インプリント装置及びインプリント方法
【課題】スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくくし、基板に与えるストレスも小さい、インプリント装置及びインプリント方法を実現する。
【解決手段】インプリント装置を、パターン3Aを有するモールド3のパターンを基板1上に転写するインプリント装置であって、基板を保持しうるステージ2と、ステージに対向する位置に設けられ、モールドを保持しうる複数の第1開口部4Aを有するモールドホルダ4と、モールドホルダを挟んでステージの反対側に設けられ、モールドに圧力を加えるモールド加圧機構5と、ステージ上の複数の第1開口部に対向する位置に設けられた複数の圧力センサ6とを備えるものとする。
【解決手段】インプリント装置を、パターン3Aを有するモールド3のパターンを基板1上に転写するインプリント装置であって、基板を保持しうるステージ2と、ステージに対向する位置に設けられ、モールドを保持しうる複数の第1開口部4Aを有するモールドホルダ4と、モールドホルダを挟んでステージの反対側に設けられ、モールドに圧力を加えるモールド加圧機構5と、ステージ上の複数の第1開口部に対向する位置に設けられた複数の圧力センサ6とを備えるものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント装置及びインプリント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安価で高い量産性を有する微細加工技術として、インプリント法が注目を集めている。
インプリント法は、スタンプの要領で基板上にパターンを形成するものであり、従来の光露光装置を用いる露光技術と異なり、解像性が露光に用いる光の波長に依存しないことなどの利点がある。このため、パターンドメディア、フォトニッククリスタル、LSI(Large scale integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などの微細加工技術として、幅広い分野への応用が期待されている。
【0003】
インプリント法では、従来の光露光装置を用いた微細加工技術とは異なり、予めモールドに形成された微細構造パターンを樹脂に接触させて基板に転写する。この際、樹脂が光硬化性であれば光を当て、熱可塑性又は熱硬化性であれば加熱を施すことによって、モールドに形成されたパターンの凹部に充填された樹脂を硬化させて、基板上にモールドの反転パターンを形成する。
【0004】
従来のインプリント装置には大きく分けて2つの種類がある。
つまり、一つは、図20(A)に示すように、比較的小型のモールドを用いて、同一基板上にステップアンドリピートを行なって、次々にパターンを形成していく、ステップアンドリピート方式を採用したインプリント装置である。
このようなインプリント装置では、まず、樹脂を塗布した基板上の最初のパターン形成エリアの上方にモールドを位置させた後、樹脂の表面にモールドを接触させ、この状態で樹脂を硬化させてパターンを転写する。そして、モールドを基板から離し、基板を載せたステージを移動させて、モールドを次のパターン形成エリアの上方に位置させた後、同様の方法でパターンを転写する。このような工程を繰り返して、基板上の全面にパターンを形成する。
【0005】
もう一つは、図20(B)に示すように、基板と同等程度のサイズの比較的大型のモールドを用いて、基板上に一度にパターンを形成する、一括転写方式を採用したインプリント装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6334960号明細書
【特許文献2】特開2007−42715号公報
【特許文献3】特開2008−12858号公報
【特許文献4】特表2006−521682号公報
【特許文献5】特開2006−18977号公報
【特許文献6】特開2006−303292号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Stephan Y. Chou et al., “Imprint of sub-25 nm vias and trenches in polymers”, Appl. Phys. Lett., Vol. 67, No, 21, 20 November 1995, pp. 3114-3116
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述のステップアンドリピート方式を採用したインプリント装置は、スループットが低いという課題がある。特に、同一基板上に異なるパターンを形成する場合には、モールドを取り替えなくてはならないため、さらにスループットが低くなる。
また、上述の一括転写方式を採用したインプリント装置は、比較的大型のモールドを押し付けるため、モールド中央部付近は加圧が不十分になり、また、気泡の逃げ場となる空間もない。このため、モールドに形成されたパターンの凹部に十分に樹脂が充填されず、気泡が残ってしまい、パターンの欠陥を生じやすいという課題がある。
【0009】
特に、パターンを転写する基板が、平坦なSiウエハや石英等でなく、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板である場合に、比較的大型のモールドを用いると、密着不良が生じたり、密着時に基板に与えるストレスが大きくなったりする。より密着させるために、基板を載せたステージを昇降させてモールドに基板を押し付ける際の圧力を高くすると、基板が受けるストレスが大きくなる。また、このような方法では、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板にパターンを転写する際の上記密着不良等の課題を解消するのは難しい。このため、一括転写方式を採用したインプリント装置は適用範囲が狭い。
【0010】
そこで、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくくし、基板に与えるストレスも小さい、インプリント装置及びインプリント方法を実現したい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本インプリント装置は、パターンを有するモールドのパターンを基板上に転写するインプリント装置であって、基板を保持しうるステージと、ステージに対向する位置に設けられ、モールドを保持しうる複数の第1開口部を有するモールドホルダと、モールドホルダを挟んでステージの反対側に設けられ、モールドに圧力を加えるモールド加圧機構と、ステージ上の複数の第1開口部に対向する位置に設けられた複数の圧力センサとを備えることを要件とする。
【0012】
本インプリント方法は、ステージ昇降機構によって基板を保持するステージを昇降させ、基板とモールドホルダに保持された複数のモールドとの間の距離を調整し、モールド加圧機構によってモールドに圧力を加えてモールドを前記基板に押し付け、ステージ上の複数のモールドに対向する位置に設けられた複数の圧力センサからの検出情報をモニタリングしながら、モールド加圧機構によってモールドに加えられる圧力を制御することを要件とする。
【発明の効果】
【0013】
したがって、本インプリント装置及びインプリント方法によれば、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態にかかるインプリント装置の構成を示す模式的断面図である。
【図2】(A)、(B)は第1実施形態にかかるインプリント装置において用いられるモールドの構成を示す模式図であって、(A)はその側面図であり、(B)はその底面図である。
【図3】第1実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールドホルダの構成を示す模式的平面図である。
【図4】第1実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールド加圧機構の構成を示す模式的平面図である。
【図5】第1実施形態にかかるインプリント装置に備えられるステージ及び圧力センサの構成を示す模式的平面図である。
【図6】第1実施形態にかかるインプリント装置の制御機構を示す模式図である。
【図7】(A)、(B)は第1実施形態にかかるインプリント方法を説明するための模式的断面図である。
【図8】第2実施形態にかかるインプリント装置の構成を示す模式的断面図である。
【図9】第2実施形態にかかるインプリント装置に備えられる圧力伝達部の構成を示す模式的平面図である。
【図10】第2実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールド加圧機構の構成を示す模式的平面図である。
【図11】(A)〜(C)は第1実施形態にかかるインプリント方法を説明するための模式的断面図である。
【図12】第3実施形態にかかるインプリント装置の構成を示す模式的断面図である。
【図13】第3実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールドホルダの構成を示す模式的平面図である。
【図14】第3実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールドホルダを構成する第1ホルダの構成を示す模式的平面図である。
【図15】(A)、(B)は第3実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールドホルダの動作を説明するための模式的断面図である。
【図16】第3実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールド加圧機構の構成を示す模式的平面図である。
【図17】(A)〜(C)は第3実施形態にかかるインプリント方法を説明するための模式的断面図である。
【図18】第4実施形態にかかるインプリント装置の構成を示す模式的断面図である。
【図19】第5実施形態にかかるインプリント装置の構成を示す模式的断面図である。
【図20】(A)、(B)は従来のインプリント装置を説明するための模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について、図1〜図7を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態にかかるインプリント装置は、モールドのパターンを基板上に転写するインプリント装置である。つまり、本インプリント装置は、予め加工面に形成されたパターンを有するモールドを、被転写基板上に形成された未硬化樹脂に接触させ、パターンの凹部に樹脂を充填した後、硬化させて、モールドのパターンを基板上にインプリントするインプリント装置である。なお、被転写基板を被加工基板ともいう。また、基板はワークともいう。
【0017】
以下、本実施形態では、基板上に塗布された光硬化性樹脂にモールドのパターンをインプリントするインプリント装置を例に挙げて説明する。
例えば、本インプリント装置は、樹脂基板の表面上に埋め込まれたLSIなどの複数の素子をつなぐ配線パターンをインプリントするのに用いることができる。
本インプリント装置は、図1に示すように、基板1を保持しうるステージ2と、パターン3Aを有するモールド3を保持しうる複数の開口部(第1開口部)4Aを有するモールドホルダ4と、モールド3に圧力を加えるモールド加圧機構5と、複数の圧力センサ6とを備える。
【0018】
ここで、ステージ2は、XYステージである。
モールド3は、モールドホルダ4の開口部4Aに装着される。そして、後述するように、モールドホルダ4を挟んでステージ2の反対側に光源(露光光源)7が設けられているため、モールド3の素材としては、光源7からの光を十分に透過するものを選択することになる。モールド3の素材としては、例えば、石英、ガラス、サファイヤ、ダイヤモンドなどの素材を用いれば良い。ここでは、石英を素材として用いたモールド3を用いている。このようなモールド3を光透過性モールドという。
【0019】
また、モールド3はパターン3A(微細構造パターン)を有するが、このパターン3Aは、例えば、以下のようにして形成すれば良い。
つまり、モールド3のパターン3Aを形成する面に、例えばレジストを塗布し、適切な露光方法(例えばg線、i線などによるフォトリソグラフィ技術、電子線リソグラフィ技術など)によってパターンを描画形成する。次に、このレジストパターンを、エッチングマスクとして、例えばRIE(Reactive Ion Etching;リアクティブイオンエッチング)などを行なって、モールド3のパターン形成面にパターンを転写して微細構造パターン3Aを形成する。そして、レジストを除去する。このようにして、例えば図2(A),(B)に示すようなパターン3A(微細構造パターン)を有するモールド3を作製することができる。
【0020】
ここでは、モールド3には、パターン3Aが形成されている領域以外の領域を覆うように遮光膜3Bが設けられている。これは、パターン転写の際、モールド3のパターン3Aが形成されている領域を透過して、基板1上に塗布された光硬化性樹脂8に光が照射されるが、この際に、パターンが形成されている領域以外の領域から光が漏れて迷光になるのを防ぐためである。この遮光膜3Bは必要に応じて設ければ良い。
【0021】
モールドホルダ4は、図1に示すように、ステージ2に対向する位置に設けられている。ここでは、モールドホルダ4は、ステージ2に保持される基板1の上方に位置するように設けられる。ここでは、図3に示すように、モールドホルダ4の複数の開口部4Aのそれぞれにモールドストッパ4Bが設けられている。これにより、図1に示すように、モールドホルダ4の複数の開口部4Aのそれぞれにモールド3を固定することができるようになっている。
【0022】
ここでは、モールドホルダ4には、複数の開口部4Aの中の任意の開口部4Aに、少なくとも2つのモールド3、即ち、複数のモールド3を固定する。
例えば、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合、うねりや反りが大きいエリアに対向する開口部4Aにはモールド3を装着しないようにすれば良い。これにより、基板1に与えるストレスを小さくすることができる。また、うねりや反りが大きいエリアの周囲のエリアに密着不良が生じないようにすることができる。
【0023】
また、例えば、同一基板1上に異なるパターンを形成する場合、複数の開口部4Aのそれぞれに異なるパターン3Aを有するモールド3を装着することができ、モールド3を取り替える必要がないため、スループットを高くすることができる。
さらに、比較的小型の複数のモールド3がモールドホルダ4に装着されており、各モールド3の間に気泡の逃げ場となる空間がある。このため、気泡等の巻き込みを極力抑えることができるため、気泡が残ってしまうことがなく、良好なパターンが得られる。
【0024】
また、モールドホルダ4の開口部4Aにモールド3を装着しないと、光源7からの光がモールドホルダ4の開口部4Aを通過し、基板1上に塗布された光硬化性樹脂8に照射され、パターンを転写しない領域が硬化してしまうことになる。このため、モールドホルダ4の複数の開口部4Aの中でモールド3を装着しない開口部4Aには、パターン3Aを有せず、遮光性を有するダミーモールドを装着するのが好ましい。
【0025】
また、モールドホルダ4には、位置合わせセンサ9が設けられており、基板1に対して位置合わせを行なうことができるようになっている。つまり、基板1に設けられた位置合わせマークをモールドホルダ4に設けられた位置合わせセンサ9によって検出することによって、基板1と、モールドホルダ4ひいてはモールドホルダに装着された各モールド3との位置合わせを行なうことができるようになっている。
【0026】
モールド加圧機構5は、モールドホルダ4を挟んでステージ2の反対側に設けられており、モールドホルダ4に圧力を加えることによって、モールド3に圧力を加えるようになっている。モールド加圧機構5としては、例えば空気圧、油圧、水圧などの媒体を利用したもの、圧電素子、ステッピングモータなどの動力源を用いたアクチュエータを用いたものなどを用いれば良い。ここでは、油圧を用いた加圧機構、即ち、油圧シリンダを含む加圧機構5を用いている。このため、図4では、媒体送液口5Bを示している。なお、モールド加圧機構5は、圧力制御機構ともいう。
【0027】
特に、本実施形態では、モールド加圧機構5は、図1、図4に示すように、モールドホルダ4の複数の開口部4Aに対向する位置に複数の開口部5A(第3開口部)を有する。つまり、モールド加圧機構5は、光源7からの光が通過しうるスペース5Aを有する。ここで、各開口部5Aの開口面積は、モールド3の微細パターン形成エリアと等しくするのが好ましいが、必要に応じて調整しても良い。このように、モールド加圧機構5に開口部5Aを設けているのは、後述するように、モールド加圧機構5を挟んでステージ2の反対側に光源7が設けられているため、パターン転写の際に、光源7からの光によって基板1上の光硬化性樹脂(レジスト)8を露光し、硬化させることを可能とするためである。これにより、光源7からの光は、モールド加圧機構5の開口部5Aを通過し、モールドホルダ4の開口部4Aに装着されたモールド3を透過して、基板1上の光硬化性樹脂8に照射され、モールド3のパターン3Aが基板1上に転写されることになる。
