説明

インピーダンス整合システム

【課題】各種パターンの整合回路を送信側回路の集積回路内部に実装することにより、送信側回路基板の面積を小さくすると共に、接続先のケーブルの特性インピーダンスが不明な場合でも、適切な整合回路が接続されるようにしたインピーダンス整合システムを提供する。
【解決手段】送信側回路から出力された信号を、FFCを介して接続された受信側回路で受信する場合に、送信側回路とFFCとの間のインピーダンス整合を図る。整合回路部は、送信側回路を構成する集積回路内部に実装されており、送信側回路の出力インピーダンスとFFCの特性インピーダンスとに応じて、複数の整合インピーダンスのうち選択された適切な整合インピーダンスにより、送信側回路とFFCとの間のインピーダンス整合を取る。これにより、送信側回路の出力信号の品質が向上し、受信側回路では、精度の高い処理を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信側回路から出力された信号を、ケーブルを介して接続された受信側回路で受信する場合に、前記送信側回路と前記ケーブルとの間のインピーダンス整合を図るためのインピーダンス整合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
信号を出力するIC(集積回路)化された回路(以下、送信側回路と言う)が実装された回路基板と、この送信側回路からの信号を受信するIC化された回路(以下、受信側回路)が実装された回路基板との間で、外部接続するのにFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)などのケーブルが用いられている。
【0003】
図6は、送受信側回路としては光ディスク装置における光ピックアップ回路であり、受信側回路としては同じく光ディスク装置における制御回路である場合の従来のインピーダンス整合の構成を説明するためのブロック図である。
【0004】
図6において、光ピックアップ回路基板91には、図示しないレーザダイオードを駆動させるLDD・IC(レーザ・ダイオード・ドライバの集積回路)92、レーザダイオードから出射されたレーザ光の光量を検出するFSPD・IC(フロント・センサ・フォト・ダイオードの集積回路)93、レーザダイオードから出射されたレーザ光が光ディスクで反射した反射光を検出するPD・IC(フォト・ディテクタの集積回路)94、およびコネクタ95などが実装されている。
【0005】
制御回路基板97には、光ディスク装置の各構成要素を制御するマイコン(マイクロコンピュータ)98などが実装されている。また、制御回路基板97には、光ピックアップ回路基板91のコネクタ95とを電気的に接続するためのFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)96の一方側が接続されている。また、光ピックアップ回路基板91には、FSPD・IC93およびPD・IC94の出力ラインに、FFC96の伝送線路長の特性インピーダンスに対するインピーダンス整合を行うための複数のダンピング抵抗99が実装されている。
【特許文献1】特開2000−269903号公報
【特許文献2】再公表WO2004/066499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、制御回路基板97上のマイコン98は、光ピックアップ回路基板91上のFSPD・IC93やPD・IC94の出力信号を基にサーボ制御を行っている。光ピックアップ回路基板91と制御回路基板97とは、FFC96で接続されていることが一般的であり、FFC96の伝送線路長の特性インピーダンスの影響で、FSPD・IC93やPD・IC94の出力信号は反射し、オーバーシュートやアンダーシュートが発生し、出力信号の品質が劣化する(図5の信号S1参照)。
【0007】
そこで、出力信号の品質の劣化の対策として、従来のインピーダンス整合の構成では、前記のように、光ピックアップ回路基板91には、FSPD・IC93およびPD・IC94の出力ラインに、FFC96の伝送線路長の特性インピーダンスに対するインピーダンス整合を行うための複数のダンピング抵抗99が実装されている。
【0008】
しかしながら、ダンピング抵抗による信号品質劣化の対策は、複数のダンピング抵抗99を外付けで光ピックアップ回路基板91に取り付けているので、その分、光ピックアップ回路基板91に対する実装面積が大きくなり、これに伴って光ピックアップ回路基板91の面積が大きくなって、コストアップにも繋がると言う課題がある。また、ダンピング抵抗99によるインピーダンス整合は、スルーレートの低下や、実装面積、実装位置などが問題となる。また、複数のダンピング抵抗99は、整合回路のパターンとしては固定であるので、各種パターンの整合回路には対応できず、汎用性が劣ると言う課題があった。なお、各種パターンの整合回路を光ピックアップ回路基板91に実装すると、実装面積が大きくなり、基板の面積には制限があるので、現実的ではない。
