説明

インクジェット記録装置

【課題】カートリッジを用いてインクを交換するインクジェット記録装置において、純正インクに非純正インクが混入された場合でも正常に印刷可能なインクジェット記録装置の提供。
【解決手段】インクカートリッジの交換が行われる際に、インクカートリッジに搭載された電子情報記憶チップから、記録された電子情報をID読み取り部で読み取ることにより、前回装着されたインクカートリッジが今回装着されたインクカートリッジと異なる種類かを判別する。もし、今回装着されたインクカートリッジが前回装着されたインクカートリッジと異なる種類であると判別された場合、インクカートリッジからノズルまでのインク経路のインクを抜き取るためのカートリッジ交換強力パージを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データに基づき、インクカートリッジ等のインク供給源から供給されたインクを噴射して用紙に印字するインクジェット記録装置は、インクカートリッジをインクカートリッジ装着部に装着してインクの供給が行われる。その際の基本的な使用方法としては、予め定められた純正インクを充填したインクカートリッジが使用される。
【0003】
そこで、例えば特許文献1においては、純正インク以外の不純インクが装置に装着された場合には、インクの目詰まりや故障を防止する観点から、印字を禁止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−156118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、今日、純正品以外(非純正品)のインクカートリッジも広く出回っており、上記特許文献1に記載の技術では、非純正品のインクカートリッジが使用された装置は印刷動作そのものが禁止されてしまう。したがって、ユーザにとっては、印刷を命じた際に、印刷の実行が出来ないこととなる。こうした事態はユーザにインクジェット記録装置への不満をもたせる結果につながるおそれがある。
【0005】
また、純正インクのカートリッジが非純正のインクカートリッジに交換された場合には、純正インクと非純正インクの混在が発生する。その際、インクが凝結または凝固する場合があり、その際はノズル詰りなどが発生するおそれがある。
【0006】
これは、純正インク、非純正インクに限らず、種類の異なるインクカートリッジを利用した場合にも同様のインクの凝結、凝固が発生するおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、今回装着したインクカートリッジが前回装着したインクカートリッジと種類が異なる場合において、ユーザが期待する印刷作業を実行可能にするとともに、インクの凝固等を防止し得るインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の請求項1のインクジェット記録装置は、印刷用のインクを貯蔵するインクカートリッジが交換可能に装着されるインクカートリッジ装着部と、前記インクを印字媒体に向けて噴射する印字ヘッドと、前記インクカートリッジ装着部から前記印字ヘッドへ前記インクを導くインク通路とを備えたインクジェット記録装置において、前記インクカートリッジが前記インクカートリッジ装着部において装着された際に、その装着されたインクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっているか否かを判別する判別手段と、その判別手段によって、装着されたインクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっていると判別された場合は、前記インクカートリッジ装着部から前記印字ヘッドに到る少なくとも前記インク通路内のインクをそのインク通路外へ排出するインク排出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1のインクジェット記録装置によれば、装着されたインクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっているか否かを判別し、異なる種類のインクカートリッジに交換された場合に少なくとも、インク通路内とインクカートリッジの一部または全部のインクをそのインク通路外へ排出しつつ、交換後のインクへと入れ替えることができる。したがって、インク通路内において、凝結、凝固を引き起こすおそれのある特性の異なるインクは、インク通路外に排出されるため、インクの混入により発生する、凝結、凝固を低減することが出来る。
【0010】
請求項2のインクジェット記録装置における前記インク排出手段は、前記印字ヘッドから前記インクを吸引する吸引部であり、前記吸引部によって吸引された前記インクは、交換可能な吸収体によって回収されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2のインクジェット記録装置によれば、吸収体を交換することにより、インクを吸引する際に多量のインクが吸収される場合にも対応することができる。