【0028】
複数の圧力センサ6は、図1、図5に示すように、ステージ2上のモールドホルダ4の複数の開口部4Aに対向する位置に設けられている。そして、モールド3のパターン3Aを基板1上に転写するためにモールド3を基板1上に押し付けた際に、個々のモールド3にかかる圧力を検出することができるようになっている。
また、本インプリント装置は、図1に示すように、ステージ2を昇降させるステージ昇降機構10を備える。ここでは、ステージ昇降機構10はステッピングモータ10Aを備えるものとして構成される。このステージ昇降機構10によって、基板1上の光硬化性樹脂8とモールド3との間の距離が、光硬化性樹脂8とモールド3とが接触しない程度の任意の距離になるように、ステージ2の位置を調整することができる。
【0029】
本実施形態では、ステージ2、モールドホルダ4、モールド加圧機構5は、減圧可能なチャンバ11に収納されている。なお、ステージ昇降機構10の一部又は全部(例えばステッピングモータ10Aまで)をチャンバ11内に収納しても良い。ここでは、チャンバ11には、チャンバ11内を減圧するためのチャンバ減圧機構12が設けられている。チャンバ減圧機構12としては、例えばチャンバ11の排気口12Aにバルブ12Bを介して真空ポンプ12Cを接続し、バルブ12Bの開閉によってチャンバ11内を減圧する機構を設ければ良い。これにより、パターン転写の際に、モールド3と基板1との間を減圧することで、モールド3のパターン3Aと基板1上の光硬化性樹脂8との間に残る気泡による欠陥を低減し、転写精度を向上させることができるようにしている。なお、ここでは、チャンバ11内に収納しているが、これに限られるものではなく、チャンバ11内に収納しなくても良い。
【0030】
さらに、本インプリント装置は、モールドホルダ4及びモールド加圧機構5を挟んでステージ2の反対側に設けられた光源(露光光源)7を備える。この光源7は、チャンバ11の外側であって、チャンバ11に設けられた窓(石英窓)11Aに対向する位置に設けられている。これにより、パターン転写の際に、モールド3が押し付けられた基板1上の光透過性樹脂8に光を照射することができるようになっている。つまり、パターン転写の際に、基板1とモールド3のパターン3Aとの間に充填された光硬化性樹脂8に光を照射することができるようになっている。この光源7は、基板1上にモールド3のパターン3Aを転写するのに光硬化性樹脂8を用いる場合に、モールド3が押し付けられた基板1上の光硬化性樹脂8を硬化させてモールド3のパターン3Aを転写するのに利用される。
【0031】
また、本インプリント装置は、図6に示すように、モールド加圧機構5、チャンバ減圧機構12、光源7、圧力センサ6、ステージ昇降機構10(ステッピングモータ10A)、ステージ2等を制御する制御部13を備える。制御部13はパーソナルコンピュータなどのコンピュータである。つまり、制御部13によって、ステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aの駆動制御が行なわれ、ステージ2の昇降制御が行なわれるようになっている。また、制御部13によって、チャンバ減圧機構12に含まれるバルブ12Bの開閉制御が行なわれ、チャンバ11の減圧制御及び減圧解除制御が行なわれるようになっている。また、制御部13によって、圧力センサ6を用いた圧力センシングを行ないながら、モールド加圧機構5の制御が行なわれ、モールド3に加えられる圧力の制御が行なわれるようになっている。つまり、制御部13は、圧力センサ6からの検出情報をモニタリングしながら、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4を介してモールド3に加えられる圧力を制御する機能を有する。また、制御部13によって、光源7の点灯・消灯が制御されるようになっている。
【0032】
次に、本実施形態にかかるインプリント装置によるインプリント方法について説明する。
本インプリント方法では、まず、ステージ昇降機構10によって基板1を保持するステージ2を昇降させ、基板1とモールドホルダ4に保持された複数のモールド3との間の距離を調整する。
【0033】
次いで、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4を介してモールド3に圧力を加え、モールド3を基板1に押し付ける。
次に、ステージ2上の複数のモールド3に対向する位置に設けられた複数の圧力センサ6からの検出情報をモニタリングしながら、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4を介してモールド3に加えられる圧力を制御する。
【0034】
以下、具体的に説明する。
まず、図1、図7(A)に示すように、基板(ワーク)1上にレジスト8を塗布する。
ここで、使用する基板1は、特に制限はないが、ここではSiウエハである。
また、レジスト8としては、光硬化性樹脂を用いている。
また、塗布の方法としては、特に制限はないが、必要な膜厚や基板の大きさから適切に選択すれば良く、例えばスピンコート法、スプレー法、ディップ法、スキャンコート法などから選択すれば良い。ここでは、簡便に膜厚制御を行なうことができるという点から、スピンコート法を用いている。
【0035】
次いで、レジスト8を塗布した基板1を、XYステージ2上に位置させる。
次に、モールド3を、モールドホルダ4に少なくとも2つ装着する。
ここで、使用するモールド3の個数は、基板1の材質や平坦性、例えば樹脂基板のように反りやうねりがあるもの、Si基板や石英基板のように平坦である程度固いものなどに応じて、2つ以上で任意に決められる。
【0036】
例えば、樹脂基板1で平坦性が十分でない基板の場合には、基板1に与える応力を低くし、基板1上にあるデバイス等に損傷を与えないように、隣接しない任意の適切な位置にモールド3を装着するのが有効である。
また、例えば、平坦性の高いSi等の基板1の場合は、基板サイズと、必要なパターンを形成したい場所(エリア、チップ)の数に応じて、装着するモールドの個数を決めても良い。
【0037】
また、異なる種類のパターンを有するモールド3を複数使用することも可能であり、異種のデバイスを同一基板上に効率よく作製することも可能である。
ここでは、モールドホルダ4の複数の開口部4Aの全てにモールド3を装着している。
次に、モールド3を装着したモールドホルダ4を、モールド加圧機構5の下方に位置させる。
【0038】
次いで、制御部13が、ステージ2の下方に設けられたステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aを駆動し、ステージ2を上昇させる。これにより、基板1上に塗布されたレジスト8とモールドホルダ4に保持されたモールド3との間の距離が、レジスト8とモールド3が接触しない程度の距離、例えば1000〜500μm程度の距離になるように調整される。なお、レジスト8とモールド3との間の距離が、レジスト8とモールド3が接触しない程度の任意の距離になるようにステージ2を上昇させれば良いが、インプリント可能にするために、モールドホルダ4の可動範囲内の適切な位置にステージ2上の基板1を位置させることが望ましい。
【0039】
次に、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4に保持されているモールド3に圧力が加えられ、基板1上に塗布されたレジスト8に対してモールド3が押し付けられる。つまり、基板1上に塗布されたレジスト8に適切な圧力でモールド3を接触させる。なお、モールド3が装着されていない部分はレジスト面には接触しない。
【0040】
ここで、モールド3に加える圧力は、例えば0.01MPa〜5MPa程度の範囲で任意に決めれば良い。このモールド3に加える圧力は、基板1の平坦性、応力、レジスト、パターニング特性などを総合的に判断して決める。
そして、制御部13は、加圧時に、ステージ2上のモールド3に対向する位置に設けられた圧力センサ6によって検出される圧力をモニタリングし、圧力が適切な範囲内になるように、モールド加圧機構5を制御する。
【0041】
その後、制御部13は光源7を点灯させる。そして、レジスト8が硬化するのに十分な露光量を与えるまで、上述のようにして制御された圧力を加えた状態でレジスト8とモールド2との間の接触を維持する。この加圧と露光の時間は、パターンのサイズ、レジスト8の感度、光源7のパワー及び波長などの要素を勘案して適切に決められる。例えば、30秒〜60分程度である。
【0042】
そして、レジスト8が十分硬化したら、図7(B)に示すように、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、圧力を解放する。次いで、制御部13はステッピングモータ10Aを駆動させてステージ2を下降させ、モールド3とレジスト8との間の接触を解消する。このようにして、レジスト8のモールド3が装着されたエリアに対応する領域に微細な転写パターン8Aがインプリントされた基板1が得られる。なお、ここでは、パターン8Aがインプリントされたレジスト8は、配線を形成するためのマスクとして使われる。
【0043】
なお、上述のインプリント方法では、必要に応じて、基板1を載せたステージ2のXY移動、加圧、露光、離型を繰り返し行なう。また、ステージ2、モールドホルダ4、モールド加圧機構5等はチャンバ11内に収納されており、チャンバ減圧機構12が設けられているため、パターン転写の際に、必要に応じて、モールド3と基板1との間を減圧するようにしても良い。これにより、モールド3のパターン3Aと基板1上の光硬化性樹脂8との間に残る気泡による欠陥を低減し、転写精度を向上させることができる。
【0044】
したがって、本実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法によれば、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板1に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
これにより、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板1に対しても使用可能なインプリント装置を実現することができる。また、インプリント装置の適用範囲を広げることができる。例えばデバイス製造への適用性が広がる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について、図8〜図11を参照しながら説明する。
【0045】
本実施形態にかかるインプリント装置は、上述の第1実施形態のものがチャンバ11の外側に設けられた1つの光源7によって露光を行なうようにしているのに対し、図8に示すように、チャンバ11内に収納された複数の光源7Xによって露光を行なうようにしている点が異なる。なお、図8では、上述の第1実施形態のもの(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0046】
このため、本実施形態では、モールド加圧機構5とモールドホルダ4との間に、モールドホルダ4の複数の開口部4Aに対向する位置のそれぞれに光源7X(露光光源)を有する圧力伝達部14が設けられている。つまり、モールドホルダ4に装着しうるモールド3の数と同数の光源7Xが圧力伝達部14に設けられている。そして、圧力伝達部14は、モールドホルダ4やモールド加圧機構5とともに、チャンバ11に収納されている。
【0047】
ここでは、光源7Xとして、LED(Light Emitting Diode)を用いている。そして、圧力伝達部14は、図8、図9に示すように、モールドホルダ4の複数の開口部4Aに対向する位置のそれぞれに凹部14Aを有し、これらの凹部14AのそれぞれにLED7Xが設けられている。この場合、モールドホルダ4に装着されたモールド3のパターン形成エリアの直上に、圧力伝達部14に設けられたLED7Xが位置するようになっている。
【0048】
ここで、圧力伝達部14の凹部14Aの開口面積は、モールド3のパターン形成エリアの大きさに等しくするのが好ましい。但し、必要に応じて調整しても良い。
なお、本実施形態では、光源7XとしてLEDを用いているが、これに限られるものではない。モールド3のパターン形成エリアの大きさと同程度の開口面積を有する凹部14Aに設置可能な大きさであって、露光光源として使用可能なものであれば、LED以外の光源を用いても良い。
【0049】
また、本実施形態では、圧力伝達部14に複数の光源7Xを設けるようにしているが、これに限られるものではない。例えば、別の場所に光源7Xを設置した上で、圧力伝達部14の各凹部14Aに例えば光ファイバ等を用いて導光するようにしても良い。
また、本実施形態では、モールド加圧機構5と圧力伝達部14とを別体のものとして構成しているが、これに限られるものではない。例えば、モールド加圧機構5と圧力伝達部14とを一体のものとして構成しても良い。この場合、モールド加圧機構5が、モールドホルダ4の複数の開口部4Aに対向する位置のそれぞれに光源7Xを有するものとして構成されることになる。
【0050】
上述のように、本実施形態では、光源7Xはチャンバ11内に収納されているため、チャンバ11には窓は設けられていない。また、モールド加圧機構5にも、図10に示すように、開口部が形成されていない。
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0051】
次に、本実施形態にかかるインプリント装置によるインプリント方法について、具体的に説明する。
まず、図8、図11(A)に示すように、上述の第1実施形態の場合と同様に、基板1上にレジスト8を塗布する。
ここでは、基板1は、若干のうねりのあるガラス基板である。
【0052】
また、レジスト8としては、上述の第1実施形態の場合と同様に、光硬化性樹脂を用いている。
次いで、上述の第1実施形態の場合と同様に、レジスト8を塗布した基板を、XYステージ2上に位置させる。
次に、モールド3を、モールドホルダ4に少なくとも2つ装着する。
【0053】
本実施形態では、基板1にうねりがあるため、モールドホルダ4の全ての開口部4Aにモールド3を装着せずに、応力発生の少ない部分、即ち、図8、図11(A)に示す断面において2個のモールド3を装着した場合を例示している。
次に、モールド3を装着したモールドホルダ4を、モールド加圧機構5及び圧力伝達部14の下方に位置させる。本実施形態では、モールド加圧機構5の下方に圧力伝達部14が設けられているため、モールドホルダ4を圧力伝達部14の下方に位置させる。
【0054】
これにより、圧力伝達部14に設けられた各LED7Xが、モールドホルダ4に設けられた各開口部4Aの直上に位置することになる。つまり、圧力伝達部14に設けられた各LED7Xが、モールドホルダ4に装着されたモールド3の直上、ここでは、モールド3のパターン形成エリアの直上に位置することになる。
次いで、制御部13は、ステージ2の下方に設けられたステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aを駆動し、ステージ2を上昇させる。これにより、基板1上に塗布されたレジスト8とモールドホルダ4に保持されたモールド3との間の距離が、レジスト8とモールド3が接触しない程度の距離になるように調整される。ここでは、インプリント可能にするために、モールドホルダ4の可動範囲内の適切な位置にステージ2上の基板1を位置させる。
【0055】
次に、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4に保持されているモールド3に圧力が加えられ、基板1上に塗布されたレジスト8に対してモールド3が押し付けられる。つまり、基板1上に塗布されたレジスト8に適切な圧力でモールド3を接触させる。なお、モールド3が装着されていない部分はレジスト面には接触しない。
【0056】
そして、制御部13は、加圧時に、ステージ2上のモールド3に対向する位置に設けられた圧力センサ6によって検出される圧力をモニタリングし、圧力が適切な範囲内になるように、モールド加圧機構5を制御する。
その後、制御部13は、モールド3が装着されたモールドホルダ4の開口部4Aに対向する位置の光源(LED)7Xのみを点灯させる。つまり、モールドホルダ4に装着されたモールド3の直上のLED7Xのみが点灯する。これにより、圧力伝達部14に設けられたLED7Xから照射された光が、モールド3を透過し、モールド3の直下のレジスト8を露光する。そして、レジスト8が硬化するのに十分な露光量を与えるまで、上述のようにして制御された圧力を加えた状態でレジスト8とモールド3との間の接触を維持する。
