説明

インターレース型多重エネルギー放射線源

異なるRF出力を加速器に提供する出力発生器により駆動される荷電粒子加速器を備え、インターレース型動作が可能である多重エネルギー放射線源が開示される。自動周波数制御技法は、加速器に提供されるRF出力の周波数を加速器の共振周波数に一致させるように提供される。出力発生器が機械的に同調可能なマグネトロンである一例では、自動周波数制御装置は、これらのRF出力パルスが提供される場合に、1つの出力におけるRF出力パルスの周波数を加速器の共振周波数に一致させるように提供され、当該マグネトロンは、これらのRF出力パルスが提供される場合に、他の出力におけるマグネトロンの周波数偏移が、加速器における共振周波数偏移に少なくとも部分的に一致するように動作する。他の例では、出力発生器がクライストロンまたは電気的に同調可能なマグネトロンである場合、別の自動周波数制御装置がRF出力パルス毎に設けられる。複数の方法およびシステムが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、放射線源に関し、より具体的には、インターレース型多重エネルギー放射線源に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線は、例えば、空港、海港、および公共建物で隠されている禁制品を識別するために、荷物、鞄、ブリーフケース、貨物コンテナ、およびその同等物等の物体の内容物を非侵襲的に検査するために一般的に使用される。その禁制品には、例えば、隠し銃、ナイフ、爆破装置、違法薬物、ならびにウランおよびプルトニウム等の特殊核物質が含まれ得る。一般的な検査システムの1つとしてラインスキャナが挙げられ、ラインスキャナでは、被検物体が、X線放射線源から放出される放射線のファンビームまたはペンシルビームを通過する。物体を透過する放射線は、物体の内容物によって様々な程度で減衰され、検出器配列によって検出される。減衰は、放射線ビームが通過する材料の種類および量(厚さ)の関数である。内容物の形状、サイズ、および変動する量を示す物体の内容物のX線画像が、検査のために生成され得る。場合によっては、材料の種類が推測され得る。
【0003】
国境、海港、および空港における貨物コンテナの検査は、国家の安全において重要な問題である。このようなコンテナの到着率が高いため、100%の検査には、コンテナ毎の迅速な画像化が必要とされる。標準的な貨物コンテナは、典型的には、長さが20〜50フィート(6.1〜15.2メートル)、高さが8フィート(2.4メートル)、および幅が6〜9フィート(1.8−2.7メートル)である。航空機体に保管される複数の荷物または他の貨物を含めるために使用するより大型の航空貨物コンテナは、最大約240×118×96インチ(6.1×3.0×2.4メートル)であり得る。MeV放射線源は、典型的には、標準的な貨物コンテナおよびより大型の航空貨物コンテナを貫通するのに十分なエネルギーを有する放射線を発生させることが必要とされる。
【0004】
MeV放射線源は、典型的には、荷電粒子を加速する線形無線周波数(「RF」)粒子加速器等の粒子加速器と、荷電粒子を加速器に注入する電子銃等の荷電粒子源とを備える。該線形加速器は、一連の線形に配置された電磁結合した共振空洞を備えてもよく、共振空洞に、荷電粒子を加速するために定在電磁波または進行電磁波が保持される。共振空洞に注入される荷電粒子は、所望のエネルギーまで加速され、放射線を生成するために変換ターゲットに指向される。加速された荷電粒子が電子であり、ターゲットがタングステン等の重材料である場合、制動放射線またはX線放射線が発生する。6MeVの公称エネルギーに加速されてタングステンに衝突する電子により、例えば、6MVのエネルギーを有するX線放射線の発生が引き起こされる。
【0005】
マイクロ波(RF)出力源は、RF出力を加速器の空洞に提供する。マイクロ波源は、マグネトロン等の発振マイクロ波出力管であってもよく、またはクライストロン等の増幅マイクロ波出力管であってもよい。マイクロ波源は、変調器によって電力供給され、変調器は、例えば、1MWから10MWのピーク電力を有する高電力パルスと、1kWから40kWの平均電力とを発生させる。
【0006】
変調器出力の特徴は、マイクロ波出力源の出力を変動させるように変動し得る。例えば、発振器または増幅器を駆動する高電圧パルスの振幅は、マイクロ波電力出力を変化させるように変動し得る。代替として、増幅器において、マイクロ波入力信号は、マイクロ波出力を変化させるように変動させることができる。
【0007】
5000の負荷Q値を有し得る加速器は、例えば、入力RF出力の周波数に極めて敏感である。RF源により提供されるマイクロ波出力の最大受容は、マイクロ波出力の中心周波数が加速器の共振周波数に一致する場合に達成される。そうでなければ、加速器に提供されるマイクロ波出力の一部または大部分は、反射され、荷電粒子を所望のビームエネルギーに加速することが阻止される。RF周波数は、機械的または電気的同調器によって加速器の共振周波数に一致するように調整され得る。
【0008】
加速器に提供されるRF出力により、加速器構造の加熱および膨張が引き起こされ、これにより、加速器の共振周波数の低速周波数ドリフトが引き起こされる。このようなドリフトは、動作の最初の1分または2分に最も顕著であるが、環境条件に起因して継続し得る。
【0009】
自動周波数制御装置(「AFC」)は、概して、当技術分野において既知であるように、加速器の共振周波数を追跡するためにRF源の周波数をサーボすることが必要とされる。AFCは、加速器から反射されたマイクロ波信号を含む加速器に提供されるマイクロ波信号をサンプリングおよび比較して、マイクロ波源の必要とされる同調を判断する。AFCは、概して、定常状態動作中に、RF源の周波数を加速器の共振周波数に一致させるのに十分である。AFCの例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,820,035号に説明されている。
【0010】
マグネトロンを使用する場合、マグネトロンにおけるパルス間周波数ジッタも、マグネトロンの周波数と加速器の共振周波数との間に小さな不一致を引き起こし得る。このような不一致は、パルス毎に変動し、あるノイズをシステムに加える。これは、例えば、これも参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,714,592号に説明されるように、反射器および可変位相器により加速器から反射された一部のマイクロ波出力をマグネトロンに戻して供給することによって改善され得る。反射器/可変位相器は、「位相ワンド」とも呼ばれ得る。
【0011】
標準的なX線走査によって、核爆弾および核物質を、物体内に含有され得る他の高密度の物または厚い物と区別することは難しい。物体の材料内容物と異なって相互作用する2つ以上の異なるエネルギースペクトルを有するMVエネルギー領域における放射線ビームを使用して、X線走査により導かれ得る物体の内容物の材料の種類に関する情報を強化してもよい。例えば、物体の内容物による6MVのX線放射線ビームの減衰は、異なるエネルギービームにおけるコンプトン散乱および誘導対生成の異なる効果に起因して、同一の内容物による9MVのX線放射線ビームの減衰とは異なる。2つのX線エネルギーにおける減衰比は、例えば、米国特許第5,524,133号に説明されるように、放射線ビームが通過する材料の原子番号を標示し得る。より高度な2重エネルギー分析技法については、例えば、本発明の出願人に譲渡され、かつ参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,257,188号に説明されている。また、高エネルギー減衰および低エネルギー減衰の比率も、“Dual Energy X−ray radiography for automatic high−Z material detection,”G. Chen et al,NIM(B),Volume 261(2007),pp.356−359に説明されるように、材料の識別を容易にするように物体の厚さに対してグラフ化され得る。
【0012】
例えば、貨物コンテナおよび他の物体の2重エネルギー検査のための単一の放射線源によるMV領域における異なる公称エネルギーを有する放射線ビームを発生させることができれば有用であるだろう。米国特許第7,130,371B2号に説明されるインターレース型2重エネルギー加速器の例では、異なる電子ビームエネルギーは、同期化方式で加速器の電子ビーム負荷およびRF周波数を変化させて、加速の効果を変化させることによって、進行波加速器において達成される。本手法の現場応用について成功した報告は、知られておらず、これは恐らくシステムの複雑性および安定性の問題に起因している。
【発明の概要】
【0013】
単一の加速器は、RF出力発生器によって2つの異なるRF出力レベルで励起されることによって、電子または他の荷電粒子のビームを異なるエネルギーに加速し得る。2つの出力レベルの発生の間で出力発生器を迅速に切り替えることが必要とされ得る。例えば、約1ミリ秒の切り替えが望ましい場合がある。RF出力がパルス毎に変動する際に、RF出力パルスの周波数ならびに加速器の共振周波数もパルス毎に変化し得る。パルス毎のベースで、RF出力発生器によって発生されたRF出力パルスの周波数を加速器の共振周波数に一致させるための改善された技法があれば、有利になるであろう。本発明の実施形態は、クライストロンにおける周波数制御の改善と、機械的および電気的に同調されるマグネトロンベースの2重または多重エネルギーシステムとを提供する。
【0014】
本発明の一実施形態によって、加速器を動作する方法が開示されるが、本方法は、第1の出力および第1の周波数を有する第1の無線周波数出力パルスを発生させることと、第1の出力および第1の周波数とは異なる第2の出力および第2の周波数を有する第2の無線周波数出力パルスを発生させることと、第1および第2の無線周波数出力パルスを単一の加速器の共振空洞に、所定の順序で提供することとを含む。本方法は、第1の無線周波数出力パルスを加速器に提供する間に、第1の無線周波数出力パルスの第1の周波数を、加速器の第1の共振周波数に一致させることと、第2の無線周波数出力パルスを加速器に提供する間に、第2の無線周波数出力パルスの第2の周波数を、第1の共振周波数とは異なる加速器の第2の共振周波数に一致させることとをさらに含む。
