インクジェット記録装置
【課題】記録媒体に生じているジャムの悪化を抑制することができるようにする。
【解決手段】搬送機構50においてのみ用紙Pにジャムが生じた場合や、供給ガイド17と搬送機構50とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合に、キャップ31でインクジェットヘッド2の吐出面2aを覆うキャッピング動作を行う一方、搬送機構50と排出ガイド18とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合に、キャッピング動作を行わない。
【解決手段】搬送機構50においてのみ用紙Pにジャムが生じた場合や、供給ガイド17と搬送機構50とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合に、キャップ31でインクジェットヘッド2の吐出面2aを覆うキャッピング動作を行う一方、搬送機構50と排出ガイド18とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合に、キャッピング動作を行わない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の記録装置においては、紙などの記録媒体上にインクを吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドに対向し、記録媒体を搬送する搬送ベルトとの間を記録媒体が搬送されていく際に、記録媒体にジャムが生じる場合がある。
【0003】
一方、特許文献1には、ベルトプラテン及び各メンテナンス機構を下降させ、各メンテナンス機構を各インクヘッドの真下に移動させ、各メンテナンス機構を上昇させて各メンテナンス機構に備えられた各キャップで各インクヘッドをキャップし、この後に、インクジェット方式の画像形成装置のシステム電源を遮断処理することにより、キャップでインクヘッドを保護することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−88423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、記録媒体にジャムが生じている場合に、記録ヘッドを保護するためにキャップを移動させると、ジャムの生じ方によっては、ジャムが悪化する場合がある。
【0006】
本発明の目的は、記録媒体に生じているジャムの悪化を抑制することが可能なインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出する吐出面が形成されたインクジェットヘッドと、前記吐出面と対向する搬送面を有し、少なくとも前記搬送面上において記録媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送機構と、前記記録媒体を前記搬送機構に供給する供給機構と、前記記録媒体を排出する排出機構と、前記吐出面を覆うことが可能なキャップと、前記吐出面を覆うように前記キャップを移動させるキャップ移動機構と、前記搬送機構における前記記録媒体のジャムを検出する第1ジャム検出手段と、前記供給機構における前記記録媒体のジャムを検出する第2ジャム検出手段と、前記排出機構における前記記録媒体のジャムを検出する第3ジャム検出手段と、前記第1から第3ジャム検出手段のうち、前記記録媒体のジャムを検出したのがいずれであるかに応じて、前記キャップで前記吐出面を覆うか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が前記キャップで前記吐出面を覆うと判断した場合に、前記吐出面が前記キャップで覆われるように前記キャップ移動機構を制御するキャップ移動制御手段と、を有する。
【0008】
上記の構成によれば、第1から第3ジャム検出手段のうち、記録媒体のジャムを検出したのがいずれであるかに応じて、即ち、ジャムが生じた記録媒体が存在している位置に応じて、キャップで吐出面を覆うか否かが判断され、キャップで吐出面を覆うと判定された場合に、吐出面がキャップで覆われる。即ち、吐出面を覆うようにキャップを移動させると、記録媒体に生じているジャムが悪化するような位置にジャムが生じた記録媒体が存在している場合には、吐出面がキャップで覆われない。これにより、記録媒体に生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0009】
また、本発明のインクジェット記録装置においては、前記インクジェットヘッドから吐出されたインクによって前記記録媒体に画像を印刷する際の印刷位置と、前記吐出面と前記搬送機構との離隔距離が前記印刷位置よりも大きく且つ前記吐出面と前記搬送機構との間においてジャムした記録媒体をユーザに除去させる際の除去位置との間において、前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を相対移動させる相対移動機構と、前記第1ジャム検出手段において前記記録媒体のジャムが検出されたときに、前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させるように、前記相対移動機構を制御する相対移動制御手段と、を更に有し、前記キャップ移動機構は、前記インクジェットヘッドと前記搬送機構との間に位置する介在位置と、前記介在位置よりも前記インクジェットヘッド側に位置する待機位置との間において、前記キャップを移動させ、前記キャップ移動制御手段は、前記相対移動機構が前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させるのに同期して、前記キャップが前記待機位置から前記介在位置に移動するように、前記キャップ移動機構を制御してよい。
【0010】
上記の構成によれば、キャップと搬送面との間にジャムが生じた記録媒体が存在している場合に、搬送機構とインクジェットヘッドの位置が印刷位置から除去位置に相対移動するのに同期して、キャップが待機位置から介在位置に移動する。これにより、キャップと搬送面との間に存在しているジャムが生じた記録媒体をキャップと搬送面とで狭持するようにしてインクジェットヘッドから離隔させることができる。
【0011】
また、本発明のインクジェット記録装置において、前記搬送機構が、前記搬送面に前記記録媒体を吸着させる吸着装置を含んでおり、前記相対移動機構が前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させている最中に、前記搬送面に前記記録媒体を吸着させるように、前記吸着装置を制御する吸着制御手段を更に有していてよい。上記の構成によれば、搬送機構とインクジェットヘッドの位置が印刷位置から除去位置に相対移動している最中に、キャップと搬送面との間に存在しているジャムが生じた記録媒体を搬送面に吸着させることによって、ジャムが生じた記録媒体をインクジェットヘッドから好適に離隔させることができる。
【0012】
また、本発明のインクジェット記録装置において、前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段のみが前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆うと判断してよい。上記の構成によれば、ジャムが生じた記録媒体がキャップと搬送面との間にのみ存在している場合、搬送面上において記録媒体の前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップを動かしても、記録媒体に生じているジャムを悪化させることなく吐出面をキャップで覆うことができる。
【0013】
また、本発明のインクジェット記録装置において、前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段および前記第2ジャム検出手段がそれぞれ前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆うと判断してよい。上記の構成によれば、ジャムが生じた記録媒体が供給機構と搬送機構とに跨って存在している場合、搬送機構内において記録媒体の前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップを動かしても、記録媒体に生じているジャムを悪化させることなく吐出面をキャップで覆うことができる。
【0014】
また、本発明のインクジェット記録装置において、前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段および前記第3ジャム検出手段がそれぞれ前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆わないと判断してよい。上記の構成によれば、ジャムが生じた記録媒体が搬送機構と排出機構とに跨って存在している場合、排出機構内において記録媒体の前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップを動かすと、記録媒体に生じているジャムが悪化する可能性が高い。そこで、吐出面をキャップで覆わないことで、記録媒体に生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0015】
また、本発明のインクジェット記録装置において、前記判断手段は、前記第2ジャム検出手段のみ又は前記第3ジャム検出手段のみが前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆わないと判断してよい。上記の構成によれば、ジャムが生じた記録媒体が供給機構又は排出機構にのみ存在している場合、吐出面を覆うようにキャップを移動させてもさせなくても、記録媒体に生じているジャムが悪化することがない。よって、吐出面をキャップで覆わないことで、無駄な動作を抑制して、ジャム処理から素早く復帰させることができる。
【0016】
また、本発明のインクジェット記録装置においては、前記インクジェットヘッド、前記搬送機構、前記供給機構、前記排出機構、前記キャップ、および、前記キャップ移動機構を収容する筐体と、前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記搬送機構にアプローチ可能となる第1ドアと、前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記供給機構にアプローチ可能となる第2ドアと、前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記排出機構にアプローチ可能となる第3ドアと、を更に有していてよい。上記の構成によれば、ジャムが生じた記録媒体が搬送機構にのみ存在している場合には、第1ドアから搬送機構にアプローチすることで、記録媒体を除去することができる場合がある。また、ジャムが生じた記録媒体が供給機構にのみ存在している場合や、供給機構と搬送機構とに跨って存在している場合には、第2ドアから供給機構にアプローチすることで、記録媒体を除去することができる場合がある。また、ジャムが生じた記録媒体が排出機構にのみ存在している場合や、搬送機構と排出機構とに跨って存在している場合には、第3ドアから排出機構にアプローチすることで、記録媒体を除去することができる場合がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明のインクジェット記録装置によると、吐出面を覆うようにキャップを移動させると、記録媒体に生じているジャムが悪化するような位置にジャムが生じた記録媒体が存在している場合には、吐出面がキャップで覆われない。これにより、記録媒体に生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態によるインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図3】図2に示す4つのインクジェットヘッド及びこれらの近傍を上方から見たときの平面図である。
【図4】ベルト昇降機構を示す概略側面図である。
【図5】メンテナンス機構を示す斜視図である。
【図6】キャッピング動作を示す側面図である。
【図7】ジャムが生じた用紙を示す側面図である。
【図8】ロック機構を示す部分側面図である。
【図9】インクジェットプリンタの電気的構成を示す図である。
【図10】ジャム処理ルーチンを示す図である。
【図11】給紙経路ジャム検出処理ルーチンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(インクジェットプリンタの機械的構成)
本発明の実施形態によるインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)1は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有し、その正面(図1の紙面手前側の面)には、上から順に2つの開口3a,3bが形成されている。開口3aには、下端の水平軸を支点として開閉可能な第1扉(第1ドア)4が設けられている。開口3a及び第1扉4は、筐体1aの奥行き方向(図2の紙面に対して垂直な方向であって主走査方向)に関して、搬送機構50と対向配置されている。この構成において、搬送機構50において用紙(記録媒体)Pがジャムした場合に、ユーザが第1扉4を開けて搬送機構50にアプローチすることによって、ジャムした用紙Pを取り除くことが可能にされている。
【0021】
また、図1に示すように、筐体1aの一方の側面(図1の紙面手前側の面)には、開口3cが形成されている。開口3cには、下端の水平軸を支点として開閉可能な第3扉(第3ドア)5が設けられている。第3扉5の内側には、図2に示すように、後述する排出ガイド(排出機構)18を構成する外側搬送面18aが形成されている。開口3c及び第3扉5は、副走査方向に関して、排出ガイド18の内部と対向配置されている。この構成において、排出ガイド18において用紙Pがジャムした場合に、ユーザが第3扉5を開けて排出ガイド18の内部にアプローチすることによって、ジャムした用紙Pを取り除くことが可能にされている。
【0022】
また、筐体1aの他方の側面(図1の紙面奥側の面)には、図示しない開口3dが形成されている。図示しない開口3dには、下端の水平軸を支点として開閉可能な第2扉(第2ドア)6が設けられている。第2扉6の内側には、図2に示すように、後述する供給ガイド(供給機構)17を構成する外側搬送面17aが形成されている。開口3d及び第2扉6は、図2に示すように、副走査方向に関して、供給ガイド17の内部と対向配置されている。この構成において、供給ガイド17において用紙Pがジャムした場合に、ユーザが第2扉6を開けて供給ガイド17の内部にアプローチすることによって、ジャムした用紙Pを取り除くことが可能にされている。
【0023】
図2に示すように、インクジェットプリンタ1は、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2を有するカラーインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタ1には、図2中下方に給紙装置10が、図2中上方に排紙部15がそれぞれ設けられており、これらの間に搬送方向Aに沿って用紙Pを搬送する搬送機構50が設けられている。さらに、インクジェットプリンタ1には、これらの動作を制御する制御部100が含まれている。
【0024】
4つのインクジェットヘッド2は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有しており、副走査方向に沿って互いに隣接配置された状態で、枠状のフレーム7に固定されている。すなわち、このインクジェットプリンタ1は、ライン式プリンタである。なお、本実施形態において、副走査方向とは用紙Pの搬送方向Aと平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向(図3中上下方向)である。
【0025】
インクジェットヘッド2は、圧力室を含むインク流路が形成された流路ユニットと、圧力室のインクに圧力を与えるアクチュエータとが貼り合わされた積層体(ともに図示せず)を有しており、底面はインクを吐出する吐出面2aとなっている。図3に示すように、吐出面2aには、インクを吐出する複数の吐出口2bと、これら吐出口2bを内包する吐出領域2cと、吐出領域2cを取り囲む非吐出領域2dとが形成されている。吐出領域2cは、主走査方向に関して、用紙Pよりも若干長く形成されており、搬送機構50により搬送される用紙Pの全面に画像を形成する(縁なし印刷する)ことが可能となっている。なお、図3においては後述するメンテナンス機構30を図示していない。
【0026】
給紙装置10は、図2に示すように、積層された複数の用紙Pを収納可能な給紙カセット11と、給紙カセット11から用紙Pを送り出す給紙ローラ12と、給紙ローラ12を回転させる図示しない給紙モータとを有している。給紙カセット11は、図2の紙面垂直方向に関して、着脱可能に配置されており、筐体1aに装着されたときに、図2中上下方向に関して搬送機構50と重なる位置に配置される。給紙ローラ12は、最も上方に位置する用紙Pと回転しながら接触することで給紙カセット11から用紙Pを送り出す。なお、給紙ローラ12を回転させる給紙モータは制御部100によって制御される。
【0027】
図2中左端部側において、給紙カセット11と搬送機構50との搬送経路に沿う間には、給紙カセット11から搬送機構50に向かって湾曲しながら延在する供給ガイド17と、供給ガイド17の下流側に設けられた2つの送りローラ23a,23bとが配置されている。供給ガイド17は、第2扉6に形成された外側搬送面17aと、この外側搬送面17aに対向する内側搬送面17bとで構成されている。送りローラ23bは、制御部100により制御される送りモータ(図示せず)によって回転駆動される。また、送りローラ23aは、従動ローラであり用紙搬送に伴って回転する。
【0028】
この構成において、制御部100の制御により、給紙ローラ12が図2中時計回り方向に回転されることによって、給紙ローラ12と接触した用紙Pが供給ガイド17を通って図2中上方に送られる。そして、用紙Pは、送りローラ23a,23bに挟持されながら搬送機構50に供給される。
【0029】
