インクジェット印刷装置
【課題】クリーニングのためのインクの無駄な消費を極力抑制できるインクジェット印刷装置を提供する。
【解決手段】クリーニングに際し、クリーニング前の印刷画像の画像データを解析してクリーニング前のノズルの使用状態をチェックし、使用されなかったノズルn2、n5、n6、n8、n9、n10・・・n(i−1)、niのみを吐出させるクリーニング用吐出パターンを作成し、このクリーニング用吐出パターンによりクリーニングを実行する。その場合、前回の印刷終了からクリーニングまでの放置時間を算出し、算出値に応じてクリーニング用吐出パターンを実行する条件(回数又は時間)を変更する。
【解決手段】クリーニングに際し、クリーニング前の印刷画像の画像データを解析してクリーニング前のノズルの使用状態をチェックし、使用されなかったノズルn2、n5、n6、n8、n9、n10・・・n(i−1)、niのみを吐出させるクリーニング用吐出パターンを作成し、このクリーニング用吐出パターンによりクリーニングを実行する。その場合、前回の印刷終了からクリーニングまでの放置時間を算出し、算出値に応じてクリーニング用吐出パターンを実行する条件(回数又は時間)を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク液滴を吐出するノズルを複数備えた記録ヘッドで画像を形成するインクジェット印刷装置に関し、詳しくは、ノズルが記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に複数備えられたライン型ヘッドを有するインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のインクジェット印刷装置では、長期間使用しない場合や、印刷時に使用されないノズルがあると、ノズルへ紙粉やインクが固着し、印刷時に所定のノズルからインクが吐出せずに画像欠け等を生じ、画像品質の低下を来たすことがある。
このノズル詰まりによる弊害を防止すべく、従来より、電源オン時や印刷開始前などに記録ヘッドのクリーニングを行うようになっている。クリーニング方式としては、例えば引用文献1に記載されているように、記録ヘッドのノズル面にクリーニングユニットを対向させた状態で、各ノズルからインク液滴を吐出させたり、あるいは引き込んだりする方式が知られている。ノズルのインク通りをよくするこれらの動作は、「空打ち」や「呼び水操作」などと呼ばれている。
引用文献2には、ノズルからインクを吸引するクリーニング方式において、インクの吸引流速に差を持たせた複数種類のクリーニングパターンを用意し、記録ヘッドの状況に応じて選択する内容が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平06−143598号公報
【特許文献2】特開2007−276439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノズル詰まりを防止するために空打ちされるインク液滴は、画像形成にはなんら寄与せず、あくまでもクリーニングのためだけに消費されるものであるため、インクの無駄を無くす観点から少なければ少ないほどよい。
しかしながら、従来のクリーニング方式では、記録ヘッドの全てのノズルからインクを吐出させる方式であるため、詰まりが生じていないノズルからもインクが吐出されて無駄を避けられなかった。
引用文献2記載のクリーニング方式では、ノズルから出るインクの消費量を段階的に設定できるため一義的に無駄とは言えないものの、詰まりが生じていないノズルからもインクが吐出されている点においては無駄を否めなかった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、クリーニングのためのインクの無駄な消費を極力抑制できるインクジェット印刷装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、インク液滴を吐出するノズルを記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に複数備えた記録ヘッドと、クリーニングユニットとを有し、前記クリーニングユニットを前記記録ヘッドのノズル面に対向させた状態で前記ノズルからインク液滴を吐出させてクリーニングを行うインクジェット印刷装置において、クリーニングに際し、クリーニング前の前記ノズルの使用状態に基づいて、前記複数のノズルのうちどのノズルからインク液滴を吐出させるかを定めたクリーニング用吐出パターンを設定し、前記クリーニング用吐出パターンによりクリーニングを行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明では、請求項1記載のインクジェット印刷装置において、前回の印刷が終了してからの放置時間を計測し、該放置時間に応じて前記インク液滴を吐出させる回数又は時間を変更することを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、前記クリーニング用吐出パターンは、クリーニング前の印刷時に用いられなかった未使用ノズルのみからなることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明では、請求項3記載のインクジェット印刷装置において、前記未使用ノズルのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングの後に、全てのノズルを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行うことを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項3記載のインクジェット印刷装置において、前記未使用ノズルのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングとは別に、前記未使用ノズル以外のノズルを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行い、前記未使用ノズルのみを用いたクリーニングでは、前記未使用ノズル以外のノズルを用いたクリーニングに比べて前記インク液滴を吐出させる回数又は時間を多くすることを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明では、請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、前記クリーニング用吐出パターンは、クリーニング前の前記各ノズルの使用頻度に基づいて作成されていることを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、前回の印刷画像データと今回の印刷画像データとを比較し、印刷画像データが変わる場合にクリーニングを行うことを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項7記載のインクジェット印刷装置において、前記クリーニング用吐出パターンは、前回の印刷時に未使用で今回の印刷で使用するノズルのみからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クリーニングに使用するインクの量を極力抑制しつつノズル詰りを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、図8乃至図15に基づいて以下の各実施形態に共通する構成を説明する。
図8は、本実施形態に係るインクジェット印刷装置を含むインクジェット印刷システムを示している。インクジェット印刷システム1は、インクジェット印刷装置2と、インクジェット印刷装置2の図中右側に接続された大量給紙装置としての給紙装置3と、インクジェット印刷装置2の同左側に接続された排紙台70と、インクジェット印刷装置2の下側に配置された大容量給紙装置としてのバンク給紙装置5とから構築されている。
ここでは、給紙装置3と排紙台70をインクジェット印刷装置2に対してオプション品として位置付けているが、これらをインクジェット印刷装置2の構成要素とみなすこともできる。
【0012】
インクジェット印刷装置2は、図示しないインクジェット印刷部、画像読取部50、操作パネル10等を有している。インクジェット印刷装置2のほぼ中央に配設された図示しないインクジェット印刷部には、記録ヘッドとしてのライン型インクジェットプリンタヘッド(以下、「プリンタヘッド」という)が4色分配置されている。
すなわち、給紙方向下流側から上流側に順に、Y(イエロー)用のプリンタヘッド42a、M(マゼンタ)用のプリンタヘッド42b、C(シアン)用のプリンタヘッド42c、Bk(ブラック)用のプリンタヘッド42dが配置されている。
4色の専用ヘッドで構成されたこれらのプリンタヘッド42a、42b、42c、42dには、バンク給紙装置5内に配置された、Y(イエロー)用のインクボトル41a、M(マゼンタ)用のインクボトル41b、C(シアン)用のインクボトル41c、Bk(ブラック)用のインクボトル41dから各色のインクが供給される。
