説明

ウイルス複製の阻害剤である4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体

本発明は、式Iの4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチドおよびその環状類似体、ならびにその薬学的に許容される塩を提供する。変数は、本明細書に定義されている。式Iの化合物は、抗ウイルス剤として有用である。本明細書に開示されている4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体は、ウイルス複製、特にC型肝炎ウイルス複製の強力なおよび/または選択的な阻害剤である。本発明はまた、1つ以上の4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体および1つ以上の薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物も提供する。かかる医薬組成物は、4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体を唯一の活性剤として含有する、または4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体および1つ以上の他の薬学的に活性な薬剤を含有する。本発明はまた、患者においてC型肝炎感染症を含むウイルス感染症を治療する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス剤として有用な4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体を提供する。本明細書に開示されている特定の4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体は、ウイルス複製、特にC型肝炎ウイルス複製の強力なおよび/または選択的な阻害剤である。本発明はまた、1つ以上の4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体および1つ以上の薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物も提供する。かかる医薬組成物は、4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体を唯一の活性剤として含有することができ、または4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体および1つ以上の他の薬学的に活性な薬剤の組合せを含有することができる。本発明はまた、C型肝炎感染症を含むウイルス感染症を治療する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、共にその全体を本願に引用して援用する2008年12月10日出願の米国仮出願第61/121,378号および2009年7月17日出願の第61/226,323号の優先権を主張する。
【0003】
世界人口の推定3%が、C型肝炎ウイルスに感染している。HCVに曝露された人のうち、80%から85%が慢性的に感染し、少なくとも30%が肝硬変を発症し、1〜4%が肝細胞癌を発症する。C型肝炎ウイルス(HCV)は、米国では慢性肝疾患の最も一般的な原因の1つであり、急性ウイルス肝炎の約15パーセント、慢性肝炎の60から70パーセント、肝硬変、末期肝疾患および肝臓癌の50パーセントまでを占めると報告されている。慢性HCV感染症は、米国、オーストラリア、および欧州の大部分において、肝移植の最も一般的な原因となっている。C型肝炎は、米国では毎年、推定10,000人から12,000人の死亡を引き起こす。HCV感染症の急性期は、通常は軽度の症候を伴うが、いくつかの証拠によれば、感染した人の約15%から20%しかHCVを自然には除去しないことが示唆されている。
【0004】
HCVは、約9.6kbのプラス鎖ゲノムを含有する、エンベロープのある一本鎖RNAウイルスである。HCVは、フラビウイルス科のヘパシウイルス属の一員として分類されている。HCVの少なくとも4つの株GT−1〜GT−4が特徴付けられている。
【0005】
HCVのライフサイクルは、宿主細胞への侵入;HCVゲノムの翻訳、ポリタンパク質プロセシング、およびレプリカーゼ複合体アセンブリ;RNA複製、およびビリオンアセンブリおよび放出を含む。HCV RNAゲノムの翻訳は、少なくとも2つの細胞プロテアーゼおよび2つのウイルスプロテアーゼによってプロセシングされる3000を超えるアミノ酸長のポリタンパク質をもたらす。HCVポリタンパク質は、
NH2−C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B−COOH
である。
【0006】
細胞シグナルペプチダーゼおよびシグナルペプチドペプチダーゼは、非構造タンパク質(NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B)から、ポリタンパク質のN末端側の3分の1(C−E1−E2−p7)を切断することに関与すると報告されている。NS2−NS3プロテアーゼは、NS2−NS3部位における最初のcis切断を媒介する。次いでNS3−NS4Aプロテアーゼが、NS3−NS4A接合点における第2のcis切断を媒介する。次いでNS3−NS4A複合体が、3箇所の下流部位で開裂して、残りの非構造タンパク質を分離する。ポリタンパク質の正確なプロセシングは、活性なHCVレプリカーゼ複合体を形成するために不可欠であると主張されている。
【0007】
ポリタンパク質が切断されると、少なくともNS3−NS5B非構造タンパク質を含むレプリカーゼ複合体が集合する。レプリカーゼ複合体は細胞質性であり、膜結合性である。レプリカーゼ複合体における主な酵素活性には、NS3におけるセリンプロテアーゼ活性およびNTPaseヘリカーゼ活性、ならびにNS5BのRNA依存性RNAポリメラーゼ活性が含まれる。RNA複製過程では、ゲノムRNAの相補的なマイナス鎖コピーが産生される。マイナス鎖コピーは、鋳型として使用されて追加のプラス鎖ゲノムのRNAを合成し、これらのプラス鎖ゲノムRNAは、子孫ウイルスを産生するための翻訳、複製、パッケージングまたはそれらの任意の組合せに関与し得る。機能性レプリカーゼ複合体の集合は、HCV複製機構の成分として説明されている。2005年4月11日出願の米国仮特許出願第60/669,872号「Pharmaceutical Compositions and Methods of Inhibiting HCV Replication」を、レプリカーゼ複合体の集合に関するその開示に関して、その全体を本願に引用して援用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
C型肝炎感染症の現在の治療は、一般に、ペグ化インターフェロン(IFN)などのインターフェロンとリバビリンとの併用投与を含む。持続性ウイルス陰性化(SVR)によって測定される、現在の療法の成功は、患者が感染しているHCV株および患者の治療計画への順守に依存する。HCV株のGT−1に感染している患者の50%しか、持続性ウイルス陰性化を示さない。慢性HCVの治療のために、ACH−806、VX−950およびNM283(NM107のプロドラッグ)などの直接作用性抗ウイルス剤が、臨床開発中である。特定のHCV株の治療のための有効な療法がないこと、およびHCVの高い変異率により、新しい療法が必要とされている。本発明は、この必要を満たし、本明細書に記載のさらなる利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式I(以下に示す)の化合物を提供し、4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチドおよびその環状類似体を含む。本明細書に開示されている式Iの4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチドおよびその環状類似体は、抗ウイルス活性を有する。本発明は、C型肝炎ウイルス複製の強力なおよび/または選択的な阻害剤である式Iの化合物を提供する。本発明はまた、1つ以上の式Iの化合物、またはかかる化合物の塩、溶媒和物もしくはアシル化プロドラッグ、および1つ以上の薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明はさらに、疾患または障害の徴候または症候を低減するのに有効な量の式Iの化合物を、特定の伝染病に罹患している患者に提供することによってかかる患者を治療する方法を含む。これらの伝染病には、ウイルス感染症、特にHCV感染症が含まれる。本発明は特に、感染症に罹患しているヒト患者を治療する方法を含み、感染症に罹患している家畜およびペット動物を含む他の動物を治療する方法も包含する。
【0011】
治療方法は、式Iの化合物を単一の活性剤として提供すること、または式Iの化合物を1つ以上の他の治療剤と組み合わせて提供することを含む。
【0012】
したがって第一の態様では、本発明は、式Iの化合物、薬学的に許容されるその塩を含む。
【化1】


(式I)
式Iでは、
【化2】


は、二重共有結合または単共有結合を表し、基
【化3】


は、0個または1個の二重結合を含有する。
Rは、−COOHまたはC〜Cアルキルエステルであり、または
Rは、式−NRの基であり、RおよびRは、以下の条件を満たす。
(i)RおよびRは、一緒になって、N、SおよびOから選択される0個から2個の追加のヘテロ原子を含有する4員から7員の複素環式環を形成し、この環は、N、SおよびOから独立に選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する5員から6員の複素環式環、または5員から6員の炭素環式環と任意選択により縮合して、任意選択により置換されている二環式環系を形成し、
(ii)RおよびRは、一緒になって、0個、1個または2個の追加のN、SまたはO原子を含有する任意選択により置換されている5員から9員の架橋複素環式環、または任意選択により置換されている5員から7員の炭素環式または複素環式環と縮合している、0個または1個の追加のN、SまたはO原子を含有する任意選択により置換されている5員から7員の複素環式環を形成して、架橋されている二環式環系を形成し、
(iii)RおよびRは、一緒になって、任意選択により置換されている5員から9員の架橋炭素環式または複素環式環と縮合している、0個または1個の追加のN、SまたはO原子を含有する任意選択により置換されている4員から7員の複素環式環を形成し、
(iv)RおよびRは、一緒になって、0個、1個または2個の追加のヘテロ原子がN、OおよびSから独立に選択され、残りの環原子が炭素である合計6個から12個の環原子をスピロ配向性の環が有する、任意選択により置換されている二環式系を形成し、または
(v)Rは、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−NR1011、−(C=O)NR1011、−(C=S)NR1011、−(C=O)R12、−SO12、−(C=O)OR12、−O(C=O)R12、−OR12または−N(C=O)R12であり、
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたは(アリール)C〜Cアルキルであり、
(vi)Rは、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり、Rは水素であり、あるいは
、RおよびRは、独立に、
(a)水素、ハロゲンまたはアミノであり、または
(b)C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、あるいはモノまたはジC〜Cアルキルアミノであり、そのそれぞれは任意選択により置換されている。
あるいはRおよびRは、連結されて、任意選択により置換されている3員から7員のシクロアルキル環、またはN、SおよびOから独立に選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する任意選択により置換されている3員から7員のヘテロシクロアルキル環を形成していてもよい。
は、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
Dは、(i)メチレンまたはメチン基であるRと共有結合している、RのC〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であり、またはDは、(ii)連結されて3員から7員の任意選択により置換されているシクロアルキル環を形成しているRおよびRによって形成された任意選択により置換されているシクロアルキル環と共有結合している、RのC〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖である。
Tは、式
【化4】


の基であり、式中、Rは、以下の1つである。
は、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−SR12、−NR10(S=O)R11、−NR10SO11、−NR10SONR1112、−NR10SONR1112、−(C=O)OR10、−NR10(C=O)OR11または−CONR1011であり、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)CHSO−、(C〜Cシクロアルキル)CHSONR10−、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキルまたは(5員から10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは任意選択により置換されており、
は、式
【化5】


