説明

インスリン抵抗性の治療

【課題】 本発明は、甘茶ずる抽出物を含むインスリン抵抗性、肥満、体重減少及び高脂血症処置用組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、米国特許仮出願番号No.60/675,703、開示2005年4月27日の優先権の利益を主張し、そのないようは参考文献として本明細書に組み込むものとする。
【0002】
本発明はジペノサイド(Gypenosides)、もしくは甘茶ずるGynostemma pentaphyllum (以下G.pentaphyllum)抽出物を含む治療用組成物に関する。本発明は、かかる治療用組成物をインスリン抵抗性、肥満及び高脂血症を処置する治療用組成物の用途に関する。
【背景技術】
【0003】
インスリン抵抗性は複合疾患であり、かつ多遺伝子病である。特に「肥満」と「炎症」を2大要因とする疾患であり、関連疾患及び疾患を進行させることを特徴としている。特に内臓肥満はインスリン抵抗性と密接に関連している。近年、肥満によるインスリン抵抗性の患者は増加の一途をたどり、未治療のまま放置した場合は、更に重大な障害に陥ることから、医薬品の見地からにインスリン抵抗性を効果的に、経口投与による安全な治療法の開発が必要とされている。
【0004】
最近、基礎研究及び臨床研究の成果からインスリン抵抗性のメカニズムが明らかにされてきた。筋肉組織のインスリン抵抗性は肥満による余剰の脂肪酸が細胞組織に蓄積することが、インスリン抵抗性の原因であることが報告されている(McGarry,2002)。血中の遊離脂肪酸(FA)が脂肪酸輸送タンパク質(fatty acid transport protein:FATP)を介して細胞内に取り込まれ、遊離脂肪酸(FA)は補酵素A(Coenzyme A)によりエステル化されアシルCoA(acyl-CoA)になる。その後アシル-CoA(一部グリセロール骨格が抱合されジアシルグルセロールになるが)、アシル-CoAはJNK(c-Jun N端末キナーゼ:c-Jun N-terminal kinase)及び/又はプロテインキナーゼ複合体(PKCs:protein kinases Cs)を活性化する。これらのキナーゼは直接又は間接的にインスリン受容体基質1、2(IRS1/2)のセリン残基をリン酸化する(Dresner,1999)。I−カッパβキナーゼ(IKKβ:I-kappa βkinase)ノックアウトマウス及びIKKβインヒビターとしてリン酸塩を用いたSchulmanらの試験で、リン酸化セリン残基があるIRS1はインスリン抵抗性患者の筋肉組織の脂肪取り込みをIKKβ活性が誘発することから(Kim,2001)、結果としてインスリン受容体基質(insulin receptor
substrate 1/2:IRS1/2)のリン酸化セリン残基はホスファチジル−イノシトール3キナーゼ(PI3K
:phosphatidyl-inositol 3 kinase)のインスリン受容体への作用を抑制している。阻害されたPIK3はグルコースを輸送するインスリンへシグナルへの伝送が行わず、特にインスリン感受性のグルコース輸送担体4型(insulin-sensitive glucose transporter
4:GLIT4)へのインスリンシグナル細胞内伝達が行われず筋肉組織のインスリン抵抗性(IRS)を増加させている。最近、肥満組織のインスリン抵抗性(insulin resistance syndrome)は、肝臓組織や脂肪組織では想定と違ったメカニズムが働いていることが報告されている(Ozcan,2004)。肥満由来のインスリン抵抗性は筋肉組織又は肝臓組織/脂肪組織と同一であると論じられ、最終的にインスリン感受性GLUT4の作用低下が血液中の糖を取り込みと関連している。
【0005】
体脂肪を減少させることは、インスリン抵抗性及び2型糖尿病でよく見られる肥満を改善し、血中遊離脂肪酸濃度を増加させ、インスリンシグナルを減少させる。体脂肪を減少させる方法は数多く報告されている。AMPK(AMP-活性化プロテインキナーゼ:APM-activated protein kinase)活性は体脂肪合成をさせ、β酸酸化(β-oxidation)を増加させ、結果としてインスリン抵抗性を改善させる。活性化AMPKは結果としてACC(アセチル-CoA-カルボキシラーゼ:acetyl-CoA carboxylase)を不活化することにより、マロニル−CoA(malonyl-CoA) 産生を抑制し脂肪酸合成を減少させ、脂肪酸のβ酸化促進する(Oh,2005)。β酸化により脂肪酸はミトコンドリア細胞に運ばれる。カルニチン脂肪代謝は長鎖脂肪酸の形で、ミトコンドリアに移送している。肝臓及び筋肉の輸送経路はマロニル-CoAにより阻害される。しかしながらAMPKを活性化するとマロニル-CoAは低下し、脂肪酸のミトコンドリアへの取り込みを促進し、β酸化を増加させ、体脂肪を減少させている。
【0006】
グルコース利用シグナルは膵臓β細胞が分泌したインスリン分泌が行っている。インスリンはGLUT4トランスロケーションを促進し細胞のグルコース取り込み及びグリコーゲン合成を促進している。インスリンは血中グルコースの細胞内処理に作用しないで、血中グルコースの生理的レベル維持を目的にインスリンを分泌させている。過剰β細胞、細胞内グルコース取り込みに非感受性なインスリンはインスリンの感受性の特徴である。更にインスリン抵抗性進行中に高血圧、動脈硬化症等の疾患が2型糖尿病合併症が生じてくる。
【0007】
2型糖尿病治療薬に中でインスリン感受性を改善する薬剤として、メトフォルミン(metformin)、ビッグアナイド(biguanide)、及びロシグリタゾン(rosiglitazone)チアゾリン系薬剤(thiazolidinedione;TZD)が処方されている。昔から使用されているメトフォルミンの抗糖尿病効果は肝臓のグルコース合成活性阻害作用がある。チアゾリン系(TZDs)薬はペルオキシソーム増殖剤応答性因子γ(PPAR-γ:peroxisome proliferator-activated receptor-γ)/核内転写促進酵素 のリガンド(特定の受容体に特異的に結合する物質)として広範囲の脂肪酸及び誘導体を広く認識している。PPAR-γにチアゾリン薬剤が結合すると脂質生成(アディポゲネイシス)の遺伝子を発現させる。脂肪酸及びホルモンのペプチドは脂肪新生組織に産生されることが知られており、チアゾリン系薬剤を投与するとインスリン感受性が改善される。興味深いこととして組織と作用強度に差が有り、AMPK活性、AMPK増加がADP/ATP量の比がミトコンドリリア呼吸鎖(電子伝達系と酸化的リン酸化)に関係している (Brunmair,2004)。2種類の血糖降下物質がAMPK活性を増強し、インスリン感受性を改善することが知られている。一般論としてAMPK活性増強は低血糖状態を改善することが知られている。
【0008】
本発明はAMPK活性促進物質を肥満、インスリン抵抗性及び2型糖尿病に適用可能なスクリーニング法の開発を考えた。植物はアジア諸国で何百年間も各疾患の治療に用いられていることから、安全性は担保されている。各種植物から筋肉組織のAMPK活性促進物を見つけるための100種類以上の植物のスクリーニングを行った結果、甘茶ずる(G.pentaphyllum)がインスリン抵抗性改善に適しているという結論に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
甘茶ずる(G.pentaphyllum)はウリ科(Cucurbitaceae)植物に属し、伝統医療では同植物抽出物は化学成分が含まれており、同化学成分はコレステロール低下、血圧正常化、免疫賦活作用、抗炎症、及び血液粘脹性の低下等の作用があることが知られているが、これらの効果の科学的検証は不確実な部分がある。G.pentaphyllum は一般名として「Amachzuru(甘茶ずる)、Jiaogulan、Miracle Grass、Southern Ginseng、Vitis pentaphyllum、及び Xianxao」と称されている。葉の部分から最初に抽出された成分を一般名称としてGypenosides
