説明

インクジェット記録装置

【課題】回収された廃インクをインク収容手段の一箇所に集中させずに分散して貯留させながら、小型化が図られ、また廃インクの回収を効率的に行うことができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置は、回復機構18によって記録ヘッドから排出されたインクを収容する廃インク吸収体130及び、回復機構から廃インク吸収体までの排出されたインクの流路を形成し、記録ヘッドから排出されたインクを回復機構から廃インク吸収体に供給する供給チューブ120を有し、また、供給チューブにおける廃インク吸収体へのインクの排出口の位置を、廃インク吸収体に対して相対的に移動させるチューブ突出量調節機構150を備えている。そして、チューブ突出量調節機構は、供給チューブが記録ヘッドの吐出口に接続された状態で、排出口の位置を廃インク吸収体に対して相対的に移動させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録装置に関し、特に、記録ヘッドの回復処理を行うインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、記録ヘッドよりインク滴を吐出して記録を行うインクジェット記録装置が多く用いられている。このようなインクジェット記録装置は小型化が容易であり、また比較的簡単にカラー記録を行うことができるなどの利点を有している。このようなインクジェット記録装置においては、インクを記録ヘッドから吐出させるため、記録ヘッド内の吐出口周辺でインクが増粘し、これに起因して記録ヘッドの目詰まりを引き起こすことがある。このようなことが生じることを防ぐために、インクジェット記録装置においては、一定間隔ごとに記録ヘッドの内部に貯留されているインクの一部を記録ヘッドから排出して新たなインクと置換する回復処理が行われることがある。これにより、記録ヘッド内のインクの増粘が抑えられる。
【0003】
このように回復処理が行われるインクジェット記録装置において、記録ヘッドから排出されて回収されたインクが一旦廃インク収容手段の吸収体に貯留される形式のものが特許文献1に開示されている。特許文献1のインクジェット記録装置では、吸収体における廃インクの吸収部分が一箇所に集中しないように、回復機構が吸収体に対して移動可能に形成されている。これにより、回復機構によって回収された廃インクが一旦回復機構に貯留され、回復機構が移動して廃インクが吸収体に吸収されることで、廃インクの吸収体における吸収部分を分散させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−334981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているインクジェット記録装置では、回復機構が吸収体に対して移動するので、回復機構の移動のための経路の分のスペースが確保されることが必要になる。このため、インクジェット記録装置が大型化する可能性がある。また、インクジェット記録装置の大型化に伴い、インクジェット記録装置の製造コストが高くなる可能性がある。
【0006】
また、回復機構が移動することにより、記録ヘッドから排出された廃インクのための経路が一旦記録ヘッドから分離する。このため、回復機構による廃インクの回収と、回復機構から吸収体への廃インクの排出とを並行して行うことができない。また、回復機構で保持できる分のインクが回復機構によって収納されると、その分の廃インクを吸収体における適切な吸収部分に排出するために、廃インクの回収を止めて回復機構が吸収部分に移動する。従って、連続的な廃インクの回収ができず、回復処理後の廃インクの回収の効率が低下する虞がある。このため、回復処理に多くの時間を要する虞がある。また、回復機構によって回収した廃インクを一時的に保持するためのスペースが必要となり、これによってさらにインクジェット記録装置が大型化する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、回収された廃インクをインク収容手段の一箇所に集中させずに分散して貯留させながら、小型化が図られ、また廃インクの回収を効率的に行うことができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインクジェット記録装置は、吐出口からインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドの前記吐出口から記録に関与しないインクを排出する回復機構とを有するインクジェット記録装置において、前記回復機構によって前記記録ヘッドから排出されたインクを収容する廃インク収容手段と、前記回復機構から前記廃インク収容手段までの排出されたインクの流路を形成し、前記記録ヘッドから排出されたインクを前記回復機構から廃インク収容手段に供給する供給チューブと、前記供給チューブにおける前記廃インク収容手段へのインクの排出口の位置を、前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させる排出口位置移動手段とを備え、前記排出口位置移動手段は、前記供給チューブが前記記録ヘッドの前記吐出口に接続された状態で、前記排出口の位置を前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させることが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回復処理によって回収したインクをインク収容手段に分散して貯留させることができると共に、小型化され、また効率的に廃インクの回収を行うことができるインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録装置における要部について示した斜視図である。
【図2】(a)は図1のインクジェット記録装置における記録ヘッド、回復機構及び廃インク吸収体の周辺について上側から見て示した平面図であり、(b)は(a)におけるB−B線に沿う断面図である。
【図3】(a)は図1のインクジェット記録装置における廃インク吸収体における組み立て前の状態の上部吸収体及び下部吸収体の斜視図であり、(b)は組み立て後の廃インク吸収体である。
【図4】(a)は図1のインクジェット記録装置における回復機構の、チューブ突出量調節機構が駆動される前の状態の模式的な断面図であり、(b)はチューブ突出量調節機構が駆動された後の模式的な断面図である。
【図5】図1のインクジェット記録装置におけるデータの流れを示すブロック図である。
【図6】(a)〜(e)は、図4の回復機構におけるチューブ突出量調節機構の動作について説明するための説明図である。
【図7】図1のインクジェット記録装置によって回復動作が行われる際の制御フローを示すフローチャートである。
【図8】(a)は本発明の第二実施形態に係るインクジェット記録装置の弾性チューブ及び廃インク吸収体について上側から見て示した平面図であり、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図9】(a)〜(e)は、図8の弾性チューブを用いた回復機構におけるチューブ突出量調節機構の動作について説明するための説明図である。
【図10】図9の回復機構を用いたインクジェット記録装置によって回復動作が行われる際の制御フローを示すフローチャートである。
【図11】(a)は本発明の第三実施形態に係るインクジェット記録装置の回復機構、弾性チューブ及び廃インク吸収体について上側から見て示した平面図であり、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図12】(a)は図11(a)、(b)に示された廃インク吸収体における組み立て前の状態の上部吸収体及び下部吸収体の斜視図であり、(b)は組み立て後の廃インク吸収体である。
【図13】(a)〜(e)は、図11(a)、(b)に示された回復機構、弾性チューブ及び廃インク吸収体を用いたインクジェット記録装置における弾性チューブの排出口の移動について説明するための説明図である。
【図14】図13(a)〜(e)の廃インク吸収体及び弾性チューブを用いたインクジェット記録装置によって回復動作が行われる際の制御フローを示すフローチャートである。
