説明

ウイルス性肝炎の処置

【課題】ウイルス性肝炎を処置する方法、ウイルス性肝炎の処置に有用な化合物、およびこのような化合物を含む医薬組成物を提供すること。
【解決手段】C型肝炎を患っている患者を処置する方法であって、ニタゾキサニド、チゾキサニド、ニタゾキサニドの誘導体、およびチゾキサニドの誘導体、またはそれらの混合物から選択される化合物の治療的に有効な量を該患者に投与することを含む、方法。C型肝炎を患っている患者を処置する方法であって:(a)ニタゾキサニド、チゾキサニド、ニタゾキサニドの誘導体、およびチゾキサニドの誘導体から選択される化合物、またはそれらの混合物の治療的に有効な量を含む第1組成物を所定期間にわたって患者に投与することによって、該患者を前処置すること;(b)該所定期間の後、活性な作用物質を含む第2組成物の治療的に有効な量を該患者に投与することを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利
合衆国政府は、NIAIDによって認められた契約番号NO1−AI−30046に従って本発明において一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の引用
本願は、米国特許法第119号の下で、2006年1月9日に出願された仮米国特許出願第60/757,036号に対する優先権を主張する。仮米国特許出願第60/757,036号の開示は本明細書中に参考として援用される。
【0003】
技術分野
本開示は、ウイルス性肝炎を処置する方法、ウイルス性肝炎の処置に有用な化合物、およびこのような化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
肝炎は、肝臓の炎症に関与する様々な状態を指す。ウイルス性肝炎は、いくつかのタイプ(例えば、A型、B型、C型、D型、およびE型肝炎)があり、ウイルス感染が原因となる肝臓の炎症である。各種のウイルス性肝炎は、異なった症状を示してもよく、処置および予防に対する様々なアプローチによって特徴付けられてもよい。例えば、ワクチンは、A型およびB型肝炎に対して開発されているが、C型またはE型肝炎に対しては開発されていない。
【0005】
慢性C型肝炎の処置の主な目標は、血液から検出可能なウイルスRNAを取り除くことである。処置完了後の24週間、血中に検出可能なC型肝炎ウイルスRNAを欠いている患者は、概して、好ましい予後であり、このウイルスから治癒していると考えてよい。このような状態は、持続性ウイルス学的応答として知られている。持続性ウイルス学的応答に到達していない患者に関しては、肝臓の瘢痕(線維化)の進行を遅らせるなどの他のより僅かな処置の利益があってもよい。
【0006】
C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)の処置は、通常、注射可能なインターフェロン(もしくは注射可能なペグ化インターフェロン)、リバビリン、またはそれらの組合せの投与を伴う。インターフェロンアルファは、ウイルス感染に応答して細胞によって分泌される天然に存在する糖タンパク質である。インターフェロンアルファは、膜受容体に結合することによってその効果を発揮する。受容体結合によって一連の細胞内シグナリング事象が開始され、最終的には、ある種の遺伝子の発現増強をもたらす。これは、リンパ球による標的細胞の死滅の増大、および感染した細胞におけるウイルス複製の阻害を含むある種の細胞活性の増強および誘導へと導く。リバビリンは、広範囲のウイルスに対して活性を有する合成ヌクレオシドである。
【0007】
インターフェロンアルファは、リバビリンの有無に関わらず、多くの副作用と関連している。インフルエンザに似た症状、うつ状態、発疹、他の普通と異なる反応および異常な血球数は、このような副作用の共通した例である。リバビリンは、異常な胎児発育の重大な危険性と関連している。したがって、妊娠の可能性のある女性は、陰性の妊娠検査の報告が得られるまで、治療を開始すべきではない。女性患者は、処置中に妊娠することを避けるように助言される。インターフェロンアルファおよびリバビリンを使用している患者は、月におよそ1回、処置の開始時には幾分より頻繁に、血液検査をするように助言される。ある種の患者群、例えば、貧血、心疾患または腎臓病である患者は、リバビリンを摂取することができない。このような場合には、ペグ化されたインターフェロンアルファが、通常、単独で処方される。C型肝炎を患っている患者(例えば、進行した肝疾患でもある患者)の中には、重大な副作用の危険性があるために、インターフェロンアルファまたはペグ化されたインターフェロンアルファを摂取しないように助言される者もいる。このような患者に対して、従来の利用可能な処置方法は、C型肝炎の処置に効果があり、安全なものとして認識されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、C型肝炎の処置に有効な方法を開発することが、当該技術分野において必要とされている。理想的な処置方法は、幅広い患者において持続性ウイルス学的応答を達成することである。このような処置は、容易に利用可能である活性な作用物質を採用し、最小の副作用を有する。インターフェロンアルファの同時投与が採用される場合、理想的な処置方法は、伝統的な処置方法と比較して、インターフェロンの量を減少させること(即ち、投与回数の減少、投与当たりの量の減少、またはそれらの両方)が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の要旨
本発明は、ウイルス性C型肝炎を処置するための知られている方法の上述した1以上の欠点を解決しようとすることに向けられている。
【0010】
次に、一態様では、本開示は、C型肝炎を患っている患者を処置する方法を記載する。この方法は、ニタゾキサニド、チゾキサニド、ニタゾキサニドの誘導体、およびチゾキサニドの誘導体から選択される、治療的に有効な量の化合物を患者に投与することを含む。
【0011】
別の態様では、本開示は、ウイルス性肝炎を患っている患者を処置する方法を記載する。この方法は、式I:R1−NHCO−R2の構造を有する、治療的に有効な量の第1化合物を患者に投与することを含む。式I中、R1およびR2は、独立して、体液および組織においてNHCO基の改善された安定性を提供する部分から選択される。この態様の一局面では、第1化合物は、ニタゾキサニドでもチゾキサニドでもない。
【0012】
さらに別の態様では、本開示は、治療的に有効な量のニタゾキサニド、チゾキサニド、またはそれらの混合物を患者に投与することを含む、C型肝炎を患っている患者を処置する方法における改善を記載する。
【0013】
さらに別の態様では、本開示は、C型肝炎を患っている患者を処置する方法を記載する。この方法は、ニタゾキサニド、チゾキサニド、ニタゾキサニドの誘導体、およびチゾキサニドの誘導体から選択される化合物、またはそれらの混合物の治療的に有効な量を含む第1組成物を所定期間にわたって患者に投与することによって患者を前処置することを含む。該方法は、所定期間後に、活性な作用物質を含む第2組成物の治療的に有効な量をさらに患者に投与することを含む。
【0014】
さらに別の態様では、本開示は、(a)ニタゾキサニド、チゾキサニド、ニタゾキサニドの誘導体、およびチゾキサニドの誘導体から選択される1以上の化合物;(b)インターフェロン;および(c)抗糖尿病薬を含む組成物を記載する。
【0015】
さらに別の態様では、本開示は、本明細書中に開示している処置方法に効果的な組成物を記載する。
本発明の好適な実施形態では、以下の方法などが提供される:
(項目1)
C型肝炎を患っている患者を処置する方法であって、ニタゾキサニド、チゾキサニド、ニタゾキサニドの誘導体、およびチゾキサニドの誘導体、またはそれらの混合物から選択される化合物の治療的に有効な量を該患者に投与することを含む、方法。
(項目2)
前記化合物が、薬学的に許容可能な担体をさらに含む組成物の形態で投与される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記組成物が、ニタゾキサニド、チゾキサニド、ニタゾキサニドの誘導体、およびチゾキサニドの誘導体から選択される化合物の混合物を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記組成物が、1以上の付加的な生物学的に活性な作用物質をさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目5)
約3日間と約24週間との間の期間にわたって、前記化合物を前記患者に投与し、続いて、約1週間と約48週間との間の期間、前記化合物およびインターフェロンを前記患者に投与することを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
約3日間と約2年間との間の期間にわたって、前記化合物を前記患者に投与することを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
1以上の付加的な活性な作用物質を前記患者に投与することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記1以上の付加的な活性な作用物質がインターフェロンを含む、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記インターフェロンが、前記化合物とは別々に前記患者に投与される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記インターフェロンが、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、またはインターフェロンα−2aもしくはインターフェロンα−2bのポリエチレングリコール誘導体である、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記インターフェロンが、約1週間〜約48週間の期間にわたって、前記患者に投与される、項目8に記載の方法。
(項目12)
前記インターフェロンが、約1週間から約4〜12週間までの期間にわたって、前記患者に投与される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記インターフェロンが、週に1回〜3回、前記患者に投与される、項目8に記載の方法。
(項目14)
前記化合物で所定期間にわたって前記患者を処置した後、前記インターフェロンの投与が開始される、項目8に記載の方法。
(項目15)
前記所定期間が、約3日間と約6ヶ月間との間である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記所定期間が、約1週間と約4週間との間である、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記化合物が、所定の処置期間にわたって1日に1〜3回、前記患者に投与される、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記1以上の付加的な活性な作用物質が、抗糖尿病薬を含む、項目7に記載の方法。
(項目19)
前記糖尿病薬が、前記化合物とは別々に投与される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記組成物が、前記化合物および1以上の付加的な活性な作用物質を含む、項目2に記載の方法。
(項目21)
前記組成物が、抗糖尿病薬をさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記組成物が、インターフェロンをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記組成物が、インターフェロンおよび抗糖尿病薬をさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目24)
C型肝炎を患っている患者を処置する方法であって:
(a)ニタゾキサニド、チゾキサニド、ニタゾキサニドの誘導体、およびチゾキサニドの誘導体から選択される化合物、またはそれらの混合物の治療的に有効な量を含む第1組成物を所定期間にわたって患者に投与することによって、該患者を前処置すること;
(b)該所定期間の後、活性な作用物質を含む第2組成物の治療的に有効な量を該患者に投与すること
を含む、方法。
(項目25)
前記所定期間が、約3日間と約3ヶ月間との間である、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記所定期間が、約1週間と約4週間との間である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記活性な作用物質が、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、およびインターフェロンα−2aまたはインターフェロンα−2bのポリエチレングリコール誘導体から選択されるインターフェロンである、項目24に記載の方法。
(項目28)
第2組成物が、ニタゾキサニド、チゾキサニド、ニタゾキサニドの誘導体、およびチゾキサニドの誘導体、またはそれらの混合物から選択される化合物をさらに含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
ウイルス性肝炎を患っている患者を処置するための方法であって、該方法は、式R1−NHCO−R2を有する第1化合物の治療的に有効な量を該患者に投与することを含み、式中、R1およびR2は、独立して、体液および組織において該NHCO基の改善された安定性を提供する部分から選択され、ただし、該化合物は、ニタゾキサニドでもチゾキサニドでもない、方法。
(項目30)
前記化合物の前記NHCO基の反応性が、R1またはR2のいずれかとして水素を有する類似化合物の反応性と比較して、開裂反応に対して減少する、項目29に記載の方法。
(項目31)
R1およびR2が、独立して、置換環式基、未置換環式基、置換複素環式基、および未置換複素環式基から選択され、ここで、R1、R2、またはR1およびR2の両方は、必要に応じて芳香族である、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記第1化合物が、組成物の形態であって、該組成物が、薬学的に許容可能な担体をさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目33)
前記組成物が、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、およびインターフェロンα−2aまたはインターフェロンα−2bのポリエチレングリコール誘導体から選択される付加的な活性な作用物質をさらに含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記第1化合物が、約1週間と約2年間との間の期間にわたって、前記患者に投与される、項目29に記載の方法。
(項目35)
約1週間と約48週間との間の期間にわたって、前記患者にインターフェロンを投与することをさらに含む、項目29に記載の方法。
(項目36)
前記インターフェロンを用いた前記処置期間が、前記化合物による処置が開始されてから12週間後に開始される、項目35に記載の方法。
(項目37)
処置されるべき前記ウイルス性肝炎がC型肝炎である、項目29に記載の方法。
(項目38)
治療的に有効な量のインターフェロンを用いてC型肝炎を患っている患者を処置するための方法であって、その改善点が、治療的に有効な量のニタゾキサニド、チゾキサニド、またはそれらの混合物を該患者に投与することを含む、方法。
(項目39)
前記患者において持続性応答を達成するのに必要とされるインターフェロンの量が、ニタゾキサニド、チゾキサニド、またはそれらの混合物を投与しない前記患者において持続性応答を達成するのに必要とされるインターフェロンの量と比較して減少している、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記患者において持続性応答を達成するのに必要とされるインターフェロンの量が、リバビリンと該インターフェロンとの組合せで処置される場合に患者において持続性応答を達成するのに必要とされるインターフェロンの量と比較して減少している、項目38に記載の方法。
(項目41)
前記方法が、リバビリンと前記インターフェロンとの組合せでC型肝炎を処置する方法と比較して、処置後に血清のHCV RNAが減少した、増加した機会を前記患者に提供する、項目38に記載の方法。
(項目42)
前記方法が、リバビリンと前記インターフェロンとの組合せでC型肝炎を処置する方法と比較して、処置後に血清のHCV RNAが減少した、類似した機会を前記患者に提供する、項目38に記載の方法。
(項目43)
前記方法が、リバビリンと前記インターフェロンとの組合せでC型肝炎を処置する方法と比較して副作用を生じさせることがより少ない、項目38に記載の方法。
(項目44)
組成物であって、
(a)ニタゾキサニド、チゾキサニド、ニタゾキサニドの誘導体、およびチゾキサニドの誘導体から選択される1以上の化合物;
(b)インターフェロン;ならびに
(c)抗糖尿病薬
を含む、組成物。
(項目45)
前記インターフェロンが、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、およびインターフェロンα−2aまたはインターフェロンα−2bのポリエチレングリコール誘導体から選択される、項目44に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】図1aは、HCVレプリコンを含む細胞株におけるHCV複製に対して、ニタゾキサニドとインターフェロンアルファ−2bまたは2’−C−メチルシチジンとの相乗活性を例証するグラフである。
【図1b】図1bは、HCVレプリコンを含む細胞株におけるHCV複製に対して、ニタゾキサニドとインターフェロンアルファ−2bまたは2’−C−メチルシチジンとの相乗活性を例証するグラフである。
【図2a】図2aは、HCVレプリコンを含む細胞株が、最初にニタゾキサニドで処理され、次にニタゾキサニド+インターフェロンアルファ−2bで処理された場合の相乗活性を例証するグラフである。
【図2b】図2bは、HCVレプリコンを含む細胞株が、最初にニタゾキサニドで処理され、次にニタゾキサニド+インターフェロンアルファ−2bで処理された場合の相乗活性を例証するグラフである。
【図3】図3は、実施例5に記載される実験のための参加者の選択を示す患者の配置チャートである。
【図4】図4は、実施例5に記載され、様々な処置群に対する時間経過の平均の定量的血清HCV RNAレベルを示すグラフである。
【図5】図5は、実施例5に記載され、様々な患者群に対する経時的な定量的血清HCV RNAレベルを示すグラフである。
【図6】図6は、実施例6に記載される実験のための参加者の選択を示す患者の配置チャートである。
【図7】図7は、実施例6に記載され、ペグ化されたインターフェロンアルファ−2b+アリニア(Alinia)(登録商標)または偽薬のいずれかを投与された患者についての時間に対する血小板数を示すグラフである。
【図8】図8は、実施例6に記載され、ペグ化されたインターフェロンアルファ−2b+アリニア(登録商標)または偽薬のいずれかを投与された患者についての時間に対する好中球数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
定義および命名:
本発明を詳細に説明する前に、特に明記しない限り、本発明は、特定の投薬量、製剤または使用方法に限定されず、これらは変更してもよいことは理解されたい。また、本明細書中で用いられる専門用語は、特定の態様のみを記述することを目的とするものであって、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられるとき、単数形の「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その(the)」には、文脈によって明確に他に明示されていなければ、複数形の指示対象が含まれることに留意しなければならない。したがって、例えば、「1つの剤形(a dosage form)」とは、単一の剤形だけでなく、2以上の異なった剤形の組合せも指し、「1つの活性な作用物質(an active agent)」は、単一の活性な作用物質のみならず、複数の活性な作用物質の組合せを指す、等である。
【0019】
本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられるとき、用語「例えば(for example)」、「例として(for instance)」、「などの(such as)」、「を含む(including)」などは、より一般的な対象物をさらに明確にする例を紹介することが意図される。特に明記されなければ、これらの例は、本発明を理解する手助けとしてのみ提供され、いずれかの方法で限定されることは意図していない。
【0020】
特に明記されなければ、本明細書中で用いられている全ての技術的および科学的用語は、本発明が関連する当業者によって通常理解される意味を有する。本明細書中に記載されている方法および材料に類似するかまたは同等である任意の方法および材料は、本発明の実施または試験に有用であり得るが、好ましい方法および材料は下記に説明されている。本発明の説明に特に重要な特定の専門用語は、下記に定義されている。
【0021】
本発明の化合物に言及する場合、特に明記されなければ、用語「化合物」は、特定の分子的実体だけでなく、下記のような分子的実体への修飾が適切である場合、その医薬として許容され、薬理学的に活性な類似体、例えば、限定されないが、塩、多形、エステル、アミド、プロドラッグ、付加物、結合体、活性代謝物なども包含することが意図される。
【0022】
用語「処置すること」および「処置」とは、本明細書中で使用されるとき、症状の重症度および/または頻度の減少、症状および/または根本にある原因の排除、症状および/またはそれらの根本にある原因の発症の予防(例えば、予防的治療)、損傷の改善または修復、あるいは感染強度の減少を意味する。
【0023】
本発明の化合物の「有効量」および「治療的に有効な量」なる用語は、非毒性であるが、所望の効果を提供するのに十分な量の薬物または作用物質を意味する。
【0024】
「薬学的に許容可能な」とは、生物学的に望ましくないことも他の点で望ましくないこともない材料を意味し、即ち、この材料は、いずれの望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、含まれる組成物の他の成分のいずれとも有害な方法で相互作用することなしに、患者に投与される医薬組成物に組み入れることができる。用語「薬学的に許容可能な」は、医薬としての担体または賦形剤を指すために用いられるとき、この担体または賦形剤は、毒性および製造試験に必要とされる標準を満たしているか、または連邦食品医薬品局(U.S. Food and Drug administration)によって作成された非活性成分ガイド(Inactive Ingredient Guide)に含まれていることが意味される。
【0025】
「患者」、または「対象者」とは、処置が望まれるいずれかの動物を意味する。患者は、哺乳動物であり得て、典型的には、本明細書中に用いられるとき、患者はヒト個体である。
【0026】
本開示は、式I:R1−NHCO−R2の化合物、並びに肝炎、特にC型肝炎の処置におけるそれらの使用、およびそれらを含む医薬組成物を含む。
【0027】
式Iの一態様では、R1およびR2は、独立して、NHCO基を安定化する(即ち、その基の改善された安定性を提供する)部分から選択される。「安定化する」とは、未置換のNHCO基(例えば、NHCOH、R1−NHCOH、NHCO−R2など)と対比して、即ち、R1またはR2のいずれかとして水素を有する類似化合物と比較して、体液および組織中で反応する傾向が低いことを意味する。このような反応には、NHCO基の切断(例えば、窒素−炭素結合の破壊)、NHCO基への付加、置換反応、水素化反応、水和反応、酸化反応、還元反応などが含まれる。
【0028】
一態様では、式Iの化合物は、ニタゾキサニドおよびチゾキサニドを除く。別の態様では、式Iの化合物は、ニタゾキサニドおよびチザキサニドを含む。
【0029】
別の態様では、R1およびR2は、各々、置換または未置換の環式基である。このような基は、複素環式基または炭素環式基、例えば、アリールまたはシクロアルキル基であってもよい。一つの例では、R1は、複素環であり、R2は、アリールであり、必要に応じて、1〜3個の置換基で置換される。式Iの化合物の別の例となる基は、R1およびR2がともにベンゼンである化合物を含み、各々は、1〜3個の置換基で必要に応じて置換される。
【0030】
さらに別の態様では、R1は、1〜3個の置換基で置換されたチアゾールおよびチアジアゾールから選択され、R2は、1〜3個の置換基で置換されたベンゼンである。
【0031】
R1およびR2に対する置換基の例には、OH、アルコキシ、ハロ、アルキル、フルオロアルキル、エステル、チオアルキル、および官能基が挙げられる。具体的な例には、フルオロ、ブロモ、OAc、CH、CF、NO、CHCOEt、SCH、OCHなどが挙げられる。
【0032】
R1およびR2に対する複素環式基の例には、芳香族複素環式基または飽和もしくは不飽和の非芳香族複素環式基(脂環式複素環式基)が挙げられる。このような基は、炭素原子に加えて、少なくとも1個のヘテロ原子(好ましくは1〜4個のヘテロ原子(単数または複数)、より好ましくは1〜2個のヘテロ原子(単数または複数))を含み、1〜3個の異種のヘテロ原子(好ましくは1〜2種のヘテロ原子(単数または複数))を含んでもよい。本明細書中で使用するとき、用語「ヘテロ原子」は、酸素原子、硫黄原子、および窒素原子を含むことが意図される。
【0033】
「芳香族複素環式基」の例には、芳香族単環式複素環式基、例えば5または6員の芳香族単環式複素環式基(例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾイル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルなど);芳香族縮合複素環式基、例えば8〜12員の芳香族縮合複素環式基(例えば、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズインダゾリル、ベンゾキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アルファ−カルボリニル、ベータ−カルボリニル、ガンマ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチニル、チアントレニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、インドリジニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、イミダゾ[1,5−a]ピリジル、イミダゾ[1,2−b]ピリダジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジル、1,2,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダイジニル);好ましくは、上述した、ベンゼン環と縮合した5−もしくは6−員の芳香族単環式複素環式基からなる複素環式基、または同一であるかもしくは異なっている上述した5−もしくは6−員の芳香族単環式複素環式基と縮合した上述した5−もしくは6−員の芳香族単環式複素環式基からなる複素環式基が挙げられる。
【0034】
「非芳香族複素環式基」の例には、3〜8員(好ましくは5若しくは6員)の飽和または不飽和(好ましくは飽和)非芳香族複素環式基(脂肪族複素環式基)、例えばオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニルが挙げられる。
【0035】
式Iの構造を有する化合物の一態様では、R1は複素環である。別の態様では、R1は、2または3個のヘテロ原子を含む複素環である。さらに別の態様では、R1は、置換された複素環であり、2または3個のヘテロ原子を含む。さらに別の態様では、R1は、ヒドロキシド、ハロゲン(即ち、ヨード、クロロ、ブロモ、またはフルオロ)、アルコキシ(例えば、OCH)、フルオロアルキル(例えば、CF)、エステル(例えば、CHCOEt)、チオアルキル(例えば、SCH)、OAc、およびアルキル(例えば、CH)から選択される1、2、または3個の基で置換された複素環である。例えば、R1は、チアゾールまたは置換されたチアゾールである。
【0036】
式Iの構造を有する化合物の一態様では、R2はアリールである。別の態様では、R2は、置換されたアリールである。さらに別の態様では、R2は、2、3、または4個の置換基を含むアリールである。別の態様では、R2は、アリールであり、(式Iのカルボニル基へのアリール基の結合点と比べて)オルトおよびメタ位で置換基を含む。なお別の態様では、R2は、ヒドロキシド、ハロゲン(即ち、ヨード、クロロ、ブロモ、またはフルオロ)、アルコキシ(例えば、OCH)、フルオロアルキル(例えば、CF)、エステル(例えば、CHCOEt)、チオアルキル(例えば、SCH)、OAc、およびアルキル(例えば、CH)から選択される2以上の置換基を含むアリールである。
【0037】
式Iの構造を有する化合物の一態様では、この化合物におけるNHCO基の反応性は、R1またはR2のいずれかとして水素を有する類似化合物の反応性と比較して、開裂反応に対して減少している。
【0038】
別の態様では、R1およびR2は、独立して、置換された環式基、未置換の環式基、置換された複素環式基、および未置換の複素環式基から選択され、ここで、R1、R2、またはR1とR2の両方のいずれかは、必要に応じて芳香族である。さらに別の態様では、R1およびR2は、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、脂環式、置換された脂環式、複素環式、および置換された複素環式から選択される。さらに別の態様では、R1およびR2は、各々、OH、NO、アルコキシ(例えば、メトキシ)、ハロ(例えば、FおよびBr)、アルキル(例えば、メチル)、フルオロアルキル(例えば、フルオロメチル)、エステル(例えば、OAc、およびCHCOEt)、およびチオアルキル(例えば、チオメチル)から独立して選択される1〜3個の置換基で置換される。なお更なる態様では、R1およびR2の少なくとも1つは、複素環式である。なお更なる態様では、R1およびR2の少なくとも1つは、1〜3個のヘテロ原子を含む。さらに別の態様では、R1およびR2の少なくとも1つは、芳香族単環式複素環、芳香族縮合複素環、および非芳香族複素環から選択される複素環式基を含む。なお更なる態様では、R1およびR2の少なくとも1つは、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズインダゾリル、ベンゾキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アルファ−カルボリニル、ベータ−カルボリニル、ガンマ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチニル、チアントレニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、インドリジニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジル、イミダゾ[1,2−a]ピリジル、イミダゾ[1,5−a]ピリジル、イミダゾ[1,2−b]ピリダジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジル、1,2,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダイジニル)、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、およびピペラジニルから選択される複素環式基を含み、そのうちいずれかは、必要に応じて、1〜3個の置換基で置換されてもよい。別の態様では、R1は、1〜3個の置換基で必要に応じて置換された複素環式基であり、およびR2は、1〜3個の置換基で必要に応じて置換されたアリールである。さらに別の態様では、R1は、1〜3個の置換基で必要に応じて置換されたチアゾールまたはチアジアゾールである。なお更なる態様では、R2は、1〜3個の置換基で必要に応じて置換されたフェニルである。なお更なる態様では、R1およびR2はともに、各々が1〜3個の置換基で必要に応じて置換されたアリールである。
【0039】
式Iの構造を有する化合物の例には、ニタゾキサニド、チゾキサニド、RM−4803、RM−4819、RM−4832、およびRM−4850が挙げられ、ここでは、ニタゾキサニド、チゾキサニド、RM−4819、RM−4832、およびRM−4850が特に好ましい。これらの化合物の構造は、下記のリストに示される:
【0040】
【化1】