【0057】
そして、レジスト8が十分硬化したら、図11(B)に示すように、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、圧力を解放する。次いで、制御部13はステッピングモータ10Aを駆動させてステージ2を下降させ、モールド3とレジスト8との間の接触を解消する。このようにして、レジスト8のモールド3が装着されたエリアに対応する領域のみに微細なパターン8Aがインプリントされた基板1が得られる。
【0058】
その後、上述と同様の工程を繰り返して、レジスト8の他の領域にもモールド3のパターン3Aを転写する。例えば、図11(C)に示すような順番でステップアンドリピートを行なって、レジスト8の他の領域にもパターン8Aを形成する。これにより、レジスト8の全面にパターン8Aがインプリントされた基板1が得られる。なお、図11(C)中、番号は、レジスト8に加工を施す順番、インプリント処理番号を示している。このようにステップアンドリピートを行なう場合にも、圧力センサ6によって圧力をモニタリングしてモールド加圧機構5によって加えられる圧力を制御するため、基板1に与えるストレスが大きくなるのを防止することができる。
【0059】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板1に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
【0060】
これにより、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板1に対しても使用可能なインプリント装置を実現することができる。また、インプリント装置の適用範囲を広げることができる。例えばデバイス製造への適用性が広がる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について、図12〜図17を参照しながら説明する。
【0061】
本実施形態にかかるインプリント装置は、上述の第1実施形態のものに対し、モールドホルダが二重構造になっている点が異なる。また、本インプリント装置は、上述の第2実施形態のものと同様に、図12に示すように、チャンバ11内に収納された複数の光源7Xによって露光を行なうようにしている点が異なる。なお、図12では、上述の第1実施形態のもの(図1参照)及び第2実施形態(図8参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0062】
つまり、本実施形態では、図13、図14に示すように、モールドホルダ4Xは、開口部4XAa(第1開口部)を有する複数の第1ホルダ4XAと、複数の第1ホルダ4XAを移動可能に保持しうる複数の開口部4XBa(第2開口部)を有する第2ホルダ4XBとを備える。なお、第1ホルダ4XAを可動性ホルダともいう。
ここでは、複数の第1ホルダ4XAは、図15(A)、(B)に示すように、第2ホルダ4XBの開口部4XBaのそれぞれに摺動部15を介して取り付けられている。これにより、複数の第1ホルダ4XAは、第2ホルダ4XBに対して独立に上下に移動することができるようになっている。つまり、複数の第1ホルダ4XAのそれぞれに装着されるモールド3、即ち、複数のモールド3は、それぞれ独立に昇降しうるようになっている。
【0063】
また、図14に示すように、第1ホルダ4XAの開口部4XAaにはモールドストッパ4XCが設けられており、開口部4XAaにモールド3を固定することができるようになっている。また、第2ホルダ4XBに装着される複数の第1ホルダ4XAのうち、少なくとも2つ、即ち、複数の第1ホルダ4XAにモールド3を装着する。
また、図12に示すように、第2ホルダ4XBには、位置合わせセンサ9が設けられており、基板1に対して位置合わせを行なうことができるようになっている。
【0064】
上述のように、本実施形態では、複数のモールド3はそれぞれ独立に昇降しうるようになっているため、モールド加圧機構5Xは、複数のモールド3のそれぞれに独立に圧力を加えることができるようになっている。つまり、本実施形態では、図12、図16に示すように、モールド加圧機構5Xは、モールドホルダ4Xの第1ホルダ4XAに対向する位置のそれぞれに設けられ、モールド3に圧力を加える複数の加圧機構5XAを備えるものとして構成される。
【0065】
ここで、複数の加圧機構5XAは、例えば、空気圧、油圧、水圧などの媒体を利用したもの、圧電素子、ステッピングモータなどの動力源を用いたアクチュエータを用いたものなどを用いることができる。ここでは、小型ステッピングモータを用いた加圧機構5XAを用いている。なお、モールド加圧機構5Xは、圧力制御機構ともいい、複数の加圧機構5XAは、複数の圧力制御機構ともいう。
【0066】
そして、複数の加圧機構5XAは、それぞれ光源(ここではLED)7Xを備える。つまり、モールドホルダ4Xを構成する第2ホルダ4XBの複数の開口部4XBa(第2開口部)のそれぞれに第1ホルダ4XAが装着されており、これらの第1ホルダ4XAに対向する位置のそれぞれに、光源7Xを有する加圧機構5Xが設けられている。この場合、複数の加圧機構5Xのそれぞれに備えられる光源7Xは、モールドホルダ4Xを構成する複数の第1ホルダ4XAの開口部(第1開口部)4XAaのそれぞれに対向する位置に設けられることになる。つまり、モールドホルダ4Xに装着しうるモールド3の数と同数の光源7Xがモールド加圧機構5Xに設けられている。
【0067】
ここでは、複数の加圧機構5XAは、それぞれ、モールドホルダ4Xの複数の開口部4XAa、即ち、モールドホルダ4Xを構成する複数の第1ホルダ4XAの開口部4XAaに対向する位置のそれぞれに凹部5XAaを有し、これらの凹部5XAaのそれぞれにLED7Xが設けられている。この場合、モールドホルダ4Xに装着されたモールド3のパターン形成エリアの直上に、複数の加圧機構5XAのそれぞれに設けられたLED7Xが位置するようになっている。
【0068】
ここで、複数の加圧機構5XAの凹部5XAaの開口面積は、モールド3のパターン形成エリアの大きさに等しくするのが好ましい。但し、必要に応じて調整しても良い。
そして、複数の加圧機構5XAは、制御部13(例えばPCなど)によって、それぞれ独立に作動させることができるようになっている。つまり、制御部13が、複数の加圧機構5XAのそれぞれを独立に作動させることで、複数の第1ホルダ4XAのそれぞれに装着されたモールド3を、それぞれ独立に昇降させてインプリントすることが可能になっている。
【0069】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例、上述の第2実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
次に、本実施形態にかかるインプリント装置によるインプリント方法について、具体的に説明する。
まず、図12、図17(A)に示すように、上述の第1実施形態の場合と同様に、基板1上にレジスト8を塗布する。
【0070】
ここでは、基板1は、反りのある樹脂製基板である。
また、レジスト8としては、上述の第1実施形態の場合と同様に、光硬化性樹脂を用いている。
次いで、上述の第1実施形態の場合と同様に、レジスト8を塗布した基板1を、XYステージ2上に位置させる。
【0071】
次に、モールド3を、モールドホルダ4Xに少なくとも2つ装着する。本実施形態では、モールドホルダ4Xは、第1ホルダ4XAと第2ホルダ4XBとを備える。このため、少なくとも2つのモールド3を、第1ホルダ4XAに装着する。また、第1ホルダ4XAを第2ホルダ4XBに装着する。
本実施形態では、複数の第1ホルダ4XAの全てにモールド3を装着し、モールド3が装着された複数の第1ホルダ4XAの全てを第2ホルダ4XBに装着するようにしている。
【0072】
次に、モールド3を装着したモールドホルダ4Xを、例えば小型ステッピングモータを用いたモールド加圧機構5Xの下方に位置させる。つまり、モールド3を装着した複数の第1ホルダ4XAのそれぞれを、複数の加圧機構5XAのそれぞれの下方に位置させる。
これにより、複数の加圧機構5XAのそれぞれに設けられた各LED7Xが、モールドホルダ4Xを構成する複数の第1ホルダ4XAのそれぞれの開口部4XAaの直上に位置することになる。つまり、複数の加圧機構5XAのそれぞれに設けられた各LED7Xが、モールドホルダ4Xを構成する複数の第1ホルダ4XAのそれぞれに装着されたモールド3の直上、ここでは、モールド3のパターン形成エリアの直上に位置することになる。
【0073】
次いで、制御部13は、ステージ2の下方に設けられたステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aを駆動し、ステージ2を上昇させる。これにより、基板1上に塗布されたレジスト8とモールドホルダ4Xに保持されたモールド3との間の距離が、レジスト8とモールド3が接触しない程度の距離になるように調整される。ここでは、インプリント可能にするために、モールドホルダ4Xの可動範囲内の適切な位置にステージ2上の基板1を位置させる。
【0074】
次に、図17(A)に示すように、制御部13は、モールド加圧機構5Xを構成する複数の加圧機構5XAのそれぞれを独立に作動させる。これにより、各加圧機構5XAによってモールドホルダ4Xに保持されているモールド3のそれぞれに独立に圧力が加えられ、基板1上に塗布されたレジスト8に対して各モールド3が独立に押し付けられる。つまり、基板1上に塗布されたレジスト8に適切な圧力で複数のモールド8のそれぞれを独立に接触させる。
【0075】
そして、制御部13は、加圧時に、ステージ2上のモールド3に対向する位置に設けられた複数の圧力センサ6のそれぞれによって検出される各圧力をモニタリングし、各圧力が適切な範囲内になるように、複数の加圧機構5XAのそれぞれを独立に制御する。
その後、制御部13は、モールド3が装着されたモールドホルダ4Xの開口部4XAa、即ち、第1ホルダ4XAの開口部4XAaに対向する位置の光源(LED)7Xを点灯させる。これにより、複数の加圧機構5XAのそれぞれに設けられたLED7Xから照射された光が、各モールド3を透過し、各モールド3の直下のレジスト8を露光する。そして、レジスト8が硬化するのに十分な露光量を与えるまで、上述のようにして制御された圧力を加えた状態でレジスト8と各モールド3との間の接触を維持する。
【0076】
そして、レジスト8が十分硬化したら、制御部13は、モールド加圧機構5Xを構成する複数の加圧機構5XAのそれぞれを独立に作動させ、圧力を解放する。
本実施形態では、図17(A),(B)に示すように、基板1にかかる応力が大きくならないように順番に個々のモールド3を作動させてインプリントを行なう。
次いで、図17(C)に示すように、インプリントされた部分のレジスト8が全て十分に硬化したら、即ち、複数の加圧機構5XAのすべての圧力を解放したら、制御部13はステッピングモータ10Aを駆動させてステージ2を下降させ、モールド3とレジスト8との間の接触を解消する。このようにして、レジスト8のモールド3が装着されたエリアに対応する領域、ここでは、レジスト8の全面に微細なパターン8Aがインプリントされた基板1が得られる。
【0077】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例、及び、上述の第2実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法によれば、上述の第1及び第2実施形態の場合と同様に、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板1に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
【0078】
これにより、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板1に対しても使用可能なインプリント装置を実現することができる。また、インプリント装置の適用範囲を広げることができる。例えばデバイス製造への適用性が広がる。
なお、上述の実施形態では、光源7Xをモールド加圧機構5Xの複数の加圧機構5XAのそれぞれに設けているが、これに限られるものではない。例えば第1実施形態のように1つの光源7を設け、一括露光するようにしても良い。この場合、モールド加圧機構5Xの複数の加圧機構5XAのそれぞれに光源7Xを設けるのに代えて、モールド加圧機構の複数の加圧機構のそれぞれに開口部を設けることになる。また、チャンバ11にも窓11Aを設けることになる。また、モールド3を装着しない第1ホルダ4XAの開口部4XAaを通過した光によって光硬化性樹脂8が硬化してしまうのを防止すべく、光源7からの光が第1ホルダ4XAの開口部4XAaを通過しないようにシャッタによってモールド3が装着されていない第1ホルダ4XAの開口部4XAaを閉じるか、モールド3を装着しない第1ホルダ4XAの開口部4XAaに、パターンを有せず、遮光性を有するダミーモールドを装着するのが好ましい。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について、図18を参照しながら説明する。
【0079】
本実施形態にかかるインプリント装置は、上述の第1実施形態のものが基板1上の光硬化性樹脂8にインプリントするインプリント装置であるのに対し、図18に示すように、基板1上の熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂)8Xにインプリントするインプリント装置である点が異なる。なお、図18では、上述の第1実施形態のもの(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0080】
つまり、本インプリント装置は、上述の第1実施形態のものに対し、光源7が設けられていない点、チャンバ11に窓11Aが設けられていない点、モールド加圧機構5に光源7からの光を通過させるための開口部5Aが設けられていない点、ステージ2に熱源(加熱機構)としてのヒータ16が設けられている点が異なる。
本インプリント装置では、ステージ2にヒータ16が設けられており、制御部13によってヒータ16の作動を制御できるようになっている。そして、ヒータ16によって基板1上に塗布された熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂)8Xを加熱することで、モールド3のパターン3Aを基板1に転写することができるようになっている。
【0081】
また、本実施形態では、未硬化樹脂として熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂)8Xを用い、熱源としてステージ2に設けられたヒータ16を用いるため、モールド3として光透過性モールドを用いる必要はない。例えばニッケルなどの金属材料を素材として用いたモールドを用いても良い。
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0082】
次に、本実施形態にかかるインプリント装置によるインプリント方法について、具体的に説明する。
まず、図18に示すように、基板1上にレジスト8Xを塗布する。
ここでは、レジスト8Xとしては、用途によって熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができるが、ここでは熱可塑性樹脂を用いている。
【0083】
次いで、上述の第1実施形態の場合と同様に、レジスト8Xを塗布した基板1を、XYステージ2上に位置させる。
次に、モールド3を、モールドホルダ4に少なくとも2つ装着する。
次に、モールド3を装着したモールドホルダ4を、モールド加圧機構5の下方に位置させる。
【0084】
次いで、制御部13はヒータ16を作動させ、ステージ2を加熱する。ここでは、レジスト8Xとして熱可塑性樹脂を用いているため、レジスト8Xが流動化する温度(基材樹脂によって様々であるが、ここでは例えば130℃)まで加熱する。
次に、制御部13は、ステージ2の下方に設けられたステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aを駆動させて、ステージ2を上昇させる。これにより、基板1上に塗布されたレジスト8Xとモールドホルダ4に保持されたモールド3との間の距離が、レジスト8Xとモールド3が接触しない程度の距離になるように調整される。ここでは、インプリント可能にするために、モールドホルダ4の可動範囲内の適切な位置にステージ2上の基板1を位置させる。
【0085】
