説明

インクジェット記録装置、被記録媒体の浮き検出方法、被記録媒体の浮き検出プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、画像形成対象の被記録媒体の浮きを高精度に検出する。
【解決手段】インクジェット記録装置1は、インクを用紙Pに吐出するノズルを有する記録ヘッド33a〜33dを搭載するキャリッジ32を主走査方向に往復移動させ、用紙Pを主走査方向に直交する副走査方向に搬送してキャリッジ32のノズルからのインク吐出位置へ送り込んで、主走査方向に往復移動する移動体に取り付けられ該インク吐出位置へ搬送される用紙Pの表面を、キャリッジ32に取り付けられている用紙浮き検出センサで検出して出力される浮き検出信号の変化パターンに基づいて用紙Pの少なくとも端部の浮きの有無を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置、被記録媒体の浮き検出方法、被記録媒体の浮き検出プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、画像記録対象の被記録媒体の浮きを高精度に検出するインクジェット記録装置、被記録媒体の浮き検出方法、被記録媒体の浮き検出プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データに基づいて画像を用紙に印刷出力する画像形成装置としては、高速かつ低騒音で、被記録媒体の種類に制約が少なく、カラー化も容易であること等から、インクジェット方式の画像形成装置(以下、適宜、インクジェット記録装置という。)が、広く普及してきている。
【0003】
インクジェット記録装置は、微小なインク滴を吐出する微細なノズルを搭載する記録ヘッドと用紙等の被記録媒体とを相対的に移動させながら、ノズルからインク滴を吐出して被記録媒体に画像を形成する。このノズルから吐出されたインク滴は、被記録媒体上に着弾して画像を形成する。
【0004】
ところが、インクジェット記録装置においては、記録ヘッドのノズルからインクを吐出して、搬送ベルトで搬送される被記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置においては、ノズルから吐出されたインクの被記録媒体上への着弾性能を向上させるために、ノズルと被記録媒体との距離が狭く設定されており、被記録媒体が搬送ベルトから浮き上がっている状態では、被記録媒体が記録ヘッドに衝突して、紙詰まりが発生したり、記録ヘッドに付着しているインクが被記録媒体に付着して画像品質が悪化するという問題があった。
【0005】
そこで、搬送経路上を搬送される用紙の浮き上がりを検出して、用紙が浮き上がっていると、用紙を画像記録部へ搬送する搬送経路から分離させて退避させる技術が提案されている(特許文献1参照)。すなわち、この従来技術は、用紙が浮き上がっていることによって用紙が記録ヘッドへ衝突して紙詰まりや用紙が汚れるのを未然に防止しようとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術にあっては、用紙の浮き上がりを検出して紙詰まりや用紙が汚れるのを未然に防止しようとしているが、用紙の浮き上がりをどのように検出するかが示されておらず、正確に用紙の浮き上がりを検出して、ノズルの詰まりや用紙の汚れを適切に防止する技術が要望されている。
【0007】
そこで、本発明は、被記録媒体の浮きを高精度に検出するインクジェット記録装置、被記録媒体の浮き検出方法、被記録媒体の浮き検出プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、インクを被記録媒体に吐出するノズルを有する記録ヘッドを搭載するキャリッジを主走査方向に往復移動させ、該被記録媒体を主走査方向に直交する副走査方向に搬送して、前記キャリッジの前記ノズルからのインク吐出位置へ送り込んで、主走査方向に往復移動する移動体に取り付けられ前記インク吐出位置へ搬送される被記録媒体の表面を被記録媒体検出手段で検出して出力される検出信号の変化パターンに基づいて該被記録媒体の少なくとも端部の浮きの有無を判別することを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記被記録媒体検出手段が、前記被記録媒体の浮き量に応じてプラス方向に大きくなる検出信号を出力し、該検出信号がプラスからマイナスに変化する所定の変化パターンを前記被記録媒体が浮いていることを示す浮き変化パターンとして記憶して、該被記録媒体検出手段の出力する検出信号の変化パターンを前記浮き変化パターンと比較して類似していると、該被記録媒体が浮いていると判別することを特徴としてもよい。
【0010】
さらに、本発明は、前記検出信号のプラスからマイナスへの変化量が、予め設定されている閾値変化量を超えていると、前記被記録媒体が浮き上がっていると判別することを特徴としてもよい。
【0011】
また、本発明は、前記被記録媒体検出手段が、前記被記録媒体の浮き量に応じてプラス方向に大きくなる検出信号を出力し、該被記録媒体検出手段からの検出信号を微分した微分信号がプラスからマイナスに変化する所定の変化パターンを被記録媒体が浮いていることを示す浮き変化パターンとして記憶して、該被記録媒体検出手段の出力する該検出信号を微分した微分信号の変化パターンを該浮き変化パターンと比較して類似していると、前記被記録媒体が浮いていると判別することを特徴としてもよい。
【0012】
さらに、本発明は、前記微分信号のプラスからマイナスへの変化量が、予め設定されている閾値変化量を超えていると、前記被記録媒体が浮き上がっていると判別することを特徴としてもよい。
【0013】
また、本発明は、前記被記録媒体検出手段の出力する前記検出信号のピーク値を取得し、該ピーク値が予め設定されている閾値ピーク値を超えていると、前記被記録媒体が浮き上がっていると判別することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被記録媒体の浮きを高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を適用したインクジェット記録装置の要部概略構成図。