下記に記載される通り、本開示の組成物は、活性な作用物質として、薬学的に許容可能な形態で式Iの構造を有する化合物を含む。所望により、この組成物は、1以上の付加的な活性な作用物質(下記にも詳細に記載されている)をさらに含むことができる。それが適切である場合、いずれかの活性な作用物質は、化合物自体の形態で、および/または塩、多形、エステル、アミド、プロドラッグ、誘導体などの形態で投与することができるが、ただし、その塩、多形、エステル、アミド、プロドラッグまたは誘導体が、薬理学的に適切であるという条件に限る。それが適切である場合、活性な作用物質の塩、エステル、アミド、プロドラッグおよび他の誘導体は、合成有機化学の当業者に知られている標準的な手法を用いて調製することができ、例えば、J.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure,第4版(ニューヨーク:ウィリー−インターサイエンス(Wiley−Interscience),1992)に説明されている。鏡像異性形態で存在し得る任意の活性な作用物質に関して、この活性な作用物質は、ラセミ体として、または鏡像異性的に富んだ形態としてのいずれかで本組成物に取り込まれることが可能である。
【0041】
式Iの構造を有する化合物は、文献に記載の方法に従って調製することができる。例えば、化合物1aおよび1bの調製は、それぞれ、米国特許第3,950,351号、および国際公開第WO95/28393号に記載されている。1aおよび1bの類似体および誘導体、並びに式Iの範囲に含まれる構造を有する他の化合物を調製する合成法は、当業者に明らかである知られた手法を採用する。
【0042】
本開示に係る医薬組成物は、本明細書中に記載されているように、式Iの構造を有する化合物を含む。また、このような医薬組成物は、(1)式(I)の構造を有する1以上の付加的な化合物;(2)本明細書に開示されている1以上の薬学的に許容可能な担体;および(3)本明細書に記載されている1以上の付加的な成分を含むことができる。この組成物は、0.05重量%〜95重量%の活性な作用物質(単数または複数)、並びに残りの5重量%〜99.95重量%を形成する薬学的に許容可能な担体(単数または複数)および任意の付加的な成分(複数)を含むことができる。
【0043】
1以上の付加的な活性な作用物質は、本明細書に記載されている医薬組成物および処置方法において含むことができる。一態様では、付加的な活性な作用物質は、肝炎の処置に効果的である。例えば、この組成物は、C型肝炎の処置に有用な1以上の付加的な治療薬、例えばリバビリン、および免疫刺激剤、例えばインターフェロン、例えばインターフェロンα−2b、インターフェロンα−2bの誘導体、例えばインターフェロンα−2bのポリエチレングリコール結合形態、インターフェロンα−2a、またはインターフェロンアルファコン−1を含むことができる。また、特定の例には、オメガ(Omega)IFN(バイオメディスンズ・インコーポレイテッド(BioMedicines Inc.)、カリフォルニア州エメリービル(Emeryville,CA));BILN−2061(ベーリンガー・インゲルハイム・ファーマ・ケイ・ジー(Boehringer Ingelheim Pharma KG)、インゲルハイム、ドイツ);サムメトレル(Summetrel)(エンド・ファーマシューティカルズ・ホールディングズ・インコーポレイテッド(Endo Pharmaceuticals Holdings
Inc.)、ペンシルバニア州チャズフォード(Chadds Ford,PA));ロフェロン(Roferon)A、ペガシス(Pegasys)、ペガシスおよびリバビリン、並びにセルセプト(CellCept)(エフ.ホフマン−ラ・ロシュ・リミテッド(F.Hoffmann−La Roche LTD)、バーゼル(Basel)、スイス);ウェルフェロン(Wellferon)(グラクソ・スミス・クライン・パブリック・リミテッド・カンパニー(GlaxoSmithKline plc)、オックスブリッジ(Uxbridge)、イギリス)、アルブフェロン(Albuferon)−α(ヒューマン・ゲノム・サイエンシーズ・インコーポレイテッド(Human Genome Sciences Inc.)、メリーランド州ロックビル(Rockville,MD));レボビリン(Levovirin)(アイシーエヌ・ファーマシューティカルズ(アイ・シー・エヌ・ファーマシューティカルズ(ICN Pharmaceuticals)、カリフォルニア州コスタメサ(Costa Mesa,CA));IDN−6556(イドゥン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイティッド(Idun
Pharmaceuticals Inc.)、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego,CA));IP−501(インデバス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイティッド(Indevus Pharmaceuticals Inc.)、マサチューセッツ州レキシントン(Lexington,MA));アクチミュン(Actimmune)(インターミュン・インコーポレイテッド(InterMune Inc.)、カリフォルニア州ブリズベン(Brisbane,CA));インファージェン(Infergen)A(インターミュン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド(InterMune Pharmaceuticals Inc.)、カリフォルニア州ブリズベン);ISIS 14803(アイシス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド(ISIS Pharmaceuticals Inc)、カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad,CA)/エラン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイティッド(Elan Phamaceuticals Inc.)、ニューヨーク州ニューヨーク(New York,NY);JTK−003(日本たばこ産業株式会社、東京、日本);セプレン(Ceplene)、ペガシスおよびセプレン(マキシム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド(Maxim Pharmaceuticals Inc.)、カリフォルニア州サンディエゴ);シバシル(Civacir)(バイオファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド(Biopharmaceuticals Inc.)、フロリダ州ボーカラトーン(Boca Raton,FL));イントロン(Intron)Aおよびザダキシン(Zadaxin)(リジーンアールエックス・バイオファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド(RegeneRx Biopharmiceuticals Inc.)、メリーランド州ベセスダ(Bethesda,MD)/サイクローン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド(SciClone Pharmaceuticals Inc)、カリフォルニア州サンマテオ(San Mateo,CA));レボビリン(Levovirin)、ビラミジン(Viramidine)(リバファーム・インコーポレイテッド(Ribapharm Inc.)、カリフォルニア州コスタメサ);ヘプタザイム(Heptazyme)(リボザイム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド(Ribozyme Pharmaceuticals Inc.)、コロラド州ボールダー(Boulder,CO));イントロンA、PEG−イントロン、レベトロン(Rebetron)、リバビリン(Ribavirin)、PEG−イントロン/リバビリン(シェーリング−プラウ・コーポレイション(Schering−Plough Corporation)、ニュージャージー州ケニルワース(Kenilworth,NJ));ザダジム(Zadazim(サイクローン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド(SciClone Pharmaceuticals Inc)、カリフォルニア州サンマテオ);レビフ(Rebif)(セロノ(Serono)、ジュネーブ、スイス);IFN−βおよびEMZ701(トランジション・セラピューティクス・インコーポレイテッド(Transition Therapeutics Inc.)、オンタリオ、カナダ);T67(ツラリク・インコーポレイティッド(Tularik Inc.)、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ(South San Francisco,CA));VX−497(ベルテックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイティッド(Vertex Pharmaceuticals Inc.)、マサチューセッツ州ケンブリッジ(Cambridge,MA));VX−950/LY−570310(ベルテックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド、マサチューセッツ州ケンブリッジ/(イーライリリー・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド(Eli Lilly and Co.Inc.),インディアナ州インディアナポリス(Indianapolis,IN));オミフェロン(Omniferon)(ビラゲン・インコーポレイテッド(Viragen Inc.)、フロリダ州プランテーション(Plantation,FL));および、XTL−002(バイオファーマシューティカル・リミテッド(Biopharmaceuticals Ltd.),レホボト(Rehovot)、イスラエル)が挙げられる。
【0044】
抗肝炎薬に加えて、またはその代わりに、本明細書に記載されている医薬組成物および方法は、必要に応じて1以上の付加的な活性な作用物質を含むことができる。付加的な活性な作用物質には、糖尿病および高インスリン血症などの内分泌系の障害の処置に有効な作用物質が含まれる。抗糖尿病薬の例には、インスリン、プラムリンチド、エクセナチド、スルホニルウレア類(例えば、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド)、メグリニチド類(例えば、レパグリニド、ナテグリニド)、ビグアニド類(例えば、メトホルミン)、チアゾリジンジオン類(例えば、ロシグリタゾン、トログリタゾン、ピオグリタゾン)、およびα−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボーズ、メグリトール)が挙げられる。このような活性な作用物質は、インスリンの血漿中濃度を調節するために、本明細書に開示されている化合物の投与前またはその投与と同時のいずれかで投与することができる。同時に投与される場合、このような付加的な活性な作用物質は、本明細書に開示されている化合物を含む同製剤の一部として投与することができ、またはそれらは、別々の製剤で投与することができる。同様に、他の活性な作用物質、例えば、肝臓の疾患の処置に有効な作用物質も本明細書に開示されている化合物とともに用いることができる。
【0045】
本明細書に記載されている使用に適切である本開示の化合物を含む医薬組成物も薬学的に許容可能な担体を含むことができる。適切な医薬的な担体は、例えば、組成物の投与の方法に依存し得て、それらは当業者に承認される。
【0046】
薬学的に許容可能な担体は、固体もしくは液体、またはそれらの混合物であってもよい。薬学的に許容可能な担体は、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、乳化剤、着色剤などの材料である。結合剤は、凝集性を与えるために用いられ、したがって、この組成物は、(例えば、移植片または錠剤として)未処理のままであることが保証される。適切な結合剤の材料には、限定されないが、重合体マトリックス、ハイドロゲル、スターチ(例えば、コーンスターチおよびプレゼラチン化スターチ)、ゼラチン、糖類(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、およびラクトース)、ポリエチレングリコール、ワックス、並びに天然ガムおよび合成ガム、例えば、アカシアアルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、セルロース重合体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、およびビーガム(Veegum)が含まれる。潤滑剤は、製造を円滑に進めるために用いられ、圧力から開放された場合、粒子の流れを促進し、および粒子キャッピング(即ち、粒子破砕)を妨げる。有用な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびステアリン酸である。崩壊剤は、この組成物の崩壊を促進するために用いられ、一般には、スターチ、クレイ、セルロース、アルギン、ガム、または架橋された重合体である。充填剤には、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロース、および微結晶性セルロースなどの材料、並びにマンニトール、ウレア、スクロース、ラクトース、デキストロース、塩化ナトリウム、およびソルビトールなどの可溶性材料が含まれる。界面活性剤は、湿潤剤であり、脂肪酸塩などのイオン性材料およびプルロニクス(PLURONICS)(商標)(例えば、F−127、L−122、L−101、L−92、L−81、およびL−61)などの非イオン性材料が含まれてもよい。
【0047】
例えば、本明細書に開示されている組成物のための薬学的に許容可能な担体は、1以上の生体適合性重合体を含むことができる。「生体適合性」とは、インビボにおける移植または注入によるなどの生物環境に供されると、有害反応を誘発しない材料を意味する。さらに、一態様では、生体適合性材料は、インビボにおいて投与されると免疫応答を誘発しない。特に明示がなければ、生体適合性材料には、生体浸食性、生分解性および生体吸収性である材料が含まれる。
【0048】
生体適合性重合体などの重合体担体は、本明細書に記載されている単量体単位のいずれかのホモ重合体または共重合体であり得る。さらに、共重合体は、任意の特定の構造(architecture)に限定されず、ランダム、交互、ブロック(マルチブロックを含む)、星型、櫛型、グラフト、およびデンドリマー型共重合体、並びにそれらの組合せからなっていてもよい。1を超える生体浸食性重合体のブレンドも本開示の範囲内である。架橋された重合体および架橋され得る重合体は、このような架橋が本明細書に記載されている化合物を形成する材料の能力(例えば、生体浸食する材料の能力)に有害に影響しない限り、用いることができることは承認される。例えば、可逆的な架橋(ここで、該架橋は、非共有的および/または弱共有的分子間結合を含む)は、組成物の投与前に存在してもよく、またはこのような結合はインビボで形成されてもよい。
【0049】
適切な生体浸食性重合体には、ポリ(オルトエステル)類、ポリ(ラクトン)類、例えばポリ(ε−カプロラクトン)およびポリ(γ−カプロラクトン)、ポリ(ラクチド)類、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコリド)類、ポリ(グリコール酸)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、無水物の重合体類、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、α−ヒドロキシカルボン酸の重合体およびそれらの誘導体、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、スターチ、セルロースおよびセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カゼイン、デキストラン類、多糖類、フィブリノーゲン、ポリ(エーテルエステル)マルチブロック共重合体、ポリ(エーテル)類、例えばポリ(エチレングリコール)、およびポリ(ブチレンテレフタレート)、チロシン誘導ポリカーボネート類、ポリ(ヒドロキシル酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリジオキサノン、ポリ(アルキルカーボネート)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、分解性ポリエステル、ポリ(マレイン酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリ(アクリルアミド類)、ポリホスファゼン類、ポリ(アミノ酸類)、ポリ(アルキレンオキシド)−ポリ(エステル)ブロック共重合体、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ベータ−ブチロラクトン)、ポリ(ガンマ−ブチロラクトン)、ポリ(ガンマ−バレロラクトン)、ポリ(d−デカノラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(1,4−ジオキサン−2−オン)もしくはポリ(1,5−ジオキセパン−2−オン)、またはそれらの組合せ(即ち、構成要素の単量体単位、ブレンドなどの共重合体)が含まれてもよい。
