インダクタ部品および電子装置
【課題】インダクタ部品を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品の特性を向上させることによってインダクタ部品を含む電子装置の低背化を図ること。
【解決手段】インダクタ部品1は、板状の基体部11と、磁性材料を含んでおり基体部11の下面に設けられた脚部12と、平面透視において基体部11の中心部を囲むような形状を有しており基体部11に埋設されたコイル導体13とを含んでいる。脚部12は、コイル導体13の直下に設けられている。電子装置は、インダクタ部品1と、インダクタ部品1の基体部11の下面と脚部12とによって囲まれた空間に設けられたIC素子2とを含んでいる。
【解決手段】インダクタ部品1は、板状の基体部11と、磁性材料を含んでおり基体部11の下面に設けられた脚部12と、平面透視において基体部11の中心部を囲むような形状を有しており基体部11に埋設されたコイル導体13とを含んでいる。脚部12は、コイル導体13の直下に設けられている。電子装置は、インダクタ部品1と、インダクタ部品1の基体部11の下面と脚部12とによって囲まれた空間に設けられたIC素子2とを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子部品モジュール等に用いられるインダクタ部品および電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話機等の電子機器分野において、インダクタおよびIC素子等の複数の電子部品が回路基板に実装された電子部品モジュールの開発が進められている。その電子部品モジュールに用いられるインダクタ部品は、例えば電源用途等において、インダクタンス値の増大化が求められており、磁性材料が用いられている。
【0003】
磁性材料が用いられたインダクタ部品は、高電流におけるインダクタンス値を高くするために、磁性体を飽和させ難くするする必要があり、サイズが大きくなる傾向がある。インダクタ部品のサイズの増大化に伴う電子部品モジュールのサイズの増大化を抑えるために、IC素子上にインダクタ部品が設けられている構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案3147172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単にIC素子上にインダクタ部品が設けられた構造の場合、インダクタ部品を含む複数の電子部品の実装面積は低減されるが、低背化の観点においては課題が残る。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて案出されたものであり、その目的は、インダクタ部品を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品の特性を向上させることによってインダクタ部品を含む電子装置の低背化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、インダクタ部品は、板状の基体部と、磁性材料を含んでおり基体部の下面に設けられた脚部と、平面透視において基体部の中心部を囲むような形状を有しており基体部に埋設されたコイル導体とを含んでいる。脚部は、コイル導体の直下に設けられている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、電子装置は、上記インダクタ部品と、インダクタ部品の基体部の下面と脚部とによって囲まれた空間に設けられたIC素子とを含んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によるインダクタ部品は、磁性材料を含んでおり基体部の下面に設けられた脚部を含んでおり、脚部は、基体に埋設されたコイル導体の直下に設けられていることによって、例えば基体部の下面と脚部とによって囲まれた空間にIC素子を設けてインダクタ部品を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品の特性を向上させてインダクタ部品を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0010】
本発明の他の態様による電子装置は、上記インダクタ部品と、インダクタ部品の基体部の下面と脚部とによって囲まれた空間に設けられたIC素子とを含んでいることによって
、インダクタ部品およびIC素子を含む電子装置の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品の特性を向上させてインダクタ部品およびIC素子を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態における電子装置の分解斜視図を示している。
【図2】図1に示された電子装置のA−Aにおける縦断面図を示している。
【図3】図1に示された電子装置の平面透視図を示している。
【図4】図2に示された電子装置における磁束の状態を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における電子装置の分解斜視図を示している。
【図6】図5に示された電子装置の平面透視図を示している。
【図7】本発明の第3の実施形態における電子装置の分解斜視図を示している。
【図8】図7に示された電子装置の平面透視図を示している。
【図9】本発明の第4の実施形態における電子装置の縦断面図を示している。
【図10】図9に示された電子装置の平面透視図を示している。
【図11】図9に示された電子装置の下面透視図を示している。
【図12】図9に示された電子装置における磁束の状態を模式的に示す図である。
【図13】図11に示された電子装置の他の例を示す下面透視図である。
【図14】図11に示された電子装置の他の例を示す下面透視図である。
【図15】第1〜第3の実施形態における電子装置の他の例1を示す分解斜視図である。
【図16】第1〜第3の実施形態における電子装置の他の例2を示す縦断面図である。
【図17】第1〜第3の実施形態における電子装置の他の例3を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1〜図3に示されているように、第1の実施形態における電子装置は、インダクタ部品1と、インダクタ部品1の下方に設けられたIC素子2とを含んでいる。インダクタ部品1およびIC素子2は、例えば電子部品モジュールを構成する回路基板3上に実装される。