【0013】
各インクボトル内にはインクポンプが配置されており、後述する制御手段からの信号によりインクが各プリンタヘッドに供給される。
各インクボトルには、図示しないインク残量検知センサが配置されていて、ボトル内のインク残量を上記制御手段へ信号により出力するようになっている。この信号を元にインク残量が操作パネル10に表示される。
プリンタヘッド42のクリーニング時には、図9に示すように、廃液は廃液管40a、40b、40c、40dを介して、バンク給紙装置5内に配置された廃液タンク40に集められる。
廃液タンク40には、図示しない廃液インク満杯検知センサが配置されていて、インク満杯を上記制御手段へ信号により出力する。この信号を元に廃液満杯が操作パネル10に表示される。
インクボトル41及び廃液タンク40はバンク給紙装置5内に設けているが、インクジェット印刷装置2内に設けてもよい。
【0014】
図8に示すように、図示しないインクジェット印刷部の下方にはインクジェット搬送部6が配置されている。インクジェット搬送部6は、駆動ローラ43a、従動ローラ43b、用紙搬送部材としての無端ベルト45、吸引ファン46等を有しており、給紙装置3の分離ローラ10bから搬送された記録媒体としての用紙104を、両面搬送路49a入り口位置まで吸着搬送する。
給紙装置3から給紙された用紙104は図示しないインクジェット給紙部の搬送ローラ対7で搬送され、レジストローラ対44で一旦停止された後、所定のタイミングで搬送されて最初のプリンタヘッド42dに到達する。用紙104は押さえローラ8で押さえられた状態で無端ベルト45上に乗る。
レジストローラ対44の用紙搬送方向上流側及び下流側には、オプションの給紙装置3や両面反転排紙部9からインクジェット印刷部へと給送される用紙104の搬送をガイドするための図示しない給紙ガイド板がそれぞれ配設されている。図示しない各給紙ガイド板は、インクジェット印刷装置2の図示しない側板間にそれぞれ固定されている。
【0015】
両面反転排紙部9の構成及び機能を図10乃至図12に基づいて説明する。
インクジェット搬送部6の下流側近傍には搬送ローラ対26が配置されており、それ以降は用紙104をそのまま搬送してフェイスアップで排紙台70に排出する搬送路25と、両面搬送路49aとに分かれている。
これらの搬送路の分岐部位には切替爪30が配置されており、切替爪30の動作により選択的に搬送路を切り替えるようになっている。
両面印刷の場合には、図10に示すように、用紙104は両面搬送路49aへ案内されて複数の搬送ローラ対27で搬送された後、図11に示すように反転搬送路49bを搬送され、搬送ローラ対28でレジストローラ対44へ向けて垂直搬送路49dを搬送される。
片面印刷でフェイスダウンで排紙(頁順)する場合には、図12に示すように、用紙104は両面搬送路49aに案内された後、切替爪48の切り替えにより反転排紙搬送路49cへ導かれ、排紙ローラ対29により排紙台70へ排出される。符号32は切替爪を示している。
なお、切替爪30、32、48は図8では省略している。
【0016】
インクジェット印刷装置2の上部には画像読取部50が配設されている。画像読取部50は、原稿を載置するコンタクトガラス52、コンタクトガラス52に対して接離自在に設けられた圧板51、原稿画像を走査して読み取る図示しない反射ミラー及び図示しない蛍光灯、走査された原稿画像を集束するレンズ53、集束された画像を処理するCCD等の画像センサ54、原稿のサイズを検知する複数の原稿サイズ検知センサ55、読み取られた画像データを記憶する図示しない画像メモリ等を有しており、原稿画像の読取動作は図示しない読取駆動手段の作動によって行われる。
【0017】
インクジェット印刷装置2の画像読取部50の右部には操作パネル10が配設されている。操作パネル10は、図13に示すように、印刷スタートキー105、試し刷りキー106、クリアキー108、ストップキー109、テンキー110、LCDからなる表示部111、プログラムキー112、図示しないエンターキー、モードクリアキー、4方向キー、用紙サイズ設定キー等を有している。
印刷スタートキー105はインクジェット印刷装置2に印刷動作を行わせる際に押下され、インクジェット印刷装置2が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー105が押下されることにより印刷動作が行われる。
試し刷りキー106はインクジェット印刷装置2に試し刷りを行わせる際に押下され、各種条件が設定された後に試し刷りキー106が押下されることにより1枚だけ印刷が行われる。クリアキー108、ストップキー109はインクジェット印刷装置2の動作を停止させる際あるいは置数のクリア時に押下され、テンキー110は数値入力に用いられる。
【0018】
エンターキーは各種設定時に数値等を設定する際に、プログラムキー112はよく行う操作を登録したりそれを呼び出したりする際にそれぞれ押下され、モードクリアキーは各種のモードをクリアして初期状態に戻す際に押下される。4方向キーは上キー、下キー、左キー、右キーを有しており、画像編集時に画像位置を調整する場合あるいは各種設定時に数値や項目等を選択する場合等に押下される。
用紙サイズ設定キーは用紙サイズを任意で入力する際に押下され、用紙サイズ設定キーで入力された用紙サイズは用紙サイズ検知センサ61によって検知された用紙サイズに優先される。
LCDからなる表示装置111は階層表示構造となっており、その下方に設けられた選択設定キーを押下することにより、変倍や位置調整等の様々なモードへの変更及び各モードでの設定が可能に構成されている。また表示装置111には、図示したように「プリントできます」のようなインクジェット印刷装置2の状態が表示される他、給紙あるいは排紙ジャム等のアラーム、印刷用紙、インク等のサプライの供給指示等も表示される。
【0019】
図14は、インクジェット印刷装置2の制御ブロック図を示している。同図において制御手段129は、内部にCPU130、ROM131、RAM132を有する周知のマイクロコンピュータであり、図示しない装置本体の内部に設けられている。CPU130は、操作パネル10からの各種信号及びインクジェット印刷装置本体に設けられた各種センサからの検知信号及びROM131から呼び出された動作プログラムに基づいて、インクジェット印刷部、インクジェット搬送部6、インクジェット給紙部、両面反転排紙部9、画像読取部50に設けられた各駆動手段の搬送部材駆動モータ作動等を制御し、インクジェット印刷装置全体の動作を制御する。
ROM131にはインクジェット印刷装置全体の動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムはCPU130によって適宜呼び出される。RAM132は、CPU130の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル10上の各種キー及び各種センサから設定及び入力されたデータ信号及びオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。
【0020】
上述の構成に基づき、インクジェット印刷装置2の動作を説明する。
インクジェット印刷装置2は、図示しないPC(パーソナルコンピュータ)より受信した画像データに基づいてインクジェット印刷を行うプリンタ動作と、原稿からの画像データに基づいてインクジェット印刷を行う複写動作の機能を有している。
ここでは原稿からの画像データに基づいてインクジェット印刷を行う複写動作について説明をする。
操作パネル10で印刷設定を行ってから、印刷スタートキー105が押下されることにより印刷動作が行われる。
印刷動作は、給紙台60上に印刷に使用される用紙104を積載し、圧板51を開放してコンタクトガラス52上に印刷すべき原稿を載置した後、再び圧板51を閉じる。その後、操作パネル10上の各種キーによって印刷条件を設定した後、印刷スタートキー105を押下する。
【0021】
先ず、印刷スタートキー105が押下されると、用紙サイズ検知センサ61から用紙サイズ検知信号が、また原稿サイズ検知センサ55から原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御手段129に送られ、信号を受けた制御手段129は各信号を比較する。
このとき、用紙サイズと原稿サイズとが同じ場合は直ちに画像読取動作が行われ、用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合には、制御手段129はその旨を操作パネル10の表示部111に表示してオペレータに注意を促す。
用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御手段129からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行い、原稿サイズと画像サイズとを整合させるように構成してもよい。印刷スタートキー105が押下されると、画像読取部50では原稿画像の読取動作が行われる。原稿画像の読み取りは、図示しない蛍光灯によって露光された反射光を図示しない各反射ミラーによって反射することにより行われ、読み取られた原稿画像はレンズ53で集束された後に画像センサ54に入射されて光電変換される。光電変換された電気信号は図示しないA/D変換器に入力された後、図示しない画像メモリ内に画像データ信号として格納される。