また、給紙ローラ12の下流側であって供給ガイド17の上流側、及び、供給ガイド17の下流側であって送りローラ23a,23bの上流側には、その検出面が供給ガイド17内を通過する用紙Pに対向するように、2つのセンサ73,74が設けられている。これらセンサ73,74は、光が用紙Pの表面で反射することによって用紙Pを検出する反射型の光学式センサであり、主走査方向に関して、供給ガイド17の内部中央と対向する位置に配置されている。これらのセンサ73,74は、供給ガイド17内を通過されてきた用紙Pの前端および後端を検出する。なお、センサ73,74は、反射型の光学式センサに限定されず、透過型の光学式センサ等であってもよい。
【0030】
ここで、センサ73が用紙Pの前端を検出してから所定時間が経過しても、センサ74が用紙Pの前端を検出しない場合には、制御部100は、供給ガイド17内において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合、制御部100は、給紙ローラ12及び送りローラ23bの回転を停止させる。また、センサ73が用紙Pの後端を検出してから所定時間が経過しても、センサ74が用紙Pの後端を検出しない場合には、制御部100は、供給ガイド17内において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合も、制御部100は、給紙ローラ12及び送りローラ23bの回転を停止させる。
【0031】
搬送機構50は、図2に示すように、2つのベルトローラ51,52と、両ベルトローラ51,52間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト53と、搬送ベルト53にテンションを付加するテンションローラ55と、ベルトローラ52を回転させる図示しない搬送モータと、吸着装置60とを有している。2つのベルトローラ51,52は、搬送方向Aに沿って並設されている。搬送ベルト53は、図3に示すように、用紙Pを支持する搬送面(外周面)54を有している。
【0032】
ベルトローラ52は、駆動ローラであって、図示しない搬送モータにより、図2中時計回り方向に回転される。ベルトローラ51は、従動ローラであって、ベルトローラ52の回転により搬送ベルト53が走行するのに伴って、図2中時計回り方向に回転する。また、テンションローラ55は、図2に示すように、搬送ベルト53の下側ループにおいてその内周面に接触しつつ搬送ベルト53にテンションを付加した状態で筐体1aに回転可能に支持されており、搬送ベルト53が走行するのに伴って、図2中時計回り方向に回転する。
【0033】
吸着装置60は、図2に示すように、搬送ベルト53によって囲まれた領域内に配置されており、略直方体形状のプラテン61と、プラテン61の下方に配置されたファン62とを有している。プラテン61の上面には、厚み方向に貫通した複数の孔(図示せず)が形成されている。複数の孔は、搬送ベルト53と対向する領域内において全体に亘って分散して配置されている。プラテン61は、主走査方向に関して、用紙P及び搬送ベルト53の長さよりも若干長く形成されている。
【0034】
また、プラテン61の上面は、図2に示すように、搬送ベルト53の上側ループの内周面と接触しており、搬送ベルト53の内周側からこれを支持している。これにより、搬送ベルト53の上側ループの搬送面54とインクジェットヘッド2の吐出面2aとが対向しつつ平行になり、且つ、吐出面2aと搬送ベルト53の搬送面54との間に僅かな隙間が形成されている。この隙間は、用紙搬送経路の一部を構成している。
【0035】
ファン62は、図2に示すように、略直方体形状を有しており、内部に設けられた回転羽が回転することによって、上面に形成された吸引口(図示せず)から空気を吸引する装置である。なお、ファン62は、制御部100により制御される。
【0036】
搬送方向Aに関して最も上流に配置されたインクジェットヘッド2の上流であって、ベルトローラ51と対向する位置には、押さえローラ48が配置されている。押さえローラ48は、バネなどの弾性部材(図示せず)によって搬送面54に対して付勢されており、給紙装置10から送り出された用紙Pを搬送面54に押さえ付ける。また、押さえローラ48は、従動ローラであり、搬送ベルト53の回転に伴って回転する。
【0037】
この構成において、制御部100の制御により、ベルトローラ52を図2中時計回り方向に回転させることによって、搬送ベルト53が回転する。このとき、搬送ベルト53の回転に伴ってベルトローラ51、テンションローラ55、及び、押さえローラ48も回転する。また、このとき、制御部100の制御により、ファン62が駆動され、プラテン61に設けられたすべての孔から吸引された空気が、ファン62に設けられた吸引口に吸引される。これにより、給紙装置10から送り出された用紙Pが搬送面54に吸着しながら搬送方向Aに搬送される。さらにこのとき、搬送ベルト53の搬送面54上に保持されつつ搬送されてきた用紙Pが4つのインクジェットヘッド2のすぐ下方を順に通過する際に、制御部100が各インクジェットヘッド2を制御し、用紙Pに向けて各色のインクが吐出される。こうして、用紙Pに所望のカラー画像が形成される。
【0038】
また、押さえローラ48とインクジェットヘッド2との間、及び、搬送方向Aに関して最も下流にあるインクジェットヘッド2の下流には、その検出面が搬送面54に対向するように、2つのセンサ71,72が設けられている。これらセンサ71,72は、光が用紙Pの表面で反射することによって用紙Pを検出する反射型の光学式センサであり、主走査方向に関して、搬送面54の中央と対向する位置に配置されている。これらのセンサ71,72は、搬送ベルト53によって搬送されてきた用紙Pの前端および後端を検出する。なお、センサ71,72は、反射型の光学式センサに限定されず、透過型の光学式センサ等であってもよい。
【0039】
ここで、センサ71が用紙Pの前端を検出してから所定時間が経過しても、センサ72が用紙Pの前端を検出しない場合には、制御部100は、搬送機構50上において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合、制御部100は、搬送ベルト53の回転を停止させるとともに、各インクジェットヘッド2によるインクの吐出を停止させる。また、センサ71が用紙Pの後端を検出してから所定時間が経過しても、センサ72が用紙Pの後端を検出しない場合には、制御部100は、搬送機構50上において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合も、制御部100は、搬送ベルト53の回転を停止させるとともに、各インクジェットヘッド2によるインクの吐出を停止させる。
【0040】
また、図4に示すように、搬送機構50は、ベルト昇降機構(相対移動機構)80により、インクジェットヘッド2から吐出されたインクによって用紙Pに画像を印刷する際の印刷位置と、吐出面2aと搬送機構50との離隔距離が印刷位置におけるよりも大きく且つ吐出面2aと搬送機構50との間においてジャムした用紙Pをユーザに除去させる際の除去位置との間において、インクジェットヘッド2に対して上下に相対移動される。即ち、搬送機構50は、図2に示されている、インクジェットヘッド2に近接した印刷位置と、印刷位置よりも下方に移動された除去位置との間において、上下動される。
【0041】
ベルト昇降機構80は、図4に示すように、ベルトローラ51を昇降させる昇降部81と、ベルトローラ52を昇降させる昇降部85とを有している。昇降部81は、昇降モータ82と、2つのリング83と、連結部材であるワイヤ84とを有している。リング83は、ベルトローラ51の軸51aの両端部近傍に設けられており、軸51aを回転可能に支持している。ワイヤ84は、リング83の上端にその一端が固定されている。ワイヤ84の他端は、昇降モータ82の軸82aに固定されつつ巻回されている。また、筐体1a内には、ベルトローラ51の軸51aの両端と対向する位置に、ベルトローラ51の軸51aの両端が上下に移動するのを案内するガイド91が設けられている。このガイド91は、印刷位置に搬送機構50が配置されているときの軸51aの位置を上端とし、そこから下方に延びている。
【0042】
また、昇降部85も、昇降モータ86と、2つのリング87と、連結部材であるワイヤ88とを有している。リング87は、軸52aの両端部近傍に設けられており、軸52aを回転可能に支持している。ワイヤ88も、一端がリング87の上端に、他端が昇降モータ86の軸86aに固定されつつ、軸86aに巻回されている。また、筐体1a内には、ベルトローラ52の軸52aの両端と対向する位置に、ベルトローラ52の軸52aの両端が上下に移動するのを案内するガイド92が設けられている。このガイド92は、印刷位置に搬送機構50が配置されているときの軸52aの位置を上端とし、そこから下方に延びている。
【0043】
この構成において、制御部100の制御により、2つの昇降モータ82,86が同時に駆動されて軸82a,86aが図4中反時計回り方向に回転すると、連結部材84,88が軸82a,86aから巻き解かれる。これにより、搬送機構50が、ガイド91,92に沿って下方に移動する。即ち、搬送機構50が印刷位置から除去位置に移動する。一方、制御部100の制御により、軸82a,86aが図4中時計回り方向に回転すると、連結部材84,88が軸82a,86aに巻き取られる。これにより、搬送機構50が、ガイド91,92に沿って上方に移動する。即ち、搬送機構50が除去位置から印刷位置に移動する。
【0044】
搬送機構50の印刷位置から除去位置への移動は、搬送機構50が印刷位置に位置されて用紙Pに画像が印刷されているときに、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じた場合に行われる。これにより、吐出面2aと搬送機構50との離隔距離が大きくなるから、ユーザは第1扉4を開けて搬送機構50上にアプローチすることによって、ジャムした用紙Pを容易に取り除くことができる。
【0045】
また、搬送機構50の印刷位置から除去位置への移動は、供給ガイド17と搬送機構50とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合や、搬送機構50と排出ガイド18とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合にも行われる。
【0046】
なお、本実施形態においては、ベルト昇降機構80によって、搬送機構50がインクジェットヘッド2に対して上下動される構成にされているが、これに限定されず、ベルト昇降機構80によって、インクジェットヘッド2が搬送機構50に対して上下動される構成にされていてもよい。また、ベルト昇降機構80によって、インクジェットヘッド2と搬送機構50とが、互いに離間/近接するように上下動される構成にされていてもよい。
【0047】
図2に示すように、搬送機構50の搬送方向Aのすぐ下流側には、剥離プレート9が設けられている。剥離プレート9は、その先端が用紙Pと搬送ベルト53との間に入り込むことによって、用紙Pを搬送面54から剥離する。
【0048】
搬送機構50と排紙部15との搬送経路に沿う間には、4つの送りローラ21a,21b,22a,22bと、送りローラ21a,21bと送りローラ22a,22bとの間に配置された排出ガイド18とが配置されている。送りローラ21b,22bは、制御部100により制御される送りモータ(図示せず)によって回転駆動される。また、送りローラ21a,22aは、従動ローラであり用紙搬送に伴って回転する。排出ガイド18は、第3扉5に形成された外側搬送面18aと、この外側搬送面18aに対向する内側搬送面18bとで構成されている。
【0049】
この構成において、制御部100の制御により、送りローラ21b,22bが回転するように送りモータが駆動され、搬送機構50から排出された用紙Pが送りローラ21a,21bに挟持されながら排出ガイド18内を通されて図2中上方に送られる。そして、用紙Pは、送りローラ22a,22bに挟持されながら排紙部15に排出される。
【0050】
また、剥離プレート9の下流側であって送りローラ21a,21bの上流側、及び、排出ガイド18の下流側であって送りローラ22a,22bの上流側には、その検出面が排出ガイド18内を通過する用紙Pに対向するように、2つのセンサ75,76が設けられている。これらセンサ75,76は、光が用紙Pの表面で反射することによって用紙Pを検出する反射型の光学式センサであり、主走査方向に関して、排出ガイド18の内部中央と対向する位置に配置されている。これらのセンサ75,76は、排出ガイド18内を通過してきた用紙Pの前端および後端を検出する。なお、センサ75,76は、反射型の光学式センサに限定されず、透過型の光学式センサ等であってもよい。
【0051】
ここで、センサ75が用紙Pの前端を検出してから所定時間が経過しても、センサ76が用紙Pの前端を検出しない場合には、制御部100は、排出ガイド18内において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合、制御部100は、送りローラ21b及び送りローラ22bの回転を停止させる。また、センサ75が用紙Pの後端を検出してから所定時間が経過しても、センサ76が用紙Pの後端を検出しない場合には、制御部100は、排出ガイド18内において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合も、制御部100は、送りローラ21b及び送りローラ22bの回転を停止させる。
【0052】
また、図2に示すように、4つのインクジェットヘッド2と搬送機構50との間には、メンテナンス機構(キャップ移動機構)30が設けられている。メンテナンス機構30は、各インクジェットヘッド2の吐出面2aを覆うことが可能な4つのキャップ31を有している。キャップ31は、矩形平面形状をしたゴムなどの弾性材料で構成されており、その長手方向がインクジェットヘッド2の長手方向に平行にされている。キャップ31は、初期状態において、対応するインクジェットヘッド2の上流側の側方である待機位置に位置されており、メンテナンス機構30の動きにともなって、対応するインクジェットヘッド2に対して、図2中上下左右方向に移動される。
【0053】
メンテナンス機構30は、図5(a)に示すように、副走査方向に沿って等間隔で配置され、それぞれの上面にキャップ31が設けられた4つの板体32と、各板体32を狭持し、上方に突出した角部33aを両端に有する一対の内側フレーム33とを有している。また、各内側フレーム33の一方の角部33aには、図示しない駆動モータの軸に固定されたピニオンギヤ34が、水平方向に設けられたラックギヤ35に噛合するように設けられている。なお、図5(a)においては、手前側の内側フレーム33においてのみ、ピニオンギヤ34を図示している。
【0054】
また、メンテナンス機構30は、図5(b)に示すように、一対の内側フレーム33の外周に設けられた外側フレーム36を有している。この外側フレーム36の内側には、図5(a)に示したラックギヤ35が固定されている。また、外側フレーム36には、図示しない駆動モータの軸に固定されたピニオンギヤ37が、垂直方向に設けられたラックギヤ38に噛合するように設けられている。なお、ラックギヤ38は、筐体1aの内部に立設されている。
【0055】
この構成において、2つのピニオンギヤ34を同期させて回転させることにより、一対の内側フレーム33が副走査方向に沿って移動される。また、ピニオンギヤ37を回転させることにより、外側フレーム36が垂直方向に沿って移動される。
【0056】
具体的には、図2に示す待機位置においては、各板体32が各インクジェットヘッド2の上流側の側方に位置されており、図5(a)において、板体32同士の間の3つの開口39a、及び、一番下流側の板体32と内側フレーム33の角部33aとの間の開口39bが、吐出面2aにそれぞれ対向されている。この初期状態から、各キャップ31が対応する吐出面2aを覆うキャッピング動作が行われると、まず、図6(a)に示すように、外側フレーム36が垂直方向に下降されることで、メンテナンス機構30がインクジェットヘッド2と搬送機構50との間に位置される。これにより、キャップ31がインクジェットヘッド2と搬送機構50との間であって、吐出面2aに対向しない介在位置に位置される。
【0057】
次に、図6(b)に示すように、一対の内側フレーム33が副走査方向の下流側に移動される。これにより、キャップ31が吐出面2aに対向する対向位置に位置される。次に、図6(c)に示すように、外側フレーム36が垂直方向に上昇されることで、キャップ31が吐出面2aに当接して吐出面2aを覆うキャップ位置に位置される。以上の手順により、各キャップ31によって対応する吐出面2aが覆われる。なお、逆の手順により、キャップ31が待機位置に復帰される。
【0058】
キャッピング動作は、ベルト昇降機構80によって、搬送機構50が印刷位置から除去位置に下降された状態で行われたり、搬送機構50が印刷位置に位置した状態で行われる。
【0059】
具体的には、キャッピング動作は、図7(a)に示すように、搬送機構50においてのみ用紙Pにジャムが生じた場合に行われる。このとき、上述したように、搬送機構50が印刷位置から除去位置に移動する。これと同期して、キャップ31が待機位置から介在位置に移動する。これにより、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの全体をキャップ31と搬送面54とで狭持するようにしてインクジェットヘッド2から離隔させることができる。
【0060】
また、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動している最中に、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの全体が、吸着装置60によって搬送面54に吸着される。これにより、ジャムが生じた用紙Pをインクジェットヘッド2から好適に離隔させることができる。
【0061】
その後、キャップ31が搬送方向に沿って下流に向かって移動されて対向位置に位置し、続いて、キャップ位置に位置する。これにより、吐出面2aがキャップ31で覆われるから、ユーザによるジャム処理中に吐出面2aがインクやゴミで目詰まりするのを防止することができる。
【0062】
このように、ジャムが生じた用紙Pがキャップ31と搬送面54との間にのみ存在している場合、搬送面54上において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップ31を動かしても、用紙Pに生じているジャムを悪化させることなく吐出面2aをキャップ31で覆うことができる。
【0063】
