インクジェット記録ヘッド
【課題】 記録素子基板の周囲を封止材により封止されているインクジェット記録ヘッドにおいて、吐出口プレートや吐出口の変形を抑制する。
【解決手段】 吐出口からインクを吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記吐出口にインクを供給するための供給口と、が複数組配設された記録素子基板を有し、前記記録素子基板の周囲に封止材が配されるインクジェット記録ヘッドにおいて、
複数の前記供給口は、前記記録素子基板の一端部側に配される第１の供給口と、前記配設の方向に関して前記記録素子基板の一端部の反対側である他端部側に配される第２の供給口と、を含み、
前記配設の方向に関して、前記一端部と前記第１の供給口との間隔に比べ、前記他端部と前記第２の供給口との間隔が小さく、
前記一端部側に配される封止材の量が前記他端部側に配される封止材の量より多いことを特徴とする。
【解決手段】 吐出口からインクを吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記吐出口にインクを供給するための供給口と、が複数組配設された記録素子基板を有し、前記記録素子基板の周囲に封止材が配されるインクジェット記録ヘッドにおいて、
複数の前記供給口は、前記記録素子基板の一端部側に配される第１の供給口と、前記配設の方向に関して前記記録素子基板の一端部の反対側である他端部側に配される第２の供給口と、を含み、
前記配設の方向に関して、前記一端部と前記第１の供給口との間隔に比べ、前記他端部と前記第２の供給口との間隔が小さく、
前記一端部側に配される封止材の量が前記他端部側に配される封止材の量より多いことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、記録媒体の被記録面に対してインクを吐出することで記録を行うインクジェット記録ヘッドに関する。特にインクを吐出するためのエネルギーを発生する記録素子が形成された基板にフレキシブルフィルム基板が実装されるインクジェット記録ヘッドに適したものである。
【背景技術】
【０００２】
インクジェット記録装置は、ノンインパクト記録方式の記録装置であり、記録時における騒音がほとんどないこと、様々な種類の記録媒体に対して高精細な画像を高速で記録可能であることなど、優れた特長をもつ。このようなインクジェット記録装置には、特許文献１に記述されているような特徴をもつものがある。特許文献１に記述されているインクジェット記録装置は、記録素子基板（ヒータチップ）における供給口（ｉｎｋ ｖｉａ）の片側のみにインクを吐出するノズル列が配置されている。さらに、記録素子基板における最外部に配される供給口の長辺から記録素子基板端部までの間隔が両端で異なるという構成について開示されている。
【０００３】
ここで、インクジェット記録方式に代表されるインクジェット記録ヘッドは、一般に微細なインク吐出口（以下、吐出口とも称す）を備える吐出口プレートを有している。また、液流路および該液流路に設けられる記録液に吐出エネルギーを付与する複数の吐出エネルギー発生素子とを備えた記録素子基板を有している。記録素子基板の周囲及び記録素子基板とフレキシブルフィルム配線基板との電気的接続部の一部には、記録液による腐食およびショート、及びワイピングなどの外力から保護するために封止材が塗布されている。
【０００４】
また、近年の記録技術の進展に伴い、インクジェット技術はより高精細な記録が求められており、それによりインクジェットヘッドは極小吐出口化が求められている。
【特許文献１】米国特許６８６３３８１
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、上述した液体噴射記録ヘッドには以下の課題があった。記録素子基板に封止材を塗布した後、封止材の硬化に伴う収縮応力により、吐出口プレート及び吐出口の変形が生じる場合があった。特に記録素子基板における最外部のノズル列においてその変形が大きく、極小の吐出口ではその影響が大きくなる。その結果、吐出されるインク滴の吐出方向がばらつき、出力される画像にムラを生じる場合があった。特に特許文献１に記述されているような、吐出エネルギー発生素子を供給口の片側に備え、記録素子基板における最外部に配される供給口の長辺から記録素子基板端部までの間隔が非対称の記録素子基板の場合には、次のような問題が起こりやすい。つまり、前記間隔が相対的に小さい側における前記封止材の収縮応力の影響が、前記間隔が相対的に大きい側と比較して大きくなる。それにより、吐出口プレート及び吐出口の変形の偏りが生じやすくなる。また、