【0015】
関連する実施形態によると、第1の電力および第2の電力をマイクロ波出力発生器に順次に提供することを含む、多重エネルギーの放射線を発生させる方法が開示される。第2の電力は、第1の電力とは異なる。少なくも第1および第2の電力に部分的に基づいて、第1の周波数における第1の出力を有する第1の無線周波数出力パルスと、第1の出力とは異なる第2の出力、および第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2の無線周波数出力パルスが、出力発生器によって順次に発生される。第1および第2の無線周波数出力パルスは、単一の粒子加速器の共振空洞に順次に提供される。本方法は、第1の無線周波数出力パルスを加速器に提供する間に、第1の無線周波数出力パルスの第1の周波数を、加速器の第1の共振周波数に一致させることと、第2の無線周波数出力パルスを加速器に提供する間に、第2の無線周波数出力パルスの第2の周波数を、第1の共振周波数とは異なる加速器の第2の共振周波数に一致させることをさらに含む。荷電粒子は、加速器の共振空洞に注入され、第1および第2の無線周波数出力パルスに少なくとも部分的に基づいて、加速器によって、加速器の第1の共振周波数おける第1のエネルギーに、および第1の共振周波数とは異なる加速器の第2の共振周波数における第2のエネルギーに順次に加速される。第1および第2の加速された荷電粒子は、ターゲットに順次に衝突させ、第1および第2のそれぞれのエネルギーを有する放射線を発生させる。
【0016】
本発明の別の実施形態によると、荷電粒子を加速するための加速器と、荷電粒子を加速器に提供するための加速器に連結された荷電粒子源と、加速器の下流にあるターゲットとを備える多重エネルギー放射線源が開示される。加速された荷電粒子のターゲットに対する衝撃により、放射線の発生が引き起こされる。荷電粒子源は、第1および第2の無線周波数出力パルスを加速器に選択的に提供するために、加速器に連結した出力発生器をさらに備える。第2の無線周波数出力パルスは、第1の無線周波数出力パルスとは異なる出力および周波数を有する。荷電粒子源は、第1の無線周波数出力パルスが加速器に提供される間に、出力発生器の第1の周波数を加速器の第1の共振周波数に一致させるための第1の手段と、第2の無線周波数出力パルスが加速器に提供される間に、出力発生器の第2の周波数を加速器の第2の共振周波数に一致させるための第2の手段とをさらに備える。第1の荷電粒子のターゲットに対する衝撃により、第1のエネルギーにおける放射線の発生が引き起こされ、第2の荷電粒子のターゲットに対する衝撃により、第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーにおける放射線の発生が引き起こされる。
【0017】
別の実施形態によると、第1の電力および第2の電力をマイクロ波出力発生器に順次に提供することであって、第2の電力は、第1の電力とは異なることと、少なくも第1および第2の電力に部分的に基づいて、第1の出力を有する第1の無線周波数出力パルスと、第1の出力とは異なる第2の出力を有する第2の無線周波数出力パルスとを出力発生器によって順次に生成させることと、第1および第2の無線周波数出力パルスを単一の粒子加速器の共振空洞に順次に提供することとを含む、多重エネルギーおよび線量における放射線を発生させる方法が開示される。本方法は、第1の電力とは異なる第3の電力および第4の電力で荷電粒子源を順次に駆動することと、第1および第2の荷電粒子流を加速器の共振空洞に注入することであって、第1および第2の荷電粒子流は、第3および第4の電力のそれぞれに少なくとも部分的に基づくことと、第1および第2の無線周波数出力パルスに少なくとも部分的に基づいて、加速器によって、注入された荷電粒子を、第1のエネルギーに、および第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーに順次に加速することとをさらに含む。第1および第2の加速された荷電粒子流は、ターゲットに順次に衝突させ、第1および第2の異なるエネルギーならびに第1および第2の異なるそれぞれの線量率を有する放射線を発生させる。
【0018】
本発明の一実施形態では、機械的に同調されるマグネトロンベースの加速器システムのインターレース型動作において、AFCは、1つの出力レベルにおいて、マグネトロン周波数を調整するために使用される。例えば、マグネトロン同調は、高RF出力パルスが加速器に提供される場合に、マグネトロンにより発生される高RF出力パルスの周波数が加速器の共振周波数に一致するように、AFCによって調整され得る。他のRF出力レベル、本例では低RF出力パルスにおいて、マグネトロンは、低RF出力パルスが加速に提供される間に、加速器の共振周波数偏移に少なくとも部分的に一致する加速器の共振周波数偏移をマグネトロンが受ける条件で動作される。本条件は、変調器からマグネトロンに提供される電力パルスの電圧の振幅を含み得る。本条件は、マグネトロンの磁場を一定に維持することをさらに含み得る。位相ワンドは、高エネルギーパルスおよび低エネルギーパルスの両方について、必要に応じて、マグネトロン周波数を共振周波数にさらに一致させ得る。低エネルギーパルス中にAFCを使用してもよく、代わりに、高RF出力パルス中にマグネトロン周波数偏移が加速器共振周波数偏移に一致する条件下で、マグネトロンを動作してもよい。
【0019】
本発明の実施形態の別の例では、電気的に同調されるマグネトロンまたはクライストロンベースのシステムにおいて、2つの独立したAFC制御を使用して、高RF出力パルスおよび低RF出力パルスのそれぞれのマグネトロンまたはRFドライバ周波数の基準電圧を決定し得る。次いで、これらの電圧を使用して、パルス毎ベースで、マグネトロンまたはRFライバ周波数を制御する。
【0020】
別の実施形態によると、パルス毎ベースで、電子銃等の粒子源を制御することによって、エネルギーパルス毎の所望の線量出力を達成するために、異なる電子ビーム電流が異なるエネルギービームパルスに提供され得る。ダイオード銃またはトライオード銃では、電圧パルス振幅またはマイクロ波パルスに関するタイミングを変動させることができる。トライオード銃では、グリッド電圧もパルス毎ベースで変動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のある実施形態に従う多重エネルギー放射線源の例の概略図である。
【図2】マグネトロン周波数(MHz)に対するマグネトロンに提供されるPFN電圧の例のグラフである。
【図3】図1の放射線源の波形および信号タイミングの例である。
【図4】ソリッドステート変調器(「SSM」)を含む、図1の実施形態に従う多重エネルギー放射線源の別の例である。
【図5】クライストロンを使用して加速器を駆動する本発明のある実施形態に従う、多重エネルギー放射線源の別の例の概略図である。
【図6】図5の多重エネルギー放射線源の波形および信号タイミングの例である。
【図7】図5の多重エネルギー放射線源の波形および信号タイミングの別の例である。
【図8】電気的に同調可能なマグネトロンを含む、本発明のある実施形態に従う多重エネルギー放射線源の別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明のある実施形態に従う多重エネルギー放射線源100の例の概略図である。本例では、放射線源100は、インターレース方式で電子等の荷電粒子を第1および第2の公称エネルギーに加速し、加速された荷電粒子をターゲットと衝突させて、一方は高エネルギーを有し、他方は低エネルギーを有する2つの異なるエネルギースペクトルを有する放射線を、インターレース方式で発生させるように構成される。一例では、第1の公称電子エネルギーは、200または300パルス/秒(「pps」)のパルスレートにおいて、6MV放射線ビーム(本例における高エネルギー)の発生を引き起こす6MeVであり、第2の公称エネルギーは、3.5MV放射線ビーム(本例における低エネルギー)の発生を引き起こす3.5MeVである。より低いまたは高いパルスレートで9MVおよび6MV等の他の組み合わせのエネルギーを発生させることができる。そのパルスレートは、例えば、400ppsであってもよい。例えば、6MV、9MV、および15MV等の2つを超える放射線エネルギーを任意の所望の順序で発生させてもよい。
【0023】
放射線源100は、例えば、ガイドまたは加速器102、加速器に連結された荷電粒子源104、ドリフト管108により加速器に連結されたターゲット106を備える。荷電粒子源104により加速器102に提供される荷電粒子は、加速器によって所望のエネルギーまで加速され、ターゲット106に指向される。加速された荷電粒子のターゲットとの衝撃により、放射線の発生が引き起こされる。これらの荷電粒子は、電子であり得、荷電粒子源104は、例えば、ダイオードまたはトライオード電子銃等の電子銃であり得る。ターゲット106には、例えば、タングステンが含まれ得る。加速された電子が、タングステン等の重いターゲット材料に激突する場合、当技術分野において既知であるように、衝撃によりX線放射線の発生が引き起こされる。
【0024】
加速器102は、複数の電磁結合した共振空洞(図示せず)を備えることができ、当技術分野において既知であるように、空洞における異なる電磁場強度によって、本例における6MeVおよび3.5MeV等の異なる公称エネルギーに電子が加速されるように構成される。異なる公称エネルギーに加速された電子がターゲットに激突することより、当技術分野において既知であるように、本例においてそれぞれ6MVおよび3.5MeV等の異なるエネルギーを有するX線放射線ビームの発生が引き起こされる。
【0025】