【図15】(a)は本発明の第四実施形態に係るインクジェット記録装置に用いられる廃インク吸収体における組み立て前の状態の上部吸収体及び下部吸収体の斜視図であり、(b)は組み立て後の廃インク吸収体である。
【図16】(a)〜(e)は、図15(a)、(b)の廃インク吸収体を用いたインクジェット記録装置における弾性チューブの排出口の移動について説明するための説明図である。
【図17】(a)は本発明の第五実施形態に係るインクジェット記録装置に用いられる廃インク吸収体における組み立て前の状態のリブ用吸収体、上部吸収体及び下部吸収体の斜視図であり、(b)は組み立て後の廃インク吸収体である。
【図18】(a)〜(d)は、図17(a)、(b)の廃インク吸収体を用いたインクジェット記録装置における弾性チューブの排出口の移動及びリブの機能について説明するための説明図である。
【図19】(a)、(b)は、本発明の第六実施形態に係るインクジェット記録装置における弾性チューブの内部の廃インクを扱き出すための圧接ローラーについて説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0012】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。図1は、本実施形態におけるインクジェット記録装置100の外観を示した斜視図である。図1に示されるインクジェット記録装置100は、複数の記録素子が記録素子列として列状に配された記録ヘッドを有している。記録ヘッド1の内部には、記録用のインクが収容されている。記録ヘッド1には、複数の吐出口が形成され、吐出口を通して記録ヘッド1内部に貯留されているインクを記録媒体に吐出することで画像を記録媒体に形成し、記録媒体に記録が行われる。記録ヘッド1内部のインクは、吐出口でメニスカスを形成することにより、安定に保持される。記録ヘッド1内部におけるインクの貯留された液室内部のそれぞれには、発熱素子(電気熱変換体)が配置されている。発熱素子に通電して、その発熱素子から熱エネルギーを発生させることにより、液室内部のインクが加熱されて膜沸騰により発泡し、そのときの発泡エネルギーによって吐出口からインク滴が吐出される。なお、本実施形態では、記録ヘッド1内部のインクにエネルギーを印加する記録素子として発熱素子が用いられているが、本発明はこれに限定されない。圧電素子としてのピエゾ素子を変形させ、これによって記録ヘッド内部の液体を吐出する形式の記録ヘッドが記録装置に適用されても良く、また、他の形式の記録ヘッドが本発明の記録装置に適用されても良い。
【0013】
記録ヘッド1は、キャリッジ2に搭載されている。キャリッジ2は、シャーシ3上に設けられたガイド軸4に軸支され、かつガイドレール5に摺動可能に取り付けられて、図1の矢印Dに示す主走査方向に移動自在とされている。また、キャリッジ2は、ベルト6を介して、主走査モータ7に連結されている。キャリッジ2に搭載されている記録ヘッド1は、不図示の配線部材を介して、不図示の記録装置制御部と電気的に接続されている。インクジェット記録装置100はシャーシ3を有しており、シャーシ3には、画像が記録される前の記録媒体8をガイドする上ガイド9、及び下ガイド10が設けられている。上ガイド9には、記録媒体8の有無を検出する用紙センサー11が設けている。また、シャーシ3には、記録ヘッド1との対向面に記録媒体9を給送するための給送ローラ12と、これに対向するピンチローラ13がそれぞれ回転可能に設けられている。
【0014】
また、記録ヘッド1によって画像が記録された直後の記録媒体8は、ガイドレール5上の拍車14と、これに対向するシャーシ3上の排紙ローラ15との間に位置する。ピンチローラ13及び排紙ローラ15は、不図示の弾性部材により、それぞれ対向する給送ローラ12及び拍車14に向って付勢されている。給送ローラ12は、不図示の駆動モータに連結されている。また、排紙ローラ15は、給送ローラ12の端部に設けたギア16、及びシャーシ3上に設けたギア列17を介して、給送ローラ13に連結されている。本実施形態では、インクジェット記録装置100は、給送ローラ12、ピンチローラ13、拍車14及び排紙ローラ15といったこれらの搬送ローラを用いて記録媒体を挟んだ状態で前記搬送ローラを回転駆動させることで記録媒体の搬送を行っている。
【0015】
記録動作に関して説明すると、まず、記録媒体8が、上ガイド9と下ガイド10との間に、図1の矢印C方向に向かって挿入される。そのときの記録媒体8の有無は、紙センサー11によって検出される。その後、不図示の駆動モータの回転が給送ローラ12に伝達され、記録媒体8は、給送ローラ12及びピンチローラ13の押圧により、記録ヘッド1と対向する記録位置へ給送される。
【0016】
その後、主走査モータ7の回転力が、ベルト6を介してキャリッジ2に伝達される。キャリッジ2は、ガイド軸4及びガイドレール5にガイドされたまま、主走査モータ7の駆動力によって図1中の矢印D方向に往復移動して、記録媒体の搬送方向に交差するガイド軸4に沿った主走査方向に走査される。本実施形態では、記録媒体の搬送方向と記録ヘッド1の走査する主走査方向は直交している。そのキャリッジ2の走査中に、記録ヘッド1に対して、不図示の制御部から記録信号を伝達することにより、その記録ヘッド1が吐出口からインクを吐出して記録媒体8上に1行分の画像を記録する。その1行分の画像の記録が終了した後、搬送モータの駆動によって記録媒体8を図1の矢印C方向に所定量移動させる。このような動作を繰り返すことにより、記録媒体8上に順次画像を記録していく。このように、本実施形態のインクジェット記録装置100は、記録ヘッド1の主走査方向の移動と、記録媒体の副走査方向の搬送と、を伴って画像を記録するいわゆるシリアルスキャンタイプの記録装置である。しかしながら、本発明はこの形式の記録装置への適用に限定されず、記録媒体の幅方向の全域に亘って延在する記録ヘッドを用いたフルラインタイプの記録装置にも適用可能である。
【0017】
画像が記録された後の記録媒体8は、拍車14及び排紙ローラ15により、記録装置外に排出される。拍車14及び排紙ローラ15に対しては、ギア16、ギア列17を介して、給送ローラ12の回動力が伝達される。また、シャーシ3上における記録媒体8の外側の領域には、記録ヘッド1の回復機構(回復手段)18が備えられている。回復機構18は、記録ヘッドの吐出口から記録に関与しないインクを排出させ、排出されたインクを回収可能に形成されている。
【0018】
次に、本実施形態のインクジェット記録装置100における回復機構18の構成について説明する。図2(a)には、記録ヘッド1の搭載されたキャリッジ2及び記録ヘッド1の回復処理を行うための回復機構18を上側から見た平面図が示されている。また、図2(b)には、図2(a)におけるB−B線に沿う断面図が示されている。図2(a)には、キャリッジ2に搭載された記録ヘッド1に、回復機構18が接続されている状態が示されている。キャリッジ2に搭載された記録ヘッド1は、ガイド軸4に沿って、主走査方向に移動自在とされている。回復機構18には、廃インクを排出する弾性チューブ(供給チューブ)120が接続されており、弾性チューブ120はチューブガイド125により支持されている。回復機構18は、回収した廃インクを収容する廃インク収容手段を有しており、弾性チューブ120の下部には廃インク収容手段としての廃インク吸収体130が配置されている。廃インク吸収体130は、スポンジ等の材料から形成され、インクを吸収して保持することが可能に形成されている。弾性チューブ120は、回復機構18から廃インク吸収体130までの排出されたインクの流路を形成し、記録ヘッドから排出されたインクを回復機構18から廃インク吸収体130に供給する。そのため、弾性チューブ120は、回復機構18から廃インク吸収体130上に向かって突出するように配置されている。また、回復機構18は、弾性チューブ120の一部を下方に押して移動させることで屈曲させ、弾性チューブ120が廃インク吸収体130上に突出する突出量を調節するための供給チューブ突出量調節機構としてのチューブ突出量調節機構150を有している。これにより、チューブ突出量調節機構(排出口位置移動手段)150は、弾性チューブ120における廃インク吸収体130へのインクの排出口の位置を、廃インク吸収体130に対して相対的に移動させる。チューブ突出量調節機構150はこのような構成を有しているので、弾性チューブ120が記録ヘッドの吐出口に接続された状態で、排出口の位置を廃インク吸収体130に対して相対的に移動させることが可能である。すなわち、チューブ突出量調節機構150は、弾性チューブ120の一部を屈曲させることで、排出口の位置を、廃インク吸収体130に対して相対的に移動させている。また、チューブ突出量調節機構150は、記録ヘッドから廃インク吸収体130に向かう方向に、排出口の位置が回復機構18から突出した突出量を変化させることで、排出口の位置を廃インク吸収体130に対して相対的に移動させている。