のホスホネートであり、式中、pは、0、1または2であり、
は、−C〜CアルキルXRであり、ここでXは、−(C=O)NH−、−NH(C=O)−であり、Rは、アリールまたはヘテロアリールであり、または
は、−CH(R)(C〜Cシクロアルキル)、−SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)または−NR10SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)であり、ここでRは、ハロゲンであり、またはRは、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルコキシ、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(5員から10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは任意選択により置換されている。
10、R11およびR12は、存在するごとに独立に、水素またはトリフルオロメチルであり、またはC〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(アリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(5員から10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは任意選択により置換されている。
13は、水素またはC〜Cアルキルである。
14およびR15は、独立に、水素、ヒドロキシルまたはC〜Cアルキルである。
nは、0、1または2である。
Mは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシである。
Yは存在しないか、CR1819、NR20、S、O、−O(C=O)(NR20)−、NH(C=O)(NR20)−、−NH(S=O)(NR20)−、−(NR20)(C=O)−または−O(C=O)−であり、あるいはYは、J、LまたはMの1つと一緒になって環を形成する。
JはCHであり、あるいはJはYと一緒になって、3員から7員の炭素環式環または複素環式環を形成し、この環は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0個または1個以上の置換基で置換されており、JがYと一緒になって環を形成する場合、Zは存在しなくてもよい。
LはCHであり、あるいはLはYと一緒になって、3員から7員の炭素環式環または複素環式環を形成し、この環は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから独立に選択される0個または1個以上の置換基で置換されており、LがYと一緒になって環を形成する場合、Zは存在しなくてもよい。
Zは、(一、二または三環式アリール)C〜Cアルキルまたは(一、二または三環式ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、このZのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、−SONR1112、−(C=O)NR1112、−NR11(C=O)R12、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0個または1個以上の置換基、および0個または1個の(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5員または6員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5員または6員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5員または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または9員または10員の二環式ヘテロアリールで置換されており、そのそれぞれは以下の、
(c)ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、=NOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−C(O)OR11、−NRCOR11、−NRC(O)OR11、トリフルオロメチルならびにトリフルオロメトキシ、ならびに
(d)そのそれぞれが、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシの0個または1個以上で置換されているフェニルおよび5員または6員のヘテロアリール
から独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されている。
16は、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0個から4個の置換基を表す。
18およびR19は、独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシであり、
20は、水素、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである。
【0013】
本発明は特に、以下の条件の1つを満たす式Iの化合物を含む。
【0014】
(1)RおよびRは、連結されて、0個または1個の追加のN、SまたはO原子を含有する置換されている4員の複素環式環、または任意選択により置換されている5員から7員の炭素環式環または複素環式環と縮合している0個または1個の追加のN、SまたはO原子を含有する任意選択により置換されている4員の複素環式環を形成する。
【0015】
(2)Zは、(三環式アリール)C〜Cアルキルまたは(三環式ヘテロアリール)C〜Cアルキルである。
【0016】
(3)RおよびRは、一緒になって、0個、1個または2個の追加のN、SまたはO原子を含有する任意選択により置換されている5員から9員の架橋複素環式環、または任意選択により置換されている5員から7員の炭素環式環または複素環式環と縮合している0個または1個の追加のN、SまたはO原子を含有する任意選択により置換されている5員から7員の複素環式環を形成して、縮合されている二環式環系を形成し、またはRおよびRは、一緒になって、任意選択により置換されている5員から9員の架橋炭素環式環または複素環式環と縮合している0個または1個の追加のN、SまたはO原子を含有する任意選択により置換されている4員から7員の複素環式環を形成する。
【0017】
または、
(4)−(NR20)(C=O)−である。
【0018】
本明細書に開示されている式Iの特定の化合物は、以下の実施例6に記載のHCVレプリコンアッセイなどのHCV複製アッセイにおいて良好な活性を示す。好ましい式Iの化合物は、HCVレプリコン複製アッセイにおいて、約40マイクロモル以下のEC50、またはより好ましくは約10マイクロモル以下のEC50、またはさらにより好ましくは約5ナノモル以下のEC50を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<化学的説明および用語法>
本発明を詳細に記載する前に、本明細書で使用される特定の用語の定義を提示することが有用となり得る。本発明の化合物は、標準の命名法を使用して記載される。別段定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の技術者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。状況によって明確に禁忌とされない限り、各化合物名は、該化合物の遊離酸または遊離塩基に加えて、該化合物の水和物および該化合物のすべての薬学的に許容される塩を含む。
【0020】
用語「4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド環状類似体」は、式Iを満たすすべての化合物の任意のエナンチオマ、ラセミ体および立体異性体、ならびにすべての薬学的に許容される塩を含む、かかるすべての化合物を包含する。「式Iの化合物」という句は、この句が使用される状況によって明確に禁忌とされない限り、式IAならびに式IIからVIIを含む式Iのすべての下位一般式群、ならびに塩および水和物を含むかかる化合物のすべての形態を含む。
【0021】
用語「a」および「an」は、量の制限を示すものではなく、言及した事項の少なくとも1つの存在を示す。用語「含む」、「有する」、「含まれる」および「含有する」は、制限のない用語(すなわち、「を含むがそれに限定されるものではない」を意味する)と解釈されるべきである。値の範囲の記載は、本明細書で別段指定されない限り、単にその範囲内に含まれるそれぞれ別個の値に個々に言及する省略法として役割を果たすことを企図し、それぞれ別個の値は、それらがあたかも本明細書に個々に記載されるように本明細書に組み込まれる。すべての範囲の端点は、その範囲に含まれ、独立に組み合わせることができる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書で別段指定されず、または状況によって別段明らかに矛盾しない限り、適切な順で実施することができる。任意かつすべての例または例示的な用語(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより十分に例示することを企図し、別段特許請求されていない限り本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中の用語はすべて、本明細書で使用する本発明の実施に必須のものとして、特許請求されていない任意の要素を示すと解釈されるべきではない。別段定義されない限り、本明細書で使用する技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の技術者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。
【0022】
「活性剤」は、単独で、または別の化合物、要素もしくは混合物と組み合わせて患者に投与された場合に、患者に対して直接的または間接的に生理作用を付与する化合物(本発明の化合物を含む)、要素または混合物を意味する。間接的な生理作用は、代謝産物または他の間接的な機構を介して生じ得る。活性剤が化合物である場合には、該遊離化合物の塩、溶媒和物(水和物を含む)、該化合物の結晶形、非晶質形および任意の多形が含まれる。化合物は、不斉中心、不斉軸等、例えば不斉炭素原子などの1つ以上の不斉要素を含有することができ、したがって化合物は様々な立体異性体で存在することができる。これらの化合物は、例えば、ラセミ体または光学的に活性な形態であってもよい。2つ以上の不斉要素を有する化合物に関して、これらの化合物はさらに、ジアステレオマの混合物であってよい。不斉中心を有する化合物に関して、すべての純粋形態の光学異性体およびその混合物が包含される。さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物は、化合物のすべての異性体形態により、Z−およびE−形態で生じることができる。こうした場合、単一のエナンチオマ、すなわち光学的に活性な形態は、不斉合成、光学的に純粋な前駆体からの合成、またはラセミ体の分割によって得ることができる。ラセミ体の分割は、例えば分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを使用するクロマトグラフィなどの従来の方法によって達成することもできる。それらを得るために使用する方法にかかわらず、すべての形態が本明細書において企図される。
【0023】
2つの文字または記号の間にはないダッシュ(「−」)は、置換基の結合点を示すために使用される。例えば、−(CH)C〜Cシクロアルキルは、メチレン(CH)基の炭素を介して結合している。
【0024】
「アルカノイル」は、ケト(−(C=O)−)架橋を介して結合している、本明細書に定義のアルキル基を示す。アルカノイル基は、示されている数の炭素原子を有し、ケト基の炭素は、その数の炭素原子に含まれる。例えばCアルカノイル基は、式CH(C=O)−を有するアセチル基である。
【0025】
実線および点線の組合せ、すなわち
【化6】


によって表される結合は、単結合または二重結合のいずれかであり得る。
【0026】
「アルキル」は、特定数の炭素原子、一般に1個から約12個の炭素原子を有する分岐または直鎖の飽和脂肪族炭化水素基である。用語C〜Cアルキルは、本明細書で使用される場合、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。他の実施形態は、1個から8個の炭素原子、1個から4個の炭素原子、あるいは1個または2個の炭素原子を有するアルキル基、例えばC〜Cアルキル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルキルを含む。C〜Cアルキルが、本明細書で別の基と併用される場合、例えば(アリール)C〜Cアルキルの場合、指示された基、この場合アリールは、共有単結合によって直接結合しているか(C)、あるいは特定数の炭素原子、この場合1、2、3または4個の炭素原子を有するアルキル鎖によって結合している。C〜Cアルキルは、ヘテロアリール、アリール、フェニル、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキル、例えば、(5員から10員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルおよび(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルと併用される。アルキルの例には、それに限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、3−メチルブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびsec−ペンチルが含まれる。
【0027】
「アルケニル」は、鎖に沿った任意の安定な点において存在し得る1つ以上の不飽和炭素−炭素二重結合を含む、直鎖または分岐の炭化水素鎖を示す。本明細書に記載のアルケニル基は、示されている数の炭素原子を有する。例えばC〜Cアルケニルは、2、3、4、5または6個の炭素原子のアルケニル基を示す。炭素原子の数が示されていない場合、本明細書に記載のアルケニル基は、一般に2個から約12個の炭素原子を有する。特定の実施形態では、8個以下の炭素原子を有する低級アルケニル基が好ましい。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニルおよびブテニル基が含まれる。
【0028】
「アルコキシ」は、酸素架橋(−O−)を介して結合している示されている数の炭素原子を有する、先に定義のアルキル基を示す。アルコキシの例には、それに限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソオキシ、2−ヘキソオキシ、3−ヘキソオキシおよび3−メチルペントキシが含まれる。「C〜Cアルコキシ」が、別の基と使用される場合、例えば(ヘテロアリール)C〜Cアルコキシでは、指示された基、この場合ヘテロアリールは、共有結合した酸素架橋を介して結合しているか(Cアルコキシ)、あるいは特定数の炭素原子、この場合1個から約4個の炭素原子を有するアルコキシ基によって結合しており、アルコキシ基は、アルコキシの酸素原子を介してそれが置換している基と共有結合している。
【0029】
「モノおよび/またはジアルキルカルバメート」は、式(アルキル)−O(C=O)NH−および(アルキル)−O(C=O)N(アルキル)−の基を示し、アルキルおよびアルキル基は、示されている数の炭素原子を有する、先に定義の独立に選択されたアルキル基である。
【0030】
用語「アルキルエステル」は、エステル結合を介して結合している本明細書に定義のアルキル基を示す。エステル結合は、例えば式−O(C=O)アルキルの基または式−(C=O)O−アルキルの基のいずれの配向性であってもよい。
【0031】
「アルキルオキシム」は、式−C=N−O−アルキルの基であり、ここでアルキル基は、示されている数の炭素原子を有する本明細書に定義のアルキル基である。
【0032】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−SO−であり、「アルキルチオ」は、アルキル−S−であり、ここでアルキル基は、示されている数の炭素原子を有する本明細書に定義のアルキル基である。アルキルスルホニルまたはアルキルチオ置換基の結合点は、硫黄原子上にある。
【0033】
「アリール」は、1つ以上の芳香族環において炭素のみを含有する芳香族基を示す。かかる芳香族基は、炭素または非炭素原子または基でさらに置換されていてもよい。一般的なアリール基は、1個または2個の別個の環、縮合環またはペンダント環および6個から約12個の環原子を含有し、環員としてヘテロ原子を含まない。指示されている場合、アリール基は置換されていてもよい。かかる置換には、任意選択によりN、OおよびSから独立に選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する5員から7員の飽和環式基と縮合して、例えば3,4−メチレンジオキシ−フェニル基を形成するものが含まれ得る。アリール基には、例えばフェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチルを含むナフチル、ならびにビフェニルが含まれる。
【0034】
用語「(アリール)アルキル」では、アリールおよびアルキルは先に定義の通りであり、結合点はアルキル基上にある。「(アリール)C〜Cアルキル」は、共有単結合を介して直接結合している(アリール)Cアルキルか、または1個から約4個の炭素原子を有するアルキル基を介して結合しているアリール基を示す。(アリール)アルキル基の例には、ピペロニルならびにベンジルおよびフェニルエチルなどの(フェニル)アルキル基が含まれる。同様に、用語「(アリール)C〜Cアルコキシ」は、酸素架橋を介してそれが置換している分子と直接結合しているアリール基、例えば(アリール)Cアルコキシ、または1個から4個の炭素原子を有するアルコキシ基と共有結合しているアリール基を示す。
【0035】
「架橋されている」基とは、典型的にには飽和している環基であり、そのうち2つの隣接していない環原子は、同じ連結基と共有結合している。連結基は、メチレン、エチレンまたは酸素原子である。架橋されている基の例には、
【化7】


