インペラ及びこれを備えた回転機械並びにインペラの製造方法
【課題】低コストで製造可能でありながら、従来の性能を維持する。
【解決手段】径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレード6と、ブレード6の軸方向他方側に設けられ、ブレード6が取り付けられ、回転軸Sに取り付けられるディスク7と、ブレード6の軸方向一方側に設けられ、ブレード6が取り付けられたシュラウド8とを備え、ブレード6とディスク7とシュラウド8とによって複数の流路3が形成されたインペラ1であって、ブレード6と、シュラウド8と、ディスク7の軸方向他方側の部分7aとが一体的に形成された第一部材4と、ディスク7の軸方向一方側の部分7bを構成する第二部材5とを備えることを特徴とするインペラ1。
【解決手段】径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレード6と、ブレード6の軸方向他方側に設けられ、ブレード6が取り付けられ、回転軸Sに取り付けられるディスク7と、ブレード6の軸方向一方側に設けられ、ブレード6が取り付けられたシュラウド8とを備え、ブレード6とディスク7とシュラウド8とによって複数の流路3が形成されたインペラ1であって、ブレード6と、シュラウド8と、ディスク7の軸方向他方側の部分7aとが一体的に形成された第一部材4と、ディスク7の軸方向一方側の部分7bを構成する第二部材5とを備えることを特徴とするインペラ1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば遠心圧縮機等の回転機械におけるインペラ及びこのインペラを備えた回転機械、並びにインペラの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12及び図14に示すように、一般に、遠心圧縮機等の回転機械に使用されるインペラ101は、回転軸Sの固定されるハブ部112と、ハブ部112と一体に設けられる円盤形状のディスク107と、ディスク107から中心軸Lの軸方向に離間して配置されるシュラウド108と、周方向に複数設けられ、これらディスク107とシュラウド108とを連結する複数のブレード106とを有している。この種のインペラでは、これらブレード106の側面と、ディスク107とシュラウド108との互いに対向する二面とで囲まれた部分が、空気を圧縮するための流路103となっている。また、ハブ部112を回転機械の回転軸Sに焼き嵌めすることにより、インペラ101を回転軸Sに固定している。
【0003】
この流路103は、内周側で中心軸Lの軸方向一方側に向かって開口すると共に、径方向外周側に向かうように次第に湾曲し、外周側で径方向に向かって開口している。即ち、流路103は、軸方向一方側から他方側に沿って導入された流体を径方向外周側に向かわせるため、周方向視において湾曲した形状をなしている(特に、図14参照)。さらに、図13に示すように、ブレード106はディスク107に対して傾斜して接続されることによってインペラ101の圧縮性能の向上を図っており、これにより、流路103は複雑な三次元形状を呈している。
【0004】
インペラ101の製造方法としては、ブレード106と、ディスク107またはシュラウド108の一方を一体的に形成するとともに、他方を別途製造し、これらを溶接やろう付けにより一体化する方法が知られている。また、インペラには高い剛性が要求されているため、ディスク107、シュラウド108、及びブレード106を単一の母材から削り出すことで、強度信頼性の高いワンピースインペラとすることが行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−285919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したように、インペラ101の流路103は湾曲部分を有する複雑な形状であり、かつ流路内が狭隘であるため、ワンピースインペラ101の製造の際は、流路103入口及び出口とすべき位置から例えば加工用電極等の加工部材を挿入しつつ複雑な切削加工を行う必要がある。また、特許文献1に記載されているような製造方法においても、特別な加工部材を用いて流路を形成する必要があり、製造コストがかかっていた。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、容易かつ低コストで製造可能でありながら、従来の性能を維持するインペラ及びこれを備えた回転機械並びにインペラの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明のインペラは、径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレードと、前記ブレードの軸方向一方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたシュラウドと、前記ブレードの軸方向他方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられ、回転軸に取り付けられるディスクとを備え、前記ブレードと前記ディスクと前記シュラウドとによって複数の流路が形成されたインペラであって、前記ブレードと、前記シュラウドと、前記ディスクの軸方向他方側の部分とが一体的に形成された第一部材と、前記ディスクの軸方向一方側の部分を構成する第二部材とを備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、インペラを第一部材と第二部材とに分割し、第二部材をディスクの軸方向一方側の部分を構成する部位としたことによって、第一部材の流路部分を形成する際に、加工工具のアクセス性が向上する。即ち、流路の出口とすべき位置から加工工具を挿入する際、内周側の干渉物となっていた部位を第二部材として別部材としたことによって、流路を形成する際の加工が容易となる。また、流路の入口である導入口とすべき位置から加工工具を挿入する際、干渉物となっていた部位を第二部材として別部材としたことによって、導入口の加工が容易となる。これにより、製造時間を短縮することができ、ひいては製造コストを低く抑えることができる。
【0010】
上記インペラにおいて、前記第一部材における前記ディスクと前記シュラウドとの互いに対向する面の少なくとも一方が平面に形成されていることが好ましい。
【0011】
この発明によれば、ディスクとシュラウドとブレードとによって画定される流路の形状がより簡素化されるため、加工工具のアクセス性が向上し、流路形成の際の加工工数をより低減させることができる。
【0012】
上記インペラにおいて、前記第一部材における前記ディスクと前記シュラウドとの互いに対向する面の両方が平面に形成されていることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、ディスクとシュラウドとブレードとによって画定される流路の形状のうち周方向視における断面形状に湾曲部がなくなるため、流路形成の際の加工工数をより低減させることができる。
【0014】
上記インペラにおいて、軸方向から視て前記ブレードが、前記ディスク又は前記シュラウドの平面の範囲に設けられていることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、ディスクとシュラウドとブレードとによって画定される流路の形状がより簡素化されるため、加工工具のアクセス性が向上し、流路形成の際の加工工数をより低減させることができる。
【0016】
上記インペラにおいて、前記第二部材における軸方向一方側に向く面は、軸方向一方側から他方側に向かうにしたがって径方向外周側に向かうように湾曲形成されていることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、第二部材における軸方向一方側に向く面によって、インペラに導入された流体を滞りなく流路に導くことができる。これにより、インペラの圧縮性能を維持することができる。
【0018】