また、キャッピング動作は、図7(b)に示すように、供給ガイド17と搬送機構50とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合に行われる。このとき、上述したように、搬送機構50が印刷位置から除去位置に移動する。これと同期して、キャップ31が待機位置から介在位置に移動する。これにより、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの一部をキャップ31と搬送面54とで狭持するようにしてインクジェットヘッド2から離隔させることができる。
【0064】
また、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動している最中に、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの一部が、吸着装置60によって搬送面54に吸着される。これにより、ジャムが生じた用紙Pをインクジェットヘッド2から好適に離隔させることができる。
【0065】
その後、キャップ31が搬送方向に沿って下流に向かって移動されて対向位置に位置され、続いて、キャップ位置に位置される。これにより、吐出面2aがキャップ31で覆われるから、ユーザによるジャム処理中に吐出面2aがインクやゴミで目詰まりするのを防止することができる。
【0066】
このように、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在している場合、搬送機構50上において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップ31を動かしても、用紙Pに生じているジャムを悪化させることなく吐出面2aをキャップ31で覆うことができる。
【0067】
一方、図7(c)に示すように、搬送機構50と排出ガイド18とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合には、キャッピング動作は行われない。このとき、上述したように、搬送機構50が印刷位置から除去位置に移動する。これと同期して、キャップ31が待機位置から介在位置に移動する。これにより、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの一部をキャップ31と搬送面54とで狭持するようにしてインクジェットヘッド2から離隔させることができる。
【0068】
また、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動している最中に、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの一部が、吸着装置60によって搬送面54に吸着される。これにより、ジャムが生じた用紙Pをインクジェットヘッド2から好適に離隔させることができる。
【0069】
このように、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在している場合、排出ガイド18内において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップ31を動かすと、用紙Pに生じているジャムが悪化する可能性が高い。そこで、吐出面2aをキャップ31で覆わないことで、用紙Pに生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0070】
また、供給ガイド17においてのみ用紙Pにジャムが生じた場合や、排出ガイド18においてのみ用紙Pにジャムが生じた場合にも、キャッピング動作は行われない。このように、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17又は排出ガイド18にのみ存在している場合、吐出面2aを覆うようにキャップ31を移動させてもさせなくても、用紙Pに生じているジャムが悪化することがない。よって、吐出面2aをキャップ31で覆わないことで、無駄な動作を抑制して、ジャム処理から素早く復帰させることができる。
【0071】
以上のように、吐出面2aを覆うようにキャップ31を移動させると、用紙Pに生じているジャムが悪化するような位置にジャムが生じた用紙Pが存在している場合には、吐出面2aがキャップ31で覆われない。これにより、用紙Pに生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0072】
図1に戻って、開放されるとユーザが搬送機構50にアプローチ可能となる第1扉4は、ロック機構40によって、開くのが禁止可能にされている。第2扉6および第3扉5も同様に、ロック機構40と同様のロック機構によって、開くのが禁止可能にされている。ロック機構40は、図8に示すように、筐体1aの内部側に設けられ、可動鉄心41aを直線的に進退させるソレノイド41と、第1扉4の内側に設けられ、進出された可動鉄心41aが貫通可能な穴42aを有する突出部42とを有している。
【0073】
ロック機構40は、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じている場合には、図8(a)に示すように、ソレノイド41の可動鉄心41aを進出させない。これにより、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じている場合には、第1扉4が開くのが許容される。一方、ロック機構40は、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じていない場合には、図8(b)に示すように、ソレノイド41の可動鉄心41aを進出させる。これにより、可動鉄心41aが突出部42の穴42aに貫通し、第1扉4が開くのが禁止される。即ち、ジャム処理のためにユーザが搬送機構50にアプローチすることが必要になった場合に、第1扉4が開くのが許容されて、ユーザが搬送機構50にアプローチすることが可能になる。
【0074】
同様に、ジャム処理のためにユーザが供給ガイド17にアプローチすることが必要になった場合に、第2扉6が開くのが許容されて、ユーザが供給ガイド17にアプローチすることが可能になる。また、ジャム処理のためにユーザが排出ガイド18にアプローチすることが必要になった場合に、第3扉5が開くのが許容されて、ユーザが排出ガイド18にアプローチすることが可能になる。
【0075】
このように、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50にのみ存在している場合には、第1扉4から搬送機構50にアプローチすることで、用紙Pを除去することができる場合がある。また、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17にのみ存在している場合や、供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在している場合には、第2扉6から供給ガイド17にアプローチすることで、用紙Pを除去することができる場合がある。また、ジャムが生じた記録媒体が排出ガイド18にのみ存在している場合や、搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在している場合には、第3扉5から排出ガイド18にアプローチすることで、用紙Pを除去することができる場合がある。
【0076】
(インクジェットプリンタの電気的構成)
インクジェットプリンタ1は、図9に示すように、制御部100によって動作が制御されている。制御部100は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ101を主たる構成要素とし、これに各種回路を加えて構成されている。マイクロコンピュータ101は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU102と、各種プログラムを格納するROM103と、一時記憶手段としてのRAM104と、を有している。
【0077】
CPU102には、インクジェットヘッド2を制御するヘッド制御回路106、搬送機構50や送りローラ21b,22b,23b、給紙ローラ12を制御する搬送機構制御回路107、ベルト昇降機構80を制御するベルト昇降機構制御回路108、メンテナンス機構30を制御するメンテナンス機構制御回路109、ロック機構40を制御するロック機構制御回路110、センサ71〜76からの用紙検出信号が入力されるインターフェイス回路111、および、通信部20を介して図示しない汎用パーソナルコンピュータ等との間で通信を行う通信回路112が接続されており、CPU102は、これらを制御している。CPU102と搬送機構制御回路107とは、吸着制御手段を構成している。また、CPU102とベルト昇降機構制御回路108とは、相対移動制御手段を構成している。また、CPU102とメンテナンス機構制御回路109とは、キャップ移動制御手段を構成している。
【0078】
ヘッド制御回路106は、図示しない汎用パーソナルコンピュータ等から通信部20を介して転送された印刷データに基づいて、用紙Pに対してインクを吐出するように、各インクジェットヘッド2を制御する。このとき、ヘッド制御回路106は、センサ71が搬送機構50によって搬送されてきた用紙Pの前端を検出してから所定時間経過後に用紙Pに対してインクの吐出を開始するように、各インクジェットヘッド2を制御する。ここでいう所定時間とは、センサ71が用紙Pの前端を検出したときの用紙Pの前端から最も上流にあるインクジェットヘッド2の最も上流にある吐出口2bまでの搬送経路に沿った距離を、用紙Pの搬送速度で割った時間である。
【0079】
また、搬送機構制御回路107は、給紙装置10から排紙部15まで用紙Pを搬送するように、搬送機構50、送りローラ21b,22b,23b、および、給紙ローラ12を制御する。特に、搬送機構制御回路107は、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動されている最中に、搬送面54に用紙Pを吸着させるように、吸着装置60を制御する。
【0080】
また、ベルト昇降機構制御回路108は、搬送中の用紙Pにジャムが生じた場合等に、搬送機構50をインクジェットヘッド2から離間させるように、ベルト昇降機構80を制御する。特に、ベルト昇降機構制御回路108は、搬送機構50において用紙Pのジャムが検出されたときに、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置を印刷位置から除去位置に相対移動させるように、ベルト昇降機構80を制御する。
【0081】
また、メンテナンス機構制御回路109は、搬送中の用紙Pにジャムが生じた場合等に、キャッピング動作を行うように、メンテナンス機構30を制御する。特に、メンテナンス機構制御回路109は、ベルト昇降機構80が搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置を印刷位置から除去位置に相対移動させるのに同期して、キャップ31が待機位置から介在位置に移動するように、メンテナンス機構30を制御する。
【0082】
また、CPU102は、3組のセンサ71〜76による用紙Pの検出間隔がそれぞれ所定時間を超えたときだけ、用紙Pにジャムが発生したと判定する。換言すると、搬送方向Aに沿って隣接する1組のセンサのうち、上流にあるセンサが用紙Pの前端を検出した時刻から下流にあるセンサが用紙Pの前端を検出する予定時刻となる所定時間が経過するまでに、下流にあるセンサが用紙Pの前端を検出しないときに、用紙Pにジャムが発生したと判定する。ここでいう所定時間とは、1組のセンサ間の搬送経路に沿った離隔距離を用紙Pの搬送速度で割った時間である。
【0083】
また、CPU102は、搬送方向Aに沿って隣接する1組のセンサのうち、上流にあるセンサが用紙Pの後端を検出した時刻から下流にあるセンサが用紙Pの後端を検出する予定時刻となる所定時間が経過するまでに、下流にあるセンサが用紙Pの後端を検出しないときに、用紙Pにジャムが発生したと判定する。ここでいう所定時間とは、1組のセンサ間の搬送経路に沿った離隔距離を用紙Pの搬送速度で割った時間である。
【0084】
具体的には、CPU102は、まず、センサ73が用紙Pの前端を検出した時刻から所定時間経過後の予定時刻に、すなわち、センサ73が用紙Pの前端を検出してから所定時間(センサ73とセンサ74との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ74が用紙Pの前端を検出しないときに、供給ガイド17において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。また、CPU102は、センサ73が用紙Pの後端を検出してから所定時間(センサ73とセンサ74との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ74が用紙Pの後端を検出しないときに、供給ガイド17において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。即ち、CPU102とセンサ73とセンサ74とは、供給ガイド17における用紙Pのジャムを検出する第2ジャム検出手段を構成している。
【0085】
次に、CPU102は、センサ71が用紙Pの前端を検出してから所定時間(センサ71とセンサ72との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ72が用紙Pの前端を検出しないときに、搬送機構50において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。また、CPU102は、センサ71が用紙Pの後端を検出してから所定時間(センサ71とセンサ72との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ72が用紙Pの後端を検出しないときに、搬送機構50において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。即ち、CPU102とセンサ71とセンサ72とは、搬送機構50における用紙Pのジャムを検出する第1ジャム検出手段を構成している。
【0086】
次に、CPU102は、センサ75が用紙Pの前端を検出してから所定時間(センサ75とセンサ76との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ76が用紙Pの前端を検出しないときに、排出ガイド18において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。また、CPU102は、センサ75が用紙Pの後端を検出してから所定時間(センサ75とセンサ76との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ76が用紙Pの後端を検出しないときに、排出ガイド18において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。即ち、CPU102とセンサ75とセンサ76とは、排出ガイド18における用紙Pのジャムを検出する第3ジャム検出手段を構成している。
【0087】
そして、ヘッド制御回路106及び搬送機構制御回路107は、上述のようにCPU102によってジャムが発生したと判定されたときに、各インクジェットヘッド2からのインク吐出を停止させ、搬送機構50による用紙Pの搬送を停止させる。なお、3組のセンサ71〜76からの検出間隔が所定時間内であり、CPU102によってジャムが発生したと判定されないときは、用紙Pがインクジェットヘッド2と対向するときに、用紙Pに対してインクが吐出されて画像が形成され、排紙部15に排紙される。
【0088】
また、判断手段としてのCPU102は、用紙Pのジャムが検出されたのが、搬送機構50、供給ガイド17、および、排出ガイド18のいずれであるかに応じて、即ち、ジャムが生じた用紙Pが存在している位置に応じて、キャップ31で吐出面2aを覆うか否かを判断する。具体的には、CPU102は、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50にのみ存在している場合、および、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在している場合に、キャップ31で吐出面2aを覆うと判断し、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在している場合に、キャップ31で吐出面2aを覆わないと判断する。また、CPU102は、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17にのみ存在している場合、および、ジャムが生じた用紙Pが排出ガイド18にのみ存在している場合に、キャップ31で吐出面2aを覆わないと判断する。
【0089】
また、ロック機構制御回路110は、搬送機構50において用紙Pにジャムが発生したと判定されたときに、第1扉4が開くのを許容するように、ロック機構40を制御する。また、ロック機構制御回路110は、供給ガイド17において用紙Pにジャムが発生したと判定されたときや、供給ガイド17と搬送機構50とに跨った状態で用紙Pにジャムが発生したと判定されたときに、第2扉6が開くのを許容するように、ロック機構を制御する。また、ロック機構制御回路110は、排出ガイド18において用紙Pにジャムが発生したと判定されたときや、搬送機構50と排出ガイド18とに跨った状態で用紙Pにジャムが発生したと判定されたときに、第3扉5が開くのを許容するように、ロック機構を制御する。
【0090】
(インクジェットプリンタの動作)
上記の構成において、図10に示すジャム処理ルーチンを参照して、インクジェットプリンタ1の動作について説明する。
【0091】
(ジャム処理ルーチン)
ジャム処理ルーチンが実行されると、図10に示すように、給紙経路ジャム検出処理が行われる(S1)。給紙経路ジャム検出処理については後述する。その後、搬送部ジャム検出処理が行われる(S2)。搬送部ジャム検出処理は、給紙経路ジャム検出処理と同様であるのでその説明を省略する。続いて、排紙経路ジャム検出処理が行われる(S3)。排紙経路ジャム検出処理は、給紙経路ジャム検出処理と同様であるのでその説明を省略する。
【0092】