(GP)と名づけられ、ダラマレン系サポニン(dammaranetype saponins)である。最近、Liuらは(Liu,2004) Gypenosidesから15種類のダラマレン系サポニンを精製/分離した。10種類は既報告成分であったが、5種類は新規トリペン化合物であり、側鎖をもちエポキシ環(C-17)を有している。同植物からYin(Yin,2004)らは同様に19種類のダラマレン系配糖体から新規15種類のダラマレン系配糖体化合物を分離/精製したことを報告した。これらの新規化合物の分離/精製の進歩は最新の分析機器の性能向上に負うことが大である。しかしながらこれらの新規成分として、個々の薬理効果、及び相互間の薬理作用を矛盾無く説明できるまで至っていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
甘茶ずる(G.pentaphyllum)抽出物ジペノサイド(GP)はインスリン抵抗性に効果があることを確認した。GP抽出物の抗インスリン抵抗性の発現機序について、次の2つの知見を得た。(1)抽出物GPはAMPK活性を刺激し、GLUT4(グルコース輸送担体4型:glucose transporter 4)の細胞膜トランスロケーションを促進するが、インスリン作用と無関係である。(2)IKKβ(I-kβキナーゼ)のインヒビター(inhibitor)及びc-JunN-端末ナーゼ(JNK:c-Jun N-terminal kinase)活性を抑制し、インスリン受容体基質1(IRS)1のセリン残基のリン酸化を抑制する。(2)IKKβ(I-kβキナーゼのインヒビター:inhibitor of I-kβkinase)及びJNK(c−ジュンN-端末ナーゼ:c-Jun
N-terminal kinase)活性を抑制し、IRS1のセリン残基のリン酸化を抑制する。
【0011】
本発明は植物抽出によるダラマレン系サポニン配糖体であり、甘茶ずる(G.pentaphyllum)抽出成分ジペノサイド(Gypenosides)に関する。
【0012】
本発明の他の一つの形態は植物抽出方法である。この方法は、植物成分を抽出し、そして抽出溶離液を乾燥することを含む。
【0013】
本発明は、インスリン分泌と無関係に発現し、Iκβキナーゼ(IKKβ)及びc-Jun端末キナーゼ(JNC)を抑制することによりインスリン抵抗性を発現ことによって甘茶ずる抽出物又はジペノサイドを食後の血糖値を低下させ、インスリン抵抗性を改善し、細胞へのグルコース取り込みを促進しグルコース輸送担体4型(GLUT4)の細胞膜トランスロケーションを促進するのに使用する方法を提供する。
【0014】
本発明は、甘茶ずる又はGPをAMPキナーゼ(AMPK)の活性化、及びACC(アセチルCoAカルボキシラーゼ)不活化、β酸化(脂肪燃焼)亢進することにより体脂肪燃焼を亢進するのに使用することを提供する。
【0015】
本発明は甘茶ずる又は抽出液またはGPを、筋肉内のIKKβ及びJNL活性抑制することによってインスリンシグナリングを増加させるのに使用する方法を提供する。IRSのセリン残基のリン酸化抑制はキナーゼ活性 によるものであり、インスリン刺激による細胞内グルコース取り込みを増加させることである。
【0016】
本発明はインスリン抵抗性症候群の影響を患う被験者に甘茶ずる抽出物又はシペノサイドを投与することを含むインスリン抵抗性、同関連疾患の治療方法を提供する。
【0017】
従って、一形態において、有効量の甘茶ずる抽出物を含むインスリン抵抗性、肥満、体重減少及び高脂血症処置用組成物に関する。この組成物は、組成物中約0.5から10質量%の濃度でジペノサイドを含むことができる。更にGP量は10から2,000μg/mLである。
【0018】
本発明はまた、有効量の上記組成物を被験者に投与するインスリン抵抗性、肥満/体重減少及び高脂血症の治療方法に関する。使用する抽出物量は10mgから1,000mg/日、又は10から800mg/日である。
【0019】
他の見地から、本発明乾燥品のインスリン抵抗性改善、肥満/過剰体重、体脂肪減少及び高脂血症の治療目的に、上記の効果を求める場合の使用量は1mgから1,000mg/日、又は10から800mg/日である。
【0020】
上記の組成物は水分を含む担体と共に用いることが可能であり、例として温泉水、滅菌水、蒸留水、炭酸水、ジュース、ヨーグルト、ミルク、食用油、及びこれら混合して用いることが可能である。加えて、上記の組成物は、食品添加物として、たとえばとしてアイスクリーム、ハンバーガー、穀物類、クッキー、パン、ケーキ、ビスケット、肉製品、に混合して用いることが可能である。更に、上記の組成物は錠剤として配合することが可能である。錠剤は充填物、結合剤、コーティング、薬品添加物又はこれらの混合物から選択して製造することが可能である。上記の選択には更に食物繊維、天然シリカ、ステアリン酸マグネシウ、ワックス、植物性グリセリド、植物ステロール又はこれらの化合物の組み合わせを含むことが可能である。この組み合わせにグリタゾン系、フィブラート系、スタチン系、ビグアナイド系、スルフォニルウレア系、アデニンヌクレオタイド系、又はこれらの誘導体、及び医薬品として認可されている薬剤が含まれる。
【0021】
その他の態様として、本発明は3T3-L1細胞内の脂肪合成を増強する作用を有する非毒性AMPK活性物質を選択する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の本出願において開示する本発明代表的なもの、及び他の請求範囲は添付した特許文献及び請求範囲に示した。
【0023】
本発明の理解をより深めるために、下記の記述内容及び添付した図説明を示す。ただしこれらの資料の開示内容は本発明の全てを示すものではない。
【0024】
本明細書に用いられている 「a」及び「an」は個々の単数および複数の両方の対象を示している。
【0025】
「添加物質」は医薬品添加物又は安定化剤であり、細胞毒性は無く、哺乳類に同用量(重量/濃度)を投与した場合に安全性が担保されているものである。主に医薬品添加物は緩衝液のpH調整/保持の目的に用いる。医薬品添加物の例として、リン酸、クエン酸及び他の有機酸;抗酸化剤としてアスコルビン酸/低分子ポリペプチド(10残基以下)、タンパク質(血清アルブミン、ゲラチン又は免疫グロブリン、親水性ポリマー(ポリビニルピロデイン/PVPなど) 、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン酸、アルギニン、又リジン)、単糖体、二糖体及び炭水化物(グルコース、マンノース又はデキストリン)、キレート剤(EDTAなど)、糖アルコール(マンニトロール、ソルビトールなど)、塩形成イオン(ナトリウム)又は非イオン性界面活性化剤(Tween(登録商標名)、PEG/ polyethylene glycol、PLURONICS(登録商標名))が挙げられる。
【0026】
「用量」は医薬品処方箋と同様に1回又は定期的に秤量したものである。
【0027】
「有効量」は十分な有効性又は臨床症状又は血液生化学検査結果である。有効量は単回又は反復投与により有効性を確認した量である。本発明の有効量は疾患症状から症状の緩和、改善、安定化、無効化、緩除に改善がみられた時の量である。本発明の「有効性」はAMPK活性化又はGLUT4トランスロケーションの増加である。その他の本発明の具体例での「有効量」は投与による症状改善、肥満の予防/改善、又はインスリン抵抗性の改善が認められた「投与量」が含まれる。他の具体例の「有効量」はGP(gypenosides)投与により、インスリン非依存性によるグルコースの細胞内取り込みが行われインスリン抵抗性の改善を示す場合である。
【0028】
「GP」は甘茶ずるから抽出されたジペノサイド(GP)である。
【0029】
インスリン抵抗性(Insulin Resistance Syndrome)はインスリンの過剰分泌による疾患で、その代償として高インスリン血症を呈し下記の疾患が含まれる。糖耐糖能低下(空腹時又は糖負荷時)、高脂血症、中性脂肪増加、低HDLコレステロール、小粒子高密度(small dense)LDL低下、及び食後のトリグリセライド高含有リポタンパク質(triglyceride-rich