加速器102は、当技術分野において既知であるように、複数の軸方向に整合される電磁結合した共振空洞(図示せず)を備える電子線形加速器であり得る。該線形加速器は、例えば、S帯またはX帯定在波線形加速器であり得る。適切な加速器は、Varian Medical Systems,Inc.,Palo Alto,CAより入手可能であるLinatron(登録商標)M(商標)シリーズX線源において使用されるM6AシリーズS帯線形加速器であり、これは、約2998MHzの公称共振周波数を有する。M6A線形加速器は、6MVおよび3.5MVの公称エネルギーを有するX線放射線ビームを発生させるように構成される。加速器102の負荷Qは、例えば、5000であり得る。進行波線形加速器を代わりに使用してもよい。
【0026】
図1の例では、加速器102は、当技術分野においてRF出力とも呼ばれるマイクロ波出力によって電力供給され、このマイクロ波出力はマグネトロン110により提供される。マグネトロン110の周波数帯は、加速器102の周波数帯に一致するように選択される。本例では、加速器がS帯加速器であるため、マグネトロン110も、S帯においてRF出力を発生させるように構成または選択される。磁石111は、当技術分野において既知であるように、必要とされる磁場をマグネトロンに提供するように、マグネトロン110に隣接して配置される。磁石111は、例えば、1500ガウスの磁場強度を有し得る。磁石111は、永久磁石または電磁石であり得る。本例では、磁石111は、動作中に一定に維持される調整可能な磁場を提供する電磁石である。
【0027】
マグネトロン110により発生されるRF出力は、個々のRF出力パルスの形式で、加速器102内における共振空洞に、サイクル毎に提供される。RF出力パルスの各々は、多数のRFマイクロパルスを含む。このマイクロパルスの周波数は、本例では、マグネトロン110の機械的同調および後述する他の要因によって設定される。RF出力は、共振空洞内に電磁定在波を確立する。この定在波は、電子銃104により空洞内に提供される電子(または他のこのような荷電粒子)を加速し、この結果、電子ビームは、提供されたRF出力について設計された加速器の最大加速エネルギーまでの公称エネルギーに加速された電子を含む。
【0028】
一例では、マグネトロン110は、約2.6MWおよび1.5MWでRF出力を発生させ、この結果、6MeVおよび3.5MeVのそれぞれの公称加速電子エネルギーと、6MVおよび3.5MVのX線放射線ビームのそれぞれの発生とをもたらす。本例では、マグネトロン110は、例えば、200パルス/秒(「pps」)または300ppsの速度でRF出力を切り替えることができる。
【0029】
本例におけるマグネトロン110は、機械的に同調可能なS帯マグネトロンであるMG5193−Alphatronであり得、例えば、e2v Technologies Inc.,Elmsford,NY(「e2v」)より入手可能である。e2vが提供する情報によると、マグネトロン110は、2993MHzから3002MHzの周波数域において同調可能であり、最大2.6MWのピーク出力を有し、水冷式である。周波数域は、その機械的同調器を4.75回転だけ作動させることによって達成されると言われている。最大許容ピークアノード電圧は、48kVであると言われている。最大許容ピークアノード電流は、110アンペアであると言われている。最大平均入力電力は、6.0KWであると言われている。パルス持続時間は、約5.0マイクロ秒(μs)であると言われている。
【0030】
3ポートサーキュレータ等のサーキュレータ112は、マグネトロン110と加速器102との間に設けられ、例えば、マグネトロンから離隔する加速器から反射するRF出力を、サーキュレータに連結された水負荷114に指向することによって、加速器102からマグネトロンを隔離する。水負荷114は、反射されたRF出力を吸収する。水負荷に指向されたRF出力の一部は、反射されてサーキュレータ112に戻り、サーキュレータ112は、当技術分野において既知であるように、位相ワンド116によって、RF出力をマグネトロン110に指向させる。これは、マグネトロン110を安定化させるのに役立ち、マグネトロンの周波数を加速器102の周波数に引き込むことによってマグネトロン110におけるパルス間周波数ジッタを低下させる。位相ワンド116は、サーキュレータ112と水負荷114との間に設けられる反射器/可変位相器であり得る。反射器/可変位相器の例は、上記に説明され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,714,592号に説明される。このような周波数引き込みは、最大約100kHz等の狭周波数域において有効である。
【0031】
図1の例では、マグネトロン110は、高圧電力供給装置(「HVPS」)118等の電源、パルス成形回路(「PFN」)120、サイラトロン124を備える変調器117によって駆動される。HVPS118は、パルス毎にPFN120を充電する。PFN120の出力は、任意選択の変圧器(「XFMR」)122に提供され得る。サイラトロン124は、PFN120の一方の端部に接続され、変圧器122は、他方の端部に接続される。高制御電圧(制御V1)126および低制御電圧(制御V2)128は、電圧供給装置(図示せず)によって、制御電圧とHVPS118との間のアナログスイッチ130に提供される。アナログスイッチ130は、例えば、200パルス/秒(「pps」)または300pps等の高めおよび低めの公称エネルギーを有するX線放射線ビームの発生の間の所望の切り替え速度で、制御V1と制御V2とを切り替えるように構成される。アナログスイッチ130は、各サイクル内において所望の速度および所望の時間に切り替えを引き起こすようにプログラミングされる制御器132からの論理信号によって制御され得る。選択された制御電圧は、HVPS118に提供され、HVPS118は、受信した制御伝達に応じて、対応する高めまたは低めの電圧にPFN120を充電する。本例では、制御V1は、8.8ボルトに設定され、制御V2は、6.4ボルトに設定され得、それぞれ、22kVまでの高電圧と、16kVまでの低電圧とに設定される。他の電圧設定を選択してもよい。制御器132は、単純な論理制御回路または例えばマイクロプロセッサ等のプロセッサを備え得る。
【0032】
PFN120がHVPS118によって適切なレベルまで、X線画像化が必要とする時間に充電されると、制御器132または別の制御器は、PFN120に貯蔵される電力を変圧器122に放出することをサイラトロン124に実行させる。また、HVPS118の出力は、完全に大地に短絡される。HVPS118は、当技術分野において既知であるように、短絡時に自己保護を始動するように設計される。変圧器122は、パルスの電圧をマグネトロン110が必要とするレベルまで増加させる。
【0033】
本例では、変圧器122は、電子銃104も駆動し、これにより費用を節約し、追加の電源を提供する複雑性を省く。電子銃は、例えば、ダイオード銃であり得る。電子銃104と変圧器122との間のタップ切り替え器134は、所望の電圧を電子銃に接続するように、変圧器112上のタップを切り替える。当技術分野において既知であるように、電子銃104に提供される電圧によって、電子銃が加速器102に提供する電子ビーム電流が判断され、電子ビーム電流は、発生する放射線の線量率に影響を及ぼす。異なる放射線ビームを異なる線量率で供給することが望ましい場合がある。タップ切り替え器134は、アナログスイッチ130が制御電圧126、128を切り替えるのと同一の速度でタップを切り替え得る。これによって、線量率は、必要に応じて、パルス毎ベースに変化され得る。タップ切り替え器134は、制御器132または別の制御器によって制御され得る。
【0034】
HVPS118が提供する電圧の一部は、この場合、変圧器122および変圧器の2次側に接続されたマグネトロン110において電気負荷になる。本例では、本例においてHVPS118が出力する22kVのうち11kVが負荷になり、16kVのうち10kVが負荷になる。変圧器122は、11kVおよび10kVを、例えばそれぞれ44kVおよび40kVに上昇させて、マグネトロン110に提供する。磁場は、異なるRF出力パルスが発生する間、一定に維持され、この結果、当技術分野において既知であるように、マグネトロン110内に異なるインピーダンスが生じる。
【0035】
本例では、変圧器122は、また別の2次巻線によって電子銃104を駆動する。上述のように、変圧器122は、任意選択である。代わりに、HVPS118および/またはPFN120は、より高い電圧を発生させるように構成されてもよい。
【0036】
変圧器122は、銃電圧について複数の出力またはタップを有し得る。本例では、変圧器上に九(9)個のタップが存在し、例えば、25kVのPFN電圧において、1.4kV、2.1kV、2.8kV、4.4kV、6.0kV、7.6kV、9.0kV、10.6kV、および12kVの公称電圧を提供する。9個のタップのうちの2つは、特定の用途において高エネルギー放射線ビームおよび低エネルギー放射線ビームの所望の線量率を発生させるのに必要な電子流に基づいて、タップ切り替え器134の側面の入力に接続される。その2つのタップは、タップ切り替え器134の入力に手動で選択および接続され得る。変圧器は、例えば、Stangenes Industries,Palo Alto,CAから入手され得る。また、本例では200ppsまたは300ppsの速度で切り替えるソリッドステートタップ切り替え器であり得るタップ切り替え器134も、例えば、Stangenes Industries of Palo Alto,CAから入手され得る。
【0037】
別々の電源123(図1において点線で示す)は、パルス毎ベースで出力を変動させるように、変圧器122の代わりに電子銃104を駆動する。このような場合、銃電圧パルスのタイミングは、RFパルスに対して調整されてもよく、線量出力の制御にさらに柔軟性を加える。また、ダイオード銃を使用する代わりに、トライオード銃を使用してもよい。トライオード銃の場合、グリッド電圧およびタイミングを調整することができ、線量出力制御にさらなる柔軟性を加える。また、電源123も、設けられる場合、制御器132または他のこのような制御器によって制御され得る。