【0012】
請求項3のインクジェット記録装置における前記インク排出手段は、前記インクカートリッジ装着部から前記印字ヘッドに到る少なくとも前記インク通路内のインクと、前記インクカートリッジ装着部に装着されている前記インクカートリッジ内の一部もしくは全部のインクと、を排出するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3のインクジェット記録装置によれば、インク通路内のインクだけでなく、カートリッジ内のインクも一定量排出することとなる。よって、インクカートリッジ内における、インクの混入により発生する、凝結、凝固を更に低減することが出来る。
【0014】
請求項4のインクジェット記録装置における前記判別手段は、前記インクカートリッジに付着された電子情報記憶チップに記憶された電子情報を読み取ることによって、そのインクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっているか否かを判別するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4のインクジェット記録装置によれば、印刷機器は今回装着されたインクカートリッジが、前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっているかどうかの判別を確実に行うことができる。
【0016】
請求項5のインクジェット記録装置は、前記判別手段によって交換された前記インクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっていると判別された場合は、種類の異なるインクカートリッジの利用履歴を前記インクジェット記録装置本体に設けられた記憶部に記憶するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5のインクジェット記録装置によれば、本発明におけるインクジェット印刷装置が、インクの凝結、凝固によって故障した場合、その故障が特性の違うインクの利用によって発生したものかどうかを判断する指針の一つとしてインクカートリッジの利用履歴を用いることができる。
【0018】
請求項6のインクジェット記録装置は、前記判別手段によって交換された前記インクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっていると判別された場合は、現在装着されている、又は交換前に装着されていたインクカートリッジの種類が異なっている旨の警告を出力する警告出力手段を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項7のインクジェット記録装置における前記警告出力手段は、前記インクジェット記録装置に設けられた本体表示部に警告メッセージを表示することで警告出力するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項6、請求項7のインクジェット記録装置によれば、警告が出力されることにより、ユーザは、カートリッジを交換する必要性を判断することができる。
【0021】
請求項8のインクジェット記録装置は、パソコン等の電子端末に接続する接続手段を備え、前記警告出力手段は、前記接続手段によって接続されている端末の画面に警告メッセージを表示することで警告出力するものであることを特徴とする。
【0022】
請求項8のインクジェット記録装置によれば、ユーザは、接続された端末からも警告メッセージを確認することができるため、本体の近くにいなくても種類の異なるカートリッジを交換する必要性を判断することができる。
【0023】
請求項9のインクジェット記録装置は、インターネット等の通信ネットワークに接続する接続手段を備え、前記判別手段によって交換された前記インクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっていると判別された場合は、種類の異なるインクカートリッジの利用履歴を電子情報として、前記通信ネットワークを介して所定の端末へ送信されるように構成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項9のインクジェット記録装置によれば、メーカーは、保証規定外のインクカートリッジの利用履歴を用いることができる。
【0025】
請求項10のインクジェット記録装置は、前記判別手段は、装着されたインクカートリッジが純正品か非純正品かを判別することにより、装着されたインクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっているか否かを判別することを特徴とする。
【0026】