【0014】
インダクタ部品1は、板状の基体部11と、基体部11の下面に設けられた脚部12と、基体部11に埋設されたコイル導体13とを含んでいる。図3において、脚部12、コイル導体13およびIC素子2は、基体部11を透視した状態で破線によって示されており、コイル導体13は、ドット模様によって塗りつぶされている。
【0015】
基体部11および脚部12は、磁性材料を含んでおり、焼成によって一体的に形成されている。基体部11および脚部12によって、磁性材料構造体が構成されている。例示的な基体11および脚部12は、99質量%以上のフェライトおよび1質量%未満のガラスから成り、フェライトは、高い透磁率を得るという観点において、ZnFe2O4,MnFe2O4,FeFe2O4,CoFe2O4,NiFe2O4,BaFe2O4,SrFe2O4およ
びCuFe2O4のうちの少なくとも1種類であることが好ましい。
【0016】
基体部11は、板形状を有しており、互いに積層された第1の層111〜第3の層113を含んでいる。図2において、第1の層111〜第3の層113の界面は、仮想の二点鎖線によって示されている。第2の層112は、第1の層111の上に積層されており、第3の層113は、第2
の層112の上に積層されている。
【0017】
脚部12は、コイル導体13の直下に設けられている。本実施形態において、脚部12が“コイル導体13の直下に設けられている”とは、単にコイル導体13の基体部11の側面への引出しパターンの直下に設けられていることではなく、コイル導体13の平面透視において基体部11の中心部を囲んでいる部分の少なくとも一部分の直下に設けられていることをいう。脚部12は、枠形状を有しており、IC素子2が配置された空間を含んでいる。
【0018】
コイル導体13は、平面透視において基体部11の中心部を囲むような形状を有しており、基体部11に埋設されている。平面透視において、コイル導体13の幅方向13wにおける形成領域は、脚部12の幅方向12wにおける形成領域内に含まれている。コイル導体13は、平面視において直線部分131および角部分132を含む形状を有しており、脚部12が、直線部分131の直下に位置している。コイル導体13は、第1の層111の上面に形成された第1のコイルパターン131と第2の層112の上面に形成された第2のコイルパターン132とを含んでいる
。第1のコイルパターン131および第2のコイルパターン132は、基体部11の第2の層112
に設けられたビア導体によって電気的に接続されている。図1において、第1のコイルパターン131および第2のコイルパターン132の電気的な接続関係が点線によって示されている。
【0019】
IC素子2は、インダクタ部品1の基体部11の下面と脚部12とによって囲まれた空間14に設けられている。IC素子2は、例えばDC−DCコンバータにおける制御用IC素子である。IC素子2とインダクタ部品1のコイル導体13とは電気的に接続される。
【0020】
以下、磁性材料としてフェライトを含むインダクタ部品1の製造方法について説明する。インダクタ部品1の製造方法は、フェライトを含むスラリーを得る工程と、スラリーを用いてフェライトグリーンシートを得る工程と、コイルパターンを含む積層体を得る工程と、積層体を焼成する工程とを含んでいる。
【0021】
スラリーは、フェライト粉末に適当な有機バインダ、可塑剤および有機溶剤等が混合されて得られる。フェライト粉末は、フェライトグリーンシートの焼結状態において均一化を図るために、仮焼が施されており、粒径の均一化が図られており、球形状に近い形状を有するものがよい。フェライト粉末に部分的に小さい粒径の粒子が含まれている場合、その小さい粒径の粒子の部分のみ結晶粒の成長が低下し、焼結後に得られるフェライト層の透磁率が安定しにくい傾向がある。
【0022】
フェライトグリーンシートは、スラリーを用いて、ドクターブレード法、圧延法およびカレンダーロール法等によって製造される。積層体は、一部のフェライトグリーンシートにコイルパターンが形成されている複数のフェライトグリーンシートを含んでいる。コイルパターンは、銅(Cu),銀(Ag),金(Au)または銀合金等の金属粉末に適用な有機バインダおよび溶剤が混練された導体ペーストを、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法等によってフェライトグリーンシートの表面に塗布することによって形成される。
【0023】
本実施形態におけるインダクタ部品1は、磁性材料を含んでおり基体部11の下面に設けられた脚部12を含んでおり、脚部12は、基体部11に埋設されたコイル導体13の直下に設けられていることによって、例えば基体部11の下面と脚部12とによって囲まれた空間14にIC素子2を設けてインダクタ部品1を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0024】
図4に示されているように、コイル導体13の周囲に形成される磁束線130は、脚部12に
入り込むように分布している。したがって、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。その結果、インダクタ部品1を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0025】
本実施形態のインダクタ部品1において、コイル導体13の幅方向13wにおける形成領域が、平面透視において、脚部12の幅方向12wにおける形成領域内に含まれている場合、コイル導体13の周囲に発生する磁束が脚部12内に入り易くなり、インダクタ部品1のインダクタンス値がさらに向上される。その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。
【0026】
本実施形態のインダクタ部品1において、コイル導体13が、平面視において直線部分131および角部分132を含む形状を有しており、脚部12が、直線部分131の直下に位置してい
る場合、直線部分131は角部分132に比べてコイル導体13の中心に近くまた比較的均一な磁場を発生し易いため、インダクタ部品1のインダクタンス値がさらに向上される。その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。