次に、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4に保持されているモールド3に圧力が加えられ、基板1上に塗布されたレジスト8Xに対してモールド3が押し付けられる。つまり、基板1上に塗布されたレジスト8Xに適切な圧力でモールド3を接触させる。なお、モールド3が装着されていない部分はレジスト面には接触しない。
【0086】
そして、制御部13は、加圧時に、ステージ2上のモールド3に対向する位置に設けられた圧力センサ6によって検出される圧力をモニタリングし、圧力が適切な範囲内になるように、モールド加圧機構5を制御する。そして、このようにして制御された圧力を加えた状態でレジスト8Xとモールド3との間の接触を維持する。ここで、加圧時間は、パターンのサイズ、レジスト膜厚、基材樹脂の柔らかさなどの要素を勘案して適切に決められるが、例えば30秒〜60分程度である。
【0087】
その後、制御部13はヒータ16の作動を停止させる。これにより、ステージ2が冷却され、レジスト8Xが十分硬化する温度まで下がったら、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、圧力を解放する。次いで、制御部13はステッピングモータ10Aを駆動させてステージ2を下降させ、モールド3とレジスト8Xとの間の接触を解消する。このようにして、レジスト8Xのモールド3が装着されたエリアに対応する領域に微細なパターン8Aがインプリントされた基板が得られる。
【0088】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板1に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
【0089】
これにより、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板1に対しても使用可能なインプリント装置を実現することができる。また、インプリント装置の適用範囲を広げることができる。例えばデバイス製造への適用性が広がる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について、図19を参照しながら説明する。
【0090】
本実施形態にかかるインプリント装置は、上述の第1実施形態のものが基板1上の光硬化性樹脂8にインプリントするインプリント装置であるのに対し、基板1上の熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂)8Xにインプリントするインプリント装置である点が異なる。
つまり、本インプリント装置は、上述の第1実施形態のものに対し、図19に示すように、露光光源7に代えて熱源として赤外線ランプ17を備える点、ステージ2に温度センサ18が設けられている点が異なる。
【0091】
本インプリント装置では、熱源(加熱機構)としての赤外線ランプ17は、モールドホルダ4及びモールド加圧機構5を挟んでステージ2の反対側に設けられている。
このように、モールドホルダ4を挟んでステージ2の反対側に熱源としての赤外線ランプ17が設けられているため、モールド3の素材としては、赤外線ランプ17からの赤外線を十分に透過するものを選択することになる。モールド3の素材としては、例えば、シリコン、カルコゲン化物ガラス、サファイヤ、アルミナ、ダイヤモンドなどの素材を用いれば良い。ここでは、石英を素材として用いたモールド3を用いている。
【0092】
また、モールド加圧機構5は、モールドホルダ4の複数の開口部4A(第1開口部)に対向する位置に複数の開口部5A(第3開口部)を有する。
また、ステージ2は、例えば熱電対などの温度センサ18を備え、温度センサ18からの検出情報が制御部13へ送られるようになっている。
そして、赤外線ランプ17からの赤外線を照射して、基板1上に塗布された熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂)8Xを加熱することで、モールド3のパターン3Aを基板1に転写することができるようになっている。また、加熱時には、制御部13は、温度センサ18からの検出情報をモニタリングし、赤外線ランプ17の点灯・消灯を制御するようになっている。
【0093】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
次に、本実施形態にかかるインプリント装置によるインプリント方法について、具体的に説明する。
まず、図19に示すように、基板1上にレジスト8Xを塗布する。
【0094】
ここでは、レジスト8Xとしては、用途によって熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができるが、ここでは熱可塑性樹脂を用いている。
次いで、上述の第1実施形態の場合と同様に、レジスト8Xを塗布した基板1を、XYステージ2上に位置させる。
次に、モールド3を、モールドホルダ4に少なくとも2つ装着する。
【0095】
次に、モールド3を装着したモールドホルダ4を、モールド加圧機構5の下方に位置させる。
次に、制御部13は、ステージ2の下方に設けられたステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aを駆動させて、ステージ2を上昇させる。これにより、基板1上に塗布されたレジスト8Xとモールドホルダ4に保持されたモールド3との間の距離が、レジスト8Xとモールド3が接触しない程度の距離になるように調整される。ここでは、インプリント可能にするために、モールドホルダ4の可動範囲内の適切な位置にステージ2上の基板1を位置させる。
【0096】
次いで、制御部13は赤外線ランプ17を点灯させる。これにより、赤外線ランプ17から照射された赤外線が、チャンバ11の窓11A、モールド加圧機構5の開口部5Aを通過し、モールド3を透過して、モールド3の直下のレジスト8Aを加熱する。ここでは、レジスト8Aとして熱可塑性樹脂を用いているため、レジスト8Aが流動化する温度(基材樹脂によって様々であるが、ここでは例えば130℃)まで加熱する。つまり、制御部13は、ステージ2に設けられた温度センサ18からの検出情報をモニタリングし、レジスト8Aが流動化する温度になったら、赤外線ランプ17を消灯する制御を行なうようになっている。
【0097】
次に、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4に保持されているモールド3に圧力が加えられ、基板1上に塗布されたレジスト8Xに対してモールド3が押し付けられる。つまり、基板1上に塗布されたレジスト8Xに適切な圧力でモールド3を接触させる。なお、モールド3が装着されていない部分はレジスト面には接触しない。
【0098】
そして、制御部13は、加圧時に、ステージ2上のモールド3に対向する位置に設けられた圧力センサ6によって検出される圧力をモニタリングし、圧力が適切な範囲内になるように、モールド加圧機構5を制御する。そして、このようにして制御された圧力を加えた状態でレジスト8Xとモールド3との間の接触を維持する。ここで、加圧時間は、パターンのサイズ、レジスト膜厚、基材樹脂の柔らかさなどの要素を勘案して適切に決められるが、例えば30秒〜60分程度である。
【0099】
その後、レジストが十分硬化する温度まで下がったら、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、圧力を解放する。次いで、制御部13はステッピングモータ10Aを駆動させてステージ2を下降させ、モールド3とレジスト8Xとの間の接触を解消する。このようにして、レジスト8Xのモールド3が装着されたエリアに対応する領域に微細なパターン8Aがインプリントされた基板1が得られる。
【0100】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板1に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
【0101】
これにより、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板1に対しても使用可能なインプリント装置を実現することができる。また、インプリント装置の適用範囲を広げることができる。例えばデバイス製造への適用性が広がる。
[その他]
なお、上述の第1〜第3実施形態では、光硬化性樹脂にインプリントするインプリント装置を例に挙げ、上述の第4、第5実施形態では、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂にインプリントするインプリント装置を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。
【0102】
例えば、上述の第1〜第3実施形態のインプリント装置において、加熱機構(熱源)を設けて、光硬化性樹脂だけでなく、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂にインプリントするインプリント装置としても利用することができるようにしても良い。つまり、上述の第1〜3実施形態のインプリント装置を、光インプリント及び熱インプリントの両方に利用できるインプリント装置として構成しても良い。この場合、加熱機構としては、例えば第4実施形態のようにステージにヒータ(例えば熱線)を設ければ良い。
【0103】
また、例えば、上述の第1実施形態のインプリント装置と上述の第5実施形態のインプリント装置とを組み合わせても良い。つまり、上述の第5実施形態のインプリント装置において、赤外線ランプと露光光源とを切り替え可能に設けるようにしても良い。
また、上述の各実施形態及び変形例では、インプリント装置及びインプリント方法を、例えばLSIなどの半導体デバイスを埋め込まれた基板上に配線を形成するためにパターンをインプリントする場合に用いるものとして説明しているが、これに限られるものではない。つまり、上述の各実施形態及び変形例のインプリント装置及びインプリント方法は、半導体デバイスの製造のみならず、微細なパターンを有するものを製造する場合にも用いることができ、その場合も同様の作用・効果が得られる。
【0104】
つまり、微細なパターンを有するものとしては、マスクパターン、レチクルパターン、磁気ヘッド、LCD(液晶ディスプレイ)、SAWフィルタ(弾性表面波フィルタ)等の機能部品、光配線の接続に利用される光部品、マイクロアクチュエータ等の微細部品等を挙げることができる。また、上述の各実施形態及び変形例のインプリント装置及びインプリント方法は、半導体の実装工程として、二次元実装、三次元実装、シリコンインターポーザの製造などにも応用可能である。
【0105】
また、本発明は、上述した各実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
以下、上述の各実施形態及びその変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
パターンを有するモールドの前記パターンを基板上に転写するインプリント装置であって、
前記基板を保持しうるステージと、
前記ステージに対向する位置に設けられ、前記モールドを保持しうる複数の第1開口部を有するモールドホルダと、
前記モールドホルダを挟んで前記ステージの反対側に設けられ、前記モールドに圧力を加えるモールド加圧機構と、
前記ステージ上の前記複数の第1開口部に対向する位置に設けられた複数の圧力センサとを備えることを特徴とするインプリント装置。
【0106】
(付記2)
前記圧力センサからの検出情報をモニタリングしながら、前記モールド加圧機構によって前記モールドに加えられる圧力を制御する制御部を備えることを特徴とする、付記1に記載のインプリント装置。
(付記3)
前記モールドホルダは、前記第1開口部を有する複数の第1ホルダと、前記複数の第1ホルダを移動可能に保持しうる複数の第2開口部を有する第2ホルダとを備え、
前記モールド加圧機構は、前記複数の第1ホルダに対向する位置のそれぞれに設けられ、前記モールドに圧力を加える複数の加圧機構を備え、
前記複数の加圧機構は、それぞれ光源を備えることを特徴とする、付記1又は2に記載のインプリント装置。
【0107】
(付記4)
前記モールド加圧機構と前記モールドホルダとの間に設けられ、前記複数の第1開口部に対向する位置のそれぞれに光源を有する圧力伝達部を備えることを特徴とする、付記1又は2に記載のインプリント装置。
(付記5)
前記モールドホルダ及び前記モールド加圧機構を挟んで前記ステージの反対側に設けられた光源を備え、
前記モールド加圧機構は、前記複数の第1開口部に対向する位置に複数の第3開口部を有することを特徴とする、付記1又は2に記載のインプリント装置。
【0108】
(付記6)
前記ステージは、ヒータを備えることを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載のインプリント装置。
(付記7)
前記モールドホルダ及び前記モールド加圧機構を挟んで前記ステージの反対側に設けられた熱源をさらに備え、
前記モールド加圧機構は、前記複数の第1開口部に対向する位置に複数の第3開口部を有し、
前記ステージは、温度センサを備えることを特徴とする、付記1又は2に記載のインプリント装置。
【0109】
(付記8)
前記ステージ、前記モールドホルダ、前記モールド加圧機構が、減圧可能なチャンバに収納されていることを特徴とする、付記1〜7のいずれか1項に記載のインプリント装置。
(付記9)
前記ステージを昇降させるステージ昇降機構を備えることを特徴とする、付記1〜8のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【0110】
(付記10)
ステージ昇降機構によって基板を保持するステージを昇降させ、前記基板とモールドホルダに保持された複数のモールドとの間の距離を調整し、
モールド加圧機構によって前記モールドに圧力を加えて前記モールドを前記基板に押し付け、
前記ステージ上の前記複数のモールドに対向する位置に設けられた複数の圧力センサからの検出情報をモニタリングしながら、前記モールド加圧機構によって前記モールドに加えられる圧力を制御することを特徴とするインプリント方法。
【符号の説明】
【0111】
1 基板
2 ステージ
3 モールド
3A パターン
3B 遮光膜
4,4X モールドホルダ
4A 開口部(第1開口部)
4B,4XC モールドストッパ
4XA 第1ホルダ
4XAa 開口部(第1開口部)
4XB 第2ホルダ
4XBa 開口部(第2開口部)
5,5X モールド加圧機構
5A 開口部(第3開口部)
5B 媒体送液口
5XA 加圧機構
5XAa 凹部
6 圧力センサ
7 光源(露光光源)
7X 光源(LED)
8 光硬化性樹脂(レジスト)
8A 転写パターン
8X 熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂;レジスト)
9 位置合わせセンサ
10 ステージ昇降機構
10A ステッピングモータ
11 チャンバ
11A 窓
12 チャンバ減圧機構
12A 排気口
12B バルブ
12C 真空ポンプ
13 制御部
14 圧力伝達部
14A 凹部
15 摺動部
16 ヒータ(熱源;加熱機構)
17 赤外線ランプ(熱源;加熱機構)
18 温度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント装置及びインプリント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安価で高い量産性を有する微細加工技術として、インプリント法が注目を集めている。
インプリント法は、スタンプの要領で基板上にパターンを形成するものであり、従来の光露光装置を用いる露光技術と異なり、解像性が露光に用いる光の波長に依存しないことなどの利点がある。このため、パターンドメディア、フォトニッククリスタル、LSI(Large scale integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などの微細加工技術として、幅広い分野への応用が期待されている。
【0003】
インプリント法では、従来の光露光装置を用いた微細加工技術とは異なり、予めモールドに形成された微細構造パターンを樹脂に接触させて基板に転写する。この際、樹脂が光硬化性であれば光を当て、熱可塑性又は熱硬化性であれば加熱を施すことによって、モールドに形成されたパターンの凹部に充填された樹脂を硬化させて、基板上にモールドの反転パターンを形成する。
【0004】
従来のインプリント装置には大きく分けて2つの種類がある。
つまり、一つは、図20(A)に示すように、比較的小型のモールドを用いて、同一基板上にステップアンドリピートを行なって、次々にパターンを形成していく、ステップアンドリピート方式を採用したインプリント装置である。
