説明

インターロックスイッチを用いたプレチャージ抵抗保護回路装置

【課題】電圧変換装置に過電流が流れることを防止するためのインターロックスイッチ(Interlock switch)を用いてプレチャージ抵抗を保護するための回路装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド電気自動車のバッテリーと電圧変換装置との間に存在する、プレチャージ抵抗(Pre-charge resistance)、プレチャージリレー(Pre-charge relay)及びメインリレー(Main relay)を含むプレチャージ抵抗保護回路において、前記プレチャージリレーと相補的に作動させられ、前記電圧変換装置に持続的な過電流が流れることを防止して前記プレチャージ抵抗の破損を防止するためのインターロックスイッチを含むことを特徴とするインターロックスイッチを用いたプレチャージ抵抗保護回路装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターロックスイッチを用いてプレチャージ抵抗を保護するための回路装置に関するものであって、より詳しくはインターロックスイッチ及びポリスイッチ(polyswitch)を用いて電気自動車の電圧変換装置に流れる電流を制御してプレチャージ抵抗を保護するための回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車はライト、エアコン、ワイパーなどのように電流が流れて作動される電気装置をたくさん含んでいる。前記電気装置は自動車のバッテリーから出力される電源によって駆動される。一般として自動車に過電流が流れることを防止するために、前記電気装置とバッテリーとの間にはリレー及びヒューズが存在し、電流は前記リレー及びヒューズによって制御される。
【0003】
しかし、ヒューズは過多な電流が流れると、回路を保護するために溶けながら断線になり、ヒューズの断線は事前感知が難しく時と所を問わず予告無しに生じるという問題点がある。ヒューズを使用しない場合には過電流によって抵抗などの回路素子が損傷されるという問題点がある。
【0004】
従来の技術として韓国特許出願2003−0063820(2003年09月15日出願)には「自動車の過電流保護用ポリスイッチ」が開示されている。
【0005】
前記従来技術は引込電線と引出電線との間に設けられて過負荷がかかってコイルの温度が上昇する場合、スイッチで電源部からの電源供給を遮断し、電源遮断時に温度が下降して抵抗が減少する場合、前記スイッチを連結して電源部からの電源を供給するように行うことを特徴とする自動車の過電流保護用ポリスイッチを開示しているが、前記ポリスイッチはプレチャージ抵抗を保護するための用途としては開示していなく、インターロックスイッチと共に用いられて電圧変換装置に流れる持続的な過電流を遮断することについては開示していない。
【0006】
従来の技術として韓国特許出願2005−0054175(2005年02月21日出願)には「電気自動車のモータコントロールユニット保護回路装置」が開示されている。
【0007】
前記従来技術は電気自動車のメインバッテリーとモータコントロールユニットとの間に配置され、これに設けられたプレチャージリレー、メインリレーによって駆動され、前記モータコントロールユニットのDCリンクキャパシターの電圧を前記メインバッテリーの電圧水準に合わせて前記モータコントロールユニットを保護する電気自動車のモータコントロールユニット保護回路装置において、前記DCリンクキャパシターが短絡される場合、前記モータコントロールユニット側に流れ込む電流の量を制限するために前記プレチャージリレーの一側には温度可変抵抗素子が設けられることを特徴とする電気自動車のモータコントロールユニット保護回路装置を開示しているが、前記従来技術は電圧変換装置に過電流が流れることを防止するためのインターロックスイッチとポリスイッチとについて開示していない。
【0008】
図1は従来のハイブリッド電気自動車のバッテリーと電圧変換装置との間に存在する回路を図示する。ハイブリッド自動車(HEV)では高圧(300〜400V)のバッテリー110に対する安全が重要である。ハイブリッド自動車のバッテリー110は車両に装着しなければならないため制約された空間を有する。持続的な電流に対するプレチャージ抵抗(Pre-charge resistance)120の容量は次のようである。30Ωの抵抗に10Aが連続的に流れると仮定すれば容量はP=IR=3000Wに耐えられる抵抗でなければならない。現在使用している抵抗は30Ωの60W抵抗で10Aが連続的に入り込むと耐え難いという問題点がある。
【0009】
通常1000Wを超える抵抗を作るというのは難しく、費用がたくさんかかり、制限された空間内で実現することは難しい。正常な状況においては現在のシステムでも如何なる問題は生じない。しかし、プレチャージリレー(Pre-charge Relay)140が動作した後の一定時間にメイン(+)リレー(Main(+)Relay)150が接続しない場合、許容できない持続的な大きな電流がプレチャージ抵抗120を介して流れて前記プレチャージ抵抗120が損傷する恐れがある。一般論として、ハイブリッド自動車のバッテリー110はリチウム(Li)バッテリーから構成されるが、前記リチウムバッテリーは過熱によって爆発する危険がある。つまり、プレチャージ抵抗120の損傷によってバッテリーシステムが爆発する危険が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のような問題点を解決するために、本発明は電圧変換装置に過電流が流れることを防止するためのインターロックスイッチ(Interlock switch)を用いてプレチャージ抵抗を保護するための回路装置を提供することにその目的がある。