請求項10のインクジェット記録装置によれば、ユーザは、純正品から非純正品、非純正品から純正品に切り替えたときに適正な対応を取ることができるので、特性が違うインクの混合による凝結、凝固を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置1の外観斜視図である。インクカートリッジ11(図7参照)はインクカートリッジ装着部2に装着される。図1では装着部に蓋がされており、実際は蓋を開けて内部に装着することになる。カートリッジ交換等の様々な操作は操作パネル4を通じて行われ、印刷表示に関する様々なメッセージが本体表示部5に表示される。また、A−A断面について右方から見た断面図を図5、B−B断面について上方から見た断面図を図6に示す。
【0028】
図2は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置1の回路を示すブロック図である。制御部100は、処理を司るCPU101、動作処理を行うプログラムが収められているROM102、プログラムやデータを展開するRAM103、不揮発性のメモリであるEEPROM104を含み、印刷機器全体を制御する。制御部100から送信される命令はバス107を介して、ASIC130によって印字ヘッド8を制御するヘッド制御基板33、モータ類を駆動させる駆動回路81、82、スキャナ部86、インクジェット記録装置1を操作する操作パネル4、ローラ類の回転角度測定に使われるロータリエンコーダ83、キャリッジ38の移動を正確に行うリニアエンコーダ84、インクカートリッジに搭載されたICチップのIDを読み取るID読み取り部85等の各回路、基板に適した方式に変換、伝達される。駆動回路81、82を経由した信号はキャリッジ38を駆動するCRモータ79、給紙ローラ類を駆動させるLFモータ80を経由して、キャリッジ38、パージ機構部10等へ伝達され、各部を動作させる。ヘッド制御基板33、駆動回路81、82、スキャナ部86、操作パネル4、ロータリエンコーダ83、リニアエンコーダ84、ID読み取り部85等の各回路、基板からの信号はASIC130によって、バス107に適したタイミングの信号に変換され、制御部100へと伝達される。
【0029】
図5は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置1を図1のA−A断面について右方から見た断面図である。印刷用紙は、給紙カセット3から給紙され、印刷される。
【0030】
図6は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置1を図1のB−B断面について上方から見た断面図である。この場合、インクはインクカートリッジからインクチューブ9を経由し、印字ヘッド8へ到達し、印字ヘッド8から噴射され、印刷される。また、印字ヘッドはキャリッジによってコントロールされ、インクカートリッジ交換を検知したときにパージ機構部10へ移動し、後に説明するパージを行う。
【0031】
図7はインクカートリッジ11から印字ヘッド8までのインク通路を示す一例である。印刷時にインク14はインクカートリッジ11からインクチューブ9を経由して印字ヘッド8に到達し、ピエゾ素子12によってコントロールされ、ノズル13から噴射される。噴射されたインク14が、印刷媒体15(紙など)に吹き付けられることで印刷される。
【0032】
以下でインクジェット記録装置1におけるパージについて説明する。
【0033】
ノズル13の口部付近のインクは空気に直接接触した状態となるため、インクの溶媒が揮発し、染料、顔料がノズル13の口に堆積し、ノズル詰まりの原因となることがある。これを防止するためにはパージという作業を定期的に行う必要がある。
【0034】
パージを行うパージ機構部10は印字ヘッド8からインクを吸引する吸引部と吸引されたインクを回収する吸収体から構成される。吸引部はノズルからインクを吸引する。吸引されたインクは、吸収体によって回収される。これによって、印字ヘッド8やインクチューブ9を含むインク通路内に負圧が生じ、新しい状態のインクがインクカートリッジ11から供給されることになる。吸収体は交換可能であり、現状ではフェルトが良く用いられている。また、セルロースを用いた例も提案されている。パージはインクカートリッジ交換時にも行われる。
【0035】
以下で、本発明におけるインクカートリッジ交換後の処理を説明する。処理の流れは図3のフローチャートにより示される。
【0036】
手順S100で、前記インクジェット記録装置1がインクカートリッジ交換作業の開始を認識(インクカートリッジ装着部2の蓋が開いたことを検知する、インクカートリッジが取り外されたことを認識する等)すると、前記インクジェット記録装置1は、手順S200に移り、インクの残量をリセットする。インクの残量がリセットされると、インクジェット記録装置1は、手順S300に移る。
【0037】
手順S300では、制御部100が、インクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっているかどうかの判別を行うために、ID読み取り部85にインクカートリッジのIDを読み取るための命令を出す。制御部からID読み取りの命令を受けたID読み取り部85はインクカートリッジに搭載された電子情報記憶チップ87から、その電子情報記憶チップ87に記憶されたID等の電子情報を読み取る。ID読み取り部85が電子情報の読み取りを完了したら、前記インクジェット記録装置1は、手順S400に移る。