【0009】
要するに、従来のインピーダンス整合の構成では、複数のダンピング抵抗を外付けで送信側回路基板に取り付けているので、その分、送信側回路基板に対する実装面積が大きくなり、これに伴って送信側回路基板の面積が大きくなって、コストアップにも繋がると言う課題があった。また、複数のダンピング抵抗は、整合回路のパターンとしては固定であるので、整合回路としては汎用性が劣ると言う課題があった。
【0010】
なお、特許文献1の従来技術では、ケーブル断線や短絡などを検出回路が反射波の影響で正常に検出することができなくなることを回避するための整合回路を提供しているが、この整合回路は、規格化されたケーブル(例えば、同軸ケーブル 50Ω/75Ωなど)に対しての整合回路であり、接続先のケーブルの特性インピーダンスが分かっている場合には、対処することができるが、接続先のケーブルの特性インピーダンスが不明な場合には、対処することができない。
【0011】
特許文献2の従来技術は、バッファ回路の駆動時における入出力インピーダンスの偏移を抑え、整合回路の特性の向上を図っているが、接続先のケーブルの特性インピーダンスが不明な場合でも、適切な整合回路が接続されるようにしたものではないので、ケーブルの特性インピーダンスが不明な場合には、対処することができない。
【0012】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、各種パターンの整合回路を送信側回路の集積回路内部に実装することにより、送信側回路基板の面積を小さくすると共に、接続先のケーブルの特性インピーダンスが不明な場合でも、適切な整合回路が接続されるようにしたインピーダンス整合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、送信側回路から出力された信号を、ケーブルを介して接続された受信側回路で受信する場合に、前記送信側回路と前記ケーブルとの間のインピーダンス整合を図るためのインピーダンス整合システムであって、前記送信側回路の出力インピーダンスと前記ケーブルの特性インピーダンスとに応じて、複数の整合インピーダンスのうち選択された適切な整合インピーダンスにより、前記送信側回路と前記ケーブルとの間のインピーダンス整合を取る整合回路部を、前記送信側回路を構成する集積回路内部に実装したことを特徴とするインピーダンス整合システムを提供する。
【0014】
この構成によれば、整合回路部は、送信側回路を構成する集積回路内部に実装されたので、送信側回路基板の面積を小さくすることができる。また、整合回路部は、送信側回路の出力インピーダンスとケーブルの特性インピーダンスとに応じて、複数の整合インピーダンスのうち選択された適切な整合インピーダンスにより、送信側回路とケーブルとの間のインピーダンス整合を取るので、接続先のケーブルの特性インピーダンスが不明な場合でも、適切なインピーダンス整合を図れ、これにより、回路の実装位置やスルーレートの低下が問題とならず、送信側回路の出力信号の品質が向上し、受信側回路では、精度の高い処理を行うことができる。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記整合回路部は、回路パターンや整合インピーダンスがそれぞれ異なる複数の整合回路を備え、それら複数の整合回路のうち目的とする整合回路の選択は、制御部からの選択信号に従って、前記目的とする整合回路が前記送信側回路内の信号出力回路と前記ケーブル間に接続されるように、前記目的とする整合回路を選択する選択回路の選択動作により行うようにしたので、制御部からの選択信号により目的とする整合回路を選択でき、適切な整合回路により、送信側回路とケーブルとの間のインピーダンス整合を行うことができる。
【0016】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、複数の整合回路のうち目的の整合回路を選択信号により選択するために、各選択信号が示すビットと整合回路の種類との関係を示すテーブルを制御部に備えたので、制御回路は、各選択信号により各整合回路を選択することが可能になる。
【0017】