【図2】インクジェット記録装置の要部平面図。
【図3】記録ヘッドのノズル面の一例を示す図。
【図4】キャリッジへの用紙浮き検出センサの取り付け状態の一例を示す図。
【図5】キャリッジへの用紙浮き検出センサの他の取り付け例を示す図。
【図6】インクジェット記録装置のブロック構成図。
【図7】用紙浮き検出に基づくキャリッジ動作制御系のブロック構成図。
【図8】基本画像記録処理を示すフローチャート。
【図9】用紙浮き検出処理を示すフローチャート。
【図10】用紙浮き検出センサに対する移動方向と用紙浮きの有無状態の説明図。
【図11】図10(a)、(b)に対応する用紙浮き検出センサの出力する浮き検出信号を示す図。
【図12】図10(c)、(d)に対応する用紙浮き検出センサの出力する浮き検出信号を示す図。
【図13】図10のA方向とB方向に対応するキャリッジの移動方向を示す図。
【図14】用紙が浮いている場合の例を示す図。
【図15】浮きがないときの浮き検出信号と微分信号の信号波形の一例を示す図。
【図16】浮きがあるときの浮き検出信号と微分信号の信号波形の一例を示す図。
【図17】パターン変化の閾値を考慮した用紙浮き検出処理を示すフローチャート。
【図18】浮き検出のピーク値と閾値の関係を示す図。
【図19】浮き検出信号のピーク値を考慮した用紙浮き検出処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0017】
図1〜図19は、本発明のインクジェット記録装置、被記録媒体の浮き検出方法、被記録媒体の浮き検出プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明のインクジェット記録装置、被記録媒体の浮き検出方法、被記録媒体の浮き検出プログラム及び記録媒体の一実施例を適用したインクジェット記録装置1の要部概略構成図である。
【0018】
図1において、インクジェット記録装置1は、給紙部2及び画像記録部3等を備えており、給紙部2は、所定幅を有するロール紙(被記録媒体)Pを搬送ローラ21によって画像記録部3に搬送するとともに、画像記録部3で形成される画像の長さに応じて、カッター22によってロール紙Pを裁断する。
【0019】
画像記録部3は、主走査方向(図1の紙面鉛直方向)に所定の用紙幅を越える長さに張り渡されているガイドロッド31に移動可能にキャリッジ32が取り付けられており、キャリッジ32には、図2に示すように、所定の複数の色(例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K))の記録ヘッド33a〜33dが主走査方向(図2のX方向)に並んで搭載されている。画像記録部3は、キャリッジ32の下方に、給紙部2から送給されてきて搬送されるロール紙(以下、単に用紙ともいう。)Pを支持する平板状のプラテン34が配設されており、プラテン34の下方には、空気吸引部35が配設されていて、プラテン34には、図示しないが空気穴が形成されている。画像記録部3は、空気吸引部35がプラテン34の空気孔を通して空気を吸い込むことで、給紙部2から送られてきた用紙Pを撓ませること無くプラテン34に密接させつつ副走査方向(図2のY方向)に搬送する。
【0020】
画像記録部3は、用紙Pの搬送方向下流側に、搬送ローラ36が配設されており、給紙部2の搬送ローラ21及び画像記録部3の搬送ローラ36は、紙送りモータ37によって回転駆動されて、用紙Pを搬送する。
【0021】
また、画像記録部3のキャリッジ32は、図示しない駆動機構がキャリッジモータ38によって駆動されることで、ガイドロッド31に沿って主走査方向に移動する。
【0022】
モータ制御部39は、紙送りモータ37及びキャリッジモータ38によって駆動が制御され、用紙Pの搬送及びキャリッジ32の移動が制御される。
【0023】
上記記録ヘッド33a〜33dは、その用紙P側、すなわち、プラテン34側の面に、図3に示すように、複数、図3では、20個のノズルn1〜n20が形成されており、ノズルn1〜n20は、n1、n3、・・・、n19からなるノズル列nr1とノズルn2、n4、・・・、n20からなるノズル列nr2の2列に形成されている。ノズル列nr1とノズル列nr2は、それぞれ同色、または、異色のインクを吐出することができ、各記録ヘッド33a〜33dの各ノズル列nr1、nr2からインクを用紙Pに吐出させることで、用紙Pに画像を形成する。
【0024】
そして、記録ヘッド33a〜33dには、図4(a)に示す通常のキャリッジ32に対して、図4(b)に示すように、キャリッジ(移動体)32の主走査方向Xの一方向側の面に、用紙浮き検出センサ(被記録媒体検出手段)40が取り付けられており、図4(b)の場合、用紙浮き検出センサ40は、複数の反射型フォトセンサが副走査方向Yに並んで、その検出方向が用紙P、すなわち、プラテン34の面と鉛直方向となる方向に取り付けられていて、用紙Pの浮きを検出して浮き検出信号を出力する。用紙浮き検出センサ40は、キャリッジ32の該取り付け面から取付距離Lだけ離れ、かつ、プラテン34の上面から所定のセンサ高さhの位置に取り付けられており、取付距離Lは、用紙浮き検出センサ40がキャリッジ32の移動中に用紙Pの浮きを検出した際に、モータ制御部39へのキャリッジ停止命令に応じてモータ制御部39がキャリッジモータ38の回転を停止させてキャリッジ32が速やかに停止して浮いている用紙Pとキャリッジ32の搭載する記録ヘッド33a〜33dが接触することを防止することのできる制動距離である。この制動距離は、次式(1)により求めることができる。
【0025】
制動距離=[初速度(m/s)]2÷2gμ・・・(1)
ここで、gは、重力加速度、μは、キャリッジ32とガイドレール31との摩擦係数である。
【0026】
上記(1)式からも分かるように、初速度を遅くすれば遅くするほど制動距離が小さくなるので、用紙Pの端部を検知するまでキャリッジ32の移動速度を遅くするほど、取付距離Lを短くすることができ、最終的には、取付距離Lを「0」として、用紙浮き検出センサ40を直接キャリッジ32に取り付けることもできる。
【0027】