【0038】
手順S400ではインクカートリッジから取得した電子情報がメーカー固有の電子情報(ID等)であるかどうかを判別する。取得した電子情報が、製造メーカーが登録した前記記録置機種固有の電子情報と一致した場合、前回装着されていたインクカートリッジの種類と同じであると判別され、手順S600のカートリッジ交換パージ処理へ移る。
【0039】
手順S600では、前述したパージを行い、交換作業を終了する。
【0040】
もし、手順S400において、電子情報が読み込めない場合、電子情報は読み込めたが、他メーカーの記録装置、もしくは同メーカーの他機種用インクカートリッジであると認識された場合は、前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっていると判別され、手順S410に移る。
【0041】
手順S410について述べる前に、本発明に係るカートリッジ交換強力パージについて以下で説明する。
【0042】
カートリッジ交換時にインク通路内に残ったインクはカートリッジのインク供給部に接触する。接触したインクはお互いに拡散を始める。この拡散により、インク特性の異なるインクカートリッジに交換した場合、交換後のインクカートリッジ内に特性の違うインクが混在することになるため、インクカートリッジ内でインクが凝結、凝固するおそれがある。よって、インク通路内のインクを排出する必要がある。そこで、今回装着されたインクカートリッジが前回装着されていたインクカートリッジと異なる種類であると判別された場合、カートリッジ交換強力パージを行う。カートリッジ交換強力パージとは異なる種類のインクの混在によるインクの凝結、凝固を防止するためにインク通路内に残っているインクを交換後のインクへと完全に入れ替える作業である。
【0043】
カートリッジ交換強力パージでは、通常のパージと比べ、多くのインクを排出することとなる。具体的なインクの量は、前記インク通路内の容量の1〜5倍または、インク通路内の容量+0〜10mlとなる。
【0044】
インク通路の容量は約2ml、インクカートリッジの容量は約9mlであるので、カートリッジ交換強力パージに大量のインクが必要となる場合、複数のインクカートリッジが必要となる可能性がある。
【0045】
カートリッジ交換強力パージを行う際に、手順S410において、カートリッジ交換強力パージに関する警告メッセージ(インクを大量に消費するおそれがある旨等)を表示する。ユーザは警告メッセージを確認後、カートリッジ交換強力パージを行うことに同意するならば、同意の意思表示(操作パネル上のOKまたはそれに該当するボタンを押す、前記インクジェット記録装置1に接続される端末に表示されるメッセージにOKまたはそれに該当するボタンを設け、それをクリックする、等)を手順S420において行う。警告を表示することにより、ユーザは、インクカートリッジ交換後にカートリッジ交換強力パージを行っているかどうかを知ることができる。警告メッセージの1例を図8に示す。
【0046】
また、カートリッジ交換強力パージを行う際に、複数のインクカートリッジが必要な場合は、警告メッセージを表示する際に必要なインクカートリッジの数を表示してもよい。また、カートリッジ交換強力パージ中にインクを使い切ってしまった場合、一度カートリッジ交換強力パージを終えて、カートリッジ交換作業に入るように構成してもよいし、カートリッジ交換強力パージを終了させず、カートリッジを交換した後にそのままカートリッジ交換強力パージを続けられるよう構成してもよい。これによって、ユーザは必要なカートリッジの数が把握できるため、パージ途中でインクカートリッジを切らしてしまうことを防ぐことができる。
【0047】
同意の意思がOKのボタンの押下等によって確認されたら、異なる種類のインクカートリッジを使用した履歴を手順S510においてEEPROM104(記憶部)に記憶する。履歴を記憶した後、前記インクジェット記録装置1は手順S520に移り、カートリッジ交換強力パージを行う。以上で図3全体の処理が終了する。
【0048】
図4はインクカートリッジが純正品、非純正品で分けられた場合におけるインクカートリッジ交換時のフローチャートである。以下で処理の流れを説明する。
【0049】
まず、手順S1100で、前記インクジェット記録装置1がインクカートリッジ交換作業の開始を認識すると、前記インクジェット記録装置1は、手順S1200に移り、インクの残量をリセットする。インクの残量がリセットされると、前記インクジェット記録装置1は、手順S1300に移る。手順S1300では、制御部100が、インクカートリッジが純正品か非純正品かの判別を行うために、ID読み取り部85にインクカートリッジのIDを読み取るための命令を出す。制御部からID読み取りの命令を受けたID読み取り部85はインクカートリッジに搭載された電子情報記憶チップ87から、その電子情報記憶チップ87に記憶されたID等の電子情報を読み取る。ID読み取り部が電子情報の読み取りを完了したら、前記インクジェット記録装置1は、手順S1400に移る。手順S1400では読み取られた電子情報が、制御部100へと送られ、純正品か非純正品かの判別を行う。