【0011】
また、前記のような問題点を解決するために、本発明はプレチャージ抵抗に過電流が流れる場合、温度が上昇し且つ抵抗値が増加してプレチャージ抵抗に流れる過電流を遮断するポリスイッチを用いてプレチャージ抵抗を保護するための回路装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を達成するために、本発明はハイブリッド電気自動車のバッテリーと電圧変換装置との間に存在する、プレチャージ抵抗(Pre-charge resistance)、プレチャージリレー(Pre-charge relay)及びメインリレー(Main relay)を含むプレチャージ抵抗保護回路において、前記プレチャージリレーと相補的(complementarily)に作動させられ、前記電圧変換装置に持続的な過電流が流れることを防止して前記プレチャージ抵抗の破損を防止するためのインターロックスイッチを含むことを特徴とするインターロックスイッチを用いたプレチャージ抵抗保護回路装置を提供する。
【0013】
前記インターロックスイッチは、前記電圧変換装置に含まれる、DCリンクキャパシターと低電圧DC−DCコンバーター(LDC)との間に位置することを特徴とする。
【0014】
前記プレチャージ抵抗に持続的な過電流が流れる場合、温度が上昇し且つ抵抗値が増加して前記プレチャージ抵抗に流れる過電流を遮断するポリスイッチをさらに含み、前記ポリスイッチは前記プレチャージ抵抗と前記プレチャージリレーとの間に位置するか、又は、前記ハイブリッド電気自動車のバッテリーと前記プレチャージ抵抗との間に存在することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来のハイブリッド電気自動車のバッテリーと電圧変換装置との間に存在する回路を図示する図である。
【図2】本発明の一実施例によるインターロックスイッチを用いたプレチャージ保護回路を図示する図である。
【符号の説明】
【0016】
110:HEVバッテリー 120:プレチャージ抵抗
130:ポリスイッチ 140:プレチャージリレー
150:メイン(+)リレー 160:メイン(−)リレー
170:インターロックスイッチ 180:DCリンクキャパシター
190、210:低電圧DC−DCコンバーター
200:モータ制御ユニット 220:バッテリー
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明で使用される用語はできる限り現在広く使用される一般的な用語を採用したが、特定な場合は出願人の任意で選定した用語もあり、この場合は該当される発明の詳細な説明部分においてその意味を記載したため、単純な用語の名称でない用語の有する意味として本発明を把握しなければならない。
【0018】
以下、前記の目的を具体的に実現することができる本発明の望ましい実施例を添付した図面を参照して説明するが、本発明が前記実施例によって制限されたり限定されるものではない。
【0019】
図2は、本発明の一実施例によるインターロックスイッチを用いたプレチャージ保護回路を図示する。図2を参照すれば、前記プレチャージ保護回路はプレチャージ抵抗120、ポリスイッチ130、プレチャージリレー140、メイン(+)リレー150、メイン(−)リレー160、及びインターロックスイッチ170を含む。
【0020】
先ずプレチャージリレー140及びメイン(−)リレーが接続してプレチャージ抵抗120を介して電流が流れながら電圧変換装置のDCリンクキャパシター180を充電する。前記電圧変換装置はDCリンクキャパシター180、低電圧DC−DCコンバーター190、バッテリー220を含む。その次に前記DCリンクキャパシター180がある程度充電になればメイン(+)リレーが接続される。従って、プレチャージ抵抗120側へはそれ以上電流が流れなく、メイン(+)リレー150及びメイン(−)リレー160のみを介して電流が流れるようになる。
【0021】
ハイブリッド自動車が正常に動作する場合にプレチャージ動作からメインリレーに切り替える時間は非常に短い。しかし、メインリレーに切り替える前に前記DCリンクキャパシター180が短絡したり若しくは前記低電圧DC−DCコンバーター190と同じ電圧変換機を通じて持続的に大きな電流が流れる場合にプレチャージ抵抗120に持続的に大きな電流が流れることがある。
【0022】
本発明によるプレチャージ抵抗保護回路は、前記DCリンクキャパシター180と前記低電圧DC−DCコンバーター190との間に位置するインターロックスイッチ170を用いて持続的な過電流が流れることを防止する。前記インターロックスイッチ170は前記プレチャージリレー140と相補的に(complementarily:交差して)動作する。つまり、前記プレチャージリレー140が接続されると、前記インターロックスイッチ170は開き、前記プレチャージリレー140が離れると、前記インターロックスイッチ170は閉じる。従って、低電圧DC−DCコンバーター190などを通じて持続的な大きな電流が流れる場合にも、前記インターロックスイッチ170が閉めている時には前記プレチャージリレー140が離れていて前記プレチャージ抵抗120に電流が流れなく、前記インターロックスイッチ170が開いた時にはプレチャージ保護回路から前記低電圧DC−DCコンバーター190に電流が流れないため、前記プレチャージ抵抗120に過電流が流れなくなる。
