説明

インフレーションフィルム

【課題】衝撃強度、剛性および引裂き強度のバランスに優れるフィルムを提供する。
【解決手段】脂肪族ポリエステル(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を含むインフレーションフィルムであって、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の活性化エネルギー(Ea)が20〜44kJ/molであり、該フィルム中の脂肪族ポリエステル(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の合計を100重量%とするとき、脂肪族ポリエステル(A)が5〜45重量%であり、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)が55〜95重量%であるインフレーションフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフレーションフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装材として使用されるフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルや、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロンなどからなるフィルムが知られている。
【0003】
しかしながら、従来から使用されているこのようなフィルムは、焼却処理した場合、その高い燃焼熱によって焼却炉の劣化を促進するなど、消費の拡大と共に廃棄物処理が社会問題となっている。
一方、ポリ乳酸やポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステルは、植物由来樹脂であるためCOガス削減効果が期待でき、また、自然環境中で生分解されるため、これらを原料とする成形品は、処理が容易になることが期待される。そこで、従来のポリオレフィン等と、ポリ乳酸とを組み合わせて使用する試みがなされている。特許文献1には、ポリ−3−ヒドロキシブチレート系重合体および/またはポリ乳酸1〜99重量%と、ポリエチレン系樹脂99〜1重量%とからなり、結晶融点および重量平均分子量が特定された樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−232228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような樹脂組成物を用いてフィルムを製造した場合、得られるフィルムの衝撃強度、剛性および引裂き強度のバランスは十分なものではなかった。以上の課題に鑑み、本発明は、衝撃強度、剛性および引裂き強度のバランスに優れるフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、脂肪族ポリエステル(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を含むインフレーションフィルムであって、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の活性化エネルギー(Ea)が20〜44kJ/molであり、該フィルム中の脂肪族ポリエステル(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の合計を100重量%とするとき、脂肪族ポリエステル(A)が5〜45重量%であり、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)が55〜95重量%であるインフレーションフィルムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、衝撃強度、剛性および引裂き強度のバランスに優れるフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、脂肪族ポリエステル(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を含むインフレーションフィルムであって、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の活性化エネルギー(Ea)が20〜44kJ/molであり、該フィルム中の脂肪族ポリエステル(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の合計を100重量%とするとき、脂肪族ポリエステル(A)が5〜45重量%であり、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)が55〜95重量%であるインフレーションフィルムである。以下、詳細に説明する。
【0009】
<脂肪族ポリエステル(A)>
本発明における脂肪族ポリエステル(A)は、ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるポリエステルや、ジオールとジカルボン酸を共重合して得られるポリエステルが挙げられる。これらは単独又は2種以上併用して用いてもよい。
【0010】
ヒドロキシカルボン酸を重合して得られるポリエステルとしては、下記一般式(1)で示される3−ヒドロキシアルカノエートを繰り返し単位として有する重合体が挙げられる。
【0011】
【化1】

〔式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基であり、Rは単結合、又は炭素数1〜4のアルキレン基である〕
【0012】
上記式(1)で示される繰り返し単位を有する重合体は、単独重合体のほか、当該繰り返し単位を二種以上含有する多元共重合体であってもよい。多元共重合体の繰り返し単位の配列の様式は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれの様式であってもよい。
【0013】
上記単独重合体としてはポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステル、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシプロピオネート)等が挙げられる。多元共重合体としては、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシプロピオネート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−4−ヒドロキシブチレート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシヘキサノエート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシオクタノエート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシバリレート−3−ヒドロキシヘキサノエート−4−ヒドロキシブチレート共重合体、3−ヒドロキシブチレート−乳酸共重合体等が挙げられる。このうち、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステルは植物由来の樹脂であるため、バイオマスの利用を促進し、循環型社会を目指す上で好適である。