lipoproteins)の増加、内皮機能低下、血中細胞接着分子増加、血中ADMA(非対称性字メチルアルギニン)増加、及び内皮性血管拡張因子の減少、血液凝固物質であるPAI-1(プラズミノーゲンアクチベータ−インヒビター1:plasminogen
activator inhibitor-1)及びフィブリノーゲン(fibrinogen)増加、血流学的変化(交感神経系及び腎臓ナトリウム滞留量の変化)、炎症性マーカ(CRP増加、白血球数減少)、尿酸代謝異常(血中尿酸量、尿酸クリアランスの増加)、卵巣テストステロン増加、及び呼吸困難による不眠症。また2型糖尿病由来インスリン抵抗性に関連する随伴症状として、循環器系疾患、本態性高血圧症、多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary symdrome :PCOS)、非アルコール性脂肪肝、ある種の腫瘍、及び睡眠時無呼吸症がある。
【0030】
「担体又は/及び希釈剤(医薬品)」は希釈剤、分散溶媒、抗生物質及び抗菌剤によるコーティング、等張及び吸収延着剤などが挙げられる。これらの素材又は医薬品活性物質は既知技術の物を使用した。例外として標準的な溶媒でも本発明の活性測定に不都合なものや、医薬品目的外に使用されているものは除外した。本発明の活性を補強する素材は組み入れた。
【0031】
「治療」は予想される臨床結果が得られたものである。本発明が予測又は期待する臨床結果も含まれる。結果として臨床症状の改善/縮小、症状の安定、疾患の進行の緩和、又は緩解(部分又は全体)され事象で顕在性又は非顕在性の内容も含まれる。「治療」は無治療と比較して生存期間の延長が含まれる。「治療効果」は医薬品治療と発症予防又は再発予防が含まれる。「治療」の中に疾患治療中及び予防処置を含める。「疾患の緩和」は無処置群と比較して進行中の予期しない臨床症状を緩和させること又は進行を遅滞されることである。
【0032】
他の具体化例として甘茶ずる(G.pentaphyllum)から抽出した粉末又はGPが未知の治療薬又はサプリメント(健康促進物質)である。具体例としてGP抽出物は医薬品としての治療効果及び養生法(レジメン)に効果があり、耐糖能、インスリン抵抗性及びレプチン抵抗性の改善が挙げられる。
【0033】
その他の具体化例として、GPをAMPK活性に用いることであり、その他の具体例としてGPの標的蛋白はACCであり、具体例として標的細胞は細胞内タンパク質はCPT(カルニチン パルミトリル トランスフェラーゼ:carnitine
palmitoyl transferase)であり、標的蛋白質は細胞膜タンパク質IRS1であり、そして標的タンパク質は細胞内タンパク質GLUT4である。
【0034】
抽出物及びその性状
【0035】
本発明のGP(ジペノサイド:gypenoside) の治療用量は、濃度(重量比)は約0.5〜10%、0.6〜9%、0.7〜8%、0.8〜7%、0.9〜6%、1〜5%、2〜4%であり、最適範囲は2.1〜3.5%、2.2〜3.4%、2.4〜3.2%、2.5〜3%、2.6〜2.9%、又は2.7〜2.8%である。
【0036】
本発明の治療用量は約10〜2,000μg/mL、20〜1,000μg/mL、30〜500μg/mLであり、最適用量は100〜300μg/mLである。
【0037】
本発明として、活性物質クロム(Cr)、マグネシウム(Mn)、亜鉛(Zn)、ナイアシン(B3)、ビタミンB6及びB12と混合して投与することができる。好ましい投与量はCr20〜500μg、Mg1〜10μg、Zn2〜10μg、B350〜500μg、B61〜50μg、B125〜100μgである。
【0038】
疾患の症状や進行によって、投与方法はいかなる方法を用いることが可能であり、投与経路例として経口経路、非経口経路である靜注経路、筋肉内経路、皮下経路、経皮経路、膣内経路、眼内経路、吸鼻経路で溶解物、半溶解物の液状で投与する。錠剤、座薬、糖衣錠、カプセル、粉末、液剤、懸濁液、クリーム、ゲル、インプラント、パッチ、ペッサリー、エアルゾル、洗眼液、乳剤又は乳剤様で投与することが出来る。各投与量は投与経路に応じて決定する。医薬品原材料は通常に用いられている担体又は賦形剤、及び更に他の薬剤、医薬品化合物、担体、アジュバント等を組み合わせて用いることができる。本発明は天然植物由来の担体である果汁、果実、野菜スープ又はブイヨン、豆乳又は天然サプリメントと組み合わせて用いることができる。
【0039】
本発明を野菜スープ又はブイヨンをベースとした薬草成分混合して用いることができる。この場合、全ての野菜スープ又はブイヨンを用いることはでき、結果としてハーブ成分による抗糖尿病効果が得られることができる。
【0040】
本発明を果汁又果実絞り汁をベースとした薬草成分混合して用いることができる。この場合、全て果実汁を用いることはでき、結果として抗糖尿病効果が得られることができる。
【0041】
本発明を豆乳と成分混合して用いることができ、この場合、全ての豆乳及び果実汁果実と用いることはでき、通常これらの製品は冷蔵保存して腐敗などによる毒性を予防している。本発明を豆乳に混入、混和して製造したサプリメントは、結果として抗糖尿病効果が得られることができる。
【0042】
本発明を薬剤で非毒性が確認されている用量と成分混合し、湿潤剤又は懸濁化剤、pH保持剤として用いることができる。例として酢酸ナトリウム(sodium acetate)、ソルビタンモノラウレート(sorbitan
monolaurate)、トリエタノールミンオレイン酸(triethanolamine oleate)などがある。
【0043】
薬用植物の剤形は様々な形態で使用することができ、技術的に可能な例として約0.01重量%(wt%)〜約99.99wt%の使用、薬剤量では0.01wt%〜99.99wt%であり、賦形剤としても使用することができる。
【0044】
推奨投与経路は前項に記載しているが、経口投与が日常投与や養生には好ましい。 例として経口投与は医薬品の一般的な投与方法であり、他の賦形剤の使用が可能である。賦形剤の例として医薬品規格品のマンニトール(mannitol)、ラクトース(lactose)、でん粉(starch)、マグネシウム(Mg)、ステアリン酸(stearate)、サッカリンNa(sodium
saccharine)、タルク(talc)、セルロース(cellulose)、グルコース(glucose)、ゼラチン(gelatin)、蔗糖(sucrose)、炭酸Mg(magnesium carbonate)等がある。これらの成分の含有量は本発明の活性物質に対して0.01wt%〜99.99wt%である。
【0045】
具体例として、糖衣錠又は錠剤の形態がある。含有成分として本発明活性物質と、希釈剤の例として乳酸)、蔗糖、第2リン酸Ca等がある。;崩壊錠の場合は蔗糖、PVP(ポリビニルピロリドン:polyvinylpyrrolidone)、アカシアガム、ゼラチン、セルロース、及びそれらの誘導体等がある。
【0046】
「医薬品成分」又は「薬用成分」は、インスリン抵抗性、肥満、高脂血症等を治療目的に材料に含まれる個々の成分である。これらの作用機序はAMPKの活性化及びIKK及びJNKの抑制である。またGPの用量は無毒性の範囲の使用量である。
【0047】
医薬品成分
【0048】
治療薬としての剤形は通常の技術で製造され、その技術はRemington's 医科学(17版)、Mack Publishing Co., Easton, Pa., USAに記載されている範囲とする。例として0.05〜20mg/kg(体重)/日の使用量である。使用量は臨床症状に応じて決める。例として数種類の投与量/日を決めるか、臨床症状に対応して投与量を減らす方法がある。本発明の活性物質は通常は経口、静脈(水溶性)、筋肉内、皮下、鼻腔内、皮膚塗布投与がある。
【0049】
