説明

インタポーザ及び中継端子

【課題】インタポーザに設けられる中継端子を、必要に応じて個別に交換できるようにする。
【解決手段】中継端子10は、基板に固定できる第1端子部材12と、第1端子部材12に着脱可能に取り付けられ、第1端子部材12に導通する第2端子部材14とを備える。第2端子部材14は、インタポーザの接続相手の導体部分に接離自在な接触部16と、接触部16を当該導体部分に押し付けるための接触圧力を生じるばね部18と、第1端子部材12に当接されて摩擦力で着脱可能に取り付けられる取付部20とを、互いに一体に有する。第2端子部材14は、接触部16及び取付部20から離れた部位に、第1端子部材12に摺動可能に接触して導通する導通部34をさらに有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタポーザに関する。本発明はまた、インタポーザに用いられる中継端子に関する。
【背景技術】
【0002】
インタポーザは、例えば回路基板(プリント配線基板(PWB)、プリント回路基板(PCB)等)とICパッケージとのような、2つの電子回路部品の間に介在して、それら電子回路部品の接続端子部の配置や個数の変換、それら電子回路部品の熱変形量の差の吸収等の機能を発揮する中継部品として知られている。一般にインタポーザは、基板(回路基板又は回路の無い板)と、基板に固定される所要個数の中継端子とを備えている。
【0003】
特許文献1は、インタポーザに用いることができる電気接点を開示する。特許文献1に記載される電気接点は、「金属形成、マスキング、エッチングおよび半田付け技術」により、プリント回路基板の表面に固定して形成されるものであり、それによりインタポーザが構成される。特許文献1には、このインタポーザを「回路基板にマルチチップモジュール(MCM)のような電子装置を取外し可能に取り付ける際に用いる」ことが記載されている。
【0004】
特許文献2は、ICデバイスの試験装置に装備されるプローブカードであって、プローブ針を有する第1の基板と、配線パターンを有する第2の回路基板と、それら基板の間に介在して両基板同士を電気的に接続するインタポーザとを備えたプローブカードを開示する。このインタポーザは、導電性及び弾性を有する複数の接続子と、それら接続子を保持する保持板とから構成され、個々の接続子がその両端で、第1及び第2の基板のパッドにそれぞれ接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−124404号公報
【特許文献2】特開2009−2865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の中継端子を基板に固定してなる従来のインタポーザにおいては、個々の中継端子を基板から脱離したり新たな中継端子を基板に取り付けたりすることが困難である。したがって、いずれかの中継端子に変形や破損が生じた場合、そのような中継端子のみを交換することは困難であり、結果として、正常な中継端子を含むインタポーザ全体を交換することになっている。よって、インタポーザに設けられる中継端子を、必要に応じて個別に交換できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はその一態様として、インタポーザに用いられる中継端子であって、第1端子部材と、第1端子部材に着脱可能に取り付けられ、第1端子部材に導通する第2端子部材とを具備し、第2端子部材は、インタポーザの接続相手の導体部分に接離自在な接触部と、接触部を導体部分に押し付けるための接触圧力を生じるばね部と、第1端子部材に当接されて摩擦力で着脱可能に取り付けられる取付部とを、互いに一体に有すること、を特徴とする中継端子を提供する。
【0008】
上記した中継端子において、第1端子部材は、開口端を有する筒状の壁部を備え、第2端子部材は、接触部を壁部の開口端から外方へ突出させた状態で壁部に収容され、取付部が壁部に取り付けられるとともに、接触部とばね部とが壁部に対して移動可能であるように構成できる。この場合、第1端子部材の壁部は、開口端の反対側に閉鎖端を有することができる。
【0009】