なお、用紙浮き検出センサ40は、その取り付け方向が、上述のように、用紙Pの面と直交する方向に限るものではなく、例えば、図5(a)に示すように、キャリッジ32の主走査方向Xの前方を検知するように用紙浮き検出センサ40を斜めに傾けた状態でキャリッジ32に取り付けてもよい。この場合、用紙浮き検出センサ40のキャリッジ32への取付角度を、上記制動距離を考慮した傾きとすることで、キャリッジ32の移動中に用紙Pの浮きを検出した際に、用紙Pがキャリッジ32の搭載する記録ヘッド33a〜33dに接触することを防止することができる。また、この場合の用紙浮き検出センサ40のキャリッジ32への取付高さhは、用紙浮き検出センサ40の取付角度とは関係なく、用紙浮き検出センサ40が測定可能な距離の範囲内であって、かつ、用紙Pに確実に接触しない高さである。この場合の距離については、用紙浮き検出センサ40として、反射型フォトセンサを用いた場合、センサによっては測定距離と出力信号がリニアな関係とならない範囲もあるため、リニアな範囲の出力信号を得ることのできる距離に設定する。
【0028】
そして、用紙浮き検出センサ40は、その副走査方向の長さが、通常の用紙Pの全端部を測定することのできる長さ、または、複数のセンサ素子を並べて配設して全端部を測定することができる長さであることが望ましいが、図5(b)に示すように、用紙浮き検出センサ40としては、小型のセンサを用いて、用紙Pのコーナー(角)の浮きのみを検知するようにしてもよい。
【0029】
そして、インクジェット記録装置1は、その要部が、図6に示すように、ブロック構成されており、CPU(Central Processing Unit )50、画像処理ユニット60及び画像記録ユニット70等を備えているとともに、図示しないが、操作表示部、ネットワークI/F(インターフェイス)等を備えている。操作表示部は、インクジェット記録装置1を操作するのに必要な各種キーを備えるとともに、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)やLED(Light Emitting Diode)等のランプを備えている。操作表示部は、操作キーから、インクジェット記録装置1を利用した画像記録処理(印刷処理)に必要な各種操作や後述するように用紙浮き検出における各種設定値の設定等の各種操作が行われ、ディスプレイに、操作キーから入力された命令内容やインクジェット記録装置1からオペレータに通知する各種情報が表示される。
【0030】
CPU(浮き判別手段、判別手段)50は、図示しないROM内のプログラムに基づいてインクジェット記録装置1の各部を制御して、インクジェット記録装置1としての基本処理を実行するとともに、後述する用紙浮き検出処理及び用紙浮きに伴う画像記録制御処理を実行する。
【0031】
すなわち、インクジェット記録装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な被記録媒体に記録されている本発明の用紙浮き検出方法(被記録部材の浮き検出方法)及び画像記録制御方法を実行する用紙浮き検出プログラム(被記録部材の浮き検出プログラム)及び画像記録制御プログラムを読み込んで図示しないROMやハードディスクに導入することで、後述する用紙Pの浮きを正確に検出し、また、該用紙Pの浮き検出結果に基づいて画像記録を制御する用紙浮き検出方法及び画像記録制御方法を実行するインクジェット記録装置として構築されている。この用紙浮き検出プログラム及び画像記録制御プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記被記録媒体に格納して頒布することができる。
【0032】
画像処理ユニット60は、RAM(Random Access Memory)61、画像処理部62、画像データ変換部63、インク不吐領域検出部64、インターフェイス65、滴数計測部66及び吐出ノズル決定部67等を備えており、画像記録ユニット70は、RAM71、上記モータ制御部39、紙送りモータ37、キャリッジモータ38、インターフェイス72、記録ヘッド制御部73及び記録ヘッド部74等を備えている。
【0033】
画像処理ユニット60は、RAM61が、画像記録対象の多値の画像データを記憶し、画像処理部62が、RAM61の多値画像データを、記録ヘッド33a〜33dの各ノズルn1〜n20に対応する小値のデータ(吐出する滴の種類に等しい階調数)へと変換する。
【0034】
インターフェイス65は、CPU50及び画像記録ユニット70のインターフェイス72との間でデータ及び信号の授受を行い、画像データ変換部63は、インターフェイス65を介してCPU50から与えられた印刷モードに応じて、1回のヘッド走査(1スキャン)で出力する画像単位に画像データを変換し、RAM61に再度記録する。
【0035】
インク不吐領域検出部64は、1スキャン分の画像単位に変換された画像データ中の、副走査方向先端側及び後端側の主走査方向全領域に滴(インク滴)なしデータの格納されている範囲の検出を行い、この検出結果によって画像記録を行うのに必要なノズルn1〜n20の数を決定する。
【0036】
吐出ノズル決定部67は、1スキャン分の画像データを記録するために使用するノズル(群)n1〜n20を決定し、決定したノズルn1〜n20で記録を行うための用紙Pの搬送量(紙送り量)を、CPU50へ通知する。
【0037】
画像データ変換部63は、使用するノズルn1〜n20の副走査先頭位置に応じて、1スキャン分の変換された画像データに対して、再度、画像変換処理を行う。
【0038】
滴数計測部66は、1スキャン分に変換された画像データに基づいてインク滴を吐出する各ノズルn1〜n20のインク吐出量(滴数)を計測して、積算記録する。
【0039】
画像記録ユニット70は、インターフェイス72を介して画像処理ユニット60から画像データを受信し、RAM71上へ記憶する。
【0040】
モータ制御部39は、CPU50から通知される紙送り量に応じて、紙送りモータ37を制御し、用紙Pを副走査方向へ搬送させる。
【0041】
記録ヘッド制御部73は、RAM71上に保存された画像データを、記録ヘッド部74へ転送し、記録ヘッド部74の各記録ヘッド33a〜33dに形成されているノズルn1〜n20の駆動を制御する。