【0027】
本実施形態における電子装置は、上述のインダクタ部品1と、インダクタ部品1の基体部11の下面と脚部12とによって囲まれた空間14に設けられたIC素子2とを含んでいることによって、インダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0028】
(第2の実施形態)
図5および図6を参照して、本発明の第2の実施形態における電子装置について説明する。本実施形態の電子装置において、第1の実施形態における電子装置と異なる構成は、第1の実施形態における枠形状の脚部12に代えて直線状の複数の脚部22aおよび22bを有することである。その他の構成は、第1の実施形態における電子装置と同様である。
【0029】
複数の脚部22aおよび22bは、下面視において矩形状の基体部11の一対の辺に沿って配置されている。IC素子2は、複数の脚部22aおよび22bによって挟まれた空間に設けられている。
【0030】
本実施形態におけるインダクタ部品1は、磁性材料を含んでおり基体部11の下面に設けられた複数の脚部22aおよび22bを含んでおり、複数の脚部22aおよび22bは、基体部11に埋設されたコイル導体13の直下に設けられていることによって、例えば基体部11の下面と脚部22aおよび22bとによって囲まれた空間にIC素子2を設けてインダクタ部品1を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0031】
本実施形態のインダクタ部品1において、コイル導体13の幅方向13wにおける形成領域が、平面透視において、複数の脚部22aおよび22bの幅方向22wにおける形成領域内に含まれている場合、コイル導体13の周囲に発生する磁束が複数の脚部22aおよび22b内に入り易くなり、インダクタ部品1のインダクタンス値がさらに向上される。その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。
【0032】
本実施形態のインダクタ部品1において、コイル導体13が、平面視において直線部分131および角部分132を含む形状を有しており、複数の脚部22aおよび22bが、直線部分131
の直下に位置している場合、インダクタ部品1のインダクタンス値がさらに向上される。
その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。
【0033】
本実施形態のインダクタ部品1において、直線状の複数の脚部22aおよび22bが基体部11の下面における一対の辺に沿って設けられていることによって、例えばIC素子2の実装領域以外に他の電子部品を実装する等、基体部11の下面を有効に利用することができる。
【0034】
本実施形態における電子装置は、上述のインダクタ部品1と、インダクタ部品1の基体部11の下面と複数の脚部22aおよび22bとによって囲まれた空間に設けられたIC素子2とを含んでいることによって、インダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0035】
本実施形態の電子装置において、IC素子2が複数の脚部22aおよび22bによって挟まれた空間に設けられていることによって、IC素子2によって発生された熱が複数の脚部22aおよび22bの間から放散され、電子装置の放熱性が向上されている。
【0036】
(第3の実施形態)
図7および図8を参照して、本発明の第3の実施形態における電子装置について説明する。本実施形態の電子装置において、第1の実施形態における電子装置と異なる構成は、第1の実施形態における枠形状の脚部12に代えて柱状の複数の脚部32a〜32dを有することである。その他の構成は、第1の実施形態における電子装置と同様である。
【0037】
複数の脚部32a〜32dは、下面視において矩形状の基体部11の4つの角部分に配置されている。IC素子2は、複数の脚部32a〜32dによって囲まれた空間に設けられている。
【0038】
本実施形態におけるインダクタ部品1は、磁性材料を含んでおり基体部11の下面に設けられた複数の脚部32a〜32dを含んでおり、複数の脚部32a〜32dは、基体部11に埋設されたコイル導体13の直下に設けられていることによって、例えば基体部11の下面と複数の脚部32a〜32dとによって囲まれた空間にIC素子2を設けてインダクタ部品1を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0039】
本実施形態のインダクタ部品1において、コイル導体13の幅方向13wにおける形成領域が、平面透視において、複数の脚部32a〜32dの幅方向22wにおける形成領域内に含まれている場合、コイル導体13の周囲に発生する磁束が複数の脚部32a〜32d内に入り易くなり、インダクタ部品1のインダクタンス値がさらに向上される。その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。
【0040】
本実施形態のインダクタ部品1において、複数の柱状の脚部32a〜32dがコイル導体13の複数の角部分の直下に設けられていることによって、コイル導体13の中心から遠いコイル導体13の角部分における特性が向上されており、コイル導体13の直線部分および角部分における特性の差が低減されている。
【0041】
本実施形態のインダクタ部品1において、柱状の複数の脚部32a〜32dが基体部11の下面における角部分に設けられていることによって、例えばIC素子2の実装領域以外に他の電子部品を実装する等、基体部11の下面を有効に利用することができる。
【0042】
本実施形態における電子装置は、上述のインダクタ部品1と、インダクタ部品1の基体部11の下面と複数の脚部32a〜32dとによって囲まれた空間に設けられたIC素子2とを含んでいることによって、インダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0043】
本実施形態の電子装置において、IC素子2が複数の脚部32a〜32dによって囲まれた空間に設けられていることによって、IC素子2によって発生された熱が複数の脚部32a〜32dの間から放散され、電子装置の放熱性が向上されている。
【0044】
(第4の実施形態)