医薬品の注射として使用する場合、滅菌水(水溶性成分)又は滅菌剤液又は殺菌粉末等を用いる。これらの滅菌/殺菌剤は注射容器に注入する物である。滅菌/殺菌剤は製造時及び保存時において所定条件において保管される場合、滅菌/殺菌剤は微生物のバクテリアや真菌に対して効果を示すものである。担体は水溶性又は分散溶液に含まれる物である。例として水、グリセロール、PVP及びポリエチレングリコール等があり、適宜に混合するものとして植物油がある。適した流動(溶液)性を保持することが必要である。例としてレシチン(lecithin)等により混濁液(エマルジョン)として規定粒子サイズが特定されているものである。対象の微生物を滅菌/殺菌する場合、各種抗菌物質、抗真菌物質等を使用する。例として塩化ブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等がある。
多くの場合、溶液中に等張化剤が含まれる。その他の例として糖又は塩化ナトリウム等がある。注射用成分の吸収性を保持するために吸収を遅延化する成分を用いる。また例としてモノステアリン酸アルミニウム、及びゼラチンがある。
【0050】
注射剤溶液の滅菌/殺菌のために適した溶剤を添加した後、フィルターろ過による滅菌処理を行う。一般的に分散液中に各種殺菌活性物質、滅菌/殺菌賦形物質が分散液中に存在する。注射溶液中の滅菌/殺菌用粉末の場合は、真空乾燥法及び真空凍結法により製造された物で、最終的に本発明活性物質と添加物質は既にろ過滅菌された物である。
【0051】
本発明活性物質は通常、経口投与される。例として 同時に不活溶液又は吸収可能な食物、又はゼラチンカプセル(ソフト型又はハード型)、又は錠剤(打状)、又は食事または食品と摂取が可能な物である。経口投与による治療は活性物質と添加剤を混合した、体内吸可能な錠剤、口腔内崩壊錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハス等がある。これらの製品の活性物質の最低含有量は1%である。活性物質含有量は約5〜80wt%である。治療に用いる活性物質は適宜、治療に適した用量を用いる。治療に適した活性物質の1日摂取用量として0.1μg〜2,000mgである。
【0052】
錠剤、糖衣錠、カプセル等は下記のものが含まれている。: 結合剤としてトラガカントガム、アカシア、でん粉又はゲラチン、添加剤として第2リン酸カルシウム:崩壊錠としてトモロコシでん粉、ジャガイモでん粉、アルギン酸等があり、潤滑剤としてステアリン酸Mg、甘味料として蔗糖、ラクトース又はサッカリン、香料としてペパーミント、ウインターグリーン油、チェリー芳香油等がある。カプセルを用いる場合は、活性物質に上記の物質や液性担体を用いる。他の投与形態のものは、上記物質を含め、用量に応じて物理的形状を対応させる。例として、錠剤、糖衣錠又はカプセルはセラニック、糖又は両方をコートして用いる。活性物質を含むシロップ又はエリキシルは甘味料として蔗糖、保存料としてメチル及びプロピルパララベン、色素及び香料としてチェリー又はオレンジ香料を用いる。上記に用いる原料は医薬品グレードの製品であり、安全性が担保されている用量内である。
更に活性物質を徐放性薬剤の形態で用いることがある。
【0053】
本発明の形態の有用なことは同一形態、同一用量を投与できることである。投与量は物理的に分離した単位として哺乳類に投与が可能である。;各単位は所定の物質の活性単位を定量化し治療に医薬品として必要量を保持している。本発明の活性単位は以下に従う。(a)本活性物質は特に医薬品として効能を示す。(b)技術処理された本活性物質は通常疾患の治療及び健康維持の目的に使用される。
【0054】
本発明は期待される効果を得るために、医薬品化合物を同一処方で投与することができる。その処方例の中に本発明の活性物質の投与量は0.5μg〜2,000mgである。同活性物質の通常量は0.2μg/mL(担体中)である。同活性物質をサプリメントとして投与する場合は、通常量及びサプリメント材料を考慮し用量を決める。
【0055】
本発明の具体的な使用例を以下に示す。本発明は技術の進歩及び海外技術情報により改良される事例があり、具体例だけに留まるもではない。
【実施例】
【0056】
(例-1 –GP製造方法)
【0057】
本例において、本発明の植物抽出の製造方法を示す。特別の種類の血糖低下活性を有する甘茶ずるからの抽出物を選択した。本発明の植物抽出物に基づく組成物中の成分を含む高濃度の薬理活性作用を含有する抽出物が得られた。
【0058】
本発明は次にステップを経て得られたものである。
【0059】
(a) 甘茶ずるの5葉をアルコール水溶液(70%エタノール)浸漬する。
【0060】
(b)ステップ(a)を繰り返して行い、2回目のアルコール浸漬液から抽出を行い、2種類の抽出物を得る。
【0061】
(c)アルコールを蒸発させた後、精製水に溶かし、フィルターを用いてろ過する。
【0062】
(d)その他の抽出は、混合液1-ブタノール、水溶液層で混和し、1-ブタノールを蒸発させる。
【0063】
(e)溶出水相部分を、再度乾燥(空気乾燥など)させて有機成分を再回収し、甘茶ずる抽出粉末を得る。
【0064】
(f)分離精製を必要に応じて行う。
【0065】
例2 – 生体外(in vitro)で3T3細胞の脂肪細胞を増加させている(adipocytes)成分を特定する。
【0066】
含脂肪細胞活性化物質を細胞を用いた試験法で特定する。
最初に3T3-L1細胞を96穴プレートで培養する。スクリーニング実施前に、脂肪細胞培養の最適条件を設定する。脂肪細胞である3T3-L1を10%FCS加DMEM保存し、特殊ホルモン混合液(5μgインスリン、1μデキサメサゾン、500μg/mLIBMX)を用いて脂肪細胞を分化誘導する。 3日間インスリン含有ホルモン溶液(DMEM中)は毎日交換する。同脂肪細胞はOil-Red染色で確認する。各添加量は10μg/mLとし、ロジグリタ(Rosiglitazone)を陽性コントロールとして用い、3T3-L1細胞の脂質生成(adipogenesis)を測定する。
【0067】
ジペノサイド(以下:GP)添加群で3T3-L1細胞の脂肪生成(adipogenecity)の増加が認められた(図1)。この結果からGPは細胞内にグルコース取り込みを増強し、細胞内グルコースは細胞内中性脂肪合成に必要な炭素供給源として用いられ、培養細胞の唯一のエネルギー源として細胞内中性脂肪が蓄積される。GPはロシグリタゾン(Rosiglitazone:チアゾリン系糖尿病薬) 存在下でも更に細胞内脂肪生成が増加していた(図2)。この結果からGPの作用機序はロシグリタゾン誘導による脂肪生成と相違している。GPの細胞内グルコース取り込み増加は細胞の生理学的要求により大部分のグルコースを内部処理していると推測している。
3T3-L1細胞内の脂肪生成増強は細胞分化時に生じることから、GPの脂肪生成は細胞生理面から毒性を持つ作用ではないと考えられた。多くの脂肪生成増加物質はグルコース輸送担体4(GLUT4)のトランスロケーションを増加させている。
【0068】
食後の循環中グルコースは筋肉やインスリン感受性組織に取り込まれる。インスリン感受性細胞であるラット血管平滑筋を用いてグルコース輸送担体4(以下GLUT4)の膜トランスロケーションを次の2方法を用いて測定した。(1)マイクロゾーム膜分画遠心法を用いて得(Pinent,2004)、同量の膜タンパク質を各レーンに同量を添加し電気泳動(SDS-PAGE)を実施しニトロセルロース膜にブロットした。ブロット膜に抗GLUT-4抗体を反応させ、2次抗体(ペルオキシダーゼ標識:HPRP)を反応させて、該当物質をバンドとして検出した。本結果から甘茶ずる抽出物処理群はコントロール群と比較してGLUT4が増加していた(図3)。また同時に甘茶ずる抽出物は脂肪生成に重要な因子であるペルオキシソーム増殖剤応答性因子(PPAR-γ)のレギュレートを増加させることを確認した(図3上)。
【0069】
他の方法(2)L6筋管細胞に抗GLUT-4抗体を反応させ、2次抗体(蛍光抗体標識抗IgG/ラビット:FITC)を用いた。 FITC量はFACSを用いて定量した。インスリンをGLUT-4トランスロケーションの陽性コントロールとした。GP処理群はGLUT-4トランスロケーションを増加させていた(図4C、D)。興味深いことにGP処理群のGLUT-4トランスロケーション増加はワートマニン(wortmannin:PIK3阻害剤) により阻害されず(図4E)、PI3K阻害剤、又はp38MAPK活性阻害剤SB20358にも阻害されなかった(図4F)。インスリンシグナルの重要なメディエーターであるPI3K及びp38 MAPK はGPによるGLUT-4トランスロケーション経路はインスリンと違った経路である(図4G、H、I)。