【0022】
図8に示すように、オプションの給紙装置3は、上面に多数の用紙104を積載可能な給紙台60はインクジェット印刷装置に上下動自在に支持されており、昇降手段を含む図示しない給紙駆動手段によって上下動される。
A3サイズの用紙104を縦置き可能な給紙台60の上面には、図示しないレール部材によって用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に移動自在に支持された一対のサイドフェンス62が設けられている。また、給紙台60の自由端部側には、積載された用紙104のサイズを検知する複数の用紙サイズ検知センサ61が設けられている。
給紙台60の上方には、表面に高摩擦抵抗部材を有する給紙ローラ10aが配設されている。給紙ローラ10aはインクジェット印刷装置に揺動自在に支持された図示しないブラケットに回転自在に支持されており、給紙台60が図示しない昇降手段によって上昇されたときに所定の圧接力で給紙台60上の最上位の用紙104に圧接する。給紙ローラ10aは図示しない給紙駆動手段によって回転駆動される。給紙ローラ10aの左方には、表面にそれぞれ高摩擦抵抗部材を有する分離ローラ10bと分離パッド11とが配設されている。分離ローラ10bは図示しないタイミングベルトを介して給紙ローラ10aに駆動連結されており、給紙ローラ10aの回転駆動時にこれと同期して同方向に回転駆動される。分離パッド11は図示しない付勢手段の付勢力によって分離ローラ10bに圧接されている。
【0023】
分離ローラ10b及び分離パッド11の左方にはレジストローラ対44が配設されている。駆動ローラ44bと従動ローラ44aとからなるレジストローラ対44は、図示しない駆動手段からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることで所定のタイミングで回転し、用紙104をインクジェット印刷部に向けて所定のタイミングで給送する。
インクジェット搬送部6は、上述のように、用紙104を両面搬送路49a入り口位置まで吸着搬送する。この搬送時に画像メモリ内に画像データ信号として格納したデータをライン型インクジェット印刷用の4色データに分解し、各プリンタヘッド42に色分解したデータを色ごとに送信する。
【0024】
各プリンタヘッド42の図示しないヘッドエンジンによって、プリンタヘッド42から用紙104に向けてインク液滴が吐出することによって印刷される。印刷された用紙104は、インクジェット搬送部6から両面反転排紙部9へ搬送される。
両面反転排紙部9では印刷設定が両面印刷、反転排紙でない場合は両面反転排紙部9で切り替えられずに排紙される。排紙された用紙104は、排紙台70に排紙されて積載される。
【0025】
図15に示すように、各プリンタヘッド42には、後述する複数のノズルを有するヘッドユニット90と、クリーニングユニット91が設けられている。図15(a)に示すように、ヘッドユニット90はプリンタヘッド42の本体に対して矢印A方向(上下方向)に図示しない移動機構により移動可能である。クリーニングユニット91はプリンタヘッド42の本体に対して矢印B方向(左右方向又は副走査方向)に図示しない移動機構により移動可能である。
ヘッドユニット90及びクリーニングユニット91の移動指令は、制御手段129によって行われる。
クリーニング動作時には、図15(b)に示すように、ヘッドユニット90が上昇し、クリーニングユニット91が横に移動して、ヘッドユニット90のノズル面にクリーニングユニット91が対向する。すなわち、クリーニングのために空打ちされるインクをクリーニングユニット91によって収容可能となる。
回収されたインクは、上記のように廃液タンク40へ送られる。クリーニング動作以外の場合でも印刷しない待機状態では同じ状態のままになっている。
印刷動作時には、図15(a)に示すように、上記とは逆にクリーニングユニット91が横に移動し、ヘッドユニット90が下降して、ノズル面を印刷位置に臨む。
【0026】
図1及び図2に基づいて第1の実施形態を説明する。
図1に示すように、各プリンタヘッド42のヘッドユニット90には、主走査方向に複数のノズルn1、n2、・・・niが配設されている。
クリーニングに際し、制御手段129は、クリーニング前のノズルの使用状態に基づいて、前記複数のノズルのうちどのノズルからインク液滴を吐出させるかを定めたクリーニング用吐出パターンを作成して設定し、設定されたクリーニング用吐出パターンによりクリーニングを行う。クリーニングは電源オン時や印刷開始前などに行われる。
クリーニング前の印刷時に使用した印刷画像には、例えば文字だけの印刷画像、文字に写真が挿入された印刷画像、ベタ印刷部が含まれた印刷画像などいろいろな画像が含まれる。
制御手段129は、クリーニング前の印刷時に用いられた印刷画像データを解析し、どのノズルが使用されていないかを特定する。ここでは、図2(a)に示すように、ノズルn1、n3、n4、n7が使用され、ノズルn2、n5、n6、n8、n9、n10・・・n(i−1)、niがクリーニング前に使用されていないことを例示している。
ノズルが使用されたかどうかは印刷画像データの解析によって判断することができるとともに、ノズルの動作履歴(ノズル駆動信号データ)からも判断することができる。
【0027】
制御手段129は、クリーニング用吐出パターンとして、図2(b)に示すように、未使用のノズルn2、n5、n6、n8、n9、n10・・・n(i−1)、niのみからインク液滴を吐出させるパターンを設定し、ヘッドユニット90及びクリーニングユニット91を図15(b)に示した位置に移動させた状態でクリーニング動作を実行する。
クリーニング動作を実行するにあたって、制御手段129は、上記クリーニング用吐出パターンを実行する条件(回数又は時間)を設定する。この条件は予め所定値として例えばROM131に記憶されている。上記条件は例えば上記未使用ノズルの未使用期間、すなわちクリーニング前の前回の印刷時間の長さに応じて決定してもよい。
また、制御手段129は図14に示すタイマ135により、前回の印刷終了からクリーニングまでの放置時間を算出し、算出値に応じてクリーニング用吐出パターンを実行する条件(回数又は時間)を変更(補正の概念を含む)する(以下の他の実施形態において同じ)。
具体的には、例えば放置時間に閾値を設定し、それよりも長い場合には短い場合に比べてクリーニング用吐出パターンを実行する回数又は時間を上記所定値よりも多くする。閾値は複数段階設定してもよい。
放置時間と条件(回数又は時間)との関係テーブルを予め例えばROM131に記憶しておき、放置時間に応じて条件(回数又は時間)を選択するようにしてもよい。
【0028】
このように、クリーニング前の印刷において使用されなかったノズルのみから吐出させるクリーニング用吐出パターンによりクリーニングするようにすれば、ノズル詰まりを解消するためのインク液滴の吐出量を必要最小限とすることができ、クリーニングに係る無駄なインク消費を抑制することができる。
【0029】
図3に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
本実施形態では、図3(b)に示す未使用ノズルn2、n5、n6、n8、n9、n10・・・n(i−1)、niのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングの後に、図3(c)に示すように全てのノズルを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行うことを特徴とする。
使用されたノズルの中にはその使用回数が極めて少ないもの(例えば1回)もあり得るため、このような使用頻度の少ないノズルの詰まりによる影響を未然に防止し、確実性を高める観点から全ノズルによるクリーニングを行うものである。
未使用ノズルのみを用いたクリーニングの後に行われる全てのノズルを用いたクリーニングでは、ノズル詰まりの懸念が少ないため、またクリーニングに係る無駄なインク消費を抑制する観点から、未使用ノズルのみを用いたクリーニングに比べてインク液滴を吐出させる条件(回数又は時間)を少なくする。
放置時間に応じてクリーニング用吐出パターンの条件(回数又は時間)を変更する点は上記実施形態と同様であるので省略する。
【0030】
図4に基づいて第3の実施形態を説明する。
本実施形態では、図4(b)に示す未使用ノズルn2、n5、n6、n8、n9、n10・・・n(i−1)、niのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングとは別に、図4(c)に示すように使用されたノズルn1、n3、n4、n7のみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行うことを特徴とする。
