説明

インクジェット記録ヘッド

【課題】小型化することが可能なインクジェット記録ヘッドを提供する。
【解決手段】電気配線基板120は、開口部が形成されたベースフィルム123と、ベースフィルム123の支持部材140から見て裏側の面である第1の面に形成された第1の配線部材122と、第1の面において第1の配線部材122よりも開口部に近い位置に形成されワイヤー170に接続されている第2の配線部材129と、第1の配線部材122を覆い端部150が第1の配線部材122と第2の配線部材129の間にあるカバーフィルム124と、第1の配線部材122とカバーフィルム124とを接着させる接着剤127と、ベースフィルム123の第2の面に形成された第3の配線部材125と、第1のスルーホール160と、第2のスルーホール161と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴の吐出による記録動作を行うインクジェット記録装置に搭載されるインクジェット記録ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、いわゆるノンインパクト記録方式の記録装置であり、液滴を吐出するインクジェット記録ヘッドが搭載されている。
【0003】
図9は、一般的なインクジェット記録ヘッドの要部の構造を説明するための図である。図9(a)は、一般的なインクジェット記録ヘッド1000の要部の構造を示す平面図であり、図9(b)は、図9(a)に記載の切断線B−Bに沿った断面図である。
【0004】
インクジェット記録ヘッド1000は、図9(b)に示すように、ワイヤー1700を介して互いに導通する記録素子基板1100と電気配線基板1200とが、支持部材1400に取り付けられている。電気配線基板1200では、図9(b)に示すように、ベースフィルム1203の表面に配線部材1202が形成されている。配線部材1202の表面には、接着剤1207が塗布されてカバーフィルム1204で覆われた被覆領域と、カバーフィルム1204で覆われていない露出領域とがある。この露出領域の一部にワイヤー1700が接続されている。記録素子基板1100とワイヤー1700との電気接続部、および電気配線基板1200とワイヤー1700との電気接続部は、封止剤1300および封止剤1301を用いて封止される。
【0005】
上記のような構造を有するインクジェット記録ヘッドには、封止剤の流出を防ぐことを目的としたインクジェット記録ヘッドが提案されており、特許文献1および特許文献2にそれぞれ開示されている。特許文献1には、カバーフィルムの厚みを封止剤の流出を防ぐ壁として利用した構造を有するインクジェット記録ヘッドが開示されている。一方、特許文献2には、封止剤1301には低粘度の封止剤を使用し、封止剤1300には高粘度の封止剤を使用したインクジェット記録ヘッドが開示されている。特許文献2に開示されたインクジェット記録ヘッドによれば、封止剤の広がりを抑えなければならない封止領域には高粘度の封止剤が使用されているので、封止剤の流出を防ぐことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−332729号公報
【特許文献2】特許3592208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インクジェット記録ヘッド1000では、上述した被覆領域に接着剤1207が一様に塗布される。しかし、この被覆領域には、配線1202が形成された領域と形成されていない領域がある。配線1202が形成された領域は、形成されていない領域よりも配線の厚み分だけ厚い。そのため、カバーフィルム1204の製造工程において、配線1202が形成された領域に塗布されている接着剤1207が押し出される。その結果、配線1202が形成された領域は、形成されていない領域よりも多くの接着剤1207が端部1500からはみ出る(図9(a)参照)。具体的には、接着剤1207が端部1500からはみ出す長さL2が0.1〜0.2mm程度になる場合がある。また、配線部材1202では、上述した露出領域にワイヤー1700を接続するために領域L6を確保しなければならないが、長さL2が長くなるにつれて露出領域の平面積を大きくする必要がある(図9(b)参照)。
【0008】
近年、インクジェット記録ヘッドでは、記録素子基板の小型化、高密度化に伴って、電気配線基板の配線が高密度になっている。しかしインクジェット記録ヘッド1000の場合、配線が高密度になると封止領域における配線部材1202の占める割合が増加するので、上述した理由により電気配線基板1200を大型化する必要がある。
【0009】