【0050】
生分解性重合体の例には、合成重合体、例えば乳酸およびグリコール酸の重合体、ポリ無水物類、ポリ(オルト)エステル類、ポリウレタン類、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、およびポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、および天然重合体、例えばアルギン酸塩および他の多糖類、例えばデキストランおよびセルロース、コラーゲン、それらの化学的誘導体(置換、化学基、例えばアルキル、アルキレンの付加、水酸化、酸化、および当業者によって通常なされる他の修飾)、アルブミンおよび他の親水性タンパク質、ゼインおよび他のプロラミン類および疎水性タンパク質、それらの共重合体およびそれらの混合物が挙げられる。一般に、これらの材料は、インビボでは酵素的な加水分解によるかまたは水に晒させるかのいずれかによって、表面またはバルクの浸食によって分解する。
【0051】
組成物の成分(複数)は、薬学的に許容可能な担体全体で均一に分布されてもよく、または濃度勾配の局在化した領域が存在してもよい。「均一な分布」とは、分子の均一性、並びにバルクまたは巨視的な均一性の例を含むことが意図される。例えば、活性な作用物質は、(溶媒内に均一に分布される溶質に関して)分子レベルで、または(担体全体を通じて均一に分布される活性な作用物質の別々の粒子に関して)巨視的なレベルで均一に分布することができる。組成物の成分(複数)は、薬学的に許容可能な担体に(共有結合的に、または物理的吸着やイオン的な結合などを含む他の方法で)結合することができる。
【0052】
水性または他の溶媒系の剤形として(例えば、非経口投与のために)投与される組成物に対しては、種々の液体担体を用いることができる。水溶液には、塩、緩衝剤などが含まれてもよい。非水性液体担体には、例えば、脂肪油類、例えばオリーブ油およびコーン油、合成脂肪酸エステル類、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド、低分子量アルコール、例えばプロピレングリコール、合成親水性重合体、例えばポリエチレングリコール、リポソームなどが含まれ得る。
【0053】
1以上の薬学的に許容可能な担体に加えて、本明細書に開示されている1以上の化合物を含み、本明細書に記載されている使用に適した医薬組成物も1以上の付加的な成分を含むことができる。付加的な成分(複数)には、例えば、塩、緩衝剤、浸透増強剤、吸収促進剤、ゲル形成材料、例えば重合体、視覚化補助剤、分散剤、安定化剤、賦形剤、および可塑剤が含まれる。
【0054】
緩衝剤は、分析物の濃度を所望の範囲内に維持させることを補助するために採用される化合物(複数)または溶液(複数)である。例えば、薬学的に許容可能なpH緩衝剤は、溶液の酸性度または塩基性度を薬学的に許容可能な範囲内に維持するために用いられる。本明細書に開示されている組成物において使用するための緩衝剤は、いずれかの知られているかまたは今後発見される緩衝剤であってもよい。
【0055】
浸透増強剤には、メンブレンなどの境界を横切って組成物の浸透を可能にするかまたは増強する化合物が含まれる。浸透増強剤の例には、関連する文献(例えば、Percutaneous Penetration Enhancers,SmithおよびMaibach編集,CRCプレス,ニューヨーク州ニューヨーク,2005)に見出すことができ、シクロヘキサノン誘導体、環状モノテルペン類、ピロリドン類、ジオキソラン類、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(Azone)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびリモネンが含まれる。
【0056】
ゲル形成材料は、重合体であるかまたは非重合体であってもよく、一般に、ゼラチン様ネットワークを形成することができる。一態様では、ゲル形成材料は、インビボではゲルを形成することができ、他の態様では、ゲル形成は、エクスビボで生じる。ゲル形成材料の例には、コラーゲン、キトサン、ペクチン、ヒアルロン酸などが含まれる。
【0057】
分散剤は、水などの溶媒を組み合わせた(例えば、本明細書に記載されている)界面活性剤である。
【0058】
可塑剤は、プラスチックおよび他の材料を可塑化する(即ち、軟化する)ために用いられる化合物である。例としては、プロピレングリコール、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、サリチル酸p−tert−ブチルフェニル、ステアリン酸ブチル、グリコール酸ブチルフタリルブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、フタル酸ジイソオクチル、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル、エポキシ化大豆油、グリコール酸エチルフタリルエチル、モノオレイン酸グリセロール、クエン酸モノイソプロピル、モノ、ジ−、およびトリステアリル・シトレート、トリアセチン(グリセロールトリアセテート)、クエン酸トリエチル、および3−(2−キセノリル)−1,2−エポキシプロパンが挙げられる。
【0059】
賦形剤は、種々の理由で、本明細書に記載されている組成物に採用され得る不活性な成分である。広範囲の賦形剤は、文献(例えば、Roweら,Handbook of Pharmaceutical Excipients,McGraw Hill,2006)に記載されている。
【0060】
視覚化補助剤は、蛍光透視、磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging:MRI)、可視光、超音波、またはX線撮影(radiography)などの視覚化法を介して、薬物送達組成物またはその成分のいずれかの視覚化を補助する化合物である。当該技術分野において知られている任意の視覚化補助剤は、本明細書に開示されている組成物に用いることができる。
【0061】
一局面では、本開示の組成物は、組成物を維持し、および/または組成物中の細菌増殖を阻害するのに有効な量で存在する1以上の防腐剤または静菌剤を含む。例としては、ビスマストリブロモフェナート、ヒドロキシ安息香酸メチル、バシトラシン、ヒドロキシ安息香酸エチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、エリスロマイシン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ドキソルビシン、ミトキサントロン、リファマイシン、クロロクレゾール、ベンザルコニウムクロリド類、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
【0062】
安定化剤には、抗酸化剤などの化合物が含まれ、一例として、酸化反応を含む分解反応を阻害するかまたは遅延させるために用いられる。安定化剤の例には、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene:BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(butylated hydroxyanisole:BHA)、アスコルビン酸、エチレンジアミン四酢酸(ethylene diamine tetraacetic acid:EDTA)、トコフェロール誘導化合物、例えばアルファ−トコフェロール、亜硫酸塩剤、tert−ブチルヒドロキノン、クエン酸、酢酸、およびペクチンが挙げられる。
【0063】
本明細書に開示されている組成物またはその前駆体は、例えば、インプラントまたは錠剤のより大きな表面積を達成する孔質化剤をさらに含むことができる。孔質化剤の例には、無機塩、スクロース、界面活性剤、低分子量重合体、急速分解重合体、熱可逆性重合体沈殿物、気泡、およびキャビテーションバブルが挙げられる。
【0064】
本明細書に開示されている組成物中の活性な作用物質(および、存在する場合には、他の有効成分)の量は、多数の因子に依存し、対象者ごとに変更する。このような因子は、当業者に明確であり、処置される特定の障害または状態、投与様式、症状の重症度、患者の年齢、体重および一般な健康状態、並びに処方する医師の判断を含む。
【0065】
一態様では、組成物は、活性な作用物質として式Iの化合物、および薬学的に許容可能な担体を含む。この担体は、活性な作用物質と比較して任意の適切な量で用いることができ、担体と活性な作用物質との重量比は、用途に応じて、約0.1〜1から約100,000〜1で変更することができる。この態様の一例では、組成物は、活性な作用物質および薬学的に許容可能な担体だけからなる。別の例では、組成物は、活性な作用物質、担体、および1以上の付加的な成分、例えば本明細書に記載されているものを含む。なお更なる例では、組成物は、活性な作用物質、第2の活性な作用物質、1以上の担体、および1以上の付加的な成分を含む。
【0066】
本明細書に開示されている式Iの構造を有する化合物は、医薬組成物中の薬剤として、および活性な作用物質として有用である。一態様では、このような化合物および組成物は、ウイルス性肝炎の処置に有用である。特に、この化合物および組成物は、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)を患っている患者の処置に有用である。
【0067】
別の態様では、本明細書に記載されている化合物は、C型肝炎をインターフェロンで処置する改善された方法に有用であり、改善には、有効量のニタゾキサニド、チゾキサニド、またはそれらの混合物を、それを必要とする対象者に投与することが含まれる。この改善の目的で、血清HCV RNAの減少を示している対象者の割合は、C型肝炎をインターフェロンで処置するかまたはリバビリンおよびインターフェロンの組み合わせで処置する方法と比較して増加する。さらに、患者において持続性ウイルス学的応答を達成するのに必要とされるインターフェロンの量は、ニタゾキサニド、チゾキサニド、またはそれらの混合物を投与されない患者における持続性ウイルス学的応答を達成するのに必要とされるインターフェロンの量と比較して減少させることができる。さらに、患者における持続性ウイルス学的応答を達成するのに必要とされるインターフェロンの量は、リバビリンおよびインターフェロンの組み合わせで処置された場合の患者における持続性ウイルス学的応答を達成するのに必要とされるインターフェロンの量と比較して減少させることができる。一態様では、C型肝炎を患っている患者が、(本明細書に記載されているいずれかのインターフェロンなどの)インターフェロンを用いて処置される前に、ニタゾキサニドおよび/またはチゾキサニドを用いて前処置される処置方法が提供される。この態様および他の態様の特定の例が、以下により詳細に記載されている。
【0068】
ニタゾキサニド、チゾキサニド、およびそれらの混合物は、C型肝炎の処置に特に効果的である。ニタゾキサニド、チゾキサニド、またはそれらの混合物を用いてC型肝炎患者を処置することによって、効果的な処置に必要とされるインターフェロンの量を減少させることができる場合があるが、このような減少は必要ではない。また、リバビリンの使用を完全に避けることもできる場合があるが、これも必要ではない。これらの利点は、血清HCV RNAの減少に関して、都合よく応答する対象者の割合を同時に増加させながら得ることができる。このようにして、本開示は、C型肝炎を処置する方法を記載し、この方法は、それを必要とする対象者に有効量のニタゾキサニド、チゾキサニド、またはそれらの混合物を投与することを含む。同様に、本発明は、いずれかの前述した態様を含み、その場合、式Iの任意の化合物またはこのような化合物の組み合わせは、ニタゾキサニドおよびチゾキサニドの代わりに用いられる。
【0069】
本明細書に記載されている組成物の投与は、任意の適切な投与様式および剤形を用いて実行することができる。したがって、投与は、例えば、経口、眼内、口腔、直腸、局所、非経口、経皮、経粘膜、舌下、吸入による(固体または液体組成物のいずれかを用いる)、または剤形に埋め込んだレザバを介して、であり得る。任意の所定の場合における最も適した経路は、処置される状態の性質および重症度に依存し、および用いられる式Iの化合物の特定の形態の性質に依存することは承認される。用語「非経口」とは、本明細書中で使用するとき、例えば、皮下、静脈、皮内、および筋内注射を含むことが意図される。用語「経皮」とは、本明細書中で使用するとき、例えば、直腸、膣、口腔、舌下、および陰茎投与を含むことが意図される。用途「吸入」とは、本明細書中で使用されるとき、鼻または口を介した吸入を含むことが意図され、組成物の吸収が、肺、並びに、例えば口、鼻、および咽喉の粘膜で起こる場合を含む。インプラントを介した投与とは、体腔内(例えば、腹腔内インプラント、眼内インプラント、関節におけるインプラントなど)、臓器内、および皮下を含む体内のいずれかに添加されたインプラント、またはいずれかに配置されたインプラントを含むことが意味される。
【0070】
投与の意図された様式に依存して、医薬組成物は、固体、半固体、または液体、例えば錠剤、カプセル、カプレット、エアロゾル、液体、懸濁液、エマルジョン、クリーム、ゲル、坐薬、顆粒、ペレット、ビーズ、フィルム、粉末、スポンジなどであってもよい。
【0071】
一態様では、組成物は、正確な用量の1回投与に適した単位剤形を含む。別の態様では、組成物は、経時的に組成物の制御された送達を可能にするインプラントなどのレザバを含む。
【0072】
適切な医薬組成物および剤形は、医薬製剤の分野における当業者に知られている慣用的な方法を用いて調製することができ、それらの方法は、関連するテキストおよび文献、例えばRmington:The Science and Practice of Pharmacy(Easton,PA:Mack Publishing Co.,1995)に記載されている。全てではないにしても、適切な剤形のいくつかの記載は、下記に提供されている。
【0073】
経口投与に適した製剤は、カプセル、カプセル(cachet)、ロゼンジ、または錠剤などの別々のユニットとして提示することができ、各々は、所定量の式Iの化合物を含み;粉末または顆粒として;水性または非水性の液体中の溶液または懸濁液として;あるいは水中油型または油中水型エマルジョンとして提供することができる。このような製剤は、活性な化合物および(1以上の副成分を含んでもよい)適切な担体を関連付ける工程を含む任意の適切な薬学的方法によって調製することができる。
【0074】
錠剤は、標準的な錠剤加工手段および機器を用いて製造することができる。リバーシンに加えて、錠剤は、一般に、本明細書に記載されている不活性な、薬学的に許容可能な担体材料を含む。適切なカプセルは、硬質または軟質のいずれかであってもよく、一般に、ゼラチン、スターチ、またはセルロース性の材料からできていて、ゼラチンカプセルが好ましい。2片の硬質ゼラチンカプセルは、好ましくは、例えばゼラチンバンドなどを用いてシールされる。例えば、上記で引用される、カプセル化された医薬品を調製するための材料および方法を記載しているRemington:The Science and Practice of Pharmacyを参照されたい。経口剤形は、錠剤、カプセル、カプレット、または微粒子であって、所望により、長期間にわたって活性な作用物質の段階的な持続放出を提供するように調合されてもよい。例えば、当業者に認識されるように、剤形は、親水性重合体などの段階的に加水分解され得る材料のマトリックス中に活性な作用物質を分散させることによって、またはこのような材料で固体の薬物含有剤形を被覆することによって調合されてもよい。好ましい剤形の一例は、アリニア(登録商標)(アリニア(登録商標)添付文書および/または米国特許第5,387,598号、同第5,578,621号、同第5,968,961号、同5,856,348号、同5,859,138号、同第5,886,013号、同第5,965,590号、同第6,020,353号、および同第6,117,894号を参照)である。特に明記がなければ、本開示(実施例および特許請求の範囲を含む)では、アリニア(登録商標)に対する任意の参考文献は、一例としてのみ提供され、限定することを意味しない。このようにして、このような参考文献は、ニタゾキサニド、チゾキサニド、および/または式Iの構造を有する化合物を含む他の製剤と同等に適用することが意図される。