【0038】
上述のように、加速器102は、RF出力受容がRF周波数に敏感である共振構造である。RF出力パルスの周波数と加速器の共振周波数との間の一致が良好であればあるほど、受容は良好になる。この一致が不十分である場合、加速器102内に受容されるRF出力は、当技術分野において既知であるように、加速器空洞内部の電磁場を適切に励起して電子を所望のエネルギーに加速するのに不十分であり得る。
【0039】
しかしながら、加速器102に提供されるRF出力は、加速器の構成要素を加熱し、共振周波数を偏移し得る膨張を引き起こす。共振周波数を変動させ得る他の要因には、加速器102の振動が含まれる。ゆえに、マグネトロン110のRF出力周波数は、十分なRF出力が確実に加速器102により受容されるように、共振周波数に一致するように変化させなければならない。
【0040】
本発明の多重エネルギー源では、加速器102の共振周波数は、マグネトロン110が順次に提供する異なるRF出力による加速器の加熱差に応答して、パルス毎ベースで偏移する。具体的には、加速器温度は、低出力RFパルスの後よりも、高出力RFパルスの後に高くなり、これにより、加熱器102の構成要素の膨張差がパルス毎にもたらされる。このような膨張差によって、後続のRFパルスの到達時に、加速器102の共振周波数が変化する。本例における2つの出力レベル設定では、共振周波数は、例えば、約2998MHzから約2998.2MHzになって約2998MHzに戻る、RF出力の高パルスから低パルスへ、低パルスから高パルスへと約200kHzだけそれぞれ偏移することが分かっている。
【0041】
自動周波数制御装置(「AFC」)136は、サーキュレータ112と加速器102との間の位置に、加速器102に向かう(FWD)および加速器102から反射される(REF)RF出力パルスをサンプリングして、周波数一致条件を検出し、加速器の共振周波数に一致させる必要がある場合にマグネトロン周波数同調器を調整する。代わりに、FWD RF信号をマグネトロン110とサーキュレータ112との間でサンプリングしてもよく、代わりに、REF RF信号をサーキュレータ112と負荷114との間でサンプリングしてもよい。サンプリング時間は、例えば、制御器132または他のこのような制御器によって制御され得る。
【0042】
AFC136は、市販されている4重極ハイブリッドモジュールおよび調整可能位相器に基づき得る。この種類のAFCは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,820,035号に説明されている。説明したこのシステムでは、マイクロ波回路は、反射(「REF」)信号および順方向(「FWD」)信号を受容し、種々の相対位相偏移を含む2つの信号のベクトル和を生成する。これらのベクトル和の振幅は、測定され、RF源周波数を調整する必要性は、電子回路またはソフトウェアによって判断される。AFC136の出力信号は、マグネトロン110の機械的同調器(図示せず)へのフィードバックループにおいて用いられ得る。複数のサイクルを経て、マグネトロン周波数は、加速器の共振周波数に近付く。
【0043】
200ppsから300ppsの所望のパルスレートおよびより高速なパルスレートにおいて、マグネトロン110の機械的同調が、RF出力パルス毎の自動周波数制御に応答するのに十分高速ではないことが分かっている。機械的に同調可能なマグネトロン110の自動周波数制御は、より遅いパルスレートにおいても不十分であり得る。ゆえに、本発明の本実施形態によると、マグネトロン110の機械的同調器は、1種類のみのRF出力パルス、本例では高RF出力パルスの周波数を一致させるような位置に、AFC136によって設定されるだけである。
【0044】
パルス毎にマグネトロン110に提供される異なる電圧は、マグネトロン内に異なる電荷密度を引き起こし、これにより、本技術分野において「周波数引き込み」として既知である周波数偏移が引き起こされる。また、異なる電圧は、マグネトロン110を異なって加熱し、これも周波数偏移を引き起こし得る。特にパルス毎に一定の磁場で動作する場合に、マグネトロン110に提供される電圧パルスの振幅を適切に選択することによって、マグネトロン110における周波数偏移が、加速器102における共振周波数偏移と同一方向になり、ほぼ同一または同一の量(本例では、約200KHz)を有することが分かっている。最大約100KHzの残りの周波数不一致は、位相ワンド116の作動により一致され得、位相ワンド116は、加速器の共振周波数に向けてマグネトロン周波数をさらに調整する。
【0045】
図2は、マグネトロン周波数(MHz)に対する、PFN120によってマグネトロン110に提供されるPFN電圧のグラフであって、1450ガウスの一定の磁場における、13kVから22kVの範囲の電圧および2992.0〜2999.0MHzの周波数に関するグラフである。本データは、上述と同一のマグネトロンモデルで収集され、マグネトロンは、この時点では加速器の共振負荷に接続されていない。マグネトロン同調器は、約22kVのPFN電圧で2998MHzのRF出力パルスを発生させる位置に固定された。より良好な材料区別を可能にするために、2重エネルギーX線画像化において放射線ビーム間に大きなエネルギー分離を有することが望ましくあり得るため、マグネトロンを駆動するように選択されるPFN電圧が、特定の加速器のために、できるだけかけ離れていることが望ましい。図2に示すように、21.5kVのPFN電圧では、マグネトロン周波数は、加速器102の公称共振周波数に近い2998.0MHzに同調される。PFN電圧が21.5kVから低下する際に、マグネトロン周波数は、16.5kVにおいて最大約200KHzまで増加する。PFN電圧が16.5kVから14.5kVに低下する際に、マグネトロン周波数は、約2998.2MHzから約2996.5MHzに降下する。次いで、マグネトロン周波数は、PFN電圧が14.5kVから13kVに低下する際に、再び上昇および下降する。
【0046】
上述のように、共振周波数は、高RF出力パルスから低RF出力パルスにおいて、本例では約200KHz増加する。16.5kVから20kVの電圧領域におけるマグネトロンにおける周波数偏移も周波数を増加させるため、この領域における第2の低RF出力パルス電圧の選択によって、低RF出力パルス中に、マグネトロン110の周波数を加速器の周波数に少なくとも部分的に一致させることが可能になる。さらなる一致は、位相ワンド116の効果により提供され得る。16.5kVにおける約200KHzの周波数増加は、共振周波数偏移に近い一致を提供し、これは、位相ワンド116の効果によりさらに改善され得る。本例における高RF出力パルスの自動周波数制御と組み合わせて、良好な周波数一致がパルス毎に提供される。代わりに、自動周波数制御を使用して、低RF出力パルス周波数を加速器の共振周波数に一致させてもよく、マグネトロン周波数偏移および位相ワンド116を使用して、高RF出力パルス周波数を加速器の共振周波数に一致させてもよいことに留意されたい。
【0047】
図3は、図1の放射線源100の波形および信号タイミングの例である。行Aは、アナログスイッチ130がHVPS118に提供する電圧波形を示す。行Bは、タップ切り替え器134が電子銃104に提供する電圧波形を示す。行Cは、PFN120全体にわたる電圧波形を示す。行Dは、マグネトロン110により放出される高出力および低出力RFパルスを示す。行Eは、FWD信号およびREW信号のAFC136サンプリングのタイミングを示す。
【0048】
各パルスサイクルは、HVPS118が前のパルスから回復した時に開始する。時間T1において、HVPS118は、例えば、HVPS電流およびPFN負荷により決定された速度で、制御V1 126により決定された22kV等のピーク電圧にPFN120を充電することを開始する。時間T1aにおいて、PFN120は、ピーク電圧に充電されている。この電圧は、サイラトロン124が、PFN120に貯蔵される電力を、パルス形式で変圧器122を通してマグネトロン110および銃104に放出することを実行および引き起こす時間T1bまで、そのレベルに保持される。時間T1b前後にPFN120から電力を受信すると、マグネトロン110は、RF出力を発生させ、それを加速器102に提供し、電子は、銃104から加速器102に注入される。注入された電子は、加速器120の共振空洞における定在電磁波によって、本例では6MeVの公称エネルギーに加速され、加速器を出て、ターゲット106に激突し、これも時間T1b前後において、第1の線量率で6MVのエネルギーを有するX線放射線の発生が引き起こされる。
【0049】
また、時間T1bにおいて、HVPS118は、その出力が完全に大地に短絡されることを検知し、自己保護を始動し、時間T1bから時間T2までPFN120の充電を阻止する。また、サイラトロン124は、PFNの放電後に非電導性状態に回復する。
【0050】
阻止時間が時間T2において終了した後に、HVPS118は、次のパルスを充電する準備が整っている。ほぼ同時に、アナログスイッチ130は、HVPS118への制御電圧を制御V1 126から制御V2 128に切り替える。また、時間T2前後に、タップ切り替え器134は、タップ1の銃104への接続から、タップ2の銃104への接続に切り替える。次いで、HVPS118は、例えば、制御V2 128により決定された16kV等の第2のピーク電圧にPFN120を充電する。時間T2aにおいて、PFN120は、ピーク電圧に充電されている。T2からT2aまでの時間は、PFN120が異なる電圧に充電されるため、T1からT1aまでの時間とは異なり得る。この電圧は、サイラトロン124が再び、PFN120に貯蔵される電力を、変圧器122を通してマグネトロン110および銃104に放出することを実行および引き起こす時間T2bまで、そのレベルに保持される。マグネトロン110は、RF出力を発生させ、それを加速器102に提供し、電子は、銃104から加速器に注入される。時間T2bにおいて、マグネトロン110により発生されたRF出力と、銃104から加速器102に注入された電子流とは、本例では、前のパルスにおける時間T1bにおいて発生されたRF出力および放出された電子流とは異なる。注入された電子は、加速器120によって、本例では3.5MeVの公称エネルギーに加速され、加速器を出て、ターゲット106に激突し、これも時間T2b前後において、第1の線量率とは異なる第2の線量率で3.5MVのエネルギーを有するX線放射線の発生が引き起こされる。