次に、供給ガイド17、排出ガイド18、搬送機構50のいずれかにおいてジャムが発生したか否かが判定される(S4)。ジャムが発生していないと判定された場合には、ステップS1に戻る。一方、ジャムが発生したと判定された場合には、ヘッド制御回路106によりインクジェットヘッド2が制御されることによって、印刷が停止されるとともに(S5)、搬送機構制御回路107により搬送機構50、送りローラ21b,22b,23b、および、給紙ローラ12が制御されることによって、用紙Pの搬送が停止される(S6)。そして、エラー信号が通信回路112から通信部20を介して外部に送信される(S7)。
【0093】
その後、搬送機構50でジャムが発生したか否かが判定される(S8)。搬送機構50でジャムが発生したと判定された場合には、搬送機構制御回路107により搬送機構50が制御されることによって、吸着装置60による用紙Pの搬送面54への吸着が開始される(S9)。そして、ベルト昇降機構制御回路108によりベルト昇降機構80が制御されることによって、搬送機構50が下降されて、インクジェットヘッド2から離間した除去位置に搬送機構50が位置される(S10)。これと同期して、メンテナンス機構制御回路109によりメンテナンス機構30が制御されることによって、キャップ31が待機位置から介在位置に下降される(S11)。その後、吸着装置60による吸着が停止される(S12)。
【0094】
このように、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動するのに同期して、キャップ31が待機位置から介在位置に移動する。これにより、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pをキャップ31と搬送面54とで狭持するようにしてインクジェットヘッド2から離隔させることができる。
【0095】
また、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動している最中に、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pを搬送面54に吸着させることによって、ジャムが生じた用紙Pをインクジェットヘッド2から好適に離隔させることができる。
【0096】
そして、排出ガイド18でジャムが発生したか否かが判定される(S13)。排出ガイド18でジャムが発生したと判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在していることになるので、ロック機構制御回路110によりロック機構が制御されることによって、第3扉5が開くのが許容される(S14)。ユーザは、第3扉5を開けてジャム処理を行うことになる。
【0097】
このように、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在している場合、排出ガイド18内において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップ31を動かすと、用紙Pに生じているジャムが悪化する可能性が高い。そこで、吐出面2aをキャップ31で覆わないことで、用紙Pに生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0098】
一方、排出ガイド18でジャムが発生していないと判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pがキャップ31と搬送面54との間にのみ存在しているか、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在していることになる。この場合、メンテナンス機構制御回路109によりメンテナンス機構30が制御されることによって、キャッピング動作が行われる(S15)。これにより、吐出面2aがキャップ31で覆われる。
【0099】
このように、ジャムが生じた用紙Pがキャップ31と搬送面54との間にのみ存在している場合、搬送面54上において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。また、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在している場合、搬送機構50上において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップ31を動かしても、用紙Pに生じているジャムを悪化させることなく吐出面2aをキャップ31で覆うことができる。
【0100】
そして、供給ガイド17でジャムが発生しているか否かが判定される(S16)。供給ガイド17でジャムが発生していないと判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50にのみ存在していることになるので、ロック機構制御回路110によりロック機構40が制御されることによって、第1扉4が開くのが許容される(S17)。ユーザは、第1扉4を開けてジャム処理を行うことになる。一方、供給ガイド17でジャムが発生していると判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在していることになるので、ロック機構制御回路110によりロック機構が制御されることによって、第2扉6が開くのが許容される(S18)。ユーザは、第2扉6を開けてジャム処理を行うことになる。
【0101】
ステップS14、S17、S18の後、ユーザによるジャム処理が終了した旨の復帰信号を受信したか否かが判定される(S19)。復帰信号を受信していないと判定された場合には、ステップS19が繰り返されることによって、復帰信号の受信待ちが行われる。一方、復帰信号を受信したと判定された場合には、メンテナンス機構制御回路109によりメンテナンス機構30が制御されることによって、メンテナンス機構30が初期位置に復帰される(S20)。そして、ベルト昇降機構制御回路108によりベルト昇降機構80が制御されることによって、搬送機構50が上昇されて、インクジェットヘッド2に近接する印刷位置に搬送機構50が位置される(S21)。そして、ステップS1に戻る。
【0102】
ステップS8において、搬送機構50でジャムが発生していないと判定された場合には、供給ガイド17でジャムが発生したか否かが判定される(S22)。供給ガイド17でジャムが発生したと判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17にのみ存在していることになるので、ロック機構制御回路110によりロック機構が制御されることによって、第2扉6が開くのが許容される(S23)。ユーザは、第2扉6を開けてジャム処理を行うことになる。一方、供給ガイド17でジャムが発生していないと判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pが排出ガイド18にのみ存在していることになるので、ロック機構制御回路110によりロック機構が制御されることによって、第3扉5が開くのが許容される(S24)。ユーザは、第3扉5を開けてジャム処理を行うことになる。
【0103】
このように、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17又は排出ガイド18にのみ存在している場合、吐出面2aを覆うようにキャップ31を移動させてもさせなくても、用紙Pに生じているジャムが悪化することがない。よって、吐出面2aをキャップ31で覆わないことで、無駄な動作を抑制して、ジャム処理から素早く復帰させることができる。
【0104】
その後、ユーザによるジャム処理が終了した旨の復帰信号を受信したか否かが判定される(S25)。復帰信号を受信していないと判定された場合には、ステップS25が繰り返されることによって、復帰信号の受信待ちが行われる。一方、復帰信号を受信したと判定された場合には、ステップS1に戻る。
【0105】
以上のように、吐出面2aを覆うようにキャップ31を移動させると、用紙Pに生じているジャムが悪化するような位置にジャムが生じた用紙Pが存在している場合には、吐出面2aがキャップ31で覆われない。これにより、用紙Pに生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0106】
(給紙経路ジャム検出処理ルーチン)
次に、図10のステップS1である給紙経路ジャム検出処理ルーチンについて、図11を用いて説明する。図11に示すように、第1フラグが「0」に設定される(S101)。ここで、第1フラグは、搬送部ジャム検出処理ルーチンにおける第2フラグ、排紙経路ジャム検出処理ルーチンにおける第3フラグとともに、図10のステップS4においてジャムが生じたか否かを判定するために使用されるとともに、図10のステップS8、ステップS13、ステップS16、および、ステップS22において、どこでジャムが生じているかを判定するために使用されるものであり、ジャムが生じた場合に「1」に更新される。例えば、第1フラグが「1」、第2フラグが「0」、第3フラグが「0」であれば、供給ガイド17においてジャムが生じていると判定される。
【0107】
そして、上流のセンサ73が用紙Pの前端を検出したか否かが判定される(S102)。上流のセンサ73が用紙Pの前端を検出したと判定された場合には、下流のセンサ74が用紙Pの前端を検出したか否かが判定される(S103)。下流のセンサ74が用紙Pの前端を検出していないと判定された場合には、所定時間が経過したか否かが判定される(S104)。所定時間が経過していないと判定された場合には、ステップS103に戻る。一方、所定時間が経過したと判定された場合には、ジャムが発生したと判定されて、第1フラグが「0」から「1」に更新される(S105)。
【0108】
ステップS102において、上流のセンサ73が用紙Pの前端を検出していないと判定された場合、ステップS103において、下流のセンサ74が用紙Pの前端を検出したと判定された場合、および、ステップS105の後に、上流のセンサ73が用紙Pの後端を検出したか否かが判定される(S106)。上流のセンサ73が用紙Pの後端を検出したと判定された場合には、下流のセンサ74が用紙Pの後端を検出したか否かが判定される(S107)。下流のセンサ74が用紙Pの後端を検出していないと判定された場合には、所定時間が経過したか否かが判定される(S108)。所定時間が経過していないと判定された場合には、ステップS107に戻る。一方、所定時間が経過したと判定された場合には、ジャムが発生したと判定されて、第1フラグが「0」から「1」に更新される(S109)。
【0109】
ステップS106において、上流のセンサ73が用紙Pの後端を検出していないと判定された場合、ステップS107において、下流のセンサ74が用紙Pの後端を検出したと判定された場合、および、ステップS109の後に、本サブルーチンが終了されて、図10のジャム処理ルーチンに戻る。
【0110】
(本実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0111】
例えば、上述の実施形態において、キャップ31は、初期状態において、対応するインクジェットヘッド2の上流側の側方である待機位置に位置されている構成にされているが、キャップ31は、初期状態において、対応するインクジェットヘッド2の下流側の側方に位置されていてもよい。この場合、キャッピング動作によって、キャップ31は搬送方向Aの下流側から上流側に向かって移動することになる。このような場合において、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在している場合に、キャッピング動作が行われず、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在している場合に、キャッピング動作が行われることにより、用紙Pに生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0112】
また、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じた場合に、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動するとともに、キャップ31が待機位置から介在位置に移動する構成にされているが、これらの移動が行われなくてもよい。
【0113】
また、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じた場合に、吸着装置60によって用紙Pが搬送面54に吸着される構成にされているが、用紙Pの吸着が行われなくてもよい。
【0114】
本発明によるインクジェット記録装置は、インクジェット式に限定されず、サーマル式にも適用可能であり、またライン式に限定されず、ヘッドが往復移動するシリアル式にも適用可能である。また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。また、本実施形態における搬送機構50は、水平方向に用紙Pを搬送しているが、水平方向以外の方向(例えば、斜め方向及び鉛直方向)に用紙Pを搬送することが可能なように、吐出面2aと平行な搬送面54が水平方向に対して傾いて配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 インクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)
1a 筐体
2 インクジェットヘッド
2a 吐出面
4 第1扉(第1ドア)
5 第3扉(第3ドア)
6 第2扉(第2ドア)
17 供給ガイド(供給機構)
18 排出ガイド(排出機構)
30 メンテナンス機構
31 キャップ
50 搬送機構
60 吸着装置
80 ベルト昇降機構
100 制御部
102 CPU
108 ベルト昇降機構制御回路
109 メンテナンス機構制御回路
P 用紙(記録媒体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の記録装置においては、紙などの記録媒体上にインクを吐出する記録ヘッドと、記録ヘッドに対向し、記録媒体を搬送する搬送ベルトとの間を記録媒体が搬送されていく際に、記録媒体にジャムが生じる場合がある。
【0003】
一方、特許文献1には、ベルトプラテン及び各メンテナンス機構を下降させ、各メンテナンス機構を各インクヘッドの真下に移動させ、各メンテナンス機構を上昇させて各メンテナンス機構に備えられた各キャップで各インクヘッドをキャップし、この後に、インクジェット方式の画像形成装置のシステム電源を遮断処理することにより、キャップでインクヘッドを保護することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−88423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、記録媒体にジャムが生じている場合に、記録ヘッドを保護するためにキャップを移動させると、ジャムの生じ方によっては、ジャムが悪化する場合がある。
【0006】
本発明の目的は、記録媒体に生じているジャムの悪化を抑制することが可能なインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出する吐出面が形成されたインクジェットヘッドと、前記吐出面と対向する搬送面を有し、少なくとも前記搬送面上において記録媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送機構と、前記記録媒体を前記搬送機構に供給する供給機構と、前記記録媒体を排出する排出機構と、前記吐出面を覆うことが可能なキャップと、前記吐出面を覆うように前記キャップを移動させるキャップ移動機構と、前記搬送機構における前記記録媒体のジャムを検出する第1ジャム検出手段と、前記供給機構における前記記録媒体のジャムを検出する第2ジャム検出手段と、前記排出機構における前記記録媒体のジャムを検出する第3ジャム検出手段と、前記第1から第3ジャム検出手段のうち、前記記録媒体のジャムを検出したのがいずれであるかに応じて、前記キャップで前記吐出面を覆うか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が前記キャップで前記吐出面を覆うと判断した場合に、前記吐出面が前記キャップで覆われるように前記キャップ移動機構を制御するキャップ移動制御手段と、を有する。
【0008】
上記の構成によれば、第1から第3ジャム検出手段のうち、記録媒体のジャムを検出したのがいずれであるかに応じて、即ち、ジャムが生じた記録媒体が存在している位置に応じて、キャップで吐出面を覆うか否かが判断され、キャップで吐出面を覆うと判定された場合に、吐出面がキャップで覆われる。即ち、吐出面を覆うようにキャップを移動させると、記録媒体に生じているジャムが悪化するような位置にジャムが生じた記録媒体が存在している場合には、吐出面がキャップで覆われない。これにより、記録媒体に生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0009】
また、本発明のインクジェット記録装置においては、前記インクジェットヘッドから吐出されたインクによって前記記録媒体に画像を印刷する際の印刷位置と、前記吐出面と前記搬送機構との離隔距離が前記印刷位置よりも大きく且つ前記吐出面と前記搬送機構との間においてジャムした記録媒体をユーザに除去させる際の除去位置との間において、前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を相対移動させる相対移動機構と、前記第1ジャム検出手段において前記記録媒体のジャムが検出されたときに、前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させるように、前記相対移動機構を制御する相対移動制御手段と、を更に有し、前記キャップ移動機構は、前記インクジェットヘッドと前記搬送機構との間に位置する介在位置と、前記介在位置よりも前記インクジェットヘッド側に位置する待機位置との間において、前記キャップを移動させ、前記キャップ移動制御手段は、前記相対移動機構が前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させるのに同期して、前記キャップが前記待機位置から前記介在位置に移動するように、前記キャップ移動機構を制御してよい。
【0010】