上記インペラにおいて、前記第一部材は、前記回転軸に固定される固定部を有することが好ましい。
【0019】
この発明によれば、第一部材と第二部材とを一体化させた上で、従来のディスクのハブ部に相当する第二部材を回転軸に固定する場合と比較して、より強固にインペラを回転軸に固定することができる。即ち、第二部材よりも重量のある第一部材を直接回転軸に固定することにより、より強固にインペラを回転軸に固定することができる。
【0020】
上記インペラにおいて、前記ブレードの流路を形成する面は、前記ディスクの前記シュラウドと対向する面に対して直交して形成されていることが好ましい。
【0021】
この発明においては、ブレードの流路を形成する面がディスクに対して傾斜した形状と比較して、ブレードの形状がより簡素化されているため、流路形成の際の加工工数をより低減させることができる。
【0022】
また、本発明は、上記インペラを備える回転機械を提供する。
このような回転機械は、上記インペラを採用することにより、低コストで提供することができる。
【0023】
また、本発明のインペラの製造方法は、径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレードと、前記ブレードの軸方向一方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたシュラウドと、前記ブレードの軸方向他方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたディスクとを備え、前記ブレードと前記ディスクと前記シュラウドとによって複数の流路が形成されたインペラの製造方法であって、インペラの軸方向他方側を形成するための母材に対して切削加工を施すことにより前記流路を形成し、前記ブレードと、前記シュラウドと、前記ディスクの軸方向他方側の部分とが一体的に形成された第一部材を形成する第一部材形成工程と、前記ディスクの軸方向一方側の部分を構成する第二部材を形成する第二部材形成工程と、を備えることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、インペラを第一部材と第二部材とに分割した上でこれらを別工程で形成し、第二部材形成工程によって形成される第二部材をディスクの軸方向一方側の部分を構成する部位とした。これにより、第一部材の流路部分を形成する際に、加工工具のアクセス性が向上する。即ち、流路の出口とすべき位置から加工工具を挿入する際、内周側の干渉物となっていた部位を第二部材として別部材としたことによって、流路を形成する際の加工が容易となる。また、流路の入口である導入口とすべき位置から加工工具を挿入する際、干渉物となっていた部位を第二部材として別部材としたことによって、導入口の加工が容易となる。これにより、製造時間を短縮することができ、ひいては製造コストを低く抑えることができる。
【0025】
上記インペラの製造方法において、前記第二部材形成工程では、前記第二部材における軸方向一方側に向く面に、軸方向一方側から他方側に向かうにしたがって径方向外周側に向かうような湾曲部を形成することが好ましい。
【0026】
この発明によれば、第二部材形成工程によって形成された第二部材を備えたインペラに導入された空気が、第二部材における軸方向一方側に向く面によって滞りなく流路に導かれるため、インペラの性能を低下させることがない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、インペラの流路部分を形成する際に、加工工具のアクセス性が向上するため、製造時間を短縮することができ、製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態のインペラが適用された遠心圧縮機を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態のインペラを示す斜視図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】本発明の実施形態のインペラの断面図である。
【図5】本発明の実施形態のインペラの分解断面図である。
【図6】本発明の実施形態のインペラの製造工程を示す図である。
【図7】本発明の実施形態のインペラの製造工程を示す図である。
【図8】本発明の実施形態のインペラの製造工程を示す図である。
【図9】本発明の実施形態のインペラの製造工程を示す図である。
【図10】本発明の実施形態のインペラの別形態を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態のインペラの更に別形態を示す断面図である。
【図12】従来のインペラを示す斜視図である。
【図13】図12のB部拡大図である。
【図14】従来のインペラの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の回転機械である遠心圧縮機50は、一例として、図1に示すように、主として、軸線P周りに回転させられる回転軸Sと、回転軸Sに取り付けられて遠心力を利用して流体を圧縮するインペラ1と、回転軸Sを回転可能に支持すると共に流体を上流側から下流側に流す流路52が形成されたケーシング53と、によって構成されている。
【0030】
ケーシング53は、略円柱状の外郭をなすように形成され、中心を貫くように回転軸Sが配置されている。ケーシング53のうち回転軸Sの軸方向の両端には、ジャーナル軸受54が設けられ、一端には、スラスト軸受55が設けられている。これらジャーナル軸受54及びスラスト軸受55は回転軸Sを回転可能に支持している。即ち、回転軸Sは、ジャーナル軸受54及びスラスト軸受55を介してケーシング53に支持されている。
また、ケーシング53のうち軸方向の一端側には流体を外部から流入させる吸込口56が設けられ、他端側には流体が外部に流出する排出口57が設けられている。ケーシング53内には、これら吸込口56及び排出口57にそれぞれ連通し、縮径及び拡径を繰り返す内部空間が設けられている。この内部空間は、インペラ1を収容する空間として機能すると共に上記流路52としても機能する。即ち、吸込口56と排出口57とは、インペラ1及び流路52を介して連通している。
【0031】
インペラ1は、回転軸Sの軸方向に間隔を空けて複数配列されている。なお、図示例において、インペラ1は6つ設けられているが少なくとも1つ以上設けられていればよい。
【0032】
図2及び図4に示すように、インペラ1は、略円盤状をなし、中心軸L方向(以下、軸方向と称する)の一方側に開口された導入口2より吸入された流体を、インペラ1の内部に形成された流路3を介して径方向外周側に向かって放出するように構成されている。
なお、以下においては、径方向において、インペラ1の外周側を単に外周側、インペラ1の内周側を単に内周側と称する。また、流体の上流側となる図2及び図4の上方を軸方向一方側と称し、流体の下流側となる図2及び図4の下方を軸方向他方側と称する。
【0033】
本実施形態のインペラ1は、軸方向他方側をなす略円盤状の第一部材4と、軸方向一方側をなし、軸方向他方側に向かって徐々に拡径する外周面を有する略円筒形状の第二部材5とを備える。そして、第一部材4と第二部材5とにより、インペラ1における回転軸Sに固定されるディスク7と、ディスク7の軸方向一方側に内周側から外周側に向かうようにして周方向に複数設けられたブレード6と、ディスク7と軸方向一方側に対向して設けられてブレード6に取り付けられたシュラウド8とが構成されている。第一部材4及び第二部材5は、本実施形態では互いに固定されておらず、それぞれ回転軸Sに固定されることで、第一部材4と第二部材5との間に導入口2を画定し、さらに、導入口2と流路3とを接続する吸入部9を画定する。
【0034】
第一部材4は、径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレード6と、ブレード6の軸方向他方側に設けられ、ブレード6が取り付けられるディスク7の軸方向他方側を構成する第一部分7aと、ブレード6の軸方向一方側に設けられ、ブレード6が取り付けられたシュラウド8とを備えている。即ち、シュラウド8は、ディスク7の第一部分7aから所定距離だけ離間して配置されている。第一部材4は、例えば析出硬化型ステンレス鋼により形成される。