請求項4の発明では、請求項2の発明において、制御部から出力される選択信号は、操作手段により選択可能であるので、ユーザが操作手段を操作することにより、所望の整合回路を選択することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、整合回路部は、送信側回路を構成する集積回路内部に実装されたので、送信側回路基板の面積を小さくすることができる。また、整合回路部は、送信側回路の出力インピーダンスとケーブルの特性インピーダンスとに応じて、複数の整合インピーダンスのうち選択された適切な整合インピーダンスにより、送信側回路とケーブルとの間のインピーダンス整合を取るので、接続先のケーブルの特性インピーダンスが不明な場合でも、適切なインピーダンス整合を図れ、これにより、回路の実装位置やスルーレートの低下が問題とならず、送信側回路の出力信号の品質が向上し、受信側回路では、精度の高い処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係るインピーダンス整合システムの構成を説明するためのブロック図である。
【0020】
図1において、ドライバーなどのような送信側回路1には、オペアンプ2、抵抗3、ダイオード4、直流電源5、抵抗6、インダクタ7、およびコンデンサ8から構成される増幅回路(信号出力回路に相当)a、ならびに整合回路部9などが含まれている。受信側回路11には、抵抗12、インダクタ13、コンデンサ14、およびオペアンプ15から構成される増幅回路bなどが含まれている。送信側回路1と受信側回路11は、FFC10により接続されている。FFC10は、受信側回路11における抵抗12とインダクタ13とコンデンサ14による入力インピーダンスに整合する伝送線路長の特性インピーダンスを有している。整合回路部9は、抵抗6とインダクタ7とコンデンサ8による出力インピーダンスとFFC10の伝送線路長の特性インピーダンスとのインピーダンス整合を行う。
【0021】
また、整合回路部9は、回路パターンや整合インピーダンスがそれぞれ異なる複数の整合回路(図2参照)を備えている。選択回路16は、制御部としてのマイコン(マイクロコンピュータ)17からの選択信号に従って、整合回路部2の中の整合回路を選択する。即ち、選択回路16は、マイコン17からの選択信号に従って、目的とする整合回路が送信側回路1の増幅回路aとFFC10との間に接続されるように、整合回路部9から前記目的とする整合回路を選択する。
【0022】
この整合回路部9は、送信側回路1を構成する集積回路(IC)内部に実装されるものである。即ち、整合回路部9は、送信側回路1を構成するIC内部に回路を持たせている。したがって、回路基板のスペースを必要とせず、インピーダンス整合を取るための実装位置やスルーレートの低下が問題とならなくなる。
【0023】
マイコン17は、送信側回路1および受信側回路11を制御するためのデータ処理や演算を行うCPU18、CPU18の動作に必要なプログラムやデータを記憶したフラッシュROM19、CPU18の動作に必要なデータを一時的に格納するRAM20、CPU18からの信号を選択回路16やその他の回路に出力する出力ポート21、および操作手段としてのリモコン24からの赤外光の指令信号を電気信号に変換して電気信号の指令信号を出力する受光回路23からの指令信号やその他の回路からの信号をCPU22に入力する入力ポート22を備えている。なお、出力ポート21と入力ポート22は、1個の入出力ポートで構成しても良い。
【0024】
図2は図1中の整合回路部9に備えられている整合回路の回路例を示す回路図である。図2において、整合回路部9は、回路パターンがそれぞれ異なる整合回路A,B,C,D,Eと、切換回路57,58とを備えている。なお、切換回路57,58は、説明を分かり易くするためにスイッチ構成で説明しているが、実際は、トランジスタをオンまたはオフさせることにより、スイッチの機能が働くようなトランジスタ回路で構成されている。したがって、整合回路A,B,C,D,Eおよび切換回路57,58を有する整合回路部9をIC内部に実装させることができる。
【0025】
整合回路Aは、切換回路57のスイッチ47と切換回路58のスイッチ48との間に接続された抵抗31を備えている。整合回路Bは、切換回路57のスイッチ49と切換回路58のスイッチ50との間に接続された抵抗32と、抵抗32の一端と接地間に接続されたコンデンサ33とを備えている。整合回路Cは、切換回路57のスイッチ51と切換回路58のスイッチ52との間に接続された抵抗34と、抵抗34の一端と接地間に接続されたコンデンサ35と、抵抗34の他端と接地間に接続されたコンデンサ36とを備えている。
【0026】
