説明

インベントリ情報収集管理システム

【課題】64bitOSにも対応する資産管理ソフトを提供する。
【解決手段】インベントリ情報をデータベースとして格納するサーバコンピュータは、データベースを拡張することで64bitOS情報を格納可能とする。プロセス情報は、32bitプロセスを取得しているものでは64bitプロセスを取得できないため、クライアントコンピュータに64bitプロセスを取得する専用のサービスを登録することで対応する。これにより、共通のシステムで32bitOSと64bitOSの情報をどちらも管理可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、32bitOSと64bitOSのインベントリ情報を一元的に収集管理可能なインベントリ情報収集管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業におけるコンピュータの普及は急速に進み、今では一人一台、あるいはそれ以上のコンピュータの使用が当たり前となりつつある。今や、コンピュータは企業にとって欠かせない資産となっている。
【0003】
それに伴い、企業がコンピュータに求める役割も大きくなっている。製造業の企業では、設計のためにコンピュータでCADソフトを利用する機会が多い。CADは大容量のメモリを必要とするため、メモリを4GBまでしか扱うことが出来ない32bit版Windows(登録商標)ではなく、大容量のメモリを扱える64bit版Windows(登録商標)を使用している場合が多い。
【0004】
また、コンピュータの普及によって、管理者には資産管理の必要が生まれた。企業は、コンピュータをハードウェア、ソフトウェアの両面から管理を行う。手作業で管理するには台数が多い場合などに労力がかかりすぎるため、資産管理ツールを利用して管理をすることが多い。
【0005】
資産管理ツールの代表的な機能は、インベントリ収集である。インベントリ収集では、各コンピュータのハードウェア情報やソフトウェア情報を収集する。この中には、ウイルス対策ソフト、パターンファイルの情報なども含まれるため、最近では資産管理ツールにセキュリティ対策としての効果も考えられ、その価値は増している。
【0006】
しかし、資産管理ツールはワークステーションやサーバなどの用途で使われてきた64bitOSの詳細なインベントリ情報は収集できなかった。近年は、前述のようにパーソナルコンピュータでも64bitOSが使われることが多くなったため、資産管理ツールが64bitOSへ完全対応することが望まれた。
【0007】
なお、本発明に関連する公知技術文献としては下記の特許文献1がある。
【0008】
特許文献1には、複数装置管理の方法及びシステムが開示されている。具体的には、コンピュータネットワークにおいて、少なくとも1つのノードに対応する選択を受信するように構成されたコントローラと、前記コントローラ上のコントローラソフトウェアと通信するために接続されたエージェントソフトウェアを含む前記選択中で識別されたノードと、前記選択に対して実行される少なくとも1つのオペレーションに対応する、前記コントローラによって保持されたジョブと、前記ジョブに対応するデータを含むメッセージを前記コントローラソフトウェアから前記ノードの前記エージェントソフトウェアに通信するように構成されたトランスポートであって、前記メッセージは、前記ジョブを実行するように前記エージェントソフトウェアに命令し、前記ノードの前記エージェントソフトウェアは、前記メッセージを受信したのに応答して、前記ジョブを実行し、結果を前記コントローラに戻すトランスポートと、前記コントローラのデータストアであって、前記コントローラが前記エージェントソフトウェアからの前記結果をデータストアに記憶するデータストアとを含むことを特徴とするシステムである。
【0009】
【特許文献1】特開2003−99410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、資産管理ツールと64bitOSが利用される機会はそれぞれ増加しているが、資産管理ツールは64bitOSに完全対応していないために、64bitOSのコンピュータについては情報が一部のみしか取得できずに、手作業での管理が必要となることがあった。
【0011】
本発明の目的は、資産管理やセキュリティ対策として有用な資産管理ツールを64bitOSにも完全対応させることで、クライアントPCが32bitOS・64bitOSであるかに関わらずに一元管理可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の資産管理ツールのシステムは、各種インベントリ情報を格納するサーバコンピュータと、該サーバコンピュータから指示を受けて各種インベントリ情報を収集し、前記サーバコンピュータへ送信するクライアントコンピュータとからなるシステムである。。
【0013】
前記サーバコンピュータは、前記各クライアントコンピュータのインベントリ情報をデータベースとして持っており、前記クライアントコンピュータから受信したインベントリ情報を格納する。データベースに64bitOSの項目を追加することで、64bitOSも一元管理する。
【0014】