【0019】
図3(a)に組み立て過程における廃インク吸収体130の斜視図を示し、図2(b)に組み立てられた後の廃インク吸収体130についての斜視図を示す。廃インク吸収体130は、インクを吸収することが可能に形成されている。本実施形態では、廃インク吸収体130は、略直方体の上部吸収体132と、略直方体の下部吸収体131との二層が上下に重ねられて構成されている。このうち、上部吸収体132には、上部吸収体132を上下に貫通するように複数の溝穴133a、133b、133c、133d、133eが形成されている。これらの溝穴133a、133b、133c、133d、133eは、上部吸収体132に等間隔に設けられている。廃インク吸収体130に複数の溝穴133が形成されているので、回復機構18によって回収された廃インクが廃インク吸収体130の下部にまで行き渡ることができる。そのため、廃インクを廃インク吸収体130の内部までより行き渡らせることができ、廃インク吸収体130のインクの吸収能力をより効率良く発揮させることができる。
【0020】
本実施形態では、廃インク吸収体130において、複数の溝穴133のいずれかの真上に、弾性チューブ120の先端の排出口が配置されるように、排出口が段階的に移動可能な構成になっている。そして、チューブ突出量調節機構150によって排出口が溝穴133のいずれかに対応する位置に配置されたときに、記録ヘッドからインクを排出させる。初期状態では、弾性チューブ120における廃インクの排出口は、チューブ突出量調節機構150から一番離れた溝穴133a上に配置される。
【0021】
次に、回復機構18とチューブ突出量調節機構150の構成について図4(a)、(b)を用いて説明する。図4(a)は、弾性チューブ120が廃インク吸収体130上に最も大きく突出したときの、回復機構18及びチューブ突出量調節機構150についての断面図が示されている。また、図4(b)には、図4(a)の状態から、回復機構18からの廃インク吸収体130上に突出した突出量が小さくなるように、弾性チューブ120が部分的に屈曲したときの回復機構18及びチューブ突出量調節機構150についての断面図が示されている。このように、弾性チューブ120が屈曲した結果、弾性チューブ120の先端部が、回復機構18側に移動する。
【0022】
回復機構18における記録ヘッド1の吐出口と対向する位置には、弾性材料からなるキャップ保護部材119が設けられている。このキャップ保護部材119は、記録ヘッド1の吐出口を覆ってキャッピングを行うために、吐出口に対向する位置で図4(a)、(b)の矢印A方向に移動可能に構成されている。また、回復機構18はチューブポンプ121を有しており、弾性チューブ120がチューブポンプ121に接続されている。
【0023】
チューブポンプ121の中間部は、フレームに設けられた円弧部122に沿うように配置されている。チューブポンプ121においては、回転可能な圧接ローラ123が、弾性チューブ120を扱くように、圧接ローラ123の軌道が描く円弧の外側に向かって弾性チューブ120を押圧しながら円弧部122内で回転する。従って、チューブポンプ121は、弾性チューブ120の一部を押圧しながら円周状の軌道に沿って回転を行うことが可能な圧接ローラ123により、弾性チューブ120の一部を押圧して復元させることで記録ヘッドの吐出口からインクを吸引する。
【0024】
図4(a)に示されるように、回復機構18は、モーターユニット140を有している。モーターユニット140が反時計方向に回転するように駆動されると、駆動力伝達アームギア141が図4(a)における廃インク吸収体130の配置されている方とは逆方向の右側へ移動し、駆動力伝達ギア124と当接する。モーターユニット140のギアと駆動力伝達アームギア141とは、ベルトを介して接続されている。従って、駆動力伝達アームギア141と駆動力伝達ギア124とが噛み合った状態でさらにモーターユニット140が反時計方向へ駆動されると、駆動力伝達アームギア141が反時計方向に駆動される。駆動力伝達アームギア141と駆動力伝達ギア124とが噛み合っているので、このときの駆動力によって駆動力伝達ギア124が、時計方向に回転するように駆動される。駆動力伝達ギア124は、中間ギア126を介してチューブポンプ121と同軸に配置されているチューブポンプ駆動ギアと接続されている。駆動力伝達ギア124が駆動されて回転することで、チューブポンプ121が時計方向に回転するように駆動される。
【0025】
チューブポンプ121の回転駆動に伴い、弾性チューブ120の内部の空気が弾性チューブ120の先端側に押し出される。一方、圧接ローラ123が通過した後の弾性チューブ120においては、弾性チューブ120が押圧されて凹んだ状態になった後に復元力によって元の形状に戻ったときに、その内部の圧力が低下する。このときに発生した負圧により、記録ヘッド1の内部から、吐出口を通してインクが吸引される。これにより、画像の記録に寄与しないインクが記録ヘッド1から強制的に排出される。また、それと共に、記録ヘッド1内部には、新たなインクが供給され、結果的に記録ヘッド1内部におけるインクの一部が新たなインクに置換される。これにより、記録ヘッド1内部の増粘した可能性のあるインクが排出されて新たなインクが供給され、インクにおける状態が回復されてインクの吐出状態を回復させることができる。
【0026】
また、図4(b)に示されるように、回復機構18は、チューブ突出量調節機構150を有している。チューブ突出量調節機構150は、チューブポンプ121と同様に、モーターユニット140の駆動力によって駆動される。
【0027】
モーターユニット140が時計方向に回転するように駆動されると、駆動力伝達アームギア141が図4(b)における廃インク吸収体130の配置されている方の左側へ移動し、駆動力伝達ギア151と当接する。駆動力伝達アームギア141と駆動力伝達ギア151とが噛み合った状態でさらにモーターユニット140が時計方向へ駆動されると、駆動力伝達アームギア141が時計方向に駆動される。このときの駆動力によって駆動力伝達ギア151が、反時計方向に回転するように駆動される。駆動力伝達ギア151は、ベルトを介してスイングアーム152の回転軸と同軸に配置されたスイングアーム駆動用プーリ157に接続されている。駆動力伝達ギア151が駆動されて回転することで、スイングアーム駆動用プーリ157が回転し、スイングアーム駆動用プーリ157の回転に伴いスイングアーム152を回転させることができる。
【0028】
チューブ突出量調節機構150には、ガイド溝156が形成されており、ガイド溝156に沿って移動可能にチューブ巻取りローラ155が配置されている。チューブ巻取りローラ155は、ガイド溝156内部を上下方向に移動可能であると共に、スイングアーム152の内部に形成されたスイングアーム溝158内部を摺動可能に形成されている。従って、スイングアーム152が回転して移動するのに伴って、チューブ巻取りローラ155がガイド溝156に沿って上下に摺動可能である。従って、図4(b)に示される状態でモーターユニット140が駆動されることで、チューブ巻取りローラ155をガイド溝156に沿って上下方向に移動させることが可能である。
【0029】