本発明は、小型化することが可能なインクジェット記録ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明によるインクジェット記録ヘッドは、支持部材と、該支持部材に支持され、液滴を吐出する吐出口と該吐出口からの液滴の吐出を制御する駆動信号を受信する電極とを備えた記録素子基板と、前記支持部材に支持され、前記駆動信号を前記電極へ供給し、前記記録素子基板を露出させる開口部を備えた電気配線基板と、前記記録素子基板と前記電気配線基板との間に位置し、前記電気配線基板からの前記駆動信号を前記電極へ伝送するワイヤーと、前記電極と前記ワイヤーとの電気接続部および前記電気配線基板と前記ワイヤーとの電気接続部を封止する封止剤と、を有し、前記電気配線基板は、前記開口部が形成されたベースフィルムと、該ベースフィルムの前記支持部材から見て裏側の面である第1の面に形成された第1の配線部材と、前記ベースフィルムの前記第1の面において前記第1の配線部材よりも前記開口部に近い位置に形成され前記ワイヤーに接続されている第2の配線部材と、前記第1の配線部材を覆い端部が前記第1の配線部材と前記第2の配線部材の間にあるカバーフィルムと、前記第1の配線部材と前記カバーフィルムとを接着させる接着剤と、前記ベースフィルムの前記第1の面と反対の第2の面に形成された第3の配線部材と、前記第1の配線部材と前記第3の配線部材とを導通させる第1のスルーホールと、前記第2の配線部材と前記第3の配線部材とを導通させる第2のスルーホールと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カバーフィルムで覆われる配線部材の平面積が従来よりも小さくなるので、このカバーフィルムの端部から接着剤がはみ出す量を抑えられる。これにより、インクジェット記録ヘッドを小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1のインクジェット記録ヘッドの要部の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録ヘッドを反対側から見た斜視図である。
【図3】実施形態1のインクジェット記録ヘッドの構造を説明するための図である。
【図4】4つの記録素子基板が設けられたインクジェット記録ヘッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図5】実施形態1の変形例のインクジェット記録ヘッドの要部構成を示す断面図である。
【図6】実施形態1の変形例のインクジェット記録ヘッドの要部構成を示す断面図である。
【図7】実施形態2のインクジェット記録ヘッドの要部の構成を示す拡大図である。
【図8】実施形態3のインクジェット記録ヘッドの要部の構成を示す断面図である。
【図9】一般的なインクジェット記録ヘッドの要部の構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明のインクジェット記録ヘッドの実施形態について説明する。なお、本発明のインクジェット記録ヘッドは、プリンター、ワードプロセッサ、ファクシミリ、および複写機に代表されるインクジェット記録装置に搭載可能である。
【0014】
(実施形態1)
図1は、実施形態1のインクジェット記録ヘッドの要部の構成を示す斜視図である。また、図2は、図1に示すインクジェット記録ヘッドを反対側から見た斜視図である。また、図3は、実施形態1のインクジェット記録ヘッドの構造を説明するための図である。図3(a)は、図1に記載の領域Aの拡大図である。なお、図3では説明のために封止剤で覆われている部分を透視した状態で示す。また、図3(b)は、図3(a)に記載の切断線C−Cに沿った断面図である。
【0015】
本実施形態のインクジェット記録ヘッド10は、ワイヤー170を介して互いに導通する記録素子基板110と電気配線基板120とが、支持部材140に取り付けられている(図1、図3参照)。記録素子基板110では、インク滴(液滴)の吐出を制御する駆動信号が電極112で受信されると、発熱抵抗体を有する電気熱変換素子(不図示)がインクを加熱する。これにより、膜沸騰の作用で吐出口111からインク滴が吐出される。電気配線基板120は、インクジェット記録装置の本体(不図示)からコンタクト部121を通じて入力された駆動信号を電極112へ供給する。電極112とワイヤー170との電気接続部132および電気配線基板120とワイヤー170との電気接続部133は、封止剤130および封止剤131を用いて封止される。支持部材140は、インク注入口141にフィルター142およびシールゴム143を備え、インクタンク(不図示)から供給されたインクを記録素子基板1100へ導入する流路が形成されている(図2参照)。以下、記録素子基板110と電気配線基板120の構造について詳しく説明する。