【0075】
口腔(例えば、舌下)投与に適した製剤には、風味基剤、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に式Iの化合物を含むロゼンジ;不活性な基材、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア中に前記化合物を含むトローチ(pastilles)が含まれる。
【0076】
非経口投与に適した本開示にかかる調合物には、無菌の水溶液および非水性溶液、懸濁液、およびエマルジョンが含まれる。このような調製物は、好ましくは、対象とするレシピエントの血液と等張である。注射可能な水溶液は、水溶性形態の活性な作用物質を含んでもよく、または活性な作用物質の懸濁液もしくはエマルジョンを含んでもよい。非水性溶媒またはビヒクルの例は、本明細書に記載されている。また、非経口製剤は、アジュバント、例えば可溶化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、および安定化剤を含むことができ、水性懸濁液は、懸濁液の粘性を増加させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、およびデキストランを含むことができる。注射可能な組成物は、例えば、滅菌剤の組み込み、細菌保持フィルターを介したろ過、照射、または熱を介して無菌にすることができる。また、それらは、無菌の注射可能な媒体を用いて製造することができる。また、組成物に存在する任意の活性な作用物質は、注射を介した投与の直前に適切なビヒクルを用いて再水和できる乾燥した形態、例えば凍結乾燥形態であってもよい。非経口製剤は、好ましくは静脈投与されるが、投与は皮下、筋内、または皮内注射を用いて達成してもよい。一態様では、このような製剤は、化合物と水またはグリシンバッファーとを混合し、得られる溶液を無菌にし、および血液と等張にすることによって調製される。
【0077】
また、本明細書中に開示されている組成物は、従来の経皮薬物送達システムを用いて皮膚を介して投与することができ、前記活性な作用物質は、皮膚に貼られるような薬物送達装置として役立つラミネート構造内に含まれる。このような構造では、活性な作用物質の組成物は、上部支持層の下にある層、即ち、「レザバ」に含まれる。薄層状の構造は、1個のレザバを含むことができ、または複数のレザバを含むことができる。一態様では、レザバは、薬物送達中の皮膚に該システムを貼るように機能する薬学的に許容可能な接触接着材料の重合体マトリックスを含む。あるいは、活性な作用物質を含むレザバおよび皮膚接触接着剤は、別々であり、区別される層として存在し、該接着剤は、該レザバの下にあって、この場合、上述した重合体マトリックスのいずれかであってもよく、または液体もしくはハイドロゲルレザバであってもよく、または何らかの他の形態であってもよい。経皮薬物送達システムは、さらに、皮膚透過促進剤を含むことができる。また、経皮投与のための製剤は、イオントフォレシスによって送達することができ(例えば、Pharmaceutical Research 3(6),318,(1986)を参照)、適切な製剤は、典型的には、式Iの化合物の必要に応じて緩衝化された水溶液の形態をとる。適切な製剤は、例えば、クエン酸塩またはビス/トリスバッファー(pH6)、またはエタノール/水を含み、0.1〜0.2Mの有効成分を含む。
【0078】
また、本明細書に開示されている組成物は、典型的には、従来の局所的な剤形を用いて投与することもでき、活性な作用物質は担体中に含まれる。局所的用途に適した剤形には、例として、クリーム、ペースト、ゼリー、ゲル、軟膏、液体、エアロゾル、オイル、ローション、泡、懸濁液、およびエマルジョンが含まれる。用いることができる担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール類、アルコール類、およびそれらの2以上の組み合わせが含まれる。
【0079】
前述した製剤に加えて、前記化合物も活性な作用物質の制御放出、好ましくは長期間にわたる持続放出のためのデボ調製物として調合されてもよい。これらの持続放出剤形は、移植によって(例えば、皮下、腹腔、筋内または筋内注射によって)投与することができる。
【0080】
直腸投与に適した製剤は、好ましくは、単位用量の坐剤として提示される。これらは、式Iの化合物と1以上の従来の固体担体、例えばココアバターと混合し、次に、得られる混合物を成形することによって調製することができる。
【0081】
本明細書に開示されている組成物は、一般に、経口、非経口、経皮、または移植したデポーを介して投与されるが、他の投与様式も同様に適している。例えば、投与は、直腸または膣であってもよく、好ましくは、活性な作用物質に加えて、坐薬ワックスなどの賦形剤を含む坐薬を用いてよい。また、経鼻または舌下投与のための製剤は、当該技術分野で周知な標準的な賦形剤を用いて調製される。本発明の医薬組成物も、例えば、生理食塩水の溶液として、乾燥粉末として、またはエアロゾルとして吸入用に調合することができる。
【0082】
本明細書に開示されている組成物は、単回投与量単位として、例えば経口投与用(例えば、錠剤)に調製され、包装されてもよいことが理解される。また、製剤は、複数回の服用製剤として、または局所投与(例えば、クリーム)、膜貫通投与(例えば、パッチ)、もしくは移植などの長期間の投与に適した投与量として調製され、包装されてもよい。
【0083】
本明細書に開示されている化合物は、意図された使用に適した任意の長さの時間、投与されてもよい。本明細書に開示されている化合物の投与は、典型的には、約3日間〜約104週間の期間にわたって実行されるが、104週間を超える期間にわたって実行されてもよく、さらに無期限に実行されてもよい。例えば、本明細書に開示されている化合物を用いたC型肝炎の処置は、典型的には、12、24、または48週間の期間にわたって化合物の投与を伴う。
【0084】
任意の適切な投与量および処方計画は、本明細書に開示されている化合物、およびこのような化合物を含む医薬組成物に用いることができる。一態様では、式Iの構造を有する化合物は、例えば、本明細書に記載されているインターフェロンのいずれかなどのインターフェロンなどの付加的な活性な作用物質と併用して投与される。式Iの構造を有する化合物、および付加的な活性な作用物質(例えば、インターフェロン)は、同じ組成物の部分として投与されることができ、またはそれらは、別々の組成物(剤形、放出プロフィールなどにおいて変更する別々の組成物で含む)で投与することができる。
【0085】
一態様では、C型肝炎を患っている患者は、ニタゾキサニド、チゾキサニド、または式Iの構造を有する本明細書に開示されている化合物のいずれかとともに最初に前処置される。前処置期間の持続期間は、約3日間と約6ヶ月間との間、例えば、約1週間と約12週間との間、更なる例としては、約1週間と約4週間との間であってもよい。前処置期間は、続いて処置期間となり、前処置された患者は、インターフェロン単独、もしくはインターフェロン+ニタゾキサニド、チゾキサニド、または式Iの構造を有する化合物のいずれかで処置される。本明細書に記載されているインターフェロンのいずれかは、処置期間中に用いることができる。処置期間の持続期間は、所望の応答を得ることが必要である任意の期間であって、典型的には、約1日と約12ヶ月間との間または12ヶ月間以上である。例えば、処置期間は、インターフェロンを毎週注射することを含み、1週間の処置、2〜4週間の処置、4〜12週間の処置を伴い、またはそれを超えてもよい(例えば、6ヶ月間、1年間、2年間、または無期限)。
【0086】
本明細書に開示されている化合物の投与に適している処方計画の例には、下記が挙げられる:24週間のニタゾキサニドの投与、続く12週間のニタゾキサニドおよびインターフェロンα−2bまたはペグ化したインターフェロンα−2bを含む組成物の投与;2〜4週間のニタゾキサニドの投与、続く12週間のニタゾキサニドおよびペグ化したインターフェロンα−2bを含む組成物の投与;ニタゾキサニド+ペグ化したインターフェロンα−2bを含む組成物の12、24、または48週間の投与;ニタゾキサニド、チゾキサニド、またはそれらの組み合わせの12、24、または48週間の投与。適切な持続期間、服用量、および投与の順番は変更されるので、このような処方計画は、単に一例として提供されることが認識される。適切な処方計画は、通常、医師によって決定される。
【0087】
服用量は変化し得ることは認識され、典型的には、患者に対して治療的に有効な量の活性な作用物質を提供するように選択される。一つの例では、服用量は、約100mg〜約2000mgの範囲で、または約250mg〜約1000mg、もしくは好ましくは約500mgの範囲であり得る。別の特定の例では、適切な服用量は、約0.1μg/mlと約10μg/mlとの間、好ましくは約1μg/mlである、患者において活性な作用物質(例えば、ニタゾキサニド)の血中濃度を達成し、維持するように選択される。
【0088】
本明細書に開示されている組成物を調製する方法は、当業者に明確となる。一態様では、本開示の製剤は、活性な化合物と液体もしくは微粉化した固体担体または両方と均一におよび緊密に混合し、次に、必要ならば、得られる混合物を成形することによって調製することができる。例えば、錠剤は、必要に応じて1以上の補助成分を有する、活性な化合物を含む被覆したもしくは被覆していない粉末、または被覆したもしくは被覆していない顆粒を圧縮または成形することによって調製することができる。圧縮した錠剤は、適切な機械で、必要に応じて結合剤、潤滑剤、不活性な希釈剤、および/または界面活性剤/分散剤(単数または複数)と混合した粉末または顆粒などのフリーフロー形態で化合物を圧縮することによって調製することができる。成形される錠剤は、適切な機械で、不活性な液体結合剤で湿らせた粉末化された化合物を成形することによって作製され得る。
【0089】
また、本開示は、本明細書に記載されているこのような処置を達成するためのキットを提供する。このキットは、(i)有効量の式Iの化合物;(ii)1以上の薬学的に許容可能な担体および/または添加剤;および(iii)(例えば、肝炎の処置における)使用のための取扱説明書を含む。
【0090】
本明細書中で使用するとき、句「使用のための取扱説明書」とは、任意のFDA指定の表示、指示、またはウイルス性肝炎を処置する目的のために、式Iの化合物の投与に関する添付文書を意味する。例えば、使用のための取扱説明書には、限定されないが、特定の疾患に対する指示、特許請求の範囲に記載の化合物によって改善し得る特定の疾患の特定の症状の識別、疾患を患っている対象者のための推奨される服用量が含まれ得る。本発明のキットは、ウイルス性肝炎を処置するのに有効な単位服用量の化合物をさらに含む。
【0091】
本発明は、好ましい特定のその態様と併せて記載されているが、上記の記載並びに続く実施例は、本発明の範囲を例証することを意図し、限定することは意図していないことは理解すべきである。他の局面、本発明の範囲内の利点および変更は、本発明が関係する当業者に明らかとなる。
【0092】
本明細書に言及されている全ての特許、特許出願、および刊行物は、全体として参照により本明細書に援用される。しかしながら、明らかな定義を含む特許、特許出願、または刊行物が参照により援用される場合、それらの明らかな定義は、それらが見出される、援用される特許、特許出願、または刊行物に適用され、本出願のテキストの残り部分、特に本出願の特許請求の範囲に適用されないことを理解すべきである。
【実施例】
【0093】
実施例1
HCV複製に対する活性
ニタゾキサニド、チゾキサニド、インターフェロンα、リバビリン、および2’−C−メチルシチジンの抗ウイルス活性は、5種のHCVレプリコン細胞株で評価された:(1)AVA5、遺伝子型1bのサブゲノム構築物(Blightら,2000,Science 290:1972−1974);(2)H/FL−Neo、遺伝子型1aの全長構築物(Blightら,2003,Journal of Virology 77:3181−3190);(3)JWT,遺伝子型1bのサブゲノム構築物(PfeifferおよびKirkegaard,2005,Journal of Virology 79:2346−2355);(4)4−3−10、遺伝子型1bのサブゲノム構築物、100μMのリバビリンで1ヶ月間、次に400μMのリバビリンで2週間、JWT細胞の連続継代を伴うプロトコールによって発生させる(Pfeiffer and Kirkegaard,2005,Jorunal of Virology,79:2346−2355);および、(5)RP7、遺伝子型1bのサブゲノム構築物(Elazarら,2003,Journal of Virology 77:6055−6061)。
【0094】
各々の試験化合物についての抗ウイルス活性は、前述の通りに決定された(Okuseら,2005,Antiviral Research 65:23−34)。簡潔に説明すると、レプリコン細胞株は、96−ウェルプレートでサブコンフルエントな培養物として維持された。化合物は3日間、毎日、新鮮な培地に添加された。化合物の最終添加の24時間後、抗ウイルス活性は、細胞内HCV RNAのブロットハイブリタイゼーション分析によって決定され、細胞毒性は、ニュートラルレッド色素の取り込みによって評価された。EC50、EC90、CC50および選択指数は、レプリコン細胞株において試験した各々の化合物に対して計算された。EC50=未処理培養物における平均レベルと比較して、細胞内HCV RNAの50%減少を生じさせる薬物濃度。EC90=未処理培養物における平均レベルと比較して、細胞内HCV RNAの90%減少を生じさせる薬物濃度。CC50=未処理培養物における平均レベルと比較して、ニュートラルレッド色素の取り込みの50%減少を生じさせる薬物濃度。選択指数=EC50で割ったCC50。EC50、EC90およびCC50値(±標準偏差[S.D.])は、処理した全ての培養物から合わせたデータを用いた線形回帰分析によって計算された。中央値EC50およびEC90の値は、5種のレプリコン細胞株について決定された結果に基づいて、各々の化合物に対して計算された。
【0095】
ニタゾキサニドおよびチゾキサニドは、ローマーク・ラボラトリーズ(Romark Laboratories),L.C.(フロリダ州タンパ(Tampa,FL)、米国)によって提供された。組換えインターフェロンα−2bは、PBLバイオメディカル・ラボラトリーズ(Biomedical Laboratories)(ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway,NJ)、米国)より購入した。リバビリンは、シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis,MO)、米国)より購入した。2’−C−メチルシチジン(Pierraら,2005,Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids,24:767−770)は、モラヴェク・バイオケミカル・インコーポレイティド(Moraveck Biochemicals,Inc.)(カリフォルニア州ラ・ブレア(La Brea,CA)、米国)より購入した。インターフェロンα−2bは、製造業者の指示通りに、無菌のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)/1%BSAに溶解され、および/または希釈された。リバビリン、ニタゾキサニド、チゾキサニドおよび2’−C−メチルシチジンは、100%の組織培養等級のDMSO(シグマ)に溶解した。原液は、1回の実験に十分な量で、(インターフェロンα−2bは−70℃で、ニタゾキサニド、チゾキサニド、リバビリンおよび2’−C−メチルシチジンは−20℃で)保存され、1回だけ使用した。試験化合物の毎日のアリコートは、個々のチューブに原液から作製し、適切な温度で保存された。処理の各々の日に、試験化合物の毎日のアリコートは、室温で培養培地中に懸濁させ、すぐに細胞培養物に添加された。それによって、試験化合物の各々のアリコートは、制限された同数の凍結融解サイクルを受けた。
【0096】
ニタゾキサニドおよびチゾキサニドは、5種のHCV遺伝子型1由来のレプリコン細胞株のそれぞれにおける細胞内HCV複製を選択的に減少させた(表1)。中央値EC50は、インターフェロンα−2bの0.86IU/mL、リバビリンの69μMおよび2’−C−メチルシチジンの2.1μMと比較して、ニタゾキサニドおよびチゾキサニドのそれぞれについて0.13μMおよび0.15μMであった。
【0097】
【表1】

