説明

ウオッシャーノズル

【課題】本発明は、ウオッシャーノズルに関し、噴射流路を有するノズルをノズルボディに圧入して固定した時の洗浄液の漏れを防止することと、該ノズルを自由に揺動させてその噴射角度を調節できるようにすることが課題である。
【解決手段】ノズルボディ2と、該ノズルボディの噴射部に揺動自在に取付けられたノズル3とからなるウオッシャーノズル1において、前記ノズルが、前記ノズルボディの支持部に揺動自在に支持されるノズル支持体3aと、該ノズル支持体の凹状収納部3cに挿着され固定されるもので噴射流路3hを有してなるノズル本体3bとでなり、前記凹状収納部3は、その開口部3dが液体供給側に配設されているとともに、該凹状収納部の底部3eには、前記ノズル本体からの噴射液を噴射させる噴口3fが設けられているウオッシャーノズル1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車等のフロントガラスに洗浄液を噴射するウオッシャーノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ウオッシャーノズルAは、図8に示すように、ノズルボディ20の頭部20aに一端側に開口した開口部21を有するノズル用凹部が設けられ、この凹部に例えば自励式の発振流路を有するノズル22を圧入して、組み立てられるものが知られている(特許文献1参照)。そして、前記ノズル22の噴口22aから軸芯23に対して左右に振動する洗浄液がフロントガラス等に噴射されるものである。
【特許文献1】特開2002−67888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記凹部に、2分割体を合わせてなるノズル22を開口部21から内部へと向かって圧入方法により固定するのであるが、前記頭部20a及びノズル22も合成樹脂製であるので、その製品の誤差等や表面の微少な凹凸により、図2(D)に示す液体供給路20bからの洗浄液が、図8に示すノズル22の合わせ面22bから洗浄液が漏れ出し、噴口22a以外のところから洗浄液が外部に漏れることがあり、これを完全に液密封止することが困難である。更に、洗浄液の噴射角度が固定されていて、車種に応じて噴射角度を自由に設定することができないという不都合もある。本発明に係るウオッシャーノズルは、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るウオッシャーノズルの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、ノズルボディと、該ノズルボディの噴射部に揺動自在に取付けられたノズルとからなるウオッシャーノズルにおいて、前記ノズルが、前記ノズルボディの支持部に揺動自在に支持されるノズル支持体と、該ノズル支持体の凹状収納部に挿着され固定されるもので噴射流路を有してなるノズル本体とでなり、前記凹状収納部は、その開口部が液体供給側に配設されているとともに、該凹状収納部の底部には、前記ノズル本体からの噴射液を噴射させる噴口が設けられていることである。
【0005】
前記噴射流路は、自励式の発振流路であること、;
また、前記ノズル支持体は、その凹状収納部の開口部と噴口とを貫く軸芯を中心軸とする球体部が形成され、ノズルボディの支持部には前記球体部が揺動自在に嵌合される球状用凹部が設けられていること、;
ノズル本体は、噴射流路のアンダーカット部が無い一体成形品であること、;
を含むものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のウオッシャーノズルによれば、ノズル支持体にノズル本体を挿着する場合に、凹状収納部の開口部が、液体供給側に配設されているので、ノズル本体が液体供給側から噴口側へと圧入方法等によりノズル支持体に挿着されることになる。よって、図2(C)に示すように、ノズル本体が前記凹状収納部に収納されるので、洗浄液はノズル本体を通過して噴口からすべて噴射される。このノズル本体とノズル支持体との間の液漏れは全く問題にならなくなる。
【0007】
従来例では図2(D)に示すように、洗浄液がノズル本体の合わせ面から漏れ出すと、そのままノズルボディとの隙間から外部に漏れ出してしまうものである。また、洗浄液の圧力は、圧入されたノズル本体を緩めて外部に押し出す方向に作用するので好ましいものではないのが、本発明の構成により解消されるものである。
【0008】
ノズル本体の噴射流路は自励式の発振流路であり、フロントガラスの広範囲に亘って洗浄液が自動的に振動して散布される。また、ノズル支持体はノズルボディの球状用凹部によって円錐状の範囲内において、上下左右に自由に噴射方向を設定することができる。
また、ノズル本体は、噴射流路のアンダーカット部が無い一体成形品であることにより、2分割体であったノズル本体を一体成型品とすることができて、部品点数が減少し、部品管理が容易となるとともに、組立工数も削減されて組立コストが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係るウオッシャーノズル1は、図1に示すように、合成樹脂製のノズルボディ2と、該ノズルボディ2の噴射部2aに揺動自在に取付けられた合成樹脂製のノズル3とからなる。
【0010】
前記ノズル3は、図1乃至図2(A)に示すように、前記ノズルボディ2の支持部2bに揺動自在に支持されるノズル支持体3aと、該ノズル支持体3aの凹状収納部3cに挿着され固定されるもので噴射流路を有してなるノズル本体3bとでなる。
【0011】
前記凹状収納部3cは、図2(B),(C)に示すように、その開口部3dが液体供給側に配設されている。該凹状収納部3cの底部3eには、前記ノズル本体3bからの噴射液を噴射させる発振用の噴口3fが設けられている。
【0012】
前記ノズルボディ2の支持部2bは、球状用凹部にして形成されている。また、前記ノズル支持体3aは、その凹状収納部3cの開口部3dと噴口3fとを貫く軸芯23を中心軸とする球体部3gが形成されている。この球体部3gと前記球状凹部の支持部2bとが、球面対偶で連結されて、この球状凹部の中心点を中心にして円錐状のある範囲内で揺動自在となるものである。
【0013】