このようなインプリント装置では、まず、樹脂を塗布した基板上の最初のパターン形成エリアの上方にモールドを位置させた後、樹脂の表面にモールドを接触させ、この状態で樹脂を硬化させてパターンを転写する。そして、モールドを基板から離し、基板を載せたステージを移動させて、モールドを次のパターン形成エリアの上方に位置させた後、同様の方法でパターンを転写する。このような工程を繰り返して、基板上の全面にパターンを形成する。
【0005】
もう一つは、図20(B)に示すように、基板と同等程度のサイズの比較的大型のモールドを用いて、基板上に一度にパターンを形成する、一括転写方式を採用したインプリント装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6334960号明細書
【特許文献2】特開2007−42715号公報
【特許文献3】特開2008−12858号公報
【特許文献4】特表2006−521682号公報
【特許文献5】特開2006−18977号公報
【特許文献6】特開2006−303292号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Stephan Y. Chou et al., “Imprint of sub-25 nm vias and trenches in polymers”, Appl. Phys. Lett., Vol. 67, No, 21, 20 November 1995, pp. 3114-3116
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述のステップアンドリピート方式を採用したインプリント装置は、スループットが低いという課題がある。特に、同一基板上に異なるパターンを形成する場合には、モールドを取り替えなくてはならないため、さらにスループットが低くなる。
また、上述の一括転写方式を採用したインプリント装置は、比較的大型のモールドを押し付けるため、モールド中央部付近は加圧が不十分になり、また、気泡の逃げ場となる空間もない。このため、モールドに形成されたパターンの凹部に十分に樹脂が充填されず、気泡が残ってしまい、パターンの欠陥を生じやすいという課題がある。
【0009】
特に、パターンを転写する基板が、平坦なSiウエハや石英等でなく、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板である場合に、比較的大型のモールドを用いると、密着不良が生じたり、密着時に基板に与えるストレスが大きくなったりする。より密着させるために、基板を載せたステージを昇降させてモールドに基板を押し付ける際の圧力を高くすると、基板が受けるストレスが大きくなる。また、このような方法では、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板にパターンを転写する際の上記密着不良等の課題を解消するのは難しい。このため、一括転写方式を採用したインプリント装置は適用範囲が狭い。
【0010】
そこで、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくくし、基板に与えるストレスも小さい、インプリント装置及びインプリント方法を実現したい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本インプリント装置は、パターンを有するモールドのパターンを基板上に転写するインプリント装置であって、基板を保持しうるステージと、ステージに対向する位置に設けられ、モールドを保持しうる複数の第1開口部を有するモールドホルダと、モールドホルダを挟んでステージの反対側に設けられ、モールドに圧力を加えるモールド加圧機構と、ステージ上の複数の第1開口部に対向する位置に設けられた複数の圧力センサとを備えることを要件とする。
【0012】
本インプリント方法は、ステージ昇降機構によって基板を保持するステージを昇降させ、基板とモールドホルダに保持された複数のモールドとの間の距離を調整し、モールド加圧機構によってモールドに圧力を加えてモールドを前記基板に押し付け、ステージ上の複数のモールドに対向する位置に設けられた複数の圧力センサからの検出情報をモニタリングしながら、モールド加圧機構によってモールドに加えられる圧力を制御することを要件とする。
【発明の効果】
【0013】
したがって、本インプリント装置及びインプリント方法によれば、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態にかかるインプリント装置の構成を示す模式的断面図である。
【図2】(A)、(B)は第1実施形態にかかるインプリント装置において用いられるモールドの構成を示す模式図であって、(A)はその側面図であり、(B)はその底面図である。
【図3】第1実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールドホルダの構成を示す模式的平面図である。
【図4】第1実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールド加圧機構の構成を示す模式的平面図である。
【図5】第1実施形態にかかるインプリント装置に備えられるステージ及び圧力センサの構成を示す模式的平面図である。
【図6】第1実施形態にかかるインプリント装置の制御機構を示す模式図である。
【図7】(A)、(B)は第1実施形態にかかるインプリント方法を説明するための模式的断面図である。
【図8】第2実施形態にかかるインプリント装置の構成を示す模式的断面図である。
【図9】第2実施形態にかかるインプリント装置に備えられる圧力伝達部の構成を示す模式的平面図である。
【図10】第2実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールド加圧機構の構成を示す模式的平面図である。
【図11】(A)〜(C)は第1実施形態にかかるインプリント方法を説明するための模式的断面図である。
【図12】第3実施形態にかかるインプリント装置の構成を示す模式的断面図である。
【図13】第3実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールドホルダの構成を示す模式的平面図である。
【図14】第3実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールドホルダを構成する第1ホルダの構成を示す模式的平面図である。
【図15】(A)、(B)は第3実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールドホルダの動作を説明するための模式的断面図である。
【図16】第3実施形態にかかるインプリント装置に備えられるモールド加圧機構の構成を示す模式的平面図である。
【図17】(A)〜(C)は第3実施形態にかかるインプリント方法を説明するための模式的断面図である。
【図18】第4実施形態にかかるインプリント装置の構成を示す模式的断面図である。
【図19】第5実施形態にかかるインプリント装置の構成を示す模式的断面図である。
【図20】(A)、(B)は従来のインプリント装置を説明するための模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について、図1〜図7を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態にかかるインプリント装置は、モールドのパターンを基板上に転写するインプリント装置である。つまり、本インプリント装置は、予め加工面に形成されたパターンを有するモールドを、被転写基板上に形成された未硬化樹脂に接触させ、パターンの凹部に樹脂を充填した後、硬化させて、モールドのパターンを基板上にインプリントするインプリント装置である。なお、被転写基板を被加工基板ともいう。また、基板はワークともいう。
【0017】
以下、本実施形態では、基板上に塗布された光硬化性樹脂にモールドのパターンをインプリントするインプリント装置を例に挙げて説明する。
例えば、本インプリント装置は、樹脂基板の表面上に埋め込まれたLSIなどの複数の素子をつなぐ配線パターンをインプリントするのに用いることができる。
本インプリント装置は、図1に示すように、基板1を保持しうるステージ2と、パターン3Aを有するモールド3を保持しうる複数の開口部(第1開口部)4Aを有するモールドホルダ4と、モールド3に圧力を加えるモールド加圧機構5と、複数の圧力センサ6とを備える。
【0018】
ここで、ステージ2は、XYステージである。
モールド3は、モールドホルダ4の開口部4Aに装着される。そして、後述するように、モールドホルダ4を挟んでステージ2の反対側に光源(露光光源)7が設けられているため、モールド3の素材としては、光源7からの光を十分に透過するものを選択することになる。モールド3の素材としては、例えば、石英、ガラス、サファイヤ、ダイヤモンドなどの素材を用いれば良い。ここでは、石英を素材として用いたモールド3を用いている。このようなモールド3を光透過性モールドという。
【0019】
また、モールド3はパターン3A(微細構造パターン)を有するが、このパターン3Aは、例えば、以下のようにして形成すれば良い。
つまり、モールド3のパターン3Aを形成する面に、例えばレジストを塗布し、適切な露光方法(例えばg線、i線などによるフォトリソグラフィ技術、電子線リソグラフィ技術など)によってパターンを描画形成する。次に、このレジストパターンを、エッチングマスクとして、例えばRIE(Reactive Ion Etching;リアクティブイオンエッチング)などを行なって、モールド3のパターン形成面にパターンを転写して微細構造パターン3Aを形成する。そして、レジストを除去する。このようにして、例えば図2(A),(B)に示すようなパターン3A(微細構造パターン)を有するモールド3を作製することができる。
【0020】
ここでは、モールド3には、パターン3Aが形成されている領域以外の領域を覆うように遮光膜3Bが設けられている。これは、パターン転写の際、モールド3のパターン3Aが形成されている領域を透過して、基板1上に塗布された光硬化性樹脂8に光が照射されるが、この際に、パターンが形成されている領域以外の領域から光が漏れて迷光になるのを防ぐためである。この遮光膜3Bは必要に応じて設ければ良い。
【0021】
モールドホルダ4は、図1に示すように、ステージ2に対向する位置に設けられている。ここでは、モールドホルダ4は、ステージ2に保持される基板1の上方に位置するように設けられる。ここでは、図3に示すように、モールドホルダ4の複数の開口部4Aのそれぞれにモールドストッパ4Bが設けられている。これにより、図1に示すように、モールドホルダ4の複数の開口部4Aのそれぞれにモールド3を固定することができるようになっている。
【0022】
ここでは、モールドホルダ4には、複数の開口部4Aの中の任意の開口部4Aに、少なくとも2つのモールド3、即ち、複数のモールド3を固定する。
例えば、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合、うねりや反りが大きいエリアに対向する開口部4Aにはモールド3を装着しないようにすれば良い。これにより、基板1に与えるストレスを小さくすることができる。また、うねりや反りが大きいエリアの周囲のエリアに密着不良が生じないようにすることができる。
【0023】
また、例えば、同一基板1上に異なるパターンを形成する場合、複数の開口部4Aのそれぞれに異なるパターン3Aを有するモールド3を装着することができ、モールド3を取り替える必要がないため、スループットを高くすることができる。
さらに、比較的小型の複数のモールド3がモールドホルダ4に装着されており、各モールド3の間に気泡の逃げ場となる空間がある。このため、気泡等の巻き込みを極力抑えることができるため、気泡が残ってしまうことがなく、良好なパターンが得られる。
【0024】
また、モールドホルダ4の開口部4Aにモールド3を装着しないと、光源7からの光がモールドホルダ4の開口部4Aを通過し、基板1上に塗布された光硬化性樹脂8に照射され、パターンを転写しない領域が硬化してしまうことになる。このため、モールドホルダ4の複数の開口部4Aの中でモールド3を装着しない開口部4Aには、パターン3Aを有せず、遮光性を有するダミーモールドを装着するのが好ましい。
【0025】
また、モールドホルダ4には、位置合わせセンサ9が設けられており、基板1に対して位置合わせを行なうことができるようになっている。つまり、基板1に設けられた位置合わせマークをモールドホルダ4に設けられた位置合わせセンサ9によって検出することによって、基板1と、モールドホルダ4ひいてはモールドホルダに装着された各モールド3との位置合わせを行なうことができるようになっている。
【0026】
モールド加圧機構5は、モールドホルダ4を挟んでステージ2の反対側に設けられており、モールドホルダ4に圧力を加えることによって、モールド3に圧力を加えるようになっている。モールド加圧機構5としては、例えば空気圧、油圧、水圧などの媒体を利用したもの、圧電素子、ステッピングモータなどの動力源を用いたアクチュエータを用いたものなどを用いれば良い。ここでは、油圧を用いた加圧機構、即ち、油圧シリンダを含む加圧機構5を用いている。このため、図4では、媒体送液口5Bを示している。なお、モールド加圧機構5は、圧力制御機構ともいう。
【0027】
特に、本実施形態では、モールド加圧機構5は、図1、図4に示すように、モールドホルダ4の複数の開口部4Aに対向する位置に複数の開口部5A(第3開口部)を有する。つまり、モールド加圧機構5は、光源7からの光が通過しうるスペース5Aを有する。ここで、各開口部5Aの開口面積は、モールド3の微細パターン形成エリアと等しくするのが好ましいが、必要に応じて調整しても良い。このように、モールド加圧機構5に開口部5Aを設けているのは、後述するように、モールド加圧機構5を挟んでステージ2の反対側に光源7が設けられているため、パターン転写の際に、光源7からの光によって基板1上の光硬化性樹脂(レジスト)8を露光し、硬化させることを可能とするためである。これにより、光源7からの光は、モールド加圧機構5の開口部5Aを通過し、モールドホルダ4の開口部4Aに装着されたモールド3を透過して、基板1上の光硬化性樹脂8に照射され、モールド3のパターン3Aが基板1上に転写されることになる。
【0028】
複数の圧力センサ6は、図1、図5に示すように、ステージ2上のモールドホルダ4の複数の開口部4Aに対向する位置に設けられている。そして、モールド3のパターン3Aを基板1上に転写するためにモールド3を基板1上に押し付けた際に、個々のモールド3にかかる圧力を検出することができるようになっている。
また、本インプリント装置は、図1に示すように、ステージ2を昇降させるステージ昇降機構10を備える。ここでは、ステージ昇降機構10はステッピングモータ10Aを備えるものとして構成される。このステージ昇降機構10によって、基板1上の光硬化性樹脂8とモールド3との間の距離が、光硬化性樹脂8とモールド3とが接触しない程度の任意の距離になるように、ステージ2の位置を調整することができる。
【0029】
本実施形態では、ステージ2、モールドホルダ4、モールド加圧機構5は、減圧可能なチャンバ11に収納されている。なお、ステージ昇降機構10の一部又は全部(例えばステッピングモータ10Aまで)をチャンバ11内に収納しても良い。ここでは、チャンバ11には、チャンバ11内を減圧するためのチャンバ減圧機構12が設けられている。チャンバ減圧機構12としては、例えばチャンバ11の排気口12Aにバルブ12Bを介して真空ポンプ12Cを接続し、バルブ12Bの開閉によってチャンバ11内を減圧する機構を設ければ良い。これにより、パターン転写の際に、モールド3と基板1との間を減圧することで、モールド3のパターン3Aと基板1上の光硬化性樹脂8との間に残る気泡による欠陥を低減し、転写精度を向上させることができるようにしている。なお、ここでは、チャンバ11内に収納しているが、これに限られるものではなく、チャンバ11内に収納しなくても良い。
【0030】
さらに、本インプリント装置は、モールドホルダ4及びモールド加圧機構5を挟んでステージ2の反対側に設けられた光源(露光光源)7を備える。この光源7は、チャンバ11の外側であって、チャンバ11に設けられた窓(石英窓)11Aに対向する位置に設けられている。これにより、パターン転写の際に、モールド3が押し付けられた基板1上の光透過性樹脂8に光を照射することができるようになっている。つまり、パターン転写の際に、基板1とモールド3のパターン3Aとの間に充填された光硬化性樹脂8に光を照射することができるようになっている。この光源7は、基板1上にモールド3のパターン3Aを転写するのに光硬化性樹脂8を用いる場合に、モールド3が押し付けられた基板1上の光硬化性樹脂8を硬化させてモールド3のパターン3Aを転写するのに利用される。
【0031】