が含まれる。
【0036】
「炭素環式環」は、示されている数の炭素環原子を有し、炭素環原子のみを有する、飽和、不飽和または芳香族環基である。
【0037】
「シクロアルキル」は、特定数の炭素原子を有する飽和炭化水素環基である。単環式シクロアルキル基は一般に、3個から約8個の炭素環原子、または3個から7個(3、4、5、6または7個)の炭素環原子を有する。シクロアルキル置換基は、置換されている窒素または炭素原子のペンダントであってもよく、あるいは2つの置換基を有することができる置換されている炭素原子は、スピロ基として結合しているシクロアルキル基を有することができる。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル、ならびにノルボルナンまたはアダマンタンなどの架橋されたまたはケージ化された飽和環基が含まれる。同様に「シクロアルケニル」は、示されている数の炭素原子、および環炭素原子間に少なくとも炭素−炭素二重結合を有する炭化水素環基である。
【0038】
用語「(シクロアルキル)C〜Cアルキル」は、シクロアルキルおよびアルキルが本明細書で定義の通りである置換基を示し、(シクロアルキル)アルキル基とそれが置換している分子との結合点は、共有単結合、すなわち(Cアルキル)であってよく、またはアルキル基上にあってもよい。(シクロアルキル)アルキルは、それに限定されるものではないが、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチルおよびシクロヘキシルメチルを包含する。
【0039】
「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン原子から、許容される最大数のハロゲン原子で置換されている、特定数の炭素原子を有する分岐および直鎖両方のアルキル基を示す。ハロアルキルの例には、それに限定されるものではないが、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2−フルオロエチルおよびペンタ−フルオロエチルが含まれる。
【0040】
「ハロアルコキシ」は、酸素架橋(アルコール基の酸素)を介して結合している、本明細書に定義のハロアルキル基を示す。
【0041】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードのいずれかを示す。
【0042】
「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される1個から3個、またはいくつかの実施形態では1個から2個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、示されている数の環原子を有する安定な単環式芳香族環、あるいはN、OおよびSから選択される1個から3個、またはいくつかの実施形態では1個から2個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、少なくとも1つの5員から7員の芳香族環を含有する安定な二環式または三環式系を示す。単環式ヘテロアリール基は、一般に、5個から7個の環原子を有する。いくつかの実施形態では、二環式ヘテロアリール基は、9員から10員のヘテロアリール基、すなわち9個または10個の環原子を含有する基であり、その1個の5員から7員の芳香族環は、第2の芳香族または非芳香族環と縮合している。ヘテロアリール基中のSおよびO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接していない。ヘテロアリール基中のSおよびO原子の総数が、2を超えないことが好ましい。芳香族複素環中のSおよびO原子の総数が1を超えないことが特に好ましい。ヘテロアリール基の例には、それに限定されるものではないが、オキサゾリル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル(pyridizinyl)、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニルピラゾリル、チオフェニル、トリアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサジアゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、フラニル、イミダゾリル、インドリルおよびイソオキサゾリルが含まれる。
【0043】
「複素環式環」は、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である少なくとも1つの環を有する、飽和、不飽和または芳香族環基である。
【0044】
複素環式環の例には、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、フラタジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキザゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、イサチノイルおよびビス−テトラヒドロフラニルが含まれる。
【0045】
例えば、それに限定されるものではないが、炭素と結合した複素環式環は、ピリジンの2、3、4、5または6位、ピリダジンの3、4、5または6位、ピリミジンの2、4、5または6位、ピラジンの2、3、5または6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールまたはテトラヒドロピロールの2、3、4または5位、オキサゾール、イミダゾールまたはチアゾールの2、4または5位、イソオキサゾール、ピラゾールまたはイソチアゾールの3、4または5位、アジリジンの2または3位、アゼチジンの2、3または4位、キノリンの2、3、4、5、6、7または8位、あるいはイソキノリンの1、3、4、5、6、7または8位で結合している。炭素と結合した複素環式環には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリルまたは5−チアゾリルが含まれる。
【0046】
例えば、それに限定されるものではないが、窒素と結合した複素環式環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドールまたはイソインドリンの2位、モルホリンの4位、およびカルバゾールまたはβ−カルボリンの9位で結合している。窒素と結合した複素環には、1−アジリジル、1−アゼチジル(azetedyl)、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリルおよび1−ピペリジニルが含まれる。
【0047】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、示されている数の環原子を有し、N、OおよびSから選択される1個から約3個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である飽和単環式基、あるいは少なくとも1つのN、OまたはS環原子を有し、残りの原子が炭素である飽和二環式環系を示す。単環式ヘテロシクロアルキル基は、通常4個から約8個の環原子を有する。いくつかの実施形態では、単環式ヘテロシクロアルキル基は、5個から7個の環原子を有する。二環式ヘテロシクロアルキル基は、一般に、約5個から約12個の環原子を有する。ヘテロシクロアルキル基の例には、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニルおよびピロリジニル基が含まれる。
【0048】
用語「(ヘテロシクロアルキル)アルキル」は、ヘテロシクロアルキルおよびアルキルが本明細書で定義の通りの飽和置換基を示し、(ヘテロシクロアルキル)アルキル基とそれが置換している分子との結合点は、アルキル基上にある。この用語は、それに限定されるものではないが、ピペリジルメチル、ピペラジニルメチルおよびピロリジニルメチルを包含する。
【0049】
用語「モノおよび/またはジアルキルアミノ」は、第二級または第三級アルキルアミノ基を示し、そのアルキル基は、示されている数の炭素原子を有する本明細書に定義の独立に選択されたアルキル基である。アルキルアミノ基の結合点は、窒素上にある。モノおよびジアルキルアミノ基の例には、エチルアミノ、ジメチルアミノおよびメチル−プロピル−アミノが含まれる。
【0050】
「モノおよび/またはジアルキルカルボキサミド」は、式(アルキル)−NH−(C=O)−のモノアルキルカルボキサミド基または式(アルキル)(アルキル)−N−(C=O)−のジアルキルカルボキサミド基を示し、モノまたはジアルキルカルボキサミド置換基とそれが置換している分子との結合点は、カルボニル基の炭素上にある。用語「モノおよび/またはジアルキルカルボキサミド」はまた、式(アルキル)(C=O)NH−および(アルキル)(C=O)(アルキル)N−の基を含み、結合点は窒素原子である。基アルキルおよびアルキルは、示されている数の炭素原子を有する独立に選択されたアルキル基である。同様に、用語「モノおよび/またはジアルキルスルホンアミド」は、式(アルキル)SONH−および(アルキル)NHSO−のモノアルキル基ならびに式(アルキル)SO(アルキル)N−および(アルキル)N(アルキル)SO−のジアルキル基を示す。
【0051】
「オキソ」は、ケト基(C=O)を意味する。非芳香族炭素原子の置換基であるオキソ基は、−CH−から−C(=O)−への変換をもたらす。芳香族炭素原子の置換基であるオキソ基は、−CH−から−C(=O)−への変換をもたらし、芳香族性を喪失させる。
【0052】
用語「置換されている」は、本明細書で使用される場合、指定の原子または基上の任意の1つ以上の水素が、指示された基から選択されるもので置き換えられていることを意味し、但し、その指定の原子の通常の価数を超えないものとする。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、原子上の2個の水素が置き換えられている。オキソ基が芳香族部分を置換している場合、対応する部分的に不飽和の環が芳香族環を置き換えている。例えば、オキソによって置換されているピリジル基は、ピリドンである。置換基および/または変数の組合せは、かかる組合せが安定な化合物または有用な合成中間体をもたらす場合にのみ許容される。安定な化合物または安定な構造は、反応混合物からの単離、およびその後の有効な治療剤への製剤化に耐えるのに十分強い化合物を意味する。別段特定されない限り、置換基はそのコア構造の中に命名される。例えば、(シクロアルキル)アルキルが可能な置換基として列挙されている場合、この置換基とコア構造の結合点は、アルキル部分にあることを理解されたい。
【0053】
「置換されている」位置上に存在し得る適切な基には、それに限定されるものではないが、例えば、ハロゲン;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アルカノイル(アシルなどのC〜Cアルカノイル基など);カルボキサミド;1個から約8個の炭素原子または1個から約6個の炭素原子を有するアルキル基(シクロアルキル基を含む);1つ以上の不飽和結合および2個から約8個または2個から約6個の炭素原子を有する基を含む、アルケニルおよびアルキニル基;1つ以上の酸素結合および1個から約8個または1個から約6個の炭素原子を有するアルコキシ基;フェノキシなどのアリールオキシ;1つ以上のチオエーテル結合および1個から約8個の炭素原子または1個から約6個の炭素原子を有する基を含むアルキルチオ基;1つ以上のスルフィニル結合および1個から約8個の炭素原子または1個から約6個の炭素原子を有する基を含むアルキルスルフィニル基;1つ以上のスルホニル結合および1個から約8個の炭素原子または1個から約6個の炭素原子を有する基を含むアルキルスルホニル基;1つ以上のN原子および1個から約8個または1個から約6個の炭素原子を有する基を含むアミノアルキル基;6個以上の炭素および1つ以上の環を有するアリール(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル等、各環は、置換または非置換芳香族のいずれか);1個から3個の別個の環または縮合環および6個から約18個の環炭素原子を有するアリールアルキル(ベンジルは例示的なアリールアルキル基である);1個から3個の別個の環または縮合環および6個から約18個の環炭素原子を有するアリールアルコキシ(ベンジルオキシは例示的なアリールアルコキシ基である);あるいは環1個当たり3員から約8員の、1個から3個の別個の環または縮合環および1つ以上のN、OまたはS原子を有する飽和、不飽和または芳香族複素環式基、例えばクマリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニルおよびピロリジニルが含まれる。かかる複素環式基は、例えばヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロゲンおよびアミノでさらに置換されていてもよい。
【0054】
「剤形」は、活性剤の投与単位を意味する。剤形の例には、錠剤、カプセル剤、注射、懸濁剤、液剤、乳剤、クリーム剤、軟膏、坐剤、吸入形態、経皮形態等が含まれる。
【0055】
「医薬組成物」は、式Iの化合物または塩などの少なくとも1つの活性剤および担体などの少なくとも1つの他の物質を含む組成物である。医薬組成物は、ヒトまたは非ヒト用薬物に関する米国FDAのGMP(優良製造規範)標準を満たす。
【0056】
「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、その有機および無機の非毒性の酸または塩基付加塩を生成することによって変形する、開示の化合物の誘導体を含む。本発明の化合物の塩は、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から、従来の化学的方法によって合成することができる。一般に、かかる塩は、これらの化合物の遊離酸形態を化学量論量の適切な塩基(水酸化、炭酸、重炭酸Na、Ca、MgまたはKなど)と反応させることによって、またはこれらの化合物の遊離塩基形態を化学量論量の適切な酸と反応させることによって調製することができる。かかる反応は、一般に水または有機溶媒中で、あるいはその2つの混合物中で実施される。一般に、実行可能な場合には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。本発明の化合物の塩はさらに、化合物および化合物塩の溶媒和物を含む。
【0057】
薬学的に許容される塩の例には、それに限定されるものではないが、アミンなどの塩基性残基の無機または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩等が含まれる。薬学的に許容される塩には、従来の非毒性の塩、および例えば非毒性の無機または有機酸から形成される親化合物の第4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、従来の非毒性の酸塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸由来の塩;ならびに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸(esylic)、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH−COOH(nは0〜4)などの有機酸から調製される塩が含まれる。追加の適切な塩の一覧は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1418頁(1985年)に見ることができる。
【0058】
本発明の医薬組成物に適用される用語「担体」は、活性な化合物を提供するための賦形剤、添加剤またはビヒクルを指す。添加剤は、一般に安全な非毒性の、生物学的にもその他においても望ましい医薬組成物を調製するために薬物に添加される任意の不活性な物質である。獣医学的使用ならびにヒトの製薬学的使用に許容される添加剤が好ましい。
【0059】
「患者」は、医学的治療を必要とするヒトまたは非ヒト動物である。医学的治療は、疾患または障害などの既存の状態の治療、予防的または防止的治療、あるいは診断治療を含み得る。いくつかの実施形態では、患者はヒト患者である。
【0060】
「提供する」とは、与える、投与する、販売する、配布する、運搬する(営利または非営利目的で)、製造する、組み合わせるまたは調剤することを意味する。
【0061】
「式Iの化合物と少なくとも1つの追加の活性剤を提供する」とは、式Iの化合物および追加の活性剤(複数可)が、単一剤形で同時に提供され、別々の剤形で同時に提供され、または式Iの化合物と少なくとも1つの追加の活性剤の両方が患者の血流内に存在する時間内で、いくらか間隔を空けて投与するための別々の剤形で提供されることを意味する。式Iの化合物および追加の活性剤は、ある患者について同じ医師によって処方される必要はない。追加の1つ以上の活性剤は、処方箋を必要としなくてもよい。式Iの化合物または少なくとも1つの追加の活性剤の投与は、任意の適切な経路、例えば、経口錠剤、経口カプセル剤、経口液剤、吸入、注射、坐剤または局所接触を介して行うことができる。
【0062】
「治療」は、本明細書で使用される場合、(a)疾患に罹患しやすいが、まだその疾患を有すると診断されていない患者において、疾患または疾患の症候が生じるのを防止または予防的に治療する(例えば、原発性疾患に関連しているか、またはそれによって引き起こされるおそれがある疾患を含む(慢性HCV感染症の状況をもたらし得る肝線維症におけるように、肝線維症および肝細胞癌を含むHCV関連状態の予防は本発明に含まれる)、(b)疾患を阻害する、すなわちその発生を抑止する、ならびに(c)疾患を緩和する、すなわち疾患の退縮を引き起こすのに十分な式Iの化合物を、唯一の活性剤として、または少なくとも1つの追加の活性剤と一緒に提供することを含む。「治療する」および「治療」は、HCVに感染した患者に、治療有効量の式Iの化合物を唯一の活性剤として、または少なくとも1つの追加の活性剤と一緒に提供することも意味する。
【0063】
本発明の薬学的組合せの「治療有効量」は、患者に投与された場合に、症候の緩和などの治療利益をもたらすのに有効な量、例えばC型肝炎感染症の症候を低減するのに有効な量を意味する。例えば、C型肝炎ウイルスに感染した患者は、ASTおよびALTを含む、特定の肝酵素の高いレベルを示すことがある。ASTの正常レベルは、血清(血液の液体部分)1リットル当たり5から40単位であり、ALTの正常レベルは、血清1リットル当たり7から56単位である。したがって、治療上有効な(effect)量は、高いASTおよびALTレベルを有意に低減するのに十分な量、またはASTおよびALTレベルを正常範囲に戻すのに十分な量である。治療有効量はまた、患者の血液、血清または組織中のウイルスまたはウイルス抗体の検出可能なレベルの有意な増大を防止し、または有意に低減するのに十分な量である。治療効率を決定する1つの方法には、Roch TaqManアッセイなどのウイルスRNAレベルを決定するための慣習的な方法によるHCV RNAレベルの測定が含まれる。特定の好ましい実施形態では、治療によって、HCV RNAレベルが定量限界未満まで(Roche TaqMan(登録商標)アッセイによって測定して30IU/mL)、またはより好ましくは検出限界未満まで(10IU/mL、Roche TaqMan)低減する。
【0064】
ウイルスまたはウイルス抗体の検出可能なレベルにおける有意な増大または低減は、スチューデントT検定などの統計的有意性の標準のパラメトリックな試験において統計的に有意な任意の検出可能な変化である(p<0.05)。
【0065】
<化学的説明>
式Iは、そのすべての下位式を含む。特定の場合、式Iの化合物は、不斉中心、不斉軸等、例えば不斉炭素原子などの1つ以上の不斉要素を含有することができ、したがって化合物は様々な立体異性体で存在することができる。これらの化合物は、例えば、ラセミ体または光学的に活性な形態であってもよい。2つ以上の不斉要素を有する化合物に関して、これらの化合物はさらに、ジアステレオマの混合物であってよい。不斉中心を有する化合物に関して、光学異性体およびその混合物のすべてが包含されることを理解されたい。さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物は、Z−およびE−形態で生じることができ、化合物のすべての異性体形態が本発明に含まれる。こうした場合、単一のエナンチオマ、すなわち光学的に活性な形態は、不斉合成、光学的に純粋な前駆体からの合成、またはラセミ体の分割によって得ることができる。ラセミ体の分割は、例えば分割剤の存在下での結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを使用するクロマトグラフィなどの従来の方法によって達成することもできる。
【0066】
化合物が様々な互変異性体の形態で存在する場合、本発明は、具体的な互変異性体の任意の1つに限定されず、すべての互変異性体の形態を含む。
【0067】
本発明は、本発明の化合物に生じる原子のすべての同位体を含む。同位体は、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。一般的な例として、それに限定されるものではないが、水素の同位体は三重水素および重水素を含み、炭素の同位体は11C、13Cおよび14Cを含む。
【0068】
本明細書では、変数、例えばR、R〜R、R16、R18、R19、M、n、T、YおよびZを含む一般式を使用して、特定の化合物を記載する。別段特定されない限り、かかる式の各変数は、他の変数とは独立に定義される。したがってある基が、例えば0〜2個のRで置換されているという場合、その基は最大2個のR基で置換されていてもよく、Rは存在するごとに、Rの定義から独立に選択される。また、置換基および/または変数の組合せは、かかる組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0069】
先に記載の式Iの化合物に加えて、本発明はまた、安定な化合物をもたらす以下に記載の変数定義の任意の組合せを有する、式IIからIVの化合物を含む。
【化8】


