説明

インターホンの録画方法

【課題】不審者と判断した場合に容姿をわかりやすく記録するためことができるインターホンの録画方法を提供する。
【解決手段】インターホン装置において、居室親機へ呼び出し操作を行ったときにカメラで撮像した映像から人物を検知し、更に当該人物の顔を検知して顔の特徴を数値化した顔検知スコアを算出し、当該顔検知スコアが所定値以下の場合、カメラで撮像した全体映像を仮録画し、人物を検知してから所定時間内に、当該人物が検知できない状態となり、再度、人物を検知できる状態に遷移した場合、最初の人物と同一かを比較した結果、同一人物と判断したとき人物又は顔をズーム処理して、その映像を本録画すると共に仮録画した映像を破棄することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンの録画方法に係わり、玄関にいる不審者を容易に判断することができると共に、その容姿をわかりやすく記録することができるインターホンの録画方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインターホンの録画方法では、玄関子機から呼び出しがあると、居室親機で呼出音が鳴動すると共に、居室親機のモニタに玄関子機で撮像した映像が出画される。また、これと同時に玄関子機で撮像された映像が、一定時間録画されるため、留守であった場合などにおいて来訪者が来たことを確認することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-198741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなインターホンの録画方法の場合、カメラが撮像した映像をそのまま録画するため、比較的、広角の映像が録画され不審者の特徴を確認したい場合には対応することができなかった。
【0005】
本発明では、このような難点を解決するためになされたものであって、玄関にいる不審者を容易に判断することができると共に、不審者であると判断した場合には、その容姿をわかりやすく記録することができるインターホンの録画方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるインターホンの録画方法は、来訪者を撮像するカメラを備えた玄関子機、前記カメラで撮像された映像を出力するモニタを備えた居室親機とから構成され、前記居室親機へ呼び出し操作を行ったときに前記カメラで撮像した映像から人物を検知し、人物を検知したとき、当該人物の顔を検知して顔の特徴を数値化した顔検知スコアを算出し、前記顔検知スコアが所定値以下の場合、前記カメラで撮像した全体映像を仮録画し、人物を検知してから所定時間内に、当該人物が検知できない状態となり、再度、前記人物を検知できる状態に遷移した場合、再度、前記人物を検知したときの顔検知スコアと最初に算出した顔検知スコアとを比較し、比較した結果、同一人物と判断したとき前記人物又は顔を電子的又は機構的にズーム処理して、当該ズーム処理した映像を本録画すると共に前記仮録画した映像を破棄することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の態様であるインターホンの録画方法は、請求項1のインターホンの録画方法において、最初に人物を検出してから所定時間内に当該人物を検出し続けた場合、前記仮録画された映像をそのまま本録画することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第3の態様であるインターホンの録画方法は、請求項1又は請求項2のインターホンの録画方法において、再度、前記人物を検知したときの顔検知スコアと最初に算出した顔検知スコアとを比較し、比較した結果、同一人物と判断されなかった場合、前記仮録画された映像をそのまま本録画することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、玄関にいる不審者を容易に判断することができると共に、その容姿をわかりやすく記録することができる。また、最初にカメラで撮像した映像は録画対象から外すことにより、録画メモリを有効に使用することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、不審者でなかった場合には、カメラで撮像した映像そのままを録画することができ、ズーム処理等の複雑な制御を不要とすることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、同一人物ではなかった場合には、最初に呼び出し操作した人を録画することができる。したがって、偶然にカメラの撮像範囲から外れてしまい、さらに近隣の住民等がカメラを横切った場合においても、カメラで最初に撮像した映像を録画することができるので訪問者の録画を確実におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態であるインターホンの録画方法のシステム構成図である。
【図2】本発明に係る実施形態であるインターホンの録画方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明によるインターホンの録画方法を適用した好ましい形態の実施例について、図を参照して説明する。
この実施形態によるインターホンの録画方法は、図1のシステム構成図のように、玄関子機1と居室親機2とから構成されている。
【0014】
玄関子機1は、来訪者や玄関周辺を撮像するためのカメラ11と、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタン12と、来訪者が居住者と通話するための子機スピーカ13及び子機マイク14と、人物検知処理、顔検知処理、特徴判断処理及びズーム処理等の各制御をおこなう子機CPU15とを備えている。なお、カメラ11にはCCDやC−MOSなどのセンサで構成されている固体撮像素子が用いられている。
【0015】
居室親機2は、玄関子機1のカメラ11で撮像した映像を出画するためのモニタ21と、玄関子機1と通話するための親機スピーカ22及び親機マイク23と、玄関子機1からの呼び出しに応答するための通話ボタン24と、各種制御及び録画処理をおこなう親機CPU25とから構成されている。
【0016】