図9〜図11を参照して、本発明の第4の実施形態における電子装置について説明する。図11において、IC素子2は透視された状態で二点鎖線によって示されている。本実施形態の電子装置において、第1の実施形態における電子装置と異なる構成は、磁性傾斜部15をさらに含んでいることである。その他の構成は、第1の実施形態における電子装置と同様である。
【0045】
磁性傾斜部15は、基体部11の下面および脚部12の内側側面に接して設けられており、コイル導体13の斜め下方に配置されている。磁性傾斜部15は、基体部11の下面から脚部12の内側側面にかけて設けられた傾斜面15aを有しており、傾斜面15aは、平面的な形状を有している。傾斜面15aは、コイル導体13の斜め下方に設けられている。
【0046】
図10に示されているように、磁性傾斜部15は、平面透視において基体部11の中心部を囲むような矩形状を有しており、磁性傾斜部15の形成領域が、平面透視においてIC素子2の縁に重なっている。図10において、磁性傾斜部15の形成領域は、2つの破線枠によって挟まれた領域である。平面透視において、磁性傾斜部15の形成領域は、平面透視において、導体コイル13の形成領域よりも内側に位置している。平面透視において、磁性傾斜部15は、導体コイル13を囲むように設けられている。
【0047】
本実施形態におけるインダクタ部品1は、磁性傾斜部15をさらに含んでいることによって、コイル導体13から斜め下方へ広がろうとする磁束線を磁性傾斜部15の傾斜面15aにおいて脚部12または基体部11へ導くことができ、所定の電圧におけるインダクタ部品1のインダクタンス値をさらに向上させることができる。その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1のさらなる低背化を図ることが可能となる。図12に模式的に示されているように、本実施形態におけるインダクタ部品1において、コイル導体13から斜め下方へ広がろうとする磁束線は、コイル導体13の斜め下方に設けられた磁性傾斜部15の傾斜面15aにおいて抑えられつつ脚部12または基体部11へ導かれることによって、インダクタ部品1の内部から空間14へ漏れ出す可能性が低減されている。
【0048】
図13に示されているように、磁性傾斜部を有する構造は、第2の実施形態における電子装置においても適用することができる。図13において、磁性傾斜部25は、脚部22aおよび22bのそれぞれから基体部11の中央部へ向かって形成されている。
【0049】
図14に示されているように、磁性傾斜部を有する構造は、第3の実施形態における電子装置においても適用することができる。図14において、磁性傾斜部35は、脚部32a〜32dのそれぞれにおいて基体部11の中央部に近い2つの側面から基体部11の下面にかけて形成されている。
【0050】
(第1〜第3の実施形態の他の例1)
図15を参照して、第1〜第3の実施形態の他の例1を第1の実施形態の変形例として説明する。この他の例1は、第2および第3の実施形態にも適用され得る。他の例1の電子装置において、コイル導体13は、同一平面上において複数周巻かれている。例えば、第1のコイルパターン131は、第1の層111の上面において2周巻かれており、第2のコイルパターン132は、第2の層112の上面において2周巻かれている。他の例1において、脚部12は、複数周巻かれているコイル導体13の少なくとも一部の周の直下に設けられていればよい。
【0051】
(第1〜第3の実施形態の他の例2)
図16を参照して、第1〜第3の実施形態の他の例2を第1の実施形態の変形例として説明する。この他の例2は、第2および第3の実施形態にも適用され得る。他の例2の電子装置において、脚部12は、段差部121を有している。IC素子2は、基体部11の下面に接
合されて、脚部12の段差部121に形成された導体パッドにボンディングワイヤによって電
気的に接続されている。
【0052】
(第1〜第3の実施形態の他の例3)
図17を参照して、第1〜第3の実施形態の他の例3を第1の実施形態の変形例として説明する。この他の例3は、第2および第3の実施形態にも適用され得る。他の例3の電子装置において、基体部11の第1の層111〜第3の層113は、部分的に異なる透磁率を有している。具体的には、複数のコイルパターン131および132間の第2の層112の透磁率が、第
2の層112を挟んでいる第1の層111および第3の層113の透磁率よりも低い。上下方向に
位置する複数のコイルパターン131および132間では磁束の方向が異なり打ち消し合うため、第2の層112の透磁率を低くすることで、磁束の打ち消し合う力を弱めることができ、
重畳特性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 インダクタ部品
11 基体部
111〜113 第1〜第3の層
12 脚部
13 コイル導体
131、132 第1および第2のコイルパターン
14 空間
2 IC素子
3 回路基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子部品モジュール等に用いられるインダクタ部品および電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話機等の電子機器分野において、インダクタおよびIC素子等の複数の電子部品が回路基板に実装された電子部品モジュールの開発が進められている。その電子部品モジュールに用いられるインダクタ部品は、例えば電源用途等において、インダクタンス値の増大化が求められており、磁性材料が用いられている。
【0003】
磁性材料が用いられたインダクタ部品は、高電流におけるインダクタンス値を高くするために、磁性体を飽和させ難くするする必要があり、サイズが大きくなる傾向がある。インダクタ部品のサイズの増大化に伴う電子部品モジュールのサイズの増大化を抑えるために、IC素子上にインダクタ部品が設けられている構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案3147172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、単にIC素子上にインダクタ部品が設けられた構造の場合、インダクタ部品を含む複数の電子部品の実装面積は低減されるが、低背化の観点においては課題が残る。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて案出されたものであり、その目的は、インダクタ部品を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品の特性を向上させることによってインダクタ部品を含む電子装置の低背化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、インダクタ部品は、板状の基体部と、磁性材料を含んでおり基体部の下面に設けられた脚部と、平面透視において基体部の中心部を囲むような形状を有しており基体部に埋設されたコイル導体とを含んでいる。脚部は、コイル導体の直下に設けられている。