吐出口の変形を抑制するには封止材による応力の影響を小さくすればよく、封止材による応力の影響を小さくするために、封止材の幅を小さくすることが考えられる。しかし、封止材幅を小さくすることで封止材塗布時に封止材が流れ難くなり、封止材の射出制御、位置調整など、インクジェットヘッド生産時の封止材塗布工程において、タクトアップにつながる可能性がある。また、単純に封止材の幅を小さくしただけでは、記録素子基板の両端側における封止材の収縮応力の差から、吐出口の変形が発生してしまう。
【０００６】
本発明は上記の従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、記録素子基板の周囲に塗布した封止材の硬化収縮応力による吐出口プレートの変形を抑制し、安定した吐出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明のインクジェット記録ヘッドは、記録液を吐出する複数の吐出口を備える吐出口プレートと、
前記吐出口に対向し記録液を吐出させるエネルギーを付与する複数のエネルギー発生素子と、前記吐出口に記録液を供給する複数の供給口と、を備える記録素子基板と、を有し、前記記録素子基板の周囲に封止材が配されるインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記複数の供給口は、前記記録素子の一端部側に配される第１の供給口と、前記記録素子基板の一端部に対向する他端部側に配される第２の供給口と、を含み、
前記複数の吐出口の配列方向と交差する方向に対して、前記記録素子の一端部から第１の供給口までの間隔に比べ、前記他端部から第２の供給口までの間隔が短く、
前記一端部側に配される封止材の量が前記他端部側に配される封止材の量より多いことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００８】
本発明により、ノズル密度が高く、小型の記録素子基板からなるインクジェット記録ヘッドにおいても、吐出口の変形を抑制し、安定した吐出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明における実施例を図面に基づいて以下に説明する。
【００１０】
実施例１
図１に本発明における第１の実施例のインクジェット記録ヘッド６を吐出口側から見た模式図を示す。図において、インクジェット記録ヘッドは、記録液を吐出する複数の吐出口１を備える吐出口プレート７を有する。さらに、吐出口に対向する位置に、記録液（インク）を吐出するためのエネルギーを付与する複数のエネルギー発生素子（不図示）と、供給口４と、が複数組配設された記録素子基板２を有する。記録素子基板２の周囲には、記録液による腐食及びショートから保護するための封止材３が塗布されている。
【００１１】
図１に示す記録素子基板２に配される複数の供給口４の内、最外部に配される供給口４の長辺から記録素子基板の端部までの間隔Ａ、Ｂが異なる。記録素子基板２において、最外部に配される供給口４の長辺から記録素子基板２の端部までの間隔が小さい側、すなわち図においてＡ＞Ｂの時にＢ側の方が封止材３の収縮応力の影響が大きいために吐出口の変形が生じやすい。吐出口が変形すると、記録液の吐出特性に影響するため、印刷品位が損なわれる。
【００１２】
本実施例では図１のような構成の記録素子基板に対して封止材を塗布する場合に以下の点を考慮する。最外部に配される供給口４の長辺から記録素子基板の端部までの間隔が短い側、すなわちＡ＞Ｂの時にＢ側の辺における封止材領域の幅をＡ側の封止材領域の幅よりも小さくする。つまり、本実施例において、複数の吐出口の配列方向と交差する方向に対して、前記記録素子の一端部から第１の供給口までの間隔をＡと定義する。また、記録素子基板の一端部とは反対側の他端部から第２の供給口までの間隔をＢと定義し、Ａ＞Ｂの場合に、他端部側に配される封止材の量が一端部側に配される封止材の量より少ない。
【００１３】
このような構成とすることで、Ｂ側の封止材の収縮応力による記録素子基板に対する影響が緩和され、吐出口の変形を抑制することができる。つまり、本実施例のような供給口から基板の端面までの間隔が異なる構成の記録素子基板においても、封止領域の幅を変えることで記録素子基板両端部における収縮応力のバランスをとることが出来る。結果的に吐出口の変形を抑制できる。また、封止材の幅が小さい１辺における封止材は、塗布時に毛管力により塗布されるため、製造タクトを増大することなく、吐出口の変形を抑制できる。
【００１４】
実施例２
図２（ａ）〜（ｃ）は本発明における第２の実施例のインクジェット記録ヘッド６を示す模式図である。図２（ａ）は吐出口１側から見た図であり、図２（ｂ）、（ｃ）は図２（ａ）のＡ−Ａ断面を示している。本実施例では図２（ｂ）、（ｃ）に示すように、Ａ＞Ｂの時にＢ側の辺における封止材の幅を表面から高さ（深さ）方向に変化、詳細には、小さくなるように構成している。つまり塗布される封止材の体積を変えることでＢ側の封止材の収縮応力による記録素子基板への影響が緩和され、上述したバランスをとることが可能となり、結果的に吐出口の変形を抑制することができる。