【0050】
手順S1400ではインクカートリッジから取得した電子情報がメーカー固有の電子情報(ID等)であるかどうかを判別する。取得した電子情報が、製造メーカーが登録した前記記録置機種固有の電子情報と一致した場合に、装着されたカートリッジは純正品であると判別される。電子情報が読み込めない場合、電子情報は読み込めたが、他メーカーの記録装置、もしくは同メーカーの他機種用インクカートリッジであると判別された場合は、非純正品のインクカートリッジと認識される。
【0051】
もし、判別結果から装着されたインクカートリッジが純正品であることが確認された場合、前記インクジェット記録装置1は手順S1500に移る。手順S1500では、本体に設けられたEEPROM104に記憶されている電子情報から、前回装着されていたインクカートリッジに関する情報を読み出し、前回装着されていたインクカートリッジが純正品か非純正品かを判別する。
【0052】
判別の結果、前回装着されていたインクカートリッジが純正品であることが確認された場合、前記インクジェット記録装置1は手順S1600に移る。手順S1600では、パージを行い、交換作業を終了する。
【0053】
もし、手順S1400において、今回装着されたインクカートリッジが非純正品であると判別された場合、手順S1520において、前述のカートリッジ交換強力パージを行う。
【0054】
カートリッジ交換強力パージを行う際に、手順S1410において、カートリッジ交換強力パージに関する警告メッセージを表示する。ユーザは、警告メッセージを確認後、カートリッジ交換強力パージを行うことに同意するならば、同意の意思表示を手順S1420において行う。警告を表示することにより、ユーザは、インクカートリッジ交換後にカートリッジ交換強力パージを行っているかどうかを知ることができる。警告メッセージの1例を図8に示す。
【0055】
また、手順S1500において前回装着されていたインクカートリッジが非純正品であることが判別された場合についても、手順S1410と同様の手法にて警告メッセージを表示してもよい。これによって、ユーザーは、手順S1410のときと同様にインクカートリッジ交換後にカートリッジ交換強力パージを行っているかどうかを知ることができる。
【0056】
同意の意思がOKのボタンの押下等によって確認されたら、非純正品のインクカートリッジを使用した履歴を手順S1510においてEEPROM104に記憶する。履歴を記憶した後、前記インクジェット記録装置1は手順S1520に移り、カートリッジ交換強力パージを行う。以上で図4全体の処理が終了する。
【0057】
警告メッセージの代わりに前記インクジェット記録装置1本体にLED等で警告用の表示を設けておき、カートリッジ交換強力パージが必要な際に点滅もしくは点灯またはその両方をさせてもよい。このような構成にすることで、液晶画面のような大型の表示部がないインクジェット記録装置にも本発明の構成を用いることができる。
【0058】
上記実施形態では警告メッセージを本体表示部に表示するとしているが、印刷機器が接続されている端末(パソコン等)に表示してもよい。表示を端末に任せることで操作部のパネルをコンパクトにすることが出来るため、印刷機器本体の小型化に貢献することが出来る。その際、カートリッジ交換強力パージを行うことに対する確認は本体表示部5や、前記端末を操作することによって行われる。
【0059】
また、上記手法の変形例として、非純正インクを利用した場合に、インターネット等の通信ネットワークを介して、非純正インクの利用履歴をメーカーサポートセンターへ送信することもできる。メーカーサポートセンターはこの利用履歴を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例に係るインクジェット記録装置の外観斜視図。
【図2】インクジェット記録装置の回路ブロック図。
【図3】インクカートリッジ交換後の処理を示すフローチャート。
【図4】純正品と非純正品で分けた場合におけるインクカートリッジ交換後の処理を示すフローチャート。
【図5】本発明の実施例に係るインクジェット記録装置の断面図(右)。
【図6】本発明の実施例に係るインクジェット記録装置の断面図(上)。
【図7】インクカートリッジからヘッドまでのインク通路を示す図。
【図8】非純正品のインクカートリッジへ交換した場合に表示される警告の例。
【符号の説明】
【0061】
1 インクジェット記録装置
2 インクカートリッジ装着部
3 給紙カセット
4 操作パネル
5 本体表示部
8 印字ヘッド
9 インクチューブ
10 パージ機構部
11 インクカートリッジ
12 ピエゾ素子
13 ノズル
14 インク
15 印刷媒体
33 ヘッド制御基板
79 CRモータ
80 LFモータ
81 駆動回路
82 駆動回路
83 ロータリーエンコーダ
84 リニアエンコーダ
85 ID読み取り部
86 スキャナ部
