説明

インサートを有するリングシール

【課題】自動車用燃料システム等に用いられるシールを提供すること。
【解決手段】リングシール10は、本体部と、スカート部と、インサートと、を含む。この本体部は、第1材料で構成されている。このスカート部は、前記本体部から延び、かつ、前記第1材料で構成されている。このスカート部には、使用にあたって崩れて、互いに向けて移動する内側脚及び外側脚が設けられている。インサートは、前記本体部によって保持され、かつ、第2材料で構成されている。この第2材料は、前記第1材料よりも硬質である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2008年10月31日付けで提出した米国仮出願第61/110,236号に基づく優先権を伴うものである。
【0002】
この発明は、シール、特に、シールジョイント(seal joint)に用いるリングシール(ring seal)に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車用燃料システムシールは、部品間に液密ジョイント(fluid-tight joint)を造る様々な分野において広く使われている変形可能なポリマー成分を含んでいて、通常リング形状の軸方向シール(ring-shaped axial seal)及び半径方向シール(radial seal)、又は、O−リングを含んでいる。使用の際に、半径方向シールは、半径方向シールの断面における半径方向の内面及び外面上のシール中心線に垂直な半径方向に圧縮されるが、軸方向シールは、軸方向シールの断面における軸方向に対向する面上のシール中心線と平行な軸方向に圧縮される。
【0004】
軸方向シールは、容器(container)のシール開口に広く使われている。例えば、軸方向シールは、燃料タンクの開口を塞ぐのにしばしば使われ、かつ、プラグ(plug)と燃料タンク壁間のフランジ型ジョイント(flange-type joint)に配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、自動車用燃料システム等に用いられるシールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリングシールに係る1つの具体例は、本体部と、スカート部(skirt portion)と、インサート(insert)と、を含み得る。前記本体部は、第1材料を含んでも良い。前記スカート部は、前記本体部から延び、かつ、前記第1材料を含み得る。前記スカート部には、圧縮されない状態の断面において、内側脚と、外側脚と、凹部とが設けられている。ここで、前記凹部は、前記内側脚と前記外側脚との間に設けられている。前記スカート部が圧縮されるとき、又は、圧縮された状態において、前記凹部は少なくとも部分的に又は完全に崩れ、そして、前記内側脚及び前記外側脚における各内面が、互いに向けて移動する。前記インサートは、前記本体部によって保持され、かつ、第2材料を含む。この第2材料は、前記第1材料よりも硬質である。前記インサートには、アンカー部と、露出部と、が設けられている。前記アンカー部は、前記本体部によって少なくとも部分的に取り囲まれている。前記露出部は、前記アンカーブから延設され、かつ、少なくとも一部が前記本体部の外側に配されている。
【0007】
シールに係る1つの具体例は、本体部と、スカート部と、インサート部と、を有する。前記本体部は、半径方向において最大直径を有する。前記本体部は、第1材料を含み得る。前記スカート部は、前記本体部から概して垂直方向に延設されている。前記スカート部は、前記第1材料を含み得る。前記スカート部は、前記軸方向において最大直径を有する。前記インサートは、前記第1材料よりも硬質の第2材料を含み得る。前記インサートには、アンカー部と、露出部と、が設けられている。前記アンカー部は、前記インサートを前記本体部に固定できるように、全ての面において、前記本体部の前記第1材料によって完全に取り囲まれている。前記露出部は、前記アンカーブから延設され、前記本体部の外側に配置され、かつ、シールの半径方向における最も外側の構造を構成する。言い換えれば、前記露出部は、シールにおけるどの構造よりも半径方向外向きに遠くまで延設されている。前記露出部には、半径方向に関して角度をなす屈曲部と、前記屈曲部から延びる傾斜した外面と、が設けられている。前記傾斜した外面が、ジョイントが組み立てられると、容器の部品(構成要素)に当接されるようになる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るリングシールを用いた場合、組み立てられた状態又は組み立てされていない状態で起こり得るか、若しくは、加圧若しくは真空状態によって引き起こされ得るリングシールのローリング(rolling)、カーリング(curling)、ねじり(twisting)、その他のミスポジション(misposition)を制限し、又は、それらを完全に防止することができる。