第2端子部材の取付部は、第2端子部材が生じる弾性復元力により、第1端子部材に押し付けられて取り付けられるように構成できる。第2端子部材のばね部は、互いに並列に配置される複数の梁部分と、隣り合う梁部分をそれらの一端で互いに連結する複数の連結部分とを有し、それら連結部分が複数の梁部分に対し交互に反対側に配置されて、蛇行形状に連続するばね部を形成するように構成できる。
【0010】
第2端子部材は、接触部及び取付部から離れた部位に、第1端子部材に摺動可能に接触して導通する導通部をさらに有することができる。この場合、第2端子部材の導通部は、第2端子部材が生じる弾性復元力により、第1端子部材に押し付けられて接触するように構成できる。
【0011】
本発明は、他の態様として、上記した中継端子と、中継端子の第1端子部材が固定される基板とを具備するインタポーザを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様による中継端子は、互いに着脱可能な第1端子部材と第2端子部材との2ピース構造を有しているから、中継端子の特に接触部やばね部に変形や損傷が生じたときに、第1端子部材を基板に固定したままの状態で、第2端子部材だけを新規なものに交換することができる。その結果、複数の中継端子を基板に固定してなるインタポーザにおいて、中継端子の修繕のための作業が容易になり、損傷した第2端子部材だけを交換することで作業コストを削減できる。また、異なるばね定数を有する複数種類の第2端子部材を用意しておくことにより、それらの中から所望のばね定数を有する第2端子部材を選択して、第1端子部材に取り付けて使用することができる。したがって、基板に固定した第1端子部材に対し、複数種類の第2端子部材から選択した第2端子部材を取り付けることにより、接続相手の導体部分に対して所要の接触圧力を生じ得る中継端子を備えたインタポーザを、臨機かつ容易に作製することができる。
【0013】
本発明の他の態様によるインタポーザによれば、中継端子の修繕のための作業が容易になり、損傷した第2端子部材だけを交換することで作業コストを削減できる。また、基板に固定した第1端子部材に対し、異なるばね定数を有する複数種類の第2端子部材から選択した第2端子部材を取り付けることにより、接続相手の導体部分に対して所要の接触圧力を生じ得る中継端子を備えたインタポーザを、臨機かつ容易に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による中継端子の斜視図である。
【図2】図1の中継端子の分解斜視図である。
【図3】図1の中継端子が有する第1端子部材の断面図である。
【図4】図1の中継端子が有する第2端子部材の、最終形状に曲げ成形する前の形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態によるインタポーザの斜視図である。
【図6】図5のインタポーザの組立工程の主要ステップを示す図で、(a)基板に中継端子の第1端子部材を固定する前の状態、(b)基板に複数の中継端子の第1端子部材を固定した後の状態、及び(c)個々の中継端子の第1端子部材に第2端子部材を取り付ける前の状態を示す。
【図7】図5のインタポーザの一使用例を示す一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
【0016】
図1及び図2は、本発明の一実施形態による中継端子10の外観を示す図、図3は、中継端子10の一構成要素を縦断面で示す図、図4は、中継端子10の他の構成要素を最終形状の前の形態で示す図である。中継端子10は、例えば回路基板(PWB、PCB等)とICパッケージとのような、2つの電子回路部品(図示せず)の間に介在して、それら電子回路部品の接続端子部の配置や個数の変換、それら電子回路部品の熱変形量の差の吸収等の機能を発揮するインタポーザの中継端子として、基板(図示せず)に組み込んで使用できるものである。
【0017】
中継端子10は、図示しない基板に固定できる第1端子部材12と、第1端子部材12に着脱可能に取り付けられ、第1端子部材12に導通する第2端子部材14とを備える。第2端子部材14は、インタポーザの接続相手の導体部分(図示せず)に接離(つまり接触及び分離)自在な接触部16と、接触部16を当該導体部分に押し付けるための接触圧力を生じるばね部18と、第1端子部材12に当接されて摩擦力で着脱可能に取り付けられる取付部20とを、互いに一体に有する。