【0035】
ディスク7の第一部分7aは、回転軸Sに固定される固定部12と、固定部12と一体に形成され、略円盤形状をなすディスク本体部11とからなる。
固定部12は、中央部に軸方向に貫通する嵌合孔13を有する円筒形状に形成されている。嵌合孔13は、インペラ1を回転軸Sに固定する際に、回転軸Sに挿入され、嵌合される孔である。ディスク本体部11は、軸方向から見て略円形をなし、固定部12の軸方向一端に形成されている。また、ディスク本体部11の軸方向一方側の一面11aは略平面とされている。
【0036】
言い換えれば、固定部12は、ディスク本体部11の中央部において軸方向他方側へ突出する円柱状の部位である。固定部12は軸方向他方側に所定量突出しているが、この突出量はインペラ1を回転軸Sに焼き嵌め固定するために必要な締結力に応じて適宜設定される。
【0037】
ブレード6は、ディスク本体部11の一面11aに複数が設けられている。複数のブレード6は、それぞれ一定の板厚(翼厚)を有し、径方向内周側から外周側に向かって略放射状に、周方向に一定間隔をあけて設けられている。また、ブレード6は、それぞれディスク7の径方向内周側から外周側に向かうに従って、周方向の一方向に向かって湾曲するように延在している。
【0038】
また、ブレード6の径方向内周側の内端部6aは、嵌合孔13の内周面13aに対して、所定距離Gだけ離間している。この距離Gは、吸入部9及びこの吸入部9に連通する流路3の形状等に応じて適宜設定され、第二部材5の外周端よりも外周側に位置するように設定されている。
【0039】
シュラウド8は、複数のブレード6を軸方向一方側から覆うように、これらブレード6と一体に設けられた略円盤形状の部材である。シュラウド8は、中心軸Lを中心とした円盤形状をなし、具体的には軸方向一方側に向かうに従って漸次縮径する傘形状をなす。また、シュラウド8の径方向内周側は、軸方向一方側に立ち上がる円筒部14をなしている。円筒部14は、第一部材4と第二部材5とを組み合わせることで、第二部材5の小径面17(図5参照)とともに導入口2を画定する。
【0040】
また、シュラウド8の軸方向他方側の他面8a、即ち、シュラウド8のディスク7の一面11aと対向する面のうち、ブレード6が形成されている範囲は略平面とされている。即ち、シュラウド8の他面8aは、ブレード6が形成されている範囲の軸方向に垂直な断面は、直線で描くことが可能である。
【0041】
図3に示すように、流路3は、ブレード6とディスク7の第一部分7aとシュラウド8とのそれぞれの間で形成されている。言い換えれば、流路3は、ディスク7の一面11aと、シュラウド8の軸方向他方側の面である他面8aと、互いに隣接するブレード6において、一方のブレード6の周方向他方側の面6b及び他方のブレード6の周方向一方側の面6cとで囲まれた空間によって構成されている。
【0042】
また、本実施形態においては、ブレード6は、ディスク7の一面11aに対して略垂直となるように設けられている。言い換えれば、ブレード6、ディスク7、及びシュラウド8によって画定される流路3はその断面形状が矩形となる。即ち、ブレード6の流路3を形成する面は、ディスク7の一面11aに対して略直交して形成されている。
【0043】
第二部材5は、ディスク7の第二部分7bを有し、中心軸Lを中心とした略円筒形状の部材であり、軸方向他方側に向かって徐々に拡径する外周面16を有している。第二部材5の径方向中央部には、嵌合孔13と略同一の内径を有する第二嵌合孔15が形成されている。また、第二部材5の他端面5aは平面とされている。
【0044】
第二部材5の外周面16は、小径面17と拡径面18とからなる。第二部材5の軸方向一方側の端部を含む小径面17は、軸方向に沿って同一径となるように形成されている。第二部材5の軸方向他方側の端部を含む拡径面18は、他端面5aに向かって徐々に拡径する湾曲面とされている。小径面17と拡径面18とはなだらかに接続されており、また、拡径面18は、他端部において拡径面18の法線が略軸方向を向くように形成される。即ち、第一部材4と第二部材5とを組み合わせた際、拡径面18とディスク7の一面11aとがなだらかに接続されるように形成されている。
【0045】
また、第二部材5の他端面5aの直径は、シュラウド8の円筒部14の内径より小さくなるように形成されている。
なお、拡径面18の形状は上述したような湾曲面に限らず、角度が一定の斜面としてもよい。また、小径面17は特に設ける必要はなく、外周面16を拡径面18のみとする構成としてもよい。
【0046】
次に、上述したような、本実施形態のインペラ1の回転軸Sへの組み付け方法を説明する。まず、図5に示すように、回転軸Sに対して、第一部材4の固定部12の内周面を焼き嵌めによって固定する。具体的には、第一部材4の嵌合孔13の内周面を加熱することで、嵌合孔13を拡径させ、この状態で嵌合孔13を回転軸Sに挿通させる。そして、嵌合孔13の周囲を冷却して縮径させ、嵌合孔13を回転軸Sの外周面に密着させることによって、第一部材4と回転軸Sとを一体に固着させる。
【0047】
次いで、第一部材4と同様に、第二部材5を焼き嵌めによって回転軸Sに固定する。この際、第二部材5の他端面5aを第一部材のディスク7の一面11aに当接させた上で焼き嵌めを行う。
なお、回転軸Sに固定する順番は、上述した順番に限らず、第二部材5を回転軸Sに固定した後で、第一部材4を回転軸Sに固定してもよい。
【0048】
以上のように、回転軸Sに組み付けられた第一部材4と第二部材5とによって、インペラ1が形成される。第二部材5の他端面5aと第一部材4の一面11aとが当接することによって、第一部材4と第二部材5の相対的な位置が決定し、これにより、導入口2及び吸入部9が画定される。
【0049】
なお、組み付け方法は上述した方法に限ることはなく、例えば、第二部材5を第一部材4に溶接等の方法で接合した後、第一部材4と第二部材5とを回転軸Sに固定する方法を用いてもよい。
【0050】
以上に示したインペラ1では、導入口2から流入した流体が吸入部9において、第二部材5の拡径面18によって内周側から外周側へ向けられる。次いで、吸入部9から流路3に流入した流体は、図示しない駆動源による回転軸Sの回転で生じる遠心力によって加速され、流路3の外周端から排出される。
【0051】
上述したような、本実施形態のインペラ1の製造方法について説明する。本実施形態に係るインペラ1の製造方法は、第一部材4を形成する第一部材形成工程と、第二部材5を形成する第二部材形成工程とを有する。
【0052】
第一部材形成工程は、第一母材形成工程と、切削工程とを有する。まず、図6に示すように、第一母材形成工程として、回転軸Sが挿入される嵌合孔13及び固定部12が形成された略円筒状の母材30を鍛造する。そして、図7に示すように、シュラウド8の軸方向一方側の面である傾斜面8bを、例えば旋盤加工等により形成して、円盤体32を形成する。
なお、ここでは母材30を旋盤加工等して円盤体32を形成するものとしたが、鍛造のみによって円盤体32を形成しても構わない。また、ここでは鍛造によって嵌合孔13及び固定部12が形成された円筒状の母材30を採用するものとしたが、例えば円盤状の母材を用い、嵌合孔13及び固定部12を旋盤加工等しても構わない。
【0053】
次いで、図8に示すように、切削工程として、円盤体32の外周側から流路3を形成する。具体的には、流路3は放電加工法により、流路3の出口とすべき位置から流路3の形状に対応した電極33を挿入することによって形成される。
ここで、電極33は断面視矩形形状の細長の部材である。また、電極33は、流路3の高さよりも小さい高さを有する形状を有するとともに、流路3の軸方向視した形状と対応した湾曲形状及び幅寸法を有している。また、電極33は、例えばグラファイトや銅などにより形成されており、図示しない放電加工機に取り付けられている。
【0054】