【0070】
例3- GPは高血糖及び高遊離脂肪酸(in vivo)のインスリン抵抗性を緩和する。
【0071】
AMPKは直接AAC及び 3-ヒドロキシ-3-メチル-グルターリル-CoA(3-hydroxy-3-methyl-glutaryI-CoA:HMG-CoA)をリン酸化することにより(Henin,1995)、結果としてミトコンドリア内のβ-酸化を促進し、肝臓組織のコレステロール合成を減少させている。AMP類似物のAICAR(5'-phosphoribosyl-5-aminoimidazole-4-carboxamide
)はAMPKを刺激する。
【0072】
前項でGPはGLUT-4の細胞膜へのトランスロケーションを誘導していた。またインスリン、筋肉収縮がAMPK活性によりGLUT-4トランスロケーションを刺激することが知られている。L6筋管細胞のGP処理群はAMPKを活性させている。活性化したAMPKはAMPKのセリン残基(172番)のリン酸化を促進していることを特異抗体で確認されている。リン酸化AMPK はGP処理L6筋管細胞で2時間存在し(図5)、リン酸化は2時間以上のGP処理では増加しない。高グルコース液(27.5mM)処理を行い、細胞にインスリン抵抗性が発現させ、AMPK活性を抑制している(Itani,2003)。GP処理群はAMPKによるスレオニン残基のリン酸化を増加させている。高濃度GP処理はAMPKによるリン酸化を増加させている。これらの結果からGPがインスリン感受性細胞へのAMPKのリン酸化を促進している(図5,6)。
【0073】
L6細胞を低濃度血清(2%、v/v)処理後、成熟筋肉細胞は分化する。コントロールにAICAR を用いた。細胞を薬剤処理後培養し、溶解物とし、各レーン(列)に同量の蛋白を添加しAMPK及びp38MAP測定した(図7)。総AMPK蛋白はイムノブロットを行った。GP30μg/mLのL6細胞のAMPKスレオニン残基(172)のコントロール群と比較して増加していない。しかしながらGP60μg/mL添加群のAMPKのリン酸化は顕著に増加していた。AICAR1mMによるAMPKリン酸化はGP60μg/mLとほぼ同じであった。GPは複数の化合物であるが基本骨格は共有している。GPはAICARと比較してAMPK活性化の潜在性が高く、GP活性成分の分子量(M.W)は1,000aDaltonであると推定している。
【0074】
AICARは骨格筋組織のp38MAPKを活性化することが報告されている(Lemieux,2003)。AICARはp38MAPKを活性化し細胞内へのグルコース取り込みを促進する。我々はGPがL6細胞のp38MAPK活性化を検討した。AICAR処理群はp38発現を促進したが、GPのp38MAPK発現は僅かであった(図7)。図4の説明でp38MAPK阻害物質SB20358の結果を示したが、GPによるトランスロケーション発現を阻害していなかった。このことからGPとAICARの反応経路(機序)に相違があり、AMPK活性化はGP>AICATRであり、p38MAPKはAICAR>GPである。GP分子作用機序は筋肉組織のGLUT4トランスロケーションを促進するであるが、この作用はAICARでは確認されていない。
【0075】
GPのACCへの作用
【0076】
ACCは各組織の脂質代謝をコントロールする重要な酵素であり、特に肝臓及び筋肉で重要な役割を示している。補酵素カルボキシレートアセチルCoA(carboxylates acetyl-CoA )はミトコンドリア外膜カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1(Carnitine palmitoyl transferase-1:CPT1)阻害作用があるマロニルCoA(malonyl
CoA)を産生する。CPT-1活性はミトコンドリアの脂肪酸化の律速段階を担っている (Lehninger,2000)。ACCはAMPKキナーゼ活性の標的タンパク質である (Fryer,2002)。筋肉収縮時に筋肉細胞はAMPKを活性化し(Vawas,1997) 、ATPを消費して脂肪燃焼を促進する(Vawas,1997)。AMPKによる脂肪酸燃焼に重要な役割を担っている。
【0077】
L6筋管細胞をGP及びAICAR処理した。GP処理群はSer79(セリン79)残基のリン酸化を促進しACCを減少させている(図8)。GP60μg/mLのACCのリン酸化作用は高かったが、30μg/mLは低かった。インスリン処理群はリン酸化を示さなかった。この結果からGP処理筋肉細胞は分子レベルで筋肉収縮時と同レベルの作用を示している。
【0078】
AKT(別称プロテインキナーゼ:protein
kinase B又はPKB) のリン酸化はインスリンシグナル経路のPI3Kの触媒作用を受ける。GP処理による筋肉細胞のAKT活性への影響を検討した。GP及びAICARはAKT活性に影響を示さなかった(図9)。陽性コントロールのインスリンはAKTを活性化していた。この結果からGPによるGLUT-4トランスレーション発現(図3、4)はインスリンシグナル経路とは無関係であり、むしろ筋肉収縮の作用と関連している。
【0079】
例-5 GPはIKK活性を発現させて筋肉細胞のインスリン抵抗性を減少させている。
【0080】
2型糖尿病及び高血圧症が合併症はインスリン抵抗性代謝異常の代表であり。疫学調査からインスリン抵抗性リスクの軽減は心臓血管病リスクを軽減することが報告させている(Reaven,2005)。インスリン反応性組織の骨格筋、脂肪、肝臓等の脂肪合成組織のインスリン抵抗性の軽減化は健康改善に直結している。インスリン感受性組織のインスリン抵抗性は分子機構から見るとインスリンの一般的作用とは異なっている。どの分子マーカも同一であり、IRSのセリン残基のリン酸化である。インスリン抵抗性の重要な役割を示しているのは筋肉中のIKKβ及びJNKであることが報告されている(Gual,2005)。
【0081】
典型的なインスリン抵抗性は筋肉細胞のインスリン受容体基質1(IRS1)セリン残基のリン酸化である。BSAに脂肪酸添加した細胞のIRS1セリン残基307(Ser307)リン酸化はBSA(ウシ血清アルブミン: Bovine serum albumin)単独と比較して僅かに増加していた。GP処理(60μg/mL)群のIRS1セリン残基307(Ser307)リン酸化は顕著に減少していた(図9)。IRS1セリン残基307(Ser307)リン酸化の減少はインスリンシグナルに関与するホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(phosphatidylinositol 3-kinase:PI3K)はIRS1のインスリン感受性発現に関与している(Pirola,2003)。GPは筋肉細胞のインスリン感受性に直接作用を示さず、筋肉細胞のインスリン抵抗性を発現している。
【0082】
GPによるインスリン抵抗性改良の分子レベル作用機序を検討する。IRS1セリン残基をリン酸化キナーゼが知られており、IKK複合体とJNKである(Gao,2002)。最近JNKは肥満由来肝臓及び脂肪細胞のインスリン機能を調整していることが報告されている(Ozcan,2004)。IKKβはIRSだけでなくI-κBもリン酸化する(Itani,2002)。IRS1のセリン基リン酸化はインスリン抵抗性、及び炎症と関連しているI-κBキナーゼの(IKKβ)リン酸化により放出される核内転写因子-κB(NF-κB)と直接関連がある。研究者で2型糖尿病は慢性炎症性疾患であると報告している
(Dandona,2004;Sinha,2004)。GPのIRSセリン残基のリン酸化抑制はIκBキナーゼ(IKKβ)活性があることを報告している〈リポポリサッカライド(lipopolysaccharide:LPS)誘発炎症させた単球活性)(Aktan,2003)。
