平均粒径は理想的には<150nmである。使用される顔料に応じて、顔料粒子の形態は広範に変化し得るので、顔料調製物の粘度挙動は粒子形状に応じて広範に変化し得る。調製物に対して理想的な、ニュートン粘度挙動を得るためには、好ましくは粒子が立方形を有するべきである。非常に少ない有機または無機不純物を含んだ、純粋なまたは後から精製された顔料を使用することが好ましい。
【0024】
特に好ましい顔料の例示的な選択としては、カーボンブラック顔料、例えばランプブラック、またはファーネスブラック;モノアゾおよびジスアゾ顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー81、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー87、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー111、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー127、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー191、ピグメントレッド38、ピグメントレッド144、ピグメントレッド214、ピグメントレッド242、ピグメントレッド262、ピグメントレッド266、ピグメントレッド269、ピグメントレッド274、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ34またはピグメントブラウン41;β−ナフトールおよびナフトールAS顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントレッド2、ピグメントレッド3、ピグメントレッド4、ピグメントレッド5、ピグメントレッド9、ピグメントレッド12、ピグメントレッド14、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド146、ピグメントレッド147、ピグメントレッド170、ピグメントレッド184、ピグメントレッド187、ピグメントレッド188、ピグメントレッド210、ピグメントレッド247、ピグメントレッド253、ピグメントレッド256、ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ38またはピグメントブラウン1;アゾレーキおよび金属錯体顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド257、ピグメントオレンジ68またはピグメントオレンジ70;ベンズイミダゾリン顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー181、ピグメントイエロー194、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド185、ピグメントレッド208、ピグメントバイオレット32、ピグメントオレンジ36、ピグメントオレンジ62、ピグメントオレンジ72またはピグメントブラウン25;イソインドリノンおよびイソインドリン顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントイエロー139またはピグメントイエロー173;フタロシアニン顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントグリーン7またはピグメントグリーン36;アンタントロン、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン、インダントロン、ペリレン、ペリノンおよびチオインジゴ顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントイエロー196、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド168、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド181、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209、ピグメントレッド263、ピグメントブルー60、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23またはピグメントオレンジ43;トリアリールカルボニウム顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントレッド169、ピグメントブルー56またはピグメントブルー61;ジケトピロロピロール顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントレッド254がある。
【0025】
特に好ましい有機染料の選択としては、カラーインデックス染料、アシッドイエロー17、アシッドイエロー23、ダイレクトイエロー86、ダイレクトイエロー98、ダイレクトイエロー132、リアクテブイエロー37、アシッドレッド52、アシッドレッド289、リアクテブレッド23、リアクテブレッド180、アシッドブルー9、ダイレクトブルー199および反応性染料と求核試薬の反応生成物がある。
【0026】
成分(B)は、好ましくは式(Ia)または(Ib)の化合物
【0027】
【化4】

[式中、
は、H、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、置換基は、好ましくはハロゲン、アリール、アリール(C〜C20)アルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C20)アルキルまたはC〜C20アルコキシからなる群からの1、2、3または4つの基であり、
およびRは、独立に、H、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、置換基は、好ましくはハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、アミノ、スルホ、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C)アルキル、C〜Cアルコキシ、COOM、SOM、SOMおよびPOからなる1、2、3または4つの基であり、
Mは、H、1価の金属カチオン、NH、第2級、第3級または4級アンモニウムイオンである]から選択される。
【0028】
この場合およびさらに以下の定義において、「アリール」とは、好ましくは6〜15個の炭素原子を含んだ芳香族基を意味する。これらの例は、フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリルである。
【0029】
この場合およびさらに以下の定義において、「ヘタリール」とは、好ましくは1〜10個の炭素原子に加えて、O、N、SおよびPからなる群からの1、2、3または4個のヘテロ原子を含んだ芳香族基を意味する。これらの例としては、ピロリル、フリル、チオフェニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルがある。
【0030】
本明細書では、式(IIa)または(IIb)の化合物
【0031】
【化5】

[式中、
は、H、分枝または非分枝のC〜C20アルキル基または分枝または非分枝のC〜C20アルケニル基であり、それぞれが上記のように置換されていてもよく、
Xは、COO、SO、SOまたはPOであり、
Mは、H、1価の金属カチオン、NH、第2級、第3級または4級アンモニウムイオンである]が特に好ましい。
【0032】
特に好ましい(Ia)、(Ib)、(IIa)および(IIb)化合物において、Rは、C12〜C18アルキル(分枝または非分枝)またはC12〜C18アルケニル(分枝または非分枝)であり、これらのそれぞれが、ハロゲン、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C)アルキルおよびC〜Cアルコキシからなる群からの1、2、3または4つの置換基により置換されており、Xは好ましくはSOであり、Mは、好ましくはH、Li、Na、K、NH、HO−CH−CH−NH、(HO−CH−CH−)NHまたは(HO−CH−CH−)NHである。
【0033】
成分(C)は、好ましくは式(III)の化合物
【0034】
【化6】

[式中、
は、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、置換基は、好ましくはハロゲン、アリール、アリール(C〜C20)アルキル、C〜Cシクロアルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C20)アルキルまたはC〜C20アルコキシからなる群からの1、2、3または4つの基であり、
nは1〜100、好ましくは1〜20であり、
Xは、CHCOO、SO、SOまたはPOであり、
Mは、H、1価の金属カチオン、NH、第2級、第3級または4級アンモニウムイオンである]から選択される。
【0035】
特に好ましい式(Ill)の化合物において、Rは、C12〜C18アルキル(分枝または非分枝)またはC12〜C18アルケニル(分枝または非分枝)であり、これらのそれぞれが、ハロゲン、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C)アルキルおよびC〜Cアルコキシからなる群からの1、2、3または4つの置換基により置換されており、Xは好ましくはCHCOOであり、Mは、好ましくはH、Li、Na、K、NH、HO−CH−CH−NH、(HO−CH−CH−)NHまたは(HO−CH−CH−)NHである。
【0036】
式(III)の化合物の例としては、
【0037】
【化7】

