説明

インピーダンス制御ケーブルコネクタ

【課題】コネクタの各信号芯線の両端に制御されたインピーダンスを提供するよう調整できる電気コネクタ組立を提供する。
【解決手段】コネクタは、それぞれソケットの接点を受けるよう構成された複数の縦方向のチャンネルを有する絶縁材料から形成された平面コネクタ本体20を備える。コネクタ組立は、複数の前記平面コネクタ本体と、これら複数の平面コネクタ本体がスタックされた構成で固定する保持ロッドとから構成される。各コネクタ本体は2つの長手方向のエッジ、フロントエッジ、バックエッジを有し、長手方向のエッジの少なくともいずれか一方に係合面を含み、該係合面は複数のコネクタ本体が互いの上に積み重ねられると整列され、前記保持ロッドは、整列された複数のコネクタ本体の係合面を確実に係合するよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブル、ツインコンダクタケーブル、および/またはツイストペアケーブル用のコネクタに関する。本発明は、コネクタを通じて制御インピーダンスが嵌め合い面からケーブル端へ提供されるような、上記タイプのシールドケーブルの終端に特に適している。
【背景技術】
【0002】
当業界では、シールドケーブルの終端を行うための様々なコネクタが知られている。このようなコネクタは、1つの用途タイプ向けに設計されているのが一般であり、異なる信号/接地構成などや、あるいはハンダ付けまたは溶接などの異なるタイプの接続方法に使用できるように変更することは一般的には容易ではない。更に、既知のコネクタは一般に組立てが難しく、複数の成形ステップ、電気接点のオーバーモールド等々、コネクタ製造プロセスに時間と費用のかかるものが多い。最後に、先行技術に基づくコネクタは、高性能システムの場合に十分な性能特性を備えていないことが多い。不十分な性能特性としては、例えば、コネクタ内のインピーダンスを制御できないこと、あるいはコネクタインピーダンスを当該コネクタを使用するシステムのそれに一致させることができないことなどがある。明らかに必要とされているものは、その使用においてより大きな柔軟性を備え、また製造が簡単で経済的なコネクタである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本願に記載された発明は、代替用途向けに簡単に組立および構成され、またコネクタの各信号芯線の両端に制御されたインピーダンスを提供するよう調整できる電気コネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡単にいうと、本発明は、シールドケーブルを終端し、規則正しく配した接続ピンにケーブルを接続するためのコネクタを提供する。このコネクタは、それぞれソケットの接点を受けるよう構成された複数の縦方向のチャンネルを有する絶縁材料から形成された平面コネクタ本体を備える。平面導電性接地板は、コネクタ本体の底面をカバーし、複数の各ソケット接点を横切って延在している。この接地板は、ケーブルのシールドと電気接触を行って、各ソケット接点から等距離に接地平面を確立する。カバー部材は、当該ソケット接点を密閉する。
【0005】
複数のこれらのコネクタは共に積み重ね、コネクタ本体上の嵌め合う係合面に固定される保持ロッドにより積み重ねた構成に保持できる。このコネクタのスタックでは、接地板に電気的に接続される導電性部分をカバー部材に設けることができ、この部分において、カバー部材の導電性部分は、コネクタ本体の上側より上に延在し、上に積み重ねられたコネクタの接地板と電気接続を行う。このようにして、コネクタのスタック内の接地板の各々が、同じ大地電位にあることが保証され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本書に記載のケーブルコネクタの1つの実施態様の分解斜視図である。
【図2】図1のコネクタに使用されるソケット接点の拡大斜視図である。
【図3a】コネクタ本体へのソケット接点の挿入を図示した斜視図である。
【図3b】コネクタ本体へのソケット接点の挿入を図示した斜視図である。
【図4】図1の組立コネクタ底側の斜視図である。
【図5】カバー部材のない組立コネクタの斜視図である。
【図6】カバー部材付きの組立コネクタの斜視図である。
【図7a】組立コネクタのスタックの斜視図である。
【図7b】組立コネクタのスタックの斜視図である。