実施例2
ニタゾキサニドおよびチゾキサニドと他の抗HCV薬物との相乗活性
HCV複製に対するニタゾキサニド+インターフェロンα−2b、チゾキサニド+インターフェロンα−2b、ニタゾキサニド+2’−C−メチルシチジン、およびチゾキサニド+2’−C−メチルシチジンを用いた併用処置の活性は、前述した方法(Okuseら,2005,Antiviral Research 65:23−34)を用いて、AVA5レプリコン細胞株で評価された。併用処置に用いられる化合物間の相互作用の分析は、カルキュシン(Calcusyn)(商標)ソフトウェア(バイオソフト(Biosoft)、ケンブリッジ、英国)を用いて実行された。
【0098】
ニタゾキサニドとインターフェロンα−2bまたは2’−C−メチルシチジンのいずれかとの組み合わせ、およびチゾキサニドとインターフェロンα−2bまたは2’−C−メチルシチジンのいずれかとの組み合わせは、HCV複製に対する相乗的な相互作用を示した(表2、図1aおよび1b)。図1aおよび1bには、併用処置における化合物間の相互作用の分析が示されている。
【0099】
【表2】

図1aは、CI−Fa(影響を受ける(ウイルスの)組み合わせ指数フラクション)プロット(Belen’kiiおよびSchinazi,1994,Antiviral Research 25:11−18)を提示する。これらのプロットについて、1.0より大きな組み合わせ指数[CI]は拮抗作用を示し、1.0未満のCIは相乗作用を示す。ウイルス阻害の種々のレベル(例えば、5%、またはFa=0.05〜99%、またはFa=0.99)での相乗効果、加算性(総和)、または拮抗作用の評価は、プロットされた直線および点によって与えられる。図1bは、保存的なアイソボログラム(isobologram)を示す。これらのプロットに関して、併用処置に関するEC50、EC75、およびEC90(50%、75%、および90%の有効な抗ウイルス濃度)値は、単一の点として表示される。軸から放射状に延びている3つの線は、単剤治療から計算される薬物の組合せについての期待される(例えば、付加的な)EC50、EC75、およびEC90値を示す。対応する線の左(例えば、未満)にプロットする組合せについてEC50、EC75、およびEC90値は相乗作用を示し、対応する線の右(例えば、より大きい)にプロットする値は拮抗作用を示す。
【0100】
実施例3
ニタゾキサニドを用いた前処理後のインターフェロンアルファ+ニタゾキサニドの増強した活性
併用処置による処理前に、ニタゾキサニドで前処理した効果を評価するために、培養物は、3または6日間のいずれか、ニタゾキサニド、インターフェロンα−2b、もしくは2’−C−メチルシチジン、またはニタゾキサニドとインターフェロンα−2bもしくは2’−C−メチルシチジンのいずれかとの組合せを用いて処理された。あるいは、培養物は、3日間、ニタゾキサニドで処理され、更に3日間、ニタゾキサニドとインターフェロンα−2bまたは2’−C−メチルシチジンのいずれかとの組合せを用いて処理された。抗ウイルス活性および細胞毒性は、前述した通り、各々のそれぞれの処理の終了後の24時間で測定された。
【0101】
ニタゾキサニドを用いた前処理は、ニタゾキサニド+インターフェロンα−2bを用いた併用処置の有効性を約3倍改善した(表3並びに図2aおよび2b)。しかしながら、前処理は、2’−C−メチルシチジンを用いた併用処置の有効性を改善しなかった(表4)。図2aおよび2bは、ニタゾキサニド+インターフェロンα−2bでの処理前にニタゾキサニドで前処理した培養物における効果の分析を示す。分析は、カルキュシン(商標)ソフトウェア(バイオソフト、ケンブリッジ、英国)を用いて行った。2つのタイプの評価が示されている。図2aは、CI−Fa(影響を受ける(ウイルスの)組み合わせ指数フラクション)プロット(Belen’kiiおよびSchinazi,1994)を示す。これらのプロットについては、1.0を超える組み合わせ指数[CI]は拮抗作用を示し、1.0未満のCIは相乗作用を示す。ウイルス阻害の種々のレベル(例えば、5%、またはFa=0.05〜99%、またはFa=0.99)での相乗性、加算性(総和)、または拮抗作用の評価は、プロットされた直線および点によって与えられる。点線は、1.96標準偏差を示す(図1aでは明確性のために示していない)。図2bは、保存的なアイソボログラムを示す。これらのプロットに関して、併用処置に関するEC50、EC75、およびEC90(50%、75%、および90%の有効な抗ウイルス濃度)値は、単一の点として表示される。軸から放射状に延びている3つの線は、単剤治療から計算される薬物の組合せについて期待される(例えば、付加的な)EC50、EC75、およびEC90値を示す。対応する線の左(例えば、未満)にプロットする組合せについてのEC50、EC75、およびEC90値は相乗作用を示し、対応する線の右(例えば、より大きい)にプロットする値は拮抗作用を示す。
【0102】
【表3】