放電加工の際は、まず、円盤体32を例えば図示しない放電加工油に浸漬する。次いで、図8に示すように、電極33を用いて流路3となる部分を挿入しつつ、円盤体32と流路3とを相対的に径方向及び周方向にそれぞれ移動させ、また、必要に応じて軸方向にも移動させて放電加工を行う。なおこの際、電極33による放電加工の加工条件(電流、電圧、パルス、送り速度)を適宜変更しながら行ってもよい。
以上に示した工程を、インペラ1に形成される各々の流路3について繰り返し実施することで、複数の流路3が形成される。
【0055】
次いで、図9に示すように、電極33を軸方向一方側から挿入し、シュラウド8の内周面を加工する。
なお、本実施形態においては、1種類の電極33により放電加工を行うものとしたが、これに限られるものではなく、例えば大きさや材質が異なる複数種類の電極を用いて、粗加工、中間加工及び仕上げ加工するものとしてもよい。
【0056】
次に、第二部材形成工程は、円筒状の母材を旋盤加工することによって、第二部材5(図5参照)を形成する。第二部材形成工程においては、第二部材5における軸方向の他方から一方に向かうに従って、径方向外周側に向かうような湾曲形状の拡径面18を有する外周面16を形成する。
なお、第二部材5は、母材を旋盤加工することによって得ることのみならず、鍛造のみによって第二部材5を形成しても構わない。
【0057】
上記実施形態によれば、第一部材4のブレード6、ディスク7、及びシュラウド8によって形成される流路3の形状が、周方向視において略直線状をなしているため、直線状の電極33を用いた放電加工がより容易となる。軸方向に導入された空気を径方向に向かわせるための従来のハブ部に相当する第二部材5は、別部材とされているため、インペラ1の導入口2付近の加工も容易となる。
【0058】
言い換えれば、インペラ1を第一部材4と第二部材5とに分割し、第二部材5をディスク7の軸方向一方側の部分を構成する部位としたことによって、第一部材4の流路3を形成する際に、電極33のアクセス性が向上する。即ち、流路3の出口とすべき位置から電極33を挿入する際、内周側の干渉物となっていた部位を第二部材5として別部材としたことによって、流路3を形成する際の加工が容易となる。また、流路3の入口である導入口2とすべき位置から電極33を挿入する際、軸方向他方側の干渉物となっていた部位を第二部材5として別部材としたことによって、導入口2の加工が容易となる。これにより、製造時間を短縮することができ、ひいては製造コストを低く抑えることができる。
【0059】
また、第二部材5における拡径面18によって、インペラ1に導入された流体を滞りなく流路3に導くことができるため、インペラ1の圧縮性能を維持することができる。
【0060】
また、第一部材4と第二部材5とをそれぞれ別途回転軸Sに焼き嵌めして固定するため、第一部材4と第二部材5とを一体化させた上でいずれかの部材を回転軸Sに固定する場合と比較して、より強固にインペラ1を回転軸Sに固定することができる。
【0061】
また、ブレード6の流路3を形成する面がディスク7に対して直交して形成されていることにより、ブレード6の流路3を形成する面がディスク7に対して傾斜した形状と比較して、ブレード6の形状がより簡素化されているため、流路3形成の際の加工工数をより低減させることができる。
【0062】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態においては、第二部材5の他端面5aと第一部材4の一面11aとは、それぞれ略平面とした。これに対し、図10に示すように、インペラ1Bを構成する第二部材5Bの他端面5Baに、この他端面5Baを軸方向他方側に延長する形状の凸部20を設け、この凸部20に対応する凹部21を第一部材4Bの一面11Baに設ける構成としてもよい。
ここで、第二部材5Bと第一部材4Bとは、第二部材5Bの他端面5Baにおいて焼き嵌め等により固定されているが、第二部材5Bと、回転軸Sとは固定する必要はない。
このような構成とすることにより、第二部材5Bの他端面5Baの外周側が薄肉形状とならないため、第二部材5Bの加工が容易となる。
【0063】
また、図11に示すように、インペラ1Cを構成する第一部材4Cにディスク7Cの他方側に延出する固定部は必ずしも設ける必要はない。この形態においては、第二部材5Cの軸方向他端部からの寸法dは、第一部材4Cと回転軸Sとの固定強度が十分確保できる範囲で、可能な限り大きく取ることが好ましい。寸法dを大きくすればするほど、流路3C及び導入口2Cの加工時に加工部材のアクセス性が増し、好ましい。
さらに、図10において、第二部材5Bを回転軸Sと第一部材4Bに焼き嵌め等する場合においても固定部は必ずしも設ける必要はない。
【0064】
また、流路等を加工する方法としては、放電加工に限ることはなく、機械加工によって流路等を加工してもよい。
【符号の説明】
【0065】
S…回転軸、1…インペラ、3…流路、4…第一部材、5…第二部材、6…ブレード、7…ディスク、8…シュラウド、8a…他面、11…ディスク本体部、11a…一面、12…固定部、18…拡径面、50…遠心圧縮機(回転機械)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば遠心圧縮機等の回転機械におけるインペラ及びこのインペラを備えた回転機械、並びにインペラの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12及び図14に示すように、一般に、遠心圧縮機等の回転機械に使用されるインペラ101は、回転軸Sの固定されるハブ部112と、ハブ部112と一体に設けられる円盤形状のディスク107と、ディスク107から中心軸Lの軸方向に離間して配置されるシュラウド108と、周方向に複数設けられ、これらディスク107とシュラウド108とを連結する複数のブレード106とを有している。この種のインペラでは、これらブレード106の側面と、ディスク107とシュラウド108との互いに対向する二面とで囲まれた部分が、空気を圧縮するための流路103となっている。また、ハブ部112を回転機械の回転軸Sに焼き嵌めすることにより、インペラ101を回転軸Sに固定している。
【0003】
この流路103は、内周側で中心軸Lの軸方向一方側に向かって開口すると共に、径方向外周側に向かうように次第に湾曲し、外周側で径方向に向かって開口している。即ち、流路103は、軸方向一方側から他方側に沿って導入された流体を径方向外周側に向かわせるため、周方向視において湾曲した形状をなしている(特に、図14参照)。さらに、図13に示すように、ブレード106はディスク107に対して傾斜して接続されることによってインペラ101の圧縮性能の向上を図っており、これにより、流路103は複雑な三次元形状を呈している。
【0004】
インペラ101の製造方法としては、ブレード106と、ディスク107またはシュラウド108の一方を一体的に形成するとともに、他方を別途製造し、これらを溶接やろう付けにより一体化する方法が知られている。また、インペラには高い剛性が要求されているため、ディスク107、シュラウド108、及びブレード106を単一の母材から削り出すことで、強度信頼性の高いワンピースインペラとすることが行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−285919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したように、インペラ101の流路103は湾曲部分を有する複雑な形状であり、かつ流路内が狭隘であるため、ワンピースインペラ101の製造の際は、流路103入口及び出口とすべき位置から例えば加工用電極等の加工部材を挿入しつつ複雑な切削加工を行う必要がある。また、特許文献1に記載されているような製造方法においても、特別な加工部材を用いて流路を形成する必要があり、製造コストがかかっていた。