【0008】
本発明の他の態様によれば、電子装置は、上記インダクタ部品と、インダクタ部品の基体部の下面と脚部とによって囲まれた空間に設けられたIC素子とを含んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によるインダクタ部品は、磁性材料を含んでおり基体部の下面に設けられた脚部を含んでおり、脚部は、基体に埋設されたコイル導体の直下に設けられていることによって、例えば基体部の下面と脚部とによって囲まれた空間にIC素子を設けてインダクタ部品を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品の特性を向上させてインダクタ部品を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0010】
本発明の他の態様による電子装置は、上記インダクタ部品と、インダクタ部品の基体部の下面と脚部とによって囲まれた空間に設けられたIC素子とを含んでいることによって
、インダクタ部品およびIC素子を含む電子装置の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品の特性を向上させてインダクタ部品およびIC素子を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態における電子装置の分解斜視図を示している。
【図2】図1に示された電子装置のA−Aにおける縦断面図を示している。
【図3】図1に示された電子装置の平面透視図を示している。
【図4】図2に示された電子装置における磁束の状態を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における電子装置の分解斜視図を示している。
【図6】図5に示された電子装置の平面透視図を示している。
【図7】本発明の第3の実施形態における電子装置の分解斜視図を示している。
【図8】図7に示された電子装置の平面透視図を示している。
【図9】本発明の第4の実施形態における電子装置の縦断面図を示している。
【図10】図9に示された電子装置の平面透視図を示している。
【図11】図9に示された電子装置の下面透視図を示している。
【図12】図9に示された電子装置における磁束の状態を模式的に示す図である。
【図13】図11に示された電子装置の他の例を示す下面透視図である。
【図14】図11に示された電子装置の他の例を示す下面透視図である。
【図15】第1〜第3の実施形態における電子装置の他の例1を示す分解斜視図である。
【図16】第1〜第3の実施形態における電子装置の他の例2を示す縦断面図である。
【図17】第1〜第3の実施形態における電子装置の他の例3を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1〜図3に示されているように、第1の実施形態における電子装置は、インダクタ部品1と、インダクタ部品1の下方に設けられたIC素子2とを含んでいる。インダクタ部品1およびIC素子2は、例えば電子部品モジュールを構成する回路基板3上に実装される。
【0014】
インダクタ部品1は、板状の基体部11と、基体部11の下面に設けられた脚部12と、基体部11に埋設されたコイル導体13とを含んでいる。図3において、脚部12、コイル導体13およびIC素子2は、基体部11を透視した状態で破線によって示されており、コイル導体13は、ドット模様によって塗りつぶされている。
【0015】
基体部11および脚部12は、磁性材料を含んでおり、焼成によって一体的に形成されている。基体部11および脚部12によって、磁性材料構造体が構成されている。例示的な基体11および脚部12は、99質量%以上のフェライトおよび1質量%未満のガラスから成り、フェライトは、高い透磁率を得るという観点において、ZnFe2O4,MnFe2O4,FeFe2O4,CoFe2O4,NiFe2O4,BaFe2O4,SrFe2O4およ
びCuFe2O4のうちの少なくとも1種類であることが好ましい。
【0016】
基体部11は、板形状を有しており、互いに積層された第1の層111〜第3の層113を含んでいる。図2において、第1の層111〜第3の層113の界面は、仮想の二点鎖線によって示されている。第2の層112は、第1の層111の上に積層されており、第3の層113は、第2
の層112の上に積層されている。
【0017】
脚部12は、コイル導体13の直下に設けられている。本実施形態において、脚部12が“コイル導体13の直下に設けられている”とは、単にコイル導体13の基体部11の側面への引出しパターンの直下に設けられていることではなく、コイル導体13の平面透視において基体部11の中心部を囲んでいる部分の少なくとも一部分の直下に設けられていることをいう。脚部12は、枠形状を有しており、IC素子2が配置された空間を含んでいる。
【0018】
コイル導体13は、平面透視において基体部11の中心部を囲むような形状を有しており、基体部11に埋設されている。平面透視において、コイル導体13の幅方向13wにおける形成領域は、脚部12の幅方向12wにおける形成領域内に含まれている。コイル導体13は、平面視において直線部分131および角部分132を含む形状を有しており、脚部12が、直線部分131の直下に位置している。コイル導体13は、第1の層111の上面に形成された第1のコイルパターン131と第2の層112の上面に形成された第2のコイルパターン132とを含んでいる
。第1のコイルパターン131および第2のコイルパターン132は、基体部11の第2の層112