【0018】
第1端子部材12は、電気良導性の金属材料から所定形状に成形され、少なくとも、インタポーザの接続相手の導体部分と中継端子10との間に生じる接触圧力に抗して自己形状を保持可能な剛性を有する。第2端子部材14は、電気良導性の金属材料から所定形状に成形され、インタポーザの接続相手の導体部分に中継端子10を接続するときに弾性変形して所要の接触圧力を生じ得るばね性を有する。これら特性を除いて、第1端子部材12及び第2端子部材14の素材、形状、寸法等は、特に限定されない。
【0019】
上記構成を有する中継端子10は、互いに着脱可能な第1端子部材12と第2端子部材14との2ピース構造を有している。したがって、中継端子10の特に接触部16やばね部18に変形や損傷が生じたときに、第1端子部材12を基板に固定したままの状態で、第2端子部材14だけを新規なものに交換することができる。その結果、複数の中継端子10を基板に固定してなるインタポーザにおいて、中継端子10の修繕のための作業が容易になり、損傷した第2端子部材14だけを交換することで作業コストを削減できる。なお、中継端子10の変形や損傷は、剛性を有する固定部材である第1端子部材12よりも、接触圧力を確保するためのばね性を有するとともに他の導体との接離を繰り返す可能性の有る第2端子部材14に、比較的生じ易いことが予測される。
【0020】
また、中継端子10は、剛性を有する第1端子部材12とばね性を有する第2端子部材14とを組み合わせて構成されるので、異なるばね定数を有する複数種類の第2端子部材14を用意しておくことにより、それらの中から所望のばね定数を有する第2端子部材14を選択して、第1端子部材12に取り付けて使用することができる。したがって、基板に固定した第1端子部材12に対し、複数種類の第2端子部材14から選択した第2端子部材14を取り付けることにより、接続相手の導体部分に対して所要の接触圧力を生じ得る中継端子10を備えたインタポーザを、臨機かつ容易に作製することができる。
【0021】
また、第2端子部材14は、接触部16とばね部18と取付部20とを互いに一体に有するものであるから、取り扱いが容易で簡易に作製できる。取付部20を、第1端子部材12に当接されて摩擦力で着脱可能に取り付けられるように構成したから、第1端子部材12に対する第2端子部材14の取り付け及び取り外し作業が容易である。
【0022】
図示構成において、第1端子部材12は、開口端22を有して内側に空洞領域24を画定する筒状の壁部26を備える。第2端子部材14は、接触部16を壁部26の開口端22から外方へ突出させた状態で壁部26の空洞領域24に収容され、取付部20が壁部26の内面26aに取り付けられる。この状態で、第2端子部材14の接触部16とばね部18とは、第1端子部材12の壁部26に対して適宜に移動可能とされる。この構成によれば、筒状の壁部26の空洞領域24に第2端子部材14を挿入するだけで、第1端子部材12に対して予め定めた相対位置関係で正確に第2端子部材14を取り付けることができる。また、中継端子10を接続相手の導体部分に接続するときには、接触部16及びばね部18がばね部18の弾性変形を伴いつつ壁部26に対し移動できるから、所要の接触圧力を障害無く確保できる。なお図示構成では、第1端子部材12の壁部26は円筒形状を有しているが、中空筒状であれば円筒に限定されない。
【0023】
第1端子部材12の壁部26はさらに、開口端22の反対側に、基板(図示せず)に固定可能な閉鎖端(すなわち底部)28を有する。壁部26と底部28とは、例えば板金材料から絞り工程等により互いに一体に形成できる。或いは、別体に成形した壁部26と底部28とを後工程で互いに接合することもできる。この構成によれば、例えば中継端子10を基板に半田付けにより固定する際に、第1端子部材12の底部28と基板上の導体パターン(図示せず)との間に半田を配置できるので、第1端子部材12の内部への溶融半田の浸入及びそれに伴う第2端子部材14への半田の付着を防止できる。その結果、付着した半田により、第2端子部材14を第1端子部材12から取り外すことが困難になったり、第2端子部材14のばね性が損なわれたりすることを、未然に回避できる。