【0016】
記録素子基板110は、図3に示すように、シリコンチップの表面に電気回路を備えるヒーターボード114と、樹脂材料でフォトリソグラフィ技術によって吐出口111が形成されたオリフィスプレート113とを有する。ヒーターボード114には、金メッキ処理された電極112が複数個配列されている。また、ヒーターボード114は、接着剤190で支持部材140に固定されている。この接着剤190は、紫外線を照射しても、熱を加えても硬化する紫外線・熱硬化併用型であり、インクに対する耐薬品性がある接着剤が使用される。
【0017】
電気配線基板120は、少なくとも二層の多層FPC基板(フレキシブルプリント回路基板)である。本実施形態では、二層のFPC基板が電気配線基板120として用いられる。この電気配線基板120では、図3(b)に示すように、記録素子110を露出させる開口部が形成されたベースフィルム123は、厚みが0.025〜0.050mmのポリイミド等のフィルムである。ベースフィルム123の両面には、厚みが0.01〜0.02mmの銅の配線が形成されている。
【0018】
ベースフィルム123の支持部材140から見て裏側の面、すなわちベースフィルム123の表面(第1の面)には、第1の配線部材122と第2の配線部材129とが、互いに離れた位置に形成されている。第2の配線部材129は、電気接続部132として必要な平面積を有し、第1の配線部材122よりもベースフィルム123の開口部に近い位置に形成されている。具体的には、第2の配線部材129は、幅が0.1〜0.2mm程度で、金メッキ処理されている。第1の配線部材122は、接着剤127を用いてカバーフィルム124に覆われている。カバーフィルム124は、厚みが0.004〜0.050mmのアラミド樹脂、もしくは0.01〜0.05mm程度のポリイミド等のフィルムである。接着剤127は、厚みt1が0.02〜0.05mm程度である。カバーフィルム124の端部150は、図3(b)に示すように、第1の配線部材122と第2の配線部材129との間にある。すなわち、カバーフィルム124に覆われる領域(接着剤127が塗布される領域)に占める配線部材の平面積が従来よりも減少しているので、カバーフィルム124の端部150から接着剤127がはみ出す量が少なくなる。本実施形態では、接着剤127の端部150からはみ出す長さが0.03〜0.05mm程度に抑えられる。また、第2の配線部材129は、端部150との間隔L1を0.2mm以上設けて配置されており、接着剤127と接触しない。すなわち、第2の配線部材129は、接着剤127と接触しない位置に形成されている。
【0019】
一方、ベースフィルム123の裏面(第2の面)には、第3の配線125が形成されている。第3の配線部材125は、第1のスルーホール160を介して第1の配線部材122に接続されるとともに、第2のスルーホール161を介して第2の配線部材129に接続されている。各スルーホールの直径は、0.05mm程度のものであればよい。また、第3の配線部材125は、カバーフィルム126に覆われている。第3の配線部材125とカバーフィルム126とは接着剤128で接着されている。また、カバーフィルム126は、接着剤191で支持部材140に固定されている。この接着剤191には、紫外線を照射しても、熱を加えても硬化する紫外線・熱硬化併用型であり、インクに対する耐薬品性がある接着剤が使用される。
【0020】
インクジェット記録ヘッド10には、コンタクト部121に接続される配線として、例えば、配線180や配線181などが設けられている。配線180は、第1の配線部材122から第1のスルーホール160、第3の配線部材125、および第2のスルーホール161を介して第2の配線部材129に接続される配線である。配線181は、第3の配線部材125から第2のスルーホール161を介して第2の配線部材129に接続される配線である。配線180および配線181は、いずれも最終的に第2のスルーホール161を介して第2の配線部材129に接続される。
【0021】
ワイヤー170は、金製のワイヤーであり、記録素子基板110および電気配線基板120が支持部材140に固定された後、電極112と第2の配線部材129とにボンディングにてそれぞれ接続される(図3(b)参照)。これにより、電気配線基板120から記録素子基板110への信号伝送が可能になる。
【0022】