チューブ突出量調節機構150におけるガイド溝156の上部の両側部には、チューブ固定ローラ153、154が配置されている。弾性チューブ120は、チューブ固定ローラ153よりも記録ヘッド側に近い上流側では、チューブ固定ローラ153よりも上方に位置しながら略水平に延びている。そこから、弾性チューブ120は、チューブ固定ローラ153に到達したところでチューブ固定ローラ153に沿って下方に向かうように屈曲している。そこから弾性チューブ120はチューブ巻取りローラ155に到達したところでチューブ巻取りローラ155に沿って上方に向かうように向きを変えて屈曲している。そこから弾性チューブ120がチューブ固定ローラ154に到達すると、そこでチューブ固定ローラ154に沿って屈曲し、弾性チューブ120はチューブ固定ローラ154よりも上方に位置すると共に略水平に延びている。
【0030】
このように、弾性チューブ部材120は、その一部がチューブ巻取りローラ155よりも下方に位置すると共に、チューブ固定ローラ153よりも上流側及びチューブ固定ローラ154よりも下流側ではチューブ固定ローラ153、154よりも上方に位置する。従って、弾性チューブ部材120が屈曲してU字状になるように配置されている。このとき、チューブ巻取りローラ155が上下方向に移動することで、弾性チューブ120が屈曲し一旦下方に向かってそれから上方に向かって延びた弾性チューブ120における上下方向の往復部分の長さを調節している。弾性チューブ120における上下方向の往復部分の長さが調節されるので、弾性チューブ120におけるチューブ突出量調節機構150から下流側に延びた部分の、吸収体130上に突出する突出量を調節することができる。
【0031】
このように、本実施形態の回復機構18は、駆動力伝達アームギア141と噛み合うギアを、駆動力伝達ギア124と駆動力伝達ギア151との間で選択的に駆動できるように構成されている。従って、モーターユニット140を駆動させる際の回転方向によって、モーターユニット140が、チューブポンプ121とチューブ突出量調節機構150とを選択的に駆動させることが可能である。二つの駆動部が、一つのモーターユニット140によって選択的に駆動されるので、回復機構18における構成が簡易になり、結果的にインクジェット記録装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0032】
図5は、本実施形態におけるインクジェット記録装置100の制御系の概略構成を示すブロック図である。図5において、記録装置の各部の動作は、ROM101内に格納された制御プログラムおよびRAM102に格納された種々のデータなどに基づいてCPU200により制御される。すなわち、CPU200には、記録ヘッド1に設けられた発熱素子を駆動するヘッド駆動回路103、主走査モータ104を駆動する主走査モータ駆動回路107、搬送モータ106を駆動する搬送モータ駆動回路108などが接続されている。CPU200が記録ヘッドによるインクの吐出動作を制御する記録制御手段として機能している。また、CPU200には、インクジェット記録装置100の動作状態を表示する表示部52および記録媒体を供給するASF114などが接続されている。また、CPU200には、回復機構18を駆動させるための回復機構駆動用回路201が接続されており、CPU200からの信号に応じて回復機構18のチューブポンプ121及びチューブ巻取りローラ155が駆動される。
【0033】
次に、本実施形態の動作について、図6(a)〜(e)に示される回復機構の動作図と、図7に示されるフローチャートを用いて説明する。
【0034】
図7に示されるフローチャートにおいて、インクジェット記録装置の制御回路としてのCPU200からヘッド吸引回復命令を受け、廃インクの回収が開始されると(ステップS101)、これまでの廃インク排出量が計算される(ステップS102)。このように、本実施形態では、インクジェット記録装置100は、記録ヘッドの吐出口から排出される記録に関与しないインクの排出量を検出する排出量検出手段を有している。本実施形態では、CPU200が、吐出口から排出される記録に関与しないインクの排出量を検出する排出量検出手段として機能している。算出された廃インクの排出量が閾値以内であると判定された場合は、回復機構18のチューブポンプ121が駆動されて回復動作が行われる(ステップS103)。回復動作によって回収される廃インクは、弾性チューブ120を通して廃インク吸収体130に吸収させるように弾性チューブ120の先端部から排出される。このとき、図6(a)に示されるように、初期状態では弾性チューブ120の先端部は回復機構18から最も離れた溝穴133aに対応する位置に配置されているので、廃インクは回復機構18から最も離れた溝穴133aに排出される。
【0035】
ステップS102において、その廃インク排出量が閾値を超えていると判定された場合は、弾性チューブ120の一部をさらに押下げることが可能かどうかを判断する(ステップS104)。このとき、判断時のチューブ突出量調節機構150におけるチューブ巻取りローラ155の位置、あるいは判断時の弾性チューブ120における先端部の位置が検出される。また、判断時に弾性チューブ120の先端部の位置している溝穴133から、隣接する溝穴133までの距離が検出される。そして、これらの検出された値に基いて、弾性チューブ120の一部をさらに押下げることが可能かどうかが判断される。
【0036】
弾性チューブ120の一部の押下げが可能であると判断された場合には、図6(b)に示されるようにチューブ突出量調節機構150を駆動させて弾性チューブ120の押下げ動作を行う(ステップS105)。すなわち、本実施形態では、検出されたインクの排出量が閾値を超えたときに、排出口の位置の廃インク吸収体130に対する相対的な移動が可能かどうか判断され、可能と判断されたときにはチューブ突出量調節機構150が排出口の位置を移動させる。そして、弾性チューブ120における廃インクの排出口は、チューブガイド125に沿って、溝穴133aに対応した位置から、隣接する溝穴133bに対応した位置へ移動する。その後に、回復機構18が駆動されて回復動作が行われる(ステップS103)。この動作を繰り返すことで、図6(c)に示されるように、廃インク吸収体130の略全域に廃インクを吸収させるまで廃インクの排出が行われる。
【0037】
ステップS104において、既に弾性チューブ120の先端部が、回復機構18に最も近接した位置に形成された溝穴133eに位置し、弾性チューブ120の押下げ動作がそれ以上できないと判断された場合には、廃インク吸収体130の交換を行う。このとき、インクジェット記録装置の制御回路としてのCPU200が、廃インク吸収体130の交換警告サインを表示部52に出し、ユーザーに廃インク吸収体130の交換を促す。これにより、図6(d)で示すように、廃インクで一杯になったインク吸収体130が交換される(ステップS106)。このとき、図6(e)に示されるように、チューブガイド125に沿って弾性チューブ120がチューブ突出量調節機構150から引き出され、弾性チューブ120の廃インク排出口を初期状態の位置まで戻す(ステップS107)。廃インク吸収体を新しいものに交換することで、次にヘッド吸引回復命令が出されたときに(ステップS101)吸引回復による廃インクの回収が溢れることなしに確実に行われる。従って、廃インク吸収体130から廃インクが溢れることでインクジェット記録装置100の周囲を廃インクによって汚してしまうことが抑えられ、インクジェット記録装置の信頼性が高く維持される。
【0038】
ステップS102での廃インク量の算出においては、回復ポンプ121の回転回数や駆動回数、あるいは、顔料インクカートリッジの交換回数などが参照されて計算されている。また、他の条件が参照されて廃インク量が算出されても良い。
【0039】
また、本実施形態では、弾性チューブ120の先端部の初期状態における位置は、回復機構18から最も遠い溝穴に対応する位置に設定されている。そして、そこから溝穴の内部が廃インクで満たされるごとに、回復機構18側へ使用する溝穴を一つずつずらしていくことで、廃インク吸収体130における複数の溝穴133が使用されることとしている。しかしながら、廃インク吸収体130における溝穴133の使用される順序はこれに限定されない。回復機構18に最も近い溝穴が初期状態における弾性チューブ12の先端部の位置として設定され、そこから回復機構18から遠い側へ移動することとしても良い。また、同一の溝穴133が重複して用いられなければ、その他の順序が用いられても良い。