【0103】
【表4】

実施例4
ニタゾキサニドまたはチゾキサニドを用いた前処理後のインターフェロンアルファの増強された活性
ニタゾキサニドまたはチゾキサニドを用いた前処理後のインターフェロンアルファの効果を評価するために、親のレプリコンを含む細胞株(RP−7)は、濃度増加したニタゾキサニドまたはチゾキサニド中で連続的に継代された。インターフェロンアルファ−2bの抗HCV活性は、親の細胞株、およびニタゾキサニドまたはチゾキサニド中で継代した後に得られた細胞株を用いて測定された。抗HCV活性は、上述した方法によって測定された。
【0104】
親のレプリコンを含む細胞株は、Sca−Iで線形化したBart 79Iプラスミドからインビトロにおいて転写されたRNAをHuh−7細胞にエレクトロポーレーションすることによって樹立された(Elazarら,2003)。Bart 79Iは、NS5A遺伝子に1つの適応変異(S1179I)を含む遺伝性型1bの第二世代の高効率な複シストロン性(bi−cistronic)サブゲノムレプリコン、および第1シストロンにネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子をコードする。エレクトロポーレートされた細胞は、未使用のHuh−7支持細胞とともに播種され、培地−−DMEM(4.5g/lグルコース、L−グルタミンおよびピルビン酸ナトリウム――メディアテック(Mediatech)10−013−CV)、10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン−ストレプトマイシン、1%L−グルタミン(最終濃度2mM)、1×MEM、非必須アミノ酸(100×)(インビトロゲン(Invitrogen))−−および1mg/ml
G418中で増殖させた。3週間後、G418耐性コロニーが出現した。得られたコロニーの1つを分離し、広げ、700μg/ml G418で継代し、PR−7と命名した。
【0105】
RP−7細胞は、次の通り、耐性促進処方計画に晒した。細胞は、700μg/ml G418(インビトロゲン)、1%組織培養等級DMSO(シグマ(Sigma))、および開始の低濃度のニタゾキサニドまたはチゾキサニドを含む上述した培地中で増殖させ、次に、ニタゾキサニドまたはチゾキサニドの濃度は、毎週必ず増加させ、各用量増加の間には介在する2日間の休薬があった。薬物の各投与量の第1日から第5日では、培地を毎日交換し、新鮮な薬物源を供給した。第6日および第7日は培地交換を行わなかった(薬休)。ニタゾキサニドまたはチゾキサニドの開始濃度は、0.02μMであり、続けて0.05μM、0.1μM、0.5μM、1μMとし、その後、毎週1μMを増加させた。最終濃度である11μMは、ニタゾキサニド中で継代した細胞に対して使用し、最終濃度である8μMは、チゾキサニドに継代した細胞に対して使用した。得られた細胞は、インターフェロンアルファ−2bの抗HCV活性を試験するために用いる前に、少なくとも2ヶ月間、この最終濃度で連続して継代した。
【0106】
結果を表5に示す。濃度増加したニタゾキサニドまたはチゾキサニド中で親の細胞株の連続継代は、インターフェロンアルファ−2bに対する耐性を誘導しなかった。ニタゾキサニドまたはチゾキサニド中で継代した細胞株は、ニタゾキサニドまたはチゾキサニド中で継代しなかった親のレプリコンを含む細胞株と比較して、インターフェロンアルファ−2bに対して、実際に2.5〜7.6倍の感受性があった。
【0107】
【表5】