【図8a】ピンヘッダで係合したスタック式コネクタの斜視図である。
【図8b】ピンヘッダで係合したスタック式コネクタの斜視図である。
【図9】カバーの代替実施態様を示すコネクタの拡大斜視図である。
【図10】図9の組立コネクタの底側の斜視図である。
【図11】カバーの他の代替実施態様を示すコネクタの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1の拡大図に示す本発明のコネクタ18は、絶縁性の誘電材料から形成されたコネクタ本体20、複数のソケット接点22、平面導電性接地板24、およびカバー部材26を含む。複数のコネクタ本体が共に積み重ねられるときに保持ロッド28を使用することができる。図1には、コネクタ18が1組のツインコンダクタケーブル30と一緒に使用されている。しかし、下記に詳細に記すように、本発明のコネクタ18は、同軸またはツイストペアケーブルなどの、他のタイプのシールドケーブルと一緒に使用してもよい。
【0008】
コネクタ本体20は、上面32とそれと反対側の底面34とを含む。この上面と底面32、34は、フロントエッジ36、バックエッジ38、および2つの長手方向のサイドエッジ40によって画定される。コネクタ本体20の上面32は、フロントエッジ36の開口部43からバックエッジ38の方向へ延在するリブ45によって分けられた複数のチャンネル42を含む。チャンネル42は、ソケット接点22を受けて、コネクタ本体20内にソケット接点22を確実に保持するよう構成されている。
【0009】
図2に最もよく示されているように、ソケット接点22は、コネクタ18の使用時に開口部43に挿入された対応接続ピン(図示されていない)に係合するよう構成された弾力のある接点部44を含む。シャンク46は、弾力のある接点部44からソケット端子48へと延在している。シャンク46と端子48の幅と高さは、以下により詳細に説明する接地板24によって提供される接地平面と既知のマイクロストリップ関係にある特性インピーダンスを制御するよう選択してもよい。この特性インピーダンスはまた、接点22と接地板24の間のコネクタ本体20の部分の厚みを変えることにより、あるいはコネクタ本体20の材料の誘電率を変えることによって制御してもよい。
【0010】
ソケット接点22はまた、ソケット接点22を正しくチャンネル42内に位置付け、またハウジングに傷をつけずに接点22を脱着可能に各チャンネル42内に保持するスプリング部材50を含んでいるので、個々のソケット接点22は、ハウジングを傷つけることなく交換できる。ソケット接点22には、コネクタ本体20を摩擦によって係合させてソケット接点22の位置を保持しやすくする形状をした追加保持要素52を設けることができるが、このような槍状または鋸歯状の要素は、接点の交換を困難にする場合がある。コネクタ全体18を操作不能にせずに、比較的低コストで壊れた接点を交換できるよう、脱着可能なソケット接点22を有することが有利である。
【0011】
図3aと3bで最もよく示されているように、ソケット接点22は、縦にスライドしてコネクタ本体20内の嵌め合いチャンネル42に入るよう構成されている。接点22がスライドして所定の位置におさまると、ソケット端子48が凹部54をチャンネル42の壁の中に係合させる。このようにして、ソケット接点22はチャンネル42の底に対して確実に保持され、それによりコネクタの両端のインピーダンス変動を引き起こす恐れのあるソケット接点とコネクタ本体20間のエアギャップを除去する。これがないとケーブル30の信号線74のスプリング力によって端子48が持ち上がってコネクタ本体20から離れやすくなる場合があるので、これは重要である。ソケット接点22は、コネクタ本体20のフロントエッジ36の方へ更に移動されると、スプリング部材50がチャンネル42の壁の移動止め56にパチンとはまる。この点においてソケット接点22が正しく配置されてそのチャンネル42内に固定される。ソケット接点22は、移動止め56と係合したスプリング部材50と、凹部54と係合した端子48とによって、チャンネル42の外へ動かないようになる。接点22は、上記のように各チャンネル42内に配置される。
【0012】
ソケット接点22がコネクタ本体20の中に配置された後、接地板24は、コネクタ本体20の底側34に付加できる。接地板24は金属などの導電性材料で形成されます。接地板24は、1つ以上のソケット接点22を接地するよう選択的に変形できる変形可能接地接点60を含む。この1つ以上の接地接点60は、ソケット接点22を接地させるために変形してもよい。このように、コネクタ18は、プログラマブル接地方式を提供することができる。