上記のように使用されたノズルの中にはその使用回数が極めて少ないもの(例えば1回)もあり得るため、このような使用頻度の少ないノズルの詰まりによる影響を未然に防止し、確実性を高める観点から使用ノズルのみによるクリーニングを別途行うものである。結果として全ノズルについてクリーニングを実行することになる。
使用ノズルのみを用いたクリーニングでは、ノズル詰まりの懸念が少ないため、またクリーニングに係る無駄なインク消費を抑制する観点から、未使用ノズルのみを用いたクリーニングに比べてインク液滴を吐出させる回数又は時間を少なくする。使用ノズルのみを用いたクリーニングにおける回数又は時間は、例えば使用ノズル全体の平均使用頻度を考慮して決定することができる。
放置時間に応じてクリーニング用吐出パターンの条件(回数又は時間)を変更する点は上記実施形態と同様であるので省略する。
【0031】
図5及び図6に基づいて第4の実施形態を説明する。
印刷時には印刷画像に合ったノズルが使用されるが、画像によってはノズルの使用頻度が異なる。ノズルの使用頻度が異なるため印刷時にノズルに紙粉などの異物が付着することによってノズル詰りを起こしてしまう場合がある。
本実施形態ではこのような問題を解消することを目的としており、クリーニング用吐出パターンはノズルの使用頻度を考慮して作成される。
ノズルの使用頻度は、上記のように画像データから副走査方向で使用するノズルの使用回数を判断することもでき、また、ノズルの動作履歴からも判断することができる。
本実施形態では、図5に示すように、例えば使用回数が10以下のノズルn2、n4、n5、n7、n8、n10、niのみを吐出させるクリーニング用吐出パターンを作成し、これによりクリーニングを実行する。
【0032】
図6に示すように、ノズルの使用回数を例えば4以下(パターン1)、5以上9以下(パターン2)、10以上(パターン3)と複数段階に分け、それぞれのクリーニングパターンを実行するとともに、各パターンでの吐出回数又は時間を異ならせるようにしてもよい。
クリーニングに係る無駄なインク消費を抑制する観点から、ノズル詰りの懸念の少ないパターンでは回数又は時間を少なくする。
放置時間に応じてクリーニング用吐出パターンの条件(回数又は時間)を変更する点は上記実施形態と同様であるので省略する。
【0033】
図7に基づいて第5の実施形態を説明する。
印刷画像データが同じ場合の印刷では、使用するノズルが同じであるため、クリーニングの必要がない。
本実施形態では、印刷に際し、前の印刷画像のデータと、今回の印刷画像のデータを比較し、同じ場合にはクリーニングを実行しないようにすることを特徴としている。
図7に示すケースでは、前の印刷画像のデータ(図7(a))と、今回の印刷画像のデータ(図7(b))が異なっているため、クリーニングを実行する。
この場合、印刷画像のデータを比較して、未使用のノズルn5、n6、n8のみを吐出させるクリーニング用吐出パターンを作成し、これによりクリーニングを実行する。
放置時間に応じてクリーニング用吐出パターンの条件(回数又は時間)を変更する点は上記実施形態と同様であるので省略する。
もちろん、上述した使用頻度を考慮したクリーニングパターン等を組み合わせて実行してもよい(他の実施形態において同じ)。
【0034】
インクジェット印刷装置2で選択又は使用される用紙サイズによってはノズルが使用されないままになっている場合もある。上記実施形態における未使用ノズルのみを吐出させるクリーニング用吐出パターン等における未使用ノズルの特定を、用紙サイズから判断し、あるいは用紙サイズから判断したものを含めるようにしてもよい。
この場合、印刷データによって判断された用紙サイズに基づいて未使用ノズルを特定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置の記録ヘッドにおけるヘッドユニットのノズルの配設状態を示す、記録媒体側から見た平面図である。
【図2】第1の実施形態を示す図で、(a)は画像データとノズルとの位置関係を示す模式図、(b)は未使用ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図である。
【図3】第2の実施形態を示す図で、(a)は画像データとノズルとの位置関係を示す模式図、(b)は未使用ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図、(c)は全ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図である。
【図4】第3の実施形態を示す図で、(a)は画像データとノズルとの位置関係を示す模式図、(b)は未使用ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図、(c)は使用ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図である。
【図5】第4の実施形態におけるノズルの使用頻度とクリーニング用吐出パターンを示す模式図である。
【図6】第4の実施形態の変形例におけるノズルの使用頻度とクリーニング用吐出パターンを示す模式図である。
【図7】第5の実施形態を示す図で、(a)は前回の印刷画像データでの模式図、(b)は今回の印刷画像データでの模式図、(c)は未使用ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置を含むインクジェット印刷システムの概要構成図である。
【図9】インクジェット印刷部から廃液タンクまでのインクの回収経路を示す図である。
【図10】インクジェット印刷装置における両面印刷時の搬送状態を示す図である。
【図11】インクジェット印刷装置における両面印刷時の搬送状態を示す図である。
【図12】反転排出時の搬送状態を示す図である。
【図13】インクジェット印刷装置の操作パネルの概要平面図である。
【図14】インクジェット印刷装置の制御ブロック図である。
【図15】記録ヘッドにおけるヘッドユニットとクリーニングユニットの移動関係を示す図で、(a)は印刷時の状態を示す図、(b)はクリーニング動作時の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
2 インクジェット印刷装置
42a、42b、42c、42d 記録ヘッド
91 クリーニングユニット
n ノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク液滴を吐出するノズルを複数備えた記録ヘッドで画像を形成するインクジェット印刷装置に関し、詳しくは、ノズルが記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に複数備えられたライン型ヘッドを有するインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のインクジェット印刷装置では、長期間使用しない場合や、印刷時に使用されないノズルがあると、ノズルへ紙粉やインクが固着し、印刷時に所定のノズルからインクが吐出せずに画像欠け等を生じ、画像品質の低下を来たすことがある。
このノズル詰まりによる弊害を防止すべく、従来より、電源オン時や印刷開始前などに記録ヘッドのクリーニングを行うようになっている。クリーニング方式としては、例えば引用文献1に記載されているように、記録ヘッドのノズル面にクリーニングユニットを対向させた状態で、各ノズルからインク液滴を吐出させたり、あるいは引き込んだりする方式が知られている。ノズルのインク通りをよくするこれらの動作は、「空打ち」や「呼び水操作」などと呼ばれている。
引用文献2には、ノズルからインクを吸引するクリーニング方式において、インクの吸引流速に差を持たせた複数種類のクリーニングパターンを用意し、記録ヘッドの状況に応じて選択する内容が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平06−143598号公報
【特許文献2】特開2007−276439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノズル詰まりを防止するために空打ちされるインク液滴は、画像形成にはなんら寄与せず、あくまでもクリーニングのためだけに消費されるものであるため、インクの無駄を無くす観点から少なければ少ないほどよい。
しかしながら、従来のクリーニング方式では、記録ヘッドの全てのノズルからインクを吐出させる方式であるため、詰まりが生じていないノズルからもインクが吐出されて無駄を避けられなかった。
