説明

インターホン

【課題】デザイン性を損なわず、また施工設定時においても操作性のよいインターホンを提供する。
【解決手段】インターホン1は、他の機器と通信するための通信線が接続されるベース筐体1bと、音声を鳴らすスピーカ11、操作ボタン部12、映像表示部13及びプリント基板が収容されるカバー筐体1aと、から構成される。カバー筐体1aは、上下いずれか一方がベース筐体1bの上下いずれか一方に係止され、係止される側と反対側にネジ用の貫通孔14aが形成される。操作ボタン部12は、カバー筐体1aの右側に配置される。貫通孔14aは、カバー筐体1aから取り外し可能な別部材17で覆われる位置に配置される。この構成により、インターホン1では、デザイン性を損なわず、かつ施工設定時の操作性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の壁に取り付けて使用されるインターホンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図5に示すように壁に埋め込んで使用されるインターホン5が知られている(例えば、特許文献1参照)。このインターホン5は、各種の操作ボタン部51、液晶表示部52、スピーカ53やプリント基板等が収容されたカバー筐体5aと、通信線や電源が収容され壁面に埋め込まれ固定されるベース筐体5cとから成り、カバー筐体5aの四隅に設けられたネジ用の貫通孔を介してベース筐体5cにネジ止めして固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−69681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のインターホン5においては、カバー筐体5aとベース筐体5cとが四隅のネジで固定されるため、カバー筐体5aの正面側の左右両端にネジ隠し用カバー5bを設ける必要がある。このため、インターホン5の正面側にはネジ隠し用カバー5b等の成形部材同士の境界線54等が上下に亘って入ってしまい、デザイン性を損ねるという問題がある。
【0005】
また、従来のインターホン5では、アドレス設定等の各種の施工設定に使用するスイッチはカバー筐体5a側のネジ隠し用カバー5bを取り外した箇所に配置されており、一旦カバー筐体5aをベース筐体5cに取り付けた後に再度設定変更が必要な場合、都度ネジ隠し用カバー5bを取り外す手間を要するため施工性が悪いという問題もある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、デザイン性を損なわず、かつ各種の施工設定をする際にも操作性のよいインターホンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、他の機器と通信するための通信線が接続されるベース筐体と、映像表示部、音声を鳴らすスピーカ、操作ボタン部、及び前記映像表示部と前記スピーカと前記操作ボタン部とを駆動させる回路を有するプリント基板が収容されるカバー筐体と、を備え、前記ベース筐体の前面に前記カバー筐体を固定して成るインターホンにおいて、前記カバー筐体の上下いずれか一方が前記ベース筐体の上下いずれか一方に係止され、前記カバー筐体には前記係止される側と反対側にネジ用の貫通孔が形成され、前記操作ボタン部は、前記カバー筐体の右側又は左側のいずれか一方側に配置されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るインターホンの前記カバー筐体に形成された貫通孔は、前記カバー筐体から取り外し可能な別部材で覆われる位置に配置されることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るインターホンの前記操作ボタン部以外の他のスイッチ及び外部記憶媒体は、前記別部材で覆われる位置に配置されることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るインターホンの前記外部記憶媒体は、前記カバー筐体の表面と平行方向で、かつ前記カバー筐体の表面より奥側に配置されると共に、前記外部記憶媒体の取出し口の近傍に傾斜を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るインターホンでは、カバー筐体の上側がベース筐体の上側に係止され、カバー筐体には係止される側と反対側にネジ用の貫通孔が形成され、操作ボタン部は、カバー筐体の右側又は左側のいずれか一方側に配置されるため、デザイン性を損なわず、かつ施工設定時の操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)本発明の実施の形態に係るインターホンの斜視図、(b)同インターホンのカバー筐体を分解した斜視図、(c)同インターホンのカバー筐体とベース筐体との分解斜視図。
【図2】実施の形態に係るインターホンを用いたインターホンシステムの構成図。
【図3】(a)本実施の形態に係るインターホンにおいて別部材を取り外した状態の正面図、(b)同インターホンの外部記憶媒体取り出し口付近の拡大斜視図。