式II
【0070】
式IIでは、Dは、6個から10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である。
【化9】


式III
【化10】


式IV
【0071】
式IVでは、Dは、6個から10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基である。
【化11】


式V
【0072】
例えば、本発明は、安定な化合物が得られる限り、以下の条件の任意の1つ以上が満たされる実施形態を含む。
【0073】
[置換基RおよびR
本発明は、RおよびRが以下の定義のいずれかを有する実施形態を含む。
【0074】
(a)RおよびRは、任意選択により置換されているアゼチジン環を形成する。
【0075】
(b)RおよびRは、非置換であるか、または1個または2個のハロゲン原子により、またはハロゲン、メチルおよびメトキシから独立に選択される0個から3個の置換基で置換されているフェニルにより置換されている、任意選択により置換されているアゼチジン環を形成する。
【0076】
(c)RおよびRは、連結されて、N、OおよびSから独立に選択される0個から2個の追加のヘテロ原子を含有する4員から7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、この環は、N、OおよびSから独立に選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する5員または6員の複素環式環と任意選択により縮合して、または5員または6員の炭素環式環と縮合して二環式環系を形成し、5員から7員のヘテロシクロアルキル環または二環式環系のそれぞれは、A−およびAB−から独立に選択される0個から3個の置換基で置換されており、ここでAは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、オキソ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノまたはジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜Cアルキルオキシム、C〜Cシクロアルキル−NH−(C=O)−、ヘテロシクロアルキル−(C=O)−、モノまたはジC〜Cアルキルカルボキサミド、C〜Cアルキルスルホニル、C〜Cアルキルスルホンアミド、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、ピリジル、ピリミジニル、ピラジン、フェニルであり、このピリジル、ピリミジニルおよびフェニルは、ハロゲン、メチルおよびメトキシから独立に選択される0個から2個の置換基で置換されており、Bは、C〜Cアルキルである。
【0077】
(d)RおよびRによって形成された任意のヘテロシクロアルキル環は、クロロ、フルオロ、ヒドロキシル、COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノまたはジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチル、(モノまたはジC〜Cアルキルカルバメート)C〜Cアルキル−、C〜Cアルキルエステル、モノまたはジC〜Cアルキルカルボキサミドフェニル、ベンジル、ピリジル、5−フルオロベンゾ[d]イミダゾール−2−イルおよび式
【化12】


の基から独立に選択される0個から2個の置換基で置換されていてもよい。
【0078】
(e)RおよびRは、連結されて、ピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環またはピペラジン環を形成し、そのそれぞれは、フルオロ、アミノ、ヒドロキシル、メチルおよびトリフルオロメチルから独立に選択される0個から2個の置換基で任意選択により置換されている。
【0079】
(f)RおよびRは、一緒になって、式
【化13】


【化14】


【化15】


【化16】


【化17】


【化18】


【化19】


【化20】


【化21】


【化22】


【化23】


【化24】


【化25】


【化26】


【化27】


【化28】


【化29】


【化30】


【化31】


または
【化32】


の基を形成する。
【0080】
(g)RおよびRは、一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキザゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゼパニル、オクトヒドロキノリニル、オクトヒドロイソキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、オクトヒドロインドリル、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イルまたはオクトヒドロイソインドリルを形成し、そのそれぞれは、クロロ、フルオロ、ヒドロキシル、COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノまたはジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチル、(モノまたはジC〜Cアルキルカルバメート)C〜Cアルキル−、C〜Cアルキルエステル、モノまたはジC〜Cアルキルカルボキサミドフェニル、ベンジル、ピリジル、5−フルオロベンゾ[d]イミダゾール−2−イルおよび式
【化33】


の基から独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されている。
【0081】
(h)RおよびRは、一緒になって、任意選択により置換されている5員から9員の架橋複素環式環を形成し、この架橋されている環は、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、オクトヒドロインドリルまたはオクトヒドロイソインドリル基であり、そのそれぞれは、メチレン、エチレン、オキソエチルおよびオキソの1つで架橋されており、5員から9員の架橋複素環式環のそれぞれは、クロロ、フルオロ、ヒドロキシル、COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノまたはジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチルおよびC〜Cアルキルエステルから独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されている。
【0082】
[置換基RからR
(a)RおよびRは、独立に(1)水素であり、または(2)C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0個から3個の置換基で置換されている。
【0083】
(b)Rは、水素またはメチルであり、Rは、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
【0084】
(c)Rは、水素またはメチルであり、Rは、水素またはC〜Cアルキルである。
【0085】
(d)RおよびRは、独立に、水素またはメチルである。
【0086】
(e)Rは、水素またはC〜Cアルキルもしくは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、Rは水素である。
【0087】
(f)特定の実施形態では、R、R、RおよびRは、独立に、水素またはメチルであり、Rは、Rと共有結合しているC〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であり、ここでRは、メチレンまたはメチン基である。
【0088】
(g)本発明はまた、R、RおよびRが、独立に水素またはメチルであり、Rが、連結されて3員から7員の任意選択により置換されているシクロアルキル環を形成しているRおよびRによって形成された任意選択により置換されているシクロアルキル環と共有結合している、C〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖である、化合物および塩を含む。
【0089】
[置換基TおよびR
本発明は、Tが、式
【化34】


の基であり、Rが、以下の定義のいずれかを有する、式Iの化合物および塩を含む。
【0090】
(a)Rは、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−SR12、−NR10(S=O)R11、−NR10SO11、−NR10SONR1112、−NR10SONR1112、−(C=O)OR10、−NR10(C=O)OR11または−CONR1011である。Rは、ヒドロキシル、−OR12、−NR10SO11または−NR10SONR1112である。
【0091】
(b)Rは−NR10SO11である。
【0092】
(c)本発明は、Rが直前に記載の定義(a)および(b)を有し、R10およびR12が独立に、水素またはメチルであり、R11が、トリフルオロメチルまたはC〜Cアルキルであり、またはR11が、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、そのそれぞれが、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニルおよび(フェニル)C〜Cアルキルから独立に選択される0個から2個の置換基で置換されている化合物を含む、式Iの化合物を含む。
【0093】
(d)特定の実施形態では、R10は、水素またはメチルであり、R11はシクロプロピルである。
【0094】
[変数Y、n、JおよびLならびに置換基M]
本発明は、Y、n、J、LおよびMに関して以下の条件のいずれかが満たされる式Iの化合物および塩を含む。
【0095】
(a)特定の実施形態では、nは0であり、Yは存在しないか、Oまたは−O(C=O)−である。
【0096】
(b)特定の他の実施形態では、nは0であり、YはOである。
【0097】
(c)本発明は、nが0であり、Yが−(NR20)(C=O)−(式中、R20は水素またはメチルである)である実施形態を含む。
【0098】
(d)Mは水素である。
【0099】
(e)JおよびLは、共にCHである。
【0100】
[置換基Z]
置換基Zは、以下の定義のいずれかを有することができる。
【0101】
(a)Zは、式
【化35】


【化36】


【化37】


【化38】


【化39】


【化40】


【化41】


【化42】


または
【化43】


の基であり、そのそれぞれは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシならびにモノおよびジC〜Cアルキルアミノから独立に選択される0個、1個、2個または3個の置換基で置換されている。
【0102】
(b)Zは、式
【化44】


【化45】


【化46】


【化47】


【化48】


【化49】


【化50】


【化51】


【化52】


【化53】


の基であり、式中、X、X、X、XおよびXは、独立に、NまたはCHであり、X〜Xのうち2個以下はNであり、
、G、GおよびGは、独立に、CH、O、SまたはNR26であり、GからGのうち2個以下は水素以外であり、Gは、NまたはCHであり、
21は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0個から3個の基を表し、
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシであり、または
22は、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(ピリジル)C〜Cアルキル、(5員または6員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(チアゾリル)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチルならびにトリフルオロメトキシ
から独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されており、
23は、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0個から2個の置換基である。
【0103】
(c)Zは、式
【化54】


【化55】


【化56】


【化57】


【化58】


【化59】


【化60】


または
【化61】


の基であり、式中、
、X、XおよびXは、独立に、NまたはCHであり、X〜Xのうち2個以下はNであり、
21は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0個から3個の基を表し、
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシであり、または
22は、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5員または6員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5員または6員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5員または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または9員または10員の二環式ヘテロアリールであり、そのそれぞれは以下の、
(1)ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−C(O)OR11、−NRCOR11、−NRC(O)OR11、トリフルオロメチルならびにトリフルオロメトキシ、ならびに
(2)そのそれぞれが、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシの0個または1個以上で置換されている、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリール
から独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されている。
【0104】
(d)Zは、式
【化62】


の基である。
【0105】
(e)Zは、式
【化63】


のキノリンである。
【0106】
(f)特定の実施形態では、Zの変数R21およびR22は、以下の定義を有する。
21は、キノリンの7位の置換基、ならびにハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0個から2個の追加の置換基を表し、
22は、フェニル、ピリジルまたはチアゾリルであり、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチルならびにトリフルオロメトキシから独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されている。
【0107】
(g)他の実施形態では、R21は、キノリンの7位のメトキシまたはエトキシ置換基であり、R22は、フェニル、ピリジルまたはチアゾリルであり、そのそれぞれは、メチル、メトキシ、クロロ、C〜Cアルキル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノから独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されている。
【0108】
本発明は、式VI、VIIおよびVIIIの化合物(式Iの下位一般式群である)を含む。
【化64】


式VI
【化65】


式VII
【化66】


式VIII
【0109】
式VI、VIIおよびVIIIでは、以下の条件が満たされる。
【0110】
およびRは、連結されて、アゼチジン、ピロリジン、モルホリン、ピペリジンまたはピペラジン環を形成し、そのそれぞれは、フルオロ、アミノ、ヒドロキシル、C〜Cアルキルおよびトリフルオロメチルから独立に選択される0個から3個の置換基で置換されており、そのそれぞれは、メトキシイミノ、アミノC〜Cアルキル、C〜Cアルキルスルホニルおよびピラジニルから選択される0個または1個の置換基で置換されている。
【0111】
は水素であり、Rは、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
【0112】
およびRは、独立に、水素またはメチルである。
【0113】
Tは、式
【化67】


の基である。
【0114】
は、ヒドロキシル、−OR12または−NR10SO11であり、R10は、水素またはメチルであり、R11は、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり、R12は、C〜Cアルキルである。
【0115】
16は、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0個から2個の置換基である。
【0116】
Mは、水素またはメチルである。
【0117】
Yは、O、−O(C=O)−または−(NH)(C=O)−である。
【0118】
Zは、式
【化68】