【0023】
また、本発明によるプレチャージ抵抗保護回路は前記インターロックスイッチ170のみを用いてプレチャージ抵抗120を保護することができ、なおインターロックスイッチ170と前記ポリスイッチ130とを共に用いてプレチャージ抵抗120を保護することができる。前記ポリスイッチ130は発熱によって温度が上がると抵抗が急激に増加して回路を遮断する。つまり、前記プレチャージ抵抗120に任意の過電流が持続的に流れて前記プレチャージ抵抗120の温度が上がると、ポリスイッチ130の抵抗を急激に増加させて前記プレチャージ抵抗120にそれ以上電流が流れないようにする。
【0024】
前記ポリスイッチ130は図2に示されたように、プレチャージ抵抗120及びプレチャージリレー140との間に位置したり、或いはハイブリッド電気自動車のバッテリー110及びプレチャージ抵抗120との間に位置することができる。前記プレチャージリレー140、メイン(+)リレー150及びメイン(−)リレー160を用いてモータ制御ユニット(Motor Control Unit, MCU)200と連結されるDCリンクキャパシター210を充電することはできるが、本発明の主要な関心分野ではないから、具体的な説明は省略する。
【0025】
以上のように本発明は限られた実施例及び図面によって説明したが、これは本発明を全般的によりわかり易くするために提供されただけで、本発明は前記の実施例に限られるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であればこのような記載から多様な修正及び変形が可能である。
【0026】
従って、本発明の思想は説明された実施例に局限されて定められてはならなく、特許請求範囲のみならず、この特許請求範囲と均等であったり等価的変形がある全ては本発明の思想の範疇に属すると言える。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によるインターロックスイッチを用いたプレチャージ抵抗保護回路は、電圧変換装置に過電流が流れることを防止するためのインターロックスイッチ(Interlock switch)を用いることによって、過電流によるプレチャージ抵抗を効率的に保護することができる。
【0028】
また、本発明によるインターロックスイッチを用いたプレチャージ抵抗保護回路は、ヒューズを用いる代わりに温度が上昇し且つ抵抗値が増加してプレチャージ抵抗に流れる過電流を遮断するポリスイッチを用いることによって、過電流によるプレチャージ抵抗を効果的に保護することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド電気自動車のバッテリーと電圧変換装置との間に存在し、プレチャージ抵抗(Pre-charge resistance)、プレチャージリレー(Pre-charge relay)及びメインリレー(Main relay)を含むプレチャージ抵抗保護回路において、
前記プレチャージリレーと相補的に作動させられ、前記電圧変換装置に持続的な過電流が流れることを防止して前記プレチャージ抵抗の破損を防止するためのインターロックスイッチを含むことを特徴とするインターロックスイッチを用いたプレチャージ抵抗保護回路装置。
【請求項2】
前記インターロックスイッチは、共に前記電圧変換装置に含まれる、DCリンクキャパシターと低電圧DC−DCコンバーターとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載のインターロックスイッチを用いたプレチャージ抵抗保護回路装置。
【請求項3】
前記プレチャージ抵抗保護回路装置は、前記プレチャージ抵抗に持続的な過電流が流れる場合、温度が上昇し且つ抵抗値が増加して前記プレチャージ抵抗に流れる過電流を遮断するポリスイッチをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のインターロックスイッチを用いたプレチャージ抵抗保護回路装置。
【請求項4】
前記ポリスイッチは、前記プレチャージ抵抗と前記プレチャージリレーとの間に位置するか、又は、前記ハイブリッド電気自動車のバッテリーと前記プレチャージ抵抗との間に存在することを特徴とする請求項3に記載のインターロックスイッチを用いたプレチャージ抵抗保護回路装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−509068(P2011−509068A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542154(P2010−542154)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/KR2008/006812
【国際公開番号】WO2009/088156
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(308007044)エスケー エナジー カンパニー リミテッド (53)
【Fターム(参考)】