【0051】
また、時間T2bにおいて、HVPS118は、その出力が完全に大地に短絡されることを検知し、自己保護を始動し、PFN120の充電を阻止する。また、サイラトロン124は、PFNの放電後に非電導性状態に回復する。阻止時間が時間T3において終了した後に、HVPS118は、高RF出力パルスの発生と、結果として生じる高エネルギー放射線ビームの発生とを引き起こすために、次のパルスを充電する準備が整っている。ほぼ同時に、アナログスイッチ130は、制御電圧を制御V1 128から制御V2 126に切り替える。また、時間T3前後に、タップ切り替え器134は、タップ1の銃104への接続に切り替え、タップ1に関連した電圧を銃に提供する。高出力RFパルスおよび低出力RFパルスと、異なる線量率を有する高エネルギー放射線ビームおよび低エネルギー放射線ビームを発生させるように、インターレース方式で、必要に応じてパルスサイクルが繰り返される。
【0052】
アナログスイッチ130および銃タップスイッチ134は、T1、T2等の時間きっかりに切り替える必要はない。切り替えは、より早く発生するようにプログラミングされてもよいが、PFN120が前のパルスを完全に放電する前に発生するようにプログラミングされない。また、切り替えは、後で発生するようにもプログラミングされてもよいが、HVPS118がPFN120を所望の電圧に充電した後に切り替えが発生するようにプログラミングされない。
【0053】
本例では、300ppsのパルスレートにおいて、例えば、PFN120の高出力パルスT1〜T1a、T3〜T3a . . .の充電時間は、約1.5ミリ秒であり、低出力パルスT2〜T2a、T4〜T4a . . .の充電時間は、約1.1ミリ秒である。各高電圧パルスT1〜T1b、T3〜T3b . . .の充電時間および保持時間は、約3.2ミリ秒である。また、各低電圧パルスT2〜T2b、T4〜T4b . . .の充電時間および保持時間も、約3.2ミリ秒である。PFN120が、その貯蔵された電力を、変圧器122を通してマグネトロン110および銃104に放出するのに、約1.5から約5マイクロ秒かかる。エネルギーがPFN120から放出される時間中に、RF出力は、マグネトロン110により発生され、加速器102に提供され、電子は、銃104から加速器102に注入される。HVPS118阻止回復時間T1b〜T2、T2b〜T3、T3b〜T4は、それぞれ約100マイクロ秒である。
【0054】
1つの高RF出力パルスの後に1つのRF出力パルス、その後に別の高RF出力パルスが続く交互の順序が上記に示され、この結果、高エネルギー放射線ビームおよび低エネルギー放射線ビームの交互の順序がもたらされるが、任意の所望の順序を実施してもよい。例えば、交互の順序は、2つの高RF出力パルスとその後に続く2つの低RF出力パルスを含んでもよく、または1つの高RF出力パルスとその後に続く2つの低RF出力パルス等を含んでもよく、この結果、対応する交互の順序の高エネルギー放射線ビームおよび低エネルギー放射線ビームがもたらされる。
【0055】
図4は、図1のHVPS118、PFN120、およびサイラトロン124によって規定された変調器117の代わりにソリッドステート変調器(「SSM」)202を使用して、マグネトロン110を所望の電圧レベルで駆動する多重エネルギー放射線源200の別の例である。図1の例に共通の構成要素は、共通して番号付けられる。制御器132は、図面を簡略化するために図示されない。本例では、変圧器は設けられないが、変圧器は任意選択である。SSM202は、デジタルスイッチを含んでもよく、または別々のスイッチが設けられてもよい(図示せず)。制御器132(図示せず)または1つもしくは複数の他のこのような制御器は、上述のように、SSM102ならびにシステム200の他の構成要素の動作を制御し得る。SSM202は、図3の行Cに示すPFN120の出力に対応して、パルス電力(一連の高電圧および低電圧パルス)を時間T1b、T2b等で供給し得る。放射線源200の残りの構成要素およびその動作は、図1と同一であり得る。上述のように、電子銃等の粒子源104は、別の電源によって駆動され得る。
【0056】
図5は、図1および図3に示すマグネトロン110の代わりに、クライストロン301を使用して加速器302を駆動する多重エネルギー放射線源300の別の例の概略図である。また、放射線源300は、図1の例のように、電子銃等の荷電粒子源304、ターゲット306、サーキュレータ308、および水等のRF負荷310も備える。本例には位相ワンドは必要とされない。図1のシステム100に示される制御器132等の制御器は、図面を簡略化するために図示されない。
【0057】
また、RFドライバ316も、例えば100W等の低レベルRF出力をクライストロン301に提供するために、クライストロン312に連結される。RFドライバ316の出力は、本技術分野において既知であるように、電圧源318により提供される入力電圧によって制御され得る。また、変調器320も、電力のパルスをクライストロンに提供するためにクライストロン301に連結される。本例では、銃ドライバ322が、必要とされる電圧パルスを銃に提供するために、銃304に連結される。
【0058】
クライストロン301は、低レベルRF出力をより高出力に増幅して、加速器302を励起する。例えば、クライストロン301は、100Wの入力出力を約5MWに増幅し得る。クライストロン301の出力RF出力は、RFドライバ316の出力を変動させることによって、または変調器320によりクライストロンに提供される電力を変動させることによって(例えば、図1および図3のマグネトロンの例のように)、パルス毎ベースで変動して、加速器302に提供される励起RF出力を変動させることができる。
【0059】
例えば、2つの異なるレベルのRF出力が、加速器302に提供される出力レベルに依存して、RFドライバ316によってクライストロン301に提供される場合、変調器320によりクライストロン301に提供される電力パルスは、同一の振幅を有し得る。例えば、RFドライバ316からの低レベルRF出力パルスは、60Wおよび100Wであり得、クライストロン301からの対応する高レベルRF出力は、3MWおよび5MWであり得る。
【0060】
RFドライバ316によりクライストロン301に提供されるRF出力パルスが一定の振幅を有する場合、変調器320により提供される電力パルスは、2つの異なる振幅間で変動し得る。
【0061】
RFドライバ出力周波数は、典型的には、当技術分野において既知であるように、基準電圧によって制御される。本発明の本実施形態によると、2つの自動周波数制御装置(「AFC」)324、326を使用して、高出力パルスおよび低出力パルスについてそれぞれの2つの加速器共振周波数を追跡する。各AFC324、326は、サーキュレータ306と加速器との間の位置から、順方向(FWD)で加速器302に提供されるRF出力と、加速器から反射(REF)されるRF出力とをサンプリングする。代替として、AFC324、326のFWDのRF信号は、クライストロン301とサーキュレータ308との間でサンプリングされてもよく、REFのRF信号は、サーキュレータ308と負荷310との間でサンプリングされてもよい。
【0062】
2つのAFCからの基準電圧は、インターレース方式でその周波数を調整するために、RFドライバ316に提供され得、高出力パルスAFC324は、高出力RFパルスの発生中に有効であり、低出力パルスAFC326は、低RF出力パルスの発生中に有効である。高出力パルスAFC324は、高出力パルスが加速器に提供される間に、高出力パルスが加速器302の共振周波数に一致するように、RFドライバに送信するべき基準電圧を決定し、低出力パルスAFC326は、低出力パルスが提供される間に、低出力パルスが加速器の共振周波数に一致するように、RFドライバに送信するべき基準電圧を決定する。AFCスイッチ328は、高パルスAFC324と低パルスAFC326とを切り替えて、フィードバックをRFドライバ316に選択的に提供する。AFCスイッチ328は、入力ノード1と入力ノード2とを切り替えて、上述の制御器等の制御器の制御下で、RFドライバ316の周波数制御基準電圧入力を、高パルスAFC324出力および低パルスAFC326出力のそれぞれに接続する。AFCスイッチ328は、上述の制御器等の制御器(図示せず)によって制御されて、所望の速度および所望の時間で切り替えることができる。本システムの他の構成要素の動作も、制御器または他のこのような制御器によって制御され得る。
【0063】
図6は、図5のX線源300の一例のタイミングおよび波形を示す。行Aは、AFCスイッチ328の動作を示す。行Bは、電圧源218からRFドライバ316へのRF出力制御電圧を示す。行Cは、RFドライバ316によりクライストロン301に提供される低レベルRFパルスを示す。行Dは、PFNまたはSSMであり得る変調器320によりクライストロン312に提供されるパルス電力を示す。行Eは、クライストロン312により加速器302に提供される高レベルRFパルスを示す。
【0064】