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、容易かつ低コストで製造可能でありながら、従来の性能を維持するインペラ及びこれを備えた回転機械並びにインペラの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明のインペラは、径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレードと、前記ブレードの軸方向一方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたシュラウドと、前記ブレードの軸方向他方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられ、回転軸に取り付けられるディスクとを備え、前記ブレードと前記ディスクと前記シュラウドとによって複数の流路が形成されたインペラであって、前記ブレードと、前記シュラウドと、前記ディスクの軸方向他方側の部分とが一体的に形成された第一部材と、前記ディスクの軸方向一方側の部分を構成する第二部材とを備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、インペラを第一部材と第二部材とに分割し、第二部材をディスクの軸方向一方側の部分を構成する部位としたことによって、第一部材の流路部分を形成する際に、加工工具のアクセス性が向上する。即ち、流路の出口とすべき位置から加工工具を挿入する際、内周側の干渉物となっていた部位を第二部材として別部材としたことによって、流路を形成する際の加工が容易となる。また、流路の入口である導入口とすべき位置から加工工具を挿入する際、干渉物となっていた部位を第二部材として別部材としたことによって、導入口の加工が容易となる。これにより、製造時間を短縮することができ、ひいては製造コストを低く抑えることができる。
【0010】
上記インペラにおいて、前記第一部材における前記ディスクと前記シュラウドとの互いに対向する面の少なくとも一方が平面に形成されていることが好ましい。
【0011】
この発明によれば、ディスクとシュラウドとブレードとによって画定される流路の形状がより簡素化されるため、加工工具のアクセス性が向上し、流路形成の際の加工工数をより低減させることができる。
【0012】
上記インペラにおいて、前記第一部材における前記ディスクと前記シュラウドとの互いに対向する面の両方が平面に形成されていることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、ディスクとシュラウドとブレードとによって画定される流路の形状のうち周方向視における断面形状に湾曲部がなくなるため、流路形成の際の加工工数をより低減させることができる。
【0014】
上記インペラにおいて、軸方向から視て前記ブレードが、前記ディスク又は前記シュラウドの平面の範囲に設けられていることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、ディスクとシュラウドとブレードとによって画定される流路の形状がより簡素化されるため、加工工具のアクセス性が向上し、流路形成の際の加工工数をより低減させることができる。
【0016】
上記インペラにおいて、前記第二部材における軸方向一方側に向く面は、軸方向一方側から他方側に向かうにしたがって径方向外周側に向かうように湾曲形成されていることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、第二部材における軸方向一方側に向く面によって、インペラに導入された流体を滞りなく流路に導くことができる。これにより、インペラの圧縮性能を維持することができる。
【0018】
上記インペラにおいて、前記第一部材は、前記回転軸に固定される固定部を有することが好ましい。
【0019】
この発明によれば、第一部材と第二部材とを一体化させた上で、従来のディスクのハブ部に相当する第二部材を回転軸に固定する場合と比較して、より強固にインペラを回転軸に固定することができる。即ち、第二部材よりも重量のある第一部材を直接回転軸に固定することにより、より強固にインペラを回転軸に固定することができる。
【0020】
上記インペラにおいて、前記ブレードの流路を形成する面は、前記ディスクの前記シュラウドと対向する面に対して直交して形成されていることが好ましい。
【0021】
この発明においては、ブレードの流路を形成する面がディスクに対して傾斜した形状と比較して、ブレードの形状がより簡素化されているため、流路形成の際の加工工数をより低減させることができる。
【0022】
また、本発明は、上記インペラを備える回転機械を提供する。
このような回転機械は、上記インペラを採用することにより、低コストで提供することができる。
【0023】
また、本発明のインペラの製造方法は、径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレードと、前記ブレードの軸方向一方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたシュラウドと、前記ブレードの軸方向他方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたディスクとを備え、前記ブレードと前記ディスクと前記シュラウドとによって複数の流路が形成されたインペラの製造方法であって、インペラの軸方向他方側を形成するための母材に対して切削加工を施すことにより前記流路を形成し、前記ブレードと、前記シュラウドと、前記ディスクの軸方向他方側の部分とが一体的に形成された第一部材を形成する第一部材形成工程と、前記ディスクの軸方向一方側の部分を構成する第二部材を形成する第二部材形成工程と、を備えることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、インペラを第一部材と第二部材とに分割した上でこれらを別工程で形成し、第二部材形成工程によって形成される第二部材をディスクの軸方向一方側の部分を構成する部位とした。これにより、第一部材の流路部分を形成する際に、加工工具のアクセス性が向上する。即ち、流路の出口とすべき位置から加工工具を挿入する際、内周側の干渉物となっていた部位を第二部材として別部材としたことによって、流路を形成する際の加工が容易となる。また、流路の入口である導入口とすべき位置から加工工具を挿入する際、干渉物となっていた部位を第二部材として別部材としたことによって、導入口の加工が容易となる。これにより、製造時間を短縮することができ、ひいては製造コストを低く抑えることができる。
【0025】
上記インペラの製造方法において、前記第二部材形成工程では、前記第二部材における軸方向一方側に向く面に、軸方向一方側から他方側に向かうにしたがって径方向外周側に向かうような湾曲部を形成することが好ましい。
【0026】
この発明によれば、第二部材形成工程によって形成された第二部材を備えたインペラに導入された空気が、第二部材における軸方向一方側に向く面によって滞りなく流路に導かれるため、インペラの性能を低下させることがない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、インペラの流路部分を形成する際に、加工工具のアクセス性が向上するため、製造時間を短縮することができ、製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態のインペラが適用された遠心圧縮機を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態のインペラを示す斜視図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】本発明の実施形態のインペラの断面図である。
【図5】本発明の実施形態のインペラの分解断面図である。
【図6】本発明の実施形態のインペラの製造工程を示す図である。
【図7】本発明の実施形態のインペラの製造工程を示す図である。
【図8】本発明の実施形態のインペラの製造工程を示す図である。
【図9】本発明の実施形態のインペラの製造工程を示す図である。
【図10】本発明の実施形態のインペラの別形態を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態のインペラの更に別形態を示す断面図である。