前記ノズル本体3bは、図1に示すように、2分割体にされたノズルであり、それには、噴射流路である自励式の発振流路3hが形成されている。図2(A)に示すように、2分割体のノズルを向かい合わせにして重ねて、一組に組立ててノズル本体3bにし、それを、前記開口部3dから凹状収納部3cに圧入により挿入して固定するものである。前記発振流路3hにおける帰還路の外側には壁が無く、ノスル支持体3aの凹状収納部3cに挿着して発振流路3hが完成する。よって、この凹状収納部3cの壁面の一部が、前記発振流路3hの帰還路外壁の一部を兼ねるものである。
【0014】
上記のようにしてなるノズル3が、図1に示すように、ノズルボディ2の噴射部2aに圧入され、支持部2bに揺動自在に支持される。こうして、ウオッシャーノズル1が完成する。
【0015】
このウオッシャーノズル1によれば、図2(A)〜(C)に示すように、洗浄液が供給路2cを通って上昇し、ノズル3の導入口3iから発振流路3hに進入し、噴口3fから左右に振動して噴射される。前記洗浄液は、ノズル3のノズル本体3bを通過するときに、洗浄液の全部が噴口3fに至るので、噴口3f以外のところから洗浄液が外部に漏れ出すということがない。2分割体を重ね合わせるノズル本体3bにおいて、合体させた合わせ面から洗浄液が漏れ出すということ自体が想定されず、液漏れが解消されるものである。
【0016】
また、ノズル3が、ノズルボディ2の支持部2bにより球面対偶で支持されているので、図3に示すように、ノズル3の角度調整部3jを治具等で把持して当該ノズル3を揺動させることで、軸芯23を中心にして上下左右に洗浄液の噴射角度を調節することができるのである。
【0017】
本発明に係る他の実施例は、図4乃至図5に示すように、ノブル本体4において、噴射流路を形成する流路隔壁5a,5bと、流路隔壁6a,6bとが、アンダーカットの無い形状にされていることである。即ち、前記ノズル本体3bにあっては、噴射流路を形成する流路隔壁5a,5bにおいて、アンダーカット部となる流路隔壁5c,5dが存在している。また、同様に、流路隔壁6a,6bにおいてはアンダーカット部となる流路隔壁6c,6dが存在している。そこで、前記ノズル本体3bでは、上下に2分割体として、別々に形成して、これを組み合わせ合体させて使用している。
【0018】
これに対して、このノズル本体4では、図5に示すように、噴射流路を形成する前記隔壁(流路隔壁5a,5b,6a,6b)にアンダーカット部がないので、例えば、前後方向に型を抜きながら、それによって左右方向の型も同時にスライドさせることで、一体成形が可能となる。よって、上下に2分割体を形成することなく、一度に、一体成形することができる。こうして、部品点数が減少し、部品管理が容易となる。更に、図6に示すように、この一つのノズル本体4をノズル支持体3aに圧入して嵌合させてノズル3とし、図7に示すように、これをズルボディ2に組み立てればよいので、組立工数も減って組立コストもが減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るウオッシャーノズル1の分解組立斜視図である。
【図2】同本発明のウオッシャーノズル1における、ノズル3の分解断面図(A)、断面図(B)、同図(B)におけるA−A線に沿った断面図(C)、従来例に係る洗浄液の噴射の様子を示す説明図(D)である。
【図3】本発明に係るウオッシャーノズル1における洗浄液の噴射角度を調節した様子を示す説明図(A),(B),(C)である。
【図4】アンダーカット部無しで成形したノズル本体4の正面図である。
【図5】図4におけるB−B線に沿った断面図である。
【図6】ノズル本体4とノズル支持体3aとを嵌合させた状態の縦断面図(A)と、横断面図(B)とである。
【図7】ノズル本体4をノズル支持体3aに嵌合させた後にノズルボディ2に組み立てる事を説明する分解組立斜視図である。
【図8】従来例に係るウオッシャーノズルAの分解組立斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ウオッシャーノズル、
2 ノズルボディ、 2a 噴射部、
2b 支持部、
3 ノズル、 3a ノズル支持体、
3b ノズル本体、
3c 凹状収納部、 3d 開口部、
3e 底部、 3f 噴口、
3g 球体部、 3h 発振流路、
3i 導入口、 3j 角度調整部、
4 一体成形のノズル本体、
5a〜5d 流路隔壁、
6a〜6d 流路隔壁、
20 ノズルボディ、 20a 頭部、
20b 液体供給路、 21 開口部、 22 ノズル、 22a 噴口、
23 軸芯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルボディと、該ノズルボディの噴射部に揺動自在に取付けられたノズルとからなるウオッシャーノズルにおいて、
前記ノズルが、前記ノズルボディの支持部に揺動自在に支持されるノズル支持体と、該ノズル支持体の凹状収納部に挿着され固定されるもので噴射流路を有してなるノズル本体とでなり、
前記凹状収納部は、その開口部が液体供給側に配設されているとともに、該凹状収納部の底部には、前記ノズル本体からの噴射液を噴射させる噴口が設けられていること、
を特徴とするウオッシャーノズル。
【請求項2】
噴射流路は、自励式の発振流路であること、
を特徴とする請求項1に記載のウオッシャーノズル
【請求項3】
ノズル支持体は、その凹状収納部の開口部と噴口とを貫く軸芯を中心軸とする球体部が形成され、ノズルボディの支持部には前記球体部が揺動自在に嵌合される球状用凹部が設けられていること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の噴射角度可変ウオッシャーノズル。
【請求項4】
ノズル本体は、噴射流路を形成する隔壁にアンダーカット部が無い一体成形品であること、
を特徴とする請求項1、2または3に記載の噴射角度可変ウオッシャーノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−89025(P2006−89025A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242358(P2005−242358)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000229704)日本ビニロン株式会社 (12)
【Fターム(参考)】