【0014】
ジオールとジカルボン酸を共重合して得られる脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ブチレンサクシネート−ブチレンアジペート共重合体、ブチレンサクシネート−ブチレンテレフタレート共重合体、ブチレンアジペート−ブチレンテレフタレート共重合体、エチレンサクシネート−エチレンテレフタレート共重合体等が挙げられる。
【0015】
脂肪族ポリエステル(A)として、ポリ乳酸を用いることが好ましい。ここで、本発明におけるポリ乳酸とは、L−乳酸及び/又はD−乳酸に由来する繰り返し単位のみからなる重合体、L−乳酸及び/又はD−乳酸に由来する繰り返し単位と、L−乳酸及びD−乳酸以外のモノマーに由来する繰り返し単位と、からなる共重合体、及び、前記重合体と前記共重合体の混合物、をいう。ここで、上記L−乳酸及びD−乳酸以外のモノマーとしては、グリコール酸等のヒドロキシカルボン酸、ブタンジオール等の脂肪族多価アルコールや、コハク酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。
【0016】
ポリ乳酸におけるL乳酸又はD乳酸に由来する繰り返し単位の含有量は、耐熱性を高める観点から、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは95モル%以上である。ポリ乳酸のMFRは、流動性の観点から好ましくは1g/10分以上であり、より好ましくは2g/10分以上であり、更に好ましくは3g/10分以上であり、更により好ましくは5g/10分以上であり、最も好ましくは10g/10分以上である。また、フィルムの強度の観点から、20g/10分以下であり、より好ましくは18g/10分以下であり、更に好ましくは15g/10分以下である。
【0017】
<エチレン−α−オレフィン共重合体(B)>
本発明におけるエチレン−α−オレフィン共重合体(B)としては、エチレンと1種類以上の炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。炭素数3〜12のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。このうち、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンを用いることが好ましく、1−ブテン、1−ヘキセンを用いることがより好ましい。
【0018】
エチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体等が挙げられる。このうち、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体を用いることが好ましく、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体を用いることがより好ましい。
【0019】
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、905〜950kg/mであることが好ましい。フィルムの剛性の観点から、好ましくは910kg/m以上であり、より好ましくは914kg/m以上であり、更に好ましくは916kg/m以上、更により好ましくは920kg/m以上である。また、フィルムの衝撃強度の観点から、好ましくは940kg/m以下であり、より好ましくは930kg/m以下である。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、JIS K7112(1999)に従い測定される。
【0020】
エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜10g/10分であることが好ましい。フィルムの加工性の観点から、より好ましくは0.3g/10分以上であり、さらに好ましくは0.5g/10分以上である。得られるフィルムの機械的強度の観点から、好ましくは8g/10分以下、より好ましくは5g/10分以下、更に好ましくは3g/10分以下、最も好ましくは2.5g/10分以下である。なお、ここでいうメルトフローレートとは、JIS K7210(1995)に従い、試験荷重21.18N、試験温度190℃の条件で測定される。
【0021】
エチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea、単位はkJ/mol)は、20〜44kJ/molであることが好ましい。流動性の観点から、好ましくは22kJ/mol以上、より好ましくは24kJ/mol以上であり、更に好ましくは25kJ/mol以上であり、更により好ましくは26kJ/mol以上である。また、高温で十分な成形性を得るという観点から、Eaは、好ましくは40kJ/mol以下であり、より好ましくは35kJ/mol以下である。
【0022】
本発明のインフレーションフィルムに含まれる各成分の量は、該フィルムに含まれる脂肪族ポリエステル(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の合計を100重量%とするとき、脂肪族ポリエステル(A)が5〜45重量%であり、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)が55〜95重量%である。フィルムの剛性の観点から、脂肪族ポリエステルの含有量は、好ましくは6重量%以上であり、より好ましくは8重量%以上であり、更に好ましくは10重量%以上であり、更により好ましくは12重量%以上であり、最も好ましくは14重量%以上である。また、フィルムの透視性の観点から、脂肪族ポリエステル(A)の含有量は、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは38重量%以下であり、更に好ましくは35重量%以下である。
【0023】
本発明のインフレーションフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)以外のポリオレフィン系樹脂を含んでいてもよい。(B)以外のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、高圧法ポリエチレン、HDPE、流動の活性化エネルギーが45kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。