引用文献2記載のクリーニング方式では、ノズルから出るインクの消費量を段階的に設定できるため一義的に無駄とは言えないものの、詰まりが生じていないノズルからもインクが吐出されている点においては無駄を否めなかった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、クリーニングのためのインクの無駄な消費を極力抑制できるインクジェット印刷装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、インク液滴を吐出するノズルを記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に複数備えた記録ヘッドと、クリーニングユニットとを有し、前記クリーニングユニットを前記記録ヘッドのノズル面に対向させた状態で前記ノズルからインク液滴を吐出させてクリーニングを行うインクジェット印刷装置において、クリーニングに際し、クリーニング前の前記ノズルの使用状態に基づいて、前記複数のノズルのうちどのノズルからインク液滴を吐出させるかを定めたクリーニング用吐出パターンを設定し、前記クリーニング用吐出パターンによりクリーニングを行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明では、請求項1記載のインクジェット印刷装置において、前回の印刷が終了してからの放置時間を計測し、該放置時間に応じて前記インク液滴を吐出させる回数又は時間を変更することを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、前記クリーニング用吐出パターンは、クリーニング前の印刷時に用いられなかった未使用ノズルのみからなることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明では、請求項3記載のインクジェット印刷装置において、前記未使用ノズルのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングの後に、全てのノズルを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行うことを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項3記載のインクジェット印刷装置において、前記未使用ノズルのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングとは別に、前記未使用ノズル以外のノズルを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行い、前記未使用ノズルのみを用いたクリーニングでは、前記未使用ノズル以外のノズルを用いたクリーニングに比べて前記インク液滴を吐出させる回数又は時間を多くすることを特徴とする。
【0009】
請求項6記載の発明では、請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、前記クリーニング用吐出パターンは、クリーニング前の前記各ノズルの使用頻度に基づいて作成されていることを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、前回の印刷画像データと今回の印刷画像データとを比較し、印刷画像データが変わる場合にクリーニングを行うことを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項7記載のインクジェット印刷装置において、前記クリーニング用吐出パターンは、前回の印刷時に未使用で今回の印刷で使用するノズルのみからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クリーニングに使用するインクの量を極力抑制しつつノズル詰りを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、図8乃至図15に基づいて以下の各実施形態に共通する構成を説明する。
図8は、本実施形態に係るインクジェット印刷装置を含むインクジェット印刷システムを示している。インクジェット印刷システム1は、インクジェット印刷装置2と、インクジェット印刷装置2の図中右側に接続された大量給紙装置としての給紙装置3と、インクジェット印刷装置2の同左側に接続された排紙台70と、インクジェット印刷装置2の下側に配置された大容量給紙装置としてのバンク給紙装置5とから構築されている。
ここでは、給紙装置3と排紙台70をインクジェット印刷装置2に対してオプション品として位置付けているが、これらをインクジェット印刷装置2の構成要素とみなすこともできる。
【0012】
インクジェット印刷装置2は、図示しないインクジェット印刷部、画像読取部50、操作パネル10等を有している。インクジェット印刷装置2のほぼ中央に配設された図示しないインクジェット印刷部には、記録ヘッドとしてのライン型インクジェットプリンタヘッド(以下、「プリンタヘッド」という)が4色分配置されている。
すなわち、給紙方向下流側から上流側に順に、Y(イエロー)用のプリンタヘッド42a、M(マゼンタ)用のプリンタヘッド42b、C(シアン)用のプリンタヘッド42c、Bk(ブラック)用のプリンタヘッド42dが配置されている。
4色の専用ヘッドで構成されたこれらのプリンタヘッド42a、42b、42c、42dには、バンク給紙装置5内に配置された、Y(イエロー)用のインクボトル41a、M(マゼンタ)用のインクボトル41b、C(シアン)用のインクボトル41c、Bk(ブラック)用のインクボトル41dから各色のインクが供給される。
【0013】
各インクボトル内にはインクポンプが配置されており、後述する制御手段からの信号によりインクが各プリンタヘッドに供給される。
各インクボトルには、図示しないインク残量検知センサが配置されていて、ボトル内のインク残量を上記制御手段へ信号により出力するようになっている。この信号を元にインク残量が操作パネル10に表示される。
プリンタヘッド42のクリーニング時には、図9に示すように、廃液は廃液管40a、40b、40c、40dを介して、バンク給紙装置5内に配置された廃液タンク40に集められる。
廃液タンク40には、図示しない廃液インク満杯検知センサが配置されていて、インク満杯を上記制御手段へ信号により出力する。この信号を元に廃液満杯が操作パネル10に表示される。
インクボトル41及び廃液タンク40はバンク給紙装置5内に設けているが、インクジェット印刷装置2内に設けてもよい。
【0014】
図8に示すように、図示しないインクジェット印刷部の下方にはインクジェット搬送部6が配置されている。インクジェット搬送部6は、駆動ローラ43a、従動ローラ43b、用紙搬送部材としての無端ベルト45、吸引ファン46等を有しており、給紙装置3の分離ローラ10bから搬送された記録媒体としての用紙104を、両面搬送路49a入り口位置まで吸着搬送する。
給紙装置3から給紙された用紙104は図示しないインクジェット給紙部の搬送ローラ対7で搬送され、レジストローラ対44で一旦停止された後、所定のタイミングで搬送されて最初のプリンタヘッド42dに到達する。用紙104は押さえローラ8で押さえられた状態で無端ベルト45上に乗る。
レジストローラ対44の用紙搬送方向上流側及び下流側には、オプションの給紙装置3や両面反転排紙部9からインクジェット印刷部へと給送される用紙104の搬送をガイドするための図示しない給紙ガイド板がそれぞれ配設されている。図示しない各給紙ガイド板は、インクジェット印刷装置2の図示しない側板間にそれぞれ固定されている。
【0015】
両面反転排紙部9の構成及び機能を図10乃至図12に基づいて説明する。
インクジェット搬送部6の下流側近傍には搬送ローラ対26が配置されており、それ以降は用紙104をそのまま搬送してフェイスアップで排紙台70に排出する搬送路25と、両面搬送路49aとに分かれている。
これらの搬送路の分岐部位には切替爪30が配置されており、切替爪30の動作により選択的に搬送路を切り替えるようになっている。
両面印刷の場合には、図10に示すように、用紙104は両面搬送路49aへ案内されて複数の搬送ローラ対27で搬送された後、図11に示すように反転搬送路49bを搬送され、搬送ローラ対28でレジストローラ対44へ向けて垂直搬送路49dを搬送される。
片面印刷でフェイスダウンで排紙(頁順)する場合には、図12に示すように、用紙104は両面搬送路49aに案内された後、切替爪48の切り替えにより反転排紙搬送路49cへ導かれ、排紙ローラ対29により排紙台70へ排出される。符号32は切替爪を示している。
なお、切替爪30、32、48は図8では省略している。
【0016】
インクジェット印刷装置2の上部には画像読取部50が配設されている。画像読取部50は、原稿を載置するコンタクトガラス52、コンタクトガラス52に対して接離自在に設けられた圧板51、原稿画像を走査して読み取る図示しない反射ミラー及び図示しない蛍光灯、走査された原稿画像を集束するレンズ53、集束された画像を処理するCCD等の画像センサ54、原稿のサイズを検知する複数の原稿サイズ検知センサ55、読み取られた画像データを記憶する図示しない画像メモリ等を有しており、原稿画像の読取動作は図示しない読取駆動手段の作動によって行われる。
【0017】
インクジェット印刷装置2の画像読取部50の右部には操作パネル10が配設されている。操作パネル10は、図13に示すように、印刷スタートキー105、試し刷りキー106、クリアキー108、ストップキー109、テンキー110、LCDからなる表示部111、プログラムキー112、図示しないエンターキー、モードクリアキー、4方向キー、用紙サイズ設定キー等を有している。