前記クライアントコンピュータは、インベントリ情報としてセキュリティにおけるコンピュータ対策状況である各種ハードウェア情報・ソフトウェア情報を取得して、サーバコンピュータに送信する。インベントリ情報の中でも稼動プロセス情報については、64bitプロセスを取得する専用のサービスを作成することで、32bitプロセスと64bitプロセスの両方を取得する。
【0015】
請求項1に記載した発明は、インベントリ情報を格納するデータベースを備えたサーバコンピュータと、該サーバコンピュータからの指示を受けてインベントリ情報を取得し取得した情報を前記サーバコンピュータへ送信するクライアントコンピュータとからなるインベントリ情報収集管理システムであって、前記サーバコンピュータに備えた前記データベースは、32bitOSのインベントリ情報と、64bitOSのインベントリ情報との双方を格納する32bit64bit拡張構造を有し、前記クライアントコンピュータは、32bitOSのインベントリ情報と、64bitOSのインベントリ情報との双方を取得し、前記サーバコンピュータへ送信する32bit64bit拡張収集手段を備えたものである。
【0016】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載したインベントリ情報収集管理システムであって、前記32bit64bit拡張収集手段は、前記クライアントコンピュータのOSが64bitであるかを判定する64bit判定手段と、32bitOSのインベントリ情報を収集する32bit情報収集手段と、64bitOSのインベントリ情報を収集する64bit情報収集手段とを有し、前記64bit判定手段が64bitであると判定した場合には前記32bit情報収集手段と前記64bit情報収集手段との双方の処理を実行し、前記64bit判定手段が64bitでないと判定した場合には32bit情報収集手段のみの処理を実行するものである。
【0017】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2のいずれか一に記載したインベントリ情報収集管理システムであって、前記インベントリ情報がソフトウェアの稼動プロセス情報であるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の32bitOSと64bitOSのクライアントコンピュータのインベントリ情報管理と、64bitプロセス情報の取得には、次のような効果がある。
【0019】
(1)64bitOSのOS名やセキュリティ情報などのインベントリ情報を取得可能となるので、インベントリ情報の一元管理が可能となる。
【0020】
(2)インベントリ情報を収集するクライアントコンピュータのOSが、32bitOSか64bitOSであるかにかかわらず管理することが可能となるので、管理者の負担が軽減される。
【0021】
(3)64bitOSのクライアントコンピュータ上で動作する、64bitプロセス情報が取得可能となることで、プロセス管理の幅が広がる。具体例としては、64bitプロセスで動作するウイルスを検知可能となる、など。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を適用した32bitOSと64bitOSのインベントリ情報を一元管理する資産管理ツールの、一実施の形態について説明する。本形態は、本発明をセキュリティ対策状況の把握システムに組み込んだものである。
【0023】
図1は、本システムにおけるサーバコンピュータ101の構成図である。サーバコンピュータ101は、セキュリティポリシー102をデータベースとして持ち、コンピュータ対策状況103、持ち出し制御対策状況104、アクセス制御対策状況105といった各種状況を管理している。その中でコンピュータ対策状況103が、クライアントコンピュータ201から収集するインベントリ情報となる。コンピュータ対策状況103は、情報漏洩対策106、ウイルス対策107、OSセキュリティ対策108、稼動プロセス情報109の各項目で管理する。
【0024】
図2は、本システムにおけるクライアントコンピュータ201の構成図である。クライアントコンピュータ201は、インベントリ情報としてコンピュータ対策状況202を情報漏洩対策203、ウイルス対策204、OSセキュリティ対策205、稼動プロセス情報206の各項目で取得して、サーバコンピュータ101に送信する。稼動プロセス情報206は、32bitプロセス情報207と64bitプロセス情報208を別のサービス(要求に応じて情報処理機能を提供するために稼動するコンピュータプログラム)で取得する。
【0025】
図3は、本システムにおける稼動プロセス情報を収集する仕組みである。32bitOSクライアントコンピュータ301では、プロセス情報収集サービス302が32bitプロセス一覧を取得して、プロセス情報一覧ファイル304に書き出しをしている。一方で64bitOSクライアントコンピュータ305では、同じプロセス情報収集サービス306では、32bitプロセス一覧307のみしか収集できないため、別途64bitプロセス情報収集サービス308を用意して64bitプロセス一覧309を収集する。これにより、32bitプロセス一覧307と64bitプロセス一覧309を共にプロセス情報一覧ファイル310に書き出すことが可能である。