がある。
【0038】
この種類の化合物は、CH−A−324665およびCH−A−283986から知られている。
【0039】
成分(D)は、好ましくは式(IV)または(V)の化合物
【0040】
【化8】

[式中、
は、H、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基、好ましくはHまたはC〜Cアルキル基であり、
およびRは、独立に、H、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基、好ましくはHまたはCHであり、
nは1〜100、好ましくは20〜60であり、
Xは、CO−R−COO、SO、SOまたはPOであり、
は、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アキレン基、置換、非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニレン基、あるいは置換または非置換のアリーレン基であり、置換基は、好ましくはハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、アミノおよびスルホ、好ましくはCH=CH、CH(SOM)−CHまたはCH−CH(SOM)からなる群からの1、2、3または4つの基であり、
Mは、H、1価の金属カチオン、NH、第2級、第3級または4級アンモニウムイオンである]、またはこれらの混合物から選択される。
【0041】
好ましいMの意味は、上記に定義された通りである。
【0042】
この種類の化合物は、例えばDE−A−19535246およびDE−A−19712486から知られている。
【0043】
本発明による着色剤調製物は、成分(E)として有機溶媒または有機溶媒の混合物を含み得て、この場合、これらの溶媒は、必要に応じて保水作用を持ち得る。有用な溶媒としては、例えば1価または多価アルコール、これらのエーテルおよびエステル、例えば特に1〜4個の炭素原子のアルカノール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール;特に2〜6個の炭素原子の2価または3価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2,6−へキサントリオール、グリセロール、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール;多価アルコールの低級アルキルエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルまたはエチルまたはブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルまたはエチルエーテル;ケトンおよびケトンアルコール、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール;アミド、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンがある。
【0044】
有用な屈水性化合物(F)としては、これは溶媒としても機能するが、適切であれば、例えばホルムアミド、尿素、テトラメチル尿素、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチルグリコール、メチルセロソルブ、グリセロール、N−メチルピロリドン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、チオジグリコール、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウムまたはブチルモノグリコール硫酸ナトリウムがある。
【0045】
本発明の着色剤調製物は、成分(G)として、例えば、防腐剤、光安定剤、酸化防止剤、カチオン性、アニオン性、両性または非イオン性界面活性物質(界面活性剤および湿潤剤)、デガッサー/消泡剤、およびさらに粘度調節剤、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体または水溶性天然または人造樹脂、および接着性および耐磨耗性を高めるための皮膜形成剤または結合剤としてのポリマーなどの、特にインクジェットインク用、ならびに印刷および塗装工業における通常の他の添加剤をさらに含んでいてもよい。使用されるpH調節剤には、有機または無機の塩基および酸が含まれる。好ましい有機塩基は、アミン、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、アミノメチルプロパノールまたはジメチルアミノメチルプロパノールである。好ましい無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたはアンモニアである。
【0046】
着色剤調製物を製造するのに使用される水、成分(H)は、好ましくは蒸留水または脱塩水の形態で使用される。
【0047】
本発明の分散剤の組合せにより、特にインクジェット分野の用途において実質上重要である低粘度、およびさらに分散剤が印刷中新たに生じるインク液滴表面へ迅速に移行し、それによって安定した均一な液滴の形成が提供される。このようにして、高品質のインクジェット印刷物が可能となる。
【0048】
分散剤として、比較的多数の末端カルボキシル基を有するいくつかのその他のポリマーまたはコポリマーに加えて、しばしば使用されるアクリレート樹脂は、Ca2+、Mg2+またはFe3+などの多電荷の金属カチオンと不溶性錯体を形成する傾向にあり、これが例えば、フロキュレーションの原因となり、したがって外来性の塩不純物の存在下では分散物の安定性の低下の原因となる。こうした金属不純物は、顔料により、その合成に使用された工程の結果として分散物中にしばしば導入され、このことが適した顔料の選択を制限する。本発明の分散剤系では、こうした金属不純物のマイナスの作用は認められない。したがって、本発明の分散剤系は、有利には広く種々の顔料に適している。
【0049】
インクジェットインク中におけるポリマーの使用にしばしば伴う他の問題は、プリントヘッドのノズルにおいてこれらが固化する傾向であり、これはノズルの目詰まりを起こし、それゆえ印刷挙動が劣化する。本発明の分散剤を使用した場合は、こうしたノズルの故障が認められず、すじ状にならず、それゆえ均一な印刷物が可能になる。
【0050】
本発明は、さらに着色剤調製物を製造する方法を提供し、これは好ましくは粉末またはプレスケークとしての着色剤(A)を、脱イオン水(成分H)中で成分(B)、(C)、および適切であれば(D)、(E)、(F)および/または(G)と共にペースト状にし、ホモジナイズし、粉砕または分散アセンブリを使って、微細に分散し、または微細に分割することを含む。
【0051】
この方法は、粉末としてあるいはプレスケークとしての、少なくとも1種の着色剤(成分A)を、式(Ia)または(Ib)の水溶性スルホスクシナメートをベースとする少なくとも1種の分散剤(成分B)、式(III)の少なくとも1種のポリエチレングリコールアルキルエーテルまたはその塩(成分C)、適切であれば、式(IV)または(V)の少なくとも1種のアルコキシル化スチレン/フェノール縮合物、またはこれらの混合物(成分D)、適切であれば、少なくとも1種の有機溶媒(成分E)、適切であれば、少なくとも1種の屈水性物質(成分F)、および適切であれば、その他の添加剤(成分G)と共に脱イオン水(成分H)中でペースト状にし、引き続いて、溶解機またはその他のどれか適した装置を用いてホモジナイズし、予備分散させる第1ステップを好ましくは含む。ビーズミルまたはその他のどれか適した分散アセンブリを用いて冷却しながら、微分散の操作を、着色剤粒子、特に顔料粒子に対する所望の粒径分布まで行う。微分散操作の後で、分散物を脱イオン水でさらに希釈することができる。
【0052】
本発明はさらに、記載の着色剤調製物の、印刷インク、特にインクジェットインク、電子写真用トナー、特に重合トナー、粉体塗装およびカラーフィルタ用の着色剤としての使用を提供する。
【0053】
インクジェットインクとは、水性インク(マイクロエマルジョンを含む)のみならず、溶剤系インク、UV硬化インクおよびホットメルトインクも意味するものとする。
【0054】
水性インクジェットインクは、基本的に0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の1種または複数の本発明による着色剤調製物、70〜95重量%の水、0〜30重量%の1種または複数の屈水性、即ち保水、化合物および/または有機溶媒を含む。
【0055】
水性インクジェットインクは、場合により水溶性結合剤および他の添加剤、例えば界面活性剤および湿潤剤、デガッサー/消泡剤、防腐剤および酸化防止剤をさらに含んでいてもよい。
【0056】
マイクロエマルジョンインクは、有機溶媒、水および場合により界面媒介物質(界面活性剤)として作用する追加の物質をベースとする。マイクロエマルジョンインクは、0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の1種または複数の本発明による着色剤調製物、0.5〜95重量%の水ならびに0.5〜95重量%の有機溶媒および/または界面媒介物質を含む。