【化69】


【化70】


【化71】


【化72】


【化73】


【化74】


【化75】


または
【化76】


の基であり、そのそれぞれは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ならびにモノおよびジC〜Cアルキルアミノから独立に選択される0個、1個、2個または3個の置換基によって置換されている。
【0119】
本発明は、式IA
【化77】


式IA
の化合物および塩を含む。
【0120】
式IAでは、RおよびRは、一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキザゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゼパニル、オクトヒドロキノリニル、オクトヒドロイソキノリニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、オクトヒドロインドリル、1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イルまたはオクトヒドロイソインドリルを形成し、そのそれぞれは、クロロ、フルオロ、ヒドロキシル、COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノまたはジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチル、(モノまたはジC〜Cアルキルカルバメート)C〜Cアルキル−、C〜Cアルキルエステル、モノまたはジC〜Cアルキルカルボキサミドフェニル、ベンジル、ピリジル、5−フルオロベンゾ[d]イミダゾール−2−イルおよび式
【化78】


から独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されている。
【0121】
およびRは、一緒になって、任意選択により置換されている5員から9員の架橋複素環式環を形成し、この架橋されている環は、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、オクトヒドロインドリルまたはオクトヒドロイソインドリル基であり、そのそれぞれは、メチレン、エチレン、オキソエチルおよびオキソの1つで架橋されており、5員から9員の架橋複素環式環のそれぞれは、クロロ、フルオロ、ヒドロキシル、COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノまたはジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチルおよびC〜Cアルキルエステルから独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されている。
【0122】
は、水素またはC〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
【0123】
Dは、(i)メチレン基であるRと共有結合している、RのC〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であり、またはDは、(ii)連結されて3員から6員のシクロアルキル環を形成しているRおよびRによって形成されたシクロアルキル環と共有結合している、RのC〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖である。
【0124】
Tは、式
【化79】


の基であり、式中、Rは、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−NR10SO11または−NR10SONR1112であり、ここでR10、R11およびR12は、存在するごとに独立に、水素、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
【0125】
16は、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0個から2個の置換基を表す。
【0126】
20は、水素、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである。
【0127】
Zは、式
【化80】


【化81】


【化82】


【化83】


【化84】


【化85】


【化86】


【化87】


【化88】


【化89】


【化90】


【化91】


【化92】


【化93】


または
【化94】


の基である。
【0128】
Zのこの定義では、変数XからX、GからG、およびR21からR23は、以下の定義を有する。
【0129】
、X、X、XおよびXは、独立にNまたはCHであり、X〜Xのうち2個以下はNである。
【0130】
、G、GおよびGは、独立に、CH、O、SまたはNR26であり、GからGのうち2個以下は水素以外である。
【0131】
21は、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルおよびC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0個から2個の基を表す。
【0132】
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノまたはジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシであり、あるいはR22は、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ピリジル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシおよび(チアゾリル)C〜Cアルキルから選択され、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチルならびにトリフルオロメトキシから独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されている。
【0133】
23は、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0個から2個の置換基である。
【0134】
式IAに使用される変数、例えばR、R、R、R、R、R、R16、Y、ZおよびTの定義のいずれかを、安定な化合物が得られる限り、式Iまたは式Iの他の下位一般式に使用することができる。
【0135】
但し、以下の化合物は除かれる。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

【0138】
<医薬調製物>
本発明の化合物は、そのままの化学物質として投与することができるが、好ましくは医薬組成物として投与される。したがって本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容される塩を、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、式Iの化合物または塩を唯一の活性剤として含有することができ、または1つ以上のさらなる活性剤を含有することができる。
【0139】
本発明の化合物は、経口、局所、非経口、吸入またはスプレーによって、舌下、経皮的、頬側投与を介して、直腸内、点眼用溶液剤として、あるいは他の手段によって、従来の薬学的に許容される担体を含有する投与単位製剤で投与することができる。医薬組成物は、任意の薬学的に有用な形態として、例えばエアロゾル剤、クリーム剤、ゲル剤、丸剤、カプセル剤、錠剤、シロップ剤、経皮パッチまたは点眼用溶液剤として製剤化することができる。錠剤およびカプセル剤などのかかる剤形は、適切な量の、例えば所望の目的を達するのに有効な量の活性成分を含有する適切な大きさの単位用量に分割される。
【0140】
担体は、添加剤および賦形剤を含み、治療を受ける患者への投与にそれらを適したものにするのに十分に高純度であり十分に低毒性でなければならない。担体は不活性であってよく、またはそれ自体薬理学的な利益を有してもよい。化合物と併用される担体の量は、化合物の単回用量当たりの投与のための実際的な量の材料を提供するのに十分な量である。
【0141】
担体の種類には、それに限定されるものではないが、結合剤、緩衝剤、着色剤、賦形剤、崩壊剤、乳化剤、香味剤、流動促進剤(glident)、滑沢剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、打錠用薬剤および湿潤剤が含まれる。いくつかの担体は、2つ以上の種類で列挙される場合もあり、例えば植物油は、ある製剤では滑沢剤として、他の製剤では賦形剤として使用することができる。例示的な薬学的に許容される担体には、糖類、デンプン、セルロース、粉末化トラガント、麦芽、ゼラチン、タルクおよび植物油が含まれる。実質的に本発明の化合物の活性を妨げない任意選択の活性剤が、医薬組成物に含まれてもよい。
【0142】
経口投与のために製剤化された医薬組成物が好ましい場合が多い。これらの組成物は、本発明の化合物を0.1から99%含有し、通常は本発明の化合物を少なくとも約5%(重量%)含有する。いくつかの実施形態は、本発明の化合物を約25%から約50%、または5%から75%含有する。
【0143】
<治療方法>
本発明は、C型肝炎感染症の危険性がある、またはC型肝炎ウイルスに感染している患者に有効量の本発明の化合物を提供することによって、C型肝炎感染症を防止および治療する方法を含む。本発明の化合物は、唯一の活性剤として提供することができ、または1つ以上のさらなる活性剤と一緒に提供することができる。
【0144】
本明細書に開示されている薬学的組合せは、患者のC型肝炎感染症の防止および治療に有用である。
【0145】
本発明の薬学的組合せの有効量は、(a)C型肝炎に罹患しやすい可能性があるが、まだC型肝炎を有すると診断されていない患者において、C型肝炎またはC型肝炎の症候が生じるのを防止する、あるいは原発性C型肝炎感染症(慢性HCV感染症の状況をもたらし得る肝線維症など)に関連している、またはそれによって引き起こされる可能性がある疾患を防止する、(b)C型肝炎の進行を阻害する、および(c)C型肝炎感染症の退縮を引き起こすのに十分な量であり得る。C型肝炎の進行を阻害し、またはその退縮を引き起こすのに有効な医薬組成物の量は、C型肝炎の症候の悪化を停止させ、またはC型肝炎ウイルスに感染している患者に発症する症候を低減するのに有効な量を含む。あるいは、C型肝炎の進行停止または退縮は、この疾患のいくつかのマーカのいずれかによって示され得る。例えば、C型肝炎ウイルス負荷が増大しないことまたはその低減、あるいは患者の血液中の循環HCV抗体の数が増大しないことまたはその低減は、C型肝炎感染症の進行停止または退縮のマーカである。他のC型肝炎疾患マーカには、アミノトランスフェラーゼレベル、特に肝酵素ASTおよびALTのレベルが含まれる。ASTの正常レベルは、血清(血液の液体部分)1リットル当たり5から40単位であり、ALTの正常レベルは、血清1リットル当たり7から56単位である。これらのレベルは一般に、HCV感染患者において上昇することになる。疾患の退縮は、通常、ASTおよびALTレベルが正常な範囲に戻ることによって示される。
【0146】
有効量の本発明の薬学的組合せによって影響を受け得るC型肝炎の症候には、肝機能低下、疲労、インフルエンザ様症候、発熱、悪寒、筋肉痛、関節痛および頭痛、悪心、特定の食物への嫌悪、原因不明の体重減少、うつ病を含む心理的障害、腹部の圧痛、ならびに黄疸が含まれる。
【0147】
「肝機能」は、それに限定されるものではないが、血清タンパク質などのタンパク質(例えば、アルブミン、凝固因子、アルカリホスファターゼ、アミノトランスフェラーゼ(例えば、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、5’−ヌクレオシダーゼ、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γ glutaminyltranspeptidase)等)の合成、ビリルビンの合成、コレステロールの合成、ならびに胆汁酸の合成を含む合成機能;炭水化物代謝、アミノ酸およびアンモニア代謝、ホルモン代謝、ならびに脂質代謝を含む肝臓代謝機能;外因性薬物の解毒作用;ならびに内臓および門脈の血行動態を含む血行動態機能を含む、肝臓の正常な機能を指す。
【0148】
本明細書に記載の有効量の組合せは、患者に投与されるときの濃度で十分な濃度の活性剤を提供するものでもある。活性剤の十分な濃度は、感染症を防止する、またはそれに対抗するために必要な、患者の体内の薬剤濃度である。かかる量は、実験的に、例えば薬剤の血液濃度をアッセイすることによって、または理論的に生体利用能を算出することによって確認することができる。インビトロでウイルス感染を阻害するのに十分な活性剤の量は、文献に記載のレプリコン系アッセイなどの、ウイルス感染性のための従来のアッセイによって決定することができる。
【0149】
本発明はまた、予防的療法における本発明の化合物を含む薬学的組合せの使用を含む。予防的または防止的治療の状況では、本発明の化合物の有効量は、C型肝炎感染症に罹患する患者の危険性を有意に低減するのに十分な量である。
【0150】
本発明は、HCVに感染している患者に、インビトロでHCVレプリコン複製を阻害するのに十分な化合物または塩の濃度で本発明の化合物または塩を提供するステップを含む、インビボでHCV複製を阻害する方法を含む。この場合、濃度は、血液または血漿濃度などのインビボ濃度を含む。インビトロでHCVレプリコン複製を阻害するのに十分な化合物の濃度は、本明細書の実施例6に記載のアッセイなどの、レプリコン複製アッセイから決定することができる。
【0151】
治療方法は、特定の投与量の本発明の化合物を患者に提供するステップを含む。1日につき体重1キログラム当たり約0.1mgから約140mgの各活性剤の投与レベルが、先に示した条件の治療に有用である(1日につき患者1人当たり約0.5mgから約7g)。担体材料と組み合わせて単一剤形を生成することができる活性成分の量は、治療を受ける患者および特定の投与方法に応じて変わることになる。投与単位本発明の化合物。特定の実施形態では、1日当たり25mgから500mgまたは25mgから200mgの本発明の化合物が、患者に提供される。投与頻度は、使用される化合物および治療を受ける特定の疾患に応じても変わり得る。しかし、ほとんどの感染性障害の治療に関して、1日当たり4回以下の投与計画が好ましく、1日当たり1回または2回の投与計画が特に好ましい。
【0152】
しかし、任意の特定の患者の具体的な用量レベルは、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、および排泄率、薬物の組合せならびに療法を受ける患者の特定の疾患の重症度を含む様々な因子に応じて変わることが理解されるであろう。
【0153】
<パッケージされた製剤>
本発明は、式Iの化合物または塩を、C型肝炎感染症に罹患している患者を治療する組成物を使用するための使用説明書と一緒に容器に入れて提供することを含む。
【0154】
本発明は、パッケージされた薬学的組合せを含む。かかるパッケージされた組合せは、式Iの化合物を容器内に含む。容器はさらに、患者のC型肝炎感染症などのウイルス感染症を治療または防止する組合せを使用するための使用説明書を含むことができる。
【0155】
パッケージされた薬学的組合せは、1つ以上のさらなる活性剤を含むことができる。
【0156】
<組合せ方法>
本発明は、本発明の化合物または塩が、1つ以上のさらなる活性剤と一緒に提供される医薬組成物および治療方法を含む。特定の実施形態では、1つ以上の活性剤は、HCVプロテアーゼ阻害剤またはHCVポリメラーゼ阻害剤である。例えばプロテアーゼ阻害剤は、テラプレビル(telaprevir)(VX−950)であってよく、ポリメラーゼ阻害剤は、バロピシタビン(valopicitabine)またはバロピシタビンがインビボ変換される活性剤であるNM107であってよい。特定の実施形態では、第2の活性剤は、リバビリン、インターフェロンまたはPeg−インターフェロンαコンジュゲートである。
【0157】
本発明の方法によれば、本発明の化合物および追加の活性剤は、(1)組合せ製剤として共製剤化され、同時に投与または送達され、(2)別個の製剤として交互にまたは並行して送達され、あるいは(3)当技術分野で知られている任意の他の併用療法レジメンによって送達され得る。交互療法で送達される場合、本発明の方法は、本発明の化合物と追加の活性剤を逐次的に、例えば別個の溶液剤、乳剤、懸濁剤、錠剤、丸剤またはカプセル剤で、あるいは別個のシリンジで異なる注射によって投与または送達することを含む。一般に、交互療法の最中は、有効な投与量の各活性成分は逐次的に、すなわち連続的に投与されるが、同時療法では、有効な投与量の2つ以上の活性成分は一緒に投与される。様々な一連の間欠的な併用療法を使用することもできる。
【0158】
特定の実施形態では、治療方法は、式Iの化合物およびペグ化インターフェロンまたはインターフェロンγなどのインターフェロンを患者に提供するステップを含む。インターフェロンは、本発明の化合物と共に提供される唯一の化合物であってよく、またはインターフェロンではない追加の活性剤と共に提供することができる。
【0159】
本発明の化合物を含む本発明の治療方法および薬学的組合せは、追加の活性剤として以下の化合物および物質の任意の1つまたは組合せを含む。
カスパーゼ阻害剤:IDN6556(Idun Pharmaceuticals)
シクロフィリン阻害剤:NIM811(Novartis)およびDEBIO−025(Debiopharm)
チトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤:リトナビル(国際公開第94/14436号)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが含まれる
グルココルチコイド:ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾンおよびデキサメタゾン
ヘマトポエチン:ヘマトポエチン−1およびヘマトポエチン−2。様々なコロニー刺激因子(例えば(例えばG−CSF、GM−CSF、M−CSF))、Epo、およびSCF(幹細胞因子)などのヘマトポエチンスーパーファミリーの他のメンバー
ホメオパシー療法:ミルクシスル、シリマリン、朝鮮人参、グリチルリジン、甘草、マツブサ属、ビタミンC、ビタミンE、βカロテンおよびセレン
免疫調節化合物:サリドマイド、IL−2、ヘマトポエチン、IMPDH阻害剤、例えばMerimepodib(Vertex Pharmaceuticals Inc.)、天然型インターフェロン(OMNIFERON、ViragenおよびSUMIFERON、Sumitomo、天然型インターフェロンの混合物など)、天然型インターフェロンα(ALFERON、Hemispherx Biopharma,Inc.)、リンパ芽球様(lymphblastoid)細胞由来のインターフェロンαnl(WELLFERON、Glaxo Wellcome)、経口αインターフェロン、Peg−インターフェロン、Peg−インターフェロンα2a(PEGASYS、Roche)、組換えインターフェロンα2a(ROFERON、Roche)、吸入インターフェロンα2b(AERX、Aradigm)、Peg−インターフェロンα2b(ALBUFERON、Human Genome Sciences/Novartis、PEGINTRON、Schering)、組換えインターフェロンα2b(INTRON A、Schering)、ペグ化インターフェロンα2b(PEG−INTRON、Schering、VIRAFERONPEG、Schering)、インターフェロンβ−1a(REBIF、Serono,Inc.およびPfizer)、コンセンサスインターフェロンα(INFERGEN、Valeant Pharmaceutical)、インターフェロンγ−1b(ACTIMMUNE、Intermune,Inc.)、非ペグ化インターフェロンα、αインターフェロンおよびその類似体を含むインターフェロン、ならびに合成チモシンα1(ZADAXIN、SciClone Pharmaceuticals Inc.)
免疫抑制剤(Immunosupressant):シロリムス(RAPAMUNE、Wyeth)
インターロイキン:(IL−1、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−11、IL−12)、LIF、TGF−ベータ、TNF−α)および他の低分子量因子(例えばAcSDKP、pEEDCK、胸腺ホルモンおよびミニサイトカイン(minicytokine))
インターフェロン賦活薬:EMZ702(Transition Therapeutics)
IRES阻害剤:VGX−410C(VGX Pharma)
モノクローナルおよびポリクローナル抗体:XTL−6865(XTL)、HuMax−HepC(Genmab)、C型肝炎免疫グロビン(ヒト)(CIVACIR、Nabi Biopharmceuticals)
ヌクレオシド類似体:ラミブジン(EPIVIR、3TC、GlaxoSmithKline)、MK−0608(Merck)、ザルシタビン(HIVID、Roche US Pharmaceuticals)、リバビリン(COPEGUS(Roche)、REBETOL(Schering)、VILONA(ICN Pharmaceuticals)およびVIRAZOLE(ICN Pharmaceuticals)を含む)、およびリバビリンのアミジンプロドラッグであるビラミジン(Valeant Pharmaceuticals)。ヌクレオシド類似体の組合せを使用することもできる
非ヌクレオシド阻害剤:PSI−6130(Roche/Pharmasset)、デラビルジン(delaviridine)(RESCRIPTOR、Pfizer)およびHCV−796(Viropharm)
P7タンパク質阻害剤:アマンタジン(SYMMETREL、Endo Pharmaceuticals,Inc.)
ポリメラーゼ阻害剤:NM283(valopicitabine)(Idenix)およびNM107(Idenix)
プロテアーゼ阻害剤:BILN−2061(Boehringer Ingelheim)、GW−433908(アンプレナビルのプロドラッグ、Glaxo/Vertex)、インジナビル(Crixivan、Merck)、ITMN−191(Intermune/Array Biopharma)、VX950(Vertex)および先のプロテアーゼ阻害剤の1つ以上を含む組合せ
RNA干渉:SIRNA−034RNAi(Sirna Therapeutics)
治療ワクチン:IC41(Intercell)、IMN−0101(Imnogenetics)、GI 5005(Globeimmune)、Chronvac−C(Tripep/Inovio)、ED−002(Imnogenetics)、Hepavaxx C(ViRex Medical)
TNF作動薬:アダリムマブ(HUMIRA、Abbott)、エタネルセプト(entanercept)(ENBREL、AmgenおよびWyeth)、インフリキシマブ(REMICADE、Centocor,Inc.)
チューブリン阻害剤:コルヒチン
スフィンゴシン−1−リン酸受容体調節因子:FTY720(Novartis)
TLR作動薬:ANA−975(Anadys Pharmaceuticals)、TLR7作動薬(Anadys Pharmaceuticals)、CPG10101(Coley)およびCPG7909を含むTLR9作動薬(Coley)
シクロフィリン阻害剤:NIM811(Novartis)およびDEBIO−025(Debiopharm)
【0160】
C型肝炎の薬物療法を受けている患者は、一般に、別の活性剤と一緒にインターフェロンを投与される。したがって、本発明の化合物が、追加の活性剤としてのペグ化インターフェロンα2aなどのインターフェロンと一緒に提供される治療方法および薬学的組合せは、実施形態として含まれる。同様に、リバビリンが追加の活性剤である方法および薬学的組合せが、本明細書で提供される。
【実施例】
【0161】
以下の例によって本発明をさらに例示するが、これらは限定的なものと解釈されるべきではない。
【0162】
本明細書で提供される化合物は、一般に、標準の合成方法を使用して調製することができる。出発材料は、一般に、Sigma−Aldrich Corp.(ミズーリ州セントルイス)などの市販の供給源から容易に利用可能である。例えば、実施例1または2に示した経路と類似の合成経路を使用することができる。以下のスキームに示した最終生成物および任意の中間体(複数可)は、抽出し、乾燥させ、濾過し、および/または濃縮することができ、さらに精製できる(例えば、クロマトグラフィによって)ことが明らかとなろう。以下のスキームの各変数(例えば、「R」)は、本明細書に記載の化合物の説明と一致する任意の基を指す。当業者は、全体の合成スキームから著しく逸脱しない、本明細書に記載の合成ステップの1つまたはいくつかの変形を見出すことができる。さらに、これらのスキームによる代表的な化合物の合成に関する実験の詳細を、本明細書の実施例1〜5に提示する。
【0163】
[略語]
以下の化学的略語を実施例1において使用する。これらの実施例で使用される追加の略語は、有機化学合成の技術分野の当業者にはよく知られているであろう。
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
DBU ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DCM ジクロロメタン
DIEA N、N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール(azabenotriazol)−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム
HBTU O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩
NMM N−メチルモルホリン
RCM 閉環メタセシス
TEA 酢酸トリエチル
TFA トリフルオロ酢酸
【0164】
<実施例1>
[(2S,4R)−N−(1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド(化合物4)の合成]
(ステップ1.N−(シクロプロピルスルホニル)−1−(BOC−アミノ)−2−ビニルシクロプロパンカルボキサミドの調製)
【化95】