【００１５】
実施例３
図３は本発明における第３の実施例のインクジェット記録ヘッドを吐出口側から見た模式図である。本実施例においても、Ａ＞Ｂの時にＢ側の辺における封止材幅の塗布量を少なくしている。本実施例においては特に、Ｂ側のノズル列中央付近における封止材幅を、封止領域における長手方向端部からノズル列中央部に向かって小さくなるように構成している。このように、特に吐出口の変形しやすい吐出口配列方向における中央部の封止材幅を小さくすることで、Ｂ側の封止材の収縮応力による影響が緩和され、吐出口の変形を抑制することができる。
【００１６】
実施例４
図４は本発明における第４の実施例であるインクジェット記録ヘッドを吐出口側からみた模式図である。本実施例では、上述したように、Ｂ側の封止材の体積を小さくすることに加え、Ｂ側に、記録素子基板において最も高密度なノズル列を配置しないようにしている。好ましくは、Ｂ側に記録素子基板において最も低密度なノズル列を配置している。これによりＢ側における記録素子基板と流路形成部材（ノズルプレート）との接合領域をＡ側に比べて大きくできるので、吐出口の変形に対してさらに好ましいものである。
【００１７】
実施例５
図５は本発明における第５の実施例を示す模式図である。本実施例では、上述したように、Ｂ側の封止材の体積を小さくすることに加え、Ｂ側のノズルフィルタをＡ側のノズルフィルタよりも高密度に配置している。これによりＢ側における記録素子基板と流路形成部材（ノズルプレート）との接合領域をＡ側に比べて大きくできるので、吐出口の変形に対してさらに好ましいものである。
【００１８】
実施例６
図６は本発明における第６の実施例を示す模式図である。本実施例では、上述したように、Ｂ側の封止材の体積を小さくすることに加え、Ｂ側の供給口形状が長辺方向に分割されている。これによりＢ側における記録素子基板と流路形成部材（ノズルプレート）との接合領域をＡ側に比べて大きくできるので、吐出口の変形に対してさらに好ましいものである。
【００１９】
実施例４から６における記録素子基板は実施例１から３に示すような封止材形状でなく、４辺同一形状であっても吐出口の変形をある程度抑制することができる。しかし、Ｂ側の封止材の量を少なくすることによって、さらなる効果を奏するものである。
【００２０】
また上述した各実施例を適宜組み合わせた構成に関しても同様に適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】本発明における第１の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【図２】本発明における第２の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【図３】本発明における第３の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【図４】本発明における第４の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【図５】本発明における第５の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【図６】本発明における第６の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【符号の説明】
【００２２】
１ 吐出口
２ 記録素子基板
３ 封止材
４ 供給口
５ フィルタ
６ 記録ヘッド
【技術分野】
【０００１】
本発明は、記録媒体の被記録面に対してインクを吐出することで記録を行うインクジェット記録ヘッドに関する。特にインクを吐出するためのエネルギーを発生する記録素子が形成された基板にフレキシブルフィルム基板が実装されるインクジェット記録ヘッドに適したものである。
【背景技術】
【０００２】
インクジェット記録装置は、ノンインパクト記録方式の記録装置であり、記録時における騒音がほとんどないこと、様々な種類の記録媒体に対して高精細な画像を高速で記録可能であることなど、優れた特長をもつ。このようなインクジェット記録装置には、特許文献１に記述されているような特徴をもつものがある。特許文献１に記述されているインクジェット記録装置は、記録素子基板（ヒータチップ）における供給口（ｉｎｋ ｖｉａ）の片側のみにインクを吐出するノズル列が配置されている。さらに、記録素子基板における最外部に配される供給口の長辺から記録素子基板端部までの間隔が両端で異なるという構成について開示されている。
【０００３】