【0009】
本発明の好ましい具体例については、願書に添付した図面に基づいて詳細に説明していく。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、リングシールの具体例の斜視図である。
【図2】図2は、図1のリングシールの断面図である。
【図3】図3は、図2に丸く囲んだ部分の拡大図である。
【図4】図4は、図1のリングシールの底面図である。
【図5】図5は、図1のリングシールに用いられるインサートの具体例の上面図である。
【図6】図6は、図5に丸く囲んだ部分6の拡大図である。
【図7】図7は、図1のリングシールを備えたフランジ型ジョイントに係る具体例を示す図(組み立てられていない状態)である。
【図8】図8は、図7のリングシールとフランジ型ジョイントとを組み立てた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
リングシール(ring seal)に係る一の具体例は、円形の、円筒状の形状を有しているので、その形状に関して様々な方向を定めている。例えば、用語「軸方向(axially)」とは、その形状の仮想の中心軸(C)に概して平行な方向をいい、用語「半径方向(radially)」とは、前記中心軸(C)から延びる複数の仮想半径のうちいずれか一つに概して平行な方向、又は、それに沿った方向をいう。また、用語「円周方向(circumferentially)」とは、前記形状の仮想の外周又は円周(circumference)に沿った方向をいう。
【0012】
図面には、リングシール10に係る一の具体例(圧密(pressure-tight)及び液密(fluid-tight)シール提供するために自動車用燃料タンクのフランジ型ジョイントに用いられる。)が示されている。このリングシール10は、組み立てられた状態又は組み立てされていない状態(即ち、分解状態)で起こり得るか、若しくは、加圧若しくは真空状態によって引き起こされ得るリングシールのローリング(rolling)、カーリング(curling)、ねじり(twisting)、その他のミスポジション(misposition)を制限し、又は、それらを完全に防止するように設けられている。図面には自動車用燃料タンクが示されているが、リングシール10は、液密シールを必要とするその他の用途(例えば、自動車における別の容器(vessel)、並びに、レクリエーション用、海上用、産業用、園芸用、及び、農業機械の容器など)に用いることができる。また、図面には、締め付けリング(clamping ring)を有するフランジ型ジョイントが示されているが、リングシール10は結合スレッド(mating thread)(即ち、メーソンジャージョイント)を有するフランジ型ジョイント、及び、非フランジ型ジョイントにも用いることができる。
【0013】
図7及び8に基づくと、燃料タンク12は、その自動車エンジンのために燃料を貯蔵する。この燃料タンク12は、キャップ18を収容する開口16を形成する壁14を有する。その開口16は、前記壁14から延びるリップ(lip)20によって形成されている。キャップ18は、燃料フィラーパイプ又は燃料配送モジュールと共に用いられるが、前記燃料フィラーパイプ又は燃料配送モジュールの両方はプラグ(plug)を通るか若しくはそのプラグからつるされた様々な部品を有し得る。キャップ18は側壁18とフランジ24とを有し得る。その側壁22は、燃料タンク12の開口16内に収容され得る部分を有し、かつ、概して軸方向に延びている。そのフランジ24は、前記側壁22から外向きに、若しくは、横方向に、又は、前記側壁22に垂直な方向に延びる。開口16及び/又はリップ20の周辺は、フランジ24の少なくとも一部によって覆われている。締め付けリング26は、リングシール10及びキャップ18上に配置されて、開口16を取り囲んでフランジ型ジョイントを形成する。むろんフランジ型ジョイントが、図面に示された部品より少ない部品を有しても、それより多い部品を有しても、或いは、それ以外の異なる部品を有しても良い。例えば、フランジ型ジョイントを固定するために更なるファスナーを用いても良く、開口16が専ら壁14によって形成され、若しくは、前記壁と同一平面上にある場合、リップ20を省略しても良く、そして、前述のとおり、フランジ型ジョイントがメーソンジャージョイントであっても良い。
【0014】
リングシール10は、その大きさ及び形状の面で、開口16に相補的である。図1〜3によれば、リングシール10は、環状の形状を有し、かつ、緩やかな(relaxed)又は加圧されない状態の断面(図3)において、概してL字形をなしている。この図面によれば、リングシール10は、本体部28と、スカート部(skirt portion)30と、インサート(insert)32と、を有している。