印刷スタートキー105はインクジェット印刷装置2に印刷動作を行わせる際に押下され、インクジェット印刷装置2が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー105が押下されることにより印刷動作が行われる。
試し刷りキー106はインクジェット印刷装置2に試し刷りを行わせる際に押下され、各種条件が設定された後に試し刷りキー106が押下されることにより1枚だけ印刷が行われる。クリアキー108、ストップキー109はインクジェット印刷装置2の動作を停止させる際あるいは置数のクリア時に押下され、テンキー110は数値入力に用いられる。
【0018】
エンターキーは各種設定時に数値等を設定する際に、プログラムキー112はよく行う操作を登録したりそれを呼び出したりする際にそれぞれ押下され、モードクリアキーは各種のモードをクリアして初期状態に戻す際に押下される。4方向キーは上キー、下キー、左キー、右キーを有しており、画像編集時に画像位置を調整する場合あるいは各種設定時に数値や項目等を選択する場合等に押下される。
用紙サイズ設定キーは用紙サイズを任意で入力する際に押下され、用紙サイズ設定キーで入力された用紙サイズは用紙サイズ検知センサ61によって検知された用紙サイズに優先される。
LCDからなる表示装置111は階層表示構造となっており、その下方に設けられた選択設定キーを押下することにより、変倍や位置調整等の様々なモードへの変更及び各モードでの設定が可能に構成されている。また表示装置111には、図示したように「プリントできます」のようなインクジェット印刷装置2の状態が表示される他、給紙あるいは排紙ジャム等のアラーム、印刷用紙、インク等のサプライの供給指示等も表示される。
【0019】
図14は、インクジェット印刷装置2の制御ブロック図を示している。同図において制御手段129は、内部にCPU130、ROM131、RAM132を有する周知のマイクロコンピュータであり、図示しない装置本体の内部に設けられている。CPU130は、操作パネル10からの各種信号及びインクジェット印刷装置本体に設けられた各種センサからの検知信号及びROM131から呼び出された動作プログラムに基づいて、インクジェット印刷部、インクジェット搬送部6、インクジェット給紙部、両面反転排紙部9、画像読取部50に設けられた各駆動手段の搬送部材駆動モータ作動等を制御し、インクジェット印刷装置全体の動作を制御する。
ROM131にはインクジェット印刷装置全体の動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムはCPU130によって適宜呼び出される。RAM132は、CPU130の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル10上の各種キー及び各種センサから設定及び入力されたデータ信号及びオン・オフ信号を随時記憶する機能等を有している。
【0020】
上述の構成に基づき、インクジェット印刷装置2の動作を説明する。
インクジェット印刷装置2は、図示しないPC(パーソナルコンピュータ)より受信した画像データに基づいてインクジェット印刷を行うプリンタ動作と、原稿からの画像データに基づいてインクジェット印刷を行う複写動作の機能を有している。
ここでは原稿からの画像データに基づいてインクジェット印刷を行う複写動作について説明をする。
操作パネル10で印刷設定を行ってから、印刷スタートキー105が押下されることにより印刷動作が行われる。
印刷動作は、給紙台60上に印刷に使用される用紙104を積載し、圧板51を開放してコンタクトガラス52上に印刷すべき原稿を載置した後、再び圧板51を閉じる。その後、操作パネル10上の各種キーによって印刷条件を設定した後、印刷スタートキー105を押下する。
【0021】
先ず、印刷スタートキー105が押下されると、用紙サイズ検知センサ61から用紙サイズ検知信号が、また原稿サイズ検知センサ55から原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御手段129に送られ、信号を受けた制御手段129は各信号を比較する。
このとき、用紙サイズと原稿サイズとが同じ場合は直ちに画像読取動作が行われ、用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合には、制御手段129はその旨を操作パネル10の表示部111に表示してオペレータに注意を促す。
用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御手段129からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行い、原稿サイズと画像サイズとを整合させるように構成してもよい。印刷スタートキー105が押下されると、画像読取部50では原稿画像の読取動作が行われる。原稿画像の読み取りは、図示しない蛍光灯によって露光された反射光を図示しない各反射ミラーによって反射することにより行われ、読み取られた原稿画像はレンズ53で集束された後に画像センサ54に入射されて光電変換される。光電変換された電気信号は図示しないA/D変換器に入力された後、図示しない画像メモリ内に画像データ信号として格納される。
【0022】
図8に示すように、オプションの給紙装置3は、上面に多数の用紙104を積載可能な給紙台60はインクジェット印刷装置に上下動自在に支持されており、昇降手段を含む図示しない給紙駆動手段によって上下動される。
A3サイズの用紙104を縦置き可能な給紙台60の上面には、図示しないレール部材によって用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に移動自在に支持された一対のサイドフェンス62が設けられている。また、給紙台60の自由端部側には、積載された用紙104のサイズを検知する複数の用紙サイズ検知センサ61が設けられている。
給紙台60の上方には、表面に高摩擦抵抗部材を有する給紙ローラ10aが配設されている。給紙ローラ10aはインクジェット印刷装置に揺動自在に支持された図示しないブラケットに回転自在に支持されており、給紙台60が図示しない昇降手段によって上昇されたときに所定の圧接力で給紙台60上の最上位の用紙104に圧接する。給紙ローラ10aは図示しない給紙駆動手段によって回転駆動される。給紙ローラ10aの左方には、表面にそれぞれ高摩擦抵抗部材を有する分離ローラ10bと分離パッド11とが配設されている。分離ローラ10bは図示しないタイミングベルトを介して給紙ローラ10aに駆動連結されており、給紙ローラ10aの回転駆動時にこれと同期して同方向に回転駆動される。分離パッド11は図示しない付勢手段の付勢力によって分離ローラ10bに圧接されている。
【0023】
分離ローラ10b及び分離パッド11の左方にはレジストローラ対44が配設されている。駆動ローラ44bと従動ローラ44aとからなるレジストローラ対44は、図示しない駆動手段からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることで所定のタイミングで回転し、用紙104をインクジェット印刷部に向けて所定のタイミングで給送する。
インクジェット搬送部6は、上述のように、用紙104を両面搬送路49a入り口位置まで吸着搬送する。この搬送時に画像メモリ内に画像データ信号として格納したデータをライン型インクジェット印刷用の4色データに分解し、各プリンタヘッド42に色分解したデータを色ごとに送信する。
【0024】
各プリンタヘッド42の図示しないヘッドエンジンによって、プリンタヘッド42から用紙104に向けてインク液滴が吐出することによって印刷される。印刷された用紙104は、インクジェット搬送部6から両面反転排紙部9へ搬送される。
両面反転排紙部9では印刷設定が両面印刷、反転排紙でない場合は両面反転排紙部9で切り替えられずに排紙される。排紙された用紙104は、排紙台70に排紙されて積載される。
【0025】
図15に示すように、各プリンタヘッド42には、後述する複数のノズルを有するヘッドユニット90と、クリーニングユニット91が設けられている。図15(a)に示すように、ヘッドユニット90はプリンタヘッド42の本体に対して矢印A方向(上下方向)に図示しない移動機構により移動可能である。クリーニングユニット91はプリンタヘッド42の本体に対して矢印B方向(左右方向又は副走査方向)に図示しない移動機構により移動可能である。
ヘッドユニット90及びクリーニングユニット91の移動指令は、制御手段129によって行われる。
クリーニング動作時には、図15(b)に示すように、ヘッドユニット90が上昇し、クリーニングユニット91が横に移動して、ヘッドユニット90のノズル面にクリーニングユニット91が対向する。すなわち、クリーニングのために空打ちされるインクをクリーニングユニット91によって収容可能となる。
回収されたインクは、上記のように廃液タンク40へ送られる。クリーニング動作以外の場合でも印刷しない待機状態では同じ状態のままになっている。
印刷動作時には、図15(a)に示すように、上記とは逆にクリーニングユニット91が横に移動し、ヘッドユニット90が下降して、ノズル面を印刷位置に臨む。