【0165】
CDI(2.98g、18.4mm、1.1当量)を酢酸エチルに溶解する。ボーリュー(Beaulieu)、P.L.ら(J.Org.Chem.70:5869〜5879頁(2005年))によって記載の手順によって調製したN−Boc−シクロプロピルビニル酸(3.8g、16.7mm、1.0当量)を、CDI/酢酸エチル混合物に添加し、出発材料が消費されるまで室温で撹拌する。シクロプロピルスルホンアミン(2.2g、18.4mm、1.1当量)をこの混合物に添加した後、DBU(2.1ml、20.5mm、1.23当量)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。後処理およびシリカゲルクロマトグラフィによる精製によって、2gの化合物2を得る。
【0166】
(ステップ2.(2S,4R)−tert−ブチル2−(1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1−カルボン酸塩および(2S,4R)−N−(1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドの調製)
【化96】

【0167】
国際公開第02/060926号に記載の方法に従って調製した化合物1(4.3g、9.3mmol、1.1当量)を、DMF中、O−(ベンゾトリアゾール−1イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(4.1g,10.5mmol、1.3当量)と共に30分間撹拌し、その後シクロプロピルアミン2(1.92g、8.3mmol、1.0当量)およびN−メチルモルホリン(2.52g、25.0mmol、3.0当量)を添加する。混合物を終夜撹拌し、溶媒を減圧下で除去する。得られた残渣を酢酸エチルで希釈し、飽和水性NaHCOで洗浄する。有機溶媒をMgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して粗生成物3を得、それを次のステップでさらなる精製なしに使用する。
【0168】
乾燥CHCl10ml中、化合物3をTFA5mLで処理し、終夜撹拌する。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルから再結晶化させて、4.12gの化合物4を得る(収率61%、2ステップ)。
【0169】
<実施例2>
[大環状化合物の合成]
(手順1.脱保護反応(N−BocからN−アミンまたはt−ブチルエステルからカルボン酸への変換))
TFA(3〜4ml)を、Boc保護された出発材料(1mmol)またはt−ブチルエステルの無水DCM(7ml)溶液に室温で添加する。反応を、LC/MSおよびTLCでモニタする。1〜3時間後、反応混合物を減圧下で蒸発乾固させる。粗生成物を、さらなる精製なしに次のステップの反応で使用する。
【0170】
(手順2.アミドの形成)
N−メチルモルホリン(2mmol)およびHBTU(1.2mmol)を、酸(1mmol)の無水DMF(10ml)溶液に室温で一度に添加する。室温で終夜撹拌した後、アミノ(1mmol)を一度に添加し、次いで終夜撹拌する。反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチル(100ml)で抽出する。有機層を、HO、ブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させる。残渣を濾過し、真空下で蒸発乾固させる。粗生成物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン−酢酸エチル100:0から50:50)によって精製して、所望の生成物を得る。
【0171】
(手順3.グラブス第2世代触媒(CAS登録番号246047−72−3)またはホベイダ−グラブス第2世代触媒(CAS登録番号301224−40−8)によって触媒するRCM)
1,2−ジクロロエタン中、出発材料(ジオレフィン、1mmol)、触媒(5〜30mol%)の混合物を脱気し、110℃においてアルゴン雰囲気下で12〜24時間加熱する。反応を、LC/MSおよびTLCでモニタする。反応混合物を減圧下で蒸発乾固させる。粗生成物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン−酢酸エチル100:0から50:50)によって精製して、所望の生成物を得る。
【0172】
(手順4.エステルの加水分解)
LiOH水和物(6当量)を、エステル(1mmol)のTHF(5ml)、メタノール(2.5ml)および水(2.5ml)溶液に、室温で一度に添加し、次いで反応混合物を終夜撹拌する。反応が完了した後(LC/MSによる)、それを0℃に冷却し、pH約2の酸性にし、DCM(20ml×2)で抽出する。反応物をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発乾固させる。粗生成物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン−酢酸エチル100:0から20:80)によって精製して、所望の生成物を得る。
スキーム1
【化97】


化合物21を、手順1および2によって、出発材料14およびアミノ酸20から調製する。MS(M+1)754。
化合物22を、手順ステップ3によって調製する。MS(M+1)726。
化合物23を、手順1および2によって調製する。MS(M+1)737。
化合物24を、手順4によって調製する。MS(M+1)709。
【0173】
<実施例3>
[化合物34および35の合成]
スキーム2.化合物34および35の合成
【化98】