【0013】
接地接点60は、コネクタ本体20(図3bで最もわかりやすく図示)の底側34の中の開口部62によってソケット接点22と機械的および電気的な接続を行う。この接地接点60は、ソケット接点22とスプリング力だけの接触を行っても構わず、あるいはソケット接点22にハンダ付けまたは溶接してもよい。
【0014】
接地板24は、固定タブ64によってコネクタ本体20の底側34に固定される。固定タブ64は、コネクタ本体20(図4)の底側34内のスロットに係合する。固定タブ64がスロット66に配置された後、接地板24がコネクタ本体20のバックエッジ38の方へ動かされる。このスライドする動きによって、固定タブ64はスロット66の突起(図示されていない)に係合し、接地板24をコネクタ本体20の底側34に対してしっかりと引き付ける。固定タブ64は、接地板24がバックエッジ38の方へ動かされるとカム作用を起こす形状である。このカム作用は、コネクタ本体20に対して接地板を追い立て、それにより、コネクタの両端のインピーダンス変動を起こす恐れのあるエアギャップを排除する。このため、接地板24の材料は幾分弾力性のあるものが好ましい。当業者は他の適切な材料をすぐに認識するであろうが、ベリリウム銅合金は1つの適切な材料の1例である。接地板24と底側34との間のタイトフィットを更に保証するために、接地板24は、コネクタ本体20への取付前の状態では若干凹型の形状を有するよう形成して、固定タブ64が底側34の方へ接地板24の縁を引っ張ってそれにより底側34に対して接地板24を扁平にするようにするのが好ましい。接地板24が完全に所定の位置に配置されると、底側34上の切り上がった突起70は接地板24内の開口部72に係合する。このようにして、接地板24は、フロントエッジ36の方へ動いてコネクタ本体20から外れたりすることが防止される。
【0015】
接地板24がコネクタ本体20上に取り付けるこの方向(つまり、コネクタ18係合時に軸方向に引き出す方向)の結果、接地板24は、係合したコネクタ18の係合を外すときに外れることはない。特に、ケーブル30がコネクタ18に接続されるときに、ケーブル遮蔽73がハンダ付けまたは溶接などの他の手段によって接地板24に接続される。接地板24は(コネクタ18が使用されていないときにケーブルへかけられる)軸方向の引出し力の方向に取り付けられるため、ケーブルを引っ張ることにより、接地板24を外したり緩めたりすることにはならず、コネクタ本体20に接地板24を更に固定することになる。
【0016】
図4で示される通り、接地板24は、コネクタの各ソケット接点22を横切って延在している。これは、コネクタ18の性能にいくつかの利点を提供する。接地板24は電流戻り経路の一部であることから、コネクタ内に生成される自己インダクタンスを最小化するためにできるだけ広い戻り経路を提供するのが有利である。戻り経路が長く狭いと、発生する自己インダクタンスが大きくなり、コネクタ性能には有害である。接地板24の変形可能な接地接点60は、変形された接点60のベースがコネクタのフロントエッジ36の近くに配置されるよう配置されることに留意する。接地板24は当該コネクタの電流戻り回路の一部となり、また信号経路および設置経路の長さに差異があると、コネクタ内の自己インダクタンスも大きくなることから(またその結果インピーダンスも増大することから)、接地接点60は、嵌め合いピンヘッダ106の接地ピンなど、嵌め合い接地部品の係合点にできるだけ近くに位置付けることが有利である。代替実施態様では、接地接点60は、嵌め合いピンヘッダの接地ピンに接触するような形状にできる。このようにして、信号経路と接地経路の長さは、できるだけ同じ長さに近くに保持され、それによって当該コネクタ内の自己インダクタンスを最小化する。
【0017】