【0042】
モータ制御部39は、この画像データの記録ヘッド制御部73から記録ヘッド部74への転送と同期して、キャリッジモータ38を制御し、記録ヘッド33a〜33dを有するキャリッジ32を主走査方向Xへ移動させる。
【0043】
記録ヘッド部74は、記録ヘッド制御部73から転送されてきた画像データに応じて、各記録ヘッド33a〜33dのノズルn1〜n20から用紙P上へインク滴を吐出し、画像記録を形成する。
【0044】
そして、上記キャリッジ32に取り付けられている用紙浮き検出センサ40は、図7に示すように、I/O部80に浮き検出信号を出力し、I/O部80は、微分回路81とI/O ASIC(Application Specific Integrated Circuit)82等を備えている。
【0045】
I/O部80は、用紙浮き検出センサ40からの浮き検出信号を、微分回路81とI/O ASIC82とに分岐して入力し、これらの浮き検出信号は、いずれもA/D(アナログ/デジタル変換)ポートに入力されて、デジタル変換される。微分回路(微分手段)81は、用紙浮き検出センサ40からのデジタル変換された浮き検出信号に対して微分処理を施して、I/O ASIC82に微分信号を出力する。
【0046】
I/O ASIC82は、CPU50とローカルバスで接続されており、CPU50は、I/O ASIC82用紙浮き検出センサ40からの浮き検出信号と微分回路81の微分処理した微分浮き検出信号(以下、適宜、単に、微分信号という。)をリードして、リードした信号から用紙Pが浮いているか、浮いていないかを判断する。CPU50は、用紙Pが浮いていない場合には、印字を開始する。また、CPU50は、用紙Pが浮いていると判断した場合には、I/O ASIC80を介してモータ制御部39にキャリッジ停止信号を出力し、モータ制御部39がキャリッジモータ38の駆動を停止させて、キャリッジ32の移動を停止させる。
【0047】
次に、本実施例の作用について説明する。本しれのインクジェット記録装置1は、用紙浮き検出センサ40で正確に用紙Pの浮きを検出するとともに、該用紙Pの浮きに応じて画像記録動作を制御する。
【0048】
まず、インクジェット記録装置1による1ページ分の画像記録動作処理について、図8に基づいて説明する。
【0049】
CPU50は、印刷設定から、画像処理ユニット60に1ページ分の記録サイズを設定し(ステップS101)、同様に、印刷枚数、印刷色数、解像度等を含んだ設定群である印刷モードを設定する(ステップS102)。
【0050】
画像処理ユニット60は、印刷サイズ及び印刷モードが設定されると、画像処理部62が、印刷データを多値の画像データに画像処理を行なってRAM61に格納し、さらに、RAM61に格納されている多値画像データを、記録ヘッド33a〜33dの各ノズルn1〜n20に対応する小値のデータ(吐出する滴の種類に等しい階調数)へと変換する(ステップS103)。
【0051】
画像処理部62は、RAM61の小値の画像データを、次回1スキャンで記録する画像単位に、画像変換する前画像データ変換処理を行い(ステップS104)、インク不吐領域検出部64が、次回1スキャン分に変換された画像データのうち、副走査方向先端側と後端側の主走査方向全領域が滴なし(インク敵なし)データである領域を検出し、使用ノズル数nを決定する(ステップS105)。
【0052】
吐出ノズル決定部67は、使用ノズル数nが決定されると、次回の1スキャンでインク吐出に使用するノズルn1〜n20を選択し、選択したノズルn1〜n20に応じた紙送り量をCPU50に通知する(ステップS106)。
【0053】
画像処理ユニット60は、画像データ変換部63が、使用するノズルn1〜n20の副走査先頭位置に応じて、1スキャン分の変換された画像データに対して、再度、画像変換処理(後画像変換処理)を行い(ステップS107)、滴数計測部66が、1スキャン分に変換された画像データに基づいてインク滴を吐出する各ノズルn1〜n20のインク吐出量(滴数)を計測して、積算記録する(ステップS108)。
【0054】
画像記録ユニット70は、インターフェイス72を介して画像処理ユニット60から画像データを受信して、RAM71上へ記憶すると、モータ制御部39が、CPU50から通知される紙送り量に応じて、紙送りモータ37を制御して、用紙Pを副走査方向へ搬送させる(ステップS109)。
【0055】
画像処理ユニット60は、記録ヘッド制御部73が、RAM71上に保存された画像データを、記録ヘッド部74へ転送し、記録ヘッド部74の各記録ヘッド33a〜33dのノズルn1〜n20の駆動を制御して、モータ制御部39が、この画像データの記録ヘッド制御部73から記録ヘッド部74への転送と同期して、キャリッジモータ38を制御して、記録ヘッド33a〜33dを有するキャリッジ32を主走査方向Xへ移動させる(ステップS110)。
【0056】
1スキャン分の印刷が完了すると、画像処理ユニット60は、CPU50によって設定された記録サイズ分の印刷が終了したかチェックし(ステップS111)、記録サイズ分の印刷が終了していないときには、ステップS103に戻って、画像処理から上記同様に処理する(ステップS103〜S111)。
【0057】
インクジェット記録装置1は、ステップS111で、記録サイズ分の印刷が終了すると、画像記録動作処理を終了する。
【0058】
そして、インクジェット記録装置1は、上記画像記録動作処理において、図9に示すような用紙浮き検出処理を行なって、用紙Pの浮きの有無に応じて画像記録動作を制御する。
【0059】
すなわち、CPU50は、画像記録ユニット70によってキャリッジ32の移動を開始すると(ステップS201)、用紙浮き検出センサ40の出力する浮き検出信号を、I/O部80のI/O ASIC82でデジタル変換した浮き検出信号と、微分回路81で微分処理してデジタル変換した微分信号と、を取り込んで、微分信号に信号変化があったかチェックする(ステップS202)。
【0060】
CPU50は、微分信号に変化があると、該微分信号の変化パターン、すなわち、マイナスからプラスへの変化であるか、プラスからマイナスへの変化であるかを読み取り(ステップS203)、この変化パターンが予め不揮発性メモリ(浮き変化パターン記憶手段)等に登録されている浮き変化パターンに類似するか判断する(ステップS204)。