【0015】
本体部28は、スカート部30から横方向に(例えば、半径方向に)延び、かつ、場合によっては、スカート部に対してほぼ直角をなし得る。後述するように、本体部28は、インサート32を保持し得る。本体部28は、軸方向の最上面45上に第1シール面34を有し、かつ、軸方向の最下面47上に第2シール面36を有し得る(ここで、「最上」、及び「最下」は、図面に示されたシールの方向に基づく。)。半径方向の最外面38は本体部の一面を形成し、そして、半径方向の最内面40は、その反対側を形成し、かつ、中心軸Cに対し若干角(例えば、15°)をなし得る。軸方向の最上面と半径方向の最外面38間のエッジは、それに配された(面取りした)面(chamfer)42を有し得る。本体部28は、軸方向の最上面(平坦な部分をいう。)45から突設されたシールビーズ(sealing bead)44を備えている。一例において、シールビーズ44は、軸方向の最上面(平坦な部分をいう。)45から軸方向に約0.5mm(距離)程度上向きに突設されている。その距離は、それより長くも短くも設定することができる。このシールビーズ44は、本体部28の周囲に円周方向に連続して設けられている。フランジ型ジョイントが組み立てられると、シールを形成する他、シーリングビーズ44は、(組み立てられた際に)比較的ストレスが増加され、かつ、集中されやすい本体部28の部位を強化し得る。
【0016】
本体部28の軸方向の最下面とスカート部30との間には、溝46が形成され得る。この溝46は、フランジ型ジョイントが組み立てられる際に、移動(例えば、曲げ(bending)、又は、偏向(deflection))を促し得る。同様の溝を有しないリングに比べて、リングシール10はより大きい圧縮柔軟性(compressive flexibility)を有するようになるので、周辺部におけるテアリング(引裂)を防止する役割をすることができる。
【0017】
スカート部30は、リングシールのぐらつき(動揺)を防止することによって、リップ20に対してリングシール10の位置を維持することを可能にし、かつ、若干異なる直径を有する異なるキャップ18及び若干異なる直径を有する異なる開口16を収容することができる。後者は、製造トレランス(preparing tolerance)のために起こり得る。図3及び4に基づくと、スカート部30は第1脚若しくは内側脚(inboard leg)48と、第2脚若しくは外側脚(outboard leg)50と、及び、それらの脚の間に設けられた1以上の凹部52と、を有する。この内側脚及び外側脚48、50は、同一の外延を持ち、互いに対し概して平行に設けられ、かつ、中心軸Cに概して平行に設けられ得る。内側脚48は、半径方向の最内面55上に第3シール面54を有し、かつ、前記凹部52の一部を形成する内面56を有し得る。内側脚48の自由端58は平面をなし得る。
【0018】
外側脚50は、その半径方向の最外面61上に第4シール面60を有し、かつ、凹部52の一部を形成する内側面62を有し得る。外側脚50の自由端64は、面取りされ、かつ、先が細くなっている。各々の凹部52は、内側脚及び外側脚48、50のための空間を提供して、組み立ての際に、崩れて互いに向かって移動する。したがって、スカート部30は、凹部52を有しないスカート部に比べてより大きく圧縮される。その後、このリングシール10は、異なる開口16及び異なるキャップ18を収容することができる。例えば、各凹部52は、より大きい直径を有するプラグに対してより大きく崩れ、かつ、より小さい直径を有するプラグに対してはより少なく崩れるが、いずれにせよ、依然としてリングシール10の位置及び有効性を維持している。各凹部52は、圧縮されない状態の断面において、概してU字形を有し得る。一例において、各凹部52は、圧縮されない状態の断面において、約2mmの半径方向の長さ(距離)を有し得る。むろんそれ以外の長さを有することも可能である。図4に示したとおり、凹部52は、リングシール10の周囲に円周方向に間隔をおいて配置され得る。また、隣接する各凹部は、中間壁66によって分離され得る。中間壁66は、内側脚48と外側脚50との間で半径方向に対して傾斜され、かつ、前記脚と同一の外延を持ち得る。中間壁66は、スカート部30の圧縮、及び、各凹部52の崩れ(collapse)又は変形を可能にしつつ、スカート部30を構造的に支持する。
【0019】