【0057】
溶剤系インクジェットインクは、基本的に0.5〜30重量%の1種または複数の本発明による着色剤調製物、70〜95重量%の有機溶媒もしくは溶媒混合物および/または屈水性化合物からなる。必要に応じて、溶剤系インクジェットインクは、溶媒中に可溶な担体材料および結合剤、例えばポリオレフィン、天然および合成ゴム、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、ワックス/ラテックス系またはこれらの組合せを含んでいてもよい。
【0058】
UV硬化インクは、基本的に、0.5〜30重量%の1種または複数の本発明による着色剤調製物、0.5〜95重量%の水、0.5〜95重量%の有機溶媒または溶媒混合物、0.5〜50重量%の放射線硬化性結合剤、および場合により0〜10重量%の光開始剤を含む。
【0059】
ホットメルトインクは、通常、室温では固体であり、加熱により液化し、好ましい溶融範囲が約60℃と約140℃の間にある、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコールまたはスルホンアミドをベースとしている。本発明はまた、基本的に、20〜90重量%のワックスおよび1〜10重量%の1種または複数の本発明による着色剤調製物からなるホットメルトインクジェットインクを提供する。これはさらに、0〜20重量%の追加のポリマー(「染料溶解剤」として)、0〜5重量%の分散助剤、0〜20重量%の粘度調節剤、0〜20重量%の可塑剤、0〜10重量%の粘着性付与剤、0〜10重量%の透明度安定剤(例えば、ワックスの結晶化を防止する)およびさらに0〜2重量%の酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0060】
本発明の印刷インク、特にインクジェットインクは、着色剤調製物を、マイクロエマルジョン媒体中、または水性または非水性媒体中、またはUV硬化インク調製用媒体中あるいはホットメルトインクジェットインク調製用ワックス中に分散させることにより製造することができる。
【0061】
得られた印刷インクは、インクジェット用途には、引き続いてろ過する(例えば、1μmフィルタを通して)ことが有利である。
【0062】
本発明はさらに、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、適切であればグリーン、および適切であればオレンジ色の印刷インクを含み、少なくとも1種の印刷インクが、本発明による着色剤調製物であるか、またはそれを含むことを特徴とする印刷インクのセットを提供する。
【0063】
そのブラック調製物が、着色剤としてカーボンブラック、特にランプブラックまたはファーネスブラックを好ましくは含み;そのシアン調製物が、フタロシアニン、インダントロンまたはトリアリールカルボニウム顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー56、ピグメントブルー60またはピグメントブルー61の群からの顔料を好ましくは含み;そのマゼンタ調製物が、モノアゾ、ジスアゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、アゾレーキ、金属錯体、ベンズイミダゾロン、アンタントロン、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、チオインジゴ、トリアリールカルボニウムまたはジケトピロロピロール顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントレッド2、ピグメントレッド3、ピグメントレッド4、ピグメントレッド5、ピグメントレッド9、ピグメントレッド12、ピグメントレッド14、ピグメントレッド38、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド144、ピグメントレッド146、ピグメントレッド147、ピグメントレッド149、ピグメントレッド168、ピグメントレッド169、ピグメントレッド170、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド181、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド187、ピグメントレッド188、ピグメントレッド207、ピグメントレッド208、ピグメントレッド209、ピグメントレッド210、ピグメントレッド214、ピグメントレッド242、ピグメントレッド247、ピグメントレッド253、ピグメントレッド254、ピグメントレッド256、ピグメントレッド257、ピグメントレッド262、ピグメントレッド263、ピグメントレッド266、ピグメントレッド269、ピグメントレッド274、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23またはピグメントバイオレット32の群からの顔料を好ましくは含み;そのイエロー調製物が、モノアゾ、ジスアゾ、ベンズイミダゾリン、イソインドリノン、イソインドリンまたはペリノン顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー81、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー87、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー111、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー127、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー173、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー181、ピグメントイエロー191、ピグメントイエロー194、ピグメントイエロー196またはピグメントイエロー213の群からの顔料を好ましくは含み;そのオレンジ調製物が、ジスアゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、ベンズイミダゾロンまたはペリノン顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ36、ピグメントオレンジ38、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ62、ピグメントオレンジ68、ピグメントオレンジ70、ピグメントオレンジ72またはピグメントオレンジ74の群からの顔料を好ましくは含み;そのグリーン調製物が、フタロシアニン顔料、特にカラーインデックス顔料、ピグメントグリーン7またはピグメントグリーン36の群からの顔料を好ましくは含む印刷インクのセットが好ましい。
【0064】
本発明の印刷インクは、全ての従来のインクジェットプリンタ、特にバブルジェット法または圧電法に基づくものにおいて有用である。
【0065】
本発明による顔料調製物は、紙、天然または合成繊維材料、フィルムまたはプラスチックの印刷のみならず、各種のコートされたまたはコートされていない基材、例えば、板紙、厚紙、木材および木材ベースの材料、金属材料、半導体材料、セラミック材料、ガラス、ガラスおよびセラミック繊維、建設の無機材料、コンクリート、皮革、食料品、化粧品、皮膚および毛髪の印刷に使用することができる。基材は、2次元の平面または空間に広がる、即ち、3次元であり得て、完全にまたは一部だけを印刷またはコートすることができる。
【0066】
本発明による着色剤調製物はまた、電子写真トナーおよび現像剤、例えば1成分および2成分粉末トナーまたは現像剤、磁性トナー、液体トナー、重合トナーおよびさらにその他の特殊トナー中の着色剤として有用である。典型的なトナー結合剤は、付加重合、重付加および重縮合樹脂、例えば、スチレン、スチレン/アクリレート、スチレン/ブタジエン、アクリレート、ポリエステルまたはフェノールエポキシ樹脂、ポリスルホンおよびポリウレタンの個別または組合せ、およびさらにポリエチレンおよびポリプロピレンであり、これらは、電荷制御剤、ワックスまたは流動剤などのさらなる成分を含んでいても、後からこれらに加えられてもよい。
【0067】
本発明による着色剤調製物はさらに、粉体塗装、例えば金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、織物材料、紙またはゴムで作られた物品を表面コーティングするために使用される、特に摩擦電気式または静電式にスプレーする粉体塗装の着色剤として有用である。有用な粉体塗装用樹脂としては、典型的には、通常の硬化剤を含んだ、エポキシ樹脂、カルボキシルおよびヒドロキシル含有ポリエステル樹脂、ポリウレタンおよびアクリル樹脂がある。樹脂の組合せも使用される。例えば、エポキシ樹脂は、しばしばカルボキシルおよびヒドロキシル含有ポリエステル樹脂と組み合せて使用される。典型的な硬化剤成分は(樹脂系に応じて)、例えば酸無水物、イミダゾールおよびさらにジシアンジアミドおよびこれらの誘導体、キャップされたイソシアネート、ビスアシルウレタン、フェノールおよびメラミン樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、オキサゾリンおよびジカルボン酸である。