クライストロン312に提供される低レベルRF信号は、行Cにおいて、高パルスと低パルスで交互になる。各パルス間において、AFCスイッチ328は、高パルスAFC324と低パルスAFC326とを切り替える。低レベルRF信号が提供される時と同時に、一定の電力パルスが変調器314によってクライストロン301に提供される。これによって、異なる電子流を加速器に提供するために銃ドライバ322によって銃304に提供される交互のレベルの電圧パルス(図6に図示せず)と連携して、交互の高電力パルスおよび低RF出力パルスが、クライストロン301によって加速器302に発生および出力される。上述のように、これによって、必要に応じて、異なるエネルギーおよび異なる線量率における高エネルギー放射線ビームおよび低エネルギー放射線ビームが、インターレース方式で発生される。高/低RFパルスおよび高/低エネルギー放射線ビームの異なる交互のパターンが提供されてもよい。
【0065】
図7は、図5のX線源300の代替駆動スキームを示し、本図面において、RF出力制御電圧は、行Bにおいて一定であり、RFドライバ316によりクライストロン301に提供される低レベルRFパルスは、行Cにおいて一定であり、変調器314によりクライストロン301に提供されるパルス電力は、行Dにおいて高電圧と低電圧との間で変動し、対応する高RF出力パルスおよび低RF出力パルスは、行Eにおいてクライストロン301によって発生および出力される。図7の列Aに示すAFC切り替えは、図6と同一であり、繰り返して説明しない。AFCスイッチ328は、変調器314によりクライストロン301に提供される行Dに示す高出力パルスと低出力パルスとの間において、高パルスAFC324と低パルスAFC326とを切り替える。上述のように、これによって、必要に応じて、異なるエネルギー率および異なる線量率における高エネルギー放射線ビームおよび低エネルギー放射線ビームが、インターレース方式で発生される。上述のように、高/低RFパルスおよび高/低エネルギー放射線ビームの異なる交互のパターンが提供されてもよい。
【0066】
また、2つのAFCスイッチおよび1つのAFCスイッチを、電気的に同調されたマグネトロンの周波数を加速器の共振周波数に一致させるために、同様の方式で使用してもよい。周波数は、当技術分野において既知であるように、機械的に同調可能であるマグネトロンにおいてよりも、電気的に同調可能なマグネトロンにおいて、さらにより迅速に調整可能である。図8は、本発明のある実施形態に従う多重エネルギー放射線源の例であり、加速器102は、電気的に同調されたマグネトロン110aによって駆動される。図1に示される全ての要素が、本例においても設けられ、共通して番号付けられる。図1の制御器132は、図面を簡略化するために図8においては図示されないが、構成要素の動作を制御するために、このような制御器または他のこのような1つもしくは複数の制御器が本例にも設けられることを理解されたい。
【0067】
図8では、高パルスAFC136として識別されるAFC136に加えて、加速器102から反射された低RF出力パルスを検出するために、低パルスAFC138も設けられる。高パルスAFC136および低パルスAFC138は、制御電圧をAFCスイッチ140に提供する。スイッチ140は、高RF出力パルスおよび低RF出力パルスがそれぞれ発生する際にマグネトロンの周波数を調整するために、各AFC136、138から電気的に同調可能なマグネトロンに適切な基準電圧を提供することを切り替える。AFCスイッチ140は、適切な時間に切り替えるために、制御器132(図8において図示せず)または他のこのような制御器によって制御される。また、高パルスAFC136および低パルスAFC138も、図5のシステムに基づくクライストロンに関連して上述したように、反射されたRF出力を適切な時間にサンプリングするために、制御器132によって制御される。また、位相ワンド116も、高RF出力パルスおよび低RF出力パルスについて、マグネトロン周波数を加速器共振周波数に一致させることを支援する。異なる電子流を加速器に提供するためにラップ切り替え器134により銃104に提供される交互のレベルの電圧パルスと連携して、交互の高RF出力パルスおよび低RF出力パルスが、マグネトロン110aによって加速器102に発生および出力される。上述のように、これによって、必要に応じて、異なる線量率における高エネルギーおよび低エネルギー放射線ビームが、インターレース方式で発生される。上述のように、高/低RFパルスおよび高/低エネルギー放射線ビームの異なる交互のパターンが提供されてもよい。
【0068】
2つの異なるエネルギーにおける放射線ビームを発生させることに関連して上記に説明したが、図1のシステムは、3つ以上の異なる制御電圧をHVPS118に提供することによって、3つ以上のエネルギーにおける放射線ビームを発生せるように構成されてもよい。図1では、例えば、マグネトロン110が機械的に同調される場合、AFC136は、これらのRF出力レベルのうちの1つにおけるRF出力パルスの周波数を能動的に調整するように構成されてもよく、一方、マグネトロン110は、加速器102の共振周波数偏移に一致させる他のRF出力パルスを発生させる間に周波数偏移を受けるように動作されてもよい。電圧の駆動は、例えば、低出力RFパルスに関連して上述したように、2つの他の電力レベルについて選択されてもよい。また、位相ワンド116は、マグネトロン周波数を加速器共振周波数に一致させることも支援し得る。また、銃104にも、線量率を変動させるように、必要に応じて、異なる放射線ビームエネルギー毎に追加の電圧が提供され得る。エネルギーパルスは、所望のパターンで異なるエネルギーの放射線ビームの発生を引き起こすために、任意の所望の順序で発生されてもよい。
【0069】
クライストロン301または電気的に同調されるマグネトロン110aを、図5および図8のように、それぞれRF出力源として使用する場合、追加のAFCを提供して、追加の出力レベル毎に出力パルスの周波数を調整してもよい。AFCスイッチ328、140は、所望のパターンで出力RF出力レベルと同期して、基準電圧をRFドライバ316またはマグネトロン110aに供給するように構成または制御され得る。
【0070】
以下の請求項により定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の変更を上述の実施形態に加えてもよいことを当業者は認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重エネルギーにおける放射線を発生させる方法であって、
第1の電力および第2の電力をマイクロ波出力発生器に順次に提供することであって、前記第2の電力は、前記第1の電力とは異なることと、
前記第1および第2の電力に少なくも部分的に基づいて、前記出力発生器によって、第1の出力および第1の周波数を有する第1の無線周波数出力パルスと、前記第1の出力とは異なる第2の出力および前記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2の無線周波数出力パルスとを順次に発生させることと、
前記第1および第2の無線周波数出力パルスを、単一の粒子加速器の共振空洞に順次的に提供することと、
前記第1の無線周波数出力パルスを前記加速器に提供する間に、前記第1の無線周波数出力パルスの前記第1の周波数を、前記加速器の第1の共振周波数に一致させることと、
前記第2の無線周波数出力パルスを前記加速器に提供する間に、前記第2の無線周波数出力パルスの前記第2の周波数を、前記第1の共振周波数とは異なる前記加速器の第2の共振周波数に一致させることと、
前記加速器の前記共振空洞に荷電粒子を注入することと、
前記第1および第2の無線周波数出力パルスに少なくとも部分的に基づいて、前記加速器によって、前記注入された荷電粒子を、前記加速器の第1の共振周波数おける第1のエネルギーに、および前記第1の共振周波数とは異なる前記加速器の第2の共振周波数における第2のエネルギーに順次に加速することと、
第1および第2のそれぞれのエネルギーを有する放射線を発生させるために、前記第1および第2の加速された荷電粒子をターゲットに順次に衝突させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記出力発生器は、機械的に同調可能なマグネトロンを備え、
前記第1の無線周波数出力パルスの前記第1の周波数を、前記第1の周波数のみの自動周波数制御によって、前記加速器の前記第1の共振周波数に一致させることと、
前記加速器の前記第2の共振周波数における周波数偏移に少なくとも部分的に一致する前記マグネトロンに周波数偏移を引き起こす電圧において、第2の電力を前記マグネトロンに提供することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1および第2の無線周波数出力パルスを順次に発生させる間に、前記マグネトロンを一定の磁場に暴露することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加速器から反射された出力を前記マグネトロンに部分的に提供することによって、前記第1および第2の周波数を前記第1および第2の共振周波数に一致させることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記出力発生器は、クライストロンを備え、
前記第1の無線周波数出力パルスの前記第1の周波数を、第1の自動周波数制御によって、前記第1の加速器共振周波数に一致させることと、
前記第2の無線周波数出力パルスの前記第2の周波数を、前記第1の自動周波数制御とは異なる第2の自動周波数制御によって一致させることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記出力発生器は、電気的に同調可能なマグネトロンを備え、
前記第1の無線周波数出力パルスの前記第1の周波数を、第1の自動周波数制御によって、前記第1の加速器共振周波数に一致させることと、