ここで、インクジェット記録方式に代表されるインクジェット記録ヘッドは、一般に微細なインク吐出口（以下、吐出口とも称す）を備える吐出口プレートを有している。また、液流路および該液流路に設けられる記録液に吐出エネルギーを付与する複数の吐出エネルギー発生素子とを備えた記録素子基板を有している。記録素子基板の周囲及び記録素子基板とフレキシブルフィルム配線基板との電気的接続部の一部には、記録液による腐食およびショート、及びワイピングなどの外力から保護するために封止材が塗布されている。
【０００４】
また、近年の記録技術の進展に伴い、インクジェット技術はより高精細な記録が求められており、それによりインクジェットヘッドは極小吐出口化が求められている。
【特許文献１】米国特許６８６３３８１
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、上述した液体噴射記録ヘッドには以下の課題があった。記録素子基板に封止材を塗布した後、封止材の硬化に伴う収縮応力により、吐出口プレート及び吐出口の変形が生じる場合があった。特に記録素子基板における最外部のノズル列においてその変形が大きく、極小の吐出口ではその影響が大きくなる。その結果、吐出されるインク滴の吐出方向がばらつき、出力される画像にムラを生じる場合があった。特に特許文献１に記述されているような、吐出エネルギー発生素子を供給口の片側に備え、記録素子基板における最外部に配される供給口の長辺から記録素子基板端部までの間隔が非対称の記録素子基板の場合には、次のような問題が起こりやすい。つまり、前記間隔が相対的に小さい側における前記封止材の収縮応力の影響が、前記間隔が相対的に大きい側と比較して大きくなる。それにより、吐出口プレート及び吐出口の変形の偏りが生じやすくなる。また、
吐出口の変形を抑制するには封止材による応力の影響を小さくすればよく、封止材による応力の影響を小さくするために、封止材の幅を小さくすることが考えられる。しかし、封止材幅を小さくすることで封止材塗布時に封止材が流れ難くなり、封止材の射出制御、位置調整など、インクジェットヘッド生産時の封止材塗布工程において、タクトアップにつながる可能性がある。また、単純に封止材の幅を小さくしただけでは、記録素子基板の両端側における封止材の収縮応力の差から、吐出口の変形が発生してしまう。
【０００６】
本発明は上記の従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、記録素子基板の周囲に塗布した封止材の硬化収縮応力による吐出口プレートの変形を抑制し、安定した吐出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明のインクジェット記録ヘッドは、記録液を吐出する複数の吐出口を備える吐出口プレートと、
前記吐出口に対向し記録液を吐出させるエネルギーを付与する複数のエネルギー発生素子と、前記吐出口に記録液を供給する複数の供給口と、を備える記録素子基板と、を有し、前記記録素子基板の周囲に封止材が配されるインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記複数の供給口は、前記記録素子の一端部側に配される第１の供給口と、前記記録素子基板の一端部に対向する他端部側に配される第２の供給口と、を含み、
前記複数の吐出口の配列方向と交差する方向に対して、前記記録素子の一端部から第１の供給口までの間隔に比べ、前記他端部から第２の供給口までの間隔が短く、
前記一端部側に配される封止材の量が前記他端部側に配される封止材の量より多いことを特徴とする。
【発明の効果】
【０００８】
本発明により、ノズル密度が高く、小型の記録素子基板からなるインクジェット記録ヘッドにおいても、吐出口の変形を抑制し、安定した吐出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
本発明における実施例を図面に基づいて以下に説明する。
【００１０】
実施例１
図１に本発明における第１の実施例のインクジェット記録ヘッド６を吐出口側から見た模式図を示す。図において、インクジェット記録ヘッドは、記録液を吐出する複数の吐出口１を備える吐出口プレート７を有する。さらに、吐出口に対向する位置に、記録液（インク）を吐出するためのエネルギーを付与する複数のエネルギー発生素子（不図示）と、供給口４と、が複数組配設された記録素子基板２を有する。記録素子基板２の周囲には、記録液による腐食及びショートから保護するための封止材３が塗布されている。
【００１１】
図１に示す記録素子基板２に配される複数の供給口４の内、最外部に配される供給口４の長辺から記録素子基板の端部までの間隔Ａ、Ｂが異なる。記録素子基板２において、最外部に配される供給口４の長辺から記録素子基板２の端部までの間隔が小さい側、すなわち図においてＡ＞Ｂの時にＢ側の方が封止材３の収縮応力の影響が大きいために吐出口の変形が生じやすい。吐出口が変形すると、記録液の吐出特性に影響するため、印刷品位が損なわれる。