【0061】
ステップS204で、微分信号の変化パターンが浮き変化パターンに類似していないときには、CPU50は、用紙Pに浮きが発生していないと判断して、画像記録(印字)を開始する(ステップS205)。
【0062】
また、ステップS204で、微分信号の変化パターンが浮き変化パターンに類似しているときには、CPU50は、用紙Pが浮いていると判断し、画像記録(印字)を開始する(ステップS206)。
【0063】
すなわち、例えば、図10(a)、(b)に示すように、用紙浮き検出センサ40を固定して用紙PをA方向に移動させたときには、図10(a)に示すように、用紙Pに浮きがない場合では、用紙浮き検出センサ40からの浮き検出信号は、図11(a)に示すように、出力レベルの低い用紙未検出の状態からプラテン34の検出状態(以下、単に、プラテン検出状態という。)の信号レベルに一度下がった後に、用紙厚さに対応した信号レベルに信号値が上昇して一定し、図10(b)に示すように、用紙Pに浮きがある場合には、用紙浮き検出センサ40からの浮き検出信号は、図11(b)に示すように、出力レベルの低い用紙未検出の状態から、用紙Pの浮きに応じて一度大きく上がった後、用紙厚さに対応した信号レベルに下がって一定する。図10(a)、(b)のいずれにおいても、同じ用紙Pを用いているので、図11(a)、(b)のいずれの浮き検出信号においても、一度安定したときの信号レベルは同じ用紙Pであることから信号レベルは同じとなるが、用紙未検出状態の信号レベルから変化する際の波形の傾きや最終的に到達するピーク値は、用紙Pが浮いている場合と浮いていない場合とで大きく異なる。
【0064】
また、用紙Pが、例えば、図10(c)、(d)に示すように、B方向に移動して、図10(c)に示すように、用紙Pに浮きがない場合には、用紙浮き検出センサ40からの浮き検出信号は、図12(a)に示すように、信号値が、用紙厚さに対応した所定高さの信号レベルで一定している状態から一度下がった後に、出力レベルの低い用紙未検出状態の信号レベルに下がって一定し、図10(d)に示すように、用紙Pに浮きがある場合には、用紙浮き検出センサ40からの浮き検出信号は、図12(b)に示すように、信号値が、用紙厚さに対応した所定高さの信号レベルで一定している状態から用紙Pの浮きに応じて一度大きく上がった後に、出力レベルの低い用紙未検出状態の信号レベルに下がって一定する。この場合においても、図10(c)、(d)のいずれにおいても、同じ用紙Pを用いているので、図12(a)、(b)のいずれの浮き検出信号においても、一度安定したときの信号レベルは同じ用紙Pであることから信号レベルは同じとなるが、用紙未検出の信号レベルから変化する際の波形の傾きや最終的に到達するピーク値は、用紙Pが浮いている場合と浮いていない場合とで大きく異なる。
【0065】
そして、上記図10の(a)、(b)の用紙PをA方向に移動させた場合と図10(c)、(d)の用紙PをB方向に移動させた場合におけるインクジェット記録装置1のキャリッジ32の動きは、図13(a)と図13(b)に対応する。
【0066】
また、用紙Pが浮いている場合としては、例えば、図14(a)に示すように、用紙Pのコーナー(角)のみが浮いている場合、図14(b)に示すように、用紙Pの主走査方向の端部が副走査方向全体にわたって浮いている場合等がある。
【0067】
すなわち、用紙浮き検出センサ40の浮き検出信号と該浮き検出信号を微分回路81で微分した微分信号の信号波形は、用紙Pの主走査方向において用紙Pを検出する前から検出を終わった後までの間において、用紙Pに浮きがないときには、図15(a)及び図15(b)のように示され、用紙Pに浮きがあるときには、図16(a)及び図16(b)のように示される。
【0068】
すなわち、用紙Pに浮きがないときには、図15に示すように、浮き検出信号は、用紙未検出状態から一旦プラテン検出時の状態に信号レベルが下がった後、用紙Pの厚さ(用紙厚さ)に対応した信号レベルに上がって、用紙幅だけ一定値が継続すると、プラテン検出値の信号レベルまで下がった後、用紙未検出状態の信号レベルになる。このとき、微分回路81が浮き検出信号を微分した微分信号は、浮き検出信号が用紙未検出状態の信号レベルからプラテン検出時の信号レベルまで低下するため、マイナスの所定レベルの信号値となり、その後、浮き検出信号がプラテン検出状態の信号レベルから用紙厚さ検出状態の信号レベルまで上昇するため、プラスの所定レベルの信号値に切り替わる。その後、微分信号は、平坦な用紙幅分だけ変化のない状態を継続した後、浮き検出信号が用紙厚さの信号レベルからプラテン検出時の信号レベルまで低下するため、マイナスの所定レベルの信号値に切り替わり、その後、浮き検出信号がプラテン検出時の信号レベルから用紙未検出状態の信号レベルまで上昇するため、プラスの所定レベルの信号値に切り替わる。すなわち、微分信号は、用紙Pに浮きがないときには、図15に示すように、用紙Pの端部部分で、マイナスからプラスへ変化する変化パターンを有している。
【0069】
また、用紙Pの主走査方向両端部において浮きがあるときには、図16に示すように、浮き検出信号は、用紙未検出状態の信号レベルから用紙Pの浮き量に応じた用紙浮き量レベルまで信号レベルが上がった後、用紙Pの厚さ(用紙厚さ)に対応した信号レベルに下がって、平坦な用紙幅分だけ一定値が継続すると、用紙Pの浮き量に応じた用紙浮き量レベルまで信号レベルが上がった後、用紙未検出状態の信号レベルまで低下する。このとき、微分信号は、浮き検出信号が用紙未検出状態レベルから用紙浮き量レベルまで上昇するため、プラスの所定レベルの信号値となり、その後、浮き検出信号が用紙浮き量レベルから用紙厚さの信号レベルまで低下するため、マイナスの所定レベルの信号値に切り替わる。その後、微分信号は、平坦な用紙幅分だけ一定値が継続した後、浮き検出信号が用紙厚さの信号レベルから用紙浮き量レベルまで上昇するため、プラスの所定レベルの信号値に切り替わり、その後、浮き検出信号が用紙浮き量レベルから用紙未検出状態レベルまで低下するため、マイナスの所定レベルの信号値に切り替わる。すなわち、微分信号は、用紙Pの端部で浮きがあるときには、図16に示すように、用紙Pの端部で、プラスからマイナスへと変化する変化パターンを有している。