【図12】従来のインペラを示す斜視図である。
【図13】図12のB部拡大図である。
【図14】従来のインペラの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の回転機械である遠心圧縮機50は、一例として、図1に示すように、主として、軸線P周りに回転させられる回転軸Sと、回転軸Sに取り付けられて遠心力を利用して流体を圧縮するインペラ1と、回転軸Sを回転可能に支持すると共に流体を上流側から下流側に流す流路52が形成されたケーシング53と、によって構成されている。
【0030】
ケーシング53は、略円柱状の外郭をなすように形成され、中心を貫くように回転軸Sが配置されている。ケーシング53のうち回転軸Sの軸方向の両端には、ジャーナル軸受54が設けられ、一端には、スラスト軸受55が設けられている。これらジャーナル軸受54及びスラスト軸受55は回転軸Sを回転可能に支持している。即ち、回転軸Sは、ジャーナル軸受54及びスラスト軸受55を介してケーシング53に支持されている。
また、ケーシング53のうち軸方向の一端側には流体を外部から流入させる吸込口56が設けられ、他端側には流体が外部に流出する排出口57が設けられている。ケーシング53内には、これら吸込口56及び排出口57にそれぞれ連通し、縮径及び拡径を繰り返す内部空間が設けられている。この内部空間は、インペラ1を収容する空間として機能すると共に上記流路52としても機能する。即ち、吸込口56と排出口57とは、インペラ1及び流路52を介して連通している。
【0031】
インペラ1は、回転軸Sの軸方向に間隔を空けて複数配列されている。なお、図示例において、インペラ1は6つ設けられているが少なくとも1つ以上設けられていればよい。
【0032】
図2及び図4に示すように、インペラ1は、略円盤状をなし、中心軸L方向(以下、軸方向と称する)の一方側に開口された導入口2より吸入された流体を、インペラ1の内部に形成された流路3を介して径方向外周側に向かって放出するように構成されている。
なお、以下においては、径方向において、インペラ1の外周側を単に外周側、インペラ1の内周側を単に内周側と称する。また、流体の上流側となる図2及び図4の上方を軸方向一方側と称し、流体の下流側となる図2及び図4の下方を軸方向他方側と称する。
【0033】
本実施形態のインペラ1は、軸方向他方側をなす略円盤状の第一部材4と、軸方向一方側をなし、軸方向他方側に向かって徐々に拡径する外周面を有する略円筒形状の第二部材5とを備える。そして、第一部材4と第二部材5とにより、インペラ1における回転軸Sに固定されるディスク7と、ディスク7の軸方向一方側に内周側から外周側に向かうようにして周方向に複数設けられたブレード6と、ディスク7と軸方向一方側に対向して設けられてブレード6に取り付けられたシュラウド8とが構成されている。第一部材4及び第二部材5は、本実施形態では互いに固定されておらず、それぞれ回転軸Sに固定されることで、第一部材4と第二部材5との間に導入口2を画定し、さらに、導入口2と流路3とを接続する吸入部9を画定する。
【0034】
第一部材4は、径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレード6と、ブレード6の軸方向他方側に設けられ、ブレード6が取り付けられるディスク7の軸方向他方側を構成する第一部分7aと、ブレード6の軸方向一方側に設けられ、ブレード6が取り付けられたシュラウド8とを備えている。即ち、シュラウド8は、ディスク7の第一部分7aから所定距離だけ離間して配置されている。第一部材4は、例えば析出硬化型ステンレス鋼により形成される。
【0035】
ディスク7の第一部分7aは、回転軸Sに固定される固定部12と、固定部12と一体に形成され、略円盤形状をなすディスク本体部11とからなる。
固定部12は、中央部に軸方向に貫通する嵌合孔13を有する円筒形状に形成されている。嵌合孔13は、インペラ1を回転軸Sに固定する際に、回転軸Sに挿入され、嵌合される孔である。ディスク本体部11は、軸方向から見て略円形をなし、固定部12の軸方向一端に形成されている。また、ディスク本体部11の軸方向一方側の一面11aは略平面とされている。
【0036】
言い換えれば、固定部12は、ディスク本体部11の中央部において軸方向他方側へ突出する円柱状の部位である。固定部12は軸方向他方側に所定量突出しているが、この突出量はインペラ1を回転軸Sに焼き嵌め固定するために必要な締結力に応じて適宜設定される。
【0037】
ブレード6は、ディスク本体部11の一面11aに複数が設けられている。複数のブレード6は、それぞれ一定の板厚(翼厚)を有し、径方向内周側から外周側に向かって略放射状に、周方向に一定間隔をあけて設けられている。また、ブレード6は、それぞれディスク7の径方向内周側から外周側に向かうに従って、周方向の一方向に向かって湾曲するように延在している。
【0038】
また、ブレード6の径方向内周側の内端部6aは、嵌合孔13の内周面13aに対して、所定距離Gだけ離間している。この距離Gは、吸入部9及びこの吸入部9に連通する流路3の形状等に応じて適宜設定され、第二部材5の外周端よりも外周側に位置するように設定されている。
【0039】
シュラウド8は、複数のブレード6を軸方向一方側から覆うように、これらブレード6と一体に設けられた略円盤形状の部材である。シュラウド8は、中心軸Lを中心とした円盤形状をなし、具体的には軸方向一方側に向かうに従って漸次縮径する傘形状をなす。また、シュラウド8の径方向内周側は、軸方向一方側に立ち上がる円筒部14をなしている。円筒部14は、第一部材4と第二部材5とを組み合わせることで、第二部材5の小径面17(図5参照)とともに導入口2を画定する。
【0040】
また、シュラウド8の軸方向他方側の他面8a、即ち、シュラウド8のディスク7の一面11aと対向する面のうち、ブレード6が形成されている範囲は略平面とされている。即ち、シュラウド8の他面8aは、ブレード6が形成されている範囲の軸方向に垂直な断面は、直線で描くことが可能である。
【0041】
図3に示すように、流路3は、ブレード6とディスク7の第一部分7aとシュラウド8とのそれぞれの間で形成されている。言い換えれば、流路3は、ディスク7の一面11aと、シュラウド8の軸方向他方側の面である他面8aと、互いに隣接するブレード6において、一方のブレード6の周方向他方側の面6b及び他方のブレード6の周方向一方側の面6cとで囲まれた空間によって構成されている。
【0042】
また、本実施形態においては、ブレード6は、ディスク7の一面11aに対して略垂直となるように設けられている。言い換えれば、ブレード6、ディスク7、及びシュラウド8によって画定される流路3はその断面形状が矩形となる。即ち、ブレード6の流路3を形成する面は、ディスク7の一面11aに対して略直交して形成されている。
【0043】
第二部材5は、ディスク7の第二部分7bを有し、中心軸Lを中心とした略円筒形状の部材であり、軸方向他方側に向かって徐々に拡径する外周面16を有している。第二部材5の径方向中央部には、嵌合孔13と略同一の内径を有する第二嵌合孔15が形成されている。また、第二部材5の他端面5aは平面とされている。
【0044】
第二部材5の外周面16は、小径面17と拡径面18とからなる。第二部材5の軸方向一方側の端部を含む小径面17は、軸方向に沿って同一径となるように形成されている。第二部材5の軸方向他方側の端部を含む拡径面18は、他端面5aに向かって徐々に拡径する湾曲面とされている。小径面17と拡径面18とはなだらかに接続されており、また、拡径面18は、他端部において拡径面18の法線が略軸方向を向くように形成される。即ち、第一部材4と第二部材5とを組み合わせた際、拡径面18とディスク7の一面11aとがなだらかに接続されるように形成されている。
【0045】
また、第二部材5の他端面5aの直径は、シュラウド8の円筒部14の内径より小さくなるように形成されている。
なお、拡径面18の形状は上述したような湾曲面に限らず、角度が一定の斜面としてもよい。また、小径面17は特に設ける必要はなく、外周面16を拡径面18のみとする構成としてもよい。
【0046】