【００１２】
本実施例では図１のような構成の記録素子基板に対して封止材を塗布する場合に以下の点を考慮する。最外部に配される供給口４の長辺から記録素子基板の端部までの間隔が短い側、すなわちＡ＞Ｂの時にＢ側の辺における封止材領域の幅をＡ側の封止材領域の幅よりも小さくする。つまり、本実施例において、複数の吐出口の配列方向と交差する方向に対して、前記記録素子の一端部から第１の供給口までの間隔をＡと定義する。また、記録素子基板の一端部とは反対側の他端部から第２の供給口までの間隔をＢと定義し、Ａ＞Ｂの場合に、他端部側に配される封止材の量が一端部側に配される封止材の量より少ない。
【００１３】
このような構成とすることで、Ｂ側の封止材の収縮応力による記録素子基板に対する影響が緩和され、吐出口の変形を抑制することができる。つまり、本実施例のような供給口から基板の端面までの間隔が異なる構成の記録素子基板においても、封止領域の幅を変えることで記録素子基板両端部における収縮応力のバランスをとることが出来る。結果的に吐出口の変形を抑制できる。また、封止材の幅が小さい１辺における封止材は、塗布時に毛管力により塗布されるため、製造タクトを増大することなく、吐出口の変形を抑制できる。
【００１４】
実施例２
図２（ａ）〜（ｃ）は本発明における第２の実施例のインクジェット記録ヘッド６を示す模式図である。図２（ａ）は吐出口１側から見た図であり、図２（ｂ）、（ｃ）は図２（ａ）のＡ−Ａ断面を示している。本実施例では図２（ｂ）、（ｃ）に示すように、Ａ＞Ｂの時にＢ側の辺における封止材の幅を表面から高さ（深さ）方向に変化、詳細には、小さくなるように構成している。つまり塗布される封止材の体積を変えることでＢ側の封止材の収縮応力による記録素子基板への影響が緩和され、上述したバランスをとることが可能となり、結果的に吐出口の変形を抑制することができる。
【００１５】
実施例３
図３は本発明における第３の実施例のインクジェット記録ヘッドを吐出口側から見た模式図である。本実施例においても、Ａ＞Ｂの時にＢ側の辺における封止材幅の塗布量を少なくしている。本実施例においては特に、Ｂ側のノズル列中央付近における封止材幅を、封止領域における長手方向端部からノズル列中央部に向かって小さくなるように構成している。このように、特に吐出口の変形しやすい吐出口配列方向における中央部の封止材幅を小さくすることで、Ｂ側の封止材の収縮応力による影響が緩和され、吐出口の変形を抑制することができる。
【００１６】
実施例４
図４は本発明における第４の実施例であるインクジェット記録ヘッドを吐出口側からみた模式図である。本実施例では、上述したように、Ｂ側の封止材の体積を小さくすることに加え、Ｂ側に、記録素子基板において最も高密度なノズル列を配置しないようにしている。好ましくは、Ｂ側に記録素子基板において最も低密度なノズル列を配置している。これによりＢ側における記録素子基板と流路形成部材（ノズルプレート）との接合領域をＡ側に比べて大きくできるので、吐出口の変形に対してさらに好ましいものである。
【００１７】
実施例５
図５は本発明における第５の実施例を示す模式図である。本実施例では、上述したように、Ｂ側の封止材の体積を小さくすることに加え、Ｂ側のノズルフィルタをＡ側のノズルフィルタよりも高密度に配置している。これによりＢ側における記録素子基板と流路形成部材（ノズルプレート）との接合領域をＡ側に比べて大きくできるので、吐出口の変形に対してさらに好ましいものである。
【００１８】
実施例６
図６は本発明における第６の実施例を示す模式図である。本実施例では、上述したように、Ｂ側の封止材の体積を小さくすることに加え、Ｂ側の供給口形状が長辺方向に分割されている。これによりＢ側における記録素子基板と流路形成部材（ノズルプレート）との接合領域をＡ側に比べて大きくできるので、吐出口の変形に対してさらに好ましいものである。
【００１９】
実施例４から６における記録素子基板は実施例１から３に示すような封止材形状でなく、４辺同一形状であっても吐出口の変形をある程度抑制することができる。しかし、Ｂ側の封止材の量を少なくすることによって、さらなる効果を奏するものである。
【００２０】
また上述した各実施例を適宜組み合わせた構成に関しても同様に適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】本発明における第１の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【図２】本発明における第２の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【図３】本発明における第３の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【図４】本発明における第４の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【図５】本発明における第５の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【図６】本発明における第６の実施例による記録ヘッドを示す模式図である。