整合回路Dは、切換回路57のスイッチ53と切換回路58のスイッチ54との間に接続された抵抗37とインダクタ39とインダクタ41との直列回路と、抵抗37とインダクタ39との接続点と接地間に接続されたコンデンサ38と、インダクタ39とインダクタ41との接続点と接地間に接続されたコンデンサ40とを備えている。整合回路Eは、切換回路57のスイッチ55と切換回路58のスイッチ56との間に接続された抵抗42とインダクタ44とインダクタ46との直列回路と、抵抗42とインダクタ44との接続点と接地間に接続されたコンデンサ43と、インダクタ44とインダクタ46との接続点と接地間に接続されたコンデンサ45とを備えている。整合回路Dの回路パターンと整合回路Eの回路パターンとは同じであるが、各素子の定数値が異なり、整合回路Dと整合回路Eとは整合インピーダンスが異なる。
【0027】
なお、この例では、整合回路の回路パターンとしては、4種類を挙げたが、このような回路パターンに限ることはなく、送信側回路1(図1参照)の増幅回路aの出力とFFC10とのインピーダンス整合が適切に行われる回路パターンの整合回路であれば何れの回路パターンの整合回路であっても良い。整合回路の種類としては、抵抗終端回路、テブナン終端回路、半導体終端回路、T型フィルタ回路、π型フィルタ回路などがある。
【0028】
選択回路16は、マイコン17(図1参照)からの選択信号に従って切換回路57,58の各スイッチを切り換える動作を行う。この切り換え動作について図3も参照して説明する。
【0029】
図3は第1の実施形態において各選択信号が示すビットと整合回路の種類との関係を示すテーブルの内容の一例を示す図である。このテーブルTにおいて、選択上位ビットは整合回路のパターンを選択するためのビットであり、選択下位ビットは前記選択された整合回路のパターンの整合インピーダンスを選択するためのビットである。例えば、整合回路Aで示すようなパターンの回路で整合インピーダンス100Ωを選択するための選択信号は、選択上位ビットが「1111」であり、選択下位ビットが「1111」であると予め決めておく。したがって、選択信号の選択上位ビットが「1111」、選択下位ビットが「1111」のとき、整合インピーダンスが100Ωの整合回路Aが選択されることになる。
【0030】
選択信号の選択上位ビットが「1110」、選択下位ビットが「1110」のとき、整合インピーダンスが75Ωの整合回路Bが選択されることになる。選択信号の選択上位ビットが「1101」、選択下位ビットが「1101」のとき、整合インピーダンスが50Ωの整合回路Cが選択されることになる。選択信号の選択上位ビットが「1100」、選択下位ビットが「1111」のとき、整合インピーダンスが100Ωの整合回路Dが選択されることになる。選択信号の選択上位ビットが「1100」、選択下位ビットが「1110」のとき、整合インピーダンスが75Ωの整合回路Eが選択されることになる。要するに、選択上位ビットと選択下位ビットのレジスタ設定により、各種整合回路を選択することができるようになる。
【0031】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るインピーダンス整合システムの構成を説明するためのブロック図である。即ち、図4は、送受信側回路としては光ディスク装置における光ピックアップ回路であり、受信側回路としては同じく光ディスク装置における制御回路である場合のインピーダンス整合システムの構成を説明するためのブロック図である。
【0032】
図4において、光ピックアップ回路基板71には、図示しないレーザダイオードを駆動させるLDD・IC(レーザ・ダイオード・ドライバの集積回路)72、レーザダイオードから出射されたレーザ光の光量を検出するFSPD・IC(フロント・センサ・フォト・ダイオードの集積回路)73、レーザダイオードから出射されたレーザ光が光ディスクで反射した反射光を検出するPD・IC(フォト・ディテクタの集積回路)74、およびコネクタ75などが実装されている。FSPD・IC73には、図1でも説明したような整合回路部80が実装されている。PD・IC74には、同じく図1でも説明したような整合回路部81が実装されている。
【0033】
制御回路基板77には、図1でも説明したような構成のマイコン78、選択回路79などが実装されている。また、制御回路基板77には、光ピックアップ回路基板71のコネクタ75とを電気的に接続するためのFFC76の一方側が接続されている。
【0034】
図5は、光ピックアップにおけるフロント・センサ・フォト・ディテクタの集積回路またはフォト・ディテクタの集積回路から出力される信号の状態を示す信号波形図である。図5(1)では、光ピックアップ回路基板と制御回路基板とを電気的に接続するFFCの伝送線路特性インピーダンスの影響で、フロント・センサ・フォト・ディテクタの集積回路またはフォト・ディテクタの集積回路から出力される信号S1は、反射してオーバーシュートやアンダーシュートが発生し、これにより、出力信号品質が劣化することを示している。