化合物29を、手順4によって出発材料28から調製する。
化合物30を、ステップ2に記載の手順によって、出発材料29を用いて調製する。
化合物31を、ステップ1および2に記載の手順によって、出発材料30を用いて調製する。
化合物33を、ステップ4に記載の手順によって、出発材料28および32を用いて調製する。
化合物34および35を、ステップ3に記載の手順によって調製する。RCMの後、反応混合物を分取TLC(ヘキサン−酢酸エチル1:1)によって分離して、化合物34および35を得る。MS(M+1)=812。
【0174】
<実施例4>
[中間体の調製]
中間体20および32の調製
【化99】

【0175】
ステップ1.8−ノネン酸(1.56g、10mmol)を100mlフラスコに入れ、N下で無水エーテル(35ml)を添加し、0℃に冷却し、TEA(1.6g、16mmol)を添加し、その後塩化ピバロイル(1.26g、10.5mmol)を滴下添加する。氷浴を除去し、反応混合物を室温で1時間撹拌する。得られた懸濁剤を0℃に冷却し、N下で濾過して250mlフラスコに入れる(無水エーテル10ml×2で2回洗浄する)。濾液を−78℃に冷却し、無水THF(25ml)で希釈する。
【0176】
1,10−フェナントロリンのいくつかの結晶を、(S)(−)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノンのTHF(25ml)溶液に添加する。溶液を−78℃に冷却し、n−BuLi(ヘキサン中1.6M、6.5ml、10.4mmol)溶液を、赤色が10分間持続するまで滴下添加する。この溶液を、先の冷却混合無水物溶液に、−78℃において20分かけてカニューレで添加する。得られた混合物を、−78℃でさらに30分間撹拌し、次いで飽和NHClに注ぎ、有機層を分離し、水層をエーテル(50ml、3×)で抽出する。混合有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮乾固させる。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン−酢酸エチル100:0〜100:20)によって精製して、3.01gの26(95%)を得る。
【0177】
ステップ2.26(3.01g、9.6mmol)の無水THF溶液を−78℃に冷却し、次いでNaN(TMS)のヘキサン(5.76ml)中2.0m溶液を10分かけて滴下添加した。30分後、ブロモ酢酸t−ブチルを−78℃で滴下添加した。反応混合物を−78℃で2時間撹拌した。LC/MSおよびTLCによって反応をモニタした。10%KHSOを用いてpH約4〜6にして反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出し、有機層をHO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発乾固させる。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン−酢酸エチル100:0〜100:20)によって精製して、化合物14を得た。
【0178】
ステップ3.H(50%、0.9ml)を0℃で5分かけて滴下添加し、その後LiOH(HO2ml中0.2g)溶液を添加する。反応混合物を、27(1.05g、2.44mmol)のTHF/HO(5:1、24ml)溶液に添加する。混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで20℃未満の温度を維持しながら、チオ硫酸ナトリウム水溶液(10ml)を滴下添加することによってクエンチする。混合物を酢酸エチル(破棄する)で抽出し、水相を、固体クエン酸を用いてpH約2の酸性にし、酢酸エチルで抽出する。混合有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィによって、ヘキサン:酢酸エチル(100:0)から50:50の勾配系で溶出して精製して、所望の化合物20(503mg)を得る。
【0179】
ステップ4.化合物36を手順1によって調製する。
【0180】
ステップ5.化合物37を手順2によって調製する。
【0181】
ステップ6.化合物32を、化合物20の調製に関するステップ3に記載の手順によって、37から調製する。
【0182】
<実施例5>
[追加の化合物]
以下の表Iに開示されている化合物を、先の実施例1〜4に記載の方法によって調製する。
【0183】
【表3】

【0184】
【表4】

【0185】
【表5】

【0186】
【表6】

【0187】
【表7】

【0188】
【表8】

【0189】
【表9】

【0190】
【表10】

【0191】
【表11】

【0192】
【表12】

【0193】
【表13】

【0194】
【表14】

【0195】
【表15】

【0196】
【表16】

【0197】
【表17】

【0198】
【表18】

【0199】
【表19】

【0200】
【表20】

【0201】
【表21】

【0202】
【表22】

【0203】
【表23】

【0204】
【表24】

【0205】
【表25】

【0206】
【表26】

【0207】
【表27】

【0208】
【表28】

【0209】
【表29】

【0210】
【表30】

【0211】
【表31】

【0212】
【表32】

【0213】
【表33】

【0214】
【表34】

【0215】
【表35】

【0216】
【表36】

【0217】
【表37】

【0218】
【表38】

【0219】
【表39】

【0220】
【表40】

【0221】
【表41】

【0222】
【表42】

【0223】
【表43】

【0224】
【表44】

【0225】
【表45】

【0226】
【表46】

【0227】
<実施例6>
[HCV複製を阻害する化合物を同定するためのアッセイ]
本明細書で特許請求されている化合物を、HCVレプリコン構築物を組み込んだ培養細胞において、C型肝炎レプリコンのウイルス複製を阻害する能力について試験する。HCVレプリコン系は、バルテンシュラーゲル(Bartenschlager)ら(Science、285、110〜113頁(1999年))によって記載された。レプリコン系は、インビボ抗HCV活性を予測するものであり、ヒトにおいて活性な化合物は、レプリコンアッセイにおいても一様に活性を明示する。
【0228】
このアッセイでは、HCVレプリコンを含有する細胞を、異なる濃度の試験化合物で処理して、HCVレプリコンの複製を抑制する試験化合物の能力を確かめる。陽性対象として、HCVレプリコンを含有する細胞を、HCV複製の既知の阻害剤である異なる濃度のインターフェロンαで処理する。レプリコンアッセイ系は、宿主細胞のレプリコン遺伝子産物の転写を検出するために、レプリコン自体の成分としてネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPT)を含む。HCVレプリコンが活発に複製している細胞は、高レベルのNPTを有し、NPTレベルはHCV複製に比例する。また、HCVレプリコンが複製していない細胞は、低レベルのNPTを有し、したがって、ネオマイシンで処理されると死滅する。各試料のNPTレベルを、捕捉ELISAを使用して測定する。
【0229】
レプリコン構築物を組み込んだC型肝炎レプリコン培養細胞のウイルス複製を阻害する能力について化合物を試験するためのプロトコルは、以下のものである。
【0230】
(6A.HCVレプリコンおよびレプリコン発現)
HCVゲノムは、3000アミノ酸ポリタンパク質をコードする単一ORFからなる。ORFは、5’側で配列内リボソーム進入部位(IRES)として働く非翻訳領域と、3’側においてウイルス複製に必要な高度に保存された配列(3’−NTR)と隣接している。ウイルス感染に必要な構造タンパク質は、ORFの5’末端近くに位置している。NS2からNS5Bと示された非構造タンパク質は、ORFの残りを含む。
【0231】
HCVレプリコンは、5’〜3’に、HCV−IRES、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子、HCV配列NS3からNS5Bの翻訳を方向付ける脳心筋炎ウイルスのIRES、および3’−NTRを含有する。HCVレプリコンの配列は、GenBankに寄託されている(登録番号AJ242652)。
【0232】
レプリコンを、エレクトロポレーションなどの標準の方法を使用して、Huh−7細胞にトランスフェクトする。
【0233】
(6B.細胞維持)
装置および材料は、それに限定されるものではないが、Huh−7HCVレプリコンを含有する細胞、10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100マイクログラム/ml)、および500マイクログラム/mlのGeneticin(G418)を補充した維持培地(DMEM(ダルベッコ変法イーグル培地))、スクリーニング培地(10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン(100単位/ml)およびストレプトマイシン(100マイクログラム/ml)を補充したDMEM)、96ウェル組織培養プレート(平底)、96ウェルプレート(薬物希釈用のU字底)、陽性対照のためのインターフェロンα、固定化試薬(メタノール、アセトンなど)、一次抗体(ウサギ抗NPTII)、二次抗体:Eu−N11および強化溶液を含む。
【0234】
HCVレプリコンを含有する細胞は、それらの密度が適切な場合には、高レベルのウイルスRNAレプリコン複製を支持する。過剰な集密度は、ウイルスRNA複製の減少を引き起こす。したがって細胞は、500マイクログラム/mlのG418の存在下において、対数期で増殖し続けなければならない。一般に細胞は、1:4〜6希釈を週2回受けるべきである。細胞維持を以下の通り実施する。
【0235】
HCVレプリコンを含有する細胞を顕微鏡下で調査して、細胞が十分増殖していることを確実にする。細胞をPBSで1回すすぎ、トリプシン2mlを添加する。細胞/トリプシン混合物を、COインキュベータ中で3〜5分間、37℃でインキュベートする。インキュベートした後、完全培地10mlを添加して、トリプシン処理反応を停止させる。細胞に穏やかに空気を吹き込み、15ml管に入れ、1200rpmで4分間回転させる。トリプシン/培地溶液を除去する。培地(5ml)を添加し、細胞を注意深く混合する。細胞を計数する。
【0236】
次いで細胞を、6000〜7500細胞/100マイクロリットル/ウェル(6〜7.5×10細胞/10ml/プレート)の密度で96ウェルプレートに播種する。次いでプレートを、37℃において5%COインキュベータ中でインキュベートする。
【0237】
細胞を、播種の約24時間後に顕微鏡下で調べた後、薬物を添加する。計数および希釈が正確に行われていれば、細胞は60〜70%集密になり、ほぼすべての細胞が付着し、ウェル中に均一に拡散するはずである。
【0238】
(6C.試験化合物によるHCV−レプリコンを含有する細胞の処理)
HCVレプリコンを含有する細胞を、PBSで1回すすぎ、次いでトリプシン2mlを添加する。細胞を、5%COインキュベータ中で3〜5分間、37℃でインキュベートする。完全培地10mlを添加して、反応を停止させる。細胞に穏やかに空気を吹き込み、15ml管に入れ、1200rpmで4分間回転させる。トリプシン/培地溶液を除去し、BRLカタログ番号12430−054の5mlの培地(500mlのDMEM(高グルコース));50mlの10%FBS、5%GeneticinG418(50mg/ml、BRLカタログ番号10131−035)、5mlのMEM非必須アミノ酸(100×BRL#11140−050)および5mlのpen−strep(BRL#15140−148)を添加する。細胞および培地を注意深く混合する。
【0239】
細胞を、スクリーニング培地(500mlのDMEM(BRL#21063−029)、50mlのFBS(BRL#10082−147)および5mlのMEM非必須アミノ酸(BRL#11140−050)と共に、6000〜7500細胞/100μl/96ウェルプレートのウェル(6〜7.5×10細胞/10ml/プレート)で平板培養する。プレートを5%COインキュベータ内に37℃で終夜置く。
【0240】
(6D.アッセイ)
翌朝、薬物(試験化合物またはインターフェロンα)を、スクリーニングのために選択した最終濃度に応じて、96ウェルのU字底プレート中、培地またはDMSO/培地で希釈する。一般に、10マイクロモルから0.03マイクロモルの範囲の各試験化合物の6つの濃度を適用する。100μlの試験化合物の希釈物を、HCVレプリコン細胞を含有する96ウェルプレートのウェルに入れる。薬物なしの培地を、陰性対照としていくつかのウェルに添加する。DMSOは、細胞増殖に影響を及ぼすことが知られている。したがって、DMSOで希釈した薬物を使用する場合、陰性対照(培地のみ)および陽性対照(インターフェロンα)ウェルを含むすべてのウェルは、単回用量スクリーニング用に同じ濃度のDMSOを含有していなければならない。プレートを、加湿した5%CO環境中、37℃で3日間インキュベートする。
【0241】
4日目に、NTPIIアッセイを定量する。培地をプレートから流し、プレートを200μlのPBSで1回洗浄する。次いでPBSをデカントし、プレートを紙タオルで軽くたたいて残りのPBSを除去する。細胞を、100μl/ウェルの予冷した(−20℃)メタノール:アセトン(1:1)を用いてin situで固定し、プレートを−20℃で30分間静置する。
【0242】
固定液をプレートから流し、プレートを完全に空気乾燥させる(約1時間)。乾燥した細胞層の外観を記録し、毒性ウェル中の細胞密度を肉眼で点数化する。あるいは、下記のMTSアッセイを使用して、細胞生存率を評価することができる。
【0243】
ウェルを、200μlのブロッキング溶液(10%FBS;PBS中3%NGS)で30分間、室温でブロックする。ブロッキング溶液を除去し、ブロッキング溶液中1:1000に希釈した100μlのウサギ抗NPTIIを、各ウェルに添加する。次いで、プレートを室温で45〜60分間インキュベートする。インキュベーション後、ウェルをPBS−0.05%Tween−20溶液で6回洗浄する。ブロッキングバッファ中1:15,000に希釈したユウロピウム(EU)共役ヤギ抗ウサギ100μlを各ウェルに添加し、室温で30〜45分間インキュベートする。プレートを再度洗浄し、100μlの強化溶液(Perkin Elmer#4001−0010)を各ウェルに添加する。各プレートを、プレート振とう機(約30rpm)で3分間振とうする。95μlを各ウェルから黒色プレートに移し、EUシグナルをPerkin−Elmer VICTORプレートリーダ(EU−Lance)中で定量する。
【0244】
このアッセイで試験した場合、化合物11、16、25、33、38、39および40は、約10マイクロモル以下のEC50値を示す。
【0245】
<実施例7>
[細胞毒性アッセイ]
レプリコン複製の減少が、非特異的ではなくHCVレプリコンに対する化合物の活性によるものであることを保証するために、毒性アッセイを使用して、化合物の細胞毒性を定量する。
【0246】
(7A.細胞毒性に関する細胞のタンパク質アルブミンアッセイ)
細胞のタンパク質アルブミン測定は、細胞毒性の1つのマーカを提供する。細胞のアルブミンアッセイから得られたタンパク質レベルを使用して、化合物の抗ウイルス活性の正規化基準を提供することもできる。タンパク質アルブミンアッセイでは、HCVレプリコンを含有する細胞を、異なる濃度のヘリオキサンチンで3日間処理する。ヘリオキサンチンは、高濃度で細胞毒性があることが知られている化合物である。細胞を溶解し、細胞溶菌液を使用して、プレート結合ヤギ抗アルブミン抗体を室温(25℃から28℃)で3時間結合させる。次いでプレートを1×PBSで6回洗浄する。非結合タンパク質を洗浄した後、マウスモノクローナル抗ヒト血清アルブミンを適用して、プレート上でアルブミンを結合させる。次いで、二次抗体としてホスファターゼ標識化抗マウスIgGを使用して、複合体を検出する。
【0247】
(7B.細胞毒性に関するMTSアッセイ)
細胞生存率は、生存細胞数を決定するための比色アッセイであるCELLTITER 96 AQUEOUS ONE溶液細胞増殖アッセイ(Promega、ウィスコンシン州マジソン)によって決定することもできる。この方法では、細胞を固定する前に、製造者の使用説明書に従って10〜20μlのMTS試薬を各ウェルに添加し、プレートを37℃でインキュベートし、OD490nmで読み取る。インキュベーション期間中、生存細胞は、MTS試薬を490nmで吸収するホルマザン生成物に変換する。したがって490nmにおける吸収度は、培養物中の生存細胞数に正比例する。
【0248】
細胞毒性を決定するための、細胞アルブミン法とMTS方法の直接的な比較は、以下の通り得ることができる。細胞を、異なる濃度の試験化合物またはヘリオキサンチンで3日間処理する。先に記載のアルブミン検出のための溶解の前に、製造者の使用説明書に従ってMTS試薬を各ウェルに添加し、37℃でインキュベートし、OD490nmで読み取る。次いで先に記載の通り、細胞のアルブミン定量を実施する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】