【0068】
本発明による着色剤調製物はまた、カラーフィルタ用およびさらに加色法ならびに減色法の発色用の着色剤として、およびさらに電子インクまたは電子ペーパー(「eペーパー」)用の着色剤として有用である。
【0069】
本発明の着色剤調製物はまた、エマルジョン塗料を含む着色塗料用、分散ワニス、印刷インク、例えば捺染インク、フレキソ印刷インク、装飾印刷インクまたはグラビア印刷インク用、壁紙の着色料用、水で希釈可能なコーティング材料用、木材防腐剤系用、ビスコース溶液の染色用、ワニス用、ソーセージケーシング用、種子用、ガラスびん用、屋根板の大量着色用、下塗り用、ウッドステイン用、色鉛筆の芯、フェルトペン、アーティストインク(artists’ink)、ボールペン用ペースト、チョーク、洗濯および洗浄用組成物、靴クリーナ製品、ラテックス製品の着色、研磨剤用およびさらにプラスチックおよび高分子材料の着色用に有用である。
【0070】
本発明の着色剤調製物は、完全に有利な実用特性を有しており、前記事務所、および特にインクジェット印刷における必要条件を最適に満たすことが確定されている。粘度は、通常低く保たれており(顔料調製物の場合、400(1/秒)で<15mPa s)、室温でのみならず60℃で4週間の貯蔵の間安定に保たれている。分散物中の顔料粒子は、<150nmの平均粒径を有し(CHDF方法により測定した)、粒径分布は、貯蔵中に仮にあったとしてもほんのわずかに変化するに過ぎない。この調製物から製造されたインクは、インクジェット印刷中の著しく優れた挙動、ならびに貯蔵中およびインクジェット印刷操作中の優れた安定性は特に顕著である。さらに、作製された印刷物は、その高い耐光性および耐水性が注目に値する。
【実施例】
【0071】
I.顔料調製物の製造
粉末あるいはプレスケークの顔料を、分散剤、有機溶媒およびその他の添加剤と共に脱イオン水中でペースト状にし、次いで溶解機(例えばPendraulik製、model LD 50)またはその他の適した装置を用いてホモジナイズし、予備分散させた。続いて、ビーズミル(例えば、Netzsch製MiniZETA 03)を用いて、あるいはその他の適した分散アセンブリを用いて微分散を実施し、粉砕は冷却しながら、所望の顔料粒径分布に達するまで行った。続いて、分散物を所望の最終顔料濃度に脱イオン水で調整した。
【0072】
以下の実施例に記載の顔料調製物を、以下の成分の示された量を使用し、それぞれ100部の顔料調製物が得られるように、上記方法により製造した。
【0073】
(実施例1)
20部のC.I.ピグメントイエロー155
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(Ill)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
2部の分散剤(IV)(R/R/R=H、n=20)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0074】
(実施例2)
20部のC.I.ピグメントレッド122
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
2部の分散剤(IV)(R/R/R=H、n=20)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0075】
(実施例3)
20部のC.I.ピグメントブルー15:3
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
2部の分散剤(IV)(R/R/R=H、n=20)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0076】
(実施例4)
20部のC.I.ピグメントイエロー155
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHOO、M=Na)
2部の分散剤(IV)(R/R/R=H、n=29)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0077】
(実施例5)
20部のC.I.ピグメントレッド122
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(Ill)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
1部の分散剤(IV)(R/R/R=H、n=54)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0078】
(実施例6)
20部のC.I.ピグメントブルー15:3
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHOO、M=Na)
1部の分散剤(IV)(R/R/R=H、n=54)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0079】
(実施例7)
20部のC.I.ピグメントイエロー155
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO3−、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1535、n=12、X=CHCOO、M=Na)
1,2部のEmulgator 374乳化剤(アリールエチルフェニルポリグリコールエーテル、Bayer AG)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0080】
(実施例8)
20部のC.I.ピグメントレッド122
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
1.2部のEmulgator 374乳化剤(アリールエチルフェニルポリグリコールエーテル、Bayer AG)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0081】
(実施例9)
20部のC.I.ピグメントブルー15:3
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
1.2部のEmulgator 374乳化剤(アリールエチルフェニルポリグリコールエーテル、Bayer AG)、
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0082】
(実施例10)
20部のC.I.ピグメントイエロー155
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0083】
(実施例11)
20部のC.I.ピグメントレッド122
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO3、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0084】
(実施例12)
20部のC.I.ピグメントブルー15:3
0.7部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0085】
(実施例13)
20部のC.I.ピグメントレッド122
0.7部の式(IIb)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0086】
(実施例14)
20部のC.I.ピグメントブルー15:3
0.7部の式(IIb)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0087】
(実施例15)
15部のカーボンブラック顔料(C.I.ピグメントブラック7)
0.2部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
1.1部の分散剤(IV)(R/R/R=H、n=20)
0.7部の分散剤(V)(R/R/R=H、n=20、X=PO、M=(HO−CH−CH−)NH
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0088】
(実施例16)
15部のカーボンブラック顔料(C.I.ピグメントブラック7)
0.2部の式(IIb)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
1.1部の分散剤(IV)(R/R/R=H、n=20)
0.7部の分散剤(V)(R/R/R=H、n=20、X=PO、M=(HO−CH−CH−)NH
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0089】
(比較例1)
20部のC.I.ピグメントイエロー155
8部の式(VI)のエトキシ化ナフタレン誘導体
【0090】
【化9】