【0035】
図5(2)では、光ピックアップ回路基板と制御回路基板とを電気的に接続するFFCの伝送線路特性インピーダンスの影響を防ぐために、適切な整合回路が働いている場合で、フロント・センサ・フォト・ディテクタの集積回路またはフォト・ディテクタの集積回路から出力される信号S2は、反射せずに、品質が高いことを示している。
【0036】
ここで、図1と図2と図3を参照して本実施形態におけるインピーダンス整合システムの動作について説明する。
【0037】
先ず、設計段階で、送信側回路1に接続されるFFC10の特性インピーダンスに応じて整合回路部9内の整合回路を決める必要があるので、送信側回路1の出力信号をオシロスコープで観測し、その出力信号の波形が正常になるように、選択回路16の選択動作により適切な整合回路を選択する。複数の整合回路のうち目的とする整合回路の選択は、マイコン17からの選択信号に従って行われるので、選択信号の選択上位ビットと選択下位ビットを、リモコン24を操作して入力する。
【0038】
例えば、リモコン24を操作して、図3に示すように、選択上位ビット「1111」と選択下位ビット「1111」とを入力すると、マイコン17においては、フラッシュROM19に予め記憶されているテーブルTを参照して、整合回路Aを選択する選択信号を選択回路16に出力する。これにより、選択回路16は、整合回路部9のスイッチ47,48をオンする。この結果、送信側回路1の増幅回路aとFFC10との間には、整合回路Aが接続されることになり、このときの送信側回路1の出力信号の波形がオシロスコープで観測され、正常な波形であれば、今後、マイコン17からは整合回路Aを選択するための選択信号が出力されるように設定される。
【0039】
送信側回路1の出力信号の波形がオシロスコープで観測され、正常な波形でなければ、リモコン24を操作して選択上位ビット「1110」と選択下位ビット「1110」とを入力し、マイコン17は、整合回路Bを選択する選択信号を選択回路16に出力するようにする。これにより、選択回路16は、整合回路部9のスイッチ49,50をオンする。この結果、送信側回路1の増幅回路aとFFC10との間には、整合回路Bが接続されることになり、このときの送信側回路1の出力信号の波形がオシロスコープで観測され、正常な波形であれば、今後、マイコン17からは整合回路Bを選択するための選択信号が出力されるように設定される。
【0040】
なお、ここの説明では、送信側回路1がX社の製品であり、受信側回路11もX社の製品であれば、FFC10の特性インピーダンスが設計段階で分かっているので、整合回路部9の複数の整合回路のうち、どの整合回路を選択すれば良いかが、前述したようなオシロスコープによる波形観測で分かり、マイコン17により選択される整合回路を設定しておくことができる。また、送信側回路1の出力信号の波形を検出し、その出力信号をデジタル値に変換してマイコン17に与え、これにより、マイコン17は、その出力信号の波形が正常になるように、そのデジタル値を所定のデジタル値に近づくように、適切な整合回路を選択するように選択回路16を制御するようにしても良い。
【0041】
さて、送信側回路1がX社の製品であり、受信側回路11がY社の製品であり、FFC10の特性インピーダンスが変わると、現在設定されている整合回路では不適切であるので、整合回路を設定し直す必要がある。そこで、FFC10の特性インピーダンスを取扱説明書で調べたり、FFC10自体に印刷されている特定インピーダンスを見たりして、この特性インピーダンスに合った整合回路を、リモコン24の操作により設定することも可能である。
【0042】
例えば、特定インピーダンスが50Ωであれば、リモコン24の操作により、「1101」「1101」をマイコン17に入力すれば、マイコン17は、整合回路Cを選択するための選択信号を選択回路16に出力し、これにより、選択回路16は、整合回路部9の整合回路Cを選択して設定すると、送信側回路1がX社の製品であり、受信側回路11がY社の製品であって、FFC10の特性インピーダンスが変わっても適切な整合回路を使用することができ、送信側回路1の出力信号は正常な波形となる。
【0043】
以上の説明では、送信側回路1がFFC10を介して受信側回路11に接続された場合のインピーダンス整合システムのインピーダンス整合の動作について説明したが、図4において、光ピックアップ回路基板71の回路は、図1に示す送信側回路1に対応し、制御回路基板77の回路は、図1に示す受信側回路11に対応し、また、FFC76は、図1に示すFFC10に対応する。図4において、マイコン78は、選択回路79に選択信号を出力し、これにより、選択回路79は、整合回路部80の整合回路や整合回路部81の整合回路を選択する。インピーダンス整合の動作については、前述したので、ここでは省略する。