【0026】
図1及び図2に基づいて第1の実施形態を説明する。
図1に示すように、各プリンタヘッド42のヘッドユニット90には、主走査方向に複数のノズルn1、n2、・・・niが配設されている。
クリーニングに際し、制御手段129は、クリーニング前のノズルの使用状態に基づいて、前記複数のノズルのうちどのノズルからインク液滴を吐出させるかを定めたクリーニング用吐出パターンを作成して設定し、設定されたクリーニング用吐出パターンによりクリーニングを行う。クリーニングは電源オン時や印刷開始前などに行われる。
クリーニング前の印刷時に使用した印刷画像には、例えば文字だけの印刷画像、文字に写真が挿入された印刷画像、ベタ印刷部が含まれた印刷画像などいろいろな画像が含まれる。
制御手段129は、クリーニング前の印刷時に用いられた印刷画像データを解析し、どのノズルが使用されていないかを特定する。ここでは、図2(a)に示すように、ノズルn1、n3、n4、n7が使用され、ノズルn2、n5、n6、n8、n9、n10・・・n(i−1)、niがクリーニング前に使用されていないことを例示している。
ノズルが使用されたかどうかは印刷画像データの解析によって判断することができるとともに、ノズルの動作履歴(ノズル駆動信号データ)からも判断することができる。
【0027】
制御手段129は、クリーニング用吐出パターンとして、図2(b)に示すように、未使用のノズルn2、n5、n6、n8、n9、n10・・・n(i−1)、niのみからインク液滴を吐出させるパターンを設定し、ヘッドユニット90及びクリーニングユニット91を図15(b)に示した位置に移動させた状態でクリーニング動作を実行する。
クリーニング動作を実行するにあたって、制御手段129は、上記クリーニング用吐出パターンを実行する条件(回数又は時間)を設定する。この条件は予め所定値として例えばROM131に記憶されている。上記条件は例えば上記未使用ノズルの未使用期間、すなわちクリーニング前の前回の印刷時間の長さに応じて決定してもよい。
また、制御手段129は図14に示すタイマ135により、前回の印刷終了からクリーニングまでの放置時間を算出し、算出値に応じてクリーニング用吐出パターンを実行する条件(回数又は時間)を変更(補正の概念を含む)する(以下の他の実施形態において同じ)。
具体的には、例えば放置時間に閾値を設定し、それよりも長い場合には短い場合に比べてクリーニング用吐出パターンを実行する回数又は時間を上記所定値よりも多くする。閾値は複数段階設定してもよい。
放置時間と条件(回数又は時間)との関係テーブルを予め例えばROM131に記憶しておき、放置時間に応じて条件(回数又は時間)を選択するようにしてもよい。
【0028】
このように、クリーニング前の印刷において使用されなかったノズルのみから吐出させるクリーニング用吐出パターンによりクリーニングするようにすれば、ノズル詰まりを解消するためのインク液滴の吐出量を必要最小限とすることができ、クリーニングに係る無駄なインク消費を抑制することができる。
【0029】
図3に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
本実施形態では、図3(b)に示す未使用ノズルn2、n5、n6、n8、n9、n10・・・n(i−1)、niのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングの後に、図3(c)に示すように全てのノズルを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行うことを特徴とする。
使用されたノズルの中にはその使用回数が極めて少ないもの(例えば1回)もあり得るため、このような使用頻度の少ないノズルの詰まりによる影響を未然に防止し、確実性を高める観点から全ノズルによるクリーニングを行うものである。
未使用ノズルのみを用いたクリーニングの後に行われる全てのノズルを用いたクリーニングでは、ノズル詰まりの懸念が少ないため、またクリーニングに係る無駄なインク消費を抑制する観点から、未使用ノズルのみを用いたクリーニングに比べてインク液滴を吐出させる条件(回数又は時間)を少なくする。
放置時間に応じてクリーニング用吐出パターンの条件(回数又は時間)を変更する点は上記実施形態と同様であるので省略する。
【0030】
図4に基づいて第3の実施形態を説明する。
本実施形態では、図4(b)に示す未使用ノズルn2、n5、n6、n8、n9、n10・・・n(i−1)、niのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングとは別に、図4(c)に示すように使用されたノズルn1、n3、n4、n7のみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行うことを特徴とする。
上記のように使用されたノズルの中にはその使用回数が極めて少ないもの(例えば1回)もあり得るため、このような使用頻度の少ないノズルの詰まりによる影響を未然に防止し、確実性を高める観点から使用ノズルのみによるクリーニングを別途行うものである。結果として全ノズルについてクリーニングを実行することになる。
使用ノズルのみを用いたクリーニングでは、ノズル詰まりの懸念が少ないため、またクリーニングに係る無駄なインク消費を抑制する観点から、未使用ノズルのみを用いたクリーニングに比べてインク液滴を吐出させる回数又は時間を少なくする。使用ノズルのみを用いたクリーニングにおける回数又は時間は、例えば使用ノズル全体の平均使用頻度を考慮して決定することができる。
放置時間に応じてクリーニング用吐出パターンの条件(回数又は時間)を変更する点は上記実施形態と同様であるので省略する。
【0031】
図5及び図6に基づいて第4の実施形態を説明する。
印刷時には印刷画像に合ったノズルが使用されるが、画像によってはノズルの使用頻度が異なる。ノズルの使用頻度が異なるため印刷時にノズルに紙粉などの異物が付着することによってノズル詰りを起こしてしまう場合がある。
本実施形態ではこのような問題を解消することを目的としており、クリーニング用吐出パターンはノズルの使用頻度を考慮して作成される。
ノズルの使用頻度は、上記のように画像データから副走査方向で使用するノズルの使用回数を判断することもでき、また、ノズルの動作履歴からも判断することができる。
本実施形態では、図5に示すように、例えば使用回数が10以下のノズルn2、n4、n5、n7、n8、n10、niのみを吐出させるクリーニング用吐出パターンを作成し、これによりクリーニングを実行する。
【0032】
図6に示すように、ノズルの使用回数を例えば4以下(パターン1)、5以上9以下(パターン2)、10以上(パターン3)と複数段階に分け、それぞれのクリーニングパターンを実行するとともに、各パターンでの吐出回数又は時間を異ならせるようにしてもよい。
クリーニングに係る無駄なインク消費を抑制する観点から、ノズル詰りの懸念の少ないパターンでは回数又は時間を少なくする。
放置時間に応じてクリーニング用吐出パターンの条件(回数又は時間)を変更する点は上記実施形態と同様であるので省略する。
【0033】
図7に基づいて第5の実施形態を説明する。
印刷画像データが同じ場合の印刷では、使用するノズルが同じであるため、クリーニングの必要がない。
本実施形態では、印刷に際し、前の印刷画像のデータと、今回の印刷画像のデータを比較し、同じ場合にはクリーニングを実行しないようにすることを特徴としている。
図7に示すケースでは、前の印刷画像のデータ(図7(a))と、今回の印刷画像のデータ(図7(b))が異なっているため、クリーニングを実行する。
この場合、印刷画像のデータを比較して、未使用のノズルn5、n6、n8のみを吐出させるクリーニング用吐出パターンを作成し、これによりクリーニングを実行する。
放置時間に応じてクリーニング用吐出パターンの条件(回数又は時間)を変更する点は上記実施形態と同様であるので省略する。
もちろん、上述した使用頻度を考慮したクリーニングパターン等を組み合わせて実行してもよい(他の実施形態において同じ)。
【0034】
インクジェット印刷装置2で選択又は使用される用紙サイズによってはノズルが使用されないままになっている場合もある。上記実施形態における未使用ノズルのみを吐出させるクリーニング用吐出パターン等における未使用ノズルの特定を、用紙サイズから判断し、あるいは用紙サイズから判断したものを含めるようにしてもよい。
この場合、印刷データによって判断された用紙サイズに基づいて未使用ノズルを特定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置の記録ヘッドにおけるヘッドユニットのノズルの配設状態を示す、記録媒体側から見た平面図である。
【図2】第1の実施形態を示す図で、(a)は画像データとノズルとの位置関係を示す模式図、(b)は未使用ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図である。