に設けられたビア導体によって電気的に接続されている。図1において、第1のコイルパターン131および第2のコイルパターン132の電気的な接続関係が点線によって示されている。
【0019】
IC素子2は、インダクタ部品1の基体部11の下面と脚部12とによって囲まれた空間14に設けられている。IC素子2は、例えばDC−DCコンバータにおける制御用IC素子である。IC素子2とインダクタ部品1のコイル導体13とは電気的に接続される。
【0020】
以下、磁性材料としてフェライトを含むインダクタ部品1の製造方法について説明する。インダクタ部品1の製造方法は、フェライトを含むスラリーを得る工程と、スラリーを用いてフェライトグリーンシートを得る工程と、コイルパターンを含む積層体を得る工程と、積層体を焼成する工程とを含んでいる。
【0021】
スラリーは、フェライト粉末に適当な有機バインダ、可塑剤および有機溶剤等が混合されて得られる。フェライト粉末は、フェライトグリーンシートの焼結状態において均一化を図るために、仮焼が施されており、粒径の均一化が図られており、球形状に近い形状を有するものがよい。フェライト粉末に部分的に小さい粒径の粒子が含まれている場合、その小さい粒径の粒子の部分のみ結晶粒の成長が低下し、焼結後に得られるフェライト層の透磁率が安定しにくい傾向がある。
【0022】
フェライトグリーンシートは、スラリーを用いて、ドクターブレード法、圧延法およびカレンダーロール法等によって製造される。積層体は、一部のフェライトグリーンシートにコイルパターンが形成されている複数のフェライトグリーンシートを含んでいる。コイルパターンは、銅(Cu),銀(Ag),金(Au)または銀合金等の金属粉末に適用な有機バインダおよび溶剤が混練された導体ペーストを、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法等によってフェライトグリーンシートの表面に塗布することによって形成される。
【0023】
本実施形態におけるインダクタ部品1は、磁性材料を含んでおり基体部11の下面に設けられた脚部12を含んでおり、脚部12は、基体部11に埋設されたコイル導体13の直下に設けられていることによって、例えば基体部11の下面と脚部12とによって囲まれた空間14にIC素子2を設けてインダクタ部品1を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0024】
図4に示されているように、コイル導体13の周囲に形成される磁束線130は、脚部12に
入り込むように分布している。したがって、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。その結果、インダクタ部品1を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0025】
本実施形態のインダクタ部品1において、コイル導体13の幅方向13wにおける形成領域が、平面透視において、脚部12の幅方向12wにおける形成領域内に含まれている場合、コイル導体13の周囲に発生する磁束が脚部12内に入り易くなり、インダクタ部品1のインダクタンス値がさらに向上される。その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。
【0026】
本実施形態のインダクタ部品1において、コイル導体13が、平面視において直線部分131および角部分132を含む形状を有しており、脚部12が、直線部分131の直下に位置してい
る場合、直線部分131は角部分132に比べてコイル導体13の中心に近くまた比較的均一な磁場を発生し易いため、インダクタ部品1のインダクタンス値がさらに向上される。その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。
【0027】
本実施形態における電子装置は、上述のインダクタ部品1と、インダクタ部品1の基体部11の下面と脚部12とによって囲まれた空間14に設けられたIC素子2とを含んでいることによって、インダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0028】
(第2の実施形態)
図5および図6を参照して、本発明の第2の実施形態における電子装置について説明する。本実施形態の電子装置において、第1の実施形態における電子装置と異なる構成は、第1の実施形態における枠形状の脚部12に代えて直線状の複数の脚部22aおよび22bを有することである。その他の構成は、第1の実施形態における電子装置と同様である。
【0029】
複数の脚部22aおよび22bは、下面視において矩形状の基体部11の一対の辺に沿って配置されている。IC素子2は、複数の脚部22aおよび22bによって挟まれた空間に設けられている。
【0030】
本実施形態におけるインダクタ部品1は、磁性材料を含んでおり基体部11の下面に設けられた複数の脚部22aおよび22bを含んでおり、複数の脚部22aおよび22bは、基体部11に埋設されたコイル導体13の直下に設けられていることによって、例えば基体部11の下面と脚部22aおよび22bとによって囲まれた空間にIC素子2を設けてインダクタ部品1を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0031】
本実施形態のインダクタ部品1において、コイル導体13の幅方向13wにおける形成領域が、平面透視において、複数の脚部22aおよび22bの幅方向22wにおける形成領域内に含まれている場合、コイル導体13の周囲に発生する磁束が複数の脚部22aおよび22b内に入り易くなり、インダクタ部品1のインダクタンス値がさらに向上される。その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。
【0032】
本実施形態のインダクタ部品1において、コイル導体13が、平面視において直線部分131および角部分132を含む形状を有しており、複数の脚部22aおよび22bが、直線部分131
の直下に位置している場合、インダクタ部品1のインダクタンス値がさらに向上される。
その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。
【0033】
本実施形態のインダクタ部品1において、直線状の複数の脚部22aおよび22bが基体部11の下面における一対の辺に沿って設けられていることによって、例えばIC素子2の実装領域以外に他の電子部品を実装する等、基体部11の下面を有効に利用することができる。