【0070】
そして、インクジェット記録装置1は、上記微分信号の変化パターンを予めROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリに、用紙Pの浮きあり、浮きなしの状態情報に対応させて登録して、用紙Pの浮き有無の判定に用いる。なお、本実施例のインクジェット記録装置1では、浮きありの場合の変化パターン(微分信号がプラスからマイナスに変化するパターン)のみが不揮発性メモリに登録されている。
【0071】
CPU50は、上記図9の用紙浮き検出処理において、この微分信号の変化パターンを読み取って(ステップS203)、予め不揮発性メモリに登録されている用紙浮きありの変化パターンと類似しているか判断している(ステップS204)。
【0072】
したがって、用紙Pに浮きが発生しているか否かを簡単かつ適切に検出することができる。
【0073】
また、この微分信号の変化パターンは、その変化パターンに基づいてキャリッジ32の駆動を停止させて画像記録を停止させるか否かの判定においては、用紙P自体の凹凸、ノイズ、用紙浮き検出センサ40の検出誤差及び用紙Pの浮き量が画像記録に支障が発生する程度の浮き量であるか等を考慮して浮きの有無判断を行なってもよい。
【0074】
そこで、インクジェット記録装置1は、図17に示すように、予め用紙Pの浮きの有無を判定する微分信号の変化量を閾値変化量として不揮発性メモリに登録し、検出した微分信号の変化パターンが浮きありのときの変化パターンであって、かつ、変化パターンの変化量が、閾値変化量以上であるときに、用紙Pに浮きが発生していると判断してもよい。なお、図17において、図9と同様の処理ステップには、同一のステップナンバーを付与して、その説明を簡略化する。
【0075】
すなわち、図17に示すように、CPU50は、画像記録ユニット70によってキャリッジ32の移動を開始すると(ステップS201)、用紙浮き検出センサ40の出力する浮き検出信号を、I/O部80のI/O ASIC82でデジタル変換した浮き検出信号と、微分回路81で微分処理してデジタル変換した微分信号と、を取り込んで、微分信号に信号変化があったかチェックする(ステップS202)。
【0076】
CPU50は、微分信号に変化があると、該微分信号の変化パターンを読み取り(ステップS203)、変化パターンが予め不揮発性メモリ等に登録されている浮き変化パターンに類似するか判断する(ステップS204)。
【0077】
ステップS204で、微分信号の変化パターンが浮き変化パターンに類似していないときには、CPU50は、用紙Pに浮きが発生していないと判断して、画像記録(印字)を開始する(ステップS205)。
【0078】
また、ステップS204で、微分信号の変化パターンが浮き変化パターンに類似しているときには、CPU50は、不揮発性メモリの閾値変化量を読み出して、該変化パターンの変化量が該閾値変化量以上であるかチェックし(ステップS301)、変化パターンの変化量が該閾値変化量未満であると、用紙Pに浮きが発生していないか、発生していても支障のない範囲であると判断して、画像記録(印字)を開始する(ステップS205)。
【0079】
ステップS301で、変化パターンの変化量が閾値変化量以上であると、CPU50は、用紙Pが支障のある程度に浮いていると判断し、画像記録(印字)を開始する(ステップS206)。
【0080】
したがって、用紙P自体の凹凸、ノイズ、用紙浮き検出センサ40の検出誤差及び用紙Pの浮き量が画像記録に支障が発生する程度の浮き量であるか等を考慮して浮きの有無判断することができ、用紙Pの浮きをより一層高精度にかつ適切に検出することができる。
【0081】
また、用紙浮き検出センサ40の出力する浮き検出信号は、キャリッジ32の駆動を停止させて画像記録を停止させるか否かの判定においては、浮き検出信号自体のピーク値に基づいて、用紙P自体の凹凸、ノイズ、用紙浮き検出センサ40の検出誤差及び用紙Pの浮き量が画像記録に支障が発生する程度の浮き量であるか等を考慮して浮きの有無判断を行なってもよい。
【0082】
そこで、インクジェット記録装置1は、図18に示すように、用紙P自体の凹凸、ノイズ、用紙浮き検出センサ40の検出誤差及び用紙Pの浮き量が画像記録に支障が発生する程度と判定する必要のある浮き量であるか等を考慮した許容ピーク閾値が設定されて不揮発性メモリに格納されており、CPU50は、図19に示すように、用紙浮き検出センサ40の出力する浮き検出信号のピーク値を許容ピーク閾値と比較して、用紙Pが浮いていて画像記録に支障があるか否か判断する。なお、図19において、図9と同様の処理ステップには、同一のステップナンバーを付与して、その説明を簡略化する。
【0083】
すなわち、図19に示すように、CPU50は、画像記録ユニット70によってキャリッジ32の移動を開始すると(ステップS201)、用紙浮き検出センサ40の出力する浮き検出信号を、I/O部80のI/O ASIC82でデジタル変換した浮き検出信号と、微分回路81で微分処理してデジタル変換した微分信号と、を取り込んで、微分信号に信号変化があったかチェックする(ステップS202)。
【0084】
CPU50は、微分信号に変化があると、該微分信号の変化パターンを読み取り(ステップS203)、変化パターンが予め不揮発性メモリ等に登録されている浮き変化パターンに類似するか判断する(ステップS204)。
【0085】
ステップS204で、微分信号の変化パターンが浮き変化パターンに類似していないときには、CPU50は、用紙Pに浮きが発生していないと判断して、画像記録(印字)を開始する(ステップS205)。
【0086】
また、ステップS204で、微分信号の変化パターンが浮き変化パターンに類似しているときには、CPU50は、不揮発性メモリの許容ピーク閾値を読み出して、微分していない用紙浮き検出センサ40の出力する浮き検出信号のピーク値が該許容ピーク閾値以上であるかチェックし(ステップS401)、浮き検出信号のピーク値が該許容ピーク閾値未満であると、用紙Pに浮きが発生していないか、発生していても支障のない範囲であると判断して、画像記録(印字)を開始する(ステップS205)。