また、本インプリント装置は、図6に示すように、モールド加圧機構5、チャンバ減圧機構12、光源7、圧力センサ6、ステージ昇降機構10(ステッピングモータ10A)、ステージ2等を制御する制御部13を備える。制御部13はパーソナルコンピュータなどのコンピュータである。つまり、制御部13によって、ステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aの駆動制御が行なわれ、ステージ2の昇降制御が行なわれるようになっている。また、制御部13によって、チャンバ減圧機構12に含まれるバルブ12Bの開閉制御が行なわれ、チャンバ11の減圧制御及び減圧解除制御が行なわれるようになっている。また、制御部13によって、圧力センサ6を用いた圧力センシングを行ないながら、モールド加圧機構5の制御が行なわれ、モールド3に加えられる圧力の制御が行なわれるようになっている。つまり、制御部13は、圧力センサ6からの検出情報をモニタリングしながら、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4を介してモールド3に加えられる圧力を制御する機能を有する。また、制御部13によって、光源7の点灯・消灯が制御されるようになっている。
【0032】
次に、本実施形態にかかるインプリント装置によるインプリント方法について説明する。
本インプリント方法では、まず、ステージ昇降機構10によって基板1を保持するステージ2を昇降させ、基板1とモールドホルダ4に保持された複数のモールド3との間の距離を調整する。
【0033】
次いで、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4を介してモールド3に圧力を加え、モールド3を基板1に押し付ける。
次に、ステージ2上の複数のモールド3に対向する位置に設けられた複数の圧力センサ6からの検出情報をモニタリングしながら、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4を介してモールド3に加えられる圧力を制御する。
【0034】
以下、具体的に説明する。
まず、図1、図7(A)に示すように、基板(ワーク)1上にレジスト8を塗布する。
ここで、使用する基板1は、特に制限はないが、ここではSiウエハである。
また、レジスト8としては、光硬化性樹脂を用いている。
また、塗布の方法としては、特に制限はないが、必要な膜厚や基板の大きさから適切に選択すれば良く、例えばスピンコート法、スプレー法、ディップ法、スキャンコート法などから選択すれば良い。ここでは、簡便に膜厚制御を行なうことができるという点から、スピンコート法を用いている。
【0035】
次いで、レジスト8を塗布した基板1を、XYステージ2上に位置させる。
次に、モールド3を、モールドホルダ4に少なくとも2つ装着する。
ここで、使用するモールド3の個数は、基板1の材質や平坦性、例えば樹脂基板のように反りやうねりがあるもの、Si基板や石英基板のように平坦である程度固いものなどに応じて、2つ以上で任意に決められる。
【0036】
例えば、樹脂基板1で平坦性が十分でない基板の場合には、基板1に与える応力を低くし、基板1上にあるデバイス等に損傷を与えないように、隣接しない任意の適切な位置にモールド3を装着するのが有効である。
また、例えば、平坦性の高いSi等の基板1の場合は、基板サイズと、必要なパターンを形成したい場所(エリア、チップ)の数に応じて、装着するモールドの個数を決めても良い。
【0037】
また、異なる種類のパターンを有するモールド3を複数使用することも可能であり、異種のデバイスを同一基板上に効率よく作製することも可能である。
ここでは、モールドホルダ4の複数の開口部4Aの全てにモールド3を装着している。
次に、モールド3を装着したモールドホルダ4を、モールド加圧機構5の下方に位置させる。
【0038】
次いで、制御部13が、ステージ2の下方に設けられたステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aを駆動し、ステージ2を上昇させる。これにより、基板1上に塗布されたレジスト8とモールドホルダ4に保持されたモールド3との間の距離が、レジスト8とモールド3が接触しない程度の距離、例えば1000〜500μm程度の距離になるように調整される。なお、レジスト8とモールド3との間の距離が、レジスト8とモールド3が接触しない程度の任意の距離になるようにステージ2を上昇させれば良いが、インプリント可能にするために、モールドホルダ4の可動範囲内の適切な位置にステージ2上の基板1を位置させることが望ましい。
【0039】
次に、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4に保持されているモールド3に圧力が加えられ、基板1上に塗布されたレジスト8に対してモールド3が押し付けられる。つまり、基板1上に塗布されたレジスト8に適切な圧力でモールド3を接触させる。なお、モールド3が装着されていない部分はレジスト面には接触しない。
【0040】
ここで、モールド3に加える圧力は、例えば0.01MPa〜5MPa程度の範囲で任意に決めれば良い。このモールド3に加える圧力は、基板1の平坦性、応力、レジスト、パターニング特性などを総合的に判断して決める。
そして、制御部13は、加圧時に、ステージ2上のモールド3に対向する位置に設けられた圧力センサ6によって検出される圧力をモニタリングし、圧力が適切な範囲内になるように、モールド加圧機構5を制御する。
【0041】
その後、制御部13は光源7を点灯させる。そして、レジスト8が硬化するのに十分な露光量を与えるまで、上述のようにして制御された圧力を加えた状態でレジスト8とモールド2との間の接触を維持する。この加圧と露光の時間は、パターンのサイズ、レジスト8の感度、光源7のパワー及び波長などの要素を勘案して適切に決められる。例えば、30秒〜60分程度である。
【0042】
そして、レジスト8が十分硬化したら、図7(B)に示すように、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、圧力を解放する。次いで、制御部13はステッピングモータ10Aを駆動させてステージ2を下降させ、モールド3とレジスト8との間の接触を解消する。このようにして、レジスト8のモールド3が装着されたエリアに対応する領域に微細な転写パターン8Aがインプリントされた基板1が得られる。なお、ここでは、パターン8Aがインプリントされたレジスト8は、配線を形成するためのマスクとして使われる。
【0043】
なお、上述のインプリント方法では、必要に応じて、基板1を載せたステージ2のXY移動、加圧、露光、離型を繰り返し行なう。また、ステージ2、モールドホルダ4、モールド加圧機構5等はチャンバ11内に収納されており、チャンバ減圧機構12が設けられているため、パターン転写の際に、必要に応じて、モールド3と基板1との間を減圧するようにしても良い。これにより、モールド3のパターン3Aと基板1上の光硬化性樹脂8との間に残る気泡による欠陥を低減し、転写精度を向上させることができる。
【0044】
したがって、本実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法によれば、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板1に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
これにより、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板1に対しても使用可能なインプリント装置を実現することができる。また、インプリント装置の適用範囲を広げることができる。例えばデバイス製造への適用性が広がる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について、図8〜図11を参照しながら説明する。
【0045】
本実施形態にかかるインプリント装置は、上述の第1実施形態のものがチャンバ11の外側に設けられた1つの光源7によって露光を行なうようにしているのに対し、図8に示すように、チャンバ11内に収納された複数の光源7Xによって露光を行なうようにしている点が異なる。なお、図8では、上述の第1実施形態のもの(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0046】
このため、本実施形態では、モールド加圧機構5とモールドホルダ4との間に、モールドホルダ4の複数の開口部4Aに対向する位置のそれぞれに光源7X(露光光源)を有する圧力伝達部14が設けられている。つまり、モールドホルダ4に装着しうるモールド3の数と同数の光源7Xが圧力伝達部14に設けられている。そして、圧力伝達部14は、モールドホルダ4やモールド加圧機構5とともに、チャンバ11に収納されている。
【0047】
ここでは、光源7Xとして、LED(Light Emitting Diode)を用いている。そして、圧力伝達部14は、図8、図9に示すように、モールドホルダ4の複数の開口部4Aに対向する位置のそれぞれに凹部14Aを有し、これらの凹部14AのそれぞれにLED7Xが設けられている。この場合、モールドホルダ4に装着されたモールド3のパターン形成エリアの直上に、圧力伝達部14に設けられたLED7Xが位置するようになっている。
【0048】
ここで、圧力伝達部14の凹部14Aの開口面積は、モールド3のパターン形成エリアの大きさに等しくするのが好ましい。但し、必要に応じて調整しても良い。
なお、本実施形態では、光源7XとしてLEDを用いているが、これに限られるものではない。モールド3のパターン形成エリアの大きさと同程度の開口面積を有する凹部14Aに設置可能な大きさであって、露光光源として使用可能なものであれば、LED以外の光源を用いても良い。
【0049】
また、本実施形態では、圧力伝達部14に複数の光源7Xを設けるようにしているが、これに限られるものではない。例えば、別の場所に光源7Xを設置した上で、圧力伝達部14の各凹部14Aに例えば光ファイバ等を用いて導光するようにしても良い。
また、本実施形態では、モールド加圧機構5と圧力伝達部14とを別体のものとして構成しているが、これに限られるものではない。例えば、モールド加圧機構5と圧力伝達部14とを一体のものとして構成しても良い。この場合、モールド加圧機構5が、モールドホルダ4の複数の開口部4Aに対向する位置のそれぞれに光源7Xを有するものとして構成されることになる。
【0050】
上述のように、本実施形態では、光源7Xはチャンバ11内に収納されているため、チャンバ11には窓は設けられていない。また、モールド加圧機構5にも、図10に示すように、開口部が形成されていない。
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0051】
次に、本実施形態にかかるインプリント装置によるインプリント方法について、具体的に説明する。
まず、図8、図11(A)に示すように、上述の第1実施形態の場合と同様に、基板1上にレジスト8を塗布する。
ここでは、基板1は、若干のうねりのあるガラス基板である。
【0052】
また、レジスト8としては、上述の第1実施形態の場合と同様に、光硬化性樹脂を用いている。
次いで、上述の第1実施形態の場合と同様に、レジスト8を塗布した基板を、XYステージ2上に位置させる。
次に、モールド3を、モールドホルダ4に少なくとも2つ装着する。
【0053】
本実施形態では、基板1にうねりがあるため、モールドホルダ4の全ての開口部4Aにモールド3を装着せずに、応力発生の少ない部分、即ち、図8、図11(A)に示す断面において2個のモールド3を装着した場合を例示している。
次に、モールド3を装着したモールドホルダ4を、モールド加圧機構5及び圧力伝達部14の下方に位置させる。本実施形態では、モールド加圧機構5の下方に圧力伝達部14が設けられているため、モールドホルダ4を圧力伝達部14の下方に位置させる。
【0054】
これにより、圧力伝達部14に設けられた各LED7Xが、モールドホルダ4に設けられた各開口部4Aの直上に位置することになる。つまり、圧力伝達部14に設けられた各LED7Xが、モールドホルダ4に装着されたモールド3の直上、ここでは、モールド3のパターン形成エリアの直上に位置することになる。
次いで、制御部13は、ステージ2の下方に設けられたステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aを駆動し、ステージ2を上昇させる。これにより、基板1上に塗布されたレジスト8とモールドホルダ4に保持されたモールド3との間の距離が、レジスト8とモールド3が接触しない程度の距離になるように調整される。ここでは、インプリント可能にするために、モールドホルダ4の可動範囲内の適切な位置にステージ2上の基板1を位置させる。
【0055】
次に、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4に保持されているモールド3に圧力が加えられ、基板1上に塗布されたレジスト8に対してモールド3が押し付けられる。つまり、基板1上に塗布されたレジスト8に適切な圧力でモールド3を接触させる。なお、モールド3が装着されていない部分はレジスト面には接触しない。
【0056】
そして、制御部13は、加圧時に、ステージ2上のモールド3に対向する位置に設けられた圧力センサ6によって検出される圧力をモニタリングし、圧力が適切な範囲内になるように、モールド加圧機構5を制御する。
その後、制御部13は、モールド3が装着されたモールドホルダ4の開口部4Aに対向する位置の光源(LED)7Xのみを点灯させる。つまり、モールドホルダ4に装着されたモールド3の直上のLED7Xのみが点灯する。これにより、圧力伝達部14に設けられたLED7Xから照射された光が、モールド3を透過し、モールド3の直下のレジスト8を露光する。そして、レジスト8が硬化するのに十分な露光量を与えるまで、上述のようにして制御された圧力を加えた状態でレジスト8とモールド3との間の接触を維持する。
【0057】
そして、レジスト8が十分硬化したら、図11(B)に示すように、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、圧力を解放する。次いで、制御部13はステッピングモータ10Aを駆動させてステージ2を下降させ、モールド3とレジスト8との間の接触を解消する。このようにして、レジスト8のモールド3が装着されたエリアに対応する領域のみに微細なパターン8Aがインプリントされた基板1が得られる。
【0058】
その後、上述と同様の工程を繰り返して、レジスト8の他の領域にもモールド3のパターン3Aを転写する。例えば、図11(C)に示すような順番でステップアンドリピートを行なって、レジスト8の他の領域にもパターン8Aを形成する。これにより、レジスト8の全面にパターン8Aがインプリントされた基板1が得られる。なお、図11(C)中、番号は、レジスト8に加工を施す順番、インプリント処理番号を示している。このようにステップアンドリピートを行なう場合にも、圧力センサ6によって圧力をモニタリングしてモールド加圧機構5によって加えられる圧力を制御するため、基板1に与えるストレスが大きくなるのを防止することができる。
【0059】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板1に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
【0060】
これにより、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板1に対しても使用可能なインプリント装置を実現することができる。また、インプリント装置の適用範囲を広げることができる。例えばデバイス製造への適用性が広がる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について、図12〜図17を参照しながら説明する。
【0061】
本実施形態にかかるインプリント装置は、上述の第1実施形態のものに対し、モールドホルダが二重構造になっている点が異なる。また、本インプリント装置は、上述の第2実施形態のものと同様に、図12に示すように、チャンバ11内に収納された複数の光源7Xによって露光を行なうようにしている点が異なる。なお、図12では、上述の第1実施形態のもの(図1参照)及び第2実施形態(図8参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0062】
つまり、本実施形態では、図13、図14に示すように、モールドホルダ4Xは、開口部4XAa(第1開口部)を有する複数の第1ホルダ4XAと、複数の第1ホルダ4XAを移動可能に保持しうる複数の開口部4XBa(第2開口部)を有する第2ホルダ4XBとを備える。なお、第1ホルダ4XAを可動性ホルダともいう。