【0034】
本実施形態における電子装置は、上述のインダクタ部品1と、インダクタ部品1の基体部11の下面と複数の脚部22aおよび22bとによって囲まれた空間に設けられたIC素子2とを含んでいることによって、インダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0035】
本実施形態の電子装置において、IC素子2が複数の脚部22aおよび22bによって挟まれた空間に設けられていることによって、IC素子2によって発生された熱が複数の脚部22aおよび22bの間から放散され、電子装置の放熱性が向上されている。
【0036】
(第3の実施形態)
図7および図8を参照して、本発明の第3の実施形態における電子装置について説明する。本実施形態の電子装置において、第1の実施形態における電子装置と異なる構成は、第1の実施形態における枠形状の脚部12に代えて柱状の複数の脚部32a〜32dを有することである。その他の構成は、第1の実施形態における電子装置と同様である。
【0037】
複数の脚部32a〜32dは、下面視において矩形状の基体部11の4つの角部分に配置されている。IC素子2は、複数の脚部32a〜32dによって囲まれた空間に設けられている。
【0038】
本実施形態におけるインダクタ部品1は、磁性材料を含んでおり基体部11の下面に設けられた複数の脚部32a〜32dを含んでおり、複数の脚部32a〜32dは、基体部11に埋設されたコイル導体13の直下に設けられていることによって、例えば基体部11の下面と複数の脚部32a〜32dとによって囲まれた空間にIC素子2を設けてインダクタ部品1を含む複数の電子部品の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0039】
本実施形態のインダクタ部品1において、コイル導体13の幅方向13wにおける形成領域が、平面透視において、複数の脚部32a〜32dの幅方向22wにおける形成領域内に含まれている場合、コイル導体13の周囲に発生する磁束が複数の脚部32a〜32d内に入り易くなり、インダクタ部品1のインダクタンス値がさらに向上される。その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1の低背化が図られる。
【0040】
本実施形態のインダクタ部品1において、複数の柱状の脚部32a〜32dがコイル導体13の複数の角部分の直下に設けられていることによって、コイル導体13の中心から遠いコイル導体13の角部分における特性が向上されており、コイル導体13の直線部分および角部分における特性の差が低減されている。
【0041】
本実施形態のインダクタ部品1において、柱状の複数の脚部32a〜32dが基体部11の下面における角部分に設けられていることによって、例えばIC素子2の実装領域以外に他の電子部品を実装する等、基体部11の下面を有効に利用することができる。
【0042】
本実施形態における電子装置は、上述のインダクタ部品1と、インダクタ部品1の基体部11の下面と複数の脚部32a〜32dとによって囲まれた空間に設けられたIC素子2とを含んでいることによって、インダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の実装面積を低減させ、かつインダクタ部品1の特性を向上させてインダクタ部品1およびIC素子2を含む電子装置の低背化を図ることができる。
【0043】
本実施形態の電子装置において、IC素子2が複数の脚部32a〜32dによって囲まれた空間に設けられていることによって、IC素子2によって発生された熱が複数の脚部32a〜32dの間から放散され、電子装置の放熱性が向上されている。
【0044】
(第4の実施形態)
図9〜図11を参照して、本発明の第4の実施形態における電子装置について説明する。図11において、IC素子2は透視された状態で二点鎖線によって示されている。本実施形態の電子装置において、第1の実施形態における電子装置と異なる構成は、磁性傾斜部15をさらに含んでいることである。その他の構成は、第1の実施形態における電子装置と同様である。
【0045】
磁性傾斜部15は、基体部11の下面および脚部12の内側側面に接して設けられており、コイル導体13の斜め下方に配置されている。磁性傾斜部15は、基体部11の下面から脚部12の内側側面にかけて設けられた傾斜面15aを有しており、傾斜面15aは、平面的な形状を有している。傾斜面15aは、コイル導体13の斜め下方に設けられている。
【0046】
図10に示されているように、磁性傾斜部15は、平面透視において基体部11の中心部を囲むような矩形状を有しており、磁性傾斜部15の形成領域が、平面透視においてIC素子2の縁に重なっている。図10において、磁性傾斜部15の形成領域は、2つの破線枠によって挟まれた領域である。平面透視において、磁性傾斜部15の形成領域は、平面透視において、導体コイル13の形成領域よりも内側に位置している。平面透視において、磁性傾斜部15は、導体コイル13を囲むように設けられている。
【0047】
本実施形態におけるインダクタ部品1は、磁性傾斜部15をさらに含んでいることによって、コイル導体13から斜め下方へ広がろうとする磁束線を磁性傾斜部15の傾斜面15aにおいて脚部12または基体部11へ導くことができ、所定の電圧におけるインダクタ部品1のインダクタンス値をさらに向上させることができる。その結果、所定のインダクタンス値を有するインダクタ部品1の基体部11を薄くすることができ、インダクタ部品1のさらなる低背化を図ることが可能となる。図12に模式的に示されているように、本実施形態におけるインダクタ部品1において、コイル導体13から斜め下方へ広がろうとする磁束線は、コイル導体13の斜め下方に設けられた磁性傾斜部15の傾斜面15aにおいて抑えられつつ脚部12または基体部11へ導かれることによって、インダクタ部品1の内部から空間14へ漏れ出す可能性が低減されている。
【0048】
図13に示されているように、磁性傾斜部を有する構造は、第2の実施形態における電子装置においても適用することができる。図13において、磁性傾斜部25は、脚部22aおよび22bのそれぞれから基体部11の中央部へ向かって形成されている。
【0049】