【0091】
1.5部の式(VII)のエトキシ化ナフタレン誘導体
【0092】
【化10】

【0093】
0.7部の式(VIII)のスルホサクシネート
【0094】
【化11】

【0095】
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0096】
(比較例2)
20部のC.I.ピグメントイエロー155
8部の式(VI)のエトキシ化ナフタレン誘導体
1.5部の式(VII)のエトキシ化ナフタレン誘導体
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0097】
(比較例3)
20部のC.I.ピグメントイエロー155
8部の式(VI)のエトキシ化ナフタレン誘導体
1.5部の式(VII)のエトキシ化ナフタレン誘導体
0.7部の式(VIII)のスルホサクシネート
3部の分散剤(III)(R=C1835、n=12、X=CHCOO、M=Na)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0098】
(比較例4)
20部のC.I.ピグメントイエロー155
10部の式(IIa)のスルホスクシナメート(R=C1837、X=SO、M=Na)
10部のプロピレングリコール
0.2部の防腐剤
残部水
【0099】
II物理特性の調査
インクジェット印刷に対して有用な顔料調製物は、いくつかの物理特性を満たさなければならない:これらは、非常に低い粘度(好ましくは<50mPas)を持ち、即ち、比較的高い顔料濃度でも容易に流動性であるものとする。分散された顔料粒子は、非常に微細に分割され、即ち、中央粒径D50が150nmの値を超さないものとする。
【0100】
顔料配合物の物理特性を、以下の方法および装置を用いて調査した。
【0101】
粘度
粘度を、Kaake(Roto Visco 1)コーンプレート型粘度計(チタン:Φ60mm、1°)を用いて、0と700(1/秒)の間の範囲のせん断速度への粘度の依存症を調査することにより測定した。表1に示した粘度値は、400(1/秒)のせん断速度で測定したものである。貯蔵中の分散物の安定性を評価するために、これらの粘度を、(1)調製物の製造直後、(2)60℃で1週間の貯蔵後、(3)60℃で4週間の貯蔵後に測定した。
【0102】
粒径
調製物のD50中央粒径を、キャピラリー流体力学式粒度分布測定(CHDF)法により測定した。
【0103】
pH
pHを、WTW製inoLab pH/Cond pHメータを用いて測定した。
【0104】
以下の表1は、実施例に挙げられた種々の顔料調製物の物理特性の概要を示す。
【0105】
【表1】