その後、電気配線基板120と記録素子基板110の間に設けられた空隙が低粘度の封止剤131で充填され、さらに、電気接続部132が高粘度の封止剤130で覆われる。封止剤130は、樹脂材料で形成されたオリフィスプレート113上に寸法L3だけオーバーラップして塗布されるとともに、カバーフィルム124上に寸法L4だけオーバーラップして塗布される。例えば、寸法L3、寸法L4は、ともに0.1〜0.5mm程度であればよい。
【0023】
本実施形態では、カバーフィルム124の端部150から接着剤127がはみ出す量が従来よりも少なくなる。これにより、封止剤130による封止領域における有効な領域(封止剤130とベースフィルム123の接着面積)の割合が増える。そのため、この封止領域を小さくすることができる。これにより、封止領域における有効な領域(封止剤130とベースフィルム123の接着面積)の割合が増える。そのため、封止領域を小さくすることができる。すなわち、間隔L1(図3(a)、(b)参照)を小さくすることが可能となる。この間隔L1が小さくなれば、封止剤間の距離を示す距離L7(図1参照)を短くすることが可能になる。この距離L7が短くなれば、吐出口111からインクが蒸発するのを防止するためのゴムキャップを当接するキャップ領域200(図1参照)を小さくすることが可能になる。このキャップ領域200が小さくなれば、ヘッドサイズL8(図1参照)を小さくすることができる。したがって、小型化されたインクジェット記録ヘッドを提供することが可能となる。
【0024】
図4は、4つの記録素子基板110が設けられた記録ヘッド100の一実施形態を示す斜視図である。この場合も図4に示すように距離L7を短くしてキャップ領域200を小さくすることが可能である。したがって、ヘッドサイズL8を小さくすることが可能となる。
【0025】
(変形例)
図5、図6は、それぞれ実施形態1の変形例のインクジェット記録ヘッドの要部構成を示す断面図である。図5、図6では、各インクジェット記録ヘッドの切断線C−C(図3(a)参照)に相当する切断線に沿った断面を示す。
【0026】
図5に示すインクジェット記録ヘッド10aは、封止剤130がカバーフィルム124の端部150まで覆っている封止状態となっている。一方、図7に示すインクジェット記録ヘッド10bは、封止剤130がカバーフィルム124の端部150に非接触な封止状態となっている。インクジェット記録ヘッド10a、10bにおいて、接着剤127には、インクに対する耐薬品性が十分にある接着剤が用いられている。この場合、封止剤130とベースフィルム123との接着領域は十分に確保されているので、カバーフィルム124を封止剤130で封止しなくてもインクジェット記録ヘッド1と同様の効果を奏する。さらに、インクジェット記録ヘッド10a、10bは、インクジェット記録ヘッド10よりも封止剤130の使用量を削減できるので、経済性に優れたインクジェット記録ヘッドとなる。
【0027】
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2のインクジェット記録ヘッドの要部の構成を示す拡大図である。図7では、本実施形態のインクジェット記録ヘッド20の領域A(図1参照)に相当する部分を拡大して示すとともに、封止剤で覆われている部分を透視した状態で示す。また、図7では、実施形態1で説明したインクジェット記録ヘッド10と同様の構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0028】
インクジェット記録ヘッド20の記録素子基板110では、電極112がベースフィルム123の周縁151に沿って複数個配列されている。そして、インクジェット記録ヘッド20の電気配線基板120では、複数の電極112に個別に対応するランド211が第2の配線部材129として複数個設けられている。このランド211は、第2のスルーホール161の周縁を囲む形状となっている。また、この電気配線基板120において、カバーフィルム124の端部150は、第1の配線部材122とランド211との間にあり、第3の配線部材125は、ベースフィルム123に覆われている。これにより、インクジェット記録ヘッド10と同様に、端部150から接着剤127がはみ出す量を少なくできるので、封止剤130による封止領域を小さくできる。
【0029】
本実施形態では、ワイヤー170に接続される配線部材をランド形状にすることによって、この配線部材の平面積を図3に示す第2の配線部材129よりも小さくできる。これにより、ベースフィルム123と封止剤130の接着面積、すなわち有効な封止領域が増加するので、封止がより確実なものとなる。さらに、本実施形態では、複数のランド211が電極112の配列方向に対してジグザグ状に配置されている。これにより、電極のピッチPに対してランド211の径Dが電極112のピッチPよりも大きい場合でも、複数のランド211を集約して配置できるので、電気配線基板120の大型化を抑制できる。