の化合物または薬学的に許容されるその塩[式中、
Rは、−COOHまたはC〜Cアルキルエステルであり、または
は、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり、
は、水素であり、または
およびRは、連結されて、N、OおよびSから独立に選択される0個から2個の追加のヘテロ原子を含有する4員から7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、この環は、N、OおよびSから独立に選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する5員または6員の複素環式環、あるいは5員または6員の炭素環式環と任意選択により縮合して二環式環系を形成し、5員から7員のヘテロシクロアルキル環または二環式環系のそれぞれは、任意選択により置換されており、
およびRは、一緒になって、0個、1個または2個の追加のN、SまたはO原子を含有する任意選択により置換されている5員から9員の架橋複素環式環、あるいは任意選択により置換されている5員から7員の炭素環式環または複素環式環と縮合している、0個または1個の追加のN、SまたはO原子を含有する任意選択により置換されている5員から7員の複素環式環を形成して、架橋されている二環式環系を形成し、または
およびRは、一緒になって、任意選択により置換されている5員から9員の架橋炭素環式環または複素環式環と縮合している、0個または1個の追加のN、SまたはO原子を含有する任意選択により置換されている4員から7員の複素環式環を形成し、または
、RおよびRは、独立に、
(a)水素、ハロゲンまたはアミノであり、または
(b)C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、またはモノもしくはジC〜Cアルキルアミノであり、そのそれぞれは、任意選択により置換されており、あるいは
およびRは、連結されて、任意選択により置換されている3員から7員のシクロアルキル環、またはN、SおよびOから独立に選択される1個または2個のヘテロ原子を含有する任意選択により置換されている3員から7員のヘテロシクロアルキル環を形成していてもよく、
は、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、
Dは、(i)メチレンまたはメチン基であるRと共有結合している、RのC〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であり、またはDは、(ii)連結されて3員から7員の任意選択により置換されているシクロアルキル環を形成しているRおよびRによって形成された任意選択により置換されているシクロアルキル環と共有結合している、RのC〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であり、
Tは、その炭素原子を介して結合しているテトラゾール基であり、または、
Tは、式
【化2】


の基であり、
は、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−SR12、−NR10(S=O)R11、−NR10SO11、−NR10SONR1112、−NR10SONR1112、−(C=O)OR10、−NR10(C=O)OR11または−CONR1011であり、または
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)CHSO−、(C〜Cシクロアルキル)CHSONR10−、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキルまたは(5員から10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは任意選択により置換されており、または
は、式
【化3】


(pは、0、1または2である)のホスホネートであり、
は、−C〜CアルキルXRであり、ここでXは、−(C=O)NH−、−NH(C=O)−であり、Rは、アリールまたはヘテロアリールであり、または
は、−CH(R)(C〜Cシクロアルキル)、−SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)または−NR10SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)であり、ここでRは、ハロゲンであり、またはRは、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルコキシ、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(5員から10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは任意選択により置換されており、
10、R11およびR12は、存在するごとに独立に、
水素またはトリフルオロメチルであり、または
〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(アリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルまたは(5員から10員ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは任意選択により置換されており、
13は、水素またはC〜Cアルキルであり、
14およびR15は、独立に、水素、ヒドロキシルまたはC〜Cアルキルであり、
nは、0、1または2であり、
Yは、−(NR20)(C=O)−であり、
Zは、(一、二または三環式アリール)C〜Cアルキルまたは(一、二または三環式ヘテロアリール)C〜Cアルキルであり、
このZのそれぞれは、
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、−SONR1112、−(C=O)NR1112、−NR11(C=O)R12、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0個または1個以上の置換基、および
0個または1個の(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5員または6員ヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5員または6員ヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5員または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または9員または10員の二環式ヘテロアリール
で置換されており、そのそれぞれは以下の、
(c)ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、=NOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−C(O)OR11、−NRCOR11、−NRC(O)OR11、トリフルオロメチルならびにトリフルオロメトキシ、ならびに
(d)そのそれぞれが、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシの0個または1個以上で置換されている、フェニルおよび5員または6員のヘテロアリール
から独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されており、
16は、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0個から4個の置換基を表し、
18およびR19は、独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシであり、
20は、水素、C〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシである]。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物または塩であって、RおよびRが、連結されて、ピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環またはピペラジン環を形成し、そのそれぞれが、フルオロ、アミノ、ヒドロキシル、メチルおよびトリフルオロメチルから独立に選択される0個から2個の置換基で置換されていることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物または塩であって、RおよびRが、一緒になって、式
【化4】


【化5】


【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】


【化15】


【化16】


【化17】


【化18】


【化19】


【化20】


【化21】


【化22】


または
【化23】


の基を形成することを特徴とする、化合物または塩。
【請求項4】
請求項2に記載の化合物または塩であって、Rが、水素またはメチルであり、Rが、水素またはC〜Cアルキルであることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項5】
請求項4に記載の化合物または塩であって、RおよびRが、独立に、水素またはメチルであることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物または塩であって、式
【化24】


[式中、Dは、6個から10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり、
、R、RおよびRは、独立に、水素またはC〜Cアルキルである]の化合物または塩。
【請求項7】
請求項6に記載の化合物または塩であって、式
【化25】


の化合物または塩。
【請求項8】
請求項5に記載の化合物または塩であって、式
【化26】


[式中、Dは、6個から10個の炭素原子を有するアルキルまたはアルケニル基であり、
、RおよびRは、独立に、水素またはC〜Cアルキルである]を有することを特徴とする、化合物または塩。
【請求項9】
請求項8に記載の化合物または塩であって、式
【化27】


の化合物または塩。
【請求項10】
請求項2に記載の化合物または塩であって、
Tが、式
【化28】


の基であり、Rが、ヒドロキシル、−OR12またはNR10SO11であり、
11が、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたはベンジルであり、そのそれぞれが、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルケニルおよび(フェニル)C〜Cアルキルから独立に選択される0個から2個の置換基で置換されており、
12がC〜Cアルキルであることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物または塩であって、
10が、水素またはメチルであり、R11が、C〜Cアルキルまたはシクロプロピルであり、R12がC〜Cアルキルであることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項12】
請求項2に記載の化合物または塩であって、nが0であり、
Yが、O、−O(C=O)−であり、またはYが、−(NR20)(C=O)−であり、R20が、水素またはメチルであることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項13】
請求項2に記載の化合物または塩であって、
Zが、
【化29】


【化30】


【化31】


【化32】


【化33】


【化34】


【化35】


【化36】


【化37】


または
【化38】


であり、そのそれぞれが、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ならびにモノおよびジC〜Cアルキルアミノから独立に選択される0個、1個、2個または3個の置換基で置換されていることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項14】
請求項2に記載の化合物または塩であって、Zが、
【化39】


【化40】


【化41】


または
【化42】


[式中、
、X、X、XおよびXは、独立に、NまたはCHであり、X〜Xのうち2個以下はNであり、
およびGは、独立に、CH、O、SまたはNR26であり、Gは、NまたはCHであり、
21は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、
−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0個から3個の基を表し、
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノもしくはジC〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cハロアルコキシであり、または
22は、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(ピリジル)C〜Cアルキルまたは(チアゾール)C〜Cアルキルであり、そのそれぞれは、
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチルならびにトリフルオロメトキシ
から独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されており、
23は、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0個から2個の置換基である]
の基であることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項15】
請求項14に記載の化合物または塩であって、Zが、式
【化43】


の基であることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項16】
請求項15に記載の化合物または塩であって、Zが、式
【化44】


[式中、
21は、キノリンの7位の置換基、ならびにハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、C〜CハロアルキルならびにC〜Cハロアルコキシから独立に選択される0個から2個の追加の置換基を表し、
22は、フェニル、ピリジルまたはチアゾリルであり、そのそれぞれが、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジC〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチルならびにトリフルオロメトキシから独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されている]のキノリンであることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項17】
請求項15に記載の化合物または塩であって、
21が、キノリンの7位のメトキシまたはエトキシ置換基であり、任意選択により、キノリンの8位の追加のハロゲン置換基であり、
22が、フェニル、ピリジルまたはチアゾリルであり、そのそれぞれが、メチル、メトキシ、クロロ、C〜Cアルキル、C〜Cモノおよびジアルキルアミノから独立に選択される0個、1個または2個の置換基で置換されていることを特徴とする、化合物または塩。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物または塩であって、式
【化45】


【化46】


または
【化47】


[式中、
およびRは、連結されて、アゼチジン、ピロリジン、モルホリン、ピペリジンまたはピペラジン環を形成し、
そのそれぞれは、フルオロ、アミノ、ヒドロキシル、C〜Cアルキルおよびトリフルオロメチルから独立に選択される0個から3個の置換基で置換されており、
また、メトキシイミノ、アミノC〜Cアルキル、C〜Cアルキルスルホニルおよびピラジニルから選択される0個または1個の置換基でも置換されており、
は水素であり、
は、水素、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、
およびRは、独立に、水素またはメチルであり、
Tは、式
【化48】


の基であり、
は、ヒドロキシル、−OR12または−NR10SO11であり、
10は、水素またはメチルであり、
11は、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであり、R12はC〜Cアルキルであり、
16は、ハロゲン、C〜CアルキルおよびC〜Cアルコキシから独立に選択される0個から2個の置換基であり、
Mは、水素またはメチルであり、
Yは、O、−O(C=O)−または−(NH)(C=O)−であり、
Zは、式
【化49】


【化50】


【化51】


【化52】


【化53】


【化54】


【化55】


【化56】


または
【化57】


の基であり、そのそれぞれは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ならびにモノおよびジC〜Cアルキルアミノから独立に選択される0個、1個、2個または3個の置換基で置換されている]の化合物または塩。
【請求項19】
治療有効量の1つ以上の請求項18に記載の化合物または塩および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項20】
治療有効量の1つ以上の請求項18に記載の化合物を患者に提供するステップを含むことを特徴とする、患者のC型肝炎感染症を治療する方法。

【公表番号】特表2012−511588(P2012−511588A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540890(P2011−540890)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/067507
【国際公開番号】WO2010/068761
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(504378685)アキリオン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (22)
【Fターム(参考)】