図14に示されているように、磁性傾斜部を有する構造は、第3の実施形態における電子装置においても適用することができる。図14において、磁性傾斜部35は、脚部32a〜32dのそれぞれにおいて基体部11の中央部に近い2つの側面から基体部11の下面にかけて形成されている。
【0050】
(第1〜第3の実施形態の他の例1)
図15を参照して、第1〜第3の実施形態の他の例1を第1の実施形態の変形例として説明する。この他の例1は、第2および第3の実施形態にも適用され得る。他の例1の電子装置において、コイル導体13は、同一平面上において複数周巻かれている。例えば、第1のコイルパターン131は、第1の層111の上面において2周巻かれており、第2のコイルパターン132は、第2の層112の上面において2周巻かれている。他の例1において、脚部12は、複数周巻かれているコイル導体13の少なくとも一部の周の直下に設けられていればよい。
【0051】
(第1〜第3の実施形態の他の例2)
図16を参照して、第1〜第3の実施形態の他の例2を第1の実施形態の変形例として説明する。この他の例2は、第2および第3の実施形態にも適用され得る。他の例2の電子装置において、脚部12は、段差部121を有している。IC素子2は、基体部11の下面に接
合されて、脚部12の段差部121に形成された導体パッドにボンディングワイヤによって電
気的に接続されている。
【0052】
(第1〜第3の実施形態の他の例3)
図17を参照して、第1〜第3の実施形態の他の例3を第1の実施形態の変形例として説明する。この他の例3は、第2および第3の実施形態にも適用され得る。他の例3の電子装置において、基体部11の第1の層111〜第3の層113は、部分的に異なる透磁率を有している。具体的には、複数のコイルパターン131および132間の第2の層112の透磁率が、第
2の層112を挟んでいる第1の層111および第3の層113の透磁率よりも低い。上下方向に
位置する複数のコイルパターン131および132間では磁束の方向が異なり打ち消し合うため、第2の層112の透磁率を低くすることで、磁束の打ち消し合う力を弱めることができ、
重畳特性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 インダクタ部品
11 基体部
111〜113 第1〜第3の層
12 脚部
13 コイル導体
131、132 第1および第2のコイルパターン
14 空間
2 IC素子
3 回路基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基体部と、
磁性材料を含んでおり、前記基体部の下面に設けられた脚部と、
平面透視において前記基体部の中心部を囲むような形状を有しており、前記基体部に埋設されたコイル導体とを備えており、
前記脚部が、前記コイル導体の直下に設けられていることを特徴とするインダクタ部品。
【請求項2】
平面透視において、前記コイル導体の幅方向における形成領域が、前記脚部の幅方向における形成領域内に含まれていることを特徴とする請求項1記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記コイル導体は、平面視において直線部分および角部分を有する形状を有しており、前記脚部が、前記直線部分の直下に位置していることを特徴とする請求項1記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記基体部の下面および前記脚部の内側側面によって囲まれた空間において前記基体部の前記下面および前記脚部の前記内側側面に接して設けられており、前記基体部の前記下面から前記脚部の前記内側側面にかけて設けられた傾斜面を有している磁性傾斜部をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載のインダクタ部品。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたインダクタ部品と、
該インダクタ部品の前記基体部の下面と前記脚部とによって囲まれた空間に設けられたIC素子とを備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項1】
板状の基体部と、
磁性材料を含んでおり、前記基体部の下面に設けられた脚部と、
平面透視において前記基体部の中心部を囲むような形状を有しており、前記基体部に埋設されたコイル導体とを備えており、
前記脚部が、前記コイル導体の直下に設けられていることを特徴とするインダクタ部品。
【請求項2】
平面透視において、前記コイル導体の幅方向における形成領域が、前記脚部の幅方向における形成領域内に含まれていることを特徴とする請求項1記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記コイル導体は、平面視において直線部分および角部分を有する形状を有しており、前記脚部が、前記直線部分の直下に位置していることを特徴とする請求項1記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記基体部の下面および前記脚部の内側側面によって囲まれた空間において前記基体部の前記下面および前記脚部の前記内側側面に接して設けられており、前記基体部の前記下面から前記脚部の前記内側側面にかけて設けられた傾斜面を有している磁性傾斜部をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載のインダクタ部品。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたインダクタ部品と、
該インダクタ部品の前記基体部の下面と前記脚部とによって囲まれた空間に設けられたIC素子とを備えたことを特徴とする電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図12】
【公開番号】特開2012−109518(P2012−109518A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101133(P2011−101133)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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