【0024】
第2端子部材14の取付部20は、第2端子部材14自体が生じる弾性復元力により、第1端子部材12に押し付けられて取り付けられるように構成できる。この構成によれば、第2端子部材14を、それ自体の弾性復元力により増大した摩擦力で、第1端子部材12に対し所定の相対位置関係の下に固定的に取り付けることができる。また、そのような取り付け位置で取付部20を強制的かつ弾性的に撓ませて第1端子部材12から引き離すことにより、第2端子部材14を第1端子部材12から容易に取り外すことができる。さらに、第2端子部材14自体の弾性復元力による所定の圧力の下で取付部20が第1端子部材12に押し付けられるので、第1端子部材12と第2端子部材14との間の導通(つまり電気的接続)の信頼性を向上させることができる。
【0025】
図示構成において、第2端子部材14のばね部18は、互いに並列に配置される複数の梁部分30と、隣り合う梁部分30をそれらの同一側の一端で互いに連結する複数の連結部分32とを有する。図4に示すように、複数の連結部分32は、複数の梁部分30に対し交互に反対側に配置されて、蛇行形状に連続するばね部18を形成している。このような構成を有する第2端子部材14は、例えば、板金材料から図4に示す蛇行形状に打ち抜かれたブランクを、複数の梁部分30の一端側の連結部分32と他端側の連結部分32とが互いに接近する方向へ、全体として円筒状の輪郭を呈するように曲げることで、図2の最終形状に容易に成形できる。第2端子部材14をこのような工程で作製できることは、中継端子10の製造コストの削減に寄与する。
【0026】
第2端子部材14は、図2の最終形状において、ばね部18の全体が、円筒状輪郭の中心軸線に沿った方向へ弾性変形することにより、ばね力を発揮することができる。ばね部18のばね定数は、第2端子部材14の材料や梁部分30の個数、形状、寸法等の選択により、適宜設定できる。梁部分30の個数、形状、寸法は、板金材料からの打ち抜き工程において容易に選択できる。ばね部18のばね定数を調整することにより、第2端子部材14と接続相手の導体部分との間の接触圧力を、両者間に良好な通電状態を維持するべく最適化できる。
【0027】
図示構成において、第2端子部材14の接触部16は、蛇行形状のばね部18の第1端(図で上端)に位置する1つの梁部分30に形成され、取付部20は、第1端の梁部分30とは反対側の、蛇行形状のばね部18の第2端(図で下端)に位置する他の1つの梁部分30に形成される。詳述すると、接触部16は、第1端の梁部分30から板金材料の表面に沿って側方へ僅かに突出する延長部分として形成され、その剪断面16aが、接続相手の導体部分への接触面を構成する。また、取付部20は、第2端の梁部分30の所要長さ部分によって形成され、その板金材料の表面20aが、第1端子部材12に当接される当接面を構成する。
【0028】
この構成によれば、接触部16と取付部20との間の距離を最大限に確保して、ばね部18の全体にばね力(したがって接触圧力)を発揮させることが可能になる。また、図2に示す円筒状輪郭を有する第2端子部材14では、接触部16を円筒状輪郭の中心軸線上に配置できるので、接触部16と接続相手の導体部分との間の位置合せを容易にすることができる。さらに、図2に示す構成では、ばね部18の第2端の梁部分30の曲率が他の梁部分30の曲率よりも小さくなるように第2端子部材14を曲げ成形することにより、第2端の梁部分30を他の梁部分30よりも径方向外方へ突出させて、第2端の梁部分30を径方向内方へ弾性的に撓ませながら、取付部20を第1端子部材12の壁部26の内面26aに当接させることができる。これにより、第2端の梁部分30に形成される取付部20を、第2端子部材14自体が生じる弾性復元力により第1端子部材12に押し付けて取り付ける構成が、容易に実現される。
【0029】