【0030】
(実施形態3)
図8は、本発明の実施形態3のインクジェット記録ヘッドの要部の構成を示す断面図である。図8では、本実施形態のインクジェット記録ヘッド30の切断線C−C(図3(a)参照)に相当する切断線に沿った断面を示す。また、図8では、実施形態1で説明したインクジェット記録ヘッド10と同様の構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0031】
図8に示すように、インクジェット記録ヘッド30の電気配線基板120において、ベースフィルム123には、表面および裏面の全面に渡って接着剤層212、213がそれぞれ形成されている。ベースフィルム123の表面に形成された接着剤層212の上面には、第1の配線部材122および第2の配線部材129が貼り付けられている。なお、この第2の配線部材129の代わりに実施形態2で説明したランド211が貼り付けられていてもよい。
【0032】
本実施形態によれば、封止剤130がベースフィルム123に形成された接着剤層212と接着するため、封止剤130がポリイミド等に直接接着する場合(封止剤130とベースフィルム123とが直接接着する場合)に比べて、接着力が向上する。よって、封止がより確実になる。
【符号の説明】
【0033】
10、10a、10b、20、30 インクジェット記録ヘッド
110 記録素子基板
111 吐出口
112 電極
120 電気配線基板
122 第1の配線部材
123 ベースフィルム
124 カバーフィルム
125 第3の配線部材
127 接着剤
129 第2の配線部材
130、131 封止剤
140 支持部材
150 端部
160 第1のスルーホール
161 第2のスルーホール
170 ワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、該支持部材に取り付けられ、液滴を吐出する吐出口と該吐出口からの液滴の吐出を制御する駆動信号を受信する電極とを備えた記録素子基板と、前記支持部材に取り付けられ、前記駆動信号を前記電極へ供給し、前記記録素子基板を露出させる開口部を備えた電気配線基板と、前記記録素子基板と前記電気配線基板との間に位置し、前記電気配線基板からの前記駆動信号を前記電極へ伝送するワイヤーと、前記電極と前記ワイヤーとの電気接続部および前記電気配線基板と前記ワイヤーとの電気接続部を封止する封止剤と、を有し、
前記電気配線基板は、前記開口部が形成されたベースフィルムと、該ベースフィルムの前記支持部材から見て裏側の面である第1の面に形成された第1の配線部材と、前記ベースフィルムの前記第1の面において前記第1の配線部材よりも前記開口部に近い位置に形成され前記ワイヤーに接続されている第2の配線部材と、前記第1の配線部材を覆い端部が前記第1の配線部材と前記第2の配線部材の間にあるカバーフィルムと、前記第1の配線部材と前記カバーフィルムとを接着させる接着剤と、前記ベースフィルムの前記第1の面と反対の第2の面に形成された第3の配線部材と、前記第1の配線部材と前記第3の配線部材とを導通させる第1のスルーホールと、前記第2の配線部材と前記第3の配線部材とを導通させる第2のスルーホールと、を有するインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
前記第2の配線部材は、前記第2のスルーホールの周縁を囲むランドである、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
前記電極は、前記開口部の周縁に沿って複数個配列され、前記ランドは、前記複数の電極に個別に対応して複数個設けられ、前記複数のランドは、前記電極の配列方向に対してジグザグ状に配置されている、請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
前記ベースフィルムの前記第1の面の全面が接着剤層に覆われ、該接着剤層と前記封止剤とが接着している、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェット記録ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−253766(P2010−253766A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105270(P2009−105270)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】