前記第2の無線周波数出力パルスの前記第2の周波数を、前記第1の自動周波数制御とは異なる第2の自動周波数制御によって一致させることと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1の所定数の第1の無線周波数出力パルスの後に第2の所定数の第2の無線周波数出力パルスが続く順序を含む交互の順序において、前記第1および第2の無線周波数出力パルスを、前記単一の加速器の前記共振空洞に順次に提供すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2の所定数は、1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、第1のビーム電流において第1の荷電粒子を前記加速器の前記共振空洞に注入することと、
前記第2の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、前記第1のビーム電流とは異なる第2のビーム電流において第2の荷電粒子を前記加速器の前記共振空洞に提供することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
加速器を動作する方法であって、
第1の出力および第1の周波数を有する第1の無線周波数出力パルスを発生させることと、
第1の出力および第1の周波数とは異なる第2の出力および第2の周波数を有する第2の無線周波数出力パルスを発生させることと、
前記第1および第2の無線周波数出力パルスを単一の加速器の共振空洞に、所定の順序で提供することと、
前記第1の無線周波数出力パルスを前記加速器に提供する間に、前記第1の無線周波数出力パルスの前記第1の周波数を、前記加速器の第1の共振周波数に一致させることと、
前記第2の無線周波数出力パルスを前記加速器に提供する間に、前記第2の無線周波数出力パルスの前記第2の周波数を、前記第1の共振周波数とは異なる前記加速器の第2の共振周波数に一致させることと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記出力発生器は、機械的に同調可能なマグネトロンを備え、
前記マグネトロンの前記第1の周波数を、前記第1の周波数のみの自動周波数制御によって、前記加速器の前記第1の共振周波数に一致させることと、
前記第2の無線周波数出力パルスを発生させる間に、前記加速器の前記第2の共振周波数における周波数偏移に少なくとも部分的に一致する前記出力発生器に周波数偏移を引き起こす電圧において前記出力発生器を駆動することと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
前記マグネトロンを一定の磁場に暴露する間に、前記第1および第2の無線周波数出力パルスを発生させること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記加速器から反射された出力を前記マグネトロンに部分的に提供することによって、前記第1および第2の周波数を前記第1および第2の共振周波数に一致させること
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記出力発生器は、クライストロンを備え、
前記第1の無線周波数出力パルスの前記第1の周波数を、自動周波数制御によって、前記加速器の第1の共振周波数に一致させることと、
前記第2の無線周波数出力パルスの前記第2の周波数を、前記第1の自動周波数制御とは異なる第2の自動周波数制御によって、前記第2の共振周波数に一致させることと、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記出力発生器は、電気的に同調可能なマグネトロンを備え、
前記第1の無線周波数出力パルスの前記第1の周波数を、自動周波数制御によって、前記加速器の第1の共振周波数に一致させることと、
前記第2の無線周波数出力パルスの前記第2の周波数を、前記第1の自動周波数制御とは異なる第2の自動周波数制御によって、前記第2の共振周波数に一致させることと、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、第1のビーム電流において第1の荷電粒子を前記加速器の前記共振空洞に提供することと、
前記第2の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、前記第1のビーム電流とは異なる第2のビーム電流において第2の荷電粒子を前記加速器の前記共振空洞に提供することと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
第1の所定数の第1の無線周波数出力パルスの後に第2の所定数の第2の無線周波数出力パルスが続く順序を含む交互の順序において、前記第1および第2の無線周波数出力パルスを、前記単一の加速器の前記共振空洞に順次に提供すること
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
荷電粒子を加速するための加速器と、
荷電粒子を前記加速器に提供するために前記加速器に連結される荷電粒子源と、
前記加速された荷電粒子の前記ターゲットに対する衝撃により、放射線の発生が引き起こされる前記加速器の下流にあるターゲットと、
第1および第2の無線周波数出力パルスを前記加速器に選択的に提供するために、前記加速器に連結される出力発生器であって、前記第2の無線周波数出力パルスは、前記第1の無線周波数出力パルスとは異なる出力および周波数を有する出力発生器と、
前記第1の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、前記出力発生器の第1の周波数を前記加速器の第1の共振周波数に一致させるための第1の手段と、
前記第2の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、前記出力発生器の第2の周波数を前記加速器の第2の共振周波数に一致させるための第2の手段と、
を備える、多重エネルギー放射線源であって、
前記第1の荷電粒子の前記ターゲットに対する衝撃により、第1のエネルギーにおける放射線の発生が引き起こされ、前記第2の荷電粒子の前記ターゲットに対する衝撃により、前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーにおける放射線の発生が引き起こされる、
多重エネルギー放射線源。
【請求項19】
前記第1の手段は、自動周波数制御装置を備える、請求項18に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項20】
前記第2の手段は、前記第1の自動周波数制御装置とは異なる第2の自動周波数制御装置を備える、請求項19に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項21】
前記出力発生器は、クライストロンを備える、請求項20に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項22】
前記出力発生器は、電気的に同調可能なマグネトロンを備える、請求項20に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項23】
前記第2の手段は、前記加速器の前記第2の共振周波数における周波数偏移に少なくとも部分的に一致する前記出力発生器に周波数偏移を引き起こす電力において前記出力発生器を駆動するための手段を備える、請求項19に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項24】
前記出力発生器は、機械的に同調可能なマグネトロンを備える、請求項23に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項25】
前記マグネトロンに近接する磁石をさらに備え、前記磁石は、一定の磁場を発生させるように構成される、請求項24に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項26】
前記第2の手段は、前記加速器から反射された出力を前記マグネトロンに提供するための手段をさらに備える、請求項24に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項27】
パルス電力を前記出力発生器に提供するように構成される電源をさらに備える、請求項18に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項28】
前記電源は、少なくとも第1および第2の異なる粒子流を前記加速器に提供するために、少なくとも第1および第2の異なる電圧を前記荷電粒子源に選択的に提供するように構成される、請求項27に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項29】
前記第1の電圧は、前記第1の出力パルスが前記加速器に提供される間に、前記第1のエネルギーを有する放射線の第1の線量出力を提供するために前記粒子源に提供され、
前記第2の電圧は、前記第2の出力パルスが前記加速器に提供される間に、前記第2のエネルギーを有する放射線の第2の線量出力を提供するために前記粒子源に提供される、
請求項28に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項30】
電子を加速するための加速器と、
電子を前記加速器に提供するために前記加速器に連結された電子銃と、
前記加速された電子の前記ターゲットに対する衝撃により、放射線の発生が引き起こされる前記加速器の下流にあるターゲットと、
電源と、
少なくとも第1および第2の無線周波数出力パルスを前記加速器に選択的に提供するためのマグネトロンであって、前記第2の無線周波数出力パルスは、前記第1の無線周波数出力パルスとは異なる出力および周波数を有するマグネトロンと、
を備える、多重エネルギー放射線源であって、
前記加速器は、前記第1の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される場合に、前記電子銃により提供された第1の電子を、第1の共振周波数における第1のエネルギーに加速し、前記加速器は、前記第2の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される場合に、第2の電子を、前記第1の共振周波数とは異なる前記第2の共振周波数における前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーに加速し、