最後に、接地板24を各接点22を横切って延在させることにより、接地平面は、コネクタのインピーダンスが各信号線で綿密に制御されるようにするコネクタ全体を差し渡して確立される。接地板24を上記の方法で固定することにより、ソケット接点22と接地板24により生まれる接地平面との間の間隔は一定かつ均一な距離に維持される。ソケット接点22は、接地平面を有するマイクロストリップ形状と呼ばれるものを形成する。マイクロストリップ形状を有するデバイスのインピーダンスを決定するための方法が当業界で知られており、接地平面とソケット接点22との間の間隔を均一な距離に維持することにより、コネクタ18のインピーダンスが最適なコネクタ性能が得られるように細かく制御および調整できることが認識されるであろう。例えば、インピーダンスは、ソケット接点の幅と厚みを変えることにより、コネクタ本体20を形成する材料の誘電率を変えることにより、あるいは接点22と接地板24との間の材料の厚みを変えることにより、調整することができる。ソケット接点22と接地平面との間の間隔がコネクタ18の両端で変動する場合は、各ソケット接点22は異なるインピーダンスを経験し、そのためコネクタを通過する信号の劣化を起こす。このようなインピーダンス変動はコネクタの帯域幅を制限し、数多くの高性能システムでは受け入れ不能である。
【0018】
接地板24がコネクタ本体20に接続された後で、ケーブル30をコネクタ18に接続することができる。ケーブル30の信号芯線74は、当該ソケット接点22の端子48に接続される一方、ケーブルシールド73が接地板24に接続される。これは図4および図5で確認することができる。図5では、固定タブ64も、ケーブルシールド73の接続用のハンダタブとしても機能できることが理解できる。ケーブル30の信号芯線74がハンダ付けにより接点端子48に接続されるのが普通であるが、他の接続方法を使用してもよい。例えば、信号芯線74をソケット端子48に溶接するのが望まれる場合もある。このため、コネクタ本体20には、点検用窓78(図3bで最も詳しく図示)が設けられる。点検用窓78によって、信号芯線30を端子48に溶接できるよう電極をソケット端子48の両側に到達させることができる。もちろん、接地板24は、接地板24がコネクタ本体20上に取り付けられた後に点検用窓78を覆うことから、このような溶接は、接地板24の取付前に行う必要があろう。あるいは、端子48を点検するための点検孔を接地板24にも設けることができる。接地板24はまた、バックエッジ38の近くのいくつかの点検用窓80を含む。点検用窓80は、例えば、ケーブル30の電気シールド73を接地板24に接続するためのハンダペーストの使用を可能にする。接地板24にはまた、信号芯線74を端子48への接続用の正しい高さに配置するのを助ける隆起したひだ82を設けてもよい。
【0019】
チャンネル42を分けるリブ45は、ケーブルオーガナイザとして機能し、ケーブル30をチャンネル42へ導き、ケーブル信号芯線74を端子48上に正しく配置するのを助けることに留意する。図5で最もよく図示されているように、リブ45は、信号芯線74を正しく整列させるのに必要な分だけ、バックエッジ38に方へ延在している。これにより、信号芯線74は、信号芯線74の大きな曲がりを必要とすることなく、様々な接触端子48により簡単にルーティングすることができる。
【0020】
ケーブル30が接点22と接地板24に固定された後にカバー部材26を取り付けてコネクタ18の組立を完成してもよい。カバー部材26は、図1で最もよく分かるように、カバー部材26をコネクタ本体20のバックエッジ38からフロントエッジ36にスライドさせることによってコネクタ本体に固定される。カバー部材26がスライドして所定の位置にはまると、カバー26上のガイドレール84がコネクタ本体20内のスロット86に係合して、カバー部材26を正しく配置および固定する。カバー部材26がコネクタ本体20と完全に係合すると、レール84上のラッチ要素88がコネクタ本体20内の戻り止め90にしっかりと係合する一方、カバー部材26のフロントエッジのリップ92がコネクタ本体20のエッジ94の下に固定される。このようにして、図6に記載された組立コネクタ18は使用可能状態になる。
【0021】
ほとんどの用途では、複数の組立コネクタ18が互いに結合されて、「スタック式」コネクタとして使用される。スタック式の一連のコネクタの例は、図7aと図7bに示されている。これらの図でわかる通り、これらのコネクタは、保持ロッド28によって互いに固定される。保持ロッド28は、コネクタ本体20のサイドエッジ40上の嵌め合い凹部100に係合するよう構成される。凹部100は、保持ロッド28に沿って、保持ロッド28内の嵌め合い溝104を掛けるための突出リブ102を含む。溝104は、複数のコネクタ18が互いに保持ロッド28によって積み重ねられ固定されるときにコネクタ18が互いに対して確実に保持されるような間隔に配置される。スタックされた各コネクタ18間の圧縮力を保持ロッド28が提供できるよう、保持ロッド28の材料はある程度弾力性をもつことが好ましい。ただし、保持ロッドの材質はまた、スタックされた各コネクタ18を他のすべての次元において正しく整列させるのに十分な剛性を有するものでなければならない。