【0040】
また、本実施形態においては、チューブ突出量調節機構150におけるチューブ巻取りローラ155の駆動が、回復機構18の駆動源である駆動モータ140と共通に用いられている。つまり、チューブポンプ121とチューブ突出量調節機構150とが同一の駆動源によって駆動されている。しかしながら、本発明は上記実施形態に限定されず、チューブ突出量調節機構150と、記録媒体を搬送するために用いられる搬送ローラとが同一の駆動源によって駆動されることとしても良い。また、チューブ突出量調節機構150による排出口の位置の廃インク吸収体130に対する相対的な移動に用いられる駆動源と、記録ヘッドの主走査方向への移動に用いられる駆動源とが同一であることとしても良い。また、ユーザーがレバーを押下げることでチューブ突出量調節機構150におけるチューブ巻取りローラ155を手動で押下げ、弾性チューブ120の廃インク吸収体130への突出量を調節することとしても良い。
【0041】
本実施形態のインクジェット記録装置100における回復機構18及び廃インクのインク収容手段によれば、弾性チューブ120における廃インクの排出口を廃インク吸収体130に対して相対的に移動させることができる。従って、廃インク吸収体130における廃インクの吸収部分を廃インク吸収体130の広範囲に亘って分散させることができる。廃インク吸収体130における廃インクの吸収部分が一箇所に集中しないので、廃インク吸収体130の全体に廃インクを吸収させる前に廃インクが廃インク吸収体上の一箇所に堆積することを抑えることができる。従って、廃インク吸収体130の全体に廃インクを吸収させる前に、弾性チューブ120における廃インクの排出口を塞ぐことを抑えることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、回復機構18による回復動作は、弾性チューブ120を、キャップ保護部材119、回復機構18を介して記録ヘッド1の吐出口に接続した状態のまま回復動作を行うことができる。従って、回復動作は、弾性チューブ120の一部を押下げることで弾性チューブ120を屈曲させ、弾性チューブ120における回復機構18から突出した突出量の調節を行っているときのみ中断させるだけで良い。そのため、本実施形態の回復動作は、回復機構そのものが移動して廃インク吸収体の吸収部分を分散させる形式のものと比較すると、回復機構が回復動作を中断して廃インク吸収体の吸収部分まで往復しなくて済む分だけ中断時間を短くすることができる。また、弾性チューブ120による廃インクの経路が確保されたまま連続的に回復動作が行われるので、回復機構そのものが移動する形式のものが経路を一旦切断して廃インク吸収体における吸収部分まで移動するのに比べ、さらに中断時間を短くすることができる。廃インクの排出における中断時間を短縮することができるので、結果的に、記録にかかる時間を短縮することができる。
【0043】
また、本実施形態の回復動作によれば、回復動作時に移動する部分は弾性チューブ120のみで良い。従って、移動する部分の容積が小さくて済むので、部材の移動経路のために確保するスペースを小さくすることができる。また、本実施形態の回復動作によれば、記録ヘッド1の吐出口と弾性チューブ120が接続されている状態で回復動作が行われるので、回収した廃インクはそのまま弾性チューブ120を介して廃インク吸収体130に排出されることになる。これに対して、回収した廃インクを排出するために回復機構そのものが移動する形式のものは、回復機構の内部に一旦廃インクを貯留するので、廃インクを一旦貯留するためのスペースが必要である。従って、本実施形態のインクジェット記録装置100は、回復機構18に一旦インクを貯留させる機能を持たせることは求められておらず、その分回復機構18を小型化することができる。結果的に、インクジェット記録装置100を小型化させることができる。
【0044】
(第二実施形態)
次に本発明の第二実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
図8(a)に第二実施形態における弾性チューブ120’及び廃インク吸収体130’について上面から見た平面図を示し、図8(b)に、図8(a)におけるB−B線に沿う断面図を示す。図8(a)、(b)に示されるように、第二実施形態の回復機構は、弾性チューブ120’の先端部における排出口周辺にインク検知センサー160が設けてある点で、第一実施形態のものとは異なる。インク検知センサー160は、2本の電極161が取り付けられている。これらの電極の間にインクが位置したときに、これらの電極の間で通電し、電極の間のインクの存在を検出することができる。つまり、インク検出センサー160によって、インクが存在しているかどうかが検出されている。
【0046】
次に、本実施形態における回復動作について、図9(a)〜(e)に示す回復機構の動作図と、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
まず、ステップS201にて、インクジェット記録装置のCPU200からヘッド吸引回復命令を受けると(ステップS201)、インク検知センサー160によってインクの有無を判断する(ステップS202)。このときのインク有無の判断において、インクが存在しないと判定された場合には、図9(a)に示されるように、回復機構18のチューブポンプ121を駆動させて回復動作を行う。そこで回収された廃インクが、廃インク吸収体130に排出される(ステップS203)。
【0048】
一方、ステップS202において、図9(b)で示されるように、インク検知センサー160によってインクが電極161の間に存在していると判断された場合は、弾性チューブ120’の先端部を移動させる。このようにして、廃インク吸収体130’における廃インクの吸収部分の位置を変え、廃インク吸収体130’内で廃インクの吸収部分を分散させている。このように、本実施形態では、インクジェット記録装置100は、インク検出センサー160の検出結果に基いて、廃インク吸収体130へのそれ以上のインクの排出を行うことが可能かどうかの判断を行う判断手段を有している。このとき、CPU200が、それ以上のインクの排出を行うことが可能かどうかの判断を行う判断手段として機能している。インク検知センサー160によって電極161間にインクが存在すると判断されたときには、廃インク吸収体130’における弾性チューブ120’の先端部に対応する位置で既に十分な量の廃インクの排出が行われていることが考えられる。従って、これ以上そこで廃インクの排出を行うと弾性チューブ120’における先端部を塞いでしまう可能性がある。このため、弾性チューブ120’の先端部の位置を変え、廃インク吸収体130’における別の場所で廃インクの排出が行われる。本実施形態では、弾性チューブ120’の先端部の位置を、複数の溝穴133のうち、回復機構18側に隣接している溝穴133に対応した位置に移動させる。
【0049】
インク検知センサー160によって電極間におけるインクの存在が検出され、インクがそこの溝穴で十分に排出されていると判断された場合には、弾性チューブ120’の先端部がそこからさらに移動できるかどうかが判断される(ステップS204)。つまり、そこから弾性チューブ120’の一部をさらに押下げることが可能かどうか判断される。そこからさらなる弾性チューブ120’の一部の押下げが可能であると判断された場合には、図9(c)で示されるように、チューブ突出量調節機構150のチューブ巻取りローラ155を駆動させて弾性チューブ120’の押下げ動作を行う(ステップS205)。そして、弾性チューブ120’における廃インクの排出口が、チューブガイド125に沿って、隣接する溝穴に対応した位置に移動する。弾性チューブ120’の先端部が隣接する溝穴に対応する位置に到達すると、回復機構18のチューブポンプ121を駆動させてそこで回復動作が行われる(ステップS203)。そして、図9(d)に示されるように、次の溝穴が廃インクで満たされるまで、そこの溝穴に廃インクが排出される。
【0050】