第2端子部材14は、接触部16及び取付部20から離れた部位に、第1端子部材12に摺動可能に接触して導通する導通部34をさらに有することができる。導通部34は、中継端子10を接続相手の導体部分に接続するときに、ばね部18の弾性変形に伴い、第1端子部材12に対し安定した接触状態を維持しながら摺動できるように構成される。この構成によれば、第1端子部材12と第2端子部材14とを、取付部20及び導通部34の少なくとも2箇所で互いに導通させることができるから、第1端子部材12と第2端子部材14との間の導通の信頼性を向上させることができる。また、図示のように接触部16と取付部20との間に蛇行形状のばね部18を有する第2端子部材14においては、ばね部18を流れる電流に対する抵抗値が大きくなる傾向があるが、導通部34をばね部18の所望位置に設けることにより、ばね部18を流れる電流を、ばね部18の途中で導通部34から第1端子部材12に分流させることができる。そして、第1端子部材12の形状を、図示の筒状壁部26のような単純形状とすることにより、中継端子10の全体の抵抗値を低減することができる。なお、分流による抵抗値低減の観点では、導通部34を接触部16に可及的に近接する位置に設けることが有利である。
【0030】
第2端子部材14の導通部34は、第2端子部材14自体が生じる弾性復元力により、第1端子部材12に押し付けられて接触するように構成できる。この構成によれば、第2端子部材14自体の弾性復元力による所定の圧力の下で導通部34が第1端子部材12に接触するので、第1端子部材12と第2端子部材14との間の導通(つまり電気的接続)の信頼性を一層向上させることができる。なお、導通部34を第1端子部材12に押し付けるための第2端子部材14の弾性復元力は、取付部20を第1端子部材12に押し付けるための前述した第2端子部材14の弾性復元力よりも小さく、導通部34と第1端子部材12との間の摩擦力が接触部16に所要の接触圧力を確保するためのばね部18の弾性変形を妨げないことを前提として、設定することが望ましい。
【0031】
図示構成において、第2端子部材14の導通部34は、蛇行形状のばね部18の少なくとも1つ(図では2つ)の連結部分32に形成される。導通部34は例えば、板金材料から図4に示す蛇行形状のブランクを打ち抜く際に、所望の連結部分32の所定位置を半抜き加工することで、板金材料の表面から突出する突起として形成できる(図1)。図2に示す円筒状輪郭を有する第2端子部材14では、連結部分32の表面からの導通部34の突出量を適宜選択することにより、当該連結部分32に隣接する一対の梁部分30を径方向内方へ弾性的に撓ませながら、導通部34を第1端子部材12の壁部26の内面26aに当接させることができる。これにより、連結部分32に形成される導通部34を、第2端子部材14自体が生じる弾性復元力により第1端子部材12に押し付けて接触させる構成が、容易に実現される。なお、導通部34を設けた連結部分32に隣接する一対の梁部分30の曲率が他の梁部分30の曲率よりも小さくなるように第2端子部材14を曲げ成形することにより、導通部34を他の梁部分30よりも径方向外方へさらに大きく突出させることもできる。
【0032】
また図示構成では、接触部16を形成した第1の梁部分30に隣接する連結部分32と、第1の梁部分30に隣り合う梁部分30に隣接する連結部分32とのそれぞれに、導通部34が形成されている。図1に示すように、第1端子部材12に収容された第2端子部材14が軸線方向へ撓んでいない状態では、第1の梁部分30に隣接する位置にある導通部34は、第1端子部材12の開口端22から外部に突出した位置に配置される。中継端子10がインタポーザの接続相手の導体部分に接続された状態では、第2端子部材14が軸線方向へ撓み、第1の梁部分30に隣接する導通部34が第1端子部材12の空洞領域24に押し込まれて壁部26に接触する。
【0033】
図5は、本発明の一実施形態によるインタポーザ40の外観を示す図、図6は、インタポーザ40の組立工程の主要ステップを示す図、図7は、インタポーザ40の一使用例を示す図である。インタポーザ40は、図1〜図4に示す中継端子10と、中継端子10の第1端子部材12が固定される基板42とを具備する。図示構成では、それぞれが第1端子部材12に第2端子部材14を取り付けて構成される複数(図では9個)の中継端子10が、接触部16を第1端子部材12の外方へ突出させた状態で、基板42の表面42aに所定の整列配置で設置されている(図5)。なお、中継端子10の個数や配置は、特に限定されない。