【図4】実施の形態の第1の変形例に係るインターホンの正面図。
【図5】(a)従来のインターホンの斜視図、(b)同インターホンのネジ隠し用カバーを取り外した状態の斜視図、(c)同インターホンのカバー筐体とベース筐体との分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係るインターホンについて図面を参照して説明する。
【0014】
(実施の形態)
図1に示すように、本実施の形態に係るインターホン1は、スピーカ11、操作ボタン部12、映像表示部13、プリント基板等が収容されるカバー筐体1aと、他の機器から接続された複数の通信線や電源が収容されたベース筐体1bと、を備える。なお、プリント基板は、スピーカ11と操作ボタン部12と映像表示部13とを駆動させる駆動回路を有している。
【0015】
スピーカ11は、後述する図2に示すようにインターホン1が接続された子器2を介して来訪者が発した音声を住人に伝えるものであり、電気信号に従い音声を発生させる。なお、スピーカ11は、音声のみでなく警告音等も発する場合がある。
【0016】
操作ボタン部12は、例えば「解錠」、「メニュー」、「録画」、「留守」等の複数種のボタンから構成され、住人は映像表示部13の表示に応じて操作ボタン部12を押して要求する制御を行う。例えば、非常ボタン12aは、火事や事故などの万一のトラブル発生時に押され、住戸内や管理室に警報音で異常発生を知らせる。解錠ボタンは、来客応対時に点滅し、オートロックや住戸玄関電気錠を解錠するために用いられる。また、例えば、住人が来訪者の声を聞きとりにくい場合には操作ボタン部12の音量ボタンを用いて通話中に受話音量を上げて聞きとり易くできる。
【0017】
映像表示部13は、玄関の子器に備えられたカメラに写された来訪者を映すカラー液晶モニタ等である。住人は、映像表示部13に表示されている画像に基づいて来訪者を確認する。なお、映像表示部13は、玄関にいる来訪者を映す以外に、住宅用火災警報器からの信号を受けて火災警報表示等することも可能である。
【0018】
ベース筐体1bには、側壁の開口から導入される電線に結線される端子が内装されると共に、他の子器から接続される通信線が複数接続されている。
【0019】
また、図1(a)に示すように、操作ボタン部12は、カバー筐体1aの右側に並べて配置される。この構成により、操作時にユーザの手が左右に動いて映像表示部13を遮ることを防止して操作性を向上できる。また、操作ボタン部12を右側に並べ、操作ボタン部12と映像表示部13を除いた部分全体を別部材で構成できるので、カバー筐体1aの表面側に成型部材の境界線があまり現れず、デザイン性を損なわない。
【0020】
また、図1(b)に示すように、映像表示部13は正面視でカバー筐体1aの略中央に配置され、カバー筐体1aの下側には別部材17が取り外し可能に装着される。この構成により、映像表示部13を中心に、カバー筐体1aを別部材17等で上下方向に分割できるようにしている。
【0021】
カバー筐体1aは、正面視で略長方形状であり、背面側の周縁に枠部が形成されている。また、ベース筐体1bは正面視で略長方形状であり、正面側の周縁に枠部が形成されている。そして、図1(c)に示すように、カバー筐体1aの上枠部には、ベース筐体1bの上枠部に設けられた2箇所の係止部1dと係合する係止部1cが2箇所形成されている。
【0022】
カバー筐体1aの係止部1cの反対側には、ベース筐体1bに形成されたネジ穴14bに対応する箇所に、ネジ用の貫通孔14aが形成されている。また、スピーカ11は、カバー筐体1aに形成される係止部1cに近い側に配置されている。
【0023】
そして、インターホン1を壁に施工する場合、ベース筐体1bを壁面に埋設させて固定した後、このベース筐体1bの上枠部に形成された係止部1dに、カバー筐体1aの背面側の上枠部に形成された係止部1cを係止してベース筐体1bの表面側にカバー筐体1aを仮固着する。
【0024】
次に、カバー筐体1aの下側に形成された貫通孔14aを通してベース筐体1bの下側に形成されているネジ穴14bにネジ等の止め具を貫通させドライバー等でこれを締め付けて、ベース筐体1bにカバー筐体1aを固着する。これにより、住人の生活動線を妨げないフラットでスリムなインターホン1を壁面に設置できる。
【0025】
図2(a)及び(b)に示すように、インターホン1は、マンション玄関ロビーや住戸玄関に設置されるカメラ付ドアホン子器2と通信線22を用いて接続される。
【0026】
そして、来訪者はドアホン子器2のボタンを押して住人を呼び出す。このドアホン子器2には高感度CCD等の撮像素子を用いたカメラ21が備えられ、住人は、カメラ21で撮像された来訪者をインターホン1の映像表示部13で確認しながらスピーカ11を介して通話を行い、解錠ボタンを押して玄関ロビーや玄関の解錠を行う。なお、子器は複数接続されている場合もある。
【0027】