次に、上述したような、本実施形態のインペラ1の回転軸Sへの組み付け方法を説明する。まず、図5に示すように、回転軸Sに対して、第一部材4の固定部12の内周面を焼き嵌めによって固定する。具体的には、第一部材4の嵌合孔13の内周面を加熱することで、嵌合孔13を拡径させ、この状態で嵌合孔13を回転軸Sに挿通させる。そして、嵌合孔13の周囲を冷却して縮径させ、嵌合孔13を回転軸Sの外周面に密着させることによって、第一部材4と回転軸Sとを一体に固着させる。
【0047】
次いで、第一部材4と同様に、第二部材5を焼き嵌めによって回転軸Sに固定する。この際、第二部材5の他端面5aを第一部材のディスク7の一面11aに当接させた上で焼き嵌めを行う。
なお、回転軸Sに固定する順番は、上述した順番に限らず、第二部材5を回転軸Sに固定した後で、第一部材4を回転軸Sに固定してもよい。
【0048】
以上のように、回転軸Sに組み付けられた第一部材4と第二部材5とによって、インペラ1が形成される。第二部材5の他端面5aと第一部材4の一面11aとが当接することによって、第一部材4と第二部材5の相対的な位置が決定し、これにより、導入口2及び吸入部9が画定される。
【0049】
なお、組み付け方法は上述した方法に限ることはなく、例えば、第二部材5を第一部材4に溶接等の方法で接合した後、第一部材4と第二部材5とを回転軸Sに固定する方法を用いてもよい。
【0050】
以上に示したインペラ1では、導入口2から流入した流体が吸入部9において、第二部材5の拡径面18によって内周側から外周側へ向けられる。次いで、吸入部9から流路3に流入した流体は、図示しない駆動源による回転軸Sの回転で生じる遠心力によって加速され、流路3の外周端から排出される。
【0051】
上述したような、本実施形態のインペラ1の製造方法について説明する。本実施形態に係るインペラ1の製造方法は、第一部材4を形成する第一部材形成工程と、第二部材5を形成する第二部材形成工程とを有する。
【0052】
第一部材形成工程は、第一母材形成工程と、切削工程とを有する。まず、図6に示すように、第一母材形成工程として、回転軸Sが挿入される嵌合孔13及び固定部12が形成された略円筒状の母材30を鍛造する。そして、図7に示すように、シュラウド8の軸方向一方側の面である傾斜面8bを、例えば旋盤加工等により形成して、円盤体32を形成する。
なお、ここでは母材30を旋盤加工等して円盤体32を形成するものとしたが、鍛造のみによって円盤体32を形成しても構わない。また、ここでは鍛造によって嵌合孔13及び固定部12が形成された円筒状の母材30を採用するものとしたが、例えば円盤状の母材を用い、嵌合孔13及び固定部12を旋盤加工等しても構わない。
【0053】
次いで、図8に示すように、切削工程として、円盤体32の外周側から流路3を形成する。具体的には、流路3は放電加工法により、流路3の出口とすべき位置から流路3の形状に対応した電極33を挿入することによって形成される。
ここで、電極33は断面視矩形形状の細長の部材である。また、電極33は、流路3の高さよりも小さい高さを有する形状を有するとともに、流路3の軸方向視した形状と対応した湾曲形状及び幅寸法を有している。また、電極33は、例えばグラファイトや銅などにより形成されており、図示しない放電加工機に取り付けられている。
【0054】
放電加工の際は、まず、円盤体32を例えば図示しない放電加工油に浸漬する。次いで、図8に示すように、電極33を用いて流路3となる部分を挿入しつつ、円盤体32と流路3とを相対的に径方向及び周方向にそれぞれ移動させ、また、必要に応じて軸方向にも移動させて放電加工を行う。なおこの際、電極33による放電加工の加工条件(電流、電圧、パルス、送り速度)を適宜変更しながら行ってもよい。
以上に示した工程を、インペラ1に形成される各々の流路3について繰り返し実施することで、複数の流路3が形成される。
【0055】
次いで、図9に示すように、電極33を軸方向一方側から挿入し、シュラウド8の内周面を加工する。
なお、本実施形態においては、1種類の電極33により放電加工を行うものとしたが、これに限られるものではなく、例えば大きさや材質が異なる複数種類の電極を用いて、粗加工、中間加工及び仕上げ加工するものとしてもよい。
【0056】
次に、第二部材形成工程は、円筒状の母材を旋盤加工することによって、第二部材5(図5参照)を形成する。第二部材形成工程においては、第二部材5における軸方向の他方から一方に向かうに従って、径方向外周側に向かうような湾曲形状の拡径面18を有する外周面16を形成する。
なお、第二部材5は、母材を旋盤加工することによって得ることのみならず、鍛造のみによって第二部材5を形成しても構わない。
【0057】
上記実施形態によれば、第一部材4のブレード6、ディスク7、及びシュラウド8によって形成される流路3の形状が、周方向視において略直線状をなしているため、直線状の電極33を用いた放電加工がより容易となる。軸方向に導入された空気を径方向に向かわせるための従来のハブ部に相当する第二部材5は、別部材とされているため、インペラ1の導入口2付近の加工も容易となる。
【0058】
言い換えれば、インペラ1を第一部材4と第二部材5とに分割し、第二部材5をディスク7の軸方向一方側の部分を構成する部位としたことによって、第一部材4の流路3を形成する際に、電極33のアクセス性が向上する。即ち、流路3の出口とすべき位置から電極33を挿入する際、内周側の干渉物となっていた部位を第二部材5として別部材としたことによって、流路3を形成する際の加工が容易となる。また、流路3の入口である導入口2とすべき位置から電極33を挿入する際、軸方向他方側の干渉物となっていた部位を第二部材5として別部材としたことによって、導入口2の加工が容易となる。これにより、製造時間を短縮することができ、ひいては製造コストを低く抑えることができる。
【0059】
また、第二部材5における拡径面18によって、インペラ1に導入された流体を滞りなく流路3に導くことができるため、インペラ1の圧縮性能を維持することができる。
【0060】
また、第一部材4と第二部材5とをそれぞれ別途回転軸Sに焼き嵌めして固定するため、第一部材4と第二部材5とを一体化させた上でいずれかの部材を回転軸Sに固定する場合と比較して、より強固にインペラ1を回転軸Sに固定することができる。
【0061】
また、ブレード6の流路3を形成する面がディスク7に対して直交して形成されていることにより、ブレード6の流路3を形成する面がディスク7に対して傾斜した形状と比較して、ブレード6の形状がより簡素化されているため、流路3形成の際の加工工数をより低減させることができる。
【0062】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態においては、第二部材5の他端面5aと第一部材4の一面11aとは、それぞれ略平面とした。これに対し、図10に示すように、インペラ1Bを構成する第二部材5Bの他端面5Baに、この他端面5Baを軸方向他方側に延長する形状の凸部20を設け、この凸部20に対応する凹部21を第一部材4Bの一面11Baに設ける構成としてもよい。
ここで、第二部材5Bと第一部材4Bとは、第二部材5Bの他端面5Baにおいて焼き嵌め等により固定されているが、第二部材5Bと、回転軸Sとは固定する必要はない。
このような構成とすることにより、第二部材5Bの他端面5Baの外周側が薄肉形状とならないため、第二部材5Bの加工が容易となる。
【0063】
また、図11に示すように、インペラ1Cを構成する第一部材4Cにディスク7Cの他方側に延出する固定部は必ずしも設ける必要はない。この形態においては、第二部材5Cの軸方向他端部からの寸法dは、第一部材4Cと回転軸Sとの固定強度が十分確保できる範囲で、可能な限り大きく取ることが好ましい。寸法dを大きくすればするほど、流路3C及び導入口2Cの加工時に加工部材のアクセス性が増し、好ましい。
さらに、図10において、第二部材5Bを回転軸Sと第一部材4Bに焼き嵌め等する場合においても固定部は必ずしも設ける必要はない。
【0064】
また、流路等を加工する方法としては、放電加工に限ることはなく、機械加工によって流路等を加工してもよい。