上記の構成によれば、キャップと搬送面との間にジャムが生じた記録媒体が存在している場合に、搬送機構とインクジェットヘッドの位置が印刷位置から除去位置に相対移動するのに同期して、キャップが待機位置から介在位置に移動する。これにより、キャップと搬送面との間に存在しているジャムが生じた記録媒体をキャップと搬送面とで狭持するようにしてインクジェットヘッドから離隔させることができる。
【0011】
また、本発明のインクジェット記録装置において、前記搬送機構が、前記搬送面に前記記録媒体を吸着させる吸着装置を含んでおり、前記相対移動機構が前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させている最中に、前記搬送面に前記記録媒体を吸着させるように、前記吸着装置を制御する吸着制御手段を更に有していてよい。上記の構成によれば、搬送機構とインクジェットヘッドの位置が印刷位置から除去位置に相対移動している最中に、キャップと搬送面との間に存在しているジャムが生じた記録媒体を搬送面に吸着させることによって、ジャムが生じた記録媒体をインクジェットヘッドから好適に離隔させることができる。
【0012】
また、本発明のインクジェット記録装置において、前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段のみが前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆うと判断してよい。上記の構成によれば、ジャムが生じた記録媒体がキャップと搬送面との間にのみ存在している場合、搬送面上において記録媒体の前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップを動かしても、記録媒体に生じているジャムを悪化させることなく吐出面をキャップで覆うことができる。
【0013】
また、本発明のインクジェット記録装置において、前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段および前記第2ジャム検出手段がそれぞれ前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆うと判断してよい。上記の構成によれば、ジャムが生じた記録媒体が供給機構と搬送機構とに跨って存在している場合、搬送機構内において記録媒体の前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップを動かしても、記録媒体に生じているジャムを悪化させることなく吐出面をキャップで覆うことができる。
【0014】
また、本発明のインクジェット記録装置において、前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段および前記第3ジャム検出手段がそれぞれ前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆わないと判断してよい。上記の構成によれば、ジャムが生じた記録媒体が搬送機構と排出機構とに跨って存在している場合、排出機構内において記録媒体の前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップを動かすと、記録媒体に生じているジャムが悪化する可能性が高い。そこで、吐出面をキャップで覆わないことで、記録媒体に生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0015】
また、本発明のインクジェット記録装置において、前記判断手段は、前記第2ジャム検出手段のみ又は前記第3ジャム検出手段のみが前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆わないと判断してよい。上記の構成によれば、ジャムが生じた記録媒体が供給機構又は排出機構にのみ存在している場合、吐出面を覆うようにキャップを移動させてもさせなくても、記録媒体に生じているジャムが悪化することがない。よって、吐出面をキャップで覆わないことで、無駄な動作を抑制して、ジャム処理から素早く復帰させることができる。
【0016】
また、本発明のインクジェット記録装置においては、前記インクジェットヘッド、前記搬送機構、前記供給機構、前記排出機構、前記キャップ、および、前記キャップ移動機構を収容する筐体と、前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記搬送機構にアプローチ可能となる第1ドアと、前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記供給機構にアプローチ可能となる第2ドアと、前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記排出機構にアプローチ可能となる第3ドアと、を更に有していてよい。上記の構成によれば、ジャムが生じた記録媒体が搬送機構にのみ存在している場合には、第1ドアから搬送機構にアプローチすることで、記録媒体を除去することができる場合がある。また、ジャムが生じた記録媒体が供給機構にのみ存在している場合や、供給機構と搬送機構とに跨って存在している場合には、第2ドアから供給機構にアプローチすることで、記録媒体を除去することができる場合がある。また、ジャムが生じた記録媒体が排出機構にのみ存在している場合や、搬送機構と排出機構とに跨って存在している場合には、第3ドアから排出機構にアプローチすることで、記録媒体を除去することができる場合がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明のインクジェット記録装置によると、吐出面を覆うようにキャップを移動させると、記録媒体に生じているジャムが悪化するような位置にジャムが生じた記録媒体が存在している場合には、吐出面がキャップで覆われない。これにより、記録媒体に生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態によるインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図3】図2に示す4つのインクジェットヘッド及びこれらの近傍を上方から見たときの平面図である。
【図4】ベルト昇降機構を示す概略側面図である。
【図5】メンテナンス機構を示す斜視図である。
【図6】キャッピング動作を示す側面図である。
【図7】ジャムが生じた用紙を示す側面図である。
【図8】ロック機構を示す部分側面図である。
【図9】インクジェットプリンタの電気的構成を示す図である。
【図10】ジャム処理ルーチンを示す図である。
【図11】給紙経路ジャム検出処理ルーチンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(インクジェットプリンタの機械的構成)
本発明の実施形態によるインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)1は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有し、その正面(図1の紙面手前側の面)には、上から順に2つの開口3a,3bが形成されている。開口3aには、下端の水平軸を支点として開閉可能な第1扉(第1ドア)4が設けられている。開口3a及び第1扉4は、筐体1aの奥行き方向(図2の紙面に対して垂直な方向であって主走査方向)に関して、搬送機構50と対向配置されている。この構成において、搬送機構50において用紙(記録媒体)Pがジャムした場合に、ユーザが第1扉4を開けて搬送機構50にアプローチすることによって、ジャムした用紙Pを取り除くことが可能にされている。
【0021】
また、図1に示すように、筐体1aの一方の側面(図1の紙面手前側の面)には、開口3cが形成されている。開口3cには、下端の水平軸を支点として開閉可能な第3扉(第3ドア)5が設けられている。第3扉5の内側には、図2に示すように、後述する排出ガイド(排出機構)18を構成する外側搬送面18aが形成されている。開口3c及び第3扉5は、副走査方向に関して、排出ガイド18の内部と対向配置されている。この構成において、排出ガイド18において用紙Pがジャムした場合に、ユーザが第3扉5を開けて排出ガイド18の内部にアプローチすることによって、ジャムした用紙Pを取り除くことが可能にされている。
【0022】
また、筐体1aの他方の側面(図1の紙面奥側の面)には、図示しない開口3dが形成されている。図示しない開口3dには、下端の水平軸を支点として開閉可能な第2扉(第2ドア)6が設けられている。第2扉6の内側には、図2に示すように、後述する供給ガイド(供給機構)17を構成する外側搬送面17aが形成されている。開口3d及び第2扉6は、図2に示すように、副走査方向に関して、供給ガイド17の内部と対向配置されている。この構成において、供給ガイド17において用紙Pがジャムした場合に、ユーザが第2扉6を開けて供給ガイド17の内部にアプローチすることによって、ジャムした用紙Pを取り除くことが可能にされている。
【0023】
図2に示すように、インクジェットプリンタ1は、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2を有するカラーインクジェットプリンタである。このインクジェットプリンタ1には、図2中下方に給紙装置10が、図2中上方に排紙部15がそれぞれ設けられており、これらの間に搬送方向Aに沿って用紙Pを搬送する搬送機構50が設けられている。さらに、インクジェットプリンタ1には、これらの動作を制御する制御部100が含まれている。
【0024】
4つのインクジェットヘッド2は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有しており、副走査方向に沿って互いに隣接配置された状態で、枠状のフレーム7に固定されている。すなわち、このインクジェットプリンタ1は、ライン式プリンタである。なお、本実施形態において、副走査方向とは用紙Pの搬送方向Aと平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向(図3中上下方向)である。
【0025】
インクジェットヘッド2は、圧力室を含むインク流路が形成された流路ユニットと、圧力室のインクに圧力を与えるアクチュエータとが貼り合わされた積層体(ともに図示せず)を有しており、底面はインクを吐出する吐出面2aとなっている。図3に示すように、吐出面2aには、インクを吐出する複数の吐出口2bと、これら吐出口2bを内包する吐出領域2cと、吐出領域2cを取り囲む非吐出領域2dとが形成されている。吐出領域2cは、主走査方向に関して、用紙Pよりも若干長く形成されており、搬送機構50により搬送される用紙Pの全面に画像を形成する(縁なし印刷する)ことが可能となっている。なお、図3においては後述するメンテナンス機構30を図示していない。
【0026】
給紙装置10は、図2に示すように、積層された複数の用紙Pを収納可能な給紙カセット11と、給紙カセット11から用紙Pを送り出す給紙ローラ12と、給紙ローラ12を回転させる図示しない給紙モータとを有している。給紙カセット11は、図2の紙面垂直方向に関して、着脱可能に配置されており、筐体1aに装着されたときに、図2中上下方向に関して搬送機構50と重なる位置に配置される。給紙ローラ12は、最も上方に位置する用紙Pと回転しながら接触することで給紙カセット11から用紙Pを送り出す。なお、給紙ローラ12を回転させる給紙モータは制御部100によって制御される。
【0027】
図2中左端部側において、給紙カセット11と搬送機構50との搬送経路に沿う間には、給紙カセット11から搬送機構50に向かって湾曲しながら延在する供給ガイド17と、供給ガイド17の下流側に設けられた2つの送りローラ23a,23bとが配置されている。供給ガイド17は、第2扉6に形成された外側搬送面17aと、この外側搬送面17aに対向する内側搬送面17bとで構成されている。送りローラ23bは、制御部100により制御される送りモータ(図示せず)によって回転駆動される。また、送りローラ23aは、従動ローラであり用紙搬送に伴って回転する。
【0028】
この構成において、制御部100の制御により、給紙ローラ12が図2中時計回り方向に回転されることによって、給紙ローラ12と接触した用紙Pが供給ガイド17を通って図2中上方に送られる。そして、用紙Pは、送りローラ23a,23bに挟持されながら搬送機構50に供給される。
【0029】
また、給紙ローラ12の下流側であって供給ガイド17の上流側、及び、供給ガイド17の下流側であって送りローラ23a,23bの上流側には、その検出面が供給ガイド17内を通過する用紙Pに対向するように、2つのセンサ73,74が設けられている。これらセンサ73,74は、光が用紙Pの表面で反射することによって用紙Pを検出する反射型の光学式センサであり、主走査方向に関して、供給ガイド17の内部中央と対向する位置に配置されている。これらのセンサ73,74は、供給ガイド17内を通過されてきた用紙Pの前端および後端を検出する。なお、センサ73,74は、反射型の光学式センサに限定されず、透過型の光学式センサ等であってもよい。
【0030】
ここで、センサ73が用紙Pの前端を検出してから所定時間が経過しても、センサ74が用紙Pの前端を検出しない場合には、制御部100は、供給ガイド17内において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合、制御部100は、給紙ローラ12及び送りローラ23bの回転を停止させる。また、センサ73が用紙Pの後端を検出してから所定時間が経過しても、センサ74が用紙Pの後端を検出しない場合には、制御部100は、供給ガイド17内において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合も、制御部100は、給紙ローラ12及び送りローラ23bの回転を停止させる。
【0031】
搬送機構50は、図2に示すように、2つのベルトローラ51,52と、両ベルトローラ51,52間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト53と、搬送ベルト53にテンションを付加するテンションローラ55と、ベルトローラ52を回転させる図示しない搬送モータと、吸着装置60とを有している。2つのベルトローラ51,52は、搬送方向Aに沿って並設されている。搬送ベルト53は、図3に示すように、用紙Pを支持する搬送面(外周面)54を有している。
【0032】
ベルトローラ52は、駆動ローラであって、図示しない搬送モータにより、図2中時計回り方向に回転される。ベルトローラ51は、従動ローラであって、ベルトローラ52の回転により搬送ベルト53が走行するのに伴って、図2中時計回り方向に回転する。また、テンションローラ55は、図2に示すように、搬送ベルト53の下側ループにおいてその内周面に接触しつつ搬送ベルト53にテンションを付加した状態で筐体1aに回転可能に支持されており、搬送ベルト53が走行するのに伴って、図2中時計回り方向に回転する。
【0033】
吸着装置60は、図2に示すように、搬送ベルト53によって囲まれた領域内に配置されており、略直方体形状のプラテン61と、プラテン61の下方に配置されたファン62とを有している。プラテン61の上面には、厚み方向に貫通した複数の孔(図示せず)が形成されている。複数の孔は、搬送ベルト53と対向する領域内において全体に亘って分散して配置されている。プラテン61は、主走査方向に関して、用紙P及び搬送ベルト53の長さよりも若干長く形成されている。
【0034】
また、プラテン61の上面は、図2に示すように、搬送ベルト53の上側ループの内周面と接触しており、搬送ベルト53の内周側からこれを支持している。これにより、搬送ベルト53の上側ループの搬送面54とインクジェットヘッド2の吐出面2aとが対向しつつ平行になり、且つ、吐出面2aと搬送ベルト53の搬送面54との間に僅かな隙間が形成されている。この隙間は、用紙搬送経路の一部を構成している。
【0035】
ファン62は、図2に示すように、略直方体形状を有しており、内部に設けられた回転羽が回転することによって、上面に形成された吸引口(図示せず)から空気を吸引する装置である。なお、ファン62は、制御部100により制御される。
【0036】
搬送方向Aに関して最も上流に配置されたインクジェットヘッド2の上流であって、ベルトローラ51と対向する位置には、押さえローラ48が配置されている。押さえローラ48は、バネなどの弾性部材(図示せず)によって搬送面54に対して付勢されており、給紙装置10から送り出された用紙Pを搬送面54に押さえ付ける。また、押さえローラ48は、従動ローラであり、搬送ベルト53の回転に伴って回転する。
【0037】
この構成において、制御部100の制御により、ベルトローラ52を図2中時計回り方向に回転させることによって、搬送ベルト53が回転する。このとき、搬送ベルト53の回転に伴ってベルトローラ51、テンションローラ55、及び、押さえローラ48も回転する。また、このとき、制御部100の制御により、ファン62が駆動され、プラテン61に設けられたすべての孔から吸引された空気が、ファン62に設けられた吸引口に吸引される。これにより、給紙装置10から送り出された用紙Pが搬送面54に吸着しながら搬送方向Aに搬送される。さらにこのとき、搬送ベルト53の搬送面54上に保持されつつ搬送されてきた用紙Pが4つのインクジェットヘッド2のすぐ下方を順に通過する際に、制御部100が各インクジェットヘッド2を制御し、用紙Pに向けて各色のインクが吐出される。こうして、用紙Pに所望のカラー画像が形成される。
【0038】
また、押さえローラ48とインクジェットヘッド2との間、及び、搬送方向Aに関して最も下流にあるインクジェットヘッド2の下流には、その検出面が搬送面54に対向するように、2つのセンサ71,72が設けられている。これらセンサ71,72は、光が用紙Pの表面で反射することによって用紙Pを検出する反射型の光学式センサであり、主走査方向に関して、搬送面54の中央と対向する位置に配置されている。これらのセンサ71,72は、搬送ベルト53によって搬送されてきた用紙Pの前端および後端を検出する。なお、センサ71,72は、反射型の光学式センサに限定されず、透過型の光学式センサ等であってもよい。
【0039】