【図3】第2の実施形態を示す図で、(a)は画像データとノズルとの位置関係を示す模式図、(b)は未使用ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図、(c)は全ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図である。
【図4】第3の実施形態を示す図で、(a)は画像データとノズルとの位置関係を示す模式図、(b)は未使用ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図、(c)は使用ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図である。
【図5】第4の実施形態におけるノズルの使用頻度とクリーニング用吐出パターンを示す模式図である。
【図6】第4の実施形態の変形例におけるノズルの使用頻度とクリーニング用吐出パターンを示す模式図である。
【図7】第5の実施形態を示す図で、(a)は前回の印刷画像データでの模式図、(b)は今回の印刷画像データでの模式図、(c)は未使用ノズルからなるクリーニング用吐出パターンを示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置を含むインクジェット印刷システムの概要構成図である。
【図9】インクジェット印刷部から廃液タンクまでのインクの回収経路を示す図である。
【図10】インクジェット印刷装置における両面印刷時の搬送状態を示す図である。
【図11】インクジェット印刷装置における両面印刷時の搬送状態を示す図である。
【図12】反転排出時の搬送状態を示す図である。
【図13】インクジェット印刷装置の操作パネルの概要平面図である。
【図14】インクジェット印刷装置の制御ブロック図である。
【図15】記録ヘッドにおけるヘッドユニットとクリーニングユニットの移動関係を示す図で、(a)は印刷時の状態を示す図、(b)はクリーニング動作時の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
2 インクジェット印刷装置
42a、42b、42c、42d 記録ヘッド
91 クリーニングユニット
n ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク液滴を吐出するノズルを記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に複数備えた記録ヘッドと、クリーニングユニットとを有し、前記クリーニングユニットを前記記録ヘッドのノズル面に対向させた状態で前記ノズルからインク液滴を吐出させてクリーニングを行うインクジェット印刷装置において、
クリーニングに際し、クリーニング前の前記ノズルの使用状態に基づいて、前記複数のノズルのうちどのノズルからインク液滴を吐出させるかを定めたクリーニング用吐出パターンを設定し、前記クリーニング用吐出パターンによりクリーニングを行うことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載のインクジェット印刷装置において、
前回の印刷が終了してからの放置時間を計測し、該放置時間に応じて前記インク液滴を吐出させる回数又は時間を変更することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、
前記クリーニング用吐出パターンは、クリーニング前の印刷時に用いられなかった未使用ノズルのみからなることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載のインクジェット印刷装置において、
前記未使用ノズルのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングの後に、全てのノズルを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行うことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項5】
請求項3記載のインクジェット印刷装置において、
前記未使用ノズルのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングとは別に、前記未使用ノズル以外のノズルを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行い、前記未使用ノズルのみを用いたクリーニングでは、前記未使用ノズル以外のノズルを用いたクリーニングに比べて前記インク液滴を吐出させる回数又は時間を多くすることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、
前記クリーニング用吐出パターンは、クリーニング前の前記各ノズルの使用頻度に基づいて作成されていることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、
前回の印刷画像データと今回の印刷画像データとを比較し、印刷画像データが変わる場合にクリーニングを行うことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項8】
請求項7記載のインクジェット印刷装置において、
前記クリーニング用吐出パターンは、前回の印刷時に未使用で今回の印刷で使用するノズルのみからなることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項1】
インク液滴を吐出するノズルを記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に複数備えた記録ヘッドと、クリーニングユニットとを有し、前記クリーニングユニットを前記記録ヘッドのノズル面に対向させた状態で前記ノズルからインク液滴を吐出させてクリーニングを行うインクジェット印刷装置において、
クリーニングに際し、クリーニング前の前記ノズルの使用状態に基づいて、前記複数のノズルのうちどのノズルからインク液滴を吐出させるかを定めたクリーニング用吐出パターンを設定し、前記クリーニング用吐出パターンによりクリーニングを行うことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載のインクジェット印刷装置において、
前回の印刷が終了してからの放置時間を計測し、該放置時間に応じて前記インク液滴を吐出させる回数又は時間を変更することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、
前記クリーニング用吐出パターンは、クリーニング前の印刷時に用いられなかった未使用ノズルのみからなることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載のインクジェット印刷装置において、
前記未使用ノズルのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングの後に、全てのノズルを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行うことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項5】
請求項3記載のインクジェット印刷装置において、
前記未使用ノズルのみを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングとは別に、前記未使用ノズル以外のノズルを用いたクリーニング用吐出パターンによるクリーニングを行い、前記未使用ノズルのみを用いたクリーニングでは、前記未使用ノズル以外のノズルを用いたクリーニングに比べて前記インク液滴を吐出させる回数又は時間を多くすることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、
前記クリーニング用吐出パターンは、クリーニング前の前記各ノズルの使用頻度に基づいて作成されていることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載のインクジェット印刷装置において、
前回の印刷画像データと今回の印刷画像データとを比較し、印刷画像データが変わる場合にクリーニングを行うことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項8】
請求項7記載のインクジェット印刷装置において、
前記クリーニング用吐出パターンは、前回の印刷時に未使用で今回の印刷で使用するノズルのみからなることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−274368(P2009−274368A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128904(P2008−128904)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
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