【0083】
ツニカマイシン(tunicamycin)はN結合型糖鎖合成作用がある抗生物質であり、細胞のインスリン抵抗性を誘導させる(Ozcan,2004)。L6細胞を用いてGPのIKKβのリン酸化をツニカマイシンを併用して検討した。SDS-PAGEから細胞分画を得、ニトロセルロース膜へブロットした。ブロット膜に抗リン酸IKK-β抗体(S177/171)、抗リン酸IRS1(S307)、及び抗リン酸SAPK/JNK(T183)と反応させた。GPは顕著にIRS1のSer307リン酸化を減少させていた(図10、レーン3、4/上)。AICAR及びインスリンは僅かにIKK-βセリン残基のリン酸化を減少させていた。既にIRS1Ser307残基のリン酸化は筋肉インスリン抵抗性の主力IKKβ及び/又はJNLキナーゼ活性と関連していることを報告している。これらの結果からIRSセリン残基リン酸化の減少はGPと関連したIKK-β及びJNKに拠るものである。また細胞中の両キナーゼをGPは有意に減少させている。GPの効果について、更に検討を重ねた。
【0084】
ラット血管平滑筋をGP及び高濃度グルコース処理後、炎症を血管平滑筋に発現することが知られている(Hattori,2000)。IKKβ活性測定はI-κBのリン酸化、及びIKKβ活性の指標である。核濃縮(Nuclei-enriched)分画 は前記の方法により作成し、細胞分画はミクロゾーム膜を除き遠心処理して作成した。同量の蛋白を溶解しゲル穴に添加した。泳動後の細胞分画はリン酸化Ser32I-κB及び核分画はp65、サブユニットはNF-κBを用いてイムノブロットを実施した。
【0085】
高濃度グルコース処理群はグルコース通常濃度処理群と比較して僅かにI-κBリン酸化が増加し、IKKが活性化されていた。GP10μg/mL処理群はI-κBリン酸化は認められなかったが、GP30μg/mL処理群は顕著にリン酸化を減少させ(図11、左)、IKK活性を発現させていた。核分画のNF-κBはGP30μg/mL処理群でかなり抑制されていた。GP10μg/mL処理群はNF-κBに作用を示さなかった(図11、右)。 以上結果からGPはI-κBリン酸化とNF-κB の両者に作用し、用量依存性が認められ、G30μg/mLがより効果を示した。このことからGPはIKKを活性化によりインスリン抵抗性を低下させている。
【0086】
同様にL6筋管細胞でGP処理群はJNK活性を発現させていることを報告した。JNK活性はIL6細胞にも存在している。 GPは用量依存性示しながらJNK活性を減少させている(図12)。JNK活性発現はインスリン処理、AICAR処理群では認められなかった。GPはIKKβ、JNKを抑制することによりIRSセリン残基のリン酸化を抑制している。
【0087】
例-6 GPによるAMPK活性化によるグルコース取り込み促進
【0088】
例1〜5はGPはインスリンに関係なくグルコース取り込みを発現させている。生体外(In vitro)でグルコース取り込み量を2−デオキシグルコース(2-deoxyglucose)を用いて測定した。2-デオキシグルコースは細胞内の代謝産物で無く、放射性同位元素をラベルし、細胞内グルコース取り込み量を測定した。
【0089】
L6筋管細胞でGPによるグルコースの細胞内取り組みが確認された。物質処理(投与)する前に、細胞を高濃度グルコース処理を行った。高濃度グルコース処理により筋管細胞へのグルコース取り込みが抑制される(Itani,2003)。GP (60μg/mL)、AICAR (1mM)、及びインスリン (100nM) を添加インキュベート(時間20分、60分、120分)した。HBS(Hepes buffered saline)、で洗浄し、2−デオキシグルコース(10μM)をHBS中に添加し10分間インキュベートした。放射性同位元素を測定する前に洗浄を厳密に実施した。取り込み量はインキュベーションを考慮して算出した。
【0090】
高濃度グルコース処理群はL6 細胞に2-デオキシグルコースの取り込みはIani等の報告と同様に認められなかった(図13)。GP、AICAR及びインスリの2-デオキシグルコースの取り込み量は、それぞれ平均24、42、40%増加していた。この結果からGPは筋肉細胞のグルコース取り込みを増加させることから、細胞内のAMPK及び/又はp38MAPKを活性化させている。GPはインスリンと同様に筋肉へのグルコース取り込みを増加させているが、取り込み機序はGPとインスリンは相違している。GPの作用発現濃度はAICARよりも低濃度でもあることが推定された、GPはAICARよりも筋肉へのグルコース取り込み量は多い。
【0091】
前例でGPはAMPKを活性化しACC活性を抑制し、β酸化を促進していることを述べた。GP処理肝臓培養細胞(HepG2)でもβ酸化が促進されることを前述の方法で確認した(Singh, 1994)。GP処理細胞群は無処理細胞群と比較してβ酸化が70%増加していた。このことからGPは適切な条件下で脂肪量を減少させている。
【0092】
例7
【0093】
機能的にレプチン受容体異常のdb/dbマウスは肥満、高脂血症及びインスリン抵抗性のモデル実験動物である。マウスに通常食餌を与えた。GP摂取群と対照群(無摂取)及びグルコバンス(Glucovance)(医薬品)摂取群は各物質の所定量を混餌で摂取させた。動物の水分補給は水道水を与えた。各群10匹とし、試験期間中は1、2回採血し血糖値を測定した。8週間反復摂取を実施した。試験終了時の体重はコントロール群と比較してグルコバンス摂取群は平均22%体重が減少し、GP摂取群は平均12%減少していた(表1)。食餌摂取量は各群間に変動は無かった。GP摂取群は体重を有意に減少させていた。
【0094】
【表1】

【0095】
GP摂取群の体重は顕著に現れ、体重減少に寄与している脂肪組織を取り出し秤量した。表2に体重減少に内臓脂肪量及び脂肪被膜量は寄与していた。GP摂取群はコントロール群と比較して内臓脂肪14〜15%、脂肪被膜35〜38%減少していた。脂肪組織の減少はAMPKの活性化により、脂肪酸のβ酸化が促進された結果である。
【0096】
【表2】

【0097】
隔週に採血し、血糖値を測定した。摂取最終日に16時間絶食後、グルコース0.5g/kgを腹膜注射により投与による糖負荷試験(GTT)を実施し耐糖能(所定時間に血糖値を測定)を測定した。
【0098】
GP摂取群の耐糖能の改善を図15に示した。グルコース投与1時間後、GP0.001%及び0.002%摂取群はコントロール群と比較して、それぞれの耐糖能は9.7%及び11.8%改善されている。2時間後ではそれぞれ19%及び22%、コントロール群と比較して改善されていた。しかしながらグルコバンス摂取群は、1時間後の耐糖能の改善は認められず、2時間後でコントロール群と比較して10%の改善が認められただけである。この結果からdb/db マウスの場合、GP摂取群はグルコバンス摂取群と比較してより高い耐糖能の改善が認められた。
【0099】
例8-
GPのインスリン抵抗性の検討[各種パラメータ]
【0100】
GPの効果としてインスリン量、C-ペプチド、HbA1c、レプチンを摂取終了後に測定した。
【0101】
例8.1
糖化ヘモグロビン(HbA1c)はグルコースとヘモグロビンの関係を示す物質である。HbA1cは当座の食事による血糖値を反映する空腹時血糖値と相違している。HbA1cは過去(2〜4週間前)の平均血糖値を反映しており、HbA1cは糖尿病の状態を血糖値より正確に糖尿病リスクを反映している。HbA1c測定は。GP0.01%及び0.02%摂取群マウスの糖化ヘモグロビン(HbA1c)はコントロール群と比較して平均17%及び16%低下していた(図16)。陽性コントロール群グルコバンス投与群のHbA1cはコントロール群と比較して低下していなかった。
【0102】
例8-2