【0034】
基板42は、中継端子10の第1端子部材12に電気的に接続される導体パターンを有する回路基板である。図示構成では、基板42の表面42aに複数のパッド44が形成され、個々のパッド44に第1端子部材12が例えば半田46により固定される(図6(a)、(b))。このとき第1端子部材12を、前述したように閉鎖端(底部)28を有する筒状部材から構成することにより、第1端子部材12の底部28と基板42のパッド44との間に半田46を配置して、第1端子部材12の内部への溶融半田の浸入及びそれに伴う第2端子部材14への半田の付着を防止しながら、第1端子部材12を基板42に固定することができる。
【0035】
基板42に所要個数の第1端子部材12を固定した後、個々の第1端子部材12に第2端子部材14を取り付ける。図示構成では、円筒状輪郭を有する第2端子部材14が、その取付部20を弾性的に撓ませながら、取付部20から第1端子部材12の壁部26の空洞領域24に挿入される(図6(c))。そして、取付部20が第1端子部材12の底部28に隣接する位置まで到達した時点で、第2端子部材14の取り付けが完了する(図5)。
【0036】
インタポーザ40は、例えば回路基板(PWB、PCB等)とICパッケージとのような、2つの電子回路部品の間に介在して、それら電子回路部品の接続端子部の配置や個数の変換、それら電子回路部品の熱変形量の差の吸収等の機能を発揮することができる。図7に示す使用例では、インタポーザ40は、第1の回路基板48と第2の回路基板50との間に介在する。この構成では、インタポーザ40の基板42は、表面42aの反対側の裏面42bにパターン形成される複数のパッド52と、表面42aの個々のパッド44と裏面42bの対応位置のパッド52とを互いに電気的に接続する複数のビア(メッキスルーホール)54とをさらに備えている。
【0037】
インタポーザ40は、基板42の裏面42bの複数のパッド52が、第1の回路基板48の表面48aにパターン形成された複数の導体部分(接続端子部)56に、例えば半田等により固定されて、個別に接続される一方、複数の中継端子10の第2端子部材14の接触部16が、第2の回路基板50の表面50aにパターン形成された複数の導体部分(接続端子部)58に、第2端子部材14のばね部(図6(c))のばね力による所定の接触圧力の下で、個別に接続される。この状態で、インタポーザ40は、第1及び第2の回路基板48、50の間に介在して、両回路基板48、50を互いに電気的に接続する。
【0038】
上記使用例において、インタポーザ40は、第1及び第2の回路基板48、50の導体部分56、58が互いに異なる配置や個数を有する場合であっても、基板42の導体パターン(パッド52やビア54を含む)を適宜に設計することにより、両導体部分56、58同士を、一方の配置や個数を他方の配置や個数に変換して電気的に接続することができる。或いは、電子回路部品の接続端子部の配置や個数の変換機能を必要としない用途では、基板42を回路の無い単なる支持板から構成し、基板42に設けた貫通穴に中継端子10の第1端子部材12を挿入して固定し、基板42の裏面42b側に位置する第1端子部材12の底部28と基板42の表面42a側に位置する第2端子部材14の接触部16とを、それぞれ、第1及び第2の回路基板48、50の導体部分56、58に接続する構成とすることもできる。このような構成の場合、インタポーザ40の基板42を省略して、中継端子10のみにインタポーザ機能を持たせることもできる。
【0039】
上記構成を有するインタポーザ40は、前述した種々の効果を奏する中継端子10を備えたことにより、中継端子10の修繕のための作業が容易になり、損傷した第2端子部材14だけを交換することで作業コストを削減できるものとなる。また、基板42に固定した第1端子部材12に対し、異なるばね定数を有する複数種類の第2端子部材14から選択した第2端子部材14を取り付けることにより、接続相手の導体部分58に対して所要の接触圧力を生じ得る中継端子10を備えたインタポーザ40を、臨機かつ容易に作製することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 中継端子