ここでは、複数の第1ホルダ4XAは、図15(A)、(B)に示すように、第2ホルダ4XBの開口部4XBaのそれぞれに摺動部15を介して取り付けられている。これにより、複数の第1ホルダ4XAは、第2ホルダ4XBに対して独立に上下に移動することができるようになっている。つまり、複数の第1ホルダ4XAのそれぞれに装着されるモールド3、即ち、複数のモールド3は、それぞれ独立に昇降しうるようになっている。
【0063】
また、図14に示すように、第1ホルダ4XAの開口部4XAaにはモールドストッパ4XCが設けられており、開口部4XAaにモールド3を固定することができるようになっている。また、第2ホルダ4XBに装着される複数の第1ホルダ4XAのうち、少なくとも2つ、即ち、複数の第1ホルダ4XAにモールド3を装着する。
また、図12に示すように、第2ホルダ4XBには、位置合わせセンサ9が設けられており、基板1に対して位置合わせを行なうことができるようになっている。
【0064】
上述のように、本実施形態では、複数のモールド3はそれぞれ独立に昇降しうるようになっているため、モールド加圧機構5Xは、複数のモールド3のそれぞれに独立に圧力を加えることができるようになっている。つまり、本実施形態では、図12、図16に示すように、モールド加圧機構5Xは、モールドホルダ4Xの第1ホルダ4XAに対向する位置のそれぞれに設けられ、モールド3に圧力を加える複数の加圧機構5XAを備えるものとして構成される。
【0065】
ここで、複数の加圧機構5XAは、例えば、空気圧、油圧、水圧などの媒体を利用したもの、圧電素子、ステッピングモータなどの動力源を用いたアクチュエータを用いたものなどを用いることができる。ここでは、小型ステッピングモータを用いた加圧機構5XAを用いている。なお、モールド加圧機構5Xは、圧力制御機構ともいい、複数の加圧機構5XAは、複数の圧力制御機構ともいう。
【0066】
そして、複数の加圧機構5XAは、それぞれ光源(ここではLED)7Xを備える。つまり、モールドホルダ4Xを構成する第2ホルダ4XBの複数の開口部4XBa(第2開口部)のそれぞれに第1ホルダ4XAが装着されており、これらの第1ホルダ4XAに対向する位置のそれぞれに、光源7Xを有する加圧機構5Xが設けられている。この場合、複数の加圧機構5Xのそれぞれに備えられる光源7Xは、モールドホルダ4Xを構成する複数の第1ホルダ4XAの開口部(第1開口部)4XAaのそれぞれに対向する位置に設けられることになる。つまり、モールドホルダ4Xに装着しうるモールド3の数と同数の光源7Xがモールド加圧機構5Xに設けられている。
【0067】
ここでは、複数の加圧機構5XAは、それぞれ、モールドホルダ4Xの複数の開口部4XAa、即ち、モールドホルダ4Xを構成する複数の第1ホルダ4XAの開口部4XAaに対向する位置のそれぞれに凹部5XAaを有し、これらの凹部5XAaのそれぞれにLED7Xが設けられている。この場合、モールドホルダ4Xに装着されたモールド3のパターン形成エリアの直上に、複数の加圧機構5XAのそれぞれに設けられたLED7Xが位置するようになっている。
【0068】
ここで、複数の加圧機構5XAの凹部5XAaの開口面積は、モールド3のパターン形成エリアの大きさに等しくするのが好ましい。但し、必要に応じて調整しても良い。
そして、複数の加圧機構5XAは、制御部13(例えばPCなど)によって、それぞれ独立に作動させることができるようになっている。つまり、制御部13が、複数の加圧機構5XAのそれぞれを独立に作動させることで、複数の第1ホルダ4XAのそれぞれに装着されたモールド3を、それぞれ独立に昇降させてインプリントすることが可能になっている。
【0069】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例、上述の第2実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
次に、本実施形態にかかるインプリント装置によるインプリント方法について、具体的に説明する。
まず、図12、図17(A)に示すように、上述の第1実施形態の場合と同様に、基板1上にレジスト8を塗布する。
【0070】
ここでは、基板1は、反りのある樹脂製基板である。
また、レジスト8としては、上述の第1実施形態の場合と同様に、光硬化性樹脂を用いている。
次いで、上述の第1実施形態の場合と同様に、レジスト8を塗布した基板1を、XYステージ2上に位置させる。
【0071】
次に、モールド3を、モールドホルダ4Xに少なくとも2つ装着する。本実施形態では、モールドホルダ4Xは、第1ホルダ4XAと第2ホルダ4XBとを備える。このため、少なくとも2つのモールド3を、第1ホルダ4XAに装着する。また、第1ホルダ4XAを第2ホルダ4XBに装着する。
本実施形態では、複数の第1ホルダ4XAの全てにモールド3を装着し、モールド3が装着された複数の第1ホルダ4XAの全てを第2ホルダ4XBに装着するようにしている。
【0072】
次に、モールド3を装着したモールドホルダ4Xを、例えば小型ステッピングモータを用いたモールド加圧機構5Xの下方に位置させる。つまり、モールド3を装着した複数の第1ホルダ4XAのそれぞれを、複数の加圧機構5XAのそれぞれの下方に位置させる。
これにより、複数の加圧機構5XAのそれぞれに設けられた各LED7Xが、モールドホルダ4Xを構成する複数の第1ホルダ4XAのそれぞれの開口部4XAaの直上に位置することになる。つまり、複数の加圧機構5XAのそれぞれに設けられた各LED7Xが、モールドホルダ4Xを構成する複数の第1ホルダ4XAのそれぞれに装着されたモールド3の直上、ここでは、モールド3のパターン形成エリアの直上に位置することになる。
【0073】
次いで、制御部13は、ステージ2の下方に設けられたステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aを駆動し、ステージ2を上昇させる。これにより、基板1上に塗布されたレジスト8とモールドホルダ4Xに保持されたモールド3との間の距離が、レジスト8とモールド3が接触しない程度の距離になるように調整される。ここでは、インプリント可能にするために、モールドホルダ4Xの可動範囲内の適切な位置にステージ2上の基板1を位置させる。
【0074】
次に、図17(A)に示すように、制御部13は、モールド加圧機構5Xを構成する複数の加圧機構5XAのそれぞれを独立に作動させる。これにより、各加圧機構5XAによってモールドホルダ4Xに保持されているモールド3のそれぞれに独立に圧力が加えられ、基板1上に塗布されたレジスト8に対して各モールド3が独立に押し付けられる。つまり、基板1上に塗布されたレジスト8に適切な圧力で複数のモールド8のそれぞれを独立に接触させる。
【0075】
そして、制御部13は、加圧時に、ステージ2上のモールド3に対向する位置に設けられた複数の圧力センサ6のそれぞれによって検出される各圧力をモニタリングし、各圧力が適切な範囲内になるように、複数の加圧機構5XAのそれぞれを独立に制御する。
その後、制御部13は、モールド3が装着されたモールドホルダ4Xの開口部4XAa、即ち、第1ホルダ4XAの開口部4XAaに対向する位置の光源(LED)7Xを点灯させる。これにより、複数の加圧機構5XAのそれぞれに設けられたLED7Xから照射された光が、各モールド3を透過し、各モールド3の直下のレジスト8を露光する。そして、レジスト8が硬化するのに十分な露光量を与えるまで、上述のようにして制御された圧力を加えた状態でレジスト8と各モールド3との間の接触を維持する。
【0076】
そして、レジスト8が十分硬化したら、制御部13は、モールド加圧機構5Xを構成する複数の加圧機構5XAのそれぞれを独立に作動させ、圧力を解放する。
本実施形態では、図17(A),(B)に示すように、基板1にかかる応力が大きくならないように順番に個々のモールド3を作動させてインプリントを行なう。
次いで、図17(C)に示すように、インプリントされた部分のレジスト8が全て十分に硬化したら、即ち、複数の加圧機構5XAのすべての圧力を解放したら、制御部13はステッピングモータ10Aを駆動させてステージ2を下降させ、モールド3とレジスト8との間の接触を解消する。このようにして、レジスト8のモールド3が装着されたエリアに対応する領域、ここでは、レジスト8の全面に微細なパターン8Aがインプリントされた基板1が得られる。
【0077】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例、及び、上述の第2実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法によれば、上述の第1及び第2実施形態の場合と同様に、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板1に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
【0078】
これにより、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板1に対しても使用可能なインプリント装置を実現することができる。また、インプリント装置の適用範囲を広げることができる。例えばデバイス製造への適用性が広がる。
なお、上述の実施形態では、光源7Xをモールド加圧機構5Xの複数の加圧機構5XAのそれぞれに設けているが、これに限られるものではない。例えば第1実施形態のように1つの光源7を設け、一括露光するようにしても良い。この場合、モールド加圧機構5Xの複数の加圧機構5XAのそれぞれに光源7Xを設けるのに代えて、モールド加圧機構の複数の加圧機構のそれぞれに開口部を設けることになる。また、チャンバ11にも窓11Aを設けることになる。また、モールド3を装着しない第1ホルダ4XAの開口部4XAaを通過した光によって光硬化性樹脂8が硬化してしまうのを防止すべく、光源7からの光が第1ホルダ4XAの開口部4XAaを通過しないようにシャッタによってモールド3が装着されていない第1ホルダ4XAの開口部4XAaを閉じるか、モールド3を装着しない第1ホルダ4XAの開口部4XAaに、パターンを有せず、遮光性を有するダミーモールドを装着するのが好ましい。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について、図18を参照しながら説明する。
【0079】
本実施形態にかかるインプリント装置は、上述の第1実施形態のものが基板1上の光硬化性樹脂8にインプリントするインプリント装置であるのに対し、図18に示すように、基板1上の熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂)8Xにインプリントするインプリント装置である点が異なる。なお、図18では、上述の第1実施形態のもの(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
【0080】
つまり、本インプリント装置は、上述の第1実施形態のものに対し、光源7が設けられていない点、チャンバ11に窓11Aが設けられていない点、モールド加圧機構5に光源7からの光を通過させるための開口部5Aが設けられていない点、ステージ2に熱源(加熱機構)としてのヒータ16が設けられている点が異なる。
本インプリント装置では、ステージ2にヒータ16が設けられており、制御部13によってヒータ16の作動を制御できるようになっている。そして、ヒータ16によって基板1上に塗布された熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂)8Xを加熱することで、モールド3のパターン3Aを基板1に転写することができるようになっている。
【0081】
また、本実施形態では、未硬化樹脂として熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂)8Xを用い、熱源としてステージ2に設けられたヒータ16を用いるため、モールド3として光透過性モールドを用いる必要はない。例えばニッケルなどの金属材料を素材として用いたモールドを用いても良い。
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0082】
次に、本実施形態にかかるインプリント装置によるインプリント方法について、具体的に説明する。
まず、図18に示すように、基板1上にレジスト8Xを塗布する。
ここでは、レジスト8Xとしては、用途によって熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができるが、ここでは熱可塑性樹脂を用いている。
【0083】
次いで、上述の第1実施形態の場合と同様に、レジスト8Xを塗布した基板1を、XYステージ2上に位置させる。
次に、モールド3を、モールドホルダ4に少なくとも2つ装着する。
次に、モールド3を装着したモールドホルダ4を、モールド加圧機構5の下方に位置させる。
【0084】
次いで、制御部13はヒータ16を作動させ、ステージ2を加熱する。ここでは、レジスト8Xとして熱可塑性樹脂を用いているため、レジスト8Xが流動化する温度(基材樹脂によって様々であるが、ここでは例えば130℃)まで加熱する。
次に、制御部13は、ステージ2の下方に設けられたステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aを駆動させて、ステージ2を上昇させる。これにより、基板1上に塗布されたレジスト8Xとモールドホルダ4に保持されたモールド3との間の距離が、レジスト8Xとモールド3が接触しない程度の距離になるように調整される。ここでは、インプリント可能にするために、モールドホルダ4の可動範囲内の適切な位置にステージ2上の基板1を位置させる。
【0085】
次に、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4に保持されているモールド3に圧力が加えられ、基板1上に塗布されたレジスト8Xに対してモールド3が押し付けられる。つまり、基板1上に塗布されたレジスト8Xに適切な圧力でモールド3を接触させる。なお、モールド3が装着されていない部分はレジスト面には接触しない。
【0086】
そして、制御部13は、加圧時に、ステージ2上のモールド3に対向する位置に設けられた圧力センサ6によって検出される圧力をモニタリングし、圧力が適切な範囲内になるように、モールド加圧機構5を制御する。そして、このようにして制御された圧力を加えた状態でレジスト8Xとモールド3との間の接触を維持する。ここで、加圧時間は、パターンのサイズ、レジスト膜厚、基材樹脂の柔らかさなどの要素を勘案して適切に決められるが、例えば30秒〜60分程度である。
【0087】
その後、制御部13はヒータ16の作動を停止させる。これにより、ステージ2が冷却され、レジスト8Xが十分硬化する温度まで下がったら、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、圧力を解放する。次いで、制御部13はステッピングモータ10Aを駆動させてステージ2を下降させ、モールド3とレジスト8Xとの間の接触を解消する。このようにして、レジスト8Xのモールド3が装着されたエリアに対応する領域に微細なパターン8Aがインプリントされた基板が得られる。
【0088】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板1に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
【0089】
これにより、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板1に対しても使用可能なインプリント装置を実現することができる。また、インプリント装置の適用範囲を広げることができる。例えばデバイス製造への適用性が広がる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法について、図19を参照しながら説明する。
【0090】
本実施形態にかかるインプリント装置は、上述の第1実施形態のものが基板1上の光硬化性樹脂8にインプリントするインプリント装置であるのに対し、基板1上の熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂)8Xにインプリントするインプリント装置である点が異なる。
つまり、本インプリント装置は、上述の第1実施形態のものに対し、図19に示すように、露光光源7に代えて熱源として赤外線ランプ17を備える点、ステージ2に温度センサ18が設けられている点が異なる。
【0091】
本インプリント装置では、熱源(加熱機構)としての赤外線ランプ17は、モールドホルダ4及びモールド加圧機構5を挟んでステージ2の反対側に設けられている。