db/dbマウスはレプチンシグナルの先天性不全のモデル実験動物であり、またこのマウスが自発的に食餌量をコントロールできない。同マウスは自然に肥満及び高脂血症、高インスリン症、高レプチン血症を発症する。インスリン抵抗性は代謝系統に異常(メタボリックシンドローム)を引き起こし、慢性的に血中高インスリン濃度を示す。この時、肥満、高血圧、高中性脂肪、2型糖尿病等が高頻度に併発する。本発明GPを摂取させることにより高インスリン血症を伴うdb/dbマウスの改善効果を示した(図7)。GP摂取群(0.01%及び0.02%)の両群はコントロール群と比較して血糖値は約80%低下していた。また同時に前項記載のインスリン抵抗性も同時に改善していた。
【0103】
例8.3
【0104】
インスリンが膵臓β細胞で合成される時に、巨大分子のインスリン前駆物質(プロペプチド)が合成される。インスリン前駆物質はインスリンとC-ペプチドの2成分に分割される。後者のC-ペプチドは余り知られていない。2型インスリン患者等は、C-ペプチドを持続的に産生している。C-ペプチドはインスリン過剰生産による低血糖症の診断を目的に測定されている。全試験動物群はC-ペプチドを産生していた。GP摂取群はGPによるインスリン産生抑制によりC-ペプチド産生を抑制していた(図18)。
【0105】
例8.4
【0106】
レプチン(Leptin)は食欲を抑制するホルモンであり、アデポサイトカイン(adipocytes)の仲間である。 しかしながら肥満者の殆どはレプチン欠損よりレプチン抵抗性を示している。同抵抗性によりレプチンシグナルが各経路で機能が消失している理由としてレプチン輸送経路の「血管関門」を高中性脂肪による通過が障害され、脳内のレプチン機能及びレプチン受容体が低下することにより、下流へ標的器官の機能が低下する(Banks,2004)。通常ではレプチンは体内脂肪蓄積をコントロールし体重コントロールの役割を果たしている。レプチン抵抗性はその他に心臓疾患や糖尿病を含む重篤な疾患を引き起こす。レプチンはdb/dbマウスで比較的多く分泌され、高インスリン血症を予防している(Mizuno,2004)。本実験のGP摂取群のdb/dbマウスのレプチンレベルから、GP摂取群はインスリン血症及びレプチンを低下させている。またGP投与群のレプチン量は無投与群と比較して有意に低下し(図19)、インスリンレベル低下と並行してレプチンレベルが低下した。
【0107】
例-9
PEPCK測定
【0108】
肝臓のホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(phosphoenolpyruvate carboxykinase:PEPCK)は糖新生経路の最終段階に作用する酵素である。PEPCKが肝臓で過剰に発現した場合は、組織のインスリン感受性が低下し、高インスリン状態でもグルコースを産生する(Sun,2002)。Lochhead等はAICARが下流のPEPCK、グルコース6リン酸(glucose-6-phosphatase:G6P)様インスリンを抑制していることを報告している (Lochhead, 2000)。肝臓組織のPEPCK活性をGPがAICARの酵素活性が存在しているか検討した。オキザロ酢酸(oxaloacetate)産生肝臓組織をホモジナイズし、リン酸ホスホフェノールピルビン酸(phosphoenolpyruvate)を飽和させて測定した。GP処理肝細胞はコントロール群と比較して酵素活性は25%低下していた(図20)。GPの糖新生はAMPKを活性化して調整していると考えられた。
【0109】
例-10 GP投与群のAMPK活性増加及びIRS1セリン残基リン酸化の抑制
【0110】
最後に動物骨格筋のAMPK活性を検討した。GP摂取群動物の組織を取り出し、IRS1セリン残基リン酸化を測定した。動物組織でもGP摂取群のAMPK活性は促進され、IRS1セリン残基のリン酸化は抑制されていたことから、GP摂取により動物レベルでもインスリン抵抗性が改善されていた(図21)。
【0111】
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【0135】
Pirola
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【0136】
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【0137】
Singh
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Vawas
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【0142】
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.
【0143】
参考文献を上記に全てを記載した。
【0144】
上記に記載した技術又は、日常試験に使用されていない方法及び本発明に関わる実例を示した。上記内容から下記を本発明のクレームとする。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】GP投与により3T3-L1細胞の脂肪細胞増加を示す; 1)対照(GP無添加)、2)5μg/mL、3)20μg/mL、4)50μg/mLのGP添加
【図2】GP及びロシグリタゾン(Rosiglitazone:以下Rosi)の相加効果(T3-L1細胞の脂肪細胞) 1)Control、2)Rosi(5μM)、3)Rosi(5μM+GP(10μg/mL)、4) Rosi(5μM+GP(50μg/mL)、5) Rosi(5μM+GP(100μg/mL)、
【図3】GPのPPARγ及びGLUT4に対する効果(血管平滑筋部分画細胞)を示す;1)Control、2)Rosi5μM添加、3)甘茶ずる(G.pentaphyllum)抽出物0.5mg/mL。
【図4】4A〜4Iは、GPがL6筋管(myotube)内で血漿膜のGULT4トランスロケーションを誘発することを示している。L6細胞(筋管細胞膜)は9日間のグルコース(低濃度)添加で筋管細胞を誘導成熟させる。それらの細胞にGP(60μg/mL)又はインスリン(100nM)を添加した。またトランスロケーション阻害剤PIK3(ホスファチジルイノシトール3キナーゼ:phosphatidylinositol3 kinase)又はp38MAPKの添加群、非添加群にした。阻害剤はGP/インスリン処理1時間前に添加した。リン酸緩衝生理食塩液(phosphatebuffer saline:PBS)で洗浄を行い、抗GLUT-4抗体。2次抗体(FITC標識)を加えた後、フローサイトメトリー(:fluorescenceactivated cell sorting)FACS装置で測定した。 図A)全細胞FACS(大円部分)、図B)コントロール群(無処理)、C)GP添加、非特異抗体使用、D)GP添加群、抗GLUT-4抗体、E)GP添加群、ワートマニン(wortmanin/PIK3阻害剤添加)、F)GP添加、SB20358添加、G)インスリン添加群、H)インスリン添加、ワートマニン(wortmanin)添加、I)インスリン添加SB20358(p38MAPK阻害剤)添加
【図5】GPによるAMPK活性の経時変化を示す。筋管細胞IL6 をGP60μg/mL処理後、各々時間 経緯をさせた。細胞はBuffer(緩衝液)及び細胞質性タンパク質により再溶解させた後、SDS-PAGE電気泳動<SDS-polyaclylamidegelelectrophoresis)後にで最溶解させ、タンパク質バンドをニトロセルロース膜(nitrocellulosemembrane)に転写させ、抗リン酸化-AMK抗体を用いて測定した。1)コントロール(GP無添加細胞)、2)GP添加30分後、3)GP添加60分後、4)GP添加120分後
【図6】AMPKホスホリル化(チロシン残基のリン酸化)がラット血管平滑筋細胞中に高グルコースの存在下で誘導されることを示す。1) コントロール群、2) 高グルコース(27.5 mM)、 3) 高グルコース + GP 10 μg/mL、4) 高グルコース + GP30μg/mL
【図7】インスリン抵抗性細胞に対するGPのAMPK及びp38MAPKへの作用を示す。キナゼー活性は特異抗体を用いて測定した。1)コントロール群、2)GP30μg/mL、3)GP60μg/mL、4)AICAR 1 mM.