【0106】
表1に挙げられた本発明による顔料調製物の実施例は全て、要求される優れた流動性を有する。新たな試料の粘度は例外なく<15mPasであった。測定結果は、60℃での貯蔵の結果、少数の例外を除いて、最小の粘度の変化しか起きないことを示している。即ち、この分散物は貯蔵中安定である。さらに、本発明による全ての顔料調製物のD50中央粒径は150nm未満であり、したがって、これらの本発明の顔料調製物は、インクジェット印刷顔料濃縮物に期待される必要条件を満たしている。
【0107】
III顔料調製物の印刷特性の試験
顔料調製物の物理特性の知見では、インクジェット印刷へのこれらの適合性について述べるには十分でない。特にサーマルインクジェット(バブルジェット)印刷では、印刷工程中のノズル中での顔料分散物の挙動が重要である。短時間ではあるが大きな熱応力が、例えば顔料表面から分散剤分子を脱着させるというように、顔料分散物の分解を起こしてはならない。なぜならこのことにより、顔料粒子に凝集を起こさせるからである。こうした分解工程は、一方では堆積(cogation)、他方では分解生成物による経時的ノズルの目詰まりの原因となる。
【0108】
インクジェット法用のインクを製造するための顔料調製物の適合性は、したがって印刷試験を実施することによってしか判断することはできない。顔料調製物の印刷特性を評価するために、その調製物を使用して試験インクを作製し、その印刷適性をサーマルインクジェットプリンタを用いて調査した(表2参照)。
【0109】
試験インクを作製するために、最初に顔料調製物を1μmのフィルタを通して精細にろ過して、粉砕媒体アトリタスおよび任意の粗い分画を除去した。その後、ろ過した調製物を水で希釈し、さらに低分子量アルコールおよびポリオールと混合した。この場合、イエロー、マゼンタおよびシアン用試験インクは、以下の組成を有していた。
【0110】
25部の顔料調製物(実施例1から14参照)
10部のエチレングリコール
10部のジエチレングリコール
50部の脱塩水
この場合、ブラック用試験インクは、以下の組成物を有していた。
【0111】
33部の顔料調製物(実施例15および16参照)
10部のエチレングリコール
10部のジエチレングリコール
47部の脱塩水
これは、それぞれのインク中で5重量%の顔料の分画に相当する。
【0112】
試験インクの組成は、粘度が1.5〜5mPasの範囲に入るように選択された。表面張力、粘度に続いて第2に重要な印刷インクの物理的パラメータは、インクとプリントヘッドとの相互作用、例えばノズルダクトのぬれの他に、インク液滴の形成およびさらにその形状およびサイズを決定する。インクの表面張力を、最適な印刷性能に必要な値に調整するために、インクに少量の界面活性を混合することが必要であり得る。
【0113】
試験インクは、以下の方法および装置を用いて特性を調査した。
【0114】
表面張力
試験インクの表面張力を、Kruss GmbH(ハンブルク)製K 10 Tデジタルテンシオメータを用いて測定した。表2に示す値は、10回の連続的測定値の平均である。
【0115】
印刷挙動
印刷挙動を、以下の2つの評価基準に対して評価した。
【0116】
(1)インクのプリントヘッドジェット形成の挙動
Hewlett Packard製HP 420サーマルインクジェットプリンタを用いてインクジェット印刷における試験インクの挙動を調査するために、Vision Jet製の特定の測定配置(Optica Systemを備えたHP Print RIG)を使用した。インクジェットプリントヘッドの個々のノズルにおける、印刷操作中のインクジェットの挙動を調査するために、ビデオカメラを使用することができる。ビデオ画像は、インクジェット形成の過程で着色されたインクがどのように挙動するか、インクがプリントヘッドのノズルからまっすぐな直線のジェットの形態で噴射されるかどうか、個々の液滴が形成されているかどうか、または液滴がサテライトを有するかどうかについての情報を提供する。この調査は、さらにインク液滴の形状についての情報を提供し、例えば個々のノズルの詰まり(cloggages)による、液滴形成における不規則性を示す。
【0117】
(2)紙上での印刷挙動の調査
さらに、試験画像を、市販されている標準の紙(コピー用紙)およびHewlett Packard製特殊紙(高品質紙)上に印刷するためにHP 420プリンタを使用した。印刷した画像の品質および仕上がりに関する印刷物の評価を、純粋に目視検査により行った。紙が大幅に湿ったかどうか、顔料が紙に浸透したか、または顔料が紙の表面にとどまったままであるかどうかを記録した。さらに、どの程度まで完全に細線が再現されたか、インクが紙の上に広がって低解像力となったか、または高解像力の印刷物の作製が可能であったかどうかを記録した。長い印刷の休止後の印刷開始の挙動を調査して、直ちに良好で完全な印刷物が確保されたか、あるいは個々のノズルの導管がインクの乾燥により詰まって、劣った印刷画像になったかを観察した。
【0118】
このインクの印刷挙動または印刷品質を評価するために、以下の1から6の尺度による基準(1)および(2)を使用した(表2参照):
1−非常に良好な印刷画像、すばらしく均一な液滴の形成
6−インクが印刷できず、プリントヘッドの目詰まり
【0119】
【表2】

【0120】
試験インクを作製するために、実施例に示された顔料調製物(表2)を使用し、これらはHP420プリンタで、良好から非常に良好な印刷挙動を実証した。試験インクの表面張力は、38から46mN/mの範囲にあった。
【0121】
これによって、顔料調製物は、物理特性および印刷特性に関するインクジェット印刷の必要条件を十分に満たし、それゆえインクジェット印刷に使用するのに理想的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全て着色剤調製物の総重量(100重量%)に対して、
(A)0.1〜50重量%の少なくとも1種の有機および/または無機着色剤、
(B)0.1〜30重量%の少なくとも1種のスクシナメート、
(C)0.1〜30重量%の少なくとも1種のポリエチレングリコールアルキルエーテル、
(D)0〜30重量%の少なくとも1種のアルコキシル化スチレン/フェノール縮合物、
(E)0〜30重量%の少なくとも1種の有機溶媒、
(F)0〜30重量%の少なくとも1種の屈水性物質、
(G)0〜10重量%のインクジェット調製物用のさらなる通常の添加剤、および
(H)10〜90重量%の脱イオン水
から本質的になる水性着色剤調製物。
【請求項2】
スクシナメート(B)が、式(Ia)または(Ib)の化合物
【化1】