【符号の説明】
【００２２】
１ 吐出口
２ 記録素子基板
３ 封止材
４ 供給口
５ フィルタ
６ 記録ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項１】
吐出口からインクを吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記吐出口にインクを供給するための供給口と、が複数組配設された記録素子基板を有し、前記記録素子基板の周囲に封止材が配されるインクジェット記録ヘッドにおいて、
複数の前記供給口は、前記記録素子基板の一端部側に配される第１の供給口と、前記配設の方向に関して前記記録素子基板の一端部の反対側である他端部側に配される第２の供給口と、を含み、
前記配設の方向に関して、前記一端部と前記第１の供給口との間隔に比べ、前記他端部と前記第２の供給口との間隔が小さく、
前記一端部側に配される封止材の量が前記他端部側に配される封止材の量より多いことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項２】
前記配設の方向に関する、前記一端部側に配される封止材の領域の幅は、前記他端部側に配される封止材の領域の幅より大きいことを特徴とする請求項１に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項３】
前記配設の方向に関して、封止材の領域は、深さが変化していることを特徴とする請求項１に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項４】
前記他端部側に配される封止材の領域の幅は、前記配設の方向と交差する方向に関して、前記他端部側に配される封止材の領域の端部から中央に向かって小さくなることを特徴とする請求項２に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項１】
吐出口からインクを吐出するためのエネルギーを発生するエネルギー発生素子と、前記吐出口にインクを供給するための供給口と、が複数組配設された記録素子基板を有し、前記記録素子基板の周囲に封止材が配されるインクジェット記録ヘッドにおいて、
複数の前記供給口は、前記記録素子基板の一端部側に配される第１の供給口と、前記配設の方向に関して前記記録素子基板の一端部の反対側である他端部側に配される第２の供給口と、を含み、
前記配設の方向に関して、前記一端部と前記第１の供給口との間隔に比べ、前記他端部と前記第２の供給口との間隔が小さく、
前記一端部側に配される封止材の量が前記他端部側に配される封止材の量より多いことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項２】
前記配設の方向に関する、前記一端部側に配される封止材の領域の幅は、前記他端部側に配される封止材の領域の幅より大きいことを特徴とする請求項１に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項３】
前記配設の方向に関して、封止材の領域は、深さが変化していることを特徴とする請求項１に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項４】
前記他端部側に配される封止材の領域の幅は、前記配設の方向と交差する方向に関して、前記他端部側に配される封止材の領域の端部から中央に向かって小さくなることを特徴とする請求項２に記載のインクジェット記録ヘッド。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００９−６５６２（Ｐ２００９−６５６２Ａ）
【公開日】平成２１年１月１５日（２００９．１．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１６９３５１（Ｐ２００７−１６９３５１）
【出願日】平成１９年６月２７日（２００７．６．２７）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１月１５日（２００９．１．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年６月２７日（２００７．６．２７）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]