ステップS204において、弾性チューブ120’の一部のさらなる押下げができないと判断した場合には、ユーザーに廃インク吸収体130’の交換を促す。すなわち、図9(e)に示されるように、弾性チューブ120’の排出口が、回復機構18に最も近い溝穴に対応する位置にあり、それ以上弾性チューブ120’の一部を押し下げることができないと判断された場合には、それ以上の廃インクの排出は行わない。そのときには、廃インク吸収体130’は廃インクで満たされており、それ以上使用を続けると、廃インクが廃インク吸収体130’から溢れ出る可能性がある。従って、そのときにはインクジェット記録装置のCPU200が、廃インク吸収体(廃インク吸収体ユニット)の交換警告サインを表示部52に表示し、ユーザーに廃インク吸収体ユニットの交換を促す。この表示をユーザーが認識すると、廃インクで満たされた廃インク吸収体130’を新たなものと交換する(ステップS206)。その後、弾性チューブ120における排出口を初期状態に戻す(ステップS207)。
【0051】
上述した第一実施形態では、弾性チューブ120’の先端部が配置されてからの廃インクの排出量が、回復ポンプ121の回転回数や駆動回数、または、顔料インクカートリッジの交換回数などを参照して算出されている。これに対して第二実施形態では、インク検知センサー160によって。そこの位置でインクが満たされているかどうかを直接検出している。従って、それぞれの位置でインクが十分に満たされたタイミングを確実に検出することができる。これにより、廃インク吸収体の溝穴にインクが満たされたにも関わらず、まだインクによって満たされていないと検出されて、廃インクの排出が継続されることで、廃インクが廃インク吸収体から溢れ、周囲を汚すことをより確実に防ぐことができる。従って、インクジェット記録装置における回復機構及び廃インク収容手段の信頼性が向上する。また、廃インク吸収体130’における溝穴が廃インクによって満たされることが検出されるまで使用することができるので、廃インク吸収体130’をより効率的に使用することができる。従って、廃インク吸収体の交換頻度を少なくすることができ、インクジェット記録装置の維持コストを低く抑えることができる。また、同じ量の廃インクを回収するのに廃インク吸収体の容積を小さくすることができるので、インクジェット記録装置の小型化を図ることができ、またインクジェット記録装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0052】
(第三実施形態)
次に本発明の第三実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態及び第二実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
上記第一実施形態及び第二実施形態においては、チューブポンプ121の駆動による圧接ローラ123の回転及びチューブ突出量調節機構150におけるチューブ巻取りローラ155の移動が水平面に直交する平面内で行われている。これに対し第三実施形態のインクジェット記録装置においては、チューブポンプ121’’の駆動による圧接ローラ123の回転及びチューブ突出量調節機構150’’におけるチューブ巻取りローラ155の移動が水平方向に行われる点で上記の実施形態と異なる。また、上記実施形態では、廃インク吸収体130に複数の比較的小さな溝穴133が形成されているのに対し、第三実施形態では廃インク吸収体130’’に形成された比較的大きな溝穴が一つだけ形成されている点が異なっている。
【0054】
図11(a)には、第三実施形態におけるチューブ突出量調節機構150’’を有する回復機構18’’及び廃インク吸収体130’’を上から見た平面図が示されている。また、図11(b)には、図11(a)におけるB−B線に沿う断面図が示されている。図11(a)に示されるように、チューブポンプ121’’及びチューブ突出量調節機構150’’における駆動部分の移動が水平方向に行われている。すなわち、本実施形態では、圧接ローラ123の軌道に沿った回転が水平面内で行われている。また、弾性チューブ120’’の屈曲が水平面内で行われている。従って、記録ヘッドの吐出口から廃インク吸収体130’’に排出されるまでの弾性チューブ120’’における廃インクの流路において、水平に延びた部分が比較的多くなっている。
【0055】
第一実施形態及び第二実施形態では、チューブポンプ及びチューブ突出量調節機構における駆動部分の移動が水平面に直交する平面で行われているので、弾性チューブのインク流路が一旦下がってそこから再び上昇するように配置されている。上記の実施形態で用いられているような回復機構が使用される場合には、廃インクは弾性チューブのインク流路において一旦下がってそこから再び上昇するような部分で溜まり易く、弾性チューブ内に廃インクが残ってしまうことが多い。そこで記録ヘッドが顔料インクを用いて記録を行う形式の記録装置である場合にインクジェット記録装置が長期にわたり使われない場合には、廃インクが弾性チューブ内にそのまま放置されることになる。顔料インクの顔料成分が弾性チューブ内で沈降し、沈降した顔料がさらにそのまま放置されると、これが弾性チューブの内壁に付着して固化する可能性がある。そして、この顔料成分が、その後に流通する廃インクの流れを阻害して弾性チューブが詰まる可能性がある。
【0056】
これに対して本実施形態の弾性チューブ120’’は、水平に延びた部分が比較的多く、弾性チューブ120’’の流路において一旦下がってそこから再び上昇するような区間が形成されていない。従って、顔料インクによって記録を行う記録ヘッドが採用されていたとしても、顔料インクの顔料成分を含む廃インクは比較的容易に弾性チューブ120’’から廃インク吸収体130’’に排出され、弾性チューブ120’’内に残る廃インクが少なく抑えられる。弾性チューブ120’’内に残る廃インクの量が少なく済むので、弾性チューブ120’’内で顔料インクの顔料成分が沈降し弾性チューブの内壁に付着・固化して次に流れてくる廃インクの流通を阻害することが抑えられる。
【0057】
また、本実施形態では、廃インク吸収体130’’に形成された比較的大きな溝穴133’’が一つだけ形成されている。図12(a)、(b)に、本実施形態における廃インクを吸収・収納するための収容手段としての廃インク吸収体130’’の組み立て工程を示す。本実施形態では、廃インク吸収体130’’は、直方体の下部廃インク吸収体131と、1本の細長い溝穴を有する略直方体の吸収体132との二層が上下に重ねられた構成になっている。また、弾性チューブ部材120’’の先端部の廃インク排出口には2本の電極161で構成されたインク検知センサー160取り付けられている。本実施形態では、溝穴133’’の上には、常に、弾性チューブ部材120’’の先端部の廃インクの排出口が配置される構成になっている。従って、一つの場所で十分に廃インクが満たされたと判断されたときに、弾性チューブ部材120’’を段階的に移動させるのではなく、連続的に移動させることができる。
【0058】
次に、本実施形態の動作について、図12の回復動作時における廃インク吸収体130’’及び弾性チューブ部材120’’の断面図と、図14のフローチャートを用いて説明する。
【0059】
図14のフローチャートにおけるステップS301にて、インクジェット記録装置の制御回路としてのCPU200からヘッド吸引回復命令が送信される(ステップS301)。それからインク検知センサー160によって、電極間のインクの有無が検出され(ステップS302)、廃インク吸収体130’’における現在の廃インクの排出位置でそれ以上の廃インクの排出ができるかどうかが判断される。電極間にインクが存在しないと判定された場合は、図13(a)に示されるように回復動作が行われ、さらなるインクの排出が行われる(ステップS303)。ステップS302において、図13(b)に示されるように、廃インクの液面が上昇し電極間にインクが存在すると判断された場合には、弾性チューブ120’’の先端部の位置を検出してそこからの移動が可能かどうかが検出される(ステップS304)。弾性チューブ120’’の移動が可能であると判断された場合には、図13(c)に示されるように、弾性チューブ120’’の移動を行う(ステップS305)。そして、回復機構18を駆動させて回復動作が行われる(ステップS303)。図13(d)に示されるように、適切な量だけ弾性チューブ120’’の先端部が移動し、その位置で廃インクを排出する。ステップS304において弾性チューブ120’’がそれ以上の弾性チューブ120’’の移動ができないと判断した場合には、図13(e)に示されるように、廃インク吸収体130’’が廃インクで満たされていると考えられる。従って、ユーザーに廃インク吸収体ユニットの交換を促す。このとき、本実施形態では、インクジェット記録装置の制御回路としてのCPU200が、廃インク吸収体(廃インク吸収体ユニット)の交換警告サインを出し、ユーザーがそれを認識することで廃インク吸収体ユニットの交換が行われる(S306)。それから、弾性チューブ120’’における廃インク排出口を初期状態に戻す(ステップS307)。