12 第1端子部材
14 第2端子部材
16 接触部
18 ばね部
20 取付部
22 開口端
26 壁部
28 閉鎖端
30 梁部分
32 連結部分
34 導通部
40 インタポーザ
42 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタポーザに用いられる中継端子であって、
第1端子部材と、該第1端子部材に着脱可能に取り付けられ、該第1端子部材に導通する第2端子部材とを具備し、
前記第2端子部材は、インタポーザの接続相手の導体部分に接離自在な接触部と、該接触部を該導体部分に押し付けるための接触圧力を生じるばね部と、前記第1端子部材に当接されて摩擦力で着脱可能に取り付けられる取付部とを、互いに一体に有すること、
を特徴とする中継端子。
【請求項2】
前記第1端子部材は、開口端を有する筒状の壁部を備え、前記第2端子部材は、前記接触部を該壁部の該開口端から外方へ突出させた状態で該壁部に収容され、前記取付部が該壁部に取り付けられるとともに、前記接触部と前記ばね部とが該壁部に対して移動可能である、請求項1に記載の中継端子。
【請求項3】
前記第1端子部材の前記壁部は、前記開口端の反対側に閉鎖端を有する、請求項2に記載の中継端子。
【請求項4】
前記第2端子部材の前記取付部は、前記第2端子部材が生じる弾性復元力により、前記第1端子部材に押し付けられて取り付けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の中継端子。
【請求項5】
前記第2端子部材の前記ばね部は、互いに並列に配置される複数の梁部分と、隣り合う該梁部分をそれらの一端で互いに連結する複数の連結部分とを有し、それら連結部分が該複数の梁部分に対し交互に反対側に配置されて、蛇行形状に連続する前記ばね部を形成している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の中継端子。
【請求項6】
前記接触部が、前記蛇行形状のばね部の第1端に位置する1つの前記梁部分に形成され、前記取付部が、該第1端の梁部分とは反対側の、前記蛇行形状のばね部の第2端に位置する他の1つの前記梁部分に形成される、請求項5に記載の中継端子。
【請求項7】
前記第2端子部材は、前記接触部及び前記取付部から離れた部位に、前記第1端子部材に摺動可能に接触して導通する導通部をさらに有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の中継端子。
【請求項8】
前記第2端子部材の前記導通部は、前記第2端子部材が生じる弾性復元力により、前記第1端子部材に押し付けられて接触する、請求項7に記載の中継端子。
【請求項9】
前記第2端子部材の前記ばね部は、互いに並列に配置される複数の梁部分と、隣り合う該梁部分をそれらの一端で互いに連結する複数の連結部分とを有し、それら連結部分が該複数の梁部分に対し交互に反対側に配置されて、蛇行形状に連続する前記ばね部を形成している、請求項7又は8に記載の中継端子。
【請求項10】
前記接触部が、前記蛇行形状のばね部の第1端に位置する1つの前記梁部分に形成され、前記取付部が、該第1端の梁部分とは反対側の、前記蛇行形状のばね部の第2端に位置する他の1つの前記梁部分に形成され、前記導通部が、少なくとも1つの前記連結部分に形成される、請求項9に記載の中継端子。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の中継端子と、該中継端子の前記第1端子部材が固定される基板とを具備するインタポーザ。
【請求項12】
前記基板は、前記中継端子の前記第1端子部材に電気的に接続される導体パターンを有する、請求項11に記載のインタポーザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−186117(P2012−186117A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50096(P2011−50096)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】