[式中、
は、H、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、置換基は、ハロゲン、アリール、アリール(C〜C20)アルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C20)アルキルまたはC〜C20アルコキシからなる群からの1、2、3または4つの基であり、
およびRは、独立に、H、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、アミノ、スルホ、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C)アルキル、C〜Cアルコキシ、COOM、SOM、SOMおよびPOからなる群からの1、2、3または4つの基であり、
Mは、H、1価の金属カチオン、NH、第2級、第3級または4級アンモニウムイオンである]
に対応している請求項1に記載の着色剤調製物。
【請求項3】
ポリエチレングリコールアルキルエーテル(C)が、式(III)の化合物
【化2】

[式中、
は、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、置換基は、ハロゲン、アリール、アリール(C〜C20)アルキル、C〜Cシクロアルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C20)アルキルまたはC〜C20アルコキシからなる群からの1、2、3または4つの基であり、
nは1〜100であり、
Xは、CHCOO、SO、SOまたはPOであり、
Mは、H、1価の金属カチオン、NH、第2級、第3級または4級アンモニウムイオンである]
に対応している請求項1または2に記載の着色剤調製物。
【請求項4】
アルコキシル化スチレン/フェノール縮合物(D)が、式(IV)または(V)の化合物
【化3】

[式中、
は、H、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、
およびRは、独立に、H、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、
nは1〜100であり、
Xは、CO−R−COO、SO、SOまたはPOであり、
は、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アキレン基、置換、非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニレン基、あるいは置換または非置換のアリーレン基であり、置換基は、好ましくはハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、アミノおよびスルホからなる群からの1、2、3または4つの基であり、
Mは、H、1価の金属カチオン、NH、第2級、第3級または4級アンモニウムイオンである]
またはこれらの混合物に対応している請求項1から3の少なくとも一項に記載の着色剤調製物。
【請求項5】
有機着色剤が、モノアゾ、ジスアゾ、アゾレーキ、β−ナフトール、ナフトールAS、ベンズイミダゾロン、縮合ジスアゾ、アゾ、金属錯体、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンタントロン、アントラキノン、フラバントロン、インダントロン、イソビオラントロン、ピラントロン、ジオキサジン、キノフタロン、イソインドリン、イソインドリノン、もしくはジケトピロロピロール顔料、またはカーボンブラック;あるいは酸性染料、直接染料、硫化染料もしくはそのロイコ体、金属錯体染料、反応性染料または反応性染料と求核試薬との反応生成物;あるいは言及した顔料と言及した染料の組合せの群からの1種または複数の有機顔料である請求項1から4の一項または複数項に記載の着色剤調製物。
【請求項6】
着色剤(A)を、脱イオン水(成分H)中で成分(B)、(C)、および適切であれば(D)、(E)、(F)および/または(G)と共にペースト状にし、ホモジナイズし、粉砕または分散アセンブリを使って、微細に分散し、または微細に分割することを含む請求項1から5の一項または複数項に記載の着色剤調製物を製造する方法。
【請求項7】
印刷インク、特にインクジェットインク、電子写真トナー、特に重合トナー、パワー塗装、カラーフィルタ、電子インクおよび電子ペーパー、エマルジョン塗料を含む塗料、分散ワニス、印刷インク、壁紙の着色料、水で希釈可能なコーティング材料、木材防腐剤系、ビスコース溶液の染色、ワニス、ソーセージケーシング、種子、ガラスびん、屋根板の大量着色、下塗り、ウッドステイン、色鉛筆の芯、フェルトペン、アーティストインク、ボールペン用ペースト、チョーク、洗濯および洗浄用組成物、靴クリーナ製品、ラテックス製品の着色、研磨剤およびさらにプラスチックおよび高分子材料のための着色剤としての請求項1から5の一項または複数項に記載の着色剤調製物の使用。
【請求項8】
ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、適切であればオレンジ、および適切であればグリーン色の印刷インクを含み、少なくとも1種の印刷インクが、請求項1から5の一項または複数項に記載の着色剤調製物であるか、またはそれを含むことを特徴とする印刷インクのセット。
【請求項9】
ブラック着色剤調製物の着色剤が、カーボンブラックであり、かつ/または
シアン着色剤調製物の着色剤が、フタロシアニン、インダントロンまたはトリアリールカルボニウム顔料の群からの顔料であり、かつ/または
マゼンタ着色剤調製物の着色剤が、モノアゾ、ジスアゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、アゾレーキ、金属錯体、ベンズイミダゾロン、アンタントロン、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、チオインジゴ、トリアリールカルボニウムまたはジケトピロロピロール顔料の群からの顔料であり、かつ/または
イエロー着色剤調製物の着色剤が、モノアゾ、ジスアゾ、ベンズイミダゾリン、イソインドリノン、イソインドリンまたはペリノン顔料の群からの顔料であり、かつ/または
オレンジ着色剤調製物の着色剤が、ジスアゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、ベンズイミダゾロンまたはペリノン顔料の群からの顔料であり、かつ/または
グリーン着色剤調製物の着色剤が、フタロシアニン顔料の群からの顔料であり、かつ/または
適切であれば調製物中に存在する有機染料が、酸性染料、直接染料、硫化染料およびこれらのロイコ体、金属錯体染料または反応性染料の群からのものである
請求項8に記載の印刷インクのセット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全て着色剤調製物の総重量(100重量%)に対して、
(A)0.1〜50重量%、好ましくは15〜30重量%の少なくとも1種の有機および/または無機着色剤、
(B)0.1〜30重量%の少なくとも1種のスクシナメート、
(C)0.1〜30重量%の少なくとも1種のポリエチレングリコールアルキルエーテル、式(III)の化合物
【化1】