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 EEPROM
107 バス
130 ASIC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用のインクを貯蔵するインクカートリッジが交換可能に装着されるインクカートリッジ装着部と、前記インクを印字媒体に向けて噴射する印字ヘッドと、前記インクカートリッジ装着部から前記印字ヘッドへ前記インクを導くインク通路とを備えたインクジェット記録装置において、
前記インクカートリッジが前記インクカートリッジ装着部に装着された際に、その装着されたインクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっているか否かを判別する判別手段と、
その判別手段によって、装着されたインクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっていると判別された場合は、前記インクカートリッジ装着部から前記印字ヘッドに到る少なくとも前記インク通路内のインクをそのインク通路外へ排出するインク排出手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記インク排出手段は、前記印字ヘッドから前記インクを吸引する吸引部であり、前記吸引部によって吸引された前記インクは、交換可能な吸収体によって回収されるように構成されている請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記インク排出手段は、前記インクカートリッジ装着部から前記印字ヘッドに到る少なくとも前記インク通路内のインクと、前記インクカートリッジ装着部に装着されている前記インクカートリッジ内の一部もしくは全部のインクと、を排出するように構成されている請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記判別手段は、前記インクカートリッジに付着された電子情報記憶チップに記憶された電子情報を読み取ることによって、そのインクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっているか否かを判別するように構成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記判別手段によって交換された前記インクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっていると判別された場合は、種類の異なるインクカートリッジの利用履歴を前記記録装置本体に設けられた記憶部に記憶するように構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記判別手段によって交換された前記インクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっていると判別された場合は、現在装着されている、又は交換前に装着されていたインクカートリッジの種類が異なっている旨の警告を出力する警告出力手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記警告出力手段は、前記記録装置に設けられた本体表示部に警告メッセージを表示することで警告出力するように構成されている請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
パソコン等の電子端末に接続する接続手段を備え、前記警告出力手段は、前記接続手段によって接続されている端末の画面に警告メッセージを表示することで警告出力するものである請求項6または7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
インターネット等の通信ネットワークに接続する接続手段を備え、前記判別手段によって交換された前記インクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっていると判別された場合は、種類の異なるインクカートリッジの利用履歴を電子情報として、前記通信ネットワークを介して所定の端末へ送信されるように構成されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記判別手段は、装着されたインクカートリッジが純正品か非純正品かを判別することにより、装着されたインクカートリッジの種類が前回装着されていたインクカートリッジの種類と異なっているか否かを判別することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−213175(P2008−213175A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50335(P2007−50335)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】