【図8】GPのIL6細胞におけるアセチルCoA合成酵素(acetyl-CoA carboxylase:ACC)及びAKT(セリン/スレオニンキナーゼ:別称プロテインキナーゼB)に対する効果を示す。1)コントロール群、2)GP30μg/mL、3)GP60μg/mL、4)GP100μg/mL、5)AICAR 1 mM、6)インスリン100nM
【図9】GPのIL6細胞におけるIRS1に対するセリン基に対するリン酸化に対する効果を示す。1)ウシ血清アルブミン(BSA:bovine serum albumin)、2)BSA+脂肪酸、3)BSA+脂肪酸+GP60μg/mL
【図10】GPのIRS1、IKKβ1及びSAPK/JNKのセリン基のリン酸化に対する効果を示す。ツニカマイシン(Tunicamycin)は抗生物質で N結合性糖鎖合成阻害作用を示し、インスリン抵抗性を発現させる。細胞分画はSDS-PAGE電気泳動後、ニトロセルロース膜に転写した。転写膜に抗リン酸IKKβ(S177/181)抗体、抗IRS1(S307)、抗T SAPK(ストレス感受性PK)/JNK(C-Jun末端キナーゼ: T183) 抗体を用いた。1) コントロール群(無処理)、2)L6細胞+ツニカマイシン処理、3)ツニカマイシン処理、及びGP30μg/mL添加、4)ツニカマイシン処理、及びGP60μg/mL添加、5)ツニカマイシン処理、及びAICAR1mM添加、6)ツニカマイシン処理、及びインスリン100nM添加、7)細胞処理後インスリン100nM添加(ツニカマイシン未処理)
【図11】GPが高グルコースの存在下でラット平滑筋細胞におけるIKK活性を減少しそしてF-κB活性を抑制することを示す。上列はホスホI-κB(1-4)、及びp65(5-7)、下列はβチューブリン(tubulin) (1-4) 及び核アクチン(nuclear actin) (5-7)。1)コントロール、2)高濃度グルコース、3)GP10μg/mL、4)GP30μg/mL、5)コントロール、6)GP10μg/mL、7)GP30μg/mL
【図12】GPが高グルコースの存在下でラット平滑筋細胞におけるIKK活性を減少しそしてF-κB活性を抑制することを示す。上列はホスホI-κB(1-4)、及びp65(5-7)、下列はβチューブリン(tubulin)(1-4)及び核アクチン(nuclear actin) (5-7)。1)コントロール、2)高濃度グルコース、3)GP10μg/mL、4)GP30μg/mL、5)コントロール、6)GP10μg/mL、7)GP30μg/mL
【図13】GPがL6筋管細胞への2−デオキシグルコース(2-deoxyglucose)の取り込みを増加させることを示す。1)無処理群、2)GP60μg/mL、3)AICAR 1 mM、4)インスリン100 nM.
【図14】GPがHepG2細胞におけるβ酸化(β-oxidation)を増加させることを示す。
【図15】db/dbマウスへのGP投与による糖耐糖能の改善を示す。
【図16】GPのマウスへの摂食による糖化ヘモグロビンレベルを改善することを示す。共通でない文字を用いたabc値はp<0.05で有意差あり。HbA1c:糖化ヘモグロビン。
【図17】GPを8週間経口摂取したdb/dbマウスの高インスリンの著しい改善を示す。血中インスリンの推移(GP8週間投与);db/dbマウスの高インスリンの改善。共通でない文字を用いたabc値はp<0.05で有意差有り。
【図18】GPのCペプチドの低減効果を示す。共通でない文字を用いたabc値はp<0.05で有意差有り。
【図19】db/dbマウスへのGPの投与がレプチンレベルを減少することを示す。共通でない文字を用いたabc値はp<0.05で有意差有り。
【図20】GPの肝臓ホスフェノールピルビン酸カルボキシナーゼ(hepatic phosphoenolpyruvate carboxykinase:PEPCK)に対する効果を示す。共通でない文字を用いたabc値はp<0.05で有意差有り。
【図21】AMPK活性および骨格筋のインスリン受容体基質1のセリンリン酸化に対する効果を示す。1)コントロール群、2)GP食餌0.01%添加、3)GP食餌0.02%添加、4)食餌0.02%グルコバンス(Glucovanc)e:糖尿病治療薬メトフォルミン)添加。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の甘茶ずる抽出物を含むインスリン抵抗性、肥満、体重減少及び高脂血症処置用組成物。
【請求項2】
組成物中約0.5から10質量%の濃度でジペノサイドを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物中約10から2,000μg/mLの量でジペノサイドを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
有効量の請求項1に記載の組成物を被験者に投与するインスリン抵抗性、肥満/体重減少及び高脂血症の治療方法。
【請求項5】
前記抽出物の量は10mgから30g/日である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抽出物の量は約0.5mgから5g/日である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
治療学的に有効量の請求項1に記載の組成物を被験者に投与するインスリン抵抗性、肥満/体重減少及び高脂血症の治療方法。
【請求項8】
前記抽出物の量は1から1,000mg/日である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抽出物の量は10から800mg/日である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
温泉水、滅菌水、蒸留水、炭酸水、ジュース、ヨーグルト、ミルク、食用油及びこれらの混合物
からなる群より選択される水性キャリアを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
食品添加物として、アイスクリーム、ハンバーガー、穀物、パン、ビスケット、肉製品又はこれら
の混合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
保存剤として、甘味料、香料、保冷剤又はこれらの混合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
錠剤として配合される請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記錠剤は、充填剤、結合剤、コート剤、添加剤及びこれらの混合物からなる群から選択され
るベースから作られている請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記錠剤のベースは、植物繊維、天然シリカ、ステアリン酸、ワックス、植物性グリセリン、植物
性ステアリン酸及びこれらの混合物群から選択される請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
グリタゾン、フィブラート、ビグアナイド、スルフォニルウレア、アデニンヌクレオチド、これらの
誘導体及びこれらの医薬品認容可能な塩からなる群より選択される化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
3T3-L1細胞の脂肪合成を促進するアディポゲネイシスを有する非毒性のAMPK活性化物質を選択する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−501696(P2009−501696A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508401(P2008−508401)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051320
【国際公開番号】WO2006/114775
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(507355032)
【Fターム(参考)】