【0060】
第三実施形態では、廃インク吸収体130’’における廃インクの排出位置が、第一実施形態及び第二実施形態のように複数の溝穴に対応した位置に限定されない。従って、インク検知センサー160がインクの存在を検知したときには、比較的長い溝穴133’’上において任意の位置に弾性チューブ120’’の排出口を移動させて廃インクを排出できる。これにより、廃インク吸収体130’’をさらに効率良く使用することができる。従って、廃インク吸収体の交換頻度を少なくすることができ、インクジェット記録装置の維持コストを低く抑えることができる。また、同じ量の廃インクを回収するのに廃インク吸収体の容積を小さくすることができるので、インクジェット記録装置の小型化を図ることができ、またインクジェット記録装置の製造コストを低く抑えることができる。
【0061】
(第四実施形態)
次に本発明の第四実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第三実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0062】
図15(a)、(b)に、本実施形態における廃インク吸収体130’’’における組立の際の斜視図を示す。本実施形態では、廃インクを吸収・収納するための収容手段としての廃インク吸収体130’’’は、略直方体の上部吸収体132と略直方体の下部吸収体131とを上下に二層重ねた構成になっている。本実施形態では、上部吸収体132は、第一実施形態及び第二実施形態の吸収体よりもさらに多くの複数の溝穴133a、133b、133c、133d、133e、133f、133g、133h、133i、133jを有している。図15(a)に示されるように、廃インク吸収体130’’’は、溝穴が長辺方向に5つ形成されているとともに、短辺方向に二列形成され、計10個形成されている。
【0063】
次に、本実施形態における廃インク吸収体130’’’を用いた回復動作の際の廃インクの排出動作について説明する。図16(a)に示されるように、初期状態では、弾性チューブ120’’’における廃インクの排出口は、溝穴133a上に配置される。そして、インクジェット記録動作が行われ、15(b)に示されるように、回復動作が行われていくと、いずれ廃インクが一杯になったと検知される。溝穴133aが廃インクで満たされていると検知されると、16(c)に示されるように、弾性チューブ120’’’の廃インク排出口が溝穴133bに対応する部分に位置するように廃インク吸収体130’’’を移動させる。本実施形態では、図16(b)から図16(c)に示されるように、図中の上方向に廃インク吸収体130’’’を移動させる。このように、廃インク吸収体130’’’は、記録ヘッドから廃インク吸収体130’’’に向かう方向に交差する方向に移動可能に形成されている。
【0064】
このときの廃インク吸収体130’’’の移動は、インクジェット記録装置が自動的に行うようにしても良いし、ユーザーの人手によって行われても良い。さらにこの位置で、廃インクにより溝穴133bが一杯になったことをインク検知センサー160が検知すると、16(d)に示されるようにチューブ突出量調節機構150を駆動させる。そして、弾性チューブ120’’’における廃インクの排出口を移動させることで、排出口を溝穴133d上に配置させる。さらにこの位置で同様に溝穴133dが廃インクで一杯になったのを検知すると、16(e)に示されるように、廃インク吸収体130’’’を図中の下の方向に移動させ、弾性チューブ120’’’における排出口を溝穴133c上に配置させる。このように、弾性チューブ120’’’における廃インク排出口の位置を、順次変えていく。このように、チューブ突出量調節機構150による弾性チューブ120’’’の廃インクの排出口の移動方向と交差する方向に、廃インク吸収体を移動させることにより、廃インクの排出口と廃インク吸収体の位置関係は二次元的に変化させることが可能となる。従って、さらに効率良く廃インク吸収体を使用することができ、廃インク吸収体の交換頻度を少なくすることができる。
【0065】
(第五実施形態)
次に本発明の第五実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第四実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0066】
図17(a)、(b)に、本実施形態における廃インク吸収体130’’’’の組み立ての過程についての斜視図を示す。図17(a)に示されるように、本実施形態では、第一実施形態及び第二実施形態構成における上部吸収体132及び下部吸収体131に加え、比較的大きな開口部を複数有する略直方体のリブ用吸収体134が重ねられ、上下に三層が重ねられた構成となっている。
【0067】
次に、本実施形態における廃インク吸収体130’’’’を用いて行われる回復動作について説明する。図18(a)に示されるようにインクジェット記録動作が進み回復動作が行われていくと18(b)に示されるように溝穴が廃インクで満たされる。これがインク検知センサー160によって検知されると、チューブ突出量調節機構150を駆動させ廃インク排出口を移動させる。
【0068】
このとき、廃インク吸収体130’’’’には、最も上層にリブ用吸収体134が配置されていることで、リブ用吸収体134の開口部の間にリブ135が形成されている。従って、弾性チューブ120の移動の途中において、17(c)に示されるように、インクセンサー160のインク検知部としての電極161がリブ135に接触しながら弾性チューブ120が移動していく。従って、弾性チューブ120が移動していく過程において、インク検知部としての電極161に付着した廃インクがリブ135によって払拭され、電極161がクリーニングされる。このように、廃インク吸収体130’’’’には、チューブ突出量調節機構150が排出口の位置を前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させるときに、インク検出センサー160の検知部を払拭する払拭手段が配置されている。これにより、廃インクの排出口が図17(d)に示されるように溝穴133bに対応する位置に配置されたときには、廃インクが満たされたことを正確に検知することができる。
【0069】
(第六実施形態)
次に本発明の第五実施形態について説明する。なお、上記第一実施形態ないし第四実施形態と同様に構成される部分については図中同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
図19(a)、(b)は、回復機構18及びチューブ突出量調節機構150について説明するための断面図である。
【0071】
図19(a)に示されるように、本実施形態の回復機構18には、弾性チューブ120の上部に、弾性チューブ120に対して接離可能に形成された圧接ローラー180が配置されている。圧接ローラー180は、ガイド軸181に沿って、弾性チューブ120の延びる方向に摺動可能に配置されている。
【0072】
インクジェット記録装置が長期に亘り使用されなかったときには、弾性チューブ内で顔料インクの顔料が沈降し、弾性チューブ120の内壁に付着してこれが固化している可能性がある。そのような場合に、圧接ローラー180によって弾性チューブ120の内部の廃インクを扱き出す。これによって弾性チューブ120内部で増粘した可能性のある廃インクが排出されて弾性チューブ120内が詰まることが抑制され、次に行われる回復動作による廃インクをスムーズに排出することができる。