また、図2(b)に示すように、映像表示部13の周囲に配置される映像表示部13の位置決め用部材13aをカバー筐体1aとは別色とする。このため、位置決め用部材13aとカバー筐体1aとの境界線が目立たなくなり、インターホン1のデザイン性を損なわないという視覚上の効果も有している。
【0028】
また、図3(a)に示すように、インターホン1のカバー筐体1aにおいて、ネジ止め用の貫通孔14aと設定用スイッチ15と外部記憶媒体16とは別部材17で覆われる位置に配置される。この構成により、インターホン1の部材を減らすと共に、設定用スイッチ15や外部記憶媒体16は、別部材17を取り外すことでカバー筐体1aの表面側から操作することができるので、従来のように設定の度にカバー筐体1aを取り外す必要がなく施工性を格段に向上できる。なお、ここで設定用スイッチ15は、例えば部屋番号等のアドレス設定用スイッチであり、外部記憶媒体16は、例えばSDカードやマイクロSDカード等の半導体メモリである。
【0029】
また、図3(b)に示すように、外部記憶媒体16は、カバー筐体1aの表面と平行方向で、かつカバー筐体1aの表面より奥位置から挿入され、外部記憶媒体16の取り出し口周辺には傾斜部18が形成されている。この構成により、外部記憶媒体16の内部にホコリなどの異物が侵入しにくくなり、外部記憶媒体16を横方向に滑らせて取り出せると共に、傾斜部18を設けることで外部記憶媒体16の出し入れが容易となる。
【0030】
以上の説明のように、本実施の形態に係るインターホン1では、操作ボタン部12を右側に並べ、操作ボタン部12と映像表示部13を除く箇所を別部材17等で覆う構成とできるので、カバー筐体1aの表面側に成型部材の境界線があまり現れず、インターホン1のデザイン性を損なわない。また、操作ボタン部12を右側に並べているので、操作中にユーザの手が映像表示部13を遮ることもなく、操作性も向上できる。
【0031】
(第1の変形例)
本実施の形態の第1の変形例について、図4を参照して説明する。本変形例に係るインターホン4では、映像表示部44がカバー筐体の略中央部ではなく上側に配置され、操作ボタン部43がカバー筐体の右下側にまとめて配置され、下端中央部にネジ止め用の貫通孔42が形成され、この貫通孔42を隠すように左側下半分が別部材41で覆われる。
【0032】
この構成によって、上記の実施の形態と同様に、カバー筐体の表面に成型部材の境界線があまり現れず、インターホン4のデザイン性を損なわない。また、操作ボタン部43を右下側に並べているので、操作中にユーザの手が映像表示部44を遮ることもなく、操作性を向上させることができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、インターホンのカバー筐体の係止部を下側に設けスピーカを下側に配置し、ネジ用の貫通孔を上側に設けることも考えられ、操作ボタン部を左側に並べて配置することも考え得る。また、インターホンは、本図の構成のものに限られず、電気回路部品等がベース筐体に収容されたものなど、インターホン機能を有する機器全般を含む。
【符号の説明】
【0034】
1 インターホン
1a カバー筐体
1b ベース筐体
1c,1d 係止部
2 ドアホン子器
11 スピーカ
12 操作ボタン部
13 映像表示部
14 プリント基板
14a 貫通孔
14b ネジ穴
15 設定用スイッチ
16 外部記憶媒体
17 別部材
18 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の機器と通信するための通信線が接続されるベース筐体と、映像表示部、音声を鳴らすスピーカ、操作ボタン部、及び前記映像表示部と前記スピーカと前記操作ボタン部とを駆動させる回路を有するプリント基板が収容されるカバー筐体と、を備え、前記ベース筐体の前面に前記カバー筐体を固定して成るインターホンにおいて、
前記カバー筐体の上下いずれか一方が前記ベース筐体の上下いずれか一方に係止され、前記カバー筐体には前記係止される側と反対側にネジ用の貫通孔が形成され、
前記操作ボタン部は、前記カバー筐体の右側又は左側のいずれか一方側に配置されることを特徴とするインターホン。
【請求項2】
前記カバー筐体に形成された貫通孔は、前記カバー筐体から取り外し可能な別部材で覆われる位置に配置されることを特徴とする請求項1記載のインターホン。
【請求項3】
前記操作ボタン部以外の他のスイッチ及び外部記憶媒体は、前記別部材で覆われる位置に配置されることを特徴とする請求項2記載のインターホン。
【請求項4】
前記外部記憶媒体は、前記カバー筐体の表面と平行方向で、かつ前記カバー筐体の表面より奥側に配置されると共に、前記外部記憶媒体の取出し口の近傍に傾斜を設けたことを特徴とする請求項3記載のインターホン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−228992(P2011−228992A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97742(P2010−97742)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】