【0026】
図4は、本システムにおけるクライアントコンピュータにおけるインベントリ情報収集取得の流れである。情報漏洩対策情報の取得401、ウイルス対策情報の取得402、OSセキュリティ対策情報の取得403と順番に行う。セキュリティ対策情報の取得403の中にはOSの情報が含まれるので、クライアントコンピュータが64bitOSか判定404をする。OSが64bitOSではなかった場合は32bitプロセス情報の取得405のみを行い、64bitOSであった場合には32bitプロセス情報の取得406と64bitプロセス情報の取得407を行う。全ての情報取得後は、サーバコンピュータにインベントリ情報を送信する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
セキュリティ対策のみならず、資産管理ツール一般に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるサーバコンピュータでのインベントリ情報収集のデータ構造を示す図である。
【図2】本発明によるクライアントコンピュータでのインベントリ情報収集のデータ構造を示す図である。
【図3】クライアントコンピュータへのサービス登録を示す機能ブロック図である。
【図4】クライアントコンピュータでのインベントリ情報収集のフローチャートである。
【符号の説明】
【0029】
101 サーバコンピュータ
102 セキュリティポリシー
103 コンピュータ対策状況
104 持ち出し制御対策状況
105 アクセス制御対策状況
106 情報漏洩対策
107 ウイルス対策
108 OSセキュリティ対策
109 稼動プロセス情報
201 クライアントコンピュータ
202 コンピュータ対策状況
203 情報漏洩対策
204 ウイルス対策
205 OSセキュリティ対策
206 稼動プロセス情報
207 32bitプロセス情報
208 64bitプロセス情報
301 32bitOSクライアントコンピュータ
302 プロセス情報収集サービス
303 32bitプロセス一覧
304 プロセス情報一覧ファイル
305 64bitOSクライアントコンピュータ
306 プロセス情報収集サービス
307 32bitプロセス一覧
308 64bit用プロセス情報収集サービス
309 64bitプロセス一覧
310 プロセス情報一覧ファイル
step401 情報漏洩対策情報の取得
step402 ウイルス対策情報の取得
step403 OSセキュリティ対策情報の取得
step404 64bitOSか
step405 32bitプロセス情報の取得
step406 32bitプロセス情報の取得
step407 64bitプロセス情報の取得

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インベントリ情報を格納するデータベースを備えたサーバコンピュータと、該サーバコンピュータからの指示を受けてインベントリ情報を取得し取得した情報を前記サーバコンピュータへ送信するクライアントコンピュータとからなるインベントリ情報収集管理システムであって、
前記サーバコンピュータに備えた前記データベースは、32bitOSのインベントリ情報と、64bitOSのインベントリ情報との双方を格納する32bit64bit拡張構造を有し、
前記クライアントコンピュータは、32bitOSのインベントリ情報と、64bitOSのインベントリ情報との双方を取得し、前記サーバコンピュータへ送信する32bit64bit拡張収集手段を備えた
ことを特徴とするインベントリ情報収集管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載したインベントリ情報収集管理システムであって、
前記32bit64bit拡張収集手段は、
前記クライアントコンピュータのOSが64bitであるかを判定する64bit判定手段と、
32bitOSのインベントリ情報を収集する32bit情報収集手段と、
64bitOSのインベントリ情報を収集する64bit情報収集手段と
を有し、前記64bit判定手段が64bitであると判定した場合には前記32bit情報収集手段と前記64bit情報収集手段との双方の処理を実行し、前記64bit判定手段が64bitでないと判定した場合には32bit情報収集手段のみの処理を実行することを特徴とするインベントリ情報収集管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか一に記載したインベントリ情報収集管理システムであって、前記インベントリ情報がソフトウェアの稼動プロセス情報であることを特徴とするインベントリ情報収集管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−79490(P2010−79490A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245562(P2008−245562)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】