【0044】
以上説明したように第2の実施形態によれば、整合回路部80はFSPD・IC73内部に実装され、整合回路部81はPD・IC74内部に実装されたので、光ピックアップ回路基板71の面積を小さくすることができる。また、整合回路部80,81は、FCPD・IC73の出力インピーダンスとFFC76の特性インピーダンスとに応じて、また、PD・IC81の出力インピーダンスとFFC76の特性インピーダンスとに応じて、複数の整合インピーダンスのうち選択された適切な整合インピーダンスにより、FCPD・IC73とFFC76との間のインピーダンス整合を取るので、また、PD・IC81とFFC76との間のインピーダンス整合を取るので、FFC76の特性インピーダンスが不明な場合でも、適切なインピーダンス整合を図れ、これにより、回路の実装位置やスルーレートの低下が問題とならず、FSPD・IC73やPD・IC74の出力信号の品質が向上し、制御回路基板77上のマイコン78などでは、精度の高い処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、信号を出力する回路と信号を入力する回路とがケーブルにより接続された構成において、信号を出力する回路とケーブルとの間のインピーダンス整合に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインピーダンス整合システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図2】図1中の整合回路部に備えられている整合回路の回路例を示す回路図である。
【図3】第1の実施形態において各選択信号が示すビットと整合回路の種類との関係を示すテーブルの内容の一例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るインピーダンス整合システムの構成を説明するためのブロック図である。
【図5】光ピックアップにおけるフロント・センサ・フォト・ディテクタの集積回路またはフォト・ディテクタの集積回路から出力される信号の状態を示す信号波形図である。
【図6】送受信側回路としては光ディスク装置における光ピックアップ回路であり、受信側回路としては同じく光ディスク装置における制御回路である場合の従来のインピーダンス整合の構成を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0047】
1 送信側回路
9,80,81 整合回路部
10,76 FFC(ケーブル)
11 受信側回路
16,79 選択回路
17,78 マイコン(制御部)
24 リモコン(操作手段)
A,B,C,D,E 整合回路
a 増幅回路(信号出力回路)
T テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側回路から出力された信号を、ケーブルを介して接続された受信側回路で受信する場合に、前記送信側回路と前記ケーブルとの間のインピーダンス整合を図るためのインピーダンス整合システムであって、
前記送信側回路の出力インピーダンスと前記ケーブルの特性インピーダンスとに応じて、複数の整合インピーダンスのうち選択された適切な整合インピーダンスにより、前記送信側回路と前記ケーブルとの間のインピーダンス整合を取る整合回路部を、前記送信側回路を構成する集積回路内部に実装したことを特徴とするインピーダンス整合システム。
【請求項2】
前記整合回路部は、回路パターンや整合インピーダンスがそれぞれ異なる複数の整合回路を備え、それら複数の整合回路のうち目的とする整合回路の選択は、制御部からの選択信号に従って、前記目的とする整合回路が前記送信側回路内の信号出力回路と前記ケーブル間に接続されるように、前記目的とする整合回路を選択する選択回路の選択動作により行うことを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス整合システム。
【請求項3】
複数の整合回路のうち目的の整合回路を選択信号により選択するために、各選択信号が示すビットと整合回路の種類との関係を示すテーブルを前記制御部に備えたことを特徴とする請求項2に記載のインピーダンス整合システム。
【請求項4】
前記制御部から出力される選択信号は、操作手段により選択可能であることを特徴とする請求項2に記載のインピーダンス整合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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