インサート32は、リングシール10がフランジ型ジョイントに用いられるときに、ローリング、カーリング、ねじり、及び、その他のミスポジションを防止する役割をする。このインサート32は、本体部28に剛性(stiffness)を与えるか、又は、前記本体部28の剛性を補強するので、リングシール10は開口16内にリップ20に接触して配置される。インサート32は、使用の際に適当な圧縮を可能にしつつも、本体部28に構造的一体性を提供し得る。フランジ型ジョイントを組み立てる際に、インサート32は、リングシール10が適切に配置されたことをアセンブラ(assembler)の方に視覚的に示し得る。一例において、インサート32は約4.2mmの半径方向の長さ(全長)を有し得る。むろん、インサートがそれとは異なる半径方向の長さを有することもあり得る。図3、5、及び、6によれば、インサート32は、アンカー部(anchor portion)68と、露出部(exposed portion)70と、を有する。
【0020】
アンカー部68は、本体部28に埋め込まれ、又は、保持されて、本体部によって取り囲まれ、それにより、その中にインサート32をしっかりと固定する。埋め込まれると、アンカー部68は、インサート32と本体部28間の機械的相互接触を形成することができる。一例において、アンカー部は本体部28内に埋められる。ここで、埋められた半径方向の全長は、約2.6mmである。むろんその他の全長を有しても良い。用いられた材料によっては、アンカー部68は、必ずではないが、それを直接的に取り囲む本体部28と化学結合を形成し得る。軸方向において、アンカー部68は、本体部28の軸方向の全長の中ほどに配され得る。アンカー部68は、開口72のような1以上の接続部材(connection feature)を含み得る。この接続部材は、フランジ、突起部、例えば、ローブ又はリベット(本体部28がそれに関して形成され、又は、収容されて、インサート32と本体部28間の機械的相互接続を提供する。)を含むそれ以外の別の形態を有し得る。開口72及び/又は別の接続部材(独立して、又は、組み合わせて用いられるもの)は、インサート32の周囲で円周方向に間隔をおいて配置され、かつ、互いに均等又は不均等に間隔をおいて配置され得る。本体部28をなす材料は、開口72を通って延設されて、インサート32と本体部28間の更なる機械的相互接続を形成する。別の具体例によれば、アンカー部68は、必ずしも開口72を有しなくても、インサート32とアンカー部28間の十分な機械的相互接続を形成し得る。
【0021】
露出部70は、アンカー部68から本体部28の外側の方に延設されている。露出部70は、本体部28の半径方向の最外面38から半径方向外向きに延設されて、リングシール10の半径方向の最も外側の構造を構成する。したがって、アセンブラは、露出部70を容易に目にして、リングシール10を適切に位置づけることができる。露出部70は、自由端77まで延びる角をなす(傾斜した)隣接した外面76につながる屈曲部74(bend)を有し得る。前記角度をなす外面76は、半径方向に関して約45°の角度をなし得る。その他の角度をもなし得ることはいうまでもない。
【0022】
本体部28及びスカート部30は、インサート32とは異なる材料で構成され得る。例えば、インサート32は、本体部28及びスカート部30よりも硬質の(rigid)材料で構成され得る。一例において、本体部28及びスカート部30は、比較的柔軟で、かつ、弾性の材料、例えば、熱可塑性、熱硬化性プラスチック、又は、エラストマーなどで構成され得る。一例において、本体部28及びスカート部30は、フルオロエラストマー(FKM)ゴムで構成され得る。別の例において、本体部28及びスカート部30は、比較的高いFKMフッ化炭素含量を有する蒸気不透過性ポリマー(vapor-permeation-resistant polymer)、例えば、登録商標「ビットン」(Viton)(デラウェア州、ウィルミントン所在のデュポン・ダウえらストマー社から入手可能である。)などで構成され得る。別の例において、本体部28及びスカート部30は、液体燃料抵抗性エラストマー(liquid-fuel-resistant elastomer)、例えば、ニトリルエラストマー(nitrile elastomer)、フルオロ−シリコンゴム(fluoro-silicone rubber)、ブチレン−ニトロールエラストマー(butylene-nitrol elastomer)、又は、低FKM含量のエラストマーで構成され得る。その他の材料をも用いられることはいうまでもない。
【0023】
一方で、インサート32は、金属、ポリマー、又は、複合体(composite)のような比較的硬質の材料で構成され得る。一例において、インサート32は、ポリアミド(PA)ポリマーで構成され得る。別の例において、インサート32は、410Sスプリングで緩和されたステンレス鋼(410S spring tempered stainless steel)、又は、亜鉛めっき普通炭素鋼(zinc-plated plain carbon steel)で構成され得る。別の例において、インサート32は、60%まで充填されたガラス又はミネラルフィラーを有するか、又は、それを有しない熱硬化性材料又はナイロンを含む比較的硬質のポリマー材料で構成され得る。別の例において、インサート32は、PPA,PPS,Ultim,又は、剛性を持たせるために製造されたその他の工業用ポリマー(engineered polymer)で構成され得る。