ここで、センサ71が用紙Pの前端を検出してから所定時間が経過しても、センサ72が用紙Pの前端を検出しない場合には、制御部100は、搬送機構50上において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合、制御部100は、搬送ベルト53の回転を停止させるとともに、各インクジェットヘッド2によるインクの吐出を停止させる。また、センサ71が用紙Pの後端を検出してから所定時間が経過しても、センサ72が用紙Pの後端を検出しない場合には、制御部100は、搬送機構50上において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合も、制御部100は、搬送ベルト53の回転を停止させるとともに、各インクジェットヘッド2によるインクの吐出を停止させる。
【0040】
また、図4に示すように、搬送機構50は、ベルト昇降機構(相対移動機構)80により、インクジェットヘッド2から吐出されたインクによって用紙Pに画像を印刷する際の印刷位置と、吐出面2aと搬送機構50との離隔距離が印刷位置におけるよりも大きく且つ吐出面2aと搬送機構50との間においてジャムした用紙Pをユーザに除去させる際の除去位置との間において、インクジェットヘッド2に対して上下に相対移動される。即ち、搬送機構50は、図2に示されている、インクジェットヘッド2に近接した印刷位置と、印刷位置よりも下方に移動された除去位置との間において、上下動される。
【0041】
ベルト昇降機構80は、図4に示すように、ベルトローラ51を昇降させる昇降部81と、ベルトローラ52を昇降させる昇降部85とを有している。昇降部81は、昇降モータ82と、2つのリング83と、連結部材であるワイヤ84とを有している。リング83は、ベルトローラ51の軸51aの両端部近傍に設けられており、軸51aを回転可能に支持している。ワイヤ84は、リング83の上端にその一端が固定されている。ワイヤ84の他端は、昇降モータ82の軸82aに固定されつつ巻回されている。また、筐体1a内には、ベルトローラ51の軸51aの両端と対向する位置に、ベルトローラ51の軸51aの両端が上下に移動するのを案内するガイド91が設けられている。このガイド91は、印刷位置に搬送機構50が配置されているときの軸51aの位置を上端とし、そこから下方に延びている。
【0042】
また、昇降部85も、昇降モータ86と、2つのリング87と、連結部材であるワイヤ88とを有している。リング87は、軸52aの両端部近傍に設けられており、軸52aを回転可能に支持している。ワイヤ88も、一端がリング87の上端に、他端が昇降モータ86の軸86aに固定されつつ、軸86aに巻回されている。また、筐体1a内には、ベルトローラ52の軸52aの両端と対向する位置に、ベルトローラ52の軸52aの両端が上下に移動するのを案内するガイド92が設けられている。このガイド92は、印刷位置に搬送機構50が配置されているときの軸52aの位置を上端とし、そこから下方に延びている。
【0043】
この構成において、制御部100の制御により、2つの昇降モータ82,86が同時に駆動されて軸82a,86aが図4中反時計回り方向に回転すると、連結部材84,88が軸82a,86aから巻き解かれる。これにより、搬送機構50が、ガイド91,92に沿って下方に移動する。即ち、搬送機構50が印刷位置から除去位置に移動する。一方、制御部100の制御により、軸82a,86aが図4中時計回り方向に回転すると、連結部材84,88が軸82a,86aに巻き取られる。これにより、搬送機構50が、ガイド91,92に沿って上方に移動する。即ち、搬送機構50が除去位置から印刷位置に移動する。
【0044】
搬送機構50の印刷位置から除去位置への移動は、搬送機構50が印刷位置に位置されて用紙Pに画像が印刷されているときに、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じた場合に行われる。これにより、吐出面2aと搬送機構50との離隔距離が大きくなるから、ユーザは第1扉4を開けて搬送機構50上にアプローチすることによって、ジャムした用紙Pを容易に取り除くことができる。
【0045】
また、搬送機構50の印刷位置から除去位置への移動は、供給ガイド17と搬送機構50とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合や、搬送機構50と排出ガイド18とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合にも行われる。
【0046】
なお、本実施形態においては、ベルト昇降機構80によって、搬送機構50がインクジェットヘッド2に対して上下動される構成にされているが、これに限定されず、ベルト昇降機構80によって、インクジェットヘッド2が搬送機構50に対して上下動される構成にされていてもよい。また、ベルト昇降機構80によって、インクジェットヘッド2と搬送機構50とが、互いに離間/近接するように上下動される構成にされていてもよい。
【0047】
図2に示すように、搬送機構50の搬送方向Aのすぐ下流側には、剥離プレート9が設けられている。剥離プレート9は、その先端が用紙Pと搬送ベルト53との間に入り込むことによって、用紙Pを搬送面54から剥離する。
【0048】
搬送機構50と排紙部15との搬送経路に沿う間には、4つの送りローラ21a,21b,22a,22bと、送りローラ21a,21bと送りローラ22a,22bとの間に配置された排出ガイド18とが配置されている。送りローラ21b,22bは、制御部100により制御される送りモータ(図示せず)によって回転駆動される。また、送りローラ21a,22aは、従動ローラであり用紙搬送に伴って回転する。排出ガイド18は、第3扉5に形成された外側搬送面18aと、この外側搬送面18aに対向する内側搬送面18bとで構成されている。
【0049】
この構成において、制御部100の制御により、送りローラ21b,22bが回転するように送りモータが駆動され、搬送機構50から排出された用紙Pが送りローラ21a,21bに挟持されながら排出ガイド18内を通されて図2中上方に送られる。そして、用紙Pは、送りローラ22a,22bに挟持されながら排紙部15に排出される。
【0050】
また、剥離プレート9の下流側であって送りローラ21a,21bの上流側、及び、排出ガイド18の下流側であって送りローラ22a,22bの上流側には、その検出面が排出ガイド18内を通過する用紙Pに対向するように、2つのセンサ75,76が設けられている。これらセンサ75,76は、光が用紙Pの表面で反射することによって用紙Pを検出する反射型の光学式センサであり、主走査方向に関して、排出ガイド18の内部中央と対向する位置に配置されている。これらのセンサ75,76は、排出ガイド18内を通過してきた用紙Pの前端および後端を検出する。なお、センサ75,76は、反射型の光学式センサに限定されず、透過型の光学式センサ等であってもよい。
【0051】
ここで、センサ75が用紙Pの前端を検出してから所定時間が経過しても、センサ76が用紙Pの前端を検出しない場合には、制御部100は、排出ガイド18内において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合、制御部100は、送りローラ21b及び送りローラ22bの回転を停止させる。また、センサ75が用紙Pの後端を検出してから所定時間が経過しても、センサ76が用紙Pの後端を検出しない場合には、制御部100は、排出ガイド18内において用紙Pにジャムが生じたと判定する。この場合も、制御部100は、送りローラ21b及び送りローラ22bの回転を停止させる。
【0052】
また、図2に示すように、4つのインクジェットヘッド2と搬送機構50との間には、メンテナンス機構(キャップ移動機構)30が設けられている。メンテナンス機構30は、各インクジェットヘッド2の吐出面2aを覆うことが可能な4つのキャップ31を有している。キャップ31は、矩形平面形状をしたゴムなどの弾性材料で構成されており、その長手方向がインクジェットヘッド2の長手方向に平行にされている。キャップ31は、初期状態において、対応するインクジェットヘッド2の上流側の側方である待機位置に位置されており、メンテナンス機構30の動きにともなって、対応するインクジェットヘッド2に対して、図2中上下左右方向に移動される。
【0053】
メンテナンス機構30は、図5(a)に示すように、副走査方向に沿って等間隔で配置され、それぞれの上面にキャップ31が設けられた4つの板体32と、各板体32を狭持し、上方に突出した角部33aを両端に有する一対の内側フレーム33とを有している。また、各内側フレーム33の一方の角部33aには、図示しない駆動モータの軸に固定されたピニオンギヤ34が、水平方向に設けられたラックギヤ35に噛合するように設けられている。なお、図5(a)においては、手前側の内側フレーム33においてのみ、ピニオンギヤ34を図示している。
【0054】
また、メンテナンス機構30は、図5(b)に示すように、一対の内側フレーム33の外周に設けられた外側フレーム36を有している。この外側フレーム36の内側には、図5(a)に示したラックギヤ35が固定されている。また、外側フレーム36には、図示しない駆動モータの軸に固定されたピニオンギヤ37が、垂直方向に設けられたラックギヤ38に噛合するように設けられている。なお、ラックギヤ38は、筐体1aの内部に立設されている。
【0055】
この構成において、2つのピニオンギヤ34を同期させて回転させることにより、一対の内側フレーム33が副走査方向に沿って移動される。また、ピニオンギヤ37を回転させることにより、外側フレーム36が垂直方向に沿って移動される。
【0056】
具体的には、図2に示す待機位置においては、各板体32が各インクジェットヘッド2の上流側の側方に位置されており、図5(a)において、板体32同士の間の3つの開口39a、及び、一番下流側の板体32と内側フレーム33の角部33aとの間の開口39bが、吐出面2aにそれぞれ対向されている。この初期状態から、各キャップ31が対応する吐出面2aを覆うキャッピング動作が行われると、まず、図6(a)に示すように、外側フレーム36が垂直方向に下降されることで、メンテナンス機構30がインクジェットヘッド2と搬送機構50との間に位置される。これにより、キャップ31がインクジェットヘッド2と搬送機構50との間であって、吐出面2aに対向しない介在位置に位置される。
【0057】
次に、図6(b)に示すように、一対の内側フレーム33が副走査方向の下流側に移動される。これにより、キャップ31が吐出面2aに対向する対向位置に位置される。次に、図6(c)に示すように、外側フレーム36が垂直方向に上昇されることで、キャップ31が吐出面2aに当接して吐出面2aを覆うキャップ位置に位置される。以上の手順により、各キャップ31によって対応する吐出面2aが覆われる。なお、逆の手順により、キャップ31が待機位置に復帰される。
【0058】
キャッピング動作は、ベルト昇降機構80によって、搬送機構50が印刷位置から除去位置に下降された状態で行われたり、搬送機構50が印刷位置に位置した状態で行われる。
【0059】
具体的には、キャッピング動作は、図7(a)に示すように、搬送機構50においてのみ用紙Pにジャムが生じた場合に行われる。このとき、上述したように、搬送機構50が印刷位置から除去位置に移動する。これと同期して、キャップ31が待機位置から介在位置に移動する。これにより、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの全体をキャップ31と搬送面54とで狭持するようにしてインクジェットヘッド2から離隔させることができる。
【0060】
また、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動している最中に、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの全体が、吸着装置60によって搬送面54に吸着される。これにより、ジャムが生じた用紙Pをインクジェットヘッド2から好適に離隔させることができる。
【0061】
その後、キャップ31が搬送方向に沿って下流に向かって移動されて対向位置に位置し、続いて、キャップ位置に位置する。これにより、吐出面2aがキャップ31で覆われるから、ユーザによるジャム処理中に吐出面2aがインクやゴミで目詰まりするのを防止することができる。
【0062】
このように、ジャムが生じた用紙Pがキャップ31と搬送面54との間にのみ存在している場合、搬送面54上において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップ31を動かしても、用紙Pに生じているジャムを悪化させることなく吐出面2aをキャップ31で覆うことができる。
【0063】
また、キャッピング動作は、図7(b)に示すように、供給ガイド17と搬送機構50とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合に行われる。このとき、上述したように、搬送機構50が印刷位置から除去位置に移動する。これと同期して、キャップ31が待機位置から介在位置に移動する。これにより、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの一部をキャップ31と搬送面54とで狭持するようにしてインクジェットヘッド2から離隔させることができる。
【0064】
また、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動している最中に、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの一部が、吸着装置60によって搬送面54に吸着される。これにより、ジャムが生じた用紙Pをインクジェットヘッド2から好適に離隔させることができる。
【0065】
その後、キャップ31が搬送方向に沿って下流に向かって移動されて対向位置に位置され、続いて、キャップ位置に位置される。これにより、吐出面2aがキャップ31で覆われるから、ユーザによるジャム処理中に吐出面2aがインクやゴミで目詰まりするのを防止することができる。
【0066】
このように、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在している場合、搬送機構50上において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップ31を動かしても、用紙Pに生じているジャムを悪化させることなく吐出面2aをキャップ31で覆うことができる。
【0067】
一方、図7(c)に示すように、搬送機構50と排出ガイド18とに跨った状態で用紙Pにジャムが生じた場合には、キャッピング動作は行われない。このとき、上述したように、搬送機構50が印刷位置から除去位置に移動する。これと同期して、キャップ31が待機位置から介在位置に移動する。これにより、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの一部をキャップ31と搬送面54とで狭持するようにしてインクジェットヘッド2から離隔させることができる。
【0068】
また、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動している最中に、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pの一部が、吸着装置60によって搬送面54に吸着される。これにより、ジャムが生じた用紙Pをインクジェットヘッド2から好適に離隔させることができる。
【0069】
このように、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在している場合、排出ガイド18内において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップ31を動かすと、用紙Pに生じているジャムが悪化する可能性が高い。そこで、吐出面2aをキャップ31で覆わないことで、用紙Pに生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0070】
また、供給ガイド17においてのみ用紙Pにジャムが生じた場合や、排出ガイド18においてのみ用紙Pにジャムが生じた場合にも、キャッピング動作は行われない。このように、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17又は排出ガイド18にのみ存在している場合、吐出面2aを覆うようにキャップ31を移動させてもさせなくても、用紙Pに生じているジャムが悪化することがない。よって、吐出面2aをキャップ31で覆わないことで、無駄な動作を抑制して、ジャム処理から素早く復帰させることができる。
【0071】
以上のように、吐出面2aを覆うようにキャップ31を移動させると、用紙Pに生じているジャムが悪化するような位置にジャムが生じた用紙Pが存在している場合には、吐出面2aがキャップ31で覆われない。これにより、用紙Pに生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0072】
図1に戻って、開放されるとユーザが搬送機構50にアプローチ可能となる第1扉4は、ロック機構40によって、開くのが禁止可能にされている。第2扉6および第3扉5も同様に、ロック機構40と同様のロック機構によって、開くのが禁止可能にされている。ロック機構40は、図8に示すように、筐体1aの内部側に設けられ、可動鉄心41aを直線的に進退させるソレノイド41と、第1扉4の内側に設けられ、進出された可動鉄心41aが貫通可能な穴42aを有する突出部42とを有している。
【0073】
ロック機構40は、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じている場合には、図8(a)に示すように、ソレノイド41の可動鉄心41aを進出させない。これにより、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じている場合には、第1扉4が開くのが許容される。一方、ロック機構40は、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じていない場合には、図8(b)に示すように、ソレノイド41の可動鉄心41aを進出させる。これにより、可動鉄心41aが突出部42の穴42aに貫通し、第1扉4が開くのが禁止される。即ち、ジャム処理のためにユーザが搬送機構50にアプローチすることが必要になった場合に、第1扉4が開くのが許容されて、ユーザが搬送機構50にアプローチすることが可能になる。
【0074】