【0087】
ステップS401で、浮き検出信号のピーク値が許容ピーク閾値以上であると、CPU50は、用紙Pが支障のある程度に浮いていると判断し、画像記録(印字)を開始する(ステップS206)。
【0088】
なお、上記説明では、浮き検出信号のピーク値を許容ピーク閾値と比較して、用紙Pの浮きの有無を判断しているが、微分信号のプラスのピーク値を所定の許容ピーク閾値と比較して、用紙Pの浮きの有無を判断してもよい。
【0089】
したがって、用紙P自体の凹凸、ノイズ、用紙浮き検出センサ40の検出誤差及び用紙Pの浮き量が画像記録に支障が発生する程度の浮き量であるか等を考慮して浮きの有無判断することができ、用紙Pの浮きをより一層高精度にかつ適切に検出することができる。
【0090】
なお、上記図9、図17の説明においては、用紙浮き検出センサ40からの検出信号を微分回路81で微分した微分信号の変化パターンや微分信号の変化量に基づいて、用紙Pの浮きの有無を判別しているが、用紙浮き検出センサ40の出力する浮き検出信号自体の変化パターンや浮き検出信号の変化量に基づいて、用紙Pの浮きの有無を判別してもよい。
【0091】
このように、本実施例のインクジェット記録装置1は、インクを用紙(被記録媒体)Pに吐出するノズルn1〜n20を有する記録ヘッド33a〜33dを搭載するキャリッジ32を主走査方向に往復移動させ、用紙Pを主走査方向に直交する副走査方向に搬送してキャリッジ32のノズルn1〜n20からのインク吐出位置へ送り込んで、主走査方向に往復移動する移動体に取り付けられ該インク吐出位置へ搬送される用紙Pの表面を用紙浮き検出センサ40で検出して出力される浮き検出信号の変化パターンに基づいて用紙Pの少なくとも端部の浮きの有無を判別している。
【0092】
したがって、被記録媒体である用紙Pの浮きを高精度に検出することができ、この用紙Pの浮きの検出結果に基づいてキャリッジ32の駆動を制御して、画像記録を制御することで、ノズルn1〜n20の詰まりや用紙の汚れを適切に防止することができる。
【0093】
また、本実施例のインクジェット記録装置1は、用紙浮き検出センサ40が、用紙Pの浮き量に応じてプラス方向に大きくなる検出信号を出力し、CPU50が、該検出信号がプラスからマイナスに変化する所定の変化パターンを用紙Pが浮いていることを示す浮き変化パターンとして不揮発性メモリに記憶して、用紙浮き検出センサ40の出力する浮き検出信号の変化パターンを浮き変化パターンと比較して類似していると、用紙Pが浮いていると判別している。
【0094】
したがって、用紙Pの浮きを、用紙浮き検出センサ40の検出信号の変化パターンに基づいて正確に検出することができ、簡単な構成で正確に用紙Pの浮きを検出することができる。
【0095】
さらに、本実施例のインクジェット記録装置1は、CPU50が、用紙浮き検出センサ40の出力する検出信号のプラスからマイナスへの変化量が、予め設定されている閾値変化量を超えていると、用紙Pが浮き上がっていると判別している。
【0096】
したがって、用紙P自体の凹凸、ノイズ、用紙浮き検出センサ40の検出誤差及び用紙Pの浮き量が画像記録に支障が発生する程度の浮き量であるか等を考慮して浮きの有無判断することができ、用紙Pの浮きをより一層高精度にかつ適切に検出することができる。
【0097】
また、本実施例のインクジェット記録装置1は、用紙浮き検出センサ40が、用紙Pの浮き量に応じてプラス方向に大きくなる検出信号を出力し、該用紙浮き検出センサ40からの浮き検出信号を微分回路81で微分した微分信号がプラスからマイナスに変化する所定の変化パターンを用紙Pが浮いていることを示す浮き変化パターンとして不揮発性メモリに記憶して、用紙浮き検出センサ40の出力する浮き検出信号を微分回路81で微分した微分信号の変化パターンを不揮発性メモリの該浮き変化パターンと比較して類似していると、用紙Pが浮いていると判別している。
【0098】
したがって、用紙Pの浮きを、用紙浮き検出センサ40の検出信号を微分した微分信号の変化パターンに基づいて正確に検出することができ、簡単な構成で正確に用紙Pの浮きを検出することができる。
【0099】
さらに、本実施例のインクジェット記録装置1は、用紙浮き検出センサ40の検出信号を微分した微分信号のプラスからマイナスへの変化量が、予め設定されている閾値変化量を超えていると、用紙Pが浮き上がっていると判別している。
【0100】
したがって、用紙P自体の凹凸、ノイズ、用紙浮き検出センサ40の検出誤差及び用紙Pの浮き量が画像記録に支障が発生する程度の浮き量であるか等を考慮して浮きの有無判断することができ、用紙Pの浮きをより一層高精度にかつ適切に検出することができる。
【0101】
また、本実施例のインクジェット記録装置1は、用紙浮き検出センサ40の出力する浮き検出信号のピーク値を取得し、該ピーク値が予め設定されている閾値ピーク値を超えていると、用紙Pが浮き上がっていると判別している。
【0102】
したがって、用紙P自体の凹凸、ノイズ、用紙浮き検出センサ40の検出誤差及び用紙Pの浮き量が画像記録に支障が発生する程度の浮き量であるか等を考慮して浮きの有無判断することができ、用紙Pの浮きをより一層高精度にかつ適切に検出することができる。
【0103】
なお、上記説明においては、用紙Pの主走査方向端部に浮きがある場合を例に説明しているが、用紙Pの浮きが主走査方向端部以外の場所にある場合にも、同様に適用することができる。
【0104】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、用紙Pの浮きを検出して適切に画像記録するインクジェット記録装置、被記録媒体の浮き検出方法、被記録媒体の浮き検出プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 インクジェット記録装置
2 給紙部
3 画像記録部
P ロール紙(用紙)
21 搬送ローラ
22 カッター
31 ガイドロッド
32 キャリッジ
33a〜33d 記録ヘッド
34 プラテン
35 空気吸引部
36 搬送ローラ
37 紙送りモータ
38 キャリッジモータ
39 モータ制御部