【0024】
リングシール10は、様々な方法によって製造され得る。その方法は、インサート32用材料、本体部28及びスカート部30用材料に基づいて異なってくる。一例において、インサート32は、第1射出成形法(first injection molding process)により別途製造され、その後、ダイの空洞内に配置及び保持され、その後、その空洞が溶融材料で満たされて、本体部28及びスカート部30が形成される。溶融材料は開口72を通って、そこで固化される。別の例において、本体部28及びスカート部30は、全ての構成要素(即ち、部品)の材料が同じ空洞にて注入されるコインジェクション成形法(coinjection molding)によって、共に形成され得る。それ以外の製造方法、例えば、非射出成形法、その他の射出成形法を用いることも可能である。また、インサート32は、必ずしも本体部28内に配される必要はなく、その代わりに、半径方向の最外面38に付着させるなどして、本体部によってインサート32を保持させることも可能である。
【0025】
一般的に、リングシール10は、組立て(assembly)状態又は分解(disassembly)状態に起こり得るか、又は、加圧又は真空状態によって引き起こり得るリングシールのローリング、カーリング、ねじり、及び/又は、その他のミスポジションを制限し、又は、完全に防止するように構成され得る。これらの目的のうち少なくとも一部は、リングシール10における特定の構造、及び、それらの特定の構造間の関係によって達成され得る。例えば、図3によれば、本体部28の最大直径は、半径方向の長さL1であり得る。一の例において、この長さL1は、9.0mmである。スカート部30の最大直径は、軸方向の高さH1である。一の例において、この高さH1は、約5.7mmである。また、リングシール10の軸方向の全高H2は、約11.9mmである。前述した構造及び関係がリングシール10に存在する必要はなく、そして、前述した寸法全ては、実施例によって異なり得る。
【0026】
図7及び8によれば、アセンブリにおいて、リングシール10は、開口16の周囲に、かつ、リップ20の上部に配置される。本体部28は、リップ20の上部面に接触して配置され、そして、スカート部30は、開口16の内面に接触して配置されている。リングシール10は、インサート32の剛性(つまり、本体部28より硬質である。)に部分的に起因して、その位置に保持される。キャップ18は、開口16内に、かつ、リングシール10の上部に配置され得る。側壁22は、スカート部30に当接し、そして、フランジ24は本体部28に当接し得る。その後、締め付けリング26は、キャップ18、リングシール10、及び、リップ20に近付いて、これらを挟み得る。締め付けリング26が下向きに締められると、フランジ型ジョイントは、圧密及び液密シールを提供することができる。このリングシール10は、連続的な(contiguous)表面を有する様々なシールを圧縮し、かつ、形成する。例えば、フランジ24は、第1シール面34及びシールビーズ44に接触して配置されて、それらの間に第1シールを形成し、リップ20は、第2シール面36に接触して配置されて、それらの間に第2シールを形成し、側壁22は、第3シール面54に接触して配置されて、それらの間に第3シールを形成し、そして、リップ20は、第4シール面60に接触して配置されて、それらの間に第4シールを形成する。これらのシール全てを、必ずしもリングシール10を有する特定のフランジ型ジョイントで形成する必要はない。例えば、第3及びだ4シールを形成しなくても良い。また、様々なシールは、前述したもの以外の別の部品(構成要素)を有するものであっても良い。組み立てられると、インサート32は、角度をなす外面76において締め付けリング26に当接し、それにより、リングシール10の位置がよりよく保持させる。
【0027】
この明細書に記載した本発明の実施形態は、単に好ましい具体例を示したのに過ぎず、それ以外の実施形態も可能である。本明細書では、あえて本発明の均等物(可能な限り全て)まで言及していない。この明細書に使用した用語は、単に説明のために選択されたものであり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲の様々な変形は可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1材料を含む本体部と、
前記本体部から延び、かつ、前記第1材料を含むスカート部と、
前記本体部によって保持された、前記第1材料よりも硬質の第2材料を含む、インサートと、