【0073】
なお、本明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わずに用いられる。また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または記録媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0074】
また、「記録装置」とは、プリンタ、プリンタ複合機、複写機、ファクシミリ装置などのプリント機能を有する装置、ならびにインクジェット技術を用いて物品の製造を行なう製造装置を含む。
【0075】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものを表すものとする。
【0076】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【符号の説明】
【0077】
1 記録ヘッド
18 回復機構
100 インクジェット記録装置
120 弾性チューブ
130 廃インク吸収体
150 チューブ突出量調節機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口からインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドの前記吐出口から記録に関与しないインクを排出させ、排出されたインクを回収可能な回復機構とを有するインクジェット記録装置において、
前記回復機構によって前記記録ヘッドから排出されたインクを収容する廃インク収容手段と、
前記回復機構から前記廃インク収容手段までの排出されたインクの流路を形成し、前記記録ヘッドから排出されたインクを前記回復機構から廃インク収容手段に供給する供給チューブと、
前記供給チューブにおける前記廃インク収容手段へのインクの排出口の位置を、前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させる排出口位置移動手段とを備え、
前記排出口位置移動手段は、前記供給チューブが前記記録ヘッドの前記吐出口に接続された状態で、前記排出口の位置を前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させることが可能であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記排出口位置移動手段は、前記供給チューブの一部を屈曲させることで、前記排出口の位置を、前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記回復機構は、前記供給チューブの一部を押圧しながら円周状の軌道に沿って回転を行うことが可能な圧接ローラにより、前記供給チューブの一部を押圧して復元させることで前記記録ヘッドの前記吐出口からインクを吸引するチューブポンプを有し、
前記圧接ローラの前記軌道に沿った回転が水平面内で行われ、
前記供給チューブの屈曲が水平面内で行われることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記排出口位置移動手段は、前記記録ヘッドから前記廃インク収容手段に向かう方向に、前記排出口の位置が前記回復機構から突出した突出量を変化させることで、前記排出口の位置を前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させ、
前記廃インク収容手段は、前記記録ヘッドから前記廃インク収容手段に向かう方向に交差する方向に移動可能に形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記インクジェット記録装置は、前記記録ヘッドの前記吐出口から排出される記録に関与しないインクの排出量を検出する排出量検出手段を有し、
前記排出量検出手段によって検出されたインクの排出量が閾値を超えたときに、前記排出口位置移動手段は、前記排出口の位置を前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記供給チューブには、前記排出口周辺にインクが存在しているかどうかを検出するインク検出センサーが取り付けられ、
前記インクジェット記録装置は、前記インク検出センサーの検出結果に基いて、前記廃インク収容手段へのそれ以上のインクの排出を行うことが可能かどうかの判断を行う判断手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記廃インク収容手段は、インクを吸収することが可能な廃インク吸収体を有し、
前記廃インク吸収体には、溝穴が形成され、
前記回復機構は、前記排出口位置移動手段によって前記排出口が前記溝穴に対応する位置に配置されたときに、前記記録ヘッドからインクを排出させることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記廃インク収容手段は、インクを吸収することが可能な廃インク吸収体を有し、
前記廃インク吸収体には、前記排出口位置移動手段が前記排出口の位置を前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させるときに、前記インク検出センサーの検知部を払拭する払拭手段が配置されていることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記回復機構は、前記供給チューブの一部を押圧しながら円周状の軌道に沿って回転を行うことが可能な圧接ローラにより、前記供給チューブの一部を押圧して復元させることで前記記録ヘッドの前記吐出口からインクを吸引するチューブポンプを有し、
前記排出口位置移動手段は、前記記録ヘッドから前記廃インク収容手段に向かう方向に、前記排出口の位置が前記回復機構から突出した突出量を変化させることで、前記排出口の位置を前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させる供給チューブ突出量調節機構を有し、
前記チューブポンプと前記供給チューブ突出量調節機構とが同一の駆動源によって駆動されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記インクジェット記録装置は、搬送ローラを用いて記録媒体を挟んだ状態で前記搬送ローラを回転駆動させることで記録媒体の搬送を行いながら、記録媒体にインクを吐出して記録を行い、
前記排出口位置移動手段は、前記記録ヘッドから前記廃インク収容手段に向かう方向に、前記排出口の位置が前記回復機構から突出した突出量を変化させることで、前記排出口の位置を前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させる供給チューブ突出量調節機構を有し、
前記搬送ローラと前記供給チューブ突出量調節機構とが同一の駆動源によって駆動されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記インクジェット記録装置は、記録媒体の搬送と、記録媒体の搬送される方向に交差する方向への前記記録ヘッドの移動を行ないながら前記記録ヘッドの前記吐出口から記録媒体にインクを吐出して記録を行い、
前記排出口位置移動手段は、前記記録ヘッドから前記廃インク収容手段に向かう方向に、前記排出口の位置が前記回復機構から突出した突出量を変化させることで、前記排出口の位置を前記廃インク収容手段に対して相対的に移動させる供給チューブ突出量調節機構を有し、
前記記録ヘッドの移動に用いられる駆動源と、前記供給チューブ突出量調節機構による前記排出口の位置の前記廃インク収容手段に対する相対的な移動に用いられる駆動源とが同一であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−173385(P2011−173385A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40706(P2010−40706)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】