【0024】
本発明のインフレーションフィルムは、酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、造核剤、紫外線防止剤、可塑剤、分散剤、防曇剤、抗菌剤、有機多孔質パウダー、顔料等の添加剤を含んでいてもよい。
【0025】
本発明のインフレーションフィルムの厚さは、通常500μm以下、好ましくは5〜300μm、より好ましくは10〜200μm、更に好ましくは15〜100μmである。
【0026】
〔フィルムの製造方法〕
脂肪族ポリエステル(A)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)、さらに必要に応じて添加剤等の他の成分とを、ドライブレンドやメルトブレンドしたものを用いて、本発明のインフレーションフィルムを製造することができる。ドライブレンドする方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等の各種ブレンダーを用いる方法が挙げられ、メルトブレンドする方法としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等の各種ミキサーを用いる方法が挙げられる。
【0027】
本発明のインフレーションフィルムは、公知のインフレーション法により製造することができる。フィルムを製造する際の加工温度は、180〜230℃であることが好ましい。加工性の観点から、好ましくは185℃以上、より好ましくは190℃以上であり、好ましくは220℃以下であり、より好ましくは210℃以下である。
インフレーション法では、押出機で溶融混練された樹脂がダイの円形のスリットを通ってチューブ状に押し出され、このチューブ内に吹き込まれる気体(通常は空気)の圧力を調整することによって広範囲の幅のフィルムを製造することができる。フィルムの幅と円形スリットの直径との比は、ブローアップ比(BUR)と呼ばれている。フィルムの厚さは、樹脂の押出速度とBURの選択によって調整できる。フィルムを製造する際のBURは、1.0以上である。BURはフィルムの衝撃強度の観点から、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.2以上である。
【0028】
本発明のインフレーションフィルムは、衝撃強度、剛性および引裂き強度のバランスに優れるフィルムであり、食品、繊維、医薬品、肥料、雑貨品、工業部品などの包装袋、ゴミ袋、規格袋等に用いることができる。
本発明のフィルムは、包装袋として好適である。フィルムを所定の箇所でヒートシールすることにより、包装袋を得ることができる。その際、フィルムを2枚以上重ね合わせてもよい。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。幅の比較的小さい包装袋を製造する際には、予め所定の幅に合わせた折径の共押出インフレーション積層フィルムを製造し、所定長さに切断した後、一端をヒートシールする所謂チューブ袋がコストの点でも望ましい。
【0029】
本発明のインフレーションフィルムのMD方向の引裂き強度(単位:kN/m)は、好ましくは50kN/m以上であり、より好ましくは55kN/m以上、さらに好ましくは60kN/m以上、よりさらに好ましくは65kN/m以上、最も好ましくは70kN/m以上である。
本発明のフィルムのTD方向の引裂き強度(単位:kN/m)は、好ましくは50kN/m以上であり、より好ましくは55kN/m以上、さらに好ましくは60kN/m以上、よりさらに好ましくは65kN/m以上、最も好ましくは70kN/m以上である。
本発明のインフレーションフィルムは、MD方向、TD方向のいずれの方向の引裂き強度も高く、かつそのバランスに優れる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。物性の評価は、以下の方法によって行った。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K 7210(1995)に従い、試験荷重21.18Nで測定した。
ただし、試験温度190℃の条件で測定を行った。
(2)密度(d、単位:kg/m3
150℃でプレス成形して得られた厚さ1mmのシートを用い、JIS K 6760(1981)に従って測定を行った。ただし、アニールせずに測定した。
(3)エレメンドルフ引裂き強度(単位:kN/m)
ASTM D1922に規定された方法に従い、MD方向及びTD方向について測定した。
(4)剛性(1%SM)(単位:MPa)
幅20mm、長さ120mmの短冊形試験片を用意した。試験片は、長手方向が引取り方向(MD)のものと、MD方向に対して直交する方向(TD)のものの2種類を用意した。該試験片を用いて、チャック間60mm、引張速度5mm/minの条件で引張試験を行い、応力−歪曲線を測定した。該応力−歪曲線から、1%伸び時の荷重(単位:N)を求め、下記式から1%SMを算出し、フィルムの剛性とした。この値が高いほどフィルムの剛性が高いことを示す。
1%SM = [F/(t×l)]/[s/L]/10
F :1%伸び時の荷重(単位:N)
t :試験片厚み (単位:m)
l :試験片幅 (単位:m,0.02)
:チャック間距離 (単位:m,0.06)
s :1%歪み (単位:m,0.0006)
(5)ダート衝撃強度(単位:kJ/m
ASTM D1709記載のA法に従って測定した。この値が高いほどフィルムの強度が高いことを示す。
(6)拡散透過光度(LSI)(単位:%)
東洋精機(株)社製LSI試験機(±0.4°〜1.2°の散乱透過光を受光)により測定した。LSI値は、肉眼でフィルムを観察したときの透視性とかなりよく対応することから、値が小さいほど透視性がよいといえる。
(7)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
流動の活性化エネルギーEaは、歪制御型の回転式粘度計(レオメーター)を用いて、下記の条件(a)〜(d)で測定される各温度T(K)における動的粘弾性データを温度−時間重ね合わせ原理に基づいてシフトする際のシフトファクター(aT)のアレニウス型方程式:log(aT)=Ea/R(1/T−1/T0)(Rは気体定数、T0は基準温度463Kである。)から算出される成形性の指標をいう。計算ソフトウェアには、Reometrics社Rhios V.4.4.4を使用し、アレニウス型プロットlog(aT)−(1/T)における直線近似時の相関係数r2が0.99以上の場合のEa値を採用する。測定は窒素下で実施した。