を有するリングシールであって、
前記スカート部には、圧縮されない状態の断面において、内側脚と、外側脚と、凹部と、が設けられ、
前記凹部が、前記内側脚と前記外側脚との間に設けられ、
圧縮された状態において、前記凹部が、少なくとも部分的に崩れると共に、前記内側脚及び前記外側脚における各内面が、互いに向けて移動するように構成され、そして、
前記インサートには、前記本体部によって少なくとも部分的に取り囲まれたアンカー部と、前記アンカーブから延設され、かつ、少なくとも部分的に前記本体部の外側に配された露出部と、が設けられている
ことを特徴とするリングシール。
【請求項2】
前記本体部が、半径方向において最大直径を有し、
前記スカート部が、前記軸方向において最大直径を有し、そして、
前記スカート部が、前記本体部の最大直径にほぼ垂直であることを特徴とする請求項1に記載のリングシール。
【請求項3】
前記本体部の軸方向の最下面と前記スカート部の半径方向の最外面とが交差するところに、前記リングシール使用時に、圧縮を受けた前記本体部及び前記スカート部の移動を促す溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のリングシール。
【請求項4】
前記本体部が、前記軸方向の最上面に配置されたシールビーズを有し、そして、前記シールビーズと前記軸方向の最上面とが第1シール面を構成することを特徴とする請求項1に記載のリングシール。
【請求項5】
前記内側脚と前記外側脚との間に延びる複数の中間壁によって、前記スカート部の周囲から円周方向に間隔を置いて配された複数の別途の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリングシール。
【請求項6】
前記リングシールが圧縮されない状態では、前記スカート部における前記内側脚と前記外側脚とが互いに同一の外延を有し、かつ、互いに、及び、前記リングシールの中心軸に対してほぼ平行して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリングシール。
【請求項7】
前記リングシールには、
前記本体部における軸方向の最上面上に配され、かつ、前記リングシールが圧縮されない状態において前記半径方向に延設された第1シール面と、
前記本体部における軸方向の最下面上に配され、かつ、前記リングシールが圧縮されない状態において前記第1シール面にほぼ平行して前記半径方向に延設された第2シール面と、
前記スカート部における半径方向の最内面上に配され、かつ、前記リングシールが圧縮されない状態において前記軸方向に延設された第3シール面と、
前記スカート部における半径方向の最外面上に配され、かつ、前記リングシールが圧縮されない状態において前記第3シール面にほぼ平行して前記軸方向に延設された第4シール面と、
が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のリングシール。
【請求項8】
前記インサートが、環状であり、
前記インサートには、前記インサートの周囲から円周方向に間隔を置き、かつ、互いに離れて配置された複数の開口が形成され、そして、
前記開口を通って延設された前記本体部の前記第1材料によって、前記アンカー部において前記インサートと前記本体部間に機械的相互接続が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のリングシール。
【請求項9】
前記アンカー部が、全ての面において、前記本体部における前記第1材料によって完全に取り囲まれ、それにより、前記インサートが前記本体部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のリングシール。
【請求項10】
前記露出部には、前記リングシールにおける半径方向の最外端を構成する自由端が設けられ、
前記露出部には、半径方向に関して角度をなす屈曲部と、前記屈曲部から延びる傾斜した外面と、が設けられ、そして、
前記外面が、ジョイントが組み立てられたときに、容器の部品に当接するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリングシール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−156457(P2010−156457A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−251713(P2009−251713)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(502429154)ティーアイ グループ オートモーティヴ システムズ リミテッド ライアビリティー カンパニー (39)
【Fターム(参考)】