実施例5
ニタゾキサニドおよびチゾキサニドの組合せを用いた慢性C型肝炎の処置
50人の患者は、アリニア(登録商標)(活性な作用物質として99%ニタゾキサニドおよび1%チゾキサニドを含む医薬組成物)の二重盲検試験に登録させた。アリニアは、慢性C型肝炎の遺伝子型4を有する患者の処置において、偽薬と比較して、24週間、毎日2回、500mgの錠剤として経口投与された。この50人の患者は、エジプトの3箇所の試験場所で登録され、カイロでは32人、アレクサンドリアでは12人、タンタでは6人であった。3人の患者は、登録直後にこの試験から脱落し、処置後の追跡調査のいずれにも戻さなかった。1人の患者は、12週間後の追跡調査に戻さなかった。残りの46人の患者の各々は、試験を完了した。患者の処置フローチャートについては図3を参照されたい。1人の患者は、B型肝炎ウイルスに同時感染した。患者は、HBeAg陰性であり、例外的に、この患者の登録を認めた。このプロトコールは、初期効果の分析のために全症例(intent−to−treat population)(全ての患者は無作為に選ばれる)の使用を必要とした。いずれかの薬剤を受け入れる前に脱落した3人の患者は、有効性分析から除外した。12週間後に脱落した患者は、有効性分析に含められ、前に行った最終の観察(last observation carried forward)に基づいて分析された。有効性分析に含められる47人の患者についての人口統計学的な特徴および疾患に関連した特徴は、表6の処置群によって要約されている。
【0108】
各試験の来診(visit)では、患者は、処置応諾に関して問診された。唯一の例外として、この試験を完了している患者の各々は、彼らが薬剤を摂取することに応諾したことを記録した。1人の患者は、試験を完了したが、腹痛により薬剤を摂取することに時々応諾しないことについて記録した。
【0109】
【表6】

ウイルス学的応答は、表7の処置群によって要約される。実薬処置群のウイルス学的応答者の比率は、偽薬の処置群よりも有意に高かった(P=.0039)。ウイルス学的応答(検出不能な血清HCV RNA)は、第4週(n=3)、第8週(n=3)および第20週(n=1)で観察された。これらの応答の各々は、処置期間を通じて維持された。
【0110】
【表7】

人口統計学的な特徴、基準となる検査データ、肝臓生検のデータ、および病歴は、実薬処置群内のウイルス学的応答の独立した予測因子を同定するために評価された。応答の予測因子は、表8に列挙されている。最も重要な応答の予測因子は、基準ではより低いウイルス量であった。全ての応答者は、基準のウイルス量≦384,615IU/mLを有していた。また、基準(血小板数、プロトロンビン時間、およびアルファフェトプロテイン)の検査値は、応答者がそれほど重篤ではない肝臓病であることを示唆した。
【0111】
【表8】

高いウイルス量、肝硬変、制御されていない真性糖尿病またはB型肝炎同時感染などの疾患関連悪化因子を有する患者の更なる分析は、これらの患者の小集団において非常に不良な応答率を示した(表9を参照されたい)。16人のアリニア(登録商標)処置の失敗例のうち15人は、高いウイルス量、進行した肝臓病、制御されていない真性糖尿病またはB型肝炎ウイルスの同時感染を有していた。したがって、アリニア(登録商標)応答者は、低いウイルス量(<800,000IU/mL)を有する患者として記載することができ、彼らの疾患は、肝硬変に進行せず、制御されていない真性糖尿病またはB型肝炎ウイルスの同時感染はなかった。実薬処置群における2人のウイルス学的応答者は、ペグインターフェロン/リバビリンを用いた処置の前歴があった。1人は、ペグインターフェロン/リバビリンに耐容性を示すことができず、5週間後には治療を中止した。他者は、ペグインターフェロン/リバビリンの48週間の完了後に再発した。
【0112】
【表9】

持続性ウイルス学的応答:7人のウイルス学的応答者は、処置の終了後、少なくとも24週間は追跡調査され、これらの患者のうち5人は、追跡調査で持続性ウイルス学的応答(検出不能な血清HCV RNA)を有していた。持続性ウイルス学的応答の率は、表10の処置群によって示されている。2人の患者は、処置中断中に彼らのウイルス学的応答を維持することができなかった。1人の患者だけが、8週間の処置を完了した。1人の患者は、試験を完了したが、腹痛により薬剤を摂取することに時々応諾しないことについて記録した。これらの2人の患者の各々は、進行した肝臓病(架橋線維症)であった。
【0113】
【表10】

定量的な血清HCV RNA(ウイルス量)における変化:実薬処置群、偽薬処置群、実薬処置群のウイルス学的応答者、および実薬処置群のウイルス学的失敗例の平均の定量的ウイルス量は、表11および図4に示されている。基準から処置の終了までの平均の定量的ウイルス量の減少は、偽薬処置群について観察された偽薬群(0.21±0.98log10IU/mLの減少)と比べて、実薬処置群(1.55±2.34log10IU/mLの減少)に対して有意に大きかった(P=0.0166、t−検定)。実薬処置群について観察された平均のウイルス量におけるこの減少は、ウイルス学的応答者に完全に起因していた。非応答者のウイルス量の変化は、偽薬処置群に対して指摘された変化と比べて有意な違いはなかった。7人のウイルス学的応答者に対する経時的な実際の定量的ウイルス量は、表12および図5に示されている。
【0114】
【表11】

【0115】
【表12】

ALTの変化:基準から処置の終了までのALTの平均的な変化は、2つの処置群については有意な違いはなかった(実薬処置群については−3.9±32、偽薬群については−1.3±42、P=0.82、t検定)。基準から処置の終了までのALTの分類変化は、表13に処置群によって要約されている。実薬処置群における3人のウイルス学的応答者は、基準では正常なALT値を有し、処置の終了で正常を維持していた。基準でALTが上昇した4人のウイルス学的応答者のうち1人は、処置の終了で正常なALTを有し、他の3人のALTは上昇したままであった。持続性ウイルス学的応答を有する5人の患者のうち4人は、24週間の処置中断後でも正常なALTであった。
【0116】
【表13】

定量的HCV RNA値は、1人の患者について24週間で、1人の患者について12週間、16週間、20週間および24週間で欠いていた。これらの患者についての処置データの終了は、利用できる最後のデータ点(前に行った最終の観察)を用いて分析された。処置終結のウイルス学的応答の中間解析は、この試験に登録された最初の21人の患者について行った。この記録の目的のために、複数の分析を説明するための調整は行わなかった。
【0117】
ウイルス学的応答の率は、表14において試験センターによる処置群によって示されている。カイロ試験センターに関する実薬処置群において観察されたより高い応答率は、別の場所で登録された患者の疾患に関連した特徴に起因している。アレクサンドリアおよびタンタでの実薬処置群に登録した9人の患者の各々は、高いウイルス量(>800,000IU/mL)、進行した肝臓病、制御されていない真性糖尿病またはB型肝炎ウイルスの同時感染であった。
【0118】
【表14】

疾患に関連した合併症および試験センターによる実薬処置群についての応答率の要約は表15に示されている。
【0119】
【表15】

有効性の小集団解析を正当化する重大なプロトコール逸脱はなかった。低いウイルス量であり、肝硬変、制御されていない糖尿病またはB型肝炎ウイルスの同時感染がない患者の小集団の分析は、表16に示されている。
【0120】
【表16】

24週間で食物とともに毎日2回、500mgを投与されたアリニア(登録商標)錠剤は、偽薬群の25人の患者のうち0人(0%)であるのと比較して、23人の患者のうち7人(30.4%)においてウイルス学的応答(検出不能な血清HCV RNA)を生じた(P=0.0039)。
【0121】
ウイルス学的応答は、処置の4週間と20週間との間で(第4週で3回、第8週で3回、第20週で1回)起こり、ウイルス学的に解明されることなしに処置の終了を経て維持された。
【0122】
ウイルス学的応答は、処置の終了後、少なくとも24週間でアリニア(登録商標)処置群において23人の患者のうち5人に維持された(P=0.0219)。処置来診の終了後に再発した2人の患者の各々は、進行した肝臓病(架橋線維症)であった。1人は、処置の8週間後に試験から脱落し、他の1人は、試験薬剤を摂取することに時々応諾しないことについて記録した。
【0123】
低いウイルス量は、ウイルス学的応答の最も重要な独立した予測因子であった(P=0.0086)。肝硬変、制御されていない真性糖尿病またはB型肝炎ウイルスの同時感染を有する患者のうち一人も処置に応答しなかった。
【0124】
高いウイルス量、肝硬変、制御されていない糖尿病またはB型肝炎の同時感染である患者は、有効性分析から除外された場合、ウイルス学的応答の率は、実薬処置群について7/10(70%)であり、偽薬群について0/15であった(P=0.0002)。この分析に含まれる3人のアリニア(登録商標)処置の失敗例のうち2人は、架橋線維症を伴う進行した肝臓病であった。
【0125】
これらの結果は、24週間のアリニア(登録商標)の単剤治療は、慢性C型肝炎遺伝子型4を有する患者が低いウイルス量を有し、肝硬変、制御されていない糖尿病またはB型肝炎の同時感染などの他の悪化因子がない場合に、該患者において持続性ウイルス学的応答の達成に有効であることを示す。
【0126】
安全対策は、偽薬の錠剤を受け入れる患者と比較して、アリニア(登録商標)を受け入れる患者において試験された。曝露の程度は、表17に要約されている。3人の患者(2人はアリニア(登録商標)処置群に無作為に選ばれ、1人は偽薬群に無作為に選ばれる)は、いずれかの追跡調査の来診のために戻す前に、この試験から脱落した。これらの患者は、いずれかの薬剤を摂取するかまたはいずれかの有害事象を経験したことについて記録せず、安全分析から除外された。
【0127】
【表17】

16人の患者(アリニア(登録商標)群から11人、偽薬群から5人)は、合計33個の有害事象を記録した。2つの重大な有害事象があった。偽薬群の1人の患者は、重篤な吐血を経験し、アリニア(登録商標)処置群の1人の患者は、中程度の下血を経験した。両事象は、入院を必要としたが、処置を中断することなく解決した。残りの有害事象は、軽度から中程度であり、事実上、一時的であり、処置の変更または中断は必要なかった。有害事象は、実薬処置群については表18、偽薬処置群については表19に、身体の系、標準条件、重症度および因果関係によって示されている。各々の有害事象を記録している患者の比率を処置群によって比較した。2つの処置群によって記録された有害事象の頻度または性質において有意な違いはなかった。
【0128】
【表18】