同様に、ジャム処理のためにユーザが供給ガイド17にアプローチすることが必要になった場合に、第2扉6が開くのが許容されて、ユーザが供給ガイド17にアプローチすることが可能になる。また、ジャム処理のためにユーザが排出ガイド18にアプローチすることが必要になった場合に、第3扉5が開くのが許容されて、ユーザが排出ガイド18にアプローチすることが可能になる。
【0075】
このように、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50にのみ存在している場合には、第1扉4から搬送機構50にアプローチすることで、用紙Pを除去することができる場合がある。また、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17にのみ存在している場合や、供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在している場合には、第2扉6から供給ガイド17にアプローチすることで、用紙Pを除去することができる場合がある。また、ジャムが生じた記録媒体が排出ガイド18にのみ存在している場合や、搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在している場合には、第3扉5から排出ガイド18にアプローチすることで、用紙Pを除去することができる場合がある。
【0076】
(インクジェットプリンタの電気的構成)
インクジェットプリンタ1は、図9に示すように、制御部100によって動作が制御されている。制御部100は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ101を主たる構成要素とし、これに各種回路を加えて構成されている。マイクロコンピュータ101は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU102と、各種プログラムを格納するROM103と、一時記憶手段としてのRAM104と、を有している。
【0077】
CPU102には、インクジェットヘッド2を制御するヘッド制御回路106、搬送機構50や送りローラ21b,22b,23b、給紙ローラ12を制御する搬送機構制御回路107、ベルト昇降機構80を制御するベルト昇降機構制御回路108、メンテナンス機構30を制御するメンテナンス機構制御回路109、ロック機構40を制御するロック機構制御回路110、センサ71〜76からの用紙検出信号が入力されるインターフェイス回路111、および、通信部20を介して図示しない汎用パーソナルコンピュータ等との間で通信を行う通信回路112が接続されており、CPU102は、これらを制御している。CPU102と搬送機構制御回路107とは、吸着制御手段を構成している。また、CPU102とベルト昇降機構制御回路108とは、相対移動制御手段を構成している。また、CPU102とメンテナンス機構制御回路109とは、キャップ移動制御手段を構成している。
【0078】
ヘッド制御回路106は、図示しない汎用パーソナルコンピュータ等から通信部20を介して転送された印刷データに基づいて、用紙Pに対してインクを吐出するように、各インクジェットヘッド2を制御する。このとき、ヘッド制御回路106は、センサ71が搬送機構50によって搬送されてきた用紙Pの前端を検出してから所定時間経過後に用紙Pに対してインクの吐出を開始するように、各インクジェットヘッド2を制御する。ここでいう所定時間とは、センサ71が用紙Pの前端を検出したときの用紙Pの前端から最も上流にあるインクジェットヘッド2の最も上流にある吐出口2bまでの搬送経路に沿った距離を、用紙Pの搬送速度で割った時間である。
【0079】
また、搬送機構制御回路107は、給紙装置10から排紙部15まで用紙Pを搬送するように、搬送機構50、送りローラ21b,22b,23b、および、給紙ローラ12を制御する。特に、搬送機構制御回路107は、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動されている最中に、搬送面54に用紙Pを吸着させるように、吸着装置60を制御する。
【0080】
また、ベルト昇降機構制御回路108は、搬送中の用紙Pにジャムが生じた場合等に、搬送機構50をインクジェットヘッド2から離間させるように、ベルト昇降機構80を制御する。特に、ベルト昇降機構制御回路108は、搬送機構50において用紙Pのジャムが検出されたときに、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置を印刷位置から除去位置に相対移動させるように、ベルト昇降機構80を制御する。
【0081】
また、メンテナンス機構制御回路109は、搬送中の用紙Pにジャムが生じた場合等に、キャッピング動作を行うように、メンテナンス機構30を制御する。特に、メンテナンス機構制御回路109は、ベルト昇降機構80が搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置を印刷位置から除去位置に相対移動させるのに同期して、キャップ31が待機位置から介在位置に移動するように、メンテナンス機構30を制御する。
【0082】
また、CPU102は、3組のセンサ71〜76による用紙Pの検出間隔がそれぞれ所定時間を超えたときだけ、用紙Pにジャムが発生したと判定する。換言すると、搬送方向Aに沿って隣接する1組のセンサのうち、上流にあるセンサが用紙Pの前端を検出した時刻から下流にあるセンサが用紙Pの前端を検出する予定時刻となる所定時間が経過するまでに、下流にあるセンサが用紙Pの前端を検出しないときに、用紙Pにジャムが発生したと判定する。ここでいう所定時間とは、1組のセンサ間の搬送経路に沿った離隔距離を用紙Pの搬送速度で割った時間である。
【0083】
また、CPU102は、搬送方向Aに沿って隣接する1組のセンサのうち、上流にあるセンサが用紙Pの後端を検出した時刻から下流にあるセンサが用紙Pの後端を検出する予定時刻となる所定時間が経過するまでに、下流にあるセンサが用紙Pの後端を検出しないときに、用紙Pにジャムが発生したと判定する。ここでいう所定時間とは、1組のセンサ間の搬送経路に沿った離隔距離を用紙Pの搬送速度で割った時間である。
【0084】
具体的には、CPU102は、まず、センサ73が用紙Pの前端を検出した時刻から所定時間経過後の予定時刻に、すなわち、センサ73が用紙Pの前端を検出してから所定時間(センサ73とセンサ74との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ74が用紙Pの前端を検出しないときに、供給ガイド17において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。また、CPU102は、センサ73が用紙Pの後端を検出してから所定時間(センサ73とセンサ74との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ74が用紙Pの後端を検出しないときに、供給ガイド17において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。即ち、CPU102とセンサ73とセンサ74とは、供給ガイド17における用紙Pのジャムを検出する第2ジャム検出手段を構成している。
【0085】
次に、CPU102は、センサ71が用紙Pの前端を検出してから所定時間(センサ71とセンサ72との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ72が用紙Pの前端を検出しないときに、搬送機構50において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。また、CPU102は、センサ71が用紙Pの後端を検出してから所定時間(センサ71とセンサ72との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ72が用紙Pの後端を検出しないときに、搬送機構50において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。即ち、CPU102とセンサ71とセンサ72とは、搬送機構50における用紙Pのジャムを検出する第1ジャム検出手段を構成している。
【0086】
次に、CPU102は、センサ75が用紙Pの前端を検出してから所定時間(センサ75とセンサ76との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ76が用紙Pの前端を検出しないときに、排出ガイド18において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。また、CPU102は、センサ75が用紙Pの後端を検出してから所定時間(センサ75とセンサ76との離隔距離を搬送速度で割った時間)が経過するまでの間に、センサ76が用紙Pの後端を検出しないときに、排出ガイド18において、用紙Pにジャムが発生したと判定する。即ち、CPU102とセンサ75とセンサ76とは、排出ガイド18における用紙Pのジャムを検出する第3ジャム検出手段を構成している。
【0087】
そして、ヘッド制御回路106及び搬送機構制御回路107は、上述のようにCPU102によってジャムが発生したと判定されたときに、各インクジェットヘッド2からのインク吐出を停止させ、搬送機構50による用紙Pの搬送を停止させる。なお、3組のセンサ71〜76からの検出間隔が所定時間内であり、CPU102によってジャムが発生したと判定されないときは、用紙Pがインクジェットヘッド2と対向するときに、用紙Pに対してインクが吐出されて画像が形成され、排紙部15に排紙される。
【0088】
また、判断手段としてのCPU102は、用紙Pのジャムが検出されたのが、搬送機構50、供給ガイド17、および、排出ガイド18のいずれであるかに応じて、即ち、ジャムが生じた用紙Pが存在している位置に応じて、キャップ31で吐出面2aを覆うか否かを判断する。具体的には、CPU102は、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50にのみ存在している場合、および、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在している場合に、キャップ31で吐出面2aを覆うと判断し、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在している場合に、キャップ31で吐出面2aを覆わないと判断する。また、CPU102は、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17にのみ存在している場合、および、ジャムが生じた用紙Pが排出ガイド18にのみ存在している場合に、キャップ31で吐出面2aを覆わないと判断する。
【0089】
また、ロック機構制御回路110は、搬送機構50において用紙Pにジャムが発生したと判定されたときに、第1扉4が開くのを許容するように、ロック機構40を制御する。また、ロック機構制御回路110は、供給ガイド17において用紙Pにジャムが発生したと判定されたときや、供給ガイド17と搬送機構50とに跨った状態で用紙Pにジャムが発生したと判定されたときに、第2扉6が開くのを許容するように、ロック機構を制御する。また、ロック機構制御回路110は、排出ガイド18において用紙Pにジャムが発生したと判定されたときや、搬送機構50と排出ガイド18とに跨った状態で用紙Pにジャムが発生したと判定されたときに、第3扉5が開くのを許容するように、ロック機構を制御する。
【0090】
(インクジェットプリンタの動作)
上記の構成において、図10に示すジャム処理ルーチンを参照して、インクジェットプリンタ1の動作について説明する。
【0091】
(ジャム処理ルーチン)
ジャム処理ルーチンが実行されると、図10に示すように、給紙経路ジャム検出処理が行われる(S1)。給紙経路ジャム検出処理については後述する。その後、搬送部ジャム検出処理が行われる(S2)。搬送部ジャム検出処理は、給紙経路ジャム検出処理と同様であるのでその説明を省略する。続いて、排紙経路ジャム検出処理が行われる(S3)。排紙経路ジャム検出処理は、給紙経路ジャム検出処理と同様であるのでその説明を省略する。
【0092】
次に、供給ガイド17、排出ガイド18、搬送機構50のいずれかにおいてジャムが発生したか否かが判定される(S4)。ジャムが発生していないと判定された場合には、ステップS1に戻る。一方、ジャムが発生したと判定された場合には、ヘッド制御回路106によりインクジェットヘッド2が制御されることによって、印刷が停止されるとともに(S5)、搬送機構制御回路107により搬送機構50、送りローラ21b,22b,23b、および、給紙ローラ12が制御されることによって、用紙Pの搬送が停止される(S6)。そして、エラー信号が通信回路112から通信部20を介して外部に送信される(S7)。
【0093】
その後、搬送機構50でジャムが発生したか否かが判定される(S8)。搬送機構50でジャムが発生したと判定された場合には、搬送機構制御回路107により搬送機構50が制御されることによって、吸着装置60による用紙Pの搬送面54への吸着が開始される(S9)。そして、ベルト昇降機構制御回路108によりベルト昇降機構80が制御されることによって、搬送機構50が下降されて、インクジェットヘッド2から離間した除去位置に搬送機構50が位置される(S10)。これと同期して、メンテナンス機構制御回路109によりメンテナンス機構30が制御されることによって、キャップ31が待機位置から介在位置に下降される(S11)。その後、吸着装置60による吸着が停止される(S12)。
【0094】
このように、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動するのに同期して、キャップ31が待機位置から介在位置に移動する。これにより、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pをキャップ31と搬送面54とで狭持するようにしてインクジェットヘッド2から離隔させることができる。
【0095】
また、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動している最中に、キャップ31と搬送面54との間に存在しているジャムが生じた用紙Pを搬送面54に吸着させることによって、ジャムが生じた用紙Pをインクジェットヘッド2から好適に離隔させることができる。
【0096】
そして、排出ガイド18でジャムが発生したか否かが判定される(S13)。排出ガイド18でジャムが発生したと判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在していることになるので、ロック機構制御回路110によりロック機構が制御されることによって、第3扉5が開くのが許容される(S14)。ユーザは、第3扉5を開けてジャム処理を行うことになる。
【0097】
このように、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在している場合、排出ガイド18内において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップ31を動かすと、用紙Pに生じているジャムが悪化する可能性が高い。そこで、吐出面2aをキャップ31で覆わないことで、用紙Pに生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0098】
一方、排出ガイド18でジャムが発生していないと判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pがキャップ31と搬送面54との間にのみ存在しているか、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在していることになる。この場合、メンテナンス機構制御回路109によりメンテナンス機構30が制御されることによって、キャッピング動作が行われる(S15)。これにより、吐出面2aがキャップ31で覆われる。
【0099】
このように、ジャムが生じた用紙Pがキャップ31と搬送面54との間にのみ存在している場合、搬送面54上において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。また、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在している場合、搬送機構50上において用紙Pの前端付近にジャムが生じている可能性が高い。このような場合に、搬送方向に沿って下流に向かってキャップ31を動かしても、用紙Pに生じているジャムを悪化させることなく吐出面2aをキャップ31で覆うことができる。
【0100】
そして、供給ガイド17でジャムが発生しているか否かが判定される(S16)。供給ガイド17でジャムが発生していないと判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50にのみ存在していることになるので、ロック機構制御回路110によりロック機構40が制御されることによって、第1扉4が開くのが許容される(S17)。ユーザは、第1扉4を開けてジャム処理を行うことになる。一方、供給ガイド17でジャムが発生していると判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在していることになるので、ロック機構制御回路110によりロック機構が制御されることによって、第2扉6が開くのが許容される(S18)。ユーザは、第2扉6を開けてジャム処理を行うことになる。
【0101】
ステップS14、S17、S18の後、ユーザによるジャム処理が終了した旨の復帰信号を受信したか否かが判定される(S19)。復帰信号を受信していないと判定された場合には、ステップS19が繰り返されることによって、復帰信号の受信待ちが行われる。一方、復帰信号を受信したと判定された場合には、メンテナンス機構制御回路109によりメンテナンス機構30が制御されることによって、メンテナンス機構30が初期位置に復帰される(S20)。そして、ベルト昇降機構制御回路108によりベルト昇降機構80が制御されることによって、搬送機構50が上昇されて、インクジェットヘッド2に近接する印刷位置に搬送機構50が位置される(S21)。そして、ステップS1に戻る。
【0102】