条件(a)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
条件(b)ストレイン:5%
条件(c)剪断速度:0.1〜100rad/sec
条件(d)温度:190、170、150、130℃
【0031】
本発明の実施例で使用した各成分は、以下のとおりである。
成分(A):ポリ乳酸
ユニチカ株式会社製、商品名「テラマック TE−2000C」
成分(B):エチレン−α−オレフィン共重合体
B−1:エチレン−α−オレフィン共重合体(エチレン−1−ヘキセン共重合体)
住友化学株式会社製、商品名「スミカセンE FV205」(メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン、MFR(190℃)=2.0g/10分、密度=922kg/m、Ea=31kJ/mol)
B−2:エチレン−α−オレフィン共重合体(エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体)
住友化学株式会社製、商品名「スミカセン EP GT140」(エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、MFR(190℃)=0.91g/10分、密度=914kg/m、Ea=64kJ/mol)
B−3:エチレン単独重合体
住友化学株式会社製、商品名「スミカセン F200」(低密度ポリエチレン、MFR(190℃)=2.0g/10分、密度=919kg/m、Ea=65kJ/mol)
【0032】
〔実施例1および比較例1〕
成分(A)、及び成分(B)を表1に記載の組成割合で一括混合した後、スクリュー径40mmの押出機を用いて190℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。
次いで、インフレーションフィルム成形機(プラコー社製、単軸押出機(径50mmφ、L/D=28)、ダイス(ダイ径125mmφ、リップギャップ2.0mm)、シングルスリットでアイリス付エアリング)により、加工温度190℃、押出量約25kg/hr、フロストライン高さ(FLD)250mm、ブロー比1.8の加工条件で、厚み50μmのインフレーションフィルムを成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表1に示す。
【0033】
〔比較例2〜4〕
成分(A)、及び成分(B)を表1に記載の組成割合で一括混合した後、スクリュー径40mmの押出機を用いて190℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。次いで、インフレーションフィルム成形機(プラコー社製、フルフライトタイプスクリューの単軸押出機(径30mmφ、L/D=28)、ダイス(ダイ径50mmφ、リップギャップ0.8mm)、二重スリットエアリング)を用い、加工温度190℃、押出量5.5kg/hr、フロストラインディスタンス(FLD)200mm、ブロー比1.8の加工条件で樹脂組成物を厚み50μmのフィルムに成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表1に示す。
【0034】
〔比較例5〜7〕
成分(A)、及び成分(B)を表1に記載の組成割合で一括混合した後、スクリュー径40mmの押出機を用いて190℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。次いで、インフレーションフィルム成形機(プラコー社製、フルフライトタイプスクリューの単軸押出機(径30mmφ、L/D=28)、ダイス(ダイ径50mmφ、リップギャップ0.8mm)、二重スリットエアリング)を用い、加工温度190℃、押出量5.5kg/hr、フロストラインディスタンス(FLD)200mm、ブロー比1.8の加工条件で樹脂組成物を厚み50μmのフィルムに成形した。得られたフィルムの物性評価結果を表1に示す。
【0035】
〔比較例8〕
成分(A)、及び成分(B)を表1に記載の組成割合で一括混合した後、スクリュー径40mmの押出機を用いて190℃で溶融混練し、樹脂組成物を得た。次いで、SHIモダンマシナリー(株)社製のTダイフィルム成形機にてフィルムを製造した。直径50mm、L/Dが32(Lは押出機のシリンダーの長さ、Dは押出機のシリンダーの直径)の押出機のブレーカープレート(φ51mm)に、焼結フィルター(日本精線社製MFF NF06、ろ過径:10μm)を、80メッシュの金網で挟む構成でセットした。220℃にて前記ブレンド物を溶融混練した後、前記焼結フィルターを通して220℃に温調したTダイ(600mm幅)へ供給し、該Tダイから押し出した後、75℃のチルロールで引き取ることによって冷却固化し、50μm厚みのフィルムを得た。得られたフィルムの物性評価結果を表1に示した。
【0036】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリエステル(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を含むインフレーションフィルムであって、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の活性化エネルギー(Ea)が20〜44kJ/molであり、該フィルム中の脂肪族ポリエステル(A)およびエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の合計を100重量%とするとき、脂肪族ポリエステル(A)が5〜45重量%であり、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)が55〜95重量%であるインフレーションフィルム。
【請求項2】
前記脂肪族ポリエステル(A)が、ポリ乳酸および/またはポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステルである請求項1に記載のインフレーションフィルム。
【請求項3】
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の密度が905〜950kg/mであり、メルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分である請求項1または2に記載のインフレーションフィルム。
【請求項4】
厚さが5〜300μmである請求項1〜3のいずれかに記載のインフレーションフィルム。

【公開番号】特開2011−144310(P2011−144310A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7955(P2010−7955)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】