【0022】
保持ロッド28は、コネクタ本体20を形成する材料のデュロメータよりも低いデュロメータを有する高分子材料から形成されるのが好ましい。このようにして、保持ロッド28は、保持ロッド28がコネクタ本体20に係合するとコネクタ本体20の材質に降伏する。あるいは、保持ロッド28は、コネクタ本体20が保持ロッド28の材料に降伏するよう、コネクタ本体20を形成する材料のデュロメータより大きなデュロメータを有する材料で形成してもよい。
【0023】
積み重ねられた一連のコネクタは、図8aと8bに示すように、嵌め合いピンヘッダ106に係合させることができる。当業者であれば、保持ロッド28と凹部100の構成によって、目的とする機能を果たすことを確保しつつも、様々な形状への変更が可能であることを認識するであろう。例えば、保持ロッド28を受けるためにコネクタ本体20内に凹部100を設けるのではなく、突起(図示されていない)をコネクタ本体20から延在させ、保持ロッド28がその突起に係合するよう構成することができる。
【0024】
コネクタ18と本書に記載する積み重ね方法によって、パワードシステムのピンヘッダ106からコネクタのスタック全体の接続を切断することなく、一連の積み重ねられたコネクタ内の単一のコネクタ18を交換することが可能となる。一般に「ホットスワップ」と呼ばれるこれは、積み重ねられたコネクタから凹部100から保持ロッド28を簡単に取り外し、ピンヘッダ106から単一のコネクタ18を引き抜くことによって達成できる。取り外したコネクタ18は、次に必要な調整を行った後に再挿入することができ、あるいは新しいコネクタをその代わりに取り付けることもできる。保持ロッド28は次に、コネクタのスタックを固定するために再度取り付けられる。これは、コネクタ18のスタック全体をピンヘッダから取り外すことが必要で、また更に1つのコネクタの交換にコネクタのスタック全体の分解を要した先行技術のスタッカブルコネクタに対して大きな利点である。さらに、上記の接地板24の取り付け方法では、単一のコネクタ18は、接地板24がコネクタ本体20から外れる可能性なしに、ケーブル30を引っ張って取り外すことができる。
【0025】
ピンヘッダ106のピンフィールドとコネクタ18とのアライメントを容易にするため、コネクタ本体20に、任意のガイドレール108を設けてもよい。これは、ピンヘッダ106の中に組立コネクタ18を導くのに有益である。ガイドレール108は、ピンヘッダ106内の溝110と嵌め合うよう構成される。ガイドレール108と溝110の位置と形状は、コネクタ18の使用法または用途によって変わる場合がある。更に、ガイドレール108は、ピンヘッダ106との誤った接続を防止するためにコネクタ分極キーとして機能することができる。
【0026】
コネクタ18とピンヘッダ106に他の特徴を設けてもよい。例えば、図8bに示すように、コネクタ18のスタックをピンヘッダ106内に固定するための保持ラッチ112をピンヘッダ106に設けてもよい。ラッチ112は、コネクタ20のバックエッジ38でリップ114を係合させるよう設計されている。
【0027】
コネクタは2つのツインコンダクタケーブル用に設定されたものであるが、同軸ケーブルまたはツイストペアケーブルなど、他の番号および種類のケーブルをこのコネクタに使用してもよい。接地板24内の同一のコネクタ本体20を、異なるタイプまたは番号のケーブルに使用してもよい。但し、異なる番号または種類のケーブルには少し修正されたカバー部材26’が望まれる場合がある。例えば、図9と10は、上記のコネクタ本体20、接点22、および接地板24と3つの同軸ケーブル30’を使用した場合を図示したものである。若干異なるサイズおよび形状の同軸ケーブル30’を対応するために、若干修正されたカバー部材26’が提供される。ただし、カバー部材26’のガイドレール84、ラッチ機構88、およびリップ92は、カバー部材26について既に説明したものと同一である。
【0028】