このように構成されたインターホンの録画方法について、図2のフローチャートを用いて詳述する。以下動作を説明する。
来訪者が玄関子機1の呼出ボタン12を押下して居住者を呼び出すと、居室親機2の親機CPU25がこれを検出し、親機スピーカ22から呼出音が鳴動する。また、これと同時に玄関子機1のカメラ11が駆動して来訪者を撮像して居室親機2に送信され、親機CPU25の制御によってモニタ21に出画する。これを確認した居住者は、居室親機2の通話ボタン24を操作して、子機スピーカ13、子機マイク14と親機スピーカ22、親機マイク23との間で通話をおこなう(詳述せず)。
【0017】
ここで、玄関子機1では、玄関子機1のカメラ11で撮像した映像を以下のように処理して録画をおこなう。
玄関子機1のカメラ11で来訪者を撮像するとレンズより入射した光がCCDやC−MOSなどのセンサを通して電気信号に変換され、子機CPU15にてデジタル処理される。そして、子機CPU15にてデジタル処理された映像信号は当該子機CPUの人物検知手段により人物がいるか判断され、人物がいると判断された場合には更に顔検知手段により顔を検知する。そして、当該人物の顔を検知して顔の特徴を数値化した顔検知スコアを算出する。なお、顔検知スコアの算出は、例えば、特開2007-058375号公報のような公知の算出方法が適用される。そして、算出された顔検知スコアが所定値以下と判断した場合(S1)、例えば、サングラス、マスク、帽子等で顔の各部分を覆い顔検知スコアが平均の顔検知スコアの10%以下であった場合には、親機CPU25の制御によってカメラ11で撮像した映像をそのまま(全体映像として)仮録画する。また、人物検知手段により人物を検知できなかった場合、又は顔検知手段で顔検知スコアが所定値以上であった場合には、以下の処理を省略して処理を終了すると共に通常どおりカメラ11で撮像した映像をそのまま(全体映像として)録画をおこなう(S2)。
【0018】
次に、仮録画した人物がその後、挙動不審な動作をして周囲を見渡すと人物検知手段で人物が未検知状態となる(S3)。その後、カメラ11が起動中に再度、人物検知手段により人物と判断した場合(S4)、親機CPU25の仮録画手段にて仮録画を行った人物の画像と、顔検知手段によって検知している現在の人物の画像とを比較するため、特徴判断手段にて特徴判断を行う(S5)。
【0019】
なお、特徴判断手段は検知スコアが10%以下と検知度が低い状態なので、目、鼻、口など以外の判断材料の顔の輪郭、濃淡にて特徴の判断を行う。その場合、仮録画手段で仮録画しておいた顔検知部分の白と黒の階調によって輪郭の判断と、輝度(Y信号)、色(RGB信号)の値を参照しほぼ同等であるかの比較を行う。
【0020】
同等と判断した場合、親機CPU25の制御によって、子機CPU15はカメラ11で撮像する映像のうち人物を電子的又は機構的なズーム手段によってズームさせて居室親機2の録画手段によって録画を行う(S6)。
【0021】
ここで、ズーム手段のうち電子的なズーム手段の具体的な方法の説明を行う。子機CPU15にて顔検知している部分の画の切出しを行う。切出しは顔検知している輪郭の大きさから10%ほど周辺を切出し、それを居室親機の画面サイズ(VGA640×480 pixel)にリサイズを行う。これにより、不審者と判断した人物の画像を拡大して録画することが可能となる。また、仮録画した映像は、破棄され録画メモリを有効に活用できるよう制御する。
【0022】
また、S3において、呼出中に人物検知手段で人物を検知し続けた場合は、カメラ前に居続けることから不審者ではないと判断し、仮録画手段で録画した映像をそのまま録画手段にて録画する(S7)。
このように、不審人物を自動的に検知して、録画するに当たっては顔をズームして録画するので、その不審人物の特徴を明確に記録することが可能となる。
なお、上記実施例において、呼出ボタンの操作を本発明の動作のトリガにしているが、別途人感センサによる検知をトリガとしても同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0023】
1・・・玄関子機
11・・・カメラ
12・・・呼出ボタン
13・・・子機スピーカ
14・・・子機マイク
15・・・子機CPU
2・・・居室親機
21・・・モニタ
22・・・親機スピーカ
23・・・親機マイク
24・・・通話ボタン
25・・・親機CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者を撮像するカメラを備えた玄関子機、前記カメラで撮像された映像を出力するモニタを備えた居室親機とから構成され、
前記居室親機へ呼び出し操作を行ったときに前記カメラで撮像した映像から人物を検知し、人物を検知したとき、当該人物の顔を検知して顔の特徴を数値化した顔検知スコアを算出し、前記顔検知スコアが所定値以下の場合、前記カメラで撮像した全体映像を仮録画し、人物を検知してから所定時間内に、当該人物が検知できない状態となり、再度、前記人物を検知できる状態に遷移した場合、再度、前記人物を検知したときの顔検知スコアと最初に算出した顔検知スコアとを比較し、比較した結果、同一人物と判断したとき前記人物又は顔を電子的又は機構的にズーム処理して、当該ズーム処理した映像を本録画すると共に前記仮録画した映像を破棄することを特徴とするインターホンの録画方法。
【請求項2】
最初に人物を検出してから所定時間内に当該人物を検出し続けた場合、前記仮録画された映像をそのまま本録画することを特徴とする請求項1記載のインターホンの録画方法。
【請求項3】
再度、前記人物を検知したときの顔検知スコアと最初に算出した顔検知スコアとを比較し、比較した結果、同一人物と判断されなかった場合、前記仮録画された映像をそのまま本録画することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインターホンの録画方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−49939(P2012−49939A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191713(P2010−191713)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】