このように、モールドホルダ4を挟んでステージ2の反対側に熱源としての赤外線ランプ17が設けられているため、モールド3の素材としては、赤外線ランプ17からの赤外線を十分に透過するものを選択することになる。モールド3の素材としては、例えば、シリコン、カルコゲン化物ガラス、サファイヤ、アルミナ、ダイヤモンドなどの素材を用いれば良い。ここでは、石英を素材として用いたモールド3を用いている。
【0092】
また、モールド加圧機構5は、モールドホルダ4の複数の開口部4A(第1開口部)に対向する位置に複数の開口部5A(第3開口部)を有する。
また、ステージ2は、例えば熱電対などの温度センサ18を備え、温度センサ18からの検出情報が制御部13へ送られるようになっている。
そして、赤外線ランプ17からの赤外線を照射して、基板1上に塗布された熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂)8Xを加熱することで、モールド3のパターン3Aを基板1に転写することができるようになっている。また、加熱時には、制御部13は、温度センサ18からの検出情報をモニタリングし、赤外線ランプ17の点灯・消灯を制御するようになっている。
【0093】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
次に、本実施形態にかかるインプリント装置によるインプリント方法について、具体的に説明する。
まず、図19に示すように、基板1上にレジスト8Xを塗布する。
【0094】
ここでは、レジスト8Xとしては、用途によって熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を用いることができるが、ここでは熱可塑性樹脂を用いている。
次いで、上述の第1実施形態の場合と同様に、レジスト8Xを塗布した基板1を、XYステージ2上に位置させる。
次に、モールド3を、モールドホルダ4に少なくとも2つ装着する。
【0095】
次に、モールド3を装着したモールドホルダ4を、モールド加圧機構5の下方に位置させる。
次に、制御部13は、ステージ2の下方に設けられたステージ昇降機構10に含まれるステッピングモータ10Aを駆動させて、ステージ2を上昇させる。これにより、基板1上に塗布されたレジスト8Xとモールドホルダ4に保持されたモールド3との間の距離が、レジスト8Xとモールド3が接触しない程度の距離になるように調整される。ここでは、インプリント可能にするために、モールドホルダ4の可動範囲内の適切な位置にステージ2上の基板1を位置させる。
【0096】
次いで、制御部13は赤外線ランプ17を点灯させる。これにより、赤外線ランプ17から照射された赤外線が、チャンバ11の窓11A、モールド加圧機構5の開口部5Aを通過し、モールド3を透過して、モールド3の直下のレジスト8Aを加熱する。ここでは、レジスト8Aとして熱可塑性樹脂を用いているため、レジスト8Aが流動化する温度(基材樹脂によって様々であるが、ここでは例えば130℃)まで加熱する。つまり、制御部13は、ステージ2に設けられた温度センサ18からの検出情報をモニタリングし、レジスト8Aが流動化する温度になったら、赤外線ランプ17を消灯する制御を行なうようになっている。
【0097】
次に、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、モールド加圧機構5によってモールドホルダ4に保持されているモールド3に圧力が加えられ、基板1上に塗布されたレジスト8Xに対してモールド3が押し付けられる。つまり、基板1上に塗布されたレジスト8Xに適切な圧力でモールド3を接触させる。なお、モールド3が装着されていない部分はレジスト面には接触しない。
【0098】
そして、制御部13は、加圧時に、ステージ2上のモールド3に対向する位置に設けられた圧力センサ6によって検出される圧力をモニタリングし、圧力が適切な範囲内になるように、モールド加圧機構5を制御する。そして、このようにして制御された圧力を加えた状態でレジスト8Xとモールド3との間の接触を維持する。ここで、加圧時間は、パターンのサイズ、レジスト膜厚、基材樹脂の柔らかさなどの要素を勘案して適切に決められるが、例えば30秒〜60分程度である。
【0099】
その後、レジストが十分硬化する温度まで下がったら、制御部13はモールド加圧機構5を作動させ、圧力を解放する。次いで、制御部13はステッピングモータ10Aを駆動させてステージ2を下降させ、モールド3とレジスト8Xとの間の接触を解消する。このようにして、レジスト8Xのモールド3が装着されたエリアに対応する領域に微細なパターン8Aがインプリントされた基板1が得られる。
【0100】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態及びその変形例のものと同じであるため、ここではその説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかるインプリント装置及びインプリント方法によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、スループットを高くしながら、良好な転写パターンが得られるようにし、さらに、樹脂基板等のうねりや反り等がある基板1にパターンを転写する場合にも密着不良が起こりにくく、基板1に与えるストレスも小さくすることができるという利点がある。
【0101】
これにより、樹脂基板等のうねりや反り等がある比較的柔らかい基板1に対しても使用可能なインプリント装置を実現することができる。また、インプリント装置の適用範囲を広げることができる。例えばデバイス製造への適用性が広がる。
[その他]
なお、上述の第1〜第3実施形態では、光硬化性樹脂にインプリントするインプリント装置を例に挙げ、上述の第4、第5実施形態では、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂にインプリントするインプリント装置を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。
【0102】
例えば、上述の第1〜第3実施形態のインプリント装置において、加熱機構(熱源)を設けて、光硬化性樹脂だけでなく、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂にインプリントするインプリント装置としても利用することができるようにしても良い。つまり、上述の第1〜3実施形態のインプリント装置を、光インプリント及び熱インプリントの両方に利用できるインプリント装置として構成しても良い。この場合、加熱機構としては、例えば第4実施形態のようにステージにヒータ(例えば熱線)を設ければ良い。
【0103】
また、例えば、上述の第1実施形態のインプリント装置と上述の第5実施形態のインプリント装置とを組み合わせても良い。つまり、上述の第5実施形態のインプリント装置において、赤外線ランプと露光光源とを切り替え可能に設けるようにしても良い。
また、上述の各実施形態及び変形例では、インプリント装置及びインプリント方法を、例えばLSIなどの半導体デバイスを埋め込まれた基板上に配線を形成するためにパターンをインプリントする場合に用いるものとして説明しているが、これに限られるものではない。つまり、上述の各実施形態及び変形例のインプリント装置及びインプリント方法は、半導体デバイスの製造のみならず、微細なパターンを有するものを製造する場合にも用いることができ、その場合も同様の作用・効果が得られる。
【0104】
つまり、微細なパターンを有するものとしては、マスクパターン、レチクルパターン、磁気ヘッド、LCD(液晶ディスプレイ)、SAWフィルタ(弾性表面波フィルタ)等の機能部品、光配線の接続に利用される光部品、マイクロアクチュエータ等の微細部品等を挙げることができる。また、上述の各実施形態及び変形例のインプリント装置及びインプリント方法は、半導体の実装工程として、二次元実装、三次元実装、シリコンインターポーザの製造などにも応用可能である。
【0105】
また、本発明は、上述した各実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
以下、上述の各実施形態及びその変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
パターンを有するモールドの前記パターンを基板上に転写するインプリント装置であって、
前記基板を保持しうるステージと、
前記ステージに対向する位置に設けられ、前記モールドを保持しうる複数の第1開口部を有するモールドホルダと、
前記モールドホルダを挟んで前記ステージの反対側に設けられ、前記モールドに圧力を加えるモールド加圧機構と、
前記ステージ上の前記複数の第1開口部に対向する位置に設けられた複数の圧力センサとを備えることを特徴とするインプリント装置。
【0106】
(付記2)
前記圧力センサからの検出情報をモニタリングしながら、前記モールド加圧機構によって前記モールドに加えられる圧力を制御する制御部を備えることを特徴とする、付記1に記載のインプリント装置。
(付記3)
前記モールドホルダは、前記第1開口部を有する複数の第1ホルダと、前記複数の第1ホルダを移動可能に保持しうる複数の第2開口部を有する第2ホルダとを備え、
前記モールド加圧機構は、前記複数の第1ホルダに対向する位置のそれぞれに設けられ、前記モールドに圧力を加える複数の加圧機構を備え、
前記複数の加圧機構は、それぞれ光源を備えることを特徴とする、付記1又は2に記載のインプリント装置。
【0107】
(付記4)
前記モールド加圧機構と前記モールドホルダとの間に設けられ、前記複数の第1開口部に対向する位置のそれぞれに光源を有する圧力伝達部を備えることを特徴とする、付記1又は2に記載のインプリント装置。
(付記5)
前記モールドホルダ及び前記モールド加圧機構を挟んで前記ステージの反対側に設けられた光源を備え、
前記モールド加圧機構は、前記複数の第1開口部に対向する位置に複数の第3開口部を有することを特徴とする、付記1又は2に記載のインプリント装置。
【0108】
(付記6)
前記ステージは、ヒータを備えることを特徴とする、付記1〜5のいずれか1項に記載のインプリント装置。
(付記7)
前記モールドホルダ及び前記モールド加圧機構を挟んで前記ステージの反対側に設けられた熱源をさらに備え、
前記モールド加圧機構は、前記複数の第1開口部に対向する位置に複数の第3開口部を有し、
前記ステージは、温度センサを備えることを特徴とする、付記1又は2に記載のインプリント装置。
【0109】
(付記8)
前記ステージ、前記モールドホルダ、前記モールド加圧機構が、減圧可能なチャンバに収納されていることを特徴とする、付記1〜7のいずれか1項に記載のインプリント装置。
(付記9)
前記ステージを昇降させるステージ昇降機構を備えることを特徴とする、付記1〜8のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【0110】
(付記10)
ステージ昇降機構によって基板を保持するステージを昇降させ、前記基板とモールドホルダに保持された複数のモールドとの間の距離を調整し、
モールド加圧機構によって前記モールドに圧力を加えて前記モールドを前記基板に押し付け、
前記ステージ上の前記複数のモールドに対向する位置に設けられた複数の圧力センサからの検出情報をモニタリングしながら、前記モールド加圧機構によって前記モールドに加えられる圧力を制御することを特徴とするインプリント方法。
【符号の説明】
【0111】
1 基板
2 ステージ
3 モールド
3A パターン
3B 遮光膜
4,4X モールドホルダ
4A 開口部(第1開口部)
4B,4XC モールドストッパ
4XA 第1ホルダ
4XAa 開口部(第1開口部)
4XB 第2ホルダ
4XBa 開口部(第2開口部)
5,5X モールド加圧機構
5A 開口部(第3開口部)
5B 媒体送液口
5XA 加圧機構
5XAa 凹部
6 圧力センサ
7 光源(露光光源)
7X 光源(LED)
8 光硬化性樹脂(レジスト)
8A 転写パターン
8X 熱可塑性樹脂(又は熱硬化性樹脂;レジスト)
9 位置合わせセンサ
10 ステージ昇降機構
10A ステッピングモータ
11 チャンバ
11A 窓
12 チャンバ減圧機構
12A 排気口
12B バルブ
12C 真空ポンプ
13 制御部
14 圧力伝達部
14A 凹部
15 摺動部
16 ヒータ(熱源;加熱機構)
17 赤外線ランプ(熱源;加熱機構)
18 温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンを有するモールドの前記パターンを基板上に転写するインプリント装置であって、
前記基板を保持しうるステージと、
前記ステージに対向する位置に設けられ、前記モールドを保持しうる複数の第1開口部を有するモールドホルダと、
前記モールドホルダを挟んで前記ステージの反対側に設けられ、前記モールドに圧力を加えるモールド加圧機構と、
前記ステージ上の前記複数の第1開口部に対向する位置に設けられた複数の圧力センサとを備えることを特徴とするインプリント装置。
【請求項2】
前記圧力センサからの検出情報をモニタリングしながら、前記モールド加圧機構によって前記モールドに加えられる圧力を制御する制御部を備えることを特徴とする、請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項3】
前記モールドホルダは、前記第1開口部を有する複数の第1ホルダと、前記複数の第1ホルダを移動可能に保持しうる複数の第2開口部を有する第2ホルダとを備え、
前記モールド加圧機構は、前記複数の第1ホルダに対向する位置のそれぞれに設けられ、前記モールドに圧力を加える複数の加圧機構を備え、
前記複数の加圧機構は、それぞれ光源を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のインプリント装置。
【請求項4】
前記ステージは、ヒータを備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項5】
ステージ昇降機構によって基板を保持するステージを昇降させ、前記基板とモールドホルダに保持された複数のモールドとの間の距離を調整し、
モールド加圧機構によって前記モールドに圧力を加えて前記モールドを前記基板に押し付け、
前記ステージ上の前記複数のモールドに対向する位置に設けられた複数の圧力センサからの検出情報をモニタリングしながら、前記モールド加圧機構によって前記モールドに加えられる圧力を制御することを特徴とするインプリント方法。
【請求項1】
パターンを有するモールドの前記パターンを基板上に転写するインプリント装置であって、
前記基板を保持しうるステージと、
前記ステージに対向する位置に設けられ、前記モールドを保持しうる複数の第1開口部を有するモールドホルダと、
前記モールドホルダを挟んで前記ステージの反対側に設けられ、前記モールドに圧力を加えるモールド加圧機構と、
前記ステージ上の前記複数の第1開口部に対向する位置に設けられた複数の圧力センサとを備えることを特徴とするインプリント装置。
【請求項2】
前記圧力センサからの検出情報をモニタリングしながら、前記モールド加圧機構によって前記モールドに加えられる圧力を制御する制御部を備えることを特徴とする、請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項3】
前記モールドホルダは、前記第1開口部を有する複数の第1ホルダと、前記複数の第1ホルダを移動可能に保持しうる複数の第2開口部を有する第2ホルダとを備え、
前記モールド加圧機構は、前記複数の第1ホルダに対向する位置のそれぞれに設けられ、前記モールドに圧力を加える複数の加圧機構を備え、
前記複数の加圧機構は、それぞれ光源を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のインプリント装置。
【請求項4】
前記ステージは、ヒータを備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【請求項5】
ステージ昇降機構によって基板を保持するステージを昇降させ、前記基板とモールドホルダに保持された複数のモールドとの間の距離を調整し、
モールド加圧機構によって前記モールドに圧力を加えて前記モールドを前記基板に押し付け、
前記ステージ上の前記複数のモールドに対向する位置に設けられた複数の圧力センサからの検出情報をモニタリングしながら、前記モールド加圧機構によって前記モールドに加えられる圧力を制御することを特徴とするインプリント方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−143679(P2011−143679A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8302(P2010−8302)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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