[式中、
は、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、置換基は、ハロゲン、アリール、アリール(C〜C20)アルキル、C〜Cシクロアルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C20)アルキルまたはC〜C20アルコキシからなる群からの1、2、3または4つの基であり、
nは1〜100であり、
Xは、CHCOO、SO、SOまたはPOであり、
Mは、H、1価の金属カチオン、NH、第2級、第3級または4級アンモニウムイオンである]
に対応している
(D)0〜30重量%の少なくとも1種のアルコキシル化スチレン/フェノール縮合物、
(E)0〜30重量%の少なくとも1種の有機溶媒、
(F)0〜30重量%の少なくとも1種の屈水性物質、
(G)0〜10重量%のインクジェット調製物用のさらなる通常の添加剤、および
(H)10〜90重量%の脱イオン水
から本質的になる水性着色剤調製物。
【請求項2】
スクシナメート(B)が、式(Ia)または(Ib)の化合物
【化2】

[式中、
は、H、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、置換基は、ハロゲン、アリール、アリール(C〜C20)アルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C20)アルキルまたはC〜C20アルコキシからなる群からの1、2、3または4つの基であり、
およびRは、独立に、H、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、アミノ、スルホ、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘタリール、ヘタリール(C〜C)アルキル、C〜Cアルコキシ、COOM、SOM、SOMおよびPOからなる群からの1、2、3または4つの基であり、
Mは、H、1価の金属カチオン、NH、第2級、第3級または4級アンモニウムイオンである]
に対応している請求項1に記載の着色剤調製物。
【請求項3】
アルコキシル化スチレン/フェノール縮合物(D)が、式(IV)または(V)の化合物
【化3】

[式中、
は、H、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、
およびRは、独立に、H、分枝または非分枝のC〜C20アルキルまたはC〜C20シクロアルキル基、あるいは分枝または非分枝のC〜C20アルケニルまたはC〜C20シクロアルケニル基であり、
nは1〜100であり、
Xは、CO−R−COO、SO、SOまたはPOであり、
は、置換または非置換、分枝または非分枝のC〜C20アキレン基、置換、非置換、分枝または非分枝のC〜C20アルケニレン基、あるいは置換または非置換のアリーレン基であり、置換基は、好ましくはハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシル、アミノおよびスルホからなる群からの1、2、3または4つの基であり、
Mは、H、1価の金属カチオン、NH、第2級、第3級または4級アンモニウムイオンである]
またはこれらの混合物に対応している請求項1に記載の着色剤調製物。
【請求項4】
有機着色剤が、モノアゾ、ジスアゾ、アゾレーキ、β−ナフトール、ナフトールAS、ベンズイミダゾロン、縮合ジスアゾ、アゾ、金属錯体、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンタントロン、アントラキノン、フラバントロン、インダントロン、イソビオラントロン、ピラントロン、ジオキサジン、キノフタロン、イソインドリン、イソインドリノン、もしくはジケトピロロピロール顔料、またはカーボンブラック;あるいは酸性染料、直接染料、硫化染料もしくはそのロイコ体、金属錯体染料、反応性染料または反応性染料と求核試薬との反応生成物;あるいは言及した顔料と言及した染料の組合せの群からの1種または複数の有機顔料である請求項1から3の一項または複数項に記載の着色剤調製物。
【請求項5】
着色剤(A)を、脱イオン水(成分H)中で成分(B)、(C)、および適切であれば(D)、(E)、(F)および/または(G)と共にペースト状にし、ホモジナイズし、粉砕または分散アセンブリを使って、微細に分散し、または微細に分割することを含む請求項1から4の一項または複数項に記載の着色剤調製物を製造する方法。
【請求項6】
印刷インク、特にインクジェットインク、電子写真トナー、特に重合トナー、パワー塗装、カラーフィルタ、電子インクおよび電子ペーパー、エマルジョン塗料を含む塗料、分散ワニス、印刷インク、壁紙の着色料、水で希釈可能なコーティング材料、木材防腐剤系、ビスコース溶液の染色、ワニス、ソーセージケーシング、種子、ガラスびん、屋根板の大量着色、下塗り、ウッドステイン、色鉛筆の芯、フェルトペン、アーティストインク、ボールペン用ペースト、チョーク、洗濯および洗浄用組成物、靴クリーナ製品、ラテックス製品の着色、研磨剤およびさらにプラスチックおよび高分子材料のための着色剤としての請求項1から4の一項または複数項に記載の着色剤調製物の使用。
【請求項7】
ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、適切であればオレンジ、および適切であればグリーン色の印刷インクを含み、少なくとも1種の印刷インクが、請求項1から4の一項または複数項に記載の着色剤調製物であるか、またはそれを含むことを特徴とする印刷インクのセット。
【請求項8】
ブラック着色剤調製物の着色剤が、カーボンブラックであり、かつ/または
シアン着色剤調製物の着色剤が、フタロシアニン、インダントロンまたはトリアリールカルボニウム顔料の群からの顔料であり、かつ/または
マゼンタ着色剤調製物の着色剤が、モノアゾ、ジスアゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、アゾレーキ、金属錯体、ベンズイミダゾロン、アンタントロン、アントラキノン、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、チオインジゴ、トリアリールカルボニウムまたはジケトピロロピロール顔料の群からの顔料であり、かつ/または
イエロー着色剤調製物の着色剤が、モノアゾ、ジスアゾ、ベンズイミダゾリン、イソインドリノン、イソインドリンまたはペリノン顔料の群からの顔料であり、かつ/または
オレンジ着色剤調製物の着色剤が、ジスアゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、ベンズイミダゾロンまたはペリノン顔料の群からの顔料であり、かつ/または
グリーン着色剤調製物の着色剤が、フタロシアニン顔料の群からの顔料である
請求項7に記載の印刷インクのセット。

【公表番号】特表2006−524279(P2006−524279A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505068(P2006−505068)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003771
【国際公開番号】WO2004/094541
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
バブルジェット
【出願人】(598109501)クラリアント・プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲーエムベーハー (45)
【氏名又は名称原語表記】Clariant Produkte (Deutschland)GmbH
【Fターム(参考)】