【0129】
【表19】

経時的な実験室安全パラメータの変化は、連続データに対する相違の繰り返し測定分析、および分類データのためのフィッシャーの正確確率検定を用いた処置群によって分析された。実験室安全パラメータの有意な変化は観察されなかった。
【0130】
安全性に関する懸念は、本試験の過程では確認されなかった。慢性C型肝炎を患っている患者における食物とともに500mgを毎日2回投与されるアリニア(登録商標)錠剤は、安全であり、十分に容認された。アリニア(登録商標)錠剤を用いて処置された患者に関して報告された有害事象は、偽薬を用いて処置された患者によって報告された有害事象と同じであった。
【0131】
この試験では、24週間、食物とともに500mgを毎日2回投与されるアリニア(登録商標)錠剤は、偽薬群の25人の患者のうちゼロ(0%)と比較して、23人の患者のうちの7人(30.4%)において、ウイルス学的応答(検出不能な血清HCV RNA)を生じさせた(P=0.0039)。ウイルス学的応答は、処置の4週間と20週間との間で(第4週で3回、第8週で3回、第20週で1回)起こり、ウイルス学的に解明されることなしに処置の終了を経て維持された。ウイルス学的応答は、処置の終了後、少なくとも24週間で5人の患者に持続された。
【0132】
低いウイルス量は、ウイルス学的応答の最も重要な独立した予測因子であった(P=0.0086)。肝硬変、制御されていない真性糖尿病またはB型肝炎ウイルスの同時感染を有する患者のうち一人も処置に応答しなかった。
【0133】
高いウイルス量、肝硬変、制御されていない糖尿病またはB型肝炎の同時感染である患者は、有効性分析から除外された場合、ウイルス学的応答の率は、実薬処置群について7/10(70%)であり、偽薬群について0/15であった(P=0.0002)。この分析に含まれる3人のアリニア(登録商標)処置の失敗例のうち2人は、架橋線維症を伴う進行した肝臓病であった。
【0134】
これらの結果は、24週間のアリニア(登録商標)の単剤治療は、慢性C型肝炎遺伝子型4を有する患者が低いウイルス量を有し、肝硬変、制御されていない糖尿病またはB型肝炎の同時感染などの他の悪化因子がない場合に、該患者において持続性ウイルス学的応答の達成に有効であることを示す。
【0135】
安全に関する懸念は、本試験の経過において確認されなかった。アリニア(登録商標)処置群の患者に関して報告された有害事象は、偽薬群に対して報告された有害事象と同様であった。偽薬群と比較して、アリニア(登録商標)処置群についての処置の24週間の経過にわたって臨床的実験室値における有意な変化はなかった。
【0136】
実施例6
アリニアおよびペグ化したインターフェロンアルファ−2Bを用いたウイルス性肝炎の処置
36人の患者が、慢性C型肝炎の処置における偽薬+ペグ化したインターフェロンアルファ−2b(PegIFNα−2b)と比較して、アリニア(登録商標)+PegIFNα−2bを用いた併用治療の有効性および安全性を評価するために臨床試験に登録された。患者は、次のように採用された:試験RM01−3027(実施例4を参照されたい)、アリニア(登録商標)の無作為化二重盲検偽薬制御試験の24週間の処置段階の完了に応じて、18人の非応答者は、この臨床試験に参加する機会が提供された。2人の患者は、疾患の進行段階およびペグ化したインターフェロンを用いて処置されるという不本意により、登録を辞退した。16人の患者が、この試験に登録された。これらの患者は、毎週に12回のPegIFNα−2bの注射とともに、それらの盲検化した経口試験薬剤を続けた。処置を受けていない20人の患者は、同時に盲検化した試験薬剤+PegIFNα−2bを開始するためこの試験に対して採用された(同日に最初のPegIFN注射および最初の経口盲検化した薬剤の服用)。患者の振り分けフローチャートについては図6を参照されたい。HCV遺伝型2を有する1人の患者が登録された(前処置された実薬群に無作為化された)。1人の患者は、PegIFNの最初の投与を受け入れた直後に試験から脱落し、いずれの処置後の追跡調査に戻さなかった。1人の患者は、第8週後の追跡調査に戻さなかった。残りの34人の患者の各々は、試験を完了した。治療を割り振られた集団(無作為化された全ての患者)は、初期の有効性分析のために用いられ、脱落者は失敗例として扱った。人口統計学的データおよび疾患に関連した特徴は、表20における処置群に要約されている。
【0137】
【表20】

毎週のペグインターフェロン注射の各々は、医師によって投与された。各試験の来診時には、患者は、経口試験薬剤(アリニアまたは偽薬)の投与の応諾に関して問診された。第1週に試験から脱落した1人の患者、および第12週で評価のために戻さず、非応答者として扱われた別の患者は例外として、患者の各々は、薬剤を摂取することについて応諾したことを記録した。その患者のうち一人も未使用の薬剤を戻さなかった。
【0138】
ウイルス学的応答は、表21における処置群によって要約されている。前処置した実薬群に対する応答率(5/8、63%)は、前処置した偽薬群(P=0.15734)、非前処置実薬群(P=0.08824)、非前処置偽薬群(P=0.31859)、合わせた2つの偽薬群(P=0.16888)、および合わせた3つの他の群(P=0.09102)の応答率よりも高かった。
【0139】
【表21】

ロジスティック回帰分析により、試験された患者(n=36)の全集団に関するウイルス学的応答の有意な独立した予測因子として空腹時の低血糖値が確認された(P=0.0101)。空腹時の血糖値とウイルス学的応答との間の関係は、前処置した実薬群において最も有意であり(P=0.0011)、その中には、制御されていない真性糖尿病を患った3人の患者がいた。
【0140】
ウイルス学的応答と空腹時の血糖値との間に観察された関係を考慮して、有効性分析は、制御されていない真性糖尿病を患っている患者を除外した患者の小集団について繰り返された。この分析の結果を表5に示す。糖尿病でない患者のこの小集団において、前処置した実薬群についての応答率(5/5、100%)は、前処置した偽薬群(P=0.02652)、前処置していない実薬群(P=0.01049)、前処置していない偽薬群(P=0.06294)、合わせた2つの偽薬群(P=0.02270)、および合わせた他の3つの群(P=0.00903)の応答率よりも高かった。表22に分析された糖尿病でない患者の小集団の人口統計学的な特徴および疾患に関連した特徴は、処置群と比較され、これらの群の間には有意差はなかった。
【0141】
【表22】

前処置したアリニア(登録商標)+ペグIFN群におけるウイルス学的応答者の各々は、通常、ペグIFN−リバビリンによる処置の成功の可能性を減少され得る疾患関連悪化因子を有していた。高いウイルス量、進行した肝臓病、および制御されていない糖尿病を有する患者の小集団に関しての応答率は、表23において処置群によって示されている。
【0142】
【表23】

血清HCV RNAにおける2log低下。また、処置の終了で血清HCV RNAにおいて2log低下した全ての患者は、検出不能な血清HCV RNAを有していた。したがって、結果は、表21、22、および23に示されるものと同じである。
【0143】
基準から第12週までのALTの変化は、表24に処置群によって要約されている。
【0144】
【表24】

処置群によるウイルス学的応答は、表25における2つの試験センターの各々について示されている。同じデータが、表26において制御されていない糖尿病でない患者の小集団について示されている。全体の分析では、2つの試験センターについて観察された応答率間に有意差はなかった。小集団の分析では、応答率は、有意に相違しており、これは、2番目の試験センターが偽薬+ペグIFNに応答した2人の患者を有していたためであった。これらの2人の患者は、27歳および30歳の男性であり、低いウイルス量を有し、疾患に関連した悪化状態ではなかった。遺伝子型2を有する、前処置していない実薬群に登録した患者は、無応答者であった。他の重大なプロトコール逸脱はなかった。
【0145】
【表25】

【0146】
【表26】

24週間のアリニア(登録商標)、続く12週間のアリニア+ペグIFNアルファ−2bの投与は、12週間のペグIFNアルファ−2b+偽薬(6/18、33%)、または前処置なしの12週間のアリニア(登録商標)+ペグIFNアルファ−2b(2/10、20%)のいずれかよりも高いウイルス学的応答の率(5/8、63%)を生じさせた。
【0147】
制御されていない真性糖尿病を患っている患者を除外した場合、前処置した実薬群についての率(5/5、100%)は、前処置した偽薬群(2/7、29%、P=0.02652)、前処置していない実薬群(2/9、22%、P=0.01049)、前処置していない偽薬群(4/9、44%、P=0.06294)、合わせた2つの偽薬群(6/16、38%、P=0.02270)および合わせた他の3つの群(8/25、32%、P=0.00903)の率よりも高かった。
【0148】
前処置した実薬処置群における5人のウイルス学的応答者の各々は、典型的には、ペグIFN−リバビリン治療による成功の可能性を減少させ得る疾患関連の合併症を有していた:2人はウイルス量が>800,000IU/mLであり、2人は進行した肝臓病(1人は肝硬変、1人は架橋線維症)、1人はB型肝炎ウイルスの同時感染であった。
【0149】
これらの結果は、ペグIFNを添加する前にアリニア(登録商標)による患者の前処置が、ペグIFNの効果を可能にし、前処置期間なしにペグIFN単独またはアリニア+ペグIFNよりも有意に高い応答の率を生じさることを示している。
【0150】
薬物安全対策は、アリニア(登録商標)+ペグIFNで処置した患者、および偽薬+ペグIFNを受け入れる患者について試験された。曝露の程度は、表27に要約されている。
【0151】
【表27】

4つの軽度の有害事象(AE)が記録され、偽薬処置群の患者については3つ、実薬処置群の患者については1つであった。重大な有害事象はなかった。有害事象には、処置の変更または中断を必要するものはなかった。有害事象は、実薬処置群については表28、偽薬処置群については表29に、身体の系、標準条件、重症度および因果関係によって示されている。各々の有害事象を記録している患者の比率を処置群によって比較した。2つの処置群によって記録された有害事象の頻度または性質において有意差はなかった。死者、重篤なAE、または他の重大なAEは記録されなかった。実験室有害事象は、試験中に記録されなかった。
【0152】
【表28】

【0153】
【表29】

経時的な実験室安全パラメータの変化は、連続データに対する繰り返し測定分散分析、および分類データのためのフィッシャーの正確確率検定を用いた処置群によって分析された。有意差は、2つのパラメータについて観察された:経時的な血小板数は、図7に示されるように、ペグIFN+偽薬を用いて処置された患者に対してよりも、アリニア+ペグIFNを用いて処置された患者に対して高かった(P=0.0138);経時的な絶対的な好中球数は、図8に示されるように、ペグIFN+偽薬を用いて処置された患者に対してよりも、アリニア+ペグIFNを用いて処置された患者に対して高かった(P=0.0205)。
【0154】
血小板数および好中球数に対して記録された値は、第8週〜第12週で増加した。多くの患者は、3〜7日遅く(ペグIFNの最終注射後の10〜14日)回収した患者の第12週の血清試料を有し、患者の血小板数および好中球数は回復し始めた。第12週時点において遅くに回収したデータの効果を除外するために、基準から第8週までのデータを別々に分析した。第12週のデータ点を除外した場合、経時的な血小板数および絶対的な好中球数における差異は、有意なままであった(血小板についてP=0.0044、好中球についてP=0.0101)。
【0155】
経時的な血小板数または好中球数の変化に対するウイルス学的応答またはアリニアによる前処置の効果を評価するための分析を行った。この相違は、ウイルス学的応答およびアリニアによる前処置とは関係がなかった。
【0156】
生命徴候、身体所見、および安全に関する他の観察は、顕著な所見を与えなかった。
【0157】
慢性C型肝炎を患っている患者において、12週間、ペグ化したインターフェロンアルファ−2bの毎週の注射を伴い、食物とともに500mgを1日に2回投与されたアリニア錠剤の投与は、安全であり、十分に許容された。
【0158】
ペグIFNの投与と典型的に関連した血小板数および好中球数の減少は、アリニアを用いて処置された患者において有意に小さかった(それぞれ、P=0.0044および0.0101)。
【0159】
24週間のアリニアの投与、続く12週間のアリニア+ペグIFNアルファ−2bの投与は、12週間のペグIFNアルファ−2b+偽薬(6/18、33%)、または前処置なしの12週間のアリニア+ペグIFNアルファ−2b(2/10、20%)よりも高いウイルス学的応答の率(5/8、63%)を生じさせた。
【0160】
制御されていない真性糖尿病を患っている患者を除外した場合、前処置した実薬群に対する応答の率(5/5、100%)は、前処置した偽薬群(2/7、29%、P=0.02652)、前処置していない実薬群(2/9、22%、P=0.01049)、前処置していない偽薬群(4/9、44%、P=0.06294)、合わせた2つの偽薬群(6/16、38%、P=0.02270)、および合わせた3つの他の群(8/25、32%、P=0.00903)の応答の率よりも高かった。
【0161】
前処置した実薬処置群における5人のウイルス学的応答者の各々は、ペグIFN−リバビリン治療での成功の可能性を典型的には減少させ得る疾患に関連した合併症があった:2人はウイルス量>800,000IU/mL、2人は進行した肝臓病(1人は肝硬変、1人は架橋線維症)、1人はB型肝炎ウイルスの同時感染であった。
【0162】
慢性C型肝炎を患っている患者におけるペグIFNアルファ−2bの投与を伴うアリニアの投与は安全であり、十分に許容された。安全に関する懸念は確認されなかった。
【0163】
ペグIFNの投与と典型的に関連した血小板数および好中球数の減少は、アリニアを用いて処置した患者において有意に小さかった(それぞれ、P=0.0044および0.0101)。
【0164】
これらの結果は、ペグIFNを添加する前にアリニアを用いた患者の前処置がペグIFNの効果を可能にし、前処置期間なしにペグIFN単独またはアリニア+ペグIFNよりも有意に高い応答の率を与えることを示している。アリニアの併用投与は、ペグIFNの血液学的毒性をさらに減少させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−70566(P2010−70566A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293398(P2009−293398)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【分割の表示】特願2008−549616(P2008−549616)の分割
【原出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(507337865)ロマーク ラボラトリーズ エル.シー. (6)
【Fターム(参考)】