前記電源は、
前記第1の無線周波数出力パルスを生成するために第1の電力において前記マグネトロンを選択的に駆動し、かつ前記第2の無線周波数出力パルスを生成するために、前記第1の電力とは異なる第2の電力において前記マグネトロンを駆動するための変調器と、
前記第1の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、前記第1の無線周波数出力パルスの前記周波数を、前記加速器の前記第1の共振周波数に一致させるために、前記マグネトロンに連結される自動周波数制御装置と、
をさらに備え、
前記変調器は、前記第2の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、前記マグネトロンにおける周波数偏移が、前記加速器共振周波数偏移に少なくとも部分的に一致するように、選択された第1および第2の電力を前記マグネトロンに提供するように構成され、
前記第1の電子ビームの前記ターゲットに対する衝撃は、第1のエネルギーにおける放射線の発生を引き起こし、前記第2の電子ビームの前記ターゲットに対する衝撃は、前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーにおける放射線の発生を引き起こす、
多重エネルギー放射線源。
【請求項31】
前記加速器の前記共振周波数に一致させるように前記マグネトロン周波数をさらに調整するために、前記加速器から反射された出力を前記マグネトロンに提供するための、前記マグネトロンと前記加速器との間における位相ワンド、
をさらに備える、請求項29に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項32】
前記位相ワンドは、反射器および可変位相器を備える、請求項30に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項33】
前記変調器は、少なくとも第1および第2の異なる電圧を前記電子銃に選択的に提供するように構成され、
前記第1の電圧は、前記第1の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、第1のビーム電流を提供するために前記電子銃に提供され、
前記第2の電圧は、前記第2の無線周波数出力パルスが前記加速器の加速エネルギーに提供される間に、第1のビーム電流とは異なる第2のビーム電流を提供するために前記電子銃に提供される、
請求項29に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項34】
前記変調器から分離され、前記電子銃に連結される電源であって、少なくとも第1および第2の異なる電圧を前記電子銃に選択的に提供するように構成される電源、
をさらに備え、
前記第1の電圧は、前記第1の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、第1のビーム電流を提供するために前記電子銃に提供され、
前記第2の電圧は、前記第2の無線周波数出力パルスが前記加速器の加速エネルギーに提供される間に、第1のビーム電流とは異なる第2のビーム電流を提供するために前記電子銃に提供される、
請求項30に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項35】
前記第1の自動周波数制御は、前記加速器に提供される前記第1の無線周波数出力パルスと、前記加速器から反射される無線周波数パルスとをサンプリングするように構成される、請求項30に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項36】
前記自動周波数制御は、前記サンプリングされた出力パルスに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の無線周波数出力パルスの発生中に、前記マグネトロンの前記機械的同調を調整する、請求項35に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項37】
前記マグネトロンに近接する磁石をさらに備え、前記磁石は、一定の磁場を発生させるように構成される、請求項30に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項38】
前記変調器は、ソリッドステート変調器を備える、請求項30に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項39】
前記マグネトロンにおける前記周波数偏移は、前記第1の電力と第2の電力との差異によって少なくとも部分的に引き起こされ、
前記加速器共振偏移は、前記加速器に提供される前記異なる無線周波数出力パルスによって少なくとも部分的に引き起こされる、
請求項30に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項40】
電子を加速するための加速器と、
電子を前記加速器に提供するために前記加速器に連結された電子銃と、
前記加速された電子のターゲットに対する衝撃により、放射線の発生が引き起こされる前記加速器の下流にある前記ターゲットと、
少なくとも第1および第2の無線周波数出力パルスを前記加速器に選択的に提供するための出力発生器であって、前記第2の無線周波数出力パルスは、前記第1の無線周波数出力パルスとは異なる出力を有し、
前記加速器は、前記第1の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される場合に、前記電子銃により提供された第1の電子を、第1の共振周波数における第1のエネルギーに加速し、前記加速器は、前記第2の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される場合に、第2の電子を、前記第1の共振周波数とは異なる前記第2の共振周波数における前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーに加速する、出力発生器と、
電力パルスを前記クライストロンに提供するための変調器と、
無線周波数出力を前記出力発生器に提供するための無線周波数電源と、
前記第1の無線周波数出力パルスが前記加速器に提供される間に、前記無線周波数ドライバの前記周波数を前記加速器の第1の共振周波数に一致させるための第1の自動周波数制御装置と、
前記第2の無線周波数出力パルスが前記出力発生器に提供される間に、前記無線周波数ドライバの前記周波数を調整するための、前記第1の自動周波数制御装置とは異なる第2の自動周波数制御装置と、
を備える、多重エネルギー放射線源であって、
前記第1の加速された電子の前記ターゲットに対する衝撃により、第1のエネルギーにおける放射線の発生が引き起こされ、前記第2の加速された電子の前記ターゲットに対する衝撃により、前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーにおける放射線の発生が引き起こされる、
多重エネルギー放射線源。
【請求項41】
前記出力発生器は、クライストロンを備える、請求項40に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項42】
前記出力発生器は、電気的に同調されるマグネトロンを備える、請求項40に記載の多重エネルギー放射線源。
【請求項43】
多重エネルギーにおける放射線を発生させる方法であって、
第1の電力および第2の電力をマイクロ波出力発生器に順次に提供することであって、前記第2の電力は、前記第1の電力とは異なることと、
前記第1および第2の電力に少なくも部分的に基づいて、前記出力発生器によって、第1の出力を有する第1の無線周波数出力パルスと、前記第1の出力とは異なる第2の出力を有する第2の無線周波数出力パルスとを順次に発生させることと、
前記第1および第2の無線周波数出力パルスを、単一の粒子加速器の共振空洞に順次的に提供することと、
前記第1の電力とは異なる第3の電力および第4の電力で荷電粒子源を順次に駆動することと、
第1および第2の荷電粒子流を前記加速器の前記共振空洞に注入することであって、前記第1および第2の荷電粒子流は、前記第3および第4の電力のそれぞれに少なくとも部分的に基づくことと、
前記第1および第2の無線周波数出力パルスに少なくとも部分的に基づいて、前記加速器によって、前記注入された荷電粒子を、第1のエネルギーに、および前記第1のエネルギーとは異なる第2のエネルギーに順次に加速することと、
第1および第2の異なるエネルギーならびに第1および第2の異なるそれぞれの線量率を有する放射線を発生させるために、前記第1および第2の加速された荷電粒子流をターゲットに順次に衝突させることと、
を含む、方法。
【請求項44】
同一の電源によって、前記第1の電力、第2の電力、第3の電力、および第4の電力を提供することを含む、請求項43に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−530799(P2011−530799A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522988(P2011−522988)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/004609
【国際公開番号】WO2010/019228
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(591030673)バリアン・メディカル・システムズ・インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】