ステップS8において、搬送機構50でジャムが発生していないと判定された場合には、供給ガイド17でジャムが発生したか否かが判定される(S22)。供給ガイド17でジャムが発生したと判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17にのみ存在していることになるので、ロック機構制御回路110によりロック機構が制御されることによって、第2扉6が開くのが許容される(S23)。ユーザは、第2扉6を開けてジャム処理を行うことになる。一方、供給ガイド17でジャムが発生していないと判定された場合には、ジャムが生じた用紙Pが排出ガイド18にのみ存在していることになるので、ロック機構制御回路110によりロック機構が制御されることによって、第3扉5が開くのが許容される(S24)。ユーザは、第3扉5を開けてジャム処理を行うことになる。
【0103】
このように、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17又は排出ガイド18にのみ存在している場合、吐出面2aを覆うようにキャップ31を移動させてもさせなくても、用紙Pに生じているジャムが悪化することがない。よって、吐出面2aをキャップ31で覆わないことで、無駄な動作を抑制して、ジャム処理から素早く復帰させることができる。
【0104】
その後、ユーザによるジャム処理が終了した旨の復帰信号を受信したか否かが判定される(S25)。復帰信号を受信していないと判定された場合には、ステップS25が繰り返されることによって、復帰信号の受信待ちが行われる。一方、復帰信号を受信したと判定された場合には、ステップS1に戻る。
【0105】
以上のように、吐出面2aを覆うようにキャップ31を移動させると、用紙Pに生じているジャムが悪化するような位置にジャムが生じた用紙Pが存在している場合には、吐出面2aがキャップ31で覆われない。これにより、用紙Pに生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0106】
(給紙経路ジャム検出処理ルーチン)
次に、図10のステップS1である給紙経路ジャム検出処理ルーチンについて、図11を用いて説明する。図11に示すように、第1フラグが「0」に設定される(S101)。ここで、第1フラグは、搬送部ジャム検出処理ルーチンにおける第2フラグ、排紙経路ジャム検出処理ルーチンにおける第3フラグとともに、図10のステップS4においてジャムが生じたか否かを判定するために使用されるとともに、図10のステップS8、ステップS13、ステップS16、および、ステップS22において、どこでジャムが生じているかを判定するために使用されるものであり、ジャムが生じた場合に「1」に更新される。例えば、第1フラグが「1」、第2フラグが「0」、第3フラグが「0」であれば、供給ガイド17においてジャムが生じていると判定される。
【0107】
そして、上流のセンサ73が用紙Pの前端を検出したか否かが判定される(S102)。上流のセンサ73が用紙Pの前端を検出したと判定された場合には、下流のセンサ74が用紙Pの前端を検出したか否かが判定される(S103)。下流のセンサ74が用紙Pの前端を検出していないと判定された場合には、所定時間が経過したか否かが判定される(S104)。所定時間が経過していないと判定された場合には、ステップS103に戻る。一方、所定時間が経過したと判定された場合には、ジャムが発生したと判定されて、第1フラグが「0」から「1」に更新される(S105)。
【0108】
ステップS102において、上流のセンサ73が用紙Pの前端を検出していないと判定された場合、ステップS103において、下流のセンサ74が用紙Pの前端を検出したと判定された場合、および、ステップS105の後に、上流のセンサ73が用紙Pの後端を検出したか否かが判定される(S106)。上流のセンサ73が用紙Pの後端を検出したと判定された場合には、下流のセンサ74が用紙Pの後端を検出したか否かが判定される(S107)。下流のセンサ74が用紙Pの後端を検出していないと判定された場合には、所定時間が経過したか否かが判定される(S108)。所定時間が経過していないと判定された場合には、ステップS107に戻る。一方、所定時間が経過したと判定された場合には、ジャムが発生したと判定されて、第1フラグが「0」から「1」に更新される(S109)。
【0109】
ステップS106において、上流のセンサ73が用紙Pの後端を検出していないと判定された場合、ステップS107において、下流のセンサ74が用紙Pの後端を検出したと判定された場合、および、ステップS109の後に、本サブルーチンが終了されて、図10のジャム処理ルーチンに戻る。
【0110】
(本実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0111】
例えば、上述の実施形態において、キャップ31は、初期状態において、対応するインクジェットヘッド2の上流側の側方である待機位置に位置されている構成にされているが、キャップ31は、初期状態において、対応するインクジェットヘッド2の下流側の側方に位置されていてもよい。この場合、キャッピング動作によって、キャップ31は搬送方向Aの下流側から上流側に向かって移動することになる。このような場合において、ジャムが生じた用紙Pが供給ガイド17と搬送機構50とに跨って存在している場合に、キャッピング動作が行われず、ジャムが生じた用紙Pが搬送機構50と排出ガイド18とに跨って存在している場合に、キャッピング動作が行われることにより、用紙Pに生じているジャムの悪化を抑制することができる。
【0112】
また、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じた場合に、搬送機構50とインクジェットヘッド2の位置が印刷位置から除去位置に相対移動するとともに、キャップ31が待機位置から介在位置に移動する構成にされているが、これらの移動が行われなくてもよい。
【0113】
また、搬送機構50において用紙Pにジャムが生じた場合に、吸着装置60によって用紙Pが搬送面54に吸着される構成にされているが、用紙Pの吸着が行われなくてもよい。
【0114】
本発明によるインクジェット記録装置は、インクジェット式に限定されず、サーマル式にも適用可能であり、またライン式に限定されず、ヘッドが往復移動するシリアル式にも適用可能である。また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。また、本実施形態における搬送機構50は、水平方向に用紙Pを搬送しているが、水平方向以外の方向(例えば、斜め方向及び鉛直方向)に用紙Pを搬送することが可能なように、吐出面2aと平行な搬送面54が水平方向に対して傾いて配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 インクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)
1a 筐体
2 インクジェットヘッド
2a 吐出面
4 第1扉(第1ドア)
5 第3扉(第3ドア)
6 第2扉(第2ドア)
17 供給ガイド(供給機構)
18 排出ガイド(排出機構)
30 メンテナンス機構
31 キャップ
50 搬送機構
60 吸着装置
80 ベルト昇降機構
100 制御部
102 CPU
108 ベルト昇降機構制御回路
109 メンテナンス機構制御回路
P 用紙(記録媒体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する吐出面が形成されたインクジェットヘッドと、
前記吐出面と対向する搬送面を有し、少なくとも前記搬送面上において記録媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送機構と、
前記記録媒体を前記搬送機構に供給する供給機構と、
前記記録媒体を排出する排出機構と、
前記吐出面を覆うことが可能なキャップと、
前記吐出面を覆うように前記キャップを移動させるキャップ移動機構と、
前記搬送機構における前記記録媒体のジャムを検出する第1ジャム検出手段と、
前記供給機構における前記記録媒体のジャムを検出する第2ジャム検出手段と、
前記排出機構における前記記録媒体のジャムを検出する第3ジャム検出手段と、
前記第1から第3ジャム検出手段のうち、前記記録媒体のジャムを検出したのがいずれであるかに応じて、前記キャップで前記吐出面を覆うか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が前記キャップで前記吐出面を覆うと判断した場合に、前記吐出面が前記キャップで覆われるように前記キャップ移動機構を制御するキャップ移動制御手段と、
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記インクジェットヘッドから吐出されたインクによって前記記録媒体に画像を印刷する際の印刷位置と、前記吐出面と前記搬送機構との離隔距離が前記印刷位置よりも大きく且つ前記吐出面と前記搬送機構との間においてジャムした記録媒体をユーザに除去させる際の除去位置との間において、前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を相対移動させる相対移動機構と、
前記第1ジャム検出手段において前記記録媒体のジャムが検出されたときに、前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させるように、前記相対移動機構を制御する相対移動制御手段と、
を更に有し、
前記キャップ移動機構は、前記インクジェットヘッドと前記搬送機構との間に位置する介在位置と、前記介在位置よりも前記インクジェットヘッド側に位置する待機位置との間において、前記キャップを移動させ、
前記キャップ移動制御手段は、前記相対移動機構が前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させるのに同期して、前記キャップが前記待機位置から前記介在位置に移動するように、前記キャップ移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記搬送機構が、前記搬送面に前記記録媒体を吸着させる吸着装置を含んでおり、
前記相対移動機構が前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させている最中に、前記搬送面に前記記録媒体を吸着させるように、前記吸着装置を制御する吸着制御手段を更に有していることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、
前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段のみが前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆うと判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、
前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段および前記第2ジャム検出手段がそれぞれ前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆うと判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、
前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段および前記第3ジャム検出手段がそれぞれ前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆わないと判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記判断手段は、前記第2ジャム検出手段のみ又は前記第3ジャム検出手段のみが前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆わないと判断することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記インクジェットヘッド、前記搬送機構、前記供給機構、前記排出機構、前記キャップ、および、前記キャップ移動機構を収容する筐体と、
前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記搬送機構にアプローチ可能となる第1ドアと、
前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記供給機構にアプローチ可能となる第2ドアと、
前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記排出機構にアプローチ可能となる第3ドアと、
を更に有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項1】
インクを吐出する吐出面が形成されたインクジェットヘッドと、
前記吐出面と対向する搬送面を有し、少なくとも前記搬送面上において記録媒体を搬送方向に沿って搬送する搬送機構と、
前記記録媒体を前記搬送機構に供給する供給機構と、
前記記録媒体を排出する排出機構と、
前記吐出面を覆うことが可能なキャップと、
前記吐出面を覆うように前記キャップを移動させるキャップ移動機構と、
前記搬送機構における前記記録媒体のジャムを検出する第1ジャム検出手段と、
前記供給機構における前記記録媒体のジャムを検出する第2ジャム検出手段と、
前記排出機構における前記記録媒体のジャムを検出する第3ジャム検出手段と、
前記第1から第3ジャム検出手段のうち、前記記録媒体のジャムを検出したのがいずれであるかに応じて、前記キャップで前記吐出面を覆うか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が前記キャップで前記吐出面を覆うと判断した場合に、前記吐出面が前記キャップで覆われるように前記キャップ移動機構を制御するキャップ移動制御手段と、
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記インクジェットヘッドから吐出されたインクによって前記記録媒体に画像を印刷する際の印刷位置と、前記吐出面と前記搬送機構との離隔距離が前記印刷位置よりも大きく且つ前記吐出面と前記搬送機構との間においてジャムした記録媒体をユーザに除去させる際の除去位置との間において、前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を相対移動させる相対移動機構と、
前記第1ジャム検出手段において前記記録媒体のジャムが検出されたときに、前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させるように、前記相対移動機構を制御する相対移動制御手段と、
を更に有し、
前記キャップ移動機構は、前記インクジェットヘッドと前記搬送機構との間に位置する介在位置と、前記介在位置よりも前記インクジェットヘッド側に位置する待機位置との間において、前記キャップを移動させ、
前記キャップ移動制御手段は、前記相対移動機構が前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させるのに同期して、前記キャップが前記待機位置から前記介在位置に移動するように、前記キャップ移動機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記搬送機構が、前記搬送面に前記記録媒体を吸着させる吸着装置を含んでおり、
前記相対移動機構が前記搬送機構と前記インクジェットヘッドの位置を前記印刷位置から前記除去位置に相対移動させている最中に、前記搬送面に前記記録媒体を吸着させるように、前記吸着装置を制御する吸着制御手段を更に有していることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、
前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段のみが前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆うと判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、
前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段および前記第2ジャム検出手段がそれぞれ前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆うと判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記キャップ移動機構は、前記搬送方向に沿って下流に向かって前記キャップを移動させ、
前記判断手段は、前記第1ジャム検出手段および前記第3ジャム検出手段がそれぞれ前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆わないと判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記判断手段は、前記第2ジャム検出手段のみ又は前記第3ジャム検出手段のみが前記記録媒体のジャムを検出した場合に、前記キャップで前記吐出面を覆わないと判断することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記インクジェットヘッド、前記搬送機構、前記供給機構、前記排出機構、前記キャップ、および、前記キャップ移動機構を収容する筐体と、
前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記搬送機構にアプローチ可能となる第1ドアと、
前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記供給機構にアプローチ可能となる第2ドアと、
前記筐体に設けられ、開放されるとユーザが前記排出機構にアプローチ可能となる第3ドアと、
を更に有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−173812(P2010−173812A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19071(P2009−19071)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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