場合によっては、導電性材料からカバー26を形成すること、あるいはカバー26の各部を金属メッキすることなどによって導電性部分を有するカバー26を提供すること、そして次にカバー26の導電性部分を接地板24に電気的に接続することが望まれることがある。このような修正されたコネクタ18”とカバー26”は図11に示した。カバー26”には、カバー26”の上に積み重ねられるコネクタの接地板24と電気的接触をもつスプリング接点116が設けられる。カバー26”は、コネクタ本体20を通じて接地板24の固定タブ64を延在させてカバー26”と接触することなどによって、コネクタ18”の接地板24と電気的接触を行ってもよい。カバー26”を接地板24と電気的に接続することにより、コネクタ18”に追加シールドが設けられ、またコネクタ18”のスタック内の各コネクタが同じ大地電位にあると保証することができる。
【0029】
上述の本発明は、先行技術のコネクタに比べて数多くの利点を提供する。接地板24内のプログラマブル接地接点60を使用すると、コネクタ本体またはカバー部材への設計変更を要することなく、信号接点および接地接点の構成について完全な柔軟性が確保される。幅広の接地板24は、低インピーダンスの電流戻り経路を提供し、接地板24が創出する接地平面とソケット接点22との間の均一な間隔によって、コネクタインピーダンスは、接地板24により提供される接地平面との既知のマイクロストリップ関係の中で制御できる。簡素化されたスタック要素により、コネクタ18はいくつでも、追加部品を使用せずに積み重ねることができ、またコネクタ18のスタックの容易な分解と、また更にコネクタのスタック内の単一のコネクタの「ホットスワップ」を可能にする。
【0030】
本発明は、本書において、一定の図示した実施態様に関して説明してきた、すべての修正、代替構造、および本発明の精神と範囲に属する等価物を包含することを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、ケーブルコネクタを製造、使用をする産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
18.コネクタ、 20.コネクタ本体、 22.ソケット接点、 24.平面導電性接地板、 26.カバー部材、 28.保持ロッド、 30.ツインコンダクタケーブル、 32.上面、 34.底面、 36.フロントエッジ、 38.バックエッジ、 40.サイドエッジ、 60.変形可能接地接点、 86.スロット、 88.ラッチ要素(ラッチ機構)、 100.嵌め合い凹部、 102.突出リブ、 104.嵌め合い溝、 106.嵌め合いピンヘッダ、 108.ガイドレール、 110.溝、 112.保持ラッチ、 114.リップ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の平面コネクタ本体であって、各コネクタ本体は2つの長手方向のエッジと、フロントエッジと、バックエッジとを有し、前記複数の平面コネクタ本体はそれぞれ前記長手方向のエッジのうち少なくとも1つに係合面を含み、各係合面は、前記複数のコネクタ本体が互いの上に積み重ねられると前記各係合面が互いに整列されるよう配置されている、複数の平面コネクタ本体と、
前記複数の平面コネクタ本体が積み重ねられた構成で固定されるように、前記各係合面を確実に係合するよう構成された保持ロッドと、
を具備することを特徴とするスタック可能なコネクタ組立。
【請求項2】
各コネクタ本体の底面上に平面接地板と、前記複数のコネクタ本体のうちの少なくとも1つの上面に導電性部分とを更に具備し、
前記導電性部分が前記少なくとも1つのコネクタ本体の接地板に電気的に接続され、前記少なくとも1つのコネクタ本体の上面より上に突き出していることを特徴とする、請求項1記載のコネクタ組立。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−257997(P2010−257997A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181998(P2010−181998)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【分割の表示】特願2002−556981(P2002−556981)の分割
【原出願日】平成12年2月1日(2000.2.1)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】