n1〜n20 ノズル
nr1、nr2 ノズル列
40 用紙浮き検出センサ
50 CPU
60 画像処理ユニット
61 RAM
62 画像処理部
63 画像データ変換部
64 インク不吐領域検出部
65 インターフェイス
66 滴数計測部
67 吐出ノズル決定部
70 画像記録ユニット
71 RAM
72 インターフェイス
73 記録ヘッド制御部
74 記録ヘッド部
80 I/O部
81 微分回路
82 I/O ASIC
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2010‐131859号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを被記録媒体に吐出するノズルを有する記録ヘッドを搭載するキャリッジと、
前記キャリッジを主走査方向に往復移動させる移動手段と、
前記被記録媒体を前記主走査方向に直交する副走査方向に搬送して、前記キャリッジの前記ノズルからのインク吐出位置へ送り込む被記録媒体搬送手段と、
主走査方向に往復移動する移動体に取り付けられ、前記インク吐出位置へ搬送される前記被記録媒体の表面を検出して検出信号を出力する被記録媒体検出手段と、
前記被記録媒体検出手段の出力する前記検出信号の変化パターンに基づいて前記被記録媒体の少なくとも端部の浮きの有無を判別する浮き判別手段と、
を備えていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記被記録媒体検出手段は、
前記被記録媒体の浮き量に応じてプラス方向に大きくなる検出信号を出力し、
前記浮き判別手段は、
前記検出信号がプラスからマイナスに変化する所定の変化パターンを前記被記録媒体が浮いていることを示す浮き変化パターンとして記憶する浮き変化パターン記憶手段と、
前記被記録媒体検出手段の出力する前記検出信号の変化パターンを前記浮き変化パターンと比較して類似していると、前記被記録媒体が浮いていると判別する判別手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記判別手段は、
前記検出信号のプラスからマイナスへの変化量が、予め設定されている閾値変化量を超えていると、前記被記録媒体が浮き上がっていると判別することを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記被記録媒体検出手段は、
前記被記録媒体の浮き量に応じてプラス方向に大きくなる検出信号を出力し、
前記浮き判別手段は、
前記被記録媒体検出手段からの前記検出信号を微分して微分信号を出力する微分手段と、
前記微分信号がプラスからマイナスに変化する所定の変化パターンを前記被記録媒体が浮いていることを示す浮き変化パターンとして記憶する浮き変化パターン記憶手段と、
前記被記録媒体検出手段の出力する前記検出信号を前記微分手段で微分した微分信号の変化パターンを前記浮き変化パターンと比較して類似していると、前記被記録媒体が浮いていると判別する判別手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記判別手段は、
前記微分信号のプラスからマイナスへの変化量が、予め設定されている閾値変化量を超えていると、前記被記録媒体が浮き上がっていると判別することを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記浮き判別手段は、
前記被記録媒体検出手段の出力する前記検出信号のピーク値を取得し、該ピーク値が予め設定されている閾値ピーク値を超えていると、前記被記録媒体が浮き上がっていると判別することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記被記録媒体検出手段は、
前記移動体が前記キャリッジであり、該キャリッジの移動方向前方の被記録媒体の表面を検出する状態で該キャリッジに取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記被記録媒体検出手段は、
反射型フォトセンサであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
インクを被記録媒体に吐出するノズルを有する記録ヘッドを搭載するキャリッジを主走査方向に往復移動させる移動処理ステップと、
前記被記録媒体を前記主走査方向に直交する副走査方向に搬送して、前記キャリッジの前記ノズルからのインク吐出位置へ送り込む被記録媒体搬送処理ステップと、
主走査方向に往復移動する移動体に取り付けられ、前記インク吐出位置へ搬送される前記被記録媒体の表面を検出して検出信号を出力する被記録媒体検出処理ステップと、
前記被記録媒体検出処理ステップで出力される前記検出信号の変化パターンに基づいて前記被記録媒体の少なくとも端部の浮きの有無を判別する浮き判別処理ステップと、
を有していることを特徴とする被記録媒体の浮き検出方法。
【請求項10】
コンピュータに、
インクを被記録媒体に吐出するノズルを有する記録ヘッドを搭載するキャリッジを主走査方向に往復移動させる移動処理と、
前記被記録媒体を前記主走査方向に直交する副走査方向に搬送して、前記キャリッジの前記ノズルからのインク吐出位置へ送り込む被記録媒体搬送処理と、
主走査方向に往復移動する移動体に取り付けられ、前記インク吐出位置へ搬送される前記被記録媒体の表面を検出して検出信号を出力する被記録媒体検出処理と、
前記被記録媒体検出処理で出力される前記検出信号の変化パターンに基づいて前記被記録媒体の少なくとも端部の浮きの有無を判別する浮き判別処理と、
を実行させることを特徴とする被記録媒体の浮き検出プログラム。
【請求項11】
請求項10記載の被記録部材の浮き検出プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−192673(P2012−192673A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59131(P2011−59131)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】