【符号の説明】
【0065】
S…回転軸、1…インペラ、3…流路、4…第一部材、5…第二部材、6…ブレード、7…ディスク、8…シュラウド、8a…他面、11…ディスク本体部、11a…一面、12…固定部、18…拡径面、50…遠心圧縮機(回転機械)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレードと、
前記ブレードの軸方向一方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたシュラウドと、
前記ブレードの軸方向他方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられ、回転軸に取り付けられるディスクとを備え、前記ブレードと前記ディスクと前記シュラウドとによって複数の流路が形成されたインペラであって、
前記ブレードと、前記シュラウドと、前記ディスクの軸方向他方側の部分とが一体的に形成された第一部材と、
前記ディスクの軸方向一方側の部分を構成する第二部材とを備えることを特徴とするインペラ。
【請求項2】
前記第一部材における前記ディスクと前記シュラウドとの互いに対向する面の少なくとも一方が平面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記第一部材における前記ディスクと前記シュラウドとの互いに対向する面の両方が平面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のインペラ。
【請求項4】
軸方向から視て前記ブレードが、前記ディスク又は前記シュラウドの平面の範囲に設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のインペラ。
【請求項5】
前記第二部材における軸方向一方側に向く面は、軸方向一方側から他方側に向かうにしたがって径方向外周側に向かうように湾曲形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインペラ。
【請求項6】
前記第一部材は、前記回転軸に固定される固定部を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインペラ。
【請求項7】
前記ブレードの流路を形成する面は、前記ディスクの前記シュラウドと対向する面に対して直交して形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインペラ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のインペラを備えることを特徴とする回転機械。
【請求項9】
径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレードと、
前記ブレードの軸方向一方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたシュラウドと、
前記ブレードの軸方向他方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたディスクとを備え、前記ブレードと前記ディスクと前記シュラウドとによって複数の流路が形成されたインペラの製造方法であって、
インペラの軸方向他方側を形成するための母材に対して切削加工を施すことにより前記流路を形成し、前記ブレードと、前記シュラウドと、前記ディスクの軸方向他方側の部分とが一体的に形成された第一部材を形成する第一部材形成工程と、
前記ディスクの軸方向一方側の部分を構成する第二部材を形成する第二部材形成工程と、を備えることを特徴とするインペラの製造方法。
【請求項10】
前記第二部材形成工程では、前記第二部材における軸方向一方側に向く面に、軸方向一方側から他方側に向かうにしたがって径方向外周側に向かうような湾曲部を形成することを特徴とする請求項9に記載のインペラの製造方法。
【請求項1】
径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレードと、
前記ブレードの軸方向一方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたシュラウドと、
前記ブレードの軸方向他方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられ、回転軸に取り付けられるディスクとを備え、前記ブレードと前記ディスクと前記シュラウドとによって複数の流路が形成されたインペラであって、
前記ブレードと、前記シュラウドと、前記ディスクの軸方向他方側の部分とが一体的に形成された第一部材と、
前記ディスクの軸方向一方側の部分を構成する第二部材とを備えることを特徴とするインペラ。
【請求項2】
前記第一部材における前記ディスクと前記シュラウドとの互いに対向する面の少なくとも一方が平面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記第一部材における前記ディスクと前記シュラウドとの互いに対向する面の両方が平面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のインペラ。
【請求項4】
軸方向から視て前記ブレードが、前記ディスク又は前記シュラウドの平面の範囲に設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のインペラ。
【請求項5】
前記第二部材における軸方向一方側に向く面は、軸方向一方側から他方側に向かうにしたがって径方向外周側に向かうように湾曲形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインペラ。
【請求項6】
前記第一部材は、前記回転軸に固定される固定部を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインペラ。
【請求項7】
前記ブレードの流路を形成する面は、前記ディスクの前記シュラウドと対向する面に対して直交して形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインペラ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のインペラを備えることを特徴とする回転機械。
【請求項9】
径方向内周側から外周側に向かって配され、周方向に複数設けられたブレードと、
前記ブレードの軸方向一方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたシュラウドと、
前記ブレードの軸方向他方側に設けられ、前記ブレードが取り付けられたディスクとを備え、前記ブレードと前記ディスクと前記シュラウドとによって複数の流路が形成されたインペラの製造方法であって、
インペラの軸方向他方側を形成するための母材に対して切削加工を施すことにより前記流路を形成し、前記ブレードと、前記シュラウドと、前記ディスクの軸方向他方側の部分とが一体的に形成された第一部材を形成する第一部材形成工程と、
前記ディスクの軸方向一方側の部分を構成する第二部材を形成する第二部材形成工程と、を備えることを特徴とするインペラの製造方法。
【請求項10】
前記第二部材形成工程では、前記第二部材における軸方向一方側に向く面に、軸方向一方側から他方側に向かうにしたがって径方向外周側に向かうような湾曲部を形成することを特徴とする請求項9に記載のインペラの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−47479(P2013−47479A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185838(P2011−185838)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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